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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】モータ、モータユニット
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/116 20060101AFI20240514BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20240514BHJP
   F16H 55/22 20060101ALI20240514BHJP
   F16C 35/10 20060101ALI20240514BHJP
   F16C 35/12 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
H02K7/116
H02K7/14 C
F16H55/22
F16C35/10
F16C35/12
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020096424
(22)【出願日】2020-06-02
(65)【公開番号】P2021191169
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 朋広
(72)【発明者】
【氏名】平野 宏明
(72)【発明者】
【氏名】関井 洋一
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-299331(JP,A)
【文献】特開2004-312873(JP,A)
【文献】特開2017-063522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/00- 7/20
F16H 55/22
F16C 35/10
F16C 35/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びるシャフトを有するステータと、
前記シャフトを中心にして回転可能なロータと、
前記ロータを回転可能に支持する軸受部と、を備え、
前記ロータは、
前記ステータよりも径方向外方に配置されて、前記ステータと径方向に対向するマグネットと、
前記マグネットの径方向外端部を覆うケースと、
前記ケースの径方向外側面に配置される歯溝と、
を有し、
前記ケースは、
前記歯溝が径方向外側面に配置される第1部分と、
軸方向において前記第1部分よりも前記ケースの軸方向端部側に配置される第2部分と、
を有し、
前記軸受部は、複数であり、
少なくとも1つの前記軸受部において、前記軸受部の径方向外端部のうちの径方向から見て前記第2部分と重なる部分は、前記第1部分における前記ケースの径方向内端部よりも径方向外方に位置する、モータ。
【請求項2】
前記歯溝は、少なくとも軸方向に延び、
前記歯溝の軸方向一方端部は、前記ケースの軸方向一方端部から軸方向他方に離れる、 請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記歯溝の軸方向他方端部は、前記ケースの軸方向他方端部から軸方向一方に離れる、 請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記ケースの軸方向両端部における径方向内端部には、前記軸受部の径方向外端部が接 し、
前記歯溝は、前記軸受部よりも前記ケースの軸方向中央側に配置される、請求項1から 請求項3のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項5】
前記第2部分の径方向外端部は、前記第1部分の径方向外端部よりも径方向外方に位置 する、請求項1に記載のモータ。
【請求項6】
前記軸受部は、
前記ロータの軸方向一方端部を回転可能に支持する第1軸受部と、
前記ロータの軸方向他方端部を回転可能に支持する第2軸受部と、
を有し、
前記第1軸受部及び前記第2軸受部のうちの少なくとの一方は、玉軸受である、請求項 1から請求項5のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項7】
前記ステータは、前記シャフトの軸方向一方端部に取り付けられるブラケットを有し、 前記第1軸受部は、前記ロータの軸方向一方端部と前記ブラケットとの間に配置され、 前記ブラケットは、軸方向に前記ブラケットを貫通する孔部を有し、
前記ステータに接続された接続線が、前記孔部を介して、前記モータの外部に引き出 される、請求項6に記載のモータ。
【請求項8】
前記シャフトの径方向外側面の一部が、前記孔部に露出する、請求項7に記載のモータ。
【請求項9】
前記第1軸受部は、前記第1軸受部の径方向内端部に配置される第1平面部を有し、
前記ブラケットは、前記ブラケットの径方向外端部に配置される第2平面部を有し、
前記第2平面部は、前記第1平面部に接する、請求項7又は請求項8に記載のモータ 。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のモータと、
前記ケースの前記歯溝と噛み合う歯を有する歯車と、を有する、モータユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ、モータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャフトの出力側に固定されたピニオンギアを介して、該ピニオンギアと噛み合うギアにモータの駆動力を出力するモータユニットが知られている。(たとえば、特開2005-168145号公報参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-168145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のモータユニットでは、シャフトが延びる方向において、ピニオンギアは、モータユニットのケースよりも外側に配置される。従って、シャフトが延びる方向において、モータ、及びピニオンギアを有するモータユニットのサイズが長くなり易い。よって、モータ及びモータユニットが大型化する虞がある。
【0005】
本発明は、モータの小型化を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的なモータは、ステータと、ロータと、軸受部と、を備える。前記ステー タは、上下方向に延びるシャフトを有する。前記ロータは、前記シャフトを中心にして回 転可能である。前記軸受部は、前記ロータを回転可能に支持する。前記ロータは、マグネ ットと、ケースと、歯溝と、を有する。前記マグネットは、前記ステータよりも径方向外 方に配置されて、前記ステータと径方向に対向する。前記ケースは、前記マグネットの径 方向外端部を覆う。前記歯溝は、前記ケースの径方向外側面に配置される。前記ケースは、前記歯溝が径方向外側面に配置される第1部分と、軸方向において前記第1部分よりも前記ケースの軸方向端部側に配置される第2部分と、を有する。前記軸受部は、複数であり、少なくとも1つの前記軸受部において、前記軸受部の径方向外端部のうちの径方向から見て前記第2部分と重なる部分は、前記第1部分における前記ケースの径方向内端部よりも径方向外方に位置する。
【0007】
本発明の例示的なモータユニットは、上記のモータと、歯車と、を有する。前記歯車は、前記ケースの前記歯溝と噛み合う歯を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の例示的なモータ、モータユニットによれば、モータの小型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、モータユニットの構成例を示す斜視図である。
図2図2は、モータの構成例を示す断面図である。
図3図3は、モータの下端部の構成例を示す下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して例示的な実施形態を説明する。
【0011】
なお、本明細書では、モータ101において、中心軸CAと平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。軸方向のうち、後述するステータ1からブラケット4に向かう軸方向一方を「下方」と呼び、ブラケット4からステータ1に向かう軸方向他方を「上方」と呼ぶ。各々の構成要素において、下方における端部である軸方向一方端部を「下端部」と呼び、上方における端部である軸方向他方端部を「上端部」と呼ぶ。また、各々の構成要素の表面において、下方を向く面を「下面」と呼び、上方を向く面を「上面」と呼ぶ。
【0012】
また、中心軸CAに直交する方向を「径方向」と呼ぶ。径方向のうち、中心軸CAへと近づく向きを「径方向内方」と呼び、中心軸CAから離れる向きを「径方向外方」と呼ぶ。各々の構成要素において、径方向内方における端部を「径方向内端部」と呼び、径方向外方における端部を「径方向外端部」と呼ぶ。また、各々の構成要素の側面において、径方向内方を向く側面を「径方向内側面」と呼び、径方向外方を向く側面を「径方向外側面」と呼ぶ。
【0013】
また、中心軸CAを中心とする回転方向を「周方向」と呼ぶ。
【0014】
また、方位、線、及び面のうちのいずれかと他のいずれかとの位置関係において、「平行」は、両者がどこまで延長しても全く交わらない状態のみならず、実質的に平行である状態を含む。また、「垂直」及び「直交」はそれぞれ、両者が互いに90度で交わる状態のみならず、実質的に垂直である状態及び実質的に直交する状態を含む。つまり、「平行」、「垂直」及び「直交」はそれぞれ、両者の位置関係に本発明の主旨を逸脱しない程度の角度ずれがある状態を含む。
【0015】
なお、以上に説明した事項は、実際の機器に組み込まれた場合において厳密に適用されるものではない。
【0016】
<1.実施形態>
図1は、モータユニット100の構成例を示す斜視図である。図1に示すように、モータユニット100は、モータ101と、歯車102と、を有する。モータ101は、アウターロータ型である。後述するように、モータ101のロータ2は、歯溝23が配置されたケース22を有する。歯車102は、モータ101の外部に配置され、回転軸RAを中心に回転可能である。歯車102は、歯1021を有する。歯1021は、ケース22の歯溝23と噛み合う。これにより、モータ101の回転出力が歯車102に伝達される。従って、たとえば、軸方向においてモータユニット100のケース22よりも外側に出力伝達用の歯車を配置する必要がない。そのため、モータ101の軸方向サイズを低減できる。よって、モータ101の小型化を実現できる。
【0017】
歯車102の材料には、樹脂、炭素鋼、鋳鉄、ステンレス鋼、黄銅、又は、青銅などを用いることができる。好ましくは、歯車102の材料は、ケース22の材料とは異なる。より具体的には、歯車102の歯1021の材料は、ケース22の歯溝23の表面の材料とは異なる。より好ましくは、歯1021の材料、及び歯溝23の表面の材料は、滑り接触が生じ易い組み合わせとされる。言い換えると、合金が生成し難い組み合わせが採用される。たとえば、モータ101及び歯車102の回転速度が速いほど、歯1021が歯溝23の表面に焼き付く可能性が高くなる。異種材料の組み合わせを採用することにより、同種材料の組み合わせを採用した場合よりも焼き付きが生じる可能性を低くすることができる。さらに、合金が生成し難い組み合わせを採用すれば、焼き付きが生じる可能性をさらに低くすることができる。従って、歯溝23の表面及び歯1021の耐摩耗性を向上できる。各々の材料には、歯1021と歯溝23との噛み合わせ構造の維持に必要な引張強度を有する材料が選択される。たとえば、炭素鋼及び青銅の組み合わせなどを採用できる。
【0018】
<1-1.モータ>
次に、図1及び図2を参照して、モータ101の構成を説明する。図2は、モータ101の構成例を示す断面図である。なお、図2は、中心軸CAを含む仮想の平面で切断した場合のモータ101の断面構造を示す。図2に示すように、モータ101は、ステータ1と、ロータ2と、軸受部3と、ブラケット4と、を備える。
【0019】
<1-1-1.ステータ>
ステータ1は、電力供給時に発生する磁束により、ロータ2を駆動して回転させる。前述の如く、モータ101は、ステータ1を備える。ステータ1は、上下方向に延びるシャフト10を有する。シャフト10は、本実施形態ではステータ1の固定軸である。なお、この例示に限定されず、シャフト10は、中心軸CAを中心にして、ロータ2とともに回転可能であってもよい。なお、シャフト10が回転可能である場合、シャフト10とステータ1との間にベアリング(不図示)が設けられる。
【0020】
また、ステータ1は、磁性体のステータコア11を有する。ステータコア11は、シャフト10を囲む筒状であり、シャフト10の径方向外側面に固定される。ステータコア11には、電気絶縁性を有するインシュレータ(図示省略)を介して、コイル部(図示省略)が巻き付けられる。
【0021】
<1-1-2.ロータ>
ロータ2は、シャフト10を中心にして回転可能である。前述の如く、モータ101は、ロータ2を備える。ロータ2は、マグネット21と、ケース22と、を有する。
【0022】
マグネット21は、ステータ1よりも径方向外方に配置されて、ステータ1と径方向に対向する。前述の如く、ロータ2は、マグネット21を有する。マグネット21は、互いに異なる複数の磁極、つまりN極とS極とを有する。N極とS極とは、周方向において交互に配列される。
【0023】
ケース22は、中心軸CAを囲む筒状であり、軸方向に延びる。ケース22は、マグネット21よりも径方向外方に配置される。前述の如く、ロータ2は、ケース22を有する。ケース22は、マグネット21の径方向外端部を覆う。本実施形態では、マグネット21は、ケース22の径方向内端部に保持される。また、ケース22の軸方向両端部における径方向内端部には、軸受部3の径方向外端部が接する。
【0024】
ケース22は、磁性体である。こうすれば、マグネット21の磁束がケース22よりも径方向外方に漏れることを防止できる。従って、マグネット21の磁力を有効に活用できる。
【0025】
好ましくは、ケース22には、ヨークに適した軟磁性と、歯車として好適な機械的強度とを有する磁性体材料が用いられる。機械的強度は、たとえば、引張強さ、伸び、絞り、硬さなどである。なお、引張強さは、材料の引張力に対する最大強度を示す。伸びは、所定の引張応力に対する材料の変形量を示す。絞りは、材料の厚み方向の伸び易さを示す。このような磁性体材料としては、たとえば、オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼などを採用できる。
【0026】
また、好ましくは、ケース22の材料は、歯車102の材料とは異なる。より具体的には、ケース22の歯溝23の表面の材料は、歯車102の歯1021の材料とは異なる。こうすれば、前述の如く、歯1021が歯溝23の表面に焼き付き難くすることができる。従って、歯溝23の表面の耐摩耗性を向上できる。
【0027】
ケース22は、歯溝23を有する。言い換えると、ロータ2は、歯溝23を有する。歯溝23は、ケース22の径方向外側面に配置される。こうすれば、たとえばモータ101の外部に配置される歯車102の歯1021をケース22の歯溝23に噛み合わせることにより、モータ101の回転出力を歯車102に伝達できる。従って、たとえば、軸方向においてモータユニット100のケース22よりも外側に出力伝達用の歯車を配置する必要がない。そのため、モータ101の軸方向サイズを低減できる。よって、モータ101の小型化を実現できる。
【0028】
歯溝23は、少なくとも軸方向に延びる。本実施形態では、歯溝23は、螺旋状であり、上方から下方に向かうにつれて時計回りの周方向に延びる。なお、歯溝23の形状は、本実施形態の例示に限定されない。たとえば、螺旋状の歯溝23は、上方から下方に向かうにつれて反時計回りの周方向に延びてもよい。また、歯溝23は、複数であってもよい。各々の歯溝23は、中心軸CAと平行に延びてもよい。或いは、各々の歯溝23は、軸方向と斜めに交差する方向に延びてもよい。
【0029】
ケース22の径方向外側面において、歯溝23間には、径方向外方に突出する歯24が形成される。より具体的には、歯24は、歯溝23が延びる方向及び径方向と直交する方向において隣り合う歯溝23間に配置される。本実施形態では、歯24は、軸方向において隣り合う歯溝23間に配置される。歯24は、歯溝23と同様に延び、モータ101の外部に配置される歯車102の歯1021と噛み合う。
【0030】
好ましくは図1及び図2に示すように、歯溝23の下端部は、ケース22の下端部から上方に離れる。また、歯24の下端部は、ケース22の下端部から上方に離れる。こうすれば、ケース22の下端部において、歯溝23と歯車102の歯1021との噛み合いがケース22の下端部を越えて下方に外れることを防止できる。
【0031】
好ましくは図1及び図2に示すように、歯溝23の上端部は、ケース22の上端部から下方に離れる。また、歯24の上端部は、ケース22の上端部から下方に離れる。こうすれば、ケース22の上端部において、歯溝23と歯車102の歯1021との噛み合いがケース22の上端部を越えて上方に外れることを防止できる。
【0032】
より好ましくは図1及び図2に示すように、歯溝23は、軸受部3よりもケース22の軸方向中央側に配置される。また、歯24は、軸受部3よりもケース22の軸方向中央側に配置される。ケース22のうちの径方向から見て軸受部3と重なる部分に歯溝23を配置しないことにより、ケース22の上記部分の径方向厚さが薄くなることを防止できる。従って、ケース22の上記部分の強度を確保することができる。
【0033】
さらに好ましくは、図1及び図2に示すように、歯溝23の軸方向両端部が、ケース22の軸方向端部から離れる。また、歯24の軸方向両端部が、ケース22の軸方向端部から離れる。以下では、ケース22のうち、径方向外側面に歯溝23が配置される部分を「第1部分221」と呼び、軸方向において第1部分221よりもケース22の軸方向端部側の部分を「第2部分222」と呼ぶ。ケース22は、第1部分221と、第2部分222と、を有する。図2では、第1部分221は、ケース22のうち、2個の第2部分222で軸方向に挟まれた部分である。下側の第2部分222は、ケース22のうち、第1部分221よりも下側の部分である。上側の第2部分222は、ケース22のうち、第1部分221よりも上側の部分である。第1部分221は、歯溝23及び歯24を含む。つまり、第1部分221の径方向外側面には、歯溝23及び歯24が配置される。一方、第2部分222は、歯溝23及び歯24を含まない。つまり、第2部分222の径方向外側面には、歯溝23及び歯24は配置されない。
【0034】
好ましくは図2に示すように、第2部分222の径方向外端部は、第1部分221の径方向外端部よりも径方向外方に位置する。こうすれば、軸受部3の径方向サイズを大きくすることによって第2部分222の径方向厚さが薄くなることを抑制できる。特に、第2部分222のうちの径方向から見て軸受部と重なる部分がより薄くなることを抑制できる。従って、第2部分222の強度を確保することができる。
【0035】
但し、図2の例示には限定されず、歯溝23の軸方向両端部のうちのどちらかがケース22の軸方向端部から離れてもよい。たとえば、歯溝23の下端部がケース22の下端部から上方に離れる一方で、歯溝23の上端部がケース22の上端部に達してもよい。同様に、歯24の下端部がケース22の下端部から上方に離れる一方で、歯24の上端部がケース22の上端部に達してもよい。或いは、歯溝23の下端部がケース22の下端部に達する一方で、歯溝23の上端部がケース22の上端部から下方に離れてもよい。同様に、歯24の下端部がケース22の下端部に達する一方で、歯24の上端部がケース22の上端部から下方に離れてもよい。
【0036】
<1-1-3.軸受部>
軸受部3は、ロータ2を回転可能に支持する。前述の如く、モータ101は、軸受部3を有する。本実施形態では、軸受部3は、複数である。少なくとも1つの軸受部3において、軸受部3の径方向外端部のうちの径方向から見て第2部分222と重なる部分は、第1部分221におけるケース22の径方向内端部よりも径方向外方に位置する。たとえば、図2では、第1軸受部31の径方向外端部は、径方向から見て下側の第2部分222と重なるとともに、第1部分221におけるケース22の径方向内端部よりも径方向外方に位置する。なお、図2では、第2軸受部32の径方向外端部のうちの径方向から見て上側の第2部分222と重なる部分は、第1部分221におけるケース22の径方向内端部よりも径方向内方に位置する。但し、図2の例示に限定されず、第2軸受部32の径方向外端部のうちの径方向から見て上側の第2部分222と重なる部分は、第1部分221におけるケース22の径方向内端部よりも径方向外方に位置してもよい。こうすれば、ケース22の径方向サイズをあまり増大させることなく、上記少なくとも1つの軸受部3の径方向サイズをより大きくすることができる。従って、歯溝23と歯1021が噛み合う歯車102からモータ101に伝達される荷重に対して、上記少なくとも1つの軸受部3の耐久性を向上できる。
【0037】
図2に示すように、軸受部3は、第1軸受部31と、第2軸受部32と、を有する。第1軸受部31は、ロータ2の下端部を回転可能に支持する。第2軸受部32は、ロータ2の上端部を回転可能に支持する。本実施形態では、第1軸受部31はモータ101の下端部に配置され、第2軸受部32はモータ101の上端部に配置される。
【0038】
本実施形態では、第1軸受部31は玉軸受であり、第2軸受部32は滑り軸受である。但し、この例示に限定されず、第1軸受部31は、滑り軸受などの他の形式の軸受であってもよい。また、第2軸受部32は、滑り軸受以外の形式の軸受であってもよく、たとえば玉軸受であってもよい。好ましくは、第1軸受部31及び第2軸受部32のうちの少なくとの一方は、玉軸受であればよい。玉軸受の径方向サイズは、滑り軸受などと比べて大きくなり易い。一方で、玉軸受のアキシャル荷重に対する耐久性は、滑り軸受よりも高い。従って、玉軸受を採用することにより、歯溝23と歯1021が噛み合う歯車102(図1参照)から伝達されるアキシャル荷重及びラジアル荷重の両方に対する耐久性を向上できる。
【0039】
第1軸受部31の径方向外端部は、ケース22の下端部における径方向内端部に接する。第1軸受部31の径方向内端部は、ブラケット4の径方向外端部に接する。たとえば、本実施形態では、玉軸受である第1軸受部31は、外輪部311と、内輪部312と、を有する。外輪部311は、第1軸受部31の径方向外端部に配置されて、ケース22の下端部における径方向内端部に固定される。内輪部312は、第1軸受部31の径方向内端部に配置されて、ブラケット4の径方向外端部に固定される。
【0040】
第1軸受部31は、第1平面部3120を有する(後述の図3参照)。第1平面部3120は、第1軸受部31の径方向内端部に配置される。第1平面部3120は、軸方向と平行な平面である。本実施形態では、2個の第1平面部3120が、第1軸受部31の内輪部312の径方向内端部に形成され、周方向において等間隔に配置される。なお、この例示に限定されず、第1平面部3120は、単数であってもよいし、3以上の複数であってもよい。第1平面部3120は、周方向において異なる間隔で配置されてもよい。
【0041】
第2軸受部32の径方向外端部は、ケース22の上端部に接する。第2軸受部32の径方向内端部は、シャフト10の径方向外側面に接する。本実施形態では、第2軸受部32は、筒部321と、鍔部322と、を有する。筒部321は、シャフト10を囲む筒状であり、軸方向に延びる。本実施形態では、筒部321の径方向内端部は、シャフト10に固定される。筒部321の径方向外端部における下端部は、ケース22の上端部における径方向内端部と摺動可能に接する。鍔部322は、筒部321の径方向外端部における上端部から径方向外方に広がる。鍔部322の下端部は、ケース22の上端部と軸方向に対向する。ケース22が上方に移動する際、鍔部322の下端部がケース22の上端部に当たる。これにより、ケース22の上方への移動を抑制できる。
【0042】
なお、上述の例示に限定されず、筒部321の径方向内端部は、シャフト10と摺動可能に接してもよい。また、筒部321の径方向外端部における下端部と鍔部322の下端部とのうちの少なくともどちらかは、ケース22の上端部に固定されてもよい。
【0043】
また、第2軸受部32の径方向内端部とシャフト10との間には、シャフト10を囲む環状のハブが配置されてもよい。こうすれば、第2軸受部32の径方向内端部の径方向サイズをより大きくすることができる。従って、たとえば、第2軸受部32に玉軸受を採用し易くなる。
【0044】
<1-1-4.ブラケット>
次に、図2及び図3を参照して、ブラケット4の構成を説明する。図3は、モータ101の下端部の構成を示す下面図である。
【0045】
ブラケット4は、シャフト10の下端部に取り付けられる。前述の如く、モータ101は、ブラケット4を有する。ブラケット4は、シャフト10を囲む環状である。ブラケット4の径方向内端部は、シャフト10の下端部に固定される。ブラケット4の径方向外端部は、第1軸受部31を介してケース22の下端部に接続される。つまり、ロータ2の下端部とブラケット4の間には、第1軸受部31が配置される。
【0046】
ブラケット4は、ブラケット筒部41と、ブラケット鍔部42と、壁部43と、を有する。ブラケット筒部41は、シャフト10を囲む環状であり、シャフト10の下端部に取り付けられる。ブラケット鍔部42は、ブラケット筒部41の下端部から径方向外方に広がる。ブラケット鍔部42の上端部は、第1軸受部31の径方向内端部と軸方向に対向する。壁部43は、ブラケット鍔部42の径方向外端部から下方に突出し、周方向に延びる。
【0047】
ブラケット4は、孔部411を有する。孔部411は、ブラケット4を軸方向に貫通する。より具体的には、孔部411は、ブラケット筒部41に形成され、ブラケット筒部41を軸方向に貫通する。本実施形態では、3個の孔部411が、周方向において等間隔に配置される。但し、本実施形態の例示に限定されず、孔部411の数は、単数であってもよいし、3以外の複数であってもよい。また、複数の孔部411が、周方向に異なる間隔で配置されてもよい。
【0048】
図2及び図3に示すように、ステータ1に接続された接続線Lが、孔部411を介して、モータ101の外部に引き出される。詳細には、接続線Lは、少なくとも1つの孔部411を介して、モータ101の外部に引き出される。こうすれば、第1軸受部31の径方向サイズをより大きくできるので、荷重に対する耐久性がより高い軸受を第1軸受部31に採用できる。また、径方向サイズの大きい玉軸受をモータ101の下端部に配置するとともに、接続線Lが通る孔部411を玉軸受よりも径方向内方に配置できる。玉軸受は、アキシャル荷重に対する耐久性が高いので、モータ101の軸方向一方端部の耐久性の向上を図ると同時に、ステータ1とモータ101の外部とを接続する接続線Lを容易に引き出すことができる。
【0049】
孔部411は、ブラケット筒部41の径方向内側面において開口し、シャフト10の径方向外側面に面する。つまり、シャフト10の径方向外側面の一部が、孔部411に露出する。こうすれば、シャフト10が挿入されるブラケット筒部41の開口部分412が孔部411に通じるため、開口部分412及び孔部411を同じ加工工程でブラケット4に形成できる。従って、ブラケット4に孔部411を形成する加工がし易くなる。一方、たとえばシャフト10を挿入する開口部分412と孔部411とをブラケット4の互いに離れた位置に形成する場合、それぞれを別々の工程で形成する必要がある。
【0050】
また、ブラケット4は、第2平面部44を有する。第2平面部44は、ブラケット4の径方向外端部に配置される。より具体的には、第2平面部44は、少なくともブラケット筒部41の径方向外端部に配置される。第2平面部44は、軸方向と平行な平面である。第1平面部3120と同数の第2平面部44が、ブラケット筒部41の径方向外端部に形成される。本実施形態では、複数の第2平面部44は、周方向において等間隔に配置される。なお、この例示に限定されず、複数の第2平面部44は、周方向において異なる間隔で配置されてもよい。
【0051】
第2平面部44は、第1平面部3120に接する。こうすれば、ブラケット4に対して第1軸受部31の径方向内端部(たとえば、内輪部312)が周方向に移動することを防止できる。
【0052】
<2.その他>
以上、本発明の実施形態を説明した。なお、本発明の範囲は上述の実施形態に限定されない。本発明は、発明の主旨を逸脱しない範囲で上述の実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。また、上述の実施形態で説明した事項は、矛盾が生じない範囲で適宜任意に組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、モータの外部に配置された歯車に該モータの出力を伝達する装置に有用である。
【符号の説明】
【0054】
100・・・モータユニット、101・・・モータ、102・・・歯車、1021・・・歯、1・・・ステータ、10・・・シャフト、11・・・ステータコア、2・・・ロータ、21・・・マグネット、22・・・ケース、221・・・第1部分、222・・・第2部分、23・・・歯溝、24・・・歯、3・・・軸受部、31・・・第1軸受部、311・・・外輪部、312・・・内輪部、3120・・・第1平面部、32・・・第2軸受部、321・・・筒部、322・・・鍔部、4・・・ブラケット、41・・・ブラケット筒部、411・・・孔部、412・・・開口部分、42・・・ブラケット鍔部、43・・・壁部、44・・・第2平面部、L・・・接続線、CA・・・中心軸、RA・・・回転軸
図1
図2
図3