(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】壁掛け便器スタンド及び、壁掛け便器スタンドを備えたトイレ装置
(51)【国際特許分類】
E03D 11/14 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
E03D11/14
(21)【出願番号】P 2020146237
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2023-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】執行 佳史
(72)【発明者】
【氏名】木村 知之
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-111920(JP,A)
【文献】特開2000-345602(JP,A)
【文献】特開2016-176268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 11/13-11/17
A47K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体を床面から浮上して支持固定する支持スタンドと、
前記支持スタンドに連結し前記便器本体より上方に伸延した縦フレームと、
前記便器本体後方のトイレ空間後壁に固設した壁固定部材と、
前記壁固定部材と前記縦フレームとの間に架設した仲介部材と、を備え、
前記仲介部材の前端は前記縦フレームと上下位置調整自在に連結固定可能とすると共に前記仲介部材の後端は
前記壁固定部材の前記トイレ空間後壁への取付け位置の調整に合わせて前記壁固定部材と連結固定可能とすることにより前記仲介部材の上下位置の調整を可能とし
、
前記上下の位置調整は、前記便器本体の上端部近傍から前記縦フレームの上端部近傍にかけて上下方向を長軸とする範囲で調整可能である
ことを特徴とする壁掛け便器スタンド。
【請求項2】
トイレ空間内には前記便器本体後方に前記仲介部材を収納するキャビネット空間を形成 すると共に、前記仲介部材は、上下位置調整時に前記キャビネット空間内に収納された機 器と干渉しないように配設した
ことを特徴とする請求項1に記載の壁掛け便器スタンド。
【請求項3】
前記便器本体の前記支持スタンドに連結した前記縦フレームには、上下の長孔が設けられ、前記仲介部材の前端は前記長孔を介して上下固定位置を調整可能とした
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の壁掛け便器スタンド。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の前記壁掛け便器スタンドと、
前記壁掛け便器スタンドに支持固定される前記便器本体と、を備えた
ことを特徴とするトイレ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁掛け便器を支持する支持部材の壁面に対する固定位置を任意に調整できる壁掛け便器スタンド及び、壁掛け便器スタンドを備えたトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレ空間床面から便器本体を離間した壁掛け便器において、便器本体を支持するスタンドをトイレ空間壁面にボルトを介して固定するスタンド構造がある。このような壁掛け便器のスタンド構造では、壁掛け便器および壁掛け便器本体に生起される荷重をトイレ空間床面およびトイレ空間壁面に分散することで便器本体を確実に支持できるように構成している。
【0003】
例えば、特許文献1には、トイレ空間壁面に断面コ字状の壁固定材を固設し、この壁固定材とトイレ空間床面に立設した支持スタンドを含む配管ユニットとをボルトで連結することにより、壁掛け式便器の荷重をトイレ空間壁面およびトイレ空間床面に分散して便器本体を確実に支持固定できる構成が開示されている。また、特許文献1には、壁固定材の下部に壁固定材と一体または別体に壁補強部を設け、当該壁補強部をトイレ空間壁面にボルトなどで固設することによりトイレ空間壁面にかかる荷重を壁固定材と壁補強部に分散してトイレ空間壁面に局所荷重がかかる虞を解消できる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、例えば、壁固定材を取り付ける壁面に凹凸があると壁固定材が歪んだ状態で壁面に取り付けられてしまい、便器を適切に保持できなくなる虞や、便器及び便器にかかる荷重がトイレ空間床面とトイレ空間壁面に適切に分散されずにトイレ空間床面およびトイレ空間壁面を破損する虞があった。
また、特許文献1に開示されている技術では、壁固定材と配管ユニットとを連結するボルトがトイレ空間床面から一定の固定高さで取り付けられる構成のため、設置強度が不十分なトイレ空間壁面に設置しなければならない場合、便器および便器にかかる荷重をトイレ空間壁面が支えきれずに変形または破損する虞があった。
【0006】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、トイレ空間を構成するトイレ空間壁面の適切な位置に壁固定部材を固定して、壁掛け便器および壁掛け便器に生起される荷重を確実に保持できる壁掛け便器スタンド及び、壁掛け便器スタンドを備えたトイレ装置を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る壁掛け便器スタンドは、便器本体を床面から浮上して支持固定する支持スタンドと、前記支持スタンドに連結し前記便器本体より上方に伸延した縦フレームと、前記便器本体後方のトイレ空間後壁に固設した壁固定部材と、前記壁固定部材と前記縦フレームとの間に架設した仲介部材と、を備え、前記仲介部材の前端は前記縦フレームと上下位置調整自在に連結固定可能とすると共に前記仲介部材の後端は前記仲介部材の上下位置調整に合わせて前記壁固定部材と連結固定可能とすることにより前記仲介部材の上下位置の調整を可能とするものである。
【0008】
このような構成の壁掛け便器スタンドによれば、壁面の適切な位置に壁固定部材を固定でき、壁面を変形または破損することなく便器を確実に保持できる。
【0009】
本発明に係る壁掛け便器スタンドの他の態様は、トイレ空間内には前記便器本体後方に前記仲介部材を収納するキャビネット空間を形成すると共に、前記仲介部材は、上下位置調整時に前記キャビネット空間内に収納された機器と干渉しないように配設するものである。
【0010】
このような構成の壁掛け便器スタンドによれば、キャビネット空間内に機器を固定した後でも容易に仲介部材を移動させることができ、施工性やメンテナンス性を向上させることができる。
【0011】
本発明に係る壁掛け便器スタンドの他の態様は、前記便器本体の前記支持スタンドに連結した前記縦フレームには、上下の長孔が設けられ、前記仲介部材の前端は前記長孔を介して上下固定位置を調整可能としたものである。
【0012】
このような構成の壁掛け便器スタンドによれば、簡易的な構造で仲介部材の上下方向の固定位置を調整できる。
【0013】
本発明に係るトイレ装置は、前記壁掛け便器スタンドと、前記壁掛け便器スタンドに支持固定される前記便器本体と、を備えたものである。
【0014】
このような構成のトイレ装置によれば、壁掛け便器スタンドに支持固定された便器本体の荷重および便器本体に生起される荷重を壁掛け便器スタンドを介してトイレ空間壁面の適切な位置に伝達でき、便器本体を確実に保持できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、トイレ空間を構成する壁面の適切な位置に壁固定部材を固定でき、壁掛け便器および壁掛け便器にかかる荷重を確実に保持できる壁掛け便器スタンドを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る壁掛け便器スタンド固定構造を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る壁掛け便器スタンド固定構造を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る壁掛け便器スタンド固定構造における縦フレームを示す正面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る縦フレームを示す斜視図であり、(a)は長孔を備えた縦フレームを示す斜視図であり、(b)は縦フレームの他の実施例を示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る仲介部材の動きを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の要旨は、便器本体を床面から浮上して支持固定する支持スタンドと、支持スタンドに連結し便器本体より上方に伸延した縦フレームと、便器本体後方のトイレ空間後壁に固設した壁固定部材と、便器本体後方のトイレ空間後壁に固設した壁固定部材と縦フレームとの間に架設した仲介部材とより構成し、しかも、仲介部材の前端は縦フレームと上下位置調整自在に連結固定可能とすると共に仲介部材の後端は仲介部材の上下位置調整に合わせて壁固定部材と連結固定可能とすることにより仲介部材の上下位置の調整を可能としたことを特徴とする。
【0018】
また、トイレ空間内には便器本体後方に仲介部材を収納するキャビネット空間を形成すると共に、仲介部材は、上下位置調整時にキャビネット空間内に収納された機器と干渉しないように配設したこと、また、便器本体の支持スタンドに連結した縦フレームには、上下の長孔が設けられ、仲介部材の前端はこの長孔を介して上下固定位置を調整可能としたことを特徴とする。
【0019】
本発明を実施するための一実施の形態を
図1~
図5を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態にかかる壁掛け便器スタンドを示す図でありトイレ空間を側面から見た模式図である。
図2は、壁掛け便器の支持構造を示す斜視図である。
【0020】
壁掛け便器スタンドは、便器10を構成する便器本体11の荷重、および便器本体11の便座13にトイレ使用者が着座した際に生起される荷重を支持するトイレ空間後壁S2が変形したり破損したりすることを防止するものである。
【0021】
壁掛け便器スタンドは、便器10を構成する便器本体11をトイレ空間Sを構成するトイレ空間床面S1から離間して支持固定する支持スタンド20と、支持スタンド20に連結し便器本体11より上方に伸延した縦フレーム30と、便器本体11後方のトイレ空間後壁S2に固設した壁固定部材40と、縦フレーム30と壁固定部材40との間に架設した仲介部材50とで構成している。
【0022】
便器10は、
図1に示すように、便器本体11の便器底部12をトイレ空間床面S1から離間して、非接触状態に支持された壁掛け便器である。便器10は、便器本体11と、便器本体11の上部に配設した便座13で構成している。
【0023】
便器本体11は、上部が開口した凹状のボウル部を有する陶器などで形成された容器である。便器本体11は、ボウル部に洗浄水を供給するための便器本体11の背面に配設した洗浄タンクと、洗浄タンクの貯留水をボウル部に給水するための給水管と、ボウル部の汚水を便器本体11の背面側に排出するための排水管と、を便器本体11の背面に設けている。また、便器本体11は、背面側の左右上端部近傍に支持孔14、14を穿設している。
【0024】
左右の支持孔14、14には、支持部材15、15であるスタッドボルトの一端部を挿通している。支持部材15、15は、他端部を便器本体11の背面に設けたキャビネットKに収容した後述の支持スタンド20の支持孔23および縦フレーム30の連結孔31に挿通し、支持部材15、15の端縁部をナットなどで締め付け固定している。これにより、便器本体11をトイレ空間床面S1から離間して非接触状態としつつ、便器本体11および便器本体11に便座13を介して生起される荷重を左右の支持部材15、15を介して支持スタンド20と縦フレーム30に分散できる。
【0025】
キャビネットKは、便器本体11の背面に位置している。キャビネットKは、便器本体11と接する前面化粧板K1と、前面化粧板K1の上端部に連結した上面化粧板K2と、前面化粧板K1の左右側端部と連結した図示しない左右の化粧板と、トイレ空間Sを構成するトイレ空間床面S1およびトイレ空間後壁S2と、で構成している。上述の構成によりキャビネットKは、閉塞したキャビネット空間KSを構成している。
【0026】
キャビネット空間KSは、
図1に示すように、便器本体11をトイレ空間床面S1から離間して支持固定する支持スタンド20と、支持スタンド20に連結して便器本体11よりも上方に伸延した縦フレーム30と、便器本体11後方のトイレ空間後壁S2に固設した壁固定部材40と、縦フレーム30と壁固定部材40との間に架設した仲介部材50とを収納している。
【0027】
支持スタンド20、20は、
図1および
図2に示すように、トイレ空間床面S1に便器本体11の左右端部と略同一幅に離間して配設し、便器本体11をトイレ空間床面S1から離間して支持固定し、便器本体11および便座13に生起された荷重をトイレ空間床面S1に伝達している。
【0028】
支持スタンド20は、トイレ空間床面S1に固定する床固定部21と、床固定部21の前端部から垂直に延在した支持固定部22とを一体に構成した側面視略L字状の部材である。
【0029】
床固定部21は、トイレ空間床面S1にボルトやビスなどで固定されている。支持固定部22は、平面視略矩形状で上端部および下端部を開口した中空部材であり、上端部近傍に支持固定部22の前面から後面にかけて支持孔23を穿設している。支持固定部22の中空部は、縦フレーム30の水平断面形状と略同一形状に穿設している。そのため、支持固定部22の中空部に挿入した縦フレーム30は、支持固定部22の内周面に接触して前後左右に揺動することなくトイレ空間床面S1に立設した状態を維持できる。
【0030】
縦フレーム30は、支持固定部22の開口部に挿入して支持スタンド20と同様に便器本体11をトイレ空間床面S1から離間して支持するためのものである。
【0031】
縦フレーム30は、
図2~
図4に示すように、中実の角棒であり、便器本体11の上端部よりも上方に延在している。縦フレーム30は、支持固定部22の上端開口部から下端開口部にかけて挿通することでトイレ空間床面S1に立設している。また、縦フレーム30は、支持スタンド20の中空部に挿通した状態において、支持孔23と略同一の高さ位置に連結孔31を穿設している。支持スタンド20および縦フレーム30は、支持孔23および連結孔31に便器本体11を支持するための支持部材15を挿通して一体に構成している。
【0032】
また、縦フレーム30は、支持スタンド20の上端部近傍から縦フレーム30の上端部近傍にかけて上下方向を長軸とする略楕円形の長孔32を穿設している。長孔32には、仲介部材50を挿通固定している。
【0033】
仲介部材50は、縦フレーム30に生起される便器本体11の荷重をトイレ空間後壁S2に伝達するための部材である。
【0034】
仲介部材50は、
図1および
図2に示すように、左右の縦フレーム30、30と後述の壁固定部材40との間に架設している。仲介部材50は、前端部を縦フレーム30の長孔32に固定し、後端部を壁固定部材40に固定している。なお、左右の縦フレーム30、30の間隔は、便器本体11の左右幅と略同程度に構成しており、左右の縦フレーム30、30に連結する左右の仲介部材50、50も同様に便器本体11の左右幅と略同程度の間隔を有している。左右の仲介部材50、50の間には、便器本体11のボウル部に給水するための給水タンクを配設している。給水タンクは、左右の仲介部材50、50に干渉しない左右幅に構成しており、また、前後幅は、縦フレーム30の後面と後述の壁固定部材40の垂下片41の前面を結ぶ直線よりも短く構成している。これにより、仲介部材50が上下移動する際にも給水タンクと干渉することがなく、自由に上下移動ができ、キャビネット空間KS内に当該タンクを設置した後でも仲介部材50の固定位置を容易に上下移動できメンテナンス性を向上できる。
【0035】
仲介部材50は、例えば、全ねじボルト(一部にねじ部を備えたねじボルトであっても構わない)であり、トイレ空間後壁S2の前面にビス止めするなどして固設した壁固定部材40に後端部を螺着し、前端部を縦フレーム30の長孔32に挿通し、縦フレーム30の前後面をナットで挟持することにより固定されている。これにより、仲介部材50は、壁固定部材40との締め付け状態に応じてトイレ空間後壁S2に対する縦フレーム30の位置を前後方向に自在に調整できる。
【0036】
また、仲介部材50は、長孔32に挿通することで左右方向の移動が規制され、上下方向のみ任意に調整可能に構成している。これにより、便器の荷重を支持するには不適切な箇所、例えば、トイレ空間後壁S2に凹凸(不陸)がある箇所などを避けて壁固定部材40をトイレ空間後壁S2の適切な箇所に取り付け固定できる。すなわち、仲介部材50は、キャビネット空間KS内を
図5の白抜きの両矢印で示す縦フレーム30の長孔32に沿った上下方向に連続的に調整自在とし、壁固定部材40のトイレ空間後壁S2への取付け位置を細かく調整できる。
【0037】
壁固定部材40は、トイレ空間後壁S2に固設し、仲介部材50を介して伝達される便器本体11および便器本体11に生起される荷重をトイレ空間後壁S2に分散させる部分である。
【0038】
壁固定部材40は、
図1および
図2に示すように、垂下片41と、垂下片41の上下端部に連結した上下水平片42、43と、で側面視略コ字形状に構成している。また、壁固定部材40は、便器本体11の左右幅と略同程度まで左右方向に延在している。
なお、本実施形態において、壁固定部材40は、側面視略コ字形状である構成を説明したが、このような構成に限定されず、単に平板状のものや側面視略ロ字形状等であってもよい。
【0039】
垂下片41には、複数の固定用孔41a、41a、、、と、縦フレーム30の長孔32と対向する位置に調整孔41b、41bを穿設している。
【0040】
固定用孔41aは、左右端部近傍および左右方向略中央部に上下に2つずつ穿設しており、当該孔にボルトやビスなどを挿通してトイレ空間後壁S2に固定している。また、調整孔41bには、仲介部材50である全ねじボルトの先端部を螺着している。この構成により、便器本体11および便器本体11に生起される荷重は、仲介部材50を介して壁固定部材40に伝達され、壁固定部材40からトイレ空間後壁S2に伝達される。この際、壁固定部材40が左右方向に延在されてトイレ空間後壁S2に複数箇所で固定されることにより、トイレ空間後壁S2にかかる上述の荷重が分散され、トイレ空間後壁S2への局所荷重を防止してトイレ空間後壁S2が変形や破損することを防止できる。また、トイレ空間後壁S2と縦フレーム30との距離を仲介部材50で前後位置調整自在としたことにより、上記荷重の大きさに応じて仲介部材50の長さを調整し、仲介部材50への偏奇荷重を防止して仲介部材50が変形したり破損したりする虞を低減している。
【0041】
腰掛け便器のスタンド固定構造は、このように構成したことにより、トイレ空間後壁S2に固設した壁固定部材40に対する縦フレーム30の前後位置を仲介部材50で位置調整自在として仲介部材50の変形および破損を防止し、さらに、縦フレーム30の長孔32に仲介部材50を上下方向に位置調整自在に挿入することで、トイレ空間後壁S2の凹凸(不陸)部分や脆弱部分を回避して便器本体11および便器本体11に生起される荷重をトイレ空間後壁S2の適切な位置に伝達できる。これにより、便器本体11および便器本体11に生起される荷重でトイレ空間後壁S2が変形したり破損したりする虞、または、設置した便器本体11が傾く虞を解消できる。
【0042】
なお、本実施形態において、仲介部材50を上下方向に調整自在とする構成は、縦フレーム30に穿設した長孔32としている。しかしながら、この長孔32は、仲介部材50を上下方向に位置調整できればどのような形態でもよく、例えば、縦フレーム30の上下方向に一定間隔離間して複数穿設した調整孔32´、32´、、、で構成していてもよい(
図4(b)参照)。このように構成することで、便器本体11の左右幅と略同程度の間隔を備えて配置した縦フレーム30、30に仲介部材50、50をそれぞれ挿通する際のトイレ空間床面S1からの高さ調整が容易となり、便器本体11および便器本体11に生起される荷重をトイレ空間後壁S2の非脆弱部に確実に伝達することができるとともに、施工時間も短縮できる。
【0043】
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0044】
10 便器
11 便器本体
12 便器底部
13 便座
14 支持孔
15 支持部材
20 支持スタンド
21 床固定部
22 支持固定部
23 支持孔
30 縦フレーム
31 連結孔
32 長孔
40 壁固定部材
41 垂下片
41a 固定用孔
41b 調整孔
42 上水平片
43 下水平片
50 仲介部材
K キャビネット
K1 前面化粧板
K2 上面化粧板
KS キャビネット空間
S トイレ空間
S1 トイレ空間床面
S2 トイレ空間後壁