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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】診断試験をサポートする電気機械の制御
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/50 20160101AFI20240513BHJP
   B60K 6/442 20071001ALI20240513BHJP
   B60K 6/52 20071001ALI20240513BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20240513BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20240513BHJP
   B60W 20/00 20160101ALI20240513BHJP
   B60W 50/02 20120101ALI20240513BHJP
   B60W 10/04 20060101ALI20240513BHJP
   B60W 10/10 20120101ALI20240513BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240513BHJP
   B60L 7/14 20060101ALI20240513BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20240513BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240513BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20240513BHJP
【FI】
B60W20/50
B60K6/442 ZHV
B60K6/52
B60W10/06 900
B60W10/08 900
B60W20/00 900
B60W50/02
B60W10/00 104
B60W10/08
B60W10/06
B60W10/10
B60L3/00 H
B60L7/14
B60L50/16
B60L50/60
B60L58/12
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022564068
(86)(22)【出願日】2021-04-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-31
(86)【国際出願番号】 EP2021060436
(87)【国際公開番号】W WO2021214171
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】2005813.7
(32)【優先日】2020-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512308720
【氏名又は名称】ジャガー ランド ローバー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Jaguar Land Rover Limited
【住所又は居所原語表記】Abbey Road Whitley Coventry CV3 4LF UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ダマート,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】マッキンタイア,ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ライオス,サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】サリバン,マシュー
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-110636(JP,A)
【文献】特表2015-527949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 20/50
B60K 6/442
B60K 6/52
B60W 10/06
B60W 10/08
B60W 20/00
B60W 50/02
B60W 10/04
B60W 10/10
B60L 3/00
B60L 7/14
B60L 50/16
B60L 50/60
B60L 58/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関を含む車両システムの診断テストを支援するために車両の少なくとも1つの電気機械を制御する制御システムであって、
1つ以上の電子制御装置を備え、
前記1つ以上の電子制御装置は、前記内燃機関が前記診断テストのための少なくとも1つのトルク閾値内で運転されている間に車両駆動トルク要求を満たすように、前記少なくとも1つの電気機械のトルク出力を制御するように構成され
前記制御システムは、
追加の電気エネルギを貯蔵または提供するための前記車両の電気エネルギ貯蔵手段の能力を決定し、
少なくとも前記能力および前記車両駆動トルク要求に基づき、前記内燃機関が前記少なくとも1つのトルク閾値の外側で動作することを許可する、ように構成された、制御システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのトルク閾値を、少なくとも前記診断テストの対象に基づいて決定するように構成された、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記診断テストのための前記少なくとも1つのトルク閾値は、前記内燃機関のトルク出力に対する上限トルク閾値を有し、
任意選択で、前記制御システムは、前記車両駆動トルク要求が前記上限トルク閾値よりも大きい場合に、正のトルクを提供するように、前記少なくとも1つの電気機械を制御するように構成された、請求項1又は2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記診断テストのための前記少なくとも1つのトルク閾値は、前記内燃機関のトルク出力に対する下側トルク閾値を有し、
任意選択で、前記制御システムは、前記車両駆動トルク要求が前記下側トルク閾値よりも小さい場合に、負のトルクを提供するように、前記少なくとも1つの電気機械を制御するように構成された、請求項1から3のいずれかに記載の制御システム。
【請求項5】
前記電気エネルギ貯蔵手段が、追加の電気エネルギを貯蔵する能力が不十分であると判定された場合、前記内燃機関が前記少なくとも1つのトルク閾値の外側で動作するか、またはトルク設定値から乖離することを許容し、前記電気エネルギ貯蔵手段を少なくとも部分的に枯渇させるために正のトルク出力を提供するように前記少なくとも1つの電気機械を制御する;
および/または
前記電気エネルギ貯蔵手段が追加の電気エネルギを供給する能力が不十分であると判断された場合、前記内燃機関が前記少なくとも1つのトルク閾値の外側で動作するか、またはトルク設定値から乖離して作動することを許可し、前記車両駆動トルク要求を満たすのを助ける、請求項1から4のいずれかに記載の制御システム。
【請求項6】
前記診断テストのために、前記少なくとも1つのトルク閾値内で動作するように前記内燃機関を制御するように構成された、請求項1から5のいずれかに記載の制御システム。
【請求項7】
内燃機関を含む車両システムの診断テストをサポートするために車両の少なくとも1つの電気機械を制御するための制御システムであって、
1つ以上の電子コントローラを備え、
前記1つ以上の電子コントローラは、前記内燃機関が前記診断テストのために、トルク設定値で運転されている間に車両駆動トルク要求が満たされるように、前記少なくとも1つの電気機械のトルク出力を制御するように構成され、
任意選択で、前記制御システムは、少なくとも前記診断テストの対象に基づいて前記トルク設定値を決定するように構成され
追加の電気エネルギを貯蔵または提供するための前記車両の電気エネルギ貯蔵手段の能力を決定し、
少なくとも前記能力と前記車両駆動トルク要求とに基づいて、前記内燃機関を前記トルク設定値から逸らすように構成された、制御システム。
【請求項8】
前記車両駆動トルクの要求が前記トルク設定値よりも大きい場合、正のトルクを提供するように前記少なくとも1つの電気機械を制御し、
前記車両駆動トルクの要求が前記トルク設定値より小さい場合、前記少なくとも1つの電気機械を制御して負トルクを提供するように構成された、請求項7に記載の制御システム。
【請求項9】
前記診断テストのために前記トルク設定値で動作するように前記内燃機関を制御するように構成された、請求項7又は8のいずれかに記載の制御システム。
【請求項10】
前記内燃機関の制御は、オフロードモード、オフロードに適した地形モード、または走行面最適化モードでの車両の運転に対するオーバーライド要求がないことが条件とする、請求項6または請求項9に記載の制御システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの電気機械は、前記内燃機関に機械的に結合されていない前記車両の車軸を駆動するように構成された電気牽引モータを備え、前記制御システムは、前記内燃機関に機械的に結合されていない前記車両の車軸に正のトルクを与えるために前記内燃機関に機械的に結合されていない前記車両の車軸を駆動するように構成された電気牽引モータを制御するように構成される、請求項1から10のいずれかに記載の制御システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの電気機械は、前記内燃機関に機械的に結合された電気モータを含み、
前記制御システムは、前記内燃機関に負のトルクを提供するために前記内燃機関に機械的に結合された前記電気モータを制御するように構成されている、請求項1から11のいずれかに記載の制御システム。
【請求項13】
少なくとも1つの電気機械と内燃機関との間のトルク分割を決定するように構成された、任意の先行する請求項に記載の制御システムであって
前記トルク分割が、組み合わせで車両駆動トルク要求を満たし、
前記トルク分割は、前記内燃機関のトルク出力が安定化機能の下で前記車両駆動トルク要求とともに変化することを可能にし、
前記安定化機能は、前記内燃機関の前記トルク出力の変化率を制限するように構成されている、請求項1から12のいずれかに記載の制御システム。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の制御システムと、前記少なくとも1つの電気機械とを含むシステム。
【請求項15】
請求項1から13のいずれかに記載の制御システム、または請求項14に記載のシステムを含む車両。
【請求項16】
内燃機関を含む車両システムの診断テストをサポートするために車両の少なくとも1つの電気機械を制御する方法であって、
前記内燃機関が前記診断テストのための少なくとも1つのトルク閾値内で運転されている間、または前記診断テストのためのトルク設定値で運転されている間に、車両駆動トルク要求が満たされるように前記少なくとも1つの電気機械のトルク出力を制御すること、
追加の電気エネルギを貯蔵または提供するための前記車両の電気エネルギ貯蔵手段の能力を決定すること、および
少なくとも前記能力および前記車両駆動トルク要求に基づき、前記内燃機関が前記少なくとも1つのトルク閾値の外側で動作することを許可すること、を含む、方法。
【請求項17】
実行されると、請求項16に記載の方法を実行するように構成されたコンピュータソフトウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、診断テストをサポートするために電気機械を制御することに関する。特に、これに限定されないが、車両の内燃機関を含む車両システムの診断テストをサポートするために、車両の電気機械を制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
車載診断装置は、自動車が運転されるたびに実行することが要求される。いくつかの診断テストの場合、テストは点火後すぐに実行されなければならない。内燃機関(「エンジン」)は、診断テストの間、運転されていなければならない。ハイブリッド電気自動車(HEV)の場合、電気トラクションモータのみで車両を駆動するために十分な電気エネルギが蓄積されている場合でも、エンジンが長時間稼働したままであることを意味する。このように、エンジンは診断テスト以外に何の理由もなく作動していることがある。これは、HEVの運転にエンジンが必要でないときに、エンジンなしで走ることを期待する車両所有者にとって不満なことである。診断テストの時間を短縮することができれば、より早くエンジンを停止させることができる。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、先行技術に関連する1つ以上の欠点に対処することである。
【0004】
本発明の態様および実施形態は、添付の請求項に記載の制御システム、システム、車両、方法、およびコンピュータソフトウェアを提供する。
【0005】
本発明の一側面によれば、内燃機関を含む車両システムの診断テストをサポートするために車両の少なくとも1つの電気機械を制御する制御システムが提供され、制御システムは1つ以上の電子コントローラを備え、1つ以上の電子コントローラは、内燃機関が診断テストのための少なくとも1つのトルク閾値内で運転されている間に車両駆動トルク要求を満たすことができるよう少なくとも1つの電気機械のトルク出力を制御するよう構成されている。
【0006】
内燃機関が診断試験のための少なくとも1つのトルク閾値内で運転されることを可能にすることによって、診断試験は、中断することなく、かつ遅延なく実行されることができる。これは、内燃機関がより早くスイッチオフされ、燃料を節約し、排出ガスを低減し、車両がHEVモードで運転されているときに内燃機関が長時間運転されることを期待しない車両所有者の期待を満足させることができるという利点を提供する。
【0007】
任意選択的に、制御システムは、少なくとも診断テストの対象に基づいて少なくとも1つのトルク閾値を決定するように構成されてもよい。
【0008】
診断テストのための少なくとも1つのトルク閾値は、内燃機関のトルク出力に対する上限トルク閾値を構成してもよい。
【0009】
任意選択的に、制御システムは、車両駆動トルク要求が上側トルク閾値よりも大きい場合に、少なくとも1つの電気機械を制御して正のトルクを提供するように、構成されてもよい。
【0010】
診断テスト用の少なくとも1つのトルク閾値は、内燃機関のトルク出力に対する下限トルク閾値を含んでいてもよい。
【0011】
任意選択的に、制御システムは、車両駆動トルク要求が下側トルク閾値よりも小さい場合に、負のトルクを提供するように少なくとも1つの電気機械を制御するように構成されていてもよい。
【0012】
任意選択的に、制御システムは、診断試験のために少なくとも1つのトルク閾値内で動作するように内燃機関を制御するように構成されてもよい。
【0013】
任意選択的に、制御システムは、追加の電気エネルギを貯蔵または提供するための車両の電気エネルギ貯蔵手段の能力を決定するように構成されてもよい。制御システムは、少なくとも能力および車両駆動トルク要求に基づいて、少なくとも1つのトルク閾値の外側で内燃機関が動作することを可能にするように構成されてもよい。
【0014】
本発明の別の態様によれば、内燃機関を含む車両システムの診断テストを支援するために車両の少なくとも1つの電気機械を制御する制御システムが提供され、制御システムは1つ以上の電子制御装置を備え、1つ以上の電子制御装置は、内燃機関が診断テストのためにトルク設定値で運転されている間に車両駆動トルク要求が満たされるように少なくとも1つの電気機械のトルク出力を制御するよう構成される。
【0015】
診断試験のために内燃機関をトルク設定値で動作させることにより、診断試験を中断することなく、かつ遅滞なく実施することができる。これは、内燃機関がより早くスイッチオフされ、燃料を節約し、排出ガスを低減し、車両がHEVモードで運転されているときに内燃機関が長時間運転されることを期待しない車両所有者の期待を満足させることができるという利点を提供する。
【0016】
任意選択的に、制御システムは、少なくとも診断テストの対象に基づいてトルク設定値を決定するように構成されてもよい。
【0017】
任意選択的に、制御システムは、車両駆動トルク要求がトルク設定値よりも大きい場合に正のトルクを提供するように少なくとも1つの電気機械を制御し、車両駆動トルク要求がトルク設定値未満である場合に負のトルクを提供するように少なくとも1つの電気機械を制御するように構成されてもよい。
【0018】
任意選択的に、制御システムは、診断テストのためにトルク設定値で動作するように内燃機関を制御するように構成されてもよい。
【0019】
任意選択的に、制御システムは、追加の電気エネルギを貯蔵または提供するための車両の電気エネルギ貯蔵手段の能力を決定するように構成されてもよい。制御システムは、少なくとも能力及び車両駆動トルク要求に基づいて、内燃機関がトルク設定値から乖離することを許容するように構成されてもよい。
【0020】
この「発明の概要」のセクションの次の部分は、「発明の概要」のセクションの前述の部分で説明した本発明の態様のいずれかの特徴である可能性がある様々な機能を説明するものである。機能の説明は、さらに、その機能を実行するのに適した任意の手段をも開示するものとみなされるべきである。
【0021】
内燃機関の前述の制御は、オフロードモードでの車両の運転に対するオーバーライド要求がないことを条件としてもよい。
【0022】
少なくとも1つの電気機械は、トラクションモータ、ベルト一体型スタータ発電機、またはクランクシャフト一体型モータ発電機(クランク一体型スタータ発電機とも呼ばれる)から少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0023】
1つ以上の電子制御装置は、情報を受け取るための電気入力を有する少なくとも1つの電子プロセッサと、少なくとも1つの電子プロセッサに電気的に結合され、そこに記憶された命令を有する少なくとも1つの電気メモリ装置とを集合的に含んでよく、少なくとも1つの電子プロセッサは、制御システムに少なくとも1つの電気機械のトルク出力を制御させるように少なくとも1つのメモリ装置にアクセスしてその上の命令を実行するよう構成される。
【0024】
少なくとも1つの電気機械は、内燃機関に機械的に結合されていない車両の車軸を駆動するように構成された電気トラクションモータを含んでもよい。
【0025】
任意選択的に、制御システム(複数可)は、内燃機関に機械的に結合されていない車両の車軸に正のトルクを与えるために、内燃機関に機械的に結合されていない車両の車軸を駆動するように構成された電気牽引モータを制御するように構成されていてもよい。
【0026】
少なくとも1つの電気機械は、内燃機関に機械的に結合された電気モータを含んでいてもよい。内燃機関に結合された電気モータは、ベルト一体型スタータジェネレータ(BISG)またはクランク一体型モータジェネレータ(CIMG)の形態をとってもよい。一実施例では、少なくとも1つの電気機械は、BISGとCIMGの両方から構成される。
【0027】
任意選択的に、制御システム(複数可)は、内燃機関に負のトルクを提供するために、内燃機関に機械的に結合された電気機械を制御するように構成されてもよい。
【0028】
任意選択で、制御システム(複数可)は、少なくとも1つの電気機械と内燃機関との間のトルク分割を決定するように構成されてもよい。トルク分割は、組み合わせて、車両駆動トルクの要求を満たすことができる。トルク分割は、内燃機関のトルク出力が安定化機能の下で車両駆動トルク要求に応じて変化することを可能にしてもよい。安定化機能は、内燃機関のトルク出力の変化率を制限するように構成されてもよい。
【0029】
本発明のさらなる態様によれば、前述の制御システムのうちの1つと、少なくとも1つの電気機械とを備えるシステムが提供される。
【0030】
本発明のさらなる側面によれば、前述の制御システムのうちの1つ、または、そのシステムを備える車両が提供される。
【0031】
本発明のさらなる側面によれば、内燃機関を含む車両システムの診断テストを支援するために車両の少なくとも1つの電気機械を制御する方法が提供され、この方法は、内燃機関が診断テストのための少なくとも1つのトルク閾値内で運転されている間に車両駆動トルク要求が満たされるように、少なくとも1つの電気機械のトルク出力を制御することを含むことを特徴とする。
【0032】
本発明のさらなる態様によれば、内燃機関を含む車両システムの診断テストを支援するために車両の少なくとも1つの電気機械を制御する方法であって、内燃機関が診断テストのためのトルク設定値で運転されている間に車両駆動トルク要求を満たすことができるように少なくとも1つの電気機械のトルク出力を制御することを含む、方法が提供される。
【0033】
本発明のさらなる態様によれば、実行されると、前述の方法のうちの1つを実行するように配置されるコンピュータソフトウェアが提供される。本発明のさらなる側面によれば、プロセッサによって実行されると、本明細書に記載された方法のうちの任意の1つまたは複数の方法を実行させるコンピュータ可読命令を含む非一時的なコンピュータ可読媒体が提供される。
【0034】
本願の範囲内で、前の段落及び/又は以下の説明及び図面に記載された様々な態様、実施形態、例及び代替案、特にその個々の特徴は、独立して又は添付の請求項の範囲内に入る任意の組み合わせで取ることができることが明示的に意図される。すなわち、全ての実施形態及び/又は任意の実施形態の特徴は、そのような特徴が両立しない場合を除き、添付の請求項の範囲に入る任意の方法及び/又は組み合わせで結合することができる。本出願人は、当初提出した請求項を変更し、またはそれに応じて新たな請求項を提出する権利を留保する。これには、当初提出した請求項を修正し、本来そのように請求されないが他の請求項の任意の特徴に依存しおよび/またはそれを取り込む権利も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
次に、本発明の1つ以上の実施形態が、添付の図面を参照しながら、例としてのみ説明される。
【0036】
図1図1は、車両の一例を示す図である。
図2図2は、システムの一例を示す図である。
図3A図3Aは、制御システムおよび非一過性のコンピュータ可読記憶媒体の一例を示す図である。
図3B図3Bは、制御システムおよび非一過性のコンピュータ可読記憶媒体の一例を示す図である。
図4図4は、方法の一例を示す図である。
図5図5は、本開示の一実施例によるグラフを示す図である。
図6図6は、本開示の実施例によるグラフを示す図である。
図7A図7Aは、方法におけるブロックの一例を示す図である。
図7B図7Bは、本開示の一実施例によるグラフを示す図である。
図8図8は、ある方法におけるブロックの例を示す図である。
図9図9は、方法におけるブロックの例を示す図、及び
図10図10は、本開示の一実施例によるグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、本発明の実施形態が実装され得る車両10の例を示す図である。必ずしも全ての例ではないが、いくつかの例では、車両10は、乗用車または自動車とも呼ばれる、乗用車両である。他の例では、本発明の実施形態は、産業車両などの他の用途に実施することができる。
【0038】
車両10は、ハイブリッド電気自動車(HEV)である。車両10は、フルHEVであってもよいし、マイルドHEVであってもよい。マイルドHEVは、電気のみの推進モードを有しないが、電気トラクションモータは、エンジンの出力トルクを高めるなどのアシストを行うように構成されてもよい。フルHEVは、電気のみの推進モードを有する。
【0039】
車両10は、パラレルHEVとして動作するように構成されてもよい。パラレルHEVは、エンジンと少なくとも1つの車両車輪との間のトルク経路と、トラクションモータのような電気機械と少なくとも1つの車両車輪との間のトルク経路とからなる。トルク経路は、クラッチなどのトルク経路コネクタによって切断可能であってもよい。一般に、パラレルHEVはシリーズHEVとは異なる。シリーズHEVでは、エンジンの目的は電気エネルギの生成であり、エンジンと車両の車輪の間にはトルク経路が存在しないためである。しかし、パラレルHEVの中には、「スルー・ザ・ロード」ハイブリッドのように、シリーズHEVとして動作するように構成できるものもある。この場合、エンジンから車両ホイールに直接トルクが供給されるかどうかに応じて、このようなハイブリッド車両をパラレルHEVモードまたはシリーズHEVモードで動作すると有用に説明することができる。
【0040】
図2は、HEV10のためのシステム20を示す図である。システム20は、少なくとも部分的に、HEVのパワートレインを規定する。
【0041】
システム20は、制御システム208を含んで構成される。制御システム208は、1つ又は複数のコントローラを含む。制御システム208は、ハイブリッドパワートレイン制御モジュール;エンジン制御ユニット;トランスミッション制御ユニット;トラクションバッテリ管理システム;及び/又は、同様のもののうちの1つ又は複数を含んでいてもよい。
【0042】
システム20は、1つ以上のトルク源を有する。トルク源は、内燃機関、トラクションモータ等の電気機械等の原動機を指す。図示されたシステム20は、内燃機関202を含んで構成される。図示されたエンジン202は、内燃機関である。図示されたエンジン202は、3つの燃焼室からなるが、他の実施例では、異なる数の燃焼室が提供されてもよい。
【0043】
エンジン202は、制御システム208がエンジン202の出力トルクを制御できるように、制御システム208に動作可能に結合される。エンジン202の出力トルクは、エンジン202の種類に応じて、空燃比;スパークタイミング;ポペットバルブリフト;ポペットバルブタイミング;スロットル開度;燃料圧力;ターボチャージャブースト圧;および/または同様のものの一つ以上を制御することにより制御されてもよい。
【0044】
システム20は、エンジン202から出力トルクを受け取るための車両トランスミッション構造204(変速機)を含んでいる。車両トランスミッション構造204は、自動車両トランスミッション、手動車両トランスミッション、または半自動車両トランスミッションから構成されてもよい。車両トランスミッション構造204は、1つ以上のトルク経路コネクタ218と、トルクコンバータ217と、ギアトレイン204とを備えていてもよい。ギアトレイン204aは、車両10の選択されたギアに応じた選択されたギア減速を提供するように構成される。ギアトレイン204aは、5つ以上の異なる選択可能なギアリダクションを備えていてもよい。ギアトレイン204aは、少なくとも1つのリバースギアを備えていてもよい。
【0045】
システム20は、ギアトレイン204aから出力トルクを受けるための第2のギアトレインであるディフェレンシャル204bを含んでいてもよい。ディファレンシャル204bは、トランスアクスルとして車両トランスミッションアレンジメント204に統合されてもよいし、別個に提供されてもよい。いくつかの例では、ディファレンシャル204bのギア減速は選択可能である。
【0046】
エンジン202は、トルク経路220を介して第1の組の車両車輪(FL、FR)に機械的に接続(coupled)または連結可能(couplable)である。トルク経路220は、エンジン202の出力から車両トランスミッション構造204へ、次に車軸/ドライブシャフトへ、次に第1組の車両車輪(FL、FR)へ延びている。車両オーバーラン及び/又は摩擦ブレーキ状況において、トルクは、第1の組の車両車輪(FL、FR)からエンジン202に流れることがある。第1の車両車輪のセット(FL、FR)に向かうトルクフローは正トルクであり、第1の車両車輪のセット(FL、FR)からのトルクフローは負トルクである。
【0047】
図示された第1組の車両車輪(FL,FR)は前輪を有し、車軸は前横軸である。したがって、システム20は、エンジン202による前輪駆動のために構成されている。図示された第1組の車両車輪(FL,FR)は一対の車両車輪であるが、他の実施例では異なる数の車両車輪が提供され得る。図示されていない他の実施例では、内燃機関によって駆動される一組の車輪は、後車軸に結合された一対の後輪を有する。
【0048】
図示されたシステム20では、ハイブリッド車両部品のためのスペースを確保するために、長手方向(中央)ドライブシャフトまたはプロップシャフトが設けられていない。したがって、図示の例では、エンジン202は、第2の組の後輪(図示では後輪RL、RR)に機械的に接続可能ではない。エンジン202は、スペースを節約するために横置きにしてもよい。代替例では、エンジン202は、前輪および後輪を駆動するように構成されてもよい。
【0049】
クラッチのようなトルク経路コネクタ218は、車両トランスミッション構造204のベルハウジングの内側及び/又は外側に設けられる。クラッチ218は、エンジン202と第1の組の車両車輪(FL、FR)との間のトルク経路220を接続しかつ切断するように構成される。トルク経路コネクタ218は、トルクコンバータ217又はギアトレイン204aの一部であってもよいし、別個の摩擦クラッチであってもよい。システム20は、ユーザの介入なしにトルク経路コネクタ218を自動的に作動させるように構成されてもよい。
【0050】
システム20は、少なくとも1つの電気機械を有する。少なくとも1つの電気機械は、電気エネルギを機械的トルクの形態で運動エネルギに又その逆に変換するように構成された電気モータである。電気モータは、交流誘導モータまたは永久磁石モータ、あるいは別のタイプのモータであってもよい。図示の例では、第1の電気機械は、エンジン202のクランクシャフト(図示せず)に機械的に結合され、クラッチ218のエンジン側に位置する、ベルト統合スタータジェネレータ(BISG)216と別称されるベルト統合スタータモータの形態をとっている。
【0051】
BISG216は、ベルトまたはチェーンを介してエンジン202に機械的に結合されている。BISG216とエンジン202は、共に第1組の車両車輪(FL,FR)のトルク源を形成している。図では、BISG216は、エンジン202の車両トランスミッション端の反対側にある、エンジン202のアクセサリ駆動端に配置されている。代替例では、第1の電気機械は、エンジン202の車両トランスミッション端に位置するクランクシャフト一体型モータジェネレータ(CIMG)216’の形態をとっている。図中、CIMG216’は仮想線で示されている。図2には示されていないが、CIMG216’をギアトレインから切り離すことを可能にするために、CIMG216’のギアトレイン側に別のクラッチを設けてもよい。車両エンジン202にBISG216とCIMG216’の両方を設けることは可能であるが、車両を1つだけで最適化できる場合に、両方の形式の電気機械を設けるコストおよび重量ペナルティを発生させる必要はほとんどないことが理解されよう。本明細書に記載された制御戦略は、第1の電気機械がBISGまたはCIMGの形態である場合にも同様に適用でき、そのため第1の電気機械は電気機械216と呼ばれ、エンジン202に結合され、エンジン202を起動するためにクランクし、使用中にエンジンが車輪に提供できるトルク量を増大させるために正のトルクを提供できる電気モータを含むことが意図される。
【0052】
第1の電気機械216は、例えば、エンジン202の出力トルクを増強すること、車両停止または惰性走行イベント中にエンジン202の休止(シャットオフ)を容易にすること、エンジン202を起動すること(起動/クランク)、および/または再生モードにおける回生ブレーキなどの機能を提供するために、エンジン202のクランクシャフトに正のトルクを加えるよう構成され、また負のトルクを加えるよう構成される。ハイブリッド電気自動車モードでは、エンジン202および第1の電気機械216は、出力トルクを高めるために同時に正のトルクを供給するように両方が動作可能であってもよい。第1の電気機械216は、持続的な電気のみの走行が不可能であってもよい。代替例では、第1電気機械216は、エンジン202を始動させる以外に正トルクを供給するように制御可能でない。さらなる実施例では、エンジン202を始動させるためにピニオンスタータ206が設けられる。
【0053】
エンジン202と第1組の車両車輪(FL,FR)との間のトルク経路220が切断されると、第1電気機械216と第1組の車両車輪(FL,FR)との間のトルク経路220も切断される。
【0054】
図2は、電気のみの走行からなる電気自動車モードを少なくとも可能にするように構成されたトラクションモータ212の形態の第2の電気機械を示している。第2の電気機械212の別の用語は、電気駆動装置(EDU)である。必ずしもすべての例ではないが、いくつかの例では、第2の電気機械212の公称最大トルクは、第1の電気機械216の公称最大トルクよりも大きい。第2の電気機械212は、内燃機関202から独立して車軸を駆動するように配置されてもよい。電気駆動装置は、図示の場合のように前車軸の一部を形成してもよいし、代替的に車両10の後車軸の一部を形成してもよい。
【0055】
エンジン202と第1組の車両車輪(FL,FR)との間のトルク経路220が切断されても、第2電気機械212が少なくとも1つの車両車輪に接続されているので、車両10を電気自動車モードで駆動することが可能である。
【0056】
図示された第2の電気機械212は、図示された第2の組の車両車輪(RL,RR)にトルクを提供するように構成されている。車両車輪の第2のセット(RL、RR)は、車両車輪の第1のセット(FL、FR)からではない車両車輪を有する。図示された第2のセットの車両車輪(RL,RR)は、後輪を有し、第2の電気機械212は、後横軸211を介して後輪RL,RRにトルクを与えるように動作可能である。これらの車軸211は、内燃機関202に機械的に結合または連結可能でない場合がある。したがって、車両10は、電気自動車モードでは後輪駆動である。
【0057】
制御システム208は、電気自動車モードにおいて、エンジン202と第1組の車両車輪(FL,FR)との間のトルク経路220を切断し、寄生ポンピングエネルギ損失を低減するように構成されていてもよい。例えば、クラッチ218が開放されてもよい。図2の例では、これは、第1電気機械216も第1組の車両用車輪(FL,FR)から切り離されることを意味する。
【0058】
第2の電気機械212の別の利点は、トラクションモータ212が、センタードライブシャフトまたはプロップシャフトがないにもかかわらず4輪駆動動作を可能にするために、ハイブリッド電気車両モードで動作可能に構成されることもできることである。
【0059】
電気機械のための電気エネルギを貯蔵するために、システム20は、電気エネルギ貯蔵手段200を備える。電気エネルギ貯蔵手段200は、トラクションバッテリであり得る。トラクションバッテリ200は、電気機械のような電力ユーザが必要とする公称電圧を提供する。電気機械が異なる電圧を用いて動作する場合、電圧を変換するためにDC-DCコンバータ(図示せず)などが設けられていてもよい。
【0060】
トラクションバッテリ200は、高電圧バッテリであってもよい。高電圧トラクションバッテリは、数十ボルトの公称電圧を提供するマイルドHEV用のトラクションバッテリとは対照的に、数百ボルトの公称電圧を提供する。トラクションバッテリ200は、持続的な距離の電気のみの走行をサポートするための電圧及び容量を有していてもよい。トラクションバッテリ200は、走行距離を最大化するために、数キロワット時の容量を有していてもよい。容量は、数十キロワット時であってもよいし、百キロワット時以上であってもよい。
【0061】
トラクションバッテリ200は一体として図示されているが、トラクションバッテリ200の機能は、車両10の異なる場所にある複数の小型トラクションバッテリを用いて実施され得る。
【0062】
いくつかの例では、第1電気機械216および第2電気機械212は、同じトラクションバッテリ200から電気エネルギを受け取るように構成されてもよい。第1の(マイルド)電気機械216を高容量バッテリ(数十~数百キロワット時)と対にすることによって、第1の電気機械216は、短いバーストではなく、持続的に本明細書に記載された方法の機能性を提供できる可能性がある。別の実施例では、電気機械212、216は、異なるトラクションバッテリと対になっていてもよい。
【0063】
エンジン202からのトルクは、BISG216および/またはCIMG216’によって、トラクションバッテリ200を充電するための電力を生成するために使用されてもよい。さらに、車両が惰性走行またはその他のオーバーラン状態にあるとき、トラクションモータ212は、車輪における運動エネルギを電気エネルギに変換し、その充電状態を高めるためにトラクション電池に供給することもできる発電機として作用してもよいことが理解されるであろう。
【0064】
最後に、図示されたシステム20は、インバータを含んで構成される。2つのインバータ210,214が示されており、各電気機械に対して1つずつ設けられている。他の実施例では、1つのインバータまたは2つ以上のインバータが提供され得る。
【0065】
いくつかの実施例では、第1の電気機械216および第2の電気機械212を同じトラクションバッテリ200に電気的に結合することにより、車両10がパラレルHEVモードおよびシリーズHEVモードの両方で動作することが可能になる。シリーズHEVモードでは、第1電気機械216は、トルク経路220が切断されている間、エンジン202から電気エネルギを生成するように構成される。その電気エネルギは、第2電気機械212に供給される。パラレルHEVモードでは、エンジン202は、第1組の車輪FL,FRを駆動し、第2電気機械は、第2組の車輪RL,RRを駆動する。
【0066】
代替的な実施態様では、車両10は、図2に示される以外のものであってもよい。
【0067】
図3Aは、制御システム208がどのように実装されてもよいかを示している。図3Aの制御システム208は、コントローラ300を例示している。他の実施例では、制御システム208は、車両10に搭載された及び/又は搭載されていない複数のコントローラで構成されてもよい。
【0068】
図3Aのコントローラ300は、少なくとも1つのプロセッサ302と、電子プロセッサ302に電気的に結合され、そこに格納された命令306(例えばコンピュータプログラム)を有する少なくとも1つのメモリデバイス304を含み、少なくとも1つのメモリデバイス304及び命令306は、少なくとも1つのプロセッサ302と共に、ここに記載する方法のうちの任意の1つ又は複数を実行させるように構成されたものである。プロセッサ302は、情報を受信し、外部コンポーネントと相互作用するための電気入出力I/O又は電気入力を有していてもよい。
【0069】
図3Bは、命令306(コンピュータソフトウェア)を含む非一過性のコンピュータ可読記憶媒体308を示す。
【0070】
制御システム208は、設定値に向かって変数(トルク)を操作するために、コントローラ出力を提供するように構成されてもよい。例示的な設定値は、トルク目標または速度目標である。
【0071】
出力トルクは、少なくとも1つのトルク要求を満たすように操作されてもよい。トルク要求は、車両10を推進するための負荷であってもよい。負荷は、車両10の運転者によって要求されるトルク(例えば、アクセルペダル踏み込みAPD、又はスロットル位置に基づくトルク設定値)、及び/又はクルーズコントロール速度設定値などの速度設定値に依存するトルク要求などの車両駆動トルク要求に基づいてもよい。
【0072】
トルク要求は、エンジンの出力トルクを制御するためのエンジントルク要求からなるものであってもよい。トルク要求は、1つ以上の電気機械の出力トルクを制御するための電気機械トルク要求から構成されてもよい。分配関数は、エンジン202と第2の電気機械212との間のフロント/リアトルク分割を制御し、フロントバイアス、リアバイアスまたはニュートラルな車両ハンドリングを提供するために、トルク要求を修正してもよい。
【0073】
負荷および他の車両サブシステムからの要求を含む複数のトルク要求を満たすために、トルク要求を変更/増加させるためのアービトレーション関数が適用されてもよい。
【0074】
シェーピング関数は、高いレートで変化する、またはゼロを横切る(ラッシュクロス)トルク要求(複数可)を滑らかにするために適用されてもよく、その結果、整形されたトルク要求となる。
【0075】
図2のパワートレインのようなシステム20は、複数の車両モードで動作させることができる。1つ以上のモードでは、エンジン202が休止され、エンジン202と第1組の車両車輪(FL、FR)との間のトルク経路220が切り離される。別の1つ以上のモードでは、エンジン202は再活性化され、トルク経路220は再接続される。
【0076】
電気自動車モードでは、エンジン202は非作動状態であり、第1組の車両車輪(FL,FR)とエンジン202および第1電気機械216との間のトルク経路220は切り離される。一実施例では、不活性化および切断の組み合わせの効果は、エンジン速度がゼロに向かって低下することである。不活性化は、エンジン202が、駆動のための正の出力トルクを生じないか、または不十分な正の出力トルクを生じることに関連する。燃料噴射は、燃料消費を低減するために、停止することができる。
【0077】
シリーズHEVモードでは、エンジン202は活性化状態であるが、トルク経路220は切断されている。エンジン202によって提供されるトルクによって、第1の電気機械216は電力を生成し、一方、第2の電気機械212は第2の組の車両車輪(RL,RR)にトルクを提供する。CIMG216’を備える車両では、両電気機械212、216’が同時に車両車輪にトルクを提供することも可能であり、車両に電気のみの全輪駆動モードを付与することができる。
【0078】
パラレルHEVモードまたは内燃機関モードでは、エンジン202は活性化状態にあり、トルク経路220は接続されている。活性化状態では、エンジンの燃焼室内で燃料が燃焼され、エンジン202がトルク経路220に正の出力トルクを供給するようになる。エンジン202および第1電気機械216は、任意に電力を発生させてもよい。
【0079】
内燃機関モードでは、エンジン202は起動状態であり、トルク経路220は接続されている。しかし、第1および第2の電気機械212,216は、車両車輪にトルクを与えるためのモータとして動作可能ではない。エンジン202および第1電気機械216は、任意に電力を発生させてもよい。第2電気機械212は、任意に電力を発生させてもよい。
【0080】
車両モードは、手動、半自動、または自動で選択可能であってよい。現在のモードよりも多くの充電を可能にする車両モードに変更するための移行条件(例えば、電気自動車モードを終了し、及び/又はシリーズハイブリッド電気自動車モード及び/又は内燃機関モードに入る)は、手動ユーザ選択;トラクションバッテリ充電状態が閾値を下回ること;トルク要求が閾値を上回ること(e.キックダウン機能など)、温度が閾値以下であること(氷点下など)、走行ダイナミクスモードの変更、地形モードまたは特定の走行路面での走行に最適化された車両モード(走行路面最適化モード)の変更、の少なくとも1つを必要とし得る。地形モードは、草地、砂利、砂、泥、あるいは岩の上を這うように横断するときに必要とされ得るようなオフロード地形上を走行するための車両の牽引力を向上させるように構成されてもよい。路面最適化モードは、雪や氷に覆われた路面などの低摩擦路面を走行する際の車両のトラクションを向上させるために構成されてもよい。
【0081】
現在のモード及び/又は全輪駆動(例えば、パラレルハイブリッド電気自動車モード)よりも正味のトルクを許容する車両動作モードに変更するための移行条件は、手動ユーザ選択、閾値を超えるトルク要求(例えば、キックダウン機能)、走行力学モードの変更、特定の走行路面を走行するために最適化した地形モード又は車両モードの変更、及び/又はこれらの少なくとも一つを要求してもよい。
【0082】
現在のモード(例えば、ハイブリッド電気自動車モード又は電気自動車モードのうちの1つ)よりも電気走行が可能な車両モードに変更するための移行条件は、手動ユーザ選択、トラクションバッテリの充電状態が閾値より上昇、トルク要求が閾値より低下、温度が閾値以上、走行ダイナミクスモードの変更、地形モードの変更又は走行面最適化モード、及び/又は同様のものの少なくとも1つを要求してもよい。
【0083】
ドライビングダイナミクスモードとは、サスペンション設定、スロットルレスポンス設定、ギアシフトポイント設定、ステアリング加重設定のうちの1つ以上を設定するモードをいう。地形モードまたは走行面最適化モードとは、ディファレンシャルロック設定、トラクションコントロール設定、アクセルペダル感度設定、車高設定、サスペンションダンパー設定のうち1つ以上を設定するモードを指す。ドライビングダイナミクスモードと地形・路面最適化モードとは重複する場合がある。設定は、予め設定されていてもよいし、設定可能であってもよい。
【0084】
手動によるユーザの選択は、ヒューマンマシンインターフェース入力装置の使用からなる場合がある。入力装置は、エンジンスタートボタンから構成されてもよい。入力装置は、ドライビングダイナミクスモードセレクタを含んでもよい。入力装置は、地形または走行面最適化モード選択装置を含んでいてもよい。いくつかの例では、地形または走行面最適化モードおよび/または走行ダイナミクスモードは、自動的に変更可能であってもよい。
【0085】
本発明の一態様によれば、図4は、コンピュータで実施される方法400の実施例を示している。方法400は、制御システム208によって実行され得る。方法400は、車両10の少なくとも1つの電気機械212、216を制御して、内燃機関202を含む車両システム30の診断テストを支援するためのものである。さらに、または代替的に、車両システム30は、車両10の排気後処理システムを備えていてもよい。この方法によってサポートされる診断テストは、内燃機関202および/または排気システムの後処理コンポーネントの診断テストを有する。車両システム30は、定期的な診断を必要とする他のシステムを有する。
【0086】
方法400のブロック402では、内燃機関202が診断試験のための少なくとも1つのトルク閾値432内で運転されている間に車両駆動トルク要求410を満たすことができるように、少なくとも1つの電気機械212、216のトルク出力420が制御される。
【0087】
診断試験のために内燃機関202を少なくとも1つのトルク閾値432内で動作させることにより、診断試験は中断することなく、かつ遅延なく実施することができる。このような遅延は、例えば、内燃機関202の出力トルクが診断試験のための少なくとも1つのトルク閾値432内に偶発的に収まるのを待つことに起因することがある。これは、特に、例えば、車両10が走行開始後すぐに渋滞している場合、または、そうでなければ、診断テストの中断されない完了と相容れない方法で運転されている場合、長時間に及ぶことがある。
【0088】
その結果、内燃機関202をより早くスイッチオフすることができ、燃料を節約し、排出ガスを低減し、車両がHEVモードで運転され、電気エネルギ貯蔵手段200に十分な充電があるときに内燃機関202が長時間運転されることを期待しない車両所有者の期待を満足させることができる。
【0089】
診断テストは、排出ガスに関連するものであってもよい。診断テストは、車両が排出量目標を達成できない原因となる車両システム30における不具合を検出してもよい。
【0090】
少なくとも1つのトルク閾値432は、診断試験の対象のパラメータを監視するのに適したエンジン負荷に相関していてもよい。
【0091】
方法400のいくつかの例では、少なくとも1つのトルク閾値432は、少なくとも診断テストの対象に基づき決定され得る。すなわち、診断テストの対象である異なる例えばシステム、コンポーネント、または条件について、内燃機関202が運転されるべき異なるトルク閾値432が存在し得る。
【0092】
例えば、診断テストは、内燃機関202が80および150Nmの範囲内で運転される場合、少なくとも、マスフロー安定性、燃料カットオフ、触媒パージ、ラムダ安定性、およびエンジン速度を監視するために実行することができる。
【0093】
例えば、診断テストは、内燃機関202が90および190Nmの範囲内で運転される場合、少なくとも、排気ガス温度、質量流安定性、燃料カットオフ、触媒パージ、排気質量流、および統合排気質量を監視するために実行することができる。
【0094】
例えば、診断テストは、内燃機関202が60および190Nmの範囲内で運転されているときに、少なくとも、排気ガス温度、質量流安定性、燃料カットオフ、触媒パージ、ラムダ安定性、機関速度、排気質量流、および統合排気質量を監視するために実行することが可能である。
【0095】
内燃機関202が少なくとも1つの閾値432内で動作することを可能にすることは、内燃機関202を動作させる出力トルクがトルク閾値を上回ること、トルク閾値を下回ること、または2つのトルク閾値間のトルク窓内にあることを可能にすることからなることが理解されよう。したがって、方法400のブロック402は、
少なくとも1つの電気機械212、216のトルク出力420を、車両駆動トルク要求410から上限トルク閾値を引いた値より大きくなるように制御すること、
少なくとも1つの電気機械212、216のトルク出力420を、車両駆動トルク要求410から下側トルク閾値を引いた値よりも小さくなるように制御すること、または
車両駆動トルク要求410から上部トルク閾値を引いた値と車両駆動トルク要求410から上部トルク閾値を引いた値との間になるように少なくとも1つの電気機械212、216のトルク出力420を制御することを含む。
【0096】
いくつかの例では、上側および下側トルク閾値は、少なくとも診断テストの対象に基づいて決定され得る。
【0097】
図5は、x軸の時間に対するy軸のトルクを示す。図5において、車両駆動トルク要求410は、当初、診断テストのために内燃機関202が運転されることになる下トルク閾値436より小さいことが分かる。車両駆動トルク要求410が満たされる間、内燃機関202のトルク出力430がこの低いトルク閾値436より大きくなることを可能にするために、少なくとも1つの電気機械212、216は、負のトルクを提供するように制御される。負のトルクは、回生トルクの形態であってもよく、運動エネルギが電気エネルギに変換され、電気エネルギ貯蔵手段200に貯蔵される。
【0098】
車両駆動トルク要求410が上昇すると、診断試験のために内燃機関202が運転されるべき上限トルク閾値434より大きくなることがある。この例を図5に示す。車両駆動トルク要求410が上限トルク閾値434よりも大きい場合、少なくとも1つの電気機械212,216は、正のトルクを提供するように制御される。正トルクは、駆動トルクの形態であってもよく、電気エネルギ(電気エネルギ貯蔵手段200に貯蔵されてもよい)が、少なくとも1つの電気機械212、216によって運動エネルギに変換される。
【0099】
したがって、内燃機関202は、診断テストの少なくとも1つのトルク閾値要件を自由に満たすことができ、診断テストの少なくとも1つのトルク閾値432と車両駆動トルク要求410との間の差は、少なくとも1つの電気機械212、216の、正または負のいずれかであるトルク出力420によって提供される。
【0100】
図5と同様に、図6は、x軸の時間に対して、y軸にトルクを示す。図6は、2つの電気機械が使用される例によるグラフである。すなわち、少なくとも1つの電気機械212,216は、内燃機関202に機械的に結合される電気モータ(例えば、第1電気機械216)からなり、内燃機関202に機械的に結合されていない車両10の車軸211を駆動するように構成された電気機械(例えば、第2電気機械は電気牽引モータ212)を有する。電気機械の一方は、負トルク出力422を提供するために使用され、電気機械の他方は、正トルク出力424を提供するために使用される。
【0101】
いくつかの実施例では、内燃機関202に機械的に結合されている電気機械(例えばBISG216またはCIMG216’)は、内燃機関202に負のトルクを提供するために制御される。この電動機216,216’の負トルク出力422は、内燃機関202に負トルクを供給する。このように、内燃機関202は、車両駆動トルク要求410よりも高いトルクで運転することができる。
【0102】
いくつかの実施例では、内燃機関202に機械的に結合されていない車両10の車軸211を駆動するように構成された電気牽引モータ212は、車軸211に正のトルクを供給するように制御される。この電動機212の正トルク出力422は、車軸211に正トルクを供給する。このように、内燃機関202は、車両駆動トルク要求410よりも低いトルクで運転されることが可能である。
【0103】
第1および第2の電気機械212,216のいずれかは、負トルク出力422および正トルク出力424の両方を個別に提供することができる。しかしながら、いくつかの例では、第1の電気機械は、エンジン202を始動させる以外に正のトルクを提供するように制御可能でない場合がある。これは、技術的能力ではなく、法規制の結果であってもよい。代替的または追加的に、いくつかの例では、第2の電気機械212を制御して負のトルクを提供することは、状況によっては、車両の安定性に影響を与えることによって、車両の落ち着きに悪影響を与える可能性がある。例えば、負のトルク出力422を提供するために第2の電気機械212を制御することは、車両10の車軸211にブレーキ効果を適用することを含んでいてもよい。いくつかの運転シナリオでは、例えば、カーブを運転している間、車軸211にブレーキ効果を加えることは望ましくない場合がある。
【0104】
したがって、負のトルク出力422を供給する第1の電気機械216と、正のトルク出力424を供給する第2の電気機械212との組み合わせを提供することにより、有利には、内燃機関202が診断テストのための少なくとも1つのトルク閾値432内で運転されている間に、車両駆動トルク要求410を確実に満たすことができるようになる。
【0105】
図7Aは、方法400のブロック402のオプションのサブルーチンを示している。
【0106】
ブロック702では、少なくとも1つの電気機械212、216と内燃機関202との間のトルク分割が決定される。トルク分割は、車両駆動トルク要求410に基づく。トルク分割は、組み合わせで車両駆動トルク要求410を満たす。トルク分割は、少なくとも1つの電気機械212、216の出力トルク420を制御するための電気機械トルク要求720を提供する。トルク分割はまた、内燃機関202の出力トルク430を制御するためのエンジントルク要求730を提供する。
【0107】
ブロック704において、少なくとも1つの電気機械212、216は、電気機械トルク要求720に従って、トルク出力420を提供するように制御される。
【0108】
ブロック706で、内燃機関202は、機関トルク要求730に従ってトルク出力430を提供するように制御される。
【0109】
図7Bは、x軸の時間に対するy軸のトルクを示す。図7Bに示すように、内燃機関202のトルク出力430は車両駆動トルク要求410に応じて変化するが、内燃機関202のトルク出力430の変化率は制限されており、内燃機関202は依然として診断試験のための少なくとも1つのトルク閾値432内で動作するように制御されている。
【0110】
図7Aのブロック702で決定されたトルク分割は、内燃機関202のトルク出力430を安定化機能の下で車両駆動トルク要求410と共に変化させることを可能にする。この安定化機能は、内燃機関202のトルク出力430の変化率を制限するように構成される。
【0111】
内燃機関202のトルク出力430が、安定化機能の下で、また少なくとも1つのトルク閾値432内で、変化することを許容することによって、内燃機関202は、診断試験を完了するために必要な期間を延長することなく、車両駆動トルク要求410の変化への応答を支援することができる。
【0112】
いくつかの例では、他の車両動作が方法400よりも優先されてもよい。
【0113】
図8は、オフロードモードまたはオフロードに適した地形モードまたは走行面最適化モードが方法400に優先する例を示している。
【0114】
ブロック802は、方法400のためのエントリ条件(複数可)が満たされているかどうかの評価を表す。
【0115】
ブロック802では、車両10がオフロードモードまたはオフロードに適した地形モードまたは走行面最適化モードであるかどうかが判断される。そうである場合、方法400は実行されない。診断テストは依然として実行されてもよいが、車両駆動トルク要求410が満たされている間、内燃機関202が少なくとも1つのトルク閾値432内で動作することを確実に可能にする制御が存在しない可能性がある。その結果、診断テストは遅くなるかもしれないが、オフロードモードまたはオフロードに適した地形モードまたは走行面最適化モードは、内燃機関202の制御に対する追加の制約によって損なわれることはない。
【0116】
一方、ブロック802において、車両10がオフロードモードまたはオフロードに適した地形モードまたは走行面最適化モードにないと判断された場合、方法400を実行することができ、それに応じて診断テストをより迅速に実行することができる。
【0117】
したがって、少なくとも1つのトルク閾値432内で動作するための内燃機関202の制御は、車両10をオフロードモードで、またはオフロードに適した地形モードで、または走行面最適化モードで動作するためのオーバーライド要求がないことを条件として考えることができる。
【0118】
いくつかの例では、内燃機関202が少なくとも1つのトルク閾値432内で運転されている間、車両駆動トルク要求410を満たすために十分な正または負のトルクを提供するために少なくとも1つの電気機械212、216を使用する能力は、追加の電気エネルギを貯蔵または提供する車両10の電気エネルギ貯蔵手段200の能力によって左右される。
【0119】
図9に示されるように、ブロック902では、追加の電気エネルギを貯蔵または提供するための車両10の電気エネルギ貯蔵手段200の能力910が決定される。ブロック904において、内燃機関202の制御は、少なくとも能力910および車両駆動トルク要求410に基づいて、内燃機関202が少なくとも1つのトルク閾値432の外側で動作することを可能にするように修正され得る。
【0120】
例えば、電気エネルギ貯蔵手段200が追加の電気エネルギを貯蔵するための不十分な能力910を有する場合、少なくとも1つの電気機械212、216は、必要に応じて、少なくとも1つの閾値432と車両駆動トルク要求410との差を満たすために負の(reenerative)トルクを提供できないと判断される。したがって、少なくとも1つの電気機械212、216がより大きな正のトルク出力424を提供できるように、内燃機関202の停止を許可することができる。これは、電気エネルギ貯蔵手段200を枯渇させるので、その後、追加の電気エネルギを貯蔵するのに十分な能力910が存在する可能性がある。
【0121】
あるいは、電気エネルギ貯蔵手段200が追加の電気エネルギを提供するのに十分な能力910を有していると判断される場合、少なくとも1つの電気機械212、216は、必要に応じて、少なくとも1つの閾値432と車両駆動トルク要求410との差を満たすために正の(駆動)トルクを提供できないことが判断される。したがって、内燃機関202は、車両駆動トルク要求410を満たすのに役立つようにすることができる。
【0122】
一般に、車両駆動トルク要求410を満たしながら少なくとも1つのトルク閾値432内で内燃機関202を動作させることがあり得ない場合(例えば、電気エネルギ貯蔵手段200の側の能力910が不十分な結果として)、内燃機関202は少なくとも1つのトルク閾値432の外で動作して車両駆動トルク要求410を満たす、または満たすことを助けるように解放することが可能である。
【0123】
車両10の電気エネルギ貯蔵手段200が追加の電気エネルギを貯蔵または提供する能力910は、少なくとも部分的に、電気エネルギ貯蔵手段200の年齢および状態、周囲温度などの環境条件、およびHVACなどの他の重電力使用者が電気エネルギをも要求しているかどうかに依存することが可能である。いくつかの例では、約20%の利用可能またはアクセス可能な充電状態は、電気自動車モードが中断される閾値または値を表すことができる。いくつかの例では、約90%の利用可能またはアクセス可能な充電状態は、エンジン202からの車両駆動トルク要求410を満たすために必要なトルクに追加されるトルクの要求が停止され得る、またはそれ以上の閾値または値を表すことができる。他の閾値または値は、特に非常に暑いまたは非常に寒い気候で動作する場合に有用であり得る。
【0124】
前述では、方法400は、診断テストのための少なくとも1つのトルク閾値432内で内燃機関202を動作させることに関連して説明されてきたが、方法100は、診断テストのためのトルク設定値438に関して実行できることが理解されよう。
【0125】
図10は、方法400が、内燃機関202が診断テストのためのトルク設定値438で運転されている間に車両駆動トルク要求410を満たすことができるように少なくとも1つの電気機械212、216のトルク出力420を制御することを含む例に従って、x軸の時間に関してy軸にトルクを有するグラフを示す。
【0126】
トルク設定値438は、少なくとも、例えば、診断試験の対象であるシステム、コンポーネント、条件などに基づいて設定することができる。
【0127】
少なくとも1つの電気機械212、216は、車両駆動トルク要求410がトルク設定点438よりも大きい場合に、正のトルクを提供するように制御され得る。少なくとも1つの電気機械212、216は、車両駆動トルク要求410がトルク設定点438よりも小さいときに負のトルクを提供するように制御することができる。
【0128】
正のトルクは、車両10の車軸211を駆動するように構成され、内燃機関202に機械的に結合されていない電気機械(例えば、電気牽引モータ212)を制御することによって提供することができる。正トルクは、車軸211に供給することができる。
【0129】
負トルクは、内燃機関に機械的に結合されている電気機械(例えば、BISG216および/またはCIMG216’)を制御することによって提供することができる。
【0130】
方法400は、少なくとも1つの電気機械212、216と内燃機関202との間のトルク分割を決定することを含むことができ、トルク分割は、組み合わせで車両駆動トルク要求410を満たす。
【0131】
いくつかの例では、トルク設定値438からの内燃機関202の出力トルク430の一時的な離脱が、トルク分割によって許可される場合がある。この一時的な離脱は、内燃機関202のトルク出力430を車両駆動トルク要求410に応じて変動させ、それによって車両応答を補助することを可能にする。ただし、この変動は、内燃機関202のトルク出力430の変化率を制限するように構成された安定化機能の下での変動であってもよい。
【0132】
トルク設定値438で動作するための内燃機関202の制御は、オフロードモード、オフロードに適した地形モード、または走行面最適化モードで車両10を動作させるための上書き要求がないことを条件とすることが可能である。車両10がオフロードモード、オフロードに適した地形モード、または走行面最適化モードにある場合、方法400は実行されなくてもよい。車両10がオフロードモード、オフロードに適した地形モード、または走行面最適化モードにない場合、方法400を実行し、内燃機関202を制御してトルク設定値438で作動させてもよい。
【0133】
内燃機関202は、少なくとも、電気エネルギ貯蔵手段200が追加の電気エネルギを貯蔵または提供するための決定された能力910と、車両駆動トルク要求410とに基づいて、トルク設定点438から発散(出発)することを許可されることができる。
【0134】
本開示の目的のために、本明細書に記載されるコントローラ(複数可)はそれぞれ、1つまたは複数の電子プロセッサを有する制御ユニットまたは計算装置を構成し得ることが理解されよう。車両および/またはそのシステムは、単一の制御ユニットまたは電子コントローラを構成し得るか、あるいは代替的に、コントローラ(複数可)の異なる機能が、異なる制御ユニットまたはコントローラにおいて具現化され得るか、またはホストされ得る。実行されると、前記コントローラ(複数可)または制御ユニット(複数可)に本明細書に記載の制御技術(記載の方法(複数可)を含む)を実施させる一組の命令が提供され得る。命令のセットは、1つまたは複数の電子プロセッサに組み込まれてもよく、あるいは、命令のセットは、1つまたは複数の電子プロセッサ(複数可)によって実行されるソフトウェアとして提供され得る。例えば、第1のコントローラは、1つまたは複数の電子プロセッサ上で実行されるソフトウェアで実装されてもよく、1つまたは複数の他のコントローラも、1つまたは複数の電子プロセッサ(オプションとして、第1のコントローラと同じ1つまたは複数のプロセッサ)上で実行されるソフトウェアで実装され得る。しかしながら、他の配置も有用であり、したがって、本開示は、任意の特定の配置に限定されることを意図していないことが理解されよう。いずれにしても、上述の命令のセットは、機械または電子プロセッサ/計算機によって読み取り可能な形態で情報を格納するための任意の機構を含んでいてもよいコンピュータ可読記憶媒体(例えば、非一時的コンピュータ可読記憶媒体)に組み込まれてもよく、これには限定されないが、磁気記憶媒体(例えば、,磁気記憶媒体(例えば、フロッピーディスク);光学記憶媒体(例えば、CD-ROM);光磁気記憶媒体;読み取り専用メモリ(ROM);ランダムアクセスメモリ(RAM);消去可能プログラマブルメモリ(例えば、EPROMおよびEEPROM);フラッシュメモリ;または電気または他のタイプの媒体であってかかる情報/命令を記憶するためのもの、などである。
【0135】
本願の範囲から逸脱することなく、本発明に様々な変更および修正を加えることができることが理解されよう。
【0136】
図4、7A、8、および9に図示されたブロックは、方法400におけるステップおよび/またはコンピュータプログラム306におけるコードのセクションを表すことができる。ブロックに特定の順序を例示することは、必ずしもブロックに要求されるまたは好ましい順序があることを意味するものではなく、ブロックの順序および配置は変化してもよい。さらに、いくつかのステップを省略することも可能である。
【0137】
本発明の実施形態は、様々な例を参照して前の段落で説明されたが、与えられた例に対する修正は、請求された本発明の範囲から逸脱することなく行われ得ることが理解されるべきである。
【0138】
例えば、いくつかの診断テストにおいて、内燃機関202は、診断テストの目的でオンにされ、車両駆動トルク要求410を満たすことに寄与しないことがある。すなわち、診断テストが実施されている間、車両10は1つ以上の電気機械212、216のみによって推進され得る。診断テストが完了すると、内燃機関202を停止させることができる。次に内燃機関202を始動させるためのトルク閾値は、減少させることができる。
【0139】
先の説明で述べた機能は、明示的に記述した組み合わせ以外の組み合わせで使用することができる。
【0140】
特定の特徴を参照して機能を説明したが、それらの機能は、説明されているか否かにかかわらず、他の特徴によって実行可能であってもよい。
【0141】
特定の実施形態を参照して機能を説明したが、それらの機能は、説明されているか否かにかかわらず、他の実施形態にも存在することができる。
【0142】
前述の明細書において、特に重要であると考えられる本発明の特徴に注目するよう努める一方で、出願人は、特に強調されているかどうかにかかわらず、本明細書において言及され、および/または図面に示された、特許可能な特徴または特徴の組み合わせに関して保護を主張する権利を留保することを理解されたい。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10