(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】媒体排出装置、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B65H 43/04 20060101AFI20240513BHJP
B65H 31/24 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
B65H43/04
B65H31/24
(21)【出願番号】P 2023522099
(86)(22)【出願日】2021-05-19
(86)【国際出願番号】 JP2021019057
(87)【国際公開番号】W WO2022244163
(87)【国際公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】下坂 喜一郎
(72)【発明者】
【氏名】森川 修一
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-120321(JP,A)
【文献】特開2020-203761(JP,A)
【文献】特開2001-122498(JP,A)
【文献】特開2007-119148(JP,A)
【文献】特開2000-118824(JP,A)
【文献】特開2021-014328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 43/04
B65H 31/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を排出する排出ローラと、
前記排出ローラによって排出された媒体を積載するトレイと、
前記トレイより媒体排出方向の下流側に向けて
且つ前記トレイの載置面を媒体排出方向の下流側に延長した延長面と交差するように光を照射する発光部、及び、受光した光に応じた光信号を生成する受光部を含む光センサと、
前記光信号に基づいて、異常処理を実行する制御部と、
を有することを特徴とする媒体排出装置。
【請求項2】
前記光センサは、前記排出ローラより上方に配置され、
前記排出ローラより上方に配置され、且つ、前記トレイに向けて光を照射する第2発光部、及び、受光した光に応じた第2光信号を生成する第2受光部を含む第2光センサと、
前記光信号及び前記第2光信号に基づいて、媒体の排出異常が発生したか否かを判定する判定部と、をさらに有し、
前記制御部は、媒体の排出異常が発生したと判定された場合、異常処理を実行する、請求項1に記載の媒体排出装置。
【請求項3】
媒体排出装置であって、
媒体を排出する排出ローラと、
前記排出ローラと対向して配置される対向ローラと、
前記排出ローラによって排出された媒体を積載するトレイと、
前記排出ローラより上方に配置され、且つ、前記排出ローラ及び前記対向ローラのニップ面の下流側の端部から、前記ニップ面の延長線と光の照射方向との交点までの距離が、前記媒体排出装置がサポートする最小媒体サイズ未満となるように光を照射する第1発光部、及び、受光した光に応じた第1光信号を生成する第1受光部を含む第1光センサと、
前記排出ローラより上方に配置され、且つ、前記第1発光部が光を照射する方向より媒体排出方向の下流側に向けて光を照射する第2発光部、及び、受光した光に応じた第2光信号を生成する第2受光部を含む第2光センサと、
前記第1光信号及び前記第2光信号に基づいて、異常処理を実行する制御部と、
を有することを特徴とする媒体排出装置。
【請求項4】
前記第1光信号及び前記第2光信号に基づいて、媒体の排出異常が発生したか否かを判定する判定部と、をさらに有し、
前記制御部は、媒体の排出異常が発生したと判定された場合、異常処理を実行する、請求項3に記載の媒体排出装置。
【請求項5】
前記判定部は、媒体の排出異常として、媒体の先端のくるまり、媒体の後端のくるまり、媒体の後端の不落下、排出中の媒体の前記トレイからの飛び出し、排出中の媒体による排出済みの媒体の押し出し、又は、前記トレイに積載された媒体の順番入れ替えが発生したか否かを判定する、請求項2または4に記載の媒体排出装置。
【請求項6】
媒体の長さを検出する長さ検出部をさらに有し、
前記制御部は、さらに前記媒体の長さに基づいて、前記異常処理を実行する、請求項1~5の何れか一項に記載の媒体排出装置。
【請求項7】
媒体の厚さを検出する厚さ検出部をさらに有し、
前記制御部は、さらに前記媒体の厚さに基づいて、前記異常処理を実行する、請求項1~6の何れか一項に記載の媒体排出装置。
【請求項8】
利用者により指定された、媒体の排出異常の判定感度を設定する設定部をさらに有し、
前記判定部は、前記設定された判定感度に基づいて、媒体の排出異常が発生したか否かを判定する、請求項2、4または5に記載の媒体排出装置。
【請求項9】
媒体排出装置の制御方法であって、
排出ローラにより、媒体を排出し、
前記排出ローラによって排出された媒体をトレイに積載し、
前記トレイより媒体排出方向の下流側に向けて
且つ前記トレイの載置面を媒体排出方向の下流側に延長した延長面と交差するように光を照射する発光部、及び、受光した光に応じた光信号を生成する受光部を含む光センサにより生成された前記光信号に基づいて、異常処理を実行する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項10】
媒体排出装置の制御方法であって、
排出ローラにより、媒体を排出し、
前記排出ローラによって排出された媒体をトレイに積載し、
前記排出ローラより上方に配置され、且つ、前記排出ローラ及び前記排出ローラと対向して配置される対向ローラのニップ面の下流側の端部から、前記ニップ面の延長線と光の照射方向との交点までの距離が、前記媒体排出装置がサポートする最小媒体サイズ未満となるように光を照射する第1発光部、及び、受光した光に応じた第1光信号を生成する第1受光部を含む第1光センサにより生成される前記第1光信号と、前記排出ローラより上方に配置され、且つ、前記第1発光部が光を照射する方向より媒体排出方向の下流側に向けて光を照射する第2発光部、及び、受光した光に応じた第2光信号を生成する第2受光部を含む第2光センサにより生成される前記第2光信号と、に基づいて、異常処理を実行する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項11】
媒体を排出する排出ローラと、前記排出ローラによって排出された媒体を積載するトレイと、前記トレイより媒体排出方向の下流側に向けて
且つ前記トレイの載置面を媒体排出方向の下流側に延長した延長面と交差するように光を照射する発光部、及び、受光した光に応じた光信号を生成する受光部を含む光センサと、を有する媒体排出装置の制御プログラムであって、
前記光信号に基づいて、異常処理を実行する、
ことを前記媒体排出装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項12】
媒体を排出する排出ローラと、前記排出ローラと対向して配置される対向ローラと、前記排出ローラによって排出された媒体を積載するトレイと、前記排出ローラより上方に配置され、且つ、前記排出ローラ及び前記対向ローラのニップ面の下流側の端部から、前記ニップ面の延長線と光の照射方向との交点までの距離が、媒体排出装置がサポートする最小媒体サイズ未満となるように光を照射する第1発光部、及び、受光した光に応じた第1光信号を生成する第1受光部を含む第1光センサと、前記排出ローラより上方に配置され、且つ、前記第1発光部が光を照射する方向より媒体排出方向の下流側に向けて光を照射する第2発光部、及び、受光した光に応じた第2光信号を生成する第2受光部を含む第2光センサと、を有する媒体排出装置の制御プログラムであって、
前記第1光信号及び前記第2光信号に基づいて、媒体の排出異常が発生したか否かを判定し、
媒体の排出異常が発生したと判定された場合、異常処理を実行する、
ことを前記媒体排出装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、媒体排出装置、制御方法及び制御プログラムに関し、特に、排出される媒体をトレイに積載する媒体排出装置、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ等の媒体排出装置は、複数の媒体を順次搬送しながら撮像し、トレイに排出する。このような媒体排出装置では、排出された媒体のくるまり、媒体の後端の不落下、排出中の媒体のトレイからの飛び出し、排出中の媒体による排出済みの媒体の押し出し、又は、トレイに積載された媒体の順番入れ替え等の媒体の排出異常が発生する可能性がある。媒体のくるまり又は媒体の後端の不落下が発生した状態で媒体が排出され続けた場合、トレイ上に排出された媒体のジャムが発生して媒体が破損する可能性がある。また、媒体の飛び出し、押し出し又は順番入れ替えが発生した状態で媒体が排出され続けた場合、利用者は、飛び出し、押し出し又は順番入れ替えが発生した媒体を特定することが困難になり、利用者による媒体の整列の手間が大きくなる。そのため、媒体排出装置では、媒体の排出異常が発生した場合に、媒体の排出を停止させること、媒体の排出速度を低減させること、又は、利用者へ通知することが求められている。
【0003】
排出手段による用紙の排出方向について複数の地点で排紙トレイ上の用紙の載置状態を検出し、用紙の載置状態が、排紙トレイにおける用紙の満載状態である場合に、排出手段による用紙の排出を停止する画像形成装置が開示されている(特許文献1を参照)。
【0004】
排出口から排紙トレイに排出される用紙の排出状態を検知し、検知情報に基づいて以降の用紙の排出の続行・停止を判断する用紙積載装置が開示されている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-120321号公報
【文献】特開2003-26370号公報
【発明の概要】
【0006】
媒体排出装置では、媒体の排出異常が発生したか否かを精度良く判定することが求められている。
【0007】
媒体排出装置、制御方法及び制御プログラムの目的は、媒体の排出異常が発生したか否かを精度良く判定することを可能とすることにある。
【0008】
実施形態の一側面に係る媒体排出装置は、媒体を排出する排出ローラと、排出ローラによって排出された媒体を積載するトレイと、排出ローラより上方に配置され、且つ、トレイに向けて光を照射する第1発光部、及び、受光した光に応じた第1光信号を生成する第1受光部を含む第1光センサと、排出ローラより上方に配置され、且つ、トレイより媒体排出方向の下流側に向けて光を照射する第2発光部、及び、受光した光に応じた第2光信号を生成する第2受光部を含む第2光センサと、第1光信号及び第2光信号に基づいて、媒体の排出異常が発生したか否かを判定する判定部と、媒体の排出異常が発生したと判定された場合、異常処理を実行する制御部と、を有する。
【0009】
実施形態の一側面に係る媒体排出装置は、媒体を排出する排出ローラと、排出ローラと対向して配置される対向ローラと、排出ローラによって排出された媒体を積載するトレイと、排出ローラより上方に配置され、且つ、排出ローラ及び対向ローラのニップ面の延長線と、トレイの載置面との交点より媒体排出方向の上流側に向けて光を照射する第1発光部、及び、受光した光に応じた第1光信号を生成する第1受光部を含む第1光センサと、排出ローラより上方に配置され、且つ、交点より媒体排出方向の下流側に向けて光を照射する第2発光部、及び、受光した光に応じた第2光信号を生成する第2受光部を含む第2光センサと、第1光信号及び第2光信号に基づいて、媒体の排出異常が発生したか否かを判定する判定部と、媒体の排出異常が発生したと判定された場合、異常処理を実行する制御部と、を有する。
【0010】
また、実施形態の一側面に係る制御方法は、媒体排出装置の制御方法であって、排出ローラにより、媒体を排出し、排出ローラによって排出された媒体をトレイに積載し、排出ローラより上方に配置され、且つ、トレイに向けて光を照射する第1発光部、及び、受光した光に応じた第1光信号を生成する第1受光部を含む第1光センサにより生成された第1光信号と、排出ローラより上方に配置され、且つ、トレイより媒体排出方向の下流側に向けて光を照射する第2発光部、及び、受光した光に応じた第2光信号を生成する第2受光部を含む第2光センサにより生成された第2光信号と、に基づいて、媒体の排出異常が発生したか否かを判定し、媒体の排出異常が発生したと判定された場合、異常処理を実行する。
【0011】
また、実施形態の一側面に係る制御方法は、媒体排出装置の制御方法であって、排出ローラにより、媒体を排出し、排出ローラによって排出された媒体をトレイに積載し、排出ローラより上方に配置され、且つ、排出ローラ及び排出ローラと対向して配置される対向ローラのニップ面の延長線と、トレイの載置面との交点より媒体排出方向の上流側に向けて光を照射する第1発光部、及び、受光した光に応じた第1光信号を生成する第1受光部を含む第1光センサにより生成される第1光信号と、排出ローラより上方に配置され、且つ、交点より媒体排出方向の下流側に向けて光を照射する第2発光部、及び、受光した光に応じた第2光信号を生成する第2受光部を含む第2光センサにより生成される第2光信号と、に基づいて、媒体の排出異常が発生したか否かを判定し、媒体の排出異常が発生したと判定された場合、異常処理を実行する。
【0012】
また、実施形態の一側面に係る制御プログラムは、媒体を排出する排出ローラと、排出ローラによって排出された媒体を積載するトレイと、排出ローラより上方に配置され、且つ、トレイに向けて光を照射する第1発光部、及び、受光した光に応じた第1光信号を生成する第1受光部を含む第1光センサと、排出ローラより上方に配置され、且つ、トレイより媒体排出方向の下流側に向けて光を照射する第2発光部、及び、受光した光に応じた第2光信号を生成する第2受光部を含む第2光センサと、を有する媒体排出装置の制御プログラムであって、第1光信号及び第2光信号に基づいて、媒体の排出異常が発生したか否かを判定し、媒体の排出異常が発生したと判定された場合、異常処理を実行することを媒体排出装置に実行させる。
【0013】
また、実施形態の一側面に係る制御プログラムは、媒体を排出する排出ローラと、排出ローラと対向して配置される対向ローラと、排出ローラによって排出された媒体を積載するトレイと、排出ローラより上方に配置され、且つ、排出ローラ及び対向ローラのニップ面の延長線と、トレイの載置面との交点より媒体排出方向の上流側に向けて光を照射する第1発光部、及び、受光した光に応じた第1光信号を生成する第1受光部を含む第1光センサと、排出ローラより上方に配置され、且つ、交点より媒体排出方向の下流側に向けて光を照射する第2発光部、及び、受光した光に応じた第2光信号を生成する第2受光部を含む第2光センサと、を有する媒体排出装置の制御プログラムであって、第1光信号及び第2光信号に基づいて、媒体の排出異常が発生したか否かを判定し、媒体の排出異常が発生したと判定された場合、異常処理を実行することを媒体排出装置に実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本実施形態によれば、媒体排出装置、制御方法及び制御プログラムは、媒体の排出異常が発生したか否かを精度良く判定することが可能となる。
【0015】
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるだろう。前述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係る媒体排出装置100を示す斜視図である。
【
図2】媒体排出装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【
図3】第1測距センサ121等の配置について説明するための模式図である。
【
図4】媒体排出装置100の概略構成を示すブロック図である。
【
図5】記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
【
図6】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図7】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図8】判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図9】(a)~(c)は媒体が正常に排出される様子を示す模式図である。
【
図10】(a)~(c)は各測距信号の特性を示すグラフである。
【
図11】(a)~(c)は媒体のくるまりについて説明するための模式図である。
【
図12】(a)~(c)は各測距信号の特性を示すグラフである。
【
図13】(a)~(c)は媒体のくるまり等について説明するための模式図である。
【
図14】(a)、(b)は各測距信号の特性を示すグラフである。
【
図15】(a)、(b)は媒体の飛び出しについて説明するための模式図である。
【
図16】(a)~(c)は各測距信号の特性を示すグラフである。
【
図17】(a)~(c)は媒体の押し出しについて説明するための模式図である。
【
図18】(a)~(c)は各測距信号の特性を示すグラフである。
【
図19】(a)~(c)は媒体の順番入れ替えについて説明するための模式図である。
【
図20】(a)、(b)は各測距信号の特性を示すグラフである。
【
図21】(a)、(b)は各測距信号の特性を示すグラフである。
【
図22】設定処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図23】他の処理回路250の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の一側面に係る媒体排出装置、制御方法及び制御プログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0018】
図1は、イメージスキャナとして構成された媒体排出装置100を示す斜視図である。媒体排出装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、厚紙、カード、冊子又はパスポート等である。媒体排出装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体排出装置100はプリンタ等でもよい。
【0019】
媒体排出装置100は、下側筐体101、上側筐体102、載置台103、排出台104、操作装置105及び表示装置106等を備える。
【0020】
上側筐体102は、媒体排出装置100の上面を覆う位置に配置され、媒体つまり時、媒体排出装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより下側筐体101に係合している。
【0021】
載置台103は、搬送される媒体を載置可能に下側筐体101に係合している。排出台104は、トレイの一例であり、排出された媒体を保持可能に下側筐体101に係合している。
【0022】
操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0023】
図2は、媒体排出装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0024】
媒体排出装置100内部の搬送経路は、第1媒体センサ111、給送ローラ112、ブレーキローラ113、超音波センサ114、第1搬送ローラ115、第2搬送ローラ116、第2媒体センサ117、撮像装置118、第1排出ローラ119、第2排出ローラ120、第1測距センサ121、第2測距センサ122及び第3測距センサ123等を有している。
【0025】
なお、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ115、第2搬送ローラ116、第1排出ローラ119及び/又は第2排出ローラ120のそれぞれの数は一つに限定されず、複数でもよい。その場合、複数の給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ115、第2搬送ローラ116、第1排出ローラ119及び/又は第2排出ローラ120は、それぞれ媒体排出方向A1と直交する幅方向に間隔を空けて並べて配置される。
【0026】
下側筐体101の上面は、媒体の搬送路の下側ガイド107aを形成し、上側筐体102の下面は、媒体の搬送路の上側ガイド107bを形成する。
図2において矢印A1は媒体排出方向を示す。以下では、上流とは媒体排出方向A1の上流のことをいい、下流とは媒体排出方向A1の下流のことをいう。
【0027】
第1媒体センサ111は、給送ローラ112及びブレーキローラ113より上流側に配置される。第1媒体センサ111は、接触検出センサを有し、載置台103に媒体が載置されているか否かを検出する。第1媒体センサ111は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第1媒体信号を生成して出力する。なお、第1媒体センサ111は接触検知センサに限定されず、第1媒体センサ111として、光検知センサ等の、媒体の有無を検出可能な他の任意のセンサが使用されてもよい。
【0028】
給送ローラ112は、下側筐体101に設けられ、載置台103に載置された媒体を下側から順に給送する。ブレーキローラ113は、上側筐体102に設けられ、給送ローラ112に対向して配置される。なお、給送ローラ112が上側筐体102に、ブレーキローラ113が下側筐体101に設けられ、給送ローラ112は、載置台103に載置された媒体を上側から順に給送してもよい。
【0029】
超音波センサ114は、給送ローラ112及びブレーキローラ113より下流側且つ第1搬送ローラ115及び第2搬送ローラ116より上流側に配置される。超音波センサ114は、超音波発信器114a及び超音波受信器114bを含む。超音波発信器114a及び超音波受信器114bは、媒体の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向して配置される。超音波発信器114aは、超音波を発信する。一方、超音波受信器114bは、超音波発信器114aにより発信され、媒体を透過した超音波を受信し、受信した超音波に応じた電気信号である超音波信号を生成して出力する。複数の媒体が重なって搬送される場合、媒体を透過する超音波は、重なって搬送される媒体の間の空気層で減衰する。したがって、媒体排出装置100は、超音波信号に基づいて、媒体の重送を検出することができる。また、媒体を透過する超音波は、その媒体自体によっても減衰し、透過する媒体が厚いほど、減衰量は大きくなる。したがって、媒体排出装置100は、超音波信号に基づいて、搬送される媒体の厚さを検出することができる。
【0030】
第1搬送ローラ115及び第2搬送ローラ116は、給送ローラ112より下流側に、相互に対向して配置される。第1搬送ローラ115及び第2搬送ローラ116は、給送ローラ112及びブレーキローラ113によって給送された媒体を撮像装置118に搬送する。
【0031】
第2媒体センサ117は、第1搬送ローラ115及び第2搬送ローラ116より下流側且つ撮像装置118より上流側に配置され、その位置に搬送された媒体を検出する。第2媒体センサ117は、媒体搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器と、媒体搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置に設けられたミラー等の反射部材とを含む。発光器は、LED(Light Emitting Diode)等であり、媒体搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、発光器により照射され、反射部材により反射された光を受光する。第2媒体センサ117と対向する位置に媒体が存在するときは、発光器から照射された光は媒体により遮られるため、受光器は発光器から照射された光を検出しない。受光器は、受光する光の強度に基づいて、第2媒体センサ117の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第2媒体信号を生成して出力する。
【0032】
なお、反射部材の代わりに、導光管が使用されてもよい。また、発光器及び受光器は、媒体搬送路を挟んで対向して設けられてもよい。また、第2媒体センサ117は、媒体が接触している場合、又は、媒体が接触していない場合に所定の電流を流す接触検知センサ等により、媒体の存在を検出してもよい。
【0033】
撮像装置118は、媒体搬送路を挟んで相互に対向して配置された第1撮像装置118a及び第2撮像装置118bを含む。第1撮像装置118aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。また、第1撮像装置118aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置118aは、後述する処理回路からの制御に従って、搬送される媒体の表面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0034】
同様に、第2撮像装置118bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのCISによるラインセンサを有する。また、第2撮像装置118bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置118bは、後述する処理回路からの制御に従って、搬送される媒体の裏面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0035】
なお、媒体排出装置100は、第1撮像装置118a及び第2撮像装置118bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサの代わりに、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサが利用されてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。
【0036】
第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120は、撮像装置118より下流側に、相互に対向して配置される。第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120は、第1搬送ローラ115及び第2搬送ローラ116によって搬送され、撮像装置118によって撮像された媒体を排出台104に排出する。第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120のうちの一方は、排出ローラの一例であり、第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120のうちの他方は、対向ローラの一例である。
【0037】
載置台103に載置された媒体は、給送ローラ112が
図2の矢印A2の方向、即ち媒体給送方向に回転することによって、下側ガイド107aと上側ガイド107bの間を媒体排出方向A1に向かって搬送される。ブレーキローラ113は、媒体搬送時、矢印A3の方向、即ち媒体給送方向の反対方向に回転する。給送ローラ112及びブレーキローラ113の働きにより、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ112と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の搬送が制限される(重送の防止)。
【0038】
媒体は、下側ガイド107aと上側ガイド107bによりガイドされながら、第1搬送ローラ115と第2搬送ローラ116の間に送り込まれる。媒体は、第1搬送ローラ115及び第2搬送ローラ116がそれぞれ矢印A4及び矢印A5の方向に回転することによって、第1撮像装置118aと第2撮像装置118bの間に送り込まれる。撮像装置118により読み取られた媒体は、第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120がそれぞれ矢印A6及び矢印A7の方向に回転することによって排出台104上に排出される。排出台104は、第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120によって排出された媒体を積載する。
【0039】
図3は、第1測距センサ121、第2測距センサ122及び第3測距センサ123の配置について説明するための模式図である。
【0040】
第1測距センサ121及び第2測距センサ122は、第1光センサの一例であり、第2測距センサ122及び第3測距センサ123は、第2光センサの一例である。第1測距センサ121、第2測距センサ122及び第3測距センサ123は、上側筐体102に、第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120より上方に配置される。第2測距センサ122は、第1測距センサ121より上方に配置され、第3測距センサ123は、第2測距センサ122より上方に配置される。
【0041】
また、第1測距センサ121、第2測距センサ122及び/又は第3測距センサ123は、媒体排出方向A1において第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120より下流側に、且つ、媒体排出方向A1と直交する幅方向において中央部に配置される。なお、第1測距センサ121、第2測距センサ122及び/又は第3測距センサ123は、幅方向において端部側に配置されてもよい。また、第1測距センサ121、第2測距センサ122及び/又は第3測距センサ123のそれぞれの数は一つに限定されず、複数でもよい。その場合、複数の第1測距センサ121、第2測距センサ122及び/又は第3測距センサ123は、それぞれ幅方向に間隔を空けて並べて配置される。
【0042】
第1測距センサ121は、赤外線近接距離センサであり、赤外線の照射から反射までの時間差から、対向する位置に存在する物体までの距離を測定する。第1測距センサ121は、第1発光器121a及び第1受光器121bを含む。第1発光器121a及び第1受光器121bは、それぞれ第1発光部及び第1受光部の一例である。
【0043】
第1発光器121aは、赤外線LED(Light Emitting Diode)等であり、下流側に向けて且つ幅方向において対向する位置に向けて光(赤外光)を照射する。第1発光器121aは、排出台104に向けて、特に排出台104上の第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120の近傍に向けて光を照射する。第1発光器121aは、第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120のニップ面Nの延長線Eと、排出台104の載置面104aとの交点P1より媒体排出方向A1の上流側の位置PAに向けて光を照射する。また、第1発光器121aの光の照射方向は、ニップ面Nの下流側の端部から、ニップ面Nの延長線Eと光の照射方向との交点P2までの距離が、媒体排出装置100がサポートする媒体の最小サイズ未満となるように設定されることが好ましい。同様に、第1発光器121aの照射位置PAは、下側筐体101の下流側の端部に設けられ、且つ、排出台104に積載された媒体の上流側の端部が突き当てられる壁面101aまでの距離が媒体の最小サイズ未満となるように設定されることが好ましい。これらにより、媒体排出装置100は、排出された、あらゆるサイズの媒体を確実に検出することができる。
【0044】
一方、第1受光器121bは、赤外線フォトダイオード等である。第1受光器121bは、第1発光器121aにより照射され、排出台104又は第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120によって排出された媒体により反射された光を受光し、受光した光に応じた電気信号である第1測距信号を生成して出力する。第1測距信号は、第1光信号の一例であり、第1発光器121aが光を照射してから第1受光器121bが光を受光するまでの時間を示す。
【0045】
第2測距センサ122は、赤外線近接距離センサであり、赤外線の照射から反射までの時間差から、対向する位置に存在する物体までの距離を測定する。第2測距センサ122は、第2発光器122a及び第2受光器122bを含む。第2発光器122a及び第2受光器122bは、それぞれ第1発光部及び第1受光部、又は、第2発光部及び第2受光部の一例である。
【0046】
第2発光器122aは、赤外線LED等であり、下流側に向けて且つ幅方向において対向する位置に向けて光を照射する。第2発光器122aは、第1発光器121aとは異なる角度で、排出台104に向けて、特に第1発光器121aの照射位置と第3発光器123aの照射位置の間に向けて光を照射する。第2発光器122aは、第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120のニップ面Nの延長線Eと、排出台104の載置面104aとの交点P1より媒体排出方向A1の下流側の位置PBに向けて光を照射する。即ち、第2発光器122aの照射位置PBは、第1発光器121aの照射位置PAより下流側に設定される。また、第2発光器122aの照射位置PBは、壁面101aまでの距離が、媒体排出装置100がサポートする媒体の最大サイズにマージン(例えば10mm)を加えた値未満となるように設定される。
【0047】
一方、第2受光器122bは、赤外線フォトダイオード等である。第2受光器122bは、第2発光器122aにより照射され、排出台104又は第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120によって排出された媒体により反射された光を受光し、受光した光に応じた電気信号である第2測距信号を生成して出力する。第2測距信号は、第1光信号又は第2光信号の一例であり、第2発光器122aが光を照射してから第2受光器122bが光を受光するまでの時間を示す。
【0048】
第3測距センサ123は、赤外線近接距離センサであり、赤外線の照射から反射までの時間差から、対向する位置に存在する物体までの距離を測定する。第3測距センサ123は、第3発光器123a及び第3受光器123bを含む。第3発光器123a及び第3受光器123bは、それぞれ第2発光部及び第2受光部の一例である。
【0049】
第3発光器123aは、赤外線LED等であり、下流側に向けて且つ幅方向において対向する位置に向けて光を照射する。第3発光器123aは、第1発光器121a及び第2発光器122aとは異なる角度で、排出台104より媒体排出方向A1の下流側に向けて光を照射する。即ち、第3発光器123aの照射位置は、第2発光器122aの照射位置PBより下流側に設定される。なお、第3発光器123aは、排出台104の載置面104aと平行な方向に向けて光を照射してもよい。また、排出台104が延伸可能に設けられている場合、第3発光器123aは、最も延伸された状態の排出台104より媒体排出方向A1の下流側に向けて光を照射してもよい。
【0050】
一方、第3受光器123bは、赤外線フォトダイオード等である。第3受光器123bは、第3発光器123aにより照射され、媒体排出装置100が設置された設置面又は第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120によって排出された媒体により反射された光を受光し、受光した光に応じた電気信号である第3測距信号を生成して出力する。第3測距信号は、第2光信号の一例であり、第3発光器123aが光を照射してから第3受光器123bが光を受光するまでの時間を示す。
【0051】
第1測距センサ121、第2測距センサ122及び第3測距センサ123として、例えば、0~100mmの範囲で、1mmの分解能で距離を測定できる公知の赤外線近接距離センサを利用できる。なお、第1測距センサ121、第2測距センサ122及び第3測距センサ123のうちの何れか一つは省略されてもよい。
【0052】
図4は、媒体排出装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0053】
媒体排出装置100は、前述した構成に加えて、モータ131、インタフェース装置132、記憶装置140及び処理回路150等をさらに有する。
【0054】
モータ131は、一又は複数のモータを有し、処理回路150からの制御信号によって、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ115、第2搬送ローラ116、第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120を回転させて媒体を搬送させる。なお、第1搬送ローラ115及び第2搬送ローラ116のうちの一方のローラは他方のローラに従動回転する従動ローラでもよい。また、第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120のうちの一方のローラは、他方のローラに従動回転する従動ローラでもよい。
【0055】
インタフェース装置132は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して入力画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置132の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース装置とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。通信部は、有線LAN等の通信プロトコルに従って、有線通信回線を通じて信号の送受信を行うための有線通信インタフェース装置を有してもよい。
【0056】
記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置140には、媒体排出装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
【0057】
処理回路150は、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理回路は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。処理回路150として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
【0058】
処理回路150は、操作装置105、表示装置106、第1媒体センサ111、超音波センサ114、第2媒体センサ117、撮像装置118、第1測距センサ121、第2測距センサ122、第3測距センサ123、モータ131、インタフェース装置132及び記憶装置140等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路150は、モータ131の駆動制御、撮像装置118の撮像制御等を行い、撮像装置118から入力画像を取得し、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信する。また、処理回路150は、第1測距センサ121、第2測距センサ122及び第3測距センサ123により生成される第1測距信号、第2測距信号及び第3測距信号に基づいて、媒体の排出異常が発生したか否かを判定する。
【0059】
図5は、記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
【0060】
図5に示すように、記憶装置140には、制御プログラム141、判定プログラム142、厚さ検出プログラム143、長さ検出プログラム144及び設定プログラム145等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理回路150は、記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、処理回路150は、制御部151、判定部152、厚さ検出部153、長さ検出部154及び設定部155として機能する。
【0061】
図6及び
図7は、媒体排出装置100の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0062】
以下、
図6及び
図7に示したフローチャートを参照しつつ、媒体排出装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路150により媒体排出装置100の各要素と協働して実行される。
【0063】
最初に、制御部151は、利用者により操作装置105又は情報処理装置を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置105又はインタフェース装置132から受信するまで待機する(ステップS101)。
【0064】
次に、制御部151は、第1測距センサ121、第2測距センサ122及び第3測距センサ123から、それぞれ第1測距信号、第2測距信号及び第3測距信号を受信する(ステップS102)。
【0065】
次に、制御部151は、受信した第1測距信号、第2測距信号及び第3測距信号に基づいて、排出台104に積載されている媒体の積載量が所定量以上であるか否かを判定する(ステップS103)。制御部151は、第1測距信号の信号値が第1基準値以下である場合、第2測距信号の信号値が第2基準値以下である場合、又は、第3測距信号の信号値が第3基準値以下である場合、媒体の積載量が所定量以上であると判定する。第1基準値、第2基準値及び第3基準値は、媒体の積載量が所定量である場合の第1測距信号、第2測距信号及び第3測距信号の信号値に設定される。一方、制御部151は、第1測距信号の信号値が第1基準値より大きく、第2測距信号の信号値が第2基準値より大きく、且つ、第3測距信号の信号値が第3基準値より大きい場合、媒体の積載量が所定量未満であると判定する。
【0066】
媒体の積載量が所定量以上である場合、制御部151は、排出台104に積載されている媒体を取り除くことを促す情報を表示装置106に表示し又はインタフェース装置132を介して情報処理装置に送信することにより利用者に通知する(ステップS104)。そして、制御部151は、一連のステップを終了する。
【0067】
一方、媒体の積載量が所定量未満である場合、制御部151は、受信した第1測距信号、第2測距信号及び第3測距信号の各信号値を、第1初期値、第2初期値及び第3初期値として記憶装置140に記憶する(ステップS105)。
【0068】
なお、制御部151は、第1初期値、第2初期値及び/又は第3初期値が、予め設定された上限値より大きい場合、その旨を利用者に通知し、媒体読取処理を終了してもよい。これにより、媒体排出装置100は、排出台104がセットされていない場合、又は、媒体排出装置100が机の端に設置され、その机の上に媒体の着地面が存在しない場合等に、排出された媒体が散乱してしまうことを抑制できる。
【0069】
次に、制御部151は、第1媒体センサ111から第1媒体信号を取得し、取得した第1媒体信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS106)。載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部151は、一連のステップを終了する。
【0070】
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、制御部151は、モータ131を駆動する。制御部151は、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ115、第2搬送ローラ116、第1排出ローラ119及び/又は第2排出ローラ120を回転させて、媒体を搬送させる(ステップS107)。
【0071】
次に、制御部151は、媒体読取処理と並列に実行される判定処理において、判定部152により、媒体の排出異常が発生したと判定されたか否かを判定する(ステップS108)。判定処理において、判定部152は、第1測距信号、第2測距信号及び/又は第3測距信号に基づいて、媒体の排出異常が発生したか否かを判定する。媒体の排出異常は、媒体の先端のくるまり、媒体の後端のくるまり、媒体の後端の不落下、排出中の媒体の排出台104からの飛び出し、排出中の媒体による排出済みの媒体の押し出し、又は、排出台104に積載された媒体の順番入れ替えを含む。判定処理の詳細については後述する。
【0072】
判定処理において判定部152により媒体の排出異常が発生したと判定された場合、制御部151は、異常処理を実行し(ステップS109)、一連のステップを終了する。制御部151は、異常処理として、モータ131を停止して、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ115、第2搬送ローラ116、第1排出ローラ119及び/又は第2排出ローラ120による媒体の搬送及び排出を停止する。なお、制御部151は、異常処理として、現在搬送中の媒体を排出してから媒体読取処理を停止させてもよい。
【0073】
また、制御部151は、異常処理として、各ローラによる媒体の搬送速度及び排出速度を低減させるように、モータ131を制御してもよい。その場合、制御部151は、媒体読取処理を終了せずに継続させる。また、制御部151は、異常処理として、媒体の排出異常が発生したことを示す情報を表示装置106に表示し又はインタフェース装置132を介して情報処理装置に送信することにより利用者に通知してもよい。その場合も、制御部151は、媒体読取処理を終了せずに継続させてもよい。一方、判定処理において媒体の排出異常が発生したと判定されていない場合、制御部151は、異常処理を実行しない。
【0074】
次に、制御部151は、搬送された媒体の先端が超音波センサ114の位置を通過したか否かを判定する(ステップS110)。制御部151は、例えば、第2媒体センサ117から受信する第2媒体信号に基づいて媒体の先端が第2媒体センサ117の位置を通過したか否かを判定する。制御部151は、第2媒体センサ117から定期的に第2媒体信号を取得する。制御部151は、第2媒体信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化したときに、媒体の先端が第2媒体センサ117の位置を通過し、超音波センサ114の位置を通過したと判定する。まだ搬送された媒体の先端が超音波センサ114の位置を通過していない場合、制御部151は、処理をステップS112へ移行する。
【0075】
一方、搬送された媒体の先端が超音波センサ114の位置を通過した場合、厚さ検出部153は、搬送される媒体の厚さを検出する(ステップS111)。厚さ検出部153は、超音波センサ114から受信する超音波信号に基づいて、媒体の厚さを検出する。超音波発信器114aにより発信されて媒体を透過する超音波は、その媒体によって減衰し、その媒体が厚いほど、超音波の減衰量は大きくなる。媒体排出装置100は、超音波受信器114bが受信する超音波の大きさ、即ち超音波信号の信号値と、媒体の厚さとの関係を規定したテーブルを予め記憶装置140に記憶しておく。厚さ検出部153は、記憶装置140に記憶されたテーブルを参照し、受信した超音波信号の信号値に対応する媒体の厚さを特定する。
【0076】
なお、厚さ検出部153は、現在搬送中の媒体の厚さを検出済みである場合、ステップS110~S111の処理を省略してもよい。
【0077】
また、厚さ検出部153は、超音波センサ114から受信する超音波信号に基づいて、媒体の重送が発生したか否かをさらに判定してもよい。複数の媒体が重なって搬送される場合、媒体を透過する超音波は、重なって搬送される媒体の間の空気層で減衰する。したがって、厚さ検出部153は、超音波信号の信号値が重送閾値以下であるか否かによって、媒体の重送が発生したか否かを判定することができる。重送閾値は、一枚の用紙が搬送された時の超音波信号の信号値と、二枚の用紙が搬送された時の超音波信号の信号値との間の値に設定される。厚さ検出部153が媒体の重送が発生したと判定した場合、制御部151は、モータ131を停止して媒体の搬送及び排出を停止する。なお、制御部151は、現在搬送中の媒体を排出してから媒体読取処理を停止させてもよい。また、制御部151は、モータ131を駆動し、搬送路に残っている媒体を逆送させて載置台103に一旦戻してから再給送(分離)するように各ローラを制御してもよい。これにより、利用者は、媒体を載置台103に再載置して再給送する必要がなくなり、制御部151は、利用者の利便性を向上させることが可能となる。また、制御部151は、媒体の重送が発生したことを示す情報を表示装置106に表示し又はインタフェース装置132を介して情報処理装置に送信することにより利用者に通知してもよい。
【0078】
また、厚さ検出部153は、超音波センサ114以外の厚さセンサを用いて、媒体の厚さを検出してもよい。厚さセンサは、超音波センサ114が配置される位置に配置される。なお、厚さセンサは、媒体搬送路上の任意の位置に配置されてもよい。厚さセンサは、例えば媒体の搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器のペアと、他方の側に設けられた発光器及び受光器のペアとを含む。反射光センサは、一方のペアが媒体の一方の面に光を照射してから反射光を受光するまでの時間と、他方のペアが媒体の他方の面に光を照射してから反射光を受光するまでの時間とから、各ペアと媒体の各面までの距離を検出する。反射光センサは、二つのペアの間の距離から、検出した各距離を減算した減算値を厚さとして示す厚さ信号を生成する。媒体排出装置100は、厚さ信号の信号値と、媒体の厚さとの関係を規定したテーブルを予め記憶装置140に記憶しておく。厚さ検出部153は、記憶装置140に記憶されたテーブルを参照し、受信した厚さ信号の信号値に対応する媒体の厚さを特定する。なお、厚さセンサは光を用いるものに限定されず、厚さセンサとして、圧力センサ、接触片を用いた厚さセンサ等の、媒体の厚さを検出可能な他の任意のセンサが用いられてもよい。
【0079】
次に、制御部151は、搬送された媒体の後端が第2媒体センサ117の位置を通過したか否かを判定する(ステップS112)。制御部151は、第2媒体センサ117から受信する第2媒体信号に基づいて媒体の後端が第2媒体センサ117の位置を通過したか否かを判定する。制御部151は、第2媒体センサ117から定期的に第2媒体信号を取得し、第2媒体信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化したときに、媒体の後端が第2媒体センサ117の位置を通過したと判定する。まだ搬送された媒体の後端が第2媒体センサ117の位置を通過していない場合、制御部151は、処理をステップS114へ移行する。
【0080】
一方、搬送された媒体の後端が第2媒体センサ117の位置を通過した場合、長さ検出部154は、搬送される媒体の長さを検出する(ステップS113)。長さ検出部154は、例えば、第2媒体センサ117から受信する第2媒体信号に基づいて、媒体の長さを検出する。長さ検出部154は、媒体の先端が第2媒体センサ117の位置を通過してから、媒体の後端が第2媒体センサ117の位置を通過するまでの間に、モータ131を駆動して各ローラにより媒体を移動させた距離を、媒体の長さとして算出する。即ち、長さ検出部154は、媒体の先端が第2媒体センサ117の位置を通過してから、媒体の後端が第2媒体センサ117の位置を通過するまでの時間に、媒体の搬送速度を乗じた値を、媒体の長さとして算出する。
【0081】
なお、長さ検出部154は、現在搬送中の媒体の長さを検出済みである場合、ステップS113の処理を省略してもよい。
【0082】
次に、制御部151は、搬送された媒体の全体が撮像されたか否かを判定する(ステップS114)。制御部151は、媒体の後端が第2媒体センサ117の位置を通過してから第1所定時間が経過した時に媒体の後端が撮像装置118の撮像位置を通過し、搬送された媒体の全体が撮像されたと判定する。第1所定時間は、媒体が第2媒体センサ117から撮像位置まで移動するのに要する時間にマージンを加えた値に設定される。なお、制御部151は、媒体の給送を開始してから所定時間が経過した時に、搬送された媒体の全体が撮像されたと判定してもよい。まだ搬送された媒体の全体が撮像されていない場合、制御部151は、処理をステップS108へ戻し、ステップS108~S114の処理を繰り返す。
【0083】
一方、搬送された媒体の全体が撮像された場合、制御部151は、撮像装置118から入力画像を取得し、取得した入力画像を、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信することにより出力する(ステップS115)。
【0084】
次に、制御部151は、第1媒体センサ111から受信する第1媒体信号に基づいて載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS116)。載置台103に媒体が残っている場合、制御部151は、ステップS108へ処理を戻し、ステップS108~S116の処理を繰り返す。
【0085】
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部151は、ステップS108の処理と同様に、判定処理において、判定部152により、媒体の排出異常が発生したと判定されたか否かを判定する(ステップS117)。
【0086】
判定処理において判定部152により媒体の排出異常が発生したと判定された場合、制御部151は、ステップS109の処理と同様に、異常処理を実行し(ステップS118)、一連のステップを終了する。
【0087】
次に、制御部151は、現在搬送中の媒体の排出が完了したか否かを判定する(ステップS119)。制御部151は、媒体の後端が第2媒体センサ117の位置を通過してから第2所定時間が経過した時に媒体の後端が第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120の位置を通過し、媒体の排出が完了したと判定する。第2所定時間は、媒体が第2媒体センサ117から第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120まで移動するのに要する時間にマージンを加えた値に設定される。なお、制御部151は、媒体の給送を開始してから所定時間が経過した時に、媒体の排出が完了したと判定してもよい。まだ媒体の排出が完了していない場合、制御部151は、処理をステップS117へ戻し、ステップS117~S119の処理を繰り返す。
【0088】
一方、媒体の排出が完了した場合、制御部151は、モータ131を停止する。これにより、制御部151は、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ115、第2搬送ローラ116、第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120を停止させ(ステップS120)、一連のステップを終了する。
【0089】
なお、ステップS103~S104、S110~S111又はS112~S113の処理は省略されてもよい。
【0090】
図8は、媒体排出装置100の判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0091】
以下、
図8に示したフローチャートを参照しつつ、媒体排出装置100の判定処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路150により媒体排出装置100の各要素と協働して実行される。
図8に示す動作のフローは、媒体搬送中に実行される。
【0092】
最初に、判定部152は、第1測距センサ121、第2測距センサ122及び第3測距センサ123から、それぞれ第1測距信号、第2測距信号及び第3測距信号を受信する(ステップS201)。判定部152は、第1初期値から第1測距信号の信号値を減算した減算値を第1差分値として算出する。判定部152は、第2初期値から第2測距信号の信号値を減算した減算値を第2差分値として算出する。判定部152は、第3初期値から第3測距信号の信号値を減算した減算値を第3差分値として算出する。判定部152は、第1測距信号の信号値、第2測距信号の信号値、第3測距信号の信号値、第1差分値、第2差分値及び第3差分値を記憶装置140に記憶する。
【0093】
次に、判定部152は、受信した第1測距信号、第2測距信号及び/又は第3測距信号に基づいて、媒体の先端のくるまりが発生したか否かを判定する(ステップS202)。
【0094】
図9(a)~(c)は、媒体の排出異常が発生せずに、媒体が正常に排出される様子を示す模式図である。
図9(a)~(c)は、媒体排出装置100の排出台104の周辺を側方から見た模式図である。
図9(a)は、媒体Mの先端が第1測距センサ121の照射範囲に到達した状態を示す。
図9(b)は、媒体Mの先端が第2測距センサ122の照射範囲に到達した状態を示す。
図9(c)は、媒体Mの排出が完了した状態を示す。
【0095】
図10(a)は、媒体が正常に排出された場合の第1測距信号の特性を示すグラフである。
図10(b)は、媒体が正常に排出された場合の第2測距信号の特性を示すグラフである。
図10(c)は、媒体が正常に排出された場合の第3測距信号の特性を示すグラフである。
図10(a)~(c)の縦軸は信号値を示し、横軸は時間を示す。
【0096】
図9(a)に示すように、媒体Mが正常に排出される場合、媒体Mの先端は、第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120の位置を通過した後、第1測距センサ121の照射範囲に到達する。したがって、
図10(a)に示すように、媒体Mの先端が第2媒体センサ117の位置を通過した時刻T1から時間Δt1が経過した時に、第1測距センサ121の照射範囲が媒体Mの先端によって遮られ、第1測距信号の信号値は第1初期値に対して大きく低減する。
【0097】
図9(b)に示すように、媒体Mの先端は、排出台104の載置面104aに沿って移動し、第2測距センサ122の照射範囲に到達する。媒体Mの先端は、載置面104aに沿って移動するため、
図10(b)に示すように、第2測距信号の信号値は第2初期値に対してわずかに差分Δbだけ低減する。
【0098】
図9(c)に示すように、媒体Mは、後端が第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120の位置を通過した後、自重により自由落下し、媒体Mの全体が載置面104aに接触する。したがって、
図10(a)に示すように、媒体Mの後端が第2媒体センサ117の位置を通過した時刻T2から時間Δt2が経過した時に、媒体Mが第1測距センサ121から離れていき、第1測距信号の信号値が増大し始める。媒体Mは、空気抵抗の影響を受けて緩やかに落下するため、第1測距信号が増大する傾きθは、90°より十分に小さい。媒体Mの後端が載置面104aに接触した時に、第1測距信号の信号値は一定になり、第1初期値と媒体排出後の第1測距信号の信号値との差分Δaは、媒体Mの厚さに相当する大きさになる。
【0099】
また、媒体Mが排出台104内に収まるサイズを有する場合、媒体Mの先端は、第3測距センサ123の照射範囲に到達しない。したがって、
図10(c)に示すように、第3測距信号の信号値は変化しない。
【0100】
図11(a)~(c)は、媒体の先端のくるまりについて説明するための模式図である。
図11(a)~(c)は、媒体排出装置100の排出台104の周辺を側方から見た模式図である。
図11(a)は、媒体Mの先端がくるまり、媒体Mが第1測距センサ121の照射範囲に到達しなかった状態を示す。
図11(b)は、媒体Mの先端がくるまり、媒体Mが第1測距センサ121の照射範囲を通過し且つ第2測距センサ122の照射範囲に到達しなかった状態を示す。
図11(c)は、媒体Mの先端がくるまりつつ、媒体Mが第2測距センサ122の照射範囲に到達した状態を示す。
【0101】
図12(a)は、
図11(a)に示すように、先端がくるまった媒体Mが第1測距センサ121の照射範囲に到達しなかった場合の第1測距信号の特性を示すグラフである。
図12(b)は、
図11(b)に示すように、先端がくるまった媒体Mが第1測距センサ121の照射範囲を通過し、第2測距センサ122の照射範囲に到達しなかった場合の第1測距信号の特性を示すグラフである。
図12(c)は、
図11(c)に示すように、先端がくるまった媒体Mが第2測距センサ122の照射範囲に到達した場合の第2測距信号の特性を示すグラフである。
図12(a)~(c)の縦軸は信号値を示し、横軸は時間を示す。
【0102】
図11(a)に示すように、先端がくるまった媒体Mが第1測距センサ121の照射範囲に到達しなかった場合、第1測距センサ121の照射範囲は、媒体Mの先端によって遮られない。したがって、
図12(a)に示すように、媒体Mの先端が第2媒体センサ117の位置を通過した時刻T1からある程度の時間が経過しても、第1測距信号の信号値は低減しない。
【0103】
判定部152は、媒体の先端が第2媒体センサ117の位置を通過した時刻T1から第1時間が経過するまでに取得した第1測距信号の各信号値が第1信号閾値以上であるか否かを判定する。第1時間は、媒体の先端が第2媒体センサ117の位置から第1測距センサ121の照射範囲まで移動するのに要する時間にマージンを加えた値に設定される。第1信号閾値は、媒体が第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120のニップ面Nに沿って、ニップ位置から載置面104aまで延伸している場合の第1測距信号の信号値にマージンを加えた値に設定される。判定部152は、何れの信号値も第1信号閾値以上である場合、媒体の先端が第1測距センサ121の照射範囲に到達しておらず、媒体の先端のくるまりが発生したと判定する。
【0104】
一方、
図11(b)に示すように、先端がくるまった媒体Mが、第1測距センサ121の照射範囲を通過し、第2測距センサ122の照射範囲に到達しなかった場合、第1測距センサ121の照射範囲は、媒体Mによって遮られる。この場合、媒体Mの後端は、第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120を通過した後に落下するが、先端のくるまりによって媒体Mの全体が浮き上がり、媒体Mと第1測距センサ121の間の距離は、正常時と比較して小さくなる。したがって、
図12(b)に示すように、媒体Mの後端が第2媒体センサ117の位置を通過した時刻T2からある程度の時間が経過しても、第1初期値と第1測距信号の信号値の間の第1差分値は十分に大きい。
【0105】
判定部152は、媒体の後端が第2媒体センサ117の位置を通過した時刻T2から第2時間が経過した時に取得した第1測距信号について算出した第1差分値が第1差分閾値以上であるか否かを判定する。第2時間は、媒体の後端が第2媒体センサ117の位置を通過してから載置面104aまで落下するのに要する時間にマージンを加えた値に設定される。第1差分閾値は、現在までに排出された媒体の厚さの合計に相当する値にマージンを加えた値に設定される。判定部152は、算出した第1差分値が第1差分閾値以上である場合、媒体の後端が十分に落下しておらず、媒体の先端のくるまりが発生したと判定する。
【0106】
また、
図11(b)に示すように、第2測距センサ122の照射範囲は、媒体Mによって遮られないため、第2測距信号の信号値は、
図12(a)に示した第1測距信号の信号値と同様に、低減しない。したがって、判定部152は、第1測距信号の代わりに、又は、第1測距信号に加えて、第2測距信号に基づいて、媒体Mの先端のくるまりが発生したか否かを判定してもよい。
【0107】
その場合、判定部152は、まず、媒体の長さが第1長さ閾値以上であるか否かを判定する。第1長さ閾値は、第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120の位置から第2測距センサ122の照射範囲までの距離にマージンを加えた値に設定される。媒体の長さが第1長さ閾値以上である場合、判定部152は、媒体の先端が第2媒体センサ117の位置を通過した時刻T1から第3時間が経過するまでに取得した第2測距信号について算出した各第2差分値が第2差分閾値以上であるか否かを判定する。第3時間は、媒体の先端が第2媒体センサ117の位置から第2測距センサ122の照射範囲まで移動するのに要する時間にマージンを加えた値に設定される。第2差分閾値は、現在までに排出された媒体の厚さの合計に相当する値からマージンを減じた値に設定される。判定部152は、何れの第2差分値も第2差分閾値未満である場合、媒体の先端が第2測距センサ122の照射範囲に到達しておらず、媒体の先端のくるまりが発生したと判定する。
【0108】
なお、長尺媒体が排出される場合、媒体の先端は、第3測距センサ123の照射範囲まで到達する可能性がある。したがって、判定部152は、第3測距信号に基づいて、媒体の先端のくるまりが発生したか否かを判定してもよい。その場合、判定部152は、まず、媒体の長さが第2長さ閾値以上であるか否かを判定する。第2長さ閾値は、第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120の位置から第3測距センサ123の照射範囲までの距離にマージンを加えた値に設定される。媒体の長さが第2長さ閾値以上である場合、判定部152は、媒体の先端が第2媒体センサ117の位置を通過した時刻T1から第4時間が経過するまでに取得した第3測距信号の各信号値が第2信号閾値以上であるか否かを判定する。第4時間は、媒体の先端が第2媒体センサ117の位置から第3測距センサ123の照射範囲まで移動するのに要する時間にマージンを加えた値に設定される。第2信号閾値は、媒体が載置面104aに沿って排出台104より下流側に延伸している場合の第3測距信号の信号値にマージンを加えた値に設定される。判定部152は、第3測距信号の各信号値が第2信号閾値以上である場合、媒体の先端が第3測距センサ123の照射範囲に到達しておらず、媒体の先端のくるまりが発生したと判定する。
【0109】
一方、
図11(c)に示すように、先端がくるまった媒体Mが第2測距センサ122の照射範囲に到達した場合、第2測距センサ122の照射範囲は、媒体Mによって遮られる。この場合、媒体Mの後端は、第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120を通過した後に落下するが、先端のくるまりによって媒体Mの全体が浮き上がり、媒体Mと第2測距センサ122の間の距離は小さくなる。したがって、
図12(c)に示すように、媒体Mの後端が第2媒体センサ117の位置を通過した時刻T2からある程度の時間が経過しても、第2初期値と第2測距信号の信号値の間の第2差分値は十分に大きい。
【0110】
判定部152は、媒体の後端が第2媒体センサ117の位置を通過した時刻T2から、上記した第2時間が経過した時に取得した第2測距信号について算出した第2差分値が第1差分閾値以上であるか否かを判定する。判定部152は、算出した第2差分値が第1差分閾値以上である場合、媒体が十分に落下しておらず、媒体の先端のくるまりが発生したと判定する。
【0111】
なお、先端がくるまった媒体Mが第3測距センサ123の照射範囲に到達した場合、第3測距センサ123の照射範囲は媒体Mによって遮られ、媒体Mと第3測距センサ123の間の距離は小さくなる。したがって、判定部152は、第3測距信号に基づいて、媒体の先端のくるまりが発生したか否かを判定してもよい。その場合、判定部152は、媒体の後端が第2媒体センサ117の位置を通過した時刻T2から、上記した第2時間が経過した時に取得した第3測距信号について算出した第3差分値が第1差分閾値以上であるか否かを判定する。判定部152は、算出した第3差分値が第1差分閾値以上である場合、媒体が十分に落下しておらず、媒体の先端のくるまりが発生したと判定する。
【0112】
判定部152は、媒体の先端のくるまりが発生したと判定した場合、媒体の排出異常が発生したと判定し(ステップS203)、一連のステップを終了する。
【0113】
一方、判定部152は、媒体の先端のくるまりが発生したと判定していない場合、媒体の後端のくるまり又は媒体の後端の不落下が発生したか否かを判定する(ステップS204)。
【0114】
図13(a)~(c)は、媒体の後端のくるまり又は媒体の後端の不落下について説明するための模式図である。
図13(a)~(c)は、媒体排出装置100の排出台104の周辺を側方から見た模式図である。
図13(a)は、媒体Mの後端がくるまった状態を示す。
図13(b)は、媒体Mの後端が壁面101aに引っ掛かり、落下しなかった状態を示す。
図13(c)は、媒体Mの後端が第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120に引っ掛かり、落下しなかった状態を示す。
【0115】
図14(a)は、
図13(a)に示すように、媒体Mの後端がくるまった場合、又は、
図13(b)に示すように、媒体Mの後端が壁面101aに引っ掛かり、落下しなかった場合の第1測距信号の特性を示すグラフである。
図14(b)は、
図13(c)に示すように、媒体Mの後端が第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120に引っ掛かり、落下しなかった場合の第1測距信号の特性を示すグラフである。
図14(a)、(b)の縦軸は信号値を示し、横軸は時間を示す。
【0116】
図13(a)に示すように、媒体Mの後端がくるまった場合、媒体Mは、後端が第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120を通過した後、後端のくるまりによって、自由落下せずにゆるやかに下降する。また、
図13(b)に示すように、媒体Mの後端が壁面101aに引っ掛かった場合、媒体Mは、後端が第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120を通過した後、後端の引っ掛かりによって、自由落下せずにゆるやかに下降する。したがって、
図14(a)に示すように、媒体排出後に第1測距信号が増大する傾きθは、正常に排出される場合より十分に小さくなる。
【0117】
判定部152は、媒体の後端が第2媒体センサ117の位置を通過した時刻T2の後に取得した第1測距信号の信号値を監視し、信号値が増大し始めてから一定になるまでの間の、信号値が増大する傾きを算出する。判定部152は、算出した傾きが第1傾き閾値以下であるか否かを判定し、傾きが第1傾き閾値以下である場合、媒体の後端が自由落下しておらず、媒体の後端のくるまり又は不落下が発生したと判定する。第1傾き閾値は、事前の実験により、媒体が正常に排出された場合に算出された傾きと、媒体の後端のくるまり又は不落下が発生した場合に算出された傾きとの間の値に設定される。
【0118】
なお、媒体の落下速度は、媒体の材質(薄紙、通常用紙、厚紙等)によって異なり、媒体が厚いほど高くなる。したがって、媒体落下中の第1測距信号の傾きは、媒体が厚いほど大きくなる。そのため、第1傾き閾値は、排出される媒体の厚さが大きいほど大きくなるように設定されてもよい。例えば、媒体排出装置100は、超音波信号又は厚さ信号の信号値と、媒体の厚さと、第1傾き閾値との関係を規定したテーブルを予め記憶装置140に記憶しておく。判定部152は、記憶装置140に記憶されたテーブルを参照し、受信した超音波信号又は厚さ信号の信号値に対応する媒体の厚さ及び第1傾き閾値を特定する。これにより、判定部152は、媒体の排出異常が発生したか否かをより精度良く判定することができる。
【0119】
一方、
図13(c)に示すように、媒体Mの後端が第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120に引っ掛かり、落下しなかった場合、媒体の排出の完了前後で、媒体Mと第1測距センサ121の間の距離は変化しない。したがって、
図14(b)に示すように、第1初期値と、媒体排出後の第1測距信号の信号値との第1差分値は十分に大きい。また、
図13(a)に示すように媒体Mの後端がくるまった場合、又は、
図13(b)に示すように媒体Mの後端が壁面101aに引っ掛かった場合も、媒体Mの後端は、載置面104aに接するまで落下しない。したがって、
図14(a)に示すように、第1初期値と、媒体排出後の第1測距信号の信号値の間の第1差分値は十分に大きい。
【0120】
そのため、判定部152は、媒体の先端のくるまりが発生したか否かを判定する場合と同様に、第1差分値に基づいて、媒体の後端のくるまり又は不落下が発生したか否かを判定してもよい。その場合、判定部152は、媒体Mの後端が第2媒体センサ117の位置を通過した時刻T2から、上記した第2時間が経過した時に取得した第1測距信号について算出した第1差分値が第1差分閾値以上であるか否かを判定する。判定部152は、第1差分値が第1差分閾値以上である場合、媒体の後端のくるまり又は不落下が発生したと判定する。
【0121】
判定部152は、媒体の後端のくるまり又は不落下が発生したと判定した場合、媒体の排出異常が発生したと判定し(ステップS203)、一連のステップを終了する。
【0122】
一方、判定部152は、媒体の後端のくるまり又は不落下が発生したと判定していない場合、排出中の媒体の排出台104からの飛び出しが発生したか否かを判定する(ステップS205)。
【0123】
図15(a)、(b)は、媒体の飛び出しについて説明するための模式図である。
図15(a)、(b)は、媒体排出装置100の排出台104の周辺を側方から見た模式図である。
図15(a)は、媒体Mの後端が第1測距センサ121の照射範囲から飛び出した状態を示す。
図15(b)は、媒体Mの後端が排出台104から飛び出した状態を示す。
【0124】
図16(a)は、媒体の飛び出しが発生した場合の第1測距信号の特性を示すグラフである。
図16(b)は、媒体の飛び出しが発生した場合の第2測距信号の特性を示すグラフである。
図16(c)は、媒体の飛び出しが発生した場合の第3測距信号の特性を示すグラフである。
図16(a)~(c)の縦軸は信号値を示し、横軸は時間を示す。
【0125】
図15(a)に示すように、媒体の飛び出しが発生する場合、媒体Mの後端は、第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120を通過した後、自由落下により下降する前に、第1測距センサ121の照射範囲から飛び出す。媒体Mの後端が第1測距センサ121の照射範囲から抜けた瞬間に、第1測距信号の信号値は急激に増大し、
図16(a)に示すように、媒体排出後に第1測距信号が増大する傾きは、正常に排出される場合より十分に大きくなる。
【0126】
また、媒体の飛び出しが発生する場合、媒体Mは勢いよく排出され、媒体Mの後端側は載置面104aから離間した状態で排出される。したがって、
図16(b)に示すように、第2測距信号の信号値は、第1測距信号の信号値と同様に変化する。
【0127】
図15(b)に示すように、媒体の飛び出しが発生する場合、媒体Mの先端は第3測距センサ123の照射範囲に進入し、その後、媒体Mの後端は第3測距センサ123の照射範囲から飛び出す。したがって、
図16(c)に示すように、第3測距信号の信号値は、媒体排出後に一旦低減し、その後、第3初期値と同様の値に戻る。
【0128】
判定部152は、媒体の先端が第2媒体センサ117の位置を通過した時刻T1の後に取得した第3測距信号の各信号値が、上記した第2信号閾値以上であるか否かを判定する。判定部152は、時刻T1から第5時間が経過した後に取得した第3測距信号の信号値が第2信号閾値未満となり、且つ、その後、第2信号閾値以上となった場合、媒体の飛び出しが発生したと判定する。第5時間は、媒体の先端が第2媒体センサ117の位置から第3測距センサ123の照射範囲まで移動するのに要する時間からマージンを減じた値に設定される。
【0129】
なお、判定部152は、媒体の長さにさらに基づいて、媒体の飛び出しが発生したか否かを判定してもよい。その場合、判定部152は、媒体の長さが第2長さ閾値以上であるか否かを判定する。第2長さ閾値は、第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120の位置から第3測距センサ123の照射範囲までの距離からマージンを減じた値に設定される。判定部152は、媒体の長さが第2長さ閾値未満であるにもかかわらず、第3測距信号の信号値が第2信号閾値未満となった場合に限り、媒体の飛び出しが発生したと判定する。
【0130】
また、後述する媒体の押し出しと区別するために、判定部152は、上記条件が満たされた場合に、媒体の飛び出しが発生したと判定するのでなく、さらに他の条件が満たされた場合に、媒体の飛び出しが発生したと判定してもよい。例えば、判定部152は、時刻T2から第5時間が経過する前に取得した各第3測距信号の信号値が第2信号閾値未満である場合は、媒体の押し出しが発生しており、媒体の飛び出しが発生していないと判定する。
【0131】
また、判定部152は、第1測距信号にさらに基づいて、媒体の飛び出しが発生したか否かを判定してもよい。その場合、判定部152は、媒体Mの後端が第2媒体センサ117の位置を通過した時刻T2の後に取得した第1測距信号の信号値を監視し、信号値が増大し始めてから一定になるまでの間の、信号値が増大する傾きを算出する。判定部152は、算出した傾きが第2傾き閾値以上であるか否かを判定し、傾きが第2傾き閾値以上である場合に限り、媒体の飛び出しが発生したと判定する。第2傾き閾値は、事前の実験により、媒体が正常に排出された場合に算出された傾きと、媒体の飛び出しが発生した場合に算出された傾きとの間の値に設定される。なお、第2傾き閾値は、第1傾き閾値と同様に、排出される媒体の厚さが大きいほど大きくなるように設定されてもよい。例えば、媒体排出装置100は、超音波信号又は厚さ信号の信号値と、媒体の厚さと、第2傾き閾値との関係を規定したテーブルを予め記憶装置140に記憶しておく。判定部152は、記憶装置140に記憶されたテーブルを参照し、受信した超音波信号又は厚さ信号の信号値に対応する媒体の厚さ及び第2傾き閾値を特定する。これにより、判定部152は、媒体の排出異常が発生したか否かをより精度良く判定することができる。
【0132】
また、判定部152は、第1測距信号の信号値が増大し始めてから第3測距信号の信号値が増大し始めるまでの時間に媒体の排出速度を乗じた乗算値を算出する。判定部152は、算出した乗算値と、第1測距センサ121の照射範囲から第3測距センサ123の照射範囲までの距離との差が閾値未満である場合に限り、媒体の飛び出しが発生したと判定する。
【0133】
また、判定部152は、第2測距信号にさらに基づいて、媒体の飛び出しが発生したか否かを判定してもよい。その場合、判定部152は、媒体Mの先端が第2媒体センサ117の位置を通過した時刻T1の後に取得した第2測距信号について算出した各第2差分値が第1差分閾値以上であるか否かを判定する。判定部152は、時刻T1から第6時間が経過した後に取得した第2測距信号について算出した第2差分値が第1差分閾値以上となり、且つ、その後、第1差分閾値未満となった場合に限り、媒体の飛び出しが発生したと判定する。第6時間は、媒体の先端が第2媒体センサ117の位置から第2測距センサ122の照射範囲まで移動するのに要する時間からマージンを減じた値に設定される。また、判定部152は、時刻T1から第6時間が経過する前に取得した第2測距信号から算出した各第2差分値が第1差分閾値以上である場合、媒体の飛び出しが発生していないと判定してもよい。
【0134】
判定部152は、排出中の媒体の排出台104からの飛び出しが発生したと判定した場合、媒体の排出異常が発生したと判定し(ステップS203)、一連のステップを終了する。
【0135】
一方、判定部152は、排出中の媒体の排出台104からの飛び出しが発生したと判定していない場合、排出中の媒体による排出済みの媒体の押し出しが発生したか否かを判定する(ステップS206)。
【0136】
図17(a)~(c)は、媒体の押し出しが発生する様子を示す模式図である。
図17(a)~(c)は、媒体排出装置100の排出台104の周辺を側方から見た模式図である。
図17(a)は、排出済みの媒体M1の後端に、排出中の媒体M2の先端部が接触した状態を示す。
図17(b)は、排出済みの媒体M1の後端が、排出中の媒体M2の先端部に押され、排出済みの媒体M1が移動している状態を示す。
図17(c)は、排出済みの媒体M1が、排出中の媒体M2によって排出台104から押し出された状態を示す。
【0137】
図18(a)は、媒体の押し出しが発生した場合の第1測距信号の特性を示すグラフである。
図18(b)は、媒体の押し出しが発生した場合の第2測距信号の特性を示すグラフである。
図18(c)は、媒体の押し出しが発生した場合の第3測距信号の特性を示すグラフである。
図18(a)~(c)の縦軸は信号値を示し、横軸は時間を示す。
【0138】
図17(a)に示すように、媒体の押し出しは、排出済みの媒体M1の後端が、排出中の媒体M2の先端部に押されることにより発生する。そのため、排出中の媒体M2の先端が第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120を通過した後すぐに、排出済みの媒体M1は、第2測距センサ122の照射範囲内で移動し、その先端は、第3測距センサ123の照射範囲に進入する。その後、排出済みの媒体M1は、
図17(b)に示すように、排出中の媒体M2によって押されて移動していき、
図17(c)に示すように、排出台104から飛び出す。一方、排出中の媒体M2は、正常排出時の媒体と同様に、自重により自由落下し、媒体M2の全体が載置面104aに接触する。
【0139】
したがって、
図18(a)に示すように、媒体の押し出しが発生した場合の第1測距信号の信号値は、正常排出時の第1測距信号の信号値と同様に変化する。
【0140】
また、
図18(b)に示すように、媒体の押し出しが発生した場合の第2測距信号の信号値は、正常排出時の第2測距信号の信号値と同様に変化する。但し、第2測距信号の信号値が低減するタイミングは、正常排出時の第2測距信号の信号値が低減するタイミングより十分に早い。
【0141】
一方、
図18(c)に示すように、媒体の押し出しが発生した場合の第3測距信号の信号値は、媒体M2の排出中に一旦低減し、その後、第3初期値と同様の値に戻る。但し、第3測距信号の信号値が低減するタイミングは、媒体の飛び出しが発生した場合の第3測距信号の信号値が低減するタイミングより十分に早い。
【0142】
判定部152は、媒体の先端が第2媒体センサ117の位置を通過した時刻T1の後に取得した第3測距信号の各信号値が、上記した第2信号閾値以上であるか否かを判定する。判定部152は、時刻T1から第7時間が経過した後且つ第5時間が経過する前に取得した第3測距信号の信号値が第2信号閾値未満となり、且つ、その後、第2信号閾値以上となった場合、媒体の押し出しが発生したと判定する。第7時間は、上記した第5時間より小さい値に設定され、媒体の先端が第2媒体センサ117の位置を通過してから載置面104aに到達するまでに要する時間からマージンを減じた値に設定される。
【0143】
なお、媒体の飛び出しと区別するために、判定部152は、上記条件が満たされた場合に、媒体の押し出しが発生したと判定するのでなく、さらに他の条件が満たされた場合に、媒体の押し出しが発生したと判定してもよい。例えば、判定部152は、媒体の長さにさらに基づいて、媒体の押し出しが発生したか否かを判定する。その場合、判定部152は、媒体の長さが第3長さ閾値以上であるか否かを判定する。第3長さ閾値は、第2長さ閾値より小さい値に設定され、例えば第2長さ閾値の1/2の値に設定される。判定部152は、媒体の長さが第3長さ閾値未満であるにもかかわらず、第3測距信号の信号値が第2信号閾値未満となった場合に限り、媒体の押し出しが発生したと判定する。
【0144】
なお、判定部152は、第1測距信号にさらに基づいて、媒体の押し出しが発生したか否かを判定してもよい。その場合、判定部152は、第1測距信号の信号値が増大し始めてから一定になるまでの間の信号値が増大する傾きが第2傾き閾値未満である場合に限り、媒体の押し出しが発生したと判定する。
【0145】
また、判定部152は、第1測距信号の信号値が増大し始めてから第3測距信号の信号値が増大し始めるまでの時間に媒体の排出速度を乗じた乗算値を算出する。判定部152は、算出した乗算値と、第1測距センサ121の照射範囲から第3測距センサ123の照射範囲までの距離との差が閾値以上である場合に限り、媒体の押し出しが発生したと判定する
【0146】
また、判定部152は、第2測距信号にさらに基づいて、媒体の押し出しが発生したか否かを判定してもよい。例えば、判定部152は、媒体Mの先端が第2媒体センサ117の位置を通過した時刻T1の後に取得した第2測距信号について算出した各第2差分値が第1差分閾値を超えない場合に限り、媒体の押し出しが発生したと判定する。
【0147】
また、判定部152は、媒体の長さにさらに基づいて、媒体の押し出しが発生したか否かを判定してもよい。例えば、判定部152は、媒体の長さが第4長さ閾値以上であるか否かを判定する。第4長さ閾値は、第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120の位置から第2測距センサ122の照射範囲までの距離からマージンを減じた値に設定される。判定部152は、媒体の長さが第4長さ閾値未満であるにもかかわらず、時刻T1から、上記した第6時間が経過する前に取得した第2測距信号について算出した第2差分値が第1差分閾値以上となった場合に限り、媒体の押し出しが発生したと判定する。
【0148】
判定部152は、排出中の媒体による排出済みの媒体の押し出しが発生したと判定した場合、媒体の排出異常が発生したと判定し(ステップS203)、一連のステップを終了する。
【0149】
一方、判定部152は、排出中の媒体による排出済みの媒体の押し出しが発生したと判定していない場合、排出台104に積載された媒体の順番入れ替えが発生したか否かを判定する(ステップS207)。
【0150】
図19(a)~(c)は、媒体の順番入れ替えについて説明するための模式図である。
図19(a)~(c)は、媒体排出装置100の排出台104の周辺を側方から見た模式図である。
図19(a)は、排出済みの媒体M1の後端の下側に、排出中の媒体M2の先端が潜り込んだ状態を示す。
図19(b)は、排出済みの媒体M1の下側を、排出中の媒体M2が進んでいき、排出済みの媒体M1が下流側にわずかに押し出されている状態を示す。
図19(c)は、媒体の順番入れ替えが発生した状態を示す。
【0151】
図20(a)は、媒体の順番入れ替えが発生した場合の第1測距信号の特性を示すグラフである。
図20(b)は、媒体の順番入れ替えが発生した場合の第3測距信号の特性を示すグラフである。
図20(a)、(b)の縦軸は信号値を示し、横軸は時間を示す。
【0152】
図19(a)に示すように、媒体の順番入れ替えは、排出中の媒体M2が排出済みの媒体M1の下側に潜り込むことにより発生する。したがって、媒体の順番入れ替えが発生した場合、排出済みの媒体M1は、排出中の媒体M2によって浮き上がる。そのため、媒体の順番入れ替えが発生した時の第1測距センサ121から媒体(排出済みの媒体M1)までの距離は、正常排出時の第1測距センサ121から媒体(排出中の媒体)までの距離より大きくなる。
【0153】
また、
図19(b)、
図19(c)に示すように、排出済みの媒体M1は、排出中の媒体M2によって移動していき、排出台104から突出する傾向にある。また、排出中の媒体M2の後端が第1排出ローラ119及び第2排出ローラ120を通過した後、排出中の媒体M2は、その上に載置された排出済みの媒体M1によって押さえられるため、媒体が下降する速度は、正常排出時より高くなる傾向にある。
【0154】
したがって、
図20(a)に示すように、媒体の順番入れ替えが発生した場合、媒体Mの先端が第2媒体センサ117の位置を通過した時刻T1からある程度の時間が経過した時に、第1測距信号の信号値が低減する量は、正常に排出される場合より小さくなる。また、媒体排出後に第1測距信号が増大する傾きは、正常に排出される場合より大きくなる。
【0155】
また、
図20(b)に示すように、媒体の順番入れ替えが発生した場合、第3測距信号の信号値は、媒体排出後に低減し、その後、戻らない。
【0156】
判定部152は、媒体の先端が第2媒体センサ117の位置を通過した時刻T1から、上記した第1時間が経過するまでに取得した第1測距信号の各信号値が第1信号閾値以上であるか否かと、第3信号閾値以下であるか否かと、を判定する。第3信号閾値は、第1信号閾値より大きい値に設定され、例えば、事前の実験により、媒体の順番入れ替えが発生した場合の第1測距信号の信号値にマージンを加えた値に設定される。判定部152は、何れかの信号値が第1信号閾値以上であり且つ第3信号閾値以下である場合、媒体の順番入れ替えが発生したと判定する。なお、判定部152は、第1測距信号の信号値が第1信号閾値以上であり且つ第3信号閾値以下であることが所定回数以上連続した場合に、媒体の順番入れ替えが発生したと判定してもよい。
【0157】
また、判定部152は、第1測距信号の傾きにさらに基づいて、媒体の順番入れ替えが発生したか否かを判定してもよい。その場合、判定部152は、媒体Mの後端が第2媒体センサ117の位置を通過した時刻T2の後に取得した第1測距信号の信号値を監視し、信号値が増大し始めてから一定になるまでの間の、信号値が増大する傾きを算出する。判定部152は、算出した傾きが第3傾き閾値以上であるか否かを判定し、傾きが第3傾き閾値以上である場合に限り、媒体の順番入れ替えが発生したと判定する。第3傾き閾値は、事前の実験により、媒体が正常に排出された場合に算出された傾きと、媒体の順番入れ替えが発生した場合に算出された傾きとの間の値に設定される。第3傾き閾値は、第1傾き閾値と同様に、排出される媒体の厚さが大きいほど大きくなるように設定されてもよい。例えば、媒体排出装置100は、超音波信号又は厚さ信号の信号値と、媒体の厚さと、第3傾き閾値との関係を規定したテーブルを予め記憶装置140に記憶しておく。判定部152は、記憶装置140に記憶されたテーブルを参照し、受信した超音波信号又は厚さ信号の信号値に対応する媒体の厚さ及び第3傾き閾値を特定する。これにより、判定部152は、媒体の排出異常が発生したか否かをより精度良く判定することができる。
【0158】
また、判定部152は、第3測距信号にさらに基づいて、媒体の順番入れ替えが発生したか否かを判定してもよい。その場合、判定部152は、媒体の先端が第2媒体センサ117の位置を通過した時刻T1の後に取得した第3測距信号の各信号値が第2信号閾値以上であるか否かを判定する。判定部152は、第3測距信号の信号値が第2信号閾値未満となり、且つ、その後、第2信号閾値以上とならない場合に限り、媒体の順番入れ替えが発生したと判定する。
【0159】
判定部152は、媒体の順番入れ替えが発生したと判定した場合、媒体の排出異常が発生したと判定し(ステップS203)、一連のステップを終了する。一方、判定部152は、媒体の順番入れ替えが発生したと判定していない場合、処理をステップS201へ戻し、ステップS201~S207の処理を繰り返す。
【0160】
このように、判定部152は、媒体の排出異常として、媒体の先端のくるまり、媒体の後端のくるまり、媒体の後端の不落下、排出中の媒体の排出台104からの飛び出し、排出中の媒体による排出済みの媒体の押し出し、又は、排出台104に積載された媒体の順番入れ替えが発生したか否かを判定する。これにより、判定部152は、各種の排出異常が発生し得る媒体排出装置100において、媒体の排出異常を適切に検出することができる。
【0161】
また、判定部152は、第1測距信号、第2測距信号及び/又は第3測距信号に基づいて、媒体の排出異常が発生したか否かを判定する。これにより、判定部152は、様々な種類の排出異常を適切に検出することができる。
【0162】
また、判定部152は、媒体の長さに基づいて、媒体の排出異常が発生したか否かを判定する。これにより、判定部152は、媒体の排出異常が発生したか否かをより精度良く判定することができる。なお、判定部152は、媒体の長さを用いずに、媒体の排出異常が発生したか否かを判定してもよい。
【0163】
また、判定部152は、媒体の厚さに基づいて、媒体の排出異常が発生したか否かを判定する。これにより、判定部152は、媒体の排出異常が発生したか否かをより精度良く判定することができる。なお、判定部152は、媒体の厚さを用いずに、媒体の排出異常が発生したか否かを判定してもよい。その場合、第1差分閾値及び第2差分閾値は、一つの媒体の厚さが固定値であるものとして設定される。
【0164】
また、利用者の手等が、第1測距センサ121、第2測距センサ122又は第3測距センサ123の照射範囲に進入しまった場合、媒体が排出されていないにもかかわらず、各測距信号の信号値が変化する可能性がある。そのため、判定部152は、各測距信号が各初期値に対して減少している連続期間が、予め定められた期間閾値未満である場合、その測距信号は、利用者の手によって変化したとみなして、判定対象から除外してもよい。これにより、判定部152は、媒体の排出異常が発生したか否かの判定精度を向上させることが可能となる。
【0165】
また、排出される媒体が折れ曲がっている場合、各測距信号の信号値が急激に変化する可能性がある。そのため、判定部152は、各測距信号の信号値の、予め定められた算出期間内の移動平均値に対して、上記した各判定を行ってもよい。これにより、判定部152は、媒体の排出異常が発生したか否かの判定精度を向上させることが可能となる。
【0166】
また、判定部152は、ステップS202~S207のうちの少なくとも一つの処理を実行すればよく、他の処理は省略されてもよい。
【0167】
図21(a)、(b)は、複数の媒体が短時間に連続して排出された場合の第1測距信号の特性を示すグラフである。
図21(a)は、複数の媒体が短時間に連続して正常に排出された場合の第1測距信号の特性を示すグラフである。
図21(b)は、複数の媒体が短時間に連続して排出されている時に媒体の先端又は後端のくるまりが発生した場合の第1測距信号の特性を示すグラフである。
図21(a)、(b)の縦軸は信号値を示し、横軸は時間を示す。
【0168】
複数の媒体が連続して排出される場合、先に排出された媒体の後端が載置面104aまで落下する前に、次に排出される媒体の先端が第1測距センサ121の照射範囲に進入する。そのため、
図21(a)に示すように、第1測距信号の信号値は、減少した状態から増大している時に(
図21(a)の時刻T3と時刻T4の間)、第1初期値の近傍まで戻る前に再減少する(
図21(a)の時刻T4)。一方、媒体の先端又は後端のくるまりが発生した場合、くるまりが発生した媒体の上に、後から排出された媒体が乗ってしまう。そのため、
図21(b)に示すように、後から排出された媒体の排出中に取得した第1測距信号の信号値S2は、先に排出された媒体の排出中に取得した第1測距信号の信号値S1よりさらに小さくなる。
【0169】
そのため、判定部152は、媒体の後端が第2媒体センサ117の位置を通過してから、上記した第3時間が経過する前に、次の媒体の先端が第2媒体センサ117の位置を通過した場合、媒体の先端又は後端のくるまりが発生したか否かの判定方法を変更する。判定部152は、媒体の後端が第2媒体センサ117の位置を通過した後に、第1測距信号の信号値が、第1所定量以上増大したか否かを判定する(
図21(a)の時刻T3と時刻T4の間)。第1所定量は、事前の実験により、複数の媒体が正常に排出される場合の増大量と、媒体のくるまりが発生した場合の増大量との間の値に設定される。判定部152は、第1測距信号の信号値が第1所定量以上増大しなかった場合、媒体のくるまりが発生したと判定する。
【0170】
また、判定部152は、連続して排出される媒体毎に、媒体排出中の第1測距信号の信号値の最小値を算出し、算出した最小値が、直前に排出された媒体の最小値より第2所定量以上減少したか否かを判定する(
図21(b)の信号値S2と信号値S1の比較)。第2所定量は、事前の実験により、複数の媒体が連続して正常に排出される場合の減少量と、媒体のくるまりが発生した場合の減少量との間の値に設定される。判定部152は、算出した最小値が、直前に排出された媒体の最小値より第2所定量以上減少した場合、媒体のくるまりが発生したと判定する。
【0171】
また、判定部152は、連続して排出された媒体の排出が完了した時に取得した第1測距信号について算出された第1差分値が第1差分閾値以上であるか否かを判定し、第1差分値が第1差分閾値以上である場合、媒体Mの先端のくるまりが発生したと判定する。
【0172】
これにより、判定部152は、複数の媒体が短時間に連続して排出される場合に、媒体のくるまりが発生したか否かを精度良く判定することができる。
【0173】
図22は、媒体排出装置100の設定処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0174】
以下、
図22に示したフローチャートを参照しつつ、媒体排出装置100の設定処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路150により媒体排出装置100の各要素と協働して実行される。
図22に示す動作のフローは、任意のタイミングで実行される。
【0175】
最初に、設定部155は、利用者により操作装置105又は情報処理装置を用いて、媒体の排出異常の判定感度の設定指示が入力されて、設定を指示する操作信号を操作装置105又はインタフェース装置132から受信するまで待機する(ステップS301)。媒体の排出異常の判定感度は、第1~第7時間、第1~第3信号閾値、第1~第2差分閾値、第1~第4長さ閾値、第1~第3傾き閾値、第1~第2所定量、期間閾値、算出期間を含む。
【0176】
次に、設定部155は、操作装置105又はインタフェース装置132から、利用者により指定された、媒体の排出異常の判定感度を取得し、記憶装置140に設定し(ステップS302)、処理をステップS301へ戻す。
【0177】
以降、判定部152は、設定部155により設定された判定感度に基づいて、媒体の排出異常が発生したか否かを判定する。媒体排出装置100によって搬送されて排出される媒体の種類は、利用者毎に異なる。媒体排出装置100は、利用者毎に、媒体の排出異常の判定感度を異ならせることにより、媒体の排出異常が発生したか否かを、利用者の用途に応じて適切に判定することができる。利用者は、薄紙等の破損しやすい媒体を排出する場合には、媒体の破損を抑制するために判定感度を高くし、折れ又はしわを有する媒体を搬送する場合には、媒体の排出異常の誤検出を抑制するために判定感度を低くすることが可能となる。
【0178】
以上詳述したように、媒体排出装置100は、複数の測距センサを、排出口の上方から、排出された媒体の上流側位置及び下流側位置までの距離を測定するように配置して、媒体の排出異常が発生したか否かを判定する。これにより、媒体排出装置100は、様々な種類の排出異常を適切に検出することが可能となり、媒体の排出異常が発生したか否かを精度良く判定することが可能となった。
【0179】
特に、媒体排出装置100は、排出台104に排出される媒体に対して、排出口から見て手前側(上流側)と奥側(下流側)の両方を監視することにより、様々な種類の排出異常を適切に検出することが可能となった。また、媒体排出装置100は、排出台104に排出される媒体の状態を上方から監視することにより、媒体の状態(しわ、カール、折れ等)によらず、媒体の挙動を確実に捉えることが可能となり、媒体の排出異常を精度良く検出することが可能となった。
【0180】
また、媒体排出装置100は、媒体の排出異常が発生した場合に、媒体の排出を早急に停止させることが可能となり、その結果、媒体のジャムの発生を抑制し、媒体の破損の発生を抑制することが可能となった。特に、近年では、媒体排出装置100の搬送性能が向上しており、利用者は、媒体のジャムが発生した場合に、媒体の排出を継続させ続けたまま、ジャムが発生した媒体を取り除くのは困難である。媒体排出装置100は、媒体の排出異常が発生した場合に、媒体の排出を確実に停止させることにより、利用者は、ジャムが発生した媒体を確実に取り除くことができる。
【0181】
また、媒体排出装置100は、媒体の排出異常が発生した場合に、媒体の排出速度を早急に低減させることが可能となり、その結果、次の媒体が排出されるまでの時間を確保し、連続して排出される媒体同士の衝突の発生を抑制することが可能となった。これにより、媒体排出装置100は、媒体のジャムの発生を抑制し、媒体の破損の発生を抑制することが可能となった。
【0182】
また、媒体排出装置100は、媒体の排出異常が発生した場合に、利用者へ早急に通知することが可能となり、その結果、利用者による媒体の整列の手間を低減させて、利用者の利便性を向上させることが可能となった。また、利用者は、状況に応じて、媒体読取処理の停止又は再開を行うことが可能となり、媒体排出装置100は、利用者の利便性を向上させることが可能となった。
【0183】
これらにより、媒体排出装置100は、媒体の排出異常が発生した際の復旧処理に要する時間を低減させることが可能となり、媒体読取処理の処理時間が増大することを抑制することが可能となった。
【0184】
図23は、他の実施形態に係る媒体排出装置における処理回路250の概略構成を示す図である。処理回路250は、媒体排出装置100の処理回路150の代わりに使用され、処理回路150の代わりに、媒体読取処理及び判定処理等を実行する。処理回路250は、制御回路251、判定回路252、厚さ検出回路253、長さ検出回路254及び設定回路255等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0185】
制御回路251は、制御部の一例であり、制御部151と同様の機能を有する。制御回路251は、操作装置105又はインタフェース装置132から操作信号を、第1媒体センサ111から第1媒体信号を、第2媒体センサ117から第2媒体信号を受信する。制御回路251は、受信した各情報に基づいてモータ131を制御するとともに、撮像装置118から入力画像を取得し、インタフェース装置132に出力する。また、制御回路251は、記憶装置140から媒体の排出異常の判定結果を読み出し、読み出した判定結果に基づいて異常処理を実行する。
【0186】
判定回路252は、判定部の一例であり、判定部152と同様の機能を有する。判定回路252は、第1測距センサ121から第1測距信号を、第2測距センサ122から第2測距信号を、第3測距センサ123から第3測距信号を取得し、記憶装置140から媒体の厚さ及び長さの検出結果を読み出す。判定回路252は、取得した各測距信号及び読み出した検出結果に基づいて媒体の排出異常が発生したか否かを判定し、判定結果を記憶装置140に記憶する。
【0187】
厚さ検出回路253は、厚さ検出部の一例であり、厚さ検出部153と同様の機能を有する。厚さ検出回路253は、超音波センサ114から超音波信号を取得し、超音波信号に基づいて媒体の厚さを検出し、検出結果を記憶装置140に記憶する。
【0188】
長さ検出回路254は、長さ検出部の一例であり、長さ検出部154と同様の機能を有する。長さ検出回路254は、第2媒体センサ117から第2媒体信号を取得し、第2媒体信号に基づいて媒体の長さを検出し、検出結果を記憶装置140に記憶する。
【0189】
設定回路255は、設定部の一例であり、設定部155と同様の機能を有する。設定回路255は、操作装置105又はインタフェース装置132から、媒体の排出異常の判定感度の設定を指示する操作信号を受信し、指定された判定感度を記憶装置140に設定する。
【0190】
以上詳述したように、媒体排出装置は、処理回路250を用いる場合においても、媒体の排出異常が発生したか否かを精度良く判定することが可能となった。
【符号の説明】
【0191】
100 媒体排出装置、104 排出台、119 第1排出ローラ、120 第2排出ローラ、121 第1測距センサ、121a 第1発光器、121b 第1受光器、122 第2測距センサ、122a 第2発光器、122b 第2受光器、123 第3測距センサ、123a 第3発光器、123b 第3受光器、151 制御部、152 判定部、153 厚さ検出部、154 長さ検出部、155 設定部