(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】緩衝材
(51)【国際特許分類】
B65D 81/05 20060101AFI20240514BHJP
B65D 5/50 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B65D81/05 200
B65D5/50 101C
B65D5/50 101Z
(21)【出願番号】P 2020038750
(22)【出願日】2020-03-06
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 啓
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-100978(JP,U)
【文献】特開2005-329956(JP,A)
【文献】特開2018-140780(JP,A)
【文献】実開平06-076130(JP,U)
【文献】実開昭54-102468(JP,U)
【文献】実開昭53-121280(JP,U)
【文献】国際公開第2020/095391(WO,A1)
【文献】米国特許第03613985(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0197033(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/00-81/17
B65D 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚のシート材を折り曲げて形成され、角筒状の複数の緩衝部を有する緩衝材において、
前記シート材の外縁の一辺と平行に延びる第1折り線を有するベース部と、
前記第1折り線の延伸方向に沿って並置され、前記第1折り線から前記第1折り線と直交する方向の先端部までの長さが同一であり、前記第1折り線及び前記第1折り線と平行な複数の第2折り線で、同一方向に折り曲げられることで、前記ベース部からの高さが異なる複数の前記緩衝部を形成する複数の折り曲げ片と、
前記ベース部及び前記折り曲げ片の少なくとも一方に設けられ、前記折り曲げ片を折り曲げた状態で位置決めする位置決め部と、
を備え、
前記位置決め部は、前記ベース部及び前記折り曲げ片のいずれか一方に設けられ、他方に向かって突出して引っ掛かる突出部を有し、
前記突出部は、前記折り曲げ片を折り曲げた状態で、前記折り曲げ片の前記先端部に当接する位置に前記ベース部から切り起こされる切り起こし片を含み、
前記シート材は、前記折り曲げ片を折り曲げる前の平坦状態において、外形が矩形状であることを特徴とする緩衝材。
【請求項2】
前記切り起こし片は、前記折り曲げ片の折り曲げ方向と直交する方向に切り起こされ、
前記折り曲げ片の前記先端部は、前記切り起こし片の側端縁に当接することを特徴とする請求項1に記載の緩衝材。
【請求項3】
前記位置決め部は、
前記折り曲げ片の前記第2折り線部分から突出する前記突出部である差し込み片と、
前記ベース部に開口し、前記差し込み片が挿入されるスリットと、
を有することを特徴とする請求項
1に記載の緩衝材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被梱包物を収容する梱包箱の内部に配置される緩衝材に関する。
【背景技術】
【0002】
被梱包物を収容する梱包箱は、搬送時等の衝撃から被梱包物を保護するために、緩衝材が内部に配置されることがある。緩衝材は、梱包箱の内面と被梱包物との間に介在し、衝撃に対する緩衝効果を発揮する。緩衝材には、例えば段ボール板等で構成された一枚のシート材(ブランク)を折り曲げて、所定の立体形状に形成されるものがある。緩衝材の例が、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1で開示された従来の緩衝材は、段ボール製の一枚のブランクによって形成され、中央の連結壁部と、当該連結壁部の両側に設けられ、第1から第4の壁部で囲まれた断面方形の筒状の緩衝部と、を有する。緩衝部は、断面方形の一対の対角線に沿って補強板部が延びている。補強板部の一端縁は、緩衝部内において、壁部と壁部との間の折曲線(陵部)の箇所で位置決めされている。これにより、断面方形の筒状の緩衝部を組み立てる際、作業者がいずれの部分も保持する必要はなく、組み立て作業性が良い。さらに、緩衝部に高い緩衝機能を備えさせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の緩衝材において、連結壁部に対して同一方向に、連結壁部からの高さが異なる複数の緩衝部を形成する場合、当該複数の緩衝部に対して個別に設けられる補強板部それぞれの一端縁は、緩衝部内において、壁部と壁部との間の折曲線(陵部)の箇所で位置決めすると、連結壁部からの横方向の長さが異なることになる。これにより、一枚のブランクは、補強板部それぞれの一端縁の箇所において、外形に段差が生じる。したがって、ブランクを原反から切り出す際に、連結壁部からの高さが最も高い緩衝部に合わせて切り出す必要があり、高コスト化することに課題があった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、一枚のシート材を折り曲げて形成され、角筒状の複数の緩衝部を有する緩衝材において、低コスト化が図られ、組み立て作業性を向上させることが可能な緩衝材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、一枚のシート材を折り曲げて形成され、角筒状の複数の緩衝部を有する緩衝材において、ベース部と、複数の折り曲げ片と、位置決め部と、を備える。ベース部は、シート材の外縁の一辺と平行に延びる第1折り線を有する。複数の折り曲げ片は、第1折り線の延伸方向に沿って並置され、第1折り線から第1折り線と直交する方向の先端部までの長さが同一であり、第1折り線及び第1折り線と平行な複数の第2折り線で、同一方向に折り曲げられることで、ベース部からの高さが異なる複数の緩衝部を形成する。位置決め部は、ベース部及び折り曲げ片の少なくとも一方に設けられ、折り曲げ片を折り曲げた状態で位置決めする。位置決め部は、ベース部及び折り曲げ片のいずれか一方に設けられ、他方に向かって突出して引っ掛かる突出部を有する。シート材は、折り曲げ片を折り曲げる前の平坦状態において、外形が矩形状である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の構成によれば、緩衝材は、ベース部からの高さが異なる複数の角筒状の緩衝部を形成するにあたって、突出部によって折り曲げ片を折り曲げた状態で位置決めすることができる。突出部を用いて、緩衝部を容易に形成することができ、さらに折り曲げ片の延伸長さを任意に設定することができる。そして、緩衝材を形成する一枚のシート材は、平坦状態における外形が矩形状である。したがって、複数の緩衝部を形成する複数の折り曲げ片それぞれの先端部の位置を、例えばベース部からの高さが最も低い緩衝部に合わせて、互いに揃えることができる。これにより、一枚のシート材を折り曲げて形成され、角筒状の複数の緩衝部を有する緩衝材において、低コスト化を図り、組み立て作業性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】
図1の緩衝材の第1緩衝部を示す部分拡大斜視図である。
【
図4】
図1の緩衝材の第1緩衝部を示す部分垂直断面図である。
【
図5】
図1の緩衝材の第2緩衝部を示す部分拡大斜視図である。
【
図6】
図1の緩衝材の第2緩衝部を示す部分垂直断面図である。
【
図7】
図1の緩衝材の第3緩衝部を示す部分拡大斜視図である。
【
図8】
図1の緩衝材の第3緩衝部を示す部分垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。なお、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
【0011】
図1は、実施形態の緩衝材1の斜視図である。
図2は、
図1の緩衝材1の展開図である。緩衝材1は、
図1に示すように、外形が略直方体形状であり、例えば梱包箱(不図示)の内部に設けられ、梱包箱の内面と、梱包箱の内部に収容された被梱包物(不図示)との間に配置される。
【0012】
緩衝材1は、第1緩衝部2と、第2緩衝部3と、第3緩衝部4と、第4緩衝部5と、を備える。これら4つの緩衝部は、緩衝材1の長手方向に延びる断面方形の角筒状に形成される。緩衝材1は、4つの角筒状の緩衝部が有する緩衝空間を利用し、被梱包物に対する衝撃を和らげ、被梱包物の破損を防止する。
【0013】
緩衝材1を展開すると、
図2に示す展開図となる。緩衝材1は、展開した平坦状態において外形が矩形の、一枚のシート材であって、例えば段ボールで構成される。すなわち、緩衝材1は、一枚のシート材を折り曲げて形成され、4つの角筒状の緩衝部を有する。
【0014】
緩衝材1は、ベース部10を備える。ベース部10は、平坦状態の緩衝材1の長辺方向Dxの略中央に配置される。ベース部10は、長辺方向Dxと直交する短辺方向Dyに長く延びる長方形状である。なお、
図1に示す組み立て状態の緩衝材1の長手方向は、
図2に示す平坦状態の緩衝材1の短辺方向Dyに一致する。ベース部10に対し、緩衝材1の長辺方向Dxの一方側に
図1に示す第1緩衝部2、第2緩衝部3、及び第3緩衝部4が形成され、他方側に第4緩衝部5が形成される。
【0015】
なお、ここでは、緩衝材1は、ベース部10に対して上方に、第1緩衝部2、第2緩衝部3、第3緩衝部4、及び第4緩衝部5が形成されていることとして説明するが、緩衝材1の使用時の向きはこれに限定されるわけではない。
【0016】
第4緩衝部5は、外壁部51と、上壁部52と、内壁部53と、下壁部54と、を含む。外壁部51、上壁部52、内壁部53、及び下壁部54は、ベース部10に折り線L51、L52、L53、L54を介して連続して延びる。折り線L51、L52、L53、L54は、短辺方向Dyと平行である。外壁部51、上壁部52、内壁部53、下壁部54、及び折り線L51、L52、L54は、短辺方向Dyにおいて、ベース部10と同じ長さである。すなわち、第4緩衝部5は、短辺方向Dyにおいて、ベース部10と同じ長さである。
【0017】
第4緩衝部5は、ベース部10に対し、折り線L51でその外側部分を略垂直上方に折り曲げ、さらに折り線L52で内側(ベース部10側)に向かって略水平になるように折り曲げ、さらに折り線L53で略垂直下方に向かって折り曲げ、さらに折り線L54で外側に向かって略水平になるように折り曲げることで形成される。下壁部54は、ベース部10の上面側に重ねられている。これより、断面方形の角筒状の第4緩衝部5が形成される。
【0018】
ベース部10に対し、緩衝材1の長辺方向Dxの一方側には、外壁部11と、第1折り曲げ片20と、第2折り曲げ片30と、第3折り曲げ片40と、が設けられる。
【0019】
外壁部11は、ベース部10に第1折り線L11を介して連続して延びる。ベース部10は、第1折り線L11を有する。第1折り線L11は、シート材の外縁の一辺と平行に延び、短辺方向Dyと平行である。外壁部11及び第1折り線L11は、短辺方向Dyにおいて、ベース部10と同じ長さである。外壁部11は、ベース部10に対し、第1折り線L11で略垂直上方に折り曲げて形成される。
【0020】
第1折り曲げ片20、第2折り曲げ片30、及び第3折り曲げ片40は、ベース部10に対して外壁部11を隔て、第2折り線L22、L32、L42を介して同一方向に延びる。第2折り線L22、L32、L42は、第1折り線L11と平行である。第1折り曲げ片20、第2折り曲げ片30、及び第3折り曲げ片40は、第1折り線L11の延伸方向、すなわち短辺方向Dyに沿って並置される。すなわち、第1折り曲げ片20、第2折り曲げ片30、第3折り曲げ片40、及び第2折り線L22、L32、L42はそれぞれ、短辺方向Dyにおいて、ベース部10よりも短い長さである。第1折り曲げ片20、第2折り曲げ片30、及び第3折り曲げ片40は、第1折り線L11から第1折り線L11と直交する方向(長辺方向Dx)の先端部241、341、441までの長さが同一である。
【0021】
第1緩衝部2、第2緩衝部3、及び第3緩衝部4は、第1折り曲げ片20、第2折り曲げ片30、及び第3折り曲げ片40それぞれを、第1折り線L11、及び第2折り線L22、L32、L42を含む後述する複数の第2折り線で、同一方向に折り曲げることで形成される。第1折り線L11から、第2折り線L22までの距離H2と、第2折り線L32までの距離H3と、第2折り線L42までの距離H4と、は、距離H2、H3、H4の順に長くなっている。すなわち、第1緩衝部2、第2緩衝部3、及び第3緩衝部4は、ベース部10からの高さが異なり、第1緩衝部2、第2緩衝部3、第3緩衝部4の順に、ベース部10からの高さが高くなっている。
【0022】
図3は、
図1の緩衝材1の第1緩衝部2を示す部分拡大斜視図である。
図4は、
図1の緩衝材1の第1緩衝部2を示す部分垂直断面図である。なお、
図4に示す断面図では、説明の便宜上、特徴的な部分以外の詳細な構造の描画を省略した。後述する
図5及び
図7も同様である。
【0023】
第1緩衝部2を形成する第1折り曲げ片20は、上壁部22と、内壁部23と、下壁部24と、を含む。上壁部22、内壁部23、及び下壁部24は、ベース部10に外壁部11を隔て、第2折り線L22、L23、L24を介して連続して延びる。
【0024】
第1折り曲げ片20は、外壁部11に対し、第2折り線L22でその外側部分を内側(ベース部10側)に向かって略水平になるように折り曲げ、さらに第2折り線L23で略垂直下方に向かって折り曲げ、さらに第2折り線L24で外側に向かって略水平になるように折り曲げられる。内壁部23は、長辺方向Dxにおいて、第4緩衝部5の内壁部53と対向する。下壁部24は、ベース部10の上面側に重ねられている。これより、断面方形の角筒状の第1緩衝部2が形成される。
【0025】
緩衝材1は、第1緩衝部2に対し、結合部62と、位置決め部72と、を備える。
【0026】
結合部62は、第1緩衝部2を形成する第1折り曲げ片20の第2折り線L24と、ベース部10と、が上下方向に重なる位置に設けられる。結合部62は、結合片621と、結合孔622と、を有する。結合片621は、ベース部10に設けられ、第1緩衝部2の内壁部23に向かって突出し、短辺方向Dyに沿って延びる。結合片621は、外形が台形状に形成された切り起こし片である。結合孔622は、第1緩衝部2の内壁部23に開口し、外形が矩形状に形成される。
【0027】
結合片621及び結合孔622は、短辺方向Dyにおいて重なる位置に配置される。結合片621の先端部の短辺方向Dyの長さは、結合孔622の短辺方向Dyの長さよりも長い。これにより、結合部62において、結合片621を結合孔622に押し込むことで、ベース部10の上面側に第1緩衝部2が結合される。
【0028】
位置決め部72は、第1緩衝部2を形成する第1折り曲げ片20の下壁部24に設けられる。位置決め部72は、下壁部24の長辺方向Dxの長さD24を、上壁部22の長辺方向Dxの長さD22と略等しくすることで構成される。これにより、第1折り曲げ片20を折り曲げた状態で、下壁部24の長辺方向Dxの先端部241が外壁部11の内面に当接し、内壁部23がベース部10に対して略垂直に延びる。このようにして、位置決め部72は、第1折り曲げ片20に設けられ、第1折り曲げ片20を折り曲げた状態で位置決めする。
【0029】
図5は、
図1の緩衝材1の第2緩衝部3を示す部分拡大斜視図である。
図6は、
図1の緩衝材1の第2緩衝部3を示す部分垂直断面図である。第2緩衝部3を形成する第2折り曲げ片30は、上壁部32と、内壁部33と、下壁部34と、を含む。上壁部32、内壁部33、及び下壁部34は、ベース部10に外壁部11を隔て、第2折り線L32、L33、L34を介して連続して延びる。
【0030】
第2折り曲げ片30は、外壁部11に対し、第2折り線L32でその外側部分を内側(ベース部10側)に向かって略水平になるように折り曲げ、さらに第2折り線L33で略垂直下方に向かって折り曲げ、さらに第2折り線L34で外側に向かって略水平になるように折り曲げられる。内壁部33は、長辺方向Dxにおいて、第4緩衝部5の内壁部53と対向する。下壁部34は、ベース部10の上面側に重ねられている。これより、断面方形の角筒状の第2緩衝部3が形成される。
【0031】
緩衝材1は、第2緩衝部3に対し、結合部63と、位置決め部73と、を備える。
【0032】
結合部63は、第2緩衝部3を形成する第2折り曲げ片30の第2折り線L34と、ベース部10と、が上下方向に重なる位置に設けられる。結合部63は、結合片631と、結合孔632と、を有する。結合片631は、ベース部10に設けられ、第2緩衝部3の内壁部33に向かって突出し、短辺方向Dyに沿って延びる。結合片631は、外形が台形状に形成された切り起こし片である。結合孔632は、第2緩衝部3の内壁部33に開口し、外形が矩形状に形成される。
【0033】
結合片631及び結合孔632は、短辺方向Dyにおいて重なる位置に配置される。結合片631の先端部の短辺方向Dyの長さは、結合孔632の短辺方向Dyの長さよりも長い。これにより、結合部63において、結合片631を結合孔632に押し込むことで、ベース部10の上面側に第2緩衝部3が結合される。
【0034】
位置決め部73は、第2緩衝部3を形成する第2折り曲げ片30の第2折り線L33と、ベース部10と、が上下方向に重なる位置に設けられる。なお、位置決め部73は、結合部63に対し、短辺方向Dyにずれた位置に配置される。位置決め部73は、差し込み片731と、スリット732と、を有する。差し込み片731は、第2折り曲げ片30の第2折り線L33の部分に設けられる。差し込み片731は、ベース部10に向かって突出して引っ掛かる突出部であり、短辺方向Dyに沿って延びる。スリット732は、ベース部10に開口し、外形が短辺方向Dyに沿って延びる矩形状に形成される。
【0035】
差し込み片731及びスリット732は、短辺方向Dyにおいて重なる位置に配置される。これにより、第2折り曲げ片30を折り曲げた状態で、第2折り曲げ片30の差し込み片731が、ベース部10のスリット732内に挿入される。さらに、位置決め部73は、差し込み片731がスリット732に挿入された状態において、内壁部33がベース部10に対して略垂直に延びる状態となる位置に構成される。これにより、第2折り曲げ片30を折り曲げた状態で、差し込み片731がスリット732に挿入され、内壁部33がベース部10に対して略垂直に延びる。このようにして、位置決め部73は、ベース部10及び第2折り曲げ片30に設けられ、第2折り曲げ片30を折り曲げた状態で位置決めする。
【0036】
位置決め部73の構成によれば、平坦状態の緩衝材1(
図2参照)の長辺方向Dxにおいて、ベース部10から第2折り曲げ片30の下壁部34の先端部341までの長さを、ベース部10からの高さが最も低い第1緩衝部2を構成する第1折り曲げ片20の下壁部24の先端部241までの長さに、容易に揃えることができる。また、差し込み片731及びスリット732は、第2折り曲げ片30とベース部10とが上下方向に重なる領域内に設けることができる。これにより、第2折り曲げ片30の下壁部34が、長辺方向Dxにおいてどのような長さであっても、第2折り曲げ片30を折り曲げた状態で位置決めすることが可能である。
【0037】
図7は、
図1の緩衝材1の第3緩衝部4を示す部分拡大斜視図である。
図8は、
図1の緩衝材1の第3緩衝部4を示す部分垂直断面図である。第3緩衝部4を形成する第3折り曲げ片40は、上壁部42と、内壁部43と、下壁部44と、を含む。上壁部42、内壁部43、及び下壁部44は、ベース部10に外壁部11を隔て、第2折り線L42、L43、L44を介して連続して延びる。
【0038】
第3折り曲げ片40は、外壁部11に対し、第2折り線L42でその外側部分を内側(ベース部10側)に向かって略水平になるように折り曲げ、さらに第2折り線L43で略垂直下方に向かって折り曲げ、さらに第2折り線L44で外側に向かって略水平になるように折り曲げられる。内壁部43は、長辺方向Dxにおいて、第4緩衝部5の内壁部53と対向する。下壁部44は、ベース部10の上面側に重ねられている。これより、断面方形の角筒状の第3緩衝部4が形成される。
【0039】
緩衝材1は、第3緩衝部4に対し、結合部64と、位置決め部74と、を備える。
【0040】
結合部64は、第3緩衝部4を形成する第3折り曲げ片40の第2折り線L44と、ベース部10と、が上下方向に重なる位置に設けられる。結合部64は、結合片641と、結合孔642と、を有する。結合片641は、ベース部10に設けられ、第3緩衝部4の内壁部43に向かって突出し、短辺方向Dyに沿って延びる。結合片641は、外形が台形状に形成された切り起こし片である。結合孔642は、第3緩衝部4の内壁部43に開口し、外形が矩形状に形成される。
【0041】
結合片641及び結合孔642は、短辺方向Dyにおいて重なる位置に配置される。結合片641の先端部の短辺方向Dyの長さは、結合孔642の短辺方向Dyの長さよりも長い。これにより、結合部64において、結合片641を結合孔642に押し込むことで、ベース部10の上面側に第3緩衝部4が結合される。
【0042】
位置決め部74は、第3緩衝部4を形成する第3折り曲げ片40の下壁部44の長辺方向Dxの先端部441と、ベース部10と、が上下方向に重なる位置に設けられる。位置決め部74は、切り起こし片741を有する。切り起こし片741は、ベース部10から切り起こされ、第3折り曲げ片40の下壁部44が存在する上方に向かって突出し、下壁部44に引っ掛かる突出部である。切り起こし片741は、第3折り曲げ片40を折り曲げた状態で、第3折り曲げ片40の下壁部44の先端部441に当接する位置に配置される。
【0043】
位置決め部74は、下壁部44の長辺方向Dxの長さD44が、第3折り曲げ片40を折り曲げ、下壁部44の先端部441が切り起こし片741に当接した状態において、内壁部43がベース部10に対して略垂直に延びる状態となる長さに構成される。これにより、第3折り曲げ片40を折り曲げた状態で、下壁部44の先端部441が切り起こし片741に当接し、内壁部43がベース部10に対して略垂直に延びる。このようにして、位置決め部74は、ベース部10及び第3折り曲げ片40に設けられ、第3折り曲げ片40を折り曲げた状態で位置決めする。
【0044】
位置決め部74の構成によれば、平坦状態の緩衝材1(
図2参照)の長辺方向Dxにおいて、ベース部10から第3折り曲げ片40の下壁部44の先端部441までの長さを、ベース部10からの高さが最も低い第1緩衝部2を構成する第1折り曲げ片20の下壁部24の先端部241までの長さに、容易に揃えることができる。また、切り起こし片741は、第3緩衝部4内において、任意の高さで突出するように形成することができる。これにより、切り起こし片741は、下壁部44の先端部441と当接し易くなる。したがって、第3緩衝部4に係る組み立て作業性を向上ことが可能である。
【0045】
そして、上記構成の緩衝材1を形成する一枚のシート材は、
図2に示すように、第1折り曲げ片20、第2折り曲げ片30、及び第3折り曲げ片40を折り曲げる前の平坦状態において、外形が矩形状である。この構成によれば、緩衝材1は、ベース部10からの高さが異なる角筒状の第1緩衝部2、第2緩衝部3、及び第3緩衝部4を形成するにあたって、突出部である差し込み片731及び切り起こし片741によって第2折り曲げ片30及び第3折り曲げ片40を折り曲げた状態で位置決めすることができる。これにより、突出部である差し込み片731及び切り起こし片741を用いて、第2緩衝部3及び第3緩衝部4を容易に形成することができ、さらに第1折り曲げ片20、第2折り曲げ片30、及び第3折り曲げ片40の長辺方向Dxの延伸長さを任意に設定することができる。
【0046】
そして、緩衝材1を形成する一枚のシート材は、平坦状態における外形が矩形状である。したがって、第1緩衝部2、第2緩衝部3、及び第3緩衝部4を形成する第1折り曲げ片20、第2折り曲げ片30、及び第3折り曲げ片40それぞれの先端部241、341、441の位置を、ベース部10からの高さが最も低い第1緩衝部2に合わせて、互いに揃えることができる。これにより、一枚のシート材を折り曲げて形成され、角筒状の第1緩衝部2、第2緩衝部3、及び第3緩衝部4を有する緩衝材1において、低コスト化を図り、組み立て作業性を向上させることが可能になる。
【0047】
また、位置決め部74の切り起こし片741は、
図2、
図7及び
図8に示すように、第3折り曲げ片40の折り曲げ方向(長辺方向Dx)と直交する方向(短辺方向Dy)に切り起こされる。第3折り曲げ片40を折り曲げた状態で、第3折り曲げ片40の下壁部44の先端部441は、切り起こし片741の側端縁に当接する。
【0048】
この構成によれば、下壁部44の先端部441が切り起こし片741に当接するに際し、切り起こし片741の強度を高めることができる。これにより、第3折り曲げ片40を折り曲げた状態での位置決め精度を向上させることができる。したがって、第3緩衝部4は、形状が安定し、衝撃に対して高い緩衝効果を発揮することが可能になる。
【0049】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、被梱包物を収容する梱包箱の内部に配置される緩衝材において利用可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 緩衝材
2 第1緩衝部
3 第2緩衝部
4 第3緩衝部
10 ベース部
20、30、40 折り曲げ片
72、73、74 位置決め部
241、341、441 先端部
731 差し込み片(突出部)
732 スリット
741 切り起こし片(突出部)
L11 第1折り線
L22、L23、L24 第2折り線
L32、L33、L34 第2折り線
L42、L43、L44 第2折り線