(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】スタンド装置
(51)【国際特許分類】
B62H 1/02 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
B62H1/02 F
B62H1/02 E
(21)【出願番号】P 2020149720
(22)【出願日】2020-09-07
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139365
【氏名又は名称】中嶋 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】西口 正記
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-085651(JP,A)
【文献】特開平01-282079(JP,A)
【文献】中国実用新案第201856837(CN,U)
【文献】実開平02-096293(JP,U)
【文献】特開平11-079022(JP,A)
【文献】特開2015-048021(JP,A)
【文献】米国特許第05388848(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62H 1/00 - 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センタースタンド及びサイドスタンドを支持可能なスタンド装置であって、
車幅方向に離間した一対のフレーム部材を連結するブリッジと、
前記ブリッジの一方側の端部に設けられたブリッジブラケットと、を備え、
前記ブリッジブラケットは、前記ブリッジに固定されるブラケット固定部と、当該ブラケット固定部よりも車幅方向外側に位置するブラケット本体と、有し、
前記ブラケット本体の内面に、前記センタースタンドを支持するセンタースタンドブラケットが取付可能
であり、
前記センタースタンドブラケットが前記センタースタンドと別体であることを特徴とするスタンド装置。
【請求項2】
前記センタースタンドブラケット
の全体は、前記ブリッジの一方側の端部よりも車幅方向外側に位置していることを特徴とする請求項1に記載のスタンド装置。
【請求項3】
前記ブラケット本体の外面に、前記サイドスタンドを支持するサイドスタンドブラケットが取付可能なことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスタンド装置。
【請求項4】
前記センタースタンドブラケットが前記ブラケット本体に取付ボルトを介して取り付けられており、当該取付ボルトが前記サイドスタンドブラケットに覆われていることを特徴とする請求項3に記載のスタンド装置。
【請求項5】
車幅方向外側から見た場合に前記ブラケット本体から前記センタースタンドブラケットがはみ出した位置に前記センタースタンドが支持可能であり、
前記センタースタンドの支持箇所が前記ブラケット本体の外面よりも車幅方向内側に位置していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のスタンド装置。
【請求項6】
前記センタースタンドのスタンドピボットの隣りに前記サイドスタンドのスタンドピボットが位置していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のスタンド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタンド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鞍乗型車両としてセンタースタンド及びサイドスタンドが設置されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の鞍乗型車両の車体フレームは、メインチューブの後端から左右に分岐した一対のボディチューブが下方に延び、一対のボディチューブの下端側がブリッジを介して連結されている。一方のボディチューブにはサイドスタンドブラケットを介してサイドスタンドが揺動可能に支持され、ブリッジには一対のセンタースタンドブラケットを介してセンタースタンドが揺動可能に支持されている。これらのスタンドは操作性を考慮して設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各スタンドの操作性がスタンドピボットの位置に大きく関係するため、通常は車体フレームに対してスタンドピボットの位置が予め決められている。しかしながら、1種類の車体フレームを使用して、スポーツ、スタンダード、オンオフ等の様々な機種が開発されることがあり、機種に適したスタンドピボットの位置が求められている。また、機種によってセンタースタンドとサイドスタンドの周辺部品の形状が異なるため、周辺部品のレイアウト上の制約を受けつつ、スタンドピボットの位置を設定することが難しい。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、1種類のフレームで複数の機種を開発する場合でも、機種に応じて適切な位置にスタンドピボットを設定しつつ、周辺部品のレイアウト自由度を向上させるスタンド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様のスタンド装置は、センタースタンド及びサイドスタンドを支持可能なスタンド装置であって、車幅方向に離間した一対のフレーム部材を連結するブリッジと、前記ブリッジの一方側の端部に設けられたブリッジブラケットと、を備え、前記ブリッジブラケットは、前記ブリッジに固定されるブラケット固定部と、当該ブラケット固定部よりも車幅方向外側に位置するブラケット本体と、有し、前記ブラケット本体の内面に、前記センタースタンドを支持するセンタースタンドブラケットが取付可能であり、前記センタースタンドブラケットが前記センタースタンドと別体であることで上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様のスタンド装置によれば、1種類のフレームで複数の機種を開発する場合でも、機種に応じたセンタースタンドブラケットを用意することで、センタースタンドのスタンドピボットを機種に適した位置に合わせ易い。また、ブラケット固定部よりも車幅方向外側のブラケット本体の内面に、センタースタンドブラケットが取り付けられることで、センタースタンドによって車両内側の空間が圧迫されずに、車両内側の周辺部品のレイアウト自由度が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】本実施例のスタンド装置を車幅方向外側から見た側面図である。
【
図4】本実施例のスタンド装置を車幅方向内側から見た側面図である。
【
図7】本実施例のスタンドピボットの位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一態様のスタンド装置は、センタースタンド及びサイドスタンドを支持可能であり、車幅方向に離間した一対のフレーム部材がブリッジで連結され、ブリッジの一方側の端部にブリッジブラケットが設けられている。ブリッジブラケットのブリッジ本体にはセンタースタンドブラケットを介してセンタースタンドが支持される。このため、1種類のフレームで複数の機種を開発する場合でも、機種に応じたセンタースタンドブラケットを用意することで、センタースタンドのスタンドピボットを機種に適した位置に合わせ易い。また、ブリッジブラケットはブラケット固定部でブリッジに固定されており、ブリッジ本体がブラケット固定部よりも車幅方向外側に位置している。ブリッジ本体の内面にセンタースタンドブラケットが取り付けられることで、センタースタンドによって車両内側の空間が圧迫されずに、車両内側の周辺部品のレイアウト自由度が向上される。
【実施例】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本実施例のスタンド装置について説明する。
図1は、本実施例の車体フレームの斜視図である。また、以下の図では、矢印FRは車両前方、矢印REは車両後方、矢印Lは車両左方、矢印Rは車両右方をそれぞれ示している。
【0011】
図1に示すように、鞍乗型車両のヘッドパイプ11の上部から左右に分岐して後方に一対のメインフレーム12が延びており、ヘッドパイプ11の下部から左右に分岐して下方に一対のダウンフレーム13が延びている。一対のメインフレーム12の後部から下方に一対のアッパフレーム14が延びており、一対のアッパフレーム14の下部から下方に一対のロアフレーム(フレーム部材)15が延びている。一対のメインフレーム12、一対のダウンフレーム13、一対のアッパフレーム14、一対のロアフレーム15によって、鞍乗型車両の骨格となる車体フレーム10が形成されている。
【0012】
各メインフレーム12と各ダウンフレーム13はフロントブリッジ16、17によって連結されている。一対のアッパフレーム14の中間部はアッパブリッジ18によって連結されている。一対のロアフレーム15の中間部はピボット19によって連結され、一対のロアフレーム15の下端部はロアブリッジ(フリッジ)21によって連結されている。この車体フレーム10にはエンジン(不図示)が懸架されると共に、ピボット19にスイングアーム(不図示)が揺動可能に支持される。また、一対のロアフレーム15の下部には、センタースタンド30及びサイドスタンド50を備えたスタンド装置20が設けられている。
【0013】
この車体フレーム10を用いて様々な機種が開発されるが、同じ車体フレーム10であってもセンタースタンドが採用される機種、サイドスタンドが採用される機種、センタースタンド及びサイドスタンドの両方が採用される機種がある。機種毎に適切なスタンドピボットの位置が異なるため、スタンドを支持するブラケットを機種毎に用意しなければならない。ブラケット形状等によって機種毎に周辺部品のレイアウト上の制約も変化するため、スタンドピボットの位置を適切に設定することが難しい。そこで、本実施例の車体フレーム10には、様々な機種に対応可能な汎用性が高いスタンド装置20が取り付けられている。
【0014】
図1から
図6を参照して、スタンド装置について説明する。
図2は、本実施例のスタンド装置の斜視図である。
図3は、本実施例のスタンド装置を車幅方向外側から見た側面図である。
図4は、本実施例のスタンド装置を車幅方向内側から見た側面図である。
図5は、本実施例のスタンド装置の正面図である。
図6は、本実施例のスタンド装置の後面図である。
【0015】
図1及び
図2に示すように、スタンド装置20は、車幅方向に離間した一対のロアフレーム15の下部に設けられている。一対のロアフレーム15は上方から下方に向かって互いに近づくように傾斜しており(
図1参照)、この一対のロアフレーム15の下端部がスタンド装置20のロアブリッジ21によって連結されている。ロアブリッジ21は、一対のロアフレーム15よりも車幅方向外側に向かって延びている(
図1参照)。ロアブリッジ21の一方側(左側)の端部には別体のブリッジブラケット22aが設けられ、ロアブリッジ21の他方(右側)の端部にはブリッジブラケット22bが一体的に形成されている。
【0016】
一方側のブリッジブラケット22aの内面にはセンタースタンドブラケット23aが取り付けられ、このブリッジブラケット22aの外面にはサイドスタンドブラケット27が取り付けられている。他方側のブリッジブラケット22bの外面にはセンタースタンドブラケット23bが取り付けられている。スタンド装置20にはセンタースタンドブラケット23a、23bを介してセンタースタンド30が着脱可能に取り付けられ、サイドスタンドブラケット27を介してサイドスタンド50が着脱可能に取り付けられる。スタンド装置20には、機種に応じてセンタースタンド30及びサイドスタンド50が選択的に取り付けられる。
【0017】
センタースタンド30は、一対のブリッジブラケット22a、22bに一対のセンタースタンドブラケット23a、23bを介して取り付けられている。センタースタンド30の一対の脚部31a、31bの基端側にはU字ブラケット32a、32bが設けられている。U字ブラケット32a、32bの内側にセンタースタンドブラケット23a、23bが位置付けられ、ピボットボルト33a、33bを介してU字ブラケット32a、32bがセンタースタンドブラケット23a、23bに軸支されている。これにより、センタースタンド30がピボットボルト33a、33bを支点にして車体を自立させる起立位置と自立を解除させる格納位置の間で揺動される。
【0018】
一方側の脚部31aは部分的に湾曲しており、脚部31aの基端側よりも先端側が車幅方向外側に位置付けられている。他方の脚部31bはストレートに形成されている。一対の脚部31a、31bの先端側には、地面に接する湾曲板状の接地部34a、34bが設けられている。一方側の脚部31aにはセンタースタンド30を揺動させるための操作バー35が設けられている。センタースタンド30が地面から外れた状態では、操作バー35の先端の踏付部36が上方に向けられている。搭乗者の踏込力が踏付部36に加わることで、操作バー35によってセンタースタンド30が起こされて車体が自立される。
【0019】
一方側のセンタースタンドブラケット23aの内面にはピン37が立設されており、ピン37には引っ張りバネ41の上端のフックが引っ掛けられている。一対の脚部31a、31bは車幅方向に延びるスタンドブリッジ38によって連結されている。スタンドブリッジ38の上面にはU字状の受け金具42が設けられており、受け金具42には引っ張りバネ41の下端のフックが引っ掛けられている。引っ張りバネ41を介してセンタースタンドブラケット23aとセンタースタンド30が連結されている。また、一方側のセンタースタンドブラケット23aには、センタースタンド30の上動を規制するセンタースタンド受け39が設けられている。
【0020】
サイドスタンド50は、一方側のブリッジブラケット22aにサイドスタンドブラケット27を介して取り付けられている。サイドスタンド50の基端側にはU字ブラケット52が設けられている。U字ブラケット52の内側にサイドスタンドブラケット27が位置付けられ、ピボットボルト53を介してU字ブラケット52がサイドスタンドブラケット27に軸支されている。これにより、サイドスタンド50がピボットボルト53を支点にして車体を自立させる起立位置と解除させる格納位置の間で揺動される。サイドスタンド50の先端側には地面に接する板状の接地部54が形成されている。
【0021】
サイドスタンドブラケット27の内面にはピン55(
図6参照)が立設されており、ピン55には引っ張りバネ56(
図5参照)の上端のフックが引っ掛けられている。サイドスタンド50の内面の凸部57にピン58(
図5参照)が立設されており、ピン58には引っ張りバネ56の下端のフックが引っ掛けられている。引っ張りバネ56を介してサイドスタンドブラケット27とサイドスタンド50が連結されている。スタンド装置20の一方側ではサイドスタンドブラケット27の外面にフートレスト61aが設けられ、スタンド装置20の他方側ではセンタースタンドブラケット23bの外面にフートレスト61bが設けられている。
【0022】
図3-
図6に示すように、一方側のブリッジブラケット22aは、円柱状のブラケット固定部24と、板状のブラケット本体25と、ブラケット固定部24及びブラケット本体25を連ねるブラケット連結部26とを有している。ブラケット固定部24は円筒状のロアブリッジ21の内側に入り込み、ロアブリッジ21の一方側の端部にブラケット固定部24が固定されている。ブラケット連結部26は、ブラケット固定部24から下方に向かって車幅方向外側になるように湾曲している。ブラケット本体25はブラケット連結部26から下方に広がり、ブラケット固定部24よりも車幅方向外側にブラケット本体25が位置付けられている。
【0023】
ブラケット本体25の内面には、前後に並んだ2組の取付ボルト44a、44b及び取付ナット45a、45bによって板状のセンタースタンドブラケット23aが取り付けられている。ブラケット本体25の外面側から取付ボルト44a、44bが挿し込まれ、センタースタンドブラケット23aの内面側の取付ナット45a、45bによって固定される。センタースタンドブラケット23aの厚みは、ブラケット本体25の内面からロアブリッジ21の一方側の端部までの間隔よりも薄く形成されている。このため、センタースタンドブラケット23aは、ロアブリッジ21の一方側の端部よりも車幅方向外側に位置している。
【0024】
ブラケット本体25の内面にセンタースタンドブラケット23aが設けられても、センタースタンドブラケット23aが車両内側の空間を狭めることがない。センタースタンドブラケット23aの内面から突き出した取付ボルト44a、44bやピン37、センタースタンドブラケット23aに取り付けられたセンタースタンド30や引っ張りバネ41等によって車両内側の空間が圧迫されない。車両内側に排気管や大型の触媒ケース等の周辺部品が設置される場合に、周辺部品に取付ボルト44a、44bやセンタースタンド30等が干渉することがなく、周辺部品のレイアウト自由度が向上されている。
【0025】
センタースタンドブラケット23aはブラケット本体25に対する取付位置から後方に広がっており、ブラケット本体25の後縁からセンタースタンドブラケット23aがはみ出している(
図7(B)参照)。このブラケット本体25からセンタースタンドブラケット23aがはみ出した位置にセンタースタンド30の脚部31aが支持されている。脚部31aのU字ブラケット(センタースタンド30の支持箇所)32aは、ブラケット本体25の外面よりも車幅方向内側に位置している(特に
図5参照)。ブラケット本体25の外面からU字ブラケット32aが突き出さず、ブラケット本体25にサイドスタンド50を近づけて取り付けることができる。
【0026】
ブラケット本体25の外面には、上下に並んだ2本の取付ボルト59a、59bによって板状のサイドスタンドブラケット27が取り付けられている。サイドスタンドブラケット27が外面側から取付ボルト59a、59bによって締め付けられている。サイドスタンドブラケット27は部分的に車幅方向外側に膨らんでおり、サイドスタンドブラケット27によってセンタースタンドブラケット23aの取付ボルト44a、44bが外側から覆われている(特に
図6参照)。サイドスタンドブラケット27にセンタースタンドブラケット23aの取付ボルト44a、44bが隠されることで車両の外観性が向上されている。
【0027】
サイドスタンドブラケット27の下部にはサイドスタンド50を支持するスタンド支持部28が形成されている。スタンド支持部28は上方から下方に向かって車幅方向外側に傾斜しており、ピボットボルト53を介してスタンド支持部28にサイドスタンド50が支持されている。サイドスタンド50のピボットボルト53はセンタースタンド30のピボットボルト33aの前方に位置しており、サイドスタンド50がセンタースタンド30よりも車幅方向外側に位置している。センタースタンド30及びサイドスタンド50が備えられた車両でも、サイドスタンド50の操作性がセンタースタンド30によって阻害されることがない。
【0028】
上記したように、サイドスタンドブラケット27の外面にはフートレスト61aが設けられている。フートレスト61aは、センタースタンド30及びサイドスタンド50のピボットボルト33a、53の上方に位置している。サイドスタンドブラケット27は、フートレストブラケットとして機能している。なお、スタンド装置20の他方側にはサイドスタンドブラケット27が存在しないため、センタースタンドブラケット23bの外面にフートレスト61bが取り付けられている(
図2参照)。フートレスト61bもセンタースタンド30のピボットボルト33bの上方に位置している。
【0029】
このように、ブラケット本体25を挟んでセンタースタンドブラケット23aとサイドスタンドブラケット27が取り付けられている。よって、ブラケット本体25の内面側又は外面側にセンタースタンド30及びサイドスタンド50が偏って取り付けられることがなく、周辺部品のレイアウトに与える影響を小さくできる。また、センタースタンドブラケット23a及びサイドスタンドブラケット27によってセンタースタンド30及びサイドスタンド50のスタンドピボットが適切な位置に設定されている。これにより、センタースタンド30及びサイドスタンド50の操作性が向上されている。
【0030】
図7を参照して、スタンドピボットの位置関係について説明する。
図7は、本実施例のスタンドピボットの位置関係を示す図である。
図7(A)は車幅方向外側から見たスタンド装置、
図7(B)は
図7(A)のサイドスタンドブラケットを省略したスタンド装置をそれぞれ示している。
図8は、変形例のスタンド装置の側面図である。
図9は、他の変形例のスタンド装置の側面図である。
【0031】
図7(A)に示すように、上下に離間した取付ボルト59a、59bによってサイドスタンドブラケット27がブラケット本体25に取り付けられている。
図7(B)に示すように、前後に離間した取付ボルト44a、44bによってセンタースタンドブラケット23aがブラケット本体25に取り付けられている。このとき、前側の取付ボルト44aが取付ボルト59a、59bの間に位置しており、後側の取付ボルト44bが取付ボルト59a、59bの後方に位置している。前側の取付ボルト44aは下側の取付ボルト59bの近くに位置し、後側の取付ボルト44bは上側の取付ボルト59aの近くに位置している。
【0032】
サイドスタンド50は、サイドスタンドブラケット27において取付ボルト59a、59bの後方かつ取付ボルト44a、44bの下方にピボットボルト53を介して支持されている。センタースタンド30は、センタースタンドブラケット23aにおいて取付ボルト59a、59bの後方かつ取付ボルト44a、44bの下方にピボットボルト33aを介して支持されている。サイドスタンド50とセンタースタンド30のピボットボルト53、33a、すなわちサイドスタンド50とセンタースタンド30のスタンドピボットは、ブラケット本体25からはみ出したセンタースタンドブラケット23aの領域で同じ高さに位置付けられている。
【0033】
このように、サイドスタンド50のスタンドピボットの隣にセンタースタンド30のスタンドピボットが位置付けられている。センタースタンド30の操作性を考慮してセンタースタンド30のピボットボルト33aの位置が設定されているため、センタースタンド30のピボットボルト33aの隣のピボットボルト53を支点にしたサイドスタンド50の操作性も向上されている。また、車体フレーム10(
図1参照)の下側において、センタースタンド30とサイドスタンド50がコンパクトに配置されるため、車体下側の周辺部品のレイアウト自由度を向上させることができる。
【0034】
なお、本実施例では、スタンド装置20にセンタースタンド30及びサイドスタンド50が取り付けられているが、スタンド装置20にセンタースタンド30及びサイドスタンド50のいずれかが取り付けられていてもよい。例えば、小排気量の車両にはセンタースタンド30のみが取り付けられているものがあり、オンオフタイプやスポーツタイプの車両にはサイドスタンド50のみが取り付けられているものがある。このような場合でも、機種に適したスタンドピボットの位置を設定しつつ、車体下側の周辺部品のレイアウト自由度を向上させることができる。
【0035】
図8に示す変形例は、スタンド装置20にセンタースタンド30のみが取り付けられている。ブラケット本体25にセンタースタンドブラケット23a、23bを介してセンタースタンド30が取り付けられることで、センタースタンド30のピボットボルト33a、33bの位置が適切に設定される。センタースタンド30を備えた機種では、排気管や大型の触媒ケース等の周辺部品が車両内側に設置される。センタースタンドブラケット23aがロアブリッジ21(
図5参照)の一方側の端部よりも車幅方向外側に位置するため、車両内側の周辺部品のレイアウト自由度が向上されている。この構成では、サイドスタンド50は取り付けられないが、フートレスト61a用にブラケット本体25にサイドスタンドブラケット27が取り付けられている。
【0036】
図9に示す他の変形例は、スタンド装置20にサイドスタンド50のみが取り付けられている。ブラケット本体25にサイドスタンドブラケット27を介してサイドスタンド50が取り付けられることで、サイドスタンド50のピボットボルト53の位置が適切に設定される。センタースタンド30を備えていない機種では、チャンバ等の周辺部品が車両内側に設置される。サイドスタンド50がブラケット本体25の車幅方向外側に位置するため、車両内側の周辺部品のレイアウト自由度が向上されている。また、センタースタンドブラケット23a、23bの組付け作業が不要になって作業性が向上される。
【0037】
以上、本実施例によれば、1種類の車体フレーム10で複数の機種を開発する場合でも、機種に応じたブラケットを用意することで、センタースタンド30及びサイドスタンドのスタンドピボットを機種に適した位置に合わせ易い。また、ブラケット固定部24よりも車幅方向外側のブラケット本体25の内面にセンタースタンドブラケット23aが取り付けられ、ブラケット本体25の外面にサイドスタンドブラケット27が取付られている。このため、周辺部品のレイアウト自由度が向上される。さらに、センタースタンド30が小型化されて、センタースタンド30が周辺部品のレイアウトに与える影響が小さくなっている。
【0038】
なお、本実施例の車体フレームは一例を示しており、スタンド装置は他の車体フレームに設けられていてもよい。車体フレームは、例えば、クレードルフレーム、ダイヤモンドフレーム、ボックスフレーム、バックボーンフレーム、アンダーボーンフレーム、モノコックフレーム、ツインスパーフレームのいずれでもよい。
【0039】
また、本実施例では、一方側のブリッジブラケットがブリッジと別体に形成されているが、一方側のブリッジブラケットがブリッジと一体的に形成されてもよい。
【0040】
また、本実施例では、ブラケット固定部が円柱状、ブラケット本体が板状に形成されたが、ブラケット固定部及びブラケット本体の形状は特に限定されない。ブラケット固定部はブリッジに固定可能な形状、ブラケット本体はブラケット固定部よりも車幅方向外側に位置していればよい。
【0041】
また、本実施例では、センタースタンドブラケットがブラケット本体の後縁からはみ出すように形成されたが、センタースタンドブラケットの形状は特に限定されない。センタースタンドブラケットはブラケット本体からはみ出して、はみ出した箇所でセンタースタンドを支持できるように形成されていればよい。
【0042】
また、本実施例では、サイドスタンドブラケットがセンタースタンドブラケットの取付ボルトを覆うように形成されたが、サイドスタンドブラケットの形状は特に限定されない。サイドスタンドブラケットは少なくともサイドスタンドを支持できるように形成されていればよい。
【0043】
また、本実施例では、スタンド装置の左側にサイドスタンドが支持されたが、スタンド装置の右側にサイドスタンドが支持されてもよい。すなわち、スタンド装置の右側のブリッジブラケットにサイドスタンドブラケット及びセンタースタンドブラケットが取り付けられていてもよい。
【0044】
また、本実施例では、2組の取付ボルトと取付ナットによってブラケット本体にセンタースタンドブラケットが取り付けられたが、1組又は3組以上の取付ボルトと取付ナットによってブラケット本体にセンタースタンドブラケットが取り付けられもよい。また、取付ボルト及び取付ナット以外の固定部材によってブラケット本体にセンタースタンドブラケットが取り付けられてもよい。
【0045】
また、本実施例では、2本の取付ボルトによってブラケット本体にサイドスタンドブラケットが取り付けられたが、1本又は3本以上の取付ボルトによってブラケット本体にサイドスタンドブラケットが取り付けられもよい。また、取付ボルト以外の固定部材によってブラケット本体にサイドスタンドブラケットが取り付けられてもよい。
【0046】
また、本実施例の鞍乗型車両とは、ライダーがシートに跨った姿勢で乗車する車両全般に限定されず、ライダーがシートに跨らずに乗車するスクータタイプの車両も含んでいる。
【0047】
以上の通り、本実施例のスタンド装置(20)は、センタースタンド(30)及びサイドスタンド(50)を支持可能なスタンド装置であって、車幅方向に離間した一対のフレーム部材(ロアフレーム15)を連結するブリッジ(ロアブリッジ21)と、ブリッジの一方側の端部に設けられたブリッジブラケット(22a)と、を備え、ブリッジブラケットは、ブリッジに固定されるブラケット固定部(24)と、当該ブラケット固定部よりも車幅方向外側に位置するブラケット本体(25)と、有し、ブラケット本体の内面に、センタースタンドを支持するセンタースタンドブラケット(23a)が取付可能である。この構成によれば、1種類のフレームで複数の機種を開発する場合でも、機種に応じたセンタースタンドブラケットを用意することで、センタースタンドのスタンドピボットを機種に適した位置に合わせ易い。また、ブラケット固定部よりも車幅方向外側のブラケット本体の内面に、センタースタンドブラケットが取り付けられることで、センタースタンドによって車両内側の空間が圧迫されずに、車両内側の周辺部品のレイアウト自由度が向上される。
【0048】
本実施例のスタンド装置において、センタースタンドブラケットは、ブリッジの一方側の端部よりも車幅方向外側に位置している。この構成によれば、センタースタンドブラケットがブリッジよりも車幅方向外側に位置付けられるため、センタースタンドによって車両内側の空間が圧迫されずに、周辺部品のレイアウト自由度がさらに向上される。
【0049】
本実施例のスタンド装置において、ブラケット本体の外面に、サイドスタンドを支持するサイドスタンドブラケット(27)が取付可能である。この構成によれば、センタースタンドとサイドスタンドを備えた機種では、ブラケット本体を挟んでセンタースタンドブラケットとサイドスタンドブラケットが取り付けられる。よって、ブラケット本体の内面側又は外面側にスタンドが偏ることがなく、周辺部品のレイアウトに与える影響を小さくできる。また、サイドスタンドのみを備えた機種では、サイドスタンドがブラケット本体の外面側に取り付けられるため、車両内側の周辺部品に与える影響を小さくできる。
【0050】
本実施例のスタンド装置において、センタースタンドブラケットがブラケット本体に取付ボルト(44a、44b)を介して取り付けられており、当該取付ボルトがサイドスタンドブラケットに覆われている。この構成によれば、サイドスタンドブラケットにセンタースタンドの取付ボルトが隠されることで車両の外観性が向上される。
【0051】
本実施例のスタンド装置において、ブラケット本体からセンタースタンドブラケットがはみ出した位置にセンタースタンドが支持可能であり、センタースタンドの支持箇所がブラケット本体の外面よりも車幅方向内側に位置している。この構成によれば、センタースタンドとサイドスタンドを備えた機種で、ブラケット本体の外面からセンタースタンドの支持箇所が突き出さず、ブラケット本体にサイドスタンドを近づけて取り付けることができる。
【0052】
本実施例のスタンド装置において、センタースタンドのスタンドピボットの隣りにサイドスタンドのスタンドピボットが位置している。この構成によれば、センタースタンドとサイドスタンドを備えた機種で、センタースタンドとサイドスタンドを近づけてコンパクトに配置することで、スタンドの操作性を向上させると共に周辺部品のレイアウト自由度を向上させることができる。
【0053】
なお、本実施例を説明したが、他の実施例として、上記実施例及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0054】
また、本発明の技術は上記の実施例に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【符号の説明】
【0055】
15 :ロアフレーム(フレーム部材)
20 :スタンド装置
21 :ロアブリッジ(ブリッジ)
22a :ブリッジブラケット
23a :センタースタンドブラケット
24 :ブラケット固定部
25 :ブラケット本体
27 :サイドスタンドブラケット
30 :センタースタンド
33a :センタースタンドのピボットボルト
44a、44b:取付ボルト
50 :サイドスタンド
53 :サイドスタンドのピボットボルト