(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】空気浮上式ベルトコンベヤ
(51)【国際特許分類】
B65G 15/60 20060101AFI20240514BHJP
B65G 43/00 20060101ALI20240514BHJP
B65G 15/08 20060101ALN20240514BHJP
【FI】
B65G15/60
B65G43/00 M
B65G15/08 A
(21)【出願番号】P 2020148637
(22)【出願日】2020-09-04
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】UBEマシナリー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村井 康夫
(72)【発明者】
【氏名】松永 隆昌
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-105761(JP,A)
【文献】特開2003-305138(JP,A)
【文献】特開2002-226030(JP,A)
【文献】特開平09-156739(JP,A)
【文献】特開平11-011642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 15/00-15/28
B65G 15/60-15/64
B65G 43/00-43/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドプーリ及びテールプーリを介して回動する無端状のベルトを円筒状のトラフ管内に有し、前記トラフ管の底部の空気供給口から供給される圧縮空気によって前記ベルトを浮上させて、搬送物を
載せたキャリヤ側の前記ベルトがヘッドプーリに向かって走行する空気浮上式ベルトコンベヤにおいて、
前記空気供給口に、圧縮空気とともに水の液滴を
、粒径が30μm 以下の霧状の微霧にして噴出させる二流体ノズルが接続されていることを特徴とする空気浮上式ベルトコンベヤ。
【請求項2】
前記二流体ノズルには、トラフ管内へ供給される圧縮空気と水の流量をそれぞれ調整する空気流量調整バルブと水流量調整バルブが備えられ、前記二流体ノズルより噴出する微霧の気水比を調整することを特徴とする請求項1に記載の空気浮上式ベルトコンベヤ。
【請求項3】
前記空気流量調整バルブと前記水流量調整バルブには、制御装置が備えられ、
前記制御装置は、浮上式ベルトコンベヤのトラフ管内の温度やベルト駆動における変化パラメータに基づいて前記空気流量調整バルブと前記水流量調整バルブの開度を制御することを特徴とする請求項2に記載の空気浮上式ベルトコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭、石灰石、穀物などのばら物を連続的に搬送することができるベルトコンベヤとその運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ベルトコンベヤによって搬送物を運び、サイロなどの貯蔵タンクに貯蔵している。
ベルトコンベヤのなかでも、ベルトを空気で浮上させて搬送する空気浮上式コンベヤはローラタイプのコンベヤに比べて、低騒音、省動力での運転ができるだけでなく、完全密閉構造なので発塵の心配がないなどのメリットから、多く導入されている。
また、近年では清掃の省力化という観点からリターン側でベルトを反転させる反転装置を備えた空気浮上式ベルトコンベヤが採用されている。
【0003】
空気浮上式ベルトコンベヤ装置は、回転自在に配置された駆動プーリ(ヘッドプーリ)と従動プーリ(テールプーリ)との間にコンベアベルトを円筒状のトラフ管内に通して、無端状にかけ回し構成している。
空気浮上式コンベヤにアンローダ設備などからキャリヤ側のベルト上へ受け入れた搬送物は、コンベヤの排出部へ向かって運ばれてホッパを介してサイロなどの貯蔵タンクへ受け入れたり、次の搬送装置へ受け渡されたりする。
キャリヤ側のベルトとリターン側のベルトに対して、それぞれ湾曲したトラフ管が延設しており、トラフ管の底部から上面側に空気を供給することにより各ベルトを浮上させ、円筒管の軸方向にベルトを走行させている。
一般的な空気浮上式コンベヤの構造は、キャリヤ側のベルトが内蔵されている円筒管を上トラフ管、リターン側のベルトが内蔵されている円筒管を下トラフ管といい、上トラフ管と下トラフ管は上下に所定の距離を離間して設けられている。
【0004】
通常、空気浮上式コンベヤのトラフ管の機長に対して等間隔に設けられた複数個所の空気供給口より均一に圧縮空気を供給するために、複数個所の空気供給口に対して供給される空気量と圧力は均一かつ一定である。
しかしながら、空気浮上式コンベヤにおいて、投入口より受け入れる搬送物の量が局所的に増減して生じたアンバランスな負荷は、搬送によって移動していくためベルトの全長に亘ってベルトとトラフ管の最適な隙間を得ることが困難になる。
【0005】
また、投入口より受け入れる搬送物の量がばらつくと局所的に負荷が大きくなって、ベルトとトラフ管の底部(あるいはトラフ管の内壁)が接触して搬送抵抗となり、これが原因でベルトの破損や装置停止をまねくなどの不都合が生じていた。さらに、ベルトとトラフ管の底部(あるいはトラフ管の内壁)が接触することで発生する摺動音が騒音となる問題もあった。
【0006】
これらの問題に鑑みて、たとえば先行文献1に開示されているように、空気浮上式ベルトコンベヤのベルトの浮上量を検出し、ベルト上の運搬物の積載量が変動してもベルトの浮上量が最適値になるように制御し供給圧力を保って安定した駆動することができる構成がある。
【0007】
また、空気浮上式コンベヤは石炭などの可燃物を搬送する場合、トラフ管内において摩擦熱や発塵などによって火災が生じることがあり、一般的に散水式の消火設備が設けられている。しかしながら、火災時に既存の散水式消火を行なうと、消火作業によってトラフ管内が水浸しになるため復旧作業に時間と費用がかかっていた。
【0008】
この問題に鑑みて、先行文献2に開示されているように、火災時にはコンベヤのトラフ管内を長手方向に区画分けするように仕切り板を設けられるような構造にすることで、仕切った区画内に不活性ガスを供給して燃え広がりを防いで消火をする技術があり、火災発生後の復旧作業を軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平8-268524号公報
【文献】特開2016-124633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、搬送物が石炭や木質バイオマスなどの保水率の高い物質の場合、搬送物同士の高い付着性によって塊となるため、ベルト上において偏りが生じ、安定した搬送に影響を与える。そのため、先行文献1のように搬送物の積載量の変動による制御を行なうだけでは、安定した搬送は困難である。
【0011】
また、先行文献2のようにトラフ管内における発塵火災を消火するための手段としてコンベヤの全体に新たに仕切り板を設ける構造は既存の設備からの大きな設計変更が必要になる。さらに、この構造は火災発生後の復旧作業の軽減をもたらす技術であって、火災を予防する技術ではないため、火災発生による搬送の中断や搬送物の損失は問題として残る。
【0012】
そこで本発明は、搬送物の量や物性の影響を受けない安定した搬送行ない、トラフ管内の火災を予防する空気浮上式ベルトコンベヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記の課題を解決するための第1の手段として、
ヘッドプーリ及びテールプーリを介して回動する無端状のベルトを円筒状のトラフ管内に有し、前記トラフ管の底部の空気供給口から供給される圧縮空気によって前記ベルトを浮上させて、搬送物を載せたキャリヤ側の前記ベルトがヘッドプーリに向かって走行する空気浮上式ベルトコンベヤにおいて、前記空気供給口に、圧縮空気とともに水の液滴を、粒径が30μm 以下の霧状の微霧にして噴出させる二流体ノズルが接続されていることを特徴とする空気浮上式ベルトコンベヤを提供することにある。
上記第1の手段によれば、二流体ノズルより噴出する微霧の水粒子がトラフ管の内壁面とコンベヤベルトの間において、ベアリングにおける転動体のように働くため、コンベヤベルトの摺動抵抗を低減して滑らかで安定した搬送ができる。
また、微霧によってトラフ管内における静電気や粉塵を抑制して火災を防ぐことができる。
【0014】
本発明は、上記の課題を解決するための第2の手段として、
二流体ノズルには、トラフ管内へ供給される圧縮空気と水の流量をそれぞれ調整する空気流量調整バルブと水流量調整バルブが備えられ、
前記二流体ノズルより噴出する微霧の気水比を調整することを特徴とする第1の手段に記載の空気浮上式ベルトコンベヤを提供することにある。
上記第2の手段によれば、二流体ノズルより発生する微霧の気水比とは圧縮空気と水の割合のことを示し、この気水比は圧縮空気の流量を調整する空気流量調整バルブと水の流量を調整する水流量調整バルブによって最適な割合に調整される。
このようにして、二流体ノズルより噴出する最適な気水比に調整された微霧の水粒子がトラフ管の内壁面とコンベヤベルトの間において、ベアリングにおける転動体のように働くため、コンベヤベルトの摺動抵抗を低減して滑らかで安定した搬送ができる。
また、最適な気水比に調整された微霧によってトラフ管内における静電気や粉塵を抑制して火災を防ぐことができる。
【0015】
本発明は、上記の課題を解決するための第3の手段として、
空気流量調整バルブと水流量調整バルブには、制御装置が備えられ、
前記制御装置は、浮上式ベルトコンベヤのトラフ管内の温度やベルト駆動における変化パラメータに基づいて前記空気流量調整バルブと前記水流量調整バルブの開度を制御することを特徴とする第2の手段に記載の空気浮上式ベルトコンベヤを提供することにある。
上記第3の手段によれば、トラフ管内の温度が予め定めた警戒温度以上になった時は火災が発生する可能性が高く、またベルト駆動における変化パラメータの閾値を越えた時はベルトの摺動抵抗が高いと推測されるため、微霧の噴出量を増やしたり、微霧中の水の割合を増やしたりする調整を行なえる。ここでベルト駆動における変化パラメータは、ベルトを駆動させるモータの駆動電流値やトルク値、振動値である。
このようにして、二流体ノズルより最適な気水比に調整された微霧を噴出することにより、トラフ管内の温度を下げて発火温度になるのを防ぐとともに静電気や粉塵を抑制して火災を予防できる。
また、最適な気水比に調整された微霧の粒子がトラフ管の内壁面とコンベヤベルトの間において、ベアリングにおける転動体のように働くため、コンベヤベルトの摺動抵抗を低減して滑らかで安定した搬送ができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、以上に説明した構成を有し、搬送物の量や物性による影響を受けずに安定した搬送ができ、かつ、トラフ管内における静電気や粉塵を抑制して火災を防ぐことができる空気浮上式ベルトコンベヤを提供するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例の概略的なシステム構成を示すブロック図である。
【
図3】従来の空気浮上式コンベヤの簡略化した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
以下、添付する
図2、3を参照して従来の空気浮上式ベルトコンベヤの構成について説明した後に、
図1を参照して本発明の空気浮上式ベルトコンベヤの構成について説明する。
【0019】
[従来の空気浮上式ベルトコンベヤ]
空気浮上式ベルトコンベヤ1は、
図3に示すように、ヘッドプーリ6及びテールプーリ5との間にベルトを無端状にかけ回して構成される。また、キャリヤ側のベルト7とリターン側のベルト8はトラフ管14に内蔵されており、ブロワ4から管路9によって圧縮空気を送り、キャリヤ側のベルト7とリターン側のベルト8を浮上させ、円筒のトラフ管14の軸方向に走行させている。
【0020】
搬送物は、投入口3からキャリヤ側のベルト7上に供給され、ヘッドプーリ6を内蔵するカバー12へ向かって搬送されていき、カバー12内に到達後、排出口13を介して貯蔵タンクへ受け入れて保管される。この受け入れ時に発生する粉塵は集塵機10によって、回収・除去している。
その後、搬送物が無くなったリターン側のベルト8はベルト反転エリアを経由し、テールプーリ5を内蔵するカバー2へと向かって走行する。
【0021】
図2は、
図3の切断線A-Aから見た断面図であり、上トラフ管14aと下トラフ管14bにキャリヤ側のベルト17とリターン側のベルト18を内蔵している。また、空気ダクト16には、
図3に示すブロワ4からの管路9が接続している。
【0022】
キャリヤ側のベルト17は、上トラフ管14aの底部において軸線方向に設けられている空気ダクト16と対向して等間隔に設けられた複数の空気供給口20から供給される圧縮空気によって浮上する。また、リターン側のベルト18は、下トラフ管14bの底部において軸線方向に設けられている空気ダクト16と対向して等間隔に設けられた複数の空気供給口20から供給される圧縮空気によって浮上する。
【0023】
しかしながら、上トラフ管14aとキャリヤ側のベルト17の反搬送面が形成する隙間11は、搬送物15がキャリヤ側のベルト17に積載される量が増加すると小さくなりベルトがトラフ管の内壁に接触する場合がある。このように搬送物15の積載量が局所的に増減して生じたアンバランスな負荷は、搬送物15が搬送されていくことによって移動していくため、ベルトの全長に亘ってトラフ管の最適な隙間11を得ることが困難になる。
最適な隙間11が得られなければ、ベルトがトラフ管の内壁に接触して摺動抵抗となり、ベルトの破損や装置停止をまねくなどの不都合が生じる。また、ベルトとトラフ管の内壁が接触することで発生する摺動音が騒音となる問題もあった。
【0024】
さらに、このアンバランスな負荷は、搬送物が石炭や木質バイオマスのような高い保水率を持つなど物質の物性により、ベルト上で搬送物同士が互いに凝着して塊になることでも発生する。つまり、サイズの大きい塊がある箇所の隙間11は小さくなり、サイズの小さい塊がある箇所はサイズの大きい塊がある箇所より隙間11は大きくなるように、塊のサイズによって生じる偏りは安定した搬送を妨げる。
【0025】
[本発明の空気浮上式ベルトコンベヤ]
これらの点に鑑みて、
図1に示すように、キャリヤ側のベルト27を内蔵した上トラフ管24aの底部に設けられた空気ダクト26に二流体ノズル31を接続する。この二流体ノズル31から管路29を通って、上トラフ管24aの軸線方向に設けられている空気ダクト26と対向して等間隔に設けられた複数の空気供給口30から、圧縮空気とともに水の液滴を霧状の微霧にして噴出する。
【0026】
空気供給源から空気流量調整バルブ33によって量を調整された圧縮空気が管路39aと、水供給源から水流量調整バルブ32によって量を調整された水が管路39bを通って、二流体ノズル31へ流入して混合されることで最適な気水比の微霧が噴出される。この空気流量調整バルブ33と水流量調整バルブ32の開度を調整して、圧縮空気と水の供給量を調整している。
具体的には、微霧の供給量を増加させたい場合は、圧縮空気の噴出圧力を一定としておき、定めた最適な気水比の割合を保ったまま、圧縮空気と水の供給量をそれぞれ増加させる、つまり空気流量調整バルブ33と水流量調整バルブ32を開ける方向に開度を調整することで、二流体ノズル31から噴出される微霧の量を増加させることができる。また、二流体ノズル31から噴出される微霧の量を減少させたい場合は、定めた最適な気水比の割合を保ったままで圧縮空気と水の供給量をそれぞれ減少させる、つまり空気流量調整バルブ33と水流量調整バルブ32を閉める方向に開度を調整することで、圧縮空気と水の供給量をそれぞれ減少させる。
【0027】
[二流体ノズル31]
二流体ノズル31において、管路39bから流入した水に管路39aより圧縮空気を噴入して混合することで、圧縮空気の剪断作用によって水は微霧化して噴出される。
微霧の粒径は、圧縮空気の噴出圧力を一定としておき、供給する圧縮空気と水の気水比(混合する割合)によって調整することができる。たとえば、圧縮空気:水の割合が4:6であるとき、噴出される微霧の粒径は30μm~90μm程度となる。
また、本実施形態における二流体ノズル31より噴出される微霧の粒径は100μm以下であり、好ましくは30μm以下である。微霧の粒径30μm以下のものは、濡れのない乾いた状態の超微霧という。
【0028】
[二流体ノズル31の制御方法]
二流体ノズル31から噴出される微霧の気水比を調整する水流量調整バルブ32と空気流量調整バルブ33の開度の調整は制御装置によって行われる。
上トラフ管24aの上部に設けられた温度検出器28とベルト駆動の検出器(不図示)から伝送される信号をそれぞれ伝送ライン25aと25bを介して制御装置に受信する。制御装置内で受信した信号の演算を行ない求めた気水比と微霧の供給量をもとに、伝送ライン35aと35bを介して、水流量調整バルブ32と空気流量調整バルブ33の開度を調整する。
【0029】
[温度検出]
上トラフ管24a内の温度は温度検出器28によって計測でき、この温度が予め定めた警戒温度以上になった場合は火災が発生する可能性が高い。また、上トラフ管24a内の温度上昇は、上トラフ管24aの内壁にキャリヤ側のベルト27が接触することで発生した摩擦熱が原因になることもある。
【0030】
このような場合、二流体ノズル31から制御装置によって気水比と供給量を調整した微霧を噴出することで、上トラフ管24a内の温度を下げて発火温度になるのを防ぐことができる。このとき、微霧中の水の割合を増やしたり、微霧の供給量を増やしたりすることで火災を防ぐ効果は大きくなる。また、最適な気水比に調整された微霧の粒子は、トラフ管の内壁面とコンベヤベルトの間においてベアリングにおける転動体のように働くため、コンベヤベルトの摺動抵抗を低減して摩擦熱が発生するのを防ぐことができる。
さらに、搬送物の静電気や粉塵を原因に火災が生じる可能性もあるが、最適な気水比に調整された微霧を噴出することによる加湿機能によって、上トラフ管24a内の静電気や粉塵の発生を抑制し火災を防ぐ効果もある。
本発明によって、火災の発生を事前に予測し、防ぐことができる。
【0031】
[摺動抵抗検出]
ベルト駆動の検出器(不図示)によって、ベルト駆動における変化パラメータが閾値を越えた時はベルトの摺動抵抗が高いと推測される。このような場合、キャリヤ側のベルト27と上トラフ管24aの隙間21が十分に得られておらず、上トラフ管24aの内壁に接触して摺動抵抗となっている可能性がある。また、搬送物が石炭や木質バイオマスのような高い保水率を持つとき、搬送物同士が付着して塊になることで生じるアンバランスな負荷による摺動抵抗も原因となる。
これらの摺動抵抗によって、ベルトの破損や装置停止をまねくなどの不都合が生じたり、摺動音が騒音になったりする問題があった。
【0032】
このような場合、ベルトを駆動させるモータの駆動電流値やトルク値、振動値などの変化パラメータの検出値を信号にして伝送ライン25bから制御装置に送り、分析もしくは総合的に判断した結果より伝送ライン35aと35bを介して気水比と供給量を調整するために水流量調整バルブ32と空気流量調整バルブ33の開度を調整して、最適な気水比に微霧を調整する。最適な気水比に調整された微霧が二流体ノズル31から管路29を通って上トラフ管24aへ供給されると、微霧の粒子がキャリヤ側のベルト27と上トラフ管24aの内壁面の隙間21において、ベアリングにおける転動体のように働くため、コンベヤベルトの摺動抵抗を低減して滑らかで安定した搬送ができるようになる。
さらに、
図1に示す実施形態によって、摺動抵抗が低減できるため、摺動音を抑えて、ベルトの摩耗を防げるため、摩耗によるベルト交換の頻度を抑える効果も期待される。
【0033】
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 空気浮上式ベルトコンベヤ
2、12 カバー
3 投入口
4 ブロワ
5 テールプーリ
6 ヘッドプーリ
7、17、27 キャリヤ側のベルト
8、18 リターン側のベルト
9、29、39a、39b 管路
10 集塵機
11、21 隙間
13 排出口
14 トラフ管
14a、24a 上トラフ管
14b 下トラフ管
15 搬送物
16、26 空気ダクト
20、30 空気供給口
25a、25b、35a、35b 伝送ライン
28 温度検出器
31 二流体ノズル
32 水流量調整バルブ
33 空気流量調整バルブ