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特許7487312タップ数を減らしたパワーエレクトロニクス負荷時タップ切換器
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  • 特許-タップ数を減らしたパワーエレクトロニクス負荷時タップ切換器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】タップ数を減らしたパワーエレクトロニクス負荷時タップ切換器
(51)【国際特許分類】
   H02M 5/12 20060101AFI20240513BHJP
   H01F 29/02 20060101ALI20240513BHJP
   H01F 29/04 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
H02M5/12 A
H01F29/02 Q
H01F29/04 502A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022537244
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-16
(86)【国際出願番号】 EP2020086160
(87)【国際公開番号】W WO2021122556
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-08-12
(31)【優先権主張番号】19217261.7
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ナン
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 佑平
(72)【発明者】
【氏名】アルベス,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ナミ,アリレサ
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-322611(JP,A)
【文献】米国特許第06384588(US,B1)
【文献】特表2014-501441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 5/12
H01F 29/02
H01F 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変能動巻線サイズを有する誘導電力装置(1)であって、
第1の回路(2)と、
複数の巻線とを備え、
前記複数の巻線の各々は、連続して形成された少なくとも2つの巻線セグメント(3)を含み、
前記誘導電力装置(1)は、さらに、
選択可能な組み合わせの前記巻線セグメントを前記第1の回路に直列に接続するように動作可能なスイッチング回路(4)を備え、
前記巻線セグメントのうちの少なくとも2つは、異なるサイズを有し、
前記少なくとも2つの巻線セグメントは、対向巻線(6)に磁気的に結合された全巻線(5)の連続部分として形成され、
前記巻線セグメントは、前記磁気結合に対して同じ極性を有し、
前記巻線セグメントは、前記全巻線の連続タップ(7)の間に配置され、
前記タップは、単一の巻線セグメントに接続する複数の第1種類のタップと、連続する巻線セグメントの間に配置され、これらの巻線セグメントの両方に接続する複数の第2種類のタップとを含み、
前記複数の第2種類のタップは、連続しない、ことを特徴とする、誘導電力装置。
【請求項2】
前記巻線セグメントは、重ならない、請求項1に記載の誘導電力装置。
【請求項3】
前記スイッチング回路は、前記選択可能な組み合わせの前記巻線セグメントの各々を前記第1の回路の一対の接続端子に接続するように構成される、請求項1または2のいずれか一項に記載の誘導電力装置。
【請求項4】
前記スイッチング回路は、各巻線セグメントを独立して含むまたは除外するように動作可能なスイッチ(8)の配列を含む、請求項3に記載の誘導電力装置。
【請求項5】
前記配列中の前記スイッチは、サイリスタなどの半導体スイッチまたは機械スイッチである、請求項1~4のいずれか一項に記載の誘導電力装置。
【請求項6】
前記スイッチング回路は、少なくとも1つのハーフブリッジ配置を含む、請求項4から5のいずれか一項に記載の誘導電力装置。
【請求項7】
前記スイッチング回路は、
巻線セグメントにわたって、直列接続され、独立して制御可能な2つのスイッチが存在することと、
巻線セグメントにわたる2つのスイッチ間の前記直列接続において、前記第1の回路の接続端子または非隣接巻線セグメントにサービスを提供するスイッチの相互接続が存在することとを満たす、請求項3から5のいずれか一項に記載の誘導電力装置。
【請求項8】
前記スイッチング回路は、負荷時タップ切換器である、請求項3から7のいずれか一項に記載の誘導電力装置。
【請求項9】
前記巻線セグメントの前記サイズは、2の連続べき乗を含む一連の因子に比例する、請求項1~8のいずれか一項に記載の誘導電力装置。
【請求項10】
前記巻線セグメントの前記サイズは、2の連続べき乗に比例する、請求項9に記載の誘導電力装置。
【請求項11】
前記誘導電力装置は、変圧器である、請求項1~10のいずれか一項に記載の誘導電力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、誘導電力装置の分野に関し、特に可変の巻数比を有する変圧器に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
磁気的に結合された2つの巻線を有する誘導電力装置の分野において、能動巻線サイズを可変にすることができ、したがって、異なる巻数比を得ることができるように、(通常、タップと呼ばれる)3つ以上の接続点を巻線のうちの1つに設けることが知られている。負荷時タップ切換器(OLTC)は、誘導電力装置の通電時に能動タップを再選択することを可能にする。
【0003】
一例として、WO2009105734A2は、電圧源に接続されるように構成された入力端子と、入力端子に接続された第1の巻線と電力変換システムの出力端子に接続された第2の巻線とを有する変圧器とを含む電力変換システムを開示している。第1の巻線または第2の巻線のいずれかは、第1の巻線または第2の巻線を少なくとも2つの部分巻線に分割するように構成された少なくとも3つのタップを備える。少なくとも1つのタップスイッチは、少なくとも2つの部分巻線に接続され、制御回路によって制御される。この制御回路は、少なくとも1つのタップスイッチを制御することによって、変圧器の巻数比を制御するように構成されている。US4220911Aは、第1の回路と、巻線セグメントと、スイッチング回路とを備える変圧器を開示しており、巻線セグメントは、異なるサイズを有してもよい。類似の構造は、DE102012202105A1に開示されている。
【0004】
パワーエレクトロニクス部品、例えば半導体スイッチからOLTCを構築することは、魅力的な選択肢である。しかしながら、このようなOLTCの総装置コストは、設置される半導体部品の数量に強く依存する。OLTCの汎用性を犠牲にすることなく、OLTCの部品コストを制限することが課題である。特に、ユーザは、OLTCが広範囲の利用可能な能動巻線サイズ(すなわち、広範囲の利用可能な巻数比)を提供する一方で、連続する巻線サイズが全範囲に対してわずかなステップで異なることを期待し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
概要
本発明の目的は、特定数の利用可能な能動巻線サイズを有し、限られた部品コストで実現することができるOLTCを提案することである。別の目的は、特定範囲の巻線サイズを実現することによって、特定範囲の巻数比を実現するためのタップ数を減らしたOLTCを提案することである。さらなる目的は、このようなOLTCを含む誘導電力装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、上記の課題を解決するものである。従属請求項は、本発明の有利な実施形態を定義する。
【0007】
誘導電力装置は、第1の回路と、少なくとも2つの巻線セグメントと、選択可能な組み合わせの巻線セグメントを第1の回路に直列に接続するように動作可能なスイッチング回路とを含む。第1の回路は、任意の機能または構造を有することができる。本発明の実施形態によれば、巻線セグメントの少なくともいくつかは、異なるサイズを有する。
【0008】
巻線セグメントのいくつかが異なるサイズを有するため、連続する能動巻線サイズ間の最大ステップは、利用可能な能動巻線サイズの全範囲に対して小さく維持することができる。一例として、それぞれ100および200巻数のサイズを有する巻線セグメントの組み合わせは、100巻数のステップを有する範囲[0,300]をカバーする。同様に、巻線セグメントサイズM、2Mおよび4M(Mは、任意の整数である)を組み合わせることによって、ステップMを有する範囲[0,7M]をカバーすることができる。
【0009】
一般的に、請求項に使用される全ての用語は、本明細書で特に明記しない限り、当技術分野において通常の意味に従って解釈されるべきである。「要素、装置、部品、手段、ステップなど」への全ての言及は、特に明記しない限り、要素、装置、部品、手段、ステップなどの少なくとも1つのインスタンスを指すものとしてオープンに解釈されるべきである。
【0010】
次に、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を例示として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る誘導電力装置を示す概略回路図である。
図2図1に示す誘導電力装置に適切に使用される例示的なスイッチング回路、並びに巻線セグメントおよびタップを示す詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本発明の特定の実施形態を示す添付の図面を参照して、本発明をより完全に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、これらの実施形態は、限定的なものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が詳細で完璧となり、本発明の全ての特徴を当業者に完全に伝えるように、例示として提供される。同様の番号は、明細書の全体を通して同様の要素を指す。
【0013】
図1は、一実施形態に従って、可変能動巻線サイズを有する誘導電力装置1を示す概略回路図である。誘導電力装置1は、図1の左側で誘導電力装置1から延び出す2つの接続端子を有する第1の回路2を備える。第1の回路2は、任意の機能および任意の構造を有してもよい。第1の回路2は、接続端子から電気エネルギーを受け取ってもよく、電気エネルギーを接続端子に供給してもよい。単純な実施形態において、第1の回路2は、一方では左右の上方接続端子を接続し、他方では左右の下方接続端子を接続するための2つの電線であってもよい。
【0014】
第1の回路2の一対の対向端子は、スイッチング回路4を介して、全巻線5の連続部分である可変数の巻線セグメント3に接続されてもよい。この実施形態において、巻線セグメント3は、重ならない。全巻線5は、対向巻線6に磁気的に結合される。全巻線5と対向巻線6とは、変圧器の一次側または二次側のコイルであってもよい。一方の巻線における電流の変化が他方の巻線の両端に電圧を誘起する磁気結合(すなわち、誘導結合)は、全巻線5および対向巻線6を共通の軸にほぼ整列し、互いの近傍に配置することによって達成することができる。任意選択で、2本の垂直バーによって示すように、磁気結合は、巻線を共通の磁気コアに配置することによって強化することができる。
【0015】
一例として、図示された対向巻線6の端点は、図1の右側で誘導電力装置1から延び出す接続端子に直接に接続されている。図示された実施形態の変形例において、対向巻線は、代わりに、第2の回路(図示せず)を介して、対応する接続端子に接続されてもよい。第1の回路2と同様に、第2の回路は、任意の構造を有してもよく、誘導電力装置1において任意の機能を果たしてもよい。特に、対向巻線6は、全巻線5と同様に、3つ以上のタップを有する巻線セグメントに構成されてもよい。その結果、選択可能な組み合わせの巻線セグメントを第2の回路に接続することができる。この目的のために、スイッチング回路4に類似するスイッチング回路を使用してもよい。
【0016】
図1に示す実施形態において、巻線セグメント3は、4つである。第1の回路2が接続される巻線セグメント3の組み合わせは、予め設定された設計特性を有するではなく、誘導電力装置1の寿命中、特に誘導電力装置1の動作中に可変である。好ましくは、「負荷時」状態に応じて、組み合わせを変更することができる。接続された巻線セグメント3の組み合わせ、したがって、誘導電力装置1の能動巻線サイズは、スイッチング回路4を介して選択可能であり、スイッチング回路4は、選択可能な接続の巻線セグメント3のタップ7を介して、第1の回路2の一対の接続端子を選択可能な接続の巻線セグメント3に電気的に接続する役割を果たす。
【0017】
図1に見られるように、巻線セグメント3は、同じ電流方向を有するという意味で、対向巻線6との磁気結合に対して同じ極性を有する。このことは、任意の巻線セグメント3の追加、すなわち、巻線セグメント3の上方タップを第1の回路2の上方接続端子に接合し、巻線セグメント3の下方タップを第1の回路2の下方接続端子に接合することによって、巻線セグメント3を第1の回路2に接続することが、磁気結合の全体に良い影響を与えることを意味する。
【0018】
図1において、巻線セグメント3との接続に応じて、タップ7をいくつかの種類に分類することができる。例えば、第1種類のタップは、単一の巻線セグメントに接続し、第2種類のタップは、2つの連続する巻線セグメントの間に位置し、これらの巻線セグメントの両方に接続する。(C1)任意数の第1種類の連続タップが存在する場合、および(C2)第2種類の任意のタップの前におよび後に少なくとも1つの第1種類のタップが存在する場合、スイッチング回路4は、各巻線セグメント5を独立して含むまたは除外することができる。条件C2は、(C2′)第2種類のタップが孤立であること、すなわち、(C2″)第2種類のタップが連続しないことに相当する。
【0019】
4つの例示的な巻線セグメント3.1、3.2、3.3および3.4の詳細図を含む図2において、巻線セグメント3.1と3.2との間に配置された第2のタップおよび巻線セグメント3.3と3.4との間に配置された第5のタップは、第2種類のタップである。第1のタップ、第3のタップ、第4のタップおよび第6のタップは、第1種類のタップである。
【0020】
スイッチング回路4が選択された巻線セグメントの組み合わせを接続するためのタップを選択する方法は、選択された巻線セグメントの端点のタップの種類、および選択された組み合わせのうち、他の選択された巻線セグメントに対する選択された巻線セグメントの位置に依存する。
【実施例1】
【0021】
任意の単一の巻線セグメント3を接続するために、当該セグメントの上方タップおよび下方タップを第1の回路2の一対の接続端子にそれぞれ接続する。
【実施例2】
【0022】
第2種類のタップによって接続された2つの巻線セグメントの組み合わせの接続は、第1の巻線セグメント3.1および第2の巻線セグメント3.2を参照して示されている。このような巻線セグメントは、隣接する巻線セグメントと呼ぶことができる。第1の巻線セグメント3.1の上方タップおよび第2の巻線セグメント3.2の下方タップに対応する外側端点は、第1の回路2の接続端子にそれぞれ接続される。第1の巻線セグメント3.1と第2の巻線セグメント3.2との間の共通タップは、接続端子に接続されない。
【実施例3】
【0023】
2つの隣接しない巻線セグメントの組み合わせの接続は、第2の巻線セグメント3.2および第3の巻線セグメント3.3を参照して示される。これを達成するために、第2の巻線セグメント3.2の上方タップは、第1の回路2の第1の接続端子に接続され、第3の巻線セグメント3.3の下方タップは、第1の回路2の第2の接続端子に接続される。さらに、巻線セグメント3.2および3.3が隣接しないため、第2の巻線セグメント3.2の下方タップは、第3の巻線セグメント3.3の上方タップに接続される。これらの接続によって、第2の巻線セグメント3.2および第3の巻線セグメント3.3は、第1の回路2の接続端子の間に効果的に直列に接続される。これらの巻線セグメントは、能動巻線を構成する。
【実施例4】
【0024】
完全な全巻線5を接続するために、外側端点を接続し、第2の巻線セグメント3.2と第3の巻線セグメント3.3との間の相互接続を確立すること、すなわち、第2の巻線セグメント3.2の下方タップを第3の巻線セグメント3.3の上方タップに接続することによって、充分である。外側端点は、第1の巻線セグメント3.1の上方端点および第4の巻線セグメント3.4の下方端点に対応する。
【0025】
これらの実施例を研究した当業者は、4つの巻線セグメント3.1、3.2、3.3および3.4の任意の他の組み合わせを接続する方法を理解するであろう。また、当業者は、上述したように、巻線セグメントが条件C1およびC2を満たすタップを備える限り、任意の選択可能な組み合わせの巻線セグメントを直列に接続するためのタップ接続を決定することができるであろう。
【0026】
引き続き図2を参照して、スイッチ8の配列を含むスイッチング回路4の例示的な回路レイアウトを説明する。図2には示されていないが、必要に応じて、コントローラが、スイッチング回路4に設けられてもよく、またはそれに接続されてもよい。このコントローラは、接続される巻線セグメントの選択された組み合わせに基づいて、スイッチ8を制御する。
【0027】
スイッチ8は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)またはサイリスタ(シリコン制御整流器、SCR)などの半導体スイッチ、または機械スイッチであってもよい。スイッチ8の定格電圧は、スイッチングインパルス過電圧(SI)および点灯インパルス過電圧(LI)に耐えるものであり、定格電流は、システムの定格短絡(SC)電流を満たすものである。スイッチ8は、一連の相互接続されたハーフブリッジまたはフリップハーフブリッジとして構成されてもよい。ハーフブリッジの一方側(例えば、負荷側)は、タップに接続され、他方側(例えば、ソース側)は、第1の回路2の接続端子または連続ハーフブリッジ間の相互接続のいずれかに接続される。一実施形態において、スイッチ8の配列は、以下の条件、すなわち、(C3)巻線セグメント(すなわち、一対の連続タップ)にわたって、直列接続され、独立して制御可能2つのスイッチが存在することと、(C4)巻線セグメントにわたる2つのスイッチ間の直列接続において、第1の回路の接続端子または非隣接巻線セグメントにサービスを提供するスイッチの相互接続が存在することとを満たす。
【0028】
本発明者らは、巻線セグメント3が条件C1およびC2を満たすタップ7を有すると仮定すると、スイッチング回路4が、条件C3およびC4を満たす場合、任意の選択可能な組み合わせの巻線セグメント3を能動巻線として第1の回路2の接続端子に接続するためのタップ接続を実現することができることを認識した。
【0029】
8つの独立して制御可能なスイッチ8.1、8.2、8.3、...、8.8が図2に示される方法で接続された場合、スイッチング回路4は、条件C3およびC4を満たす。上記の実施例2を実現するために、スイッチ8.1、8.4、8.6および8.7を閉合し、残りのスイッチを開放する。上記の実施例3を実現するために、スイッチ8.2、8.4、8.5および8.7を閉合し、残りのスイッチを開放する。上記の実施例4を実現するために、スイッチ8.1、8.4、8.5および8.8を閉合し、残りのスイッチを開放する。
【0030】
スイッチング回路4は、より多くの数の巻線セグメント3にサービスを提供するために、以下のように拡張することができる。第2種類のタップによって接続された2つのさらなる巻線セグメントを全巻線5の下端に追加すると仮定する。このような状況において、スイッチング回路4は、図2に示すスイッチング回路4の上方半分または下方半分に類似する4つのスイッチのさらなるグループによって拡張され、拡張前に図2のスイッチング回路4の下方半分に対応するスイッチに相互接続されてもよい。拡張後、追加された2つの巻線セグメントにサービスを提供するスイッチは、第1の回路2の下方接続端子に接続される。したがって、拡張スイッチング回路4は、それぞれ4つのスイッチを含む3つのグループを備え、第1のグループは、第1の回路2の上方接続端子に接続され、第3のグループは、第1の回路2の下方接続端子に接続され、第2のグループは、第1のグループおよび第3のグループに相互接続される。この拡張手順を繰り返すことによって、所望のサイズのスイッチング回路4を得ることができる。
【0031】
なお、巻線セグメント3の数が偶数であり、タップが条件C1およびC2を満たす場合、これまで説明したスイッチング回路4は、部品コストの面で準最適な回路解決策に相当する。奇数個の巻線セグメント3にサービスを提供するために、最適でない様式で配置される部品で、説明した回路を拡張する必要がある。以下の表1から、タップと巻線セグメントとの比は、1、3および5に等しいNに対して増加することが分かる。このような混合配置は、本発明の範囲に含まれる。さらに、必要に応じて、条件C1およびC2を満たすタップを備えていない巻線セグメント3と協働するように、スイッチング回路4を修正してもよい。
【0032】
【数1】
【0033】
特定のケースM=1およびN=-1において、ステップは、1である。Nに関するスケーリング挙動は、表1に示される。
【0034】
【表1】
【0035】
N個の巻線セグメントに対するタップの数は、q(N)=3floor(N/2)+2mod(N,2)である。
【0036】
図2に示す実施形態の例示的な実装形態において、誘導電力装置1は、16個のステップと、一相当たりに6個のタップ7と、8個のパワーエレクトロニクススイッチ8とを有する。サイリスタは、2×30×Vステップという合計定格電圧を有するスイッチとして使用され、Vステップは、1つのステップによって分けられた巻線セグメントの組み合わせに対応する電圧差である。装置1の定格短絡電流は、3秒間に20kAである。
【0037】
2のべき乗は、巻線セグメント3の最適なサイズ分布に対応し得る。実際に、自然数がバイナリ数のベクトル空間として見なされる場合、各整数が固有のバイナリ展開を有するため、2のべき乗は、基底を構成する。さらなる有用な実施形態は、誘導電力装置1を提供し、巻線セグメントのサイズは、一連の2の連続べき乗だけでなく、1つ以上の冗長要素、例えば、集合S={1,2,3,4,8}内の巻線セグメントサイズ3を含む。集合S\{3}に含まれる全ての整数、すなわち、[0,15]は、集合Sにも含まれる。しかしながら、いくつかの整数は、Sの要素の点で、非一意な表現を有する。5は、5=1+4=2+3であるため、その一例である。誘導電力装置1の場合、これは、巻線セグメントの2つの選択可能な組み合わせのいずれかによって、所望の能動巻線サイズを得ることができる実装形態に対応する。これは、独立して考慮すると、構造的冗長性を示唆する。しかしながら、巻線セグメント3がこのサイズ分布または同様のサイズ分布を有する誘導電力装置1は、設計上の制約または他の考慮事項によって正当化され得、本発明の全ての特徴が満たされる限り、誘導電力装置1は、実施形態にとどまる。
【0038】
本開示の特徴は、主に、いくつかの実施形態を参照して上記で説明されている。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲において、上記で開示されるもの以外の他の実施形態も同様に可能である。
図1
図2