(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】車両のサイドドアヒンジ構造
(51)【国際特許分類】
E05D 7/12 20060101AFI20240514BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
E05D7/12 A
B60J5/04 L
(21)【出願番号】P 2020114751
(22)【出願日】2020-07-02
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】守山 幸宏
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-019116(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0052466(US,A1)
【文献】米国特許第04864687(US,A)
【文献】米国特許第05297314(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 1/00-9/00
B60J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジピラーに対して上下方向に離間して取付けられる上下一対の車体側ヒンジブラケットと、
サイドドアの前端に上下方向に離間して取付けられる上下一対のドア側ヒンジブラケットと、
一端
が上記車体側ヒンジブラケッ
トに対しヒンジピンを介して回動可能に軸支され、他端が上記ドア側ヒンジブラケッ
トに対し上記サイドドアの内側方向から締結固定可能な中間部材と、を備え
、
上記ドア側ヒンジブラケットは、縦壁と、該縦壁の上下各端に有する上壁および下壁と、上記サイドドアの前端に取付けられる上側フランジ部および下側フランジ部が備えられ、
上記上側フランジ部は上記上壁に設けられるとともに、上記下側フランジ部は上記下壁に設けられ、
上記中間部材は、上記上壁と上記下壁との間の空間において、上記縦壁に締結固定される
車両のサイドドアヒンジ構造。
【請求項2】
上記中間部材は
、上記車体側ヒンジブラケットに備えた上壁と下壁とに上記ヒンジピンを介して軸支され、
上記ドア側ヒンジブラケットの上記上壁、上記下壁は、上記車体側ヒンジブラケットの上記上壁、上記下壁間に位置する
請求項1に記載の車両のサイドドアヒンジ構造。
【請求項3】
上記車体側ヒンジブラケットと、上記ドア側ヒンジブラケットと、上記ヒンジピンと、上記中間部材とを有する上部ヒンジおよび下部ヒンジを設け、
上記ヒンジピンの近傍位置において上記上部ヒンジと上記下部ヒンジとを上下方向に連結する連結部材を備えた
請求項1
または2に記載の車両のサイドドアヒンジ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車体側ヒンジブラケットと、ドア側ヒンジブラケットと、ヒンジピンと、を備えたような車両のサイドドア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のサイドドアは、車両組立て作業の関係上、一旦、車体に組付けて塗装等を行ない、その後、サイドドアを車体から取外し、該サイドドアに対してサイドドアガラスやウインドレギュレータユニット等のドア部品の組付けを行なった後に、再び車体に取付けられるのが一般的である。
【0003】
上記車体とサイドドアとは、車体側ヒンジブラケットと、ドア側ヒンジブラケットと、ヒンジピンと、を備えたドアヒンジを介して取付けられる。
【0004】
この場合、上記ヒンジピンを着脱構造と成すと、サイドドアの車体に対する取付け、取外しを容易に行なうことができる。
【0005】
このようなヒンジピンの着脱構造を備えた車両のサイドドアヒンジ構造としては、特許文献1に開示されたものがある。
【0006】
すなわち、車体側ヒンジブラケットとドア側ヒンジブラケットとの何れか一方にヒンジピンを一体形成し、車体側ヒンジブラケットとドア側ヒンジブラケットとの何れか他方に上記ヒンジピンを挿入するピン孔が形成された筒部を一体形成している。そして、上記ヒンジピンをピン孔内に挿入し、ヒンジピンの先端に対して、筒部におけるヒンジピン先端側から鍔付きボルトを締結することで、車体側ヒンジブラケットとドア側ヒンジブラケットとを枢支連結したものである。
【0007】
この特許文献1に開示された従来構造においては、上記筒部からヒンジピンを引抜くと、サイドドアを車体から容易に取外すことができる。
【0008】
しかしながら、上記特許文献1の構造では、ヒンジピンそれ自体を抜き差しする構造であるから、ヒンジピン外周と筒部におけるピン孔内周との間には、抜き差し用のクリアランスが必要不可欠となり、サイドドアがヒンジピンの部位において、がたつくという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、この発明は、ヒンジピンを抜き差しすることなく、車体側ヒンジブラケットとドア側ヒンジブラケットとを分離することができ、ヒンジピンに影響を与えることなく、車体に対してサイドドアの着脱を行なうことができる車両のサイドドアヒンジ構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明による車両のサイドドアヒンジ構造は、ヒンジピラーに対して上下方向に離間して取付けられる上下一対の車体側ヒンジブラケットと、サイドドアの前端に上下方向に離間して取付けられる上下一対のドア側ヒンジブラケットと、一端が上記車体側ヒンジブラケットに対しヒンジピンを介して回動可能に軸支され、他端が上記ドア側ヒンジブラケットに対し上記サイドドアの内側方向から締結固定可能な中間部材と、を備え、上記ドア側ヒンジブラケットは、縦壁と、該縦壁の上下各端に有する上壁および下壁と、上記サイドドアの前端に取付けられる上側フランジ部および下側フランジ部が備えられ、上記上側フランジ部は上記上壁に設けられるとともに、上記下側フランジ部は上記下壁に設けられ、上記中間部材は、上記上壁と上記下壁との間の空間において、上記縦壁に締結固定されるものである。
【0012】
上記構成によれば、他方のヒンジブラケットと中間部材との締結固定を解除すると、一方のヒンジブラケットに固定されたヒンジピンを引き抜くことなく、車体側ヒンジブラケットからドア側ヒンジブラケットを取外すことができる。
【0013】
このように、上記ヒンジピンを抜き差しすることなく、車体側ヒンジブラケットとドア側ヒンジブラケットとを分離することができ、ヒンジピンに影響を与えることなく、車体に対してサイドドアの着脱を行なうことができる。
【0014】
また、上記ヒンジピンは一方のヒンジブラケットに対して抜き差し不要に固定されるので、ヒンジピンと当該ヒンジブラケットとの間にはクリアランスを設ける必要がなく、サイドドアのヒンジピン部位におけるがたつきを抑制することができる。
【0015】
また上述したように、上記中間部材は上記ヒンジピンを介して上記車体側ヒンジブラケットに軸支されると共に、上記ドア側ヒンジブラケットに締結固定されたため、軸支部としての上記ヒンジピンにより車体側ヒンジブラケットの剛性(いわゆるヒンジ剛性)の向上を図ることができる。
【0016】
この発明の一実施態様においては、上記中間部材は、上記車体側ヒンジブラケットに備えた上壁と下壁とに上記ヒンジピンを介して軸支され、上記ドア側ヒンジブラケットの上記上壁、上記下壁は、上記車体側ヒンジブラケットの上記上壁、上記下壁間に位置するものである。
【0017】
この発明の一実施態様においては、上記車体側ヒンジブラケットと、上記ドア側ヒンジブラケットと、上記ヒンジピンと、上記中間部材とを有する上部ヒンジおよび下部ヒンジを設け、上記ヒンジピンの近傍位置において上記上部ヒンジと上記下部ヒンジとを上下方向に連結する連結部材を備えたものである。
【0018】
上記構成によれば、上記連結部材により上部ヒンジ、下部ヒンジの剛性を向上させることができると共に、上記連結部材と干渉することなく、車体側ヒンジブラケットに対してドア側ヒンジブラケットの着脱を行なうことができ、車体に対してサイドドアの脱着作業ができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、ヒンジピンを抜き差しすることなく、車体側ヒンジブラケットとドア側ヒンジブラケットとを分離することができ、ヒンジピンに影響を与えることなく、車体に対してサイドドアの着脱を行なうことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の車両のサイドドアヒンジ構造をサイドドア開状態にて示す斜視図
【
図2】サイドドアヒンジのみを抽出して示す拡大斜視図
【
図7】車両のサイドドアのヒンジ構造の他の実施例をサイドドア開状態にて示す斜視図
【
図8】
図7からサイドドアヒンジのみを抽出して示す拡大斜視図
【発明を実施するための形態】
【0021】
ヒンジピンを抜き差しすることなく、車体側ヒンジブラケットとドア側ヒンジブラケットとを分離することができ、ヒンジピンに影響を与えることなく、車体に対してサイドドアの着脱を行なうという目的を、ヒンジピラーに対して上下方向に離間して取付けられる上下一対の車体側ヒンジブラケットと、サイドドアの前端に上下方向に離間して取付けられる上下一対のドア側ヒンジブラケットと、一端が上記車体側ヒンジブラケットに対しヒンジピンを介して回動可能に軸支され、他端が上記ドア側ヒンジブラケットに対し上記サイドドアの内側方向から締結固定可能な中間部材と、を備え、上記ドア側ヒンジブラケットは、縦壁と、該縦壁の上下各端に有する上壁および下壁と、上記サイドドアの前端に取付けられる上側フランジ部および下側フランジ部が備えられ、上記上側フランジ部は上記上壁に設けられるとともに、上記下側フランジ部は上記下壁に設けられ、上記中間部材は、上記上壁と上記下壁との間の空間において、上記縦壁に締結固定されるという構成にて実現した。
【実施例1】
【0022】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
【0023】
図面は車両のサイドドアヒンジ構造を示し、
図1は実施例1の車両のサイドドアヒンジ構造を、サイドドア開状態にて車両後方かつ上方から見た状態にて示す斜視図である。
【0024】
図2は
図1からサイドドアヒンジのみを抽出して示す拡大斜視図、
図3は上部ヒンジの分解斜視図、
図4は
図2のA-A線矢視断面図、
図5はヒンジピン部分の縦断面図、
図6はサイドドア取外し時の説明図である。
【0025】
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車幅方向の内方を示し、矢印OUTは車幅方向の外方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
【0026】
図1に示すように、サイドシル前端部とフロントピラー下端部とを車両上下方向に連結するヒンジピラー1を設けている。
【0027】
このヒンジピラー1は、ヒンジピラーインナとヒンジピラーレインフォースメントとヒンジピラーアウタ2とを接合固定して、車両の上下方向に延びるヒンジピラー閉断面を備えた車体強度部材である。
【0028】
上述のヒンジピラーアウタ2の上部車外側には、後述する車体側ヒンジブラケット22を取付けるフラット形状の座面2a,2bが形成されている。
【0029】
上述のヒンジピラーアウタ2に上部ヒンジUHおよび下部ヒンジLHを介して開閉可能に取付けられるサイドドア3(フロントドア)は、次のように構成している。
【0030】
すなわち、
図1、
図4に示すように、上記サイドドア3はボディサイドアウタパネルを形成するドアアウタパネル4を設け、
図4に示すように、該ドアアウタパネル4にはそのヘミング加工部4aを介して中間パネル5を取付けている。
【0031】
この中間パネル5はドアアウタパネル4の車幅方向内側とドアフレーム6の車幅方向外側との間に位置しており、該中間パネル5はドアフレーム6の車幅方向外側面に沿う枠状に形成されている。
【0032】
図1、
図4に示すように、上述のドアフレーム6は、サイドドア3におけるドア本体の前辺部を形成する前側の縦枠部7と、ドア本体の後辺部を形成する後側の縦枠部(図示せず)と、ドア本体の上辺部を形成するベルトラインレインフォースメントインナ8と、ドア本体の下辺部を形成する連結部材9と、を備えている。
【0033】
上述の前側の縦枠部7および後側の縦枠部は、軽金属または軽合金製の鋳造部材にて形成されている。この実施例では、これら両縦枠部はアルミダイカストにより形成されている。
【0034】
また、上述のベルトラインレインフォースメントインナ8および連結部材9は、軽金属または軽合金製の押出し成形部材にて構成されている。
【0035】
そして、サイドドア3の前部を形成する前側の縦枠部7の上端部後側71と、サイドドア3の後部を形成する後側の縦枠部の上端部前側とを、上述のベルトラインレインフォースメントインナ8で、車両前後方向に連結している。また、前側の縦枠部7の下端部後側72と、後側の縦枠部(図示せず)の下端部前側とを、上述の連結部材9で、車両前後方向に連結し、ドアフレーム6は車幅方向内側から見て枠状に形成されている。
【0036】
図1に示すように、上述のベルトラインレインフォースメントインナ8はサイドドア3のベルトライン部BLに沿って設けられている。そして、当該ベルトラインレインフォースメントインナ8の上辺部8aには、インナブラケット10が連結固定されている。このインナブラケット10はドアウインドガラス(図示せず)の室内面とサイドドア3との間をシールするためのベルトラインシール部材インナを取付けるブラケットであり、該インナブラケット10は上記ベルトライン部BLに沿って車両前後方向に延びている。
【0037】
図1に示すように、上述のドアフレーム6における前側の縦枠部7の上部と、後側の縦枠部の下部と、にわたって斜め方向に延びるインパクトバー11を取付けている。同図に示すように、該インパクトバー11はその後部に対して前部が上方に位置するように前高後低状に傾斜して車両の前後方向に延びている。このインパクトバー11は、軽金属または軽合金製の押出し成形部材にて構成されている。
【0038】
図4に示すように、上述のドアフレーム6における前側の縦枠部7は、後述するドア側ヒンジブラケット23を取付ける取付け座7aを有している。この取付け座7aは、
図4に示すようにフラットに形成されて車幅方向に延びている。
【0039】
また、上述の縦枠部7は、上記取付け座7aの車幅方向外端部から車両前方に延びる前片部7bと、上記取付け座7aの車幅方向内端部から車両後方に延びる後片部7cと、を備えている。
【0040】
図4に示すように、前側の縦枠部7における取付け座7aの背面部、すなわち、取付け座7aのドア内部空間側には、ヒンジレインフォースメント12を取付けている。
【0041】
次にサイドドアヒンジ20の構成について説明する。
【0042】
図1、
図2に示すように、サイドドアヒンジ20はヒンジピラー1とサイドドア3との間において上下方向に離間して取付けられる上部ヒンジUHおよび下部ヒンジLHと、これら上部ヒンジUHと下部ヒンジLHとを上下方向に連結する連結部材としての連結パイプ21と、を備えている。
【0043】
この実施例1では、上述の上部ヒンジUHと下部ヒンジLHとは同様に構成されている。
【0044】
図2、
図3に示すように、上記サイドドアヒンジ20は、上下一対の車体側ヒンジブラケット22と、上下一対のドア側ヒンジブラケット23と、一端が車体側ヒンジブラケット22に対しヒンジピン24を介して回動可能に軸支され、他端がドア側ヒンジブラケット23に対しサイドドア3の内側方向から締結固定可能な中間部材25と、を備えている。
【0045】
図1に示すように、上述の上下一対の車体側ヒンジブラケット22は、ヒンジピラー1に対して上下方向に離間して取付けられており、上述の上下一対のドア側ヒンジブラケット23は、サイドドア3の前端に上下方向に離間して取付けられている。
【0046】
図3は上部ヒンジUHの分解斜視図であり、上部ヒンジUHの構造のみを示しているが、下部ヒンジLHは上部ヒンジUHと同様に構成されている。
【0047】
図3に示すように、車体側ヒンジブラケット22は、連結パイプ21に対して車両前方に位置する縦壁22aと、上壁22bと、下壁22cと、複数のフランジ部22d,22e,22fと、を一体に折曲げ形成したものである。
【0048】
ここで、上述の縦壁22aの上端には、当該上端から後方かつ車幅方向外方に延びる上壁22bを一体形成し、縦壁22aの下端には、当該下端から後方かつ車幅方向外方に延びる下壁22cを一体形成している。
【0049】
また、上述の縦壁22aの車幅方向内端には、当該内端から車両前方に延びる前側のフランジ部22dを一体形成している。
【0050】
さらに、上述の上壁22bの車幅方向内端には、当該内端から車両上方に延びる上側のフランジ部22eを一体形成すると共に、下壁22cの車幅方向内端には、当該内端から車両下方に延びる下側のフランジ部22fを一体形成している。
【0051】
上述の上壁22bと下壁22cとは互いに平行になるように形成されており、各フランジ部22d,22e,22fは、ヒンジピラーアウタ2の座面2a,2bに当接されるように形成されている。
【0052】
図3に示すように、上壁22bおよび下壁22cには連結パイプ21を貫通配置する孔部26が形成されており、この孔部26に貫通した連結パイプ21と上壁22bの孔部26周縁部とをアーク溶接手段にて接合固定している。
【0053】
上述の上壁22bおよび下壁22cの孔部26よりも車幅方向外側には、上下方向に一致するようにヒンジピン24取付け用のピン孔27をそれぞれ開口形成している。
【0054】
また、上述の各フランジ部22d,22e,22fにはボルト挿通孔28がそれぞれ形成されており、
図4に示すように、これらの各フランジ部22d,22e,22fは、ボルト29およびウエルドナット30を用いて、ヒンジピラーアウタ2の座面2a,2bに締結固定される。
【0055】
上述のウエルドナット30はヒンジピラーアウタ2の車幅方向内側面に予め溶接固定されている。
【0056】
図3に示すように、ドア側ヒンジブラケット23は、縦壁23aと、上壁23bと、下壁23cと、複数のフランジ部23d,23eと、を一体に折曲げ形成したものである。
図2に示すように、ドア側ヒンジブラケット23の上壁23b、下壁23cは、車体側ヒンジブラケット22の上壁22b、下壁22c間に位置するものである。
【0057】
ここで、上述の縦壁23aの上端には上壁23bを一体形成し、縦壁23aの下端には下壁23cを一体形成している。また、上壁23bの後端には、当該後端から上方に延びる上側のフランジ部23dを一体形成すると共に、下壁23cの後端には、当該後端から下方に延びる下側のフランジ部23eを一体形成している。
【0058】
図3に示すように、上述の上下の各フランジ部23d,23eにはボルト挿通孔31がそれぞれ形成されており、
図4に示すように、これらの各フランジ部23d,23eは、ボルト32およびウエルドナット33を用いて、サイドドア3の前端としての縦枠部7の取付け座7aとヒンジレインフォースメント12とに共締め固定されている。上述のウエルドナット33はヒンジレインフォースメント12の背面に予め溶接固定されている。
【0059】
図3に示すように、上述のドア側ヒンジブラケット23における上壁23bと下壁23cとの前外部には、当該ドア側ヒンジブラケット23の回動時に、ヒンジピン24との干渉を回避する目的で、凹部23fがそれぞれ形成されている。
【0060】
図3に示すように、上述の中間部材25はヒンジピン24を挿通するために車両上下方向に延びるピン孔25aを備えている。また、中間部材25の当該ピン孔25aとオフセットした位置には、中間部材25とドア側ヒンジブラケット23との着脱を図るボルト34取付用のネジ孔25bが形成されている。このネジ孔25bは上述のピン孔25aに対して交差する方向に形成されている。
【0061】
図5に示すように、上述のヒンジピン24は、その軸部24aの下端に鍔部24bを備えている。このヒンジピン24は、車体側ヒンジブラケット22の下壁22cにおけるピン孔27から中間部材25のピン孔25aを介して車体側ヒンジブラケット22の上壁22bにおけるピン孔27に貫通配置し、上壁22bのピン孔27から上方に突出した軸部24a上端をかしめて、かしめ部24cを形成し、当該かしめ部24cにより抜け止めを図っている。
【0062】
但し、
図5に示すように、ヒンジピン24の軸部24a外周と、中間部材25のピン孔25a内周との間には、下端に鍔部35aを備えた下部筒部材35と、上端に鍔部36aを備えた上部筒部材36と、が介設されている。
【0063】
下側の鍔部35aは車体側ヒンジブラケット22の下壁22c上面に当接する一方、上側の鍔部36aは車体側ヒンジブラケット22の上壁22b下面に当接している。
【0064】
また、
図5に示すように、上下の各筒部材35,36の外周側において、鍔部36a,35aと中間部材25との間にはリング状かつ金属製のカラー部材37,37が介設されており、これらのカラー部材37,37にて中間部材25の上下方向の位置規制を行なっている。
【0065】
ここで、上述の上部筒部材36および下部筒部材35の表裏全面には4フッ化エチレン樹脂(いわゆるPTFE)による表面コーティング加工が施されており、これによりベアリング機能を確保するように構成している。
【0066】
図2~
図5に示すように、上述の中間部材25はヒンジピン24を介して車体側ヒンジブラケット22に軸支されると共に、ドア側ヒンジブラケット23に対してボルト34を用いて着脱可能に締結されるように構成している。
【0067】
上述の上部ヒンジUHと下部ヒンジLHのヒンジピン24における軸芯線は上下方向に一致しており、かつ当該軸芯線はサイドドア3の鉛直方向に対して、その上方が下方よりも車両前方に位置するように若干前傾している。
【0068】
図2に示すように、上述の上部ヒンジUHおよび下部ヒンジLHは、何れも、上記構成の車体側ヒンジブラケット22と、ドア側ヒンジブラケット23と、ヒンジピン24と、中間部材25とを備えており、上述の連結パイプ21はヒンジピン24の近傍位置において上部ヒンジUHと下部ヒンジLHとを上下方向に連結するものである。
【0069】
なお、図中、38は車体側ヒンジブラケット22の縦壁22aに形成された軽量化用の開口部である。
【0070】
図4に示すように、ヒンジピラーアウタ2に対してサイドドア3を開放した状態下において、同図の矢印a方向(縦枠部7の前片部7bと直交する方向)からボルト34を用いて、ドア側ヒンジブラケット23の縦壁23aと、中間部材25とを締結すると、サイドドア3の車体への組立て作業を行なうことができる。
【0071】
図6に示すように、サイドドア3を車体から取外す場合には、ボルト34を同図の矢印b方向に引抜くと、ドア側ヒンジブラケット23と、中間部材25との締結が解除されるので、ヒンジピン24を引抜くことなく、サイドドア3を後方に取外すことができる。
【0072】
このように、
図1~
図6で示した実施例1の車両のサイドドアヒンジ構造は、ヒンジピラー1に対して上下方向に離間して取付けられる上下一対の車体側ヒンジブラケット22と、サイドドア3の前端に上下方向に離間して取付けられる上下一対のドア側ヒンジブラケット23と、一端が上記ドア側ヒンジブラケット23および上記車体側ヒンジブラケット22のうちの何れか一方(実施例1では車体側ヒンジブラケット22)に対しヒンジピン24を介して回動可能に軸支され、他端が上記ドア側ヒンジブラケット23および上記車体側ヒンジブラケット22のうちの何れか他方(実施例1ではドア側ヒンジブラケット23)に対し上記サイドドア3の内側方向から締結固定可能な中間部材25と、を備えたものである(
図1、
図2、
図4参照)。
【0073】
この構成によれば、他方のヒンジブラケット23と中間部材25との締結固定を解除すると、一方のヒンジブラケット22に固定されたヒンジピン24を引き抜くことなく、車体側ヒンジブラケット22からドア側ヒンジブラケット23を取外すことができる。
【0074】
このように、上記ヒンジピン24を抜き差しすることなく、車体側ヒンジブラケット22とドア側ヒンジブラケット23とを分離することができ、ヒンジピン24に影響を与えることなく、車体に対してサイドドア3の着脱を行なうことができる。
【0075】
また、上記ヒンジピン24は一方のヒンジブラケット22に対して抜き差し不要に固定されるので、ヒンジピン24と当該ヒンジブラケット22との間にはクリアランスを設ける必要がなく、サイドドア3のヒンジピン24部位におけるがたつきを抑制することができる。
【0076】
また、上記実施例1においては、上記中間部材25は上記ヒンジピン24を介して上記車体側ヒンジブラケット22に軸支されると共に、上記ドア側ヒンジブラケット23に締結固定されるものである(
図3、
図4参照)。
【0077】
この構成によれば、軸支部としての上記ヒンジピン24により車体側ヒンジブラケット22の剛性(いわゆるヒンジ剛性)の向上を図ることができる。
【0078】
さらに、上記実施例1においては、上記車体側ヒンジブラケット22と、上記ドア側ヒンジブラケット23と、上記ヒンジピン24と、上記中間部材25とを有する上部ヒンジUHおよび下部ヒンジLHを設け、上記ヒンジピン24の近傍位置において上記上部ヒンジUHと上記下部ヒンジLHとを上下方向に連結する連結部材(連結パイプ21)を備えたものである(
図2参照)。
【0079】
この構成によれば、上記連結部材(連結パイプ21)により上部ヒンジUH、下部ヒンジLHの剛性を向上させることができると共に、上記連結部材(連結パイプ21)と干渉することなく、車体側ヒンジブラケット22に対してドア側ヒンジブラケット23の着脱を行なうことができ、車体に対してサイドドア3の脱着作業ができる。
【実施例2】
【0080】
次に、
図7~
図12を参照して実施例2の車両のサイドドアヒンジ構造について説明する。
【0081】
図7は実施例2の車両のサイドドアヒンジ構造を、サイドドア開状態にて車両後方かつ上方から見た状態にて示す斜視図である。
【0082】
図8は
図7からサイドドアヒンジのみを抽出して示す拡大斜視図、
図9は
図8の上部ヒンジを示す分解斜視図、
図10は
図8のB-B線矢視断面図、
図11はヒンジピン部分の縦断面図、
図12はサイドドア取外し時の説明図である。
【0083】
なお、
図7~
図12において前図と同一の部分(車体側およびサイドドア側の構成)には同一符号を付して、その詳しい説明を省略している。
【0084】
図7、
図8に示すように、サイドドアヒンジ40はヒンジピラー1とサイドドア3との間において上下方向に離間して取付けられる上部ヒンジUHおよび下部ヒンジLHと、これら上部ヒンジUHと下部ヒンジLHとを上下方向に連結する連結部材としての連結パイプ41と、を備えている。
【0085】
この実施例2でも、実施例1と同様に上述の上部ヒンジUHと下部ヒンジLHとは同等に構成されている。
【0086】
図8、
図9に示すように、上記サイドドアヒンジ40は、上下一対の車体側ヒンジブラケット42と、上下一対のドア側ヒンジブラケット43と、一端がドア側ヒンジブラケット43に対しヒンジピン44を介して回動可能に軸支され、他端が車体側ヒンジブラケット42に対しサイドドア3の内側方向から締結固定可能な中間部材45と、を備えている。
【0087】
図7に示すように、上述の上下一対の車体側ヒンジブラケット42は、ヒンジピラー1に対して上下方向に離間して取付けられており、上述の上下一対のドア側ヒンジブラケット43は、サイドドア3の前端に上下方向に離間して取付けられている。
【0088】
図9は上部ヒンジUHの分解斜視図であり、上部ヒンジUHの構造のみを示しているが、下部ヒンジLHは上部ヒンジUHと同様に構成されている。
【0089】
図9に示すように、車体側ヒンジブラケット42は、連結パイプ41に対して車両後方に位置する縦壁42aと、上壁42bと、下壁42cと、複数のフランジ部42d,42eと、を一体に折曲げ形成したものである。
【0090】
ここで、上述の縦壁42aの上端には、当該上端から前方に延びる上壁42bを一体形成し、縦壁42aの下端には、当該下端から前方に延びる下壁42cを一体形成している。
【0091】
また、上述の上壁42bの車幅方向内端には、当該内端から車両上方に延びる上側のフランジ部42dを一体形成すると共に、上記下壁42cの車幅方向内端には、当該内端から車両下方に延びる下側のフランジ部42eを一体形成している。
【0092】
上述の上壁42bと下壁42cとは互いに平行になるように形成されており、各フランジ部42d,42eは、ヒンジピラーアウタ2の座面2a,2bに当接されるように形成されている。
【0093】
図9に示すように、上壁42bおよび下壁42cには連結パイプ41を配置する凹部46が形成されており、この凹部46に配置した連結パイプ41と、上壁42bおよび下壁42cの凹部46周縁部とをアーク溶接手段にて接合固定している。
【0094】
また、上述の各フランジ部42d,42eには複数のボルト挿通孔47がそれぞれ形成されており、
図10に示すように、これらの各フランジ部42d,42eは、ボルト48およびウエルドナット49を用いて、ヒンジピラーアウタ2の座面2a,2bに締結固定される。
【0095】
上述のウエルドナット49はヒンジピラーアウタ2の車幅方向内側面に予め溶接固定されている。
【0096】
さらに、
図9に示すように、車体側ヒンジブラケット42の縦壁42aには、中間部材45着脱用のボルト50を取付けるためのボルト挿通孔42fが形成されており、このボルト挿通孔42fと一致するように縦壁42aの前面にはウエルドナット51が設けられている。
【0097】
図9に示すように、ドア側ヒンジブラケット43は、上下方向に延びる縦壁43aと、上壁43bと、下壁43cと、複数のフランジ部43d,43eと、を一体に折曲げ形成したものである。
【0098】
ここで、上述の縦壁43aの上端には、当該上端から車幅方向内側かつ後方に延びる上壁43bを一体形成し、縦壁43aの下端には、当該下端から車幅方向内側かつ後方に延びる下壁43cを一体形成している。また、上壁43bの後端には、当該後端から上方に延びる上側のフランジ部43dを一体形成すると共に、下壁43cの後端には、当該後端から下方に延びる下側のフランジ部43eを一体形成している。
【0099】
図9に示すように、上述の上下の各フランジ部43d,43eにはボルト挿通孔52がそれぞれ形成されており、
図10に示すように、これらの各フランジ部43d,43eは、ボルト53およびウエルドナット54を用いて、サイドドア3の前端としての縦枠部7の取付け座7aとヒンジレインフォースメント12とに共締め固定されている。上述のウエルドナット54はヒンジレインフォースメント12の背面に予め溶接固定されている。
【0100】
図9、
図11に示すように、ドア側ヒンジブラケット43の上壁43bおよび下壁43cには、ヒンジピン44を取付けるためのピン孔55,55が上下方向に一致するように開口形成されている。
【0101】
図9に示すように、上述の中間部材45はヒンジピン44を挿通するために車両上下方向に延びるピン孔45aを備えている。また、中間部材45の当該ピン孔45aとオフセットした位置には、
図10に示すように、中間部材45と車体側ヒンジブラケット42との着脱を図るボルト50取付け用の取付け孔45bが形成されている。
【0102】
図11に示すように、上述のヒンジピン44は、その軸部44aの下端に鍔部44bを備えている。このヒンジピン44は、ドア側ヒンジブラケット43の下壁43cにおけるピン孔55から中間部材45のピン孔45aを介してドア側ヒンジブラケット43の上壁43bにおけるピン孔55に貫通配置し、上壁43bのピン孔55から上方に突出した軸部44a上端をかしめて、かしめ部44cを形成し、当該かしめ部44cにより抜け止めを図っている。
【0103】
但し、
図11に示すように、ヒンジピン44の軸部44a外周と、中間部材45のピン孔45a内周との間には、下端に鍔部56aを備えた下部筒部材56と、上端に鍔部57aを備えた上部筒部材57と、が介設されている。
【0104】
下側の鍔部56aはドア側ヒンジブラケット43の下壁43c上面に当接する一方、上側の鍔部57aはドア側ヒンジブラケット43の上壁43b下面に当接している。
【0105】
また、ドア側ヒンジブラケット43の上壁43bは、車体側ヒンジブラケット42の上壁42bに対して上側に位置しており、ドア側ヒンジブラケット43の下壁43cは、車体側ヒンジブラケット42の下壁42cに対して下側に位置している。
【0106】
ここで、上述の上部筒部材57および下部筒部材56の表裏全面には4フッ化エチレン樹脂(いわゆるPTFE)の表面コーティング加工が施されており、これによりベアリング機能を確保するように構成している。
【0107】
図8~
図11に示すように、上述の中間部材45はヒンジピン44を介してドア側ヒンジブラケット43に軸支されると共に、車体側ヒンジブラケット42に対してボルト50を用いて着脱可能に締結されるように構成している。
【0108】
上述の上部ヒンジUHと下部ヒンジLHとのヒンジピン44における軸芯線は上下方向に一致しており、かつ当該軸芯線はサイドドア3の鉛直方向に対して、その上方が下方よりも車両前方に位置するように若干前傾している。
【0109】
図8に示すように、上述の上部ヒンジUHおよび下部ヒンジLHは、何れも、上記構成の車体側ヒンジブラケット42と、ドア側ヒンジブラケット43と、ヒンジピン44と、中間部材45とを備えており、上述の連結パイプ41はヒンジピン44の近傍位置において上部ヒンジUHと下部ヒンジLHとを上下方向に連結するものである。
【0110】
図10に示すように、ヒンジピン44を中心としてサイドドア3を約60度開放した状態下では、ウエルドナット51およびボルト挿通孔42fの軸芯線は、車両前後方向に指向する。
【0111】
そこで、
図10に示すように、ヒンジピラーアウタ2に対してサイドドア3が上述の如く開放された状態下において、同図の矢印c方向(車両真後ろから前方に向く方向)から操作されるボルト50をウエルドナット51に螺合して、中間部材45と車体側ヒンジブラケット42の縦壁42aとを締結固定すると、サイドドア3の車体への組立て作業を行なうことができる。
【0112】
サイドドア3を車体から取外す場合には、
図12に示すように、ボルト50を同図の矢印d方向(車両の真後ろ方向)に引抜くと、車体側ヒンジブラケット42と、中間部材45との締結が解除されるので、ヒンジピン44を引抜くことなく、サイドドア3を後方に取外すことができる。
【0113】
このように、
図7~
図12で示した実施例2の車両のサイドドアヒンジ構造は、ヒンジピラー1に対して上下方向に離間して取付けられる上下一対の車体側ヒンジブラケット42と、サイドドア3の前端に上下方向に離間して取付けられる上下一対のドア側ヒンジブラケット43と、一端が上記ドア側ヒンジブラケット43および上記車体側ヒンジブラケット42のうちの何れか一方(実施例2ではドア側ヒンジブラケット43)に対しヒンジピン44を介して回動可能に軸支され、他端が上記ドア側ヒンジブラケット43および上記車体側ヒンジブラケット42のうちの何れか他方(実施例2では車体側ヒンジブラケット42)に対し上記サイドドア3の内側方向(実施例2では車両真後ろ方向)から締結固定可能な中間部材45と、を備えたものである(
図7~
図9参照)。
【0114】
この構成によれば、他方のヒンジブラケット(車体側ヒンジブラケット42)と中間部材45との締結固定を解除すると、一方のヒンジブラケット(ドア側ヒンジブラケット43)に固定されたヒンジピン44を引き抜くことなく、車体側ヒンジブラケット42からドア側ヒンジブラケット43を取外すことができる。
【0115】
このように、上記ヒンジピン44を抜き差しすることなく、車体側ヒンジブラケット42とドア側ヒンジブラケット43とを分離することができ、ヒンジピン44に影響を与えることなく、車体に対してサイドドア3の着脱を行なうことができる。
【0116】
また、上記ヒンジピン44は一方のヒンジブラケット(ドア側ヒンジブラケット43)に対して抜き差し不要に固定されるので、ヒンジピン44と当該ヒンジブラケット43との間にはクリアランスを設ける必要がなく、サイドドア3のヒンジピン44部位におけるがたつきを抑制することができる。
【0117】
また、上記実施例2においては、上記中間部材45は上記ヒンジピン44を介して上記ドア側ヒンジブラケット43に軸支されると共に、上記車体側ヒンジブラケット42に締結固定されるものである(
図9、
図10参照)。
【0118】
この構成によれば、軸支部としての上記ヒンジピン44によりドア側ヒンジブラケット43の剛性(いわゆるヒンジ剛性)の向上を図ることができると共に、上記中間部材45の締結位置を、サイドドア3と車体であるヒンジピラー1との中間部付近に配置でき、これにより、サイドドア3の組付け作業性の向上を図ることができる。
【0119】
さらに、上記実施例2においては、上記車体側ヒンジブラケット42と、上記ドア側ヒンジブラケット43と、上記ヒンジピン44と、上記中間部材45とを有する上部ヒンジUHおよび下部ヒンジLHを設け、上記ヒンジピン44の近傍位置において上記上部ヒンジUHと上記下部ヒンジLHとを上下方向に連結する連結部材(連結パイプ41)を備えたものである(
図8、
図9参照)。
【0120】
この構成によれば、上記連結部材(連結パイプ41)により上部ヒンジUH、下部ヒンジLHの剛性を向上させることができると共に、上記連結部材(連結パイプ41)と干渉することなく、車体側ヒンジブラケット42に対してドア側ヒンジブラケット43の着脱を行なうことができ、車体に対してサイドドア3の脱着作業ができる。
【0121】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の連結部材は、実施例1の連結パイプ21、実施例2の連結パイプ41に対応し、
上側フランジ部は、上側のフランジ部23dに対応し、
下側フランジ部は、下側のフランジ部23eに対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0122】
例えば、上記各実施例1,2においては、上部ヒンジUHと下部ヒンジLHとを車両上下方向に連結する連結パイプ21,41を設けたが、当該連結パイプ21,41が存在しない構成においても、車両のサイドドアヒンジ構造が成立するので、この連結パイプ21,41は必須ではない。
【産業上の利用可能性】
【0123】
以上説明したように、本発明は、車体側ヒンジブラケットと、ドア側ヒンジブラケットと、ヒンジピンと、を備えたような車両のサイドドア構造について有用である。
【符号の説明】
【0124】
1…ヒンジピラー
3…サイドドア
21…連結パイプ(連結部材)
22…車体側ヒンジブラケット
22b…車体側ヒンジブラケットの上壁
22c…車体側ヒンジブラケットの下壁
23…ドア側ヒンジブラケット
23a…ドア側ヒンジブラケットの縦壁
23b…ドア側ヒンジブラケットの上壁
23c…ドア側ヒンジブラケットの下壁
23d…ドア側ヒンジブラケットの上側フランジ部
23e…ドア側ヒンジブラケットの下側フランジ部
24…ヒンジピン
25…中間部材
41…連結パイプ(連結部材)
42…車体側ヒンジブラケット
43…ドア側ヒンジブラケット
44…ヒンジピン
45…中間部材
UH…上部ヒンジ
LH…下部ヒンジ