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特許7487466収容体の製造方法、及び印刷缶の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】収容体の製造方法、及び印刷缶の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 23/00 20060101AFI20240514BHJP
   B41M 1/28 20060101ALI20240514BHJP
   B41M 1/40 20060101ALI20240514BHJP
   B65D 8/00 20060101ALI20240514BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240514BHJP
【FI】
B65D23/00 H
B41M1/28
B41M1/40 Z
B65D8/00 A
G06T7/00 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019210641
(22)【出願日】2019-11-21
(65)【公開番号】P2021080002
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森川 久彰
(72)【発明者】
【氏名】山田 幸司
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-119153(JP,A)
【文献】特開2005-189196(JP,A)
【文献】特開平07-130478(JP,A)
【文献】特開2006-226748(JP,A)
【文献】特開2000-090233(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0301907(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102007054669(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 23/00
B41M 1/28
B41M 1/40
B65D 8/00
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物を収容可能な非透明性を有する収容体の製造方法であって、
面を有する立体物である透明性を有する透明性容器を固定した状態で前記透明性容器に対してスキャナによりスキャンことで前記透明性容器の1個所のスキャン画像を取得た後に、前記透明性容器を所定回転角度だけ回転させるスキャン回転処理繰り返ことにより複数個所のスキャン画像を取得する工程と
前記スキャン画像を取得する工程で取得された複数個所のスキャン画像から、歪みの大きさに基づく特定範囲内の画像部分を切り取ることにより特定の歪みを除いた切取画像を繋ぎ合せてなる疑似3D画像を生成し、前記疑似3D画像を前記収容体に形成する工程とを有し、
前記特定範囲内の画像部分は、
前記透明性容器の回転軸に垂直な回転断面において、前記回転軸から前記透明性容器の前記曲面までの距離が最大となる当該距離を半径とする仮想円を仮定し、前記スキャナにより前記透明性容器のスキャンを行うスキャン位置と前記仮想円の中心点とを結ぶ法線であって前記スキャン位置からの前記透明性容器の取込方向と一致する前記法線と前記仮想円とが交差する点を接点とした場合に、
前記仮想円の前記接点を通る接線上において前記接点から離れた点を基準点として、前記接点から前記基準点までの前記接線の長さを第1長さとし、
前記基準点で前記接線に直交する直交線が前記仮想円と交差する点を交差点として、前記接点から前記交差点までの前記仮想円の円弧の長さを第2長さとすると、
前記第2長さから前記第1長さを減算した値を前記第2長さで除算した値((前記第2長さ-前記第1長さ)/前記第2長さ)の百分率(%)で定義される前記スキャン画像の歪み率(%)が、10%以下となる範囲内の画像部分である、
ことを特徴とする収容体の製造方法
【請求項2】
前記特定範囲内の画像部分は、前記スキャン画像の歪み率(%)が5%以下となる範囲内の画像部分である
ことを特徴とする請求項1に記載の収容体の製造方法。
【請求項3】
前記収容体は、内容物が収容された前記透明性容器の前記疑似3D画像が形成され、
前記内容物及び前記透明性容器は、有色又は無色の透明性を有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の収容体の製造方法
【請求項4】
前記スキャン画像を取得する工程では、前記透明性容器に対して前記スキャナによりスキャン側とは反対側から前記透明性容器に光照射た状態で前記スキャナによるスキャンにより前記スキャン画像を取得する
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の収容体の製造方法
【請求項5】
前記スキャン画像を取得する工程では、前記透明性容器に対して前記スキャナによりスキャン側とは反対側に光源設置、前記光源から前記透明性容器に光照射
ことを特徴とする請求項に記載の収容体の製造方法
【請求項6】
前記光源は、フリッカーレス機能を搭載した光源である
ことを特徴とする請求項に記載の収容体の製造方法
【請求項7】
前記スキャン画像を取得する工程では、前記透明性容器に対して前記スキャナによりスキャン側に光源設置るとともに、前記透明性容器に対して前記スキャナによりスキャン側とは反対側に反射材設置、前記光源から前記反射材に照射た光前記反射材により反射させて前記透明性容器に照射
ことを特徴とする請求項に記載の収容体の製造方法
【請求項8】
前記スキャン画像を取得する工程において前記透明性容器の1個所に対して取得るスキャン画像は、
前記透明性容器を固定した状態で前記透明性容器の高さ方向において異なる高さで前記透明性容器に対し前記スキャナにより複数回のスキャンことにより取得る画像である
ことを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の収容体の製造方法
【請求項9】
前記透明性容器の外面は、印刷された画像を有しており、
前記スキャン画像を取得する工程では、前記スキャナにより、前記透明性容器の前記印刷された画像を有する外面取り込とともに、前記透明性容器の前記印刷された画像を有する前記外面の反対側の内面取り込
ことを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の収容体の製造方法
【請求項10】
物を収容可能な印刷缶の製造方法であって、
面を有する立体物である液体物が収容された瓶を固定した状態で前記瓶に対してスキャナによりスキャンことで前記瓶の1個所のスキャン画像を取得た後に、前記瓶を所定回転角度だけ回転させるスキャン回転処理繰り返ことにより複数個所のスキャン画像を取得する工程と
前記スキャン画像を取得する工程で取得された複数個所のスキャン画像から、歪みの大きさに基づく特定範囲内の画像部分を切り取ることにより特定の歪みを除いた切取画像を繋ぎ合せてなる疑似3D画像を生成し、前記疑似3D画像を缶本体に形成する工程とを有し、
前記特定範囲内の画像部分は、
前記瓶の回転軸に垂直な回転断面において、前記回転軸から前記瓶の前記曲面までの距離が最大となる当該距離を半径とする仮想円を仮定し、前記スキャナにより前記瓶のスキャンを行うスキャン位置と前記仮想円の中心点とを結ぶ法線であって前記スキャン位置からの前記瓶の取込方向と一致する前記法線と前記仮想円とが交差する点を接点とした場合に、
前記仮想円の前記接点を通る接線上において前記接点から離れた点を基準点として、前記接点から前記基準点までの前記接線の長さを第1長さとし、
前記基準点で前記接線に直交する直交線が前記仮想円と交差する点を交差点として、前記接点から前記交差点までの前記仮想円の円弧の長さを第2長さとすると、
前記第2長さから前記第1長さを減算した値を前記第2長さで除算した値((前記第2長さ-前記第1長さ)/前記第2長さ)の百分率(%)で定義される前記スキャン画像の歪み率(%)が、10%以下となる範囲内の画像部分である、
ことを特徴とする印刷缶の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷画像を有する収容体の製造方法及び印刷缶の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、物を収容可能な非透明性を有する収容体に、様々なデザインの絵柄画像、写真画像、文字画像等が印刷されているものが広く使用されている。
【0003】
例えば特許文献1には、無地の背景に、商品名の文字画像とともにコーヒーが注がれたコーヒーカップの写真画像を有するデザイン画像が印刷された印刷缶が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-117030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の印刷缶は、透明感に欠けており、装飾性の高いものではなかった。この特許文献1の印刷缶のように、非透明性を有する収容体においては、装飾性をより向上させる必要があった。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、上述のような問題点を解決することを課題の一例とする。すなわち、本発明の課題の一例は、装飾性がより向上された収容体の製造方法及び印刷缶の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る収容体の製造方法は、物を収容可能な非透明性を有する収容体の製造方法であって、面を有する立体物である透明性を有する透明性容器を固定した状態で前記透明性容器に対してスキャナによりスキャンことで前記透明性容器の1個所のスキャン画像を取得た後に、前記透明性容器を所定回転角度だけ回転させるスキャン回転処理繰り返ことにより複数個所のスキャン画像を取得する工程と前記スキャン画像を取得する工程で取得された複数個所のスキャン画像から、歪みの大きさに基づく特定範囲内の画像部分を切り取ることにより特定の歪みを除いた切取画像を繋ぎ合せてなる疑似3D画像を生成し、前記疑似3D画像を前記収容体に形成する工程とを有し、前記特定範囲内の画像部分は、前記透明性容器の回転軸に垂直な回転断面において、前記回転軸から前記透明性容器の前記曲面までの距離が最大となる当該距離を半径とする仮想円を仮定し、前記スキャナにより前記透明性容器のスキャンを行うスキャン位置と前記仮想円の中心点とを結ぶ法線であって前記スキャン位置からの前記透明性容器の取込方向と一致する前記法線と前記仮想円とが交差する点を接点とした場合に、前記仮想円の前記接点を通る接線上において前記接点から離れた点を基準点として、前記接点から前記基準点までの前記接線の長さを第1長さとし、前記基準点で前記接線に直交する直交線が前記仮想円と交差する点を交差点として、前記接点から前記交差点までの前記仮想円の円弧の長さを第2長さとすると、前記第2長さから前記第1長さを減算した値を前記第2長さで除算した値((前記第2長さ-前記第1長さ)/前記第2長さ)の百分率(%)で定義される前記スキャン画像の歪み率(%)が、10%以下となる範囲内の画像部分である、ことを特徴とする。
好適には、前記特定範囲内の画像部分は、前記スキャン画像の歪み率(%)が5%以下となる範囲内の画像部分であることを特徴とする。
【0008】
好適には、前記収容体は、内容物が収容された前記透明性容器の前記疑似3D画像が形成され、前記内容物及び前記透明性容器は、有色又は無色の透明性を有することを特徴とする。
【0009】
好適には、前記スキャン画像を取得する工程では、前記透明性容器に対して前記スキャナによりスキャン側とは反対側から前記透明性容器に光照射た状態で前記スキャナによるスキャンにより前記スキャン画像を取得することを特徴とする。
【0010】
好適には、前記スキャン画像を取得する工程では、前記透明性容器に対して前記スキャナによりスキャン側とは反対側に光源設置、前記光源から前記透明性容器に光照射ることを特徴とする。
【0011】
好適には、前記光源は、フリッカーレス機能を搭載した光源である。
【0012】
好適には、前記スキャン画像を取得する工程では、前記透明性容器に対して前記スキャナによりスキャン側に光源設置るとともに、前記透明性容器に対して前記スキャナによりスキャン側とは反対側に反射材設置、前記光源から前記反射材に照射た光前記反射材により反射させて前記透明性容器に照射ることを特徴とする。
【0013】
好適には、前記スキャン画像を取得する工程において前記透明性容器の1個所に対して取得るスキャン画像は、前記透明性容器を固定した状態で前記透明性容器の高さ方向において異なる高さで前記透明性容器に対し前記スキャナにより複数回のスキャンことにより取得る画像であることを特徴とする。
【0014】
好適には、前記透明性容器の外面は、印刷された画像を有しており、前記スキャン画像を取得する工程では、前記スキャナにより、前記透明性容器の前記印刷された画像を有する外面取り込とともに、前記透明性容器の前記印刷された画像を有する前記外面の反対側の内面取り込ことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る印刷缶の製造方法は、物を収容可能な印刷缶の製造方法であって、曲面を有する立体物である液体物が収容された瓶を固定した状態で前記瓶に対してスキャナによりスキャンことで前記瓶の1個所のスキャン画像を取得た後に、前記瓶を所定回転角度だけ回転させるスキャン回転処理繰り返ことにより複数個所のスキャン画像を取得する工程と前記スキャン画像を取得する工程で取得された複数個所のスキャン画像から、歪みの大きさに基づく特定範囲内の画像部分を切り取ることにより特定の歪みを除いた切取画像を繋ぎ合せてなる疑似3D画像を生成し、前記疑似3D画像を缶本体に形成する工程とを有し、前記特定範囲内の画像部分は、前記瓶の回転軸に垂直な回転断面において、前記回転軸から前記瓶の前記曲面までの距離が最大となる当該距離を半径とする仮想円を仮定し、前記スキャナにより前記瓶のスキャンを行うスキャン位置と前記仮想円の中心点とを結ぶ法線であって前記スキャン位置からの前記瓶の取込方向と一致する前記法線と前記仮想円とが交差する点を接点とした場合に、前記仮想円の前記接点を通る接線上において前記接点から離れた点を基準点として、前記接点から前記基準点までの前記接線の長さを第1長さとし、前記基準点で前記接線に直交する直交線が前記仮想円と交差する点を交差点として、前記接点から前記交差点までの前記仮想円の円弧の長さを第2長さとすると、前記第2長さから前記第1長さを減算した値を前記第2長さで除算した値((前記第2長さ-前記第1長さ)/前記第2長さ)の百分率(%)で定義される前記スキャン画像の歪み率(%)が、10%以下となる範囲内の画像部分である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、装飾性がより向上された収容体の製造方法、印刷缶の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】画像生成システムを説明するための機能ブロック図である。
図2】印刷缶の斜視図である。
図3】3Dスキャン対象物である瓶入り日本酒の斜視図である。
図4】缶本体に印刷されるデザイン画像の展開図である。
図5】3Dスキャナ装置の構造を示す図である。
図6】3Dスキャナ装置によるスキャン処理を説明するための図である。
図7図6の範囲Wの拡大図である。
図8】1回目のスキャン回転処理で取得されたスキャン画像の例を示す図である。
図9】画像生成処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、画像生成システムを説明するための機能ブロック図である。図2は、印刷缶の斜視図である。図3は、3Dスキャン対象物である瓶入り日本酒の斜視図である。図4は、缶本体に印刷されるデザイン画像の展開図である。図5は、3Dスキャナ装置の構造を示す図である。図6は、3Dスキャナ装置によるスキャン処理を説明するための図である。図7は、図6の範囲Wの拡大図である。図8は、1回目のスキャン回転処理で取得されたスキャン画像の例を示す図である。図9は、画像生成処理を説明するためのフローチャートである。
【0021】
[画像生成システムの全体構成]
図1に示すように、本実施形態における画像生成システム1は、3Dスキャナ装置2と、情報処理装置3とから構成される。
【0022】
3Dスキャナ装置2は、3Dスキャン対象物(取込対象物)である透明性容器に対してスキャン(走査)を行うことで、立体物のスキャン画像を取得する画像取込装置である。
【0023】
情報処理装置3は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read only memory)、RAM(Random access memory)、I/F(Interface)、キーボード等を備えた通常のパーソナルコンピュータ(PC)等であってよい。このような情報処理装置3は、入出力部31と、制御部32と、操作入力部33と、送受信部34と、記憶部35とを備えている。
【0024】
入出力部31は、3Dスキャナ装置2との間でデータの入出力を行う入出力(I/O)ポートである。操作入力部33は、通常のキーボード等で構成され、3Dスキャナ装置2で取得された立体物のスキャン画像のデータから、その立体物を2次元に再現した画像(疑似3D画像)を生成する際の操作者の操作を受け付ける。送受信部34は、I/Fを有し、図示しないネットワークに対して疑似3D画像等のデータの送受信を行う。記憶部35は、制御部32の制御に基づいて、疑似3D画像の記憶及び読み出しを行う。
【0025】
制御部32は、CPU、ROM、RAM等で構成され、3Dスキャナ装置2で取得されたスキャン画像のデータから立体物の疑似3D画像を生成する。そして、制御部32は、その生成した疑似3D画像のデータを記憶部35に記憶する。
【0026】
また、制御部32は、送受信部34がネットワークを介して他の情報処理装置から、立体物の疑似3D画像のデータの取得要求(購入、ダウンロード等の要求)を受け付けると、記憶部35から立体物の疑似3D画像のデータを読み出し、その読み出した疑似3D画像のデータを、送受信部34を介してネットワーク(図示せず)に送信する。これにより、他の情報処理装置の操作者は、立体物の疑似3D画像のデータを取得(購入、ダウンロード等)する。
【0027】
なお、このような例に限定されず、情報処理装置3の制御部32は、生成した立体物の疑似3D画像のデータを、ネットワークを介してサーバのデータベース(何れも図示せず)に記憶するようにしてもよい。この場合において、他の情報処理装置がその立体物の疑似3D画像のデータの取得要求(購入、ダウンロード等の要求)を行うと、サーバは、自身のデータベースから読み出したその立体物の疑似3D画像のデータをネットワークを介して他の情報処理装置に送信する。
【0028】
情報処理装置3は、操作者の操作に基づいて、生成した立体物の疑似3D画像のデータの上から各種画像(情報画像等)の画像データを合成することで、印刷用の画像(デザイン画像)を生成し、その生成したデザイン画像を記憶部35に記憶する。
【0029】
なお、画像生成システムにおける画像生成処理の詳細については、後述する。
【0030】
[印刷缶]
図2に示すように、画像取込装置により取り込まれた取込画像を含んで構成される収容体の一例である印刷缶100は、円筒状の缶本体101を有している。缶本体101の上部には、開口部102が形成されている。缶本体101の下部には、底部104が設けられている。缶本体101の外周面103には、立体物の疑似3D画像を含むデザイン画像110が印刷されている。
【0031】
このような印刷缶100は、後に、缶本体101の内部に開口部102から、内容物として例えば飲料(液体物)が充填され、開口部102が図示しない蓋部によって塞がれることで缶入り飲料商品となる。
【0032】
缶本体101の外周面103に印刷されるデザイン画像110は、収容体の一例である有色又は無色の透明性を有する透明性容器を3Dスキャナ装置2によりスキャン(走査)してなるスキャン画像を用いて生成される。この透明性容器は、その内部に有色又は無色の透明性を有する飲料(液体物)が収容され、その状態で3Dスキャナ装置2によりスキャンが行われる。このような有色又は無色の透明性容器に有色又は無色の透明性を有する飲料(内容物としての液体物)が収容されたものは、例えば飲料商品として販売されているものであることが望ましい。
【0033】
本実施形態では、収容体である無色透明の円筒状の瓶に、内容物としての液体物である無色透明の日本酒が収容されてなる瓶入り日本酒を3Dスキャン対象物として3Dスキャナ装置2によりスキャンが行われる例について説明する。この3Dスキャン対象物の例である図3に示す瓶入り日本酒4は、無色透明のガラス製の瓶41の外周面の一部に、印刷画像を有するラベル42が貼付されている。そして、瓶41の内部には、無色透明の日本酒44が容器一杯に(満注となるように)収容されており、その状態で開口部が蓋部43によって塞がれている。
【0034】
なお、このように瓶41の容器一杯に日本酒44を収容するのに代えて、瓶41内に日本酒44以外のヘッドスペースが存在する場合に、そのヘッドスペースを埋めるようなゴム栓等を瓶41内に装着するようにしてもよい。これは、仮に瓶41内にヘッドスペースが存在すると、走査部22によるスキャン時にそのヘッドスペースによる気泡が映り込んでしまう。そのため、このようなヘッドスペースが生じないようにしている。
【0035】
ラベル42には、瓶入り日本酒4の商品名である「辛口日本酒」という比較的大きな商品名文字を有する商品名表示部421と、内容量である「200ml」との文字からなる内容量表示部422とを有している。なお、瓶41の外周面に元来貼付されていた、瓶入り日本酒4の情報画像(原材料、賞味期限等の文字画像、バーコード等)のラベルは、3Dスキャナ装置2によりスキャンを行わないようにするため、予め剥がし取っている。
【0036】
なお、有色又は無色の透明性を有する透明性容器としては、このようなガラス製の瓶に限定されず、例えばPET(Poly Ethylene Terephthalate)ボトル、プラスチック製のボトル等を挙げることができる。
【0037】
有色又は無色の透明性を有する内容物としては、このような日本酒に限定されず、有色又は無色の透明性を有する内容物であれば液体物、固体物の何れであってもよく、或いは、液体物と固体物との混合物であってもよい。このような内容物としては、例えば飲料、食品、その他の物体(模型、玩具等)等を挙げることができる。
【0038】
有色又は無色の透明性を有する液体物としては、例えば有色又は無色の透明性を有する非アルコール系飲料(例えば、水、清涼飲料、果実飲料、茶、スープ飲料、栄養ドリンク、アルコール飲料の風味を有するノンアルコール飲料等)、有色又は無色の透明性を有するアルコール系飲料(例えば、ウィスキー、ビール、チューハイ、サワー、カクテル、リキュール、ワイン等)等の飲料を挙げることができる。また有色又は無色の透明性を有する固体物としては、例えばゼリー、寒天菓子、氷、飴等の食品の他、ガラス玉、プラスチックボール、氷の模型等の物体を挙げることができる。また有色又は無色の透明性を有する液体物と固体物との混合物としては、例えば上述の飲料と氷等の固体物との混合物を挙げることができる。
【0039】
3Dスキャン対象物である、有色又は無色の透明性を有する透明性容器に、有色又は無色の透明性を有する内容物を収容したものの例としては、上述の無色透明の瓶41に無色透明の日本酒44を収容してなる瓶入り日本酒4の他に、無色透明のガラス製のボトルに、琥珀色且つ透明のウィスキーをボトル一杯に収容してなるボトル入りウィスキー、緑色且つ透明のガラス製の瓶に、無色透明の炭酸系の清涼飲料を収容してなる瓶入りサイダー等を挙げることができる。
【0040】
何れの場合も、内容物を収容した透明性容器内に対しては蓋部で塞いで内容物が外部に漏れないようにすることが望ましい。
【0041】
なお、3Dスキャン対象物は、このような有色又は無色の透明性を有する透明性容器に、有色又は無色の透明性を有する内容物を収容したものに限定されず、内容物を収容しない状態の有色又は無色の透明性を有する透明性容器のみであってもよい。
【0042】
缶本体101は、金属缶であり、例えばアルミニウム板、アルミニウム合金板、ティンフリースチール等の表面処理鋼板、ブリキ板、クロムメッキ鋼板、アルミメッキ鋼板、ニッケルメッキ鋼板、スズニッケルメッキ鋼板、その各種の合金メッキ鋼板等の各種金属板を、絞り加工、絞りしごき加工、再絞り加工等によって成形したシームレス缶、溶接缶等、各種のタイプの金属缶であってよい。また、この金属缶の表面には、ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルム等の樹脂フィルムがラミネートされていてもよい。
【0043】
[デザイン画像]
図4に示すように、缶本体101に印刷されるデザイン画像110は、上述の瓶入り日本酒4を2次元に再現した疑似3D画像111を有する。この疑似3D画像111には、上述のラベル42の表面に相当するラベル表面画像111aが含まれている。このラベル表面画像111aは、ラベル42の表面に表示されている商品名表示部421に相当する商品名表画像111a-1と、ラベル42の表面に表示されている内容量表示部422に相当する内容量表画像111a-2とを有している。3Dスキャナ装置2は、瓶41のラベル42が貼付された外周面を取り込むことで、このようなラベル42の表面の取込画像であるラベル表面画像111aを取得する。
【0044】
また、この図4に示すように、疑似3D画像111には、上述のラベル42の裏面に相当するラベル裏面画像111a’が含まれている。このラベル裏面画像111a’は、ラベル42の表面に印刷されている商品名表示部421をその裏面から透かして見たものに相当する商品名裏画像111a-1’と、ラベル42の表面に印刷されている内容量表示部422をその裏面から透かして見たものに相当する内容量裏画像111a-2’とを有している。3Dスキャナ装置2は、瓶41のラベル42が貼付された外周面(外面)の反対側の内周面(内面)を取り込むことで、このようなラベル42の裏面の取込画像であるラベル裏面画像111a’を取得する。
【0045】
この瓶41のラベル42が貼付された外周面の反対側の内周面は、瓶41内の日本酒44と、瓶41の外周面におけるラベル42が貼付された側とは反対側を介して取り込まれている。そのため、ラベル裏面画像111a’中の商品名裏面画像111a-1’及び内容量裏画像111a-2’は、瓶41及び日本酒44の取込画像によって僅かに歪んだ形状となっている。
【0046】
このデザイン画像110は、この疑似3D画像111の画像データ上に、情報画像111bの画像データが合成されてなるものである。
【0047】
情報画像111bは、缶本体101に充填される内容物(日本酒)の原材料、内容量、賞味期限、製造者の住所等の基本的な情報の文字列を記載した基本情報画像111b-1、バーコード画像111b-2、内容物の栄養成分及び熱量の文字を記載した栄養情報画像111b-3、空き缶のリサイクルに必要なリサイクルマーク画像111b-4、及び、その他の注意事項(例えば「開缶後はすぐにお飲み下さい」等)の文字列を記載した注意事項画像111b-5から構成されている。
【0048】
[立体物のスキャン]
図5に示す3Dスキャナ装置2は、スキャン時の映り込みを防止するため白色非透明とした載置台Tに載置されており、曲面を有する立体物を取り付けて回転(自転)させる回転装置21と、回転装置21により回転する立体物に対してスキャン(走査)を行う走査部22と、走査部22によるスキャンの際に照明光を照射するLED光源23と、回転装置21、走査部22及びLED光源23を制御するスキャナ制御部24とを備える。また、3Dスキャナ装置2は、載置台Tに回転装置21とともに載置される反射材25を備える。
【0049】
回転装置21は、3Dスキャン対象物である曲面を有する立体物(図5の例では瓶入り日本酒4)を把持しながら回転させることが可能な把持部211a,211bと、モータ等の回転駆動部212と、把持部211aを支持する支持アーム213a及び支持台214aと、回転駆動部212を支持する支持アーム213b及び支持台214bとを備える。
【0050】
支持アーム213aには把持部211aが回転可能に接続されている。また、回転駆動部212には、把持部211bが回転可能に接続されている。
【0051】
図5に示すように、3Dスキャン対象物である瓶入り日本酒4は、把持部211aと把持部211bとの間に挟まれることで把持部211a,211bに把持される。このようにして、3Dスキャン対象物である瓶入り日本酒4は、把持部211a,211bによって回転装置21に取り付けられ、回転(自転)しないように固定される。スキャナ制御部24の制御に基づいて回転駆動部212が回転駆動すると、それに応じて把持部211bが回転する。これに伴い、把持部211bに把持されている瓶入り日本酒4と、瓶入り日本酒4を把持する把持部211aが回転する。
【0052】
走査部22は、スキャナ制御部24の制御に基づいて、瓶入り日本酒4に対し、スキャン光(走査光)を照射してその反射光を受光することでスキャン(走査)を行う。このスキャンは、3Dスキャン対象物である瓶入り日本酒4に対して走査部22によりスキャンが行われる側とは反対側から瓶入り日本酒4に光が照射された状態で行われる。
【0053】
この図5の例において、スキャン時における走査部22のスキャンを行う方向(スキャン方向)は、回転装置21によって後に回転する瓶入り日本酒4の回転軸の方向(Y軸の方向)と一致する。しかしながら、走査部22によるスキャン方向は、これに限定されず、例えば回転装置21によって後に回転する瓶入り日本酒4の回転軸の方向に対して垂直な方向(X軸の方向)であってもよい。
【0054】
図5に示す例では、瓶入り日本酒4に対して走査部22によりスキャンが行われる側にLED光源23が設置されている。また、瓶入り日本酒4に対して走査部22によりスキャンが行われる側とは反対側の白色非透明の載置台T上に反射材25が設置されている。これにより、LED光源23から反射材25に照射された光が反射材25により反射されて瓶入り日本酒4に照射される。
【0055】
これは、走査部22から照射されるスキャン光(走査光)のみでは、3Dスキャン対象物に対する光量が足りない場合に、その3Dスキャン対象物の背後から補助的にその光量を補完するためである。特に、3Dスキャン対象物が、例えば、濃い有色の透明性を有する内容物(液体物)を収容した無色透明の透明性容器である場合には、走査部22からのスキャン光では、透明性容器内の内容物(液体物)にスキャン光が届き難い。そのため、この場合において、3Dスキャン対象物の背後から光量を補完することで、透明性容器内の内容物(液体物)にまでも光を照射することができる。
【0056】
反射材25としては、何れの反射材であってもよく、例えば、反射板、反射鏡、反射シート、反射テープ等を挙げることができる。
【0057】
画像生成システム1においては、3Dスキャン対象物である瓶入り日本酒4に係る測定値である各種パラメータ(瓶入り日本酒4の全周における、瓶入り日本酒4の回転軸(回転断面の中心点)からその曲面までの距離の最大値、曲面の凹凸深さの最大値等)のデータを取得する。3Dスキャナ装置2のスキャナ制御部24は、曲面の凹凸深さの最大値に基づいて、1個所に対してスキャンを行う際のスキャンの高さ及びスキャン回数を決定する。情報処理装置3の制御部32は、瓶入り日本酒4に係る測定値である各種パラメータのデータに基づいて、後述の歪み率(%)の算出等を行う。
【0058】
そして、走査部22は、スキャナ制御部24の制御に基づいて、瓶入り日本酒4の全周に亘って複数個所のスキャンを行い、その複数個所のスキャン画像の画像データを取得してスキャナ制御部24に供給する。そして、スキャナ制御部24は、取得したスキャン画像の画像データを情報処理装置3に出力する。後述するように、情報処理装置3では、3Dスキャナ装置2から入力した複数個所のスキャン画像から、3Dスキャン対象物(瓶入り日本酒4)に係るパラメータのデータに基づく特定の歪みを除いた切取画像を繋ぎ合せる(結合する)ことで疑似3D画像を生成する。
【0059】
3Dスキャナ装置2において、スキャナ制御部24は、走査部22がスキャンを行う際、回転装置21の回転駆動部212に対して駆動しないように制御する。すなわち、走査部22は、スキャナ制御部24の制御に基づいて、把持部211a,211bにより把持される瓶入り日本酒4が回転せずに固定された状態で、瓶入り日本酒4の1個所に対してスキャン(走査)を行う。この図5の例において、瓶入り日本酒4の1個所とは、瓶入り日本酒4に対する1回のスキャンでスキャンされる瓶入り日本酒4の外周部分(図7に示す瓶入り日本酒4の回転断面4aの半分の外周部分)をいう。
【0060】
3Dスキャナ装置2において、スキャナ制御部24は、瓶入り日本酒4の1個所のスキャン画像の画像データを取得した後に、瓶入り日本酒4が所定回転角度だけ回転するように、回転駆動部212を駆動させる制御を行う。3Dスキャナ装置2では、このようなスキャンと回転とからなるスキャン回転処理を繰り返すことにより、3Dスキャン対象物である瓶入り日本酒4の複数個所(例えば36個所)のスキャン画像の画像データを取得する。
【0061】
スキャナ制御部24は、3Dスキャン対象物(瓶入り日本酒4)の高さ方向において、3Dスキャン対象物(瓶入り日本酒4)に係るパラメータのデータから得られる3Dスキャン対象物(瓶入り日本酒4)の各凹凸における凸部の最も高い位置から凹部の最も低い(深い)位置までの距離である曲面の凹凸深さの最大値(これを単に「曲面の凹凸深さ」ともいう。)に基づいて1個所に対してスキャンを行う高さを決定し、その決定した高さに走査部22を位置させるように制御する。走査部22は、スキャナ制御部24の制御に基づいて、その決定された高さで3Dスキャン対象物のスキャンを行う。
【0062】
例えば、3Dスキャン対象物である曲面を有する立体物において、曲面の凹凸深さが10mm以下であればスキャンを図5の高さD3で行い、曲面の凹凸深さが20mm以下であればスキャンを図5の高さD2、D3で行い、曲面の凹凸深さが30mm以下であればスキャンを図5のD1~D3で行うようにしてもよい。なお、この曲面の凹凸深さの値及びスキャンを行う高さは、これに限定されない。例えば曲面の凹凸深さが10mm以下であってもスキャンを高さD1~D3で行ってもよい。
【0063】
また、スキャナ制御部24は、3Dスキャン対象物(瓶入り日本酒4)の高さ方向において、3Dスキャン対象物(瓶入り日本酒4)に係るパラメータのデータから得られる3Dスキャン対象物の曲面の凹凸深さに基づいて1個所に対して行うスキャンのスキャン回数を決定し、その決定したスキャン回数でスキャンを行うように走査部22を制御する。走査部22は、スキャナ制御部24の制御に基づいて、その決定された回数で3Dスキャン対象物のスキャンを行うようにする。
【0064】
例えば、3Dスキャン対象物である曲面を有する立体物において、曲面の凹凸深さが10mm以下であればスキャン回数を1回とし、曲面の凹凸深さが20mm以下であればスキャン回数を2回とし、曲面の凹凸深さが30mm以下であればスキャン回数を3回としてもよい。なお、この曲面の凹凸深さ及びスキャン回数の値は、これに限定されず、他の値であってもよい。例えば曲面の凹凸深さが10mm以下であってもスキャン回数を複数回(例えば3回)としてもよい。
【0065】
図5及び図6に示す例では、走査部22は、3Dスキャン対象物である瓶入り日本酒4の高さ方向(Z軸方向)において、瓶入り日本酒4の1個所に対して異なる高さで複数回のスキャンを行う。具体的に、走査部22は、図5及び図6に示すように、載置台Tからの距離である高さD1~D3のそれぞれでスキャン(走査)を行う。瓶入り日本酒4は、図5に示すように、その全周における曲面(外周面)の凹凸深さがほぼ0mmであるが、このように、高さD1~D3で合計3回のスキャンを行うようにしている。3Dスキャン対象物の1個所に対して行うスキャンのスキャン回数が複数回である場合、スキャナ制御部24は、その複数回のスキャンにより得られた複数のスキャン画像を1つのスキャン画像に合成した画像データを1個所のスキャン画像のデータとする。このように異なる高さで多くのスキャンを行うことで、1個所のスキャンで得られる合成されたスキャン画像の画質は向上する。
【0066】
この場合、走査部22は、瓶入り日本酒4に対し、高さD1で第1のスキャンを行った後、高さD2で第2のスキャンを行い、最後に高さD3で第3のスキャンを行う。このような走査部22のスキャンにより、スキャナ制御部24は、第1~第3の各スキャンを行うことで得られたスキャン(走査)データに基づく瓶入り日本酒4の1個所のスキャン画像の画像データを取得する。3Dスキャナ装置2では、このように、走査部22がこのように異なる高さで複数回のスキャンを行う場合であっても、LED光源23の位置は固定であり、また、スキャンにおける焦点の位置も固定である。
【0067】
なお、3Dスキャン対象物が、この瓶入り日本酒4とは異なり、曲面に凹凸を有するものである場合、その3Dスキャン対象物の全周における凹凸深さの最大値に基づいて、その1個所に対してスキャンを行う際のスキャン位置の高さ及びスキャン回数が決定される。
【0068】
図6には、図5の瓶入り日本酒4のF-F断面、すなわち瓶入り日本酒4の1個所に対して高さD1~D3でスキャン(走査)が行われる瓶入り日本酒4が回転装置21により回転する際の回転軸Cに垂直な回転断面4aが示されている。また、図6には、その回転断面4aに対して仮定された仮想円Rが示されている。仮想円Rは、瓶入り日本酒4の回転断面4aにおいて、回転軸C(中心点C)から瓶入り日本酒4の曲面4a-1までの距離が最大となるその距離を半径rとする円である。また、この図6には、仮想円Rの中心点Cから放射状に延び、中心角θ(=5°)毎に仮想円Rを分割する分割線Mが示されている。
【0069】
図7には、この図6の範囲Wを拡大し、その他説明に必要な符号、線等が付加した図が示されている。図7に示すように、高さD3にある走査部22の位置(スキャン位置22a)と仮想円Rの中心点Cとを結ぶ法線であって、その走査部22の位置(スキャン位置22a)からの瓶入り日本酒4の取込方向(矢印Uで示す方向)と一致する法線を法線Nとする。なお、図7の矢印Uで示す取込方向は、Z軸の方向と平行な方向である。
【0070】
図7に示す瓶入り日本酒4の回転断面4aにおいて、法線Nを基準として、矢印Kで示される回転方向に中心角θ(=5°)だけ広がる範囲と、法線Nを基準として、矢印Kで示される回転方向に中心角θ(=5°)だけ広がる範囲とを合わせた回転角度範囲を回転角度範囲A(回転角θ(=2θ=10°))とする。この回転角度範囲A(回転角θ(=10°))の矢印Kの方向の側に隣接する回転角度範囲を回転角度範囲A(回転角θ(=10°))とする。同様にして、瓶入り日本酒4の回転断面4aを回転角度範囲A~A36といった36個の回転角θ(=10°)の範囲に分割する。
【0071】
1回目のスキャン回転処理において、3Dスキャナ装置2は、走査部22により、図6に示す瓶入り日本酒4の1個所に対して例えば3回のスキャンを行う。その後、3Dスキャナ装置2は、回転駆動部212により、法線Nを基準として、矢印Kで示される回転方向とその逆の逆回転方向Kとにそれぞれ中心角θ(=5°)ずつ広がる角度範囲である回転角θ=2θ(=10°)(回転角度範囲A)だけ瓶入り日本酒4を矢印Kで示される回転方向に回転させる。瓶入り日本酒4を矢印Kの回転方向に回転角θ(=10°)だけ回転させると、その元の回転角度範囲Aの部分の位置に、瓶入り日本酒4の回転角度範囲Aに隣り合う回転角度範囲Aの部分が位置するようになる。そして、スキャナ制御部24は、2回目のスキャン回転処理において、瓶入り日本酒4に対してスキャンを行った後に、瓶入り日本酒4の回転角度範囲Aの部分の位置に回転角度範囲Aの部分が位置するように、瓶入り日本酒4を矢印Kの回転方向に回転させる。
【0072】
3Dスキャナ装置2のスキャナ制御部24は、このようなスキャン回転処理を3Dスキャン対象物である瓶入り日本酒4の全周に亘って、各10°ずつ回転による36回繰り返す。スキャナ制御部24は、この1~36回目のスキャン回転処理により、その36個のスキャン画像の画像データを取得する。
【0073】
3Dスキャナ装置2のスキャナ制御部24は、1~36回目のスキャン回転処理により取得した36箇所のスキャン画像の画像データを情報処理装置3の入出力部31に出力する。
【0074】
[疑似3D画像の生成]
情報処理装置3の入出力部31は、3Dスキャナ装置2から出力された瓶入り日本酒4の36個のスキャン画像の画像データを入力して制御部32に供給する。情報処理装置3の制御部32は、入出力部31から供給された36個のスキャン画像の画像データと、瓶入り日本酒4に係るパラメータのデータとを用いて、瓶入り日本酒4の疑似3D画像を生成する画像処理を行う。
【0075】
なお、この疑似3D画像を生成するための画像処理は、情報処理装置3に画像編集ソフトをインストールし、この画像編集ソフトを用いて、操作入力部33で受け付けた操作者の操作に基づいて行われる。
【0076】
具体的に、制御部32は、瓶入り日本酒4の36個のスキャン画像の画像データのそれぞれにおいて、瓶入り日本酒4に係るパラメータのデータから算出した歪みの大きさに基づく特定範囲内の画像部分を切り取り、特定の歪みを除いた切取画像を生成する。そして、制御部32は、その36個の切取画像のそれぞれを繋ぎ合せることにより、瓶入り日本酒4の疑似3D画像を生成する。
【0077】
ここで、上述の歪みの大きさに基づく特定範囲の画像部分について説明する。制御部32は、瓶入り日本酒4に係るパラメータに基づいて、次のようにして、スキャン画像の歪み率(%)を算出する。すなわち、図6及び図7に示すように、3Dスキャン対象物(曲面を有する立体物)である瓶入り日本酒4の回転軸Cに垂直な回転断面4aにおいて、回転軸C(すなわち中心点C)からその3Dスキャン対象物(瓶入り日本酒4)の曲面(外周面)4a-1までの距離が最大となる距離を半径rとする仮想円Rを仮定する。そして、走査部22により3Dスキャン対象物(瓶入り日本酒4)のスキャンを行うスキャン位置22a(高さD3の位置)と仮想円Rの中心点Cとを結ぶ法線であってスキャン位置22aからの3Dスキャン対象物(瓶入り日本酒4)の矢印Uで示す取込方向と一致する法線Nと、仮想円Rとが交差する点を接点Gとする。
【0078】
また、仮想円Rの接点Gを通る接線L上において接点Gから離れた点を基準点Laとして、接点Gから基準点Laまでの接線Lの長さを第1長さEとする。また、基準点Laで接線Lと直交する直交線Tが仮想円Rと交差する点を交差点Raとする。そして、接点Gから交差点Raまでの仮想円Rの円弧Pの長さを第2長さEとする。
【0079】
この場合、特定範囲の画像部分は、第2長さEから第1長さEを減算した値を第2長さEで除算した値((第2長さE-第1長さE)/第2長さE)の百分率(%)で定義されるスキャン画像の歪み率(%)が所定値以下となる範囲内の画像部分となる。この歪み率(%)は、10%以下であることが好ましく、5%であることがより好ましい。図7に示すように、1回目のスキャン回転処理で取得された瓶入り日本酒4のスキャン画像において、回転角度範囲A(回転角θ(=10°))の歪み率(%)は、5%以下となる。
【0080】
図8には、1回目のスキャン回転処理で取得された瓶入り日本酒4のスキャン画像が示されている。この図8に示すように、回転角度範囲A(回転角θ(=10°))内にある瓶入り日本酒4のスキャン画像部分は、歪みが少なく実物の瓶入り日本酒4がリアルに再現されたものとなっている。しかしながら、このスキャン画像において、3Dスキャン対象物である瓶入り日本酒4の取込範囲が、回転角度範囲Aから左右に広がるにつれて、すなわち、その取込範囲が、回転角度範囲Aに隣接する回転角度範囲A,A,A,A,A,・・・と広がるにつれて、また、回転角度範囲Aに隣接する回転角度範囲A36,A35,A34,A33,A32,・・・と広がるにつれて、瓶入り日本酒4のスキャン画像部分の歪みが大きくなってしまう。
【0081】
そこで、情報処理装置3の制御部32は、1回目のスキャン回転処理で取得されたスキャン画像の内、歪みが小さい(歪み率5%以下の)回転角度範囲A(回転角θ(=10°))内にある瓶入り日本酒4の部分をスキャンしたスキャン画像部分を切り取る。同様に、2回目~36回目のスキャン回転処理で取得されたスキャン画像についても、回転角度範囲A~A36(回転角θ(=10°))のそれぞれの内部にある瓶入り日本酒4の部分をスキャンしたスキャン画像部分を切り取る。
【0082】
そして、制御部32は、切り取った回転角度範囲A~A36それぞれのスキャン画像部分を繋ぎ合せることで、図4に示す瓶入り日本酒4の疑似3D画像111を生成する。この図4に示す疑似3D画像111は、歪みが少なく実物の瓶入り日本酒4がリアルに再現されたものとなっている。
【0083】
さらに、制御部32は、生成された疑似3D画像111に対し、更に歪みを低減させるために、縮尺調整等の画像修正処理を施すようにしてもよい。これにより、3Dスキャン対象物である瓶入り日本酒をより忠実に再現した疑似3D画像を得ることができる。
【0084】
[画像の合成]
制御部32は、図4に示すように、曲面を有する立体物の例である瓶入り日本酒4を2次元に再現した疑似3D画像111の画像データ上に、内容物(日本酒)の原材料等の情報画像111bの画像データを合成する。これにより、制御部24は、缶本体101に印刷されるデザイン画像110を生成し、その生成したデザイン画像110を記憶部35に記憶する。
【0085】
印刷缶100は、缶本体101の外周面103の全周に亘り、このような瓶入り日本酒4が再現された疑似3D画像を含むデザイン画像110が印刷されていることから、印刷缶100を瓶入り日本酒4に似たものとすることができる。すなわち、元来非透明性である缶本体101の外周面103に、このような透明性を有する瓶入り日本酒4が再現された歪みが少ない綺麗な疑似3D画像が形成されていることから、まるで実物の瓶入り日本酒4であるかのような印刷缶100を実現することができる。その結果、印刷缶100の装飾性の向上を図ることができる。
【0086】
そして、このデザイン画像110には、瓶41のラベル42が貼付された外周面とともに瓶41のラベル42が貼付された外周面とは反対側の内周面を取り込んでなる取込画像が含まれている。これにより、そして、ラベル42の裏面の取込画像であるラベル裏面画像111a’中の文字画像は、瓶41及び日本酒44の取込画像によって僅かに歪んだ形状となっている。これにより、デザイン画像110を印刷した印刷缶100は、実物の瓶入り日本酒4をより忠実に再現したものとなっている。
【0087】
[缶本体への画像形成]
【0088】
このように形成されたデザイン画像110は、缶本体101の外周面103に印刷される。これにより、缶本体101の外周面103に、印刷されたデザイン画像110が形成されてなる印刷缶100が製造される。デザイン画像110を缶本体101の外周面103に印刷する方式としては、公知の印刷方式を用いることができる。印刷方式としては、特に限定されず、インクジェット印刷、水なし平版印刷、グラビア印刷、樹脂凸版印刷、フレキソ印刷、ダイレクト製版印刷、スクリーン印刷等を挙げることができる。
【0089】
缶本体101の外周面103へのデザイン画像110の印刷は、複数の印刷方式により印刷されていてもよい。缶本体101の外周面103において、デザイン画像110は、外周面103において、その全部に印刷されていても部分的に印刷されていてもよい。
【0090】
デザイン画像110は、立体感のある画像を鮮明に再現する観点から、使用する色数として4色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)以上のインキから再現されていることが望ましく、必要に応じて特色を使用することで、より精細な印刷再現を表現することができる。
【0091】
また、通常の印刷インキを用いて印刷されていても、表面凹凸等が精度よく再現された立体感のある印刷画像を形成できる。しかしながら、印刷インキ中に熱膨張性マイクロカプセルを含有する発泡インキを用いて印刷されるか、インクジェット印刷による厚盛り印刷や、タクタイル印刷により印刷されることにより、缶本体101の外周面103において、立体感が強調された意匠性の高い印刷画像を実現することができる。
【0092】
[最表面層]
缶本体101のデザイン画像110を印刷した外周面103においては、デザイン画像110における3Dスキャン対象物が有する表面形態の特徴をよりリアルに疑似3D印刷画像として再現されることが好ましい。そこで、缶本体101の外周面103に印刷されたデザイン画像110の層(デザイン画像層)上に、最表面層として光沢層又は乱反射層を形成させるようにしてもよい。
【0093】
光沢層は、ニス層又はトップコート層とも呼ばれ、印刷されたデザイン画像110の保護及び艶出しの効果を奏する。ニス層を形成するためのニスとしては、特に限定されないが、例えば、透明な熱硬化性樹脂が使用可能であり、さらにパラフィン、シリコンオイル等の滑剤成分を配合させるようにしてもよい。
【0094】
乱反射層は、印刷されたデザイン画像110の表面に微細な凹凸を形成する等してその表面の光沢を可能な限り低減するものである。このような乱反射層は、特に限定されないが、例えば、艶消しニス層、艶消しフィルム等からなることが好ましい。
【0095】
艶消しニス層としては、トップコート層用の仕上げニスに艶消し剤を配合するものが好ましい。また、艶消しフィルムとしては、熱硬化性樹脂等からなる透明樹脂フィルムに艶消し剤を配合してなるものが好ましい。艶消し剤としては、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム等の無機粒子、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等の有機材料のパウダー、ビーズ等からなるものが挙げられる。
【0096】
[他の層]
デザイン画像110の印刷層は、缶本体101の外周面103に直接形成するが、白ベタ印刷層、アンカーコート層等のベースコート層や、ベースフィルム等を介してデザイン画像110の印刷層を形成するようにしてもよい。
【0097】
缶本体101の外周面103に白ベタ印刷層を形成することにより、缶本体101の色がデザイン画像110に影響することを低減することができる。白ベタ印刷層は、例えば、酸化チタン等の白色顔料を熱硬化性、紫外線硬化性、電子線硬化性等の樹脂とともに溶剤中に分散した白色インクを塗布及び乾燥し、熱等により硬化することで形成される。
【0098】
また、缶本体101の外周面103にアンカーコート層を形成することにより、デザイン画像110の印刷層の缶本体101の外周面103への密着性を向上させることができる。アンカーコート層は、熱硬化性、紫外線硬化性、電子線硬化性等の樹脂が溶剤中に分散或いは溶解してなる塗布液を塗布及び乾燥し、熱等により硬化することで形成される。
【0099】
[異形加工]
缶本体101の外周面103は、デザイン画像110を印刷するとともに、異形加工を施すようにしてもよい。この場合、デザイン画像110における疑似3D印刷画像を部分的に或いは全体的に取り囲むように凹凸を形成する異形加工を施すことにより、消費者に視覚及び触覚の両方で立体感を認識させることができ、疑似3D印刷画像の立体感をより高めることができる。異形加工としては、折り曲げ等の機械加工、エンボス加工、型押し等の公知の方法を用いることができる。
【0100】
[画像生成システムによる画像生成処理]
次に、画像生成システムによる画像生成処理について、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0101】
(ステップS1:予備スキャン工程)
ステップS1の予備スキャン工程において、画像生成システム1は、3Dスキャナ装置2により、3Dスキャン対象物である瓶入り日本酒4に対し、瓶入り日本酒4に係る測定値である各種パラメータ(瓶入り日本酒4の回転軸(回転断面の中心点)からその曲面までの距離の最大値、曲面の凹凸深さの最大値等)のデータを取得するための予備的なスキャン(予備スキャン)を行う。この予備スキャンでは、スキャナ制御部24の制御に基づいて、回転装置21により瓶入り日本酒4を360°回転させている間に、走査部22により瓶入り日本酒4に対してスキャンを行うことで、瓶入り日本酒4に係る各種パラメータを取得する。スキャナ制御部24は、この予備スキャンにより取得された瓶入り日本酒4に係る各種パラメータのデータを情報処理装置3に出力する。
【0102】
(ステップS2:スキャン回転工程)
ステップS1に続くステップS2のスキャン回転工程において、画像生成システム1は、3Dスキャナ装置2のスキャナ制御部24により、瓶入り日本酒4の1個所のスキャン画像の画像データを取得した後に、瓶入り日本酒4を所定回転角度だけ回転させるスキャン回転処理を36回繰り返すことにより、3Dスキャン対象物である瓶入り日本酒4の36箇所(36個)のスキャン画像の画像データを取得する。このステップS2において、スキャナ制御部24は、入出力部31を介して3Dスキャナ装置2より入力した瓶入り日本酒4に係るパラメータ(曲面の凹凸深さの最大値)に基づいて、3Dスキャン対象物の1個所に対して行う1回のスキャン回転処理におけるスキャン高さ及びスキャン回数を決定する。また、このステップS2において、3Dスキャン対象物の1個所に対して行うスキャンのスキャン回数が複数回である場合、スキャナ制御部24は、その複数回のスキャンにより得られた複数のスキャン画像を1つのスキャン画像に合成した画像データを1個所のスキャン画像のデータとする。
【0103】
(ステップS3:切取工程)
ステップS2に続くステップS3の切取工程において、画像生成システム1は、情報処理装置3の制御部32により、1回目~36回目のスキャン回転処理で取得されたスキャン画像について、入出力部31を介して3Dスキャナ装置2より入力した瓶入り日本酒4に係る各種パラメータに基づいて算出した歪み率(%)が5%以下となる回転角度範囲A~A36(回転角θ(=10°))を特定する。そして、制御部32は、その特定した回転角度範囲A~A36(回転角θ(=10°))のそれぞれの内部にある瓶入り日本酒4の部分をスキャンしたスキャン画像部分を切り取り、36個の切取画像を生成する。
【0104】
(ステップS4:繋ぎ合わせ工程)
ステップS3に続くステップS4の繋ぎ合わせ工程において、画像生成システム1は、情報処理装置3の制御部32により、ステップS3で生成された36個の切取画像のそれぞれを繋ぎ合せることで、瓶入り日本酒4の疑似3D画像111を生成する。
【0105】
(ステップS5:記憶工程)
ステップS4に続くステップS5の記憶工程において、画像生成システム1は、情報処理装置3の制御部32により、ステップS4で生成された瓶入り日本酒4の疑似3D画像のデータを記憶部35に記憶する。
【0106】
(ステップS6:送信工程)
ステップS5に続くステップS6の送信工程において、画像生成システム1は、他の情報処理装置から瓶入り日本酒4の疑似3D画像のデータの取得要求(購入、ダウンロード等の要求)がされると、制御部32により、記憶部35から瓶入り日本酒4の疑似3D画像のデータを読み出し、その読み出した疑似3D画像のデータを、送受信部34を介してネットワーク(図示せず)に送信する。
【0107】
(ステップS7:合成工程)
ステップS6に続くステップS7の合成工程において、画像生成システム1は、情報処理装置3の制御部32により、記憶部35から読み出した瓶入り日本酒4の疑似3D画像111の画像データ上に「辛口日本酒」との商品名文字画像111a-1を含む商品名画像111aの画像データと、内容物(日本酒44)の原材料等の情報画像111bの画像データとを合成する処理を行う。これにより、制御部24は、缶本体101に印刷されるデザイン画像110を生成し、その生成したデザイン画像110を記憶部35に記憶する。
【0108】
(ステップS8:画像形成工程)
ステップS7に続くステップS8の画像形成工程において、画像システム1は、ステップS7で生成されたデザイン画像110を缶本体101の外周面103に印刷する。これにより、缶本体101の外周面103に印刷されたデザイン画像110が形成された印刷缶100が製造される。
【0109】
[変形例]
上述の実施形態は、変形例を含めて各実施形態同士で互いの技術を適用することができる。上述の実施形態は、本発明の内容を限定するものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない程度に変更を加えることができる。
【0110】
3Dスキャン対象物である曲面を有する立体物は、上述の瓶入り日本酒4に限定されず、他の有色又は無色の透明性を有する立体物であってもよい。このような立体物の形状としては、例えば円筒体、多角筒体(五角筒体、六角筒体等)、その他の形状等を挙げることができる。このような立体物としては、例えばボトル状、カップ状等の飲料用瓶等の容器、又はこれらの容器に有色透明又は無色透明の飲料等の液体物を収容したもの、或いは、ガラス、透明樹脂(プラスチック等)、氷等で作られたオブジェ等を挙げることができる。
【0111】
また、画像取込装置は、上述の3Dスキャナ装置2に限定されず、他の画像取込装置であってもよい。例えば、画像取込装置は、物体を撮像する撮像装置(カメラ)であってもよい。この場合、上述のステップS1に代えて、図4の例えば高さD3の位置に画像取込装置として撮像装置を配置し、画像取込の対象物(取込対象物)である瓶入り日本酒4の1個所に対して撮像を行い、取込画像を取得する。そして、この場合においても、上述のステップS2~ステップS8と同様の処理を行うことで、印刷缶100が製造される。
【0112】
また、画像取込装置として撮像装置(カメラ)を使用する場合、上述のステップS1において画像取込の対象物(取込対象物)である瓶入り日本酒4を回転させるのではなく、この瓶入り日本酒4を固定させた状態で瓶入り日本酒4の周囲において撮像装置を移動させ、瓶入り日本酒4の外周(全周)を36回に亘りこの撮像装置によって撮像するようにしてもよい。この場合においても、上述のステップS2~ステップS8と同様の処理を行うことで、印刷缶100が製造される。
【0113】
また、上述の例では、1回のスキャン回転処理で3Dスキャン対象物(瓶入り日本酒4)を回転させる際の回転角度範囲と、そのスキャン回転処理で取得されたスキャン画像において切り取るスキャン画像部分として取り込まれた3Dスキャン対象物の回転角度範囲とは、等しい値である10°としたが、これらの値は、他の値であってもよい。
【0114】
1回のスキャン回転処理で3Dスキャン対象物(瓶入り日本酒4)を回転させる際の回転角度範囲は、そのスキャン回転処理で取得されたスキャン画像において切り取るスキャン画像部分として取り込まれた3Dスキャン対象物の回転角度範囲以下の値であれば、何れの値であってもよい。
【0115】
例えば、1回のスキャン回転処理で3Dスキャン対象物(瓶入り日本酒4)を回転させる際の回転角度範囲が8°であり、そのスキャン回転処理で取得されたスキャン画像において切り取るスキャン画像部分として取り込まれた3Dスキャン対象物の回転角度範囲が10°であるとする。この場合、上述のステップS4では、互いに繋ぎ合わせる画像同士を2°重ねた状態で繋ぎ合わせることになる。この場合、画像の繋ぎ合わせ部分が重なることで、繋ぎ合わせ部分が目立たないより綺麗な疑似3D画像を生成することができる。
【0116】
また、上述の例では、ステップS1の予備スキャンによって3Dスキャン対象物(瓶入り日本酒4)に係る各種パラメータ(瓶入り日本酒4の回転軸(回転断面の中心点)からその曲面までの距離の最大値、曲面の凹凸深さの最大値等)を取得するようにしたが、これに限定されず、他の方法でその各種パラメータを取得するようにしてもよい。例えば、予め3Dスキャン対象物(瓶入り日本酒4)に対して直接測定を行うことで、3Dスキャン対象物(瓶入り日本酒4)に係る各種パラメータを取得してもよい。この場合、情報処理装置3は、操作入力部33での操作者の操作に基づいて、その測定した3Dスキャン対象物(瓶入り日本酒4)に係る各種パラメータを入力することで取得する。3Dスキャナ装置2は、情報処理装置3より入力した各種パラメータのうちの曲面の凹凸深さの最大値に基づいて、3Dスキャン対象物(瓶入り日本酒4)の1個所に対して行う1回のスキャン回転処理におけるスキャン高さ及びスキャン回数を決定する。また、情報処理装置3は、操作入力部33での操作に基づいて入力された3Dスキャン対象物(瓶入り日本酒4)に係る各種パラメータに基づいて上述の歪み率(%)の算出を行う。
【0117】
また、上述の例では、走査部22は、3Dスキャン対象物(瓶入り日本酒4)の全周に亘って複数個所のスキャンを行うようにしたが、これに限定されず、3Dスキャン対象物の少なくとも一部に対して複数箇所のスキャンを行うようにすればよい。例えば、走査部22は、3Dスキャン対象物の外周面の一部(例えば回転角度340°の範囲、或いは350°の範囲等)に対して、複数箇所のスキャンを行うようにしてもよい。
【0118】
また、上述の例におけるLED光源23及び反射材25に代えて、3Dスキャン対象物(瓶入り日本酒4)に対して走査部22によりスキャンが行われる側とは反対側(すなわち図4の反射材25の設置位置)に、パネル状のLED光源を設置し、そのパネル状のLED光源から3Dスキャン対象物(瓶入り日本酒4)に光を照射するようにしてもよい。
【0119】
また、上述のLED光源23或いはこの変形例で述べるパネル状のLED光源は、フリッカーレス機能を搭載した光源(フリッカーレス光源)であってもよい。このフリッカーレス機能は、交流電流を直流電流に変換したり、或いは、50~60Hzの交流の周波数を7000Hz等の更なる高周波に変更する等して、照射する光のフリッカー(ちらつき)を抑制するものである。取込対象物の下にフリッカーレス光源を配置して取込画像を取得する場合、その光源から照射される光のフリッカー(ちらつき)を抑制し、取込画像における画像の取込ムラ、色ムラ等を防止することができる。
【0120】
また、上述の載置台T上における、反射材25又はパネル状のLED光源上に、有色非透明又は有色透明のシートを載置するようにしてもよい。この場合において、3Dスキャン対象物を、外周面に上述の異形加工により凹凸が形成されている無色透明又は無色透明の立体物とする。すると、画像取込装置により取り込まれる取込画像は、3Dスキャン対象物(無色透明又は無色透明の立体物)の凹凸がその背後にある有色非透明又は有色透明のシートの色によって強調され、凹凸の立体感がより認識し易いものとなる。このような立体物としては、例えば外周面の一部が凹凸状に異形加工され、この凹凸により模様が形成された飲料用のPET(Poly Ethylene Terephthalate)ボトル、瓶等が挙げられる。
【0121】
また、情報画像の背景は、上述の白色無地に限定されない。例えば、情報画像の背景は、無色透明であってもよい。この場合、情報画像の背後にある取込画像部分に透明体の画像やそれ以外の画像が表示されている場合には、デザイン画像において、それらの画像を情報画像の背景として消費者に見せることができる。
【0122】
また、上述の例では、飲料用缶として使用される円筒状の缶本体101(円筒缶)を例に挙げて説明したが、これに限定されず、何れの種類の収容体であってもよい。収容体の材料としては、例えば金属、樹脂(プラスチック等)、紙、陶器等を挙げることができる。また、収容体の形状は何れであってもよく、ボトル状、円筒状、多角筒状、箱状、袋(パウチ)状等の収容体を挙げることができる。このような収容体としては、例えば金属製の円筒缶又はボトル缶、非透明性のPETボトル又はプラスチック製のボトル、プラスチック製又は紙製の箱や、非透明性を有するビニール製、アルミニウム製等の袋(パウチ)状の収容体等を挙げることができる。
【0123】
また、上述の例では、画像取込装置により取り込まれた取込画像を収容体に形成する例として、収容体である容器本体(缶本体)にデザイン画像を印刷する例について説明したが、収容体へのデザイン画像の形成の仕方はこれに限定されない。例えば、収容体である容器本体の外面に、デザイン画像が印刷されたラベルを貼着し、ラベル容器を構成するようにしてもよい。また例えば、収容体である容器本体の外面に、デザイン画像が印刷されたシュリンクフィルムを装着し、シュリンクフィルム付きの容器を構成してもよい。また例えば、収容体である容器本体の外面に、デザイン画像が印刷されたロールラベルを装着し、ロールラベル付きの容器を構成してもよい。シュリンクフィルムは、容器本体の外面に巻き付けられた後に加熱によって収縮することで容器本体に装着される。また、ロールラベルは、容器本体の外面に巻き付けられた後にラベル(フィルム)のオーバーラップ(重なり)部分同士が糊付けされることで容器本体に装着される。
【0124】
ラベル容器としては、例えばデザイン画像が印刷されたラベルを貼着したラベル缶、ラベル瓶等を挙げることができる。また、シュリンクフィルム或いはロールラベル付きの容器としては、例えばデザイン画像が印刷されたシュリンクフィルム或いはロールラベルが外周面に装着されたPETボトル等を挙げることができる。
【符号の説明】
【0125】
1 画像生成システム、2 3Dスキャナ装置、3 情報処理装置、31 入出力部、32 制御部、33 操作入力部、34 送受信部、35 記憶部、100 印刷缶、101 缶本体、102 開口部、103 外周面、104 底部、4 瓶入り日本酒、41 瓶、42 ラベル、43 蓋部、44 日本酒、421 商品名表示部、422 内容量表示部、110 デザイン画像、111 疑似3D画像、111a ラベル表面画像、111a-1 商品名表画像、111a-2 内容量表画像、111b 情報画像、111b-1 基本情報画像、111b-2 バーコード画像、111b-3 栄養情報画像、111b-4 リサイクルマーク画像、111b-5 注意事項画像、111a’ ラベル裏面画像、111a-1’ 商品名裏面画像、111a-2’ 内容量裏画像、21 回転装置、22 走査部、23 LED光源、24 スキャナ制御部、25 反射材、212 回転駆動部、211a,211b 把持部、213a,213b 支持アーム、214a,214b 支持台
図1
図2
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図5
図6
図7
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図9