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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】動力伝達装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 17/04 20060101AFI20240514BHJP
   B60K 17/16 20060101ALI20240514BHJP
   F16H 1/28 20060101ALI20240514BHJP
   F16H 48/08 20060101ALI20240514BHJP
   F16H 55/14 20060101ALI20240514BHJP
   F16H 57/028 20120101ALI20240514BHJP
【FI】
B60K17/04 Z
B60K17/16 Z
F16H1/28
F16H48/08
F16H55/14
F16H57/028
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019043242
(22)【出願日】2019-03-10
(65)【公開番号】P2020142774
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-12-08
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148301
【弁理士】
【氏名又は名称】竹原 尚彦
(72)【発明者】
【氏名】川原 淳之介
(72)【発明者】
【氏名】田中 佳奈
【合議体】
【審判長】中屋 裕一郎
【審判官】小川 恭司
【審判官】内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-189192(JP,A)
【文献】国際公開第2018/147161(WO,A1)
【文献】特開2003-127680(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0094806(US,A1)
【文献】特開2013-148123(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0320849(US,A1)
【文献】国際公開第2019/039599(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 17/00 - 17/26
F16H 1/18 - 1/48
F16H 48/00 - 48/42
F16H 51/00 - 55/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空軸と、
前記中空軸の下流に遊星減速ギアを介して接続されたデファレンシャルギアと、
前記デファレンシャルギアの下流に接続されたドライブシャフトと、を有し、
前記ドライブシャフトは、前記中空軸を貫通して配置されており、
前記中空軸から前記遊星減速ギアのサンギアへ動力が伝達され、
前記遊星減速ギアのキャリアは前記デファレンシャルギアのデファレンシャルケースと一体形成され、
前記デファレンシャルケースは、相対回転許容部材と、前記中空軸と、前記サンギアと、に径方向にオーバーラップする部位を有し、
前記デファレンシャルケースは、前記相対回転許容部材を介して、前記中空軸とは別体で構成された入力側中空軸の下流にスプライン係合された前記中空軸の内周に支持されており、前記中空軸は、前記デファレンシャルケースの傾きに追従して傾くことを特徴とする動力伝達装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記相対回転許容部材は、軸受又はブッシュであることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記中空軸と前記サンギアは、一体に形成されていることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記入力側中空軸の上流にモータが接続され、
前記ドライブシャフトは、前記モータの内周を貫通して配置されていることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記中空軸は、前記モータのロータと径方向から見てオーバーラップしないことを特徴とする動力伝達装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記中空軸は、前記モータのステータと径方向から見てオーバーラップする位置において前記入力側中空軸とスプライン係合される部位を有することを特徴とする動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から特許文献3には、動力伝達装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-221566号公報
【文献】特開2016- 89860号公報
【文献】特開2018-103676号公報
【0004】
特許文献1の動力伝達装置は、回転伝達に関与する3つの回転軸が並列に並んでおり、縦方向(重力方向)にサイズアップしやすい(以下、3軸タイプと呼ぶこととする)。
【0005】
特許文献2の動力伝達装置は、モータのロータが中空軸となっており、この中空軸の内部をドライブシャフトが貫通している。そのため、3軸タイプと比較して縦方向のサイズダウンが可能となるが、大きなカウンタギアを配置しているため、縦方向にサイズアップしてしまう(以下、2軸タイプと呼ぶこととする)。
【0006】
特許文献3の動力伝達装置は、カウンタギアではなく、段付きピニオンを有する遊星減速ギアを用いており、2軸タイプと比較して縦方向のサイズダウンが可能となる(以下、1軸タイプと呼ぶこととする)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
回転伝達に遊星減速ギアを用いる場合、遊星減速ギアの構成要素(サンギア、リングギア、キャリア、段付きピニオンギア)が、回転伝達の際にそれぞれ別の方向に倒れ込むことにより、ギアノイズや振動、いわゆる音振が発生することある。
そこで、音振を抑制できるようにすることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様は、
中空軸と、
前記中空軸の下流に遊星減速ギアを介して接続されたデファレンシャルギアと、
前記デファレンシャルギアの下流に接続されたドライブシャフトと、を有し、
前記ドライブシャフトは、前記中空軸を貫通して配置されており、
前記中空軸から前記遊星減速ギアのサンギアへ動力が伝達され、
前記遊星減速ギアのキャリアは前記デファレンシャルギアのデファレンシャルケースと一体形成され、
前記デファレンシャルケースは、前記相対回転許容部材と、前記中空軸と、前記サンギアと、に径方向にオーバーラップする部位を有し、
前記デファレンシャルケースは、相対回転許容部材を介して、前記中空軸とは別体で構成された入力側中空軸の下流にスプライン係合された前記中空軸の内周に支持されており、前記中空軸は、前記デファレンシャルケースの傾きに追従して傾く構成の動力伝達装置とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、音振を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態にかかる動力伝達装置を説明する図である。
図2】動力伝達装置の減速機構周りの拡大図である。
図3】動力伝達装置の差動装置周りの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明する。
図1は、実施形態にかかる動力伝達装置1を説明する図である。
図2は、動力伝達装置1の遊星減速ギア5周りの拡大図である。
図3は、動力伝達装置1の差動装置6周りの拡大図である。
【0012】
動力伝達装置1は、モータ2と、モータ2の出力回転を減速して差動装置6に入力する遊星減速ギア5(減速機構)と、ドライブシャフト8(8A、8B)と、を有している。
【0013】
動力伝達装置1では、モータ2の出力回転の伝達経路に沿って、遊星減速ギア5と、差動装置6と、ドライブシャフト8(8A、8B)と、が設けられている。
モータ2の出力回転は、遊星減速ギア5で減速されて差動装置6に入力された後、ドライブシャフト8(8A、8B)を介して、動力伝達装置1が搭載された車両の左右の駆動輪(図示せず)に伝達される。図1では、ドライブシャフト8Aが、動力伝達装置1を搭載した車両の左輪に回転伝達可能に接続されていると共に、ドライブシャフト8Bが、右輪に回転伝達可能に接続されている。
【0014】
ここで、遊星減速ギア5は、モータ2の下流に接続されており、差動装置6は、遊星減速ギア5の下流に接続されており、ドライブシャフト8(8A、8B)は、差動装置6の下流に接続されている。
【0015】
本実施形態では、モータハウジング10と、外側カバー11と、内側カバー12と、ケース13で、動力伝達装置1の本体ケース9を構成している。
モータハウジング10の内径側で、外側カバー11と内側カバー12との間に形成される空間Saは、モータ2を収容するモータ室となっている。
ケース13と内側カバー12との間に形成される空間Sbは、遊星減速ギア5と差動装置6を収容するギア室となっている。
【0016】
モータ2は、円筒状のモータシャフト20と、モータシャフト20に外挿された円筒状のロータコア21と、ロータコア21の外周を所定間隔で囲むステータコア25とを、有している。
【0017】
モータシャフト20は、ドライブシャフト8Bに外挿されている。この状態においてモータシャフト20は、ドライブシャフト8Bに対して相対回転可能である。
モータシャフト20では、長手方向の一端20a側と他端20b側の外周に、ベアリングB1、B1が外挿されて固定されている。
【0018】
モータシャフト20の一端20a側は、ベアリングB1を介して、内側カバー12の円筒状のモータ支持部121で回転可能に支持されている。
モータシャフト20の他端20b側は、ベアリングB1を介して、外側カバー11に固定された円筒状のモータ支持部111で回転可能に支持されている。
【0019】
モータ2は、ロータコア21の外周を所定間隔で囲むモータハウジング10を有している。本実施形態では、モータハウジング10の一端10aに、内側カバー12が接合されており、モータハウジング10の他端10bに、外側カバー11が接合されている。
【0020】
モータハウジング10の一端10aと他端10bには、シールリングS、Sが設けられている。モータハウジング10の一端10aは、当該一端10aに設けたシールリングSにより、内側カバー12の環状の基部120に隙間なく接合されている。
モータハウジング10の他端10bは、当該他端10bに設けたシールリングSにより、外側カバー11の環状の接合部110に隙間なく接合されている。
【0021】
内側カバー12では、基部120とモータ支持部121とが、回転軸X方向で位置をずらして設けられている。
本実施形態では、内側カバー12をモータハウジング10の一端10aに固定すると、モータ支持部121が、モータハウジング10の内側に挿入されるようになっている。
【0022】
この状態においてモータ支持部121は、後記するコイルエンド253aの内径側で、ロータコア21の一端部21aに、回転軸X方向の隙間をあけて対向して配置される(図2参照)。
そして、図2に示すように、基部120とモータ支持部121とを接続する接続部123は、コイルエンド253aの内径側で、回転軸Xに沿う向きに設けられている。
【0023】
モータ支持部121のロータコア21側の端面121aには、ベアリングリテーナ125が固定されている。
ベアリングリテーナ125は、回転軸X方向から見てリング状を成している。ベアリングリテーナ125の内径側は、モータ支持部121で支持されたベアリングB1のアウタレースB1bの側面に回転軸X方向から当接している。ベアリングリテーナ125は、モータ支持部121からのベアリングB1の脱落を阻止している。
【0024】
図1に示すように、外側カバー11では、接合部110の内径側にモータ支持部111が位置している。
モータ支持部111は、当該モータ支持部111と一体に形成された筒壁部115を介して、外側カバー11の側壁部113に固定されている。
【0025】
本実施形態では、外側カバー11の接合部110をモータハウジング10の他端10bに固定すると、モータ支持部111が、後記するコイルエンド253bの内径側で、ロータコア21の他端部21bに、回転軸X方向の隙間をあけて対向して配置される。
この状態において、モータ支持部111から延びる筒壁部115は、コイルエンド253bの内径側に位置している。
【0026】
図1に示すように、モータハウジング10の内側では、外側カバー11側のモータ支持部111と、内側カバー12側のモータ支持部121との間に、ロータコア21が配置されている。
【0027】
ロータコア21は、複数の珪素鋼板を積層して形成したものであり、珪素鋼板の各々は、モータシャフト20との相対回転が規制された状態で、モータシャフト20に外挿されている。
モータシャフト20の回転軸X方向から見て、珪素鋼板はリング状を成しており、珪素鋼板の外周側では、図示しないN極とS極の磁石が、回転軸X周りの周方向に交互に設けられている。
【0028】
回転軸X方向におけるロータコア21の一端部21aは、モータシャフト20の大径部203で位置決めされている。ロータコア21の他端部21bは、モータシャフト20に圧入されたストッパ23で位置決めされている。
【0029】
ステータコア25は、複数の電磁鋼板を積層して形成したものであり、電磁鋼板の各々は、モータハウジング10の内周に固定されたリング状のヨーク部251と、ヨーク部251の内周からロータコア21側に突出するティース部252を、有している。
本実施形態では、巻線253を、複数のティース部252に跨がって分布巻きした構成のステータコア25を採用しており、ステータコア25は、回転軸X方向に突出するコイルエンド253a、253bの分だけ、ロータコア21よりも回転軸X方向の長さが長くなっている。
【0030】
なお、ステータコアは、分布巻きした構成のみに限定されない。ロータコア21側に突出する複数のティース部252の各々に、巻線を集中巻きした構成のステータコアを採用しても良い。
【0031】
モータシャフト20では、大径部203よりも一端20a側の領域の外周に、ベアリングB1が圧入されている。
図2に示すように、ベアリングB1のインナレースB1aは、回転軸X方向の一方の側面が、モータシャフト20の外周に設けた段部204に当接している。インナレースB1aは、他方の側面に、モータシャフト20の外周に圧入されたリング状のストッパ205が当接している。
ストッパ205によりベアリングB1は、インナレースB1aを、段部204に当接させた位置で位置決めされている。
【0032】
モータシャフト20の一端20aは、ストッパ205よりも遊星減速ギア5側(図中、左側)に位置している。回転軸X方向において一端20aは、遊星減速ギア5のサンギア51と、段付きピニオンギア53の大径歯車部531との噛み合い部分に、間隔をあけて対向している。
【0033】
モータシャフト20の一端20a側では、モータシャフト20の径方向外側に、円筒壁122が位置している。円筒壁122は、モータ支持部121から遊星減速ギア5側(図中、左側)に突出している。
【0034】
円筒壁122は、モータシャフト20の外周を所定間隔で囲んでおり、円筒壁122とモータシャフト20との間には、リップシールRSが設置されている。
リップシールRSは、モータハウジング10の内径側の空間Saと、ケース13の内径側の空間Sbとを、区画するために設けられている。
【0035】
ケース13の内径側の空間Sbには、潤滑油OLが所定高さまで封入されている。リップシールRSは、モータハウジング10の内径側の空間Saへの潤滑油OLの流入を阻止するために設けられている。
【0036】
図2に示すように、円筒壁122の外径側では、前記した接続部123との間に、遊星減速ギア5側(図2における左側)に開口した凹部124が形成されている。
凹部124の接続部123側(外径側)には、ベアリングB3を位置決めする段部123aが設けられている。凹部124内において、ベアリングB3は、モータ支持部121との接触を避けて設けられており、ベアリングB3は、後記する筒状部552の外周を支持している。
【0037】
図2に示すように、モータシャフト20の一端20a側の連結部202は、ロータコア21が外挿された領域(中間部201)よりも大きい内径で形成されている。
連結部202の内側には、中空軸50の円筒状の連結部511が挿入されている。この状態において、モータシャフト20の一端20a側の連結部202と、中空軸50の連結部511とが、相対回転不能にスプライン嵌合(係合)している。
本実施形態では、モータ2のコイルエンド253aの内径側で、モータシャフト20の連結部202と、中空軸50側の連結部511とが連結されている。
【0038】
中空軸50は、回転軸Xに沿う向きで設けられており、回転軸X方向におけるモータ2側(図中、右側)に連結部511が設けられており、差動装置6側(図中、左側)に、遊星減速ギア5のサンギア51が設けられている。
【0039】
中空軸50は、連結部511とサンギア51を回転軸X方向に並べて一体に形成した筒状部材であり、連結部511とサンギア51とが回転軸X方向にオーバーラップしている。
そのため、回転軸X方向から中空軸50を見ると、連結部511とサンギア51とが重なるように配置されている。
【0040】
中空軸50では、サンギア51の内径側と連結部511の内径側とに跨がって、貫通孔510が形成されている。
中空軸50は、ドライブシャフト8Bに外挿されている。この状態において、中空軸50(サンギア51)は、ドライブシャフト8Bに対して相対回転可能である。
【0041】
中空軸50には、モータ2の出力回転が、モータシャフト20を介して入力される。
中空軸50が、入力されたモータ2の出力回転で回転軸X回りに回転すると、中空軸50と一体に形成されたサンギア51もまた、回転軸X回りに回転する。
【0042】
サンギア51は、前記したモータシャフト20の延長上で、段付きピニオンギア53の大径歯車部531に噛合している。
【0043】
段付きピニオンギア53は、サンギア51に噛合する大径歯車部531と、大径歯車部531よりも小径の小径歯車部532とを有している。
段付きピニオンギア53は、大径歯車部531と小径歯車部532が、回転軸Xに平行な軸線X1方向で並んで、一体に設けられたギア部品である。
【0044】
段付きピニオンギア53は、大径歯車部531と小径歯車部532の内径側を軸線X1方向に貫通した貫通孔530を有している。
段付きピニオンギア53は、貫通孔530を貫通したピニオン軸54の外周で、ニードルベアリングNBを介して回転可能に支持されている。
【0045】
ピニオン軸54の外周では、大径歯車部531の内径側と、小径歯車部532の内径側に、ニードルベアリングNBがそれぞれ設けられている。ピニオン軸54の外周においてニードルベアリングNB、NBは、軸線X1方向に直列に並んでいる。
【0046】
ピニオン軸54の長手方向の一端と他端は、デフケース60と一体に形成された側板部651と、この側板部651に間隔をあけて配置された側板部551で支持されている。
側板部651、551は、回転軸Xに直交する向きで設けられた板状部材である。側板部651、551は、回転軸X方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。
側板部651、551の間では、複数の段付きピニオンギア53が、回転軸X周りの周方向に所定間隔で複数(例えば、3つ)設けられている。
【0047】
小径歯車部532の各々は、リングギア52の内周に噛合している。リングギア52は、ケース13の内周にスプライン嵌合しており、リングギア52は、ケース13との相対回転が規制されている。
【0048】
ピニオン軸54を支持する側板部551の内径側には、モータ2側に延びる筒状部552が設けられている。筒状部552は、内側カバー12の凹部124に、回転軸X方向から挿入されている。凹部124内において、筒状部552は、モータ支持部121との接触を避けて設けられている。
【0049】
筒状部552は、モータシャフト20(入力側中空軸)の連結部202と、遊星減速ギア5側の連結部511との噛み合い部分の径方向外側に位置している。筒状部552の外周には、凹部124に固定されたベアリングB3が接触している。側板部551の筒状部552は、ベアリングB3を介して、内側カバー12で回転可能に支持されている。
【0050】
遊星減速ギア5では、キャリア55を構成する側板部551と側板部651のうちの一方の側板部651が、差動装置6のデフケース60と一体に形成されている。
そのため、遊星減速ギア5のキャリア55(側板部551、651、ピニオン軸54、接続片56)は、デフケース60と実質的に一体に形成されている。
【0051】
遊星減速ギア5では、モータ2の出力回転が、サンギア51に入力される。
サンギア51に入力された出力回転は、サンギア51に噛合する大径歯車部531を介して、段付きピニオンギア53に入力されて、段付きピニオンギア53が軸線X1回りに回転する。
【0052】
そうすると、大径歯車部531と一体に形成された小径歯車部532は、大径歯車部531と一体に軸線X1回りに回転する。
ここで、小径歯車部532は、ケース13の内周に固定されたリングギア52に噛合している。そのため、小径歯車部532が軸線X1回りに回転すると、段付きピニオンギア53は、軸線X1回りに自転しながら、回転軸X周りに回転する。
【0053】
そうすると、ピニオン軸54の一端が、デフケース60と一体に形成された側板部651に支持されているので、段付きピニオンギア53の回転軸X周りの周方向の変位に連動して、デフケース60が回転軸X回りに回転する。
【0054】
ここで、段付きピニオンギア53では、小径歯車部532の外径R2が大径歯車部531の外径R1よりも小さくなっている(図3参照)。
そして、遊星減速ギア5では、サンギア51が、モータ2の出力回転の入力部となっており、段付きピニオンギア53を支持するキャリア55が、入力された回転の出力部となっている。
そうすると、遊星減速ギア5のサンギア51に入力された回転は、段付きピニオンギア53により大きく減速されたのちに、キャリア55の側板部651が一体に形成されたデフケース60に出力される。
【0055】
図3に示すように、デフケース60は、シャフト61と、かさ歯車62A、62Bと、サイドギア63A、63Bとを、内部に収納する中空状に形成されている。
デフケース60では、回転軸X方向(図中、左右方向)の両側部に、筒状の支持部601、602が設けられている。支持部601、602は、シャフト61から離れる方向に、回転軸Xに沿って延出している。
【0056】
支持部601の外径側には、キャリア55の側板部651と側板部551とを接続する接続片56が設けられている。
接続片56のデフケース60側の一端は、側板部651とデフケース60の外周とに跨がって設けられており、他端は、回転軸X方向から側板部551に接続されている。
【0057】
接続片56は、前記した段付きピニオンギア53との干渉を避けた位置に設けられている。前記したように、段付きピニオンギア53は、回転軸X周りの周方向に所定間隔で複数(例えば、3つ)設けられている。
接続片56は、回転軸X回りの周方向で隣接する段付きピニオンギア53の間に設けられている。
【0058】
デフケース60の支持部602には、ベアリングB2が外挿されている。支持部602に外挿されたベアリングB2は、ケース13のリング状の支持部131で保持されており、デフケース60の支持部602は、ベアリングB2を介して、ケース13で回転可能に支持されている。
【0059】
支持部602には、ケース13の開口部130を貫通したドライブシャフト8Aが、回転軸X方向から挿入されており、ドライブシャフト8Aは、支持部602で回転可能に支持されている。
開口部130の内周には、リップシールRSが固定されており、リップシールRSの図示しないリップ部が、ドライブシャフト8Aの外周に弾発的に接触することで、ドライブシャフト8Aの外周と開口部130の内周との隙間が封止されている。
【0060】
図3に示すように、本実施形態では、支持部601の外径R3は、中空軸50(サンギア51)の内径R4よりも小さい外径で形成されている。
支持部601は、中空軸50の内側に回転軸X方向から挿入されている。回転軸Xの径方向から見て、支持部601と中空軸50(サンギア51)とが重なる領域では、支持部601の外周と中空軸50の内周との間に、ニードルベアリングNB(相対回転許容部材)が設けられている。
中空軸50のサンギア51側は、デフケース60の支持部601で、ニードルベアリングNBを介して回転可能に支持されている。
【0061】
なお、ニードルベアリングNBに代えて、円環状のブッシュを設けて、中空軸50が、ブッシュを介してデフケース60の支持部601で支持されている構成としても良い。
ここで、ブッシュとは、例えば、中空軸と支持部との相対回転を許容する金属の環である。
【0062】
中空軸50のデフケース60側の端部50aは、デフケース60の側縁部60cに、回転軸X方向の隙間をあけて対向している。
【0063】
図1に示すように、デフケース60の支持部601には、外側カバー11の開口部114を貫通したドライブシャフト8Bが、回転軸X方向から挿入されている。
ドライブシャフト8Bは、モータ2のモータシャフト20の内径側と中空軸50の内径側を、回転軸X方向に横切って設けられており、ドライブシャフト8Bの先端側が、支持部601で回転可能に支持されている。
【0064】
外側カバー11の開口部114の内周には、リップシールRSが固定されており、リップシールRSの図示しないリップ部が、ドライブシャフト8Bの外周に弾発的に接触することで、ドライブシャフト8Bの外周と開口部114の内周との隙間が封止されている。
【0065】
図3に示すように、デフケース60の内部では、ドライブシャフト8A、8Bの先端部の外周に、サイドギア63A、63Bがスプライン嵌合しており、サイドギア63A、63Bとドライブシャフト8(8A、8B)とが、回転軸X周りに一体回転可能に連結されている。
【0066】
デフケース60には、回転軸Xに直交する方向に貫通した軸孔60a、60bが、回転軸Xを挟んで対称となる位置に設けられている。
軸孔60a、60bは、回転軸Xに直交する軸線Y上に位置しており、シャフト61の一端61a側および他端61b側が挿入されている。
【0067】
シャフト61の一端61a側および他端61b側は、ピンPでデフケース60に固定されており、シャフト61は、軸線Y周りの自転が禁止されている。
シャフト61は、デフケース60内において、サイドギア63A、63Bの間に位置しており、軸線Yに沿って配置されている。
【0068】
デフケース60内においてシャフト61には、かさ歯車62A、62Bが外挿して回転可能に支持されている。
かさ歯車62A、62Bは、シャフト61の長手方向(軸線Yの軸方向)で間隔を空けて2つ設けられており、かさ歯車62A、62Bは、互いの歯部を対向させた状態で配置されている。
シャフト61においてかさ歯車62A、62Bは、当該かさ歯車62A、62Bの軸心を、シャフト61の軸心と一致させて設けられている。
【0069】
デフケース60内において、回転軸X方向におけるかさ歯車62A、62Bの両側には、サイドギア63A、63Bが位置している。
サイドギア63A、63Bは、互いの歯部を対向させた状態で、回転軸X方向に間隔を空けて2つ設けられており、かさ歯車62A、62Bとサイドギア63A、63Bとは、互いの歯部を噛合させた状態で組み付けられている。
【0070】
かかる構成の動力伝達装置1の作用を説明する。
動力伝達装置1では、モータ2の出力回転の伝達経路に沿って、遊星減速ギア5と、差動装置6と、ドライブシャフト8(8A、8B)と、が設けられている。
【0071】
モータ2の駆動により、ロータコア21が回転軸X回りに回転すると、ロータコア21と一体に回転するモータシャフト20を介して、遊星減速ギア5のサンギア51(中空軸50)に回転が入力される。ここで、モータシャフト20が、発明にかかる入力側中空軸に相当する。
【0072】
遊星減速ギア5では、サンギア51が、遊星減速ギア5における回転(モータ2の出力回転)の入力部となっており、段付きピニオンギア53を支持するキャリア55が、入力された回転の出力部となっている。
【0073】
サンギア51が入力された回転で回転軸X回りに回転すると、段付きピニオンギア53(大径歯車部531、小径歯車部532)が、サンギア51側から入力される回転で、軸線X1回りに回転する。
ここで、段付きピニオンギア53の小径歯車部532は、ケース13の内周に固定されたリングギア52に噛合している。そのため、段付きピニオンギア53は、軸線X1回りに自転しながら、回転軸X周りに回転する。
【0074】
ここで、段付きピニオンギア53では、小径歯車部532の外径R2が大径歯車部531の外径R1よりも小さくなっている(図3参照)。
これにより、段付きピニオンギア53を支持するキャリア55(側板部551、651)が、モータ2側から入力された回転よりも低い回転速度で回転軸X回りに回転する。
そのため、遊星減速ギア5のサンギア51に入力された回転は、段付きピニオンギア53により、大きく減速されたのちに、キャリア55の側板部651が一体に形成されたデフケース60(差動装置6)に出力される。
【0075】
そして、デフケース60が入力された回転で回転軸X回りに回転することにより、ドライブシャフト8(8A、8B)が回転軸X回りに回転して、動力伝達装置1が搭載された車両の左右の駆動輪(図示せず)に伝達される。
【0076】
ここで、動力伝達装置1では、デフケース60の支持部601が、中空軸50の内径R4よりも小さい外径R3で形成されており、デフケース60の支持部601は、中空軸50の内周に挿入されている。
そのため、回転軸Xの径方向から見ると、中空軸50のサンギア51側の一部と、デフケース60の支持部601と、段付きピニオンギア53の大径歯車部531とが、重なるように配置される。
【0077】
そして、回転軸Xの径方向から見て中空軸50とデフケース60の支持部601とが回転軸X方向で重なった所定長さLx(図3参照)の領域では、中空軸50のサンギア51側が、ニードルベアリングNBを介して支持部601の外周で支持されている。
さらに、遊星減速ギア5のピニオン軸54を支持するキャリア55(側板部651)が、デフケース60と一体的に形成されている。
【0078】
ここで、遊星減速ギア5の各構成要素(サンギア51、リングギア52、段付きピニオンギア53、キャリア55)は、それぞれ、互いに平行な回転軸回りに回転するように設定されている。
そして、歯部同士を噛合させた一方のギアの傾く方向と、他方のギアの傾く方向とが異なると、歯部同士の噛み合い部分での衝突などに起因するギアノイズや振動が発生する。
【0079】
上記のように、遊星減速ギア5のキャリア55と差動装置6のデフケース60とを一体に形成すると共に、デフケース60の支持部601にサンギア51を支持させると、遊星減速ギア5の入力部であるサンギア51と、出力部であるキャリア55とが、同じ方向に倒れ込む(傾く)ことになる。
歯部同士の噛み合い部分での衝突は、歯部同士を噛合させた一方のギアの傾く方向と、他方のギアの傾く方向とが異なる場合に生ずるので、傾く方向が同じになることで、ギアノイズおよび振動の発生を好適に抑制できる。
これにより、ギアノイズや振動、すなわち、いわゆる音振を好適に抑制できる。
【0080】
なお、デフケース60の支持部601を中空軸50の内周に挿入して配置することで、動力伝達装置1の回転軸X方向の長さを抑えつつ、ドライブシャフト8Bを支持する支持部601の長さを確保している。
そのため、ドライブシャフト8Bの支持安定性を確保しつつ、動力伝達装置1の回転軸X方向の長さを抑えている。
【0081】
以上の通り、本実施形態にかかる動力伝達装置1は、以下の構成を有している。
(1)動力伝達装置1は、
中空軸50と、
中空軸50の下流に遊星減速ギア5(減速ギア)を介して接続された差動装置6(デファレンシャルギア)と、
差動装置6の下流に接続されたドライブシャフト8(8A、8B)と、を有する。
中空軸50から遊星減速ギア5のサンギア51に動力(モータ2の回転駆動力)が伝達される。
遊星減速ギア5のキャリア55は、差動装置6のデフケース60と一体形成されて、遊星減速ギア5に入力された動力が、キャリア55を介してデフケース60に出力される。
デフケース60は、ニードルベアリングNB(相対回転許容部材)を介して中空軸50の内周に支持される支持部601を有する。
デフケース60は、ニードルベアリングNB(相対回転許容部材)と、中空軸50(サンギア51)と、に径方向にオーバーラップする部位(支持部601)を有している。
【0082】
このように構成すると、回転軸X径方向から見て、デフケース60の支持部601と、ニードルベアリングNBと、中空軸50(サンギア51)と、が重なる位置関係で、デフケース60の支持部601と、ニードルベアリングNBと、中空軸50(サンギア51)と、が径方向にオーバーラップして配置される。
さらに、遊星減速ギア5に入力された動力(回転)がキャリア55から差動装置6側に出力されるようにしたうえで、キャリア55とデフケース60とを一体形成したことで、サンギア51とキャリア55とが同じ方向に倒れこむようになる。
すなわち、キャリア55と共に倒れる段付きピニオンギア53に追従して、サンギア51が倒れるようになる。
【0083】
遊星減速ギア5の各構成要素(サンギア51、リングギア52、段付きピニオンギア53、キャリア55)は、それぞれ、互いに平行な回転軸回りに回転するように設定されている。
ここで、モータ2の出力回転(動力)の伝達時には、遊星減速ギア5を構成するギアの噛み合い部分に、回転伝達に起因する応力が作用する。そうすると、各構成要素(サンギア51、リングギア52段付きピニオンギア53、キャリア55)に傾きが生じることがある。
ここで、歯部同士を噛合させた一方のギアの傾く方向と、他方のギアの傾く方向とが異なると、歯部同士の噛み合い部分での衝突などに起因するギアノイズや振動が発生する。
特に、段付きピニオンギア53とサンギア51とが独立して傾く(倒れる)ことは、音振性能を考えると不利である。
【0084】
上記のように、遊星減速ギア5のキャリア55と差動装置6のデフケース60とを一体に形成すると共に、デフケース60の支持部601にサンギア51を支持させると、遊星減速ギア5の入力部であるサンギア51と、出力部であるキャリア55とが、同じ方向に倒れ込む(傾く)ことになる。
歯部同士の噛み合い部分での衝突は、歯部同士を噛合させた一方のギアの傾く方向と、他方のギアの傾く方向とが異なる場合に生ずるので、傾く方向が同じになることで、ギアノイズおよび振動の発生を好適に抑制できる。
これにより、ギアノイズや振動、すなわち、いわゆる音振を好適に抑制できる。
【0085】
本実施形態にかかる動力伝達装置1は、以下の構成を有している。
(2)中空軸50は、モータシャフト20(入力側中空軸)の下流に接続されている。
中空軸50とモータシャフト20は、スプライン係合されている。
【0086】
中空軸50とモータシャフト20とを一体に形成すると、回転軸X方向の長さが長くなる。
一体に形成せずに、中空軸50とモータシャフト20(入力側中空軸)とに分割して、スプライン係合により連結する構成とすることで、遊星減速ギア5側に位置する中空軸50の回転軸X方向の長さを短くできる。
中空軸50は、デフケース60の支持部601の外周に、ニードルベアリングNBを介して支持されており、デフケース60が傾くと、デフケース60と一緒に中空軸50もまた傾くことで、ギアノイズや振動の発生が抑制される。
【0087】
中空軸50とモータシャフト20とが一体に形成されて、回転軸X方向の長さが長くなると、デフケース60が傾く際の中空軸50の傾きに対する抵抗となる。中空軸50の傾きが不十分であると、ギアノイズや振動の発生を抑制できない。
【0088】
中空軸50とモータシャフト20とを別体に構成して、中空軸50の回転軸X方向の長さを短くすると、中空軸50は、デフケース60の傾きに追従して傾きやすくなる。
これにより、中空軸50の下流側に位置する遊星減速ギア5の倒れこみの自由度が増加するので、遊星減速ギア5内での噛み合いのずれが低減してギアノイズや振動の発生を低減できる。
【0089】
本実施形態にかかる動力伝達装置1は、以下の構成を有している。
(3)相対回転許容部材は、ニードルベアリングNBまたはブッシュである。
ブッシュは、例えば、中空軸50と支持部601との相対回転を許容する金属の環である。
【0090】
このように構成すると、回転軸X方向における中空軸50の支持長を確保できる。これにより、中空軸50の下流側の遊星減速ギア5を、デフケース60の傾きに追従させて、同じ方向に傾けることができる。
【0091】
本実施形態にかかる動力伝達装置1は、以下の構成を有している。
(4)中空軸50では、連結部511とサンギア51は、回転軸X方向で並んで一体に形成されている。
回転軸X方向から見て、連結部511とサンギア51とが重なるように、連結部511とサンギア51とが回転軸X方向にオーバーラップしている。
【0092】
このように構成すると、動力伝達装置1の重力方向(回転軸Xの径方向)の大型化を好適に防止できる。
【0093】
本実施形態にかかる動力伝達装置1は、以下の構成を有している。
(5)中空軸50の上流に、モータ2が接続されている。
ドライブシャフト8Bは、モータ2のモータシャフト20の内周を貫通して配置されている。
【0094】
筒状のモータシャフト20を貫通して、ドライブシャフト8Bを配置することで、動力伝達装置1の縦方向(重力方向)のサイズダウンが可能である。
【0095】
(6)支持部601は、ニードルベアリングNB(軸受)を介して、中空軸50の内周に支持されている。
【0096】
ニードルベアリングNB(軸受)を、中空軸50の内周側に設けることで、中空軸50とデフケース60の支持部601とを、回転軸Xの径方向から見て重なるように設けることができる。
【0097】
ここで、デフケース60でドライブシャフト8(8A、8B)を支持する場合、ドライブシャフト8(8A、8B)の支持安定性のために、支持部601、602の回転軸X方向の長さが、所定以上あることが好ましい。
しかし、中空軸50と支持部601の径が略同じであると、中空軸50と支持部601とが干渉するために、動力伝達装置1の軸長方向(回転軸X方向)の短縮の妨げとなる。
そこで、支持部601の外径を、中空軸50内に挿入可能な外径R3に設定した。これにより、ドライブシャフト8Bの支持部601での支持安定性を確保しつつ、かつ、デフケース60を中空軸50側に寄せて配置することができるので、動力伝達装置1の軸長方向の短縮が可能となる。
【0098】
ここで、本明細書における用語「下流に接続」とは、上流に配置された部品から下流に配置された部品へと動力が伝達される接続関係にあることを意味する。
例えば、モータ2の下流に接続された遊星減速ギア5という場合は、モータ2から遊星減速ギア5へと動力が伝達されることを意味する。
また、本明細書における用語「直接接続」とは、他の減速機構、増速機構、変速機構などの減速比が変換される部材を介さずに部材同士が動力伝達可能に接続されていることを意味する。
【0099】
前記した実施形態では、段付きピニオンギア53を採用した遊星減速ギア5を例示したが、段付きでないピニオンギアを採用した遊星減速ギアを採用しても良い。
【0100】
なお、モータ2の出力部(モータシャフト20)と遊星減速ギア5の入力部(サンギア51)との連結態様は、前記した実施形態のものに限定されない。
モータ2の出力部(モータシャフト20)と遊星減速ギア5の入力部(サンギア51)とを、別のギア部品などを介して回転伝達可能に連結した構成としても良い。
【0101】
さらに、実施形態では、減速機構が、段付きピニオンギア53を備える遊星減速ギア5であり、モータ2の出力回転の伝達経路上に、ひとつの遊星減速ギア5が設けられている場合を例示した。
本発明は、この態様にのみに限定されない。モータ2の出力回転の伝達経路上に、複数の遊星減速ギアが直列に配置されている構成としても良い。
【0102】
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は、これら実施形態に示した態様のみに限定されるものではない。発明の技術的な思想の範囲内で、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0103】
1 動力伝達装置
10 モータハウジング
11 外側カバー
110 接合部
111 モータ支持部
12 内側カバー
120 基部
121 モータ支持部
13 ケース
130 開口部
131 支持部
2 モータ
20 モータシャフト
201 中間部
202 連結部
203 大径部
21 ロータコア
25 ステータコア
251 ヨーク部
252 ティース部
253 巻線
253a、253b コイルエンド
5 遊星減速ギア
50 中空軸
51 サンギア
510 貫通孔
511 連結部
52 リングギア
53 段付きピニオンギア
530 貫通孔
531 大径歯車部
532 小径歯車部
54 ピニオン軸
55 キャリア
551 側板部
552 筒状部
6 差動装置
60 デフケース
61 シャフト
601、602 支持部
62A、62B かさ歯車
63A、63B サイドギア
651 側板部
8(8A、8B) ドライブシャフト
9 本体ケース
B1、B2、B3 ベアリング
NB ニードルベアリング
OL 潤滑油
P ピン
RS リップシール
S シールリング
Sa 空間(モータ室)
Sb 空間(ギア室)
X 回転軸
X1、Y 軸線
図1
図2
図3