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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】電子機器システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20240514BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20240514BHJP
   G06F 1/26 20060101ALI20240514BHJP
   G06F 1/28 20060101ALI20240514BHJP
   G06F 1/24 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
H02J1/00 309V
H02J7/02 A
G06F1/26 303
G06F1/28
G06F1/24 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020054982
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021158733
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 宗隆
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-197823(JP,A)
【文献】特開昭61-103232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00-1/16
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
G06F 1/26-1/3296
G06F 1/22-1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から電力を受電し、一対の受電端子として第1の接続端子と第2の接続端子を有する受電手段と、前記受電する電力の特性を検出する特性検出手段と、自装置を制御する制御部と、前記特性検出手段により検出された特性が第1の特性である場合は前記自装置を充電する処理を行い、第2の特性である場合は前記制御部をリセットする処理を行う処理実行手段と、を備える電子機器と、
前記一対の受電端子に接続され前記電力を供給する第3の接続端子と第4の接続端子とを有するプラグと、所定の特性を有する電力を生成して出力することが可能で受けた指示に応答して出力電力の特性を変更する電力出力手段と、指示を受ける手段と、前記第1の接続端子と前記第3の接続端子、及び、前記第2の接続端子と前記第4の接続端子のみが接続するように制限し、且つ、取り除き可能な、物理的に端子の相互接続を制限する制限部材と、を備える電力供給機器と、を有し、
前記制限部材が取り除かれたときには、前記第1の接続端子と前記第4の接続端子との接続、及び、前記第2の接続端子と前記第3の接続端子との接続が可能となる、
電子機器システム
【請求項2】
前記特性検出手段は、前記検出された特性が予め設定されている前記第1の特性または前記第2の特性に一致することを示す信号を出力する手段を含み、
前記処理実行手段は、前記信号に応答して、予め設定されている処理を実行する、
請求項1に記載の電子機器システム
【請求項3】
前記電子機器は、前記処理実行手段に入力信号を供給する入力装置と、前記処理実行手段の制御により画像を表示する表示部と、をさらに備え、
前記処理実行手段は、前記入力装置からの前記入力信号を処理し、前記表示部を制御する、
請求項1又は2に記載の電子機器システム
【請求項4】
前記特性検出手段は、前記受電する電力の特性として、前記受電する電力の電圧、極性、周波数或いは波形を検出する、
請求項1から3の何れか1項に記載の電子機器システム
【請求項5】
前記電子機器は、前記第1の接続端子で受電した第1の電圧値と前記第2の接続端子で受電した第2の電圧値とにより、前記処理実行手段に動作用の電力を供給する二次電池を充電する充電手段を更に備え、
前記処理実行手段は、前記特性検出手段の検出結果に応答して、前記第1の接続端子の電圧が前記第2の電圧値であり、前記第2の接続端子の電圧が前記第1の電圧値である前記第2の特性の場合に、前記制御部にリセット信号を供給する処理を行う
求項1から4の何れか1項に記載の電子機器システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器においては、画面が全く変わらず動作が止まり、入力を全く受け付けなくなる等のハングアップ或いはフリーズと呼ばれる現象が生じ、リセットが必要となることがある。このような状況に対応して、例えば、特定の物理的なボタンを長押しすることで制御部をリセットする技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-182070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
デザイン性、耐水性の向上などを指向して、物理的なボタンが設けられていない情報機器が提案されている。しかし、このような情報機器では、物理的なボタンが設けられていないため、特許文献1に発明された技術を適用できず、制御部をリセットすることが出来ない。また、物理的なボタンが設けられている場合であっても、リセットを行う機能が割り当てられていない場合も考えられる。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、物理的なボタンを使用せずとも、リセット可能な電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の電子機器システムは、
部から電力を受電し、一対の受電端子として第1の接続端子と第2の接続端子を有する受電手段と、前記受電する電力の特性を検出する特性検出手段と、自装置を制御する制御部と、前記特性検出手段により検出された特性が第1の特性である場合は前記自装置を充電する処理を行い、第2の特性である場合は前記制御部をリセットする処理を行う処理実行手段と、を備える電子機器と、
前記一対の受電端子に接続され前記電力を供給する第3の接続端子と第4の接続端子とを有するプラグと、所定の特性を有する電力を生成して出力することが可能で受けた指示に応答して出力電力の特性を変更する電力出力手段と、指示を受ける手段と、前記第1の接続端子と前記第3の接続端子、及び、前記第2の接続端子と前記第4の接続端子のみが接続するように制限し、且つ、取り除き可能な、物理的に端子の相互接続を制限する制限部材と、を備える電力供給機器と、を有し、
前記制限部材が取り除かれたときには、前記第1の接続端子と前記第4の接続端子との接続、及び、前記第2の接続端子と前記第3の接続端子との接続が可能となる
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、物理的なボタンを使用せずとも、リセット可能な電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態に係る電子機器システムの構成を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る電源アダプタおよび電子機器の構成を示す模式図である。
図3】本発明の実施の形態に係る制御部の構成を示す模式図である。
図4】本発明の実施の形態に係るリセット回路を示す図である。
図5】本発明の実施の形態に係るコネクタを示す図である。(A-1)は通常接続状態でのプラグの形状を示す平面図および正面図、(A-2)は通常接続状態でのレセプタクルの形状を示す平面図および正面図、(B-1)はリセット実行状態でのプラグの形状を示す平面図および正面図、(B-2)はリセット実行状態でのレセプタクルの形状を示す平面図および正面図である。
図6】電源アダプタの構成を示す模式図である。
図7】受電用アンテナの構成を示す模式図である。
図8】ハードウエア割り込み処理時の回路構成を示す模式図である。
図9】特性検出回路が参照するテーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態にかかる電子機器、電力供給機器、電子機器システムについて図面を参照しながら説明する。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付す。
【0010】
(実施の形態1)
図1に外観を示すように、本実施の形態に係る電子機器システム30は、電力供給機器である電源アダプタ10と、電源アダプタ10から電力の供給を受けて動作する電子機器20とから構成される。電子機器20は、物理的なボタン類を備えていない。電力供給機器である電源アダプタ10は、外部機器の一例である。
【0011】
図2に示すように、電源アダプタ10は、商用電源12から所定の直流電圧V1を生成して、プラグ13に出力する電源アダプタ本体11を電力出力手段の一例として備える。図6に示すように、プラグ13は、正接続端子T+と負接続端子T-を有し、正接続端子T+と負接続端子T-の間に直流電圧V1を印加する。正接続端子T+の電圧は、負接続端子T-の電圧よりも高い。ここで、正接続端子T+は第3の接続端子の一例であり、負接続端子T-は第4の接続端子の一例である。
【0012】
一方、電子機器20は、受電手段としての受電部21と、充電手段の一例としての充電回路22と、二次電池23と、電源回路24と、電子機器20即ち自装置を制御する制御部25と、タッチパネル26と、特性検出回路27と、リセット回路28と、を備える。
【0013】
受電部21は、レセプタクル21aを有し、電源アダプタ10のプラグ13が着脱可能に装着される。レセプタクル21aは、第1の接続端子T1と第2の接続端子T2とを有する。第1の接続端子T1と第2の接続端子T2とは、一対の受電端子の一例である。
【0014】
プラグ13のレセプタクル21aへの装着の向きにより、正接続端子T+が第1の接続端子T1に接続され、負接続端子T-が第2の接続端子T2に接続される状態(以下、順方向接続)と、負接続端子T-が第1の接続端子T1に接続され、正接続端子T+が第2の接続端子T2に接続される状態(以下、逆方向接続)の切り替えが可能である。ただし、通常の使用態様では、順方向接続で装着される。従って、通常の接続状態では、第1の接続端子T1の電圧はV1(第1の電圧値)、第2の接続端子T2の電圧はグランド(第2の電圧値)である。これは第1の特性の一例である。
【0015】
充電回路22は、第1の接続端子T1と第2の接続端子T2とに接続されている。また、充電回路22には、特性検出回路27から、その検出結果をもとに検出信号が供給される。充電回路22は、検出信号がハイレベルのとき、すなわち、第1の接続端子T1の電圧値が第2の接続端子T2の電圧値よりも高いときに、供給される直流電圧V1から充電電圧Vccを生成し、二次電池23と電源回路24とに供給する。充電回路22には、回路特性検出回路27から検出信号が供給される。充電回路22は、第1の接続端子T1の電圧値が第2の接続端子T2の電圧値よりも高いという特性の場合に、自装置を充電する処理を行う処理実行手段の一例である。また、充電回路22は充電を制御する充電制御部の一例である。
【0016】
二次電池23は、充放電可能な電池であり、充電回路22が出力する充電電圧Vccにより充電され、充電回路22から充電電圧Vccが印加されていないときには、電圧Vbを電源回路24に出力する。
【0017】
電源回路24は、電圧レギュレータから構成され、充電回路22の出力する充電電圧Vcc又は二次電池23の出力電圧Vbを受けて、電源電圧Vddを生成し、制御部25に供給する。この電源電圧Vddは、動作用電力の一例である。なお、電源回路24は、充電回路22、電源回路24自身、タッチパネル26、特性検出回路27、リセット回路28にもそれぞれ必要な動作用電力を供給する。
【0018】
制御部25は、1チップマイクロプロセッサから構成され、図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)251、RAM(Randam Access Memory)252、ROM(Read Only Memory)253、インタフェース回路254などを備える。
【0019】
CPU251は、ROM253に記憶された制御プログラムを実行することにより、自装置(すなわち、自電子機器20)を制御することにより、自装置が備える様々な機能を実現する。ROM253に記憶された制御プログラムが実現する機能は、表示部を有するタッチパネル26にアイコン、ボタンなどを含む画像を表示する機能、タッチパネル26への操作を検出する機能などを含む。このようにして、この電子機器20の入出力は、制御部25の処理を必要とする。このため、制御部25が何らかの原因でハングアップした際には、一切の入出力が不可能となる。
【0020】
RAM252は、CPU251のワークエリアとして機能する。
ROM253は、基本入出力プログラム及び複数の制御プログラムを記憶する。
インタフェース回路254は、図2に示すタッチパネル26等の周辺装置との入出力を行う。
【0021】
制御部25は、1チップマイクロプロセッサから構成され、電源端子とグランド端子との間に電源電圧Vddが印加されることにより動作する。また、制御部25は、リセット端子にローレベルのリセット信号が印加されることで、リセットされる。
【0022】
タッチパネル26は、入出力装置の一態様であり、表示装置と透明な接触センサとが積層されて構成される。タッチパネル26は、制御部25の制御により入力画面を含む様々な画像を表示し、ユーザの操作を検出して、制御部25に通知する。電子機器20の入出力は、タッチパネル26を介して制御部25により行われる。このため、制御部25がハングアップすると、入出力が困難になる。
【0023】
特性検出回路27は、第1の接続端子T1と第2の接続端子T2とを介して与えられる電力の有する物理的な特性を検出する特性検出手段の一例である。特性の例としては、電圧、極性、周波数、波形などがある。本実施の形態においては、特性検出回路27は、第2の接続端子T2の電圧に対し第1の接続端子T1の電圧が正極性か負極性かを判別する。特性検出回路27は、第1の接続端子T1の電圧が正極性と判別したときに、ハイレベル、負極性と判別したときに、ローレベルの判別信号を充電回路22及びリセット回路28に出力する。ここで、正極性は第1の特性の一例であり、負極性は第2の特性の一例である。
【0024】
リセット回路28は、制御部25をリセットするための回路である。リセット回路28は、電源オン時と、特性検出回路27が第1の接続端子T1の電圧が第2の接続端子T2の電圧に対し負極性と検出したときに、制御部25のリセット端子/Resetにローレベルのリセット信号を出力する。リセット回路28は、特性検出回路27が検出した特性が特定の特性の場合に、制御部25をリセットする処理実行手段の一例である。
【0025】
図4に示すように、リセット回路28は、電源オン時リセット回路280と、特性検出回路27が、第1の接続端子T1の電圧が負極性と検出したときに、リセット信号を出力する電源リセット回路290と、2つのリセット信号の論理積をとるAND回路282とを備える。
【0026】
電源オン時リセット回路280は、電源回路24が電源電圧Vddの出力を開始したときにリセット信号を出力する。電源オン時リセット回路280としては、一般的な任意の回路を採用できる。
【0027】
電源リセット回路290は、特性検出回路27が、第1の接続端子T1の電圧が第2の接続端子T2の電圧に対して負極性と検出したときに、リセット信号を出力する。電源リセット回路290の回路構成としては、特性検出回路27がローレベルの検出信号を出力したときに、所定のパルス幅を有するローレベルパルスを出力する任意の回路を採用できる。図4では、検出信号を所定時間だけ遅延する遅延回路291と、遅延信号と検出信号をプルアップするプルアップ抵抗292、293と、両信号の排他的論理和をとるEXOR(排他的論理和)回路294と、EXOR回路294の出力信号の信号レベルを反転して出力するインバータ回路295を備える。
【0028】
AND回路282は、電源オン時リセット回路280の出力と電源リセット回路290の出力の論理積をとって、少なくともいずれか一方がローレベルとなったときに、制御部25のリセット端子/Resetにローレベルのリセット信号を出力する。
【0029】
次に、上記構成を有する電子機器システム30の動作を説明する。
電子機器20の充電時、ユーザは、電源アダプタ10のプラグ13を電子機器20の受電部21のレセプタクル21aに順方向に挿入し、正接続端子T+と第1の接続端子T1、負接続端子T-と第2の接続端子T2とを接触させる。この時、特性検出回路27は、受電した電力の特性を第1の特性として検出し、ハイレベルの検出信号を出力する。充電回路22は、検出信号に応答し、電圧V1から充電電圧Vccを生成し、二次電池23を充電する。すなわち、自装置を充電する。
【0030】
電源回路24は、プラグ13がレセプタクル21aに挿入され、充電回路22から充電電圧Vccが供給される状態、或いは、二次電池23の出力電圧Vbが供給される状態のいずれかの状態において、制御部25に電源電圧Vddを供給する。
【0031】
制御部25は、電源回路24から供給される電力を消費して動作し、制御プログラムを実行し、タッチパネル26に画像を表示し、タッチパネル26からの指示に従って、動作し、この電子機器20が有する機能を実現する。
【0032】
なお、制御部25は、プラグ13がレセプタクル21aから外された状態でも、電源回路24が二次電池23の出力から電源電圧Vddを供給するため、二次電池23にエネルギーが蓄積されている間は、動作可能である。
【0033】
この通常動作状態では、ユーザは、必要に応じて、タッチパネル26から指示を入力することにより、制御部25をリセットすることが可能である。この場合、制御部25は、例えば、電源回路24に電源電圧Vddの出力を停止させる。電源回路24は、制御部25の制御により、電源電圧Vddの出力を一定期間停止し、出力電圧をグランドレベルとする。これにより、制御部25は一旦シャットダウンされる。電源回路24は、一定期間経過後、出力電圧を電源電圧Vddに復旧させる。これにより、制御部25は動作を再開する。一方、電源電圧Vdd復旧後、電源オン時リセット回路280がローレベルのリセット信号を出力する。なお、このとき、EXOR回路294の2つの入力信号はプルアップされており、インバータ回路295の出力信号はハイレベルであるとする。これにより、制御部25は、リセットされ、動作を再開する。
【0034】
ここで、何らかの原因で、制御部25がハングアップした場合を想定する。
この場合、タッチパネル26に表示された画像は変化せず、タッチパネル26へのユーザの操作は認識されない状態となる。このため、制御部25のリセットが必要となる。ただし、タッチパネル26からのリセットの指示はできない。
【0035】
この場合、ユーザは、電源アダプタ10のプラグ13を電子機器20のレセプタクル21aに、逆方向に接続する。すると、特性検出回路27は、第1の接続端子T1の電圧が第2の接続端子T2の電圧に対し負極性であること(第2の特性)を検出し、ローレベルの検出信号を充電回路22とリセット回路28に出力する。充電回路22は、この検出信号に応答し、充電電圧Vccの出力を停止し、二次電池23は充電されない。
【0036】
一方、ローレベルの検出信号は、EXOR回路294の一方の入力端に直接供給されると共に、遅延回路291により一定時間遅延されて、EXOR回路294の他方の入力端に供給される。EXOR回路294は、検出信号がローレベルで、遅延信号がハイレベルの一定期間だけハイレベルの信号を出力する。インバータ回路295はこれをローレベルに反転して出力する。AND回路282は、ローレベル信号の入力に応答し、ローレベルのリセット信号を制御部25のリセット端子/Resetに出力する。このリセット信号に応答して、制御部25は、自己をリセットし、続いて、規定の初期化処理等を行って、その後、通常の動作状態に復帰し、タッチパネル26からの入力を受け付け、タッチパネル26の表示を更新する機能を復元する。
【0037】
また、この間に、遅延回路291の遅延時間が経過し、EXOR回路294の入力は共にハイレベルとなり、その出力はローレベルとなり、AND回路282の出力はハイレベルに復帰する。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態によれば、制御部25がハングアップし、タッチパネル26からの入力操作を受け付けなくなった場合でも、制御部25をリセットし、電子機器20を通常の動作状態に復帰させることができる。また、電源アダプタ10は、一般的な構成であり、リセット専用の装置を用意する必要もない。
【0039】
なお、以上の説明では、充電回路22は、特性検出回路27からの検出信号により、電源アダプタ10から供給される電圧V1の極性を判別したが、印加電圧の極性を自ら判別してもよい。
【0040】
なお、上記の説明では、プラグ13がレセプタクル21aに順方向に接続された場合にのみ、二次電池23を充電したが、常時充電を行えるようにしてもよい。この場合、例えば、充電回路22の入力端に全波整流回路を配置して、入力電圧が+V1であるか、-V1であるかに関わらず、充電電圧Vccを生成し、二次電池23を充電するように構成してもよい。この場合、特性検出回路27から充電回路22に検出信号を供給する必要はない。
【0041】
以上の説明では、第1の接続端子T1と第2の接続端子T2との間の電圧を測定することにより、プラグ13がレセプタクル21aに順方向に装着されているか逆向きに接続されているかを特定した。この発明は、これに限定されない。機械的に、プラグ13の装着の向きを判別することも可能である。例えば、レセプタクル21aにマイクロスイッチ、光スイッチ等のセンサを設け、プラグ13を非対称の形状に形成しておき、例えば、順方向装着のときにセンサがオンし、逆方向装着のときにセンサがオフとなるように配置し、センサのオン・オフにより、プラグ13の装着の向きを判別するようにしてもよい。更に、マイクロスイッチを用いて、順方向装着の時にマイクロスイッチがオンとなり、逆方向装着の時にマイクロスイッチがオフとなるように配置することも可能である。
【0042】
(実施の形態2)
実施の形態1においては、プラグ13をレセプタクル21aに順方向にも、逆方向にも接続可能として説明した。ただし、通常状態では、逆方向接続を防止することが望ましい。以下、通常時は順方向接続のみ可能とし、リセット時に逆方向接続を可能とするコネクタ構成について説明する。ここで、順方向、逆方向は、それぞれ、第1の方向、第2の方向の一例である。
【0043】
図5(A-1)は、プラグ13の正面図と平面図である。図示するように、プラグ13は、レセプタクル21aとの接合面に、正接続端子端子T+及び負接続端子T-と、逆刺し防止用の制限手段として機能する制限部材として、突起部13A、13Bを有する。突起部13Aと13Bは、互いにサイズ、形状、位置などが異なっている。また、突起部13A、13Bは、着脱可能にプラグ13に取り付けられている。
【0044】
図5(A-2)は、電子機器20が有するレセプタクル21aの正面図と平面図である。図示するように、レセプタクル21aは、第1と第2の接続端子T1、T2と、プラグ13の突起部13A、13Bに勘合可能な凹み部21aA、21aBとを有する。
【0045】
通常状態においては、突起部13A、13Bは、プラグ13に装着されている。この状態では、サイズの大きな突起部13Bが、凹み部21aAに嵌合できないため、プラグ13とレセプタクル21aは、順方向にのみ接続可能である。すなわち、突起部13A、13Bと凹み部21aA、21aBとは、物理的に端子の相互接続を制限する接続制限手段の一例である。
【0046】
一方、制御部25をリセットする場合、ユーザは、図5(B-1)に示すように、突起部13A、13Bを取り外す。なお、図5(B-1)では、突起部13A、13Bが外された部位がそれぞれ13C、13Dとしてグレーで記載されている。例えば、この部分には、赤いマークや注意書きが露出しており、これらが、逆刺しが可能になっているという状況についての警告になっている。
【0047】
この状態では、突起部13A、13Bがないので、突起の干渉がない。このため、逆方向にプラグ13をレセプタクル21aに装着することが可能である。これにより、第1の接続端子T1に負接続端子T-が接続され、第2の接続端子T2に正接続端子T+が接続されて、前述のリセット処理が実行される。
【0048】
なお、逆方向接続を防止する構成は、上記構成に限定されず、任意である。例えば、突起部13Bのみ着脱可能としてもよい。また、突起部と凹み部は、順方向接続時には嵌合し、逆方向接続時には嵌合しない組み合わせのそれぞれ1カ所だけでもよい。
【0049】
(実施の形態3)
上記実施の形態1、2においては、電子機器20の2つの接続端子T1、T2に印加する電圧の極性を反転することにより、制御部25をリセットとしたが、制御部25をリセットするための電力の特性は任意である。
【0050】
例えば、第2の接続端子T2の電圧に対する第1の接続端子T1の電圧がV1のときには通常動作、電圧がV2のときにはリセット処理というように設定してもよい。この場合、例えば、図6に示すように、電源アダプタ10の本体11は出力電圧可変のAC(交流)-DC(直流)コンバータから構成され、操作ボタン14を具備する。電源アダプタ本体11は、操作ボタン14が押操作されていないときには、電圧V1を出力し、押操作されているときには電圧V2を出力する。
【0051】
特性検出回路27は、第1接続端子T1と第2接続端子T2との間に電圧V1を検出したときには、検出信号をハイレベルに維持し、電圧V2を検出したときには、検出信号をローレベルとする。
【0052】
ユーザは、制御部25をリセットしたい場合には、プラグ13をレセプタクル21aに装着し、電源アダプタ本体11の操作ボタン14を押操作する。これにより、電源アダプタ本体11が正接続端子T+、負接続端子T-間に電圧V2を発生する。特性検出回路27は、電圧V2を検出し、検出信号をローレベルとする。これにより、リセット回路28は、制御部25のリセット端子/Resetにリセット信号を出力する。
【0053】
(実施の形態4)
上記実施の形態1~3においては、電源アダプタ10が直流電圧を電子機器20に供給したが、交流電圧を供給してもよい。この場合、例えば、電源アダプタ本体11は、例えば、AC-AC変換回路から構成され、商用電源12から、電子機器20に適した電圧V1及び周波数f1の交流電圧を生成して出力する。電子機器20は、この交流電圧を受電部21で受電し、充電回路22で電圧変換、整流、平滑化等の処理を行って充電電圧Vccを生成する。
【0054】
電源アダプタ本体11は、操作ボタン14が押操作されると、出力電圧をV2に周波数をf2に変更する。一方、電子機器20は、この交流電圧を受電部21で受電し、充電回路22で電圧変換、整流、平滑化等の処理を行って充電電圧Vccを生成する。さらに、特性検出回路27は、供給された電圧の電圧値がV2で周波数がf2であることを検出し、検出信号をローレベルとする。これにより、リセット回路28は、制御部25のリセット端子/Resetにリセット信号を出力する。
【0055】
なお、電源アダプタ10は、リセット用に電圧と周波数の両方を変更する必要はなく、一方のみを変更してもよい。この場合、特性検出回路27は、変更対象の特性、例えば、電圧値或いは周波数のみを検出すればよい。
(変形例)
リセットを指示する受電電力の特性としては、極性、電圧値、周波数を例示したが、これらに限定されず、例えば、直流交流の区別、交流電圧値、Sin波と矩形波との区別等の波形等でもよい。但し、これらに限定される訳ではなく、検出することが可能なものであれば如何なるものも適用可能である。
【0056】
(実施の形態5)
上記実施の形態においては、電源アダプタ10と電子機器20とが有線で接続される例を示したが、いわゆるワイヤレス給電であってもよい。
ワイヤレス給電では、例えば電磁誘導が使われており、電源アダプタ10は例えば周波数f1の交番磁界を発生する。電子機器20の受電部21は、図7に示すように、例えば、コイル21Cから構成された受電用アンテナを備え、電磁誘導によりコイル21Cに生じた電圧を第1の接続端子T1と第2の接続端子T2を介して、充電回路22と特性検出回路27に供給する。
【0057】
電源アダプタ10は操作ボタン14を備え、操作ボタン14が操作されると交番磁束の周波数をf1からf2に変更する。電子機器20の受電部21は、コイル21Cに誘起された周波数f2の交流電圧を第1の接続端子T1と第2の接続端子T2とを介して、充電回路22と特性検出回路27に供給する。特性検出回路27は、供給された電圧の周波数がf2であることを検出し、検出信号をローレベルとする。これにより、リセット回路28は、制御部25のリセット端子/Resetにリセット信号を出力する。
【0058】
(実施の形態6)
制御部25をリセットする場合を例に本願発明を説明したが、供給電力の特性を切り替えることにより制御部25に実行させる処理はリセット処理に限定されず、任意の処理を割り当て可能である。
【0059】
例えば、図8に示すように、電源リセット回路(この場合は、割り込み回路)290の出力を制御部25のリセット端子に供給する代わりに、制御部25が有する割り込み端子INTに供給し、特性検出回路27が特定の特性を検出したときに、制御部25がハードウエア割り込み処理を実行するようにしてもよい。ハードウエア割り込み処理にどのような処理を割り当てるかは任意である。
【0060】
例えば、ハードウエア割り込み処理に、リセット処理を割り当てれば、上述の処理と同様の結果が得られる。ただし、それに限られず、ハードウエア割り込みに、タッチパネル26への特定の表示、或いは表示のオフ、特定の記憶データの消去などの任意の処理を割り当ててもよい。さらには、ハードウエア割り込みに、図示せぬ通信回線を介して外部に緊急通報を行う、図示せぬスピーカから警報音を発生する等の処理を割り当てることも可能である。
【0061】
また、リセット、スリープ、再起動、電源オフ、バックライトオフなどの電子機器20が有する処理と、受電部21で受電する電力の特性、例えば、極性、大きさ、直流/交流との区別、周波数等とを紐づけて、即ち、受けた指示に応答して出力電力の特性を変更し、選択的に任意の処理を実行可能とすることも可能である。
【0062】
例えば、特性検出回路27をプロセッサで構成し、図9に例示するテーブルを格納しておく。特性検出回路27は、このテーブルに登録されている特性の組み合わせを検出したときに、制御部25に対応する処理を実行するコマンドを送信するようにしてもよい。
【0063】
図9の制御テーブルの例では、例えば、受電した電力の周波数がf1で、波形がsin波のときには、特性検出回路27は、制御部25に処理を実行すべき旨のコマンドを送信する。制御部25は、コマンドに応答して、処理を実行する。
【0064】
(実施の形態7)
上記実施の形態においては、特性検出回路27が電力の所定の特性を検出したときに、リセット回路28が制御部25のリセット端子にリセット信号を供給する例を説明した。この発明はこれに限定されず、制御部25をリセットできるならば、その構成自体は任意である。例えば、電源リセット回路290の出力を電源回路24を構成する電源ICのリセット端子に供給するように構成しても、上述と同様の結果を得ることができる。
【0065】
この場合、特性検出回路27が電力の所定の特性を検出すると、電源リセット回路290が一定幅のローレベルパルスを電源回路24のリセット端子に出力する。電源回路24は、リセット信号に応答して、電源電圧Vddの出力を一時的に停止し、その後、電源電圧Vddの出力を再開する。これにより、電源オン時リセット回路280がリセット信号を制御部25のリセット端子に供給し、リセット処理が実行される。
【0066】
また、例えば、電源回路24の出力端と制御部25の電源端子との間にスイッチを配置し、このスイッチをオン・オフすることで、制御部25をリセットするように構成してもよい。例えば、スイッチを半導体スイッチで構成し、このスイッチを、電源リセット回路290によりオフすることにより、制御部25への電力供給を遮断してもよい。
【0067】
以上本発明の実施の形態を説明したが、構成及び動作は例示であり、限定されるものではない。本発明の実施の形態の説明において、回路構成は一例にすぎず、同等の機能を達成できれば、どのような回路でもよい。また、正負論理も適宜変更可能である。
【0068】
電子機器20として物理的なボタン類を持たない装置の例を示したが、ボタン類を備えてもよい。入出力部としてタッチパネル26を例示したが、入力装置と表示装置が独立した構成でもよい。例えば、電源リセット回路を例示したが、これに限られる訳ではない。
【0069】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0070】
(付記)
(付記1)
外部から電力を受電する受電手段と、
前記受電する電力の特性を検出する特性検出手段と、
自装置を制御する制御部と、
前記特性検出手段により検出された特性が第1の特性である場合は前記自装置を充電する処理を行い、第2の特性である場合は前記制御部をリセットする処理を行う処理実行手段と、
を備える電子機器。
【0071】
(付記2)
前記特性検出手段は、前記検出された特性が予め設定されている前記第1の特性または前記第2の特性に一致することを示す信号を出力する手段を含み、
前記処理実行手段は、前記信号に応答して、予め設定されている処理を実行する、
付記1に記載の電子機器。
【0072】
(付記3)
前記処理実行手段に入力信号を供給する入力装置と、
前記処理実行手段の制御により画像を表示する表示部と、
をさらに備え、
前記処理実行手段は、前記入力装置からの前記入力信号を処理し、前記表示部を制御する、
付記1又は2に記載の電子機器。
【0073】
(付記4)
前記特性検出手段は、前記受電する電力の特性として、前記受電する電力の電圧、極性、周波数或いは波形を検出する、
付記1から3の何れか1つに記載の電子機器。
【0074】
(付記5)
前記受電手段は、外部機器に接続されることで前記電力を受電する第1の接続端子と第2の接続端子とを備え、
前記第1の接続端子で受電した第1の電圧値と前記第2の接続端子で受電した第2の電圧値とにより、前記処理実行手段に動作用の電力を供給する二次電池を充電する充電手段を更に備え、
前記処理実行手段は、前記特性検出手段の検出結果に応答して、前記第1の接続端子の電圧が前記第2の電圧値であり、前記第2の接続端子の電圧が前記第1の電圧値である前記第2の特性の場合に、前記制御部にリセット信号を供給する処理を行う、
ことを特徴とする、
付記1から4の何れか1つに記載の電子機器。
【0075】
(付記6)
外部機器に接続されることで受電を行う受電端子と、
前記受電端子に供給された電力を用いて充電を制御する充電制御部と、
自装置を制御する制御部と、
を備え、
前記充電制御部は、
前記外部機器と前記受電端子とが第1の方向で接続されている場合は充電を実行し、
前記第1の方向とは異なる第2の方向で接続されている場合、前記制御部のリセットを実行する、
電子機器。
【0076】
(付記7)
所定の特性を有する電力を生成して出力する電力出力手段と、
指示を受ける手段と、
出力電力の特性を変更する手段と、
を有し、
前記電力出力手段は、受けた指示に応答して、前記出力電力の特性を変更する、
電力供給機器。
【0077】
(付記8)
付記1から6の何れか1つに記載の電子機器と付記7に記載の電力供給機器とを備える、
電子機器システム。
【0078】
(付記9)
前記電子機器の前記受電手段は一対の受電端子として第1の接続端子と第2の接続端子を有し、
前記電力供給機器は、前記電子機器の前記受電手段が有する前記一対の受電端子に接続され、前記電力を供給する第3の接続端子と第4の接続端子とを有し、
前記第1の接続端子と前記第3の接続端子、前記第2の接続端子と前記第4の接続端子のみが接続するように制限し、且つ、取り除き可能な、物理的に端子の相互接続を制限する制限部材を備え、
前記第1から第4の接続端子は、前記制限部材が取り除かれたときには、前記第1の接続端子と前記第4の接続端子との、前記第2の接続端子と前記第3の接続端子との接続が可能となる構成を有する、
付記8に記載の電子機器システム。
【符号の説明】
【0079】
10…電源アダプタ、11…電源アダプタ本体、12…商用電源、13…プラグ、13A…突起部、13B…突起部、14…操作ボタン、20…電子機器、21…受電部、21C…コイル、21a…レセプタクル、21aA…凹み部、21aB…凹み部、22…充電回路、23…二次電池、24…電源回路、25…制御部、26…タッチパネル、27…特性検出回路、28…リセット回路、251…CPU、252…RAM、253…ROM、254…インタフェース回路、280…電源オン時リセット回路、282…AND回路、290…電源リセット回路、291…遅延回路、292…プルアップ抵抗、293…プルアップ抵抗、294…EXOR回路、295…インバータ、T+…正接続端子、T-…負接続端子、T1…第1の接続端子、T2…第2の接続端子、V1…電圧、V2…電圧、Vb…出力電圧、Vcc…充電電圧、Vdd…電源電圧、f1…周波数、f2…周波数
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9