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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】PET撮像イベントデータの処理
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/161 20060101AFI20240513BHJP
【FI】
G01T1/161 D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023573040
(86)(22)【出願日】2022-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2022064357
(87)【国際公開番号】W WO2022253694
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-11-27
(31)【優先権主張番号】21177533.3
(32)【優先日】2021-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】フラック トマス
(72)【発明者】
【氏名】ミューレンス オリフェル
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110632576(CN,A)
【文献】特開2007ー232548(JP,A)
【文献】特開2008-089384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/161-1/166
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽電子放出断層撮影撮像システムであって、
被検体を受容するためのボアであって、前記ボアは軸を備える、ボアと、
複数の検出器素子と、
複数の計算素子と
を有し、
各検出器素子は、光検出器アレイに結合されたシンチレータアレイを備え、受信されたガンマ量子に応答してイベントデータを生成するように構成され、前記イベントデータは、前記受信されたガンマ量子の検出時間及び/又は前記受信されたガンマ量子に応答して前記シンチレータアレイ内で生成された光分布を表し、
各計算素子は、前記検出器素子のうちの一つ又はそれより多くを備え、前記計算素子は、前記検出器素子が、前記ボア内から受信されたガンマ量子に応答して前記イベントデータを生成するように、前記ボアの軸の周りに配置され、
各計算素子は、前記ボアの周りの円周方向において、隣接する計算素子に前記計算素子を結合する第1の通信経路と、前記円周方向において、隣接しない計算素子に前記計算素子を結合する第2の通信経路とを備え、
各計算素子は、その一つ又はそれより多くの検出器素子によって生成されたイベントデータを受信し、その隣接する計算素子のプロセッサ及びその隣接しない計算素子のプロセッサに、その第1の通信経路を介して、及びその第2の通信経路を介して、前記イベントデータをそれぞれ通信するように構成されるプロセッサを備える、
陽電子放出断層撮影撮像システム。
【請求項2】
前記計算素子は、複数のモジュール素子を定義するようにグループ化され、
各モジュール素子は前記複数の計算素子及びトランシーバを備え、
各モジュール素子の前記トランシーバは、前記モジュール素子の計算素子と通信し、前記モジュール素子の計算素子の一つ又はそれより多くの検出器素子によって生成されたイベントデータを受信するように構成され、
各モジュール素子の前記トランシーバは、i)少なくとも1つのさらなるトランシーバ及び/又はii)コンピュータ可読記憶媒体及び/又はiii)再構成プロセッサに前記イベントデータを通信するようにさらに構成される、
請求項1に記載の陽電子放出断層撮影撮像システム。
【請求項3】
前記モジュール素子は、前記ボアの軸の周りに配置され、
各モジュール素子の前記トランシーバは、前記ボアの周りの円周方向における隣接するモジュール素子に前記モジュール素子を結合する第1のモジュール通信経路と、前記円周方向における隣接しないモジュール素子に前記モジュール素子を結合する第2のモジュール通信経路とを備え、
各モジュール素子の前記トランシーバは、その計算素子の前記一つ又はそれより多くの検出器素子によって生成されたイベントデータを、その隣接するモジュール素子の前記トランシーバ及びその隣接しないモジュール素子の前記トランシーバに、その第1のモジュール通信経路を介して、及びその第2のモジュール通信経路を介して、それぞれ通信するように構成される、
請求項2に記載の陽電子放出断層撮影撮像システム。
【請求項4】
各モジュール素子は、
前記モジュール素子の複数の計算素子のための機械的支持部、及び
前記モジュール素子の複数の計算素子の一つ又はそれより多くの検出器素子のための機械的支持部
のうちの少なくとも1つを提供するようにさらに構成され、又は
各モジュール素子は、
前記モジュール素子の複数の計算素子及び/又は検出器素子のための電源と、
前記モジュール素子の複数の計算素子及び/又は検出器素子を冷却するための冷却装置と、
前記モジュール素子のトランシーバによって送信及び/又は受信されたイベントデータを記憶するためのバッファと
をさらに有する、請求項2又は請求項3に記載の陽電子放出断層撮影撮像システム。
【請求項5】
前記計算素子は、複数のリングにおいて配置され、
前記リングは、前記ボアの軸に沿って軸方向に分布され、
前記リングにおける各計算素子のプロセッサは、前記隣接するリングにおける隣接する計算素子のプロセッサに前記イベントデータを通信するようにさらに構成される、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の陽電子放出断層撮影撮像システム。
【請求項6】
各計算素子のプロセッサは、
前記一つ又はそれより多くのシンチレータアレイにおいて生成された光分布を、共通の受信されたガンマ量子に割り当てることによって前記イベントデータをクラスタ化し、及び/又は、
互いの所定の時間インタバル内の検出時間を有する、受信されたガンマ量子の同時対を識別する
ようにさらに構成される、請求項1乃至5の何れか一項に記載の陽電子放出断層撮影撮像システム。
【請求項7】
各計算素子のプロセッサは、前記計算素子の検出器素子の一つ又はそれより多くのシンチレータアレイにおいて生成された光分布及び/又は前記隣接する計算素子の検出器素子の一つ又はそれより多くのシンチレータアレイにおいて生成された光分布を共通の受信されたガンマ量子に割り当てることによって、前記イベントデータをクラスタ化するように構成され、及び/又は
各計算素子のプロセッサは、前記クラスタに基づいて前記受信されたガンマ量子の総エネルギーを計算するようにさらに構成され、及び/又は
各計算素子のプロセッサは、前記クラスタに基づいて前記受信されたガンマ量子の位置を決定するようにさらに構成される、
請求項6に記載の陽電子放出断層撮影撮像システム。
【請求項8】
各計算素子のプロセッサは、
前記計算素子の検出器素子によって検出されたガンマ量子の検出時間を、他の計算素子の他の検出器素子によって検出された一つ又はそれより多くの他のガンマ量子の検出時間と比較して、前記所定の時間インタバル内の検出時間を有する対応するガンマ量子を識別する
ことによって、前記互いの所定の時間インタバル内の検出時間を有する受信されたガンマ量子の同時対を識別するように構成される、請求項6に記載の陽電子放出断層撮影撮像システム。
【請求項9】
各計算素子のプロセッサは、
前記比較に基づいて、前記対応するガンマ量子を検出する検出器素子の対応する計算素子を識別し、
前記検出されたガンマ量子のイベントデータを前記対応する計算素子のプロセッサに送信し、及び/又は前記対応するガンマ量子のイベントデータを他の計算素子から受信する
ようにさらに構成される、請求項8に記載の陽電子放出断層撮影撮像システム。
【請求項10】
各計算素子のプロセッサは、i)コンピュータ可読記憶媒体及び/又はii)再構成プロセッサに、前記イベントデータを通信するようにさらに構成される、請求項9に記載の陽電子放出断層撮影撮像システム。
【請求項11】
各計算素子のプロセッサは、その一つ又はそれより多くの検出器素子によって生成されたイベントデータを、その隣接する計算素子のプロセッサ及びその隣接しない計算素子のプロセッサに、その第1の通信経路を介して、及びその第2の通信経路を介して、それぞれ送信するように構成され、
各計算素子のプロセッサは、その隣接する計算素子のプロセッサから、及びその隣接しない計算素子のプロセッサから、その第1の通信経路を介して、及びその第2の通信経路を介して、イベントデータをそれぞれ受信する
ようにさらに構成される、請求項1に記載の陽電子放出断層撮影撮像システム。
【請求項12】
各計算素子は、i)その隣接する計算素子のプロセッサ及びその隣接しない計算素子のプロセッサにその一つ又はそれより多くの検出器素子によって生成されたイベントデータを送信することと、ii)その隣接する計算素子のプロセッサ及びその隣接しない計算素子のプロセッサからイベントデータを受信することとの間で、各計算素子の動作を切り替えるための制御信号を受信するようにさらに構成される、請求項11に記載の陽電子放出断層撮影撮像システム。
【請求項13】
各検出器素子及び/又は各計算素子は、前記イベントデータを記憶するためのバッファを有する、請求項1乃至12の何れか一項に記載の陽電子放出断層撮影撮像システム。
【請求項14】
各計算素子又は各モジュール素子は、前記検出器素子によって受信されたガンマ量子の検出時間を決定するための基準クロックユニットを有し、
各基準クロックユニットは、クロック信号を生成するように構成される出力部と、別の基準クロックユニットからクロック信号を受信するように構成される同期入力部と、前記基準クロックユニットを選択して、別の基準クロックユニットのためのクロック信号を生成するためのマスタクロックとして、又は別の基準クロックユニットからの受信されるクロック信号に基づいてクロック信号を生成するためのスレーブクロックとして動作する制御入力部とを有し、
前記基準クロックユニットの出力部及び同期入力部はクロック階層に、前記階層の一次レベルにおける複数の基準クロックユニット及び前記階層の二次レベルにおける複数の基準クロックユニットを提供するための再構成可能な相互接続部を含み、前記階層の一次レベルは、マスタクロックとして動作する基準クロックユニット及びスレーブクロックとして動作する一つ又はそれより多くの基準クロックユニットを含み、前記階層の二次レベルは、スレーブクロックとして動作する複数の基準クロックユニットを含み、
各基準クロックユニットは、前記階層の一次レベル又は前記階層の二次レベルで動作するようにその制御入力部及びその再構成可能な相互接続部を介して選択的に制御可能である、
請求項1又は請求項2に記載の陽電子放出断層撮影撮像システム。
【請求項15】
前記基準クロックユニットは、
前記複数の二次レベルの基準クロックユニットが、前記一次レベルの基準クロックユニットの各々の両側に配置され、
前記一次レベルの基準クロックユニットの出力部及び同期入力部は、前記マスタクロックとして動作する基準クロックユニットの出力部が、前記スレーブクロックとして動作する一つ又はそれより多くの基準クロックユニットの一つ又はそれより多くの同期入力部に入力されるように相互接続され、
前記二次レベルの基準クロックユニットの同期入力部は、それらの最も近い一次レベルの基準クロックユニットの出力部からクロック信号を受信するために、それらの最も近い一次レベルの基準クロックユニットの出力部に相互接続される
ように前記ボアの軸の周りに分布され、それらの制御入力部及びそれらの再構成可能な相互接続部によって選択的に制御される、
請求項14に記載の陽電子放出断層撮影撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、陽電子放出断層撮影、PET、撮像システムにおけるイベントデータの処理に関する。
【背景技術】
【0002】
PET撮像システムは、放射線トレーサによって解剖学的構造内の生物学的過程を検討するために使用される。放射性トレーサは、典型的にはグルコース又はリガンドなどの分子に結合され、対象の血流中に注入される。血流は解剖学的構造内で放射性トレーサを循環させ、放射性トレーサは領域の生物学的機能に応じて、かつ付着分子に応じて、特定の領域において優先的に吸収されるか、又は「取り込まれる」。次いで、解剖学的構造内の放射性トレーサの空間分布を表すPET画像が、PET撮像システムを使用して生成される。臨床医は対象の診断を行うために、そのような画像を研究することができる。
【0003】
解剖学的構造内の放射性トレーサの空間分布は、それが崩壊する間に放射性トレーサによって放出されるガンマ量子を検出することによって決定される。放射性トレーサが崩壊することにつれて、放射性トレーサは陽電子を放出する。陽電子は電子によって局所的に消滅し、反対方向のガンマ量子の対の同時放出をもたらす。ガンマ量子の対の放出は、放射性崩壊イベント、又は単に「イベント」と呼ばれることがある。
【0004】
ガンマ量子を検出するために、PET撮像システムは、複数の検出素子を含む。検出器素子はボア内の被検体の一部から放出されたガンマ量子を検出するために、撮像システムのボアの周りに配置される。検出器素子は、光検出器アレイに結合されたシンチレータアレイを含む。ガンマ量子が検出器素子によって受信されるたびに、シンチレータアレイにおいてシンチレーション光が生成され、シンチレーション光がその対応する光検出器アレイによって検出される。しばしば「タイムスタンプ」と呼ばれる、受信されたガンマ光子の検出時間、及び/又は受信されたガンマ量子に応答してシンチレータアレイ内で生成される光分布は、放射性崩壊イベントデータ、又は単に「イベントデータ」と呼ばれる。検出器素子によって生成されたイベントデータは、ボア内の各イベントの原点を位置特定するために処理される。
【0005】
イベントデータを処理することは、各受信ガンマ量子に応答して光検出器アレイによって検出されるシンチレーション光分布を分析し、光分布を共通の受信ガンマ量子に割り当てる初期ステップ、すなわち「クラスタリング」と呼ばれるプロセスを含むことができる。クラスタリングは各ガンマ量子が受信された検出器上の最も可能性の高い位置を決定するために、及び/又は受信されたガンマ量子のエネルギーを決定するために実行される。
【0006】
イベントデータを処理することはまた、互いに所定の時間インタバル内に受信されるガンマ量子の対を識別するために、受信されたガンマ光子の検出時間を比較すること、すなわち、「同時探索」と呼ばれるプロセスを伴い得る。同時探索ではボア直径及びガンマ光子の移動速度によって定義される、互いに所定の時間インタバル内に受信されるガンマ量子の対は共通の放射性崩壊イベントに起因すると仮定される。ガンマ量子のそのような対は、「同時対」と呼ばれ、検出器上のそれらが検出される位置の間の応答線、すなわち「LOR」を定義する。この仮定の下ではLORは崩壊イベントの原点を傍受するが、LORに沿ったその位置は不確実である。いわゆる飛行時間型「TOF」PET撮像では、LORに沿った実際の減衰イベントのより正確な位置が各同時対におけるガンマ量子の検出時間の間の時間差に基づいて決定され得る。複数の減衰イベントからのLORを用いて、被検体における放射性トレーサの分布を表すPET画像を再構成する。
【0007】
PET撮像システムにおけるイベントデータの処理は、個々のガンマ量子についてのイベントデータを決定する必要性、及びガンマ量子が受信される速度を考慮すると、極めて集中的である。得られたPET画像の画質は、各同時対の原点を決定することができる精度及び速度によって、部分的に決定される。したがって、PET撮像システムでは、共起探索及びクラスタリングの動作が一般に、共通の中央プロセッサによって実行される。
【0008】
Bruschini, C.らによる"SPADnet: a fully digital, scalable and networked photonic component for time―of―flight PET applications" (published in Biophotonics: Photonic Solutions for Better Health Care IV, edited by Jurgen Popp, Valery V. Tuchin, Dennis L. Mat、9129, 912913)は、その背面上でFPGAベースのPCBにインターフェース接続されたセンサタイルを開示している。得られたフォトニックモジュールは、ガンマ光子ならびに熱イベント及びコンプトンイベントを個々に検出する、自律的な検知及び計算ユニットとして働く。それは、到着の正確な時間、位置及びエネルギーなどの各シンチレーションイベントのための基本情報をリアルタイムで決定し、それを視野内のそのピアに通信する。したがって、同時発生検出はスケーラビリティを保証するために、リング自体において、異なる分散方式で直接行われる。次いで、選択された真の同時イベントはスヌーパモジュールによって収集され、そこから、ギガビットイーサネットを使用して、外部再構成コンピュータに転送される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、PET撮像システムにおいてイベントデータを処理するための改善された処理アーキテクチャを提供する余地が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様によれば、PET撮像システムが提供される。PET撮像システムは、被検体を受容するためのボアであって、軸を含むボアと、複数の検出器素子と、複数の計算素子とを含む。各検出器素子は、光検出器アレイに結合されたシンチレータアレイを備え、受信されたガンマ量子に応答してイベントデータを生成するように構成される。イベントデータは、受信されたガンマ量子の検出時間及び/又は受信されたガンマ量子に応答してシンチレータアレイ内で生成された光分布を表す。各計算素子は、1つ又は複数の検出器素子を備える。計算素子は検出器素子がボア内から受け取ったガンマ量子に応答してイベントデータを生成するように、ボアの軸の周りに配置される。各計算素子は、計算素子をボアの周りの円周方向に隣接する計算素子に結合する第1の通信経路と、計算素子を円周方向に隣接しない計算素子に結合する第2の通信経路とを備える。各計算素子はその1つ又は複数の検出器素子によって生成されたイベントデータを受信し、その隣接する計算素子のプロセッサに、及びその隣接しない計算素子のプロセッサに、その第1の通信経路を介して、及びその第2の通信経路をそれぞれ介して、イベントデータを通信するように構成されるプロセッサを備える。
【0011】
本開示のさらなる態様、特徴、及び利点は、添付の図面を参照してなされる実施例の以下の説明から明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示のいくつかの態様による、複数の計算素子1401..jを含む例示的なPET撮像システム100を示す概略図である。
図2】本開示のいくつかの態様による、複数のリング2301..qに配置される複数の計算素子1401..j,1..qを含む例示的なPET撮像システム100を示す概略図である。
図3】本発明のいくつかの態様による、複数の計算素子1401..j,1..qをグループ化して、複数のモジュール素子180p,qを定義することを示す概略図である。
図4】複数のモジュール素子180pがそれぞれ、モジュール素子をボア110の周りの円周方向で隣接するモジュール素子に結合する第1のモジュール通信経路210と、モジュール素子を円周方向で隣接しないモジュール素子に結合する第2のモジュール通信経路220とを含む、本発明のいくつかの態様による、例示的なPET撮像システム100を示す概略図である。
図5】本開示のいくつかの態様による、複数のリング2301..qに配置された複数のモジュール素子180p, qを含む例示的なPET撮像システム100を示す概略図である。
図6】本発明のいくつかの態様による、基準クロックユニット240p, qの例示を示す概略図である。
図7】本開示のいくつかの態様による、階層の一次レベル310に複数の基準クロックユニットを有し、階層の二次レベル320に複数の基準クロックユニットを有するクロック階層の一例を示す概略図である。
図8】本発明のいくつかの態様による、基準クロックユニット240p,qの配置の第1の例示を示す概略図である。
図9】本発明のいくつかの態様による、基準クロックユニット240p,qの配置の第2の例示を示す概略図である。
図10】本発明のいくつかの態様による、基準クロックユニット240p,qの配置の第3の例示を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の実施例は、以下の説明及び図面を参照して提供される。この説明では、説明の目的のために、いくつかの例の多くの具体的な詳細が説明される。本明細書において、「実施例」、「実施態様」、又は実施例に関連して説明される特性、構造、又は特性が少なくともその1つの実施例に含まれることを意味する同様の言語への言及はその実施例に含まれる。また、1つの例に関連して説明された特徴は別の例においても使用され得、簡潔さのために、すべての特徴が各例において必ずしも複製されないことを諒解されたい。
【0014】
以下の説明では、PET撮像システムを参照する。PET撮像システムは、飛行時間型「TOF」PET撮像システム、及び非TOFPET撮像を含む、任意のタイプのPET撮像システムであってもよいことを理解されたい。複数の検出器素子を含むPET撮像システムの例が参照される。検出器素子は、PET撮像システムのボアの軸に沿って軸方向に配置される一つ又はそれより多くのリングに配置される。いくつかの例では、リングの軸方向の広がりはヒト対象の実質的な部分、又はさらには全長をカバーするのに十分である。したがって、本開示のいくつかの例は、いわゆる「身体」PET撮像システムにおいて使用され得る。しかしながら、本開示のいくつかの例は、必要に応じて、検出器素子の単一のリングのみを含むPET撮像システムと共に使用され得ることを理解されたい。
【0015】
以下の説明では、プロセッサを参照する。いくつかの例では、プロセッサが計算素子の一部を形成する。プロセッサは様々な方法を実施し、それは、したがって、コンピュータ実装方法と呼ばれ得る。この点で、コンピュータ実装方法は、少なくとも1つのプロセッサによって実施されると、少なくとも1つのプロセッサに方法を実施させる、コンピュータ可読命令を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体として提供され得ることに留意されたい。言い換えれば、コンピュータ実装方法は、コンピュータプログラム製品において実装され得る。コンピュータプログラム製品は、専用ハードウェア、又は適切なソフトウェアと関連してソフトウェアを実行することができるハードウェアによって提供することができる。プロセッサによって提供されるとき、方法の特徴の機能は、単一の専用プロセッサによって、又は単一の共用プロセッサによって、又はそのうちのいくつかが共有され得る複数の個々のプロセッサによって提供され得る。
【0016】
「プロセッサ」又は「コントローラ」という用語の明示的な使用はソフトウェアを実行することができるハードウェアを排他的に指すものとして解釈されるべきではなく、デジタル信号プロセッサ「DSP」ハードウェア、ソフトウェアを記憶するための読取り専用メモリ「ROM」、ランダムアクセスメモリ「RAM」、不揮発性記憶デバイスなどを暗黙的に含むことができるが、これらに限定されない。さらに、本開示の例はコンピュータ使用可能記憶媒体、又はコンピュータ可読記憶媒体からアクセス可能なコンピュータプログラム製品の形成をとることができ、コンピュータプログラム製品は、コンピュータ又は任意の命令実行システムによって、又はそれらと関連して使用するためのプログラムコードを提供する。本説明の目的のために、コンピュータ使用可能記憶媒体又はコンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって、又はそれに関連して使用するためのプログラムを備える、記憶する、通信する、伝播する、又は移送することができる任意の装置であり得る。媒体は、電子、磁気、光学、電磁、赤外、又は半導体システムもしくはデバイスもしくは伝搬媒体であり得る。コンピュータ可読媒体の例は、半導体又はソリッドステートメモリ、磁気テープ、リムーバブルコンピュータディスク、ランダムアクセスメモリ「RAM」、読取り専用メモリ「ROM」、剛体磁気ディスク、及び光ディスクを含む。光ディスクの現在の例には、コンパクトディスク読み取り専用メモリ「CDROM」、コンパクトディスク読み取り/書き込み「CDR/W」、BluRay(商標)、及びDVDが含まれる。
【0017】
上述のように、PET撮像システムにおけるイベントデータの処理は、個々のガンマ量子のイベントデータを決定する必要性、及びガンマ量子が受信される速度を考慮すると、極めて集中的である。得られたPET画像の画質は、各同時対の原点を決定することができる精度及び速度によって、部分的に決定される。したがって、PET撮像システムでは、共起探索及びクラスタリングの動作が一般に、共通の集中型プロセッサによって実行される。
【0018】
図1は、本開示のいくつかの態様による、複数の計算素子1401..jを含む例示的なPET撮像システム100を示す概略図である。
【0019】
図1に示すPET撮像システム100は、被検体を受容するためのボア110を含む。ボア110は、図の平面内に延びる軸120を有する。使用中、ボア110は、患者の寝台(図示せず)によって、人体などの被検体を軸線120に沿って受け入れることができる。患者ベッドは被検体に対してPET撮像手順を実行するために、ボア110内に延ばされてもよい。PET撮像手順は、被検体の関心領域内の放射性トレーサの分布を検出するために使用されてもよい。18 F―フルオロ―2―デオキシ―D―グルコース「FDG」などの放射性トレーサ、又は別の放射性トレーサは、このために被験体に予め注射されていてもよい。関心領域は、心臓、脳、肺などの特定の器官、又はいわゆる「全身」PETスキャンにおける身体の実質的な部分であってもよい。
【0020】
図1に示すPET撮像システム100はまた、多数の検出器素子1301..iを含む。各々の検出器素子1301..i は光検出器アレイ(図示せず)に結合されたシンチレータアレイ(図示せず)を備え、図1に示されるガンマ量子150a、150bなどの受信されたガンマ量子に応じてイベントデータを生成するように構成される。イベントデータは受信されたガンマ量子150a、150bの検出時間、及び/又は受信されたガンマ量子150a、150bに応じてシンチレータアレイ内で生成された光分布を表す。シンチレータアレイは、受信されたガンマ量子に応答してシンチレーション光を生成する様々なシンチレータ材料から形成され得る。この目的のために、オルトケイ酸ルテチウムイットリウム「LYSO」、ゲルマン酸ビスマス「BGO」などのシンチレータ材料、及びガドリニウムアルミニウムガリウムガーネット「GAGG」などのガーネットが知られている。光検出器アレイは、シンチレーション光を検出するのに適した様々な材料から形成することができる。この目的のために、例えば、複数のシリコンアバランシェフォトダイオードを含むシリコン光検出器アレイを使用することができる。光検出器アレイは受信されたガンマ量子に応答してシンチレータアレイ内で生成されるシンチレーション光の空間分布が光検出器アレイによって測定されるように、シンチレータアレイに光学的に結合される。光検出器アレイは、光検出器アレイによって生成された電気信号からイベントデータを生成するための読み出し電子回路に結合され得る。検出器素子には、イベントデータを他の検出器素子によって生成されたイベントデータと同期させるためのクロック信号が供給されてもよく、それによって、検出時間の正確な測定値が提供される。いくつかの例では、検出器素子はまた、イベントデータを記憶するためのバッファを含み得る。
【0021】
図1に示すように、それぞれの計算素子1401..jは、一つ又はそれより多くの検出器素子1301..iを含む。さらに、計算素子1401..jは、ボア110の軸120の周りに配置され、検出器素子1301..iがボア110内から受け取ったガンマ量子150a、150bに応じてイベントデータを生成するようになっている。この点において、検出器素子1301..iのガンマ線受光面は、ボア110に向かって配向される。いくつかの実施形態では、検出器素子1301..iがそれらのガンマ線受光面が軸線120から検出器素子1301..iのガンマ線受光面の中心まで延びる線に対して垂直になるように配置される。したがって、検出器素子1301..iはそれぞれ、ボア110の軸120と同軸である円の円周の周りに配置されてもよい。他の実施形態では、検出器素子1301..iのガンマ線受光面が多角形のエッジと位置合わせされ、軸120の周りに配置されてもよい。例えば、検出器素子1301..iのガンマ線受光面は、ボア110の軸120と同軸に位置合わせされた中心を有する正規のn辺ポリゴンのエッジと位置合わせされてもよく、nは3以上である。1つ又は複数の検出器素子1301..iのガンマ線受光面は、そのような正規のn辺ポリゴンのそれぞれのエッジと位置合わせされてもよい。このような構成では、検出器素子1301..iが軸120に対して横方向に配置されると言うことができる。他の実施形態では、検出器素子1301..iがボア110の軸120の周りに別の方法で配置することができる。例えば、検出器素子1301..iは、楕円形又は別の形状の外面の周りに配置されてもよい。いくつかの実施形態では、検出器素子1301..iがそれらの間に様々な大きさのギャップを含むことができる。一実施形態では、検出器素子1301..iがボアの軸を横切って互いに対向する2つ以上の平面上に検出器素子1301..iを配置することによって、軸120の周りに配置することができる。
【0022】
図1にも示されるように、それぞれの計算素子1401..jは、計算素子をボアの周りの円周方向で隣接する計算素子に結合する第1の通信経路160と、計算素子を円周方向で隣接しない計算素子に結合する第2の通信経路170とを含む。通信経路は一般に、電気又は光通信経路であってもよい。図1の角度fは円周方向を表す。したがって、図1に例示されるように、計算素子1401は、時計回りの円周方向fにおいて隣接する計算素子1402への第1の通信経路1601と、時計回りの円周方向fにおいて隣接しない計算素子1404への第2の通信経路1701とを有する。隣接しない計算素子は概して、円周方向に離れた2つ以上の計算素子であり得、すなわち、計算素子1401に最も近い隣接しない計算素子は離れた2つの計算素子、すなわち、計算素子1403であり得る。
【0023】
その上、それぞれの計算素子1401..jは、 その1つ又は複数の検出器素子1301..iによって生成されたイベントデータを受信し、その第1の通信経路1601..jを介して、及びその第2の通信経路1701..jを介して、その隣接する計算素子のプロセッサと、その隣接しない計算素子のプロセッサとにイベントデータをそれぞれ通信するように構成されるプロセッサ(図示せず)を含む。.
【0024】
中央プロセッサを使用して、検出器素子によって生成されたイベントデータ、すなわち、受信されたガンマ量子150a、150bの検出時間、及び/又は受信されたガンマ量子150a、150bに応じてシンチレータアレイにおいて生成された光分布を処理する従来のPET処理アーキテクチャと比較して、図1に示される分散処理アーキテクチャは、中央処理ユニットがすべての検出器素子からのイベントから生じる結合されたデータレートを処理することができなければならないという課題を軽減する。したがって、図1に示される分散処理アーキテクチャは、個々のプロセッサが時間的に並列に動作し得るので、イベントデータを処理するためのより速度のプロセッサの使用を可能にする。隣接する検出器素子間の第1の通信経路1601..jは、計算素子からその隣接する計算素子へのイベントデータの転送を可能にする。計算素子と隣接しない計算素子との間の第2の通信経路1701..jは、ボア110の周りでさらに離れている計算素子へのイベントデータの転送を可能にする。両方の通信経路はまた、ハンドシェイクデータを交換するために使用され得る。PET撮像システムでは、対向して方向付けられたガンマ量子の同時対が典型的にはボア110の両側で検出される。したがって、計算素子と隣接しない計算素子との間の第2の通信経路1701..jは同時ガンマの予想される検知位置の間のボア110の周りのより速い、すなわち低減された待ち時間の通信経路を提供する。経路に沿ったすべての計算素子を介してボアの周りにイベントデータを転送する必要性をなくすことによって、改善されたPET撮像システム性能が提供される。使用中、プロセッサはイベントデータを通信するときに、第1及び第2の通信経路のどちらを使用するかを動的に選択することができる。経路は例えば、イベントデータの起点と行き先との間の最短距離、利用可能な通信経路の現在の利用率、例えば、最短待ち時間を提供する経路、及びガンマ量子が検出される速度などの1つ又は複数の要因に基づいて選択され得る。いくつかの例では、経路を選択するための基準又は基準はまた、たとえば、ガンマ量子が検出されるレート、障害によって経路がブロックされているか又は欠落しているかどうか、最も短い待ち時間を有する経路などに応じて、時間とともに変化し得る。
【0025】
いくつかの例では、計算素子はまた、イベントデータを記憶するためのバッファ(図示せず)を含み得る。バッファは別の計算素子へのその転送の前に、イベントデータを記憶するために使用され得る。バッファが過負荷になるのを防ぐために、イベントがバッファに入った後の満了時間内に対応するイベントが検出されない場合、イベントデータはバッファによって破棄され得る。一例では、満了時間が動的に、すなわちリアルタイムで調整され得る。満了時間は例えば、ガンマ量子が検出される速度に依存し得る。この効果は、受光角の動的適応である。
【0026】
上述のPET撮像システムは、1つ又は複数の追加の特徴を含むことができる。これらは、さらなる実施例を参照して以下に記載される。実施例は個別に説明することができるが、これらの実施例はさらなる有利な効果を提供するために組み合わせることもできることに留意されたい。
【0027】
一例示では、それぞれの計算素子1401..j, 1401..j,1..qのプロセッサがイベントデータをクラスタ化し、及び/又は同時対を識別する。この例示では、それぞれの計算素子1401..j, 1401..j,1..qのプロセッサが、
一つ又はそれより多くのシンチレータアレイで生成された光分布を、共通の受信されたガンマ量子150a、150bに割り当てることによって、イベントデータをクラスタ化し、及び/又は、
互いの所定の時間インタバル内に検出時間を有する、受信されたガンマ量子150a、150bの同時対を識別する
ようにさらに構成される。
【0028】
第1及び第2の通信経路1601..j ,1701..jは計算素子間のイベントデータの効率的なルーティングを提供し、それによって、クラスタ化及び/又は識別動作が、効率的な方法で計算素子によって実行されることを可能にする。
【0029】
それぞれの計算素子1401..j,1401..j,1..qのプロセッサは、隣接する計算素子1401..j,1401..j,1..qの検出器素子1301..i, 1301..i,1..qの一つ又はそれより多くのシンチレータアレイにおいて生成された光分布及び/又は隣接する計算素子1401..j,1401..j,1..qの検出器素子1301..i, 1301..i,1..qの一つ又はそれより多くのシンチレータアレイにおいて生成される光分布を共通の受信されたガンマ量子150 a 、150 b に割り当てることによって、イベントデータをクラスタ化する。この動作はガンマ量子からの光分布の予想される横方向の拡がりと共に、アレイ内の光検出器による光分布の部分の検出時間に基づいて実行されてもよい。それぞれの計算素子1401..j,1401..j,1..qのプロセッサは、クラスタに基づいて、受信されたガンマ量子150a、150bの総エネルギを計算してもよい。この動作は、クラスタの光分布を積分することによって、又は生成される個々の数のシンチレーション光子を計数することによって実行され得る。光検出器アレイは、電気積分回路、又はこれらの目的のためのいわゆる光子計数検出器をそれぞれ含んでもよい。それぞれの計算素子1401..j,1401..j,1..qのプロセッサは、クラスタに基づいて、受信されたガンマ量子150a、150bの位置を決定することができる。プロセッサは例えば、クラスタの光分布の重心を計算することによって、受信されたガンマ量子150a、150bの位置を決定することができる。
【0030】
一例では、ガンマ量子の総エネルギーが真の同時発生イベントと散乱同時発生イベントとを区別するために、その減衰中に放射性トレーサによって放出されるガンマ量子の予想エネルギーと比較され得る。同時対における両方のガンマ量子の総エネルギーが予想されるエネルギーの所定の範囲内にある場合、同時対は、「真の同時」イベントとしてラベル付けされ得る。同時対における一方又は両方のガンマ量子の総エネルギーが所定の範囲外である場合、同時対は、「散乱同時」イベント又は「散乱イベント」としてそれぞれラベル付けされ得る。散乱イベントは、真の同時発生イベントを補正するために使用されてもよく、又はPET画像再構成における使用から省略されてもよい。
【0031】
一実施形態ではそれぞれの計算素子1401..j、1401..j,1..qのプロセッサは、
計算素子1401..j,1401..j,1..qの検出器素子1301..i,1301..i,1..qによって検出される受信されたガンマ量子150a 、150bの検出時間を、他の計算素子1401..j, 1401..j,1..qの他の検出器素子1301..i, 1301..i,1..qによって検出される一つ又はそれより多くの他のガンマ量子150a、150bの検出時間と比較し、所定の時間インタバル内の検出時間を有する対応するガンマ量子150a、150bを識別することによって、互いの所定の時間インタバル内の検出時間を有する受信されたガンマ量子150a、150bの同時対を識別することができる。
【0032】
ガンマ量子の同時対を識別すると、プロセッサのうちの1つは、次いで、そのガンマ量子のためのイベントデータを、その対中の対応するガンマ量子のプロセッサに送信し得る。したがって、一実施形態では、それぞれの計算素子1401..j、1401..j,1..qのプロセッサは、
比較に基づいて、対応するガンマ量子を識別する検出器素子1301..i,1301..i,1..qの対応する計算素子1401..j、1401..j,1..qを検出し、
検出されたガンマ量子150a、150bのイベントデータを対応する計算素子1401..j、1401..j,1..qのプロセッサに送信し、及び/又は他の計算素子1401..j、1401..j,1..qから対応するガンマ量子150a、150bのイベントデータを受信する。
【0033】
一例示では、それぞれの計算素子1401..j、1401..j,1..qのプロセッサはさらに、i)コンピュータ可読記憶媒体及び/又はii)再構成プロセッサ200に同時対のイベントデータを通信することができる。再構成プロセッサは、受信されたイベントデータを使用して、被検体における放射性トレーサの分布を表すPET画像を再構成することができる。
【0034】
上述のように、いくつかの例では、ガンマ量子の同時対を検出する検出器素子の計算素子がそれらのイベントデータの送信器及び受信器の両方として動作し得る。このように、これらの実例では、それぞれの計算素子1401..j、1401..j,1..qのプロセッサは、その1つ又は複数の検出器素子1301..i,1301..i,1..qによって生成されたイベントデータを、その隣接する計算素子1401..j、1401..j,1..qのプロセッサ及びその隣接しない計算素子1401..j、1401..j,1..qのプロセッサに、その第1の通信経路を介して、及びその第2の通信経路を介して、それぞれ送信することができる。それぞれの計算素子1401..j、1401..j,1..qのプロセッサは、隣接する計算素子1401..j、1401..j,1..qのプロセッサから、及びその隣接しない計算素子1401..j、1401..j,1..qのプロセッサから、その第1の通信経路を介して、及びその第2の通信経路を介して、イベントデータをそれぞれ受信してもよい。
【0035】
しかしながら、このプロトコルは、ガンマ量子の同時対からのイベントデータがそれらのそれぞれの計算素子の両方によって処理されるリスクがあるので、計算素子の非効率的な使用につながり得る。このリスクを回避するために、ガンマ量子の同時対からのイベントデータは重複イベントを除去するために、それらの検出時間の比較に基づいてフィルタリングされ得る。
【0036】
いくつかの例では、ガンマ量子を受信する検出器素子の計算素子を、制御信号を使用するイベントデータの送信器又は受信器として指定することも企図される。したがって、一実施形態では、それぞれの計算素子1401..j、1401..j,1..qは、i)その一つ又はそれより多くの検出器素子1301..i,1301..i,1..qによって生成されたイベントデータをその隣接する計算素子1401..j、1401..j,1..qのプロセッサ及びその隣接しない計算素子1401..j、1401..j,1..qのプロセッサに送信することと、ii)その隣接する計算素子1401..j、1401..j,1..qのプロセッサから、及びその隣接しない計算素子1401..j、1401..j,1..qのプロセッサから、イベントデータを受信することとの間で、それぞれの計算素子1401..j、1401..j,1..qの動作を切り替えるための制御信号を受信するようにさらに構成される。
【0037】
一例では、制御信号がイベントデータの送信器又は受信器として各計算素子の役割を指定するために使用され得る。例えば、ボア110の周りの奇数番目の計算素子140jはそれらのイベントデータの送信器として指定されてもよく、ボア110の周りの偶数番目の計算素子140jは他の計算素子からのイベントデータの受信器として指定されてもよい。しかし、計算素子の役割を静的に指定すると、計算素子間の処理負荷のバランスが悪くなる可能性がある。また、2つの送信器、又は2つの受信器によって検出される対応するイベントデータが一致しないというリスクもある。これらの2つの問題に対処するために、一例では、制御信号がイベントデータの送信器又は受信器の間で各計算素子の指定を動的に切り替えるために使用され得る。バッファは上述のように、イベントデータを記憶するために使用され得る。計算素子の役割が切り替えられると、両方の送信器、又は両方の受信器からのデータが、バッファから計算素子間で転送され得る。役割の動的スイッチングは例えば、周期的に、又は計算素子の現在の処理負荷に基づいて実行され得る。
【0038】
しかしながら、このアプローチは、計算素子の指定の遷移の近くで検出されるイベントが見逃されるリスクを被る。したがって、一例では、制御信号は計算素子の指定が異なる時間に切り替えられるように、イベントデータの送信器と受信器との間で各計算素子の指定を動的に切り替えるために使用され得る。次いで、計算素子は、送信されたイベントと受信されたイベントとの検出時間の比較に基づいて、重複したイベントを破棄することができる。
【0039】
図1は、複数の計算素子1401..jを含む例示的なPET撮像システム100を示している。計算素子は、「リング」内のボアの周りに配置されると言うことができる。図1に示す単一のリングの代替として、計算素子を複数のリングに配置することも考えられる。図2は、本開示のいくつかの態様による、複数のリング2301..qに配置される複数の計算素子1401..j,1..qを含む例示的なPET撮像システム100を示す概略図である。図2において、リング2301..qは、ボア110の軸120に沿って軸方向に分布している。このように複数のリングを使用することにより、PET撮像システム100の軸方向視野が広がる。さらに、リング2301..q内のそれぞれの計算素子1401..j,1..qのプロセッサは、イベントデータを隣接するリング内の隣接する計算素子のプロセッサに通信するようにさらに構成される。このために、図2に示す計算素子140j, qはそれぞれ、例示的な第3の通信経路330j, qを含む。そうすることで、計算素子は、ガンマ量子が異なるリング内の検出器素子によって受信されるとき、ガンマ量子の同時対からのイベントデータを処理することができる。これは、PET撮像システムの感度を改善することができる。
【0040】
図2に示す例示的なPET撮像システムは、2つ以上のリングを有することができる。したがって、リング数を示す図2の添え字qは、2以上であってもよい。複数のリングの使用はPET画像を生成するために、ボアの軸に沿ってPET撮像システムに対して被検体を並進させる必要なしに、PET撮像システムのより長い軸方向視野を提供する。図2に示す装置では、図1に関連して上述したように、イベントデータが、第1の通信経路1601を介して、及び第2の通信経路1701を介して、リング内の異なる計算素子1401..j,1..q間で、ならびに第3の通信経路330j,qを介して異なるリング間で転送することができる。説明を容易にするために、図2では、リング内の隣接する計算素子間の第1の通信経路160j, qと、隣接するリング内の隣接する計算素子間の第3の通信経路330j,qのみが示されている。
【0041】
図2に示される第3の通信経路330j, qの代わりに、又はそれに加えて、計算素子140j,qは例えば、隣接するリング内の隣接しない計算素子への1つ又は複数の通信経路を含み得る。
【0042】
いくつかの例では、複数の計算素子がモジュール素子において一緒にグループ化される。図3は、本発明のいくつかの態様による、複数の計算素子1401..j,1..qをグループ化して、複数のモジュール素子180p,qを定義することを示す概略図である。計算素子のグループ化は複数のリングqについて図3に示されているが、計算素子のモジュール素子への同様のグループ化は単一のリングとの代替的な装置で使用されてもよい。各々のモジュール素子180p, qは、複数の計算素子1401..j、1401..j,1..q及びトランシーバ190p, qを含む。各々のモジュール素子180p, qのトランシーバ190 p,qは、モジュール素子180p, qの計算素子1401..j、1401..j,1..qと通信し、モジュール素子180p, qの計算素子1401..j、1401..j,1..qの一つ又はそれより多くの検出器素子1301..i,1301..i,1..qによって生成されたイベントデータを受信するように構成される。それぞれのモジュール素子180p, qのトランシーバ190 p, qは、i)少なくとも1つのさらなるトランシーバ190p,q及び/又はii)コンピュータ可読記憶媒体及び/又はiii)再構成プロセッサ200にイベントデータを通信するようにさらに構成される。したがって、トランシーバは、計算素子間のイベントデータの通信を容易にする。トランシーバはたとえば、FPGA又は別の集積回路によって提供され得る。結果として、計算素子は、イベントデータのクラスタリング、同時対の識別、又はイベントデータの記憶などの、イベントデータに対する動作を実行することができる。
【0043】
いくつかの例では、モジュール素子はまた、PET撮像システムのボアの軸の周りに配置され、計算素子と同様の方法で互いに接続される。図4は例示的なPET撮像システム100を示す概略図であり、本発明のいくつかの態様によれば、複数のモジュール素子180pがそれぞれ、モジュール素子をボア110の周りの円周方向で隣接するモジュール素子に結合する第1のモジュール通信経路210と、モジュール素子を円周方向で隣接しないモジュール素子に結合する第2のモジュール通信経路220とを含む。図4に示す実施形態では、モジュール素子180p, qがボア110の軸120の周りに配置されている。したがって、この例では、モジュール素子が軸120の周りに異なる回転角度fで配置される。さらに、それぞれのモジュール素子180p, qのトランシーバ190 p, qは、モジュール素子を、ボアの周りの円周方向で、隣接するモジュール素子に結合する第1のモジュール通信経路210と、モジュール素子を円周方向で、隣接しないモジュール素子に結合する第2のモジュール通信経路220とを備える。それぞれのモジュール素子180p, qのトランシーバ190 p, qは、その計算素子1401..j、1401..j,1..qの一つ又はそれより多くの検出器素子1301..i,1301..i,1..qによって生成されたイベントデータを、その第1のモジュール通信経路2101..pを介して、及びその第2のモジュール通信経路2201..pを介して、その隣接するモジュール素子のトランシーバ190p, qに、及びその隣接しないモジュール素子のトランシーバにそれぞれ通信するように構成される。
【0044】
そうすることで、モジュール通信経路2201..pは、低減された待ち時間を有する計算素子間のボアの軸の周りのイベントデータの伝達を可能にする。いくつかの実施形態では、モジュール通信経路がプロセッサによって動的に選択可能であり、それによって、計算素子140j間の第1及び第2の通信経路160, 170jにおける任意の帯域幅ボトルネックを回避することができる。この装置によって提供されるシステムアーキテクチャはまた、性能劣化なしに、追加の数の検出器素子をサポートするように容易にスケーリングされ得る。例えば、このモジュール構成を使用して、単にモジュールの数を増やすことによって、より長い軸方向視野を有するPET撮像システムを提供することができる。モジュールはそれ自体の通信経路を有するので、利用可能な帯域幅は比例して増加し、そうでなければ追加の検出器素子のために既存の通信経路を再使用することから生じる可能性がある性能低下を回避する。
【0045】
モジュール素子が複数のリングに配置されるとき、モジュール素子は異なるリング内のモジュール素子間でイベントデータを転送するために、隣接するリング内の隣接するモジュール素子間のモジュール通信経路を含むこともできる。これは図5に示されており、図5は複数のリング2301..qに配置された複数のモジュール素子180p, qを含む例示的なPET撮像システム100を示す概略図である。 本開示のいくつかの態様によれば、異なるリング間のモジュール通信経路は、上述の計算素子間の既存の通信経路に代替経路を提供することによって、計算素子間でイベントデータを転送するレイテンシを低減するのに役立ち得る。
【0046】
いくつかの例では、モジュール素子は、
モジュール素子180p, qの複数の計算素子1401..j、1401..j,1..qのための機械的支持部、
モジュール素子180p, qの複数の計算素子1401..j、1401..j,1..qの一つ又はそれより多くの検出器素子1301..i,1301..i,1..qための機械的支持部、
モジュール素子180p, qの検出器素子1301..i , 1301..i,1..q及び/又は複数の計算素子1401..j、1401..j,1..qのための電源、
モジュール素子180p, qの検出器素子1301..i , 1301..i,1..q及び/又は複数の計算素子1401..j、1401..j,1..qを冷却するための冷却装置、及び
モジュール素子180p, qのトランシーバによって送信及び/又は受信されたイベントデータを記憶するためのバッファ
のうちの少なくとも1つを提供することもできる。
【0047】
PET撮像システムにおける重要な考慮事項は、受信ガンマ量子の検出時間が決定される精度である。検出時間におけるいかなる誤差も、同時発生イベントの不正確な決定をもたらし、質の悪いPET画像につながる可能性がある。いくつかの例によれば、PET撮像システムで使用するための基準クロックユニットの階層が提供される。これらの例は、各々が基準クロックユニットを含むモジュール素子を参照して説明される。基準クロックユニットは代わりに、検出器素子内に配置されてもよいことに留意されたい。基準クロックユニットは、上述の第1及び第2の通信経路と組み合わせて、又は独立して、PET撮像システム100において使用され得ることにも留意されたい。
【0048】
図6は、本発明のいくつかの態様による、基準クロックユニット240p, qの例示を示す概略図である。図6では例示的な基準クロックユニット240p, qがモジュール素子180p,qに含まれるが、上述のように、基準クロックユニット240p,qは代替的に、計算素子に含まれてもよい。基準クロックユニット240p, qは、クロック信号を生成する出力部250p,qと、別の基準クロックユニットからクロック信号を受信することができる同期入力部260と、基準クロックユニットを選択して、別の基準クロックユニットのためのクロック信号を生成するためのマスタクロックとして、又は別の基準クロックユニットからの受信クロック信号に基づいてクロック信号を生成するためのスレーブクロックとして動作する制御入力部270p,qとを含む。基準クロックユニット240p, qを提供するために、種々の公知の集積回路を使用することができる。
【0049】
図6に示される例示的な基準クロックユニットは、階層に配置され、上述のPET撮像システム100に含まれ得る。図7は本開示のいくつかの態様による、階層の一次レベル310に複数の基準クロックユニットを有し、階層の二次レベル320に複数の基準クロックユニットを有するクロック階層の一例を示す概略図である。図7を参照すると、この実施形態では、PET撮像システム100の各計算素子1401..j又は各モジュール素子180p, qが検出器素子1301..iによって受信されたガンマ量子150a、150bの検出時間を決定するための基準クロックユニット240を備える。それぞれの基準クロックユニット240p, qは、クロック信号を生成するように構成される出力部250と、別の基準クロックユニットからクロック信号を受信するように構成される同期入力部260p,qと、基準クロックユニットを選択して、別の基準クロックユニットのためのクロック信号を生成するためのマスタクロックとして、又は別の基準クロックユニットからの受信クロック信号に基づいてクロック信号を生成するためのスレーブクロックとして動作するための制御入力部270p,qとを備える。基準クロックユニットの出力部250p, q及び同期入力部260は階層の一次レベル310に複数の基準クロックユニットを有するクロック階層を提供するための再構成可能な相互接続部280と、階層の二次レベル320に複数の基準クロックユニットとを含み、階層の一次レベルはマスタクロックとして動作する基準クロックユニットと、スレーブクロックとして動作する1つ又は複数の基準クロックユニットとを含み、階層の二次レベルは、スレーブクロックとして動作する複数の基準クロックユニットとを含む。さらに、各基準クロックユニットはその制御入力部及びその再構成可能な相互接続部を介して選択的に制御可能であり、階層の一次レベル又は階層の二次レベルで動作する。
【0050】
図7に示される階層は、再構成可能な相互接続部280及び制御入力部270p, qによって適応可能である。図示の実施形態では、再構成可能な相互接続部が相互接続コントローラ290によって制御されて、基準クロックユニットの出力部250p, qと同期入力部260との間の所望の接続を提供する複数のスイッチを含む。再構成可能な相互接続部280のスイッチは、トランジスタスイッチによって提供され得る。スイッチはマルチプレクサのように、所望に応じて、開閉するようにアドレス指定され、設定されてもよい。再構成可能な相互接続部280は、基準クロックユニットの何れかがマスタクロックとして、又は代替的にスレーブクロックとして動作することを可能にする。
【0051】
このように、PET撮像システム100の各計算素子1401..j又は各モジュール素子180p, qに基準クロックを提供することによって、PET撮像システムは冗長性を組み込み、それによって、PET撮像システムがより確実に動作することを可能にする。クロックは共通のマスタクロックによって駆動されるので、ガンマ量子の正確な検出時間が得られることもできる。
【0052】
一実施形態によれば、基準クロックユニット240p, qはPET撮像システムのボア110の軸120の周りに分配され、
複数の2次レベル基準クロックユニット320が、各1次レベル基準クロックユニット310の両側に配置され、
一次レベルの基準クロックユニット310の出力部250p, q及び同期入力部260は、マスタクロックとして動作する基準クロックユニットの出力部がスレーブクロックとして動作する1つ又は複数の基準クロックユニットの1つ又は複数の同期入力部に入力されるように相互接続され、
二次レベルの基準クロックユニット320の同期入力部260p,qは、それらの最も近い一次レベルの基準クロックユニット310の出力部からクロック信号を受信するために、それらの最も近い一次レベルの基準クロックユニット310の出力部250p,qに相互接続される
ように、それらの制御入力部270p,q及びそれらの再構成可能な相互接続部280によって選択的に制御される。
【0053】
基準クロックユニットのこの分布は、マスタクロックからのクロック信号が低いジッタ、すなわち高いタイミング精度で、PET撮像システムのボアの周りに分布されることを可能にする。さらに、相互接続部280は再構成可能であり、したがって、この構成は冗長性を組み込み、PET撮像システムが確実に動作することを可能にする。図8乃至図10は、この原理に従った、基準クロックユニット240p,qの、撮像装置のボアの軸周りの様々な分布の実例を示す。図8乃至図10において、シンボルfはPET撮像システムのボア110の軸120の周りの回転角度を表し、図1の回転角度fに対応する。三角形、丸形、及び正方形のシンボルは、それぞれ、1次レベルの基準クロックユニット310、2次レベルの基準クロックユニット320、及び3次レベルの基準クロックユニット330を表す。「バッファ」ラベルは、それぞれの基準クロックユニットに到達するためにマスタクロック信号が通過し得るバッファの数を示す。クロック信号は、別の基準クロックユニットによって出力されることによってバッファリングされ得る。図示されていないが、基準クロックユニットは典型的にはこの目的のためにバッファを含む。マスタクロック信号がそのようなバッファを通過するたびに、マスタクロック信号はクロック信号に遅延を加える。したがって、少ない数のバッファを用いて、PET撮像システムのボアの周りにマスタクロック信号を分配することが望ましい。
【0054】
図8は、本発明のいくつかの態様による、基準クロックユニット240p,qの配置の第1の例示を示す概略図である。図8に示す例では、p = 10個の基準クロックユニットがあり、q個のリングがボア110の軸120に沿って軸方向に分布している。他の例では、代替的に、異なる数の基準クロックユニットがあり、単一のリングqのみもあり得る。複数のリングが使用されるとき、1つのリング内の各基準クロックユニットは、隣接するリング内の基準クロックユニットにさらに結合され得る。図8において、基準クロックユニット2403, q、2408,qは1次レベルの基準クロックユニット310として動作し、基準クロックユニット2408,qはマスタクロックとして動作する。基準クロックユニット2408, qによって生成されたクロック信号、すなわちマスタクロックは、基準クロックユニット2403,qに入力されるとともに、基準クロックユニット2406,q及び2407,q及び2409,q及び24010,qに入力され、後者は、二次レベルの基準クロックユニット320として動作する。基準クロック信号2403, qから、クロック信号は、さらに基準クロック信号2401,q、2402,q、2404,q、2405,qに分配される。図8に示す装置は、マスタクロックと基準クロックユニットとの間のバッファ(図8乃至図10「バッファ」ラベル)の数が少ないため、低いジッタを提供することが分かっている。対照的に、基準クロックユニットのデイジーチェーン装置は、チェーンに沿ってジッタを急速に蓄積する。図8に示す装置は図8から図10までの一連の図に見られるように、共通の配線インフラストラクチャを維持しながら、追加の数の基準クロックユニットにスケーリングすることもできる。
【0055】
図9は、本発明のいくつかの態様による、基準クロックユニット240p,qの配置の第2の例示を示す概略図である。図8と比較して、図9に示される分布は追加の基準クロックユニットを含み、共通の配線インフラストラクチャを維持しながら、追加の数の基準クロックユニットに対するそのスケーラビリティを実証する。図10は、本発明のいくつかの態様による、基準クロックユニット240p,qの配置の第3の例示を示す概略図である。図8及び図9と比較して、図10は階層内に付加的な層を含み、基準クロックユニット2401, q及び24017,qは、第3レベルの基準クロックユニット330として動作する。図10では基準クロックユニットの分布は不均一なスキューをもたらし、これは基準クロックユニットの同時スイッチングを回避することによって電磁干渉を低減することになるので有利である。同じ原理に従う基準クロックユニットの他の分布も使用され得る。
【0056】
上記の実施例は本開示を例示するものとして理解されるべきであり、限定するものではない。さらなる例も企図される。任意の1つの実施例に関して記載された特徴は、単独で、又は他の記載された特徴と組み合わせて使用され得、実施例の別の1つ又は複数の特徴、又は他の実施例の組み合わせと組み合わせて使用され得ることを理解されたい。さらに、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、上記で説明されていない均等物及び修正物も使用され得る。請求項において、単語「有する(comprising)」は他の素子又は動作を除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。特定の特徴が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの特徴の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。請求項におけるいかなる参照符号も、それらの範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【要約】
陽電子放出断層撮影撮像システムは、複数の検出素子及び複数の計算素子を含む。それぞれの計算素子は検出器素子のうちの一つ又はそれより多くを備え、計算素子はPET撮像システムのボアの周りに配置される。それぞれの計算素子は、計算素子をボアの周りの円周方向に隣接する計算素子に結合する第1の通信経路と、計算素子を円周方向に隣接しない計算素子に結合する第2の通信経路とを含む。それぞれの計算素子はその一つ又はそれより多くの検出器素子によって生成されたイベントデータを受信し、その第1の通信経路を介して、及びその第2の通信経路を介して、それぞれ、その隣接する計算素子のプロセッサに、及びその隣接しない計算素子のプロセッサにイベントデータを通信するように構成されるプロセッサを含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10