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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】ガスタービン燃焼器及びガスタービン
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/16 20060101AFI20240513BHJP
   F23R 3/30 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
F23R3/16
F23R3/30
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022555492
(86)(22)【出願日】2021-10-05
(86)【国際出願番号】 JP2021036757
(87)【国際公開番号】W WO2022075299
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】P 2020169720
(32)【優先日】2020-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】赤松 真児
(72)【発明者】
【氏名】安部 直樹
(72)【発明者】
【氏名】瀧口 智志
(72)【発明者】
【氏名】井上 慶
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-078127(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0011769(US,A1)
【文献】特開2016-038108(JP,A)
【文献】国際公開第2016/056521(WO,A1)
【文献】特開2012-154588(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23R 3/16
F23R 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒部材と、
前記筒部材の内側において周方向に配列され、各々が予混合通路の出口部を形成する複数の予混合管と、
前記複数の予混合管を支持する基板と、
を備えるガスタービン燃焼器であって、
前記基板は、
前記複数の予混合管にそれぞれ対応して設けられ、前記予混合通路が該基板を通過するための複数の貫通穴と、
前記貫通穴が設けられた領域とは異なる領域に前記ガスタービン燃焼器の軸方向に対して斜めに延在する複数の斜め孔と、
を有し、
前記複数の斜め孔は、前記複数の貫通穴の中心位置よりも径方向外側に位置し、且つ、上流端から下流端に近づくにつれて径方向外側に向かうように前記軸方向に対して斜めに延在する第1孔を含み、
前記第1孔の前記下流端は、前記基板のうち、前記ガスタービン燃焼器の径方向において前記筒部材の内周面と前記予混合管の外周面とによって挟まれる領域に開口する
ガスタービン燃焼器。
【請求項2】
前記基板は、前記軸方向に対して平行である複数の平行孔を含み、
前記第1孔は、前記周方向において、前記複数の平行孔のうち前記径方向に沿って直線状に配列された平行孔列よりも前記貫通穴の前記中心位置寄りに位置する
請求項1に記載のガスタービン燃焼器。
【請求項3】
筒部材と、
前記筒部材の内側において周方向に配列され、各々が予混合通路の出口部を形成する複数の予混合管と、
前記複数の予混合管を支持する基板と、
を備えるガスタービン燃焼器であって、
前記基板は、
前記複数の予混合管にそれぞれ対応して設けられ、前記予混合通路が該基板を通過するための複数の貫通穴と、
前記貫通穴が設けられた領域とは異なる領域に前記ガスタービン燃焼器の軸方向に対して斜めに延在する複数の斜め孔と、
を有し、
前記複数の斜め孔は、前記複数の貫通穴の中心位置よりも径方向外側に位置し、且つ、上流端から下流端に近づくにつれて径方向外側に向かうように前記軸方向に対して斜めに延在する第1孔を含み、
前記第1孔は、前記上流端から前記下流端に近づくにつれて、前記ガスタービン燃焼器の周方向において、前記複数の予混合管のうち前記第1孔に対応する予混合管の出口開口の中央位置側に向かうように前記軸方向に対して斜めに延在す
スタービン燃焼器。
【請求項4】
前記複数の斜め孔は、前記複数の貫通穴の中心位置よりも径方向内側に位置し、且つ、上流端から下流端に近づくにつれて径方向内側に向かうように前記軸方向に対して斜めに延在する第2孔を含む
請求項1乃至3の何れか一項に記載のガスタービン燃焼器。
【請求項5】
筒部材と、
前記筒部材の内側において周方向に配列され、各々が予混合通路の出口部を形成する複数の予混合管と、
前記複数の予混合管を支持する基板と、
を備えるガスタービン燃焼器であって、
前記基板は、
前記複数の予混合管にそれぞれ対応して設けられ、前記予混合通路が該基板を通過するための複数の貫通穴と、
前記貫通穴が設けられた領域とは異なる領域に前記ガスタービン燃焼器の軸方向に対して斜めに延在する複数の斜め孔と、
を有し、
前記複数の斜め孔は、前記複数の貫通穴の中心位置よりも径方向内側に位置し、且つ、上流端から下流端に近づくにつれて径方向内側に向かうように前記軸方向に対して斜めに延在する第2孔を含み、
前記第2孔は、前記上流端から前記下流端に近づくにつれて、前記ガスタービン燃焼器の周方向において、前記複数の予混合管のうち前記第2孔に対応する予混合管の出口開口の中央位置側に向かうように前記軸方向に対して斜めに延在す
スタービン燃焼器。
【請求項6】
筒部材と、
前記筒部材の内側において周方向に配列され、各々が予混合通路の出口部を形成する複数の予混合管と、
前記複数の予混合管を支持する基板と、
を備えるガスタービン燃焼器であって、
前記基板は、
前記複数の予混合管にそれぞれ対応して設けられ、前記予混合通路が該基板を通過するための複数の貫通穴と、
前記貫通穴が設けられた領域とは異なる領域に前記ガスタービン燃焼器の軸方向に対して斜めに延在する複数の斜め孔と、
を有し、
前記複数の斜め孔の少なくとも一部の斜め孔は、下流側から視たとき、前記基板のうち前記予混合管の出口開口と重なる領域に配置され
スタービン燃焼器。
【請求項7】
請求項1に記載のガスタービン燃焼器
を備えるガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスタービン燃焼器及びガスタービンに関する。
本願は、2020年10月7日に日本国特許庁に出願された特願2020-169720号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
予混合方式を採用するガスタービン燃焼器では、予混合通路を形成する予混合管の内部で燃料と空気とを混合して予混合気を生成し、生成された予混合気を予混合管から噴出させて、予混合管の出口よりも下流側で予混合気を燃焼させるようにしている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-180906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、ガスタービン燃焼器では、複数の予混合管がガスタービン燃焼器の周方向に沿って並べて配置されている。そして、これら複数の予混合管は、基板を介して燃焼器の内筒に支持されている。より具体的には、基板には、予混合管が貫通する貫通孔が複数形成されており、予混合管のそれぞれは、この貫通孔に挿通されていて、出口側の端部が基板よりもガスタービン燃焼器の下流側に突出している。
このような構成を有するガスタービン燃焼器では、複数の予混合管の外周面と、内筒の内周面と、基板の下流側の面とで囲まれた空間が形成されている。この空間に予混合気が逆流して燃焼してしまうと、予混合管の損傷を招くおそれがある。そのため、この空間に予混合気が逆流することを防ぐため、基板のうち、予混合管が貫通していない領域に、基板を貫通する複数の空気孔を設け、この空気孔から基板の上流側の空気を上記空間内に供給することがある。
また、上記構成を有するガスタービン燃焼器では、周方向に配置された複数の予混合管の内側にパイロットノズルのパイロットコーンが存在することから、基板付近では円形であった予混合管の断面形状は、予混合管の出口に近づくにつれて、部分円環形状に近づくように変化している。そのため、上記空気孔から噴出された空気の流れに偏りが生じて、予混合管の出口付近で流速が比較的大きい領域と比較的小さい領域とが生じると、流速が比較的小さい領域に予混合気が逆流して燃焼してしまい、予混合管が損傷するおそれがある。
【0005】
本開示の少なくとも一実施形態は、上述の事情に鑑みて、ガスタービン燃焼器における予混合気の逆流を抑制してガスタービン燃焼器の損傷を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービン燃焼器は、
筒部材と、
前記筒部材の内側において周方向に配列され、各々が予混合通路の出口部を形成する複数の予混合管と、
前記複数の予混合管を支持する基板と、
を備えるガスタービン燃焼器であって、
前記基板は、
前記複数の予混合管にそれぞれ対応して設けられ、前記予混合通路が該基板を通過するための複数の貫通穴と、
前記貫通穴が設けられた領域とは異なる領域に前記ガスタービン燃焼器の軸方向に対して斜めに延在する複数の斜め孔と、
を有する。
【0007】
(2)本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービンは、上記(1)の構成のガスタービン燃焼器を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、ガスタービン燃焼器の損傷を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】幾つかの実施形態に係るガスタービンを示す概略構成図である。
図2】幾つかの実施形態に係る燃焼器を示す断面図である。
図3】幾つかの実施形態に係る燃焼器の要部を示す断面図である。
図4】内筒の模式的な断面図である。
図5図4のV矢視図断面である。
図6図4のVI矢視図断面である。
図7図6の一部を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0011】
(ガスタービン1について)
図1は、幾つかの実施形態に係るガスタービンを示す概略構成図である。
幾つかの実施形態に係るガスタービン燃焼器の適用先の一例であるガスタービンについて、図1を参照して説明する。
【0012】
図1に示すように、幾つかの実施形態に係るガスタービン1は、酸化剤としての圧縮空気を生成するための圧縮機2と、圧縮空気及び燃料を用いて燃焼ガスを発生させるためのガスタービン燃焼器4と、燃焼ガスによって回転駆動されるように構成されたタービン6と、を備える。発電用のガスタービン1の場合、タービン6には不図示の発電機が連結され、タービン6の回転エネルギーによって発電が行われるようになっている。以下の説明では、ガスタービン燃焼器4のことを単に燃焼器4とも称する。
【0013】
幾つかの実施形態に係るガスタービン1における各部位の具体的な構成例について説明する。
幾つかの実施形態に係る圧縮機2は、圧縮機車室10と、圧縮機車室10の入口側に設けられ、空気を取り込むための空気取入口12と、圧縮機車室10及び後述するタービン車室22を共に貫通するように設けられたロータ8と、圧縮機車室10内に配置された各種の翼と、を備える。各種の翼は、空気取入口12側に設けられた入口案内翼14と、圧縮機車室10側に固定された複数の静翼16と、静翼16に対して交互に配列されるようにロータ8に植設された複数の動翼18と、を含む。なお、圧縮機2は、不図示の抽気室等の他の構成要素を備えていてもよい。このような圧縮機2において、空気取入口12から取り込まれた空気は、複数の静翼16及び複数の動翼18を通過して圧縮されることで高温高圧の圧縮空気となる。そして、高温高圧の圧縮空気は圧縮機2から後段の燃焼器4に送られる。
【0014】
幾つかの実施形態に係る燃焼器4は、ケーシング20内に配置される。図1に示すように、燃焼器4は、ケーシング20内にロータ8を中心として環状に複数配置されていてもよい。燃焼器4には燃料と圧縮機2で生成された圧縮空気とが供給され、燃料を燃焼させることによって、タービン6の作動流体である燃焼ガスを発生させる。そして、燃焼ガスは燃焼器4から後段のタービン6に送られる。なお、幾つかの実施形態に係る燃焼器4の詳細な構成例については後述する。
【0015】
幾つかの実施形態に係るタービン6は、タービン車室22と、タービン車室22内に配置された各種の翼と、を備える。各種の翼は、タービン車室22側に固定された複数の静翼24と、静翼24に対して交互に配列されるようにロータ8に植設された複数の動翼26と、を含む。なお、タービン6は、出口案内翼等の他の構成要素を備えていてもよい。タービン6においては、燃焼ガスが複数の静翼24及び複数の動翼26を通過することでロータ8が回転駆動する。これにより、ロータ8に連結された発電機が駆動されるようになっている。
タービン車室22の下流側には、排気車室28を介して排気室30が連結されている。タービン6を駆動した後の燃焼ガスは、排気車室28及び排気室30を介して外部へ排出される。
【0016】
(燃焼器4について)
図2は、幾つかの実施形態に係る燃焼器を示す断面図である。図3は、幾つかの実施形態に係る燃焼器の要部を示す断面図である。
図2及び図3を参照して、幾つかの実施形態に係る燃焼器4の詳細な構成について説明する。
【0017】
図2及び図3に示すように、幾つかの実施形態に係る燃焼器4は、ロータ8を中心として環状に複数配置されている(図1参照)。各燃焼器4は、ケーシング20により画定される燃焼器車室40に設けられた燃焼器ライナ46と、燃焼器ライナ46内にそれぞれ配置されたパイロット燃焼バーナ50及び複数の予混合燃焼バーナ(メイン燃焼バーナ)60と、を含む。燃焼器4は、ケーシング20の内部において燃焼器ライナ46の内筒47の外周側に設けられた外筒45をさらに含む。内筒47の外周側かつ外筒45の内周側には、圧縮空気が流れる空気通路43が形成される。
なお、燃焼器4は、燃焼ガスをバイパスさせるためのバイパス管(不図示)等の他の構成要素を備えていてもよい。
【0018】
例えば、燃焼器ライナ46は、パイロット燃焼バーナ50及び複数の予混合燃焼バーナ60の周囲に配置される内筒47と、内筒47の先端部に連結された尾筒48と、を有している。
パイロット燃焼バーナ50は、燃焼器ライナ46の中心軸(燃焼器4の中心軸AX)に沿って配置されている。そして、パイロット燃焼バーナ50を囲むように、複数の予混合燃焼バーナ60が互いに離間して配列されている。
パイロット燃焼バーナ50は、燃料ポート52に連結されたパイロットノズル(ノズル)54と、パイロットノズル54を囲むように配置されたパイロットバーナ筒57と、パイロットノズル54の外周に設けられたスワラ58と、を有している。
予混合燃焼バーナ60は、燃料ポート62に連結されたメインノズル(ノズル)64と、ノズル64を囲むように配置されたメインバーナ筒66と、ノズル64の外周に設けられたスワラ70と、を有している。なお、以下の説明では、メインバーナ筒66のことを予混合管66とも称する。
すなわち、幾つかの実施形態に係る燃焼器4は、筒部材としての内筒47の内側において周方向に配列され、各々が予混合通路67の出口部68を形成する複数の予混合管66を備えている。
【0019】
円筒形状を有する内筒47の延在方向は、燃焼器4の中心軸AXの延在方向と一致している。以下の説明では、燃焼器4の中心軸AXの延在方向を単に軸方向とも称する。軸方向の内、予混合気の流れの下流側となる方向を単に下流側とも称し、予混合気の流れの上流側となる方向を単に上流側とも称する。
また、以下の説明では、燃焼器4の中心軸AXを中心とする周方向を単に周方向とも称し、燃焼器4の中心軸AXを中心とする径方向を単に径方向とも称する。
【0020】
(基板100について)
図4は、内筒の模式的な断面図であり、基板近傍で径方向に沿った断面を模式的に示している。
図5は、図4のV矢視図断面である。
図6は、図4のVI矢視図断面である。
図7は、図6の一部を拡大した図である。
なお、説明の便宜上、図4乃至図7では、ノズル54、64等の記載を省略している。また、図7では、図4のV矢視において表れる、後述する延長部65の出口開口形成部69の外周縁の形状を2点鎖線で表している。
【0021】
幾つかの実施形態に係る燃焼器4は、複数の予混合管を支持する基板100を備えている。幾つかの実施形態に係る基板100は、内筒47の内部で予混合管66及びパイロットバーナ筒57を支持するように構成されている。幾つかの実施形態に係る基板100は、パイロットバーナ筒57のうち、パイロットバーナ筒57の下流側に形成されたパイロットコーン部56を支持するように構成されているが、パイロットコーン部56よりも上流側でパイロットバーナ筒57を支持するように構成されていてもよい。
【0022】
具体的には、幾つかの実施形態に係る基板100には、基板100を貫通する貫通穴である、パイロットバーナ支持穴105と複数の予混合管支持穴106とが形成されている。すなわち、幾つかの実施形態に係る基板100は、パイロットバーナ筒57に対応して設けられたパイロットバーナ支持穴105を有する。幾つかの実施形態に係る基板100は、複数の予混合管66にそれぞれ対応して設けられ、予混合通路67が該基板100を通過するための複数の貫通穴である複数の予混合管支持穴106を有する。
パイロットバーナ支持穴105には、パイロットバーナ筒57が挿入されている。複数の予混合管支持穴106のそれぞれには、予混合管66が挿入されている。
【0023】
幾つかの実施形態に係る基板100には、パイロットバーナ筒57が例えば溶接によって接合されている。幾つかの実施形態に係る基板100には、複数の予混合管66のそれぞれが例えば溶接によって接合されている。
幾つかの実施形態に係る基板100は、例えば溶接によって基板100の外周部が内筒47の内周面に接合されることで内筒47に固定されている。
幾つかの実施形態において、予混合管66の内、予混合通路67の出口部68を形成する領域(例えば基板100の下流側に突出した領域)を延長部65とも称する。
【0024】
幾つかの実施形態に係る基板100には、パイロットバーナ支持穴105及び予混合管支持穴106が設けられた領域とは異なる領域100Rに基板100を貫通する複数の空気孔110が形成されている。複数の空気孔110の一部は、軸方向に対して斜めに延在する斜め孔111であり、残りは、軸方向に平行に延在する平行孔113である。
なお、空気孔110については後で詳細に説明する。
【0025】
(延長部65の形状について)
幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、周方向に配置された複数の予混合管66の内側にパイロットバーナ筒57のパイロットコーン部56が存在することから、基板100付近では円形であった予混合管66の断面形状は、予混合通路67の出口(延長部65の出口開口形成部69)に近づくにつれて、部分円環形状に近づくように形状が連続的に変化している。すなわち、延長部65の出口開口形成部69は、径方向外側で円弧形状を有するの第1周方向エッジ69aと、径方向内側で円弧形状を有するの第2周方向エッジ69bと、第1周方向エッジ69aの周方向の端部と第2周方向エッジ69bの周方向の端部とを接続するように径方向に延在する一対の径方向エッジ69cとを有する。なお、図6及び図7に示すように、第1周方向エッジ69a及び第2周方向エッジ69bと径方向エッジ69cとを接続する角部69dは、丸められているとよい。
【0026】
幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、予混合通路67の出口開口の面積を確保するため、周方向で隣り合う予混合管66同士の間の隙間G1や、予混合管66と内筒47との間の隙間G2、予混合管66とパイロットコーン部56との間の隙間G3は、下流側に向かうにつれて小さくなる傾向にある。
【0027】
上記構成を有する燃焼器4において、圧縮機2で生成された高温高圧の圧縮空気は車室入口42(図2参照)から燃焼器車室40内に供給され、さらに燃焼器車室40から空気通路43を経由して予混合管66内に流入する。そして、この圧縮空気と、燃料ポート62から供給された燃料とが予混合管66内で予混合される。この際、予混合気はスワラ70により主として旋回流を形成し、燃焼器ライナ46内に流れ込む。また、圧縮空気と、燃料ポート52を介してパイロット燃焼バーナ50から噴射された燃料とが燃焼器ライナ46内で混合され、図示しない種火により着火されて燃焼し、燃焼ガスが発生する。このとき、燃焼ガスの一部が火炎を伴って周囲に拡散することで、各予混合燃焼バーナ60から燃焼器ライナ46内に流れ込んだ予混合気に着火されて燃焼する。すなわち、パイロット燃焼バーナ50から噴射されたパイロット燃料によるパイロット火炎によって、予混合燃焼バーナ60からの予混合気(予混合燃料)の安定燃焼を行うための保炎を行うことができる。
【0028】
上記構成を有する燃焼器4では、上述した隙間G1、G2,G3を有する空間S、すなわち、複数の予混合管66の外周面66oと、内筒47の内周面471と、基板100の下流側の面100dとで囲まれた空間Sが形成されている。
この空間Sに予混合気が逆流して燃焼してしまうと、予混合管66の損傷(焼損)を招くおそれがある。そのため、この空間Sに予混合気が逆流することを防ぐため、幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、基板100のうち、予混合管66やパイロットバーナ筒57が貫通していない領域100Rに、基板100を貫通する複数の空気孔110を設け、この空気孔110から基板100の上流側の空気を上記空間S内に供給するようにしている。
【0029】
しかし、上述したように、上記構成を有する燃焼器4では、基板100付近では円形であった予混合管66の断面形状は、予混合通路67の出口である、延長部65の出口開口形成部69に近づくにつれて、部分円環形状に近づくように形状が連続的に変化している。
そのため、上記空気孔110から噴出された空気(希釈空気)の流れに偏りが生じて、上記空間Sの下流側の領域で希釈空気の流速が比較的大きい領域と比較的小さい領域とが生じると、流速が比較的小さい領域に予混合気が逆流して燃焼する逆火が発生してしまい、予混合管66が損傷するおそれがある。
流速が比較的小さい領域に向けて上記空気孔110から希釈空気を噴出させることができれば、上記空間Sの下流側の領域で希釈空気の流速が低下することが抑制できる。しかし、基板100における予混合管66やパイロットバーナ筒57が貫通していない領域100Rには、予混合管66と内筒47との間隔が狭いため、又は、予混合管66とパイロットバーナ筒57との間隔が狭いため等の理由から、空気孔110を設けることが困難な領域が存在する。すなわち、基板100における空気孔110の配置には制約がある。
【0030】
幾つかの実施形態に係る燃焼器4によれば、複数の空気孔110の一部は、軸方向に対して斜めに延在する斜め孔111である。したがって、幾つかの実施形態に係る燃焼器4によれば、基板100における空気孔110の配置に制約がある中で、斜め孔111を設けることで希釈空気を供給したい領域に供給できる。これにより、複数の予混合管66の外周面66oと、内筒47の内周面471と、基板100の下流側の面100dとで囲まれた空間Sに予混合気が逆流することを抑制でき、逆火による予混合管の損傷を抑制できるので、ガスタービン燃焼器の損傷を抑制できる。
また、幾つかの実施形態に係る燃焼器4を備えるガスタービン1では、燃焼器4の損傷を抑制でき、ガスタービン1の信頼性を向上できる。
【0031】
(斜め孔111について)
幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、複数の斜め孔111は、周方向で隣り合う2つの予混合管支持穴106の間の領域に形成されているとよい。
幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、複数の斜め孔111は、予混合管支持穴106の中心位置Cよりも径方向外側に位置し、且つ、上流端111uから下流端111dに近づくにつれて径方向外側に向かうように軸方向に対して斜めに延在する第1孔111Aを含むとよい。すなわち、幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、第1孔111Aの中心軸x1は、上流側から下流側に向かうにつれて径方向外側に向かうように軸方向に対して斜めに延在する。
【0032】
上述したように、幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、予混合管66と内筒47との間の隙間G2が下流側に向かうにつれて小さくなる傾向にある。そのため、予混合管66と内筒47との間の隙間G2に希釈空気が流れ難くなり、予混合管と内筒との間の隙間における希釈空気の流速が低下する傾向にある。
幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、第1孔111Aから吹き出された希釈空気は、径方向外側に向かって流れるので、予混合管66と内筒47との間の隙間G2に流れ込みやすくなる。そのため、該隙間G2における希釈空気の流速低下を抑制して、該隙間G2に予混合気が逆流することを抑制できる。
【0033】
幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、第1孔111Aは、上流端111uから下流端111dに近づくにつれて、周方向において、複数の予混合管66のうち第1孔111Aに対応する予混合管66の出口開口69eの中央位置側に向かうように軸方向に対して斜めに延在するとよい。すなわち、幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、第1孔111Aの中心軸x1は、上流側から下流側に向かうにつれて、周方向において、該第1孔111Aに対応する予混合管66の出口開口69eの中央位置側に向かうように軸方向に対して斜めに延在する。
なお、第1孔111Aに対応する予混合管66とは、複数の予混合管66のそれぞれに対応して形成される内筒47との間の複数箇所の隙間G2のうち、第1孔111Aから吹き出された希釈空気の供給先となる隙間G2を形成する予混合管66のことである。
【0034】
上述したように、幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、予混合管66と内筒47との間の隙間G2が下流側に向かうにつれて小さくなる傾向にある。そのため、予混合管66と内筒47との間の隙間G2に希釈空気が流れ難くなる。特に、この隙間G2における周方向の位置のうち、燃焼器4の中心軸AXと各予混合管支持穴106の中心位置Cとを結ぶ線分Lの延長線上の近傍の領域G21は、予混合管66の外周面66oと内筒47の内周面471との間の距離が最も小さくなる上、隙間G2における上記領域G21以外の領域と比べて、基板100における空気孔110の配置可能な領域からも遠い。そのため、上記領域G21では、隙間G2における上記領域G21以外の領域と比べて希釈空気の流速がより低下する傾向にあり、下流側に向かうにつれてその傾向はより顕著になる。
【0035】
幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、第1孔111Aを上述したように周方向において軸方向に対して斜めに延在するように構成することで、上記隙間G2における下流側の領域に向けて希釈空気を第1孔111Aから吹き出すことができる。これにより、予混合管66の出口開口69eの近傍において上記領域G21における希釈空気の流速を確保でき、該領域G21に予混合気が逆流することを抑制できる。
【0036】
幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、第1孔111Aは、一つの予混合管66に対して、少なくとも一つ設けられているとよい。幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、第1孔111Aは、例えば図6及び図7に示すように、一つの予混合管66に対して、該予混合管66を挟んで2つの(一対の)第1孔111Aが設けられていてもよい。該一対の第1孔111Aは2対以上であってもよい。
なお、予混合管66を挟んで配置された一対の第1孔111Aは、周方向への傾斜方向が互いに逆向きであり、該予混合管66の出口開口69eの中央位置側に向かって傾斜しているとよい。
【0037】
幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、複数の斜め孔111の少なくとも一部の斜め孔111は、下流側から視たとき、基板100のうち予混合管66の出口開口69eと重なる領域に配置されてもよい。すなわち、幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、第1孔111Aは、例えば図7に示すように、下流側から見たときに第1孔111Aが予混合管66の延長部65に隠れるような位置に形成されていてもよい。
これにより、例えば上記隙間G2のように希釈空気の流速が低下する傾向にある領域に比較的近い位置に斜め孔111が配置されるので、希釈空気の流速が低下する傾向にある領域に斜め孔111から吹き出された希釈空気が流れ込みやすくなる。そのため、該領域における希釈空気の流速低下を抑制して、該領域に予混合気が逆流することを抑制できる。
【0038】
幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、複数の斜め孔111は、予混合管支持穴106の中心位置Cよりも径方向内側に位置し、且つ、上流端111uから下流端111dに近づくにつれて径方向内側に向かうように軸方向に対して斜めに延在する第2孔111Bを含むとよい。すなわち、幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、第2孔111Bの中心軸x2は、上流側から下流側に向かうにつれて径方向内側に向かうように軸方向に対して斜めに延在する。
【0039】
上述したように、幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、予混合管66とパイロットコーン部56との間の隙間G3が下流側に向かうにつれて小さくなる傾向にある。そのため、予混合管66とパイロットコーン部56との間の隙間G3に希釈空気が流れ難くなり、該隙間G3における希釈空気の流速が低下する傾向にある。
幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、第2孔111Bから吹き出された希釈空気は、径方向内側に向かって流れるので、予混合管66とパイロットコーン部56との間の隙間G3に流れ込みやすくなる。そのため、該隙間G3における希釈空気の流速低下を抑制して、該隙間G3に予混合気が逆流することを抑制できる。
【0040】
幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、第2孔111Bは、上流端111uから下流端111dに近づくにつれて、周方向において、複数の予混合管66のうち第2孔111Bに対応する予混合管66の出口開口69eの中央位置側に向かうように軸方向に対して斜めに延在するとよい。すなわち、幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、第2孔111Bの中心軸x2は、上流側から下流側に向かうにつれて、周方向において、該第2孔111Bに対応する予混合管66の出口開口69eの中央位置側に向かうように軸方向に対して斜めに延在する。
なお、第2孔111Bに対応する予混合管66とは、複数の予混合管66のそれぞれに対応して形成されるパイロットコーン部56との間の複数箇所の隙間G3のうち、第2孔111Bから吹き出された希釈空気の供給先となる隙間G3を形成する予混合管66のことである。
【0041】
上述したように、幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、予混合管66とパイロットコーン部56との間の隙間G3が下流側に向かうにつれて小さくなる傾向にある。そのため、予混合管66とパイロットコーン部56との間の隙間G3に希釈空気が流れ難くなる。特に、この隙間G3における周方向の位置のうち、燃焼器4の中心軸AXと各予混合管支持穴106の中心位置Cとを結ぶ線分Lの近傍の領域G31は、予混合管66の外周面66oとパイロットコーン部56の外周面561との間の距離が最も小さくなる上、隙間G3における上記領域G31以外の領域と比べて、基板100における空気孔110の配置可能な領域からも遠い。そのため、上記領域G31では、隙間G3における上記領域G31以外の領域と比べて希釈空気の流速がより低下する傾向にあり、下流側に向かうにつれてその傾向はより顕著になる。
【0042】
幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、第2孔111Bを上述したように周方向において軸方向に対して斜めに延在するように構成することで、上記隙間G3における下流側の領域に向けて希釈空気を第2孔111Bから吹き出すことができる。これにより、予混合管66の出口開口69eの近傍において上記領域G31における希釈空気の流速を確保でき、該領域G31に予混合気が逆流することを抑制できる。
【0043】
幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、第2孔111Bは、一つの予混合管66に対して、少なくとも一つ設けられているとよい。幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、第2孔111Bは、例えば図6及び図7に示すように、一つの予混合管66に対して、該予混合管66を挟んで2つの(一対の)第2孔111Bが設けられていてもよい。該一対の第2孔111Bは2対以上であってもよい。
なお、予混合管66を挟んで配置された一対の第2孔111Bは、周方向への傾斜方向が互いに逆向きであり、該予混合管66の出口開口69eの中央位置側に向かって傾斜しているとよい。
幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、第2孔111Bは、例えば図5図6とを比較すると明らかであるが、下流側から見たときに第2孔111Bがパイロットコーン部56に隠れるような位置に形成されていてもよい。
【0044】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0045】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービン燃焼器4は、筒部材(内筒47)と、筒部材(内筒47)の内側において周方向に配列され、各々が予混合通路67の出口部68を形成する複数の予混合管66と、複数の予混合管66を支持する基板100と、を備えるガスタービン燃焼器4である。基板100は、複数の予混合管66にそれぞれ対応して設けられ、予混合通路67が該基板100を通過するための複数の貫通穴(予混合管支持穴106)と、貫通穴(予混合管支持穴106)が設けられた領域とは異なる領域100Rにガスタービン燃焼器4の軸方向に対して斜めに延在する複数の斜め孔111と、を有する。
【0046】
上記(1)の構成によれば、基板100における空気孔110の配置に制約がある中で、斜め孔111を設けることで希釈空気を供給したい領域に供給できる。これにより、複数の予混合管66の外周面66oと、内筒47の内周面471と、基板100の下流側の面100dとで囲まれた空間Sに予混合気が逆流することを抑制でき、逆火による予混合管66の損傷を抑制できるので、ガスタービン燃焼器4の損傷を抑制できる。
【0047】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、複数の斜め孔111は、複数の貫通穴(予混合管支持穴106)の中心位置Cよりも径方向外側に位置し、且つ、上流端111uから下流端111dに近づくにつれて径方向外側に向かうように軸方向に対して斜めに延在する第1孔111Aを含むとよい。
【0048】
上記(2)の構成によれば、第1孔111Aから吹き出された希釈空気は、径方向外側に向かって流れるので、予混合管66と内筒47との間の隙間G2に流れ込みやすくなる。そのため、該隙間G2における希釈空気の流速低下を抑制して、該隙間G2に予混合気が逆流することを抑制できる。
【0049】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、第1孔111Aは、上流端111uから下流端111dに近づくにつれて、燃焼器4の周方向において、複数の予混合管66のうち第1孔111Aに対応する予混合管66の出口開口69eの中央位置側に向かうように軸方向に対して斜めに延在するとよい。
【0050】
上記(3)の構成によれば、予混合管66の外周面66oと内筒47の内周面471との間の比較的小さな隙間G2に向けて第1孔111Aから希釈空気を吹き出すことができる。これにより、該隙間G2における希釈空気の流速を確保でき、該隙間G2に予混合気が逆流することを抑制できる。
【0051】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、複数の斜め孔111は、複数の貫通穴(予混合管支持穴106)の中心位置Cよりも径方向内側に位置し、且つ、上流端111uから下流端111dに近づくにつれて径方向内側に向かうように軸方向に対して斜めに延在する第2孔111Bを含むとよい。
【0052】
上記(4)の構成によれば、第2孔111Bから吹き出された希釈空気は、径方向内側に向かって流れるので、予混合管66とパイロットコーン部56との間の隙間G3に流れ込みやすくなる。そのため、該隙間G3における希釈空気の流速低下を抑制して、該隙間G3に予混合気が逆流することを抑制できる。
【0053】
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)の構成において、第2孔111Bは、上流端111uから下流端111dに近づくにつれて、燃焼器4の周方向において、複数の予混合管66のうち第2孔111Bに対応する予混合管66の出口開口69eの中央位置側に向かうように軸方向に対して斜めに延在するとよい。
【0054】
上記(5)の構成によれば、予混合管66の外周面66oとパイロットコーン部56の外周面561との間の比較的小さな隙間G3に向けて第2孔111Bから希釈空気を吹き出すことができる。これにより、該隙間G3における希釈空気の流速を確保でき、該隙間G3に予混合気が逆流することを抑制できる。
【0055】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかの構成において、複数の斜め孔111の少なくとも一部の斜め孔111は、下流側から視たとき、基板100のうち予混合管66の出口開口69eと重なる領域に配置されるとよい。
【0056】
上記(6)の構成によれば、希釈空気の流速が低下する傾向にある領域に比較的近い位置に斜め孔111が配置されるので、希釈空気の流速が低下する傾向にある領域に斜め孔111から吹き出された希釈空気が流れ込みやすくなる。そのため、該領域における希釈空気の流速低下を抑制して、該領域に予混合気が逆流することを抑制できる。
【0057】
(7)本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービン1は、上記(1)乃至(6)の何れかの構成のガスタービン燃焼器4を備える。
【0058】
上記(7)の構成によれば、ガスタービン燃焼器4の損傷を抑制でき、ガスタービン1の信頼性を向上できる。
【符号の説明】
【0059】
1 ガスタービン
4 ガスタービン燃焼器(燃焼器)
46 燃焼器ライナ
47 内筒
56 パイロットコーン部
57 パイロットバーナ筒
60 予混合燃焼バーナ(メイン燃焼バーナ)
65 延長部
66 メインバーナ筒(予混合管)
67 予混合通路
68 出口部
69 出口開口形成部
69e 出口開口
100 基板
106 予混合管支持穴
110 空気孔
111 斜め孔
111A 第1孔
111B 第2孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7