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特許7487440保険管理装置、保険管理方法および保険管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】保険管理装置、保険管理方法および保険管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/08 20120101AFI20240514BHJP
【FI】
G06Q40/08
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2023073530
(22)【出願日】2023-04-27
【審査請求日】2023-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】519045343
【氏名又は名称】Mysurance株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100134511
【弁理士】
【氏名又は名称】八田 俊之
(72)【発明者】
【氏名】澤田 翔
(72)【発明者】
【氏名】竹中 陽子
(72)【発明者】
【氏名】石川 拓也
(72)【発明者】
【氏名】宮原 拓也
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 亜希子
【審査官】福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-165869(JP,A)
【文献】特開2023-59190(JP,A)
【文献】特開2020-91515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定期間ごとの支払保険金の総額について、当該所定期間の保険加入者数に応じて保険加入者1人あたりの保険料を定め、前記1人あたりの保険料を、定められた負担割合に応じて保険契約者および保険加入者の少なくとも一方で負担する保険において、
前記負担割合を変更する負担割合変更指示を受け付けた場合に、前記負担割合変更指示によって指示された負担割合を用いて、前記保険契約者の負担金額と、前記保険加入者の負担金額とを計算する計算部を備えることを特徴とする保険管理装置。
【請求項2】
前記保険契約者は複数であり、
前記負担割合は、複数の前記保険契約者のそれぞれについて個別に変更可能であることを特徴とする請求項1に記載の保険管理装置。
【請求項3】
前記1人あたりの保険料は、前記所定期間における前記支払保険金の総額/前記保険加入者数×(1+係数)であることを特徴とする請求項1に記載の保険管理装置。
【請求項4】
前記所定期間は、1か月単位であることを特徴とする請求項1に記載の保険管理装置。
【請求項5】
前記保険契約者の端末からの要求に応じて、前記保険加入者数および前記支払保険金の情報を前記保険契約者の端末に対して出力する第1出力部を備えることを特徴とする請求項1に記載の保険管理装置。
【請求項6】
前記保険加入者の端末からの要求に応じて、前記保険加入者の負担金額の情報を前記保険加入者の端末に対して出力する第2出力部を備えることを特徴とする請求項1に記載の保険管理装置。
【請求項7】
所定期間ごとの支払保険金の総額について、当該所定期間の保険加入者数に応じて保険加入者1人あたりの保険料を定め、前記1人あたりの保険料を、定められた負担割合に応じて保険契約者および保険加入者の少なくとも一方で負担する保険において、
前記負担割合を変更する負担割合変更指示を受け付けた場合に、前記負担割合変更指示によって指示された負担割合を用いて、前記保険契約者の負担金額と、前記保険加入者の負担金額とを計算する処理をコンピュータが実行することを特徴とする保険管理方法。
【請求項8】
前記保険契約者は複数であり、
前記負担割合は、複数の前記保険契約者のそれぞれについて個別に変更可能であることを特徴とする請求項7に記載の保険管理方法。
【請求項9】
前記1人あたりの保険料は、前記所定期間における前記支払保険金の総額/前記保険加入者数×(1+係数)であることを特徴とする請求項7に記載の保険管理方法。
【請求項10】
前記所定期間は、1か月単位であることを特徴とする請求項7に記載の保険管理方法。
【請求項11】
前記保険契約者の端末からの要求に応じて、前記保険加入者数および前記支払保険金の情報を前記保険契約者の端末に対して出力する処理を前記コンピュータが実行することを特徴とする請求項7に記載の保険管理方法。
【請求項12】
前記保険加入者の端末からの要求に応じて、前記保険加入者の負担金額の情報を前記保険加入者の端末に対して出力する処理を前記コンピュータが実行することを特徴とする請求項7に記載の保険管理方法。
【請求項13】
所定期間ごとの支払保険金の総額について、当該所定期間の保険加入者数に応じて保険加入者1人あたりの保険料を定め、前記1人あたりの保険料を、定められた負担割合に応じて保険契約者および保険加入者の少なくとも一方で負担する保険において、
前記負担割合を変更する負担割合変更指示を受け付けた場合に、前記負担割合変更指示によって指示された負担割合を用いて、前記保険契約者の負担金額と、前記保険加入者の負担金額とを計算する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする保険管理プログラム。
【請求項14】
前記保険契約者は複数であり、
前記負担割合は、複数の前記保険契約者のそれぞれについて個別に変更可能であることを特徴とする請求項13に記載の保険管理プログラム。
【請求項15】
前記1人あたりの保険料は、前記所定期間における前記支払保険金の総額/前記保険加入者数×(1+係数)であることを特徴とする請求項13に記載の保険管理プログラム。
【請求項16】
前記所定期間は、1か月単位であることを特徴とする請求項13に記載の保険管理プログラム。
【請求項17】
前記保険契約者の端末からの要求に応じて、前記保険加入者数および前記支払保険金の情報を前記保険契約者の端末に対して出力する処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項13に記載の保険管理プログラム。
【請求項18】
前記保険加入者の端末からの要求に応じて、前記保険加入者の負担金額の情報を前記保険加入者の端末に対して出力する処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項13に記載の保険管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保険管理装置、保険管理方法および保険管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
SNS(Social Networking Service)などを利用して保険の契約者グループを作り、保険料を割り勘するタイプの保険が知られている。このようなタイプの保険はP2P(ピア・トゥ・ピア)保険と呼ばれることがある(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】牛窪 賢一、“インシュアテックの進展”、[online]、2018年7月、損保総研レポート、[令和2年3月3日検索]、インターネット<URL:https://www.sonposoken.or.jp/media/reports/sonposokenreport124_1.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
P2P保険を団体契約とする場合、保険加入者だけではなく保険契約者も保険料を負担することがある。例えば、予め負担割合を定めておき、当該負担割合に応じて、保険契約者も保険料を負担する。しかしながら、P2P保険では保険料が総支払保険金および保険加入者数に応じて変動するため、保険契約者にとっては、保険加入者が支払う負担金額を変更できることが望まれる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、所定期間ごとに保険加入者の負担金額を変更することができる保険管理装置、保険管理方法、および保険管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る保険管理装置は、所定期間ごとの支払保険金の総額について、当該所定期間の保険加入者数に応じて保険加入者1人あたりの保険料を定め、前記1人あたりの保険料を、定められた負担割合に応じて保険契約者および保険加入者の少なくとも一方で負担する保険において、前記負担割合を変更する負担割合変更指示を受け付けた場合に、前記負担割合変更指示によって指示された負担割合を用いて、前記保険契約者の負担金額と、前記保険加入者の負担金額とを計算する計算部を備えることを特徴とする。
【0007】
上記保険管理装置において、前記保険契約者は複数であり、前記負担割合は、複数の前記保険契約者のそれぞれについて個別に変更可能であってもよい。
【0008】
上記保険管理装置において、前記1人あたりの保険料は、前記所定期間における前記支払保険金の総額/前記保険加入者数×(1+係数)であってもよい。
【0009】
上記保険管理装置において、前記所定期間は、1か月単位であってもよい。
【0010】
上記保険管理装置は、前記保険契約者の端末からの要求に応じて、前記保険加入者数および前記支払保険金の情報を前記保険契約者の端末に対して出力する第1出力部を備えていてもよい。
【0011】
上記保険管理装置は、前記保険加入者の端末からの要求に応じて、前記保険加入者の負担金額の情報を前記保険加入者の端末に対して出力する第2出力部を備えていてもよい。
【0012】
本発明に係る保険管理方法は、所定期間ごとの支払保険金の総額について、当該所定期間の保険加入者数に応じて保険加入者1人あたりの保険料を定め、前記1人あたりの保険料を、定められた負担割合に応じて保険契約者および保険加入者の少なくとも一方で負担する保険において、前記負担割合を変更する負担割合変更指示を受け付けた場合に、前記負担割合変更指示によって指示された負担割合を用いて、前記保険契約者の負担金額と、前記保険加入者の負担金額とを計算する処理をコンピュータが実行することを特徴とする。
【0013】
上記保険管理方法において、前記保険契約者は複数であり、前記負担割合は、複数の前記保険契約者のそれぞれについて個別に変更可能であってもよい。
【0014】
上記保険管理方法において、前記1人あたりの保険料は、前記所定期間における前記支払保険金の総額/前記保険加入者数×(1+係数)であってもよい。
【0015】
上記保険管理方法において、前記所定期間は、1か月単位であってもよい。
【0016】
上記保険管理方法において、前記保険契約者の端末からの要求に応じて、前記保険加入者数および前記支払保険金の情報を前記保険契約者の端末に対して出力する処理を前記コンピュータが実行してもよい。
【0017】
上記保険管理方法において、前記保険加入者の端末からの要求に応じて、前記保険加入者の負担金額の情報を前記保険加入者の端末に対して出力する処理を前記コンピュータが実行してもよい。
【0018】
本発明に係る保険管理プログラムは、所定期間ごとの支払保険金の総額について、当該所定期間の保険加入者数に応じて保険加入者1人あたりの保険料を定め、前記1人あたりの保険料を、定められた負担割合に応じて保険契約者および保険加入者の少なくとも一方で負担する保険において、前記負担割合を変更する負担割合変更指示を受け付けた場合に、前記負担割合変更指示によって指示された負担割合を用いて、前記保険契約者の負担金額と、前記保険加入者の負担金額とを計算する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0019】
上記保険管理プログラムにおいて、前記保険契約者は複数であり、前記負担割合は、複数の前記保険契約者のそれぞれについて個別に変更可能であってもよい。
【0020】
上記保険管理プログラムにおいて、前記1人あたりの保険料は、前記所定期間における前記支払保険金の総額/前記保険加入者数×(1+係数)であってもよい。
【0021】
上記保険管理プログラムにおいて、前記所定期間は、1か月単位であってもよい。
【0022】
上記保険管理プログラムにおいて、前記保険契約者の端末からの要求に応じて、前記保険加入者数および前記支払保険金の情報を前記保険契約者の端末に対して出力する処理を前記コンピュータに実行させてもよい。
【0023】
上記保険管理プログラムにおいて、前記保険加入者の端末からの要求に応じて、前記保険加入者の負担金額の情報を前記保険加入者の端末に対して出力する処理を前記コンピュータに実行させてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、所定期間ごとに保険加入者の負担金額を変更することができる保険管理装置、保険管理方法、および保険管理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】P2P保険の概要について例示する図である。
図2】実施例の概要について説明するための図である。
図3】実施例に係る保険管理システムの全体構成を例示するブロック図である。
図4】契約情報格納部が格納している保険契約テーブルを例示する図である。
図5】保険金情報格納部が格納している支払保険金額テーブルを例示する図である。
図6】保険契約者端末に表示される保険契約者用の情報を例示する図である。
図7】負担割合を変更する場合のフローチャートである。
図8】保険加入者端末に表示される保険加入者用の情報を例示する図である。
図9】保険契約者が閲覧要求する場合のフローチャート例示する図である。
図10】保険加入者が閲覧要求する場合のフローチャート例示する図である。
図11】(a)は保険管理装置のハードウェア構成を説明するためのブロック図であり、(b)は保険契約者端末のハードウェア構成を説明するためのブロック図であり、(c)は保険加入者端末のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
まず、P2P(ピア・トゥ・ピア)保険の概要について説明する。P2P保険とは、保険事故発生によって支払いが生じた支払保険金の総額である総支払保険金の額を、加入している保険加入者数で割ることで、保険加入者1人あたりの保険料の算出を行う保険である。所定期間(例えば、1か月単位)の総支払保険金と保険加入者数とによって算出されるため、保険加入者1人あたりの保険料は、毎月変動する。
【0027】
図1は、P2P保険の概要について例示する図である。図1で例示するように、一例として、商品の販売メーカーが商品を販売店に卸す。複数の商品購入者は、販売店から商品を購入する。一例として商品が自動車である場合、販売店は、各商品購入者に対して自動車に関する損害保険についてのP2P保険を販売する。この場合、販売店が保険契約者に相当し、各商品購入者が保険加入者に相当する。一例として、ある月(N-1月)における保険加入者数が12人であるものとする。
【0028】
当該N-1月に、ある保険加入者が事故を起こすなどして総支払保険金=9240円が発生したとする。この場合、総支払保険金を保険加入者数=12人で割って保険料を算出する。例えば、下記式(1)に従って、保険料を算出する。下記式(1)において、契約管理係数は、P2P保険を運営するうえでの手数料などである。契約管理係数を一例として0.3とすると、保険加入者1人あたりの保険料は、9240円/12人×(1+0.3)=約1000円となる。したがってN-1月の次の月であるN月においては、保険加入者1人あたりの保険料は、約1000円となる。
保険料=総支払保険金額/保険加入者数×(1+契約管理係数) (1)
【0029】
月ごとに保険事故発生件数が変動し、各保険事故の保険金も変動するため、月ごとに総支払保険金額が変動する。また、月ごとに保険加入者数も変動する。そのため、保険加入者1人あたりの保険料は毎月変動することになる。
【0030】
このP2P保険を団体契約とする場合、保険加入者だけではなく保険契約者も保険料を負担することがある。例えば、予め負担割合を定めておき、当該負担割合に応じて、保険契約者も保険料を負担する。例えば、負担割合が50%であるとすると、保険契約者は、保険加入者1人あたりの保険料×50%×保険加入者数を負担することになる。上記の例では、1000円×50%×12人=6000円の保険料を保険契約者が負担することになる。
【0031】
しかしながら、上述したように、P2P保険では毎月の保険料が総支払保険金および保険加入者数に応じて変動するため、保険料実績の傾向が期初の事業計画から大きく外れるおそれがある。そこで、保険契約者にとっては、期初の事業計画と毎月の保険料実績の傾向とを照らし合わせ、保険期間の途中において、保険加入者が支払う負担金額を変更するか否かを検討することが望まれる。
【0032】
以下の実施例では、保険期間の途中において、保険加入者が支払う負担金額を変更することができる保険管理装置、保険管理方法、および保険管理プログラムが実現する保険管理について説明する。
【実施例1】
【0033】
まず、実施例1の概要について説明する。図2は、実施例1の概要について説明するための図である。まず、P2P保険を構成するプール(集団)は保険契約者の上位層を単位とする。プール単位を販売メーカーとし、保険契約者を販売店とし、保険加入者を商品購入者とする。N月における保険加入者1人あたりの保険料は、上記式(1)に従って、プールに属する保険加入者のN-1月の総支払保険金額と、N-1月の保険加入者数とから計算することができる。保険契約者は、保険料の負担割合を自由に設定することが可能で、保険料から予め設定した保険契約者の負担金額を差し引いた額を加入者の負担金額として保険加入者から集金する。
【0034】
例えば、上述した例では、N月における保険加入者1人あたりの保険料は、約1000円となる。例えば、販売店Aが契約している保険加入者が4人で、販売店Bが契約している保険加入者が4人で、販売店Cが契約している保険加入者が4人であるとする。
【0035】
例えば、販売店Aは、各保険加入者から1000円の負担金額を集金するのではなく、保険加入者1人あたり500円を負担し、合計で2000円を負担するように保険料の負担割合を変更する。この場合、販売店Aが契約している保険加入者は、1人あたり500円を負担するようになる。
【0036】
例えば、販売店Bは、各保険加入者から1000円の負担金額を集金するのではなく、保険加入者1人あたり400円を負担し、合計で1600円を負担するように保険料の負担割合を変更する。この場合、販売店Bが契約している保険加入者は、1人あたり600円を負担するようになる。
【0037】
例えば、販売店Cは、各保険加入者から1000円の負担金額を集金するのではなく、保険加入者1人あたり200円を負担し、合計で800円を負担するように保険料の負担割合を変更する。この場合、販売店Cが契約している保険加入者は、1人あたり800円を負担するようになる。
【0038】
このように、P2P保険において保険料の負担割合を変更可能にすることで、例えば、期初の事業計画と毎月の保険料実績の傾向とを照らし合わせ、保険期間の途中において、保険加入者が支払う負担金額を変更するか否かを検討することができるようになる。
【0039】
続いて、本実施例に係る保険管理を実現するための装置構成および処理の具体例について説明する。図3は、本実施例に係る保険管理システム500の全体構成を例示するブロック図である。図3で例示するように、保険管理システム500は、保険管理装置100、保険契約者端末200、保険加入者端末300などを備える。保険管理装置100と保険契約者端末200とは、無線または有線の通信回線で接続されている。保険管理装置100と保険加入者端末300とは、無線または優先の通信回線で接続されている。一例として、通信回線として、インターネット400が用いられている。
【0040】
保険管理装置100は、契約情報格納部10、保険金情報格納部20、保険料計算部30、第1出力部40、第2出力部50などを備える。
【0041】
契約情報格納部10は、保険契約の情報を格納している。図4は、契約情報格納部10が格納している保険契約テーブルを例示する図である。図4で例示するように、保険契約者IDに関連付けて、保険加入者ID、負担割合などの情報が格納されている。負担割合には、保険加入者1人あたりの保険料に対して保険契約者が負担する割合が格納されている。この負担割合は、販売店ごとに設定されている。したがって、販売店Aと販売店Bとで、負担割合が異なることがある。保険契約テーブルでは、現時点でP2P保険に加入している保険加入者のIDだけが格納されているため、保険加入者IDの個数をカウントすることで、保険加入者数を算出することができる。
【0042】
保険金情報格納部20は、毎月の総支払保険金額を格納している。図5は、保険金情報格納部20が格納している支払保険金額テーブルを例示する図である。図5で例示するように、月ごとに、保険加入者から請求のあった支払保険金の金額が格納されている。支払保険金は、保険No.ごとに格納されている。月ごとに支払保険金を合計すれば、月ごとの総支払保険金額を算出することができる。月ごとに保険No.をカウントすることで、月ごとの保険事故発生件数を算出することができる。
【0043】
保険契約者が保険契約者端末200を操作することで、保険契約者用の情報を閲覧することができる。例えば、図6は、保険契約者端末200に表示される保険契約者用の情報を例示する図である。保険契約者用の情報は、第1出力部40から保険契約者端末200に送信される。
【0044】
図6で例示するように、保険契約者用の情報には、毎月の保険加入者数の推移が含まれる。毎月の保険加入者数の推移は、契約情報格納部10が格納している契約情報テーブルを参照することによって得ることができる。毎月の保険加入者数の推移には、閲覧している保険契約者が契約している保険加入者だけの数値も含まれている。当該数値は、棒グラフの網掛けの部分である。
【0045】
また、保険契約者用の情報には、毎月の総支払保険金額の推移が含まれる。毎月の総支払保険金額は、保険金情報格納部20が格納している支払保険金額テーブルを参照することで得ることができる。毎月の総支払保険金額には、閲覧している保険契約者が契約している保険加入者だけの数値も含まれている。当該数値は、棒グラフの網掛けの部分である。
【0046】
また、保険契約者用の情報には、毎月の事故発生件数が含まれる。毎月の事故発生件数は、保険金情報格納部20が格納している支払保険金額テーブルの毎月の保険支払回数をカウントすることによって得ることができる。毎月の事故発生件数には、閲覧している保険契約者が契約している保険加入者だけの数値も含まれている。当該数値は、棒グラフの網掛けの部分である。
【0047】
また、保険契約者用の情報には、前月の保険契約者数=1234人、上記式(1)から算出された1人あたりの保険料=1000円、保険契約者の負担割合=30%、保険加入者1人に対する保険契約者の負担額=1000円×30%=300円が含まれている。保険契約者は、これらの情報を閲覧することで、今月の負担金額の情報を得ることができる。
【0048】
保険契約者は、第1出力部40が出力する保険契約者用の情報を基に、負担割合を変更することができる。図7は、この場合のフローチャートである。図7で例示するように、保険契約者は、保険契約者端末200を操作することで、当該保険契約者の負担割合を変更するための指示(負担割合変更指示)を保険管理装置100に送信する(ステップS1)。
【0049】
契約情報格納部10は、保険契約者端末200から負担割合変更指示を受け付ける(ステップS2)。次に、契約情報格納部10は、当該保険契約者の負担割合を負担割合変更指示によって指示された数値に変更して保険契約テーブルに格納する(ステップS3)。次に、保険料計算部30は、ステップS3で格納された負担割合と、上記式(1)とから、当該保険契約者の負担金(保険契約者1人あたり)を計算するとともに、当該保険契約者が契約している保険加入者から集金する加入者保険料を計算する(ステップS4)。その後、フローチャートの実行が終了する。
【0050】
なお、図7の例では、保険契約者端末200から保険管理装置100が負担割合変更指示を受信していたが、それに限られない。例えば、保険契約者端末200から負担割合変更指示が送信された場合に、他の装置や人が保険管理装置100に負担割合変更指示の内容を入力してもよい。一例として、保険契約者端末200から負担割合変更指示が送信され、保険会社の社員の端末が受信した場合に、当該社員が保険管理装置100に負担割合変更指示の内容を入力してもよい。
【0051】
保険加入者は、保険加入者端末300を操作することで、保険加入者用の情報を閲覧することができる。例えば、図8は、保険加入者端末300に表示される保険加入者用の情報を例示する図である。保険加入者用の情報は、第2出力部50から保険加入者端末300に送信される。
【0052】
図8で例示するように、保険加入者用の情報には、前月の総支払保険金額および加入者数が含まれる。毎月の総支払保険金額および保険加入者数は、契約情報格納部10が格納している契約情報テーブルおよび保険金情報格納部20が格納している支払保険金額テーブルを参照することで得ることができる。また、保険加入者用の情報には、当該保険加入者が支払う保険料が含まれる。保険料は、保険料計算部30の計算結果である。なお、保険加入者用の情報には、当該保険加入者の保険料上限額も含まれる。
【0053】
ここで、保険契約者が閲覧要求する場合および保険加入者が閲覧要求する場合の保険管理装置100の動作についてのフローチャートについて説明する。図9は、保険契約者が閲覧要求する場合のフローチャート例示する図である。図9で例示するように、保険契約者は、保険契約者端末200を操作することで、保険契約者用の情報の閲覧要求を送信する(ステップS11)。
【0054】
第1出力部40は、保険契約者端末200から閲覧要求を受信する(ステップS12)。次に、第1出力部40は、図6で例示するような保険契約者用の情報を保険契約者端末200に出力する(ステップS13)。次に、保険契約者端末200は、保険契約者用の情報を画面に表示する(ステップS14)。その後、フローチャートの実行が終了する。
【0055】
図10は、保険加入者が閲覧要求する場合のフローチャート例示する図である。図10で例示するように、保険加入者は、保険加入者端末300を操作することで、保険加入者用の情報の閲覧要求を送信する(ステップS21)。
【0056】
第2出力部50は、保険加入者端末300から閲覧要求を受信する(ステップS22)。次に、第2出力部50は、図8で例示するような保険加入者用の情報を保険加入者端末300に出力する(ステップS23)。次に、保険加入者端末300は、保険加入者用の情報を画面に表示する(ステップS24)。その後、フローチャートの実行が終了する。
【0057】
図11(a)は、保険管理装置100のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。図11(a)で例示するように、保険管理装置100は、CPU101、RAM102、記憶装置103、通信装置104などを使用する。これらの各機器は、バスなどによって接続されている。CPU(Central Processing Unit)101は、中央演算処理装置である。RAM(Random Access Memory)102は、CPU101が実行するプログラム、CPU101が処理するデータなどを一時的に記憶する揮発性メモリである。記憶装置103は、不揮発性記憶装置である。記憶装置103として、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリなどのソリッド・ステート・ドライブ(SSD)、ハードディスクドライブに駆動されるハードディスクなどを用いることができる。記憶装置103に記憶されている保険管理プログラムをCPU101が実行することによって、保険管理装置100の各部の機能が実現される。なお、保険管理装置100の各部の機能は、それぞれ専用の回路等によって構成されていてもよい。通信装置104は、インターネット400に対するインタフェースである。
【0058】
図11(b)は、保険契約者端末200のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。図11(b)で例示するように、保険契約者端末200は、CPU201、RAM202、記憶装置203、通信装置204、タッチパネル205などを備える。これらの各機器は、バスなどによって接続されている。CPU201は、中央演算処理装置である。RAM202は、CPU201が実行するプログラム、CPU201が処理するデータなどを一時的に記憶する揮発性メモリである。記憶装置203は、不揮発性記憶装置である。記憶装置203として、例えば、ROM、フラッシュメモリなどのソリッド・ステート・ドライブ、ハードディスクドライブに駆動されるハードディスクなどを用いることができる。通信装置204は、インターネット400に対するインタフェースである。タッチパネル205は、保険契約者端末200を操作するための装置であるとともに、第1出力部40が出力する情報を表示するための装置である。
【0059】
図11(c)は、保険加入者端末300のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。図11(c)で例示するように、保険加入者端末300は、CPU301、RAM302、記憶装置303、通信装置304、タッチパネル305などを備える。これらの各機器は、バスなどによって接続されている。CPU301は、中央演算処理装置である。RAM302は、CPU301が実行するプログラム、CPU301が処理するデータなどを一時的に記憶する揮発性メモリである。記憶装置303は、不揮発性記憶装置である。記憶装置303として、例えば、ROM、フラッシュメモリなどのソリッド・ステート・ドライブ、ハードディスクドライブに駆動されるハードディスクなどを用いることができる。通信装置304は、インターネット400に対するインタフェースである。タッチパネル305は、保険加入者端末300を操作するための装置であるとともに、第2出力部50が出力する情報を表示するための装置である。
【0060】
本実施例によれば、P2P保険を団体契約にする場合において、保険契約者が負担する負担割合を自由に設定することができる。それにより、例えば、期初の事業計画と毎月の保険料実績の傾向とを照らし合わせ、保険期間の途中において、保険加入者が支払う保険料を変更するか否かを検討することができるようになる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0062】
10 契約情報格納部
20 保険金情報格納部
30 保険料計算部
40 第1出力部
50 第2出力部
100 保険管理装置
200 保険契約者端末
300 保険加入者端末
400 インターネット
500 保険管理システム
【要約】
【課題】 所定期間ごとに保険加入者の負担金額を変更することができる保険管理装置、保険管理方法、および保険管理プログラムを提供する。
【解決手段】 保険管理装置は、所定期間ごとの支払保険金の総額について、当該所定期間の保険加入者数に応じて保険加入者1人あたりの保険料を定め、前記1人あたりの保険料を、定められた負担割合に応じて保険契約者および保険加入者の少なくとも一方で負担する保険において、前記負担割合を変更する負担割合変更指示を受け付けた場合に、前記負担割合変更指示によって指示された負担割合を用いて、前記保険契約者の負担金額と、前記保険加入者の負担金額とを計算する計算部を備えることを特徴とする。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
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図8
図9
図10
図11