IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 沖電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-光反射測定装置 図1
  • 特許-光反射測定装置 図2
  • 特許-光反射測定装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】光反射測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/21 20060101AFI20240514BHJP
   G01N 21/45 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
G01N21/21 Z
G01N21/45 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020145538
(22)【出願日】2020-08-31
(65)【公開番号】P2022040706
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 陵沢
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 慧輔
【審査官】嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-265834(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0213103(US,A1)
【文献】特開2000-097856(JP,A)
【文献】特開2002-277387(JP,A)
【文献】特開2001-330558(JP,A)
【文献】特開2003-254901(JP,A)
【文献】特開平09-021746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/61
G01B 11/00-G01B 11/30
G01M 11/00-G01M 11/08
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の反射レベルを測定する光反射測定装置であって、
前記測定対象が設けられ、前記測定対象に対する光が通過する測定対象光路と、
前記測定対象に対する反射レベルを測定する際に参照される光が通過する参照光路と、
前記測定対象光路内において前記測定対象で反射した反射光、および、前記参照光路内を通過した参照光が入力され、入力された前記反射光および前記参照光を、偏光状態が直交する2つの光に分離させる分離手段と、
前記分離手段から出力された2つの光をそれぞれ電気信号に変換する変換手段と、
2つの前記電気信号に対して、それぞれ独立して干渉の有無を検出するためのバンドパスフィルタを通過した電気信号を合成する合成手段と
通過する前記光の偏光方向を予め設定された角度だけ回転させる、前記参照光路上に設置されるファラデー回転子と、を備え、
前記分離手段は、前記参照光を略等分して前記2つの光に含まれるように分離させることを特徴とする光反射測定装置。
【請求項2】
前記参照光路は、前記参照される光を反射するミラーを有し、
前記ファラデー回転子と前記ミラーの間ではない前記参照光路上に可変遅延器を備えることを特徴とする請求項1に記載の光反射測定装置。
【請求項3】
前記参照光路は、前記参照される光を反射するミラーを有し、
前記ファラデー回転子と前記ミラーの間ではない前記参照光路上に位相変調器を備えることを特徴とする請求項1に記載の光反射測定装置。
【請求項4】
測定対象の反射レベルを測定する光反射測定装置であって、
前記測定対象が設けられ、前記測定対象に対する光が通過する測定対象光路と、
前記測定対象に対する反射レベルを測定する際に参照される光が通過する参照光路と、
前記測定対象光路内において前記測定対象で反射した反射光、および、前記参照光路内を通過した参照光が入力され、入力された前記反射光および前記参照光を電気信号に変換する変換手段と、
前記測定対象光路または前記参照光路に設けられ、前記測定対象で反射した前記反射光または前記参照光の位相を周期的に変調する位相変調器と、
前記参照光の位相を変調した際の周波数の整数倍の成分を抽出して演算する乗算処理部とを備える
ことを特徴とす光反射測定装置。
【請求項5】
前記乗算処理部は、
前記参照光の位相を変調した際の周波数の偶数倍の周波数成分と、奇数倍の周波数成分とを抽出する
ことを特徴とする請求項4に記載の光反射測定装置。
【請求項6】
前記乗算処理部は、
前記参照光の位相を変調した際の周波数の3倍以上の成分を抽出して演算する
ことを特徴とする請求項4または5に記載の光反射測定装置。
【請求項7】
前記乗算処理部は、
予め設定された遮断周波数よりも大きい周波数成分を遮断するローパスフィルタを有し、
前記位相変調器は、
前記変換手段に接続された前記ローパスフィルタの出力に含まれる、前記光の位相変化に伴って変動する成分を抑制するように、前記位相の変調度合いを調整する
ことを特徴とする請求項4~6のいずれか一項に記載の光反射測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象の反射レベルを測定する光反射測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学機器内部の反射分布を検査する際には、光反射測定装置が用いられている(例えば、非特許文献1参照)。非特許文献1に記載の光反射測定装置では、光源から出力された光が光カプラで分岐され、測定対象を有する測定対象アームと、偏光調節器および可変遅延器を有する参照アームとに入力される。可変遅延器には、光の伝搬距離を、モーターなどによって予め定めた一定の速度で変化させることができるものが用いられる。それぞれのアームに入力された光は、反射して光カプラに戻り、O/E(Optical/Electronic)変換器で電気信号に変換される。変換された電気信号は、BPF(バンドパスフィルタ)、整流器およびLPF(ローパスフィルタ)を通過して表示器に入力され、LPFからの出力レベルが表示される。
【0003】
このとき、O/E変換器に入力される測定対象アームにおける光と参照アームにおける光との往復伝搬時間が近くなると、それぞれのアームからの光が干渉し、光の強度が変化する。そして、それぞれのアームで反射した光の往復伝搬時間が等しくなる場合に、干渉による強度変化が最大となる。この強度変化は、可変遅延器の光源の波長と可変遅延器での遅延時間変化速度とで決まる周波数の正弦波状の強度変化となる。強度変化が最大となったときの振幅は、測定対象アーム内の反射レベルに対応するため、このときの振幅を測定することにより、測定対象の反射レベルを知ることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】F. Lindgren, R. Gianotti, R. Walti, R. P. Salathe, A. Haas, M. Nussberger, M. L. Schmatz, and W. Bachtold, “78-dB Shot-Noise Limited Optical Low-Coherence Reflectometry at 42-m/s Scan Speed”, IEEE PHOTONICS TECHNOLOGY LETTERS, VOL. 9, NO. 12, DECEMBER 1997
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、可変遅延器の遅延時間を予め定めた一定の速度で変化させなければ、正弦波状の強度変化の周波数がBPFを通過しなくなり、反射レベルを測定できなくなるため、可変遅延器を一定速度で走査することになる。しかしながら、非特許文献1に記載の光反射測定装置では、測定対象アームを伝搬した光と、参照アームを伝搬した光とにおける偏光状態が一致していない場合に、干渉による振幅が低下する。そのため、振幅が最大となるまで、参照アームに設けられた偏光調節器で偏光状態を変えながら可変遅延器の走査を繰り返す必要があり、測定に時間がかかるという課題があった。また、測定対象の反射レベルが可変遅延器の走査の繰り返し周期より早く変動する場合には、正確に測定を行うことが困難になるという課題があった。
【0006】
そこで、測定時間の長大化を抑制し、測定対象の反射レベルが変動する場合でも、反射レベルを正確に測定することができる光反射測定装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光反射測定装置は、測定対象の反射レベルを測定する光反射測定装置であって、前記測定対象が設けられ、前記測定対象に対する光が通過する測定対象光路と、前記測定対象に対する反射レベルを測定する際に参照される光が通過する参照光路と、前記測定対象光路内において前記測定対象で反射した反射光、および、前記参照光路内を通過した参照光が入力され、入力された前記反射光および前記参照光を、偏光状態が直交する2つの光に分離させる分離手段と、前記分離手段から出力された2つの光をそれぞれ電気信号に変換する変換手段と、2つの前記電気信号に対して、それぞれ独立して干渉の有無を検出するためのバンドパスフィルタを通過した電気信号を合成する合成手段と、通過する前記光の偏光方向を予め設定された角度だけ回転させる、前記参照光路上に設置されるファラデー回転子と、を備え、前記分離手段は、前記参照光を略等分して前記2つの光に含まれるように分離させるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、測定時間の長大化を抑制し、測定対象の反射レベルが変動する場合でも、反射レベルを正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る光反射測定装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】従来の光反射測定装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3】実施の形態2に係る光反射測定装置の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一のまたはこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。
【0011】
実施の形態1.
本実施の形態1に係る光反射測定装置について説明する。本実施の形態1に係る光反射測定装置は、光源から出力された光が測定対象で反射した際の、測定対象の反射レベルを測定するものである。
【0012】
[光反射測定装置1の構成]
図1は、本実施の形態1に係る光反射測定装置の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、光反射測定装置1は、光源11、光カプラ12、可変遅延器13、ファラデー回転子14、ミラー15、偏光ビームスプリッタ16、O/E変換器17aおよび17b、バンドパスフィルタ(以下、「BPF」と適宜称する)18aおよび18b、整流器19aおよび19b、ローパスフィルタ(以下、「LPF」と適宜称する)20aおよび20b、加算器21、ならびに、表示器22を備えている。
【0013】
光源11は、予め設定された偏光状態の光を出力する。図1に示す例では、光源11は、X軸に平行な直線偏光を出力する。光源11としては、例えば、可干渉性が低い(低コヒーレンスな)光源が用いられる。より具体的には、光源11として、例えばSLD(Super Luminescent Diode)が用いられる。なお、光源11としては、この例に限られず、例えば、エルビウムドープファイバの自然放出光が用いられるなど、他の光源が用いられてもよい。
【0014】
光カプラ12は、複数の端子が設けられ、1つの端子に入力された光を2つに分岐して出力するとともに、複数の端子に入力された光を1つの端子から出力する。本実施の形態1において、光カプラ12には、それぞれの端子に光源11と、測定対象アームと、参照アームと、偏光ビームスプリッタ16とが接続されている。
【0015】
光カプラ12は、光源11から入力される光を2つに分岐させ、一方の光を測定対象アーム側に出力し、他方の光を参照アーム側に出力する。また、光カプラ12は、測定対象アーム側から入力された光と、参照アーム側から入力された光とのそれぞれを、偏光ビームスプリッタ16に対して出力する。
【0016】
測定対象アームには、測定対象2が設けられている。測定対象アームは、入力された光が測定対象2に入力されるように構成された、測定対象2に対する光が通過する測定対象光路である。測定対象2に反射点が存在する場合、測定対象2に入力された光が反射点で反射し、反射光として光カプラ12に戻る。
【0017】
参照アームには、可変遅延器13、ファラデー回転子14およびミラー15が設けられている。参照アームは、測定対象2の反射レベルを測定する際に参照される光が通過する参照光路である。参照アームでは、入力された光が、可変遅延器13およびファラデー回転子14を通過した後にミラー15で反射し、ファラデー回転子14および可変遅延器13を通過して、参照光として光カプラ12に戻る。
【0018】
可変遅延器13は、入力された光を予め設定された遅延時間だけ遅延させて出力する。ファラデー回転子14は、入力された光の偏光方向を予め設定された角度だけ回転させて出力する。本実施の形態1において、ファラデー回転子14は、偏光面が光の往復によって90°程度回転するように設定される。ミラー15は、入力された光を反射させて出力する。
【0019】
偏光ビームスプリッタ16は、入力された光を偏光状態が直交する2つの成分に分離して出力する分離手段である。本実施の形態1において、偏光ビームスプリッタ16は、光カプラ12から光が入力される。偏光ビームスプリッタ16では、光カプラ12から入力された光が2つの成分に分離された際に、出力が一方に偏ることがないように、取り付け角度が設定される。
【0020】
例えば、光源11から出力される光がX軸に平行な直線偏光である場合、参照アームを往復して光カプラ12から偏光ビームスプリッタ16に向かう光は、Y軸に平行な直線偏光となる。この場合、偏光ビームスプリッタ16の取り付け角度は、X軸とY軸との中間の45°近傍に設定される。
【0021】
また、偏波保持ファイバを用いた光カプラ12と、偏波保持ファイバの遅軸および速軸を分離するように作られた偏光ビームスプリッタ16とを用いる場合は、光カプラ12の出力の遅軸または速軸と、偏光ビームスプリッタ16の入力の遅軸または速軸とのなす角度が45°近傍になるように、光カプラ12と偏光ビームスプリッタ16とを接続する。
【0022】
O/E変換器17aおよび17bは、入力された光である光信号を電気信号に変換して出力する変換手段である。BPF18aおよび18bは、入力された電気信号から予め設定された周波数成分を抽出して出力する。整流器19aおよび19bは、入力された電気信号を整流する。LPF20aおよび20bは、入力された電気信号からノイズ等の不要な高周波成分(遮断周波数よりも高い周波数成分)を除去して出力する。
【0023】
加算器21は、入力された複数の電気信号を加算して出力する合成手段である。本実施の形態1において、加算器21は、LPF20aおよび20bから出力された2つの電気信号を加算して出力する。
【0024】
表示器22は、入力された信号の出力レベルを反射レベルとして表示する。また、表示器22は、可変遅延器13が接続され、可変遅延器13で設定された遅延時間を表示する。
【0025】
[光反射測定装置1の動作]
本実施の形態1に係る光反射測定装置1の動作について説明する。ここではまず、本実施の形態1に係る光反射測定装置1の動作の理解を容易とするため、従来の光反射測定装置の構成および動作について説明する。
【0026】
(従来の光反射測定装置100の構成)
図2は、従来の光反射測定装置の構成の一例を示すブロック図である。なお、図1に示す光反射測定装置1と共通する箇所については、同一の符号を付し、説明を省略する。図2に示すように、光反射測定装置100は、光源11、光カプラ12、偏光調節器101、可変遅延器13、ミラー15、O/E変換器17、BPF18、整流器19、LPF20および表示器22を備えている。
【0027】
図2の光カプラ12には、それぞれの端子に光源11と、測定対象アームと、参照アームと、O/E変換器17とが接続されている。光カプラ12は、光源11から入力される光を2つに分岐させ、一方の光を測定対象2が設けられた測定対象アーム側に出力し、他方の光を参照アーム側に出力する。また、光カプラ12は、測定対象アーム側から入力された光と、参照アーム側から入力された光とのそれぞれを、O/E変換器17に対して出力する。
【0028】
参照アーム側には、偏光調節器101、可変遅延器13およびミラー15が設けられている。参照アームでは、入力された光が、偏光調節器101および可変遅延器13を通過した後にミラー15で反射し、可変遅延器13および偏光調節器101を通過して戻るように構成されている。偏光調節器101は、入力された光の偏光状態を調節する。
【0029】
(従来の光反射測定装置100の動作)
従来の光反射測定装置100の動作について、図2を参照して説明する。光源11から出力された光は、光カプラ12に入力される。光カプラ12に入力された光は、2つの光に分岐し、一方の光が、測定対象2が設けられた測定対象アームに入力され、他方の光が、測定対象2が設けられていない参照アームに入力される。
【0030】
測定対象アームに入力された光は、測定対象2の反射点で反射して光カプラ12に戻る。一方、参照アームに入力された光は、ミラー15で反射して光カプラ12に戻る。このとき、光カプラ12から出力された光は、参照アームを往復する際に、偏光調節器101によって偏光状態が調節されるとともに、可変遅延器13によって予め設定された遅延時間だけ遅延した状態で、光カプラ12に戻る。
【0031】
光カプラ12に戻った光は、O/E変換器17に入力され、光信号から電気信号に変換されて出力される。O/E変換器17から出力された電気信号は、BPF18、整流器19およびLPF20を通過して表示器22に入力される。そして、表示器22には、可変遅延器13で設定された遅延時間に応じた出力レベルが表示される。
【0032】
ここで、測定対象アームにおける光の往復伝搬時間と、参照アームにおける往復伝搬時間とが近づくと、それぞれのアームからの光が干渉して強度が変化する。そして、それぞれのアームからの光の往復伝搬時間が等しくなった場合に、干渉による強度変化が最大となる。
【0033】
(従来の課題)
ところで、測定対象アームを伝搬した光と、参照アームを伝搬した光との偏光状態が一致していない場合には、干渉による振幅が低下してしまう。そのため、測定対象2による光の出力レベルを測定する場合には、振幅が最大となるように偏光調節器101で偏光状態を調節しながら測定を繰り返す必要がある。したがって、従来の光反射測定装置100では、振幅の測定に時間がかかってしまう。また、測定対象2の反射レベルが変動する場合には、振幅を正確に測定することが困難となる。
【0034】
そこで、本実施の形態1に係る光反射測定装置1では、参照アームを伝搬する光の偏光状態を調節することなく、測定対象2の反射レベルを簡単かつ正確に測定できるようにする。
【0035】
(光反射測定装置1の動作)
次に、本実施の形態1に係る光反射測定装置1の動作について、図1を参照して説明する。光源11から出力された光は、光カプラ12に入力される。光カプラ12に入力された光は、2つの光に分岐し、一方の光が、測定対象2が設けられた測定対象アームに入力され、他方の光が、測定対象2が設けられていない参照アームに入力される。
【0036】
測定対象アームに入力された光は、測定対象2の反射点で反射して光カプラ12に戻る。一方、参照アームに入力された光は、ミラー15で反射して光カプラ12に戻る。このとき、光カプラ12から出力された光は、参照アームを往復する際に、可変遅延器13によって予め設定された遅延時間だけ遅延した状態とされるとともに、ファラデー回転子14によって偏光状態が90°回転した状態で、光カプラ12に戻る。
【0037】
光カプラ12に戻った光は、偏光ビームスプリッタ16で直交する2つの成分に分離され、一方の光がO/E変換器17aに入力され、他方の光がO/E変換器17bに入力される。O/E変換器17aおよび17bに入力されたそれぞれの光は、光信号から電気信号に変換されて出力される。
【0038】
O/E変換器17aから出力された電気信号は、BPF18a、整流器19aおよびLPF20aを通過して加算器21に入力される。また、O/E変換器17bから出力された電気信号は、BPF18b、整流器19bおよびLPF20bを通過して加算器21に入力される。
【0039】
加算器21に入力された2つの電気信号は加算され、表示器22に入力される。そして、表示器22には、可変遅延器13で設定された遅延時間に応じた出力レベルが表示される。
【0040】
ここで、参照アームを伝搬する光は、ファラデー回転子14で偏光状態が90°回転する。すなわち、光カプラ12からミラー15までX軸を伝搬した光の成分は、ミラー15から光カプラ12までY軸を戻る。また、光カプラ12からミラー15までY軸を伝搬した光の成分は、ミラー15から光カプラ12までX軸を戻る。
【0041】
このときの光の偏光状態は、X軸を伝搬した成分とY軸を伝搬した成分との振幅および位相の違いで変化するが、ファラデー回転子14によって90°回転する。そのため、光カプラ12に戻った光は、伝搬途中の偏光状態の変化が補償され、偏光ビームスプリッタ16に入力する光の偏光状態は安定する。偏光ビームスプリッタ16に入力された光は、直交する2成分に分離されるが、本実施の形態1では、参照アームを経由した光が一方の出力だけに偏ることのないように、偏光ビームスプリッタ16が取り付けられている。そのため、偏光ビームスプリッタ16から出力される2つの光は、同等のレベルで出力される。
【0042】
また、測定対象2の反射点で反射して偏光ビームスプリッタ16に入力した光は、偏光ビームスプリッタ16で直交する2成分に分離され、それぞれが参照アームを伝搬した光と干渉する。測定対象2の反射点で反射し、偏光ビームスプリッタ16に入力した光の偏光状態は、反射点の特性および伝搬途中の複屈折性などの影響を受けるため、一定にはならない。
【0043】
しかしながら、本実施の形態1では、偏光ビームスプリッタ16で直交する2成分に分離された、測定対象アームを伝搬した光のそれぞれが参照アームを伝搬した光と干渉する。そして、偏光ビームスプリッタ16で干渉して得られたそれぞれの光に対応する電気信号が加算器21で加算され、測定対象2での反射強度に応じた出力レベルが表示器22に表示される。
【0044】
これにより、従来のように、偏光調節器を調節しながら可変遅延器を走査させる測定を繰り返す必要がないため、測定対象2から反射した光の偏光状態によらず、安定した出力レベルの測定を行うことができる。
【0045】
なお、図1に示す例では、光源11からX軸に平行な直線偏光の光が出力される場合について説明したが、これに限られず、円偏光の光が出力される光源が用いられてもよい。円偏光の光が出力される光源が用いられる場合、参照アームを往復して偏光ビームスプリッタ16に入力する光も円偏光となるため、偏光ビームスプリッタ16では、取り付け角度に関係なく2つの出力が等分される。したがって、円偏光の光が出力される光源11が用いられる場合には、偏光ビームスプリッタ16の取り付け角度を調節する必要がない。
【0046】
また、光源11から光カプラ12の間と、光カプラ12から偏光ビームスプリッタ16の間とで偏光状態が変化すると、偏光ビームスプリッタ16の適切な取り付け角が変化する。そのため、光ファイバを用いる場合には、偏光状態が変化しないように固定する、あるいは、偏波保持ファイバを用いる必要がある。
【0047】
以上のように、本実施の形態1に係る光反射測定装置1では、測定対象アーム側の反射光と、参照アーム側の参照光とを、偏光状態が直交する2つの光に分離し、分離された2つの光を電気信号に変換した後に合成して反射レベルとして表示する。これにより、分離された2つの反射光のそれぞれが、偏光状態が安定した参照光と干渉し、それぞれが電気信号に変換されて合成される。そのため、測定時間の長大化を抑制し、測定対象2の反射レベルが変動する場合でも、反射レベルを正確に測定することができる。
【0048】
実施の形態2.
次に、本実施の形態2について説明する。従来の光反射測定装置では、可変遅延器の遅延時間を一定速度で変化させた場合に、変化速度と、光源からの出力光の波長で決定される周波数とで、干渉光の強度が変化する。したがって、表示器に可変遅延器の遅延時間とLPFからの出力レベルとを表示させることにより、測定対象内の反射分布を測定することができる。
【0049】
ここで、従来の光反射測定装置では、一定速度で遅延時間を変化させなければ反射レベルを測定できないため、測定対象の反射レベルが変化する場合には、可変遅延器を繰り返し走査する必要がある。しかしながら、この繰り返し周期よりも短い時間で反射レベルが変化する場合には、正しく測定できなくなる。そこで、本実施の形態2では、一定速度で遅延時間を変化させることなく、測定対象の反射レベルを測定できるようにする。
【0050】
[光反射測定装置50の構成]
図3は、本実施の形態2に係る光反射測定装置の構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、光反射測定装置50は、光源11、ハーフミラー51、可変遅延器13、位相変調器52、ファラデー回転子14、ミラー15、偏光ビームスプリッタ16、O/E変換器17aおよび17b、乗算処理部60aおよび60b、演算器53、表示器22および出力端54を備えている。なお、本実施の形態2において、実施の形態1と共通する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0051】
ハーフミラー51は、光源11から入力される光の一部を反射させて測定対象アーム側に出力するとともに、残りを透過させて参照アーム側に出力する。また、ハーフミラー51は、参照アーム側から入力された光を反射させるとともに、測定対象アーム側から入力された光を透過させ、それぞれの光を偏光ビームスプリッタ16に対して出力する。
【0052】
本実施の形態2において、参照アームには、可変遅延器13、位相変調器52、ファラデー回転子14およびミラー15が設けられている。参照アームでは、入力された光が可変遅延器13、位相変調器52およびファラデー回転子14を通過した後にミラー15で反射し、ファラデー回転子14、位相変調器52および可変遅延器13を通過して戻るように構成されている。
【0053】
位相変調器52は、変調信号発生器71が接続され、入力された光を変調信号発生器71から出力される変調信号で位相変調して出力する。本実施の形態2における変調信号は、角周波数をωとした場合に「Vcosωt」で表され、位相変調器52は、参照アームを往復した光を、角周波数ωであり、位相変調度Cの余弦波で周期的に変調する。
【0054】
位相変調器52は、位相変調度Cが「2.4」、「5.5」または「8.7」などの1種0次のベッセル関数が0になる数に近い値となるように、形状および入力振幅Vが調整される。以下の説明では、位相変調度Cが「5.5」となるように、位相変調器52が調整される場合について説明するものとする。
【0055】
O/E変換器17aは、入力された光である光信号を電気信号Iに変換して出力する。また、O/E変換器17bは、入力された光である光信号を電気信号Iに変換して出力する。
【0056】
乗算処理部60aおよび60bは、第1参照信号を出力する第1参照信号発生器72と、第2参照信号を出力する第2参照信号発生器73とが接続されている。第1参照信号は、角周波数5ωの余弦波であり、「-(1/J(5.5))cos5ωt」で表される。第2参照信号は、角周波数4ωの余弦波であり、「(1/J(5.5))cos4ωt」で表される。
【0057】
乗算処理部60aは、乗算器61a5および61a4と、LPF62a5、62a4および62a0とを有している。乗算処理部60aは、乗算器61a5で電気信号Iと第1参照信号とを乗算し、LPF62a5を通過させて出力値Xasを出力する。また、乗算処理部60aは、乗算器61a4で電気信号Iと第2参照信号とを乗算し、LPF62a4を通過させて出力値Xacを出力する。さらに、乗算処理部60aは、電気信号IをLPF62a4に通過させて出力値Xa0を出力する。
【0058】
乗算処理部60bは、乗算器61b5および61b4と、LPF62b5、62b4および62b0とを有している。乗算処理部60bは、乗算器61b5で電気信号Iと第1参照信号とを乗算し、LPF62b5を通過させて出力値Xbsを出力する。また、乗算処理部60bは、乗算器61b4で電気信号Iと第2参照信号とを乗算し、LPF62b4を通過させて出力値Xbcを出力する。さらに、乗算処理部60bは、電気信号IをLPF62b4に通過させて出力値Xb0を出力する。
【0059】
なお、このときのLPF62a5、62a4、62a0、62b5、62b4および62b0のそれぞれの遮断周波数は、「ω/2」以下とする。
【0060】
演算器53は、乗算処理部60aおよび60bから入力された6つの出力値Xas、Xac、Xa0、Xbs、XbcおよびXb0に基づき、光の反射レベルを出力する合成手段である。演算器53の具体的な演算については、後述する。演算器53から出力された反射レベルは、表示器22および出力端54に入力される。
【0061】
表示器22は、演算器53で演算された光の反射レベルを表示する。実施の形態1と同様に反射分布を測定する場合、表示器22は、可変遅延器13で設定された遅延時間に対応した測定対象2内の位置と、演算器53から入力された反射レベルとに基づき、反射分布を表示する。また、特定の位置での反射レベルの時間変化を連続して観測する場合は、可変遅延器13の遅延時間を測定したい位置に対応した値に合わせ、演算器53の出力を観測できるようにするとよい。
【0062】
[光反射測定装置50の動作]
次に、本実施の形態2に係る光反射測定装置50の動作について、図3を参照して説明する。光源11から出力された光は、ハーフミラー51に入力される。ハーフミラー51に入力された光は、反射および透過し、反射した光が、測定対象2が設けられた測定対象アームに入力され、透過した光が、測定対象2が設けられていない参照アームに入力される。
【0063】
測定対象アームに入力された光は、測定対象2の反射点で反射してハーフミラー51に戻る。一方、参照アームに入力された光は、ミラー15で反射してハーフミラー51に戻る。このとき、ハーフミラー51を透過した光は、参照アームを往復する際に、可変遅延器13によって予め設定された遅延時間だけ遅延した状態とされ、位相変調器52によって位相変調されるとともに、ファラデー回転子14によって偏光状態が90°回転した状態で、ハーフミラー51に戻る。
【0064】
ハーフミラー51に戻った光は、偏光ビームスプリッタ16で直交する2つの成分に分離される。偏光ビームスプリッタ16で分離された2つの光のうち、一方の光がO/E変換器17aに入力され、他方の光がO/E変換器17bに入力される。
【0065】
ここで、参照アームを伝搬する光は、ファラデー回転子14で偏光状態が90°回転する。すなわち、ハーフミラー51からミラー15までX軸を伝搬した光の成分は、ミラー15からハーフミラー51までY軸を戻る。また、ハーフミラー51からミラー15までY軸を伝搬した光の成分は、ミラー15からハーフミラー51までX軸を戻る。
【0066】
このときの光の偏光状態は、X軸を伝搬した成分とY軸を伝搬した成分との振幅および位相の違いで変化するが、ファラデー回転子14によって90°回転する。そのため、ハーフミラー51に戻った光は、伝搬途中の偏光状態の変化が補償され、偏光ビームスプリッタ16に入力する光の偏光状態は安定する。偏光ビームスプリッタ16に入力された光は、直交する2成分に分離されるが、本実施の形態2では、実施の形態1と同様に、参照アームを経由した光が一方の出力だけに偏ることのないように、偏光ビームスプリッタ16が取り付けられている。そのため、偏光ビームスプリッタ16から出力される2つの光は、同等のレベルで出力される。
【0067】
また、測定対象2の反射点で反射して偏光ビームスプリッタ16に入力した光は、偏光ビームスプリッタ16で直交する2成分に分離され、それぞれが参照アームを伝搬した光と干渉する。そして、干渉した光がO/E変換器17aおよび17bに入力される。
【0068】
O/E変換器17aに入力された光は、光信号から電気信号Iに変換されて出力される。また、O/E変換器17bに入力された光は、光信号から電気信号Iに変換されて出力される。
【0069】
参照アームでの往復伝搬時間と同一の伝搬時間となる測定対象2内の位置に反射点が存在する場合、電気信号IおよびIは、それぞれ式(1)および式(2)で表される。
式(1)および式(2)において、AおよびAは干渉の有無にかかわらない一定の直流成分を示し、BおよびBは干渉出力の振幅を示す。また、φは干渉する2つの光の位相差であり、O/E変換器17aおよび17bから出力される干渉出力の位相差を示す。
【0070】
【数1】
【0071】
【数2】
【0072】
式(1)および式(2)において、第2項は角周波数ωの整数倍の成分の和で表される。そして、角周波数ωの奇数倍の項はsinφに比例し、角周波数ωの偶数倍の項はcosφに比例する。
【0073】
O/E変換器17aから出力された電気信号Iは、乗算処理部60aに入力される。乗算処理部60aでは、乗算器61a5で電気信号Iと第1参照信号とが乗算された後、LPF62a5を介して出力値Xasが出力され、乗算器61a4で電気信号Iと第2参照信号とが乗算された後、LPF62a4を介して出力値Xacが出力される。また、乗算処理部60aでは、電気信号IがLPF62a0を通過した後、出力値Xa0が出力される。
【0074】
O/E変換器17bから出力された電気信号Iは、乗算処理部60bに入力される。乗算処理部60bでは、乗算器61b5で電気信号Iと第1参照信号とが乗算された後、LPF62b5を介して出力値Xbsが出力され、乗算器61b4で電気信号Iと第2参照信号とが乗算された後、LPF62b4を介して出力値Xbcが出力される。また、乗算処理部60bでは、電気信号IがLPF62b0を通過した後、出力値Xb0が出力される。
【0075】
乗算処理部60aおよび60bのそれぞれから出力される出力値Xas、Xac、XbsおよびXbcは、式(3)~式(6)で表される。
【0076】
【数3】
【0077】
【数4】
【0078】
【数5】
【0079】
【数6】
【0080】
また、出力値Xa0およびXb0は、式(7)および式(8)で表される。
【0081】
【数7】
【0082】
【数8】
【0083】
乗算処理部60aおよび60bから出力された6つの出力値Xas、Xac、Xa0、Xbs、XbcおよびXb0は、演算器53に入力される。演算器53では、入力された6つの出力値Xas、Xac、Xa0、Xbs、XbcおよびXb0に基づき、測定対象2の反射レベルが演算される。
【0084】
参照アームを往復した光のレベルが測定対象2で反射したレベルより大きくなるようにハーフミラー51の反射率を調整した場合、測定対象2の反射点で反射した光のレベルと、参照アームを往復した光のレベルとの比Yが、式(9)に基づき算出される。そして、参照アームを往復した光のレベルは一定になるので、比Yに含まれるハーフミラー51の反射および透過の比などを補正することにより、測定対象2の反射レベルを算出することができる。
【0085】
【数9】
【0086】
ここで、本実施の形態2では、位相変調度Cを5.5としている。そのため、式(7)および式(8)における乗算処理部60aおよび60bからの出力値Xa0およびXb0の第2項は「0」となり、不安定な値「φ」を含む項がなくなり、出力値Xa0およびXb0は安定した値となる。つまり、O/E変換器17aおよび17bのそれぞれに接続されたLPF62a0および62b0の出力に含まれる干渉計の光の位相変化φに伴い変動する成分が、位相変調器52で発生させる位相変調度Cを調整することによって抑制される。
【0087】
ところで、位相変調器52は、通過する光の位相を変化させるが、このときに光の偏光状態も変化させてしまうものが多い。しかし、本実施の形態2では、入力された光の偏光状態がファラデー回転子14によって90°回転する。そのため、ハーフミラー51に戻った光は、位相変調器52を伝搬する途中の偏光状態の変化が補償され、偏光ビームスプリッタ16に入力する光の偏光状態は安定する。
【0088】
第1参照信号発生器72から出力される第1参照信号をωの奇数倍の角周波数の余弦波とし、第2参照信号発生器73から出力される第2参照信号をωの偶数倍の角周波数の余弦波にすると動作する。ただし、位相変調器52は、通過する光の位相だけではなく強度も変調してしまうものがある。特に、入力した変調信号の周波数とその2倍の周波数で強い強度変調を起こすものが多い。このような位相変調器52を用いて第1参照信号をωの1倍の角周波数の余弦波とし、第2参照信号をωの2倍の角周波数の余弦波とすると、式(3)~式(8)で表される各LPF62a0、62a4、62a5、62b0、62b4および62b5の出力に強度変調成分が混入し、測定結果が変動する。そこで、本実施の形態2では、第1参照信号を角周波数5ωの余弦波、第2参照信号を角周波数4ωの余弦波にすることで、位相変調器52の強度変調の影響を抑え、安定した測定ができるようにしている。
【0089】
また、式(3)~式(6)で得られる出力値Xas、Xac、XbsおよびXbcにも不安定な値「φ」が含まれる。しかしながら、上述した演算器53による二乗和の演算によりこれらの出力値が安定化するため、測定対象2の反射レベルを測定することができる。
【0090】
以上のように、本実施の形態2に係る光反射測定装置50では、参照アームに位相変調器52が設けられ、位相変調された際に用いられる周波数に基づき、反射レベルが測定される。したがって、可変遅延器13の動作状態によらず、位相変調器52による位相変調が動作していれば、反射レベルを測定することができる。これにより、従来の光反射測定装置のように、一定速度で遅延時間を変化させることなく、測定対象2の反射レベルを測定することができる。なお、特定の位置の反射率の時間変化を記録する場合には、測定対象位置に応じた遅延時間となる位置で可変遅延器13を静止させ、演算器53の出力を記録する。
【0091】
以上、実施の形態1および2について説明したが、本発明は、上述した実施の形態1および2に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、実施の形態1および2では、参照アームにファラデー回転子14が設けられた場合について説明したが、これに限られず、例えば、参照アームを偏波保持ファイバなどの偏光状態を安定化させることができる他の部品で構成してもよい。
【0092】
また、実施の形態1および2では、オペレータに対して反射率の分布を示す表示器22が設けられた場合について説明したが、光反射測定装置1および50が自動測定装置を構成する場合には、表示器22が設けられていなくてもよい。さらに、光反射測定装置1および50が反射率のみを示す装置を構成する場合には、表示器22は、例えば実施の形態2の演算器53から出力された反射レベルのみを表示するように構成してもよい。
【0093】
実施の形態2では、位相変調器52が参照アームに設けられる場合について説明したが、これに限られず、例えば、位相変調器52は、測定対象アームのハーフミラー51と測定対象2との間に設けられてもよい。
【0094】
実施の形態2では、偏光ビームスプリッタ16等を用いて干渉する光の偏光が変化しても安定した測定ができるようにする機能と、位相変調器52等を用いて可変遅延器13を一定速度で走査させることなく安定した測定ができるようにする機能との両方の機能を持たせた構成を示したが、これはこの例に限られない。例えば、光反射測定装置50は、2つの機能のうちいずれか一方の機能だけを持つように、簡略化した構成とすることもできる。また、反射分布ではなく特定の位置の反射率だけを測定する場合には、光反射測定装置50は、可変遅延器13を外した構成としてもよい。
【0095】
実施の形態1では光を分岐させる手段として光カプラ12が用いられる場合について説明したが、これに限られず、例えばハーフミラー51が用いられてもよい。また、実施の形態2ではハーフミラー51が用いられる場合について説明したが、これに限られず、例えば光カプラ12が用いられてもよい。また、実施の形態1および2では、偏光ビームスプリッタ16を用いる例を示したが、例えば、ハーフミラーおよび偏光子などのほかの手段を用いてもよい。
【0096】
さらに、実施の形態2では、光の位相を周期的に変化させる周波数の整数倍の周波数成分を抽出する手段として、乗算処理部60aおよび60bが設けられるように説明したが、これに限られず、高速フーリエ変換など他の手段を用いることもできる。
【符号の説明】
【0097】
1、50、100 光反射測定装置、2 測定対象、11 光源、12 光カプラ、13 可変遅延器、14 ファラデー回転子、15 ミラー、16 偏光ビームスプリッタ、17、17a、17b O/E変換器、18、18a、18b バンドパスフィルタ、19、19a、19b 整流器、20、20a、20b、62a0、62a4、62a5、62b0、62b4、62b5 ローパスフィルタ、21 加算器、22 表示器、51 ハーフミラー、52 位相変調器、53 演算器、54 出力端、60a、60b 乗算処理部、61a4、61a5、61b4、61b5 乗算器、71 変調信号発生器、72 第1参照信号発生器、73 第2参照信号発生器、101 偏光調節器。
図1
図2
図3