(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】防災装置
(51)【国際特許分類】
A62C 35/20 20060101AFI20240513BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
A62C35/20
G08B17/00 G
(21)【出願番号】P 2023047593
(22)【出願日】2023-03-24
(62)【分割の表示】P 2019048076の分割
【原出願日】2019-03-15
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【氏名又は名称】竹内 進
(74)【代理人】
【識別番号】100228669
【氏名又は名称】竹内 愛規
(72)【発明者】
【氏名】松熊 秀成
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-229108(JP,A)
【文献】特開2003-290379(JP,A)
【文献】実公昭42-014357(JP,Y1)
【文献】特開2015-018445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00-99/00
G08B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納ケースの前面に所定の機能を有する2つの機能ユニットが並び配置された防災装置であって、
前記収容ケースの前面を介して一方の側面から他方の側面にかけて表示面を有する表示灯を備え
、
前記表示灯は、前記2つの機能ユニットの並び方向について、前記表示面の正面中央部並び方向寸法に比べ、前記表示面の側部並び方向寸法が大きく形成されたことを特徴とする防災装置。
【請求項2】
請求項1記載の防災装置に於いて、
前記表示灯は、前記2つの機能ユニットの並び方向
の一方の側面から他方の側面にかけて連続した表示面を有することを特徴とする防災装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の防災装置に於いて、
前記2つの機能ユニットは、少なくとも一方が音響孔領域又は発信機であることを特徴とする防災装置。
【請求項4】
収納ケースの前面に複数の音響孔を有する音響孔領域と発信機が並び配置された防災装置であって、
前記収容ケースの前面を介して一方の側面から他方の側面にかけて表示面を有する表示灯を備え、
前記表示灯は、前記音響孔領域の一部又は前部と前記表示面が重複し、当該重複した部分は、前記音響孔に対応する位置に開口を備えたことを特徴とする防災装置。
【請求項5】
請求項4記載の防災装置に於いて、
前記表示灯は、前記音響孔領域及び前記発信機の並び方向について、前記表示面の正面中央部並び方向寸法に比べ、前記表示面の側部並び方向寸法が大きく形成されたことを特徴とする防災装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示灯、音響孔及び発信機を備え、火災時などに操作して異常発生を知らせる防災機器収容箱、消火栓装置等の防災装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防災機器収容箱には、発信機と表示灯(この場合、位置表示灯)が設けられ、更に、内蔵したベルやブザーに対応して音響孔が設けられている。
【0003】
位置表示灯は赤色表示灯を使用し、常時点灯して防災機器収容箱の位置を示して、非常の際に周囲の人に発信機の場所を認識させる。発信機は、発信機カバーに配置された保護板を押し込むことにより押釦スイッチをオン操作し、受信機へ火災通報信号を送信して警報させる。受信機は発信機からの火災通報信号を受信して火災警報を出力した場合、火災通報信号を送信した防災機器収容箱に地区音響信号を送出し、これにより防災機器収容箱のベルやブザーを鳴動して火災警報音を出力させる。
【0004】
ところで、従来の防災機器収容箱に設けられた位置表示灯は、側方からの視認性を向上するために、パネル面から前方に表示カバーが数センチ程度突出した赤色表示灯を設けているが、近年にあっては、前方への突出を抑えて物が当たらないようにして破損を防止し、更に、意匠性を高めるようにしたフラット型の位置表示灯が普及している。
【0005】
また、このように位置表示灯、音響孔及び発信機を備える防災装置として、例えば消火栓装置も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平9-102085号公報
【文献】意匠登録第1005289号公報
【文献】意匠登録第1138299号公報
【文献】特開2016-059647号公報
【文献】特開2015-018445号公報
【文献】特開2007-229108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の位置表示灯をフラット型とした防災装置にあっては、側方からの視認性が十分でない場合があった。或いは、側方からの視認性を確保するために、表示灯の突出量を抑えること、薄型化することに限界があった。また、このため、位置表示灯や防災装置の意匠性を高めるための自由度が低いという問題があった。
【0008】
本発明は、表示灯による前方及び側方からの視認性を確保しつつ、表示灯及び発信機の並び方向の寸法を小さくし、意匠性を向上させ、さらに取扱性を向上させることを可能とする防災装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(防災装置1)
本発明は、収納ケースの前面に所定の機能を有する2つの機能ユニットが並び配置された防災装置であって、
収容ケースの前面を介して一方の側面から他方の側面にかけて表示面を有する表示灯を備え、
表示灯は、2つの機能ユニットの並び方向について、表示面の正面中央部並び方向寸法に比べ、表示面の側部並び方向寸法が大きく形成されたことを特徴とする。
【0010】
(連続した表示面)
表示灯は、2つの機能ユニットの並び方向の一方の側面から他方の側面にかけて連続した表示面を有することを特徴とする。
【0011】
(2つの機能ユニット)
2つの機能ユニットは、少なくとも一方が音響孔領域又は発信機である。
【0012】
(防災装置2)
収納ケースの前面に複数の音響孔を有する音響孔領域と発信機が並び配置された防災装置であって、
収容ケースの前面を介して一方の側面から他方の側面にかけて表示面を有する表示灯を備え、
表示灯は、音響孔領域の一部又は全部と表示面が重複し、当該重複した部分は、音響孔に対応する位置に開口を備えたことを特徴とする。
【0013】
(音響孔領域及び発信機の並び方向の寸法関係)
表示灯は、音響孔領域及び発信機の並び方向について、表示面の正面中央部並び方向寸法に比べ、表示面の側部並び方向寸法が大きく形成される。
【発明の効果】
【0014】
(基本的な効果)
本発明は、収納ケースの前面に音響孔領域と発信機が並び配置された防災装置であって、収容ケースの前面を介して一方の側面から他方の側面にかけて表示面を有する表示灯を備え、表示灯は、音響孔領域及び発信機の並び方向について、表示面の正面中央部並び方向寸法に比べ、表示面の側部並び方向寸法が大きく形成されたため、音響孔領域、表示灯及び発信機の並び方向の寸法を縮小しつつ、側方からの高い視認性が確保され、表示灯全体としての視認性を向上させることができる。また、表示灯の表示面が正面中央部並び方向寸法に比べ側部並び方向寸法を大きくしたことで、新たな意匠性が得られ、意匠性を高めることができる。
【0015】
(音響孔及び発信機と表示灯表示面の並び方向の寸法関係による効果)
また、表示灯の表示面における正面中央部並び方向寸法を、音響孔領域及び発信機の並び方向寸法より小さくし、表示面の側部並び方向寸法を、音響孔領域及び発信機の並び方向寸法と略同等以上にしたため、音響孔領域、表示灯及び発信機を並び配置した場合に、並び方向の寸法を縮小化するバランスの採れた並び配置となり、表示面の側部並び方向寸法が音響孔領域及び発信機と並び方寸法と略同等以上になることで、前方からの視認性を損なうことなく側方からの高い視認性が確保され、意匠性も高めることができる。
【0016】
(表示灯の配置位置による効果)
また、表示灯は、音響孔の領域と発信機の間、音響孔の領域と発信機を両側から挟む位置、若しくは、発信機の一部を囲む位置に設けられたため、収納ケース前面に配置された音響孔と発信機の空きスペースを利用して様々な表示面の形状と配置を行うことができ、前方及び側方からの表示灯の視認性の確保に加え、表示面の配置や形状の自由度が高く、意匠性を高めることができる。
【0017】
また、表示灯を発信機の一部を囲む位置に設けられた場合には、表示灯により発信機が指し示されることで、利用者が操作する際に迷うことがなく、発信機の操作性を向上できる。
【0018】
(表示灯の面一表示面による効果)
また、表示灯の前面の表示面は、収容ケースの前面と略面一に設けられ、表示灯の側面の表示面は、収容ケースの側面と略面一に設けられたため、表示灯の表示面は収納ケースの前面又は前面及び側面に沿った略平坦となることで、収容ケース面からの表示灯の突出を抑えることができ、また前方及び側方からの視認性を向上させる様々な表示パターンを容易に形成することができる。
【0019】
(発信機の面一配置による効果)
また、発信機は、収容ケースの前面と略面一となるように設けられたため、発信機の前面は収納ケースの前面に沿った略平坦となることで、収容ケース面からの発信機の突出を抑えることができ、意匠性の向上等が見込める。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の防災装置の例として収容ケースのパネル前面から側面にH型の表示面を有する位置表示灯を配置した防災機器収容箱の第1実施形態を示した説明図
【
図2】
図1の防災機器収容箱の分解構造を示した説明図
【
図3】
図1のX-X断面により位置表示灯の内部構造を示した断面図
【
図4】音響孔領域と発信機の間に略H型の位置表示灯の表示枠の表示面を収容ケースのパネル前面に設けた防災機器収容箱の第2実施形態を示した説明図
【
図5】音響孔領域と発信機の間に略つづみ型の位置表示灯の表示枠の表示面を収容ケースのパネル前面及び側面に設けた防災機器収容箱の第3実施形態を示した説明図
【
図6】音響孔領域と発信機を挟んで位置表示灯の表示枠の表示面を収容ケースのパネル前面及び側面に設けた防災機器収容箱の第4実施形態を示した説明図
【
図7】発信機の下側を囲んで位置表示灯の表示枠の表示面を収容ケースのパネル前面及び側面に設けた防災機器収容箱の第5実施形態を示した説明図
【
図8】発信機を略門型に囲んで位置表示灯の表示枠の表示面を収容ケースのパネル前面及び側面に設けた防災機器収容箱の第6実施形態を示した説明図
【
図9】防災装置の前面と側面のつなぎ目の実施形態を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の防災装置の実施形態として、所定の表示報知情報として装置の所在位置を表示する表示灯、また所定の発音報知情報として火災警報音を出力するための音響孔、スイッチ操作により火災通報信号を出力する発信機を備えた防災機器収容箱を例にとって説明する。
【0022】
図1は本発明の防災装置の例として収容ケースのパネル前面から側面に略H型の表示面を有する位置表示灯を配置した防災機器収容箱の第1実施形態を示した説明図である。
【0023】
[実施形態の基本概念]
本実施形態の基本概念は、防災機器収容箱10であって、カバープレート10a(パネル)と本体10bで構成される収容ケースの前面13a及び側面13bに表示面15を有する略H型の表示枠28aを持つ位置表示灯14を設けることを特徴とするものであり、
図1(A)に示すように、略H型の表示枠28aは、発信機12と音響孔16の並び方向について、正面中央部並び方向寸法L1に比べ側部並び方向寸法L2を大きくしたものであり(L1<L2)、音響孔16、位置表示灯14及び発信機12の並び方向の寸法を縮小しつつ、側部並び方向寸法L2を大きくしたことで側方からの高い視認性が確保され、表示灯全体としての視認性を向上させることができる。
【0024】
また、位置表示灯14の表示枠28aが前面から側面にかけて配置され、且つ、表示枠28aを略H型としたことで新たな意匠性が得られ、意匠性を高めることができる。
【0025】
[防災機器収容箱の第1実施形態]
(防災機器収容箱の概要)
図1(A)(B)に示すように、第1実施形態の防災機器収容箱10の収納ケースはカバープレート10aと本体10bで構成され、壁面等に設置した場合に露出されるカバープレート10aの露出面(前面13a)の下側に発信機12が配置され、その上側に音響孔16を開口した音響孔領域16aが配置されている。そして一般に防災機器収容箱10は音響孔領域16a、発信機12の並び方向を上下方向として、例えば音響孔領域16a側を天井側、発信機12側を床面側にして壁面等に設置される。
【0026】
各音響孔16の開口形状、大きさ、数、配列は音の出力性能、拡散性能、意匠性等を考慮して適宜選択、調整されている。
【0027】
発信機12は、その中央下部に、内蔵した押釦スイッチ20をオン操作するため透明アクリル板等を用いた保護板18と、その上部に、内部に電話ジャックを配置した保守扉22を設けている。
【0028】
位置表示灯14は、カバープレート10aの発信機12と音響孔16の間となる前面13aから側面13bに至る略H型の表示枠28aを有し、これにより位置表示灯14は防災機器収容箱10の収容ケースの前面13aと側面13bに表示面15を有することになる。
【0029】
位置表示灯14の表示枠28aの表示面は、発信機12と音響孔16の配置領域である音響孔領域16aの並び方向について、正面中央部並び方向寸法L1に比べ左右両方の側部の並び方向寸法L2を大きくしている(L1<L2)。ここで、L1を小さくすることにより音響孔領域16a、位置表示灯14及び発信機12の並び方向の寸法が従来に比べて縮小できる。
【0030】
例えば、位置表示灯14の表示枠28aにおける正面中央部並び方向寸法L1は、音響孔領域16a及び発信機12各々単体の並び方向寸法(
図1(A)の場合、音響孔領域16aの外縁(図示二点鎖線)の直径)、例えば1/2程度又はそれ以下と小さくし、表示枠28aの側部並び方向寸法L2は、音響孔領域16a及び発信機12の並び方向寸法と略同程度かそれ以上とする。
【0031】
このような表示枠28aにおける正面中央部及び側部と音響孔領域16a及び発信機12の並び方向寸法の関係により、音響孔16、位置表示灯14及び発信機12を並び配置した場合に、並び方向の寸法を縮小化するバランスの採れた並び配置となる。また、表示枠28aの側部並び方向寸法L2が音響孔領域16a及び発信機12と並び方寸法と略同程度となることで、前方からの視認性を損なうことなく側方からの高い視認性も確保され、意匠性も高めることができる。
【0032】
また更に、表示灯14の表示枠28aの左右の側部は、収容ケース側面側にも表示面15を有するようにしているため、一層、側方からの視認性が向上する。
【0033】
本実施形態で発信機12は防災機器収容箱10におけるカバープレート10aの前面13aを段落しして形成した凹部17に組み込まれ、発信機12の前面がカバープレート10aの前面13aに略面一となるよう設けられている。このように発信機12の前面が防災機器収容箱10におけるカバープレート10aの前面13aに沿った略平坦になることで、前面13からの発信機12の突出を抑えることができ、意匠性の向上等が見込める。
【0034】
(位置表示灯の構造)
図2は
図1の防災機器収容箱の分解構造を示した説明図である。
図2に示すように、防災機器収納箱10の収容ケースは、カバープレート10aと箱形の本体10bで構成され、カバープレート10aに取付けられた位置表示灯14の背後となる本体10b内の相対した位置にはブザーやベル等の音響装置24が配置され、別に設置された火災受信機からの地区音響信号により音響装置24が鳴動されると、その火災警報音を
図1(A)に示した音響孔16から出力するようにしている。
【0035】
カバープレート10aの前面の発信機配置位置には段落しによる凹部17が形成され、凹部17に発信機12が組み込まれており、発信機12の前面頂部12aはカバープレート10aの前面13から突出せず、略面一となっている。
【0036】
図3は
図1(A)のX-X断面により位置表示灯の内部構造を示した断面図である。
図3に示すように、位置表示灯14は、防災機器収容箱10の前面から両側面に至る平面から見ると(防災機器収容箱10の上側から見ると)断面略コ字形をもつ後方に開口した表示枠28aをカバープレート10aに配置している。
【0037】
表示枠28aの裏側に回路基板30が配置され、回路基板30には複数のLED32が配置されている。表示枠28aには赤色に発光する拡散透光部材を使用している。拡散透光部材はLED32による光源からの光を入射して拡散し、面発光に変換する部材であり、回路基板30に配置したLED32からの背光照明による光を拡散透光部材を用いた表示枠28aに入射して位置表示灯14の前面及び側面を略均一に赤色に面発光させる。
【0038】
なお、位置表示灯14のカバープレート10aに対する取付構造は、
図3に限定されず、適宜の取付構造とすることができる。
【0039】
このように第1実施形態にあっては、位置表示灯14の表示枠28aは、発信機12と音響孔領域16aの並び方向について、正面中央部並び方向寸法L1を小さくし、加えてL1に対し側部並び方向寸法L2を大きくしていることにより、音響孔16、位置表示灯14及び発信機12の並び方向の寸法が縮小できる。
【0040】
また、位置表示灯14に設けた表示枠28aの前面の表示面により前方からの高い視認性が確保され、同時に、表示枠28aの側部の並び方向寸法を大きくしているので、側面の表示面により側方からの高い視認性が確保され、表示灯全体としての視認性を向上させることができる。
【0041】
また、位置表示灯14の表示枠28aによる表示面が防災機器収容箱10の前面13aから側面13bにかけて配置され、より一層、側方からの視認性が向上し、且つ、略H型の表示枠28aとしたことで、新たな意匠性が得られ、意匠性を高めることができる。
【0042】
[防災機器収容箱の第2実施形態]
図4は音響孔領域と発信機の間に略H型の位置表示灯の表示枠の表示面を収容ケースのパネル前面に設けた防災機器収容箱の第2実施形態を示した説明図である。
【0043】
図4に示すように、本実施形態は、防災機器収納箱10におけるカバープレート10aの前面13の音響孔領域16aと発信機12の間に、略H型の表示枠28bを有する位置表示灯14を配置している。
【0044】
位置表示灯14の表示枠28bは、
図1の第1実施形態に設けた略H型の表示枠28aの並び方向に直交する方向の寸法を縮小して、カバープレート10aの前面13のみに表示面を配置したものである。
【0045】
表示枠28bは、
図1の表示枠28aと同様に、発信機12と音響孔領域16aの並び方向について、正面中央部並び方向寸法L1に比べ側部の並び方向寸法L2を大きくしており(L1<L2)、また、表示枠28bにおける正面中央部並び方向寸法L1は、音響孔領域16a及び発信機12の並び方向寸法の例えば1/2程度かそれ以下と小さくし、表示枠28bの側部並び方向寸法L2は、音響孔領域16a及び発信機12の並び方向寸法と略程度かそれ以上としている。
【0046】
本実施形態にあっては、防災機器収納箱10を壁面等に埋込設置した場合に露出されるカバープレート10aの露出面(前面13a)に設けられた略H型の表示枠28bを有する位置表示灯14により、音響孔領域16a、位置表示灯14及び発信機12の並び方向の寸法を縮小することができ、防災機器収納箱10を壁面等に埋込設置した場合の前方からの高い視認性が確保され、同時に、表示枠28aの側部並び方向寸法L2を大きくしたことで、側方からの高い視認性が確保され、表示灯全体としての視認性を向上させることができ、更に、略H型の表示枠28bとしたことで、新たな意匠性が得られ、意匠性を高めることができる。
【0047】
なお、本実施形態にあっては、H型の表示枠は、少なくとも一部、例えば左右の側部がカバープレート10aの露出面から、やや(例えば数ミリ程度)突出するようにしている。
【0048】
[防災機器収容箱の第3実施形態]
図5は音響孔領域と発信機の間に略つづみ型の位置表示灯の表示枠の表示面を収容ケースのパネル前面及び側面に設けた防災機器収容箱の第3実施形態を示した説明図である。
【0049】
図5に示すように、本実施形態は、音響孔領域16aと発信機12の間に、正面中央部から両側部にかけて左右(並び方向に直交する方向)に連続的に広がった略つづみ型の位置表示灯14の表示枠28cを配置しており、この表示枠28cは、収容ケースの前面から側面に至る表示面を有する。
【0050】
位置表示灯14の略つづみ型の表示枠28cは、正面中央部並び方向寸法L1に比べ側部並び方向寸法L2を大きくしており、正面中央部並び方向寸法L1は、音響孔領域16a及び発信機12の並び方向寸法の例えば1/2程度かそれ以下と小さくし、表示枠28aの側部並び方向寸法L2は、音響孔領域16a及び発信機12の並び方向寸法と略同程度かそれ以上としている。それ以外の構成は
図1の実施形態と同じになる。
【0051】
このような第3実施形態にあっては、位置表示灯14の表示枠28cの正面中央部並び方向寸法L1に比べ側部並び方向寸法L2を大きくしていることにより、音響孔領域16a、位置表示灯14及び発信機12の並び方向の寸法が縮小できる。
【0052】
また、位置表示灯14に設けた略つづみ型の表示枠28cの前面の表示面により前方からの高い視認性が確保され、同時に、表示枠28cの並び方向寸法の大きい左右の側部の表示面により側方からの高い視認性が確保され、表示灯全体としての視認性を向上させることができる。
【0053】
また、位置表示灯14の表示枠28cによる表示面が防災機器収容箱10の前面から両側面にかけて配置され、収容ケースの側面にも表示面を有するので、側方からの視認性が一層向上し、且つ、略つづみ型の表示枠28cとしたことで、新たな意匠性が得られ、意匠性を高めることができる。
【0054】
[防災機器収容箱の第4実施形態]
図6は音響孔領域と発信機を挟んで位置表示灯の表示枠の表示面を収容ケースのパネル前面及び側面に設けた防災機器収容箱の第4実施形態を示した説明図である。
【0055】
図6に示すように、本実施形態は、音響孔領域16aと発信機12を挟んで上下に一対の表示枠28dを分離配置しており、上下に分離配置した表示枠28dは収容ケースの前面から側面に至る表示面を有する。
【0056】
上下に配置した表示枠28dは、音響孔領域16a側及び発信機12側の辺を円弧状の曲線とし、発信機12と音響孔16の並び方向について、正面中央部並び方向寸法L1/2に比べ側部並び方向寸法L2/2を大きくしており、正面中央部並び方向寸法L1/2は、音響孔領域16a及び発信機12の並び方向寸法の例えば1/4程度かそれ以下と小さくし、表示枠28aの側部並び方向寸法L2/2は、音響孔領域16a及び発信機12の並び方向寸法の略1/2程度かそれ以上としている。
【0057】
ここで、上下に配置した表示枠28dは、
図5の第3実施形態の表示枠28cを並び方向で2分割し、上側を下側に、下側を上側に移動して配置したことに相当しており、上下に分離した表示枠28dを一体化すると
図5の表示枠28cと略同程度となる。これに基づき、上下に配置した表示枠28dの正面中央部並び方向寸法L1/2と側部並び方向寸法L2/2を決めている。それ以外の構成は
図1の実施形態と同じになる。
【0058】
このような第4実施形態にあっては、位置表示灯14の上下に配置した表示枠28aを正面中央部並び方向寸法L1/2に比べ側部並び方向寸法L2/2を大きくしていることにより、音響孔16、位置表示灯14及び発信機12の並び方向の寸法が縮小できる。
【0059】
また、位置表示灯14に設けた上下の表示枠28dの前面の表示面により前方からの高い視認性が確保され、同時に、表示枠28dの並び方向寸法の大きい側部の表示面により側方からの高い視認性が確保され、表示灯全体としての視認性を向上させることができる。
【0060】
また、位置表示灯14の表示枠28dが上下に分けて分離配置され、また、上下の表示枠28dは表示面が防災機器収容箱10の収容ケース前面から左右の側面にかけて配置されたことで、側方からの視認性が一層向上すると共に、新たな意匠性が得られ、意匠性を高めることができる。
【0061】
[防災機器収容箱の第5実施形態]
図7は発信機の下側を囲んで位置表示灯の表示枠の表示面を収容ケースのパネル前面及び側面に設けた防災機器収容箱の第5実施形態を示した説明図である。
【0062】
図7に示すように、本実施形態は、発信機12の下側に表示枠28eを配置しており、表示枠28eは収容ケースの前面から側面に至る表示面を有する。
【0063】
表示枠28eは、発信機12側の辺を正面中央部から左右の側部にかけて連続的に広がる円弧状としており、正面中央部並び方向寸法L1/2に比べ側部並び方向寸法L2/2を大きくしており、正面中央部並び方向寸法L1/2は、音響孔領域16a及び発信機12の並び方向寸法の例えば1/4程度かそれ以下と小さくし、表示枠28aの側部並び方向寸法L2/2は、音響孔領域16a及び発信機12の並び方向寸法の略1/2程度かそれ以上としている。
【0064】
ここで、本実施形態は、
図6に示した第4実施形態における上側の表示枠28dを取り除き、下側の表示枠28dのみとしたことに相当する。
【0065】
このように第5実施形態にあっては、発信機12の下側に配置した位置表示灯14の表示枠28eを、正面中央部並び方向寸法L1/2に比べ側部並び方向寸法L2/2を大きくしていることにより、音響孔16、位置表示灯14及び発信機12の並び方向の寸法が更に縮小できる。
【0066】
また、発信機12の下側に配置した位置表示灯14の表示枠28eの前面の表示面により前方からの高い視認性が確保され、同時に、表示枠28eの並び方向寸法の大きい側部の表示面により側方からの高い視認性が確保され、表示灯全体としての視認性を向上させることができる。
【0067】
また、位置表示灯14の表示枠28eが発信機12の下側に配置され、また、表示枠28eは表示面が防災機器収容箱10の前面から両側面にかけて配置されたことで側方からの視認性が一層向上し、且つ、新たな意匠性が得られ、意匠性を高めることができる。
【0068】
更に、発信機12側に配置された表示枠28eにより、操作部として機能する発信機12の存在がより明確に認識されやすくなるので、発信機12の位置が分かり易くなり、利用者は迷うことなく発信機12を操作することが可能となる。
【0069】
なお、本実施形態による位置表示灯14の表示枠28eは、上下に配置した
図6の第4実施形態による上下の位置表示灯14の表示枠28dに比べ表示面の面積が1/2となるが、例えば背光照明に使用するLEDの発光量を強くすること等によっても、視認性を補完することができる。
【0070】
[防災機器収容箱の第6実施形態]
図8は発信機を略門型に囲んで位置表示灯の表示枠を収容ケースのパネル前面及び側面に設けた防災機器収容箱の第6実施形態を示した説明図である。
【0071】
図8に示すように、本実施形態にあっては、位置表示灯14は発信機12を門型に囲むように表示枠28fを配置しており、表示枠28fは収容ケース前面から側面に至る表示面を有する。
【0072】
位置表示灯14の略門型の表示枠28fは、正面中央部並び方向寸法L1に比べ側部並び方向寸法L2を大きくしており、正面中央部並び方向寸法L1は、音響孔領域16a及び発信機12の並び方向寸法の例えば1/2程度かそれ以下と小さくし、表示枠28fの側部並び方向寸法L2は、図示のように音響孔領域16a及び発信機12の各並び方向寸法より大きくするか、或いは略同程度としても良い。それ以外の構成は
図1の実施形態と同じになる。
【0073】
このような第6実施形態にあっては、発信機12を囲んで配置した位置表示灯14の略門型の表示枠28fの正面中央部並び方向寸法L1に比べ側部並び方向寸法L2を大きくしていることにより、音響孔領域16a、位置表示灯14及び発信機12の並び方向の寸法が縮小できる。
【0074】
また、位置表示灯14に設けた表示枠28fの前面の表示面により、前方からの高い視認性が確保され、同時に、表示枠28dの並び方向寸法の大きい側部の表示面により側方からの高い視認性が確保され、表示灯全体としての視認性を向上させることができる。
【0075】
また、位置表示灯14の表示枠28fが略門型であり、また、表示枠28fは表示面が防災機器収容箱10の収容ケース前面から側面にかけて配置されたことで、側方からの視認性が一層向上し、且つ新たな意匠性が得られ、意匠性を高めることができる。
【0076】
更に、発信機12側を囲んで配置された略門型の表示枠28fにより、操作部として機能する発信機12の存在がより明確に認識されやすくなるので、発信機12の位置が分かり易くなり、利用者は迷うことなく発信機12を操作することが可能となる。
【0077】
[本発明の変形例]
上記の実施形態における収容ケース前面又は前面及び側面に表示面を有する位置表示灯の形状及び配置は、上記の実施形態に限定されず、必要に応じて適宜の形状及び配置とすることができる。
【0078】
また、本実施形態における収容ケース前面と側面のつなぎ目は、例えば
図9(A)の平面図に示すように、C面状(面取り状)の10cとされていても良いし、
図9(B)の平面図に示すように、R面状の10dとされていても良く、表示枠側部の、収容ケース側面の表示面はこれらの形状に沿うように形成しても良い。
【0079】
また、上記の実施形態は、収容ケースの発信機配置部に対応凹部を設けて段落としし、ここに発信機を収容することで発信機前面が収容ケースの前面と略面一になるようにしているが、収容ケース前面から発信機全面が僅かに突出するように配置することを妨げない。
【0080】
また、音響孔配置部(音響孔領域)と表示灯の表示枠又は表示面が重複することを妨げない。この場合、重複部において表示灯の、音響孔に対応する位置に適宜開口(表示灯側音響孔)を設ける等して良い。
【0081】
また、上記の実施形態にあっては、位置表示灯の表示枠に拡散透光部材を使用しているが、例えば適宜の導光部材を使用しても良い。一例として導光部材は、例えばアクリル製の導光板の裏面に反射ドットを印刷しており、導光板のエッジから入射した光をアクリルの全反射を用いてアクリル全面に導き、反射ドットに当たった光がその進路を変え、全反射角よりも小さい角度になった光がアクリル前面から出てくることを利用して、導光板全面を均一に赤く光るようにするものが採用できる。その他、公知の照明、導光、透光、光拡散方法を適用し得る。
【0082】
また、本発明は、防災機器収容箱、消火栓装置以外の防災装置にも適用できる。
【0083】
また、表示灯は、位置表示灯の他、例えば火災等の異常を表示する表示灯や、その他の表示灯であっても良い。
【0084】
また、上記各実施形態においては、表示枠の露出部全体が表示面である場合を示したが、表示枠の一部が表示面となっていても良く、この場合、各実施形態における表示枠の各寸法は表示面の寸法に読み替えれば良い。
【0085】
また、各実施形態において側面の表示枠(表示面)はカバープレートから本体側面部まで延出するようにしても良い。
【0086】
また、本発明は、上記の実施形態に示した音響孔(音響孔領域)及び発信機の少なくとも一方を、他の機能を有する機能ユニットに置き代えた防災装置にも適用できる。
【0087】
また、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、例えば上記各実施形態を適宜組み合わせても良いし、それ以外の変形を適用しても良い。
【0088】
また、本発明は更に、上記の実施形態に示した形状や数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0089】
10:防災機器収容箱
10a:カバープレート
10b:本体
12:発信機
12a:前面頂部
14:位置表示灯
16:音響孔
16a:音響孔領域
17:凹部
18:保護板
20:押釦スイッチ
22:保守扉
24:音響装置
28a,28b,28c,28d,28e,28f:表示枠
30:回路基板
32:LED