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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】アシスト装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 11/00 20060101AFI20240514BHJP
   A61H 1/02 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B25J11/00 Z
A61H1/02 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020079890
(22)【出願日】2020-04-29
(65)【公開番号】P2021088049
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】P 2019166188
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019210238
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 智樹
(72)【発明者】
【氏名】太田 浩充
(72)【発明者】
【氏名】大坪 和義
(72)【発明者】
【氏名】吉見 孔孝
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-155506(JP,A)
【文献】特開2012-213543(JP,A)
【文献】特開2017-052064(JP,A)
【文献】特開2005-312953(JP,A)
【文献】特開2008-067762(JP,A)
【文献】特開2009-011818(JP,A)
【文献】特開2016-159111(JP,A)
【文献】特開2017-148488(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0009405(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/00-11/00
A61F 2/68- 2/74
A61G 7/10
A61H 1/02
A62B 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の肩部及び胸部の少なくとも一方に装着される第一装着具と、
前記利用者の左右の脚部それぞれに装着される第二装着具と、
前記第一装着具と前記第二装着具とにわたって前記利用者の背面側に沿って設けられるベルト体と、
前記第一装着具に設けられ前記ベルト体の一部の巻き取り及び送り出しを可能とするアクチュエータと、
を備え
前記ベルト体は、前記アクチュエータにより巻き取り及び送り出しされる第一ベルトと、前記第二装着具に取り付けられている第二ベルトと、前記第一ベルトと前記第二ベルトとを連結している連結部材と、を有し、
前記連結部材は、前記第一ベルトの端部が取り付けられている第一取り付け部と、前記第二ベルトをその途中で折り返した状態でかつその長手方向に移動自在として支持している第二取り付け部と、を有し、
前記第二ベルトの一端部側が、左脚部側の前記第二装着具に取り付けられていて、前記第二ベルトの他端部側が、右脚部側の前記第二装着具に取り付けられていて、
前記第二ベルトは、前記連結部材から左脚部側の前記第二装着具までの左第二ベルト部と、前記連結部材から右脚部側の前記第二装着具までの右第二ベルト部と、前記左第二ベルト部と前記右第二ベルト部とを連結している繋ぎ部材と、を有する、
アシスト装置。
【請求項2】
前記ベルト体は、非伸縮性である、請求項1に記載のアシスト装置。
【請求項3】
前記第二取り付け部は、前記第一取り付け部と一体である軸部と、当該軸部に支持され前記第二ベルトがその途中で折り返された状態で掛けられている回転プーリと、を有する、請求項に記載のアシスト装置。
【請求項4】
前記繋ぎ部材と前記左第二ベルト部とは、相互で回転可能となって連結されていて、
前記繋ぎ部材と前記右第二ベルト部とは、相互で回転可能となって連結されている、請求項に記載のアシスト装置。
【請求項5】
前記繋ぎ部材は、前記左第二ベルト部を通過させる通路を有する左支持部と、前記右第二ベルト部を通過させる通路を有する右支持部と、前記左支持部と前記右支持部とを連結する中央支持部と、前記中央支持部を前記連結部材から吊り下げて保持する吊り下げ部と、を有する、請求項に記載のアシスト装置。
【請求項6】
前記第一装着具は、柔軟性を有する肩ベルトと、前記肩ベルトよりも剛性を有し前記利用者の肩部に掛かる硬質部材と、を有し、前記硬質部材は、前記肩ベルトに沿って設けられるパッド部を有する、請求項に記載のアシスト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の発明は、アシスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
利用者(人)の身体に装着され、その利用者の作業を補助するアシスト装置が様々提案されている。アシスト装置によれば、利用者は、例えば重量物を持ち上げる場合であっても、小さな力(小さな負担)で作業を行うことが可能となる。このようなアシスト装置は、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-199205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているアシスト装置は、利用者に装着する金属製等のフレームを有する。そのフレームに搭載されているアクチュエータの出力が、リンク機構を通じて、利用者の上半身と下半身とに伝達される。これにより、例えば重量物を持ち上げる動作が補助される。
【0005】
利用者が補助を要する動作としては、重量物を持ち上げる等の負荷が大きい動作の他に、例えば、病人又は高齢者等の人に対して日常生活行動の援助(介助)を行う動作がある。利用者が負荷の大きい作業を行う場合、特許文献1に開示されているような高出力のアシスト装置が効果的である。
【0006】
しかし、利用者が、病人又は高齢者等の人に対する援助を行う場合、高出力のアシスト装置は過剰性能となる場合がある。また、高出力のアシスト装置では、リンク機構及び金属製等のフレームのような剛体部材が多く用いられていて、高出力を得るために、重厚な構成となっている。そのため、アシスト装置の重量が重くなり、剛体部材によって利用者の動きが制限される。
【0007】
そこで、本開示の目的は、軽量であり装着感の良いアシスト装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のアシスト装置は、利用者の肩部及び胸部の少なくとも一方に装着される第一装着具と、前記利用者の左右の脚部それぞれ又は腰部に装着される第二装着具と、前記第一装着具と前記第二装着具とにわたって前記利用者の背面側に沿って設けられるベルト体と、前記第一装着具又は前記第二装着具に設けられ前記ベルト体の一部の巻き取り及び送り出しを可能とするアクチュエータと、を備える。
【0009】
前記構成を備えるアシスト装置によれば、ベルト体が第一装着具と第二装着具とにわたって利用者の背面側に沿って設けられる。アクチュエータがベルト体を巻き取ることで、ベルト体に張力が作用する。その張力により利用者の作業を補助するアシスト力が生まれ、利用者の身体の負担が軽減される。
【0010】
例えば、利用者(介助者)が、荷重(被介助者)を手で支えながら前傾姿勢から直立姿勢になる際、アクチュエータがベルト体を巻き取ることで、そのベルト体に張力が作用する。その張力により利用者が前傾姿勢から直立姿勢になりやすく、利用者の身体の負担が軽減される。
【0011】
そして、ベルト体は、軽量であり、また、利用者が姿勢を変えても身体に沿うことができ、利用者の動作に追従する。よって、装着感の良いアシスト装置が得られる。
好ましくは、前記第二装着具は、利用者の脚部に装着される。これにより、腰部における負担が軽減される。
また、前記ベルト体の少なくとも一部は伸縮性を有していてもよいが、好ましくは、前記ベルト体は、全長にわたって非伸縮性である。これにより、アクチュエータの出力とベルト体に作用する張力との関係が明確となり、必要とするアシスト力の制御が容易となる。
【0012】
また、前記アクチュエータが前記第一装着具に設けられる場合、そのアシスト装置は、次のとおりである。すなわち、前記アクチュエータは、前記第一装着具に設けられていて、前記ベルト体は、前記アクチュエータにより巻き取り及び送り出しされる第一ベルトと、前記第二装着具に取り付けられている第二ベルトと、前記第一ベルトと前記第二ベルトとを連結している連結部材と、を有する。
【0013】
前記構成を備えるアシスト装置によれば、アクチュエータが第一ベルトを巻き取ることで、第一ベルト及び第二ベルトに張力が作用する。その張力により利用者の作業を補助するアシスト力が生まれ、利用者の身体の負担が軽減される。
第一ベルト及び第二ベルトは、幅広のベルト(帯状部材)であってもよく、幅狭のベルトであってもよい。つまり、第一ベルト及び第二ベルトは、紐状のベルト(ワイヤーのような部材)であってもよい。
【0014】
第二装着具が利用者の左右の脚部それぞれに取り付けられていて、ベルト体が張った状態で利用者が歩行すると、そのベルト体によって脚部が引っ張られる場合がある。
そこで、好ましくは、前記連結部材は、前記第一ベルトの端部が取り付けられている第一取り付け部と、前記第二ベルトをその途中で折り返した状態でかつその長手方向に移動自在として支持している第二取り付け部と、を有し、前記第二ベルトの一端部側が、左脚部側の前記第二装着具に取り付けられていて、前記第二ベルトの他端部側が、右脚部側の前記第二装着具に取り付けられている。
【0015】
この構成によれば、利用者が歩行する際、第二ベルトにおいて、連結部材から左の第二装着具までの部分(左第二ベルト部)の長さと、連結部材から右の第二装着具までの部分(右第二ベルト部)の長さとが、変更される。よって、利用者は歩行しやすい。
【0016】
この構成において、更に、好ましくは、前記第二取り付け部は、前記第一取り付け部と一体である軸部と、当該軸部に支持され前記第二ベルトがその途中で折り返された状態で掛けられている回転プーリと、を有する。
前記回転プーリにより、利用者が歩行する際、前記左第二ベルト部の長さと前記右第二ベルト部の長さとが、容易に変更され、歩行者はより一層歩行しやすくなる。
【0017】
また、好ましくは、前記第二ベルトは、前記連結部材から左脚部側の前記第二装着具までの左第二ベルト部と、前記連結部材から右脚部側の前記第二装着具までの右第二ベルト部と、前記左第二ベルト部と前記右第二ベルト部とを連結している繋ぎ部材と、を有する。
この構成によれば、例えば利用者が姿勢を変更した場合等において、左第二ベルト部と右第二ベルト部との左右の間隔が広がってしまうのを防止することができる。つまり、左第二ベルト部と右第二ベルト部とが利用者の背面側(脚部における背面側)に沿わないようになるのを防止することが可能となる。
【0018】
利用者が歩行すると、繋ぎ部材と左第二ベルト部との連結部から連結部材までの長さと、繋ぎ部材と右第二ベルト部との連結部から連結部材までの長さとが、変更され、相違する。そこで、好ましくは、前記繋ぎ部材と前記左第二ベルト部とは、相互で回転可能となって連結されていて、前記繋ぎ部材と前記右第二ベルト部とは、相互で回転可能となって連結されている。
前記構成によれば、第二ベルトの動きが、繋ぎ部材によって阻害され難くなる。
【0019】
または、好ましくは、前記繋ぎ部材は、前記左第二ベルト部を通過させる通路を有する左支持部と、前記右第二ベルト部を通過させる通路を有する右支持部と、前記左支持部と前記右支持部とを連結する中央支持部と、前記中央支持部を前記連結部材から吊り下げて保持する吊り下げ部と、を有する。
利用者が歩行すると、連結部材で折り返される左第二ベルト部及び右第二ベルト部それぞれの長さが変化する。前記通路によれば、左第二ベルト部及び右第二ベルト部それぞれの長手方向の変位が拘束されない。このような通路を有する左支持部及び右支持部によれば、第二ベルトの長手方向の動きが自由となる。そして、前記中央支持部によれば、左第二ベルト部と右第二ベルト部との左右の間隔が広がってしまうのを防止することができる。
【0020】
また、好ましくは、前記第一装着具は、柔軟性を有する肩ベルトと、前記肩ベルトよりも剛性を有し前記利用者の肩部に掛かる硬質部材と、を有し、前記硬質部材は、前記肩ベルトに沿って設けられるパッド部を有する。
前記構成によれば、第一装着具は利用者の肩部に装着される。硬質部材が肩部に掛かることで、ベルト体に張力が作用した際、第一装着具が位置ずれするのを防ぐ機能が高まる。
【発明の効果】
【0021】
本開示のアシスト装置によれば、軽量であり、装着感が良い装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】アシスト装置の一例を示す背面図である。
図2】利用者の身体に取り付けられたアシスト装置の背面図である。
図3】利用者の身体に取り付けられたアシスト装置の側面図である。
図4】アシスト装置が装着された利用者が前傾姿勢となった状態を示す説明図である。
図5】コントロールボックス及びベルト体の説明図である。
図6】アシスト装置を装着した利用者が姿勢を変化させる場合の説明図である。
図7】第二装着具に対する第二ベルトの取り付け部の説明図である。
図8】第二ベルト及び繋ぎ部材の説明図である。
図9】他の形態のアシスト装置を示す側面図である。
図10】第一装着具を背面側から見た図である。
図11】硬質部材の背面図である。
図12】硬質部材の斜視図である。
図13】繋ぎ部材の変形例を示す説明図である。
図14】第一装着具の変形例を示す説明図であり、その第一装着具を前から見た図である。
図15図14に示す第一装着具を後ろから見た図である。
図16】第一装着具及び第二装着具を含むアシスト装置の全体図である。
図17】第二装着具の説明図である。
図18図17に示す第二装着具の展開状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔アシスト装置10の全体構成〕
図1は、アシスト装置の一例を示す背面図である。図2は、利用者の身体に取り付けられたアシスト装置の背面図である。図3は、利用者の身体に取り付けられたアシスト装置の側面図である。図4は、アシスト装置が装着された利用者が前傾姿勢(前屈姿勢)となった状態を示す説明図である。図1に示すアシスト装置10は、利用者(人)の身体の一部である左右の肩部BSに装着される一つの第一装着具11と、その利用者の身体の他部である左右の脚部BLに装着される二つの第二装着具12とを備える。第一装着具11は、利用者の肩部BS及び胸部BBの少なくとも一方に装着されればよく、また、図示する形態以外であってもよい。本開示では、第二装着具12は、脚部BLの内の膝部BNに装着される。第二装着具12も、図示する形態以外であってもよい。
【0024】
本開示のアシスト装置10において、左右は、アシスト装置10を装着した直立姿勢にある利用者にとっての左右であり、前後は、その利用者にとっての前後であり、上下はその利用者にとっての上下である。上が利用者の頭側であり、下が利用者の足側である。
【0025】
アシスト装置10は、第一装着具11、及び左右の第二装着具12の他に、ベルト体13、アクチュエータ14、制御部15、バッテリ37、及び、センサ38を備える。
【0026】
第一装着具11は、利用者の肩部BSに装着される。一方の第二装着具12は、利用者の左の膝部BNに装着される。他方の第二装着具12は、利用者の右の膝部BNに装着される。左側の第二装着具12と右側の第二装着具12とは左右対称であるが、構成は同じである。第一装着具11と二つの第二装着具12とは、利用者の関節である腰部BWを挟んで離れる二箇所、つまり肩部BS及び脚部BLに装着される。
【0027】
第一装着具11は、柔軟性を有する布地等によって構成されている。第一装着具11は、利用者の背中に装着される背本体部21と、背本体部21と繋がる肩ベルト22及び腋ベルト23とを有する。肩ベルト22及び腋ベルト23により、背本体部21が利用者に背負われた状態となる。腋ベルト23は背本体部21と肩ベルト22とを繋いでいて、その長さが調整可能である。腋ベルト23の長さ調整により、背本体部21が利用者の背中に密着した状態となる。第一装着具11は肩部BSに対して前後、左右、及び上下方向に移動不能となって装着される。第一装着具11には、例えば、肩部BSに掛ける部分として、硬質部材が含まれていてもよい。その硬質部材については、後に説明する。
【0028】
第二装着具12は、柔軟性を有する布地等によって構成されている。第二装着具12は、利用者の膝部BNの後面側に装着される膝本体部24と、膝本体部24から延びて設けられている膝ベルト25とを有する。膝ベルト25は、膝部BNの上下位置それぞれにおいて膝部BNを周回し、その先端側が膝本体部24に固定される。膝ベルト25は、ベルトとバックル、又は、面ファスナー等の係止部材により、膝部BNに対する巻き付き長さの調整が可能である。この調整により、膝本体部24が膝部BNの後面側に密着した状態となる。第二装着具12は膝部BNに対して前後、左右、及び上下方向に移動不能となって装着される。
【0029】
ベルト体13は、第一装着具11と第二装着具12とを結ぶようにして、利用者の背面側に沿って設けられている。ベルト体13は、上半身側に設けられている第一ベルト16と、下半身に設けられている第二ベルト17と、第一ベルト16と第二ベルト17とを連結している連結部材18とを有する。第一ベルト16及び第二ベルト17それぞれは、長尺であり、可撓性を有する。連結部材18は、金属製であり、「平カン」と称される矩形の環状体により構成されている。
連結部材18は、平カン以外であってもよく、バックルのような留め具であってもよい。連結部材18がバックルである場合、そのバックルが有する上下のループ部(孔部)に第一ベルト16及び第二ベルト17がそれぞれ取り付けられる。連結部材18がバックルである場合、第二ベルト17を例えば洗濯する等の際に第一ベルト17から分離可能となり、利便性が高い。平カン又はバックル等からなる連結部材18は、金属製である以外に、樹脂製であってもよい。
【0030】
第一ベルト16及び第二ベルト17それぞれは、布製又は革製の帯状の部材であり、身体の形状に沿って湾曲可能である。なお、第一ベルト16及び第二ベルト17それぞれは、紐状のベルト(ワイヤーのような部材)であってもよい。本開示の第一ベルト16及び第二ベルト17それぞれは、非伸縮性の部材である、つまり、その長手方向に伸縮し難い特性又は伸縮しない特性を有する。なお、ベルト体13は、その全部が非伸縮性の部材ではなく、その一部が非伸縮性であってもよい。つまり、ベルト体13(例えば、第二ベルト17)は、その一部に伸縮性(弾性を伴う伸縮性)を有していてもよい。
【0031】
本開示のアシスト装置10は、コントロールボックス30を備える。コントロールボックス30は、第一装着具11の背本体部21に設けられている。図5は、コントロールボックス30及びベルト体13の説明図である。コントロールボックス30は、板状であるベース31と、ベース31を覆うカバー32とを有する。コントロールボックス30の内部構造を説明するために、図5ではカバー32が仮想線(二点鎖線)で示されている。ベース31が、第一装着具11の背本体部21であってもよい。
【0032】
ベース31とカバー32との間に形成される空間に、アクチュエータ14、制御部15、バッテリ37、及びセンサ38等が設けられている。カバー32には、開口(切り欠き)32aが形成されていて、この開口32aを第一ベルト16が通過している。
【0033】
アクチュエータ14は、コントロールボックス30内に設けられている。つまり、アクチュエータ14は第一装着具11に設けられている。アクチュエータ14はベルト体13の一部の巻き取り及び送り出しを可能とする。そのために、アクチュエータ14は、モータ33、減速機部34、及び駆動プーリ35を有する。モータ33は、ブラシレスDCモータである。モータ33は、制御部15から出力される駆動信号に基づいて、所定のトルク、所定の回転数で回転することができる。モータ33は、制御部15から出力される駆動信号に基づいて、正逆回転可能である。
【0034】
モータ33の回転角度、回転速度、又は回転数等の回転に関するパラメータは、モータ33に取り付けられている回転検出器36によって検出される。本開示の回転検出器36は、ロータリエンコーダであるが、ホールセンサ又はレゾルバであってもよい。回転検出器36の検出結果は、制御部15に入力される。制御部15は、前記検出結果に基づいてモータ33の動作を制御することで、アシスト装置10は適切なアシスト力を生じさせることができる。
【0035】
減速機部34は、複数の歯車により構成されていて、モータ33の回転数を減速して、減速機部34の出力軸34aを回転させる。出力軸34aに駆動プーリ35が連結されていて、これらは一体回転する。駆動プーリ35には、第一ベルト16の一端部16a側が取り付けられている。モータ33の正回転により、駆動プーリ35が一方向に回転すると、第一ベルト16が駆動プーリ35に巻き取られる。モータ33の逆回転により、駆動プーリ35が他方向に回転すると、駆動プーリ35から第一ベルト16が送り出される。
【0036】
このように、アクチュエータ14は、ベルト体13を巻き取り可能である駆動プーリ35、及び、駆動プーリ35にベルト体13の巻き取り動作をさせるためのモータ33を有する。第一ベルト16が、アクチュエータ14により巻き取り及び送り出しされる。
【0037】
制御部15は、マイクロコンピュータを含む制御ユニットにより構成されている。制御部15は、アクチュエータ14(モータ33)の動作を制御する。前記センサ38として、加速度センサが設けられている。センサ38の信号は制御部15に入力される。制御部15はセンサ38からの信号に基づいて利用者の姿勢を推定することが可能となる。バッテリ37は、制御部15、モータ33、回転検出器36、及びセンサ38に電力を供給する。センサ38は、コントロールボックス30の外部に設けられていてもよい。
【0038】
〔ベルト体13について〕
ベルト体13は、前記のとおり、第一ベルト16と第二ベルト17と連結部材18とを有する。第一ベルト16の一端部16a側が、駆動プーリ35に巻かれて固定されている。第一ベルト16の他端部16b側が、連結部材18に固定されている。駆動プーリ35に第一ベルト16が巻き取られると、連結部材18は引き上げられる。連結部材18が強制的に引き下げられると、駆動プーリ35から第一ベルト16が巻き出される(引き出される)。駆動プーリ35における第一ベルト16の巻き取り量又は巻き出し量(引き出し量)と、モータ33の出力軸の回転量との間には相関がある。ベルト体13の巻き取り又は巻き出しに伴うモータ33の回転に関するパラメータが、回転検出器36によって検出される。
【0039】
前記のとおり、連結部材18は、矩形の環状体により構成されている。その環状体の一辺側(上辺側)の軸部27aが第一取り付け部27であり、第一取り付け部27に第一ベルト16の端部16bが取り付けられている。本開示では、第一ベルト16が第一取り付け部27に対して取り外し不能となっているが、バックル等によって取り外し可能となっていてもよい。
【0040】
連結部材18を構成する前記矩形の環状体の他辺側(下辺側)が、第二ベルト17を取り付けるための第二取り付け部28である。このように、連結部材18は、第一ベルト16を取り付けるための第一取り付け部27と、第二ベルト17を取り付けるための第二取り付け部28とを有する。
【0041】
第二取り付け部28は、第二ベルト17を、その途中(途中部17c)で折り返した状態で支持している。本開示の第二取り付け部28は、第一取り付け部27と一体である軸部28aと、軸部28aに回転自在となって支持されている回転プーリ29とを有する。回転プーリ29に、第二ベルト17が、その途中で折り返された状態で掛けられている。この構成により、第二取り付け部28に、第二ベルト17は固定されておらず、第二ベルト17を、折り返した状態であるが、その長手方向の両方向(図5の矢印X方向)に移動自在として支持する構成が得られる。
【0042】
図2において、第二ベルト17は、第二装着具12に取り付けられている。具体的に説明すると、第二ベルト17は一本の帯状部材により構成されている。第二ベルト17の一端部17a側が、左の第二装着具12に取り付けられている。第二ベルト17の他端部17d側が、右の第二装着具12に取り付けられている。前記のとおり、第二ベルト17の途中部17cが、連結部材18に掛けられている。
【0043】
前記のような第二ベルト17の構成によれば、その第二ベルト17は、連結部材18から左の第二装着具12までの左第二ベルト部19と、連結部材18から右の第二装着具12までの右第二ベルト部20とを有する。前記のとおり(図5参照)、第二ベルト17は、第二取り付け部28(回転プーリ29)に掛けられていて、固定されていないことから、左第二ベルト部19の長さと右第二ベルト部20の長さとは、自由に変更可能となる。ただし、左第二ベルト部19の長さと右第二ベルト部20の長さとの合計は一定である。この構成により、利用者の例えば歩行が第二ベルト17によって制限されず、利用者は楽に歩行できる。
【0044】
第二ベルト17は、更に、左第二ベルト部19と右第二ベルト部20とを連結する繋ぎ部材39を有する。繋ぎ部材39は、第二ベルト17の折り返し部(途中部17c)と二つの第二装着具12との固定部(一端部17a,他端部17d)との間の中間位置において、左第二ベルト部19と右第二ベルト部20とを連結している。前記折り返し部は、連結部材18において第二ベルト17が折り返されている部分である。前記固定部は、二つの第二装着具12それぞれに第二ベルト17が固定されている部分である。
【0045】
例えば利用者が直立姿勢から図4に示すように前屈姿勢となるように姿勢を変更した場合に、繋ぎ部材39によれば、左第二ベルト部19と右第二ベルト部20との左右の間隔が広がってしまうのを防止することが可能となる。つまり、左第二ベルト部19と右第二ベルト部20とが利用者の脚部BLにおける背面側に沿わないようになるのを防止することが可能となる。
【0046】
繋ぎ部材39は、帯状の部材である。図8に示すように、繋ぎ部材39の一端部39aが、例えば短いピン39bによって、左第二ベルト部19と相互で回転可能となって連結されている。繋ぎ部材39の他端部39cが、例えば短いピン39dによって、右第二ベルト部20と相互で回転可能となって連結されている。この構成によれば、繋ぎ部材39によって利用者が歩行し難くなるのを防ぐことができる。
【0047】
つまり、利用者が歩行すると、図2において、繋ぎ部材39と左第二ベルト部19との連結部(ピン39b)から連結部材18までの長さと、繋ぎ部材39と右第二ベルト部20との連結部(ピン39d)から連結部材18までの長さとが、変化し、相違する。そこで、前記構成によれば、このような第二ベルト17の動きが、繋ぎ部材39によって阻害され難くなる。
【0048】
図7に示すように、第二ベルト17の一端部17a側が、左側の第二装着具12に、バックルのような留め具40によって取り付けられていてもよい。また、第二ベルト17の他端部17d側が、右側の第二装着具12に、バックルのような留め具40によって取り付けられていてもよい。これにより、第二ベルト17は、第二装着具12と分離可能となる。
【0049】
図8において、繋ぎ部材39は、左第二ベルト部19及び右第二ベルト部20の一方又は双方から取り外し可能となっているのが好ましい。繋ぎ部材39の一端部39a及び他端部39cの一方又は双方は、例えば、長穴39eとなっていて、第二ベルト17(ピン39b,39d)から取り外し可能となっている。これにより、第二ベルト17を連結部材18(第一ベルト16)と分離可能となる。繋ぎ部材39は他の形態であってもよく、他の形態については後に説明する。
【0050】
〔センサ38及び制御部15について〕
図5において、前記のとおり、センサ38は、加速度センサにより構成されている。制御部15は、各種の演算処理を実行可能である。センサ38からの信号を制御部15が演算処理することで、利用者の動作及び姿勢を検出することができる。センサ38は、利用者の姿勢に応じた信号を出力する構成を有し、利用者の姿勢を検出するための姿勢検出器として機能する。例えば、利用者の上半身の姿勢が前傾姿勢にあるのか直立姿勢にあるのかの状態を検出したり、しゃがんだ状態となったことを検出したりできる。
【0051】
また、モータ33による駆動プーリ35でのベルト体13の巻き取り量及び送り出し量と、利用者の姿勢とは相関がある。このため、前記回転検出器36が検出するモータ33の回転角に基づいて、制御部15は利用者の姿勢を推定することができる。回転検出器36が、利用者の姿勢を検出するための姿勢検出器として機能する。
【0052】
制御部15は、センサ38及び回転検出器36の一方又は双方からの信号を処理し、その処理の結果、つまり、利用者の姿勢に応じて、アクチュエータ14(モータ33)へ駆動信号を出力する。駆動信号に基づいて、アクチュエータ14(モータ33)は動作し、ベルト体13の巻き取り及び送り出し、並びに、その一時停止等が行われる。
【0053】
アシスト装置10が利用者に装着された状態で、制御部15の制御により、常時、モータ33は、アシスト力を発生させる場合と比べて弱い力でベルト体13を巻き取る方向に動作していて(トルクを発生させていて)、ベルト体13に弱い張力を生じさせている。これにより、ベルト体13が緩まない。
【0054】
利用者が姿勢を変化させると、例えば、直立姿勢から前傾姿勢になると、ベルト体13にはその姿勢の変化に起因して張力が生じる。そこで、この場合、前傾姿勢となるように姿勢変化を開始すると、アクチュエータ14の動力によらず、ベルト体13の張力によりモータ33を強制的に回転させて(モータ33は空転して)、ベルト体13は巻き出される。又は、前傾姿勢となるように姿勢変化を開始すると、アクチュエータ14は動作して、つまり、モータ33を回転駆動して、ベルト体13を送り出す。
【0055】
反対に、利用者が前傾姿勢から直立姿勢になると、ベルト体13はその姿勢の変化に起因して緩もうとする。そこで、この場合、直立姿勢となるように姿勢変化を開始すると、ベルト体13に作用する張力を維持するために、アクチュエータ14は動作して、つまり、モータ33を回転駆動して、ベルト体13を巻き取る。
【0056】
このように、利用者の姿勢変更により、ベルト体13の巻き取り又は送り出しがされる。この巻き取り又は送り出しでは、能動的に又は受動的にモータ33が所定の回転角について回転する。この際の回転角が、回転検出器36によって検出される。このように、利用者の姿勢変更によるベルト体13の巻き取り又は送り出しの際のアクチュエータ14(モータ33)の動作量が、回転検出器36によって検出される。
そして、制御部15が、利用者の姿勢変更によるベルト体13の巻き取り又は送り出しの際のアクチュエータ14の動作量(モータ33の回転角)を取得し、その動作量に基づいて、利用者にアシスト力を付与するためにアクチュエータ14の動作の制御を行う。
【0057】
〔アシスト装置10によるアシスト力について〕
図6は、前記アシスト装置10を装着した利用者が姿勢を変化させる場合の説明図である。この姿勢の変化に対して、アシスト装置10は、利用者にアシスト力を付与することができる。
【0058】
アクチュエータ14のモータ33によって第一ベルト16が駆動プーリ35に巻き取られると、連結部材18は第二ベルト17をアクチュエータ14側、つまり、上側に引き上げる。第二ベルト17は、その両端部17a,17dが左右の第二装着具12に取り付けられている。第二装着具12は膝部BNに固定されている。このため、第一ベルト16が駆動プーリ35に巻き取られると、第一ベルト16及び第二ベルト17に張力が作用する。この張力が、利用者に対するアシスト力(補助力)として作用する。
【0059】
利用者が直立姿勢から前傾姿勢となる場合について説明する。前傾姿勢となるように姿勢変化を開始すると、アクチュエータ14はベルト体13を送り出す。又は、アクチュエータ14の動力によらず、ベルト体13は巻き出される。これにより、利用者は無理なく、前傾姿勢となることができる。鉛直線に対する利用者の上半身の前傾角度がθになり、利用者がその前傾角度θで停止すると、ベルト体13の送り出し(巻き出し)が停止される。なお、姿勢変化の開始及び終了は、回転検出器36又はセンサ38によって検出可能である。
【0060】
利用者が前傾姿勢から直立姿勢になる方向に姿勢変化を開始すると、アクチュエータ14はベルト体13を巻き取る。これにより、ベルト体13には張力が生じる。この張力により、第一装着具11には、後方へ向かう作用力F1が生じる。つまり、前傾姿勢の利用者の上半身を起き上がらせる方向の作用力F1が生じる。また、これと同時に、第二ベルト17は、その張力により、利用者の左臀部及び右臀部を前方に押し出す作用力F2が生じる。これにより、利用者は前傾姿勢から直立姿勢に楽に復帰することが可能となる。
【0061】
また、図4に示すように、利用者が、上半身を前傾させ、膝部を曲げた屈曲姿勢(屈んだ姿勢)となる場合にも、アシスト装置10は、利用者にアシスト力を付与することができる。利用者が、屈曲姿勢から、直立姿勢となる場合、例えば、物や被介助者の身体の一部を持ち上げる場合、アクチュエータ14はベルト体13を巻き取る。これにより、ベルト体13には張力が生じる。
【0062】
この張力により、第一装着具11には、後方へ向かう作用力F1が生じる。つまり、前傾姿勢の利用者の上半身を起き上がらせる方向の作用力F1が生じる。また、これと同時に、第二ベルト17は、その張力により、利用者の左臀部及び右臀部を前方に押し出す作用力F2が生じる。更に、第二装着具12には、後方への作用力F3が生じる。前記のような作用力F1,F2,F3により、利用者の前屈姿勢における背筋及び大腿四頭筋等の筋力負荷を軽減して、荷物の持ち上げ動作を補助することができる。
【0063】
利用者が、直立姿勢から、屈曲姿勢となる場合においても、アシスト装置10は機能する。例えば、利用者が、物や被介助者の身体の一部を持ち下げる場合である。この場合、アクチュエータ14は、ベルト体13の送り出しにブレーキ力を作用させながら、そのベルト体13を送り出す。つまり、モータ33は、ベルト体13を送り出す方向に回転するが、そのモータ33に、巻き取りの方向のトルクを発生させる。これにより、ベルト体13には張力が生じる。この場合においても、前記のような作用力F1,F2,F3により、アシスト装置10は、利用者の前屈姿勢における背筋及び大腿四頭筋等の筋力負荷を軽減して、持ち下げ動作を補助することができる。
以上のように、本開示のアシスト装置10によれば、前屈姿勢における腰部の筋負担を軽減し、腰痛を防ぐことが可能となる。
【0064】
また、本開示のアシスト装置10によれば、利用者が、左右の脚部BLの一方を前、他方を後ろとした状態(左右非対称の状態)で屈曲姿勢となっていても、第二ベルト17のうちの左第二ベルト部19と右第二ベルト部20とのうちの一方(前に脚部が出ている側)が、他方よりも自動的に長くなることができる。この状態でアクチュエータ14により第一ベルト16が巻き取られると、第二ベルト17にも張力が作用し、その張力が左第二ベルト部19と右第二ベルト部20との双方に作用し、張力が逃げない。よって、前記のように、利用者が左右非対称の姿勢となっていても、本開示のアシスト装置10によれば、適切なアシスト力を利用者に作用させることが可能となる。
【0065】
利用者が前傾姿勢の状態を維持する場合にも、本開示のアシスト装置10によれば、その姿勢を容易に維持させることが可能となる。つまり、図6の右側の図に示すように、利用者が第一の前傾姿勢となった状態で、アクチュエータ14の動作は停止し、ベルト体13の送り出しを不能とする。利用者は更に前傾姿勢(第二の前傾姿勢)となろうとしても、第一装着具11と第二装着具12とを繋ぐベルト体13の張力によって、第二の前傾姿勢をとることができない。つまり、アシスト装置10は、利用者の第一の前傾姿勢を維持させようとする。利用者にとっては、第一の前傾姿勢を維持することが容易となる。この結果、例えば、長時間、利用者が作業のために第一の前傾姿勢を継続する場合に、身体の負担が小さくなる。
【0066】
〔本開示のアシスト装置10について〕
以上のように、本開示のアシスト装置10は(図2参照)、利用者の肩部BSに装着される第一装着具11と、その利用者の左右の脚部BLそれぞれに装着される第二装着具12と、ベルト体13と、アクチュエータ14とを備える。ベルト体13は、第一装着具11と第二装着具12とにわたって利用者の背面側に沿って設けられる。アクチュエータ14は、第一装着具11に設けられていて、ベルト体13の一部の巻き取り及び送り出しを可能とするように構成されている。
【0067】
ベルト体13は、アクチュエータ14により巻き取り及び送り出しされる第一ベルト16と、第二装着具12に取り付けられている第二ベルト17と、第一ベルト16と第二ベルト17とを連結している連結部材18とを有する。
【0068】
このアシスト装置10によれば、ベルト体13が第一装着具11と第二装着具12とにわたって利用者の背面側に沿って設けられる。アクチュエータ14がベルト体13(第一ベルト16)を巻き取ることで、第一ベルト16及び第二ベルト17に張力が作用する。その張力により利用者の作業を補助するアシスト力が生まれ、利用者の身体の負担が軽減される。
【0069】
例えば、利用者(介助者)が、荷重(被介助者)を手で支えながら前傾姿勢から直立姿勢になる際(図6参照)、アクチュエータ14がベルト体13を巻き取ることで、そのベルト体13に張力が作用する。その張力により利用者が前傾姿勢から直立姿勢になりやすく、利用者の身体の負担が軽減される。つまり、アクチュエータ14によりベルト体13に作用する張力がアシスト力として発生する。
また、本開示のベルト体13は、全長にわたって非伸縮性である。これにより、アクチュエータ14の出力とベルト体13に作用する張力との関係が明確となり、必要とするアシスト力の制御が容易となる。
【0070】
第二装着具12が利用者の脚部BLに取り付けられていて、ベルト体13が張った状態で利用者が歩行すると、そのベルト体13によって脚部BLが引っ張られる場合がある。第二ベルト17において、左第二ベルト部19の長さと右第二ベルト部20の長さとが、常に一定であり固定的であると、利用者は歩行の際に違和感を覚える可能性がある。
そこで、本開示では、第二ベルト17の一端部17a側が、左の第二装着具12に取り付けられていて、第二ベルト17の他端部17d側が、右の第二装着具12に取り付けられている。そして、連結部材18が有する第二取り付け部28は、第二ベルト17をその途中で折り返した状態でかつその長手方向に移動自在として支持している。
【0071】
この構成によれば、利用者が歩行する際、第二ベルト17において、左第二ベルト部19の長さと右第二ベルト部20の長さとが変更される。よって、利用者は歩行しやすい。
【0072】
更に、本開示では、図5に示すように、連結部材18の第二取り付け部28は、第一取り付け部27と一体である軸部28aに支持されている回転プーリ29を有する。回転プーリ29に、第二ベルト17がその途中で折り返された状態で掛けられている。このため、利用者が歩行する際、左第二ベルト部19の長さと右第二ベルト部20の長さとが、容易に変更され、歩行者はより一層歩行しやすくなる。
【0073】
〔他のアシスト装置10〕
前記開示のアシスト装置10は、第二装着具12が利用者の脚部BLに装着されている。図9に示すように、第二装着具12は、利用者の腰部BWに装着されていてもよい。この場合、第二装着具12は、腰ベルト形であってもよく、パンツ形であってもよい。第二装着具12が腰部BWに装着される場合、アクチュエータ14は、第一装着具11に取り付けられていてもよいが、第二装着具12に取り付けられていてもよい。図9では、アクチュエータ14は、第一装着具11に取り付けられている。
【0074】
図9に示すアシスト装置10の場合においても、ベルト体13は第一装着具11と第二装着具12とにわたって利用者の背面側に沿って設けられる。アクチュエータ14がベルト体13を巻き取ることで、ベルト体13に張力が作用する。その張力により利用者の作業を補助するアシスト力が生まれ、利用者の身体の負担が軽減される。
【0075】
〔第一装着具11が備える硬質部材について〕
図10は、第一装着具11を背面側から見た図である。前記のとおり、第一装着具11には、肩部BSに掛ける部分として硬質部材50が含まれていてもよい。図11は、硬質部材50の背面図であり、図12は、硬質部材50の斜視図である。硬質部材50は、例えば樹脂製であり、肩ベルト22よりも剛性を有する。肩ベルト22は、柔軟性を有するベルト部材により構成されている。硬質部材50は、利用者の背中BCから左右の肩部BSに沿う形状を有する。硬質部材50は、左右のパッド部51L,51Rと、これらパッド部51L,51Rを繋ぐ中央のパッド部51Cとを有していて、全体としてU字形状を有する。
【0076】
図11及び図12に示すように、左のパッド部51Lは、利用者の左の肩部BSに上から接触可能である部分を含む。右のパッド部51Rは、利用者の右の肩部BSに上から接触可能である部分を含む。中央のパッド部51Cは、利用者の背中BCに背面側から接触可能である部分を含む。図11において、少なくとも左右のパッド部51L,51Rそれぞれは、左右の肩ベルト22に沿って設けられる。利用者の肩部BSと硬質部材50(パッド部51L,51R)との間に、肩ベルト22が設けられてもよく、利用者の肩部BSと肩ベルト22との間に、硬質部材50(パッド部51L,51R)が設けられていてもよい。
【0077】
左右のパッド部51L,51Rそれぞれには、左右の肩ベルト22を固定するための取り付け部52が設けられている。取り付け部52は、例えばねじ穴である。左右のパッド部51L,51Rに肩ベルト22を、取り付け部52に対して図示しないねじで共締めすることによって、固定される。
中央のパッド部51Cには、コントロールボックス30を固定するための固定部53が設けられている。固定部53は、例えばねじ穴である。中央のパッド部51Cにコントロールボックス30を、固定部53に対して図示しないねじで共締めするによって、固定される。コントロールボックス30が板状であるベース31を有する場合、そのベース31が中央のパッド部51Cの固定部53に固定される。
【0078】
以上の構成により、肩ベルト22、硬質部材50、及びコントロールボックス30が一体となる。
このように、第一装着具11は、硬質部材50を有していてもよい。硬質部材50は、肩ベルト22よりも剛性を有していて、利用者の肩部BSに掛かる硬質の肩パッドとなる。この硬質部材50は、肩ベルト22に沿って設けられる左右のパッド部51L,51Rを有する。このような硬質部材50を備える第一装着具11によれば、第一装着具11は利用者の肩部BSに装着され、硬質部材50が利用者の肩部BSに掛かることで、ベルト体13に張力が作用した際、第一装着具11が利用者の上半身から位置ずれするのを防ぐ機能が高まる。特に、アクチュエータ14の出力が高くなる場合などに、硬質部材50は有効に機能する。
【0079】
図示しないが、左右のパッド部51L,51Rそれぞれは、その長さ調整が可能となる構造を有していてもよい。この場合、利用者の体格に応じて、パッド部51L,51Rそれぞれの長さが調整され、第一装着具11の位置ずれをより効果的に防ぐことが可能となる。
【0080】
〔繋ぎ部材39の他の形態について〕
前記のとおり(図4参照)、第二ベルト17は、左第二ベルト部19と、右第二ベルト部20と、繋ぎ部材39とを有する。左第二ベルト部19は、連結部材18から左脚部側の第二装着具12までの部分である。右第二ベルト部20は、連結部材18から右脚部側の第二装着具12までの部分である。繋ぎ部材39は、左第二ベルト部19と右第二ベルト部20とを連結している。
【0081】
図4及び図8に示す形態では、左第二ベルト部19及び右第二ベルト部20それぞれと、繋ぎ部材39とは、ピン39b,39dにより回転可能となって連結されている。繋ぎ部材39によれば、利用者が姿勢を変更させた場合に、左第二ベルト部19と右第二ベルト部20との左右の間隔が広がってしまうのを防止することが可能となる。このような機能を有する繋ぎ部材39は、他の形態であってもよい。
【0082】
図13は、繋ぎ部材39の変形例を示す説明図である。その繋ぎ部材39は、左支持部45Lと、右支持部45Rと、中央支持部46と、吊り下げ部47とを有する。左支持部45Lは、左第二ベルト部19を通過させる通路45L-1を有する。図13に示す左支持部45Lは筒形状を有していて、通路45L-1は、上下貫通する穴により構成されている。右支持部45Rは、右第二ベルト部20を通過させる通路を有する。図13に示す右支持部45Rは筒形状を有していて、通路45R-1は、上下貫通する穴により構成されている。
【0083】
中央支持部46は、左支持部45Lと右支持部45Rとの間に介在している梁状の部材である。中央支持部46は、左支持部45Lと右支持部45Rとを連結していて、左支持部45Lと右支持部45Rとが左右方向に広がるのを防止する。吊り下げ部47の下部は、中央支持部46と連結されていて、吊り下げ部47の上部は、連結部材18に連結されている。吊り下げ部47は、中央支持部46を連結部材18から吊り下げて保持する柱状の部材である。繋ぎ部材39は、樹脂製の他に、布製、革製などであってもよい。
【0084】
利用者が歩行すると、連結部材18(回転プーリ29)で折り返される左第二ベルト部19及び右第二ベルト部20それぞれの長さが変化する。繋ぎ部材39が有する前記通路45L-1,45R-1によれば、左第二ベルト部19及び右第二ベルト部20それぞれの長手方向の変位が拘束されない。このような通路45L-1,45R-1を有する左支持部45L及び右支持部45Rによれば、第二ベルト17の長手方向の動きが自由となる。そして、中央支持部46によれば、左第二ベルト部19と右第二ベルト部20との左右の間隔が広がってしまうのを防止することができる。
【0085】
以上より、例えば利用者が直立姿勢から図4に示すように前屈姿勢となるように姿勢を変更した場合に、図13に示す繋ぎ部材39によれば、左第二ベルト部19と右第二ベルト部20との左右の間隔が広がってしまうのを防止することが可能となる。つまり、左第二ベルト部19と右第二ベルト部20とが利用者の脚部BLにおける背面側に沿わないようになるのを防止することが可能となる。しかも、第二ベルト17の長手方向の動きがよりスムーズとなる。
【0086】
〔第一装着具11の変形例〕
図14は、第一装着具11の変形例を示す説明図であり、その第一装着具11を前から見た図である。図15は、図14に示す第一装着具11を後ろから見た図である。図15は、第一装着具11が利用者に装着された状態を示す。図14及び図15に示す第一装着具11は、利用者の肩部BSに装着されると共に、腰部BWにも装着される。
【0087】
第一装着具11は、利用者の背中に当たる背本体部21と、左右の肩ベルト22L,22Rと、腰ベルト60と、繋ぎ部材61とを有する。背本体部21、肩ベルト22L,22R、及び、腰ベルト60は、柔軟性を有する布地等によって構成されていて、利用者の体型に沿った形状となることができ、また、クッション性(弾力性)を有していて、利用者に与える負担(痛さ)を軽減することができる。肩ベルト22L,22Rが肩部BSに掛けられた状態で、背本体部21は利用者に背負われた状態となる。腰ベルト60は、利用者の腰部BWの周囲に巻かれた状態となる。繋ぎ部材61は、背本体部21の下部と腰ベルト60の後部とを繋ぐ部材である。繋ぎ部材61は例えば布製であり、可撓性を有する。
【0088】
左の肩ベルト21Lの後端は、背本体部21の上部左側に連結されていて、右の肩ベルト21Rの後端は、背本体部21の上部右側に連結されている。図14において、第一装着具11は、調整ベルト機構62を更に有する。調整ベルト機構62は、左側の第一調整ベルト63L、右側の第一調整ベルト63R、左側の第二調整ベルト64L、及び、右側の第二調整ベルト64Rを有する。
【0089】
調整ベルト機構62は、コキと呼ばれるベルトを通すための樹脂製又は金属製の環状部材を複数備える。左の肩ベルト22Lの前端部22Laに、第一の環状部材65-1が取り付けられている。右の肩ベルト22Rの前端部22Raに、第二の環状部材65-2が取り付けられている。腰ベルト60の左側の前端部60aに、第三の環状部材65-3が取り付けられている。腰ベルト60の右側の前端部60bに、第四の環状部材65-4が取り付けられている。調整ベルト機構62は、更に、左側の第一調整ベルト63Lと左側の第二調整ベルト64Lとを連結する第五の環状部材65-5、及び、右側の第一調整ベルト63Rと右側の第二調整ベルト64Rとを連結する第六の環状部材65-6を備える。
【0090】
左側の第一調整ベルト63Lの一端部63Laと、右側の第一調整ベルト63Rの一端部63Raとの間に、バックル(留め具)66aが設けられている。図14は、バックル66aが外れた状態を示している。左側の第二調整ベルト64Lの一端部64Laと、右側の第二調整ベルト64Rの一端部64Raとの間に、バックル(留め具)66bが設けられている。図14は、バックル66bが留まった状態を示している。下側のバックル66aによって、第一調整ベルト63L,63R同士が連結された状態、又は、その連結が解除された状態となる。上側のバックル66bによって、第二調整ベルト64L,64R同士が連結された状態、又は、その連結が解除された状態となる。
【0091】
第一調整ベルト63Lは、その途中で、第三の環状部材65-3を通過し、上に延びて設けられ、更に、別の途中で環状部材65-5を通過し、下に垂れた状態となる。第一調整ベルト63Lの他端部63Lbは、ループ状となっている。その他端部63Lbは、利用者が下方に引っ張るために手で掴む部分となる。
第二調整ベルト63Rは、その途中で、第四の環状部材65-4を通過し、上に延びて設けられ、更に、別の途中で環状部材65-6を通過し、下に垂れた状態となる。第二調整ベルト63Rの他端部63Rbは、ループ状となっている。その他端部63Rbは、利用者が下方に引っ張るために手で掴む部分となる。
【0092】
以上の構成を備える調整ベルト機構62によれば、第一装着具11を利用者が身体に装着した状態から、バックル66a,66bを外すことで、容易に第一装着具11を脱ぐことが可能となる。そして、利用者が第一装着具11を装着するためには、左右の肩ベルト22L,22Rを背負い、バックル66a,66bを留めればよい。このように、第一装着具11の着脱が容易である。
【0093】
更に、利用者が、第一装着具11を装着した状態で、手で、第一調整ベルト63Lの他端部63Lb及び第二調整ベルト63Rの他端部63Rbを引っ張り下げる。すると、第三の環状部材65-3と第五の環状部材65-5との間隔が小さくなると共に、第四の環状部材65-4と第六の環状部材65-6との間隔が小さくなる。その結果、第一の環状部材65-1と第三の環状部材65-3との間隔が小さくなり、第二の環状部材65-2と第四の環状部材65-4との間隔が小さくなる。つまり、左側の肩ベルト22Lの前端部22Laと、腰ベルト60の左側の前端部60aとの間隔が小さくなり、右側の肩ベルト22Rの前端部22Raと、腰ベルト60の右側の前端部60bとの間隔が小さくなる。
更に、前記の引っ張り下げる力により、第三の環状部材65-3と第四の環状部材65-4との間隔も小さくなる。これにより、腰ベルト60が締まる。
更に、前記の引っ張り下げる力により、第一の環状部材65-1と第二の環状部材65-2との間隔も小さくなる。これにより、左右の肩ベルト22L,22Rが締まる。
以上のように、前記調整ベルト機構62によれば、第一装着具11は、しっかりと利用者に装着された状態、つまり、第一装着具11が利用者の身体に密着した状態となり、しかも、その操作が容易である。
【0094】
図15に示すように、コントロールボックス30の上部は、左右の肩ベルト22L,22Rに取り付けられていて、コントロールボックス30の下部は、腰ベルト60に取り付けられている。コントロールボックス30は、バックル(留め具)又はコキと呼ばれるベルトを通すための樹脂製又は金属製の環状部材によって、着脱可能となって、肩ベルト22L,22R及び腰ベルト60に取り付けられている。
【0095】
アシスト装置10において、アクチュエータ14がベルト体13を巻き取ると、そのベルト体13の張力により利用者の作業を補助するアシスト力が生まれる。前記張力により、肩ベルト22L,22Rは、利用者の背面側(後面側)で下向きの力を受ける。その下向きの力により、肩ベルト22L,22Rは、利用者の前面側で上向きの力が作用する。その上向きの力は、第一調整ベルト63L,63R及び第二調整ベルト64L,64Rを通じて腰ベルト60の前部に伝わり、腰ベルト60の前部にも上向きの力が作用する。
【0096】
そして、前記のとおり(図15参照)コントロールボックス30は、腰ベルト60の後部にも連結されている。前記のようなベルト体13の張力により、コントロールボックス30は下向きの力を受け、その力は腰ベルト60に伝わる。
以上より、腰ベルト60には、その後部において下向きの力が作用し、その前部において上向きの力が作用する。肩ベルト22L,22Rから伝わり腰ベルト60に作用する上向きの力と、コントロールボックス30から伝わり腰ベルト60に作用する下向きの力とがつり合うことができ、第一装着具11は利用者の身体から大きくずれない。
【0097】
第一装着具11は腰ベルト60を有することで、アシスト力を、肩ベルト22L,22Rを通じてのみ利用者に負荷させるのみではなく、腰ベルト60を通じても負荷させることができ、利用者にとって楽である。
また、コントロールボックス30の重さ(自重)による利用者への負担が、腰ベルト60により軽減される。
このように第一装着具11が腰ベルト60を有することで、装着感が良く機能性の高いアシスト装置10が得られる。
【0098】
第一装着具11が腰ベルト60を備えることで、利用者が第一装着具11を装着するために手間を要することが考えられる。しかし、前記のとおり、調整ベルト機構62によれば、第一装着具11の着脱が容易であり、着脱の時間短縮が可能である。また、利用者は少ないアクションでしっかりと第一装着具11を装着することが可能となる。
【0099】
図14において、左の肩ベルト22Lの前端部22La、肩ベルト22Rの前端部22Ra、及び、腰ベルト60の前端部60a,60bそれぞれは、バックル66a,66b及び環状部材65-1~65-4の一方又は双方を隠すことができる構成を備える。例えば、前端部22La等は、カバー部分を有していたり、筒形状を有していたりする。これにより、例えば、アシスト装置10を装着する利用者が、介護施設で被介護者を補助する作業を行う場合等において、比較的硬質であるバックル66a,66b及び環状部材65-1~65-4が、被介護者(及び利用者)の身体に直接的に接触せず、好ましい。
【0100】
図15に示す腰ベルト60は、ベルト体13の一部(第一ベルト16)を覆うカバー69を有する。カバー69は腰ベルト60の本体部分に取り付けられていて、その本体部分とカバー69との間をベルト体13の一部が通過する。例えば利用者が被介護者を抱きかかえる際、被介護者は腕を利用者の背面側に回すことがある。この場合、被介護者の手がベルト体13に触れる可能性があり、ベルト体13の動作が妨げられることがある。しかし、カバー69によれば、被介護者がベルト体13に触れにくくなる。
【0101】
〔連結部材18変形例〕
図14及び図15により、上半身側に位置する第一ベルト16と下半身側に位置する第二ベルト17とを連結する連結部材18の変形例について説明する。連結部材18は、バックルのような留め具40と、「平カン」と称される例えば矩形の環状体41とを有する。留め具40は、分離及び連結可能である第一部材40aと第二部材40aとを有する。利用者が留め具40の一部を指で摘む操作をすることで、第一部材40aと第二部材40aとが連結した状態から分離した状態となる。また、第一部材40aと第二部材40aとを組み合わせることで、これらが連結した状態となる。
【0102】
第一部材40aに第一ベルト16の端部が取り付けられている。第二部材40aと環状体41とが連結用の短ベルト42によって繋がっている。環状体41に第二ベルト17が掛けられている。第二ベルト17は、その途中で環状体41に折り返した状態となり、かつ、第二ベルト17は、その長手方向に移動自在となって支持される。
以上より、図14及び図15に示す連結部材18は、第一ベルト16の端部が取り付けられている第一取り付け部としての留め具40と、第二ベルト17をその途中で折り返した状態でかつその長手方向に移動自在として支持している第二取り付け部としての環状体41とを有する。
なお、第二部材40bは、環状体41と一体となっている構成であってもよい。つまり、平カンは用いられず、第二部材40bがその一部として有するループ部(孔部)が、第二ベルト17が掛けられる環状体であってもよい。この場合、短ベルト42が省略される。
【0103】
このような構成を備える連結部材18によれば、第一ベルト16と第二ベルト17とが容易に分離可能となる。また、第一ベルト16と第二ベルト17との連結も容易である。
例えば、第二ベルト17を、その全長が異なるものに交換することが可能となり、利用者の体格(身長)に応じて第二ベルト17の長さ変更が容易となる。
また、第一ベルト16と第二ベルト17とのうちの一方のみが劣化した場合、ベルト体13の全体を交換しなくても、劣化したベルトを交換すればよい。
また、第二ベルト17を洗浄する際に、第一ベルト16から容易に取り外すことが可能である。
【0104】
図13により説明したように、第二ベルト17は、左第二ベルト部19と右第二ベルト部20とを連結している繋ぎ部材39を有していてもよい。繋ぎ部材39は、左第二ベルト部19を通過させる通路を有する左支持部45Lと、右第二ベルト部20を通過させる通路を有する右支持部45Rと、左支持部45Lと右支持部45Rとを連結する中央支持部46とを有する。なお、図13に示す形態では、連結部材18から延びる吊り下げ部47が設けられているが、その吊り下げ部47は別の形態(連結部材18とは別体)であってもよく、また、吊り下げ部47が省略されていてもよい。
【0105】
〔装着具の付属品について〕
図16は、第一装着具11及び第二装着具12を含むアシスト装置10の全体図である。前記のとおり、脚用である第二装着具12は、上半身に装着される第一装着具11側から延びているベルト体13(第一ベルト16及び第二ベルト17)と連結されていて、第一装着具11と一体となっている。このため、利用者は、これら一体となっている第一装着具11及び第二装着具12を上半身及び脚部に装着する。しかし、ベルト体13は可撓性を有するため、装着前の状態で、左右の第二装着具12は第一装着具11に対して自由の状態にある。このため、利用者がアシスト装置10を装着する際、ベルト体13が捻れて、左脚用の第二装着具12が右側に存在し、右脚用の第二装着具12が左側に存在したりする可能性がある。この場合、装着誤りが生じやすく、無駄な時間を要する。
【0106】
そこで、図16に示すように、アシスト装置10は、第一装着具11(腰ベルト60)の左側の一部11Laと左脚用の第二装着具12とを繋ぐ左側の紐部材43L、及び、第一装着具11(腰ベルト60)の右側の一部11Raと右脚用の第二装着具12とを繋ぐ右側の紐部材43Rを備える。紐部材43L,43Rそれぞれは、その途中に筒状のバックルのような留め具44を有する。この留め具44を分離状態とすることで、第一装着具11と第二装着具12との分離が阻害されない。
【0107】
紐部材43L,43Rにより、利用者がアシスト装置10を装着する際、左脚用の第二装着具12が左側に存在しやすくなり、右脚用の第二装着具12が右側に存在しやすくなる。よって、アシスト装置10の装着の時間短縮が可能となる。
また、利用者が第一装着具11を上半身に装着した状態で、その第一装着具11から吊り下がった状態となる左右の第二装着具12,12が、その利用者の膝部周囲に位置するように、紐部材43L,43Rの長さが設定されている。これにより、第二装着具12の装着が容易となる。なお、紐部材43L,43Rは、例えば、弾性を有する部材により構成されていて、利用者の動作を阻害し難くなっている。
【0108】
〔第二装着具12の変形例〕
図17は、脚用の第二装着具12の説明図である。図17は、第二装着具12を利用者の脚部(膝部)に装着した状態のイメージ図である。図18は、図17に示す第二装着具12の展開状態を示す説明図である。なお、図18は、利用者の脚部に装着される前の展開状態にある第二装着具12を後ろから見た図である。第二装着具12は、利用者の脚部に巻かれた状態となる帯状体70と、その帯状体70に固定されている伝達ベルト71とを有する。左脚用の第二装着具12と右脚用の第二装着具12とは同じ構成を有する。
【0109】
帯状体70は、弾性を有する帯状の部材であり、伸縮性を有する。帯状体70は、例えば弾性を有する布製部材により構成される。これに対して、伝達ベルト71は、非弾性体からなるベルトであり、非伸縮性を有する。伝達ベルト71は、例えば、前記ベルト体13(第一ベルト16、第二ベルト17)と同じ材質である。
【0110】
帯状体70は、図18に示すように、平面上に展開することができる構成を有し、展開した状態で左右方向の寸法が、上下方向の寸法よりも大きい形状を有する。帯状体70は中央の帯本体部70aと、帯本体部70aの左右両側の上下位置それぞれから延びている四つの止め帯部70b-1,70b-2,70b-3,70b-4とを有する。帯状体70のうち止め帯部70b-1,70b-2,70b-3,70b-4を含む部分の一面側に、面ファスナーの一方側部材73aが固定されている。帯状体70の他面側が全体的に、その面ファスナーの他方側部材73bとなっている。言うまでもないが、一方側部材73aと他方側部材73bとは着脱可能である。図17に示すように、帯状体70を利用者の脚部(膝部)に巻きつけることで、前記面ファスナーによって、帯状体70は利用者の脚部(膝部)に装着される。
【0111】
伝達ベルト71は、その長手方向の中央部で、バックルのような留め具40の一方側に連結されている。その留め具40の他方側に第二ベルト17の端部が連結されている。この留め具40の一方側と他方側とを分離することで、第二ベルト17と第二装着具12とを分離することができる。
【0112】
伝達ベルト71は、留め具40を中央として、一方側のベルト部71aと、他方側のベルト部71bとを有する。一方側のベルト部71aは、帯状体70の左右方向一方側(図18では右側)でかつ下側に位置する第一の止め帯部70b-1から、帯本体部70aの上部中央部70a-1までの範囲に固定されている。一方側のベルト部71aは、第一の止め帯部70b-1からはみ出すようにして延びて設けられている。
伝達ベルト71の他方側のベルト部71bは、帯状体70の左右方向他方側(図18では左側)でかつ下側に位置する第二の止め帯部70b-2から、帯本体部70aの上部中央部70a-1までの範囲に固定されている。他方側のベルト部71bは、第一の止め帯部70b-bからはみ出すようにして延びて設けられている。
【0113】
前記の構成を有する帯状体70を利用者の脚部(膝部)に巻きつけるようにして装着すると、図17に示すように、伝達ベルト71の一方側のベルト部71aは、筒状となっている帯本体部70aに沿って一方向に螺旋状となって半周について配置され、伝達ベルト71の他方側のベルト部71bは、筒状となっている帯本体部70aに沿って他方向に螺旋状となって半周について配置される。
一方側のベルト部71aのうち、はみ出している延長部分71a-1に、面ファスナーの一方側部材が固定されていて、その延長部分71a-1は、帯状体70の他面側に取り付け可能となる。他方側のベルト部71bのうち、はみ出している延長部分71b-1に、面ファスナーの一方側部材が固定されていて、その延長部分71b-1は、帯状体70の他面側に取り付け可能となる。
【0114】
ここで、仮に、第二装着具12が伝達ベルト71を有しておらず、帯状体70が弾性に富む材質であり、その帯状体70の一部に直接的に第二ベルト17が連結される場合について説明する。この場合、アシスト装置10のアクチュエータ14が動作し、第二ベルト17に張力が作用すると、その張力による力によって、帯状体70が変形して伸びてしまい、アシスト動作のための力が、利用者の脚部(膝部)に正確に伝達されないおそれがある。
しかし、図17及び図18に示す第二装着具12によれば、第二ベルト17に作用する張力は、伝達ベルト71に伝達される。伝達ベルト71は例えば縫製により帯状体70に固定されている。このため、第二ベルト17に作用する力は、伝達ベルト71を通じて、利用者の脚部(膝部)に正確に伝達される。よって、アシスト装置10によるアシスト力が適切に利用者に与えられる。
【0115】
〔その他〕
利用者の腰痛の防止・予防のためには、第二装着具12は、脚部BLに装着されるのが好ましい。これは、第二装着具12が脚部BLに装着されることで、腰部BWにおける負担が軽減されるためである。
各形態のアシスト装置10において、ベルト体13は、軽量であり、また、利用者が姿勢を変えても身体に沿うことができ、利用者の動作に追従する。よって、装着感の良いアシスト装置10が得られる。
なお、前記の開示では、コントロールボックス30は、第一装着具11において、利用者の後面側(背面側)に設けられているが、利用者の前面側に設けられていてもよい。この場合、ベルト体13は利用者の肩部BSを経由して利用者の背面に沿って設けられる。
【0116】
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0117】
10:アシスト装置 11:第一装着具 12:第二装着具
13:ベルト体 14:アクチュエータ 16:第一ベルト
16b:端部 17:第二ベルト 17a:一端部
17d:他端部 18:連結部材 19:左第二ベルト部
20:右第二ベルト部 22:肩ベルト 27:第一取り付け部
28:第二取り付け部 28a:軸部 29:回転プーリ
39:繋ぎ部材 45L:左支持部 45R:右支持部
46:中央支持部 47:吊り下げ部 50:硬質部材
51L,51R:パッド部 BS:肩部 BB:胸部
BW:腰部 BL:脚部
図1
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