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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】原稿搬送装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240514BHJP
   B65H 5/02 20060101ALI20240514BHJP
   G03B 27/62 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
H04N1/00 567Q
B65H5/02 P
G03B27/62
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020074523
(22)【出願日】2020-04-20
(65)【公開番号】P2021175003
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】米本 悟
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-236689(JP,A)
【文献】特開平11-106085(JP,A)
【文献】特開2011-011829(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B65H 5/02
G03B 27/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の搬送路が形成された搬送部と、
前記搬送部に回動可能に支持されて前記搬送路を開閉する原稿カバーと、
一端が前記搬送部と前記原稿カバーの一方に回動可能に支持され、他端が前記搬送部と前記原稿カバーの他方に形成された長孔に沿って移動可能に支持され、前記他端が前記長孔の一端縁に係止されることで、前記原稿カバーを前記搬送部に対して所定の開放角度で支持するストッパーと、を備え、
前記原稿カバーの回動時に前記ストッパーの前記他端が前記長孔に沿って移動する長さを短く規制することで、前記開放角度よりも小さい角度で前記原稿カバーを前記搬送部に対して支持する規制手段を備え
前記規制手段は、前記ストッパーの前記一端が回動可能に支持される位置を、前記長孔から遠い位置に変更可能とする手段であることを特徴とする原稿搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の搬送路を開閉するカバーを備える原稿搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿搬送装置は、原稿の搬送路を開閉するカバーを備え、カバーを開くことで搬送路に生じた紙詰まり等を処置できるようになっている。このような原稿搬送装置は、画像形成装置の上方に設置される場合が多い。また、後処理装置等のオプション機器が、画像形成装置に隣接して設置される場合もある。
【0003】
この場合、隣接されたオプション機器のフィニッシャーやインサーター(排紙された用紙間に合紙を挟む装置)によっては、開いたカバーがこれらに干渉する場合がある。このため、カバーの開放角度を調整できることが好ましい。
【0004】
特許文献1には、カバーを一定の開き角度に規制するストッパーを備える原稿搬送装置が記載されている。ストッパーは、カバーの開閉時にストッパーが原稿搬送部に設けられた突起物を挟んで摺動するように構成されている。突起物を挟む隙間を突起物の幅よりも狭くすることで、カバー開閉時に摩擦による負荷を生じさせて、カバー開閉時の操作感を得るとことができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-87464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記特許文献1に記載の原稿搬送装置では、カバーを意図する開放角度に維持することは考慮されていない。
【0007】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、所定の開放角度よりも小さい開放角度でカバーを開放姿勢に維持できる原稿搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の原稿搬送装置は、原稿の搬送路が形成された搬送部と、前記搬送部に回動可能に支持されて前記搬送路を開閉する原稿カバーと、一端が前記搬送部と前記原稿カバーの一方に回動可能に支持され、他端が前記搬送部と前記原稿カバーの他方に形成された長孔に沿って移動可能に支持され、前記他端が前記長孔の一端縁に係止されることで、前記原稿カバーを前記搬送部に対して所定の開放角度で支持するストッパーと、を備え、前記原稿カバーの回動時に前記ストッパーの前記他端が前記長孔に沿って移動する長さを短く規制することで、前記開放角度よりも小さい角度で前記原稿カバーを前記搬送部に対して支持する規制手段を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の原稿搬送装置において、前記規制手段は、前記一端縁の側から前記長孔に沿って装着される規制部材であることを特徴としてもよい。
【0010】
本発明の原稿搬送装置において、前記規制手段は、前記ストッパーの前記一端が回動可能に支持される位置を、前記固定位置よりも前記長孔から遠い位置に変更可能とする手段であることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、規制手段によって原稿カバーの開放角度を小さくすることができるので、原稿搬送装置に後処理装置等の装置を隣接して配置しても、開放された原稿カバーがこの装置に干渉することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置において、後カバーと、原稿カバーと、ストッパーとを示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置のストッパーを示す側面図である。
図4A】本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置において、閉止状態の原稿カバーを示す正面図である。
図4B】本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置において、開放状態の原稿カバーを示す正面図である。
図5A】本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置において、第1の規制手段としての規制部材を示す斜視図である。
図5B】本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置において、第1の規制手段としての規制部材を示す側面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置において、規制部材が装着された原稿カバー(開放時)を示す正面図である。
図7A】本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置において、規制部材が装着された原稿カバー(開放時)を示す後面図である。
図7B図7Aの一部を拡大して示すである。
図8】本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置において、第2の規制手段としての規制孔が形成された原稿カバーを示す斜視図である。
図9】本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置において、ストッパーの固定側突起が規制孔に支持された状態での、原稿カバー(閉止時)を示す正面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置において、ストッパーの固定側突起が規制孔に支持された状態での、原稿カバー(開放時)を示す正面図である。
図11】本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置において、ストッパーの固定側突起が規制孔に支持された状態での、原稿カバー(開放時)を示す後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置について説明する。
【0014】
図1を参照して、原稿搬送装置1について説明する。図1は原稿搬送装置1を示す斜視図である。各図に示す、Fr、Rr、L、Rは、原稿搬送装置1の前側、後側、左側、右側をそれぞれ示す。
【0015】
原稿搬送装置1は、原稿読取装置(図示省略)の上面に搭載される。原稿搬送装置1は、原稿を自動的に搬送し、原稿読取装置は、搬送された原稿の画像を読み取る。原稿搬送装置1及び原稿読取装置は、例えば、画像形成装置の上面に搭載される。この例では、画像形成装置の左側に後処理装置等のオプション機器が設置される可能性がある場合について説明する。
【0016】
原稿搬送装置1は、ベース部3と、原稿を搬送する搬送部5と、原稿が載置される給紙トレイ7と、搬送部5を搬送された原稿が積載される排出トレイ9と、原稿カバー15と、を備えている。
【0017】
搬送部5は、ベース部3の上面の左半分に設けられている。搬送部5は、本体部10と、本体部10の前方を覆う前カバー11と、本体部10の後方を覆う後カバー13と、を備えている。本体部10の右側面には、原稿の受入口と排出口(いずれも図示省略)とが、上下に並んで形成されている。本体部10には、受入口から排出口へ向かって用紙が搬送される搬送路の一部が形成されている。
【0018】
給紙トレイ7は、受入口よりも下方で、本体部10に支持されている。排出トレイ9は、排出口よりも下方で、ベース部3上面の右半分に形成されている。
【0019】
給紙トレイ7に載置された原稿は、受入口を通して搬送路に送り出され、搬送路に沿って搬送され、排出口から排出されて、排出トレイ9に積載される。
【0020】
前カバー11は、ベース部3の前縁の左半分に沿って立設されている。後カバー13は、ベース部3の後縁の左半分に沿って立設されている。
【0021】
図2を参照して、後カバー13と原稿カバー15とについて説明する。図2は後カバーと原稿カバーとストッパーを示す斜視図である。
【0022】
後カバー13は、後壁部21と、後壁部21の前方に外壁部23を隔てて対向する内壁部25と、を有している。後壁部21は横長の矩形状であり、左上角部が円弧状に湾曲している。内壁部25は、後壁部21の左上角部に沿うように形成されている。
【0023】
内壁部25には、長孔27が形成されている。長孔27は、左右方向に略水平に延びる直線部27aと、直線部27aの左端から左下方に傾斜した傾斜部27bと、を有している。直線部27aの右端には、長孔27の幅よりも大径の円形部27cが形成されている。また、内壁部25には、長孔27の傾斜部27bの下方に、略半円状の肉厚部25aが形成されている。
【0024】
原稿カバー15は、搬送部5の本体部10の上面と左面とを覆うように、原稿搬送装置1の前側から見て略L字状の側面形状を有している。原稿カバー15の前縁と後縁とには、前後の内壁部33、35がそれぞれ湾曲部に沿って形成されている。原稿カバー15の内面には、搬送路の上側のガイド面を形成する上ガイド板(図示省略)が支持されている。原稿カバー15の下端部は、前後のカバー11、13間に配置された回動軸(図示省略)に回動可能に支持されている。原稿カバー15を下方に回動させると、上ガイド板と搬送部5の本体部10との間に搬送路が形成される。原稿カバー15を上方に回動させると、搬送路が露出して、本体部10で生じた紙詰まり等を処置できるようになっている。
【0025】
後側の内壁部35の内側の部分には、鍵穴状の固定孔37が開けられている。
【0026】
原稿カバー15と後カバー13とはストッパー41で連結されて、原稿カバー15が所定の開放角度で後カバー13に対して支持されるようになっている。
【0027】
ストッパー41について、図2図3も参照して説明する。図3はストッパーを示す側面図である。
【0028】
ストッパー41は、長い板片状の部材であり、直線状部41aと、直線状部41aの一端に傾斜部41cを介して接続された円弧状に湾曲する湾曲部41bと、を有している。直線状部41aの側の端部の後側の面には可動側突起43が突出している。図3に示されるように、可動側突起43は、軸部43aと、軸部43aよりも大径の円板状の頭部43bと、を有している。また、湾曲部41bの側の端部の表側の面には固定側突起45が突出している。固定側突起45は、軸部45aと、軸部45aに対して略直角に屈曲した係止部45bと、を有している。
【0029】
再度図2を参照して、ストッパー41は、後カバー13の内壁部25と、原稿カバー15の後側の内壁部35との間に配置されて、可動側突起43が、後カバー13の長孔27に支持され、固定側突起45が、原稿カバー15の固定孔37に支持されている。詳細には、可動側突起43の頭部43b(図3参照)を、長孔27の円形部27cに前側から通して、軸部43aを長孔27の直線部27aに係合させる。これにより、可動側突起43が長孔27に沿って移動可能となる。また、可動側突起43は、頭部43bによって長孔27から抜け止めされる。固定側突起45は、原稿カバー15の固定孔37に後側から通され、係止部45b(図3参照)が内壁部35に係止される。これにより、ストッパー41は、固定側突起45の軸部45aを中心として回動する。
【0030】
ストッパー41の作用について、図4A及び図4Bを参照して説明する。図4Aは原稿カバー閉止時を示し、図4Bは原稿カバー開放時を示す。
【0031】
図4Aに示されるように、原稿カバー15が閉じられた状態では、ストッパー41の可動側突起43は、後カバー13の長孔27の円形部27cの左側に位置している。原稿カバー15を上方に回動させると、ストッパー41は、固定側突起45が係止されている原稿カバー15に引っ張られて左方向に移動し、可動側突起43は長孔27内を左方向に移動する。この際、ストッパー41は、固定側突起45の軸部45a(図3参照)を中心として回動する。やがて、図4Bに示されるように、可動側突起43が長孔27の左端縁に係止されると、原稿カバー15の回動が規制されて、原稿カバー15が所定の開放角度に支持される。所定の開放角度では、原稿カバー15の重心が原稿カバー15の回動軸よりも左側にあるので、原稿カバー15は自重では閉じないようになっている。
【0032】
ところで、前述のように、後処理装置等のオプション機器が画像形成装置に隣接して設置される場合、開いた原稿カバー15がこれらに干渉する場合がある。このため、原稿搬送装置1は、原稿カバー15を所定の開放角度よりも小さい角度で後カバー13に対して支持することができるようになっている。本実施形態の原稿搬送装置1は、原稿カバー15の回動時にストッパー41の可動側突起43が長孔27に沿って移動する長さを短く規制して、原稿カバー15を所定の開放角度よりも小さい角度で後カバー13に対して支持する規制手段を備える。
【0033】
第1の実施例に係る規制手段について、図2と、図5A及び図5Bを参照して説明する。図5Aは、第1の実施例に係る規制手段である規制部材を示す斜視図、図5Bは規制部材の側面図である。
【0034】
第1の実施例に係る規制手段は、後カバー13の長孔27(図2参照)に装着される規制部材51である。図5Aに示されるように、規制部材51は、長孔27の傾斜部27b(図2参照)に沿う形状の板片状の規制板53を有する。規制板53の表側の面の中央部には、抜け止め部55が形成されている。図5Bに示されるように、抜け止め部55は、規制板53の表側の面から立設する軸部55aと、軸部55aを中心として回動可能な係止片55bと、を有している。係止片55bは、平面視にて略矩形状を有し、長手方向の長さは、長孔27の幅よりも長く、短手方向の長さは、長孔27の幅よりも短い。
【0035】
規制板53の左端部53Lの表側の面には、係止突起57が突設されている。係止突起57は、長孔27の幅と同等の外径の円柱状を有している。また、左端部53Lの下側の側縁に沿って、円弧状に湾曲した規制縁59が形成されている。
【0036】
規制板53の右端部53Rには、受け部61が形成されている。受け部61は、規制板53の幅方向に対向する一対のアーム63を有する。アーム63間に、ストッパー41の可動側突起43(図2参照)の頭部43b(図3参照)が挿通可能な幅を有する隙間Gが形成される。隙間Gの途中の部分には、両アーム63の途中の部分が内側に湾曲して、隙間の幅が狭くなる幅狭部61aが形成されている。幅狭部61aよりも奥には、頭部43bと同等の径の円弧状に湾曲した底部61bが形成されている。両アーム63の中央寄りの約半分の部分の間には、両アーム63の撓みを防止するための弾性部65が一体に成型されている。
【0037】
上記構成を有する原稿搬送装置1において、規制部材51の作用について、図5A及び図5Bに加えて、図6図7A及び図7Bを参照して説明する。図6は、第1の実施例の規制手段が適用された場合の、原稿カバー(開放時)を示す正面図である。図7Aは、図6の原稿カバーを、後カバーの内壁部の後側から見た図であり、図7B図7Aの一部を拡大した図である。
【0038】
規制部材51は、後カバー13の内壁部25の後側から長孔27に装着される。詳細には、図5A及び図5Bを参照して、まず、抜け止め部55の係止片55bを、長手方向が規制板53の長手方向に沿う姿勢に回動させておく。次に、この抜け止め部55と係止突起57とを内壁部25の後側から長孔27の傾斜部27bに通し、図7Bに示されるように、係止突起57を長孔27の左端縁に係止させる。そして、抜け止め部55の係止片55bを略90度回動させる。これにより、係止片55bが内壁部25に係止されて、規制部材51が長孔27に抜け止めされる。また、受け部61のアーム63間の隙間Gは長孔27に沿うように並び、隙間Gの開口が長孔27に連通する。さらに、左端部53Lの規制縁59が、内壁部25の肉厚部25a左側からに当接して、規制部材51の長孔27に沿った右方向への移動を規制する。
【0039】
原稿カバー15が下方に回動した状態では、ストッパー41の可動側突起43は、後カバー13の長孔27の円形部27cの近傍に位置している。すなわち、可動側突起43の位置は、図4Aに示される、規制部材51を装着しない場合と同じ位置である。搬送路を開放する際に原稿カバー15を上方に回動させると、ストッパー41は、固定側突起45が係止された原稿カバー15に引っ張られて左方向に移動し、可動側突起43(軸部43a)は長孔27内を左方向に移動する。
【0040】
やがて、図6図7A及び図7Bに示されるように、可動側突起43は、規制部材51の受け部61に入り込む。詳細には、可動側突起43の頭部43bは、アーム63間の隙間Gの開口から入り込み、幅狭部61aを通過して、底部61bに受け止められる。受け部61のアーム63は、頭部43bが幅狭部61aを通過する際、外方向に弾性変形し、頭部43bが底部61bに受け止められた後、元の形状に復帰する。これにより、底部61bに受け止められた頭部43bが、受け部61から抜け出しにくくなっている。このように頭部43bが受け部61に受け止められることでストッパー41の移動が規制され、原稿カバー15の回動が規制される。この際、可動側突起43の長孔27に沿った移動量が、規制部材51を装着していない場合と比べて、長孔27の傾斜部27bに沿った規制部材51の長さの分だけ短くなる。したがって、図6に示されるように、原稿カバー15の開放角度を、後カバー13の左縁と原稿カバー15の左縁との間の角度とすると、原稿カバー15の開放角度αが、可動側突起43が長孔27の左端縁に係止される場合(図6の二点鎖線参照)の原稿カバー15の開放角度βに比べて小さくなる。この場合も、原稿カバー15の重心が原稿カバー15の回動軸よりも左側にあるので、原稿カバー15は自重では閉じないようになっている。
【0041】
なお、原稿カバー15を下方に回動させると、ストッパー41が原稿カバー15で押され、可動側突起43は長孔27内を右方向に移動する。この際、可動側突起43の頭部43bが規制部材51の受け部61の底部61bから幅狭部61aを通って抜け出すが、規制部材51の規制縁59が内壁部25の肉厚部25aに左側から当接して規制部材51の右方向への移動が規制されているので、規制部材51は可動側突起43には引っ張られず、元の位置に維持される。
【0042】
上記説明したように、本発明の原稿搬送装置1によれば、規制部材51を長孔27に装着することで、原稿カバー15が回動する際のストッパー41の可動側突起43の移動量を少なくして、原稿カバー15の開放角度を小さくすることができる。したがって、原稿搬送装置1の左側に後処理装置等の装置を隣接して配置しても、開放された原稿カバー15が左側に配置した装置と干渉することを防ぐことができる。
【0043】
また、規制部材51は容易に着脱できるので、必要に応じて使用することができる。すなわち、原稿カバー15の開放角度を規制する必要のない使用環境では、規制部材51を装着せず、原稿搬送装置1の左側に後処理装置等が隣接して配置された使用環境では、規制部材51を装着すればよい。また、規制部材51は、既存の原稿搬送装置にも適用することができる。
【0044】
次に、第2の実施例に係る規制手段について、図2と、図8図11を参照して説明する。図8は、第2の実施例に係る規制手段である規制孔71が形成された原稿カバーを示す斜視図である。図9は、第2の実施例の規制手段が適用された場合の、原稿カバー(閉止時)を示す正面図である。図10は、第2の実施例の規制手段が適用された場合の、原稿カバー(開放時)を示す正面図であり、図11図10の原稿カバーを、後カバーの内壁部の後側から見た図である。
【0045】
第2の実施例に係る規制手段は、図8に示されるように、固定孔37よりも、原稿カバー15の長孔27(図2参照)から遠い位置(固定孔37の左側の位置)に形成された規制孔71である。ストッパー41の固定側突起45は、規制孔71に支持される。ストッパー41の可動側突起43は、前述の例と同様に、後カバー13の長孔27に支持される。
【0046】
第2の実施例に係る規制手段による原稿カバー15の開放角度の規制について説明する。図9に示されるように、原稿カバー15が閉じられた状態では、ストッパー41の可動側突起43は、後カバー13の長孔27の右端部(円形部27c)よりも左側に所定の距離離れて位置している。つまり、ストッパー41の固定側突起45が支持される規制孔71は、固定孔37よりも長孔27から遠い位置に形成されているので、固定側突起45が固定孔37に支持された場合(図4A参照)に比べて、規制孔71と固定孔37との間の距離程度だけ、可動側突起43の位置が左側に移動する。
【0047】
原稿カバー15を上方に回動させると、ストッパー41は、固定側突起45が係止された原稿カバー15に引っ張られて左方向に移動し、可動側突起43は長孔27内を左方向に移動する。やがて、図10に示されるように、可動側突起43が、長孔27の左端縁に係止される。これにより、ストッパー41の移動が規制され、原稿カバー15の回動が規制される。このように、可動側突起43の長孔27に沿った移動量が、固定側突起45が固定孔37に支持された場合に比べて、規制孔71と固定孔37との間の距離程度だけ短くなる。したがって、ストッパー41の固定側突起45が、原稿カバー15の固定孔37に支持される場合(図10の二点鎖線参照)に比べて、原稿カバー15の開放角度が小さくなる。なお、この場合も、原稿カバー15の重心が原稿カバー15の回動支点よりも左側にあるので、原稿カバー15は自重では閉じないようになっている。
【0048】
上記説明したように、第2の実施例に係る規制手段によれば、固定側突起45が支持される位置を長孔27から遠ざけることで、ストッパー41の可動側突起43の移動量を少なくして、原稿カバー15の開放角度を小さくすることができる。したがって、原稿搬送装置1の左側に後処理装置等の装置を隣接して配置しても、開放された原稿カバー15が左側に配置した装置と干渉することを防ぐことができる。
【0049】
第2の実施例では、予め規制孔71を原稿カバーに形成しておけば、必要時には、ストッパー41の固定側突起45を固定孔37から取り外して規制孔71へ取り付けるだけでよいので、比較的簡単な作業で済む。なお、規制孔71は、長孔27との距離が異なる位置に複数個形成してもよい。
【0050】
次に、変形例について説明する。
【0051】
第1の変形例として、後カバー13をベース部3に着脱可能な構成とし、長孔27よりも短い長さの長孔を形成した別の後カバーを準備する。この際、長孔の形状及び長さは、第1の実施例の規制部材51を装着した場合の、実質的な長孔の形状及び長さと同程度とする。なお、ストッパー41は、上記の実施例と同じストッパー41を準備する。
【0052】
第2の変形例として、標準のストッパー41よりも短い長さのストッパーを準備する。この場合、原稿カバー15閉止時の長孔27内の可動側突起43の位置が、標準の長さのストッパーの場合と比べて左側の位置となる。
【0053】
上記の変形例においても、ストッパー41の可動側突起43の移動量が少なくなるので、原稿カバー15の開放角度を小さく規制することができる。
【0054】
また、上記の実施形態では、原稿カバー15に固定孔37が形成され、搬送部5(後カバー13)に長孔27が形成された例を説明したが、原稿カバー15に長孔27が形成され、搬送部5(後カバー13)に固定孔37が形成されてもよい。
【0055】
本発明は特定の実施形態について記載されてきたが、本発明は上記実施形態に限定されない。本発明の範囲及び主旨を逸脱しない限りにおいて、当業者は上記実施形態を改変可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 原稿搬送装置
5 搬送部
15 原稿カバー
27 長孔
41 ストッパー
51 規制部材(規制手段)
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11