(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】画像補正装置、画像形成装置、画像補正方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/387 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
H04N1/387 110
(21)【出願番号】P 2020099741
(22)【出願日】2020-06-09
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三田 三江子
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-111758(JP,A)
【文献】特開2008-064486(JP,A)
【文献】特開2018-045036(JP,A)
【文献】特開2009-025374(JP,A)
【文献】特開2015-065647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/387
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の記録媒体上に、複数の画像データに基づく個別画像を各々別タイミングで形成して合成した検品画像における個別画像間の位置ずれを補正する画像補正装置であって、
複数の画像データの合成画像データ、隣接する個別画像の境界部の位置情報、及び前記複数の画像データを区別可能な画像区別領域情報を含む正解情報を取得する正解情報取得手段と、
前記合成画像データと記録媒体上に形成された検品画像を読み取った読み取り画像データの位置合わせを行う位置合わせ手段と、
前記読み取り画像データから、前記境界部の位置情報に基づいて検品境界部を検出する境界部検出手段と、
位置合わせされた状態で前記合成画像データの前記境界部と前記読み取り画像データの前記検品境界部の画素値の比較を行うことで、前記検品画像における個別画像間の位置ずれ量を算出する算出手段と、
前記位置ずれ量及び前記画像区別領域情報に基づき位置ずれ種別を判断する判断手段と、
前記位置ずれ量と前記位置ずれ種別に応じて前記複数の画像データのうち、少なくとも一方の画像データの画像形成位置を補正する補正手段と、
を備える画像補正装置。
【請求項2】
前記境界部の位置情報は、前記複数の画像データのエッジ情報を含む、請求項1に記載の画像補正装置。
【請求項3】
前記正解情報は、前記境界部の方向性を示す方向情報を含み、
前記算出手段は、前記方向情報に基づいて位置ずれの方向を決定する、請求項1又は2に記載の画像補正装置。
【請求項4】
前記算出手段は、前記記録媒体上の各検品境界部の縦方向及び横方向の位置ずれ量から、前記記録媒体上の全体の平均縦ずれ量及び平均横ずれ量を算出する、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像補正装置。
【請求項5】
前記算出手段は、前記記録媒体上の全体の平均縦ずれ量及び平均横ずれ量に基づき、縦シフト補正値及び横シフト補正値を算出する、請求項4に記載の画像補正装置。
【請求項6】
前記算出手段は、前記記録媒体上の面内を複数領域にN分割(N≧2)し、各領域内に存在する前記検品境界部の縦方向及び横方向の位置ずれ量から、前記領域ごとの平均縦ずれ量及び平均横ずれ量を算出する、請求項1から4のいずれか一項に記載の画像補正装置。
【請求項7】
前記算出手段は、分割された前記記録媒体の縦方向の中心位置から上部、下部にそれぞれ存在する1以上の領域内の平均縦ずれ量を算出し、各部の前記平均縦ずれ量から縦シフト補正値を算出し、分割された前記記録媒体の横方向の中心位置から左部、右部にそれぞれ存在する1以上の領域内の平均横ずれ量を算出し、各部の前記平均横ずれ量から横シフト補正値を算出する、請求項6に記載の画像補正装置。
【請求項8】
縦シフト補正あるいは横シフト補正後の前記各部の前記平均縦ずれ量から縦倍補正値を算出し、前記各部の前記平均横ずれ量から横倍補正値を算出する、請求項7に記載の画像補正装置。
【請求項9】
前記算出手段は、前記記録媒体上の面内を複数領域にM分割(M≧4)し、各領域内に存在する前記検品境界部の縦方向及び横方向の位置ずれ量から、前記領域ごとの平均縦ずれ量及び平均横ずれ量を算出し、
前記判断手段は、前記領域ごとの平均縦ずれ量及び平均横ずれ量に応じて位置ずれ種別を判断する、請求項1から8のいずれか一項に記載の画像補正装置。
【請求項10】
前記算出手段は、前記領域において、前記記録媒体の中心位置を基準に、左上部、右上部、左下部及び右下部とした場合に、交差関係に位置する部内で算出した同方向の平均位置ずれ量に基づいて、傾き補正値ないし、回転補正値を算出する、請求項9に記載の画像補正装置。
【請求項11】
前記補正手段が補正を行う前記位置ずれ量を設定する設定手段を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の画像補正装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の画像補正装置と、
用紙に画像を形成する画像形成部と、を備える画像形成装置。
【請求項13】
同一の記録媒体上に、複数の画像データに基づく個別画像を各々別タイミングで形成して合成した検品画像における個別画像間の位置ずれを補正する画像補正方法であって、
複数の画像データの合成画像データ、隣接する個別画像の境界部の位置情報、及び前記複数の画像データを区別可能な画像区別領域情報を含む正解情報を取得する正解情報取得ステップと、
前記合成画像データと記録媒体上に形成された検品画像を読み取った読み取り画像データの位置合わせを行う位置合わせステップと、
前記読み取り画像データから、前記境界部の位置情報に基づいて検品境界部を検出する境界部検出ステップと、
位置合わせされた状態で前記合成画像データの前記境界部と前記読み取り画像データの前記検品境界部の画素値の比較を行うことで、前記検品画像における個別画像間の位置ずれ量を算出する位置ずれ量算出ステップと、
前記位置ずれ量及び前記画像区別領域情報に基づき位置ずれ種別を判断する判断ステップと、
前記位置ずれ量と前記位置ずれ種別に応じて前記複数の画像データのうち、少なくとも一方の画像データの画像形成位置を補正する補正ステップと、
を含む、画像補正方法。
【請求項14】
同一の記録媒体上に、複数の画像データに基づく個別画像を各々別タイミングで形成して合成した検品画像における個別画像間の位置ずれを補正する画像補正装置のコンピューターを、
複数の画像データの合成画像データ、隣接する個別画像の境界部の位置情報、及び前記複数の画像データを区別可能な画像区別領域情報を含む正解情報を取得する正解情報取得手段、
前記合成画像データと記録媒体上に形成された検品画像を読み取った読み取り画像データの位置合わせを行う位置合わせ手段、
前記読み取り画像データから、前記境界部の位置情報に基づいて検品境界部を検出する境界部検出手段、
位置合わせされた状態で前記合成画像データの前記境界部と前記読み取り画像データの前記検品境界部の画素値の比較を行うことで、前記検品画像における個別画像間の位置ずれ量を算出する位置ずれ量算出手段、
前記位置ずれ量及び前記画像区別領域情報に基づき位置ずれ種別を判断する判断手段、
前記位置ずれ量と前記位置ずれ種別に応じて前記複数の画像データのうち、少なくとも一方の画像データの画像形成位置を補正する補正手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像補正装置、画像形成装置、画像補正方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷物に価値を付加する加飾(加工)印刷では、加飾部と非加飾部とを別のタイミングで印刷する工程が存在している。加飾部と非加飾部を合成した印刷物である最終印刷物において、加飾部と非加飾部が隣接した印字を行う場合には品質の上で位置ずれが無いことが望まれている。
【0003】
加飾部を印刷する追い刷り印刷を行う場合の追い刷り印刷結果の画像検査技術として、例えば、特許文献1には、事前印刷画像データが検査に与える影響を軽減して検査対象画像を生成し、追い刷り印刷画像を検査することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術は、記録媒体上の追い刷り印刷画像に対する検査であり、記録媒体上の事前印刷画像データと追い刷り印刷画像データの2種の画像間の位置ずれを検出した際に自動的に位置補正を行えず、ユーザーは最終印刷物の位置ずれを合わせるための調整を行う必要があった。
【0006】
本発明の課題は、記録媒体上の事前印刷画像データと追い刷り印刷画像データとの画像間の位置ずれ補正を自動で行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の画像補正装置は、
同一の記録媒体上に、複数の画像データに基づく個別画像を各々別タイミングで形成して合成した検品画像における個別画像間の位置ずれを補正する画像補正装置であって、
複数の画像データの合成画像データ、隣接する個別画像の境界部の位置情報、及び前記複数の画像データを区別可能な画像区別領域情報を含む正解情報を取得する正解情報取得手段と、
前記合成画像データと記録媒体上に形成された検品画像を読み取った読み取り画像データの位置合わせを行う位置合わせ手段と、
前記読み取り画像データから、前記境界部の位置情報に基づいて検品境界部を検出する境界部検出手段と、
位置合わせされた状態で前記合成画像データの前記境界部と前記読み取り画像データの前記検品境界部の画素値の比較を行うことで、前記検品画像における個別画像間の位置ずれ量を算出する算出手段と、
前記位置ずれ量及び前記画像区別領域情報に基づき位置ずれ種別を判断する判断手段と、
前記位置ずれ量と前記位置ずれ種別に応じて前記複数の画像データのうち、少なくとも一方の画像データの画像形成位置を補正する補正手段と、
を備える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記境界部の位置情報は、前記複数の画像データのエッジ情報を含む。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
前記正解情報は、前記境界部の方向性を示す方向情報を含み、
前記算出手段は、前記方向情報に基づいて位置ずれの方向を決定する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、
前記算出手段は、前記記録媒体上の各検品境界部の縦方向及び横方向の位置ずれ量から、前記記録媒体上の全体の平均縦ずれ量及び平均横ずれ量を算出する。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、
前記算出手段は、前記記録媒体上の全体の平均縦ずれ量及び平均横ずれ量に基づき、縦シフト補正値及び横シフト補正値を算出する。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、
前記算出手段は、前記記録媒体上の面内を複数領域にN分割(N≧2)し、各領域内に存在する前記検品境界部の縦方向及び横方向の位置ずれ量から、前記領域ごとの平均縦ずれ量及び平均横ずれ量を算出する。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、
前記算出手段は、分割された前記記録媒体の縦方向の中心位置から上部、下部にそれぞれ存在する1以上の領域内の平均縦ずれ量を算出し、各部の前記平均縦ずれ量から縦シフト補正値を算出し、分割された前記記録媒体の横方向の中心位置から左部、右部にそれぞれ存在する1以上の領域内の平均横ずれ量を算出し、各部の前記平均横ずれ量から横シフト補正値を算出する。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、
縦シフト補正あるいは横シフト補正後の前記各部の前記平均縦ずれ量から縦倍補正値を算出し、前記各部の前記平均横ずれ量から横倍補正値を算出する。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載の発明において、
前記算出手段は、前記記録媒体上の面内を複数領域にM分割(M≧4)し、各領域内に存在する前記検品境界部の縦方向及び横方向の位置ずれ量から、前記領域ごとの平均縦ずれ量及び平均横ずれ量を算出し、
前記判断手段は、前記領域ごとの平均縦ずれ量及び平均横ずれ量に応じて位置ずれ種別を判断する。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、
前記算出手段は、前記領域において、前記記録媒体の中心位置を基準に、左上部、右上部、左下部及び右下部とした場合に、交差関係に位置する部内で算出した同方向の平均位置ずれ量に基づいて、傾き補正値ないし、回転補正値を算出する。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項1から10のいずれか一項に記載の発明において、
前記補正手段が補正を行う前記位置ずれ量を設定する設定手段を備える。
【0018】
請求項12に記載の発明の画像形成装置は、
請求項1から11のいずれか一項に記載の画像補正装置と、
用紙に画像を形成する画像形成部と、を備える。
【0019】
請求項13に記載の発明の画像補正方法は、
同一の記録媒体上に、複数の画像データに基づく個別画像を各々別タイミングで形成して合成した検品画像における個別画像間の位置ずれを補正する画像補正方法であって、
複数の画像データの合成画像データ、隣接する個別画像の境界部の位置情報、及び前記複数の画像データを区別可能な画像区別領域情報を含む正解情報を取得する正解情報取得ステップと、
前記合成画像データと記録媒体上に形成された検品画像を読み取った読み取り画像データの位置合わせを行う位置合わせステップと、
前記読み取り画像データから、前記境界部の位置情報に基づいて検品境界部を検出する境界部検出ステップと、
位置合わせされた状態で前記合成画像データの前記境界部と前記読み取り画像データの前記検品境界部の画素値の比較を行うことで、前記検品画像における個別画像間の位置ずれ量を算出する算出ステップと、
前記位置ずれ量及び前記画像区別領域情報に基づき位置ずれ種別を判断する判断ステップと、
前記位置ずれ量と前記位置ずれ種別に応じて前記複数の画像データのうち、少なくとも一方の画像データの画像形成位置を補正する補正ステップと、
を含む。
【0020】
請求項14に記載の発明のプログラムは、
同一の記録媒体上に、複数の画像データに基づく個別画像を各々別タイミングで形成して合成した検品画像における個別画像間の位置ずれを補正する画像補正装置のコンピューターを、
複数の画像データの合成画像データ、隣接する個別画像の境界部の位置情報、及び前記複数の画像データを区別可能な画像区別領域情報を含む正解情報を取得する正解情報取得手段、
前記合成画像データと記録媒体上に形成された検品画像を読み取った読み取り画像データの位置合わせを行う位置合わせ手段、
前記読み取り画像データから、前記境界部の位置情報に基づいて検品境界部を検出する境界部検出手段、
位置合わせされた状態で前記合成画像データの前記境界部と前記読み取り画像データの前記検品境界部の画素値の比較を行うことで、前記検品画像における個別画像間の位置ずれ量を算出する算出手段、
前記位置ずれ量及び前記画像区別領域情報に基づき位置ずれ種別を判断する判断手段、
前記位置ずれ量と前記位置ずれ種別に応じて前記複数の画像データのうち、少なくとも一方の画像データの画像形成位置を補正する補正手段、
として機能させる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、記録媒体上の事前印刷画像データと追い刷り印刷画像データとの画像間の位置ずれ補正を自動で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施の形態における画像形成装置の全体構成を示す概略断面図である。
【
図2】画像形成装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図3】画像形成装置により実行される画像補正処理を示すフローチャートである。
【
図4】合成画像データ、境界部位置情報及び画像区別領域情報を示す図である。
【
図5】境界部位置情報における方向情報を示す図である。
【
図6A】位置合わせに用いる特徴点がエッジである場合を示す図である。
【
図6B】位置合わせに用いる特徴点がマーカーである場合を示す図である。
【
図7】ウインドウにおける画素値比較を示す図である。
【
図8】位置ずれ候補座標の連続性及び位置ずれ量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0024】
[画像形成装置の構成]
図1は、画像形成装置100の全体構成を示す概略断面図である。
図2は、画像形成装置100の機能的構成を示すブロック図である。画像形成装置100は、記録媒体上に複数色からなる画像を形成する。
記録媒体としては、特に限定されず、公知のものを使用できる。例えば、普通紙や塗工紙といった用紙の他、シート状の樹脂等、表面に付着した色材を定着させることが可能な種々の媒体が挙げられる。
【0025】
図2に示すように、画像形成装置100は、制御部11、記憶部12、操作部13、表示部14、通信部15、画像生成部16、スキャナー部17、画像メモリー18、画像処理部19、画像形成部20、画像読取部30、断裁部40、補正部50等を備えている。
【0026】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory
)等を備えて構成され、記憶部12から各種プログラムを読み出して実行することにより、各部を制御する。
例えば、制御部11は、画像生成部16又はスキャナー部17により生成され、画像メモリー18に保持された画像データを、画像処理部19により画像処理させて、画像処理後の画像データに基づいて、画像形成部20により記録媒体上に画像を形成させる。
【0027】
記憶部12は、制御部11により読み取り可能なプログラム、プログラムの実行時に用いられるデータ等を記憶している。記憶部12としては、ハードディスク等の大容量メモリーを用いることができる。
【0028】
操作部13及び表示部14は、
図1に示すように、画像形成装置100の上部に設けられたユーザーインターフェースである。
操作部13は、ユーザーの操作に応じた操作信号を生成し、制御部11に出力する。操作部13としては、キーパッド、表示部14と一体に構成されたタッチパネル等を用いることができる。
操作部13は、位置ずれ発生を判断することに用いられる位置ずれ量の閾値を設定する際に用いられる。すなわち、操作部13は、設定手段として機能する。
表示部14は、制御部11の指示にしたがって操作画面等を表示する。表示部14としては、LCD(Liquid Crystal Display)、OELD(Organic Electro Luminescence Display)等を用いることができる。
【0029】
通信部15は、通信ネットワークに接続された外部装置との間でデータの送受信を行う。例えば、通信部15は、外部装置から、画像を形成する指示内容がページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述されたデータ(PDLデータ)を受信する。
【0030】
画像生成部16は、通信部15により受信したPDLデータをラスタライズ処理し、ビットマップ形式の画像データを生成する。この画像データは、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)及びK(黒)の4色からなり、各画素が4色の画素値を有する。画素値は、画像の濃淡を表すデータ値であり、例えば、8bitのデータ値は0~255階調の濃淡を表す。
【0031】
スキャナー部17は、原稿面を読み取って、R(赤)、G(緑)及びB(青)の各色の画素値を有するビットマップ形式の画像データを生成する。この画像データは、色変換部等によって、CMYKの4色の各色の画像データに変換すればよい。
【0032】
画像メモリー18は、画像生成部16又はスキャナー部17により生成された画像データを一時的に保持するバッファーメモリーである。画像メモリー18としては、DRAM(Dynamic RAM)等を用いることができる。
【0033】
画像処理部19は、画像メモリー18から画像データを読み出して、濃度補正処理、色補正処理、中間調処理等の各種画像処理を施す。
【0034】
画像形成部20は、画像処理部19により画像処理された画像データの各画素の4色の画素値に応じて、CMYKの4色からなる画像を記録媒体上に形成する。
画像形成部20は、
図1に示すように、四つの書込みユニット21、中間転写ベルト22、2次転写ローラー23、定着装置24、給紙トレイ25、反転経路26を備えている。
【0035】
四つの書込みユニット21は、中間転写ベルト22のベルト面に沿って直列(タンデム)に配置され、中間転写ベルト22上にCMYKの各色の画像を形成する。各書込みユニット21は、形成する画像の色が異なるだけで構成は同じであり、
図1に示すように、露光部2a、感光体2b、現像部2c、帯電部2d、クリーニング部2e及び1次転写ローラー2fを備えている。
【0036】
画像形成時、各書込みユニット21では、帯電部2dにより感光体2bを帯電させた後、画像データに基づいて露光部2aにより出射した光束で感光体2b上を走査し、静電潜像を形成する。現像部2cによりトナー等の色材を供給して現像すると、感光体2b上に画像が形成される。
四つの書込みユニット21の感光体2b上にそれぞれ形成した画像を、それぞれの1次転写ローラー2fにより、中間転写ベルト22上に順次重ねて転写(1次転写)する。これにより、中間転写ベルト22上には各色からなる画像が形成される。1次転写後、クリーニング部2eにより感光体2b上に残留する色材を除去する。
【0037】
画像形成部20は、給紙トレイ25から記録媒体を供給し、2次転写ローラー23により中間転写ベルト22から記録媒体上に画像を転写(2次転写)した後、記録媒体を定着装置24により加熱及び加圧して、定着処理を施す。
記録媒体の両面に画像を形成する場合は、反転経路26に記録媒体を搬送してその表裏を反転した後、再度2次転写ローラー23へ記録媒体を搬送する。
【0038】
画像読取部30は、
図1に示すように、記録媒体の搬送経路上に配置され、画像形成部20により画像が形成された記録媒体を読み取り、読取画像データを生成する。画像読取部30としては、CCD(Charge Coupled Device)等のセンサーが1次元に配置されたラインセンサー、2次元に配置されたエリアセンサー等を使用することができる。
【0039】
断裁部40は、断裁処理が設定されている場合に、搬送されてきた記録媒体の周縁部を、予め設定されている位置で断裁する。断裁部40は、記録媒体を1枚ずつ断裁してもよいし、記録媒体を複数枚まとめて断裁するものであってもよい。
【0040】
補正部50は、
図2に示すように、正解情報取得部51、位置合わせ部52、位置ずれ補正部53等を備えている。
補正部50の各部の処理内容は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の画像処理回路を用いてハードウェア処理により実現することもできるし、CPUやGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサーがプログラムを読み取って実行するソフトウェア処理によって実現することもできる。
【0041】
正解情報取得部51は、後述する画像補正処理の実行の際、記憶部12に記憶された正解情報を取得する。なお、正解情報が外部に記憶されている場合には、正解情報取得部51は、通信部15を介して外部より正解情報を取得する。
すなわち、正解情報取得部51は、正解情報取得手段として機能する。
【0042】
位置合わせ部52は、画像読取部30が最終印刷物を読み取ることによって取得された読み取り画像データの検品画像と合成画像データの合成画像との位置合わせを行う。
具体的には、位置合わせ部52は、合成画像データ及び読み取り画像データから各画像データ内に存在する特徴点であるエッジ座標位置あるいはマーカー座標位置を抽出し、特徴点間を合わせることで実施する。
エッジ座標位置は、合成画像データ上及び読み取り画像データ上で走査されることで抽出される。
マーカー座標位置は、予め、位置合わせ用マーカーを合成画像データ及び記録媒体上の同位置に印字されるように用意され、合成画像データ上及び読み取り画像データ上で走査されることで、抽出される。
すなわち、位置合わせ部52は、位置合わせ手段として機能する。
【0043】
位置ずれ補正部53は、読み取り画像データと合成画像データの比較から位置ずれ発生を判断する。
具体的には、位置ずれ補正部53は、境界部位置情報に基づいて検品画像上の検品境界部を検出する。すなわち、位置ずれ補正部53は、境界部検出手段として機能する。
次に、位置ずれ補正部53は、合成画像データ及び読み取り画像データ上に境界部位置情報を含むウインドウを同サイズで同位相座標を基点に展開する。
次に、位置ずれ補正部53は、当該ウインドウ内で合成画像データの境界部と読み取り画像データの検品境界部間の比較を行い、境界部位置情報上の画素値の比較結果に差がある場合は、位置ずれ発生候補として、当該座標位置を記憶部12に記憶する。
次に、位置ずれ補正部53は、位置ずれ発生候補の座標位置が、境界部位置情報に基づく連続性が存在するか評価する。
次に、位置ずれ補正部53は、境界部位置情報の方向情報に垂直となる方向で位置ずれ量を算出し、方向情報に基づき当該位置ずれ量の方向を決定する。
次に、位置ずれ補正部53は、記録媒体全面の位置ずれ量の平均値を、方向ごとに算出し、当該方向ごとの平均位置ずれ量と画像区別領域情報に基づいて縦あるいは横シフト補正を行う。
次に、位置ずれ補正部53は、記録媒体上の面内を複数の領域にN分割(N≧2)し、各領域の位置ずれ量の平均値を、方向ごとに算出し、当該各領域の方向ごとの平均位置ずれ量と画像区別領域情報に基づいて縦倍あるいは横倍補正を行う。
次に、位置ずれ補正部53は、記録媒体上の面内を複数の領域にM分割(M≧4)し、各領域の位置ずれ量の平均値を、方向ごとに算出し、当該各領域の方向ごとの平均位置ずれ量と画像区別領域情報に基づいて位置ずれ種別を判断する。位置ずれ種別には、傾き及び回転がある。
次に、位置ずれ補正部53は、各領域の方向ごとの平均位置ずれ量及び位置ずれ種別に基づいて事前印刷画像データ、追い刷り印刷画像データの少なくとも一方を補正する。
すなわち、位置ずれ補正部53は、算出手段、判断手段及び補正手段として機能する。
【0044】
制御部11、記憶部12及び補正部50は、画像補正装置1000としての機能を実現する。
【0045】
画像が形成された後の記録媒体は、
図1に示す排紙トレイT1又は排紙トレイT2に排出される。
【0046】
(画像形成装置1の動作)
次に、本実施の形態の動作を説明する。
図3に、画像形成装置1において実行される画像補正処理のフローチャートを示す。画像補正処理は、制御部11と記憶部12に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0047】
まず、制御部11は、関連付けて指定された事前印刷画像データ及び追い刷り印刷画像データを、通信部15を介して受信する(ステップS1)。
次いで、制御部11は、事前印刷画像データ及び追い刷り印刷画像データを合成して合成画像データを作成する。そして、制御部11は、合成画像データを記憶部12に記憶する(ステップS2)。なお、制御部11は、通信部15を介して、予め作成された合成画像データを外部から受信してもよい。
ここで、
図4の左上図が事前印刷画像データ、右上図が追い刷り印刷画像データの例である。これからのデータから左下図の合成画像データが作成される。
【0048】
次いで、制御部11は、事前印刷画像データ及び追い刷り印刷画像データ内のエッジ情報を抽出する。制御部11は、当該エッジ情報を、各画像データに埋め込まれたベクトルデータに基づき抽出しても良い。また、制御部11は、RIPされた各画像データ内を小ウインドウで走査することでエッジ判断を行い、抽出を行っても良いし、事前に合成を行う各画像データを出力して画像読取部30で読み取った画像領域内を走査することで、エッジ判断を行うことにより抽出しても良い。
制御部11は、合成を行う画像データ間で隣接するエッジ情報を境界部とし、当該境界部の合成画像データ上の座標位置を境界部位置情報として記憶部12に記憶する(ステップS3)。
ここで、
図4の中央下図が境界部の合成画像データ上の座標位置である、境界部位置情報である。
【0049】
次いで、制御部11は、事前印刷画像データ及び追い刷り印刷画像データから各画像データ領域を区別可能である画像区別領域情報を作成し、記憶部12に記憶する(ステップS4)。
ここで、
図4の右下に画像区別領域情報を示す。
【0050】
次いで、制御部11は、境界部位置情報に基づいて、境界部の角度から境界部の方向性を判断し、当該方向情報を記憶部12に記憶する(ステップS5)。
ここで、
図5は、方向情報の例である。例えば、制御部11は、
図5の右下に示すx軸に平行な境界部の方向性は横方向であると判断し、それ以外の境界部の方向性は縦方向であると判断する。
横方向、縦方向の判断をする閾値は予め設定されており、閾値はこの例に限らない。例えば、x軸に平行な角度から所定の角度までを横方向と判断してもよい。
【0051】
制御部11は、画像形成部20を制御し、記録媒体に事前印刷を実施する(ステップS6)。
次いで、制御部11は、画像形成部20を制御し、ステップS6で事前印刷を行った印刷物に追い刷り印刷を開始する(ステップS7)。
次いで、制御部11は、画像読取部30を用いて、追い刷り印刷を行って検品画像が形成された最終印刷物を読み取り、読み取り画像データを取得する(ステップS8)。
【0052】
位置合わせ部52は、ステップS8で取得した読み取り画像データの検品画像と正解情報取得部51が取得した合成画像データの合成画像との位置合わせを行う(ステップS9)。位置合わせに用いられる特徴点であるエッジ座標位置やマーカー座標位置の例を
図6に示す。
図6Aは、特徴点としてエッジ座標位置を用いた場合であり、
図6Bは、特徴点としてマーカー座標位置を用いた場合である。
また、合成画像データと読み取り画像データの特徴点を合わせるための、シフトや変倍による位置補正は合成画像データ側で実施する。
【0053】
位置ずれ補正部53は、正解情報取得部51が取得した境界部位置情報に基づいて、検品画像上の境界部が位置する検品境界部を検出する(ステップS10)。
次いで、位置ずれ補正部53は、合成画像データ及び読み取り画像データ上に、境界部位置情報を含むm×n(m≧1,n≧1)のウインドウを同サイズで同位相座標を基点に展開する(ステップS11)。
図7は、4×4のウインドウを展開した図である。
【0054】
次いで、位置ずれ補正部53は、合成画像データと読み取り画像データで色空間を統一し、ウインドウ内で合成画像データと読み取り画像データ間の境界部位置情報上の画素値の比較を行う。
図7では、合成画像データ上のウインドウである左のウインドウと、読み取り画像データ上のウインドウである右のウインドウ内で画素値が異なっている箇所が存在している。
位置ずれ補正部53は、画素値の比較結果の差が所定の閾値以上である場合は、位置ずれ発生候補であると判断し、位置ずれ発生候補箇所の座標位置を記憶部12に記憶する(ステップS12)。
位置ずれ補正部53は、ステップS12をすべての検品境界部について実施する。
【0055】
次いで、位置ずれ補正部53は、位置ずれ発生候補の座標位置に、境界部位置情報に基づく連続性が存在するかを評価する(ステップS13)
図8は、境界部に沿って位置ずれ発生候補箇所が存在している図である。
図8の黒破線の矢印で示す部分に沿って位置ずれ発生候補箇所が存在している。この場合、位置ずれ補正部53は、位置ずれ発生候補の座標位置に、境界部位置情報に基づく連続性が存在していると判断する。
【0056】
次いで、位置ずれ補正部53は、ステップS13で連続性が存在していると判断された位置ずれ発生候補箇所の位置ずれ量を算出して、当該位置ずれの方向を決定する(ステップS14)。
位置ずれ量の算出方法は、正解情報取得部51が取得した方向情報に垂直となる方向で位置ずれ発生の候補座標位置の連続する長さを求め、位置ずれ量とする。
位置ずれの方向は、方向情報に基づいて決定する。
図8において、白抜きの矢印が記載されている箇所の境界部の方向は縦方向であるので、それに垂直となる方向、つまり横方向に位置ずれ発生候補の座標位置の連続する長さを求め、当該長さを位置ずれ量とする。当該長さは、白抜きの矢印の長さで示されている。
また、当該位置ずれの方向については、境界部の方向が縦方向であるので、それに垂直となる方向、つまり横方向と決定する。
【0057】
次いで、位置ずれ補正部53は、記録媒体全面の位置ずれ量の平均値を、方向ごとに算出し、当該方向ごとの平均位置ずれ量と画像区別領域情報に基づいて縦あるいは横シフト補正を行う(ステップS15)。
具体的には、記録媒体全面の縦方向の位置ずれ量から平均縦ずれ量、横方向の位置ずれ量から平均横ずれ量を算出する。算出した平均縦ずれ量及び平均横ずれ量と、画像区別領域情報から、事前印刷画像データに対する追い刷り印刷画像データの全体的なシフト位置ずれ量を判断し、縦シフト補正あるいは横シフト補正を追い刷り印刷画像データに対して実施する。
例えば、
図8では、記録媒体全面で横方向の位置ずれが発生しているため、横シフト補正が実施される。
【0058】
次いで、位置ずれ補正部53は、記録媒体上の面内をN分割(N≧2)の領域に分割する(ステップS16)
次いで、位置ずれ補正部53は、記録媒体面に対して縦方向中心から上部、下部、横方向中心から左部、右部とした各部内の方向ごとの平均位置ずれ量を算出し、当該各部の方向ごとの平均位置ずれ量と画像区別領域情報に基づいて縦倍補正あるいは横倍補正を行う(ステップS17)。
具体的には、
図9のような縦倍の位置ずれが発生している場合、位置ずれ補正部53は、上部及び下部内の平均縦ずれ量を算出する。上部と下部内で発生している平均縦ずれ量の差が所定の閾値以上であると判断された場合に、位置ずれ補正部53は、事前印刷画像データに対して追い刷り印刷画像データの画像形成時に縦倍のずれが発生していると判断する。位置ずれ補正部53は、上部と下部の平均縦ずれ量の差と、画像区別領域情報から、事前印刷画像データに対する、追い刷り印刷画像データの縦倍の位置ずれ量を算出する。位置ずれ補正部53は、算出した縦倍の位置ずれ量分だけの縦倍補正を追い刷り印刷画像データに対して実施する。また、位置ずれ補正部53は、左部及び右部の平均横ずれ量を算出する。この場合、横倍のずれは発生していないので、算出した平均横ずれ量は所定の閾値未満であり、横倍補正は実施されない。
また、縦倍のずれが発生せず、横倍のずれが発生している場合、位置ずれ補正部53は、左部及び右部内の平均横ずれ量を算出する。左部と右部内で発生している平均横ずれ量の差が所定の閾値以上であると判断された場合に、位置ずれ補正部53は、事前印刷画像データに対して追い刷り印刷画像データの画像形成時に横倍のずれが発生していると判断する。位置ずれ補正部53は、左部と右部の平均横ずれ量の差と、画像区別領域情報から、事前印刷画像データに対する、追い刷り印刷画像データの横倍の位置ずれ量を算出する。位置ずれ補正部53は、算出した横倍の位置ずれ量分だけの横倍補正を追い刷り印刷画像データに対して実施する。また、位置ずれ補正部53は、上部及び下部の平均縦ずれ量を算出する。この場合、縦倍のずれは発生していないので、算出した平均縦ずれ量は所定の閾値未満であり、縦倍補正は実施されない。
【0059】
次いで、位置ずれ補正部53は、記録媒体上の面内をM分割(M≧4)の領域に分割する(ステップS18)。
次いで、位置ずれ補正部53は、記録媒体面の中心から左上部、左下部、右上部及び右下部とした各部内の方向ごとの平均位置ずれ量を算出する(ステップS19)。
そして、位置ずれ補正部53は、算出した各部内の方向ごとの平均位置ずれ量と画像区別領域情報から回転あるいは傾きの位置ずれ種別を判断し(ステップS20)、その判断結果に応じた補正を実施して(ステップS21)、処理を終了する。
具体的には、
図10のような回転ずれが発生している場合、位置ずれ補正部53は、各部内の方向ごとの平均位置ずれ量を算出する。左上部と右下部、右上部と左下部のように交差する部内で発生している平均縦ずれ量及び平均横ずれ量が、逆方向の位置ずれであり、かつ、全ての部内で算出した同方向の平均位置ずれ量の絶対値の差が所定の閾値以下である場合に、位置ずれ補正部53は、回転ずれが発生していると判断する。このとき、位置ずれ補正部53は、事前印刷画像データに追い刷り印刷画像データを一致させるために回転補正を追い刷り印刷画像データに対して実施する。
図10では、左上部と右下部の位置ずれを白抜きの矢印で示している。
また、位置ずれ補正部53は、傾きずれが発生している場合、各部内の方向ごとの平均位置ずれ量を算出する。左上部と右下部、右上部と左下部のように交差する部内で発生している平均縦ずれ量及び平均横ずれ量が、逆方向の位置ずれであり、かつ、全ての部内で算出した同方向の平均位置ずれ量の絶対値の差が所定の閾値以上である場合に、位置ずれ補正部53は、傾きずれが発生していると判断する。このとき、位置ずれ補正部53は、事前印刷画像データに追い刷り印刷画像データを一致させるために傾き補正を追い刷り印刷画像データに対して実施する。
【0060】
以上説明したように、画像補正装置1000は、同一の記録媒体上に、複数の画像データに基づく個別画像を各々別タイミングで形成して合成した検品画像における個別画像間の位置ずれを補正する画像補正装置であって、複数の画像データの合成画像データ、隣接する個別画像の境界部の位置情報、及び複数の画像データを区別可能な画像区別領域情報を含む正解情報を取得する正解情報取得手段(正解情報取得部51)と、合成画像データと記録媒体上に形成された検品画像を読み取った読み取り画像データの位置合わせを行う位置合わせ手段(位置合わせ部52)と、読み取り画像データから、境界部の位置情報に基づいて検品境界部を検出する境界部検出手段(位置ずれ補正部53)と、位置合わせされた状態で合成画像データの境界部と読み取り画像データの検品境界部の画素値の比較を行うことで、検品画像における個別画像間の位置ずれ量を算出する算出手段(位置ずれ補正部53)と、位置ずれ量及び画像区別領域情報に基づき位置ずれ種別を判断する判断手段(位置ずれ補正部53)と、位置ずれ量と位置ずれ種別に応じて複数の画像データのうち、少なくとも一方の画像データの画像形成位置を補正する補正手段(位置ずれ補正部53)と、を備える。
従って、記録媒体上の事前印刷画像データと追い刷り印刷画像データとの画像間の位置ずれ補正を自動で行うことができる。
【0061】
また、境界部の位置情報は、複数の画像データのエッジ情報を含む。
従って、位置ずれの検品対象となる境界部を精度よく取得することができる。
【0062】
また、正解情報は、境界部の方向性を示す方向情報を含み、算出手段は、方向情報に基づいて位置ずれの方向を決定する。
従って、位置ずれの検出対象となる境界部の方向性を決定できる。
【0063】
また、算出手段は、記録媒体上の各検品境界部の縦方向及び横方向の位置ずれ量から、記録媒体上の全体の平均縦ずれ量及び平均横ずれ量を算出する。
従って、記録媒体上で発生した全体的な位置ずれ量を精度よく検出することができる。
【0064】
また、算出手段は、記録媒体上の全体の平均縦ずれ量及び平均横ずれ量に基づき、縦シフト補正値及び横シフト補正値を算出する。
従って、記録媒体上で発生した位置ずれに対して、縦及び横シフト補正を適用できる。
【0065】
また、算出手段は、記録媒体上の面内を複数領域にN分割(N≧2)し、各領域内に存在する検品境界部の縦方向及び横方向の位置ずれ量から、領域ごとの平均縦ずれ量及び平均横ずれ量を算出する。
従って、記録媒体上で発生した詳細な位置ずれ量を精度よく検出することができる。
【0066】
また、算出手段は、N分割(N≧2)に分割された記録媒体の縦方向の中心位置から上部、下部にそれぞれ存在する1以上の領域内の平均縦ずれ量を算出し、各部の平均縦ずれ量から縦倍補正値を算出し、分割された記録媒体の横方向の中心位置から左部、右部にそれぞれ存在する1以上の領域内の平均横ずれ量を算出し、各部の平均横ずれ量から横倍補正値を算出する。
従って、記録媒体上で発生した位置ずれに対して、縦倍及び横倍補正を適用できる。
【0067】
また、算出手段は、記録媒体上の面内を複数領域にM分割(M≧4)し、各領域内に存在する検品境界部の縦方向及び横方向の位置ずれ量から、領域ごとの平均縦ずれ量及び平均横ずれ量を算出し、
判断手段は、領域ごとの平均縦ずれ量及び平均横ずれ量に応じて位置ずれ種別を判断する。
従って、記録媒体上で発生した位置ずれ種別を判断することができる。
【0068】
また、算出手段は、記録媒体上の面内を複数領域にM分割(M≧4)した各領域において、記録媒体の中心位置を基準に、左上部、右上部、左下部及び右下部とした場合に、交差関係に位置する部内で算出した同方向の平均位置ずれ量に基づいて、傾き補正値ないし、回転補正値を算出する。
従って、記録媒体上で発生した位置ずれに対して、傾き及び回転補正を適用できる。
【0069】
また、画像補正装置1000は、補正対象とする位置ずれ量を設定する設定手段を備える。
従って、ユーザーが任意設定した位置ずれ量に対して補正を行うことができる。
【0070】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る画像形成装置の好適な一例を示すものであり、これに限定されるものではない。
【0071】
また、上記実施の形態では、画像補正装置について、画像形成装置内に設けられているとしたが、これに限らない。画像補正装置は、画像形成部を含む画像形成装置と別装置でもよい。
【0072】
また、上記実施の形態では、追い刷り印刷画像データに対して位置ずれ補正を行うとしたが、これに限らない。事前印刷画像データを補正してもよいし、追い刷り印刷画像データ及び事前印刷画像データのそれぞれに対して補正してもよい。
【0073】
また、上記実施の形態では、位置ずれ補正部53は、記録媒体全面の位置ずれ量の平均値を、方向ごとに算出し、当該方向ごとの平均位置ずれ量と画像区別領域情報に基づいて縦あるいは横シフト補正を行うとしたが、これに限らない。位置ずれ補正部53は、記録媒体上の面内をN分割(N≧2)の領域に分割し、記録媒体面に対して縦方向中心から上部、下部、横方向中心から左部、右部とした各部内の方向ごとの平均位置ずれ量を算出し、当該各部の方向ごとの平均位置ずれ量と画像区別領域情報に基づいて縦シフト補正あるいは横シフト補正を行うとしてもよい。
この場合の縦倍補正あるいは横倍補正は、縦シフト補正あるいは横シフト補正後の各部の方向ごとの平均位置ずれ量と画像区別領域情報に基づいて行う。
例えば、上部の縦方向の平均位置ずれ量が下部の縦方向の平均位置ずれ量より小さい場合、縦方向の位置ずれと縦倍の位置ずれが同時に発生している可能性がある。この場合、まず、上部の縦方向の平均位置ずれ量と画像区別領域情報を基にして縦シフト補正を行い、補正された各部の縦方向の平均位置ずれ量と画像区別領域情報に基づいて縦倍補正を行う。
【0074】
その他、画像形成装置100の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0075】
11 制御部
12 記憶部
13 操作部(設定手段)
14 表示部
20 画像形成部
30 画像読取部
40 断裁部
50 補正部
51 正解情報取得部(正解情報取得手段)
52 位置合わせ部(位置合わせ手段)
53 位置ずれ補正部(境界部検出手段、算出手段、判断手段、補正手段)
100 画像形成装置
1000 画像補正装置