(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】電気力学ドライブ
(51)【国際特許分類】
B06B 1/04 20060101AFI20240513BHJP
B25C 1/06 20060101ALI20240513BHJP
B25D 13/00 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
B06B1/04 Z
B25C1/06
B25D13/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023002967
(22)【出願日】2023-01-12
(62)【分割の表示】P 2019549656の分割
【原出願日】2017-12-06
【審査請求日】2023-01-30
(31)【優先権主張番号】102016014434.3
(32)【優先日】2016-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102016014753.9
(32)【優先日】2016-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102016015102.1
(32)【優先日】2016-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Hilti Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100,9494 Schaan,Liechtenstein
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】メクレンブルク アルノー
(72)【発明者】
【氏名】ディットリヒ ツィロ
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-510590(JP,A)
【文献】特開昭58-041078(JP,A)
【文献】国際公開第2015/172824(WO,A1)
【文献】実開昭56-062817(JP,U)
【文献】特表2003-536353(JP,A)
【文献】Hoganas,Hoganas Somaloy(R) , Material Data, Physical propaties, Magnetising curve (February 2016)(注:(R)は、正しくは○にR)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/04
B25C 1/06
B25D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の励振コイル(30)、
軟磁性フレーム(10)、及び
軸に沿って移動可能に装着された短絡アーマチュア(40)、
を含
む電気力学ドライブであって、
前記フレーム(10)は、少なくとも1.0Tの飽和磁束密度、及
び10
6S/mよりも大きくない有効比導電率を有する、
ことを特徴とする電気力学ドライブ。
【請求項2】
前記第1の励振コイル(30)及び/又は前記フレーム(10)は、張力緩和のための少なくとも1つの手段を含み、及び/又は
前記励振コイル(30)は、その長さよりも大きい巻線高さを有し、従って平坦であり、及び/又は
前記励振コイル(30)は、前記軟磁性フレーム(10)に配置され、かつそれに対して当接する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気力学ドライブ。
【請求項3】
前記フレームは、外側領域(11)と、底部(12)と、内側領域(13)とを含んで端面開口部を有する開口磁性回路を表し、
前記第1の励振コイルは、前記フレームの前記内側部(13)を少なくとも部分的に封入し、
そのストローク開始位置での前記短絡アーマチュア(40)は、前記フレーム(10)の前記端面開口部の中に下がり、それによって該フレームの前記内側部(13)を少なくとも部分的に封入
する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気力学ドライブ。
【請求項4】
前記軟磁性フレームは、軟磁性複合材料及び/又は1又は2以上のシートスタックで完全に又は主として形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気力学ドライブ。
【請求項5】
前記短絡アーマチュア(40)は、円筒ジャケットの形状を有する前記フレームの前記外側(11)及び内側(13)領域の間の空間の中に下がり、
その長手軸が、ドライブの移動の方向及び/又は前記コイルの巻線軸に対応する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気力学ドライブ。
【請求項6】
軟磁性複合材料で製造された前記フレーム(10)は
、互いに接着的に結合された又は埋め込まれたいくつかの部品及び/又はセグメントから構成され
る、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電気力学ドライブ。
【請求項7】
ドライブの前記短絡アーマチュア(40)は、非磁性材料で
、全体的に又は部分的に形成され、及び/又は
底部側での、すなわち、ストローク開始位置での前記短絡アーマチュアは、前記第1の励振コイル(30)に対面する該短絡アーマチュア(40)の側で電気的に良好に伝導する材
料のリングを有
する、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電気力学ドライブ。
【請求項8】
前記フレーム(10)の少なくとも主要部が、10
5S/m未
満の有効比導電率を有することを特徴とする請求項1から
7のいずれか一項に記載の電気力学ドライブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気力学ドライブに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な技術分野において、電磁ドライブがこれらの分野で望ましくないので、点火式又は同じく空気式デバイスが使用されている。電気ドライブに対する除外判断基準は、特に、
-用途に基づく駆動質量又は駆動容積当たりの不十分な力及び/又は作動容量、
-いわゆるトムソンコイル及び同じくレールガンのような非常に動的な電気直接ドライブでのそれらの高い配線費用及び/又は低すぎる効率、
を含む。
【0003】
これは、様々な例によって例証される:
-例えばピストンが釘を打ち込むために引火性ガス混合物又は推進装薬の燃焼に起因して加速される釘締めデバイス及びここでは特に手持ち式釘締めデバイス、
-偶発的なアークからエネルギを引き出すために火工動電駆動式金属ボルトが絶縁板を突破して短絡を生成するアーク故障保護デバイス、
-短絡電流が金属舌状部の経路から並列に接続されたヒューズ又はスロットルに向きを変えるように点火装薬が金属舌状部を破壊する短絡電流制限器。
【0004】
電気力学ドライブ(electrodynamic drive)を有する釘締めデバイスは、US 6,830,173 B2から公知である。
【0005】
最も近い従来技術は、ABBの特許出願WO2015172824 A1である。この出願は、1次コイルを有し、かつ磁束集線装置が1次コイルを取り囲むトムソンコイルに基づくアクチュエータを示している。磁束集線装置は、軟磁性又は軟強磁性材料、例えば、鉄、磁性鋼、又はPermadyneのような材料から構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】US 6,830,173 B2
【文献】WO2015172824 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従って、対応する従来技術と比較してより高い力定数及び/又はより高い電気効率を達成する及び/又はより高い容積固有又は重量固有の仕事を実行することができる(非常に動的な)電気ドライブを見出すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1に記載のドライブによって解決される。本発明の好ましい態様は、従属請求項の主題である。
【0009】
本発明は、第1の励振コイルと、軟磁性フレームと、軸に沿って移動可能に装着された短絡アーマチュアとを含む電気力学ドライブを含む。
【0010】
ドライブは、フレームが、少なくとも1.0Tの飽和磁束密度及び/又は106S/mよりも大きくない有効比導電率を有し、好ましくは、第1の励振コイル及び/又はフレームが、張力緩和のための少なくとも1つの手段を含むことを特徴とする。飽和磁束密度は、材料の微分透磁率dB/dhが磁場定数に等しくなり、従って、無次元相対透磁率μrが磁気飽和の結果として値μr=1を有する磁束密度である。
【0011】
特に、これは、特に軟磁性フレームを有するトムソンコイルの方式で構成された非常に動的な電気力学ドライブである。
【0012】
1つの可能な実施形態では、励振コイルは、その長さよりも大きい巻線高さを有し、従って平坦である。
【0013】
1つの可能な実施形態では、励振コイルは、軟磁性フレームに配置され、かつそれに対して当接する。
【0014】
1つの可能な実施形態では、フレームは、外側領域、底部、及び内側領域を含んでその端面で開口する開口磁性回路を表し、第1の励振コイルは、フレームの内側部を少なくとも部分的に封入し、そのストローク開始位置での短絡アーマチュアは、フレームの端面開口部の中に下がり、それによってフレームの内側部を少なくとも部分的に封入する。
【0015】
1つの可能な実施形態では、短絡アーマチュアは、従って、少なくとも1つのその第1の励振コイルに対面する側で中空円筒形に形成され、及び/又はフレームは、ポット磁石の方式で構成される。
【0016】
1つの可能な実施形態では、軟磁性フレームは、完全に又は主として軟磁性複合材料及び/又は1又は2以上のシートスタックで形成される。
【0017】
本発明は、従って、特に、
-その巻線高さがその長さよりも大きく、従って平坦である第1の励振コイルと、
-第1の励振コイルが配置され、それが当接し、特にポット磁石の方式で外側領域、底部、及び内側領域を含んでその端面で開口する開口磁性回路を表し、第1の励振コイルがフレームの内側部を少なくとも部分的に封入する軟磁性フレームと、
-その第1の励振コイルに対面する側で好ましくは中空円筒形に形成され、軸に沿って移動可能に装着され、かつそのストローク開始位置でフレームの端面開口部の中に下がり、それによってフレームの内側部を少なくとも部分的に封入する短絡アーマチュアと、
を含む、軟磁性フレームを有するトムソンコイルの方式で構成された電気力学ドライブ、特に非常に動的な電気力学ドライブを含み、フレームが、少なくとも1.0T、好ましくは、少なくとも1.3T、特に好ましくは、少なくとも1.5Tの飽和磁束密度、並びに106S/mよりも大きくない有効比導電率を有する軟磁性複合材料及び/又は1又は2以上のシートスタックで完全に又は主として形成され、第1の励振コイル及び/又はフレーム)が、特にエンクロージャの形態での張力緩和のための少なくとも1つの手段を含むと規定される。
【0018】
張力緩和は、好ましくは、移動方向に垂直に起動する作動中に第1の励振コイル上に発生する少なくとも半径方向の力を少なくとも部分的に吸収する。電気力学ドライブでは、短絡アーマチュアに作用するローレンツ力は、好ましくは、仕事を実行するのに使用される。
【0019】
1つの可能な実施形態では、短絡アーマチュアがその中に下がるフレームの外側及び内側領域間の空間は、円筒ジャケットの形状を有し、その長手軸は、ドライブの移動とコイルの巻線軸との方向に対応する。
【0020】
1つの可能な実施形態では、軟磁性複合材料で製造されたフレームは、いくつかの部品及び/又はセグメントから構成される。いくつかの部品及び/又はセグメントは、互いに接着的に結合する又は埋め込むことができる。
【0021】
フレームは、好ましくは、作動中のフレーム及び/又はその部品の破断が回避されるという主旨で少なくとも引張応力の発生が低減されるようにいくつかの部品及び/又はセグメントから構成される。
【0022】
1つの可能な実施形態では、ドライブの短絡アーマチュアは、全体的又は部分的に非磁性材料で、好ましくは導電性及び非磁性材料で、特に硬化可能アルミニウム合金で形成される。
【0023】
1つの可能な実施形態では、その底部側、すなわち、ストローク開始位置での短絡アーマチュアは、電気的に良好に伝導する材料、例えば、銅のリングを第1の励振コイル(30)に対面する短絡アーマチュア(40)の側で有する。
【0024】
好ましくは、リングは、短絡アーマチュアの中に及び特に短絡アーマチュアの非磁性材料の中に埋め込まれ、及び/又は短絡アーマチュアと密接に及び/又は確実に接続される。
【0025】
1つの可能な実施形態では、リングの比導電率は、純銅の少なくとも50%(%IACS)に達する。
【0026】
リングは、例えば、純銅で、又は銅合金又はアルミニウム合金又は銅ベースの複合材料で製造することができる。
【0027】
1つの可能な実施形態では、リングは、完全に又は主として少なくともl=sqrt(t*rho/pi*μ)の移動方向の拡張を有し、tは、適正起動作動中の励振コイル内の電流の半値幅であり、rhoは、リングの比電気抵抗であり、piは、円周率であり、μは、磁場定数である。
【0028】
1つの可能な実施形態では、短絡アーマチュア及び/又は短絡アーマチュアによって駆動されるピストンは、より好ましくは硬化状態で存在する硬化可能アルミニウム合金で全体的又は部分的に形成される。
【0029】
1つの可能な実施形態では、短絡アーマチュア及び/又は短絡アーマチュアによって駆動されるピストンは、硬化状態で純銅の>25%(%IACS)の比導電率を有する硬化可能アルミニウム合金で全体的又は部分的に形成される。
【0030】
1つの可能な実施形態では、電気力学ドライブは、コンデンサ放電を用いて少なくとも部分的に作動される。好ましくは、ドライブを起動するために、少なくとも1つのコンデンサは、第1の励振コイルを通じて放電される。
【0031】
好ましくは、コンデンサ放電は、1又は2以上の半導体スイッチを切り換えることによって達成され、半導体スイッチは、好ましくはサイリスタである。
【0032】
半導体スイッチは、それと直列に接続された飽和インダクタンスにより、飽和インダクタンスが初期電流上昇率dl/dtを十分に制限するような寸法を有するという点で、作動中に破損することから保護することができる。
【0033】
ドライブは、好ましくは、少なくとも1つのコンデンサを有するコンデンサアセンブリを含む。コンデンサは、好ましくは、1又は2以上の電解コンデンサ、及び/又はホイル及び/又はフィルムコンデンサである。好ましくは、コンデンサアセンブリは、少なくとも1つのホイル及び/又はフィルムコンデンサを含む。
【0034】
コンデンサアセンブリ、好ましくは、0.1kJと10kJの間、より好ましくは、0.3kJよりも大きいエネルギを格納する。
【0035】
コンデンサアセンブリは、好ましくは、0.1mFと20mFの間のキャパシタンス、及び/又は0.1mOhmと100mOhmの間の電気直列抵抗を有する。
【0036】
1つの可能な実施形態では、電気力学ドライブは、持ち上げ磁石を含むか又はそのような持ち上げ磁石上で作動させることができ、起動作動中に、例えば、フレームの一部、例えば底部それ自体で形成することができる持ち上げ磁石のアーマチュアは、短絡アーマチュアに衝撃をそれを加速するために主として弾性衝撃を用いて伝達し、コンデンサ放電は、第1の励振コイルを通じて弾性衝撃と同期して実施される。
【0037】
1つの可能な実施形態では、起動作動中に励振コイルに印加される最高電圧は、600Vよりも高くなく、好ましくは、500Vよりも高くなく、より好ましくは、450Vよりも高くない。この場合に、電解コンデンサは、好ましくは、ドライブを作動するのに使用される。
【0038】
1つの可能な実施形態では、起動作動中に励振コイルに印加される最高電圧は、1kVと2kVの間にある。それにより、より良好な効率を達成することができる。この場合に、ホイル及び/又はフィルムコンデンサは、好ましくは、ドライブを作動するのに使用される。
【0039】
1つの可能な実施形態では、フレームの少なくとも主要部は、105S/m未満、好ましくは、104S/m未満の有効比導電率を有する。
【0040】
1つの可能な実施形態では、フレームの材料は、飽和磁束密度Bs>1.5T、好ましくは、Bs>1.75T、より好ましくは、Bs>1.9Tを完全に又は主として有する。
【0041】
1つの可能な実施形態では、第1の励振コイルは、中実の個々の導体の代わりに、巻線が、互いに対して絶縁されたいくつかの個々の導体のストランドの方式で形成されるという点で、及び/又は平坦ワイヤが使用されるという点で表皮効果の影響を低減するように設計される。
【0042】
1つの可能な実施形態では、第1の励振コイルは、少なくとも30%、好ましくは、少なくとも40%、より好ましくは、少なくとも50%、更により好ましくは、少なくとも60%の銅充填度を有する。
【0043】
特に、銅充填度は、70%と85%の間にある。
【0044】
1つの可能な実施形態では、第1の励振コイルは、埋め込まれ、かつこれに加えて繊維補強により、起動作動中に作用する(ローレンツ)力に対して張力緩和される。
【0045】
1つの可能な実施形態では、張力緩和は、フレームの外側領域内に繊維強化複合材料を有するコイルの円筒形エンクロージャの形態で達成される。
【0046】
1つの可能な実施形態では、張力緩和は、エンクロージャによって形成され、かつ好ましくはドライブ及び/又はフレームをその円周の周りで少なくとも部分的に取り囲むエンクロージャにある。
【0047】
エンクロージャは、好ましくは、700MPaよりも大きい、好ましくは、1400MPaよりも大きい引張強度を有する材料で製造される。
【0048】
1つの可能な実施形態では、繊維複合材料及び/又はマルエージング鋼をエンクロージャに対して使用することができる。
【0049】
1つの可能な実施形態では、エンクロージャは、その軸がドライブの移動の軸に対応する中空円筒の形状を有する。エンクロージャは、例えばポットと同様に、底部側で、すなわち、フレーム底部の側面上で閉じることができる。これに代えて、エンクロージャは、フレームの底部の側面上で開くことができる。
【0050】
1つの可能な実施形態では、第1の励振コイルへのリードは捻られる。これに代えて又はこれに加えて、第1の励振コイルへのリードは、同軸ケーブルの方式で閉じた外側及び内側導体で形成することができ、これは、回転対称に設計する必要はない。1つの可能な実施形態では、第1の励振コイルへのリードは、いずれの実質的なクリアランスもなく互いに対してもたれかかる平坦ワイヤとして形成され、すなわち、それらは又は互いに又はそれらの間で互いに接触するそれらの絶縁シージングは、僅かな間隙、特に空隙を定める。ここでの「僅かな」は、間隙の結果としてリードに生じる追加の自己誘導がドライブのその作動条件に依存する最小自己誘導と比較して小さいように理解されるものとする。
【0051】
1つの可能な実施形態では、電気力学ドライブは、円筒形エンクロージャを含み、これは、繊維複合材料で製造され、かつ炭素繊維の第1の織物、1又は2以上の電気絶縁材料、例えば、ガラス、HPPE、又はアラミド繊維の第2の織物、並びにプラスチック母材料を含み、いわゆるトロイダル磁心の方式で、電気絶縁織物は、交替電磁場によって生じた渦電流を減衰するために炭素繊維織物の巻線間の絶縁中間層として使用される。
【0052】
1つの可能な実施形態では、電気力学ドライブは、短絡アーマチュアによって駆動されるピストンを含む。従って、短絡アーマチュアは、好ましくは、ピストンと剛的に接続され、及び/又はそれと一体に形成することができる。しかし、短絡アーマチュアは、ドライバを含むこともでき、それによってそれは、短絡アーマチュアとは別に形成されたピストンに対して作用する。
【0053】
ピストンの前端は、電気力学ドライブの起動時に、ドライブによって実施される仕事を伝達するようにターゲットに対して作用することができる。
【0054】
好ましくは、ピストンは、少なくとも一方の側に、好ましくはその前端の領域にシフト可能に装着される。
【0055】
好ましくは、ドライブは、ドライブの起動後にピストン及び/又は短絡アーマチュアをストローク開始位置に戻す短絡アーマチュア及び/又はピストンのためのリセットデバイスを含む。好ましくは、リセットデバイスは、ストローク開始位置でそれが保持力をピストン及び/又は短絡アーマチュアに対して及ぼすように設計される。1つの可能な実施形態では、リセットデバイスは、永久磁性的に作動する。
【0056】
本発明の1つの可能な態様では、ピストンの後端は、フレーム内の開口部を通過する。好ましくは、この場合のドライブは、リセット力をピストンの後端に対して及ぼす短絡アーマチュア及びピストンのためのリセットデバイスを含む。
【0057】
ピストンは、単一部品又は多重部品設計のものとすることができる。多重部品設計では、個々の部品は、必然的にではなく好ましくは互いに剛的に接続される。
【0058】
リセットデバイスは、好ましくは、短絡アーマチュアから離れる方向に向くフレームの側に配置される。
【0059】
リセットデバイスは、ピストンの後端のための滑り軸受を含むことができる。
【0060】
好ましくは、リセット力は、永久磁性的に生成される。
【0061】
好ましくは、ピストンの後端は、軟磁性材料で形成される。ピストンの後端は、シートスタックで製作される及び/又は渦電流を低減するためにスロットを含むことができる。
【0062】
更に、リセットデバイスは、リセット力を生成する1又は2以上の永久磁石を含むことができる。特に、リセットデバイスは、好ましくは、複数の永久磁性要素及び/又は永久磁性領域の配置を含み、これは、ピストンの後端が配置の切り欠きの中に益々移動するという点でピストンが戻された時に閉じる磁性回路を形成する。特に、配置は、中空円筒の形状を有することができる。
【0063】
配置は、更に、Halbachアレイを形成することができる。
【0064】
本発明の1つの可能な態様では、ドライブは、コンデンサアセンブリ及びスイッチを含み、スイッチを閉じることにより、コンデンサアセンブリの放電が励振コイルを通じて達成され、それによって短絡アーマチュア及びピストンは、それらのストローク開始位置から出るように加速される。
【0065】
本発明は、上述のように、電気力学ドライブを有する釘締めデバイスを更に含む。特に、釘締めデバイスの電気力学ドライブは、励振コイル、軟磁性フレーム、及び軸に沿って移動可能に装着された短絡アーマチュアを含み、フレームは、少なくとも1.0Tの飽和磁束密度及び/又は106S/mよりも大きくない有効比導電率を有する。好ましくは、励振コイル及び/又はフレームは、張力緩和のための少なくとも1つの手段を含む。
【0066】
好ましくは、ドライブは、更に、詳細に上述したように設計される。
【0067】
本発明による用語「釘」は、いずれの特定の形状も要求しない。特に、用語「釘」は、ボルト、ピンなども含む。しかし、特に、本出願の意味での釘は、ピン形状部分を有する締結要素である。
【0068】
1つの可能な実施形態では、手持ち式釘締めデバイスは、
-少なくとも1つのコンデンサと、
-少なくとも1つの電気化学エネルギストレージデバイスと、
-少なくとも1つのスイッチングコンバータと、
-少なくとも1つのスイッチと、
-ピストンと、
-短絡アーマチュアとピストンとのためのリセットデバイスと、
を更に含み、釘を締結するために、コンデンサは、最初に、スイッチングコンバータを用いて電気化学エネルギストレージデバイスから電気エネルギで充電され、その時点で、スイッチは、励振コイルを通じてコンデンサの放電を達成するために閉じられ、その時点で、短絡アーマチュア及びピストンは、それらのストローク開始位置から出るように加速され、ピストンは、釘を打ち込むのに使用され、その後に、リセットデバイスは、ピストン及び短絡アーマチュアをストローク開始位置の中に戻すのに使用される。
【0069】
1つの可能な実施形態では、適正起動作動中の電気力学ドライブは、電気ドライブの容積に各々基づいて100kN/lよりも大きい、好ましくは200kN/lよりも大きい、より好ましくは300kN/lよりも大きい最大力密度を有する。最大力密度は、短絡アーマチュアに作用する最大ローレンツ力及び電気力学ドライブの容積の商であるように理解される。電気力学ドライブは、フレーム、励振コイルの巻線空間、及びフレームの中に下がる短絡アーマチュアの一部を含み、特に、それらから構成される。
【0070】
好ましくは、電気力学ドライブの容積は、従って、フレーム、励振コイルの巻線空間、及びフレームの中に下がる短絡アーマチュアの一部の容積の合計として定義される。短絡アーマチュアがフレームの中に下がらない時に、電気力学ドライブの容積は、従って、好ましくは、フレームと励振コイルの巻線空間との容積の合計として定義される。
【0071】
1つの可能な実施形態では、電気力学ドライブは、適正起動作動中に力最大値での最大力密度を有する。
【0072】
1つの可能な実施形態では、手持ち式釘締めデバイスは、デバイスをリセットする時、すなわち、短絡アーマチュア及びピストンをそれらのそれぞれのストローク開始位置の中に戻す時に短絡アーマチュアと第1の励振コイル間の機械的接触が防止されるように形成され、又はそのような追加デバイスを含む。
【0073】
好ましくは、特にフレームを通過するスクリューの形態の短絡アーマチュア及び/又はピストンのための調節可能ストップが与えられる。特に、フレーム又はフレームの張力緩和は、ストップとして機能する。
【0074】
1つの可能な実施形態では、釘締めデバイスの締結エネルギ、特に、1又は2以上のコンデンサを充電することによって達成可能な締結エネルギは、≧10J、好ましくは≧100J、好ましくは≧200Jである。
【0075】
少なくとも1つのコンデンサは、好ましくは、フィルムコンデンサ又はホイルコンデンサである。
【0076】
1つの可能な実施形態では、手持ち式釘締めデバイスは、締結デバイス自体のハウジングによって少なくとも部分的にそのハウジングが形成される電解コンデンサ又はフィルム又はホイルコンデンサを含み、コンデンサのリールは、従って、それ自体の完全なハウジングを有していない。
【0077】
好ましくは、締結デバイスのハウジングは、リールの領域では金属性であり、より好ましくは、アルミニウム合金で製造される。
【0078】
リールの領域では、締結デバイスのハウジングは、特にヒートシンクの方式で構造化された面を有することができる。
【0079】
1つの可能な実施形態では、電気化学エネルギストレージデバイスは、蓄電池である。
【0080】
1つの可能な実施形態では、少なくとも1つスイッチは、半導体スイッチ、特にサイリスタである。
【0081】
本発明は、上述のような電気力学ドライブによって駆動される電気ハンマーを更に含む。
【0082】
本発明は、上述のような電気力学ドライブによってその衝撃機構が駆動されるか又はそのようなドライブによって形成される衝撃ボール盤を更に含む。
【0083】
本発明は、上述のような電気力学ドライブを有するアーク故障保護デバイスを更に含む。
【0084】
1つの可能な実施形態では、アーク故障保護デバイスは、少なくとも1つの電気絶縁板及び少なくとも1つの金属導電ボルトを更に含み、本発明による電気力学ドライブは、外部手段による偶発的アークの検出が、ボルトが電力を偶発的アークから引き出すために電気絶縁板を突破して単相又は多相短絡を達成するように電気力学ドライブによって加速されるという事実に至るように起動される。
【0085】
本発明は、上述のような電気力学ドライブを含んで電気スイッチを開くのに使用される電気スイッチ、特に電力スイッチを更に含む。
【0086】
本発明は、そのような電気スイッチを含む短絡電流制限器を更に含む。短絡の検出の結果として電気力学ドライブがスイッチを開くように起動されること、及び1又は2以上のインダクタンス及び/又はヒューズが電気スイッチと並列に電気的に接続されることが規定される。短絡の検出は、外部手段によって達成することができる。そのような手段は公知である。
【0087】
本発明は、上述のようなスイッチを有する直流回路を分離するための混成スイッチを更に含み、混成スイッチは、2つの並列電流路を含み、第1の電流路は、オフにされる電流が第2の半導体スイッチを含む第2の電流路に主として方向を変えるという主旨で、第1の半導体スイッチを用いて遮断することができ、第1の半導体スイッチは、第2の半導体スイッチよりも低い遮断容量及び小さい直列抵抗を有し、本発明によるスイッチは、第1の半導体スイッチと直列に及び第2の半導体スイッチと並列に接続され、半導体スイッチは、好ましくはそれ自体が直列及び/又は並列接続の形態のいくつかの個々の半導体スイッチから構成される。
【0088】
ここで例示的実施形態及び図面を参照して本発明を詳細に以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【
図1】本発明によるドライブの第1の例示的実施形態を通る縦断面図である。
【
図2】単に回転対称構成の半分を示す縦断面での本発明によるドライブの第2の例示的実施形態の詳細図である。
【
図3】軟質磁気フレームが
図1に示す例示的実施形態に構成されたセグメントを通るいくつかの軸方向断面を示す図である。
【
図4a-d】リセットデバイスを有する本発明によるドライブの別の例示的実施形態を示す図である。
【
図5】本発明による釘締めデバイスの例示的実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0090】
以下の説明は本発明のより深い理解をもたらす役目をし、専ら例として見なされ、決して制限的な意味で理解されないものとする。
【0091】
ABBの上述の具体的な用途とは対照的に、例示的実施形態において「磁束集線装置」として構成されたフレーム(10)は、少なくとも1.5Tの飽和磁束密度及び106S/mよりも大きくない有効導電率を有する軟磁性複合材料(以下、「軟磁性複合物」に対するSMC)及び/又は1又は2以上の軟磁性シートスタックで形成される。好ましくは、フレームは、比導電率<104S/m、飽和磁束密度Bs≧1.9T、及び最大相対透磁率μr≧50を有するSMCで形成される。更に、強度要件に関して、フレーム材料は、高い降伏点を有するように選択しなければならない。本発明の達成に適切なSMCは、銘柄名Somaloyの下で公知であり、かつ利用可能である。
【0092】
従来的に、SMCは、既知の磁鉄コバルト合金(例えば、Vacoflux)の高い飽和磁束密度に達していない。しかし、本発明によって目指し、本発明が目的とする高い動特性に鑑みて、この事実は、殆どの個々の場合に、SMC内の渦電流の有効減衰よりも遥かに重要ではなくなっている。
【0093】
公知の軟磁性合金を用いると(固体材料として)、動特性及び効率のような本発明によって望ましい特性は、十分に達成することができない。
【0094】
本発明の別の本質的態様は、駆動コイル及び/又はフレームの張力緩和にあり、その理由は、本発明による望ましい特性は、非常に高い磁気圧力時にのみ達成することができ、それによって強い構造張力が各起動作動においてドライブ上に生じるからである。いわゆるマルエージング鋼で製造されたエンクロージャ(20)の他に、例えば、特に、繊維複合体もフレーム(10)の張力緩和に対して考慮することができる。コイル(30)の張力緩和に関して、高強度繊維又は織物をコイルの導体を用いて埋め込むか、又は高強度繊維又は布地をコイルの導体に巻き付けることが可能である。繊維材料は、引張強度の他に、好ましくは、導体自体より高い引張係数を有するように選択される。最後に、コイルは、埋め込む又はオーバーモールドすることができ、埋込化合物は、好ましくは、一方でポリマーに対してかなり高い固有の強度、高い降伏点、及び高引張係数を有し、他方でできるだけ強固に導体、又は塗面、並びに繊維材料自体に付着するように選択される。ドライブがコイルの有意な熱的負荷を生じる条件下で作動される場合に、埋込化合物も高い熱伝導率を有するように選択され、この目的のために、埋込化合物自体は、例えば、充填剤としてAlNで相応に充填することができる。
【0095】
コイルは、恐らくは、冷却デバイス、特に、能動的又は受動的な液冷を備えることもでき、及び/又は軟磁性フレームへのコイルの確実な熱接続をもたらすことができ、これは、次に、それ自体ヒートシンクと熱的に接続することができる。
【0096】
最後に、本発明を具体的な例を参照して説明する。
図1及び
図2は、回転可能に軸(1)に関して対称形の軟磁性フレーム(10)を有するドライブの第1及び第2の例示的実施形態の縦断面を示し、軟磁性フレーム(10)は、公知のポット磁石のフレームと形状が類似のものであり、円形の下縁、マルエージング鋼(20)の張力緩和エンクロージャ、フレーム(10)と直接的又は間接的に当接する第1の励振コイル(30)を伴い、第1の励振コイル(30)は、例えば、繊維強化された平坦ワイヤで形成され、埋め込まれ、表皮作用を制御するために各個々の巻線は、平行に接続されたいくつかの薄い(平坦な)ワイヤのストランドと、高強度(硬化可能な)アルミニウム合金(例えば、7068)で製造され、コイルに対面する側に優れた導電性の(ここでは、例えば)純粋なCuの電気的に非常に伝導性のリング(41)が組み込まれている短絡アーマチュア(40)との方式で形成することができる、
【0097】
これに代えて、リング(41)(純金属と比較して実質的に増大した強度を有するが、かなり良好な導電率を有するCu又はAl又はCu合金又はAl合金の)を密着的に又は着実に接続することができ、例えば、リング(41)は、残りの短絡アーマチュア(40)と同じ内側及び外側半径を有し、その側の短絡アーマチュア(40)は、第1の励振コイル(30)に対面する。
【0098】
具体的なドライブの全ての強度要件の遵守は、好ましくは、計算機シミュレーション(FEM)の助けを借りた用途の場合に対して決定されるものとする。
【0099】
図1では、円筒ジャケットの形態のエンクロージャ(20)は、軸方向の長さ全体に沿ってフレーム(10)の円周を取り囲む張力緩和として使用される。
図2では、エンクロージャ(20)は、他方で、底側領域を円筒ジャケットに加えて有する。
【0100】
その外周上で、短絡アーマチュアは、滑り軸受(42)を有し、滑り軸受(42)と共に短絡アーマチュアは、ドライブのハウジング(50)内に軸方向に移動可能に装着される。短絡アーマチュア(40)は、軸方向に延びるピストン(45)に接続され、ピストン(45)は、短絡アーマチュアによって生成された力の伝達に寄与する。短絡アーマチュアから進んで、ピストンは、ハウジングの内部を通って延び、ピストンガイド(49)を通って延びる。好ましくは、ピストン(45)はまた、摺動的に装着される。
【0101】
好ましくは、ドライブが戻ると第1の励振コイル(30)上への短絡アーマチュア(40)の(堅固な)締結を安全に防止し、従ってこのコイルの損傷の可能性を回避するデバイス又は設計が使用される。
【0102】
ハウジングは、ドライブが対応するEMC判断基準を満たすシールドとして機能することができる。好ましくは、従って、ハウジングは、アルミニウム及び/又はアルミニウム合金で製作される。
【0103】
特に、合金7068のような硬化可能アルミニウム合金は、高い導電率を高い機械的強度及び十分な耐食性と組み合わせるので硬化条件で使用することができる。
【0104】
更に、シールドとして、ドライブはまた、高い飽和分極を有する必要がある高透磁率軟磁性材料(例えば、μ-金属)の好ましくは薄い外側エンクロージャを含むことができる。特に本明細書で考慮することができるものは、飽和磁束密度>1T(及び取りわけ>1.2T)を有する軟磁性金属ガラス又はナノ結晶材料のμ金属よりも明確に優れたホイルである。
【0105】
図1では、ピストン(10)の又はフレーム(10)に対面する短絡アーマチュア(40)の面(43)は、従って、ストローク開始位置における短絡アーマチュアの位置が定義されるストップとして設計される。ストップ(43)は、フレーム(10)と協働することができる。
【0106】
好ましくは、しかし、ストップ(43)は、短絡アーマチュア(40)の底部側端部又はリング(41)の励振コイル(30)までの距離をストローク開始位置に調節することができる調節要素と協働する。例えば、スクリューは、フレーム(10)のボア(14)を通って案内することができ、調節可能なカウンタ-ストップとして機能することができる。それによって短絡アーマチュア(40)の底部側端部又はリング(41)がストローク開始位置に戻される時に励振コイル(30)を損傷することを防止することができる。
【0107】
図3は、フレーム(10)を(円形セグメントのフレームの外側領域において)複数の部品で形成することができることを示し、作動において、これは、互いに対する部品のある一定の移動を提供し、それによって比較的脆性のSMCの損傷を回避することができる。フレーム部品は、同様に可能であれば互いに埋め込むか又は接着結合され、SMCと化学的に適合する高い降伏点でよく付着する中実エラストマーを好ましくは埋込化合物又は接着剤として選択しなければならない。
【0108】
図1に概略的に示す第1の励振コイル(30)までのリード(52)は、フレームの使用可能な磁気断面がこれらの回避不能なリードによって可能な限りほとんど損なわれないように達成しなければならない。ドライブを作動するために、コンデンサ又はコンデンサバンク(58)は、スイッチ(56)、特にサイリスタによって励振コイル(30)を通じて放電することができる。更に、惰性走行ダイオードが、コンデンサ又はコンデンサバンクの接続(59)間に設けられる。特に、ホイルコンデンサ及び/又はフィルムコンデンサが使用される場合に、コンデンサ又はコンデンサバンクも恐らくは割愛することができる。
【0109】
コントローラ(55)は、スイッチ(56)を起動し、スイッチングコンバータ(54)を通してコンデンサ又はコンデンサバンクの充電を更に実行する。
【0110】
スイッチ(56)は、好ましくは半導体スイッチ、特に、サイリスタである。
【0111】
重量要件を満たすために、最高要求もスイッチングコンバータに課される。好ましくは、スイッチコンバータは、半導体スイッチ、特に、大きいバンドギャップ(例えば、SiC MOSFET)及び良質の磁心材料(結局、個別の空隙を有する軟磁性金属ガラス及び/又はナノ結晶合金の磁心)を有する半導体スイッチを含む。
【0112】
いずれにしても通常は非常に少ない数の巻回を考慮すると、低いコイルの自己誘導が短絡アーマチュアによって更に短絡されるので、この構成の初期インダクタンスは非常に低く、これは、そもそも非常に大きい動特性をもたらす。サイリスタをあまりに高い電流上昇率dl/dtから保護するために、例えば、飽和高透磁率トロイダル磁心を通してリードをドライブに案内すること(「磁気スイッチ保護」)により、飽和インダクタンス(いわゆる「可飽和リアクター」)を導入することが推奨される場合がある。そうでない場合に、全ての構成要素のインピーダンスを本発明によるドライブの外側配線の設計において考慮に入れる必要がある。励振コイルの巻回数は、電圧供給源のインピーダンス及び機械荷重の両方に対して調節する必要があり、機械荷重は、例えば、短絡アーマチュア、及びピストンのような短絡アーマチュアと恐らくは接続された更なる部品の質量によって形成される。所与の一定容量及び巻回数では、本発明によるドライブの電気的な効率は、加速される特定の質量で及びドライブに接続された機械荷重で最大値を有する。多くの場合に、図中に開示するドライブ幾何学的形状は、ドライブの最適化を行う必要がなく、非常に動的なドライブをこの点で用途に対して直接に設計するのに適している。一般的に、ドライブは、励振コイル(30)が最初に短絡アーマチュア(40)を反発するという点で作動し、関連の「力定数」は、距離の増大と共に急速に減少する。すなわち、所与の信号では、反発するローレンツ力は、励振コイル(30)と短絡アーマチュア(40)の間の距離が小さいほど増大する。従って、ストローク開始位置では、励振コイル(30)及び短絡アーマチュア(40)は、互いに対して可能な限り近くに配置しなければならない。
【0113】
電解コンデンサがコンデンサとして使用される場合に、コンデンサの激しい加熱が、比較的高い内部抵抗に起因して起動作動中に発生する可能性がある。この問題を軽減するために、電解コンデンサをまだ起動作動中にオフにすることを含むことができる。これは、好ましくは、半導体スイッチを遮断することにより、又は特に惰性進行ダイオードの形態の惰性進行可能性によって達成される。
【0114】
電解コンデンサのオーム抵抗/実内部抵抗は、コイルの抵抗にほぼ対応する。好ましくは、電流最大値に到達した後に電解コンデンサの放電を遮蔽するように規定され、一方、電解コンデンサは、まだ部分充電状態であり、電解コンデンサからの静電エネルギの殆どは、ドライブセクションにおいて磁場エネルギに変換済みである。
【0115】
磁場とリンクした電流は、更に、かなり低いインピーダンスの惰性進行ダイオード又は別の低い抵抗の惰性進行デバイスにわたって流れることができ、別の低い抵抗の惰性進行デバイスは、好ましくは、電解コンデンサ自体よりも低い有効損失抵抗を有する。このようにして、磁場エネルギは、電解コンデンサでは、例えば、電解液中で熱に不要に変換されない。
【0116】
従来のサイリスタは、直接にオフにすることができない。これに代えて、GTO、IGBT、IGCT、MCTを使用することができ、これらは、オフにすることができるが、比較的高い費用も発生する可能性がある。しかし、同じく可能であることは、同時にオフにするか又は電流の極性をSCR1のゲートに変えることによる特に比較的小さい第2のサイリスタ(「補助バルブ」)及び(小さい)スロットルによるサイリスタ(SCR1)での電流方向の短い逆転である。
【0117】
しかし、好ましくは、ホイルコンデンサ及び/又はフィルムコンデンサが使用され、これは、低い内部抵抗に起因してそのようなオフ切り換えが不要である。
【0118】
ホイル及び/又はフィルムコンデンサは、常に依然として電解コンデンサを使用して達成することができるものよりも低いエネルギ密度を有するが、ホイル及び/又はフィルムコンデンサは、異常に低い電気直列抵抗(ESR)を有することができる。この低い電気直列抵抗は、効率をかなり増大させることができる。
【0119】
ホイル及びフィルムコンデンサの別の利点は、双極であるということに見ることができる。それらは、極性が逆転されるのに耐えることができ、その結果、惰性進行ダイオードは、恐らくは割愛することができる、これは、重量の関連の低減に起因して、特に手持ち式デバイスの場合に助けになる。
【0120】
並列に接続された電解コンデンサ及びホイル/フィルムコンデンサの組合せが同様に可能である。
【0121】
ホイル/フィルムコンデンサでは、1つの均衡、すなわち、エネルギ密度対ESRを行わなければならない。ここで、最適条件(重量/効率-用途事例に依存する)は、数値的に決定しなければならない。
【0122】
ドライブは、依然として、ピストン(45)及び/又は短絡アーマチュア(40)を戻すためのデバイス(80)を含み、これは、
図1では単にボックスとして抽象的な形に示されており、ここで、
図4a~
図4dを参照して例示的実施形態によって再度説明する。
図4c及び
図4dは、2つの端部位置におけるドライブの移動の軸に沿った断面図でリセットデバイスを示している。
【0123】
ピストン戻りは、例えば少なくとも1つのストローク長だけのピストンの移動方向に沿った空間延長を有する軟磁性要素(120)によって例えば達成することができ、軟磁性要素(120)は、好ましくは、ロッド形状に、例えば、ロッド形状のシートスタック又はスロットを有する軟磁性ロッドに設計される。軟磁性要素(120)は。ピストンに接続され、好ましくは剛的に接続され、及び/又はピストンの後端を形成する。軟質磁気要素は、好ましくは、フレームを通過する軸方向の開口部(14)を通って延び、例えば、ドライブの底面の背後に配置される。
【0124】
軟磁性要素に沿って、永久磁石(PM)の配置(100)が存在し、これは、軟磁性要素(120)が配置の中に益々移動するという点でピストンが戻ると益々閉じる磁性回路を形成する。
【0125】
永久磁石の磁束は、完全に又は主として軟磁性部品に移動方向に対して垂直に案内される。永久磁石は、そうでなければ必要な「後方イオン」を低減し、従って、重量を低減し、依然として最小限の漂遊磁場をもたらすために、いわゆるHalbachアレイの方式で形成することができる。
【0126】
図4a及び
図4bでは、そのような配置の2つの異なる態様が示されており、矢印は、永久磁性要素及び/又領域の分極の方向を示している。これらは、各々がHalbachアレイの形態にある配置である。
【0127】
Halbachアレイを用いて、特に
図4bに従って、例えば、永久磁石によって生成された磁束を移動可能な軟磁性要素(120)を通して主として横断方向に案内することが可能である。従って、水平作動式ドライブ内の移動方向に沿って、例えば、「磁力線」は、下から「鉄」に入り、上部で「鉄」から出る。次に、(磁力線に沿った、すなわち、移動方向に対して直交方向の)鉄の横移動により、磁場エネルギの小さい変化が生じるだけであり、こういう理由で、そのような配置は、横断方向の磁力からほとんど完全に自由であり、横断方向の磁力は、そうでなければ、例えば、軸受、例えば、軟磁性要素を案内する滑り軸受に負荷を与えると考えられる。
【0128】
永久磁石の配置内で、滑り軸受(110)が軟質磁気要素に対して設けられる。永久磁石の配置は、好ましくは、軟質磁気要素及び/又は滑り軸受を環状に取り囲み、及び/又は中空円筒の形状を有する。
図5は、ここでは、
図1及び/又は
図4に詳細に示すような本発明によるドライブを有する本発明による釘締めデバイスの例示的実施形態を示している。従って、電気力学ドライブに関して上述の図を参照する。
【0129】
ドライブの構成要素の他に、すなわち、第1の励振コイル(30)、軟磁性フレーム(10)、軸(1)に沿って移動可能に装着された短絡アーマチュア(40)、及び張力緩和(20)の他に、手持ち式釘締めデバイスは、少なくとも1つのコンデンサ(58)、特に少なくとも1つの電気化学エネルギストレージデバイス(53)の形態の蓄電池、スイッチングコンバータ(54)、スイッチ(56)、ピストン(45)、及び短絡アーマチュア(40)及びピストン(45)のための同じく単に概略的に示すリセットデバイス(80)を更に含む。釘(70)を締結するために、コンデンサ(58)は、最初に、スイッチングコンバータ(54)によって電気化学エネルギストレージデバイス(53)から電気エネルギで充電され、その時点で、スイッチ(56)は、励振コイル(30)を通してコンデンサ(58)の放電を達成するために閉じられ、その時点で、短絡アーマチュア(40)及びピストン(45)は、ストローク開始位置から出るように加速され、ピストン(45)が釘(70)を打ち込むのに使用され、その後に、リセットデバイス(80)は、ピストン(45)及び短絡アーマチュア(40)をストローク開始位置の中に戻すのに使用される。
【0130】
釘の打ち込みは、例えば、釘締めデバイスの前側に配置されたマガジン(68)内に設けられた釘(70)に衝突するピストン(45)の先端によって達成される。
【0131】
釘締め作動は、例えば、キー(63)を押すことによってトリガスイッチ(52)を起動することによってトリガされる。しかし、コントローラ(55)は、釘締めデバイスの先端が接触した時に釘締め作動のトリガのみを可能にし、接触は、接触スイッチ(66)を通して検出される。コントローラ(55)は、接触スイッチ(66)及びトリガスイッチ(52)に問い合わせて、スイッチングコンバータ(54)及びスイッチングコンバータ(56)を起動する。
【0132】
釘締めデバイス(60)は、ピストンの運動エネルギを吸収するのに、かつ恐らくは釘を仕事の有意な消費なしに締結することができる場合にデバイスの破壊を防止するのにも適する緩衝器(65)を更に含む。本発明の場合に、緩衝器は、ハウジング(50)の出口に設けられる。
【0133】
ドライブの他に、釘締めデバイスのハウジング(61)は、更に、本発明の場合にドライブの背後に軸方向にハウジングに配置されたコンデンサ(58)を同じく取り囲む。
【0134】
ハウジングは、コンデンサの外側ハウジングとして機能することができ、従って、コンデンサは、それ自体のエンクロージャは不要である。コンデンサ(58)の領域では、ハウジングは、好ましくは、高い熱伝導率及び従ってコンデンサの良好な冷却を保証するために金属で製作される。
【0135】
釘締めデバイスのハウジングは、キー(63)がその上に配置されたハンドル領域(62)を含む。特に蓄電池の形態の電気化学エネルギストレージデバイス(53)は、好ましくは、電気化学エネルギストレージデバイスを交換することができるように残りのハウジングと解除可能に接続可能である個別のハウジング部品(64)に配置される。
【符号の説明】
【0136】
10 フレーム
20 エンクロージャ
40 短絡アーマチュア
45 ピストン
50 ハウジング