(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20240514BHJP
A24F 40/57 20200101ALI20240514BHJP
A24F 40/30 20200101ALI20240514BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/57
A24F40/30
(21)【出願番号】P 2022575270
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(86)【国際出願番号】 KR2022015719
(87)【国際公開番号】W WO2023075249
(87)【国際公開日】2023-05-04
【審査請求日】2023-02-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0145686
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ホ リム
(72)【発明者】
【氏名】ソン、イン ボム
(72)【発明者】
【氏名】ウー、ジ ソブ
(72)【発明者】
【氏名】リー、チャン グク
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、キュン ビン
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-519276(JP,A)
【文献】特表2020-519283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料としてタバコ及び香料植物のうち少なくとも1つを含み、前記原料からの抽出成分が超臨界流体により抽出される超臨界抽出部、
前記超臨界抽出部から排出された前記抽出成分が捕集物質で捕集される捕集部、
前記超臨界抽出部と前記捕集部の間に配置され、前記抽出成分が前記超臨界抽出部から前記捕集部に流入する経路である流入部、
前記超臨界抽出部及び前記捕集部のうち少なくとも1つを加熱する加熱部、及び
内部に前記超臨界抽出部、前記捕集部、前記流入部、及び前記加熱部が配置されたボディ部、を含む、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記抽出成分は、ニコチン、タバコ香、及び香料のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記超臨界流体は、二酸化炭素、プロパン、ブタン、ペンタン、エタノール、エチレン、フッ素化されたエタン、フッ素化されたプロパン及びフッ素化されたブタンのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記捕集物質は、エアロゾルを発生させることができるエアロゾル発生剤を含む、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記エアロゾル発生剤は、グリセロール及びプロピレングリコールのうち少なくとも1つを含む、請求項4に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記タバコはタバコ粉末である、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記加熱部は、前記超臨界抽出部を加熱する第1加熱部及び前記捕集部を加熱する第2加熱部を含み、
前記第1加熱部は前記抽出成分が前記超臨界流体により抽出されるとき作動し、
前記第2加熱部は前記抽出成分が前記捕集物質で捕集されるとき作動する、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記第1加熱部及び前記第2加熱部の加熱温度は互いに相違する、請求項7に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記超臨界抽出部及び前記捕集部は、前記ボディ部から分離され交換可能な、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記超臨界抽出部と連結及び分離が可能であり、前記超臨界流体を前記超臨界抽出部に供給する供給部をさらに含む、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記ボディ部は、一端に形成された窪みを有し、
使用時に前記抽出成分は、前記捕集部から前記窪みを介して放出される、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記ボディ部は、一端に形成された窪みを有し、
前記窪みはタバコを含むエアロゾル発生物品が挿入される領域である、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生装置に関する。より詳細には、本開示は超臨界抽出部を含むエアロゾル発生装置に関する。
本出願は2021年10月28日付の韓国特許出願第10-2021-0145686号を基礎とする優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示された全ての内容を本明細書の一部として含む。
【背景技術】
【0002】
最近、一般的な紙巻きタバコの短所を克服する代替方法に関する需要が増加している。具体的には、紙巻きタバコを燃焼させるのではなく加熱してニコチン等のタバコ成分を移行させる電子タバコに対する需要が段々と増加している。
一方、超臨界状態の二酸化炭素のような超臨界流体を使用して、望む抽出成分を抽出する超臨界抽出は、植物科学、医薬品、食品、化粧品等、多様な分野で広く活用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】大韓民国公開特許公報第10-2021-0111224号(2021年9月10日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、タバコ、香料植物のような原料から、ニコチン、タバコ香、香料等の抽出成分を超臨界抽出するための超臨界抽出部を含む新規のエアロゾル発生装置を提供するためのものである。
【0005】
また、本開示は、別途の香料製造工程及び加香工程が要求されないエアロゾル発生装置を提供するためのものである。これにより、香料製造工程時に使用されるエネルギーを低減して炭素排出を減らし、親環境的に製造されたエアロゾル発生装置を提供するためのものである。
【0006】
また、本開示は、タバコ、香料植物のような原料から、ニコチン、タバコ香、香料等の抽出成分をデバイス内で直に抽出、分離後にエアロゾルとともに移行されるようにすることにより、新鮮で自然に近い香味を提供できるエアロゾル発生装置を提供するためのものである。
【0007】
また、本開示は、製造工程の簡素化及び設備の最小化を図ることができるエアロゾル発生装置を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は、一実施例として、原料としてタバコ及び香料植物のうち少なくとも1つを含み、前記原料からの抽出成分が超臨界流体により抽出される超臨界抽出部、前記超臨界抽出部から排出された前記抽出成分が捕集物質で捕集される捕集部、前記超臨界抽出部と前記捕集部の間に配置され、前記抽出成分が前記超臨界抽出部から前記捕集部に流入する経路である流入部、前記超臨界抽出部及び前記捕集部のうち少なくとも1つを加熱する加熱部、及び、内部に前記超臨界抽出部、前記捕集部、前記流入部、及び前記加熱部が配置されたボディ部、を含むエアロゾル発生装置を提供する。
【0009】
前記エアロゾル発生装置において、前記抽出成分は、ニコチン、タバコ香、及び香料のうち少なくとも1つを含むことができる。
【0010】
前記エアロゾル発生装置において、前記超臨界流体は、二酸化炭素、プロパン、ブタン、ペンタン、エタノール、エチレン、フッ素化されたエタン、フッ素化されたプロパン及びフッ素化されたブタンのうち少なくとも1つを含むことができる。
【0011】
前記エアロゾル発生装置において、前記捕集物質は、エアロゾルを発生させることができるエアロゾル発生剤を含むことができる。
【0012】
前記エアロゾル発生装置において、前記エアロゾル発生剤は、グリセロール及びプロピレングリコールのうち少なくとも1つを含むことができる。
【0013】
前記エアロゾル発生装置において、前記タバコは、タバコ粉末であり得る。
【0014】
前記エアロゾル発生装置において、前記加熱部は、前記超臨界抽出部を加熱する第1加熱部及び前記捕集部を加熱する第2加熱部を含み、前記第1加熱部は前記抽出成分が前記超臨界流体により抽出されるとき作動し、前記第2加熱部は前記抽出成分が前記捕集物質で捕集されるとき作動するものであり得る。
【0015】
前記エアロゾル発生装置において、前記第1加熱部及び前記第2加熱部の加熱温度は、互いに相違し得る。
【0016】
前記エアロゾル発生装置において、前記超臨界抽出部及び前記捕集部は、前記ボディ部から分離され交換可能であり得る。
【0017】
前記エアロゾル発生装置は、前記超臨界抽出部と連結及び分離が可能であり、前記超臨界流体を前記超臨界抽出部に供給する供給部、をさらに含むことができる。
【0018】
前記エアロゾル発生装置において、前記ボディ部は、一端に形成された窪みを有し、使用時に前記抽出成分は、前記捕集部から前記窪みを介して放出されることができる。
【0019】
前記エアロゾル発生装置において、前記ボディ部は、一端に形成された窪みを有し、前記窪みはタバコを含むエアロゾル発生物品が挿入される領域であり得る。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、タバコ、香料植物のような原料から、ニコチン、タバコ香、香料等の抽出成分を超臨界抽出するための超臨界抽出部を含む新規のエアロゾル発生装置を提供することができる。
【0021】
また、本開示によれば、別途の香料製造工程及び加香工程が要求されないエアロゾル発生装置を提供することができる。これにより、香料製造工程時に使用されるエネルギーを低減して炭素排出を減らし、親環境的に製造されたエアロゾル発生装置を提供することができる。
【0022】
また、本開示によれば、タバコ、香料植物のような原料からニコチン、タバコ香、香料等の抽出成分をデバイス内で直に抽出、分離後にエアロゾルとともに移行されるようにすることにより、新鮮で自然に近い香味を提供できるエアロゾル発生装置を提供することができる。
【0023】
また、本開示によれば、製造工程の簡素化及び設備の最小化を図ることができるエアロゾル発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施例によるエアロゾル発生装置の断面図である。
【
図2(a)】本発明の一実施例によるエアロゾル発生装置の超臨界抽出部に超臨界流体が供給される工程を説明するための概略図である。
【
図2(b)】本発明の一実施例によるエアロゾル発生装置の超臨界抽出部に超臨界流体が供給される工程を説明するための概略図である。
【
図3(a)】本発明の一実施例によるエアロゾル発生装置で抽出成分が抽出、捕集及び放出される工程を説明するための概略図である。
【
図3(b)】本発明の一実施例によるエアロゾル発生装置で抽出成分が抽出、捕集及び放出される工程を説明するための概略図である。
【
図3(c)】本発明の一実施例によるエアロゾル発生装置で抽出成分が抽出、捕集及び放出される工程を説明するための概略図である。
【
図3(d)】本発明の一実施例によるエアロゾル発生装置で抽出成分が抽出、捕集及び放出される工程を説明するための概略図である。
【
図4】本発明の一実施例によるエアロゾル発生装置にエアロゾル発生物品が挿入された状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、説明及び添付された図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明することにする。ただし、以下の説明及び添付された図面を介して提供される実施例は、本発明についての理解を助けるためのものであり、本発明の実施形態を実施例で制限しようとするものではない。したがって、前述の実施例は例示的なものと解釈されるべきであり、限定的と解釈されてはならない。
【0026】
また、図面には説明の便宜のために構成要素のうち全部または一部が誇張されるか縮小されて示されていることがある。それだけでなく、一部の構成要素が省略されて示されていることもある。
【0027】
図1は、本発明の一実施例によるエアロゾル発生装置の断面図である。
図面を参考にすると、本発明の一実施例によるエアロゾル発生装置100は、原料としてタバコ及び香料植物のうち少なくとも1つを含み、前記原料からの抽出成分が超臨界流体により抽出される超臨界抽出部110、前記超臨界抽出部から排出された前記抽出成分が捕集物質で捕集される捕集部120、前記超臨界抽出部110と前記捕集部120の間に配置され、前記抽出成分が前記超臨界抽出部110から前記捕集部120に流入する経路である流入部130、前記超臨界抽出部110及び前記捕集部120のうち少なくとも1つを加熱する加熱部140、及び、内部に前記超臨界抽出部110、前記捕集部120、前記流入部130、及び前記加熱部140が配置されたボディ部150を含む。
【0028】
前記超臨界抽出部110には、原料としてタバコ及び香料植物のうち少なくとも1つが配置され、超臨界流体が供給されることができる。これにより、前記超臨界抽出部110では、原料であるタバコ及び香料植物のうち少なくとも1つからの抽出成分が超臨界流体により抽出されることができる。この際、超臨界流体は、後述する供給部160から前記超臨界抽出部110に供給されることができる。
【0029】
前記超臨界抽出部110の形状は特に制限されるものではないが、例えば円筒形状であり得る。前記超臨界抽出部110の直径は前記捕集部120の直径と互いに同一であってもよいが、互いに相違してもよい。前記超臨界抽出部110の形成材料もまた特に制限されるものではないが、例えばステンレススチールのような熱伝導性物質であり得る。超臨界抽出部110の形成材料として熱伝導性物質を使用する場合、第1加熱部141で加熱時に超臨界抽出部110に十分な熱が伝達されることができる。
【0030】
効率的な超臨界抽出のために、前記超臨界抽出部110の大きさは、前記捕集部120の大きさより大きくてよい。ここで、大きさは体積を意味し得る。ただし、これに制限されるものではなく、前記超臨界抽出部110の大きさは、前記捕集部120の大きさと同一であるか前記捕集部120の大きさより小さくてもよい。
【0031】
前記超臨界抽出部110に含まれたタバコは、粉砕されたタバコの葉、粉砕されたタバコの茎、粉砕された再構成タバコ等を含むタバコ粉末であり得る。このように、タバコの葉、タバコの茎、再構成タバコ等を粉砕して得られた粉末形態のタバコは、小さなサイズのエアロゾル生成装置100に使用するのに特に適することができる。また、タバコ粉末は表面積が広くて超臨界抽出の効率性を高めることができる。
【0032】
前記超臨界抽出部110に含まれたタバコの原料としては、黄色種、バーレー(burley)種、オリエント種、板状葉、膨化刻みタバコ及び膨化主脈等が使用されることができる。また、タバコの原料として2種以上のタバコの原料が混合して使用されることもでき、このとき混合されるタバコの原料それぞれの含量は互いに同一であってもよく、互いに相違してもよい。
【0033】
前記超臨界抽出部110に含まれた香料植物としては、メントール、カモミール、ハッカ、桂皮、ペパーミント、スペアミント、ラベンダー、コロハ、ベルガモット、サルビア、ゼラニウム、ジャスミン、イランイラン、セージ、カーダモン、カルダモン、ニクズク、セロリ、パクチー、桂、アジサイ、ウイキョウ、アニス、甘草、木蓮、丁香、白檀香、キャラウェイ、生姜、コーヒー、マンダリン、レモン及びオレンジのうち少なくとも1つを使用することができるが、香料植物の種類が前述の例に制限されるものではなく、香料植物としては加香の役割を行うことができる材料を多様に使用することができる。
【0034】
前記超臨界抽出部110で抽出される抽出成分は、ニコチン、タバコ香、及び香料のうち少なくとも1つを含むことができる。例えば、前記超臨界抽出部110がタバコを含む場合、ニコチン、タバコ香等のタバコ成分が抽出成分としてタバコから超臨界流体で抽出されることができる。または、前記超臨界抽出部110が香料植物を含む場合、香料が抽出成分として香料植物から超臨界流体で抽出されることができる。前記超臨界抽出部110がタバコ及び香料植物を両方含む場合、ニコチン、タバコ香等のタバコ成分及び香料が抽出成分として超臨界流体で抽出されることができることはもちろんである。
【0035】
前記超臨界抽出部110で抽出成分を抽出する超臨界流体は、超臨界抽出に使用できる超臨界流体を制限なしに使用することができ、例えば二酸化炭素、プロパン、ブタン、ペンタン、エタノール、エチレン、及び推進体のうち少なくとも1つを含むことができる。本明細書で推進体は、ニコチン、タバコ香、香料等の原料から発生したエアロゾルを使用者の口腔に運搬する物質を意味し、具体的にはフッ素化されたエタン、フッ素化されたプロパン及びフッ素化されたブタンのうち少なくとも1つを含むことができる。推進体としてのフッ素化されたエタンとしてはテトラフルオロエタン(tetrafluoroethane)を使用することができる。
【0036】
超臨界流体は、超臨界流体の臨界温度及び臨界圧力を超過する高圧及び高温の状態である。例えば、超臨界流体として二酸化炭素を使用する場合、二酸化炭素は二酸化炭素の臨界温度、すなわち、約31℃を超過し、二酸化炭素の臨界圧力、すなわち、約73気圧を超過する超臨界状態で前記超臨界抽出部110に供給されて超臨界抽出を行う。また他の例として、超臨界流体としてプロパンを使用する場合、プロパンはプロパンの臨界温度、すなわち約97℃を超過し、プロパンの臨界圧力、すなわち約42気圧を超過する超臨界状態で前記超臨界抽出部110に供給されて超臨界抽出を行う。また他の例として、超臨界流体としてn-ブタンを使用する場合、ブタンはブタンの臨界温度、すなわち約152℃を超過し、ブタンの臨界圧力、すなわち約38気圧を超過する超臨界状態で前記超臨界抽出部110に供給されて超臨界抽出を行う。
【0037】
前記捕集部120には捕集物質が配置され、前記捕集部120には前記超臨界抽出部110から排出された抽出成分が流入する。流入した抽出成分は、前記捕集部120において捕集物質で捕集されることができる。
【0038】
この際、超臨界抽出部110から排出された抽出成分は、超臨界流体として使用された流体とともに捕集部120に流入することができる。この場合、前記捕集部120で抽出成分は、超臨界流体として使用された流体から捕集物質に伝達されることができる。超臨界流体として使用された流体は、前記捕集部120でも超臨界状態で存在することもできるが、前記捕集部120では前記超臨界抽出部110でとは異なり超臨界状態でない状態で存在することもできる。
【0039】
前記捕集部120の形状は特に制限されるものではないが、例えば円筒形状であり得る。前記捕集部120の直径は、前記捕集部120の直径と互いに同一であってもよいが、互いに相違してもよい。前記捕集部120の形成材料もまた特に制限されるものではないが、例えばステンレススチールのような熱伝導性物質であり得る。捕集部120の形成材料として熱伝導性物質を使用する場合、第2加熱部142で加熱時に捕集部120に十分な熱が伝達されることができる。
【0040】
前記捕集物質は、エアロゾルを発生させることができるエアロゾル発生剤を含むことができる。前記エアロゾル発生剤は、グリセロール及びプロピレングリコールのうち少なくとも1つを含むことができるが、これに制限されるものではない。前記捕集物質は、アセテートトウ等のフィルタトウに含浸されてフィルタトウとともに前記捕集部120に配置されたものであり得る。
【0041】
前記流入部130は、前記超臨界抽出部110と前記捕集部120の間に配置され、前記超臨界抽出部110及び前記捕集部120を連結することにより、抽出成分が前記超臨界抽出部110から前記捕集部120に流入する経路の役割をする。
【0042】
前述したとおり、超臨界抽出部110から排出された抽出成分は、超臨界流体として使用された流体とともに捕集部120に流入することができる。この場合、超臨界抽出部110から排出された抽出成分は、超臨界流体として使用された流体とともに前記流入部130を介して前記超臨界抽出部110から前記捕集部120に流入することができる。超臨界流体として使用された流体は、前記流入部130でも超臨界状態で存在することもできるが、前記流入部130では前記超臨界抽出部110でとは異なり超臨界状態でない状態で存在することもできる。
【0043】
前記流入部130は、開け閉めができるゲート(gate)を含むことができる。ゲートが開く場合、前記超臨界抽出部110及び前記捕集部120は互いに連結されることができ、閉じる場合、前記超臨界抽出部110及び前記捕集部120は互いに断絶されることができる。したがって、ゲートが開く場合は、抽出成分は超臨界流体として使用された流体とともに前記超臨界抽出部110から前記捕集部120に流入することができる。また、抽出成分が超臨界流体として使用された流体とともに前記超臨界抽出部110から前記捕集部120に流入する前及び/または後にはゲートは閉じることができる。
【0044】
前記流入部130は、超臨界流体の圧力により抽出成分が超臨界流体として使用された流体とともに前記超臨界抽出部110から前記捕集部120に流入する経路を形成するものであり得る。この際、前述したように前記流入部130がゲートを含む場合、前記流入部130は、超臨界流体の圧力によりゲートが開いて、抽出成分が超臨界流体として使用された流体とともに前記超臨界抽出部110から前記捕集部120に流入する経路を形成するものであり得る。ただし、これに制限されるものではなく、前記流入部130がゲートを含まない場合でも、前記流入部130は、前記超臨界抽出部110及び前記捕集部120間の圧力差により、抽出成分が超臨界流体として使用された流体とともに前記超臨界抽出部110から前記捕集部120に流入する経路を形成するものでもあり得る。また他の例として、前記流入部130は制御部(図示なし)によりゲートが開いて、抽出成分が超臨界流体として使用された流体とともに前記超臨界抽出部110から前記捕集部120に流入する経路を形成するものでもあり得る。
【0045】
前記流入部130の形状は特に制限されるものではないが、例えば円筒形状であり得る。前記流入部130の直径は、前記超臨界抽出部110及び前記捕集部120それぞれの直径より小さくてよい。前記流入部130の形成材料もまた特に制限されるものではないが、例えばプラスチックまたは金属等であり得る。
【0046】
前記加熱部140は、前記超臨界抽出部110及び前記捕集部120のうち少なくとも1つを加熱する。前記超臨界抽出部110は、超臨界抽出時に加熱が要求され得るし、前記捕集部120はエアロゾル発生のために加熱が要求され得るためである。
【0047】
前記加熱部140は、前記ボディ部150に少なくとも一部が埋め込まれるように配置されることができる。例えば、図面に示されたように、前記加熱部140は前記ボディ部150に全部が埋め込まれることもできるが、これと異なり、前記加熱部140は前記ボディ部150に一部だけが埋め込まれて前記ボディ部150の内面に露出することもできる。ただし、これに制限されるものではなく、前記加熱部140は前記ボディ部150の内面上に配置されて前記ボディ部150で囲まれることもできる。
【0048】
前記加熱部140は、前記超臨界抽出部110を加熱する第1加熱部141、及び前記捕集部120を加熱する第2加熱部142を含むことができる。前記第1加熱部141は、抽出成分が超臨界流体により抽出されるときに作動し、前記第2加熱部142は、抽出成分が捕集物質で捕集されるとき作動することができる。すなわち、前記第1加熱部141及び前記第2加熱部142の作動時間は、互いに相違し得る。また、前記第1加熱部141及び前記第2加熱部142の加熱温度は、互いに相違し得る。前述したとおり、前記超臨界抽出部110は超臨界抽出時に加熱が要求され得、前記捕集部120はエアロゾル発生のために加熱が要求され得るが、超臨界抽出のために要求される加熱温度はエアロゾル発生のために要求される加熱温度と相違し得るためである。このために、前記第1加熱部141及び前記第2加熱部142の作動時間、温度等はそれぞれ制御されることができることはもちろんである。
【0049】
効率的な超臨界抽出のために、前記第1加熱部141の加熱温度は20℃~300℃であり得る。
【0050】
効率的なエアロゾル発生のために、前記第2加熱部142の加熱温度は200℃~300℃であり得る。
【0051】
前記第1加熱部141は、前記超臨界抽出部110の一端及び他端の間の領域を囲む形態で配置されることができる。これと類似して、前記第2加熱部142は、前記捕集部120の一端及び他端の間の領域を囲む形態で配置されることができる。前記第1加熱部141及び前記第2加熱部142は、互いに所定距離離隔されて配置されることができるが、互いに隣接して配置されることもできる。ただし、設計によって、前記加熱部140は前記超臨界抽出部110及び前記捕集部120のうち少なくとも1つを加熱する単数の加熱部で構成されることもできる。
【0052】
前記ボディ部150は、前記エアロゾル発生装置100の外観をなすことができ、一端に形成された窪みgを有することができる。前記ボディ部150の内部には、前記超臨界抽出部110、前記捕集部120、前記流入部130、及び前記加熱部140が配置される。ここで、前記ボディ部150の内部に配置されるということは、前記ボディ部150に少なくとも一部が埋め込まれることと、前記ボディ部150の内側に配置されて前記ボディ部150で囲まれることを全て含む意味である。
【0053】
使用時に、前記超臨界抽出部110で抽出されて前記捕集部120に流入した抽出成分は、前記捕集部120から前記窪みgを介して放出されることができる。図面を基準として、抽出成分は矢印で表示された方向である前記捕集部120の右方向に放出されることができる。したがって、使用者は、エアロゾル発生装置100の前記窪みgが形成された一端を口で吸入することにより、前記窪みgに放出されるニコチン、タバコ香、香料等の抽出成分を吸入することができる。
【0054】
前述したとおり、前記超臨界抽出部110がタバコを含む場合、ニコチン、タバコ香等のタバコ成分が抽出成分としてタバコから超臨界流体で抽出されることができ、使用時に、抽出されたタバコ成分は前記捕集部120で発生したエアロゾルとともに使用者側に移行されることができる。この際、前記超臨界抽出部110は、タバコの他に香料植物をさらに含むこともでき、したがって香料もタバコ成分とともに香料植物から超臨界流体で抽出されることができる。これにより、タバコの香味を改善することができる。ただし、前記超臨界抽出部110は香料植物を含み、タバコを含まないこともあり得、したがって香料が抽出成分として香料植物から超臨界流体で抽出され、タバコ成分は抽出されないこともあり得る。
【0055】
または、前記窪みgは、タバコを含むエアロゾル発生物品が挿入される領域であり得る。この場合、前記超臨界抽出部110は香料植物を含み、香料植物から超臨界抽出される抽出成分は香料であり得る。言い換えると、前記超臨界抽出部110には香料植物が配置され、前記超臨界抽出部110で香料植物からの香料が抽出成分として超臨界流体で抽出されることができる。したがって、前記流入部130を介して前記捕集部120に流入した香料は、捕集物質で捕集され、前記捕集部120で発生したエアロゾルとともに窪みgに挿入されたエアロゾル発生物品に伝達されてタバコの喫味を改善することができる。しかし、必ずしもこれに制限されるものではなく、例えば、必要に応じて前記超臨界抽出部110は香料植物以外にタバコをさらに含み、タバコからニコチン、タバコ香等のタバコ成分が抽出成分として香料とともに超臨界流体で抽出されることもできる。
【0056】
ただし、本発明の一実施例によるエアロゾル発生装置100は、必ずしもエアロゾル発生物品と共に使用される必要はない。例えば、前記超臨界抽出部110がタバコを含む場合、別途のエアロゾル発生物品なしにエアロゾル発生装置100のみで使用者にニコチン、タバコ香等のタバコ成分を提供できるためである。言い換えると、エアロゾル発生装置100がタバコを含む場合、エアロゾル発生装置100はエアロゾル発生物品と共に使用されず単独で使用されることができる。しかし、設計によってエアロゾル発生装置100はエアロゾル発生物品と共に使用されるようにも具現され得ることはもちろんである。
【0057】
前述したとおり、本発明の一実施例によるエアロゾル発生装置100は、前記超臨界抽出部110でタバコ及び/または香料植物からニコチン、タバコ香、及び/または香料が超臨界抽出部で抽出される。したがって、本発明の一実施例によるエアロゾル発生装置100は、別途の香料製造工程や加香工程が要求されない。これにより、香料製造工程時に使用されるエネルギーを低減して炭素排出を減らすことができ、親環境的なエアロゾル発生装置100を製造することができる。また、タバコ、香料植物のような原料から抽出成分をデバイス内で直に抽出、分離後にエアロゾルとともに移行されるようにすることにより、新鮮で自然に近い香味を提供することができる。それだけでなく、前記超臨界抽出部110に原料状態のタバコ、香料植物のような原料の加工を最小化して直接配置することができるため、製造工程の簡素化及び設備の最小化を図ることができる。
【0058】
一方、前記超臨界抽出部110及び前記捕集部120は、前記ボディ部150から分離され交換可能であり得る。したがって、前記超臨界抽出部110でタバコ、香料植物から十分な量の抽出成分が既に抽出されて捕集され、抽出及び捕集される抽出成分の濃度が微々となった場合、前記超臨界抽出部110及び前記捕集部120を分離後、新しいものに交換して使用することができる。前記超臨界抽出部110及び前記捕集部120は、前記ボディ部150から一体で分離及び交換されることもでき、個別的に分離及び交換されることもできる。
【0059】
この際、前記超臨界抽出部110と前記捕集部120の間に配置された前記流入部130も、前記ボディ部150から分離され交換可能である。前記流入部130は、前記超臨界抽出部110及び前記捕集部120とともに前記ボディ部150から一体で分離及び交換されることができるが、個別的に分離及び交換されることもできる。前記超臨界抽出部110、前記捕集部120、及び前記流入部130は、一体で分離及び交換のために互いに連結された構造を有することができるが、必ずそうであるものではない。
【0060】
一方、
図2(a)、
図2(b)についての説明で後述するように、本発明の一実施例によるエアロゾル発生装置100は、前記超臨界抽出部110と連結及び分離が可能であり、超臨界流体を前記超臨界抽出部110に供給する供給部160をさらに含むことができる。具体的には、前記供給部160は超臨界流体を含み、超臨界流体が前記供給部160から前記超臨界抽出部110に供給されて前記抽出成分を抽出するようにすることができる。
【0061】
ただし、本発明の一実施例によるエアロゾル発生装置100は、前述の構成のみを含むものではなく、エアロゾル発生装置に汎用的に使用される他の構成をさらに含むこともできる。例えば、本発明の一実施例によるエアロゾル発生装置100は、バッテリー、制御部等の構成をさらに含むこともできる。
【0062】
図2(a)、
図2(b)は、本発明の一実施例によるエアロゾル発生装置の超臨界抽出部に超臨界流体が供給される工程を説明するための概略図である。
【0063】
図3(a)~
図3(d)は、本発明の一実施例によるエアロゾル発生装置で抽出成分が抽出、捕集及び放出される工程を説明するための概略図である。
【0064】
図2(a)、
図2(b)を参考にすると、超臨界抽出部110に超臨界流体を含む供給部160が連結される。これにより、前記供給部160の超臨界流体が前記超臨界抽出部110に供給される。
【0065】
次に、
図3(a)を参考にすると、前記供給部160が前記超臨界抽出部110から分離する。また、前記超臨界抽出部110ではタバコ及び香料植物のうち少なくとも1つを含む原料からの抽出成分が超臨界流体により抽出される。この際、抽出成分の超臨界抽出の効率を改善するために、前記超臨界抽出部110は、第1加熱部141により加熱されることができる。
【0066】
次に、
図3(b)を参考にすると、抽出成分が前記超臨界抽出部110から排出されて流入部130を介して前記捕集部120に流入する。この際、超臨界抽出部110から排出された抽出成分は、超臨界流体として使用された流体とともに捕集部120に流入することができる。
【0067】
前述したとおり、前記流入部130は、超臨界流体の圧力により、抽出成分が超臨界流体として使用された流体とともに前記超臨界抽出部110から前記捕集部120に流入する経路を形成するものであり得る。また他の例として、前記流入部130は、制御部(図示なし)により、抽出成分が超臨界流体として使用された流体とともに前記超臨界抽出部110から前記捕集部120に流入する経路を形成するのでもあり得る。
【0068】
次に、
図3(c)を参考にすると、超臨界抽出部110から排出された抽出成分が、捕集部120において捕集物質で捕集される。超臨界抽出部110から抽出成分が超臨界流体として使用された流体とともに捕集部120に流入する場合、前記捕集部120で、抽出成分は超臨界流体として使用された流体から捕集物質に伝達されることができる。
【0069】
次に、
図3(d)を参考にすると、抽出成分が前記捕集部120で発生したエアロゾルとともに移行する。この際、エアロゾルの発生のために、前記捕集部120は第2加熱部142により加熱されることができる。したがって、使用者は、エアロゾル発生装置100の前記窪みgが形成された一端を口で吸入することにより、前記窪みgに放出されるニコチン、タバコ香、香料等の抽出成分をエアロゾルとともに吸入することができる。
【0070】
図4は、本発明の一実施例によるエアロゾル発生装置にエアロゾル発生物品が挿入された状態の断面図である。
【0071】
図面を参考にすると、エアロゾル発生物品200はエアロゾル発生装置100と結合され、具体的にはエアロゾル発生装置100の窪みgに挿入されることができる。
【0072】
エアロゾル発生物品200は、タバコを含むタバコ充填部を含む。また、エアロゾル発生物品200は、フィルタ部、冷却部、マウスピース部等、エアロゾル発生物品200の他の汎用的な構成をさらに含むことができる。
【0073】
図面上、前記エアロゾル発生物品200は前記捕集部120と隣接して配置されたものとして示したが、前記捕集部120と所定距離離隔されて配置されることもできる。
【0074】
前述したとおり、前記超臨界抽出部110は香料植物を含み、香料植物からの抽出成分は香料であり得る。言い換えると、前記超臨界抽出部110には香料植物が配置され、前記超臨界抽出部110で香料植物からの香料が抽出成分として超臨界流体で抽出されることができる。したがって、前記流入部130を介して前記捕集部120に流入した香料は捕集物質で捕集され、前記捕集部120で発生したエアロゾルとともに窪みgに挿入されたエアロゾル発生物品200に伝達されてタバコの喫味を改善することができる。
【0075】
以上で本発明の実施例を例示的に説明したが、前記説明は本発明についての理解を助けるためのものであり、本発明の実施形態を前述の形態で制限しようとするものではない。したがって、前述の実施例は例示的なものと解釈されるべきであり、限定的と解釈されてはならない。
【0076】
また、本発明の権利範囲は下記の特許請求の範囲により定められるべきであり、実施例で制限されてはならない。当業者は、本明細書及び添付された図面を参考にして、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で本発明を多様な形態で実施することができるものである。したがって、特許請求の範囲と同等、均等な範囲内にある技術的思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきものである。
【0077】
本明細書で使用された用語及び表現は、広範囲に解釈されるべきであり制限的な意味で解釈されてはならない。本明細書で使用される全ての用語及び表現は、別に定義されない限り、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に共通的に理解され得る意味で解釈されることができる。本明細書で「含む」という表現は、言及された構成以外に1つ以上の他の構成要素の存在または追加を排除しない。
【0078】
本明細書で第1、第2、等の順番は構成要素を互いに区別するためのものであり、構成要素間の優先順位を意味したり絶対的な順番を意味するものではない。したがって、本明細書の一部分において第1構成要素と指摘された構成要素は、本明細書の他の部分では第2構成要素と指摘されることもあり得る。
【0079】
本明細書で提示された数値範囲は、別に言及されない限り、境界値を含む意味である。例えば、1~10という表現は、1及び10を含む範囲である1以上10以下を意味することができる。
【0080】
本明細書で単数型の表現は、文脈上明示的に排除しない限り複数型を含む。
本明細書で例示的に説明された各実施例は、互いに組み合わせが可能であり、矛盾しない限り特定実施例で説明された内容は他の実施例で説明されなくとも他の実施例に同一に適用されることができる。
【符号の説明】
【0081】
100:エアロゾル発生装置
110:超臨界抽出部
120:捕集部
130:流入部
140:加熱部
141:第1加熱部
142:第2加熱部
150:ボディ部
160:供給部
200:エアロゾル発生物品