(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】水中マイクロプラスチック検出用の一体型サンプリング分離装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 1/04 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
G01N1/04 W
(21)【出願番号】P 2024012432
(22)【出願日】2024-01-31
【審査請求日】2024-01-31
(31)【優先権主張番号】202311750133.6
(32)【優先日】2023-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524041428
【氏名又は名称】広東智環研生態科技発展有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】安暁春
(72)【発明者】
【氏名】張冬青
(72)【発明者】
【氏名】胡▲うぇい▼傑
(72)【発明者】
【氏名】王梁斌
(72)【発明者】
【氏名】金利珠
(72)【発明者】
【氏名】梁湘君
(72)【発明者】
【氏名】柯柳強
【審査官】瓦井 秀憲
(56)【参考文献】
【文献】特許第7377400(JP,B1)
【文献】特許第6818199(JP,B1)
【文献】特開2022-032399(JP,A)
【文献】特開2022-038215(JP,A)
【文献】中国実用新案第212821094(CN,U)
【文献】中国実用新案第213336932(CN,U)
【文献】中国実用新案第211753971(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第113310740(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00- 1/26
B01D 29/00-29/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中マイクロプラスチック検出用の一体型サンプリング分離装置であって、
濾過網を搭載するための枠体(1)と、前記枠体(1)を配置するためのホルダ(2)と
、マイクロプラスチックを収集するための第1ボックス(3)と、前記ホルダ(2)に浮
力を供給するための浮力アセンブリと、を含み、
前記ホルダ(2)内には、枠体(1)に回転可能に配設された貫通孔(21)が存在し、
ホルダ(2)には、枠体(1)の後側に位置する第1キャリアプレート(22)、及び枠
体(1)の前側に位置する第2キャリアプレート(23)がさらに設けられ、枠体(1)
の中心に第1シャフト(11)が設けられ、第1シャフト(11)の一端は第1キャリア
プレート(22)に回転可能に接続され、前記第1ボックス(3)は第2キャリアプレー
ト(23)の底面に固定され、
前記第1キャリアプレート(22)と枠体(1)との間に第1隙間が存在し、第2キャリ
アプレート(23)と枠体(1)との間に第2隙間が存在し、前記第1隙間には、マイク
ロプラスチックを移送するためのタンク(24)が設けられ、タンク(24)の両側に対
応するホルダ(2)のそれぞれの内部に、マイクロプラスチックを移送するための第1配
管(25)が存在し、前記第1配管(25)は、一端がタンク(24)に接合され、他端
が第2キャリアプレート(23)内に埋設された第2配管(26)に接合され、前記第2
配管(26)は第1ボックス(3)に連通し、
前記第2隙間には、2つの第2シャフト(27)が設けられ、第2隙間内に位置する第1
シャフト(11)に第1傘歯車(12)が被せられ、2つの第2シャフト(27)は第1
シャフト(11)の両側に対称に設けられ、2つの第2シャフト(27)のいずれも、一
端に第1傘歯車(12)と噛み合う第2傘歯車(28)が設けられ、他端がホルダ(2)
を貫通して、浮力アセンブリ内の動力部材に接続され、第1配管(25)内に位置する第
2シャフト(27)に第1水車(29)が固定して被せられ、
前記第2キャリアプレート(23)には、濾過網を逆洗するための第1板体(4)、及び
水を貯蔵するための第2ボックス(5)が設けられ、前記第1板体(4)の一方の側の面
に複数の第1ノズル(41)が設けられ、タンク(24)の上方に位置する貫通孔(21
)の内壁に複数の第2ノズル(42)が設けられ、第2ボックス(5)はパイプを介して
各第1ノズル(41)、第2ノズル(42)にそれぞれ連通する、
ことを特徴とする水中マイクロプラスチック検出用の一体型サンプリング分離装置。
【請求項2】
前記第1シャフト(11)の他端は、第2キャリアプレート(23)内に設けられた第1
シュート(231)内に伸び、かつ駆動アセンブリが被せられており、前記駆動アセンブ
リは、第1シャフト(11)上に固定して被せられた円柱体(232)と、前記第1シュ
ート(231)にスライド可能に接続され、横断面が円弧状である第2板体(233)と
、を含み、前記円柱体(232)の側面には、波形の環状溝(234)が設けられ、前記
第2板体(233)の内側面には、環状溝(234)にスライド可能に接続された第1ロ
ッド(235)が設けられ、
前記第1シュート(231)の底面には、第2板体(233)の移動方向に沿って分布し
ている第2シュート(237)が設けられ、第1ボックス(3)内には、マイクロプラス
チックを押すための第3板体(31)がスライド可能に密封して設けられ、第2板体(2
33)の外側面は固定ブロックにより第2シュート(237)を貫通し、前記第3板体(
31)に固定して接続され、第1ボックス(3)の側壁には、排水するための第1開口部
(32)が設けられ、第1開口部(32)には一方向弁が設けられ、
前記第1シュート(231)の底面には、エアバッグ(236)がさらに設けられ、前記
エアバッグ(236)は、一端が第2板体(233)に接続され、他端が第1シュート(
231)に接続され、エアバッグ(236)には、第2ボックス(5)の頂部に連通する
パイプが設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1キャリアプレート(22)にストッパー(6)が設けられ、枠体(1)は円形で
、複数のスポーク(13)が枠体(1)の内部に配置され、枠体(1)の内部を複数の扇
形領域に分割し、前記扇形領域のそれぞれには、該扇形領域と同じ形状のサブ濾過網がス
ライド可能に設けられ、サブ濾過網の周辺に磁気ストライプ(14)が設けられ、ストッ
パー(6)には、サブ濾過網と磁気吸引することでタンク(24)の上方に回転したサブ
濾過網をタンク(24)に接近させる磁石(61)が設けられ、
前記サブ濾過網の一方の側の面には、少なくとも1つの第4板体(15)が垂直に設けら
れ、扇形領域のそれぞれには、隣接するスポーク(13)を接続するための第2ロッド(
16)が少なくとも1つ設けられ、前記第4板体(15)の中央部には、第2ロッド(1
6)にスライド可能に接続される第3シュート(17)を有し、第4板体(15)と第2
ロッド(16)との間にバネが設けられ、
前記第4板体(15)の両側の面共に複数の凸起(18)が設けられ、前記凸起(18)
の位置に対応する第2ロッド(16)には、凸起(18)と協働して第4板体(15)を
叩くための第3ロッド(19)が設けられ、前記第3ロッド(19)及び第2ロッド(1
6)はねじりバネを介して回転可能に接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の装
置。
【請求項4】
前記浮力アセンブリは、ホルダ(2)、第1キャリアプレート(22)、第2キャリアプ
レート(23)上に包まれた浮力リング(7)であり、前記動力部材は、前記浮力リング
(7)内に嵌設されたモータ(71)であり、
前記モータ(71)の出力軸は第2シャフト(27)に固定して接続され、前記第2ボッ
クス(5)には、第2ボックス(5)内に給水するためのポンプ及びパイプが設けられる
、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロプラスチックのサンプリング装置の技術分野に関し、具体的には、水
中マイクロプラスチック検出用の一体型サンプリング分離装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロプラスチックとは、直径5ミリ未満のプラスチック粒子のことで、汚染の原因と
なる主要な担体の一種である。実際、マイクロプラスチックは粒径が数ミクロンから数ミ
リの範囲で、多様な形状を持つ不均一なプラスチック粒子の混合体で、肉眼では分かりに
くいことが多く、「海中のPM2.5」と呼ばれている。
水中マイクロプラスチックの検出は環境汚染分析に特に重要であるが、現在のマイクロプ
ラスチックの採取分離は採取難度が高く、フィルターが目詰まりしやすいなどの問題があ
るため、水中マイクロプラスチックの連続的な採取分離に使用できる装置が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の技術的課題を解決するために、本発明は、水中マイクロプラスチック検出用の一体
型サンプリング分離装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の技術的解決手段は以下のとおりである。水中マイクロプラスチック検出用の一体
型サンプリング分離装置であって、
濾過網を搭載するための枠体と、枠体を配置するためのホルダと、マイクロプラスチック
を収集するための第1ボックスと、ホルダに浮力を供給するための浮力アセンブリと、を
含み、
ホルダ内には、枠体に回転可能に配設された貫通孔が存在し、ホルダには、枠体の後側に
位置する第1キャリアプレート、及び枠体の前側に位置する第2キャリアプレートがさら
に設けられ、枠体の中心に第1シャフトが設けられ、第1シャフトの一端は第1キャリア
プレートに回転可能に接続され、第1ボックスは第2キャリアプレートの底面に固定され
、
第1キャリアプレートと枠体との間に第1隙間が存在し、第2キャリアプレートと枠体と
の間に第2隙間が存在し、第1隙間には、マイクロプラスチックを移送するためのタンク
が設けられ、タンクの両側に対応するホルダのそれぞれの内部に、マイクロプラスチック
を移送するための第1配管が存在し、第1配管は、一端がタンクに接合され、他端が第2
キャリアプレート内に埋設された第2配管に接合され、第2配管は第1ボックスに連通し
、
第2隙間には、2つの第2シャフトが設けられ、第2隙間内に位置する第1シャフトに第
1傘歯車が被せられ、2つの第2シャフトは第1シャフトの両側に対称に設けられ、2つ
の第2シャフトのいずれも、一端に第1傘歯車と噛み合う第2傘歯車が設けられ、他端が
ホルダを貫通して、浮力アセンブリ内の動力部材に接続され、第1配管内に位置する第2
シャフトに第1水車が固定して被せられ、
第2キャリアプレートには、濾過網を逆洗するための第1板体、及び水を貯蔵するための
第2ボックスが設けられ、第1板体の一方の側の面に複数の第1ノズルが設けられ、タン
クの上方に位置する貫通孔の内壁に複数の第2ノズルが設けられ、第2ボックスはパイプ
を介して各第1ノズル、第2ノズルに連通する。
本発明の一態様によれば、第1シャフトの他端は、第2キャリアプレート内に設けられた
第1シュート内に伸び、かつ駆動アセンブリが被せられており、駆動アセンブリは、第1
シャフト上に固定して被せられた円柱体と、第1シュートにスライド可能に接続され、横
断面が円弧状である第2板体と、を含み、円柱体の側面には、波形の環状溝が設けられ、
第2板体の内側面には、環状溝にスライド可能に接続された第1ロッドが設けられ、
第1シュートの底面には、第2板体の移動方向に沿って分布している第2シュートが設け
られ、第1ボックス内には、マイクロプラスチックを押すための第3板体がスライド可能
に密封して設けられ、第2板体の外側面は固定ブロックをもって第2シュートを貫通し、
第3板体に固定して接続され、第1ボックスの側壁には、排水するための第1開口部が設
けられ、第1開口部には一方向弁が設けられ、
第1シュートの底面には、エアバッグがさらに設けられ、エアバッグは、一端が第2板体
に接続され、他端が第1シュートに接続され、エアバッグには、第2ボックスの頂部に連
通するパイプが設けられる。
説明:駆動アセンブリの机械構造によって、第1シャフトの回転位置エネルギーが十分に
利用され、第1シャフトの回転位置エネルギーが第2板体を往復駆動するための運動エネ
ルギーに変換され、それによって、駆動アセンブリが設けられることにより、第1ボック
ス内の第3板体を往復駆動するための電源設備が不要になり、このようにして、マイクロ
プラスチックを圧縮して余分な水分を排出する機能を第1ボックスに付与する上に、本発
明の一体型サンプリング分離装置の消費電力をできるだけ低減させ、一体型サンプリング
分離装置の汎用性を高める。
本発明の一態様によれば、第1キャリアプレートにストッパーが設けられ、枠体は円形で
、複数のスポークが枠体の内部に配置され、枠体の内部を複数の扇形領域に分割し、扇形
領域のそれぞれには、該扇形領域と同じ形状のサブ濾過網がスライド可能に設けられ、サ
ブ濾過網の周辺に磁気ストライプが設けられ、ストッパーには、サブ濾過網と磁気吸引す
ることでタンクの上方に回転したサブ濾過網をタンクに接近させる磁石が設けられ、
サブ濾過網の一方の側の面には、少なくとも1つの第4板体が垂直に設けられ、扇形領域
のそれぞれには、隣接するスポークを接続するための第2ロッドが少なくとも1つ設けら
れ、第4板体の中央部には、第2ロッドにスライド接続される第3シュートを有し、第4
板体と第2ロッドとの間にバネが設けられ、
第4板体の両側の面共に複数の凸起が設けられ、凸起の位置に対応する第2ロッドには、
凸起と協働して第4板体を叩くための第3ロッドが設けられ、第3ロッド及び第2ロッド
はねじりバネを介して回転可能に接続される。
説明:枠体のモジュール設計によって、枠体が回転時にタンクと摩擦することを効果的に
回避し、濾過網上に捕集されたマイクロプラスチックの移送や輸送への影響を解消する。
磁石及び磁気ストライプの磁気吸引の作用によって、濾過網は磁石領域に移動する磁石へ
近づく。本発明の第3ロッド及び第4板体の構成では、第4板体と第3ロッドとの相対オ
フセットを通じて、凸起とねじりバネを利用して第3ロッドによる叩きを繰り返し行うこ
とで、濾過網上に捕集されたマイクロプラスチックへの逆洗効率を向上できる。
本発明の浮力アセンブリの一形態として、浮力アセンブリは、ホルダ、第1キャリアプレ
ート、第2キャリアプレート上に包まれた浮力リングであり、動力部材は、前記浮力リン
グ内に嵌設されたモータであり、
モータの出力軸は第2シャフトに固定して接続され、第2ボックスには、第2ボックス内
に給水するためのポンプ及びパイプが設けられる。
説明:浮力アセンブリとして浮力リングが使用されることによって、ホルダに要求される
浮力を満たすとともに、製造コストを低下させるが、モータやポンプが使用されることか
ら、使用環境や給電について所定の要件がある。
本発明の浮力アセンブリの別の形態として、浮力アセンブリは、第1シャフトの両側に対
称に設けられた2組の第1浮力板及び第2浮力板を含み、第1浮力板及び第2浮力板はい
ずれもキャビティを内部に有し、動力部材は、各組の第1浮力板と第2浮力板との間に設
けられた2つの第2水車を含み、
第2水車は2つ設けられ、第3シャフトを介して、対応する1組の第1浮力板と第2浮力
板との間に回転可能に設けられ、第3シャフトの上端は、第1浮力板のキャビティ内に伸
び、拍車が接続されており、第3シャフト下端は、第2浮力板のキャビティ内に伸び、カ
ムが接続されており、
第2シャフトには、拍車と噛み合う第3傘歯車が設けられ、第2浮力板のキャビティ内の
一方の側に液体バッグが設けられ、液体バッグは、少なくとも1つの給水用の第2開口部
と1つの排水用の第3開口部と、を有し、第3開口部は、パイプを介して第2ボックスに
連通し、カムの回転を利用して液体バッグを押して第2ボックスへ水を供給するものであ
り、第2開口部及び第3開口部のいずれにも一方向弁が設けられ、第2浮力板は、給水用
の第4開口部を複数有する。
説明:浮力アセンブリとして第1浮力板及び第2浮力板が使用されることによって、ホル
ダに要求される浮力を満たし、また、第2浮力板と第1浮力板が協働することによって、
ホルダが川で浮かうときの安定性が大幅に向上する。
また、第1浮力板の拍車が設けられることによって、第2シャフトの回転のための駆動力
を提供することができ、第2シャフトの回転を駆動するためのモータが不要になる。第2
浮力板のカムが液体バッグを周期的に押して第2ボックスへ水を供給することによって、
第2ボックスへポンプを提供することが不要になる。このようにして、一体型サンプリン
グ分離装置の使用のニーズに応えるとともに、モータやポンプを省略することができ、そ
れにより、給電条件による制限がなくなり、様々な環境に適用できるようになる。
本発明の一態様によれば、第1浮力板の上方には、第3浮力板が設けられ、拍車の上方に
は、摩擦抵抗力により拍車の回転数を低下させるためのディスクが設けられ、ディスクは
、バネ棒が第1浮力板を貫通することによって、第3浮力板に接続され、
第2水車のブレード毎に、水流の作用により第2水車に浮力を付与するための少なくとも
1つの羽根が設けられ、前記羽根は、長尺状で、水流方向に面する一端が他端よりも高い
。
説明:第1浮力板、第2浮力板に加えて第1浮力板に第3浮力板が増設されることによっ
て、第3浮力板及びディスクの作用を通じて、川の現在の水位で第3浮力板が水没してい
るか否かを監視することができる。水圧の作用のため、川の水位で第3浮力板が水没する
と、第3浮力板に水圧が作用するため、バネ棒への支持のバランスが崩れ、ディスクが拍
車に接触し、拍車の回転数を低下させ、また、羽根が設けられることと相まって、第2水
車が回転数を低下させた後、羽根が水流作用により供給し得る浮力が高まり、一体型サン
プリング分離装置が浮き、それによって、使用時の安定性が向上する。
本発明はまた、一体型サンプリング分離装置による水中マイクロプラスチック検出用のサ
ンプリング分離方法であって、
第1キャリアプレート一方の側の面が川の流れ方向に向かうように、一体型サンプリング
分離装置を川に入れて、浮力アセンブリによってホルダを川に浮かべ、ロープを用いて一
体型サンプリング分離装置を川に固定するステップS1と、
2つの第2シャフトによって第1シャフトを回転駆動して、枠体を回転させ、タンクの下
方に位置するサブ濾過網でマイクロプラスチックを捕集して収集し、タンクの上方に位置
するサブ濾過網を第1板体で逆洗して、マイクロプラスチックをタンクに落下させ、次に
、第1配管、第2配管の順に第1ボックスに入れることによって、マイクロプラスチック
のサンプリング分離及び収集を実現するステップS2と、を含む。
説明:一体型サンプリング分離装置による水中マイクロプラスチックのサンプリング分離
処理によれば、捕集されたマイクロプラスチックを第1ボックスに連続的に移送すること
ができ、マイクロプラスチックの採取効率及び採取量を向上させるだけでなく、作業者の
作業の難易度を低減させることができる。
【発明の効果】
【0005】
本発明の有益な効果は以下の通りである。
(1)本発明に係る体型サンプリング分離装置では、枠体を回転可能に設計することによ
って、捕集されたマイクロプラスチックを第1ボックスに周期的に搬送することができ、
それによって、マイクロプラスチックが多く蓄積されて濾過網の目詰まりを引き起こすリ
スクを低減させ、マイクロプラスチックが多く蓄積されて水の抵抗力を増大することを回
避できるだけではなく、マイクロプラスチックの採取分離効率を高め、水中マイクロプラ
スチックの採取量を顕著に増大し、後続の研究分析のための実験試料を十分に提供するこ
とができる。
(2)本発明に係る一体型サンプリング分離装置では、主に2種の浮き形態が提案されて
おり、実際の使用の条件や要件に応じて選択することができる。浮力アセンブリとして第
1浮力板、第2浮力板が使用される場合、ホルダに要求される浮力を満たし、ホルダが川
で浮かうときの安定性を向上させるだけでなく、モータやポンプを省略することができ、
一体型サンプリング分離装置が様々な環境に適用できるようにする。
(3)本発明はまた、一体型サンプリング分離装置を用いたサンプリング分離方法を提供
し、この方法は、捕集されたマイクロプラスチックを第1ボックスに連続的に移送するこ
とができ、マイクロプラスチックの採取効率及び採取量を向上させるだけでなく、作業者
の作業の難易度を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施例1に係る一体型サンプリング分離装置の外部構造概略図である。
【
図2】本発明の実施例1のホルダの構造概略図である。
【
図3】本発明の実施例2に係る一体型サンプリング分離装置の外部構造概略図である。
【
図4】本発明の実施例3に係る一体型サンプリング分離装置の外部構造概略図である。
【
図5】本発明の実施例2及び3のホルダの構造概略図である。
【
図6】本発明のホルダ及び枠体の配置構造の概略図である。
【
図8】本発明の枠体及び濾過網の配置構造の概略図である。
【
図10】本発明の個別の濾過網の構造概略図である。
【
図12】本発明の第2キャリアプレートの構造概略図である。
【
図13】本発明の第1ボックスの内部構造概略図である。
【
図14】本発明の駆動アセンブリ及び第3板体の配置構造の概略図である。
【
図15】本発明の駆動アセンブリの第2板体の構造概略図である。
【
図16】本発明の駆動アセンブリの円柱体の構造概略図である。
【
図17】本発明の実施例1の浮力リングの構造概略図である。
【
図18】本発明の実施例2及び3の第1浮力板の内部構造概略図である。
【
図19】本発明の実施例2及び3の第2浮力板の内部構造概略図である。
【
図20】本発明の実施例3の第3浮力板の構造概略図である。
【
図21】本発明の実施例3の第2水車の構造概略図である。
【0007】
[符号の説明]
1 枠体
11 第1シャフト
12 第1傘歯車
13 スポーク
14 磁気ストライプ
15 第4板体
16 第2ロッド
17 第3シュート
18 凸起
19 第3ロッド
2 ホルダ
21 貫通孔
22 第1キャリアプレート
23 第2キャリアプレート
231 第1シュート
232 円柱体
233 第2板体
234 環状溝
235 第1ロッド
236 エアバッグ
237 第2シュート
24 タンク
25 第1配管
26 第2配管
27 第2シャフト
28 第2傘歯車
29 第1水車
3 第1ボックス
31 第3板体
32 第1開口部
4 第1板体
41 第1ノズル
42 第2ノズル
5 第2ボックス
6 ストッパー
61 磁石
7 浮力リング
71 モータ
8 第1浮力板
81 拍車
82 第3傘歯車
83 第3浮力板
84 ディスク
9 第2浮力板
91 カム
92 液体バッグ
93 第2開口部
94 第3開口部
95 第4開口部
10 第2水車
101 第3シャフト
102 羽根
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の利点をより明確にするために、具体的な実施方式を参照して本発明をさら
に詳細に説明する。
実施例1
水中マイクロプラスチック検出用の一体型サンプリング分離装置は、濾過網を搭載するた
めの枠体1と、枠体1を配置するためのホルダ2と、マイクロプラスチックを収集するた
めの第1ボックス3と、ホルダ2に浮力を供給するための浮力アセンブリと、を含み、
ホルダ2内には、枠体1に回転可能に配設された貫通孔21が存在し、ホルダ2には、枠
体1の後側に位置する第1キャリアプレート22、及び枠体1の前側に位置する第2キャ
リアプレート23がさらに設けられ、枠体1の中心に第1シャフト11が設けられ、第1
シャフト11の一端は第1キャリアプレート22に回転可能に接続され、第1ボックス3
は第2キャリアプレート23の底面に固定される。第1シャフト11の他端は、第2キャ
リアプレート23内に設けられた第1シュート231内に伸び、かつ、駆動アセンブリが
被せられており、駆動アセンブリは、第1シャフト11上に固定して被せられた円柱体2
32と、第1シュート231にスライド可能に接続され、横断面が円弧状である第2板体
233と、を含み、円柱体232の側面には、
図16に示すように波形の環状溝234が
設けられ、第2板体233の内側面には、環状溝234にスライド可能に接続された第1
ロッド235が設けられ、
第1シュート231の底面には、第2板体233の往復移動方向に沿って分布している第
2シュート237が設けられ、第1ボックス3内には、マイクロプラスチックを押すため
の第3板体31がスライド可能に密封して設けられ、第2板体233の外側面は固定ブロ
ックをもって第2シュート237を貫通し、第3板体31に固定して接続され、第1ボッ
クス3の側壁には、排水するための第1開口部32が設けられ、第1開口部32には、一
方向弁が設けられる。
なお、第1開口部32における一方向弁は、第1開口部32の外側へ一方向に開くゲート
であり、第1開口部32には濾過網を有し、また、ゲートのトリガー条件は、第3板体3
1が往復移動してマイクロプラスチック及び水を叩くことによる運動エネルギーである。
第1シュート231の底面には、エアバッグ236がさらに設けられ、エアバッグ236
は、一端が第2板体233に接続され、他端が第1シュート231に接続され、エアバッ
グ236には、第2ボックス5の頂部に連通するパイプが設けられる。
第1キャリアプレート22にストッパー6が設けられ、枠体1は円形で、枠体1の内部に
は、12個のスポーク13が30°の角で配置されており、枠体1の内部を12個の扇形
領域に分割し、扇形領域のそれぞれには、該扇形領域と同じ形状のサブ濾過網がスライド
可能に設けられ、サブ濾過網の周辺に磁気ストライプ14が設けられ、ストッパー6には
、サブ濾過網と磁気吸引することでタンク24の上方に回転したサブ濾過網をタンク24
に接近させる磁石61が設けられる。
なお、磁石61、磁気ストライプ14のいずれも市販磁性材料であり、磁気ストライプ1
4は、サブ濾過網の周辺枠構造として機能し得る。
サブ濾過網の一方の側の面には、4つの第4板体15が垂直に設けられ、扇形領域のそれ
ぞれには、隣接するスポーク13を接続するための第2ロッド16が4つ設けられ、第4
板体15の中央部には、第2ロッド16にスライド可能に接続される第3シュート17を
有し、第4板体15と第2ロッド16との間にバネが設けられ、
第4板体15の両側の面共に4つの凸起18が設けられ、凸起18の位置に対応する第2
ロッド16には、凸起18と協働して第4板体15を叩くための第3ロッド19が設けら
れ、第3ロッド19及び第2ロッド16はねじりバネを介して回転可能に接続される。
第1キャリアプレート22と枠体1との間に第1隙間が存在し、第2キャリアプレート2
3と枠体1との間に第2隙間が存在する。
第1隙間には、マイクロプラスチックを移送するためのタンク24が設けられ、タンク2
4の両側に対応するホルダ2のそれぞれの内部に、マイクロプラスチックを移送するため
の第1配管25が存在し、第1配管25は、一端がタンク24に接合され、他端が第2キ
ャリアプレート23内に埋設された第2配管26に接合され、第2配管26は第1ボック
ス3に連通する。
なお、マイクロプラスチックを移送する効率を高めるために、第1配管25は第2配管2
6へ傾斜して設けられ、また、タンク24は、中央部をカットオフラインとして両側の第
1配管25へ傾斜し、これらの傾斜角度はすべて10°である。
第2隙間には、2つの第2シャフト27が設けられ、第2隙間内に位置する第1シャフト
11に第1傘歯車12が被せられ、2つの第2シャフト27は第1シャフト11の側に対
称に設けられ、2つの第2シャフト27のいずれも、一端に第1傘歯車12と噛み合う第
2傘歯車28が設けられ、他端がホルダ2を貫通して、浮力アセンブリ内の動力部材に接
続され、第1配管25内に位置する第2シャフト27に有第1水車29が固定して被せら
れ、
第2キャリアプレート23には、濾過網を逆洗するための第1板体4、及び水を貯蔵する
ための第2ボックス5が設けられ、第1板体4の一方の側の面に複数の第1ノズル41が
設けられ、タンク24の上方に位置する貫通孔21の内壁に複数の第2ノズル42が設け
られ、第2ボックス5はパイプを介して各第1ノズル41、第2ノズル42に連通する。
浮力アセンブリは、ホルダ2、第1キャリアプレート22、第2キャリアプレート23上
に包まれた浮力リング7であり、動力部材は、浮力リング7内に嵌設されたモータ71で
あり、モータ71の出力軸は第2シャフト27に固定して接続され、第2ボックス5には
、第2ボックス5内に給水するためのポンプ及びパイプが設けられる。
なお、モータ71やポンプはいずれも市販品であり、岸辺や浮力リング7に配置された蓄
電池で給電される。
【0009】
実施例2
本実施例に係る水中マイクロプラスチック検出用のサンプリング分離方法は、実施例1に
係る一体型サンプリング分離装置によるものであり、S1及びS2を含む。
S1:第1キャリアプレート22の一方の側の面が川の流れ方向に向かうように、一体型
サンプリング分離装置を川に入れて、浮力アセンブリによってホルダ2を川に浮かべ、ロ
ープを用いて一体型サンプリング分離装置を川に固定する。
S2:モータ71を起動させ、2つの第2シャフト27を回転駆動し、2つの第2シャフ
ト27によって第1シャフト11を回転駆動し、枠体1を回転させ、タンク24の下方に
位置するサブ濾過網でマイクロプラスチックを捕集して収集し、タンク24の上方に位置
するサブ濾過網を第1板体4で逆洗して、マイクロプラスチックをタンク24に落下させ
る。その間、ポンプによって第2ボックス5へ水を増圧して圧送し、第1ノズル41を用
いてタンク24の下方に位置する枠体1内のサブ濾過網を逆洗し、また、第2ノズル42
を補助としてマイクロプラスチックを水流の作用でタンク24に落下させる。タンク24
の両側における傾斜面によってマイクロプラスチックは、ホルダ2の両側における第1配
管25、第2キャリアプレート23の両側における第2配管26を順次経て、第1水車2
9の補助の下で加速されて第1ボックス3に入り、次に、円柱体232と第2板体233
とによる伝動作用により、第2板体233は、第2シュート237により制限されながら
、第1シュート231の長さ方向に沿って往復移動し、それにより、第3板体31を駆動
して第1ボックス3の内壁と協働し、第1ボックス3内のマイクロプラスチックや水を周
期的に押し、過量の水を第1開口部32から排出し、このように、マイクロプラスチック
のサンプリング分離及び収集を実現する。
【0010】
実施例3
本実施例では、実施例1と比べて、以下の点は相違する。浮力アセンブリは、第1シャフ
ト11の両側に対称に設けられた2組の第1浮力板8及び第2浮力板9を含み、第1浮力
板8及び第2浮力板9は、いずれも、キャビティを内部に有し、動力部材は、各組の第1
浮力板8と第2浮力板9との間に設けられた2つの第2水車10を含む。
第2水車10は、第3シャフト101を介して、対応する1組の第1浮力板8と第2浮力
板9との間に回転可能に設けられ、第3シャフト101の上端は、第1浮力板8のキャビ
ティ内に伸び、拍車81が接続されており、第3シャフト101の下端は、第2浮力板9
のキャビティ内に伸び、カム91が接続されている。
なお、カム91は、周方向に90°で分布している4つの凸出部分であるが、このような
形態に限定されるものではなく、カム91の回転中に液体バッグ92を周期的に押したり
放したりすることができればよい、
第2シャフト27には、拍車81と噛み合う第3傘歯車82が設けられ、第2浮力板9の
キャビティ内の一方の側に液体バッグ92が設けられ、液体バッグ92は、2つの給水用
の第2開口部93と1つの排水用の第3開口部94と、を有し、第3開口部94は、パイ
プを介して第2ボックス5に連通し、カム91の回転を利用して液体バッグ92を押して
第2ボックス5へ水を供給するものであり、第2開口部93、第3開口部94のいずれに
も一方向弁が設けられ、第2浮力板9は、給水用の第4開口部95を7つ有する。
【0011】
実施例4
本実施例に係る水中マイクロプラスチック検出用のサンプリング分離方法は、実施例3に
係る一体型サンプリング分離装置によるものであり、実施例2と比べて、以下の点は相違
する。
ステップS2では、第2水車10は水流の作用により回転し、拍車81を介して2つの第
2シャフト27を回転駆動し、2つの第2シャフト27を介して第1シャフト11を回転
駆動し、枠体1を回転させ、タンク24の下方に位置するサブ濾過網は、マイクロプラス
チックを捕集して収集し、タンク24の上方に位置するサブ濾過網は、第1板体4で逆洗
されて、マイクロプラスチックをタンク24に落下させる。その間、カム91が液体バッ
グ92を周期的に押すことにより第2ボックス5へ水を供給し、また、第2板体233が
エアバッグ236を周期的に押すことにより第2ボックス5を増圧し、第1ノズル41は
タンク24の下方の枠体1内のサブ濾過網を逆洗し、また、第2ノズル42は、マイクロ
プラスチックが水流の作用でタンク24に落ちることを支援し、タンク24の両側におけ
る傾斜面により、マイクロプラスチックは、ホルダ2の両側における第1配管25、第2
キャリアプレート23の両側における第2配管26を順次経て、第1水車29の補助の下
で加速されて、第1ボックス3に入り、次に、円柱体232と第2板体233とによる伝
動作用により、第2板体233は、第2シュート237により制限されながら、第1シュ
ート231の長さ方向に沿って往復移動し、それにより、第3板体31を駆動して第1ボ
ックス3の内壁と協働し、第1ボックス3内のマイクロプラスチックや水を周期的に押し
、過量の水を第1開口部32から排出し、このように、マイクロプラスチックのサンプリ
ング分離及び収集を実現する。
【0012】
実施例5
本実施例では、実施例3と比べて、以下の点は相違する。本実施例の浮力アセンブリでは
、実施例3の浮力アセンブリに加えて、第1浮力板8の上方には、第3浮力板83が設け
られ、拍車81の上方には、摩擦抵抗力により拍車81の回転数を低下させるためのディ
スク84が設けられ、ディスク84は、バネ棒が第1浮力板8を貫通することにより第3
浮力板83に接続され、第2水車10のブレード毎に、水流の作用により第2水車10に
浮力を付与するための少なくとも1つの羽根102が設けられ、羽根102は、長尺状で
、水流方向に面する一端が他端よりも5cm高い、
なお、ディスク84と拍車81への止め効果を向上させるために、ディスク84と拍車8
1との接触面には、市販ゴムシートが接着されて、両者の摩擦力を大きくしてもよい。
【0013】
実施例6
本実施例に係る水中マイクロプラスチック検出用のサンプリング分離方法は、実施例5に
係る一体型サンプリング分離装置によるものであり、実施例4を基にして、以下のS3を
さらに含む。
S3:川の水位で第3浮力板83が水没すると、第3浮力板83に水圧が作用するため、
第3浮力板83の重力とバネ棒とに本来存在したバランスが崩れ、ディスク84が下へ押
えられ、ディスク84のゴムシートにより拍車81の回転数が低下し、第2水車10の回
転数が低下し、このとき、羽根が水流作用により供給し得る浮力が高まり、一体型サンプ
リング分離装置が浮き、それ以降、バネ棒の作用によって復位し、それによって、一体型
サンプリング分離装置が沈むことを防止できる。
【要約】
本発明は、水中マイクロプラスチック検出用の一体型サンプリング分離装置及び方法を開
示する。一体型サンプリング分離装置は、枠体と、ホルダと、第1ボックスと、浮力アセ
ンブリと、を含み、捕集されたマイクロプラスチックが枠体の回転により第1ボックス内
に周期的に排出されることで、捕集されたマイクロプラスチックを第1ボックスに連続的
に移送することができ、それにより、マイクロプラスチックの採取効率及び採取量を向上
させる。
【選択図】
図1