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特許7487416光学特性が改善された光学フィルム、これを含む表示装置及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】光学特性が改善された光学フィルム、これを含む表示装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20240513BHJP
   C08G 73/14 20060101ALI20240513BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
C08J5/18 CFG
C08G73/14
B32B27/34
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023524790
(86)(22)【出願日】2021-12-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 KR2021019822
(87)【国際公開番号】W WO2022145890
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-04-21
(31)【優先権主張番号】10-2020-0188965
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0186266
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ドゥ リ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ハク-ギ
【審査官】増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-522105(JP,A)
【文献】特開2018-119132(JP,A)
【文献】特表2020-505489(JP,A)
【文献】特開2019-31670(JP,A)
【文献】特表2023-547852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/18
C08G 73/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1反復単位;第2反復単位;第3反復単位;及び、第4反復単位;を含む高分子樹脂を含み、
下記式1で算出されるフィルムの光学指数(OPTICAL INDEX)が1.0%/GU以上であり、
前記第1反復単位は、第1ジアミン系化合物及びジアンヒドリド系化合物に由来するイミド反復単位であり、
前記第2反復単位は、第2ジアミン系化合物及びジアンヒドリド系化合物に由来するイミド反復単位であり、
前記第3反復単位は、第1ジアミン系化合物及びジカルボニル系化合物に由来するアミド反復単位であり、
前記第4反復単位は、第2ジアミン系化合物及びジカルボニル系化合物に由来するアミド反復単位であり、
前記第1ジアミン系化合物は、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2’-Bis(trifluoromethyl)benzidine,TFDB)であり、前記第2ジアミン系化合物は、芳香族ジアミン系化合物を含み、
前記第3反復単位及び第4反復単位は、前記第1~第4反復単位を含む全体の反復単位の数に対して、80%以上の比率で含まれる、光学フィルム:
[式1]

前記式1において、フィルムの平行透過度は、50mm×50mmのサイズのサンプルフィルムにて、ヘイズメーター(モデル名:HM-150,MURAKAMI社)を用い、平行透過度を3回測定して平均を計算したものであり、20°光沢度及びRSPECは、30mm×100mmのサイズのサンプルフィルムの一方の側の面に白色の紙を当て、光沢計(Rhopointinstruments,RHOPOINT IQ)を用いてフィルム表面にて測定する。
【請求項2】
前記第2ジアミン系化合物は、ビス(3-アミノフェニル)スルホン(Bis(3-aminophenyl)sulfone,3DDS)、ビス(4-アミノフェニル)スルホン(Bis(4-aminophenyl)sulfone,4DDS)、ビスアミノメチルフェニルヘキサフルオロプロパン(2,2-Bis(3-amino-4-methylphenyl)hexafluoropropane,AMH)、ビスアミノフェニルフルオレン(9,9-Bis(4-aminophenyl)fluorene,FDA)、ビスフルオロアミノフェニルフルオレン(9,9-Bis(3-fluoro-4-aminophenyl)fluorene,FFDA)、m-フェニレンジアミン(meta-phenylene diamine,mPDA)、p-メチレンジアニリン(para-Methylene Dianiline,pMDA)、m-メチレンジアニリン(meta-Methylene Dianiline,mMDA)、1,3-ビス3-アミノフェノキシベンゼン(1,3-bis(3-aminophenoxy)benzene,133APB)、1,3-ビス4-アミノフェノキシベンゼン(1,3-bis(4-aminophenoxy)benzene,134APB)、1,4-ビス4-アミノフェノキシベンゼン(1,4-bis(4-aminophenoxy)benzene,144APB)、ビスアミノフェニルヘキサフルオロプロパン(2,2’-bis(3-aminophenyl)hexafluoropropane,33-6F)、ビスアミノフェニルヘキサフルオロプロパン(2,2’-bis(4-aminophenyl)hexafluoropropane,44-6F)、ビスアミノヒドロキシフェニルヘキサフルオロプロパン(2,2-Bis(3-amino-4-hydroxy-phenyl)-hexafluoropropane,6FAP)、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(BAPS)、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(BAPSM)、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニルプロパン(BAPP)、4,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、3,3-ジアミノ-4,4,-ジヒドロキシジフェニルスルホン(DABS)、2,2,-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(BAP)、4,4’-オキシジアニリン(4-ODA)、3,3’-オキシジアニリン(3-ODA)からなる群から選ばれる1種以上を含む、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
前記第1ジアミン系化合物に由来する反復単位の数、と第2ジアミン系化合物に由来する反復単位の数との比率は、95:5~50:50である、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項4】
50μm厚を基準にして3.0以下の黄色度(Y.I.)を有する、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項5】
50μm厚を基準にして88.50%以上の光透過度を有する、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項6】
50μm厚を基準にして200~250GUの20°光沢度を有する、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項7】
50μm厚を基準にして140~190GUのRSPECを有する、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項8】
表示パネル;及び、前記表示パネル上に配置された、請求項1~7のいずれか一項に記載の光学フィルム;を含む、表示装置。
【請求項9】
第1ジアミン系化合物、第2ジアミン系化合物、ジアンヒドリド系化合物及びジカルボニル系化合物を用いて第1反応液を形成する段階;
前記第1反応液に脱水剤及びイミド化触媒を添加して反応させることで第2反応液を形成する段階;
前記第2反応液を処理して固体状態の高分子樹脂を製造する段階;
前記固体状態の高分子樹脂を溶解させて高分子樹脂溶液を製造する段階;及び
前記高分子樹脂溶液をキャストする段階;を含み、
前記第1ジアミン系化合物は、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2’-Bis(trifluoromethyl)benzidine,TFDB)であり、前記第2ジアミン系化合物は、芳香族ジアミン系化合物を含み、
前記ジカルボニル系化合物の嵩密度(Bulk Density)は0.5~0.8g/mlであり、
前記第1ジアミン系化合物及び前記第2ジアミン系化合物の総含有量100モル部(mole part)に対して、
前記ジカルボニル系化合物の含有量は80モル部以上であり、
前記ジアンヒドリド系化合物の含有量は20モル部以下である、光学フィルムの製造方法。
【請求項10】
前記第1反応液を形成する段階前に、前記ジカルボニル系化合物の嵩密度(Bulk Density)を減少させる段階;をさらに含む、請求項9に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項11】
前記第2ジアミン系化合物は、ビス(3-アミノフェニル)スルホン(Bis(3-aminophenyl)sulfone,3DDS)、ビス(4-アミノフェニル)スルホン(Bis(4-aminophenyl)sulfone,4DDS)、ビスアミノメチルフェニルヘキサフルオロプロパン(2,2-Bis(3-amino-4-methylphenyl)hexafluoropropane,AMH)、ビスアミノフェニルフルオレン(9,9-Bis(4-aminophenyl)fluorene,FDA)、ビスフルオロアミノフェニルフルオレン(9,9-Bis(3-fluoro-4-aminophenyl)fluorene,FFDA)、m-フェニレンジアミン(meta-phenylene diamine,mPDA)、p-メチレンジアニリン(para-Methylene Dianiline,pMDA)、m-メチレンジアニリン(meta-Methylene Dianiline,mMDA)、1,3-ビス3-アミノフェノキシベンゼン(1,3-bis(3-aminophenoxy)benzene,133APB)、1,3-ビス4-アミノフェノキシベンゼン(1,3-bis(4-aminophenoxy)benzene,134APB)、1,4-ビス4-アミノフェノキシベンゼン(1,4-bis(4-aminophenoxy)benzene,144APB)、ビスアミノフェニルヘキサフルオロプロパン(2,2’-bis(3-aminophenyl)hexafluoropropane,33-6F)、ビスアミノフェニルヘキサフルオロプロパン(2,2’-bis(4-aminophenyl)hexafluoropropane,44-6F)、ビスアミノヒドロキシフェニルヘキサフルオロプロパン(2,2-Bis(3-amino-4-hydroxy-phenyl)-hexafluoropropane,6FAP)、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(BAPS)、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(BAPSM)、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニルプロパン(BAPP)、4,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、3,3-ジアミノ-4,4,-ジヒドロキシジフェニルスルホン(DABS)、2,2,-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(BAP)、4,4’-オキシジアニリン(4-ODA)、3,3’-オキシジアニリン(3-ODA)からなる群から選ばれる1種以上を含む、請求項9に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項12】
前記第1ジアミン系化合物及び前記第2ジアミン系化合物の総含有量100モル部(mole part)に対して、
前記第1ジアミン系化合物の含有量は50~95モル部であり、
前記第2ジアミン系化合物の含有量は5~50モル部である、請求項9に記載の光学フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学特性が改善された光学フィルムに関し、特に、優れたフィルムの光学指数を有する光学フィルム、これを含む表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置の薄型化、軽量化、フレキシブル化により、カバーウィンドウとして、ガラスの代わりに光学フィルムを用いることが検討されている。光学フィルムが表示装置のカバーウィンドウとして用いられるためには、優れた光学的特性及び機械的特性を有する必要がある。
【0003】
したがって、不溶性、耐化学性、耐熱性、耐放射線性及び低温特性などといった機械的特性に優れるとともに、光学特性にも優れるフィルムを開発することが必要である。
【0004】
光学フィルムの代表としてポリイミド(PI)系樹脂は、不溶性、耐化学性、耐熱性、耐放射線性及び低温特性などに優れていることから、自動車材料、航空素材、宇宙船素材、絶縁コーティング剤、絶縁膜、保護フィルムなどに用いられている。
【0005】
最近では、ポリイミド系樹脂にアミド反復単位を追加したポリアミド-イミド系樹脂が開発されており、ポリアミド-イミド系樹脂を用いて製造されたフィルムは、不溶性、耐化学性、耐熱性、耐放射線性及び低温特性などに優れている他、光学特性にも優れている。ポリアミド-イミド系樹脂は、モノマーとして、ジアミン系化合物、ジアンヒドリド(dianhydride)系化合物及びジカルボニル系化合物を用いて製造可能である。
【0006】
しかしながら、ジアミンとして、例えば、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2’-Bis(trifluoromethyl)benzidine,TFDB)を使用すると、TFDBの剛直な構造により、多量のジカルボニル系化合物との重合の際に、ジカルボニル系化合物がゲル(Gel)化して、重合反応が十分に起きないという問題点がある。
【0007】
このため、多量のジカルボニルを添加しても重合度に優れるポリアミド-イミド系樹脂を開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一実施例は、多量のジカルボニル系化合物を添加した際にも重合度に優れる高分子樹脂を含む光学フィルムを提供しようとする。
【0009】
本発明の一実施例は、光学特性に優れた光学フィルムを提供しようとする。
【0010】
本発明の他の実施例は、重合度に優れた高分子樹脂を含む光学フィルムの製造方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施例は、第1反復単位;第2反復単位;第3反復単位;及び、第4反復単位;を含む高分子樹脂を含み、下記式1で算出されるフィルムの光学指数(OPTICAL INDEX)が1.0%/GU(Gloss Unit)以上であり、前記第1反復単位は、第1ジアミン系化合物及びジアンヒドリド系化合物に由来するイミド反復単位であり、前記第2反復単位は、第2ジアミン系化合物及びジアンヒドリド系化合物に由来するイミド反復単位であり、前記第3反復単位は、第1ジアミン系化合物及びジカルボニル系化合物に由来するアミド反復単位であり、前記第4反復単位は、第2ジアミン系化合物及びジカルボニル系化合物に由来するアミド反復単位であり、前記第1ジアミン系化合物は、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2’-Bis(trifluoromethyl)benzidine,TFDB)であり、前記第2ジアミン系化合物は、芳香族ジアミン系化合物を含み、前記第3反復単位及び第4反復単位は、前記第1~第4反復単位を含む全体反復単位の数に対して、80%以上の比率で含まれる、光学フィルムを提供する。
【0012】
[式1]
【0013】
前記式1において、フィルムの平行透過度は、50mm×50mmのサイズのサンプルフィルムにてヘイズメーター(モデル名:HM-150,MURAKAMI社)を用いて、平行透過度を3回測定して平均を計算したものであり、20°光沢度及びRSPEC(正反射ピーク値)は、30mm×100mmのサイズのサンプルフィルムの一側面に、白色の紙を当て、光沢計(Rhopointinstruments,RHOPOINT IQ)を用いてフィルムの表面にて測定する。
【0014】
前記第2ジアミン系化合物は、ビス(3-アミノフェニル)スルホン(Bis(3-aminophenyl)sulfone,3DDS)、ビス(4-アミノフェニル)スルホン(Bis(4-aminophenyl)sulfone,4DDS)、ビスアミノメチルフェニルヘキサフルオロプロパン(2,2-Bis(3-amino-4-methylphenyl)hexafluoropropane,AMH)、ビスアミノフェニルフルオレン(9,9-Bis(4-aminophenyl)fluorene,FDA)、ビスフルオロアミノフェニルフルオレン(9,9-Bis(3-fluoro-4-aminophenyl)fluorene,FFDA)、m-フェニレンジアミン(meta-phenylene diamine,mPDA)、p-メチレンジアニリン(para-Methylene Dianiline,pMDA)、m-メチレンジアニリン(meta-Methylene Dianiline,mMDA)、1,3-ビス3-アミノフェノキシベンゼン(1,3-bis(3-aminophenoxy)benzene,133APB)、1,3-ビス4-アミノフェノキシベンゼン(1,3-bis(4-aminophenoxy)benzene,134APB)、1,4-ビス4-アミノフェノキシベンゼン(1,4-bis(4-aminophenoxy)benzene,144APB)、ビスアミノフェニルヘキサフルオロプロパン(2,2’-bis(3-aminophenyl)hexafluoropropane,33-6F)、ビスアミノフェニルヘキサフルオロプロパン(2,2’-bis(4-aminophenyl)hexafluoropropane,44-6F)、ビスアミノヒドロキシフェニルヘキサフルオロプロパン(2,2-Bis(3-amino-4-hydroxy-phenyl)-hexafluoropropane,6FAP)、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(BAPS)、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(BAPSM)、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニルプロパン(BAPP)、4,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、3,3-ジアミノ-4,4,-ジヒドロキシジフェニルスルホン(DABS)、2,2,-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(BAP)、4,4’-オキシジアニリン(4-ODA)、3,3’-オキシジアニリン(3-ODA)からなる群から選ばれる1種以上を含んでよい。
【0015】
前記第1ジアミン系化合物に由来する反復単位数と第2ジアミン系化合物に由来する反復単位数との比率は、95:5~50:50であってよい。
【0016】
前記光学フィルムは、50μm厚を基準にして3.0以下の黄色度(Y.I.)を有してよい(有し得る)。
【0017】
前記光学フィルムは、50μm厚を基準にして88.50%以上の光透過度を有してよい。
【0018】
前記光学フィルムは、50μm厚を基準にして200~250GUの20°光沢度を有してよい。
【0019】
前記光学フィルムは、50μm厚を基準にして140~190GUのRSPECを有してよい。
【0020】
本発明の他の実施例は、表示パネル;及び、前記表示パネル上に配置された前記光学フィルムを含む表示装置を提供する。
【0021】
本発明のさらに他の実施例は、第1ジアミン系化合物、第2ジアミン系化合物、ジアンヒドリド系化合物及びジカルボニル系化合物を用いて第1反応液を形成する段階;前記第1反応液に脱水剤及びイミド化触媒を添加して反応させて第2反応液を形成する段階;前記第2反応液を処理して固体状態の高分子樹脂を製造する段階;前記固体状態の高分子樹脂を溶解させて高分子樹脂溶液を製造する段階;及び、前記高分子樹脂溶液をキャストする段階;を含み、前記第1ジアミン系化合物は、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2’-Bis(trifluoromethyl)benzidine,TFDB)であり、前記第2ジアミン系化合物は、芳香族ジアミン系化合物を含み、前記ジカルボニル系化合物の嵩密度(Bulk Density)は0.5~0.8g/mlであり、前記第1ジアミン系化合物及び前記第2ジアミン系化合物の総含有量100モル部(mole part)に対して、前記ジカルボニル系化合物の含有量は80モル部以上であり、前記ジアンヒドリド系化合物の含有量は20モル部以下である、光学フィルムの製造方法を提供する。
【0022】
前記光学フィルムの製造方法は、前記第1反応液を形成する段階の前に、前記ジカルボニル系化合物の嵩密度(Bulk Density)を減少させる段階;をさらに含んでよい(含み得る)。
【0023】
前記第2ジアミン系化合物は、ビス(3-アミノフェニル)スルホン(Bis(3-aminophenyl)sulfone,3DDS)、ビス(4-アミノフェニル)スルホン(Bis(4-aminophenyl)sulfone,4DDS)、ビスアミノメチルフェニルヘキサフルオロプロパン(2,2-Bis(3-amino-4-methylphenyl)hexafluoropropane,AMH)、ビスアミノフェニルフルオレン(9,9-Bis(4-aminophenyl)fluorene,FDA)、ビスフルオロアミノフェニルフルオレン(9,9-Bis(3-fluoro-4-aminophenyl)fluorene,FFDA)、m-フェニレンジアミン(meta-phenylene diamine,mPDA)、p-メチレンジアニリン(para-Methylene Dianiline,pMDA)、m-メチレンジアニリン(meta-Methylene Dianiline,mMDA)、1,3-ビス3-アミノフェノキシベンゼン(1,3-bis(3-aminophenoxy)benzene,133APB)、1,3-ビス4-アミノフェノキシベンゼン(1,3-bis(4-aminophenoxy)benzene,134APB)、1,4-ビス4-アミノフェノキシベンゼン(1,4-bis(4-aminophenoxy)benzene,144APB)、ビスアミノフェニルヘキサフルオロプロパン(2,2’-bis(3-aminophenyl)hexafluoropropane,33-6F)、ビスアミノフェニルヘキサフルオロプロパン(2,2’-bis(4-aminophenyl)hexafluoropropane,44-6F)、ビスアミノヒドロキシフェニルヘキサフルオロプロパン(2,2-Bis(3-amino-4-hydroxy-phenyl)-hexafluoropropane,6FAP)、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(BAPS)、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(BAPSM)、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニルプロパン(BAPP)、4,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、3,3-ジアミノ-4,4,-ジヒドロキシジフェニルスルホン(DABS)、2,2,-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(BAP)、4,4’-オキシジアニリン(4-ODA)、及び3,3’-オキシジアニリン(3-ODA)からなる群から選ばれる1種以上を含んでよい。
【0024】
前記第1ジアミン系化合物及び前記第2ジアミン系化合物の総含有量100モル部(mole part)に対して、前記第1ジアミン系化合物の含有量は50~95モル部であり、前記第2ジアミン系化合物の含有量は5~50モル部であってよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一実施例によれば、ジアミン系化合物とジカルボニル系化合物との重合反応を調節することによって、多量のジカルボニル系化合物を添加しても重合度に優れる高分子樹脂を含む光学フィルムを提供することができる。
【0026】
本発明の一実施例は、光学特性に優れた光学フィルムを提供することができる。
【0027】
本発明の他の実施例は、多量のジカルボニル系化合物を添加しても重合度に優れ、且つ、光学特性に優れた光学フィルムを製造可能な製造方法を提供することができる。
【0028】
本発明の他の実施例に係る光学フィルムは、優れた光学的特性及び機械的特性を有するので、表示装置のカバーウィンドウとして用いられる場合に、表示装置の表示面を効果的に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の他の実施例に係る表示装置の一部を示す断面図である。
図2図1の「P」部分を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、添付の図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。ただし、以下に説明される実施例は、本発明の明確な理解を助けるための例示の目的で提示されるだけで、本発明の範囲を限定しない。
【0031】
本発明の実施例を説明するための図面に示されている形状、サイズ、比率、角度、個数などは例示的なものであり、本発明が、図面に開示の事項に限定されるものではない。明細書全体を通じて、同一の構成要素は同一の参照符号で示してよい。本発明を説明するとき、関連する公知技術に関する具体的な説明が、本発明の要旨を却ってぼやけさせ得ると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0032】
本明細書において「含む」、「有する」、「からなる」などが使われる場合に、「~のみ」という表現が使われない限り、他の部分が追加されてもよい。構成要素が単数で表現された場合に、特に断りのない限り、複数も含む。また、構成要素を解釈する際に、別の明示的記載がなくても誤差範囲を含むものと解釈する。
【0033】
位置関係に関する説明において、例えば、「~上に」、「~上部に」、「~下部に」、「~側に」などによって2つの部分の位置関係が説明される場合に、「直に」又は「直接」という表現が使われない限り、2つの部分の間に1つ以上の別の部分が位置してもよい。
【0034】
空間的に相対する用語である「下(below,beneath)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」などは、図面に示されているように、一つの素子又は構成要素と他の素子又は構成要素との相関関係を容易に記述するために使われてよい。空間的に相対する用語は、図面に示されている方向に加え、使用時又は動作時における、素子の異なる方向を含む用語として理解されるべきである。例えば、図示の素子をひっくり返すとき、他の素子の「下(below,beneath)」と記述された素子は、他の素子の「上(above)」に置かれてよい。したがって、例示的な用語である「下」又は「下部」は、下と上のいずれの方向を含んでもよい。同様に、例示的な用語である「上」又は「上部」も、上と下のいずれの方向を含んでもよい。
【0035】
時間関係に関する説明において、例えば、「~後に」、「~に続いて」、「~次に」、「~前に」などでもって、時間的な先後関係が説明される場合に、「直に」又は「直接」という表現が使われない限り、連続しない場合も含んでよい。
【0036】
第1、第2などが様々な構成要素を述べるために使われるが、これらの構成要素は、第1、第2などの用語によって限定されない。これらの用語は単に一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使われるものである。したがって、以下に言及される第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素であってもよい。
【0037】
「少なくとも1つ」との用語は、1つ以上の関連項目から提示可能な全ての組合せを含むものと理解されるべきである。例えば、「第1項目、第2項目及び第3項目のうち少なくとも1つ」の意味は、第1項目、第2項目又は第3項目のそれぞれの他、第1項目、第2項目及び第3項目のうち2個以上の項目から提示可能な全ての組合せも意味できる。
【0038】
本発明の複数の実施例の各特徴が部分的に又は全体的に互いに結合又は組合せ可能であり、技術的に様々な連動及び駆動が可能であり、各実施例が相互に独立して実施されてもよく、関連付けられて一緒に実施されてもよい。
【0039】
本発明の一実施例は、光学フィルムを提供する。本発明の一実施例に係る光学フィルムは高分子樹脂を含む。
【0040】
高分子樹脂は、フィルムに固形分粉末の形態、溶液に溶解されている形態、溶液に溶解後に固体化したマトリックスの形態など、様々形状及び形態で含まれてよく、本発明と同じ反復単位を含む樹脂であれば、その形状及び形態を問わず、いずれも本発明の高分子樹脂と同じものと見ることができる。一般に、フィルム内で高分子樹脂は、高分子樹脂溶液を塗布した後に乾燥させて固化させたマトリックスの形態で存在し得る。
【0041】
本発明の一実施例に係る光学フィルムは、イミド反復単位及びアミド反復単位のうちの少なくとも1つを含んでよい。例えば、本発明の一実施例に係る光学フィルムは、ポリイミド系高分子、ポリアミド系高分子及びポリアミド-イミド系高分子のうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0042】
本発明の一実施例に係る光学フィルムは、ジアミン系化合物及びジアンヒドリド系化合物によって形成されたイミド反復単位を含んでよい。
【0043】
本発明の一実施例に係る光学フィルムは、ジアミン系化合物及びジカルボニル系化合物によって形成されたアミド反復単位を含んでよい。
【0044】
本発明の一実施例に係る光学フィルムは、ジアミン系化合物、ジアンヒドリド系化合物及びジカルボニル系化合物によって形成されたアミド反復単位及びイミド反復単位の両方を含んでよい。
【0045】
本発明の一実施例に係る光学フィルムは、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂及びポリアミド-イミド樹脂のうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0046】
本発明の一実施例によれば、光学フィルムは、ポリイミド系フィルム、ポリアミド系フィルム及びポリアミド-イミド系フィルムのいずれか1つであってよい。ただし、本発明の一実施例はこれに限定されず、光透過性を有するフィルムであれば、本発明の一実施例に係る光学フィルムになり得る。
【0047】
本発明の一実施例に係る高分子樹脂は、第1反復単位、第2反復単位、第3反復単位及び第4反復単位を含む。
【0048】
第1反復単位は、第1ジアミン系化合物及びジアンヒドリド系化合物に由来するイミド反復単位であり、第2反復単位は、第2ジアミン系化合物及びジアンヒドリド系化合物に由来するイミド反復単位である。
【0049】
第3反復単位は、第1ジアミン系化合物及びジカルボニル系化合物に由来するアミド反復単位であり、前記第4反復単位は、第2ジアミン系化合物及びジカルボニル系化合物に由来するアミド反復単位である。
【0050】
第3及び第4反復単位を含む全てのアミド反復単位の数は、第1~第4反復単位を含む全体の反復単位の数に対して80%以上の比率で含まれる。
【0051】
本発明における「由来する反復単位」とは、高分子を形成するためのモノマーがモノマー相互間に連結されることで、モノマーの構造が高分子内に反復的に現れるものを意味する。これは、本発明の属する分野にて広く通用される用語であり、例えば、ポリエチレンは、エチレンに由来する反復単位を有する高分子であって、エチレンモノマーが相互間に連結されることで、エチレンモノマーの構造がポリエチレン高分子内に反復的に現れるものを意味する。
【0052】
本発明において高分子樹脂のイミド(imide)反復単位は、ジアミン系化合物(diamine)とジアンヒドリド系化合物(dianhydride)とを含むモノマー成分から製造されてよい。具体的には、ジアミン系化合物とジアンヒドリド系化合物とを高分子重合反応(polymerization)することでアミド酸(amic acid)を形成し、アミド酸をさらにイミド化することでイミド反復単位が形成されてよい。また、アミド(amide)反復単位は、ジアミン系化合物とジカルボニル系化合物(dicarbonyl)とを含むモノマー成分から高分子重合反応して製造されてよい。イミド反復単位とアミド反復単位の具体的な構造は、反応するモノマーによって変わってよい。
【0053】
ただし、本発明の一実施例に係る高分子樹脂が、これに限定されるものではない。本発明の一実施例に係る高分子樹脂は、ジアミン系化合物、ジアンヒドリド系化合物及びジカルボニル系化合物に加えて他の化合物をさらに含むモノマー成分から製造されてよい。したがって、本発明の一実施例に係る高分子樹脂は、イミド反復単位及びアミド反復単位に加えて、他の反復単位をさらに有してもよい。
【0054】
本発明の一実施例によれば、光学フィルムは、下記式1で算出されるフィルムの光学指数(OPTICAL INDEX)が1.0%/GU以上である。
【0055】
[式1]

【0056】
本発明のフィルムの光学指数(OPTICAL INDEX)は、平行透過度を、20°光沢度とRSPECとの差で割ったものである。
【0057】
本発明において、フィルムの平行透過度は、50mm×50mmのサイズのサンプルフィルムにてヘイズメーター(モデル名:HM-150,MURAKAMI社)を用いて平行透過度を3回測定し、平均値を算出して求めることができる。また、本発明においてフィルムの20°光沢度及びRSPECは、30mm×100mmのサイズのサンプルフィルムの一方の側の面に、白色の紙を当て、光沢計(Rhopointinstruments,RHOPOINT IQ)を用いて、フィルム表面にて20°光沢度及びRSPECを測定することができる。
【0058】
式1において、平行透過度は、フィルムの全体透過度から、拡散される透過度(拡散透過度)を除いた値のことを指す。すなわち、平行透過度は「全体透過度-拡散透過度」である。
【0059】
式1において、20°光沢度は、フィルムの表面から反射される光の量でもって光沢特性を示す。一般に、フィルムの光沢度は60°の角度にて測定する。しかし、高光沢(60°の角度における光沢度の測定値が70GU以上)の場合には、20°の角度にて光沢度を測定する。本発明の20°光沢度は、高光沢フィルムについての20°の角度で測定した光沢度のことを指す。
【0060】
式1において、RSPECは、ピーク光沢値(Peak Reflectance)であり、狭い角度(20°±0.09905°)にて測定される。RSPECは、表面組織の質感(Texture)に応じて非常に敏感に変化し、フィルムのRSPECを測定することにより、滑らかな表面にて感知し難い質感の差を知ることができる。RSPECは、フィルムの表面に異物が多いほど値が小さくなる。すなわち、RSPECと光沢度の値とが等しいならば滑らかな状態であり、表面に質感が多いとRSPEC値は減少する。
【0061】
「20°光沢度-RSPEC」の値が小さいほど、フィルムの表面が滑らかであることを意味する。
【0062】
本発明の発明者は、光学フィルムの平行透過度及びフィルム表面特性が光学フィルムの視認性に影響を与えるということを確認した。具体的には、光学フィルムの平行透過度が増加するほど、またフィルムの表面が滑らかであるほど、光学特性に優れ、視認性が増加する。前記式1の通り、本発明のフィルムの光学指数(OPTICAL INDEX)は、平行透過度を20°光沢度とRSPECとの差で割ったものであり、フィルムの光学指数(OPTICAL INDEX)が増加するほど、平行透過度が増加するのであって、フィルムの表面が滑らかであるほど、光学フィルムの光学指数(OPTICAL INDEX)が増加し、視認性が良くなる。
【0063】
本発明の光学フィルムは、フィルムの光学指数(OPTICAL INDEX)が1.0%/GU以上である。フィルムの光学指数(OPTICAL INDEX)は、フィルムの光学特性を評価するパラメータであり、光学フィルムにおけるフィルムの光学指数(OPTICAL INDEX)が1.0%/GU未満であれば、フィルムの透明性が低下することから、光学用フィルムとして使用するのに困難がある。
【0064】
本発明の一実施例によれば、光学フィルムの製造に用いられるジカルボニル系化合物の含有量は、ジアンヒドリド系化合物及びジカルボニル系化合物の総(トータルの)含有量100モル部(mole part)に対して80モル部以上であり、ジアンヒドリド系化合物の含有量は、ジアンヒドリド系化合物及びジカルボニル系化合物の総含有量100モル部に対して20モル部以下である。好ましくは、ジカルボニル系化合物の含有量は95モル部以上であってよく、ジアンヒドリド系化合物の含有量は5モル部以下であってよい。より好ましくは、ジカルボニル系化合物の含有量は98モル部以上であってよく、ジアンヒドリド系化合物の含有量は2モル部以下であってよい。
【0065】
一般に、高分子樹脂の製造時に、「ジアミン系化合物」と「ジアンヒドリド系化合物及びジカルボニル系化合物」とは約1:1で反応するので、「第1ジアミン系化合物及び第2ジアミン系化合物の総含有量」100モル部(mole part)に対して、「ジカルボニル系化合物の含有量」は80モル部以上であり、「ジアンヒドリド系化合物の含有量」は20モル部以下であると表現することもできる。
【0066】
また、第1反復単位及び第2反復単位はジアンヒドリド系化合物から由来し、第3反復単位及び第4反復単位はジカルボニル系化合物に由来するので、高分子樹脂は、第3及び第4反復単位を含む全てのアミド反復単位の数について、第1~第4反復単位を含む全体の反復単位の数に対して80%以上の比率で含むと表現することができる。好ましくは、第3及び第4反復単位の数が、第1~第4反復単位を含む全体の反復単位の数に対して95%以上の比率で含まれるということができる。より好ましくは、98%以上の比率で含まれるということができる。
【0067】
第3反復単位及び第4反復単位を含む全てのアミド反復単位の数が、第1~第4反復単位を含む全体反復単位の数に対して80%以上の比率であれば、フィルムの光学特性が維持される一方で、機械的特性が向上し得る。すなわち、アミド反復単位をイミド反復単位に比べて多量に含むことにより、フィルムは、無色透明でありながら、不溶性、耐化学性、耐熱性、耐放射線性及び低温特性、引張強度及び伸び率などが向上している。
【0068】
多量のアミド反復単位を形成するために多量のジカルボニル系化合物を添加する場合には、ジカルボニル系化合物がゲル化することから重合反応が十分に起きず、樹脂の重合度が減少するという問題点がある。樹脂の重合度が減少すると、フィルムの光学指数(OPTICAL INDEX)が減少してしまい、光学フィルムの視認性が低下し、光学フィルムの品質が低下する。
【0069】
本発明は、2種以上のジアミン系化合物を用いて重合反応をすることにより、ジカルボニル系化合物のゲル化を防止又は低下させることができる。したがって、本発明の高分子樹脂は、第1ジアミン系化合物及び第2ジアミン系化合物の、少なくとも2種のジアミン系化合物に由来する反復単位を含む。
【0070】
具体的には、本発明の一実施例によれば、第1ジアミン系化合物は、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2’-Bis(trifluoromethyl)benzidine,TFDB)であり、第2ジアミン系化合物は、TFDB以外の他の芳香族ジアミン系化合物を含む。本発明のイミド反復単位とアミド反復単位は、TFDBと、TFDB以外の他の芳香族ジアミン系化合物とに由来し得る。
【0071】
第1ジアミン系化合物の2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2’-Bis(trifluoromethyl)benzidine,TFDB)は、特有の直線形の剛直な構造を有するので、TFDBに由来する反復単位を含む場合に、フィルムの不溶性、耐化学性、耐熱性、耐放射線性及び低温特性などの機械的物性を向上させる効果に優れる。
【0072】
ただし、TFDBの強直な構造のため、ジカルボニル系化合物との反応時に重合反応が速く進む。速い重合反応によって、一部のジカルボニル系化合物のみがジアミン系化合物と反応し、他の一部のジカルボニル系化合物は重合反応せず、ゲル化(gelation)が起きうる。ジカルボニル系化合物のゲル化は、樹脂の重合度を低下させ、フィルムの光学物性を阻害しうる。このため、TFDBのみを添加して多量のアミド反復単位を含む高分子樹脂を製造することに困難がある。本発明は、第2ジアミン系化合物を用いて、ジカルボニル系化合物のゲル化を防止し、重合体の重合度を向上させることができる。
【0073】
本発明の一実施例によれば、第2ジアミン系化合物は、芳香族ジアミン系化合物を含む。
【0074】
本発明の一実施例において、「芳香族ジアミン系化合物」は、アミノ基が芳香族環に直接に結合しているジアミン系化合物を意味し、その構造の一部に、脂肪族基又はその他置換基を含んでもよい。芳香族環は、単一環、又は単一環が直接又はヘテロ原子で連結された結合環であってもよく、縮合環であってもよい。芳香族環は、例えば、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アントラセン環及びフルオレン環を含んでよく、それらに限定されるものではない。
【0075】
本発明の一実施例によれば、第2ジアミン系化合物は、下記化学式1で表現されてよい。
【0076】
[化学式1]
【0077】
化学式1において、Aは、2価の芳香族有機基を表す。芳香族有機基とは、単一結合と二重結合が交互に連結されて環を形成することによってパイ電子が非偏在化している有機基のことを指す。例えば、Aは、炭素数4~40の2価の芳香族有機基を含む。化学式1に含まれた芳香族有機基中の水素原子は、ハロゲン元素、炭化水素基、又はハロゲン元素で置換された炭化水素基によって置換されてよい。水素原子と置換された炭化水素基又はハロゲン元素で置換された炭化水素基の炭素数は、1~8であってよい。例えば、Aに含まれた水素は、-F、-CH、-CF、-OHなどで置換されてよい。
【0078】
水素原子がフッ素置換された炭化水素基によって置換されたジアミン系化合物を用いて製造された光学フィルムは、優れた光透過性を有し、優れた加工特性を有し得る。
【0079】
化学式1のAは、例えば、下記の構造式のいずれか1つで表現される構造を含んでよい。
【0080】
【0081】
前記構造式において、*は結合位置を表す。前記構造式において、Xは、独立に、下記の構造式のいずれか1つで表現される構造を含み得る。X及び各環に対する結合位置が特に限定されるものではないが、Xの結合位置は、例えば、各環に対してメタ又はパラの位置であってよい。
【0082】
【0083】
前記構造式において、*は結合位置を表す。前記構造式において、Wは独立に、単一結合、O、S、SO、CO、CH、C(CH及びC(CFのいずれか1つであってよい。Wと各環に対する結合位置が特に限定されるものではないが、Wの結合位置は、例えば、各環に対してメタ又はパラの位置であってよい。
【0084】
本発明の一実施例によれば、第2ジアミン系化合物は、ビス(3-アミノフェニル)スルホン(Bis(3-aminophenyl)sulfone,3DDS)、ビス(4-アミノフェニル)スルホン(Bis(4-aminophenyl)sulfone,4DDS)、ビスアミノメチルフェニルヘキサフルオロプロパン(2,2-Bis(3-amino-4-methylphenyl)hexafluoropropane,AMH)、ビスアミノフェニルフルオレン(9,9-Bis(4-aminophenyl)fluorene,FDA)、ビスフルオロアミノフェニルフルオレン(9,9-Bis(3-fluoro-4-aminophenyl)fluorene,FFDA)、m-フェニレンジアミン(meta-phenylene diamine,mPDA)、p-メチレンジアニリン(para-Methylene Dianiline,pMDA)、m-メチレンジアニリン(meta-Methylene Dianiline,mMDA)、1,3-ビス3-アミノフェノキシベンゼン(1,3-bis(3-aminophenoxy)benzene,133APB)、1,3-ビス4-アミノフェノキシベンゼン(1,3-bis(4-aminophenoxy)benzene,134APB)、1,4-ビス4-アミノフェノキシベンゼン(1,4-bis(4-aminophenoxy)benzene,144APB)、ビスアミノフェニルヘキサフルオロプロパン(2,2’-bis(3-aminophenyl)hexafluoropropane,33-6F)、ビスアミノフェニルヘキサフルオロプロパン(2,2’-bis(4-aminophenyl)hexafluoropropane,44-6F)、ビスアミノヒドロキシフェニルヘキサフルオロプロパン(2,2-Bis(3-amino-4-hydroxy-phenyl)-hexafluoropropane,6FAP)、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(BAPS)、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(BAPSM)、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニルプロパン(BAPP)、4,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、3,3-ジアミノ-4,4,-ジヒドロキシジフェニルスルホン(DABS)、2,2,-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(BAP)、4,4’-オキシジアニリン(4-ODA)、3,3’-オキシジアニリン(3-ODA)からなる群から選ばれる1種以上を含んでよい。
【0085】
本発明の一実施例によれば、第1ジアミン系化合物に由来する反復単位の数と、第2ジアミン系化合物に由来する反復単位の数との比率(第1ジアミン系化合物に由来する反復単位:第2ジアミン系化合物に由来する反復単位)は、95:5~50:50の範囲であってよい。ここで、「第1ジアミン系化合物(又は、第2ジアミン系化合物)に由来する反復単位」とは、第1ジアミン系化合物(又は、第2ジアミン系化合物)に由来するイミド反復単位及びアミド反復単位の両方を含むものを意味する。
【0086】
第1ジアミン系化合物に由来する反復単位は第1及び第3反復単位であり、第2ジアミン系化合物に由来する反復単位は第2及び第4反復単位であるので、第1反復単位及び第3反復単位の総数は、第1~第4反復単位を含む全体の反復単位の数に対して50%~95%の比率で含まれるともいえる。すなわち、光学フィルムの製造に用いられる第1ジアミン系化合物の含有量は、第1ジアミン系化合物及び第2ジアミン系化合物の総含有量100モル部(mole part)に対して、50~95モル部であってよく、第2ジアミン系化合物の含有量は、第1ジアミン系化合物及び前記第2ジアミン系化合物の総含有量100モル部(mole part)に対して、5~50モル部であってよい。
【0087】
「第1ジアミン系化合物に由来する反復単位:第2ジアミン系化合物に由来する反復単位」において、第1ジアミン系化合物に由来する反復単位の比率が95:5よりも多いと、TFDBとジカルボニル系化合物に由来する反復単位の比率が増加してフィルムのヘイズが増加することがある。一方、第2ジアミン系化合物に由来する反復単位の比率が50:50よりも多いと、フィルムの耐熱特性及び強度が低下することがある。
【0088】
本発明の一実施例によれば、ジアンヒドリド系化合物は、下記化学式2で表現されてよい。
【0089】
[化学式2]
【0090】
化学式2において、Aは、4価の有機基を表す。例えば、Aは、炭素数4~40の4価の有機基を含んでよい。化学式2に含まれた有機基中の水素原子は、ハロゲン元素、炭化水素基又はハロゲン置換された炭化水素基によって置換されてよい。ここで、水素原子と置換された炭化水素基又はハロゲン置換された炭化水素基の炭素数は、1~8であってよい。
【0091】
化学式2のAは、例えば、下記の構造式のいずれか1つで表現される構造を含んでよい。
【0092】
【0093】
前記構造式において、*は結合位置を表す。前記構造式において、Zは、独立に、単一結合、O、S、SO、CO、(CH)n、(C(CH)n及び(C(CF)nのいずれか1つであってよく、nは1~5である整数であってよい。Z、及び、各環に対する結合位置が特に限定されるものではないが、Zの結合位置は、例えば、各環に対してメタ又はパラの位置であってよい。
【0094】
本発明の一実施例によれば、ジアンヒドリド系化合物は、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンジアンヒドリド(6FDA)、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボキシリックアンヒドリド(TDA)、ピロメリット酸ジアンヒドリド(1,2,4,5-benzene tetracarboxylic dianhydride,pyromellicticacid dianhydride,PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボキシリックジアンヒドリド(3,3,4,4-Benzophenone tetracarboxylic dianhydride,BTDA)、ビフェニルテトラカルボキシリックジアンヒドリド(3,3,4,4-Biphenyltetracarboxylic dianhydride,BPDA)、ナフタレンテトラカルボキシリックジアンヒドリド(NTDA)、ジフェニルスルホンテトラカルボキシリックジアンヒドリド(DSDA)、オキシジフタリックジアンヒドリド(4,4-Oxydiphthalic dianhydride,ODPA)、ビスカルボキシフェニルジメチルシランジアンヒドリド(Bis(3,4dicarboxyphenyl)dimethyl-silane dianhydride,SiDA)、ビスジカルボキシフェノキシジフェニルスルフィドジアンヒドリド(4,4-bis(3,4-dicarboxyphenoxy)diphenyl sulfide dianhydride,BDSDA)、スルホニルジフタリックアンヒドリド(Sulfonyldiphthalic anhydride,SO2DPA)、シクロブタンテトラカルボキシリックジアンヒドリド(Cyclobutane-1,2,3,4-tetracarboxylic dianhydride,CBDA)、及びイソプロピリデンフェノキシビスフタリックアンヒドリド(4,4’-(4,4’-Isopropylidenediphenoxy)bis(phthalic anhydride),BPADA)からなる群から選ばれる1種以上を含んでよい。
【0095】
本発明の一実施例に係る光学フィルムの製造に用いられるモノマーは、複数の種類のジアンヒドリド系化合物を含んでよい。
【0096】
水素原子がフッ素置換された炭化水素基によって置換されたジアンヒドリド系化合物を用いて製造された光学フィルムは、優れた光透過性を有し、優れた加工特性を有し得る。
【0097】
本発明の一実施例によれば、ジカルボニル系化合物は、下記化学式3で表現されてよい。
【0098】
[化学式3]
【0099】
化学式3において、Aは、2価の有機基を表す。例えば、Aは、炭素数4~40の2価の有機基を含んでよい。化学式3に含まれた有機基中の水素原子は、ハロゲン元素、炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基によって置換されてよい。ここで、水素原子が置換された炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基の炭素数は、1~8であってよい。例えば、Aに含まれた水素は、-F、-CH、-CFなどで置換されてよい。
【0100】
化学式3のAは、例えば、下記の構造式のいずれか1つで表現される構造を含んでよい。
【0101】
【0102】
前記構造式において、*は結合位置を表す。前記構造式において、Yは独立に、単一結合、O、S、SO、CO、CH、C(CH及びC(CFのいずれか1つであってよい。Yと各環に対する結合位置が特に限定されるものではないが、Yの結合位置は、例えば、各環に対してメタ又はパラの位置であってよい。
【0103】
本発明の一実施例によれば、芳香族ジカルボニル系化合物は、フタロイルクロリド(Phthaloyl Chloride)、テレフタロイルクロリド(Terephthaloyl Chloride,TPC)、イソフタロイルクロリド(Isophthaloyl chloride,IPC)、ビフェニルジカルボニルクロリド(4,4’-Biphenyldicarbonyl Chloride,DPDOC)、オキシビスベンゾイルクロリド(4,4’-Oxybis(benzoyl Chloride),OBBOC)、及びナフタレンジカルボニルジクロリド(Naphthalene-2,3-dicarbonyl dichloride)からなる群から選ばれる1種以上を含んでよい。
【0104】
本発明の一実施例に係る高分子樹脂は、下記化学式4で表現される第1反復単位、及び下記化学式5で表現される第2反復単位を含んでよい。
【0105】
[化学式4]
【0106】
化学式4中のAは、既に説明された通りである。
【0107】
[化学式5]
【0108】
化学式5中のA及びAは、既に説明された通りである。
【0109】
本発明の一実施例に係る高分子樹脂は、下記化学式6で表現される第3反復単位及び下記化学式7で表現される第4反復単位を含んでよい。
【0110】
[化学式6]
【0111】
化学式6中のAは、既に説明された通りである。
【0112】
[化学式7]
【0113】
化学式7中のA及びAは、既に説明された通りである。
【0114】
本発明の一実施例によれば、光学フィルムは光透過性を有する。また、光学フィルムはフレキシブル特性を有する。例えば、光学フィルムは、ベンディング(bending)特性、フォルディング(folding;折り畳み)特性及びローラブル(rollable;巻き取り可能)特性を有する。光学フィルムは、優れた機械的特性及び光学的特性を有し得る。
【0115】
本発明の一実施例によれば、光学フィルムは、光学フィルムが表示パネルを保護するに十分な程度の厚さを有し得る。例えば、光学フィルムは10~100μmの厚さを有し得る。
【0116】
本発明の一実施例に係る光学フィルムは、50μm厚を基準にして3.0以下の黄色度を有してよい。また、本発明の一実施例に係る光学フィルムは、50μm厚を基準にして2.0以下の黄色度も有してもよく、1.0以下の黄色度を有してもよい。
【0117】
本発明の一実施例に係る光学フィルムは、50μm厚を基準にしてUV分光光度計でもって測定された、可視光線領域における88.50%以上の光透過度を有してよい。また、本発明の一実施例に係る光学フィルムは、50μm厚を基準にして90%以上の光透過度を有してもよく、91%以上の光透過度を有してもよい。
【0118】
黄色度及び光透過度は、標準規格ASTM E313にしたがって分光光度計(spectrophotometer)によって波長360~740nmの範囲で測定されてよい。分光光度計(spectrophotometer)は、例えば、KONICA MINOLTA社のCM-3700Dが用いられてよい。
【0119】
本発明の一実施例に係る光学フィルムは、50μm厚を基準にして87.50%の平行透過度を有してよい。
【0120】
平行透過度は、前述した通り、フィルムの全体透過度から、拡散される透過度(拡散透過度)を除いた値のことを指す。すなわち、平行透過度は「全体透過度-拡散透過度」である。フィルムの平行透過度は、50mm×50mmのサイズのサンプルフィルムにて、ヘイズメーター(モデル名:HM-150,MURAKAMI社)を用いて平行透過度を3回測定し、平均値を算出して求めることができる。
【0121】
本発明の一実施例に係る光学フィルムは、50μm厚を基準にして200~250GUの20°光沢度を有してよい。
【0122】
20°光沢度は、フィルムの表面から反射される光の量でもって光沢特性を示すものである。一般に、フィルムの光沢度は60°の角度で測定する。しかし、高光沢(60°の角度における光沢度測定値が70GU以上)の場合には、20°の角度で光沢度を測定する。本発明の20°光沢度は、高光沢フィルムの20°の角度で測定した光沢度のことを指すのである。
【0123】
本発明の一実施例に係る光学フィルムは、50μm厚を基準にして140~190GUのRSPECを有してよい。
【0124】
RSPECはピーク光沢値(Peak Reflectance)であり、狭い角度(20°±0.09905°)で測定される。RSPECは、表面組織の質感(Texture)によって非常に敏感に変化し、フィルムのRSPECを測定することにより、滑らかな表面で感知し難い質感を感知できる。RSPECは、フィルムの表面に異物が多いほど値が小さくなる。すなわち、RSPECと光沢度の値が等しいと滑らかな状態であり、表面に質感が多いとRSPEC値は減少する。
【0125】
20°光沢度及びRSPECは、30mm×100mmサイズのサンプルフィルムの一方側の面に白色の紙を当て、光沢計(Rhopointinstruments,RHOPOINT IQ)を用いて、フィルム表面にて20°光沢度及びRSPECを測定することができる。
【0126】
以下、図1及び図2を参照して、本発明の一実施例に係る光学フィルムが用いられた表示装置について説明する。
【0127】
図1は、本発明のさらに他の実施例に係る表示装置200の一部を示す断面図であり、図2は、図1の「P」部分を示す拡大断面図である。
【0128】
図1を参照すると、本発明の他の実施例に係る表示装置200は、表示パネル501、及び、表示パネル501上の光学フィルム100を含む。
【0129】
図1及び図2を参照すると、表示パネル501は、基板510、基板510上の薄膜トランジスター(TFT)、及び、薄膜トランジスター(TFT)と連結された有機発光素子570を含む。有機発光素子570は、第1電極571、第1電極571上の有機発光層572、及び、有機発光層572上の第2電極573を含む。図1及び図2に示す表示装置200は、有機発光表示装置である。
【0130】
基板510は、ガラス又はプラスチックで作られてよい。具体的には、基板510は、高分子樹脂又は光学フィルムのようなプラスチックで作られてよい。図示してはいないが、基板510上にバッファ層が配置されてよい。
【0131】
薄膜トランジスター(TFT)は、基板510上に配置される。薄膜トランジスター(TFT)は、半導体層520、半導体層520と絶縁して半導体層520の少なくとも一部と重なるゲート電極530、半導体層520と連結されたソース電極541、及び、ソース電極541と離隔して半導体層520と連結されたドレイン電極542を含む。
【0132】
図2を参照すると、ゲート電極530と半導体層520との間にゲート絶縁膜535が配置される。ゲート電極530上に層間絶縁膜551が配置され、層間絶縁膜551上にソース電極541及びドレイン電極542が配置されてよい。
【0133】
平坦化膜552は、薄膜トランジスター(TFT)上に配置されて薄膜トランジスター(TFT)の上部を平坦化させる。
【0134】
第1電極571は、平坦化膜552上に配置される。第1電極571は、平坦化膜552に備えられたコンタクトホールを通じて薄膜トランジスター(TFT)と連結される。
【0135】
バンク層580は、第1電極571の一部及び平坦化膜552上に配置されて画素領域又は発光領域を定義する。例えば、バンク層580が複数の画素間の境界領域にマトリックス構造で配置されることにより、バンク層580によって画素領域が定義されてよい。
【0136】
有機発光層572は第1電極571上に配置される。有機発光層572はバンク層580上にも配置されてよい。有機発光層572は、1つの発光層を含んでもよく、上下に積層された2つの発光層を含んでもよい。このような有機発光層572からは、赤色、緑色及び青色のいずれか1つの色を有する光が放出されてよく、白色(White)光が放出されてもよい。
【0137】
第2電極573は有機発光層572上に配置される。
【0138】
第1電極571、有機発光層572及び第2電極573が積層されて有機発光素子570を構成し得る。
【0139】
図示してはいないが、有機発光層572が白色(White)光を発光する場合に、個別画素は、有機発光層572から放出される白色(White)光を、波長別にフィルタリングするためのカラーフィルターを含んでよい。カラーフィルターは、光の移動経路上に形成される。
【0140】
第2電極573上に薄膜封止層590が配置されてよい。薄膜封止層590は、少なくとも1つの有機膜、及び少なくとも1つの無機膜を含んでよく、少なくとも1つの有機膜及び少なくとも1つの無機膜が交互に配置されてよい。
【0141】
以上に説明された積層構造を有する表示パネル501上に、光学フィルム100が配置される。
【0142】
以下では、本発明の他の実施例に係る光学フィルムの製造方法を簡略に説明する。
【0143】
本発明の光学フィルム製造方法は、第1ジアミン系化合物、第2ジアミン系化合物、ジアンヒドリド系化合物及びジカルボニル系化合物を用いて第1反応液を形成する段階;前記第1反応液に脱水剤及びイミド化触媒を添加して反応させて第2反応液を形成する段階;前記第2反応液を処理して固体状態の高分子樹脂を製造する段階;前記固体状態の高分子樹脂を溶解させて高分子樹脂溶液を製造する段階;及び、前記高分子樹脂溶液をキャストする段階;を含む。以下、各段階を具体的に説明する。
【0144】
まず、第1ジアミン系化合物、第2ジアミン系化合物、ジアンヒドリド系化合物及びジカルボニル系化合物を用いて第1反応液を形成する。
【0145】
第1反応液を形成する段階は、高分子樹脂を形成するためのモノマーを高分子重合反応(polymeriazation)することで得ることができる。高分子樹脂は、第1ジアミン系化合物、第2ジアミン系化合物、ジアンヒドリド系化合物及びジカルボニル系化合物を含むモノマー成分から製造されてよい。本発明はモノマーの添加の順序及び方法によって限定されないが、例えば、ジアミン系化合物が溶解されている溶液に、ジアンヒドリド系化合物及びジカルボニル系化合物を添加して重合反応させることができる。
【0146】
第1反応液製造のための溶媒として、例えば、ジメチルアセトアミド(DMAc,N,N-dimethylacetamide)、ジメチルホルムアミド(DMF,N,N-dimethylformamide)、メチルピロリドン(NMP,1-methyl-2-pyrrolidinone)、m-クレゾール(m-cresol)、テトラヒドロフラン(THF,tetrahydrofuran)、クロロホルム(Chloroform)、メチルエチルケトン(Methyl Ethyl Ketone,MEK)などの非プロトン性極性有機溶媒(aprotic solvent)及びそれらの混合物が用いられてよい。ただし、本発明の一実施例に係る溶媒はこれに限定されず、他の溶媒が用いられてもよい。
【0147】
第1ジアミン系化合物として、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2’-Bis(trifluoromethyl)benzidine,TFDB)が用いられてよく、第2ジアミン系化合物として、前記説明された化学式1の芳香族ジアミン系化合物が用いられてよく、ジアンヒドリド系化合物として、前記説明された化学式2の化合物が用いられてよい。ジカルボニル系化合物として、前記説明された化学式3の化合物が用いられてよい。
【0148】
例えば、第2ジアミン系化合物として、ビス(3-アミノフェニル)スルホン(Bis(3-aminophenyl)sulfone,3DDS)、ビス(4-アミノフェニル)スルホン(Bis(4-aminophenyl)sulfone,4DDS)、ビスアミノメチルフェニルヘキサフルオロプロパン(2,2-Bis(3-amino-4-methylphenyl)hexafluoropropane,AMH)、ビスアミノフェニルフルオレン(9,9-Bis(4-aminophenyl)fluorene,FDA)、ビスフルオロアミノフェニルフルオレン(9,9-Bis(3-fluoro-4-aminophenyl)fluorene,FFDA)、m-フェニレンジアミン(meta-phenylene diamine,mPDA)、p-メチレンジアニリン(para-Methylene Dianiline,pMDA)、m-メチレンジアニリン(meta-Methylene Dianiline,mMDA)、1,3-ビス3-アミノフェノキシベンゼン(1,3-bis(3-aminophenoxy)benzene,133APB)、1,3-ビス4-アミノフェノキシベンゼン(1,3-bis(4-aminophenoxy)benzene,134APB)、1,4-ビス4-アミノフェノキシベンゼン(1,4-bis(4-aminophenoxy)benzene,144APB)、ビスアミノフェニルヘキサフルオロプロパン(2,2’-bis(3-aminophenyl)hexafluoropropane,33-6F)、ビスアミノフェニルヘキサフルオロプロパン(2,2’-bis(4-aminophenyl)hexafluoropropane,44-6F)、ビスアミノヒドロキシフェニルヘキサフルオロプロパン(2,2-Bis(3-amino-4-hydroxy-phenyl)-hexafluoropropane,6FAP)、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(BAPS)、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(BAPSM)、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニルプロパン(BAPP)、4,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、3,3-ジアミノ-4,4,-ジヒドロキシジフェニルスルホン(DABS)、2,2,-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(BAP)、4,4’-オキシジアニリン(4-ODA)、3,3’-オキシジアニリン(3-ODA)などがある。
【0149】
ジアンヒドリド系化合物として、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンジアンヒドリド(6FDA)、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボキシリックアンヒドリド(TDA)、ピロメリト酸ジアンヒドリド(1,2,4,5-benzene tetracarboxylic dianhydride,pyromellicticacid dianhydride,PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボキシリックジアンヒドリド(3,3,4,4-Benzophenone tetracarboxylic dianhydride,BTDA)、ビフェニルテトラカルボキシリックジアンヒドリド(3,3,4,4-Biphenyltetracarboxylic dianhydride,BPDA)、ナフタレンテトラカルボキシリックジアンヒドリド(NTDA)、ジフェニルスルホンテトラカルボキシリックジアンヒドリド(DSDA)、オキシジフタリックジアンヒドリド(4,4-Oxydiphthalic dianhydride,ODPA)、ビスカルボキシフェニルジメチルシランジアンヒドリド(Bis(3,4dicarboxyphenyl)dimethyl-silane dianhydride,SiDA)、ビスジカルボキシフェノキシジフェニルスルフィドジアンヒドリド(4,4-bis(3,4-dicarboxyphenoxy)diphenyl sulfide dianhydride,BDSDA)、スルホニルジフタリックアンヒドリド(Sulfonyldiphthalic anhydride,SO2DPA)、シクロブタンテトラカルボキシリックジアンヒドリド(Cyclobutane-1,2,3,4-tetracarboxylic dianhydride,CBDA)、及びイソプロピリデンフェノキシビスフタリックアンヒドリド(4,4’-(4,4’-Isopropylidenediphenoxy)bis(phthalic anhydride),6HBDA)などがある。
【0150】
ジカルボニル系化合物として、フタロイルクロリド(Phthaloyl Chloride)、テレフタロイルクロリド(Terephthaloyl Chloride,TPC)、イソフタロイルクロリド(Isophthaloyl chloride,IPC)、ビフェニルジカルボニルクロリド(4,4’-Biphenyldicarbonyl Chloride,DPDOC)、オキシビスベンゾイルクロリド(4,4’-Oxybis(benzoyl Chloride),OBBOC)、及びナフタレンジカルボニルジクロリド(Naphthalene-2,3-dicarbonyl dichloride)などがある。
【0151】
第1ジアミン系化合物、第2ジアミン系化合物、ジアンヒドリド系化合物、ジカルボニル系化合物のそれぞれは、単独で又は2種以上混合して用いられてよい。
【0152】
本発明の一実施例によれば、第1ジアミン系化合物及び第2ジアミン系化合物の総含有量100モル部(mole part)に対して、80モル部以上のジカルボニル系化合物が用いられてよく、20モル部以下のジアンヒドリド系化合物が用いられてよい。好ましくは、第1ジアミン系化合物及び第2ジアミン系化合物の総含有量100モル部(mole part)に対して、95モル部以上のジカルボニル系化合物が用いられてよく、より好ましくは、98モル部以上の量で用いられてよい。
【0153】
ジカルボニル系化合物の添加量による効果は、前述した通りである。
【0154】
本発明の一実施例によれば、第1ジアミン系化合物及び第2ジアミン系化合物の総含有量100モル部(mole part)に対して、50~95モル部の第1ジアミン系化合物が用いられてよい。
【0155】
第1ジアミン系化合物の添加量による効果は、前述した通りである。
【0156】
本発明の他の実施例によれば、第1反応液を形成するために添加されるジカルボニル系化合物の嵩密度(Bulk Density)は、0.5~0.8g/mlである。
【0157】
第1ジアミン系化合物である2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2’-Bis(trifluoromethyl)benzidine,TFDB)は、直線形の剛直な構造を有しているため、ジカルボニル系化合物との重合反応が非常に速く進む。ジカルボニル系化合物は、ジカルボニル系化合物の製造工程の特性上、フレーク(flake)状態で添加されるのであるが、フレーク状態のジカルボニル系化合物を、ジアミン系化合物が溶解されている溶液に添加すると、非常に速い重合反応によって、ジカルボニル系フレークの塊りの外部の周辺にてジアミンとの反応が急速に進行し、内部に存在するジカルボニル系化合物は重合反応せず、ゲル化(gelation)が起きることがある。ゲル化の発生によって樹脂の重合度が調節し難くなり、ゲル(gel)性の塊りはフィルムの透明性を低下させる。
【0158】
本発明の他の実施例によって、嵩密度(Bulk Density)が0.5~0.8g/mlであるジカルボニル系化合物を用いると、ジカルボニル系化合物のゲル化を防止又は減少させることができる。
【0159】
ジカルボニル系化合物の嵩密度(Bulk Density)は、見かけ嵩密度(Apparent Bulk Density)を用いて、ASTM D1895規格にしたがって3回測定した測定値の平均を計算して算出されうる。
【0160】
ジカルボニル系化合物の嵩密度(Bulk Density)が0.5g/ml未満であれば、原料の飛散が発生して工程中に操作が難くなる。一方、嵩密度が0.8g/mlを超えると、ジカルボニル系化合物のゲル化が増加し、フィルムの光学特性及びフィルムの光学指数(OPTICAL INDEX)が減少する。
【0161】
本発明の他の実施例によれば、第1反応液は、ポリアミド酸(Polyamic acid)とポリアミド反復単位とを含む。ポリアミド酸はポリイミドの前駆体である。
【0162】
本発明の他の実施例によれば、光学フィルムの製造方法は、第1反応液を形成する段階の前に、ジカルボニル系化合物の嵩密度(Bulk Density)を減少させる段階;をさらに含んでよい。
【0163】
ジカルボニル系化合物は、製造工程において、真空蒸留方法によって液状のジカルボニル系化合物が得られ、これは、塊り(bulk)状態の固体として結晶化される。したがって、製造工程の特性上、ジカルボニル系化合物はフレーク(flake)状態で用いられる。一般に、フレーク状態のジカルボニル系化合物の嵩密度(bulk density)は、0.8g/mlを超える(約8.8g/ml)。嵩密度(bulk density)が0.8g/mlを超えるジカルボニル系化合物を添加すると、ジカルボニル系化合物がゲル化することがある。
【0164】
ジカルボニル系化合物を溶液に添加する前に、ジカルボニル系化合物の嵩密度(Bulk Density)を減少させる段階をさらに含むことにより、ゲル化を防止又は減少させることができる。
【0165】
嵩密度(Bulk Density)を減少させる段階は、例えば、粉砕機(mixer)を用いてジカルボニル系化合物を粉砕することができる。粉砕機(mixer)を用いてジカルボニル系化合物を粉砕することにより、ジカルボニル系化合物の嵩密度(Bulk Density)を0.8g/ml以下になるようにすることができるのであり、嵩密度(Bulk Density)が0.8g/ml以下であるジカルボニル系化合物を用いることにより、ゲル化を防止又は減少させることができる。
【0166】
次に、第1反応液に脱水剤及びイミド化触媒を添加して反応させ、第2反応液を形成する。
【0167】
第2反応液の形成過程において、アミド酸の一部がイミド化してイミド反復単位が形成され得る。
【0168】
本発明の一実施例によれば、第1反応液に脱水剤及びイミド化触媒が添加された後、60~80℃の温度にて30分間~2時間、還流撹拌が行われる。その結果、第2反応液が形成され得る。
【0169】
脱水剤として、無水酢酸(acetic anhydride)、プロピオン酸無水物、イソ酪酸無水物、ピバル酸無水物、酪酸無水物、イソ吉草酸無水物のような酸無水物が用いられてよい。
【0170】
イミド化触媒として、イソキノリン(isoquinoline)、ベータピコリン(β-picoline)、ピリジン(pyridine)といった3級アミンが用いられてよい。
【0171】
次に、第2反応液を処理して、固体状態の高分子樹脂を製造する。
【0172】
固体状態の高分子樹脂の製造のために、第2反応液に溶媒が添加されてよい。溶媒として、例えば、エタノール、メタノール、ヘキサンなどが用いられてよい。溶媒は、単独で用いられてもよく、2種以上の溶媒が混合して用いられてもよい。
【0173】
第2反応液に重合溶媒によく混合されるとともに高分子の溶解度が低い溶媒を添加すれば、粉末状態の固体高分子樹脂が沈殿する。沈殿物を濾過して乾燥させることで、高純度の固体高分子樹脂が得られる。沈殿物を濾過する過程にて、液体成分が除去されながら、未反応のモノマー、オリゴマー及び添加剤、反応副産物などが除去される。高分子樹脂は、イミド反復単位及びアミド反復単位を含むポリアミド-イミド系樹脂であってよい。
【0174】
次に、固体状態の高分子樹脂を溶解させて高分子樹脂溶液を製造する。固体状態の高分子樹脂を溶媒に溶解させることで、高分子樹脂溶液が製造され得る。このような段階を再溶解段階ともいう。
【0175】
固体状態の高分子樹脂を溶解させるための溶媒として、重合過程で用いられた溶媒と同じ溶媒が用いられてよい。例えば、ジメチルアセトアミド(DMAc,N,N-dimethylacetamide)、ジメチルホルムアミド(DMF,N,N-dimethylformamide)、メチルピロリドン(NMP,1-methyl-2-pyrrolidinone)、m-クレゾール(m-cresol)、テトラヒドロフラン(THF,tetrahydrofuran)、クロロホルム(Chloroform)、メチルエチルケトン(Methyl Ethyl Ketone,MEK)などの非プロトン性極性有機溶媒(aprotic solvent)及びそれらの混合物が、固体状態の高分子樹脂を溶解させるための溶媒として用いられてよい。ただし、本発明の一実施例に係る溶媒はこれに限定されず、公知の他の溶媒が用いられてもよい。
【0176】
次に、高分子樹脂溶液をキャストする。
【0177】
キャスティングのためにキャスティング基板が用いられる。キャスティング基板の種類に特に制限はない。キャスティング基板として、ガラス基板、アルミニウム基板、ステンレス(SUS)基板、テフロン(登録商標)基板などが用いられてよい。本発明の一実施例によれば、キャスティング基板としてガラス基板が用いられてよい。
【0178】
具体的には、高分子樹脂溶液がキャスティング基板に塗布されることでキャスティングがなされる。キャスティングのために、コーター(coater)、ブレード(blade)などが用いられてよい。
【0179】
高分子樹脂溶液をキャストした後、80~120℃の温度範囲で乾燥させることで、高分子樹脂の塗膜(coating film)が製造され得る。このように製造された塗膜(coating film)は、光学フィルムの中間体であるといえる。ピンの形態のテンターに塗膜(coating film)をぴんと張って固定させた後、3℃/minの昇温速度で、120℃から、250~350℃にまで昇温させることで熱処理する。最高の製膜温度に到達すると、等温雰囲気にて10~30分間、追加の熱処理を行うことができる。この結果、光学フィルムが製造され得る。
【0180】
以下、例示的な実施例及び比較例を参照して、本発明をより具体的に説明する。ただし、以下に説明される実施例及び比較例によって本発明が限定されるものではない。
【0181】
<実施例1>
撹拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節機及び冷却器が取り付けられている500mL反応器に、窒素を通過させながら、DMAc(N,N-Dimethylacetamide)397.27gを満たした後に、反応器の温度を25℃に合わせた後、第1ジアミンでTFDB 28.82g(0.09mol)を溶解し、第2ジアミンとしてのFFDA 3.84g(0.01mol)をさらに溶解し、この溶液を25℃に保持した。ジアミンが溶解された後、そこに6FDA 2.22g(0.005mol)を添加して2時間撹拌することで6FDAを完全に溶解させた。反応器の温度を10℃に下げた後、TPC(Terephthaloyl Chloride)19.29g(0.095mol,bulk density0.67g/ml)を添加して、1時間の間に完全に溶解及び反応させた後に、25℃に昇温させた(第1反応液)。TPCは、溶液に添加する前に粉砕機で原料を粉砕したものを添加した。
【0182】
粉砕したTPCの嵩密度(Bulk Density)について、見かけ嵩密度を用いてASTM D1895規格にしたがって3回測定した測定値の平均を計算することで算出した。嵩密度(bulk density)は0.67g/mlであった。
【0183】
ここに、ピリジン0.87g、無水酢酸1.12gを投入して30分撹拌した後に加熱し、固形分の濃度が12重量%である高分子樹脂溶液(第2反応液)を得た。
【0184】
得られた高分子樹脂溶液をキャストした。キャスティングのためにキャスティング基板が用いられる。キャスティング基板の種類に特に制限はない。キャスティング基板として、ガラス基板、ステンレス(SUS)基板、テフロン(登録商標)基板などが用いられてよい。本発明の一実施例によれば、キャスティング基板としてガラス基板が用いられてよい。
【0185】
具体的には、得られた高分子樹脂溶液をガラス基板に塗布してキャストし、80℃の熱風で20分、120℃で20分乾燥させてフィルムを製造した後、製造されたフィルムをガラス基板から剥離してフレームにピンで固定した。
【0186】
フィルムが固定されたフレームをオーブンに入れて290℃にて等温で30分間、熱風で乾燥させた。その結果、50μm厚の光学フィルムが完成された。
【0187】
<実施例2>
実施例1と同じ方法により、第1ジアミン(TFDB)の添加量、第2ジアミンの種類及び添加量、ジアンヒドリド系化合物(6FDA)の添加量、ジカルボニル系化合物(TPC)の添加量のみを異ならせて実施例2の光学フィルムを製造した。
【0188】
<実施例3及び4>
実施例1と同じ方法により、第1ジアミン(TFDB)の添加量、第2ジアミンの種類及び添加量、ジアンヒドリド系化合物(6FDA)の添加量、ジカルボニル系化合物(TPC)の添加量を異ならせて高分子樹脂溶液(第2反応液)を製造した。
【0189】
得られた高分子樹脂溶液をキャストしてフィルムを製造した。製造されたフィルムをフレームに固定した後に、フィルムが固定されたフレームをオーブンに入れて、260℃にて等温で10分間、熱風でもって乾燥させることで、実施例3及び4の光学フィルムを製造した。
【0190】
<実施例5>
実施例1と同じ方法により、第1ジアミン(TFDB)の添加量、第2ジアミンの種類及び添加量、ジアンヒドリド系化合物(6FDA)の添加量、ジカルボニル系化合物(TPC)の添加量のみを異ならせて、実施例5の光学フィルムを製造した。
【0191】
<実施例6>
実施例1と同じ方法により、第1ジアミン(TFDB)の添加量、第2ジアミンの種類及び添加量、ジアンヒドリド系化合物(6FDA)の添加量、ジカルボニル系化合物(TPC)の添加量のみを異ならせて、高分子樹脂溶液(第2反応液)を製造した。得られた高分子樹脂溶液を実施例1と同じ方法によってキャストし、80℃の熱風で20分、120℃で20分乾燥させることでフィルムを製造した後、製造されたフィルムをガラス基板から剥離してフレームにピンで固定した。
【0192】
フィルムが固定されたフレームをオーブンに入れて270℃等温で10分間熱風で乾燥させた。これで、50μm厚の実施例6の光学フィルムを製造した。
【0193】
実施例1~6の具体的な第1ジアミン(TFDB)の添加量、第2ジアミンの種類及び添加量、ジアンヒドリド系化合物(6FDA)の添加量、ジカルボニル系化合物(TPC)の添加量は、下記表1の通りである。
【0194】
<比較例1及び2>
実施例1と同じ方法により、第1ジアミン(TFDB)の添加量、第2ジアミンの種類及び添加量、ジアンヒドリド系化合物(6FDA)の添加量、ジカルボニル系化合物(TPC)の添加量及びジカルボニル系化合物(TPC)の嵩密度を異ならせて比較例1及び2の光学フィルムを製造した。
【0195】
<比較例3>
実施例1と同じ方法により、第1ジアミン(TFDB)の添加量、第2ジアミンの種類及び添加量、ジアンヒドリド系化合物(6FDA)の添加量、ジカルボニル系化合物(TPC)の添加量及びジカルボニル系化合物(TPC)の嵩密度を異ならせて高分子樹脂溶液(第2反応液)を製造した。
【0196】
得られた高分子樹脂溶液をキャストしてフィルムを製造した。製造されたフィルムをフレームに固定した後に、フィルムが固定されたフレームをオーブンに入れて、260℃にて等温で10分間、熱風でもって乾燥させることで、比較例3の光学フィルムを製造した。
【0197】
<比較例4>
実施例1と同じ方法により、第1ジアミン(TFDB)の添加量、第2ジアミンの種類及び添加量、ジアンヒドリド系化合物(6FDA)の添加量、ジカルボニル系化合物(TPC)の添加量及びジカルボニル系化合物(TPC)の嵩密度を異ならせて、比較例4の光学フィルムを製造した。
【0198】
<比較例5>
実施例1と同じ方法により、第1ジアミン(TFDB)の添加量、第2ジアミンの種類及び添加量、ジアンヒドリド系化合物(6FDA)の添加量、ジカルボニル系化合物(TPC)の添加量及びジカルボニル系化合物(TPC)の嵩密度を異ならせて、高分子樹脂溶液(第2反応液)を製造した。得られた高分子樹脂溶液を実施例1と同じ方法によってキャストし、80℃の熱風で20分、120℃で20分乾燥させることでフィルムを製造した後、製造されたフィルムをガラス基板から剥離してフレームにピンで固定した。
【0199】
フィルムが固定されたフレームをオーブンに入れて270℃にて等温で10分間、熱風でもって乾燥させた。この結果、50μm厚の比較例5の光学フィルムを製造した。
【0200】
比較例1~5の具体的な第1ジアミン(TFDB)の添加量、第2ジアミンの種類及び添加量、ジアンヒドリド系化合物(6FDA)の添加量、ジカルボニル系化合物(TPC)の添加量及びジカルボニル系化合物(TPC)の嵩密度は、下記表1の通りである。
【0201】
【表1】
【0202】
FFDA:ビスフルオロアミノフェニルフルオレン(9,9-Bis(3-fluoro-4-aminophenyl)fluorine)
AMH:ビスアミノメチルフェニルヘキサフルオロプロパン(2,2-Bis(3-amino-4-methylphenyl)hexafluoropropane)
3DDS:ビス(3-アミノフェニル)スルホン(Bis(3-aminophenyl)sulfone)
4DDS:ビス(4-アミノフェニル)スルホン(Bis(4-aminophenyl)sulfone)
【0203】
<測定例>
実施例1~6及び比較例1~5で製造された高分子樹脂及びフィルムに対して次のような測定を行った。
【0204】
1)黄色度(Y.I.):標準規格ASTM E313にしたがってSpectrophotometer(CM-3700D,KONICA MINOLTA)を用いて黄色度を測定した。
【0205】
2)光透過度(%):Spectrophotometer(CM-3700D,KONICA MINOLTA)を用いて、波長360~740nmで平均光学透過度を測定した。
【0206】
3)平行透過度(%):平行透過度は「全体透過度-拡散透過度」である。フィルムの平行透過度は、50mm×50mmサイズのサンプルフィルムにおいてヘイズメーター(モデル名:HM-150,MURAKAMI社)を用いて平行透過度を3回測定し、平均値を算出して求めることができる。
【0207】
4)20°光沢度(GU)及びRSPEC(GU):30mm×100mmのサイズのサンプルフィルムの一方側の面に白色の紙を当て、光沢計(Rhopointinstruments,RHOPOINT IQ)を用いて、フィルム表面にて20°光沢度及びRSPECを測定した。
【0208】
5)フィルムの光学指数(OPTICAL INDEX,%/GU):先に測定したフィルムの平行透過度、20°光沢度及びRSPECを用いて、下記式1によってフィルムの光学指数(OPTICAL INDEX)を算出した。
【0209】
[式1]
【0210】
測定結果は、次の表2の通りである。
【0211】
【表2】
【0212】
前記表2の測定結果から、本発明の実施例1~6のフィルムは黄色度、光透過度のいずれにも優れており、また、フィルムの光学指数(OPTICAL INDEX)も1.0%/GU以上と、優れた光学特性を有することを確認した。しかしながら、比較例4は、ゲル化によって重合不可であり、フィルムの製造が不可能であった。そして、比較例1、2、5は、黄色度が3.0を超えたし、比較例5は、光透過度が88.50%未満であって、実施例1~6のフィルムに比べて視認性がよくなかった。また、比較例1~3及び5は、フィルムの光学指数(OPTICAL INDEX)も1.0%/GU未満であることが確認できる。
【符号の説明】
【0213】
100:光学フィルム
200:表示装置
501:表示パネル
図1
図2