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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】制振システム及び制振方法
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/02 20060101AFI20240514BHJP
   E04H 9/02 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
F16F15/02 E
E04H9/02 311
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020195669
(22)【出願日】2020-11-26
(65)【公開番号】P2022084070
(43)【公開日】2022-06-07
【審査請求日】2023-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平田 寛
(72)【発明者】
【氏名】内海 良和
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-231897(JP,A)
【文献】特開平04-143377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/02
E04H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の引張材によって支持されて架構フレームに設けられた振動減衰装置を有し、
前記複数の引張材は、第1引張材と第2引張材を有し、
前記架構フレームが振動により変形する際、前記第1引張材に引張力が作用するとともに前記第2引張材に圧縮力が作用し、
前記振動減衰装置は、
前記架構フレームが振動により変形する際、前記第1引張材に作用する引張力により変形する変形枠材と、
前記変形枠材に接続され、前記変形枠材の変形に応じて前記振動を減衰させるダンパと、を有し、
前記第2引張材に作用する圧縮力による前記第2引張材の圧縮変形を抑制する圧縮変形抑制機構を有することを特徴とする制振システム。
【請求項2】
請求項1に記載の制振システムであって、
前記第2引張材は、前記変形枠材と回動自在に接続する接続部を有し、
前記圧縮変形抑制機構は、前記接続部において、前記第2引張材と前記変形枠材とが前記圧縮力の圧縮方向に相対変位可能とすることを特徴とする制振システム。
【請求項3】
請求項2に記載の制振システムであって、
前記圧縮変形抑制機構は、前記接続部に設けられた引張材孔部を有し、
前記引張材孔部と前記変形枠材に設けられた変形枠材孔部とが重ねられた状態で前記引張材孔部及び前記変形枠材孔部にピン部材が挿通されて、前記第2引張材と前記変形枠材とが回動自在に接続されており、
前記引張材孔部は、前記圧縮方向に沿った方向に長い長孔であり、
該長孔には、前記ピン部材が挿通された挿通部分と、前記圧縮力が作用した際に前記第2引張材と前記変形枠材とを前記圧縮方向に相対変位させるための隙間部分と、が設けられていることを特徴とする制振システム。
【請求項4】
請求項3に記載の制振システムであって、
前記圧縮変形抑制機構は、弾性部材を有し、
前記隙間部分に前記弾性部材が設けられていることを特徴とする制振システム。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の制振システムであって、
前記変形枠材は、未変形状態において正面から見て矩形状であり、
前記変形枠材孔部は、前記矩形状の4隅にそれぞれ設けられており、
4隅にそれぞれ設けられた前記変形枠材孔部の各々に対応する4つの前記引張材孔部の全てが、前記長孔であることを特徴とする制振システム。
【請求項6】
請求項3又は請求項4に記載の制振システムであって、
前記変形枠材は、未変形状態において正面から見て矩形状であり、
前記変形枠材孔部は、前記矩形状の4隅にそれぞれ設けられており、
4隅にそれぞれ設けられた前記変形枠材孔部の各々に対応する4つの前記引張材孔部のうち、上側と下側のいずれか一方側の2つの前記引張材孔部のみが前記長孔であることを特徴とする制振システム。
【請求項7】
請求項6に記載の制振システムであって、
前記架構フレームは、未変形状態において正面から見て矩形状であり、
前記変形枠材を正面から見たときの前記変形枠材の中心の上下方向における位置は、前記架構フレームを正面から見たときの前記架構フレームの中心の上下方向における位置よりも、前記一方側とは反対の他方側に位置することを特徴とする制振システム。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の制振システムであって、
前記圧縮変形抑制機構は、前記架構フレーム及び前記第2引張材に固定され、前記第2引張材の前記圧縮力による変位を抑制する座屈補剛を有することを特徴とする制振システム。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の制振システムを用いた制振方法であって、
前記第2引張材に引張力を付与した状態で、前記第2引張材を前記架構フレームに設けることを特徴とする制振方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制振システム及び制振方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の引張材によって支持されて架構フレームに設けられた振動減衰装置を有し、振動減衰装置は、架構フレームが振動により変形する際、引張材に作用する引張力により変形する変形枠材と、変形枠材に接続され、変形枠材の変形に応じて振動を減衰させるダンパとを有する引張ブレース制振システムは、よく知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-144556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の引張ブレース制振システムにおいては、地震による水平力等が架構フレームに作用して架構フレームに変位が生じたときに、ダンパが作用し始めるまでは引張材に圧縮力が作用するので、引張材が座屈してしまうおそれがあった。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、架構フレームに変位が生じたときに、引張材の座屈を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、複数の引張材によって支持されて架構フレームに設けられた振動減衰装置を有し、前記複数の引張材は、第1引張材と第2引張材を有し、前記架構フレームが振動により変形する際、前記第1引張材に引張力が作用するとともに前記第2引張材に圧縮力が作用し、前記振動減衰装置は、前記架構フレームが振動により変形する際、前記第1引張材に作用する引張力により変形する変形枠材と、前記変形枠材に接続され、前記変形枠材の変形に応じて前記振動を減衰させるダンパと、を有し、前記第2引張材に作用する圧縮力による前記第2引張材の圧縮変形を抑制する圧縮変形抑制機構を有することを特徴とする制振システムである。
【0007】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、架構フレームに変位が生じたときに、第2引張材の座屈を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る制振システムの正面図である。
図2】振動減衰装置5の正面拡大図である。
図3図2のA-A断面図である。
図4図2のB-B断面図である。
図5】振動減衰装置5の分解斜視図である。
図6】第1実施形態に係る圧縮変形抑制機構を説明するための説明図である。
図7】従来例における第1引張材40及び第2引張材40’に作用する圧縮力を説明するための説明図である。
図8】第2実施形態に係る圧縮変形抑制機構を説明するための説明図である。
図9】第3実施形態に係る圧縮変形抑制機構を説明するための説明図である。
図10】第4実施形態に係る振動減衰装置5の正面拡大図である。
図11】第5実施形態に係る制振システムの正面概略図である。
図12】圧縮抑制するための制振方法が示された図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0011】
複数の引張材によって支持されて架構フレームに設けられた振動減衰装置を有し、前記複数の引張材は、第1引張材と第2引張材を有し、前記架構フレームが振動により変形する際、前記第1引張材に引張力が作用するとともに前記第2引張材に圧縮力が作用し、前記振動減衰装置は、前記架構フレームが振動により変形する際、前記第1引張材に作用する引張力により変形する変形枠材と、前記変形枠材に接続され、前記変形枠材の変形に応じて前記振動を減衰させるダンパと、を有し、前記第2引張材に作用する圧縮力による前記第2引張材の圧縮変形を抑制する圧縮変形抑制機構を有することを特徴とする制振システム。
【0012】
このような制振システムによれば、架構フレームに変位が生じたときに、第2引張材の座屈を抑制することができる。
【0013】
かかる制振システムであって、前記第2引張材は、前記変形枠材と回動自在に接続する接続部を有し、前記圧縮変形抑制機構は、前記接続部において、前記第2引張材と前記変形枠材とが前記圧縮力の圧縮方向に相対変位可能とすることが望ましい。
【0014】
このような制振システムによれば、架構フレームに変位が生じたときに、第2引張材と変形枠材とが相対変位するので、第2引張材の座屈を抑制することができる。
【0015】
かかる制振システムであって、前記圧縮変形抑制機構は、前記接続部に設けられた引張材孔部を有し、前記引張材孔部と前記変形枠材に設けられた変形枠材孔部とが重ねられた状態で前記引張材孔部及び前記変形枠材孔部にピン部材が挿通されて、前記第2引張材と前記変形枠材とが回動自在に接続されており、前記引張材孔部は、前記圧縮方向に沿った方向に長い長孔であり、該長孔には、前記ピン部材が挿通された挿通部分と、前記圧縮力が作用した際に前記第2引張材と前記変形枠材とを前記圧縮方向に相対変位させるための隙間部分と、が設けられていることが望ましい。
【0016】
このような制振システムによれば、架構フレームに変位が生じたときに、長孔の隙間部分において、第2引張材とピン部材とが相対変位することができるので、第2引張材の座屈を抑制することができる。
【0017】
かかる制振システムであって、前記圧縮変形抑制機構は、弾性部材を有し、前記隙間部分に前記弾性部材が設けられていることが望ましい。
【0018】
このような制振システムによれば、架構フレームに変位が生じて第2引張材に圧縮力が作用したときに、弾性部材によって圧縮力を吸収することができるので、第2引張材の座屈を抑制することができる。
【0019】
かかる制振システムであって、前記変形枠材は、未変形状態において正面から見て矩形状であり、前記変形枠材孔部は、前記矩形状の4隅にそれぞれ設けられており、4隅にそれぞれ設けられた前記変形枠材孔部の各々に対応する4つの前記引張材孔部の全てが、前記長孔であることが望ましい。
【0020】
このような制振システムによれば、4隅の全ての引張材孔部が長孔であることにより、4つの第2引張材の全てにおいて座屈を抑制することができる。
【0021】
かかる制振システムであって、前記変形枠材は、未変形状態において正面から見て矩形状であり、前記変形枠材孔部は、前記矩形状の4隅にそれぞれ設けられており、4隅にそれぞれ設けられた前記変形枠材孔部の各々に対応する4つの前記引張材孔部のうち、上側と下側のいずれか一方側の2つの前記引張材孔部のみが前記長孔であることが望ましい。
【0022】
このような制振システムによれば、上側と下側のいずれか一方側の2つの引張材孔部が長孔であることにより、4隅の全てが長孔である場合に比べて、施工時の位置だしが容易となり、かつ、一方側の2つの第2引張材の座屈を抑制することができる。
【0023】
かかる制振システムであって、前記架構フレームは、未変形状態において正面から見て矩形状であり、前記変形枠材を正面から見たときの前記変形枠材の中心の上下方向における位置は、前記架構フレームを正面から見たときの前記架構フレームの中心の上下方向における位置よりも、前記一方側とは反対の他方側に位置することが望ましい。
【0024】
このような制振システムによれば、上下方向における変形枠材の中心位置を他方側にシフトすることにより、架構フレームに変位が生じたときに、第1引張材が架構フレームの対角線に沿う位置に移動して変形枠材を一方側に引き上げるので、他方側の第2引張材に引張力が生じ、他方側の第2引張材における圧縮力を抑制することができる。
【0025】
かかる制振システムであって、前記圧縮変形抑制機構は、前記架構フレーム及び前記第2引張材に固定され、前記第2引張材の前記圧縮力による変位を抑制する座屈補剛を有することが望ましい。
【0026】
このような制振システムによれば、座屈補剛によって圧縮力が作用する引張材の一端から他端までの長さが短くなるので(架構フレーム~振動減衰装置が、架構フレーム~座屈補剛と座屈補剛~振動減衰装置に分かれて個々が短くなるので)、第2引張材の座屈を抑制することができる。
【0027】
上記した制振システムのいずれかの制振システムを用いた制振方法であって、前記第2引張材に引張力を付与した状態で、前記第2引張材を前記架構フレームに設けることを特徴とする制振方法。
【0028】
このような制振方法によれば、第2引張材に圧縮力が作用したときに、引張力と圧縮力とが打ち消しあって圧縮力を小さくすることができるので、第2引張材の座屈を抑制することができる。
【0029】
===第1実施形態===
以下に、第1実施形態に係る引張ブレース制振システム(以下、単に制振システムともいう)について、図を用いて説明する。図1は、第1実施形態に係る制振システムの正面図であり、図2は、振動減衰装置5の正面拡大図であり、図3は、図2のA-A断面図であり、図4は、図2のB-B断面図であり、図5は振動減衰装置5の分解斜視図である。
【0030】
また、以下の説明においては、立設されている柱1に沿う方向を上下方向、2本の柱1が間隔を隔てて並ぶ方向を左右方向、水平面内において左右方向と交差(直交)する方向を奥行き方向とする。
【0031】
第1実施形態に係る制振システムは、建物の構造縦材としての柱1(左柱1a及び右柱1b)と構造横材としての梁2(上梁2a及び下梁2b)により構成され、未変形状態おいて正面から見て矩形状の架構フレーム3と、架構フレーム3の対角線上にX字形状に設けられた引張材(第1引張材4及び第2引張材4’。詳しくは後述するが、架構フレーム3が変形したときに、引っ張る方向に変位させるような力(引張力)が作用する引張材を第1引張材4とし、圧縮する方向に変位させるような力(圧縮力)が作用する引張材を第2引張材4’とする)と、複数の引張材によって支持されて架構フレーム3の中央部に設けられた振動減衰装置5と、を有している。
【0032】
引張材は、図2に示すように、上側に延伸する上ブレース部4aと、下側に延伸する下ブレース部4bと、上ブレース部4aと振動減衰装置5とを連結する上ブレース連結部4cと、下ブレース部4bと振動減衰装置5とを連結する下ブレース連結部4dと、下ブレース部4bと下ブレース連結部4dを連結するスプライスプレート4eと、を有している。
【0033】
上ブレース連結部4cは、図4に示すように、3枚の上変形枠材7間に2枚設けられており、上変形枠材7から上方に突出している。そして、3枚の上変形枠材7、上変形枠材7の奥行き方向の外側両面に重ねられて振動減衰装置5の左右両端部に上下方向に沿って設けられた4枚の端部変形枠材15、及び2枚の上ブレース連結部4cには、それぞれ、上変形枠材孔部7c(変形枠材孔部に相当)と、端部変形枠材孔部15a(変形枠材孔部に相当)と、上ブレース連結部孔部4ca(引張材孔部に相当)と、が設けられており、上変形枠材孔部7c、端部変形枠材孔部15a、上ブレース連結部孔部4caにピン部材14が挿通されて、回動自在に接続されている。
【0034】
上変形枠材7よりも上方に突出している2枚の上ブレース連結部4cの上端部側には、上ブレース部4aが介在されており、対向する2枚の上ブレース連結部4c間に真ん中の上変形枠材7と上ブレース部4aとの端面同士が対向するように配置され、上ブレース連結部4cと上ブレース部4aがボルト(不図示)により締結されて、上変形枠材7と上ブレース部4aとが連結されている。なお、上変形枠材7、端部変形枠材15、上ブレース連結部4c、上ブレース部4aが、ほぼ平行に重なるようにスペーサーが適宜介在されている。
【0035】
また、下ブレース連結部4dは、図4に示すように、対向する下変形枠材8間、及び、下変形枠材8と端部変形枠材15との間に3枚設けられており、下変形枠材8から下方に突出している。そして、2枚の下変形枠材8、端部変形枠材15、及び3枚の下ブレース連結部4dには、それぞれ、下変形枠材孔部8c(変形枠材孔部に相当)と、端部変形枠材孔部15aと、下ブレース連結部孔部4da(引張材孔部に相当)と、が設けられており、下変形枠材孔部8c、端部変形枠材孔部15a、下ブレース連結部孔部4daにピン部材14が挿通されて、回動自在に接続されている。
【0036】
つまり、引張材は、変形枠材(上変形枠材7、下変形枠材8、及び端部変形枠材15)と回動自在に接続する接続部Cを有しており、引張材孔部(上ブレース連結部孔部4ca及び下ブレース連結部孔部4da)と変形枠材に設けられた変形枠材孔部(上変形枠材孔部7c、下変形枠材孔部8c、及び端部変形枠材孔部15a)とが重ねられた状態で、引張材孔部及び変形枠材にピン部材14が挿通されて、引張材と変形枠材とが回動自在に接続されている。
【0037】
下変形枠材8よりも下方に突出している3枚の下ブレース連結部4dの下端部側には、対向する下ブレース連結部4d間にそれぞれスプライスプレート4eが介在されている。
【0038】
2枚のスプライスプレート4e間には、真ん中の下ブレース連結部4dと下ブレース部4bの端面同士が対向するように配置され、スプライスプレート4eと下ブレース連結部4d及び下ブレース部4bがボルト(不図示)により締結されて、下ブレース連結部4dと下ブレース部4bとが連結されている。なお、下変形枠材8、端部変形枠材15、下ブレース連結部4d、スプライスプレート4e、下ブレース部4bが、ほぼ平行に重なるようにスペーサーが適宜介在されている。
【0039】
振動減衰装置5は、図2図5に示すように、摩擦ダンパ6と、変形枠材として、上述した3枚の上変形枠材7と、2枚の下変形枠材8と、4枚の端部変形枠材15と、を有している。また、3枚の上変形枠材7、2枚の下変形枠材8、及び4枚の端部変形枠材15はいずれも平板状の部材である。そして、変形枠材は、未変形状態において正面から見て矩形状であり、上述した変形枠材孔部は、矩形状の4隅にそれぞれ設けられている。
【0040】
3枚の上変形枠材7は、奥行き方向に互いに間隔を隔てて対面して配置され、2枚の下変形枠材8は、奥行き方向に互いに間隔を隔てて対面して配置されている。3枚の上変形枠材7の下側にて対向している部位間に、2枚の下変形枠材8の上側の部位が1枚ずつ挿入されている。すなわち、3枚の上変形枠材7は下側に、また、2枚の下変形枠材8は上側に、それぞれ奥行き方向に重なる重なり部7a、8aを有している。
【0041】
3枚の上変形枠材7の重なり部7aには、各下変形枠材8側の面に各々摩擦板9が固定されており、2枚の下変形枠材8の重なり部8aの両面には、滑り板10が固定されている。ここで、摩擦板9は、例えば、有機系摩擦材や無機系摩擦材であり、滑り板10は、例えば、ステンレスやチタンなどの耐食性を有する材料によって形成される。
【0042】
3枚の上変形枠材7の重なり部7a、及び、摩擦板9には、上下方向に適宜間隔を隔ててボルト11が挿通される円形状のボルト挿通孔7b、9aが形成されており、2枚の下変形枠材8、及び、滑り板10には、ボルト挿通孔7b、9aの間隔と同じ間隔で、左右方向に長い長孔8b、10aが設けられている。
【0043】
摩擦板9が固定された3枚の上変形枠材7と、滑り板10が固定された2枚の下変形枠材8とは、重ねられた状態でボルト挿通孔7b、9a及び長孔8b、10aにボルト11が挿通されている。挿通されたボルト11には、ボルト11の先端側に、重ねられた複数枚の皿ばね12が挿通され、ナット13が締め込まれて摩擦ダンパ6が構成されている。
【0044】
以上の構成により、架構フレーム3内の空間に設置された振動減衰装置5は、上変形枠材7、下変形枠材8、端部変形枠材15が互いに回動自在に連結されて、機構上矩形状の平行リンクとして機能する。すなわち、左右の端部変形枠材15が4つのピン部材14を関節軸として上変形枠材7及び下変形枠材8に対して回動することにより、上変形枠材7と下変形枠材8とが互いに平行な姿勢を保ったまま相対移動するように構成されている。
【0045】
換言すると、振動減衰装置5は、架構フレーム3が振動により変形する際、引張材の引張力により変形する変形枠材と、変形枠材に接続され、変形枠材の変形に応じて振動を減衰させる摩擦ダンパ6とを有している。
【0046】
また、第1実施形態に係る制振システムは、引張材に作用する圧縮力による引張材の圧縮変形を抑制する圧縮変形抑制機構Sを有している。圧縮変形抑制機構Sとは、地震による水平力等が架構フレーム3に作用して架構フレーム3に変位が生じたときに、摩擦ダンパ6が作用し始めるまでの引張材にかかる圧縮力を抑制するための機構である。つまり、圧縮変形抑制機構Sを有することにより、架構フレームに変位が生じたときに、引張材の座屈を抑制することができる。以下に、詳しく説明する。
【0047】
<<<圧縮変形抑制機構Sについて>>>
第1実施形態に係る圧縮変形抑制機構Sについて図を用いて詳しく説明する。図6は、第1実施形態に係る圧縮変形抑制機構Sを説明するための説明図である。図6Aは、架構フレーム3が未変形状態における隙間部分maの状態(図6Aの上図)と、各引張材に作用する力(図6Aの下図。ここでは力がほとんど作用していない)を示している。図6Bは、架構フレーム3が変形したときの隙間部分maの状態、及び各引張材を変位させるように作用する力の方向(図6Bの上図。変位させようとする力の方向は白抜き矢印の方向)と、摩擦ダンパ6が作用するまでに実際に引張材に作用する力の大きさと方向(図6Bの下図。力の大きさと方向は白抜き矢印の方向)を示している。図7は、図6に相当する図であり、従来例における第1引張材40及び第2引張材40’に作用する圧縮力を説明するための説明図である。
【0048】
以下では、先ず、従来例における架構フレーム3が変形したときの各部材に作用する力等を説明する。そして、従来例との比較において、第1実施形態に係る圧縮変形抑制機構Sがどのように有効に働くか説明する。
【0049】
また、以下では、架構フレーム3の上梁2aが右側に変位して(図6B図7Bに示す塗りつぶし矢印で示した方向に変位)架構フレーム3が変形した例について記載する。つまり、右上及び左下の引張材が引張力の作用する第1引張材4,40であり、左上及び右下の引張材が圧縮力の作用する第2引張材4’,40’である。なお、架構フレーム3の上梁2aが左側に変位した場合は、第1引張材4,40が右上及び左下ではなく左上及び右下の引張材なり、第2引張材4’,40’が左上及び右下ではなく右上及び左下の引張材となる。
【0050】
図7Aに示すように、架構フレーム3が未変形状態における第1引張材40及び第2引張材40’に作用する力は4本ともに力が作用していない(より厳密にいえば無視できるほどの力が作用している)。そして、図7Bに示すように、架構フレーム3の上側の上梁2aが振動等により右側に変位して架構フレーム3が変形すると、第1引張材40に引張力が作用し、左上及び右下の第2引張材40’には、摩擦ダンパ6が作用するまで圧縮力が作用する。
【0051】
つまり、複数の引張材は、第1引張材40と第2引張材40’を有し、架構フレーム3が振動により変形する際、第1引張材40に引張力が作用するとともに第2引張材40’に圧縮力が作用する。
【0052】
そして、従来例によると、地震による水平力等が架構フレーム3に作用して架構フレーム3に変位が生じたときに、摩擦ダンパ6が作用し始めるまでは第2引張材40’に圧縮力が作用するので、第2引張材40’が座屈してしまうおそれがあった。
【0053】
これに対し、第1実施形態においては、図2及び図4図4の拡大図の斜線部は孔部)に示すように、接続部Cの引張材孔部(上ブレース連結部孔部4ca及び下ブレース連結部孔部4da)を圧縮方向に沿った方向に長い長孔とし、長孔が、ピン部材14が挿通された挿通部分と、圧縮力が作用した際に第2引張材4’と変形枠材とを圧縮方向に相対変位させるための隙間部分maと、を有することとした。
【0054】
つまり、圧縮変形抑制機構Sは、接続部Cに設けられた引張材孔部を有し、引張材孔部は、圧縮方向に沿った方向に長い長孔であり、該長孔には、ピン部材14が挿通された挿通部分と、圧縮力が作用した際に第2引張材4’と変形枠材とを圧縮方向に相対変位させるための隙間部分maと、が設けられている。
【0055】
そして、第1実施形態においても、従来例と同様に、複数の引張材は、第1引張材4と第2引張材4’を有し、架構フレーム3が振動により変形する際、第1引張材4に引張力が作用するとともに第2引張材4’に圧縮力が作用する。
【0056】
つまり、架構フレーム3に変位が生じたときに(第2引張材4’に圧縮力が作用したときに)、長孔の隙間部分maにおいて、第2引張材4’とピン部材14とが相対変位することができるので、第2引張材4’の座屈を抑制することができる。
【0057】
また、第1実施形態に係る圧縮変形抑制機構Sにおいては、変形枠材孔部の全てを長孔としている。つまり、4隅にそれぞれ設けられた変形枠材孔部の各々に対応する4つの引張材孔部の全てが長孔である。そうすると、4つの第2引張材4’の全てにおいて座屈を抑制することができる。
【0058】
===第2実施形態===
次に、第2実施形態について図を用いて説明する。図8は、図6に相当する図であり、第2実施形態に係る圧縮変形抑制機構Sを説明するための説明図である。なお、以下では第1実施形態との相違点のみを説明する。
【0059】
第2実施形態における第1実施形態との相違点は、下ブレース連結部孔部4daは通常の円形状であって、圧縮変形抑制機構S(長孔)が上ブレース連結部孔部4caにのみ設けられている点である。そして、図8においては、上ブレース連結部孔部4caが長孔であるが、これに限るものではなく、上ブレース連結部孔部4caを通常の円形状とし、下ブレース連結部孔部4daを長孔としてもよい。
【0060】
つまり、4隅にそれぞれ設けられた変形枠材孔部の各々に対応する4つの引張材孔部のうち、上側と下側のいずれか一方側の2つの引張材孔部のみが長孔となっている。
【0061】
引張材孔部を長孔とすると、架構フレーム3に引張材及び振動減衰装置5を取り付ける施工の際に、引張材孔部とピン部材の位置を調整する位置出し作業が必要となる。そして、かかる位置出しは、長孔の数量が多くなるほど大変になる。
【0062】
つまり、上側と下側のいずれか一方側の2つの引張材孔部のみが長孔であれば、4隅の全てが長孔である場合に比べて、施工時の位置だしが容易となり、かつ、第2引張材4’,40’の座屈を抑制することができる。
【0063】
===第3実施形態===
次に、第3実施形態について図を用いて説明する。図9は、図8に相当する図であり、第3実施形態に係る圧縮変形抑制機構Sを説明するための説明図である。なお、以下では第2実施形態との相違点のみを説明する。
【0064】
第3実施形態における第2実施形態との相違点は、架構フレーム3内部の変形枠材の位置である。つまり、第2実施形態においては、上下方向において、架構フレーム3の中心CL1と変形枠材の中心CL2がほぼ同じ位置に位置していたが、第3実施形態においては、図9Aの下図に示すように、架構フレーム3の中心CL1の下側に変形枠材の中心CL2が位置している。
【0065】
そして、図9においては、上ブレース連結部孔部4caに圧縮変形抑制機構S(長孔)が設けられ、かつ、変形枠材の中心CL2が架構フレーム3の中心CL1より下側に位置しているが、これに限るものではなく、下ブレース連結部孔部4daを長孔とし、かつ、変形枠材の中心CL2が架構フレーム3の中心CL1より上側に位置してもよい。
【0066】
つまり、変形枠材を正面から見たときの変形枠材の中心の上下方向における位置は、架構フレーム3を正面から見たときの架構フレーム3の中心の上下方向における位置よりも、一方側(2つの引張材孔部が長孔である側)とは反対の他方側(一方側が上側の場合は下側、下側の場合は上側)に位置している。
【0067】
そうすると、架構フレーム3に変位が生じたときに(図9においては上梁2aが右側に変位)、第1引張材4,40(図9においては右上と左下の引張材)が架構フレームの対角線に沿う位置に移動して変形枠材を一方側(図9においては上側)に引き上げるので、他方側(図9においては下側)の第2引張材40’(図9においては右下の引張材)に引張力が生じて、他方側の第2引張材40’における圧縮力を抑制することができる。
【0068】
===第4実施形態===
次に、第4実施形態について図を用いて説明する。図10は、図2に相当する図であり、第4実施形態に係る振動減衰装置5の正面拡大図である。なお、以下では、第1実施形態との相違点のみを説明する。
【0069】
第4実施形態における第1実施形態との相違点は、圧縮変形抑制機構として弾性部材em(図10の斜線部)を有する点である。そして、弾性部材emは、図10に示すように、隙間部分maに設けられる。つまり、圧縮変形抑制機構は、弾性部材emを有し、隙間部分maに弾性部材emが設けられている。そうすると、架構フレーム3に変位が生じて第2引張材4’に圧縮力が作用したときに、弾性部材emによって圧縮力を吸収することができるので、第2引張材4’の座屈を抑制することができる。
【0070】
なお、弾性部材emの一例としては、ゴム部材を挙げることができる。また、図10においては、弾性部材emの形状が隙間部分maと同じ形状としているが、これに限るものではなく、例えば、隙間部分maに収まる円形状の弾性部材emを用いることもできる。
【0071】
===第5実施形態===
次に、第5実施形態について図を用いて説明する。図11は、第5実施形態に係る制振システムの正面概略図を示しており、図11Aは、第1水平座屈補剛20a、第2水平座屈補剛20bが設けられた制振システムを示しており、図11Bは、第1鉛直座屈補剛20c、第2鉛直座屈補剛20dが設けられた制振システムを示している。なお、以下では、第1実施形態との相違点のみを説明する。
【0072】
第5実施形態における第1実施形態との相違点は、圧縮変形抑制機構として座屈補剛(第1水平座屈補剛20a、第2水平座屈補剛20b、第1鉛直座屈補剛20c、及び第2鉛直座屈補剛20d)を有する点である。
【0073】
第1水平座屈補剛20a及び第2水平座屈補剛20bは、図11Aに示すように、上下方向において、上梁2aと下梁2bとの間で左右方向に沿って設けられており、左柱1a、右柱1b、及び第2引張材4’に固定されている。より具体的には、上下方向において、上梁2aと振動減衰装置5との間に第1水平座屈補剛20aが設けられ、下梁2bと振動減衰装置5との間に第2水平座屈補剛20bが設けられている。
【0074】
第1鉛直座屈補剛20c及び第2鉛直座屈補剛20dは、図11Bに示すように、左右方向において、左柱1aと右柱1bとの間で上下方向に沿って設けられており、上梁2a、下梁2b、及び第2引張材4’に固定されている。より具体的には、左右方向において、左柱1aと振動減衰装置5との間に第1鉛直座屈補剛20cが設けられ、右柱1bと振動減衰装置5との間に第2鉛直座屈補剛20dが設けられている。
【0075】
また、図11A図11Bでは、2本の座屈補剛が設けられているが、1本の座屈補剛、例えば、図11Aにおいて、第1水平座屈補剛20aが設けられていれば、第2水平座屈補剛20bが設けられいなくとも、圧縮変形抑制機構として機能する。
【0076】
つまり、圧縮変形抑制機構は、架構フレーム3及び第2引張材4’に固定され、第2引張材4’の圧縮力による変位を抑制する座屈補剛を有している。そうすると、座屈補剛によって第2引張材4’の圧縮力が作用する第2引張材4’の一端から他端までの長さが短くなるので(架構フレーム3から振動減衰装置5までの間隔が、架構フレーム3から座屈補剛までの間隔と座屈補剛から振動減衰装置5までの間隔に分かれて個々に短くなるので)、第2引張材4’の座屈を抑制することができる。
【0077】
なお、圧縮変形抑制機構が座屈補剛を有する場合、引張材孔部は、通常の円形状(従来例。図7参照)、長孔のどちらであっても(第2引張材4’,40’のいずれでも)圧縮変形を抑制することが可能となる。
【0078】
===圧縮抑制するための制振方法===
次に、上述した制振システムをさらに圧縮抑制するための制振方法の一例について、第1実施形態の制振システムで説明する。図12は、図6に相当する図であって、圧縮抑制するための制振方法が示された図である。
【0079】
図6A及び図12Aの下図に示すように、かかる圧縮抑制するための制振方法とは、引張材に予め引張力を付与することである。つまり、圧縮抑制するための制振方法の一例とは、第2引張材4’に引張力を付与した状態で、第2引張材4’を架構フレーム3に設ける制振方法である。
【0080】
そうすると、第2引張材4’には予め引張力が付与されているので、図12Bに示すように架構フレーム3の上梁2aが右側に変形して第2引張材4’(図12Bにおいては左上と右下の引張材)圧縮力が作用しても、予め作用していた引張力が圧縮力と打ち消しあい、第2引張材4’に作用する圧縮力を抑制することができる。
【0081】
なお、第2引張材4’に引張力を付与する方法としては、例えば、下ブレース部4bを上側の部材と下側の部材とに分かれた構成とし、上側の部材の下端及び下側の部材の上端に、面が対向するようにそれぞれ平板を取り付け、かかる平板にボルト孔を設けてボルトを挿通させて、ボルトにナットを取り付けて平板同士が近づく方向に締め上げることにより引張力を付与する方法が挙げられる。
【0082】
===その他の実施形態について===
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0083】
また、上記実施形態では、ダンパを摩擦ダンパ6とした例について説明したが、これに限らず、架構フレーム3の変形により左右方向の外力を制振すべく作用するダンパであれば粘性ダンパ及び粘弾性ダンパ等であっても構わない。
【0084】
また、上記実施形態では、第2引張材4’の振動減衰装置5と接続する側に隙間部分maを設けたが、これに限るものではなく、例えば、第2引張材の架構フレーム3と接続する側に隙間部分maを設けてもよい。また、変形枠材に長孔を設けてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、引張材孔部が圧縮方向に長い長孔であったが、これに限るものではなく、例えば、圧縮力が作用した際に第2引張材と変形枠材とを圧縮方向に相対変位させるための隙間を有する円形状の引張材孔部であってもよい。つまり、圧縮変形抑制機構は、接続部Cにおいて、第2引張材と変形枠材とが圧縮力の圧縮方向に相対変位可能であればよい。そうすると、架構フレーム3に変位が生じたときに、第2引張材と変形枠材とが相対変位するので、第2引張材の座屈を抑制することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 柱、1a 左柱、1b 右柱、2 梁、2a 上梁、2b 下梁、
3 架構フレーム、4 第1引張材、4’ 第2引張材、4a 上ブレース部、
4b 下ブレース部、4c 上ブレース連結部、
4ca 上ブレース連結部孔部(引張材孔部)、4d 下ブレース連結部、
4da 下ブレース連結部孔部(引張材孔部)、4e スプライスプレート、
5 振動減衰装置、6 摩擦ダンパ、7 上変形枠材、7a 重なり部、
7b ボルト挿通孔、7c 上変形枠材孔部、8 下変形枠材、8a 重なり部、
8b 長孔、8c 下変形枠材孔部、9 摩擦板、9a ボルト挿通孔、
10 滑り板、10a 長孔、11 ボルト、12 皿ばね、13 ナット、
14 ピン部材、15 端部変形枠材、15a 端部変形枠材孔部、
20a 第1水平座屈補剛、20b 第2水平座屈補剛、20c 第1鉛直座屈補剛、
20d 第2鉛直座屈補剛、40 第1引張材、40’ 第2引張材、
40c 上ブレース連結部、40d 下ブレース連結部、
S 圧縮変形抑制機構、C 接続部、em 弾性材料、ma 隙間部分、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12