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特許7487633分散型電源システムおよびパワーコンディショナ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】分散型電源システムおよびパワーコンディショナ
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20240514BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20240514BHJP
   H02M 7/493 20070101ALI20240514BHJP
【FI】
H02J3/38 130
H02M7/48 R
H02M7/493
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020170809
(22)【出願日】2020-10-08
(65)【公開番号】P2022062639
(43)【公開日】2022-04-20
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾関 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 雅夫
(72)【発明者】
【氏名】中村 耕太郎
(72)【発明者】
【氏名】井上 健一
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特許第6760474(JP,B1)
【文献】特開2017-163795(JP,A)
【文献】特開2017-093127(JP,A)
【文献】特開2016-103931(JP,A)
【文献】特開2015-042100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/38
H02M 7/48
H02M 7/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力を発電する発電装置と、前記発電装置によって発電された直流電力を交流に変換するパワーコンディショナであって、電力供給対象である負荷に電力を供給する3線式商用電力系統と電気的に接続されるパワーコンディショナと、を備える分散型電源システムであって、
制御部を有する複数の前記パワーコンディショナと、
前記3線式商用電力系統のうちの2線以上と接続され、前記2線の夫々の電流の向きと大きさを測定する第1のCT入力回路と、
前記2線の夫々に設けられ、前記2線の夫々の電圧を測定する電圧入力回路と、
複数の前記パワーコンディショナを前記3線式商用電力系統から切り離す切断装置と、を備え、
前記パワーコンディショナは、
前記発電装置が発電した電力の位相を、商用電源から前記3線式商用電力系統へ供給される電力の位相と同期させるように、前記発電装置が発電した電力を交流電力に変換し、前記交流電力を出力するインバータ回路と、
前記インバータ回路から出力された前記交流電力の電流の大きさを検出する出力電流計測器と、
前記出力電流計測器により検出された検出信号を前記制御部へ入力する第2のCT入力回路と、をさらに有し、
前記制御部には、前記第1のCT入力回路において測定された電流および/または前記電圧入力回路において測定された電圧に基づく信号が入力され、
前記制御部は、前記第1のCT入力回路、前記電圧入力回路、前記出力電流計測器、及び前記第2のCT入力回路からの信号を受けて、前記3線式商用電力系統から前記負荷に供給される電力が所定の電力以下である場合に、前記インバータ回路から前記3線式商用電力系統へ流れる前記交流電力の大きさを調整するように前記インバータ回路を制御し、
前記切断装置は、前記3線式商用電力系統から前記負荷に供給される電力が第2の所定の電力以下と判定された時点から所定期間内に複数の前記パワーコンディショナを前記3線式商用電力系統から段階的に切り離し、
前記切断装置は、前記所定期間経過後に前記3線式商用電力系統から前記負荷に供給される電力が前記第2の所定の電力以下と判定された場合、前記パワーコンディショナを一括して前記3線式商用電力系統から切り離し、
前記第1のCT入力回路および/または前記電圧入力回路は、前記パワーコンディショナの外部に配置されると共に、前記制御部に接続されたことを特徴とする、
分散型電源システム。
【請求項2】
前記制御部は、複数の前記パワーコンディショナを前記3線式商用電力系統から切り離すか否かを判定する判定部を有し、
前記判定部は、判定する時点から過去の所定時点までの前記3線式商用電力系統に流れる電流に関する値の平均値に基づき、複数の前記パワーコンディショナを前記3線式商用電力系統から切り離すか否かを判定する、
請求項1に記載の分散型電源システム。
【請求項3】
直流電力を発電する発電装置と、前記発電装置によって発電された直流電力を交流に変換するパワーコンディショナであって、電力供給対象である負荷に電力を供給する3線式商用電力系統と電気的に接続されるパワーコンディショナと、を備える分散型電源システムであって、
制御部を有する複数の前記パワーコンディショナと、
前記3線式商用電力系統のうちの2線以上と接続され、前記2線の夫々の電流の向きと大きさを測定する第1のCT入力回路と、
前記2線の夫々に設けられ、前記2線の夫々の電圧を測定する電圧入力回路と、を備え、
前記パワーコンディショナは、
前記発電装置が発電した電力の位相を、商用電源から前記3線式商用電力系統へ供給される電力の位相と同期させるように、前記発電装置が発電した電力を交流電力に変換し、前記交流電力を出力するインバータ回路と、
前記インバータ回路から出力された前記交流電力の電流の大きさを検出する出力電流計測器と、
前記出力電流計測器により検出された検出信号を前記制御部へ入力する第2のCT入力回路と、をさらに有し、
前記制御部には、前記第1のCT入力回路において測定された電流および/または前記電圧入力回路において測定された電圧に基づく信号が入力され、
前記制御部は、前記第1のCT入力回路、前記電圧入力回路、前記出力電流計測器、及び前記第2のCT入力回路からの信号を受けて、前記3線式商用電力系統から前記負荷に供給される電力が所定の電力以下である場合に、前記インバータ回路から前記3線式商用電力系統へ流れる前記交流電力の大きさを調整するように前記インバータ回路を制御し、
前記制御部は、前記3線式商用電力系統から前記負荷に供給される電力が第3の所定の電力以下と判定された時点から第2の所定期間内に複数の前記パワーコンディショナの出力を段階的に低下させ、
前記第2の所定期間経過後に前記3線式商用電力系統から前記負荷に供給される電力が前記第3の所定の電力以下と判定された場合、前記パワーコンディショナを一括して前記3線式商用電力系統から切り離す第2の切断装置を備え、
前記第1のCT入力回路および/または前記電圧入力回路は、前記パワーコンディショナの外部に配置されると共に、前記制御部に接続されたことを特徴とする、
分散型電源システム。
【請求項4】
前記制御部は、複数の前記パワーコンディショナの出力を低下させるか否かを判定する第2の判定部を有し、
前記第2の判定部は、判定する時点から過去の所定時点までの前記3線式商用電力系統に流れる電流に関する値の平均値に基づき、複数の前記パワーコンディショナの出力を低下させるか否かを判定する、
請求項3に記載の分散型電源システム。
【請求項5】
発電装置によって発電された直流電力を交流に変換するパワーコンディショナであって、電力供給対象である負荷に電力を供給する3線式商用電力系統と電気的に接続されるパワーコンディショナであって、
複数の前記パワーコンディショナを前記3線式商用電力系統から切り離すか否かを判定する判定部を有する制御部と、
前記発電装置が発電した電力の位相を、商用電源から前記3線式商用電力系統へ供給される電力の位相と同期させるように、前記発電装置が発電した電力を交流電力に変換し、前記交流電力を出力するインバータ回路と、
前記インバータ回路から出力された前記交流電力の電流の大きさを検出する出力電流計測器と、
前記出力電流計測器により検出された検出信号を前記制御部へ入力する第2のCT入力回路と、を備え、
前記制御部には、前記3線式商用電力系統のうちの2線以上と接続され、前記2線の夫々の電流の向きと大きさを測定する第1のCT入力回路において測定された電流、および/または前記2線の夫々に設けられ、前記2線の夫々の電圧を測定する電圧入力回路において測定された電圧に基づく信号が入力され、
前記制御部は、前記第1のCT入力回路、前記電圧入力回路、前記出力電流計測器、及
び前記第2のCT入力回路からの信号を受けて、前記3線式商用電力系統から前記負荷に供給される電力が所定の電力以下である場合に、前記インバータ回路から前記3線式商用電力系統へ流れる前記交流電力の大きさを調整するように前記インバータ回路を制御し、
前記判定部は、前記3線式商用電力系統から前記負荷に供給される電力が第2の所定の電力以下である場合、所定期間内に複数の前記パワーコンディショナを前記3線式商用電力系統から段階的に切り離すと判定し、
前記判定部は、前記所定期間経過後に前記3線式商用電力系統から前記負荷に供給される電力が前記第2の所定の電力以下である場合、複数の前記パワーコンディショナを一括して前記3線式商用電力系統から切り離すと判定し、
前記制御部は、外部に配置された前記第1のCT入力回路および/または前記電圧入力回路と接続されたことを特徴とする、
パワーコンディショナ。
【請求項6】
発電装置によって発電された直流電力を交流に変換するパワーコンディショナであって、電力供給対象である負荷に電力を供給する3線式商用電力系統と電気的に接続されるパワーコンディショナであって、
複数の前記パワーコンディショナの出力を低下させるか否かを判定する第2判定部を有する制御部と、
前記発電装置が発電した電力の位相を、商用電源から前記3線式商用電力系統へ供給される電力の位相と同期させるように、前記発電装置が発電した電力を交流電力に変換し、前記交流電力を出力するインバータ回路と、
前記インバータ回路から出力された前記交流電力の電流の大きさを検出する出力電流計測器と、
前記出力電流計測器により検出された検出信号を前記制御部へ入力する第2のCT入力回路と、を備え、
前記制御部には、前記3線式商用電力系統のうちの2線以上と接続され、前記2線の夫々の電流の向きと大きさを測定する第1のCT入力回路において測定された電流、および/または前記2線の夫々に設けられ、前記2線の夫々の電圧を測定する電圧入力回路において測定された電圧に基づく信号が入力され、
前記制御部は、前記第1のCT入力回路、前記電圧入力回路、前記出力電流計測器、及び前記第2のCT入力回路からの信号を受けて、前記3線式商用電力系統から前記負荷に供給される電力が所定の電力以下である場合に、前記インバータ回路から前記3線式商用電力系統へ流れる前記交流電力の大きさを調整するように前記インバータ回路を制御し、
前記第2判定部は、前記3線式商用電力系統から前記負荷に供給される電力が第3の所定の電力以下と判定された時点から第2の所定期間内に複数の前記パワーコンディショナの出力を段階的に低下させると判定し、
前記第2判定部は、前記第2の所定期間経過後に前記3線式商用電力系統から前記負荷に供給される電力が前記第3の所定の電力以下と判定された場合、複数の前記パワーコンディショナの出力を一括して低下させると判定し、
前記制御部は、外部に配置された前記第1のCT入力回路および/または前記電圧入力回路と接続されたことを特徴とする、
パワーコンディショナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散型電源システムおよびパワーコンディショナに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電システムや蓄電池システムのような分散型電源システムが注目されている(例えば特許文献1)。分散型電源システムでは、分散された発電装置において発電された直流電力がパワーコンディショナにより交流電力へ変換され、変換された交流電力が系統を介して負荷(自家消費を含む)へ供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3656556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
負荷において消費されるエネルギーの変動又は分散型電源において発電された電力の変動が起こった場合などに、分散型電源システムでは負荷から系統への逆潮流が生じることが考えられる。そこで、逆潮流を抑制するためにパワーコンディショナを停止させ、発電装置において発電された電力が負荷へ供給されることを抑制することが考えられる。しかしながら、このような場合、発電装置において発電された電力が有効活用されないことになる。そこで、負荷の接続先を系統あるいはパワーコンディショナのうちの何れか一方へ切り替えることが可能な切り替えスイッチを夫々の負荷に対して設け、逆潮流が生じないように切り替えスイッチを制御することが考えられる。しかしながら、このような場合、負荷の変動に応じてスイッチを切り替える制御装置が必要となる。このような制御装置は大型化かつコストを要することが考えられる。
【0005】
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、負荷において消費されるエネルギーの変動又は分散型電源において発電された電力の変動が起こった場合であっても、負荷から系統への逆潮流を簡易に抑制し、分散型電源において発電された発電量を可及的に負荷へ供給する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0007】
すなわち本発明の一側面に係る分散型電源システムは、直流電力を発電する発電装置と、前記発電装置によって発電された直流電力を交流に変換するパワーコンディショナであって、電力供給対象である負荷に電力を供給する3線式商用電力系統と電気的に接続されるパワーコンディショナと、を備える分散型電源システムであって、制御部を有する複数の前記パワーコンディショナと、前記3線式商用電力系統のうちの2線以上と接続され、前記2線の夫々の電流の向きと大きさを測定する第1のCT入力回路と、前記2線の夫々に設けられ、前記2線の夫々の電圧を測定する電圧入力回路と、複数の前記パワーコンディショナを前記3線式商用電力系統から切り離す切断装置と、を備え、前記パワーコンディショナは、前記発電装置が発電した電力の位相を、商用電源から前記3線式商用電力系統へ供給される電力の位相と同期させるように、前記発電装置が発電した電力を交流電力に変換し、前記交流電力を出力するインバータ回路と、前記インバータ回路から出力された前記交流電力の電流の大きさを検出する出力電流計測器と、前記出力電流計測器により検出された検出信号を前記制御部へ入力する第2のCT入力回路と、をさらに有し、前記
制御部には、前記第1のCT入力回路において測定された電流および/または前記電圧入力回路において測定された電圧に基づく信号が入力され、前記制御部は、前記第1のCT入力回路、前記電圧入力回路、前記出力電流計測器、及び前記第2のCT入力回路からの信号を受けて、前記3線式商用電力系統から前記負荷に供給される電力が所定の電力以下である場合に、前記インバータ回路から前記3線式商用電力系統へ流れる前記交流電力の大きさを調整するように前記インバータ回路を制御し、前記切断装置は、前記3線式商用電力系統から前記負荷に供給される電力が第2の所定の電力以下と判定された時点から所定期間内に複数の前記パワーコンディショナを前記3線式商用電力系統から段階的に切り離し、前記切断装置は、前記所定期間経過後に前記3線式商用電力系統から前記負荷に供給される電力が前記第2の所定の電力以下と判定された場合、前記パワーコンディショナを一括して前記3線式商用電力系統から切り離し、前記第1のCT入力回路および/または前記電圧入力回路は、前記パワーコンディショナの外部に配置されると共に、前記制御部に接続されたことを特徴とする。
【0008】
当該構成によれば、第1のCT入力回路がパワーコンディショナの外部に配置され、2線の夫々の電流の向きと大きさが検出信号としてパワーコンディショナの制御部に入力され得る。また、電圧入力回路がパワーコンディショナの外部に配置され、2線の夫々の電圧が検出信号としてパワーコンディショナの制御部に入力され得る。なお、外部に配置された第1のCT入力回路において測定された電流および/または外部に配置された電圧入力回路により測定された電圧に基づいて電力がパワーコンディショナの外部で計算され、計算された電力をパワーコンディショナの制御部に入力してもよい。よって、第1のCT入力回路および電圧入力回路により検出可能な電流の大きさ及び電圧の大きさがパワーコンディショナにより制限されることは抑制される。よって、当該構成によれば、高圧や特別高圧の電力を計測することが可能となる。よって、より広範囲のシステムに当該構成を適用できる。
【0009】
また、当該構成によれば、3線式商用電力系統から前記負荷に供給される電力が所定の電力以下である場合に、インバータ回路から出力される交流電力の大きさを小さく調節することができる。このような制御により、負荷から系統への逆潮流は簡易に抑制される。また、インバータ回路から出力される交流電力の大きさの調節量を、第1のCT入力回路、電圧入力回路、出力電流計測器、及び第2のCT入力回路からの入力信号に応じて変更する場合、該調節量は必要以上に減らさずに済む。よって、発電装置において発電された電力は逆潮流を簡易に抑制しつつも可及的に負荷へ供給可能となる。
【0010】
ところで、複数台のパワーコンディショナから形成される分散型電源システムでは、パワーコンディショナ間の通信により、出力電力量、故障情報、運転状態等の情報を交換することが考えられる。そして、1台のパワーコンディショナで逆潮流電流を監視し、当該監視情報をその他のパワーコンディショナへ送信し、各パワーコンディショナが監視情報を基に逆潮流を防止するように系統へ供給する電力を調節することが考えられる。しかしながら、このような方法の場合、系統へ供給される電力を高速に調節することは困難と考えられる。そこで、負荷における消費エネルギーの変動、又は発電装置が発電した発電電力の変動が急激であることにより逆潮流が発生した場合、複数台のパワーコンディショナから形成される分散型電源システムでは、全てのパワーコンディショナをゲートブロックや連系リレー解列により一時的に系統から切り離すことが考えられる。しかしながら、このような対応は、発電装置において発電された発電電力を損失する度合いが大きいものと考えられる。
【0011】
一方、当該構成によれば、負荷での消費エネルギーや発電装置で発電された電力が急激に変動し、各パワーコンディショナから系統へ供給される電力を調節するだけでは逆潮流を解消できない場合であっても段階的に各パワーコンディショナを系統から切り離すこと
で、インバータ回路から系統へ供給される交流電力の大きさを調整することができる。よって、逆潮流は解消される。また、このように逆潮流を解消しつつも、全てのパワーコンディショナは同時に系統から切断されないため、発電装置において発電された電力は、可及的に負荷へ供給されるといえる。
【0012】
また、当該構成によれば、段階的にパワーコンディショナを系統から切断しても逆潮流が解消されない場合、所定期間経過後に複数のパワーコンディショナを一括して系統から切り離している。このような分散型電源システムは、負荷における消費エネルギーの変動又は分散型電源において発電された電力の変動が急激であり、パワーコンディショナを段階的に停止する程度では逆潮流が解消されない場合であっても、逆潮流を確実に解消するものである。
【0013】
上記一側面に係る分散型電源システムは、前記制御部は、複数の前記パワーコンディショナを前記3線式商用電力系統から切り離すか否かを判定する判定部を有し、前記判定部は、判定する時点から過去の所定時点までの前記3線式商用電力系統に流れる電流に関する値の平均値に基づき、複数の前記パワーコンディショナを前記3線式商用電力系統から切り離すか否かを判定してもよい。
【0014】
負荷における消費エネルギーの変動又は分散型電源におけて発電された電力の変動が急激であると、系統に流れる電流が順潮流であっても瞬間的に逆潮流となる場合が考えられる。このような場合、系統に逆潮流が生じていると判定され、複数のパワーコンディショナが3線式商用電力系統から段階的に切り離されることが考えられる。しかしながら、当該構成によれば、判定部が、判定する時点から過去の所定時点までの系統に流れる電流に関する値の平均値に基づき、複数のパワーコンディショナを系統から切り離すか否かを判定している。よって、系統に流れる電流が定常的に順潮流であり、瞬間的に逆潮流となる場合であっても、判定部が系統に逆潮流が生じていると誤判定することは抑制される。よって、このような場合に、パワーコンディショナの切断は抑制され、発電装置において発電された電力は、可及的に負荷へ供給されるといえる。また逆に、系統に流れる電流が定常的に逆潮流であって瞬間的に順潮流となる場合であっても、判定部が系統に順潮流が生じていると誤判定することは抑制される。よって、このような場合には、パワーコンディショナの系統への連係は抑制され、定常的に生じている逆潮流は解消される。
【0015】
上記一側面に係る分散型電源システムは、直流電力を発電する発電装置と、前記発電装置によって発電された直流電力を交流に変換するパワーコンディショナであって、電力供給対象である負荷に電力を供給する3線式商用電力系統と電気的に接続されるパワーコンディショナと、を備える分散型電源システムであって、制御部を有する複数の前記パワーコンディショナと、前記3線式商用電力系統のうちの2線以上と接続され、前記2線の夫々の電流の向きと大きさを測定する第1のCT入力回路と、前記2線の夫々に設けられ、前記2線の夫々の電圧を測定する電圧入力回路と、を備え、前記パワーコンディショナは、前記発電装置が発電した電力の位相を、商用電源から前記3線式商用電力系統へ供給される電力の位相と同期させるように、前記発電装置が発電した電力を交流電力に変換し、前記交流電力を出力するインバータ回路と、前記インバータ回路から出力された前記交流電力の電流の大きさを検出する出力電流計測器と、前記出力電流計測器により検出された検出信号を前記制御部へ入力する第2のCT入力回路と、をさらに有し、前記制御部には、前記第1のCT入力回路において測定された電流および/または前記電圧入力回路において測定された電圧に基づく信号が入力され、前記制御部は、前記第1のCT入力回路、前記電圧入力回路、前記出力電流計測器、及び前記第2のCT入力回路からの信号を受けて、前記3線式商用電力系統から前記負荷に供給される電力が所定の電力以下である場合に、前記インバータ回路から前記3線式商用電力系統へ流れる前記交流電力の大きさを調整するように前記インバータ回路を制御し、前記制御部は、前記3線式商用電力系統から
前記負荷に供給される電力が第3の所定の電力以下と判定された時点から第2の所定期間内に複数の前記パワーコンディショナの出力を段階的に低下させ、前記第2の所定期間経過後に前記3線式商用電力系統から前記負荷に供給される電力が前記第3の所定の電力以下と判定された場合、前記パワーコンディショナを一括して前記3線式商用電力系統から切り離す第2の切断装置を備え、前記第1のCT入力回路および/または前記電圧入力回路は、前記パワーコンディショナの外部に配置されると共に、前記制御部に接続されたことを特徴としてもよい。
【0016】
当該構成によれば、第1のCT入力回路がパワーコンディショナの外部に配置され、2線の夫々の電流の向きと大きさが検出信号としてパワーコンディショナの制御部に入力され得る。また、電圧入力回路がパワーコンディショナの外部に配置され、2線の夫々の電圧が検出信号としてパワーコンディショナの制御部に入力され得る。なお、外部に配置された第1のCT入力回路において測定された電流および/または外部に配置された電圧入力回路により測定された電圧に基づいて電力がパワーコンディショナの外部で計算され、計算された電力をパワーコンディショナの制御部に入力してもよい。このような当該構成によれば、第1のCT入力回路および電圧入力回路により検出可能な電流の大きさ及び電圧の大きさがパワーコンディショナにより制限されることは抑制される。よって、当該構成によれば、高圧や特別高圧の電力を計測することが可能となる。よって、より広範囲のシステムに当該構成を適用できる。
【0017】
また、当該構成によれば、3線式商用電力系統から前記負荷に供給される電力が所定の電力以下である場合に、インバータ回路から出力される交流電力の大きさを小さく調節することができる。このような制御により、負荷から系統への逆潮流は簡易に抑制される。また、インバータ回路から出力される交流電力の大きさの調節量を、第1のCT入力回路、電圧入力回路、出力電流計測器、及び第2のCT入力回路からの入力信号に応じて変更する場合、該調節量は必要以上に減らさずに済む。よって、発電装置において発電された電力は逆潮流を簡易に抑制しつつも可及的に負荷へ供給可能となる。
【0018】
また、当該構成によれば、段階的に各パワーコンディショナの出力を低下させることで、インバータ回路から系統へ供給される交流電力の大きさを調整することができる。よって、逆潮流は解消される。また、このように逆潮流を解消しつつも、全てのパワーコンディショナからの出力は同時低下させないため、発電装置において発電された電力は、可及的に負荷へ供給されるといえる。
【0019】
また、当該構成によれば、段階的にパワーコンディショナの出力を低下させても逆潮流が解消されない場合、第2の所定期間経過後に複数のパワーコンディショナを一括して系統から切り離している。このような分散型電源システムは、負荷における消費エネルギーの変動又は分散型電源において発電された電力の変動が急激であり、パワーコンディショナの出力を段階的に低下させる程度では逆潮流が解消されない場合であっても、逆潮流を確実に解消するものである。また、第2の所定期間中は、パワーコンディショナの出力は段階的に低下するため、発電装置において発電された電力は、可及的に負荷へ供給されるといえる。
【0020】
上記一側面に係る分散型電源システムにおいては、前記制御部は、複数の前記パワーコンディショナの出力を低下させるか否かを判定する第2の判定部を有し、前記第2の判定部は、判定する時点から過去の所定時点までの前記3線式商用電力系統に流れる電流に関する値の平均値に基づき、複数の前記パワーコンディショナの出力を低下させるか否かを判定してもよい。
【0021】
負荷における消費エネルギーの変動又は分散型電源におけて発電された電力の変動が急
激であると、系統に流れる電流が順潮流であっても瞬間的に逆潮流となる場合が考えられる。このような場合、系統に逆潮流が生じていると判定され、複数のパワーコンディショナの出力を低下させることが考えられる。しかしながら、当該構成によれば、第2の判定部が、判定する時点から過去の所定時点までの系統に流れる電流に関する値の平均値に基づき、複数のパワーコンディショナの出力を低下させるか否かを判定している。よって、系統に流れる電流が定常的に順潮流であり、瞬間的に逆潮流となる場合であっても、第2の判定部が系統に逆潮流が生じていると誤判定することは抑制される。よって、このような場合に、パワーコンディショナの出力の低下は抑制され、発電装置において発電された電力は、可及的に負荷へ供給されるといえる。また逆に、系統に流れる電流が定常的に逆潮流であって瞬間的に順潮流となる場合であっても、第2の判定部が系統に順潮流が生じていると誤判定することは抑制される。よって、このような場合には、パワーコンディショナの出力の低下は実行され、定常的に生じている逆潮流は解消される。
【0022】
また、本発明の一側面に係るパワーコンディショナは、発電装置によって発電された直流電力を交流に変換するパワーコンディショナであって、電力供給対象である負荷に電力を供給する3線式商用電力系統と電気的に接続されるパワーコンディショナであって、複数の前記パワーコンディショナを前記3線式商用電力系統から切り離すか否かを判定する判定部を有する制御部と、前記発電装置が発電した電力の位相を、商用電源から前記3線式商用電力系統へ供給される電力の位相と同期させるように、前記発電装置が発電した電力を交流電力に変換し、前記交流電力を出力するインバータ回路と、前記インバータ回路から出力された前記交流電力の電流の大きさを検出する出力電流計測器と、前記出力電流計測器により検出された検出信号を前記制御部へ入力する第2のCT入力回路と、を備え、前記制御部には、前記3線式商用電力系統のうちの2線以上と接続され、前記2線の夫々の電流の向きと大きさを測定する第1のCT入力回路において測定された電流、および/または前記2線の夫々に設けられ、前記2線の夫々の電圧を測定する電圧入力回路において測定された電圧に基づく信号が入力され、前記制御部は、前記第1のCT入力回路、前記電圧入力回路、前記出力電流計測器、及び前記第2のCT入力回路からの信号を受けて、前記3線式商用電力系統から前記負荷に供給される電力が所定の電力以下である場合に、前記インバータ回路から前記3線式商用電力系統へ流れる前記交流電力の大きさを調整するように前記インバータ回路を制御し、前記判定部は、前記3線式商用電力系統から前記負荷に供給される電力が第2の所定の電力以下である場合、所定期間内に複数の前記パワーコンディショナを前記3線式商用電力系統から段階的に切り離すと判定し、前記判定部は、前記所定期間経過後に前記3線式商用電力系統から前記負荷に供給される電力が前記第2の所定の電力以下である場合、複数の前記パワーコンディショナを一括して前記3線式商用電力系統から切り離すと判定し、前記制御部は、外部に配置された前記第1のCT入力回路および/または前記電圧入力回路と接続されたことを特徴とする。
【0023】
また、本発明の一側面に係るパワーコンディショナは、発電装置によって発電された直流電力を交流に変換するパワーコンディショナであって、電力供給対象である負荷に電力を供給する3線式商用電力系統と電気的に接続されるパワーコンディショナであって、複数の前記パワーコンディショナの出力を低下させるか否かを判定する第2判定部を有する制御部と、前記発電装置が発電した電力の位相を、商用電源から前記3線式商用電力系統へ供給される電力の位相と同期させるように、前記発電装置が発電した電力を交流電力に変換し、前記交流電力を出力するインバータ回路と、前記インバータ回路から出力された前記交流電力の電流の大きさを検出する出力電流計測器と、前記出力電流計測器により検出された検出信号を前記制御部へ入力する第2のCT入力回路と、を備え、前記制御部には、前記3線式商用電力系統のうちの2線以上と接続され、前記2線の夫々の電流の向きと大きさを測定する第1のCT入力回路において測定された電流、および/または前記2線の夫々に設けられ、前記2線の夫々の電圧を測定する電圧入力回路において測定された電圧に基づく信号が入力され、前記制御部は、前記第1のCT入力回路、前記電圧入力回
路、前記出力電流計測器、及び前記第2のCT入力回路からの信号を受けて、前記3線式商用電力系統から前記負荷に供給される電力が所定の電力以下である場合に、前記インバータ回路から前記3線式商用電力系統へ流れる前記交流電力の大きさを調整するように前記インバータ回路を制御し、前記第2判定部は、前記3線式商用電力系統から前記負荷に供給される電力が第3の所定の電力以下と判定された時点から第2の所定期間内に複数の前記パワーコンディショナの出力を段階的に低下させると判定し、前記第2判定部は、前記第2の所定期間経過後に前記3線式商用電力系統から前記負荷に供給される電力が前記第3の所定の電力以下と判定された場合、複数の前記パワーコンディショナの出力を一括して低下させると判定し、前記制御部は、外部に配置された前記第1のCT入力回路および/または前記電圧入力回路と接続されたことを特徴とする。
【0024】
なお、本発明における上記の課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて使用することが可能である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、負荷において消費されるエネルギーの変動又は分散型電源において発電された電力の変動が起こった場合であっても、負荷から系統への逆潮流を簡易に抑制し、分散型電源において発電された発電量を可及的に負荷へ供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本適用例における分散型電源システムの概略構成について示している。
図2図2は、第1実施形態における分散型電源システムの概要の一例を示している。
図3図3は、分散型電源システムの動作フローの一例を示している。
図4図4は、系統電力の経時変化の一例、及び各パワーコンディショナの出力制御目標値の経時変化の一例を示している。
図5図5は、分散型電源システムの別の動作のフローの一例を示している。
図6図6は、第1変形例に係る分散型電源システムの概略構成を示している。
図7図7は、第2変形例に係る分散型電源システムの概略構成を示している。
図8図8は、第3変形例に係る分散型電源システムの概要を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
§1 適用例
以下、本発明の適用例について、図面を参照しつつ説明する。図1に、本適用例における分散型電源システム1の概略構成について示す。図1において、分散型電源システム1は、複数の太陽光発電装置20と、夫々の太陽光発電装置20において発電された直流電力を交流電力に変換する複数のパワーコンディショナ10を含んでいる。また、複数のパワーコンディショナ10は、商用電源の商用電力系統5に接続されている。また、この商用電力系統5には、負荷2が接続されている。つまり、パワーコンディショナ10から出力された交流電力は、負荷2へ供給され自家消費される。また、太陽光発電装置20において発電された電力は、売電されてもよい。
【0028】
ここで、例えば負荷2において消費されたエネルギーの変動が急激である場合、又は太陽光発電装置20が設置される場所における照度が急激に変化することで発電された電力の変動が急激である場合等、商用電力系統5において逆潮流が発生することが考えられる。そこで、分散型電源システム1は、商用電力系統5を流れる電流がRPR(Reverse Power Relay)検出レベルよりも大きいか否かを判定する。そして、商用電力系統5を流れる電流がRPR検出レベルよりも小さいと判定された場合、複数のパワーコンディショナ10の運転を段階的に停止する。このような動作により、逆潮流は解
消される。また、全てのパワーコンディショナが系統から一斉に切断されないため、太陽光発電装置20において発電された電力は、可及的に負荷2へ供給されるといえる。なお、RPR検出レベルは、本発明の「第2の所定の電力」の一例である。また、第2の所定の電力は、RPR検出レベルにマージンを付加した値であってもよい。
【0029】
§2 構成例
[ハードウェア構成]
次に、本発明の実施形態について、図を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態では、商用電力系統5として、3線式商用電力系統を例示し、U相と中性線Oとの間に負荷2が、W相と中性線Oとの間に負荷3が、夫々独立して接続されているものとする。なお、系統は、単相であっても3相であってもよい。
【0030】
図2は、第1実施形態における分散型電源システム1の概要の一例を示している。第1実施形態における分散型電源システム1は、例えば複数の太陽光発電装置20と、複数の太陽光発電装置20の夫々と電気的に接続され、夫々の太陽光発電装置20において発電された電力を交流電力へ変換するパワーコンディショナ10を備える。なお、パワーコンディショナ10のうち、Masterパワーコンディショナを10aとし、それ以外のパワーコンディショナをSlaveパワーコンディショナ(10b、10c・・・)とする。また、分散型電源システム1は、パワーコンディショナ(10a、10b、10c・・・)同士を接続し、パワーコンディショナ(10a、10b、10c・・・)の間でCAN(Controll Area Network)通信可能な通信ケーブル22を備える。また、分散型電源システム1は、夫々のパワーコンディショナ(10a、10b、10c・・・)と商用電力系統5との間を接続する接続線17、18、19を備える。
【0031】
パワーコンディショナ10は、電力変換部13を備える。電力変換部13は、太陽光発電装置20が発電した電力を、商用電力系統5が負荷2、3へ供給する電力の位相と同期のとれた位相を有する交流電力に変換するインバータ回路である。電力変換部13の入力側には太陽光発電装置20の出力側が接続してあり、電力変換部13の出力側は信号出力部16に接続されている。この信号出力部16は、接続線17、18、19を介して商用電力系統5に接続されている。ここで、電力変換部13は、本発明の「インバータ回路」の一例である。
【0032】
また、パワーコンディショナ10は、電力変換部13に指令を発信してパワーコンディショナ10による出力電力を制御する制御部(MPU)12と、電力変換部13の出力電流の大きさを検出する出力CT(カレントトランス)14と、この出力CT14の検出信号を制御部12へ入力するCT入力回路(ADコンバータ)15cを備える。出力CT14は、電力変換部13と、信号出力部16との間に設けられる。ここで、制御部12は、本発明の「制御部」の一例である。また、出力CT14は、本発明の「出力電流計測器」の一例である。また、CT入力回路15cは、本発明の「第2のCT入力回路」の一例である。
【0033】
また、分散型電源システム1は、商用電力系統5と負荷2、3との間を流れる電流の向きと大きさを検出する検知手段としての系統CT(カレントトランス)6a、6bと、この系統CT6a、6bの検出信号を制御部12へ入力するCT入力回路(ADコンバータ)15a、15bと、をパワーコンディショナ10の外部に備える。さらに、分散型電源システム1は、商用電力系統5の電圧(系統電圧)を検出信号として制御部12へ入力する電圧入力回路35a、35bを、パワーコンディショナ10の外部であってパワーコンディショナ10と商用電力系統5との間の接続線17-19に備える。
【0034】
なお、系統CT6a、6b、およびCT入力回路15a、15bで検知された電流、な
らびに電圧入力回路35a、35bで検出された電圧から、商用電力系統5から負荷2、3に印加される電力(本発明の「第1のCT入力回路において測定された電流および電圧入力回路において測定された電圧に基づく信号」の一例)がパワーコンディショナ10の外部で計算され、計算された電力が制御部12に入力されてもよい。又は、系統CT6a、6b、およびCT入力回路15a、15b、あるいは電圧入力回路35a、35bの何れか一方がパワーコンディショナ10の外部に設けられてもよい。そして、系統CT6a、6b、およびCT入力回路15a、15bで検知された電流、あるいは電圧入力回路35a、35bで検出された電圧のうちの何れか一方から、商用電力系統5から負荷2、3に印加される電力(本発明の「第1のCT入力回路において測定された電流または電圧入力回路において測定された電圧に基づく信号」の一例)がパワーコンディショナ10の外部で計算され、計算された電力が制御部12に入力されてもよい。
【0035】
また、分散型電源システム1は、パワーコンディショナ10の外部に配設された接続線17-19に逆電力継電器47を備える。逆電力継電器47は、商用電力系統5に対してパワーコンディショナ10の解列/並列を切り替える切替スイッチを含む。また、逆電力継電器47は、時間を計測するタイマー48を備え、タイマー48により計測される時間が所定時間となった場合に切替スイッチを動作させることができる。ここで、CT入力回路15a、15bは、本発明の「第1のCT入力回路」の一例である。また、電圧入力回路35a、35bは、本発明の「電圧入力回路」の一例である。また、逆電力継電器47は、本発明の「切断装置」の一例である。
【0036】
なお、以降の記載において、Masterパワーコンディショナ10aの制御部12は、制御部12aと表し、Slaveパワーコンディショナ10bの制御部12は、制御部12bと表す。同様にして、制御部12aが備える逆潮流防止制御部122は、逆潮流防止制御部122aと表し、制御部12bの逆潮流防止制御部122は逆潮流防止制御部122bとする。また、その他の機能構成部の符号も同様のルールで表現する。
【0037】
(制御部12aの詳細)
次に、Masterパワーコンディショナ10aの制御部12aの詳細を説明する。制御部12aは、負荷2、3側から商用電力系統5側へ逆潮流が生じないように電力変換部13aを制御する。より詳細には、制御部12aは、潮流方向判定部123aを備える。潮流方向判定部123aは、CT入力回路(15a、15b)から入力される電流検出信号、及び電圧入力回路(35a、35b)から入力される電圧検出信号を使用して求められる系統電力であって、系統CT(6a、6b)が設けられた受電点における系統電力と、RPR検出レベルと、の差に関する値(以降、制御偏差という)を記憶部11a(後述する)に記憶させる。なお、RPR検出レベルとは、パワーコンディショナ10からの出力電力がこれよりも小さい値となることで、パワーコンディショナ10が商用電力系統5から解列される閾値である(詳細は後述する)。このRPR検出レベルは、例えば、逆潮流も順潮流もない0Wの状態から、パワーコンディショナ10の定格電力の5%の電力が逆潮流側に流れた場合の電力値であってもよい。ちなみに、制御偏差は、例えば以下の式(1)で示される。
制御偏差[%]=[{(-系統電力)-(-RPR検出レベル)}÷Σパワーコンディショナ
定格]×100[%]-オフセット・・・・・(1)
【0038】
式(1)で示されるように、制御偏差は、パワーコンディショナ(10a、10b・・・)による定格出力電力の合計値に対する、RPR検出レベルと系統電力との差の割合[
%]となる。
【0039】
また、制御部12aは、制御部12aによって行われる制御に必要なデータが記憶される記憶部11aが接続されている。この記憶部11aは、ROM、RAM等のメモリ素子
を含んで構成される。記憶部11aには、上記の制御偏差が記憶される。より詳細には、記憶部11aには、系統電力の監視期間(例えば6s)が所定期間(例えば500ms)
ごとに分割された分割期間ごとに、上記の制御偏差が分割期間偏差Amin[n](n=0~11)として記憶される。そして、潮流方向判定部123aは、記憶部11aに記憶される、現時点からみて過去の各分割期間偏差Amin[n]の平均値に基づき、逆潮流が起こっているか否かを判定する。
【0040】
また、制御部12aは、記憶部11aに記憶されている分割期間偏差Amin[n]を参照し、電力変換部13aから出力される出力電力の目標値を算出する逆潮流防止制御部122aを備える。出力電力の目標値の算出は、上記の分割期間ごとに定期的に実行される(つまり500msごと)。そして、逆潮流防止制御部122aは、例えば現時点からみて過去の各分割期間偏差Amin[n]の最小値が、所定の偏差閾値(本実施例ではパワーコンディショナ定格出力の1%)より大きい場合には、出力制御目標値を所定増加量(所定増加量:本実施例では1%)増加させてもよい。なお、このように出力制御目標値を1%増加させた場合、逆潮流防止制御部122aは、記憶部11aに記憶されている分割期間偏差Amin[n]を1%縮小させる。また、逆潮流防止制御部122aは、出力制御目標値を維持あるいは減少させてもよい。また、決定された出力制御目標値は、通信ケーブル22を介してSlaveパワーコンディショナ(10b、10c・・・)の各制御部(12b、12c・・・)へ送信される。Slaveパワーコンディショナ(10b、10c、・・・)においては、Masterパワーコンディショナ10aから受信した出力制御目標値に基づいて、自らにおける出力制御目標(%)が同じ値になるように制御部(12b、12c、・・・)の逆潮流防止制御部(122b、122c、・・・)が出力制御目標値の設定を行う。
【0041】
また、逆潮流防止制御部122aは、潮流方向判定部123aにより、系統CT(6a、6b)が設けられた受電点における電流の流れが逆潮流と判定され、さらにその大きさがRPR検出レベルよりも小さいことを検知した場合、夫々のパワーコンディショナ(10a、10b・・・)を商用電力系統5から解列する(以降ゲートブロックともいう)ことを実行する時間を決定する(詳細は後述する)。そして、逆潮流防止制御部122aは、現時点からゲートブロックを実行する時間までの期間(以降、検出残時間という)情報を逆電力継電器47aへ送信する。また、逆潮流防止制御部122aは、夫々のパワーコンディショナ(10b、10c・・・)が備える制御部(12b、12c・・・)へも検出残時間情報を、通信ケーブル22を介して送信する。そして、夫々のパワーコンディショナ(10b、10c・・・)が備える制御部(12b、12c、・・・)の逆潮流防止制御部122b、122c、・・・)は、受信した検出残時間情報を自装置に設けられている逆電力継電器(47b、47c、・・・)へ送信する。ここで、潮流方向判定部123a及び逆潮流防止制御部122aは、本発明の「判定部」の一例である。
【0042】
また、制御部(12a、12b、12c、・・・)の出力側は、電力変換部(13a、13b、13c・・・)に設けられたCPU(図示せず)に接続されている。そして、制御部(12a、12b、12c、・・・)は、インバータ出力制御部(121a、121b、121c、・・・)を備える。インバータ出力制御部(121a、121b、121c、・・・)は、出力制御目標値に従い、電力変換部(13a、13b、13c、・・・)に設けられたCPUに電力変換部(13a、13b、13c、・・・)のインバータ回路を制御する信号を送信する。なお、インバータ出力制御部(121a、121b、121c、・・・)は、出力CT(14a、14b、14c、・・・)から入力された電力変換部(13a、13b、13c、・・・)の出力電流情報を利用し、電力変換部(13a、13b、13c、・・・)からの出力電流が出力制御目標値へ近づくように電力変換部(13a、13b、13c、・・・)のインバータ回路に入力する信号をフィードバック制御する。
【0043】
(動作例1)
次に、分散型電源システム1の動作の一例を説明する。図3は、分散型電源システム1の動作フローの一例を示している。また、図4は、図3に示される動作フローの処理が実行される場合の、系統CT(6a、6b)が設けられた受電点において検出される系統電力の経時変化の一例(図4(A))、及び各パワーコンディショナ(10a、10b、10c、・・・)の出力制御目標値の経時変化の一例(図4(B))を示している。
【0044】
(S101)
出力制御目標値を更新するタイミング(t0)において過去の各分割期間偏差Amin
[n]の平均値が、所定の偏差閾値より大きいとする。このような場合、逆潮流防止制御
部122aが、出力制御目標値を1%増加させる。また、決定された出力制御目標値は、通信ケーブル22を介してSlaveパワーコンディショナ(10b、10c・・・)の各制御部(12b、12c・・・)に送信される。Slaveパワーコンディショナ(10b、10c、・・・)においては、Masterパワーコンディショナ10aから受信した出力制御目標値に基づいて、自らにおける出力制御目標(%)が同じ値になるように逆潮流防止制御部(122b、122c、・・・)が出力制御目標値の設定を行う。
【0045】
(S102)
ステップS102では、ステップS101で決定された出力制御目標値に従い、インバータ出力制御部(121a、121b、121c、・・・)が、電力変換部(13a、13b、13c、・・・)からの出力を増大させる(図4(B))。すると、系統CT(6a、6b)が設けられた受電点における電流の流れが、順潮流から逆潮流へと変化する。そして、系統CT(6a、6b)が設けられた受電点における電流の大きさがRPR検出レベルよりも小さい値となる(図4(A))。
【0046】
(S103)
ステップS103では、制御偏差を監視している潮流方向判定部123aが、系統に逆潮流が起こっていることを検出する。そして、潮流方向判定部123aは、現時点からみて過去の各分割期間偏差Amin[n]の平均値が、RPR検出レベルよりも小さいと判定する。すると、逆潮流防止制御部122aが、現時点から夫々のパワーコンディショナ(10a、10b・・・)を段階的にゲートブロックすることを実行するまでの期間である検出残時間t1(本発明の「所定期間」の一例)を決定する。より詳細には、潮流方向判定部123aは、n番目のパワーコンディショナ10nの検出残時間t1を以下の式(2)のように決定する。なお、nは例えば1から28までとしてもよい。
検出残時間t1=8×n+48[ms]・・・(2)
【0047】
また、潮流方向判定部123aは、夫々のパワーコンディショナ(10a、10b・・・)を一括してゲートブロックすることを実行するまでの期間である検出残時間t2を決定する。t2は、例えば潮流方向判定部123aにより系統CT(6a、6b)が設けられた受電点における電流の流れが検出され、出力制御目標値が定期的に設定される期間である500msから100msを減算した値である400msに設定される。そして、逆潮流防止制御部122aは、上記のように決定された検出残時間t1及びt2の情報を自装置内の逆電力継電器47aへ送信する。また、逆潮流防止制御部122aは、夫々のパワーコンディショナ(10b、10c・・・)が備える制御部(12b、12c・・・)へも検出残時間t1及びt2の情報を、通信ケーブル22を介して送信する。そして、夫々のパワーコンディショナ(10b、10c・・・)が備える逆潮流防止制御部(122b、122c、・・・)は、受信した検出残時間t1及びt2の情報を自装置に設けられている逆電力継電器(47b、47c、・・・)へ送信する。
【0048】
(S104)
ステップS104では、夫々のパワーコンディショナ(10a、10b、10c、・・・)の逆電力継電器(47a、47b、47c、・・・)は、検出残時間t1及びt2の情報を受信する。そして、逆電力継電器(47a、47b、47c、・・・)では、タイマー(48a、48b、48c、・・・)が起動し、時間が測定され始める。そして、タイマー(48a、48b、48c、・・・)によって測定された時間が受信した検出残時間t1となった時に、夫々の逆電力継電器(47a、47b、47c、・・・)は、自身と接続されているパワーコンディショナ(10a、10b、10c、・・・)を商用電力系統5から解列させるように切替スイッチを動作させる停止信号を出力する。このような動作が夫々のパワーコンディショナ(10a、10b、10c、・・・)において実行されることで、複数のパワーコンディショナ(10a、10b、10c、・・・)は段階的に商用電力系統5から解列される。なお、パワーコンディショナ10が解列されている間に、当該パワーコンディショナ10が有する逆潮流防止制御部122は、出力制御目標値を一旦0に設定する。そして、出力制御目標値が決定される次のタイミングt3で当該パワーコンディショナ10の解列は解除される。そして、パワーコンディショナ10の解列が解除されるタイミングt3で、解列されていたパワーコンディショナ10の逆潮流防止制御部122は、出力制御目標値を再決定する。この際、逆潮流防止制御部122は、出力制御目標値の増加率に1[%/s]のレートリミットをかけるようにしてもよい。
【0049】
なお、制御偏差を監視しているMasterパワーコンディショナ10aの潮流方向判定部123aが、RPR検出レベルよりも商用電力系統5に流れる電流値が大きいと判断した場合、段階的な解列は停止され、パワーコンディショナは商用電力系統5へ連係される。ただし、潮流方向判定部123aは、現時点からみて過去の各分割期間偏差Amin
[n]の平均値とRPR検出レベルとの大小関係によりパワーコンディショナの商用電力
系統5への連係を判定している。よって、現時点で系統に流れる電流がRPR検出レベルよりも大きくとも、各分割期間偏差Amin[n]の平均値がRPR検出レベルよりも小さい場合は、パワーコンディショナ(10a、10b、10c、・・・)の段階的な解列は実行され続ける。
【0050】
(S105)
ステップS105では、ステップS104からさらに所定時間経過し、タイマー48aによって測定された時間が検出残時間t2となった時に、制御偏差を監視しているMasterパワーコンディショナ10aの潮流方向判定部123aが、現時点からみて過去の各分割期間偏差Amin[n]の平均値が、RPR検出レベルよりも小さいと判定する。すると、夫々のパワーコンディショナ(10a、10b、10c・・・)が備える逆電力継電器(47a、47b、47c、・・・)は、自身と接続されているパワーコンディショナ10を解列させるように切替スイッチを動作させる停止信号を出力する。このような動作が夫々のパワーコンディショナ(10a、10b、10c、・・・)において実行されることで、全てのパワーコンディショナ(10a、10b、10c、・・・)の動作は一斉に停止する。そして、所定期間経過後の時刻t4において、全てのパワーコンディショナ(10a、10b、10c・・・)におけるゲートブロックが解除される。なお、全てのパワーコンディショナ(10a、10b、10c・・・)におけるゲートブロックが解除される際に、逆潮流防止制御部(122a、122b、122c、・・・)は、出力制御目標値を0に初期化する。そして、逆潮流防止制御部(122a、122b、122c、・・・)は、出力制御目標値を再決定する。なお、逆潮流防止制御部(122a、122b、122c、・・・)は、再決定される出力制御目標値の増加率に例えば10[%/
s]のレートリミットをかけるようにしてもよい。ここで、検出残時間t2は、本発明の
「所定期間」の一例である。
【0051】
ちなみに、ステップS104からさらに所定時間経過し、タイマー48aによって測定
された時間が検出残時間t2となった時に、潮流方向判定部123aが、現時点からみて過去の各分割期間偏差Amin[n]の平均値がRPR検出レベルよりも大きい判定した場合、逆潮流防止制御部122aは、自装置に設けられている逆電力継電器47aへタイマー48aによる時間の計測を停止するよう要求する要求信号を送信する。また、逆潮流防止制御部122aは、夫々のパワーコンディショナ(10b、10c・・・)が備える制御部(12b、12c・・・)へも当該要求信号を、通信ケーブル22を介して送信する。そして、夫々のパワーコンディショナ(10b、10c・・・)が備える逆潮流防止制御部(122b、122c、・・・)は、受信した要求信号を自装置に設けられている逆電力継電器(47b、47c、・・・)へ送信する。つまり、現時点からみて過去の各分割期間偏差Amin[n]の平均値が、RPR検出レベルよりも大きいと判定された場合、全てのパワーコンディショナ(10a、10b・・・)のゲートブロックは実行されないことになる。
【0052】
(動作例2)
また、図5は、分散型電源システム1の別の動作のフローの一例を示している。
【0053】
(S201)
ステップS201では、Masterパワーコンディショナ10aの潮流方向判定部123aが、現時点からみて過去の各分割期間偏差Amin[n]の平均値に基づき、逆潮流が起こっているか否かを判定する。
【0054】
(S202)
ステップS202では、ステップS201において商用電力系統5に逆潮流が起こっていないと判定された場合、潮流方向判定部123aが、例えば現時点からみて過去の各分割期間偏差Amin[n]の最小値を使用し、順潮流の電力値の大きさが所定の閾値よりも大きいか否かを判定する。ここで、所定の閾値は、逆潮流の発生を防止するためにユーザが設定する値であり、本発明の「所定の電力」の一例である。
【0055】
(S203)
ステップS203では、ステップS202において順潮流の電力値の大きさが所定の閾値よりも大きいと判定された場合、逆潮流防止制御部122aは、現在の出力制御目標値を維持する。
【0056】
(S204)
ステップS204では、ステップS203において順潮流の電力値の大きさが所定の閾値以下であると判定された場合、逆潮流防止制御部122aは、現在の出力制御目標値を減少させた新たな出力制御目標値を設定する。ここで、新たな出力制御目標値は、CT入力回路(15a、15b)から入力される電流検出信号、電圧入力回路(35a、35b)から入力される電圧検出信号、及びCT入力回路(ADコンバータ)15cから入力される検出信号を使用して決定される。新たな出力制御目標値は、例えば理論式やノウハウ等に基づき、逆潮流が発生しないように可及的に大きな値に設定されてもよい。また、ステップS201において、商用電力系統5に逆潮流が起こっていると判定された場合も、逆潮流防止制御部122aは、現在の出力制御目標値を減少させた新たな出力制御目標値を設定する。
【0057】
また、更新された出力制御目標値は、通信ケーブル22を介して、Slaveパワーコンディショナ(10b、10c・・・)に送信される。Slaveパワーコンディショナ(10b、10c、・・・)においては、Masterパワーコンディショナ10aからの指令に基づいて、自らにおける出力制御目標が同じ値になるように逆潮流防止制御部(122b、122c、・・・)が出力制御目標値の設定を行う。
【0058】
(S205)
ステップS205では、ステップS204で決定された新たな出力制御目標値に従い、インバータ出力制御部(121a、121b、121c、・・・)が、電力変換部(13a、13b、13c、・・・)からの出力を低下させる。
【0059】
[作用・効果]
上記のような分散型電源システム1によれば、ステップS204-ステップS205に
示されるように、商用電力系統5から負荷2、3に供給される順潮流の電力が所定の閾値以下である場合に、電力変換部(13a、13b、13c、・・・)からの出力を低下させている。よって、負荷2、3から商用電力系統5への逆潮流は簡易に抑制される。また、逆潮流防止制御部(122b、122c、・・・)において設定される新たな出力制御目標値は、CT入力回路(15a、15b)から入力される電流検出信号、電圧入力回路(35a、35b)から入力される電圧検出信号、及びCT入力回路(ADコンバータ)15cから入力される検出信号を使用して決定されている。よって、電力変換部(13a、13b、13c、・・・)からの出力は、必要以上に減らさずに済む。よって、太陽光発電装置20において発電された電力は、逆潮流を簡易に抑制しつつも可及的に負荷へ供給可能となる。
【0060】
また、上記のような分散型電源システム1によれば、負荷2、3での消費エネルギーや太陽光発電装置20で発電される電力が急激に変動し、商用電力系統5へ供給される電力を調節するだけでは逆潮流を解消できない場合であっても、段階的にパワーコンディショナを商用電力系統5から切り離すことで逆潮流を解消することができる。また、このように逆潮流を解消しつつも、全てのパワーコンディショナ(10、10a、10b、10c、
・・・)は系統から切断されないため、太陽光発電装置20において発電された電力は、可及的に負荷2、3へ供給されるといえる。
【0061】
また、上記のような分散型電源システム1によれば、検出残時間t2の間に段階的にパ
ワーコンディショナを商用電力系統5から切断しても逆潮流が解消されない場合、検出残時間t2の経過後に全てのパワーコンディショナ(10、10a、10b、10c、・・・
)を一括して商用電力系統5から切り離している。このような分散型電源システム1は、負荷2、3における消費エネルギーの変動又は太陽光発電装置20において発電される電力の変動が急激であり、パワーコンディショナを段階的に停止する程度では逆潮流が解消されない場合であっても、検出残時間t2の経過後には逆潮流を確実に解消させることが
できる。また、検出残時間t2の間は、パワーコンディショナは段階的に停止されるため
、太陽光発電装置20において発電された電力は、可及的に負荷2、3へ供給されるといえる。
【0062】
また、負荷2、3における消費エネルギーの変動又は太陽光発電装置20において発電された電力の変動が急激であると、商用電力系統5に流れる電流が定常的に順潮流であっても瞬間的に逆潮流となる場合が考えられる。このような場合、上記の分散型電源システム1によれば、潮流方向判定部123aが、現時点からみて過去の各分割期間偏差Amin[n]の平均値が、RPR検出レベルよりも大きい否かによって商用電力系統5に流れる電流が順潮流であるか、あるいは逆潮流であるかを判定している。よって、商用電力系統5に流れる電流が定常的に順潮流であって瞬間的に逆潮流となる場合であっても、潮流方向判定部123aが系統に逆潮流が生じていると誤判定することは抑制される。よって、このような場合、パワーコンディショナの解列は抑制され、太陽光発電装置20において発電された電力は、可及的に負荷2、3へ供給される。また逆に、商用電力系統5に流れる電流が定常的に逆潮流であって瞬間的に順潮流となる場合であっても、潮流方向判定部123aが系統に順潮流が生じていると誤判定することは抑制される。よって、このよう
な場合、パワーコンディショナの連係は抑制され、定常的に生じている逆潮流は解消される。
【0063】
なお、ステップS103において、検出残時間t1を現時点から夫々のパワーコンディショナ(10a、10b・・・)の出力を低下させることを実行するまでの期間としてもよい。このように決定されたt1は、逆潮流防止制御部122aから逆潮流防止制御部(122b、122c・・・)へ通信ケーブル22を介して送信される。そして、逆潮流防止制御部(122b、122c・・・)の夫々は、時刻が逆潮流防止制御部122aから受信したt1となった時に、現在の出力制御目標値を減少させた新たな出力制御目標値を設定する。また、逆潮流防止制御部122aにおいても、t1となった時に、現在の出力制御目標値を減少させた新たな出力制御目標値を設定することは勿論のことである。そして、新たな出力制御目標値に従い、インバータ出力制御部(121a、121b、121c、・・・)が、電力変換部(13a、13b、13c、・・・)からの出力を低下させる。このような場合、パワーコンディショナから負荷へ供給される総電力は段階的に減少することになるため、上記と同様の効果を奏することができる。なお、このような場合、RPR検出レベルが、本発明の「第3の所定の電力」の一例である。また、潮流方向判定部123a及び逆潮流防止制御部122aが、本発明の「第2の判定部」の一例である。また、逆電力継電器47が、本発明の「第2の切断装置」の一例である。また、検出残時間t1が、本発明の「第2の所定期間」の一例である。
【0064】
また、上記のような分散型電源システム1によれば、系統6a、6bおよびCT入力回路15a、15bがパワーコンディショナ10の外部に設けられ、商用電力系統5と負荷2、3との間を流れる電流の向きと大きさを検出信号としてパワーコンディショナ10の制御部12に入力する。また、電圧入力回路35a、35bがパワーコンディショナ10の外部に設けられ、商用電力系統5の電圧(系統電圧)を検出信号として制御部12へ入力する。よって、CT入力回路15a、15bおよび電圧入力回路35a、35bにより検出可能な電流の大きさ及び電圧の大きさがパワーコンディショナ10により制限されることは抑制される。よって、上記のような分散型電源システム1によれば、高圧や特別高圧の電力を計測することが可能となる。よって、より広範囲のシステムに分散型電源システム1を適用できる。
【0065】
§3 変形例
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略した。以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0066】
<3.1>
図6は、第1変形例に係る分散型電源システム1Aの概略構成を示す。図6に示されるように、分散型電源システム1Aは、系列Aと、系列Bとを有する。この変形例では、系列Aのために、Masterパワーコンディショナ10a及び、Slaveパワーコンディショナ(10b、10c・・・)が設けられている。また、系列Bのために、計測用Slaveパワーコンディショナ30b、及びSlaveパワーコンディショナ(30c・・・)が設けられている。これらのパワーコンディショナの内部構成は、図2に示したものと同等である。
【0067】
Masterパワーコンディショナ10aは接続線17、18、19によって、Slaveパワーコンディショナ10bは接続線17a、18a、19aによって、Slaveパワーコンディショナ10cは接続線17b、18b、19bによって、系列Aにおいて
、商用電力系統5に接続されている。また、計測用Slaveパワーコンディショナ30bは接続線37、38、39によって、Slaveパワーコンディショナ30cは接続線37a、38a、39aによって、系列Bにおいて、商用電力系統5に接続されている。
【0068】
そして、Masterパワーコンディショナ10aは、系統CT6a、6bによって、系列Aの受電点における、商用電力系統5と負荷2、3の間における電力を測定する。また、計測用Slaveパワーコンディショナ30bは、系統CT36a、36bによって、系列Bの受電点における、商用電力系統5と負荷32、33の間における電力を測定する。
【0069】
そして、Masterパワーコンディショナ10aと計測用Slaveパワーコンディショナ30bとの間は、CAN通信が可能な通信ケーブル22によって接続されている。同様にして、Masterパワーコンディショナ10a及びSlaveパワーコンディショナ(10b、10c・・・)の夫々のパワーコンディショナの間、並びに計測用Slaveパワーコンディショナ30b及びSlaveパワーコンディショナ(30c・・・)の夫々のパワーコンディショナの間も、通信ケーブル22によって接続されている。
【0070】
本変形例においては、系列Aと、系列Bとで、測定箇所を2カ所に分けて、各々の系列におけるMasterパワーコンディショナ10a及びSlaveパワーコンディショナ(10b、10c・・・)と、計測用Slaveパワーコンディショナ30b及びSlaveパワーコンディショナ(30c・・・)とによる出力電力を合算した合算出力が、RPR検出レベルよりも小さくなる範囲で最大となるように制御される。また、各々の系列A及び系列Bにおける各パワーコンディショナの出力の制御の内容は、実施形態において説明したものと同様である。
【0071】
より詳細には、系列Aにおいては、Masterパワーコンディショナ10aの制御における出力制御目標値は、Masterパワーコンディショナ10a及びSlaveパワーコンディショナ(10b、10c・・・)の合計の定格出力を100%とした場合の、各パワーコンディショナの出力の割合(%)を制御量として制御される。そして、Slaveパワーコンディショナ10b、10cにおいては、Masterパワーコンディショナ10aからの指令に基づいて、自らにおける出力制御目標値(%)が同じ値になるような制御が行われる。また、系列Bにおいては、計測用Slaveパワーコンディショナ30bの制御における出力制御目標値は、計測用Slaveパワーコンディショナ30b、及びSlaveパワーコンディショナ(30c・・・)の合計の定格出力を100%とした場合の、各パワーコンディショナの出力の割合(%)を制御量として制御される。Slaveパワーコンディショナ(30c・・・)においては、計測用Slaveパワーコンディショナ30bからの指令に基づいて、自らにおける出力制御目標値(%)が同じ値になるような制御が行われる。
【0072】
なお、本変形例においては、Masterパワーコンディショナ10aの逆潮流防止制御部122aは、検出残時間t1及びt2の情報をSlaveパワーコンディショナ30b及びSlaveパワーコンディショナ30bに接続されているパワーコンディショナ(30c・・・)(Slave/Slaveパワーコンディショナという)へ送る際に、例
えばSlaveパワーコンディショナ(10b、10c・・・)へ検出残時間t1及びt2の情報を送る時よりも48ms送らせて送信する。このように検出残時間t1及びt2の送信のタイミングが調節されることで、親であるMasterパワーコンディショナ10aの停止と同時にSlaveパワーコンディショナ30b又はSlave/Slave
パワーコンディショナ(30c・・・)が停止されることは抑制される。つまり、親であるMasterパワーコンディショナ10aの停止と、Slaveパワーコンディショナ30b又はSlave/Slaveパワーコンディショナ(30c・・・)の停止とは、
段階的に実現される。
【0073】
[作用・効果]
上記のような分散型電源システム1Aによれば、例えば系列Aにおいては、Masterパワーコンディショナ10a及びSlaveパワーコンディショナ(10b、10c・・・)による出力電力より負荷2,3による消費電力が大きく、系列Bにおいては、計測用Slaveパワーコンディショナ30b及びSlaveパワーコンディショナ(30c・・・)による出力電力が負荷32、33による消費電力より大きいような場合には、計測用Slaveパワーコンディショナ30b及びSlaveパワーコンディショナ(30c・・・)による出力電力を、負荷2,3に供給する等の制御を行うことができる。そして、その上で、商用電力系統5への逆潮流を抑制することができる。
【0074】
また、複数のパワーコンディショナの合計の定格出力に対する比率(%)を制御量とするので、パワーコンディショナの台数が増えても、各パワーコンディショナに同じアルゴリズムを使用することが可能である。このように、本実施例に係る制御によれば、分散型電源システム1Aのシステム構成の自由度が増加し、分散型電源システム1Aの設置が容易となる。その結果、導入コストや手間を省略し、分散型電源システムの普及を促進することが可能である。また、また、複数のパワーコンディショナの合計の定格出力に対する比率(%)を制御量として制御を行うので、パワーコンディショナ毎に出力電力の揺らぎが異なっていても、適切な制御が可能である。
【0075】
<3.2>
図7は、変形例に係る分散型電源システム1Bの概略構成を示す。図7に示されるように、分散型電源システム1Bが接続される商用電力系統5bには、高圧(6,600V)の商用電源7と接続される三相3線式のr相、s相、t相の電力線を通じて電力が供給される。ここで、r相とs相との間、s相とt相との間、s相とr相との間はΔ結線される。そして、高圧の三相電力のうち一相の電力がトランス4を介して単相の低圧(200/100V)電力に変換され、変換された電力は、負荷2,3に供給される。図7では、トランス4に接続された単相3線式のU相と中性線Oとの間に負荷2が、W相と中性線Oとの間に負荷3がそれぞれ接続されている。、また、商用電源7から電力を受電する受電点Rpとトランス4との間には、r相に流れる電流を検出するCT6aと、t線を流れる電流を検出するCT6bとが接続される。また、負荷2、3に接続される単相3線式の電力線には、複数のパワーコンディショナ(10a、10b、10c、・・・)が接続される。
【0076】
[作用・効果]
第2変形例に係る分散型電源システム1Bによれば、単相3線式の電力線から三相3線式の電力線r相及びt相へ逆潮流が発生することを抑制しつつ、各パワーコンディショナ(10a、10b、10c、・・・)に接続された太陽光発電装置(不図示)の出力を可及的に高出力に制御することが可能であり、太陽光発電装置による発電電力をより効率的に利用することが可能である。
【0077】
<3.3>
図8には、第3変形例に係る分散型電源システム1Cの概要が例示されている。図8に示されるように、分散型電源システム1Cは、三相の負荷2a及び単相の負荷2、3と、高圧配電線21とに接続される例を示す。この変形例では、高圧配電線21からの電力を、キュービクル52bを介して、需要家構内52aにおける三相の負荷2aと、単相の負荷2、3に供給している。Masterパワーコンディショナ10a及びSlaveパワーコンディショナ(10b、10c、・・・)の構成は、図2に示されるものと同等である。Masterパワーコンディショナ10a及びSlaveパワーコンディショナ(1
0b、10c、・・・)の出力端は、単相の負荷2、3とキュービクル52bの間に接続されており、系統CT6a、6bは、高圧配電線21とキュービクル52bの間の受電点に設けられている。
【0078】
[作用・効果]
第3変形例においては、需要家構内52aのキュービクル52bから高圧配電線21への逆潮流を抑制しつつ、各パワーコンディショナに接続された太陽光発電装置(不図示)の出力を可及的に高出力に制御することが可能であり、太陽光発電装置による発電電力をより効率的に利用することが可能である。
【0079】
<その他変形例>
上記の分散型電源システム1において、Slaveパワーコンディショナの代わりに蓄電池が使用されてもよい。また、上記の分散型電源システム1において、負荷2、3は、例えば充電が必要な電気自動車であってもよい。また、太陽光発電装置20の代わりに燃料電池やガスエンジンが使用されてもよい。また、上記の分散型電源システム1において、検出残時間t2後に、パワーコンディショナ(10a、10b、10c、・・・)は一
括停止されなくともよい。また、上記の分散型電源システム1において、潮流方向判定部123aが、現時点からみて過去の各分割期間偏差Amin[n]の平均値ではなく、現時点の制御偏差に基づいて逆潮流が起こっているか否かを判定してもよい。
【0080】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせる事ができる。
【0081】
なお、以下には本発明の構成要件と実施例の構成とを対比可能とするために、本発明の構成要件を図面の符号付きで記載しておく。
<付記1>
直流電力を発電する発電装置(20)と、前記発電装置(20)によって発電された直流電力を交流に変換するパワーコンディショナ(10、30)であって、電力供給対象である負荷(2、2A、3、32、33)に電力を供給する3線式商用電力系統(5、5b)と電気的に接続されるパワーコンディショナ(10、30)と、を備える分散型電源システム(1、1A、1B、1C)であって、
制御部(12)を有する複数の前記パワーコンディショナ(10、30)と、
前記3線式商用電力系統(5、5b)のうちの2線以上と接続され、前記2線の夫々の電流の向きと大きさを測定する第1のCT入力回路(15a、15b)と、
前記2線の夫々に設けられ、前記2線の夫々の電圧を測定する電圧入力回路(35a、35b)と、
複数の前記パワーコンディショナ(10、30)を前記3線式商用電力系統(5、5b)から切り離す切断装置(47)と、を備え、
前記パワーコンディショナ(10、30)は、
前記発電装置(20)が発電した電力の位相を、商用電源から前記3線式商用電力系統(5、5b)へ供給される電力の位相と同期させるように、前記発電装置(20)が発電した電力を交流電力に変換し、前記交流電力を出力するインバータ回路(13)と、
前記インバータ回路(13)から出力された前記交流電力の電流の大きさを検出する出力電流計測器(14)と、
前記出力電流計測器(14)により検出された検出信号を前記制御部(12)へ入力する第2のCT入力回路(15c)と、をさらに有し、
前記制御部(12)には、前記第1のCT入力回路路(15a、15b)において測定された電流および/または前記電圧入力回路(35a、35b)において測定された電圧に基づく信号が入力され、
前記制御部(12)は、前記第1のCT入力回路(15a、15b)、前記電圧入力回路(35a、35b)、前記出力電流計測器(14)、及び前記第2のCT入力回路(1
5c)からの信号を受けて、前記3線式商用電力系統(5、5b)から前記負荷(2、2A、3、32、33)に供給される電力が所定の電力以下である場合に、前記インバータ回路(13)から前記3線式商用電力系統(5、5b)へ流れる前記交流電力の大きさを調整するように前記インバータ回路(13)を制御し、
前記切断装置(47)は、前記3線式商用電力系統(5、5b)から前記負荷(2、2A、3、32、33)に供給される電力が第2の所定の電力以下と判定された時点から所定期間内に複数の前記パワーコンディショナ(10、30)を前記3線式商用電力系統(5、5b)から段階的に切り離し、
前記切断装置(47)は、前記所定期間経過後に前記3線式商用電力系統(5、5b)から前記負荷(2、2A、3、32、33)に供給される電力が前記第2の所定の電力以下と判定された場合、前記パワーコンディショナ(10、30)を一括して前記3線式商用電力系統(5、5b)から切り離し、
前記第1のCT入力回路(15a、15b)および/または前記電圧入力回路(35a、35b)は、前記パワーコンディショナ(10、30)の外部に配置されると共に、前記制御部(12)に接続されたことを特徴とする、
分散型電源システム(1、1A、1B、1C)。
<付記2>
前記制御部(12)は、複数の前記パワーコンディショナ(10、30)を前記3線式商用電力系統から切り離すか否かを判定する判定部(123)を有し、
前記判定部(123)は、判定する時点から過去の所定時点までの前記3線式商用電力系統(5、5b)に流れる電流に関する値の平均値に基づき、複数の前記パワーコンディショナ(10、30)を前記3線式商用電力系統(5、5b)から切り離すか否かを判定する、
付記1に記載の分散型電源システム(1、1A、1B、1C)。
<付記3>
直流電力を発電する発電装置(20)と、前記発電装置(20)によって発電された直流電力を交流に変換するパワーコンディショナ(10、30)であって、電力供給対象である負荷(2、2A、3、32、33)に電力を供給する3線式商用電力系統(5、5b)と電気的に接続されるパワーコンディショナ(10、30)と、を備える分散型電源システム(1、1A、1B、1C)であって、
制御部(12)を有する複数の前記パワーコンディショナ(10、30)と、
前記3線式商用電力系統(5、5b)のうちの2線以上と接続され、前記2線の夫々の電流の向きと大きさを測定する第1のCT入力回路(15a、15b)と、
前記2線の夫々に設けられ、前記2線の夫々の電圧を測定する電圧入力回路(35a、35b)と、を備え、
前記パワーコンディショナ(10、30)は、
前記発電装置(20)が発電した電力の位相を、商用電源から前記3線式商用電力系統(5、5b)へ供給される電力の位相と同期させるように、前記発電装置(20)が発電した電力を交流電力に変換し、前記交流電力を出力するインバータ回路(13)と、
前記インバータ回路(13)から出力された前記交流電力の電流の大きさを検出する出力電流計測器(14)と、
前記出力電流計測器(14)により検出された検出信号を前記制御部(12)へ入力する第2のCT入力回路(15c)と、をさらに有し、
前記制御部(12)には、前記第1のCT入力回路路(15a、15b)において測定された電流および/または前記電圧入力回路(35a、35b)において測定された電圧に基づく信号が入力され、
前記制御部(12)は、前記第1のCT入力回路(15a、15b)、前記電圧入力回路(35a、35b)、前記出力電流計測器(14)、及び前記第2のCT入力回路(15c)からの信号を受けて、前記3線式商用電力系統(5、5b)から前記負荷(2、2A、3、32、33)に供給される電力が所定の電力以下である場合に、前記インバータ
回路(13)から前記3線式商用電力系統(5、5b)へ流れる前記交流電力の大きさを調整するように前記インバータ回路(13)を制御し、
前記制御部(12)は、前記3線式商用電力系統(5、5b)から前記負荷(2、2A、3、32、33)に供給される電力が第3の所定の電力以下と判定された時点から第2の所定期間内に複数の前記パワーコンディショナ(10、30)の出力を段階的に低下させ、
前記第2の所定期間経過後に前記3線式商用電力系統(5、5b)から前記負荷(2、2A、3、32、33)に供給される電力が前記第3の所定の電力以下と判定された場合、前記パワーコンディショナ(10、30)を一括して前記3線式商用電力系統(5、5b)から切り離す第2の切断装置(47)を備え、
前記第1のCT入力回路(15a、15b)および/または前記電圧入力回路(35a、35b)は、前記パワーコンディショナ(10、30)の外部に配置されると共に、前記制御部(12)に接続されたことを特徴とする、
分散型電源システム(1、1A、1B、1C)。
<付記4>
前記制御部(12)は、複数の前記パワーコンディショナ(10、30)の出力を低下させるか否かを判定する第2の判定部(123)を有し、
前記第2の判定部(123)は、判定する時点から過去の所定時点までの前記3線式商用電力系統(5、5b)に流れる電流に関する値の平均値に基づき、複数の前記パワーコンディショナ(10、30)の出力を低下させるか否かを判定する、
付記3に記載の分散型電源システム(1、1A、1B、1C)。
<付記5>
発電装置(20)によって発電された直流電力を交流に変換するパワーコンディショナ(10、30)であって、電力供給対象である負荷(2、2A、3、32、33)に電力を供給する3線式商用電力系統(5、5b)と電気的に接続されるパワーコンディショナ(10、30)であって、
複数の前記パワーコンディショナ(10、30)を前記3線式商用電力系統(5、5b)から切り離すか否かを判定する判定部(123)を有する制御部(12)と、
前記発電装置(20)が発電した電力の位相を、商用電源から前記3線式商用電力系統(5、5b)へ供給される電力の位相と同期させるように、前記発電装置(20)が発電した電力を交流電力に変換し、前記交流電力を出力するインバータ回路(13)と、
前記インバータ回路(13)から出力された前記交流電力の電流の大きさを検出する出力電流計測器(14)と、
前記出力電流計測器(14)により検出された検出信号を前記制御部(12)へ入力する第2のCT入力回路(15c)と、を備え、
前記制御部(12)には、前記3線式商用電力系統(5、5b)のうちの2線以上と接続され、前記2線の夫々の電流の向きと大きさを測定する第1のCT入力回路(15a、15b)において測定された電流、および/または前記2線の夫々に設けられ、前記2線の夫々の電圧を測定する電圧入力回路(35a、35b)において測定された電圧に基づく信号が入力され、
前記制御部(12)は、前記第1のCT入力回路(15a、15b)、前記電圧入力回路(35a、35b)、前記出力電流計測器(14)、及び前記第2のCT入力回路(15c)からの信号を受けて、前記3線式商用電力系統(5、5b)から前記負荷(2、2A、3、32、33)に供給される電力が所定の電力以下である場合に、前記インバータ回路(13)から前記3線式商用電力系統(5、5b)へ流れる前記交流電力の大きさを調整するように前記インバータ回路(13)を制御し、
前記判定部(123)は、前記3線式商用電力系統(5、5b)から前記負荷(2、2A、3、32、33)に供給される電力が第2の所定の電力以下である場合、所定期間内に複数の前記パワーコンディショナ(10、30)を前記3線式商用電力系統(5、5b)から段階的に切り離すと判定し、
前記判定部(123)は、前記所定期間経過後に前記3線式商用電力系統(5、5b)から前記負荷(2、2A、3、32、33)に供給される電力が前記第2の所定の電力以下である場合、複数の前記パワーコンディショナ(10、30)を一括して前記3線式商用電力系統(5、5b)から切り離すと判定し、
前記制御部(12)は、外部に配置された前記第1のCT入力回路(15a、15b)および/または前記電圧入力回路(35a、35b)と接続されたことを特徴とする、
パワーコンディショナ(10、30)。
<付記6>
発電装置(20)によって発電された直流電力を交流に変換するパワーコンディショナ(10、30)であって、電力供給対象である負荷(2、2A、3、32、33)に電力を供給する3線式商用電力系統(5、5b)と電気的に接続されるパワーコンディショナ(10、30)であって、
複数の前記パワーコンディショナ(10、30)の出力を低下させるか否かを判定する第2判定部(123)を有する制御部(12)と、
前記発電装置(20)が発電した電力の位相を、商用電源から前記3線式商用電力系統(5、5b)へ供給される電力の位相と同期させるように、前記発電装置(20)が発電した電力を交流電力に変換し、前記交流電力を出力するインバータ回路(13)と、
前記インバータ回路(13)から出力された前記交流電力の電流の大きさを検出する出力電流計測器(14)と、
前記出力電流計測器(14)により検出された検出信号を前記制御部(12)へ入力する第2のCT入力回路(15c)と、を備え、
前記制御部(12)には、前記3線式商用電力系統(5、5b)のうちの2線以上と接続され、前記2線の夫々の電流の向きと大きさを測定する第1のCT入力回路(15a、15b)において測定された電流、および/または前記2線の夫々に設けられ、前記2線の夫々の電圧を測定する電圧入力回路(35a、35b)において測定された電圧に基づく信号が入力され、
前記制御部(12)は、前記第1のCT入力回路(15a、15b)、前記電圧入力回路(35a、35b)、前記出力電流計測器(14)、及び前記第2のCT入力回路(15c)からの信号を受けて、前記3線式商用電力系統(5、5b)から前記負荷(2、2A、3、32、33)に供給される電力が所定の電力以下である場合に、前記インバータ回路(13)から前記3線式商用電力系統(5、5b)へ流れる前記交流電力の大きさを調整するように前記インバータ回路(13)を制御し、
前記第2判定部(123)は、前記3線式商用電力系統(5、5b)から前記負荷(2、2A、3、32、33)に供給される電力が第3の所定の電力以下と判定された時点から第2の所定期間内に複数の前記パワーコンディショナ(10、30)の出力を段階的に低下させると判定し、
前記第2判定部(123)は、前記第2の所定期間経過後に前記3線式商用電力系統(5、5b)から前記負荷(2、2A、3、32、33)に供給される電力が前記第3の所定の電力以下と判定された場合、複数の前記パワーコンディショナ(10、30)の出力を一括して低下させると判定し、
前記制御部(12)は、外部に配置された前記第1のCT入力回路(15a、15b)および/または前記電圧入力回路(35a、35b)と接続されたことを特徴とする、
パワーコンディショナ(10、30)。
【符号の説明】
【0082】
1、1A、1B、1C :分散型電源システム
2、2a、3、32、33 :負荷
4 :トランス
5、5b :商用電力系統
6a、6b、36a、36b :系統CT
10、30 :パワーコンディショナ
11 :記憶部
12 :制御部
13 :電力変換部
14 :出力CT
15 :入力回路
16 :信号出力部
17、18、19、37、38、39 :接続線
18 :接続線
19 :接続線
20 :太陽光発電装置
21 :高圧配電線
22 :通信ケーブル
35 :電圧入力回路
47 :逆電力継電器
48 :タイマー
52a :需要家構内
52b :キュービクル
122 :逆潮流防止制御部
123 :潮流方向判定部
図1
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図3
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図6
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図8