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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】RFIDタグ
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20240513BHJP
   G06K 19/02 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
G06K19/077 212
G06K19/02 050
G06K19/077 156
G06K19/077 192
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023500198
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(86)【国際出願番号】 JP2021006003
(87)【国際公開番号】W WO2022176080
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 彰彦
(72)【発明者】
【氏名】水谷 泰尚
(72)【発明者】
【氏名】杉村 吉康
(72)【発明者】
【氏名】庭田 剛
(72)【発明者】
【氏名】三浦 明平
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】菊川 真緒
【審査官】土谷 慎吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-165531(JP,A)
【文献】特開2018-125780(JP,A)
【文献】特表2011-521367(JP,A)
【文献】特開2004-133762(JP,A)
【文献】特開2003-256798(JP,A)
【文献】特開2002-074304(JP,A)
【文献】再公表特許第99/32304(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/077
G06K 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の基材と、
前記基材の第1面に配置されたICチップと、
前記第1面に沿って前記ICチップの周囲に位置し、当該ICチップを前記基材に固定するための導電性接着材と、
前記ICチップを保護するために、前記ICチップ及び前記導電性接着材を覆うように前記基材の前記第1面に設けられている補強材と、
前記基材の前記第1面の裏側の第2面に形成されたアンテナパターンと、
前記ICチップの周囲における前記導電性接着材に向けて前記基材を貫通し、前記アンテナパターンと前記ICチップとを電気的に接続するためのスルーホールと
を備えることを特徴とするRFIDタグ。
【請求項2】
前記アンテナパターンは、前記基材の前記第2面における前記ICチップの裏側を隔てて対向するように2つの端部が位置し、
前記スルーホールは、前記アンテナパターンの前記2つの端部のそれぞれと前記ICチップとを電気的に接続するように2つ設けられている
ことを特徴とする請求項1記載のRFIDタグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID(Radio Frequency Identifier)タグを様々な対象物に取り付け、リーダでRFIDタグから読み取った情報を用いて対象物を管理することが行われている(例えば、特許文献1及び2参照)。例えば、RFIDタグは、対象物に貼り付けられて使用されるRFIDラベルとして用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6485608号公報
【文献】特開平7-146922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図3は、参考技術に係るRFIDタグ101の構成を説明するための断面図である。
【0005】
図4は、参考技術におけるアンテナパターン140のパターン例を示す図である。
【0006】
図3に示すRFIDタグ101は、基材110と、IC(Integrated Circuit)チップ120と、導電性接着材130と、アンテナパターン140と、ポッティング160と、保護層170とを備える。
【0007】
ICチップ120は、基材110に形成されたアンテナパターン140上に配置され、導電性接着材130によって固定されている。
【0008】
アンテナパターン140は、基材110とICチップ120との間に形成され、例えば、図4に示すようにループ状に形成されている。
【0009】
ポッティング160は、ICチップ120を保護するためにICチップ120及び導電性接着材130を覆うように配置されている。
【0010】
保護層170は、アンテナパターン140を保護する。保護層170は、ICチップ120及び導電性接着材130との干渉を回避するために、例えば円形の孔が形成されている。そのため。保護層170は、ICチップ120及び導電性接着材130との間に間隔を隔てて形成されている。保護層170の一部は、ポッティング160によって覆われている。
【0011】
このようなRFIDタグ101は、例えば、リネン製品に取り付けられリネン品とともに洗濯される場合などに、物理的なストレスが加わる。この物理的なストレスがRFIDタグ101に加わると、ポッティング160の周囲である第1応力集中位置P1、保護層170のICチップ120側の端部である第2応力集中位置P2、導電性接着材130の周囲である第3応力集中位置P3などに応力が集中する。これにより、アンテナパターン140が断線し、RFIDタグ101が無応答になったり或いは通信性能が劣化したりするという問題が生じる。
【0012】
本発明の目的は、アンテナパターンの断線を抑制することができるRFIDタグを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
開示のRFIDタグは、シート状の基材と、前記基材の第1面に配置されたICチップと、前記第1面に沿って前記ICチップの周囲に位置し、当該ICチップを前記基材に固定するための導電性接着材と、前記基材の前記第1面の裏側の第2面に形成されたアンテナパターンと、前記ICチップの周囲における前記導電性接着材に向けて前記基材を貫通し、前記アンテナパターンと前記ICチップとを電気的に接続するためのスルーホールとを備える。
【発明の効果】
【0014】
開示のRFIDタグによれば、アンテナパターンの断線を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施の形態に係るRFIDタグの構成を説明するための断面図である。
図2】比較例に係るRFIDタグの構成を説明するための断面図である。
図3】参考技術に係るRFIDタグの構成を説明するための断面図である。
図4】参考技術におけるアンテナパターンのパターン例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態に係るRFIDタグについて、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、一実施の形態に係るRFIDタグ1の構成を説明するための断面図である。
【0018】
図1に示すRFIDタグ1は、基材10と、ICチップ20と、導電性接着材30と、アンテナパターン40と、2つのスルーホール50と、ポッティング60と、保護層70とを備える。
【0019】
一例ではあるが、RFIDタグ1は、対象物に貼り付けられるRFIDラベルの一部として用いられる。
【0020】
基材10は、シート状の部材であり、例えば、ポリエステル(PET:Polyethylene terephthalate)などの合成樹脂材料からなるフィルムである。基材10は、耐久性の観点からは、可撓性を有するとよい。
【0021】
ICチップ20は、基材10の第1面10a(図1における上面)に配置されている。ICチップ20は、LSI(Large Scale Integration)とみなすこともできる。
【0022】
導電性接着材30は、ICチップ20を基材10に固定するための接着材であり、導電性を有する。導電性接着材30は、例えば、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)である。導電性接着材30は、例えば、ICチップ20が基材10に配置される前に基材10に塗布され、ICチップ20が実装されることによって基材10の底面から基材10の第1面10aに沿って広がる。このように、導電性接着材30は、基材10の第1面10aに沿ってICチップ20の周囲に広がって位置する。
【0023】
アンテナパターン40は、基材10の第1面10aの裏側の第2面10bに形成されている。アンテナパターン40は、例えば、ダイポールアンテナであり、基材10の第2面10bにおけるICチップ20の裏側を隔てて対向するように2つの端部が位置する。すなわち、アンテナパターン40は、基材10を挟んだICチップ20の裏側には位置しない。アンテナパターン40は、例えば、銀ペーストからなる。
【0024】
2つのスルーホール50は、ICチップ20の周囲における導電性接着材30に向けて基材10を貫通し、アンテナパターン40とICチップ20とを電気的に接続するために設けられている。スルーホール50は、例えば、基材10の第1面10a上の図示しない配線を介して、導電性接着材30によって固定されたICチップ20のバンプに電気的に接続されるとよい。スルーホール50は、アンテナパターン40と一体に形成されてもよい。
【0025】
2つのスルーホール50は、アンテナパターン40の上述の2つの端部と導電性接着材30とに亘って基材10を貫通するとよい。なお、スルーホール50は、アンテナパターン40の形状によっては、1つのみ設けられていてもよいし、3つ以上設けられていてもよい。
【0026】
ポッティング60は、ICチップ20を保護するために、ICチップ20及び導電性接着材30を覆うように基材10の第1面10aに設けられている。ポッティング60は、例えば、合成樹脂材料からなる。なお、ポッティング60は、ICチップ20及び導電性接着材30を覆う補強材の一例である。
【0027】
保護層70は、基材10の第2面10bに形成されたアンテナパターン40を保護する層であり、例えばレジスト層である。保護層70は、例えば、合成樹脂材料からなる。
【0028】
本実施の形態に係るRFIDタグ1では、上述のとおり、アンテナパターン40は、導電性接着材30、ポッティング60などが設けられた基材10の第1面10aとは反対側の第2面10bに形成されている。
【0029】
そのため、ポッティング60の周囲(図3に示す参考技術のポッティング160の周囲の第1応力集中位置P1)や、導電性接着材30の周囲(導電性接着材130の周囲の応力集中位置P3)に応力が集中しても、アンテナパターン40は影響を受けにくい。また、保護層70がアンテナパターン40とともに第2面10bに設けられていることでアンテナパターン40の全体を覆うことができるため、図3に示す参考技術の保護層170とは異なり、保護層170の端部(第2応力集中位置P2)に応力が集中するのを回避することができる。
【0030】
また、アンテナパターン40は、第2面10bに形成されているが、スルーホール50がICチップ20に向けて基材10を貫通するのではなく、導電性接着材30に向けて基材10を貫通するため、ICチップ20の裏側を通らないようにアンテナパターン40を形成することができる。そのため、ICチップ20の周囲(周縁)に集中する応力が基材10を介して裏側の第2面10b側に影響を与えたとしても、アンテナパターン40はその影響を受けない。
【0031】
次に、図2を参照しながら、比較例に係るRFIDタグ2について説明する。
【0032】
図2は、比較例に係るRFIDタグ2の構成を説明するための断面図である。
【0033】
図2に示すRFIDタグ2は、スルーホール50の位置(アンテナパターン40の2つの端部の位置)のみ図1に示すRFIDタグ1と異なるため、各部の符号は図1に示すRFIDタグ1と共通にする。
【0034】
RFIDタグ2のスルーホール50は、RFIDタグ1のスルーホール50のように基材10の周囲における導電性接着材30に向けて基材10を貫通するのではなく、導電性接着材30の周囲におけるポッティング60に向けて基材10を貫通する。この場合でも、上述のように、スルーホール50は、基材10の第1面10a上の図示しない配線を介して、導電性接着材30によって固定されたICチップ20のバンプに電気的に接続されるとよい。
【0035】
このようなRFIDタグ2においても、ポッティング60の周囲(図3に示す参考技術のポッティング160の周囲の第1応力集中位置P1)や、導電性接着材30の周囲(導電性接着材130の周囲の応力集中位置P3)に応力が集中しても、アンテナパターン40は影響を受けにくいといえる。
【0036】
しかしながら、スルーホール50と導電性接着材30及びICチップ20との間に間隔があくため、この間隔に配置される基材10の第1面10aの図示しない配線のうち導電性接着材30の周囲に応力が集中しやすい。
【0037】
以上説明した本実施の形態では、RFIDタグ1は、シート状の基材10と、この基材10の第1面10aに配置されたICチップ20と、第1面10aに沿ってICチップ20の周囲に位置し、このICチップ20を基材10に固定するための導電性接着材30と、基材10の第1面10aの裏側の第2面10bに形成されたアンテナパターン40と、ICチップ20の周囲における導電性接着材30に向けて基材10を貫通し、アンテナパターン40とICチップ20とを電気的に接続するためのスルーホール50とを備える。
【0038】
このように、アンテナパターン40を、基材10のうちICチップ20、導電性接着材30等と同一面(第1面10a)ではなく、これらの裏側の第2面10bに形成することによって、導電性接着材30の周囲、ポッティング60の周囲などの不連続点に集中する応力に起因してアンテナパターン40に断線が生じるのを抑制することができる。
【0039】
また、アンテナパターン40を保護する保護層70も第2面10bに設けることができるため、ICチップ20及び導電性接着材30との干渉を回避するために保護層70に例えば円形の孔をあけて孔の縁(端部)に応力が集中するのを回避することができる。これにより、保護層70の端部に応力が集中することに起因してアンテナパターン40に断線が生じるのも回避することができる。
【0040】
更には、スルーホール50がICチップ20に向けて基材10を貫通するのではなく、導電性接着材30に向けて基材10を貫通するため、アンテナパターン40をICチップ20の裏側を通らないように形成することができる。そのため、第2面10bにおけるICチップ20の周囲の裏側に集中する応力がアンテナパターン40に影響を与えるのも回避することができる。
【0041】
よって、本実施の形態によれば、アンテナパターン40の断線を抑制することができる。これにより、RFIDタグ1が無応答になったり或いは通信性能が劣化したりするのを抑制することができる。
【0042】
また、本実施の形態では、アンテナパターン40は、基材10の第2面10bにおけるICチップ20の裏側を隔てて対向するように2つの端部が位置し、スルーホール50は、アンテナパターン40の2つの端部のそれぞれとICチップ20とを電気的に接続するように2つ設けられている。
【0043】
このように、アンテナパターン40がICチップ20の裏側を通らないことによって、上述のように、第2面10bにおけるICチップ20の周囲の裏側に集中する応力がアンテナパターン40に影響を与えるのを回避することができる。
【0044】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されず、構成要素を変形して具体化することができる。例えば、本実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。このように、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において発明の種々の変形や応用が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 RFIDタグ
10 基材
10a 第1面
10b 第2面
20 ICチップ
30 導電性接着材
40 アンテナパターン
50 スルーホール
60 ポッティング
70 保護層
図1
図2
図3
図4