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特許7487493画像形成方法、離型剤除去方法、離型剤除去装置および画像形成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】画像形成方法、離型剤除去方法、離型剤除去装置および画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20240514BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20240514BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
G03G15/00 460
G03G15/20 505
G03G21/00 310
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020032318
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021135414
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】須原 由香
(72)【発明者】
【氏名】吉江 直樹
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-103265(JP,A)
【文献】特開2011-059575(JP,A)
【文献】特開2013-007796(JP,A)
【文献】特開2002-268261(JP,A)
【文献】特開2016-107419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 15/20
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材に、離型剤を含む印字材料を用いて画像を形成するステップ(a)と、
前記ステップ(a)の後、前記記録材に形成された前記画像から前記離型剤の少なくとも一部を取り除くステップ(b)と、
前記ステップ(b)の後、前記画像に後処理加工を施すステップ(c)と、
を含み、
前記ステップ(c)では、前記画像を、前記離型剤の結晶化温度以上、かつ、前記印字材料の軟化点以下の温度に調整した後、前記画像に後処理加工を施す、画像形成方法。
【請求項2】
前記ステップ(b)では、所定の温度に調整した離型剤除去用部材を前記画像に接触させる、請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記所定の温度は、前記離型剤の結晶化温度以上、かつ、前記印字材料の軟化点以下である、請求項2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記ステップ(b)では、前記記録材に形成された前記画像を、前記離型剤の結晶化温度以上、かつ、前記印字材料の軟化点以下の温度に調整した後、前記画像から前記離型剤の少なくとも一部を取り除く、請求項1~3のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記ステップ(b)では、前記記録材に形成された前記画像を、前記離型剤の結晶化温度以上、かつ、前記印字材料の軟化点以下の温度に調整した後、前記画像から前記離型剤の少なくとも一部を取り除き、
前記所定の温度は前記離型剤の結晶化温度以下である、請求項2に記載の画像形成方法。
【請求項6】
前記離型剤はワックスを含む、請求項1~のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項7】
前記後処理加工はニス処理またはラミネート処理を含む、請求項1~のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項8】
前記印字材料はトナーを含む、請求項1~のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項9】
前記ステップ(b)の前に、前記記録材に前記画像を定着するステップ(d)を更に有する、請求項1~のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項10】
離型剤除去用部材を所定の温度に調整するステップ(a)と、
前記ステップ(a)の後、離型剤を含む印字材料を用いて記録材に形成された画像に前記離型剤除去用部材を接触させて前記離型剤の少なくとも一部を取り除くステップ(b)と、
前記ステップ(b)の後、かつ、前記画像に後処理加工を施す前に、前記画像を、前記離型剤の結晶化温度以上、かつ、前記印字材料の軟化点以下の温度に調整するステップ(c)と、
を含む、離型剤除去方法。
【請求項11】
前記所定の温度は、前記離型剤の結晶化温度以上、かつ、前記印字材料の軟化点以下である、請求項10に記載の離型剤除去方法。
【請求項12】
前記ステップ(b)では、前記記録材に形成された前記画像を、前記離型剤の結晶化温度以上、かつ、前記印字材料の軟化点以下の温度に調整した後、前記画像から前記離型剤の少なくとも一部を取り除く、請求項10または11に記載の離型剤除去方法。
【請求項13】
前記ステップ(b)では、前記記録材に形成された前記画像を、前記離型剤の結晶化温度以上、かつ、前記印字材料の軟化点以下の温度に調整した後、前記画像から前記離型剤の少なくとも一部を取り除き、
前記所定の温度は前記離型剤の結晶化温度以下である、請求項10に記載の離型剤除去方法。
【請求項14】
所定の温度に調整され、かつ、離型剤を含む印字材料を用いて記録材に形成された画像に接触させることにより、前記画像に含まれる前記離型剤の少なくとも一部を除去する離型剤除去用部材と、
前記離型剤除去用部材を前記所定の温度に調整する温度調整部と、
前記離型剤除去用部材よりも前記記録材の搬送方向の下流、かつ、前記画像に後処理加工を施す加工部材よりも前記搬送方向の上流に設けられ、前記画像を、前記離型剤の結晶化温度以上、かつ、前記印字材料の軟化点以下の温度に調整する画像加温部と、
を備える、離型剤除去装置。
【請求項15】
請求項14に記載の離型剤除去装置と、
前記離型剤を含む前記印字材料を用いて、前記記録材に前記画像を形成する画像形成部と、
を備える、画像形成システム。
【請求項16】
前記離型剤除去装置よりも前記記録材の搬送方向の下流に設けられ、かつ、前記画像に後処理加工を施す加工装置を更に有する、請求項15に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成方法、離型剤除去方法、離型剤除去装置および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成を行う方法として、電子写真方式およびインクジェット方式等の方法が知られている。例えば、電子写真方式を利用した画像形成では、トナー像を形成し、このトナー像を用紙等の記録材に定着させる。トナー像の定着には、例えば、加熱ローラーおよび加圧ローラーが用いられる。加熱ローラー等との離型性を高めるため、例えば、トナーはワックス等の離型剤を含有する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、近年は、記録材に形成された画像に、例えば、ニス処理またはラミネート処理等の様々な後処理加工が施されている。ニス処理では、記録材に形成された画像にニスが塗布される。ラミネート処理では、記録材に形成された画像にラミネートフィルムが圧着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-266079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、トナー等の印字材料が離型剤を含有していると、この離型剤が後処理加工に影響を及ぼすおそれがある。例えば、画像に、ニス処理またはラミネート処理等の後処理加工を施すとき、離型剤に起因して、画像とニスまたはラミネートフィルムとの密着性が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものである。したがって、本発明の目的は、後処理加工への離型剤の影響を抑えることが可能な画像形成方法、離型剤除去方法、離型剤除去装置および画像形成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0008】
(1)記録材に、離型剤を含む印字材料を用いて画像を形成するステップ(a)と、前記ステップ(a)の後、前記記録材に形成された前記画像から前記離型剤の少なくとも一部を取り除くステップ(b)と、前記ステップ(b)の後、前記画像に後処理加工を施すステップ(c)と、を含む、画像形成方法。
【0009】
(2)前記ステップ(b)では、所定の温度に調整した離型剤除去用部材を前記画像に接触させる、上記(1)に記載の画像形成方法。
【0010】
(3)前記所定の温度は、前記離型剤の結晶化温度以上、かつ、前記印字材料の軟化点以下である、上記(2)に記載の画像形成方法。
【0011】
(4)前記ステップ(b)では、前記記録材に形成された前記画像を、前記離型剤の結晶化温度以上、かつ、前記印字材料の軟化点以下の温度に調整した後、前記画像から前記離型剤の少なくとも一部を取り除く、上記(1)~(3)のいずれかに記載の画像形成方法。
【0012】
(5)前記ステップ(b)では、前記記録材に形成された前記画像を、前記離型剤の結晶化温度以上、かつ、前記印字材料の軟化点以下の温度に調整した後、前記画像から前記離型剤の少なくとも一部を取り除き、前記所定の温度は前記離型剤の結晶化温度以下である、上記(2)に記載の画像形成方法。
【0013】
(6)前記ステップ(c)では、前記画像を加温する、上記(1)~(5)のいずれかに記載の画像形成方法。
【0014】
(7)前記ステップ(c)では、前記画像を、前記離型剤の結晶化温度以上、かつ、前記印字材料の軟化点以下の温度に調整する、上記(1)~(6)のいずれかに記載の画像形成方法。
【0015】
(8)前記離型剤はワックスを含む、上記(1)~(7)のいずれかに記載の画像形成方法。
【0016】
(9)前記後処理加工はニス処理またはラミネート処理を含む、上記(1)~(8)のいずれかに記載の画像形成方法。
【0017】
(10)前記印字材料はトナーを含む、上記(1)~(9)のいずれかに記載の画像形成方法。
【0018】
(11)前記ステップ(b)の前に、前記記録材に前記画像を定着するステップ(d)を更に有する、上記(1)~(10)のいずれかに記載の画像形成方法。
【0019】
(12)離型剤除去用部材を所定の温度に調整するステップ(a)と、前記ステップ(a)の後、離型剤を含む印字材料を用いて記録材に形成された画像に前記離型剤除去用部材を接触させて前記離型剤の少なくとも一部を取り除くステップ(b)と、を含む、離型剤除去方法。
【0020】
(13)前記所定の温度は、前記離型剤の結晶化温度以上、かつ、前記印字材料の軟化点以下である、上記(12)に記載の離型剤除去方法。
【0021】
(14)前記ステップ(b)では、前記記録材に形成された前記画像を、前記離型剤の結晶化温度以上、かつ、前記印字材料の軟化点以下の温度に調整した後、前記画像から前記離型剤の少なくとも一部を取り除く、上記(12)または(13)に記載の離型剤除去方法。
【0022】
(15)前記ステップ(b)では、前記記録材に形成された前記画像を、前記離型剤の結晶化温度以上、かつ、前記印字材料の軟化点以下の温度に調整した後、前記画像から前記離型剤の少なくとも一部を取り除き、前記所定の温度は前記離型剤の結晶化温度以下である、上記(12)に記載の離型剤除去方法。
【0023】
(16)所定の温度に調整され、かつ、離型剤を含む印字材料を用いて記録材に形成された画像に接触させることにより、前記画像に含まれる前記離型剤の少なくとも一部を除去する離型剤除去用部材と、前記離型剤除去用部材を前記所定の温度に調整する温度調整部と、を備える、離型剤除去装置。
【0024】
(17)上記(16)に記載の離型剤除去装置と、前記離型剤を含む前記印字材料を用いて、前記記録材に前記画像を形成する画像形成部と、を備える、画像形成システム。
【0025】
(18)前記離型剤除去装置よりも前記記録材の搬送方向の下流に設けられ、かつ、前記画像に後処理加工を施す加工装置を更に有する、上記(17)に記載の画像形成システム。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る画像形成方法、離型剤除去方法、離型剤除去装置および画像形成システムでは、記録材に形成された画像から、少なくとも一部の離型剤が除去される。したがって、離型剤が除去されない場合に比べて、画像に残存する離型剤が少なくなる。よって、後処理加工への離型剤の影響を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施形態に係る画像形成システムの全体構成の概略を示す図である。
図2図1に示した加工装置の一例を示す模式図である。
図3図1に示した加工装置の他の例を示す模式図である。
図4図1に示した画像形成システムの画像形成方法の一例を表す流れ図である。
図5】画像に離型剤が含まれるときの後処理加工について説明するための図である。
図6】画像から離型剤を除去した後の後処理加工について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。また、本明細書において、範囲を示す「X~Y」は、XおよびYを含み、「X以上Y以下」を意味する。さらに、本明細書において、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で行う。
【0029】
(実施形態)
<画像形成システム1の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成システム(画像形成システム1)の全体構成の概略を示す図である。画像形成システム1は、本体装置100、離型剤除去装置200および加工装置300を有している。画像形成システム1では、本体装置100で記録材(後述の用紙S)に画像が定着された後、離型剤除去装置200で、この画像から離型剤が除去されるようになっている。画像の離型剤が除去された後、記録材は加工装置300に搬送される。本体装置100は、例えば、制御部110、画像形成部130、給紙搬送部140および操作パネル150を有している。
【0030】
制御部110は、CPUであり、プログラムにしたがって装置各部の制御や各種の演算処理を行う。また、制御部110は、タイマー機能を有し、画像形成システム1の各構成部品の動作タイミングを制御したり、各構成部品の使用時間等の使用履歴を記録したりする。例えば、この制御部110が、離型剤除去装置200および加工装置300の各部の温度を制御する。
【0031】
画像形成部130は、作像部131、中間転写ベルト132、2次転写部133、定着部134、およびベルト清掃用のクリーニング部135を含んでいる。
【0032】
作像部131は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各基本色に対応した複数の作像部131Y、131M、131C、131K(以下、これらを総称して単に「作像部131」という)を有している(図1)。作像部131各々(作像部131Y~131K)は、感光体ドラム1311、帯電極1312、露光部1313、現像部1314、1次転写部1315、およびドラム清掃用のクリーニング部1316を含んでいる。各作像部131は、現像器に収納されている現像剤のトナーの色が異なるが、それ以外は同一の構成である。
【0033】
感光体ドラム1311は、像担持体である。感光体ドラム1311は、例えばドラム状の金属基体の外周面に、有機光導電体を含有させた樹脂よりなる感光層が形成された有機感光体よりなり、図1において矢印に示すように反時計方向に回転する。
【0034】
帯電極1312は、スコロトロンチャージャ方式の電極であり、感光体ドラム1311の表面を一定の電位に帯電する。なお、帯電極1312の方式としてはコロトロンチャージャまたは帯電ローラーを適用してもよい。
【0035】
露光部1313は、レーザーダイオード、ポリゴンミラー、レンズ光学系、等により構成され、画像データに基づいて、帯電極1312より一様に帯電された感光体ドラム1311の表面を露光し、静電潜像を形成する。
【0036】
各現像部1314は、上述のように、それぞれイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの異なる色のトナーを内包している。このトナーは、トナー母体粒子を含有する静電潜像現像用トナーである。トナー母体粒子は、例えば、結着樹脂として結晶性樹脂および非晶性樹脂を含むとともに、離型剤を含有している。離型剤は、印字材料、印字材料を用いて形成または定着された画像、あるいは印刷物各々の間での接着性、または、これらと、その他のものとの間の接着性を制御する。トナーは、その他必要に応じて、着色剤及び荷電制御剤などの他の構成成分を含有してもよい。トナーの具体的な構成例については後述する。
【0037】
1次転写部1315は、材料がNBR(Nitrile Butadiene Rubber:ニトリルゴム)の発泡ローラーやソリッドローラー等が用いられる。1次転写部1315は、感光体ドラム1311に当接することで転写ニップを形成する。1次転写部1315の回転軸に転写用電源(図示せず)から供給される電圧により、トナーの極性(負帯電)と逆極性の電圧が印加され、中間転写ベルト132に、感光体ドラム1311上のトナー画像が転写される。
【0038】
感光体ドラム1311に残った残トナーは、下流側のクリーニング部1316で除去される。このドラム清掃用のクリーニング部1316の構成は、後述するベルト清掃用のクリーニング部135と同様の構成を有していてもよい。
【0039】
中間転写ベルト132は、内周面に配置された複数の支持ローラーにより、回転可能に張架されている。図1の矢印に示すように、同図では時計方向に回転する。複数の支持ローラーのうち、1つ、または複数のローラーは、駆動モーター(図示せず)により駆動力が伝達され、中間転写ベルト132を駆動する。
【0040】
中間転写ベルト132は、例えば、ポリイミドを材料として体積抵抗率を8~11LogΩ・cmに設定した厚さ80μmの半導体ベルトを用いる。上述したように、各作像部131で形成されたトナー画像は、1次転写部1315により転写され、中間転写ベルト132上にフルカラーのトナー画像が形成される。中間転写ベルト132は、形成されたトナー画像を所定の搬送方向に搬送する。
【0041】
2次転写部133は、1次転写部1315と同様の構成を備え、中間転写ベルト132の内周面側に配置された対向ローラーとの間で転写ニップを形成する。中間転写ベルト132上に重畳して転写されたトナー画像(フルカラー)は、2次転写部133により用紙Sに転写される。トナー画像が用紙Sに転写された後、中間転写ベルト132上に残ったトナー(残トナー)は、下流側のクリーニング部135で清掃される。
【0042】
定着部134は、例えば、ヒーターを内蔵する加熱ローラーおよび加圧ローラーを有している。加熱ローラーおよび加圧ローラーは、互いに対向して設けられ、ローラー対を構成する。加熱ローラーと加圧ローラーとの間に付与された圧力によって加圧ローラーが変形し、この変形部に、いわゆる定着ニップ部が形成される。このような熱ローラー方式の定着部134では、ローラー対を回転させて、定着ニップ部に画像が転写された用紙Sを挟持搬送させる。これにより、用紙Sに、加熱ローラーによる加熱と、定着ニップ部における圧力とが付与され、画像が用紙Sに定着される。ここで、用紙Sへの画像の定着とは、用紙Sに画像(印字材料)が固定化されることをいう。トナー画像の定着には、例えば、熱、圧力または光等が用いられる。
【0043】
定着部134の加熱ローラーは、例えば、アルミニウムなどよりなる中空の金属ローラーからなる芯金と、この芯金の内部に設けられたハロゲンランプなどの熱源とを有している。この加熱ローラーでは、熱源によって芯金が加熱されるようになっている。このとき、加熱ローラーの外周面が所定の定着温度に維持されるように熱源ヘの通電が制御される。これにより、加熱ローラーが温度調節される。この加熱ローラーでは、芯金が高い熱容量を有し、かつ、この芯金の外周面上に、トナー像を均質に溶融させるための弾性層が設けられていることが好ましい。
【0044】
加熱ローラーの温度は、例えば150℃以下であり、140℃以下であると好ましく、135℃以下であるとより好ましい。低温定着性の点では、加熱ローラーの温度は低いほど好ましく、その下限値は特に制限されないが、実質的には90℃程度である。
【0045】
定着部134の加圧ローラーは、例えばウレタンゴム、シリコーンゴムなどの軟質ゴムからなる弾性層を有している。加圧ローラーは、アルミニウムなどよりなる中空の金属ローラーからなる芯金と、この芯金の外周面上の弾性層とを有していてもよい。加圧ローラーは、この芯金の内部に、ハロゲンランプなどの熱源を有していてもよい。加圧ローラーでは、この熱源によって芯金が加熱され、加圧ローラーの外周面が所定の定着温度に維持されるように熱源ヘの通電が制御されるようになっていてもよい。これにより加圧ローラーが温度調節される。
【0046】
この定着部134の加熱ローラーおよび加圧ローラーは、その最外層として、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などのフッ素樹脂などよりなる離型層を有していることが好ましい。
【0047】
クリーニング部135は、例えば、ブレードを有している。クリーニング部135は、このブレードにより、2次転写部133での転写後に中間転写ベルト132上に残存するトナーを清掃する。
【0048】
給紙搬送部140は、複数の給紙トレイ141と、用紙搬送路142、143とを有している。給紙トレイ141には、複数枚の用紙Sが積載され、最上位の用紙Sを1枚ずつ給紙する。給紙搬送部140は、更に、用紙搬送路142、143に沿って配置された複数の搬送ローラー対とこれを駆動する駆動モーター(図示せず)とを有しており、給紙トレイ141から給紙された用紙Sを、2次転写部133の転写位置および、その下流側の定着部134の定着位置に搬送する。
【0049】
操作パネル150はタッチパネル、テンキー、スタートボタン、ストップボタン等を備えており、ユーザーによる装置に関する各種設定の入力や、装置の状態の表示および各種指示の入力に使用される。
【0050】
ここで、トナーの具体的な構成例について説明する。
【0051】
トナーに含まれる結晶性樹脂は、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸をモノマー成分とする結晶性ポリエステル樹脂である。これにより、製造性及びトナーとしての性能を両立することが可能となる。また、結晶性樹脂を非晶性樹脂と混合して用いることにより、加熱定着時に、結晶性樹脂が非晶性樹脂と相溶する。その結果、トナーの低温定着化を図ることができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0052】
ここで、結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、示差走査熱量測定(DSC)において、昇温速度10℃/分で測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。
【0053】
トナーに含有される結晶性樹脂としては、例えば、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリウレタン樹脂、結晶性ポリウレア樹脂、結晶性ポリアミド樹脂および結晶性ポリエーテル樹脂等が挙げられる。結晶性樹脂は、単独でも又は2種以上組み合わせても用いることができる。中でも、トナーに含まれる結晶性樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。ここで、「結晶性ポリエステル樹脂」とは、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)及びその誘導体と、2価以上のアルコール(多価アルコール)及びその誘導体との重縮合反応によって得られる公知のポリエステル樹脂のうち、上記吸熱特性を満たす樹脂である。トナーに含まれる結晶性樹脂は、特に制限はなく、本技術分野における従来公知の結晶性樹脂を用いることができる。
【0054】
非晶性樹脂は、トナーに含まれる結着樹脂の主成分であることが好ましい。結着樹脂が主成分として非晶性樹脂を含むことにより、非晶性樹脂がトナー母体粒子表面に存在しやすくなる。その結果、非晶性樹脂の電気抵抗の高さに起因して、トナー母体粒子の帯電性を良好にすることができる。ここで、「主成分」とは、結着樹脂の中で最も含有割合が高い樹脂であることを意味する。非晶性樹脂は、結着樹脂全体に対して、50質量%以上であることが好ましく、70質量%~99質量%の範囲内であることがより好ましく、80~97質量%の範囲内であることがさらにより好ましく、83質量%~94質量%の範囲内であることが特に好ましい。
【0055】
ここで、非晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)を行った時に、融点を有さず、比較的高いガラス転移温度(Tg)を有する樹脂である。このとき、ガラス転移温度(Tg)が、30℃~80℃の範囲内であることが好ましく、40℃~65℃の範囲内であることが特に好ましい。なお、ガラス転移温度(Tg)は、示差熱量分析装置(DSC)により測定することができる。上記ガラス転移温度は、当業者であれば、樹脂の組成によって制御することが可能である。
【0056】
非晶性樹脂としては、本技術分野における従来公知の非晶性樹脂が用いられうるが、中でも、非晶性ポリエステル樹脂又はビニル樹脂が好ましく、これらの樹脂を混合して用いてもよい。特に、非晶性樹脂は、帯電量の環境安定性に優れるという観点から、ビニル樹脂を含んでいることが好ましい。
【0057】
ビニル樹脂とは、少なくともビニル単量体を用いた重合により得られる樹脂である。ビニル樹脂として、具体的には、アクリル樹脂、スチレン・アクリル共重合体樹脂(スチレン・アクリル樹脂)などが挙げられる。中でも、ビニル樹脂としては、スチレン単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体を用いて形成されるスチレン・アクリル共重合体樹脂が好ましい。すなわち、本発明に係る非晶性樹脂は、スチレン・アクリル共重合体樹脂を含むことが好ましい。スチレン・アクリル共重合体樹脂は、帯電量の環境安定性に優れるため、本発明に係る非晶性樹脂として特に好適である。なお、ビニル樹脂は、単独でも又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0058】
トナーに含まれる離型剤は、特に限定されるものではなく、公知の種々のワックスを用いることができる。例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘニル、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。中でも、トナー母体粒子の内部に結晶性ポリエステル樹脂を存在させやすくし、帯電性を向上させるため、離型剤としては、疎水性の高い炭化水素系ワックス類を用いることが好ましい。トナーに含まれる離型剤は、オイル等であってもよい。
【0059】
離型剤の含有量は、結着樹脂全量に対して2質量%~20質量%の範囲内であることが好ましく、3質量%~18質量%の範囲内であることがより好ましく、5質量%~15質量%の範囲内であることが特に好ましい。また、離型剤の含有量は、結晶性ポリエステル樹脂と、非晶性樹脂と、離型剤とを合計した全質量に対し、1質量%~15質量%の範囲内であることが好ましく、4質量%~13質量%の範囲内であることがより好ましく、5質量%~10質量%の範囲内であることが特に好ましい。このような範囲内とすると、低温定着性に優れると共に、形成される画像の濃度もまた向上する。また、離型剤の融点は、電子写真方式におけるトナーの低温定着性と離型性との観点から、50℃~95℃の範囲内であることが好ましい。
【0060】
トナーが、ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー又はシアントナーであるとき、これらは、それぞれ下記に示すブラック系着色剤、イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤又はシアン系着色剤を含有する。
【0061】
ブラックトナーに用いられる着色剤は、例えば、カーボンブラックを含む。カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、又はランプブラックなどが使用される。さらに、ブラックトナーは、カーボンブラックに加えて、磁性体、染料、その他の顔料などをさらに含んでいてもよい。磁性体としては鉄、ニッケル、又はコバルトなどの強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、又は、マグネタイトなどの強磁性金属の化合物などを用いることができる。また、その他の顔料としてはチタンブラック、アニリンブラックなどを用いることができる。
【0062】
イエロートナーに用いられるオレンジ又はイエロー用の着色剤は、特に制限されない。例えば、このオレンジ又はイエロー用の着色剤に含まれる有機顔料として、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等が挙げられる。また、オレンジ又はイエロー用の着色剤に含まれる染料としては、例えば、C.I.ソルベントイエロー19、C.I.ソルベントイエロー44、C.I.ソルベントイエロー77、C.I.ソルベントイエロー79、C.I.ソルベントイエロー81、C.I.ソルベントイエロー82、C.I.ソルベントイエロー93、C.I.ソルベントイエロー98、C.I.ソルベントイエロー103、C.I.ソルベントイエロー104、C.I.ソルベントイエロー112、C.I.ソルベントイエロー162等が挙げられる。これらの着色剤は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0063】
マゼンタトナーに用いられるマゼンタ又はレッド用の着色剤は、特に制限されない。例えば、このマゼンタ又はレッド用の着色剤に含まれる有機顔料として、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48;1、C.I.ピグメントレッド53;1、C.I.ピグメントレッド57;1、ピグメントレッド81;4、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド222、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド269等が挙げられる。また、マゼンタ又はレッド用の着色剤に含まれる染料としては、例えば、C.I.ソルベントレッド1、ソルベントレッド11、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ソルベントレッド58、C.I.ソルベントレッド68、C.I.ソルベントレッド111、C.I.ソルベントレッド122等が挙げられる。これらの着色剤は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0064】
シアントナーに用いられるグリーン又はシアン用の着色剤は、特に制限されない。例えば、このグリーン又はシアン用の着色剤に含まれる有機顔料として、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントブルー76、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。また、グリーン又はシアン用の着色剤に含まれる染料として、例えば、C.I.ソルベントブルー25、C.I.ソルベントブルー36、C.I.ソルベントブルー69、C.I.ソルベントブルー70、C.I.ソルベントブルー93、C.I.ソルベントブルー95等が挙げられる。これらの着色剤は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0065】
各着色剤の含有量は、トナー母体粒子100質量部に対し1質量部~30質量部の範囲内であることが好ましく、3質量部~20質量部の範囲内であることがより好ましい。また、このような範囲であると画像の色再現性を確保できる。
【0066】
着色剤(粒子)の大きさとしては、特に制限されないが、体積基準のメジアン径が、10nm~1000nmの範囲内であることが好ましく、50nm~500nmの範囲内であることがより好ましく、80nm~300nmの範囲内であることが特に好ましい。このような範囲であると高い色再現性を得ることができるほか、高画質に必要な小径トナーの形成に適している点で好ましい。なお、着色剤(粒子)の体積基準のメジアン径は、例えば、マイクロトラック(登録商標、以下同じ)粒度分布測定装置「UPA-150」(日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
【0067】
トナーは、必要に応じて他の内添剤を含んでもよい。このような内添剤としては、荷電制御剤が挙げられる。荷電制御剤の例としては、例えば、サリチル酸誘導体の亜鉛やアルミニウムによる金属錯体(サリチル酸金属錯体)、カリックスアレーン化合物、有機ホウ素化合物、及び、含フッ素4級アンモニウム塩化合物などを挙げることができる。荷電制御剤の含有量は、トナー中の結着樹脂100質量部に対して0.1~10質量部の範囲内であることが好ましく、0.5~5質量部の範囲内であることがより好ましい。
【0068】
トナー母体粒子は、いわゆる単層構造を有するものであってもよいし、コア・シェル構造(コア粒子の表面にシェル層を形成する樹脂を凝集、融着させた形態)を有するものであってもよく、低温定着性がより良好となる点で、コア・シェル構造を有するものであることが好ましい。なお、コア・シェル構造は、シェル層がコア粒子を完全に被覆した構造のものに限定されるものではなく、例えば、シェル層がコア粒子を完全に被覆せず、所々コア粒子が露出しているものも含む。また、高温高湿環境下における帯電性を向上させるという観点から、トナーは、結晶性ポリエステル樹脂がトナー母体粒子表面に露出せず、トナー母体粒子の内部に含有されると共に、非晶性樹脂がトナー母体粒子表面に露出した形態であると好ましい。このようなトナー母体粒子の形態は、結晶性ポリエステル樹脂を形成する多価カルボン酸成分及び多価アルコール成分の炭素数によって制御することができる。また、乳化凝集法によりトナー母体粒子を製造する際、各樹脂の添加のタイミング等によってもまたトナー母体粒子の形態を制御することができる。
【0069】
トナー母体粒子の形態(コア-シェル構造の断面構造や結晶性ポリエステル樹脂の存在位置)は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型プローブ顕微鏡(SPM)等の公知の手段を用いて確認することが可能である。
【0070】
低温定着性を向上させるという観点から、トナー母体粒子の平均円形度は0.900~1.000の範囲内であることが好ましく、0.940~0.995の範囲内であることがより好ましい。ここで、上記平均円形度は「FPIA-2100」(Sysmex社製)を用いて測定した値である。具体的には、トナー母体粒子を界面活性剤水溶液に湿潤させ、超音波分散を1分間行い、分散した後、「FPIA-2100」を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数4000個の適正濃度で測定を行う。円形度は下記式で計算される。
【0071】
円形度=(粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
また平均円形度は、各粒子の円形度を足し合わせ、測定した全粒子数で割った算術平均値である。
【0072】
トナー母体粒子の粒子径について、体積基準のメジアン径(D50)が3μm~10μmであると好ましい。体積基準のメジアン径を上記範囲とすることにより、細線の再現性や、写真画像の高画質化が達成できると共に、トナーの消費量を、大粒径トナーを用いた場合に比して削減することができる。また、トナー流動性も確保できる。ここで、トナー母体粒子の体積基準のメジアン径(D50)は、例えば、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピュータシステムを接続した装置を用いて測定、算出することができる。トナー母体粒子の体積基準のメジアン径は、後述のトナーの製造時の凝集・融着工程における凝集剤の濃度や溶剤の添加量、又は融着時間、さらには樹脂成分の組成等によって制御することができる。
【0073】
トナーは、帯電性能や流動性、又はクリーニング性を向上させる観点から、トナー母体粒子表面に公知の無機粒子や有機粒子などの粒子、滑剤等を外添剤として含有することが好ましい。外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。粒子としては、例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子及びチタニア粒子などの無機酸化物粒子や、ステアリン酸アルミニウム粒子、ステアリン酸亜鉛粒子などの無機ステアリン酸化合物粒子、又はチタン酸ストロンチウム粒子、チタン酸亜鉛粒子などの無機チタン酸化合物粒子などが挙げられる。また、滑剤としては、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
【0074】
これら外添剤は、耐熱保管性及び環境安定性の観点から、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸又はシリコーンオイルなどによって表面処理が行われたものであってもよい。外添剤は、単独でも又は2種以上混合したものでも用いることができる。上記の中でも、外添剤として、シリカ粒子(球形シリカ)、アルミナ粒子及びチタニア粒子などの無機酸化物粒子が好ましく用いられる。
【0075】
外添剤の添加量(2種以上使用する場合は、その合計量)は、外添剤を含むトナー全体の質量を100質量%として、好ましくは0.05質量%~5質量%の範囲内、より好ましくは0.1質量%~3質量%の範囲内である。外添剤の粒子径は特に制限されないが、数平均一次粒子径が2nm~800nm程度の無機微粒子や数平均一次粒子径が10nm~2000nm程度の有機微粒子等の粒子が好ましい。なお、本明細書中、「数平均一次粒子径」とは、外添剤粒子の走査電子顕微鏡写真を2値化処理し、1万個について水平フェレ径を算出し、その平均を取った値をいう。
【0076】
このようなトナーの製造方法としては、特に限定されず、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、分散重合法など公知の方法が挙げられる。これらの中でも、粒子径の均一性、形状の制御性、コア・シェル構造形成の容易性の観点からは、乳化凝集法を採用することが好ましい。また、結晶性ポリエステル樹脂および離型剤の疎水性を利用して、トナー母体粒子中の結晶性ポリエステル樹脂が所望の位置となるように制御しやすいという観点からも、乳化凝集法を用いることが好ましい。
【0077】
トナーは、磁性又は非磁性の一成分現像剤であってもよく、あるいは、キャリアを含む二成分現像剤であってもよい。このキャリアは、例えば、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属の磁性粒子であってもよく、あるいは、これらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金の磁性粒子であってもよい。キャリアには、フェライト粒子を用いることが好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる分散型キャリアなど用いてもよい。
【0078】
キャリアの体積平均粒子径としては20μm~100μmの範囲内であることが好ましく、25μm~80μmの範囲内であることがより好ましい。キャリアの体積平均粒子径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック社製)により測定することができる。
【0079】
二成分現像剤は、このようなキャリアとトナーとを、混合装置を用いて混合することにより作製することができる。混合装置としては、例えば、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合器等が挙げられる。二成分現像剤を作製する際のトナーの配合量は、キャリアとトナーとの合計100質量%に対して、1~10質量%の範囲内であることが好ましい。
【0080】
このようなトナーにより形成された画像が、定着部134で用紙Sに定着されており、定着された画像は、例えばワックス等の離型剤を含んでいる。用紙Sに定着された画像は、離型剤除去装置200に搬送される。
【0081】
次に、離型剤除去装置200の構成について説明する。
【0082】
離型剤除去装置200は、例えば、用紙搬送路201、画像加温部210、離型剤除去用部材220および温度調整部230を有している。離型剤除去用部材220および温度調整部230は、例えば、用紙搬送路201を間にして互いに対向するように配置されている。画像加温部210は、離型剤除去用部材220および温度調整部230よりも用紙搬送路201の上流側に配置されている。本実施の形態では、この離型剤除去装置200により、用紙Sに定着された画像から離型剤の一部または全部が除去される。詳細は後述するが、これにより、加工装置300で画像に後処理加工を施す際に、離型剤の影響を抑えることが可能となる。
【0083】
画像加温部210は、用紙Sに定着された画像を加温するためのものであり、例えば熱源により構成されている。画像加温部210には、例えば、ハロゲンランプ等を用いることができる。画像加温部210を設けることにより、離型剤除去用部材220に到達する直前の画像の温度を容易に調整することができる。離型剤除去用部材220に到達する直前の画像の温度、例えば、図1に示した位置P1での画像の温度は、トナーに含有される離型剤(以下、単に離型剤という)の結晶化温度以上、かつ、トナーの軟化点以下の温度である。位置P1は、例えば、離型剤除去用部材220よりも搬送方向上流側に1cmの位置である。
【0084】
離型剤除去用部材220は、用紙Sに形成された画像から離型剤を除去するためのものであり、例えば、ローラー形状を有している。離型剤除去用部材220は、例えば、SUS(Stainless Steel)等の金属を用いて構成されている。例えば、このローラー形状の離型剤除去用部材220の周面が、搬送される用紙Sの画像に接触する。離型剤除去用部材220が画像に接触することにより、画像に含まれる離型剤が離型剤除去用部材220に付着する。これにより、用紙S上の画像から離型剤の少なくとも一部が除去される。離型剤除去用部材220は、例えば、ブレード形状またはブラシ形状を有していてもよい。離型剤除去用部材220は、樹脂または不織布等を用いて構成されていてもよい。図1には、1つの離型剤除去用部材220が設けられている例を図示したが、離型剤除去装置200には、複数の離型剤除去用部材220が設けられていてもよい。例えば、2つの離型剤除去用部材220の一方が用紙Sの一方の面に接触し、他方が用紙Sの他方の面に接触するように設けられていてもよい。これにより、本体装置100で、用紙Sの両面に画像が定着されたとき、用紙Sの両面に定着された画像各々から離型剤を除去することができる。あるいは、用紙Sを反転させることにより、用紙Sの両面の画像から離型剤を除去するようにしてもよい。
【0085】
離型剤除去用部材220は、温度調整部230により所定の温度に調整されている。離型剤除去用部材220の温度は、例えば、離型剤の結晶化温度以上、かつ、トナーの軟化点以下の温度であり、離型剤の結晶化温度より5℃以上高く、かつ、トナーの軟化点よりも10℃以上低いことが好ましい。この温度範囲に調整された離型剤除去用部材220を画像に接触させることにより、画像に含まれる離型剤を効率的に除去することができる。
【0086】
離型剤除去用部材220の温度は、結露の生じない温度以上、かつ、離型剤の結晶化温度以下の温度であってもよく、離型剤の結晶化温度より10℃以上低いことが好ましい。この温度範囲に調整された離型剤除去用部材220を、画像加温部210で加温された画像に接触させることにより、画像に含まれる離型剤を効率的に除去することができる。結露の生じない温度は、例えば、15℃である。
【0087】
温度調整部230は、離型剤除去用部材220の温度を調整するためのものであり、例えば、ローラー形状を有している。即ち、離型剤除去用部材220および温度調整部230は、ローラー対を構成している。温度調整部230は、例えば、中空の金属ローラーからなる芯金と、この芯金の内部に設けられたハロゲンランプなどの熱源とを有している。例えば、温度調整部230は、用紙搬送路201を介して離型剤除去用部材220の温度を調整している。温度調整部230は離型剤除去用部材220に接して設けられていてもよい。温度調整部230は、離型剤除去用部材220と対向して設けられていなくてもよく、例えば、離型剤除去用部材220よりも用紙搬送路201の上流側に設けられていてもよい。温度調整部230を用いて離型剤除去用部材220の温度を調整することにより、離型剤除去用部材220の温度が安定するので、安定的に離型剤の除去を行うことが可能となる。
【0088】
次に、加工装置300の構成について説明する。加工装置300では、離型剤が除去された後の画像に後処理加工が施される。後処理加工は、例えば、ニス処理またはラミネート処理である。後処理加工は、オーバープリント、ビニール引き、プレスコート、フィルム貼り、加飾処理または追い刷り等であってもよい。このような加工装置300を設けることにより、例えば、用紙Sに形成された画像の用途に応じて、画像の保護または光沢出し等を行うことが可能となる。
【0089】
加工装置300は、例えば、用紙搬送路301、画像加温部310および複数のローラーを有している。複数のローラーは、例えば、画像に後処理加工を施すためのものである。画像加温部310は、例えば、この複数のローラーよりも用紙搬送路301の上流側に配置されている。
【0090】
画像加温部310は、後処理加工前に画像を加温するためのものであり、例えば熱源により構成されている。画像加温部310には、例えば、ハロゲンランプ等を用いることができる。画像加温部310を設けることにより、後処理加工を施す際の画像の温度を容易に調整することができる。後処理加工を施す際の画像の温度は、後処理加工の種類に応じて調整すればよい。例えば、後処理加工がニス処理であるとき、後処理加工を施す直前の画像の温度、例えば、図1の位置P2での画像の温度は、室温以上、かつ、トナーの軟化点以下の温度であることが好ましい。室温は、例えば、20~25℃である。後処理加工を施す際の画像の温度を、室温以上の温度に調整しておくことにより、ニスの粘度が小さくなり、スジ欠陥の発生を抑えることができる。また、後処理加工がニス処理またはラミネート処理であるとき、後処理加工を施す直前の画像の温度は、離型剤の結晶化温度以上、かつ、トナーの軟化点以下の温度であることがより好ましい。後処理加工を施す直前の画像の温度を、この温度範囲に調整しておくことにより、画像と、ニスまたはラミネートフィルムとの密着性をより向上させることができる。位置P2は、例えば、ニス塗布またはラミネート処理のためのローラー(例えば、後述の図2の金属ローラー321)よりも搬送方向上流側に1cmの位置である。
【0091】
用紙S上の画像には、画像加温部310で加温された後、例えば、複数のローラーを用いた後処理加工が施される。図3は、ラミネート処理を施すための複数のローラーの具体的な構成を例示している。
【0092】
図2は、ニス処理を施すための複数のローラーの具体的な構成を例示している。例えば、加工装置300には、金属ローラー321、塗布ローラー322、ニス323、圧接ローラー324、スクレーパー325、搬送ローラー326、327、搬送ベルト328およびUV(Ultraviolet)照射部329が設けられている。金属ローラー321は、ニス323の付着量の制御を行うためのものである。金属ローラー321と塗布ローラー322との間にニス323が供給される。塗布ローラー322は、金属ローラー321に接触して回転する。圧接ローラー324は、用紙搬送路301を介して塗布ローラー322に対向しており、塗布ローラー322とローラー対を構成している。圧接ローラーに接するように、スクレーパー325が設けられている。搬送ベルト328は、搬送ローラー326,327に巻き架けられている。UV照射部329は、搬送ベルト328により搬送される用紙Sを照射する位置に配置されている。用紙S上の画像は、画像加温部310で加温された後、用紙搬送路301に沿って塗布ローラー322と圧接ローラー324との間を通過する。この際、用紙S上の画像にニスが塗布される。このニスが塗布された画像は、搬送ベルト328上で、UV照射部329によりUV光が照射される。これにより、画像に塗布されたニスの乾燥がなされる。
【0093】
図3は、ラミネート処理を施すための複数のローラーの具体的な構成を例示している。例えば、加工装置300には、ラミネートフィルム331と、このラミネートフィルム331を画像に貼り付けるためのローラー対とが設けられている。用紙S上の画像は、画像加温部310で加温された後、用紙搬送路301に沿ってー対のローラーの間を通過する。この際、用紙S上の画像にラミネートフィルム331が貼り付けられる。
【0094】
<画像形成システム1の画像形成方法>
図4は、画像形成システム1の画像形成方法を表す流れ図である。この図4を用いて画像形成システム1の画像形成方法を説明する。
【0095】
まず、本体装置100により、用紙Sに画像を定着させる(ステップS101)。具体的には、以下のようにして、制御部110が本体装置100を制御する。まず、制御部110は、支持ローラーを駆動させ、中間転写ベルト132を回転させる。これとともに、制御部110は、作像部131を制御して、1次転写部1315で画像(トナー画像)を中間転写ベルト132に転写する。
【0096】
この後、制御部110は、中間転写ベルト132に転写された画像を2次転写部133で用紙Sに転写する。この2次転写部133による用紙Sへの転写により、用紙Sに画像が形成される。ここで、用紙Sへの画像の形成とは、用紙Sへの印字材料の固定化の有無にかかわらず、用紙Sに画像(印字材料)が載った状態をいう。制御部110は、用紙Sに形成された画像を定着部134に搬送し、用紙Sに加熱、加圧処理を施す。これにより、用紙Sに画像が定着する。このとき、用紙Sに定着された画像が離型剤を含有していることにより、オフセット不良の発生を抑えることができる。
【0097】
次に、用紙Sに定着された画像から離型剤の一部または全部を除去する(ステップS102,S103)。具体的には、以下のようにして、制御部110が離型剤除去装置200を制御する。まず、位置P1での画像の温度および離型剤除去用部材220の温度が所定の温度範囲となるように、制御部110は画像加温部210および温度調整部230の温度を制御する。
【0098】
例えば、位置P1での画像の温度および離型剤除去用部材220の温度が、離型剤の結晶化温度以上、かつ、トナーの軟化点以下の温度となるように、制御部110が、画像加温部210および温度調整部230の温度を制御する。このとき、離型剤除去用部材220の温度が、離型剤の結晶化温度より5℃以上高く、かつ、トナーの軟化点よりも10℃以上低い温度となるように、制御部110が温度調整部230の温度を制御することが好ましい。
【0099】
離型剤除去用部材220の温度が、結露の生じない温度以上、かつ、離型剤の結晶化温度以下の温度となるように、制御部110が、画像加温部210および温度調整部230の温度を制御してもよい。このとき、離型剤除去用部材220の温度が、離型剤の結晶化温度より10℃以上低い温度となるように、制御部110が温度調整部230の温度を制御することが好ましい。
【0100】
この後、制御部110は、用紙Sに定着された画像を画像加温部210により加温した後(ステップS102)、離型剤除去用部材220に接触させる(ステップS103)。これにより、画像加温部210近傍で画像に含まれる離型剤が溶融され、離型剤除去用部材220に付着する。離型剤除去用部材220の温度が、離型剤の結晶化温度以上、かつ、トナーの軟化点以下の温度であるとき、離型剤は溶融された状態のまま離型剤除去用部材220に付着する。離型剤除去用部材220の温度が、結露の生じない温度以上、かつ、離型剤の結晶化温度以下の温度であるとき、位置P1で溶融された離型剤が離型剤除去用部材220で急冷されることにより結晶化し、この結晶化した離型剤が離型剤除去用部材220に付着する。このように、離型剤除去用部材220の温度を調整しておくことにより、用紙Sに定着された画像から効率的に離型剤の一部または全部が除去される。なお、離型剤除去用部材220が結晶化温度に調整されているとき、離型剤は溶融状態および結晶状態のどちらにもなり得る。更に、位置P1での画像の温度を調整しておくことにより、より効率的に、用紙Sに定着された画像から効率的に離型剤の一部または全部が除去される。
【0101】
次に、離型剤が除去された画像に後処理加工を施す(ステップS104,S105)。具体的には、以下のようにして、制御部110が加工装置300を制御する。まず、位置P2での画像の温度が所定の温度範囲となるように、制御部110は画像加温部310の温度を制御する。例えば、位置P2での画像の温度が、離型剤の結晶化温度以上、かつ、トナーの軟化点以下の温度となるように、制御部110が画像加温部310の温度を制御する。位置P2での画像の温度が、室温以上、かつ、トナーの軟化点以下の温度となるように、制御部110が画像加温部310の温度を制御してもよい。
【0102】
この後、制御部110は、離型剤除去装置200から搬送された画像を画像加温部310で加温した後(ステップS104)、この画像に、例えば、ニス処理またはラミネート処理を施す(ステップS105)。位置P2での画像の温度を、離型剤の結晶化温度以上、かつ、トナーの軟化点以下の温度に調整しておくことにより、画像加温部310近傍で画像に残存する離型剤が溶融され、画像表面の表面張力が小さくなる。この状態の画像にニス処理またはラミネート処理を施すと、接着層が画像になじみやすくなり、ニス323(図2)またはラミネートフィルム331(図3)と画像との間の密着性を向上させることができる。また、位置P2での画像の温度が室温以上であれば、ニス323(図2)の粘度が小さくなり、スジ欠陥の発生を抑えることができる。特に、ニス323の粘度が、室温でのニス323の粘度の半分(1/2)以下となる温度以上に、位置P2での画像の温度が調整されているとき、効果的にスジ欠陥の発生を抑えることができる。
【0103】
画像形成システム1では、例えば、このようにして画像の形成および後処理加工が行われる。例えば、位置P1、P2での画像の温度および離型剤除去用部材220の温度を、離型剤の結晶化温度以上、かつ、トナーの軟化点以下の温度に調整して画像を形成することにより、後処理加工への離型剤の影響をより効果的に抑えることができる。位置P1、P2での画像の温度および離型剤除去用部材220の温度は、例えば、離型剤の結晶化温度より5℃以上高く、かつ、トナーの軟化点よりも10℃以上低い温度である。例えば、離型剤の結晶化温度が80℃、トナーの軟化点が110℃のとき、位置P1、P2での画像の温度および離型剤除去用部材220の温度を90℃に調整することにより、後処理加工への離型剤の影響をより効果的に抑えることができる。
【0104】
<画像形成システム1の作用効果>
本実施形態の画像形成システム1では、離型剤除去装置200で画像から離型剤を除去した後に、画像に後処理加工を施している。即ち、離型剤を除去しない場合に比べて、後処理加工前の画像に含まれる離型剤の量が少なくなる。これにより、後処理加工への離型剤の影響を抑えることが可能となる。以下、この画像形成システム1の作用および効果について説明する。
【0105】
図5は、用紙Sに定着された画像に含まれるトナー401および離型剤402を表している。画像から離型剤402を除去せずに、ニス処理またはラミネート処理等の後処理加工を施すと、離型剤402が画像へのニスまたはラミネートフィルムの密着を阻害するおそれがある。画像と、ニスまたはラミネートフィルムとの密着が不十分であると、画像からニスまたはラミネートフィルムが剥がれてしまい、後処理加工後の画像の状態を十分な期間維持できないおそれがある。また、例えば、画像にニスを塗布する際に、離型剤402に起因して塗布性が低下するおそれがある。このように、画像に含まれる離型剤402が後処理加工に影響を及ぼすと、後処理加工が不十分となる。
【0106】
更に、用紙搬送路では、離型剤402がローラーに付着するおそれがある。このローラーに付着した離型剤402は、搬送不良発生の原因となり得る。
【0107】
これに対し、画像形成システム1は離型剤除去装置200を有しており、加工装置300での後処理加工の前に、離型剤除去装置200で画像から離型剤が除去される。これにより、後処理加工前の画像に含まれる離型剤の量は、離型剤が除去されない場合に比べて少なくなる。
【0108】
図6は、用紙Sに定着された画像から離型剤(図5の離型剤402)が除去された状態を表している。このように、画像から少なくとも一部の離型剤を除去しておくことにより、加工装置300で画像にニス処理またはラミネート処理等を施す際に、ニス323(図2)またはラミネートフィルム331(図3)が画像に密着しやすくなる。また、ニス323を画像に塗布しやすくなる。したがって、後処理加工への離型剤の影響を抑えられ、例えば、後処理加工による十分な画像の保護または光沢出しを実現することができる。
【0109】
特に、ここでは、離型剤除去装置200が温度調整部230を有しており、離型剤除去用部材220が、所定の温度に調整される。これにより、離型剤除去用部材220の温度を調整しない場合に比べて、効率的、かつ、安定して画像から離型剤を除去することができる。
【0110】
更に、離型剤除去装置200が画像加温部210を有しており、離型剤除去用部材220に接触する直前の位置P1での画像の温度が、所定の温度に調整される。これにより、位置P1での画像の温度を調整しない場合に比べて、より効率的に画像から離型剤を除去することができる。
【0111】
加えて、加工装置300が画像加温部310を有しており、後処理加工を施す際の画像の温度が、所定の温度に調整される。これにより、後処理加工を施す際の画像の温度を調整しない場合に比べて、より効果的に画像に後処理を施すことができる。
【0112】
また、用紙搬送路では、ローラーへの離型剤の付着が抑えられ、搬送不良の発生を抑えることができる。
【0113】
以上のように、本実施形態の画像形成システム1では、用紙Sに形成された画像から離型剤を除去した後に、この画像に後処理加工を施すようになっている。よって、後処理加工への離型剤の影響を抑えることが可能となる。
【0114】
(変形例1)
上記実施形態では、電子写真方式の本体装置100を説明したが、画像形成システム1は、インクジェット方式の本体装置100を有していてもよい。このインクジェット方式の本体装置100では、例えば、ヘッドから吐出されたインキの液滴により用紙に画像が形成される。
【0115】
例えば、このインキは、温度により相変化する性質を有している。具体的には、温度によって、インキは固体状(ゲル状)または液状となる。このインキは、例えば、主な組成物として、重合性化合物および光重合開始剤を含むとともに、添加剤として、ゲル化剤および離型剤を含む。インキは、軟化点を有しないため、より高い温度に離型剤除去用部材220をすることにより、効果的に画像から離型剤を除去することが可能となる。
【0116】
インクジェット方式の本体装置100では、インキを用いて用紙に画像が形成された後、例えば、乾燥またはUV照射等により、用紙に画像が定着されてもよい。離型剤除去装置200は、例えば、用紙に画像が定着された後に画像から離型剤を除去する。
【0117】
(変形例2)
上記実施形態では、離型剤除去用部材220に離型剤を付着させることにより、画像から離型剤を除去する方法を説明したが、離型剤除去装置200では、他の方法を用いて、画像から離型剤を除去するようにしてもよい。例えば、溶媒を含有する離型剤除去用部材220を画像に接触させることにより、画像から離型剤を除去するようにしてもよい。このとき、離型剤を溶解可能な溶媒を用いる。このような溶媒を含有する離型剤除去用部材220を画像に接触させることにより、画像に含まれる離型剤が離型剤除去用部材220の溶媒に溶解し、画像から離型剤が除去される。
【0118】
(変形例3)
上記実施形態では、位置P1で離型剤を溶融させた後、離型剤を除去する方法を説明したが、位置P1で離型剤を溶融させずに離型剤を除去するようにしてもよい。例えば、位置P1で離型剤を結晶状態にしておき、ブラシ形状の離型剤除去用部材220の温度を離型剤の結晶化温度以下に調整しておく。このような離型剤除去用部材220を画像に接触させることにより、画像に含まれる結晶状態の離型剤が剥がれ、画像から離型剤が除去される。離型剤除去装置200には、画像加温部210に代えて、冷却部を設けるようにしてもよい。
【実施例
【0119】
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
【0120】
<画像の形成>
上記画像形成システム1を用いて、実施例1~9および比較例1、2の画像を形成した。
【0121】
(実施例1)
印字材料としてトナーを用いて画像を形成した。このトナーの軟化点は110℃であり、トナーに含まれる離型剤の結晶化温度は80℃であった。離型剤には、ワックスを使用した。離型剤除去用部材220の温度調整は行わなかった。離型剤除去装置200の位置P1での画像の表面温度を90℃に調整し、加工装置300の位置P2での画像の表面温度を30℃に調整した。加工装置300では、画像にニス処理およびラミネート処理の少なくとも一方を施した。ニス処理のニスには、FDクリアコートPOD FC(東洋インキ株式会社)を用いた。ニス処理の塗布装置には、Digi UV Coater KDC-36R2B/36R2T(株式会社ビーエヌテクノロジー)の塗布装置を用いた。ラミネート処理のラミネートフィルムには、Hi-Tac GX OPPグロス(アコ・ブランズ・ジャパン株式会社)を用いた。ラミネート処理のラミネート機には、GDRH655A1(日本ジー・ビー・シー株式会社)を用いた。
【0122】
(実施例2)
離型剤除去用部材220の温度を120℃に調整し、離型剤除去装置200の位置P1での画像の表面温度を120℃に調整したことを除き、実施例1と同様にして画像を形成した。
【0123】
(実施例3)
離型剤除去用部材220の温度を90℃に調整し、離型剤除去装置200の位置P1での画像の表面温度を60℃に調整したことを除き、実施例1と同様にして画像を形成した。
【0124】
(実施例4)
離型剤除去用部材220の温度を90℃に調整したことを除き、実施例1と同様にして画像を形成した。
【0125】
(実施例5)
離型剤除去用部材220の温度を20℃に調整したことを除き、実施例1と同様にして画像を形成した。
【0126】
(実施例6)
離型剤除去用部材220の温度を90℃に調整し、加工装置300の位置P2での画像の表面温度を60℃に調整したことを除き、実施例1と同様にして画像を形成した。
【0127】
(実施例7)
離型剤除去用部材220の温度を90℃に調整し、加工装置300の位置P2での画像の表面温度を90℃に調整したことを除き、実施例1と同様にして画像を形成した。
【0128】
(実施例8)
離型剤除去用部材220の温度を30℃に調整し、離型剤除去装置200の位置P1での画像の表面温度を30℃に調整したことを除き、実施例1と同様にして画像を形成した。
【0129】
(実施例9)
印字材料としてインクを用いて画像を形成した。このインクに含まれる離型剤の結晶化温度は80℃であった。離型剤には、ワックスを使用した。離型剤除去用部材220の温度を90℃に調整し、加工装置300の位置P2での画像の表面温度を30℃に調整した。これらの点を除き、実施例1と同様にして画像を形成した。
【0130】
(比較例1)
用紙Sに画像を定着させた後、本体装置100から離型剤除去装置200を介さずに加工装置300に用紙Sを搬送した。この点を除き、実施例1と同様にして画像を形成した。
【0131】
(比較例2)
加工装置300の位置P2での画像の表面温度を90℃に調整したことを除き、比較例1と同様にして画像を形成した。
【0132】
なお、トナーの軟化点はフローテスターで測定し、ワックスの結晶化温度はDSC(Differential Scanning Calorimetry)で測定した。位置P1は、離型剤除去用部材220から用紙搬送方向の上流側1cmの位置である。位置P2は、ニス処理またはラミネート処理が施される位置から、用紙搬送方向の上流側1cmの位置である。位置P1、P2での画像の表面温度は、位置P1、P2に非接触の温度計を設置することにより測定した。非接触の温度計には、キーエンス社のデジタル放射温度センサFTシリーズなどを使用した。
【0133】
<搬送性の評価>
実施例1~9および比較例1、2の画像を形成する際の搬送性の評価を行った。大きさA3の画像を画像形成システム1に連続通紙し、搬送不良が発生するまでの連続通紙枚数をカウントすることにより、以下の判定基準で搬送性の評価を行った。この画像の表面温度は50℃であった。例えば、連続通紙枚数1000枚以上(ランクB以上)が許容範囲である:
A:連続通紙枚数10000枚以上
B:連続通紙枚数1000枚以上10000枚未満
C:連続通紙枚数500枚以上1000枚未満
D:連続通紙枚数500枚未満。
【0134】
<画像の評価>
実施例1~9および比較例1、2の画像の評価を行った。
【0135】
加工装置300でニス処理を施した画像については、以下の方法により、塗布性/密着性、安定性、スジ欠陥および再現性の評価を行った。
【0136】
ニス処理を施した画像表面のピンホールまたははじきを観察することにより、以下の判定基準で塗布性の評価を行った。評価は、10cm×10cmのシアン画像部分について行った:
3点:直径0.01mm以上0.1mm未満のピンホールまたははじきが1か所存在する。あるいは、ピンホールおよびはじきが全くない
2点:直径0.01mm以上0.1mm未満のピンホールまたははじきが2か所~9か所存在する
1点:直径0.01mm以上0.1mm未満のピンホールまたははじきが10か所以上存在する
0点:直径0.1mm以上のピンホールまたははじきが存在する。
【0137】
ニス処理を施した画像のY(Yellow)M(Magenta)C(Cyan)K(Black)R(Red)G(Green)B(Blue)部分のテープ剥離試験を行うことにより、以下の判定基準で密着性の評価を行った:
3点:いずれの色のテープも剥離しない
2点:1色、2色または3色のテープが剥離した
1点:4色、5色または6色のテープが剥離した
0点:全色(7色)のテープが剥離した。
【0138】
上記の塗布性、密着性各々の点数を合計することにより、以下の判定基準で塗布性/密着性の評価を行った。例えば、塗布性、密着性各々の点数の合計が2点以上(Cランク以上)のとき、許容範囲である:
A:6点
B:4点または5点
C:2点または3点
D:0点または1点。
【0139】
ニス処理またはラミネート処理を施した画像を連続して形成し、これらのうちの1枚目、1000枚目、2000枚目および3000枚目の画像の塗布性/密着性を比較することにより、以下の判定基準で安定性の評価を行った。塗布性/密着性の評価は、上記と同様の方法で行った:
A:4枚の画像の塗布性/密着性の評価が同じである
B:4枚の画像各々の塗布性/密着性の評価がA,BおよびCの間でばらついている
C:4枚の画像のうち、いずれかの塗布性/密着性の評価がDである。
【0140】
ニス処理を施した画像を目視で確認することにより、以下の判定基準でスジ欠陥の評価を行った。このスジ欠陥は、ニスの塗布方向と平行に発生する:
A:スジが発生していない
B:薄いスジが確認できるが、許容範囲である
C:スジ欠陥が発生している。
【0141】
ニス処理を施した画像を、ニス処理前の画像と目視で比較することにより、以下の判定基準で文字および図柄の再現性評価を行った。例えば、以下の判定基準でBランク以上が許容範囲である:
A:ニス処理前の画像から文字および図柄の変化が確認できない
B:ニス処理前の画像から少し文字および図柄の乱れが確認できるが、許容範囲である
C:ニス処理前の画像から文字および図柄の乱れが確認できる。
【0142】
加工装置300でラミネート処理を施した画像については、以下の方法により、密着性の評価を行った。
【0143】
ラミネート処理を施した画像表面に切り込みを入れた後、ラミネートフィルムを画像から引きはがした。この引きはがしに要する力を測定することにより、以下の判定基準で密着性の評価を行った。画像表面の切り込みの大きさは25mm幅とした。引きはがしに要する力は、株式会社イマダ製のデジタルフォースゲージを用いて測定した。例えば、引きはがしに要する力が3.5N以上(Bランク以上)が許容範囲である:
A:引きはがしに5.0N以上の力を要した
B:引きはがしに3.5N以上5.0N未満の力を要した
C:引きはがしに2.0N以上3.5N未満の力を要した。
D:引きはがしに2.0N未満の力を要した。
【0144】
【表1】
【0145】
表1の結果から以下のことが確認された。
【0146】
比較例1、2の結果と実施例1の結果とを比較すると、離型剤除去装置200で用紙Sに定着された画像から離型剤を除去しておくことにより、搬送性が改善されることが確認できた。また、離型剤除去装置200で用紙Sに定着された画像から離型剤を除去した後、加工装置300で後処理加工を施すことにより、ニス処理における塗布性/密着性、安定性およびラミネート処理における密着性を向上させることができた。
【0147】
実施例1の結果と実施例2の結果とを比較すると、離型剤除去用部材220の温度を120℃に調整しておくことにより、搬送性が更に改善されることが確認できた。また、ニス処理における塗布性/密着性、安定性およびラミネート処理における密着性を、更に向上させることができた。
【0148】
実施例1の結果と実施例3の結果とを比較すると、離型剤除去用部材220の温度を90℃(離型剤の結晶化温度以上、かつ、トナーの軟化点以下の温度)に調整しておくことにより、ニス処理における安定性が更に向上することが確認できた。
【0149】
実施例3の結果と実施例4の結果とを比較すると、位置P1での画像の温度を90℃(離型剤の結晶化温度以上、かつ、トナーの軟化点以下の温度)に調整しておくことにより、搬送性が更に改善されることが確認できた。また、ニス処理における塗布性/密着性およびラミネート処理における密着性を、更に向上させることができた。
【0150】
実施例4の結果と実施例5の結果とを比較すると、離型剤除去用部材220の温度を20℃(結露が生じない温度以上、かつ、離型剤の結晶化温度以下の温度)に調整しておくことにより、離型剤除去用部材220の温度を90℃(離型剤の結晶化温度以上、かつ、トナーの軟化点以下の温度)に調整した場合と同等の評価が得られることが確認できた。
【0151】
実施例4の結果と実施例6の結果とを比較すると、位置P2での画像の表面温度を60℃(室温以上の温度)に調整しておくことにより、ニス処理におけるスジ欠陥を改善できることが確認できた。実施例6で使用したニスの粘度は、60℃のとき、室温でのニスの粘度の半分(1/2)以下である。なお、ニスの粘度は、振動式粘度計FVM70A-ST(株式会社セコニック)を用いて測定した。
【0152】
実施例6の結果と実施例7の結果とを比較すると、位置P2での画像の表面温度を90℃(離型剤の結晶化温度以上、かつ、トナーの軟化点以下の温度)に調整しておくことにより、ラミネート処理における密着性が更に向上することが確認できた。
【0153】
実施例1の結果と実施例8の結果とを比較すると、離型剤除去用部材220の温度を30℃に調整しておくことにより、ニス処理における塗布性/密着性、安定性およびラミネート処理における密着性が更に向上することが確認できた。
【0154】
実施例4の結果と実施例9の結果とを比較すると、印字材料がインクであるときにも、印字材料がトナーであるときと同等の結果が得られることが確認できた。
【0155】
以上の結果から、本発明の画像形成方法によれば、後処理加工への離型剤の影響を抑えられることができることが確認できた。
【0156】
以上に説明した、画像形成システム1の構成は、上述の実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上述の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種種改変することができる。また、一般の画像形成装置が備える構成を排除するものではない。
【0157】
例えば、上述の実施形態では、いわゆるタンデム方式でフルカラー画像を形成する画像形成システム1について説明したが、画像形成システム1は4サイクル方式でフルカラー画像を形成してもよい。4サイクル方式では、例えば、本体装置100にイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各々に係る4種類のカラー現像部と、一つの静電担持体とが設けられる。
【0158】
また、上述の実施形態では、画像形成システム1が、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの4色のトナーを用いて画像を形成する方法について説明したが、画像形成システム1は、更に、クリアトナーを用いて画像を形成してもよい。
【0159】
また、上述の実施形態では、画像形成システム1が、熱ローラー方式の定着部134を有する場合について説明したが、画像形成システム1は、ベルト加熱方式の定着部134を有していてもよい。
【0160】
また、上述の実施形態では、本体装置100に設けられた制御部110が、離型剤除去装置200および加工装置300の制御を行う場合について説明したが、離型剤除去装置200および加工装置300に各々、制御部を設けるようにしてもよい。
【0161】
また、上述の実施形態では、記録材として用紙Sを用いる場合について説明したが、記録材は画像を保持することができるものであれば限定されない。例えば、記録材は、薄紙および厚紙等の普通紙、上質紙、アート紙、コート紙等の塗工された印刷用紙、和紙、はがき、OHP用のプラスチックフィルム、布、軟包装に用いられる樹脂材料、樹脂フィルムおよびラベル等であってもよい。
【0162】
また、上述の実施形態および変形例1では、用紙Sに画像を定着させた後、離型剤除去装置200で画像から離型剤を除去する場合について説明したが、用紙Sに画像を形成した後、かつ、この画像の定着前に離型剤除去装置200で画像から離型剤を除去することも可能である。しかし、画像の定着後に画像から離型剤を除去することにより、定着工程においても離型剤が十分に機能し、例えば、上述のようにオフセット不良の発生等を抑えることができる。したがって、定着後に画像から離型剤を除去することが好ましい。
【0163】
また、上述の実施形態および変形例1では、画像形成システム1が、電子写真方式の本体装置100またはインクジェット方式の本体装置100を有する場合について説明したが、本体装置100は、他の方式を用いて記録材に画像を形成してもよい。換言すれば、印字材料は、トナーおよびインクジェットのインキ以外であってもよい。例えば、印字材料は、クレヨン、油性マジック、油性凸版インキ、フレキソインキ、ドライオフセットインキ、グラビアインキ、パッドインキ、オフセットインキまたはスクリーンインキ等であってもよい。本体装置100が、このような印字材料を用いて画像を形成するとき、離型剤除去装置200は、記録材に形成または定着された画像から離型剤を除去する。上記で説明したのと同様に、記録材に画像を定着させた後、画像から離型剤を除去することが好ましい。例えば、揮発溶媒を含有する印字材料を用いて形成された画像では、画像が他の記録材または周辺部材に接触したときに、これらに印字材料が移らない程度に溶媒が揮発した状態の画像が、定着後の画像に該当する。揮発溶媒を含有する印字材料は、例えばインキおよび油性マジックである。例えば、印字材料としてクレヨンを用いて形成された画像では、画像の形成および定着がほぼ同時になされる。
【符号の説明】
【0164】
1 画像形成システム
100 本体装置
110 制御部
130 画像形成部
131 作像部
132 中間転写ベルト
133 2次転写部
134 定着部
135 クリーニング部
140 給紙搬送部
142,143 用紙搬送路
150 操作パネル
200 離型剤除去装置
201 用紙搬送路
210 画像加温部
220 離型剤除去装置材
230 温度調整部
300 加工装置
301 用紙搬送路
310 画像加温部
図1
図2
図3
図4
図5
図6