(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】包装用シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
B31B 70/81 20170101AFI20240513BHJP
B65D 65/26 20060101ALI20240513BHJP
B31B 155/00 20170101ALN20240513BHJP
B31B 160/20 20170101ALN20240513BHJP
B31B 160/30 20170101ALN20240513BHJP
【FI】
B31B70/81
B65D65/26
B31B155:00
B31B160:20
B31B160:30
(21)【出願番号】P 2023090618
(22)【出願日】2023-06-01
(62)【分割の表示】P 2020053898の分割
【原出願日】2019-09-05
【審査請求日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】P 2019027101
(32)【優先日】2019-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114421
【氏名又は名称】薬丸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】神谷 知毅
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3072028(JP,U)
【文献】特開昭59-136239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 70/81
B65D 65/26
B31B 155/00
B31B 160/20
B31B 160/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの一面に、所定方向に延びる開封用条体を備える包装用シートの製造方法において、
シートに、切込線を形成するとともに、切込線の形成により、曲げると開いて開口を形成する遊離片を形成する工程と、
シートの一面に、開封用条体の一端部よりも内側の部分が遊離片上に重なるように、開封用条体を配置し、開封用条体の一端部以外の部分を固定してシートの一面に沿わせる工程と、
シートの面と交差する方向から遊離片に向けて外力を加えることにより、開封用条体の一端部を、遊離片が形成する開口を介してシートの他面側に移動させ、切込線からシートの他面側に突出させる工程と
を
この順序で行うことを特徴とする包装用シートの製造方法。
【請求項2】
シートの一面に、所定方向に延びる開封用条体を備える包装用シートの製造方法において、
シートに切込線を形成する工程と、
シートの一面に、開封用条体の一端部よりも内側の部分が切込線上に重なるように、開封用条体を配置し、開封用条体の一端部以外の部分を固定してシートの一面に沿わせる工程と、
シートの面と交差する方向から切込線に向けて外力を加えることにより、開封用条体の一端部を、切込線が形成する開口を介してシートの他面側に移動させ、切込線からシートの他面側に突出させる工程と
を
この順序で行うことを特徴とする包装用シートの製造方法。
【請求項3】
シートの一面に、所定方向に延びる開封用条体を備える包装用シートの製造方法において、
シートに開口を形成する工程と、
シートの一面に、開封用条体の一端部よりも内側の部分が開口上に重なるように、開封用条体を配置し、開封用条体の一端部以外の部分を固定してシートの一面に沿わせる工程と、
シートの面と交差する方向から開口に向けて外力を加えることにより、開封用条体の一端部を、開口を介してシートの他面側に移動させ、開口からシートの他面側に突出させる工程と
を
この順序で行うことを特徴とする包装用シートの製造方法。
【請求項4】
外力を加える手段は、エアノズルからエアを吹き付ける手段、ロッドの先端を当て、ロッドを押し込む手段、吸着又は吸引する手段、のいずれかである
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の包装用シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
側面形状が三角形状(主として直角三角形状)又はこれに類似する形状で、所定の厚み又は幅を有する立体形状に仕上げられたサンドイッチ等の食品がある。この食品を包装するための食品用包装袋は、
図16及び
図17(a)に示すものが一般的である。
【0003】
食品用包装袋1’は、袋本体10’と、ヘッダ部15’とを備える。袋本体10’は、一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する一対のシート2’,3’が重ね合わせられ、一端側の頂部接合部11’と両側縁の側部接合部12’,12’により三方が封止され、他端側が開口部13’となるものである。ヘッダ部15’は、頂部接合部11’から突出する各シート2’,3’の突出片が適宜の箇所で互いに接合され、一体化されるものである。
【0004】
ヘッダ部15’における第2のシート3’には、たとえば逆U字状の切込線32’が形成されるとともに、切込線32’を外形線とする開封用の摘み片33’が形成される。第2のシート3’の内面には、摘み片33’から第2のシート3’の他端側にかけて、カットテープ等の開封用条体5’が接合される。
【0005】
食品用包装袋1’により包装された食品を食する際には、
図17(b)に示すように、摘み片33’を摘んで引き下ろす。そうすると、開封用条体5’が引っ張られて第2のシート3’に分断開放部が形成され、この分断開放部から食品を取り出すことができる。
【0006】
しかしながら、食品用包装袋1’の製造装置の精度等(接合条件のバラツキ等)の影響により、第2のシート3’と開封用条体5’が十分に接合されない場合がある。そのような食品用包装袋1’においては、開封時に摘み片33’を引き下ろす際、摘み片33’又はそれに続く第2のシート3’の部分が開封用条体5’から剥離し、第2のシート3’だけが引っ張られ、適切に開封することができない、という問題が生じ得る。そして、かかる問題は、頂部接合部11’の接合強度が強くなるほど、顕著となる。そこで、頂部接合部11’の接合強度が強くなり過ぎないよう、接合に先立ち、接合面にパートコート剤を塗布するといったことも従来より行われている。
【0007】
これらの問題を解決する観点からいえば、特許文献1に記載された食品用包装袋は、開封用条体の一端部がヘッダ部の外面側に突出し、この一端部を摘んで開封するものであり、開封用条体を直接引っ張って開封するため、適切かつ確実に開封することができる。この点で、特許文献1に記載された食品用包装袋は、上記従来の食品用包装袋1’よりも優れているといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載された食品用包装袋は、シートにどのような加工を施すことで、開封用条体の一端部をシートの外面側に突出させることができるようにしているのか不明である。また、特許文献1に記載された食品用包装袋は、どのような方法で、開封用条体の一端部をシートの外面側に突出させるのかが不明である。このため、大量に消費される食品用包装袋を量産することは不可能である。
【0010】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、開封用条体の一端部が突出し、開封用の摘み片となる開封手段を備えるものであって、量産性に優れた包装用シートの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る包装用シートの製造方法は、
シートの一面に、所定方向に延びる開封用条体を備える包装用シートの製造方法において、
シートに、切込線を形成するとともに、切込線の形成により、曲げると開いて開口を形成する遊離片を形成する工程と、
シートの一面に、開封用条体の一端部よりも内側の部分が遊離片上に重なるように、開封用条体を配置し、開封用条体の一端部以外の部分を固定してシートの一面に沿わせる工程と、
シートの面と交差する方向から遊離片に向けて外力を加えることにより、開封用条体の一端部を、遊離片が形成する開口を介してシートの他面側に移動させ、切込線からシートの他面側に突出させる工程とを
この順序で行う。
【0012】
また、本発明に係る別の包装用シートの製造方法は、
シートの一面に、所定方向に延びる開封用条体を備える包装用シートの製造方法において、
シートに切込線を形成する工程と、
シートの一面に、開封用条体の一端部よりも内側の部分が切込線上に重なるように、開封用条体を配置し、開封用条体の一端部以外の部分を固定してシートの一面に沿わせる工程と、
シートの面と交差する方向から切込線に向けて外力を加えることにより、開封用条体の一端部を、切込線が形成する開口を介してシートの他面側に移動させ、切込線からシートの他面側に突出させる工程とを
この順序で行う。
【0013】
また、本発明に係るさらに別の包装用シートの製造方法は、
シートの一面に、所定方向に延びる開封用条体を備える包装用シートの製造方法において、
シートに開口を形成する工程と、
シートの一面に、開封用条体の一端部よりも内側の部分が開口上に重なるように、開封用条体を配置し、開封用条体の一端部以外の部分を固定してシートの一面に沿わせる工程と、
シートの面と交差する方向から開口に向けて外力を加えることにより、開封用条体の一端部を、開口を介してシートの他面側に移動させ、開口からシートの他面側に突出させる工程とを
この順序で行う。
【0014】
ここで、これらの発明において、外力を加える手段は、一例として、エアノズルからエアを吹き付ける手段である。
【0015】
あるいは、外力を加える手段は、別の例として、ロッドの先端を当て、ロッドを押し込む手段である。
【0016】
あるいは、外力を加える手段は、さらに別の例として、吸着又は吸引する手段である。
【発明の効果】
【0017】
以上の如く、本発明に係る包装用シートの製造方法によれば、簡潔な構成及び簡潔な方法で、優れた量産性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る食品用包装袋の分解斜視図である。
【
図4】
図4(a)は、同食品用包装袋を構成する第2のシートの正面図である。
図4(b)は、
図4(a)の開封起点部の拡大図である。
【
図5】
図5(a)は、同食品用包装袋により包装された食品包装体の背面側から見た斜視図である。
図5(b)は、同食品包装体を開封する様子の斜視図である。
【
図6】
図6は、同食品用包装袋の製造工程の説明図であって、第2のシート原反に切込線を形成する工程の説明図である。
【
図7】
図7は、同食品用包装袋の製造工程の説明図であって、第2のシート原反に開封用条体を配置、接合する工程の説明図である。
【
図8】
図8(a)及び(b)は、
図7の工程を実施する装置構成の説明図である。
【
図9】
図9は、同食品用包装袋の製造工程の説明図であって、開封用条体の一端部を切込線から第2のシート原反の反対面側に突出させる工程の説明図である。
【
図12】
図12(a)~(c)は、
図9の工程を実施する別の装置構成の説明図である。
【
図13】
図13は、同食品用包装袋の製造工程の説明図であって、第1及び第2のシート原反から最終的に食品用包装袋が完成するまでの各工程の説明図である。
【
図14】
図14(a)~(d)は、それぞれ別の実施形態に係る食品用包装袋の要部拡大図である。
【
図15】
図15(a)~(d)は、それぞれさらに別の実施形態に係る食品用包装袋の要部拡大図である。
【
図17】
図17(a)は、同食品用包装袋により包装された食品包装体の背面側から見た斜視図である。
図17(b)は、同食品包装体を開封する様子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る食品用包装袋の一実施形態として、サンドイッチの包装に用いられる食品用包装袋について、
図1~
図13を参酌して説明する。
【0020】
図1~
図3に示すように、本実施形態に係る食品用包装袋1は、袋本体10と、ヘッダ部15とを備える。袋本体10は、一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する一対のシート(第1のシート2、第2のシート3)が重ね合わせられ、一端側の頂部接合部11と両側縁の側部接合部12,12により三方が封止され、他端側が開口部13となるものである。ヘッダ部15は、頂部接合部11から突出する各シート2,3の突出片が適宜の箇所で互いに接合され、一体化されるものである。なお、第1のシートは、表シートともいい、第2のシートは、裏シートともいう。
【0021】
第1のシート2は、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱溶着性を有するプラスチックシートからなる。第1のシート2は、胴部20と、先端部21(上記突出片)とを備えて構成される。胴部20は、一端側から他端側に向かって次第に幅広となっていく形状を有する。先端部21は、胴部20の一端から延びる幅狭の形状を有する。
【0022】
第2のシート3も、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱溶着性を有するプラスチックシートからなる。第2のシート3は、胴部30と、先端部31(上記突出片)とを備えて構成される。胴部30は、一端側から他端側に向かって次第に幅広となっていく形状を有する。先端部31は、胴部30の一端から延びる幅狭の形状を有する。
【0023】
本実施形態においては、胴部20,30は、台形状であり、先端部21,31は、矩形状である。このため、胴部20,30の一端(及びこれに一致する先端部21,31の他端)は、シート2,3の一端側から他端側に向かう方向(以下、「長手方向」という。」に対して直交する直線状である。言い換えれば、胴部20,30の一端は、長手方向と直交する方向(以下、「幅方向」という。)と平行な直線状である。胴部20,30の両側縁は、長手方向に対して傾斜する直線状である。先端部21,31の両側縁は、長手方向と平行な直線状である。ただし、胴部20,30の両側縁の他端側は、切欠部14により欠如している。これにより、胴部20,30の他端側は、切欠部14の分だけ幅狭とされる。
【0024】
頂部接合部11は、胴部20,30の一端に沿って第1及び第2のシート2,3をヒートシールすることにより形成される。側部接合部12は、胴部20,30の側縁(斜辺)及び先端部21,31の側縁(縦辺)をヒートシールすることにより形成される。本実施形態においては、頂部接合部11は、ヒートシールバーを用いた溶着により形成され、長手方向に所定の幅を有する帯状シールである。側部接合部12は、溶断により形成される線シールである。具体的には、頂部接合部11は、数ミリ以上の幅を有する。側部接合部12の幅は、1mm以下である。
【0025】
このようにして構成された袋本体10の内部が食品の収容部となる。袋本体10における第1のシート2の内面には、内シート4が貼着される。内シート4は、たとえば他端部が二箇所でポイントシール等により接合され(接合部22)、一端側が自由端となっている。これにより、収容部内で食品が動いたとしても、内シート4が食品の表面に密着し、その動きに追従する。このため、第1のシート2は汚れず、外観は損なわれない。
【0026】
図4にも示すように、ヘッダ部15における第2のシート3には、切込線32が形成される。そして、ヘッダ部15における第2のシート3には、切込線32の形成により、遊離片33が形成される。切込線32は、両端点32a,32aが頂部接合部11に接近する形状である。遊離片33は、切込線32を外形線とし、両端点32a,32a間を固定端とし、一端側を自由端とし、固定端側にて曲げると開いて開口を形成するものである。本実施形態においては、切込線32は、逆U字状に形成される。これにより、遊離片33は、幅方向に沿った一端縁33aと、長手方向に沿った左右一対の側縁33b,33bとを備え、上向きの舌片となる。
【0027】
第2のシート3の内面には、遊離片33から第2のシート3の他端側にかけて、開封用条体5が設けられる。開封用条体5は、たとえば、第2のシート3の幅方向中央部にて長手方向に沿って設けられる。開封用条体5は、第2のシート3の内面に、ヒートシール、接着等により接合される(接合部34)。一例として、開封用条体5は、この内面(第2のシート3との対向面)にコート剤を塗布した上で、熱接着や自己粘着により、第2のシート3の内面に接合される。開封用条体5は、たとえば、カットテープや糸等である。本実施形態においては、開封用条体5は、幅が5mm以上、又は10mm以上の帯状のカットテープである。カットテープは、二軸延伸ポリエステル又はポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)等の熱溶着性を有するプラスチックシートを細くカットしたものである。
【0028】
開封用条体5の一端部5aは、第2のシート3には接合されていない。開封用条体5の一端部5aは、切込線32から第2のシート3の外面側に突出し、開封用の摘み片となる。これにより、開封用条体5の一端部5aを摘んで引き下ろすと、開封用条体5が引っ張られ、遊離片33を開封起点とし、所定の幅で第2のシート3が切断され、第2のシート3に分断開放部が形成される。開封用条体5の一端部5aの突出量は、短いと、摘まみにくい。逆に、長いと、折れやすくなり、製造装置の搬送性に支障を来す懸念がある。このため、開封用条体5の一端部5aの突出量は、5mm以上、又は10mm以上、又は15mm以上であって、25mm以下、又は20mm以下の範囲となるように、設定される。
【0029】
図4(b)に示すように、開封用条体5は、遊離片33にも接合され、遊離片33と一体化される。しかし、開封用条体5は、遊離片33の一端縁33aまでは接合されない。このため、接合部34の一端縁34aと遊離片33の一端縁33aとの間には、幅G1の非接合部が介在する。非接合部が設けられなかったり、幅G1が小さいと、食品用包装袋1の製造装置の精度等(シート原反の蛇行等)の影響により、接合が切込線32を踏み越えてなされる懸念がある。この場合、開封用条体5の一端部5aがロックし、一端部5aを切込線32から第2のシート3の外面側に突出させることができなくなる。逆に、幅G1が大きいと、遊離片33を摘むことができるようになり、ここを摘んで開封しようとする誤開封操作がなされる懸念がある。この場合は当然、開封用条体5が使われず、第2のシート3だけが引っ張られ、適切に開封することが不可能である。このため、非接合部の幅G1は、製造誤差に対する振れ幅として、1mm以上、又は1.5mm以上であって、5mm以下、又は3mm以下、又は2mm以下の範囲となるように、設定される。
【0030】
開封用条体5の幅は、遊離片33の固定端の幅(すなわち、切込線32の両端点32a,32a間の間隔)よりも小さい。このため、開封用条体5の各側縁5bと遊離片33の各側縁33b又は切込線32の各端点32aとの間には、幅G2の間隙部が介在する。間隙部が設けられなかったり、幅G2が小さいと、開封用条体5の一端部5aが切込線32に引っ掛かり、一端部5aを切込線32から第2のシート3の外面側に突出させることができなくなる懸念がある。また、食品用包装袋1の製造装置の精度等(貼着位置ずれ等)の影響により、開封用条体5が切込線32に引っ掛かり、しわが寄り、製品不良となる懸念がある。このため、間隙部の幅G2は、製造誤差に対する振れ幅として、1mm以上、又は1.5mm以上となるように、設定される。
【0031】
食品の包装に際しては、開口部13を開き、食品を袋本体10内に挿入した後、開口部13の余分なシート片(食品の底面からはみ出るシート片)を適宜折り畳み、開口部13を閉塞し、ラベル又はテープを貼着し、開口部13を封止する。これにより、
図5(a)に示す食品包装体が完成する。この食品包装体において、開封用条体5の一端部5aは、遊離片33を固定端とし、一端側を自由端とし、切込線32からヘッダ部15における第2のシート3の外面側に突出する。他方、開封用条体5のその他の部分は、遊離片33から第2のシート3の内面に沿っている。
【0032】
そして、食品を食する際には、
図5(b)に示すように、突出している開封用条体5の一端部5aを摘んで引き下ろす。そうすると、開封用条体5が引っ張られ、第2のシート3に分断開放部が形成され、この分断開放部から食品を取り出すことができる。なお、食品包装体において、開封用条体5の一端部5aは、ヘッダ部15の外面から若干浮いて離間し、摘まみやすくなっている。又は、ヘッダ部15を反らせることで、開封用条体5の一端部5aは、ヘッダ部15から十分に離間し、さらに摘まみやすくなる。このため、開封操作を円滑に行うことができる。
【0033】
本実施形態に係る食品用包装袋は、以上の構成からなり、次に、本実施形態に係る食品用包装袋の製造方法について説明する。
【0034】
製造工程は、大きく分けると、
図6ないし
図12に示すように、開封用条体5の一端部5aが第2のシート3の外面側に突出し、開封用の摘み片となる開封手段を備える第2のシート原反3Xを製造する工程と、
図13に示すように、第1のシート原反2X及び第2のシート原反3Xから食品用包装袋1を製造する工程とを備える。
【0035】
なお、台形状を有するこの種の食品包装袋1は、その形状から、シート原反2X,3Xの搬送方向に対し、横向きでかつ向きが交互に反対となるように製造される。すなわち、シート原反2X,3Xの搬送方向と交差する幅方向の一方側に開口部13が形成されるとともに、幅方向の他方側にヘッダ部15が形成される食品用包装袋1と、幅方向の他方側に開口部13が形成されるとともに、幅方向の一方側にヘッダ部15が形成される食品用包装袋1とが、交互に製造される。そこで、以下の説明及び図面においては、前者の食品用包装袋1に係る構成には、便宜上、「一方の」との語を付すとともに、符号の後に「A」を付し、また、後者の食品用包装袋1に係る構成には、「他方の」との語を付すとともに、符号の後に「B」を付す。
【0036】
第2のシート原反3Xを製造する工程は、本発明に係る包装用シートの製造方法及び包装用シート原反の製造方法の一実施形態である。同工程は、i)
図6に示すように、第2のシート原反3Xに切込線32を形成する工程、より詳しくは、第2のシート原反3Xに、切込線32を形成するとともに、切込線32の形成により、遊離片33を形成する工程(第1工程)、ii)
図7及び
図8に示すように、第2のシート原反3Xの内面に、開封用条体5の一端部5aよりも内側の部分が遊離片33上に重なるように、開封用条体5を配置し、遊離片33から開封用条体5の他端側の所定範囲で、開封用条体5を第2のシート原反3Xの内面に接合する工程(第2工程)、iii)
図9ないし
図12に示すように、遊離片33に向けて外力を加えることにより、より詳しくは、遊離片33における開封用条体5の部分に向けて外力を加えることにより、開封用条体5の一端部5aを、遊離片33が形成する開口を介して第2のシート原反3Xの反対面(外面)側に移動させ、切込線32から第2のシート原反3Xの反対面側に突出させる工程(第3工程)、からなる。
【0037】
第1の工程では、第2のシート原反3Xが間欠的に搬送される。そして、搬送経路上に配置された、一方の切込線32A用の切込機構(図示せず)と、他方の切込線32B用の切込機構(図示せず)とが、第2のシート原反3Xの間欠搬送に同期して作動することにより、
図6に示すように、一方の切込線32Aと他方の切込線32Bとがそれぞれ形成される。
【0038】
切込機構は、一例として、受けローラと工具とを備える。この切込機構は、工具を受けローラに往復動させ、工具の表面に設けられたノッチ刃を受けローラに当接させることにより、第2のシート原反3Xに切込線32を形成する。ただし、切込機構は、かかる構成に限定されるものではない。切込機構は、第2のシート原反3Xに切込線32を形成することができるものであれば、他の構成からなる機構であってもよい。
【0039】
第2の工程では、第2のシート原反3Xが間欠的に搬送される。そして、
図7及び
図8に示すように、搬送経路上に配置された、一方の開封用条体5A用の切断・搬送・接合機構100,101と、他方の開封用条体5B用の切断・搬送・接合機構100,101とが、第2のシート原反3Xの間欠搬送に同期して作動することにより、一方の開封用条体5Aと他方の開封用条体5Bとがそれぞれ、開封用条体のシート原反5Xから分離され、搬送され、第2のシート原反3Xの内面に配置され、接合(接合部34A,34B)される。
【0040】
切断機構100は、一例として、一対の切断刃を備える。この切断機構100は、ロール体からシート原反2X,3Xの搬送方向に沿って繰り出された開封用条体のシート原反5Xを所定幅で切断し、開封用条体5を形成する。ただし、切断機構は、かかる構成に限定されるものではない。切断機構は、所定幅の開封用条体5を形成することができるものであれば、他の構成からなる機構であってもよい。
【0041】
搬送・接合機構101は、一例として、保持バー102と、接合バー103とを備える。保持バー102は、開封用条体5を長手方向に沿って吸引することにより保持し、開封用条体5を切断位置から第2のシート原反3Xへの配置位置へと搬送するものである。接合バー103は、開封用条体5の、第2のシート原反3Xへの配置位置において、第2のシート原反3Xの反対面側に配置されるものである。接合バー103は、たとえば、ヒートシールバーである。この搬送・接合機構101は、切断により形成された開封用条体5を、保持バー102で保持し、保持バー102の移動(
図8の例では、昇降)により搬送し、第2のシート原反3Xの内面に配置し、しかる後、保持バー102と接合バー103とで第2のシート原反3X及びこの内面に配置された開封用条体5を挟んでヒートシールすることにより、接合部34を形成する。
【0042】
ここで、接合バー103は、一端側が保持バー102よりも短くなっている。このため、保持バー102で保持されるが、接合バー103との間に挟まれない開封用条体5の部分は、第2のシート原反3Xに接合されず、一端部5a及び一端部5aに隣接する非接合部となる。
【0043】
ただし、搬送・接合機構は、これらの構成に限定されるものではない。搬送・接合機構は、開封用条体5を、一端部5a及び非接合部を残しつつ、第2のシート原反3Xの内面に接合することができるもの、すなわち、遊離片33から開封用条体5の他端側の所定範囲で、開封用条体5を第2のシート原反3Xの内面に接合することができるものであれば、他の構成からなる機構であってもよい。
【0044】
第3の工程では、第2のシート原反3Xが間欠的に搬送される。そして、
図9~
図12に示すように、搬送経路上に配置された、一方の開封用条体5A用の外力付加機構104,105と、他方の開封用条体5B用の外力付加機構104,105とが、第2のシート原反3Xの間欠搬送に同期して作動することにより、一方の開封用条体5Aの一端部5aと他方の開封用条体5Bの一端部5aとがそれぞれ、第2のシート原反3Xの反対面側に押し出される。
【0045】
外力付加機構は、一例として、エアノズル104(
図11)を備える。この外力付加機構は、遊離片33及び遊離片33における開封用条体5の部分に向けてエアを吹き付けることにより、遊離片33を曲げて開口を形成し、この開口を介して開封用条体5の一端部5aを第2のシート原反3Xの反対面側に移動させる。又は、外力付加機構は、一例として、昇降動作するロッド105(
図12)を備える。この外力付加機構は、遊離片33及び遊離片33における開封用条体5の部分にロッド105の先端を当て、さらにロッド105を押し込むことにより、遊離片33を曲げて開口を形成し、この開口を介して開封用条体5の一端部5aを第2のシート原反3Xの反対面側に移動させる。
【0046】
ただし、外力付加機構は、これらの構成に限定されるものではない。外力付加機構は、開封用条体5の一端部5aを第2のシート原反3Xの反対面側に移動させることができるものであれば、他の構成からなる機構であってもよい。たとえば、第2のシート原反3Xの反対面側に、吸引機構又は吸着機構を配置し、反対面側から遊離片33を吸引又は吸着し、開封用条体5の一端部5aを第2のシート原反3Xの反対面側に移動させるようにしてもよい。
【0047】
第2のシート原反3Xは、以上のようにして製造される。そして、第2のシート原反3Xは、一旦ロール状に巻回された後、製袋装置にセットされる。又は、第2のシート原反3Xは、製袋装置によって製造されることで、引き続き搬送され、次に、第1のシート原反2X及び第2のシート原反3Xから食品用包装袋1を製造する工程に移行する。
【0048】
食品用包装袋1を製造する工程は、たとえば特開2005-219319号公報に記載されたとおりであり、従来から用いられている方法である。このため、ここでは、多くを説明しない。同工程は、
図13に示すように、第1のシート原反2Xと第2のシート原反3Xを内面同士が対向するように重ね合わせ、この状態で間欠的に搬送しつつ、iv)頂部接合部11を形成する工程、v)側部接合部12を形成しつつ、食品用包装袋1を個別に分離する工程、vi)切欠部14を形成する工程、からなる。これらの工程を経て、食品用包装袋1が完成する。なお、第1のシート原反2Xの内面に内シート4を接合する工程は、図示していないが、第1のシート原反2Xと第2のシート原反3Xを重ね合わせる前に行われる。
【0049】
このように、本実施形態に係る、開封用条体5の一端部5aが第2のシート3の外面側に突出し、開封用の摘み片となる開封手段を備える第2のシート原反3Xを製造する方法によれば、簡潔な構成及び簡潔な方法で、優れた量産性を実現することができる。
【0050】
また、開封用条体5の一端部5aが延びる方向と、遊離片33が延びる方向とが一致している(両方とも上に凸となる)。このため、開封用条体5の一端部5aを小さい力で確実に第2のシート原反3Xの反対面側に移動させることができる。
【0051】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0052】
切込線及び遊離片の形状や構造は、上記実施形態のものに限定されない。たとえば、切込線及び遊離片の形状や構造は、
図14及び
図15に示すものであってもよい。
【0053】
図14(a)に示すものは、開封用条体5の一端部5aに、周辺領域から識別可能な表示部50を施したものである。通常、開封用条体5は透明である。このため、一端部5aはそのままであれば目立ちにくい。商品購入者によっては、そこが開封用の摘み片であることが認識しづらいことも考えられる。そこで、開封用条体5の一端部5aに表示部50を印刷等して施すことで、どの商品購入者であっても、容易に開封用の摘み片であることを認識することができる。
【0054】
表示部としては、開封用の摘み片であることを示す情報からなる表示部50に加えて、又は表示部50の代わりに、
図14(b)に示す、周辺領域から識別可能な単なる色彩や模様等からなる表示部51であってもよい。
【0055】
図14(c)に示すものは、π字状の切込線32、すなわち、長手方向と交差する幅方向に沿った線(横線)32bと、線32bの両端点よりも内側の位置から長手方向に沿って延びる左右の線(縦線)32c,32cとで構成される切込線32が形成されたものである。かかる構成によれば、開封用条体5の一端部5aを持って縦方向(長手方向)に開封した後、ヘッダ部15には、幅方向外方に向く切込線32d,32dが形成される。このため、開封後の残りの第2のシート3を左右に開いて分断開放部を大きくすることができ、食品を取り出しやすくすることができる。
【0056】
図14(d)に示すものは、それぞれが斜めの二本の切込線32e、32eが交差して構成されるX字状の切込線32が形成されたものである。かかる構成によっても、開封後、ヘッダ部15には、幅方向外方に向く切込線32f,32fが形成される。このため、開封後の残りの第2のシート3を左右に開いてワイドオープンにすることができる。
【0057】
図15(a)に示すものは、H字状の切込線32、すなわち、長手方向と交差する幅方向に沿った線(横線)32gと、線32gの両端点から長手方向両方向に沿って延びる左右の線(縦線)32h,32hとで構成される切込線32が形成されたものである。かかる構成によれば、上向きの遊離片33に加え、この遊離片33と対向するようにして下向きの遊離片35も形成することができる。
【0058】
図15(b)に示すものは、下向きの切込線32、すなわち、開封用条体5の一端部5aが延びる方向と、遊離片35が延びる方向とが逆となるような切込線32が形成されたものである。
【0059】
また、切込線は、長手方向と交差する幅方向に沿った線(横線)や、幅方向に対して傾斜する線等の直線又は多少湾曲した線であってもよい。
【0060】
また、開封用条体5の一端部5aを第2のシート3の反対面側に移動させることを可能とするための構造として、切込線32及び遊離片33の組み合わせではなく、
図15(c)に示すように、開口36であってもよい。開口36であっても、開封用条体5の一端部5aを第2のシート3の反対面側に移動させるための装置及び方法は、上記したものと基本的には同じである。
【0061】
また、第2のシート3と開封用条体5との接合部34は、
図15(d)に示すように、中心が一致するように形成してもよい。また、接合部は、開封用条体5の幅方向全域に形成してもよい。また、接合部は、開封用条体5の幅方向両側縁部だけに形成してもよい。また、接合部は、開封用条体5の他端にまで形成されることは必須ではない。要は、開封用条体5が第2のシート3から剥離するようなことがなければそれでよい。
【0062】
また、接合部は、長手方向に沿って連続的に形成されるものに限定されない。たとえば、接合部は、遊離片33における箇所を含め、適宜の箇所に施したポイントシールからなるものであってもよい。
【0063】
また、切込線は、全切線に限定されない。切込線は、外力付加機構によって外力が加えられると、破断するものであればよい。たとえば、切込線は、半切線(ハーフカット)やミシン目であってもよい。
【0064】
また、開封用条体は、一つの部材からなるものに限定されない。たとえば、開封用条体は、別体である本体部と一端部とを一体に接合したものであってもよい。
【0065】
また、開封手段は、第2のシート3ではなく、第1のシート2に設けるようにしてもよい。
【0066】
また、「台形状」、「長方形状」、「矩形状」、「直線」、「中央部」、「端部」、「側部」、「一致」、「平行」といった形状、部位又は状態を表す用語は、本発明において、そのもののほか、それに近い、又は、類する、という意味の「略」の概念も含むものである。
【0067】
また、包装対象の食品は、サンドイッチに限定されない。食品は、食品用包装袋に収容できる形であればよい。たとえば、食品は、パン、ケーキ、おにぎり等の米飯加工食品等であってもよい。このように、食品の種類は限定されない。
【0068】
また、包装用シートの製造方法及び包装用シート原反の製造方法も、上記実施形態に限定されるものではない。
【0069】
上記実施形態においては、開封用条体5の一端部5aを切込線32又は開口36からシート(原反)の他面側に突出させる工程(突出工程)に先立ち、開封用条体5をシート(原反)の一面に接合する工程(接合工程)が実施される。しかし、接合工程は、突出工程の後に実施されるようにしてもよい。この場合、突出工程において、開封用条体がシートに対して位置ずれを起こさないよう、突出工程に先立ち、シート(原反)の一面に配置した開封用条体をシート(原反)の一面に仮固定する工程(仮固定工程)を実施するのが好ましい。仮固定工程は、たとえば、接着剤、粘着剤、挟持、加圧、圧着、弱接合(弱ヒートシール)等により行われる。
【0070】
包装用シートは、特定の包装形態に用いるものに限定されない。包装用シートは、おにぎりと海苔シートを分離した状態で包装する食品用包装材における外側シートや、ピロー包装用シートや、平袋、ガゼット袋等の一般的な袋に用いられるシート等、各種の包装形態に用いられる全てのものを対象とする。
【0071】
また、包装対象は、食品に限定されない。包装対象は、食品以外の被包装物であってもよい。
【0072】
また、包装用シートは、複数が連続した長尺状に限定されない。たとえば、包装用シートは、単数の枚葉状であってもよい。
【0073】
また、包装用シートは、単一のプラスチックシートからなるものに限定されない。たとえば、包装用シートは、紙又は紙質シート等、その他の材質のシートであってもよい。また、包装用シートは、たとえば、二枚のシートを端部同士を接合して一枚のシートにしたものや、三枚のシートを順次端部同士を接合して一枚のシートにしたもののように、複数枚のシートを用いて一枚のシートに形成したものであってもよい。また、この場合、各シートの材質は、異なるものであってもよい。たとえば、一部のシートには、プラスチックシートではなく、紙又は紙質シートを用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1,1A,1B…食品用包装袋、10…袋本体、11,11A,11B…頂部接合部、12,12A,12B…側部接合部、13…開口部、14,14A…切欠部、15…ヘッダ部、2…第1のシート(表シート)、2X…第1のシート原反、20…胴部、21…先端部、22…接合部、3…第2のシート(裏シート)、3X…第2のシート原反、30…胴部、31…先端部、32,32A,32B…切込線、32a…端点、32b~32h…切込線、33,33A,33B…遊離片、33a…一端縁、33b…側縁、34,34A,34B…接合部、34a…一端縁、35…遊離片、36…開口、4…内シート、5,5A,5B…開封用条体、5X…開封用条体のシート原反、5a…一端部(摘み片)、5b…側縁、50…表示部、51…表示部、100…切断機構、101…搬送・接合機構、102…保持バー、103…接合バー、104…エアノズル(外力付加機構)、105…ロッド(外力付加機構)、L1…開封用条体5及び遊離片33の幅方向の中心線、L2…接合部34の幅方向の中心線、G1…接合部34の一端縁34aと遊離片33の一端縁33aとの間隔(非接合部の幅)、G2…開封用条体5の側縁5bと切込線32の端点32aとの間隔(間隙部の幅)、S1…中心線L1と中心線L2とのずれ量