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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】情報処理装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/28 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
G06F1/28
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020204370
(22)【出願日】2020-12-09
(65)【公開番号】P2022091497
(43)【公開日】2022-06-21
【審査請求日】2023-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(74)【代理人】
【識別番号】100189201
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 功
(72)【発明者】
【氏名】金谷 英治
【審査官】豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-060320(JP,A)
【文献】特開2012-123537(JP,A)
【文献】特開2011-022957(JP,A)
【文献】特開平06-309475(JP,A)
【文献】特開2016-157222(JP,A)
【文献】特表2018-505460(JP,A)
【文献】再公表特許第2009/054059(JP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0179163(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデバイスを備える情報処理装置であって、
前記複数のデバイスに供給される複数の電源電圧のうちの第1の電源電圧を監視対象電源電圧として複数の閾値電圧と比較する比較部と、
前記監視対象電源電圧が一度でも前記複数の閾値電圧のいずれかを下回った場合、閾値割れを表す信号の状態を記録部に保持するとともに、閾値割れの発生通知を出力する保持制御部と、
電圧センサによる全電源電圧のポーリングを繰り返し実施して、前記全電源電圧のうちの第2の電源電圧において警告レベルの電圧低下を検知した場合、前記監視対象電源電圧を前記第2の電源電圧に切り替える切替制御部と
を備えることを特徴とする、情報処理装置。
【請求項2】
前記閾値割れの発生通知が出力されると、前記記録部から前記閾値割れを表す信号の状態を読み出し、システムログとして記録するログ制御部を備える
ことを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記監視対象電源電圧に対応する複数の閾値電圧を生成する閾値電圧生成部を備える
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記保持制御部が、前記複数の閾値電圧毎に備えられた複数のDフリップフロップを備え、
前記監視対象電源電圧が前記複数の閾値電圧のうち所定の閾値電圧を下回った場合に、前記所定の閾値電圧に対応するDフリップフロップが、前記閾値割れを表す信号の状態を保持するとともに、前記閾値割れの発生通知を出力する
ことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
複数のデバイスを備える情報処理装置において、
前記複数のデバイスに供給される複数の電源電圧のうちの第1の電源電圧を監視対象電源電圧として複数の閾値電圧と比較することで監視し、
前記監視対象電源電圧が一度でも前記複数の閾値電圧のいずれかを下回った場合、閾値割れを表す信号の状態を記録部に保持するとともに、閾値割れの発生通知を出力し、
電圧センサによる全電源電圧のポーリングを繰り返し実施して、前記全電源電圧のうちの第2の電源電圧において警告レベルの電圧低下を検知した場合、前記監視対象電源電圧を前記第2の電源電圧に切り替える
ことを特徴とする、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サーバ(情報処理装置)は、冷却ファンを制御するコントローラデバイスや温度センサデバイス等の複数のデバイスを備える。これらのデバイスはそれぞれ電源回路から供給される電力によって動作する。
【0003】
また、サーバにおいては、各デバイスの電圧値や温度情報等を監視する監視回路を備えるものが知られている。
【0004】
監視回路は、各デバイスを操作し、サーバコンピュータの制御に必要な各種情報(例えば、電圧値や温度情報)を取得したり、サーバコンピュータに備えられた各種制御回路を制御する。制御回路は、例えば、電源回路のオフ/オンや冷却ファンの回転数指示などを制御する。
【0005】
また、サーバは、当該サーバ内の各回路へ供給する各種供給電源の電圧値(アナログ信号)をリアルタイムにデジタル表示する電圧センサデバイスを備える。
【0006】
監視回路は、電圧センサデバイスのポーリング(巡回読み出し)を定期的に行なって各電源電圧値を取得し、サーバコンピュータの動作に必要な電圧レベルが得られているかチェックを行なう。
監視回路は、電圧値に異常を検出した場合に、速やかにシステムを停止させ、電源回路に異常(故障)が発生した旨のメッセージをシステムログに記録する。
【0007】
また、監視回路においては、消費電力を削減するために、システムの負荷に応じてCPU(Central Processing Unit)やメモリに供給する電力の電源電圧を変化させる制御を行なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2010-146278号公報
【文献】特開2005-30818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような従来の監視回路において、電源電圧を制御するための制御信号にノイズなどの異常が生じると、電源回路が意図しない動作をし、瞬間的な電圧低下を発生させてシステム停止を起こすことがある。
【0010】
そして、かかる電圧低下が電圧センサデバイスのポーリング監視のタイミングとずれて発生した場合には、電圧異常検出ができないため原因不明のシステム停止が生じる。
【0011】
なお、このようなシステム停止を回避するために、ポーリング間隔を極力短くすることが考えられるが、ポーリング間隔を短くすると監視装置の負荷が高くなり、サーバシステム全体の運用制御の処理が遅延するなどの支障が生じる。
【0012】
また、制御信号の異常による電源電圧低下の場合には、低下した電圧レベルが同じであれば同じ障害原因であると判断できる可能性がある。そのため、どのレベルまで電圧低下したかを記録することも必要である。制御信号により出力電圧を変動させない一般電源の場合でも、部品ごとに動作可能な最少電圧値が異なるため、どこまで電圧が低下したかを知ることで電圧低下が影響した部品の特定が可能になる。
【0013】
しかし、このような電圧低下の記録を実現するためには、監視装置に電源監視回路の追加が必要になるが、使用する全ての電源種に対して回路追加することは部品コストの上昇を招くとともに、部品実装面積も大きくなるという課題がある。
1つの側面では、本発明は、小さい回路規模で電圧低下の検出性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このため、この情報処理装置は、複数のデバイスを備える情報処理装置であって、前記複数のデバイスに供給される複数の電源電圧のうちの第1の電源電圧を監視対象電源電圧として複数の閾値電圧と比較する比較部と、前記監視対象電源電圧が一度でも前記複数の閾値電圧のいずれかを下回った場合、閾値割れを表す信号の状態を記録部に保持するとともに、閾値割れの発生通知を出力する保持制御部と、電圧センサによる全電源電圧のポーリングを繰り返し実施して、前記全電源電圧のうちの第2の電源電圧において警告レベルの電圧低下を検知した場合、前記監視対象電源電圧を前記第2の電源電圧に切り替える切替制御部とを備える。
【発明の効果】
【0015】
一実施形態によれば、小さい回路規模で電圧低下の検出性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態の一例としての監視装置をそなえる情報処理装置のハードウェア構成を模式的に示す図である。
図2】第1実施形態の一例としての監視装置の機能構成を例示する図である。
図3】第1実施形態の一例としての監視装置の回路構成を例示する図である。
図4】第1実施形態の一例としての監視装置におけるMPUの処理を説明するフローチャートである。
図5】第2実施形態の一例としての監視装置の機能構成を例示する図である。
図6】第2実施形態の一例としての監視装置の回路構成を例示する図である。
図7】第2実施形態の一例としての監視装置における処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本情報処理装置および制御方法にかかる実施の形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、実施形態で明示しない種々の変形例や技術の適用を排除する意図はない。すなわち、各実施形態を、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、各図は、図中に示す構成要素のみを備えるという趣旨ではなく、他の機能等を含むことができる。
【0018】
(I)第1実施形態の説明
(A)構成
図1は第1実施形態の一例としての監視装置4をそなえる情報処理装置1のハードウェア構成を模式的に示す図である。
【0019】
情報処理装置1は、例えば、サーバ機能を備えたコンピュータ(サーバ)である。図1に例示する情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)2,メモリ3,電圧センサ5,デバイス6および監視装置4を備える。
これらのCPU2,メモリ3,電圧センサ5,デバイス6および監視装置4はバススイッチ7を介して通信可能に接続されている。
【0020】
CPU2は、種々の制御や演算を行なう処理装置であり、メモリ3に格納されたOS(Operating System)やプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。メモリ3はROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含む記憶メモリである。メモリ3のROMには、CPU2が実行するソフトウェアプログラムやこのプログラム用のデータ類が書き込まれる。メモリ3上のソフトウェアプログラムは、CPU2に適宜読み込まれて実行される。また、メモリ3のRAMは、一次記憶メモリあるいはワーキングメモリとして利用される。
【0021】
デバイス6は、情報処理装置1の運用制御を行なうための機能を実現するデバイスであり、情報処理装置1に複数(図1に示す例では4つ以上)備えられる。デバイス6は、例えば、冷却ファンの回転を制御するファン制御コントローラデバイスや温度センサデバイスである。
【0022】
電圧センサ5は、情報処理装置1に備えられた各装置回路に電力を供給する複数の電源(供給電源)の電圧値(アナログ値)を測定する。これらの供給電源が本監視装置4による監視対象である。なお、装置回路には、CPU2やメモリ3,デバイス6が含まれてもよい。
以下、各電圧センサ5によって測定される供給電源の電圧を監視対象電源電圧という場合がある。
【0023】
監視装置4は、監視対象電源電圧の監視を行なう。監視装置4は、監視対象電源電圧に異常を検出した場合に、当該異常に関する情報を収集してシステムログ(ログ情報)に記録する。
監視装置4は、I2Cコントローラ41を備え、このI2Cコントローラ41を介してバススイッチ7に接続されている。
図2は第1実施形態の一例としての監視装置4の機能構成を例示する図、図3はその回路構成を例示する図である。
【0024】
監視装置4は、図2に示すように、電圧値比較部13,比較結果保持部14,閾値割れ結果記録部16,リセット制御部15,MPU(Micro-Processing Unit)10,フラッシュメモリ11およびメモリ12を備える。
【0025】
本第1実施形態の監視装置4においては、監視対象電源電圧毎に、電圧値比較部13,比較結果保持部14,閾値割れ結果記録部16およびリセット制御部15が備えられる。
【0026】
電圧値比較部13は、監視対象電源電圧と閾値電圧とを比較し、その比較結果を出力する。電圧値比較部13には、監視対象電源電圧と複数種類の閾値電圧とが入力される。
【0027】
図3に示す例では、監視対象電源電圧が2.5Vであるものとする。また、電圧値比較部13に、0V,0.5V,1.0V,1.5Vおよび2.0Vの5種類の閾値電圧が入力されている。以下、閾値電圧0Vを閾値電圧#0と表す場合がある。同様に、以下、閾値電圧0.5Vを閾値電圧#1と、閾値電圧1.0Vを閾値電圧#2と、閾値電圧1.5Vを閾値電圧#3と、閾値電圧2.0Vを閾値電圧#4と、それぞれ表す場合がある。
電圧値比較部13は、監視対象電源電圧(2.5V)を低位(0V)~高位(2.0V)まで0.5V刻みで監視を行なう。
【0028】
図3に示す例においては、電圧値比較部13は複数(図3に示す例では5つ)のコンパレータ131-0~131-4を備え、これらのコンパレータ131-0~131-4のそれぞれに監視対象電源電圧が入力される。以下、コンパレータ131-0~131-4を特に区別しない場合には、コンパレータ131と表記する。
【0029】
各コンパレータ131には、5種類の閾値電圧#0~#4のいずれかが入力される。すなわち、電圧値比較部13においては、5種類の閾値電圧#0~#4毎にコンパレータ131が備えられている。
【0030】
コンパレータ131-0には閾値電圧#0が入力される。同様に、コンパレータ131-1には閾値電圧#1が、コンパレータ131-2には閾値電圧#2が、コンパレータ131-3には閾値電圧#3が、コンパレータ131-4には閾値電圧#4が、それぞれ入力される。
【0031】
各コンパレータ131において監視対象電源電圧と閾値電圧とを比較した結果が、比較結果として出力される。コンパレータ131-0が監視対象電源電圧を閾値電圧#0と比較した結果が比較結果#0として出力される。同様に、コンパレータ131-1,131-2,131-3,131-4が、監視対象電源電圧を閾値電圧#1,#2,#3,#4と比較した各結果が、比較結果#1,#2,#3,#4としてそれぞれ出力される。
【0032】
以下、閾値電圧#0~#4を特に区別しない場合には、閾値電圧#Nと表記する(Nは整数)。また、比較結果#0~#4を特に区別しない場合には、比較結果#Nと表記する。
【0033】
電圧値比較部13は、監視対象電源電圧に対する複数の閾値電圧#0~#4が入力され、監視対象電源電圧と各閾値電圧#0~#4の値とを比較する機能を備え、閾値電圧毎に比較結果を表す信号(比較結果信号)を出力する。
【0034】
コンパレータ131は、例えば、監視対象電源電圧が閾値電圧#N以上の場合には “0”(Lowレベル)を比較結果#N(比較結果信号)として出力する。一方、監視対象電源電圧が閾値電圧#N未満(下回る)場合には“1”(Highレベル)を比較結果#N(比較結果信号)として出力する。以下、監視対象電源電圧が閾値電圧#N未満の状態を閾値割れという場合がある。
電圧値比較部13から出力される比較結果信号(比較結果#N)は、比較結果保持部14に入力される。
【0035】
電圧値比較部13は、複数のデバイス6に供給される複数の電源電圧のうちの第1の電源電圧を監視対象電源電圧として複数の閾値電圧と比較する比較部に相当する。
【0036】
比較結果保持部14は、電圧値比較部13から送出される比較結果信号(比較結果#N)が入力される。比較結果保持部14は、電圧値比較部13において閾値割れが発生した際に、当該閾値割れを表す信号の状態を保持するとともに、閾値割れの発生を通知する出力信号(閾値割れ発生信号)をMPU10に対して出力する。
【0037】
図3に示す例においては、比較結果保持部14は、電圧値比較部13のコンパレータ131に対応させて、これらのコンパレータ131と同数(図3に示す例では5つ)のDフリップフロップ(D-FF)144-0~144-4を備える。
【0038】
Dフリップフロップ141-0は、電圧値比較部13のコンパレータ131-0に対応して備えられ、このコンパレータ131-0から出力される比較結果#0が、Dフリップフロップ141-0のCLK端子に入力される。Dフリップフロップ141-1は、電圧値比較部13のコンパレータ131-1に対応して備えられ、このコンパレータ131-1から出力される比較結果#0が、Dフリップフロップ141-1のCLK端子に入力される。Dフリップフロップ141-2は、電圧値比較部13のコンパレータ131-2に対応して備えられ、このコンパレータ131-2から出力される比較結果#2が、Dフリップフロップ141-2のCLK端子に入力される。Dフリップフロップ141-3は、電圧値比較部13のコンパレータ131-3に対応して備えられ、このコンパレータ131-3から出力される比較結果#3が、Dフリップフロップ141-3のCLK端子に入力される。Dフリップフロップ141-4は、電圧値比較部13のコンパレータ131-4に対応して備えられ、このコンパレータ131-4から出力される比較結果#4が、Dフリップフロップ141-4のCLK端子に入力される。
以下、Dフリップフロップ141-0~141-4を特に区別しない場合には、Dフリップフロップ141と表記する。
【0039】
電圧値比較部13のコンパレータ131から出力される比較結果信号(比較結果#N)は、比較結果保持部14における、当該コンパレータ131に対応して備えられるDフリップフロップ141に入力される。
【0040】
各Dフリップフロップ141は、RST入力部を備え、後述するリセット制御部15からRST入力部にリセット信号(Reset信号)が入力されることによりリセットされ、それぞれ出力Qは初期値“0”に設定される。
【0041】
各Dフリップフロップ141のD端子にはVcc電圧が印加されている。また、これらのDフリップフロップ141の各CLK入力端子には、電圧値比較部13の対応するコンパレータ131から出力される比較結果信号が入力される。
【0042】
これにより、電圧値比較部13のコンパレータ131が比較結果信号として“1”を出力すると、比較結果保持部14において、その比較結果信号“1”がCLK入力端子から入力されたDフリップフロップ141には“1”が取り込まれて保持される。従って、電圧値比較部13のいずれかのコンパレータ131において閾値割れの発生が検出されると、当該コンパレータ131に対応して備えられたDフリップフロップ141には“1”が保持される。
【0043】
例えば監視対象電源電圧が2.0Vよりも低くなった際に、比較結果#4が“0”から“1”に変化し、Dフリップフロップ141-4に“1”が取り込まれて保持される。
また、比較結果信号として“1”がCLK入力端子から入力されたDフリップフロップ141は、出力Qから“1”を出力する。
各Dフリップフロップ141の出力Qは、閾値割れ発生信号として閾値割れ結果記録部16に入力される。
【0044】
図3に示す例において、Dフリップフロップ141-0が出力する閾値割れ発生信号を閾値割れ発生#0と表す場合がある。同様に、Dフリップフロップ141-1~141-4が出力する閾値割れ発生信号をそれぞれ閾値割れ発生#1~#4と表す場合がある。
以下、閾値割れ発生#0~#4を特に区別しない場合には、閾値割れ発生#Nと表記する(Nは整数)。
【0045】
比較結果保持部14において、比較結果保持部14の出力である閾値割れ発生信号(閾値割れ発生#N)は、監視対象電源電圧が一度でも各々の閾値電圧#Nを下回ったことがあることを意味し、その時の値は“1”である。
【0046】
また、各Dフリップフロップ141のQ出力(閾値割れ発生信号)は、OR回路17に入力される。このOR回路17の出力はINT信号(割込み信号)として、MPU10に入力される。INT信号は、MPU10の割込み信号入力ポートに入力されてもよい。
【0047】
いずれかのDフリップフロップ141から閾値割れ発生信号“1”が出力されると、OR回路17を介して、MPU10に割込み通知が入力される。これにより、電圧値比較部13のいずれかのコンパレータ131において閾値割れの発生が検出されると、MPU10に割込み通知が行なわれる。割込み通知は、監視対象電源電圧において、いずれかの閾値電圧で閾値割れが発生したことを通知する通知信号である。
【0048】
比較結果保持部14における複数のDフリップフロップ141においては、監視対象電源電圧が複数の閾値電圧のうち所定の閾値電圧を下回った場合に、当該所定の閾値電圧に対応するDフリップフロップ141が、閾値割れを表す信号の状態を保持するとともに、閾値割れの発生通知(INT信号)を出力する。
【0049】
閾値割れ結果記録部16には、比較結果保持部14から送出された閾値割れ発生信号(閾値割れ発生#N)が入力され、この閾値割れ発生信号の値を記録する。閾値割れ結果記録部16に記録された閾値割れ発生信号の値(状態)は、MPU10から読み出すことができる。
【0050】
閾値割れ結果記録部16は、例えば、GPIO(General Purpose Input / Output)デバイスを備え、比較結果保持部14から出力される閾値割れ発生信号は、閾値割れ結果記録部16のGPIOデバイスに入力される。
【0051】
GPIOデバイスは、図示しないレジスタを内蔵し、このレジスタに入力ポート信号を取り込み、またはレジスタ値を出力ポート信号として出力することができる。GPIOデバイスにおいては、例えば、複数の入力ポート(IN-PORT#0~#4)のそれぞれに対応させてレジスタの記憶領域(レジスタレジ領域)が設けられている。これにより、比較結果保持部14から閾値割れ発生信号“1”が入力された入力ポートに対応するレジスタ領域には、“1”が記憶される。
また、GPIOデバイスにおいては、そのレジスタ値をI2Cインタフェースを介して読み書きすることができる。
【0052】
本監視装置4においては、閾値割れ結果記録部16のGPIOデバイスに入力された各閾値割れ発生信号の状態(“0”または“1”)を、MPU10がI2Cインタフェースを介して読み出す。
【0053】
上述した比較結果保持部14および閾値割れ結果記録部16が、監視対象電源電圧が一度でも複数の閾値電圧のいずれかを下回った場合、閾値割れを表す信号の状態を閾値割れ結果記録部(記録部)16に保持するとともに、閾値割れの発生通知(INT信号)を出力する保持制御部に相当する。
【0054】
リセット制御部15は、比較結果保持部14の各Dフリップフロップ141のリセットを行なう。リセット制御部15は、MPU10からの指示に従って、比較結果保持部14の各Dフリップフロップ141に対してリセット信号を入力する。
【0055】
MPU10は、種々の制御や演算を行なう処理装置であり、フラッシュメモリ11に格納されたプログラム(システム制御ファームウェア)を実行することにより、種々の機能を実現する。
【0056】
MPU10は、監視対象電源電圧に対する電圧監視を開始するに際して、比較結果保持部14に備えられた各Dフリップフロップ141を初期化するために、リセット制御部15のOUTポート#0(OUT-PORT #0)からリセット信号をアサートする。これにより、比較結果保持部14の各Dフリップフロップ141がリセットされる。
【0057】
また、MPU10は、OR回路17からINT信号が入力されると、閾値割れ結果記録部16のレジスタに格納された閾値割れ発生信号の状態(“0”または“1”)をI2Cインタフェースを介して読み出す。
【0058】
MPU10は、閾値割れ結果記録部16から読み出したレジスタ値、すなわち、閾値割れ発生信号の状態を表す値を、メモリ12の所定の記憶領域にシステムログとして記憶させる。
【0059】
MPU10は、閾値割れの発生通知(INT信号)が出力されると、閾値割れ結果記録部16から閾値割れを表す信号の状態を読み出し、システムログとして記録するログ制御部に相当する。
【0060】
メモリ12は、例えば、RAMや不揮発性メモリ等の記憶装置であり、MPU10が閾値割れ結果記録部16のレジスタから読み出した値(閾値割れ発生信号の状態を表す値)をシステムログとして記憶する。
【0061】
フラッシュメモリ11は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、MPU10が実行するシステム制御ファームウェア(プログラム)を記録する。システム制御ファームウェアは、例えばフレキシブルディスク,CD(CD-ROM,CD-R,CD-RW等),DVD(DVD-ROM,DVD-RAM,DVD-R,DVD+R,DVD-RW,DVD+RW,HD DVD等),ブルーレイディスク,磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク等の、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。そして、MPU10はその記録媒体からシステム制御ファームウェアを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送し格納して用いる。例えば、メモリ12をシステム制御ファーウェアの格納に用いてもよい。また、そのシステム制御ファームウェアを、例えば磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に記録しておき、その記憶装置から通信経路を介して監視装置4(コンピュータ)に提供してもよい。
(B)動作
【0062】
上述の如く構成された第1実施形態の一例としての監視装置4におけるMPU10の処理を、図4に示すフローチャート(ステップA1~A3)に従って説明する。
【0063】
ステップA1において、MPU10は、リセット制御部15のOUTポート#0(OUT-PORT #0)からリセット信号をアサートする。これにより、比較結果保持部14の各Dフリップフロップ141にリセット信号が入力され、各Dフリップフロップ141がリセットされる。
ステップA2において、MPU10は、OR回路17からいずれかの閾値電圧で閾値割れ発生を通知する割込み通知が入力されたかを確認する。
確認の結果、OR回路17から割込み通知が入力されていない場合には(ステップA2のNOルート参照)、ステップA2の処理が繰り返し行なわれる。
OR回路17から割込み通知が入力されると(ステップA2のYESルート参照)、ステップA3に移行する。
【0064】
ステップA3において、MPU10は、閾値割れ結果記録部16のGPIOデバイスのレジスタ値を読み出し、メモリ12の所定の記憶領域にシステムログとして記憶させる。
その後、処理はステップA1に戻り、比較結果保持部14の初期化を行なう。
次に、第1実施形態の一例としての監視装置4の処理を説明する。
【0065】
電圧値比較部13には、監視対象電源電圧が入力される。監視対象電源電圧(例えば、2.5V)は、電圧値比較部13に備えられたコンパレータ131-0~131-4において閾値電圧#0~#4とそれぞれ比較される。各コンパレータ131による比較結果#0~#4(比較結果信号)が、それぞれ比較結果保持部14に入力される。
【0066】
電圧値比較部13のいずれかのコンパレータ131が閾値割れの発生を検知し、比較結果信号として“1”を出力すると、比較結果保持部14において、当該コンパレータ131の下流側に備えられたDフリップフロップ141に“1”が取り込まれて保持される。
また、比較結果信号として“1”がCLK入力端子から入力されたDフリップフロップ141は、出力Qから閾値割れ発生信号として“1”を出力する。
【0067】
比較結果保持部14から出力された閾値割れ発生信号は、閾値割れ結果記録部16に入力され、GPIOデバイスのレジスタにおける対応する記憶領域に“1”が記憶される。
【0068】
また、比較結果保持部14において、出力Qから出力される閾値割れ発生信号“1”は、OR回路17にも入力される。このOR回路17の出力はINT信号(割込み信号)として、MPU10に入力される。
【0069】
MPU10は、OR回路17からINT信号が入力されると、閾値割れ結果記録部16のレジスタに格納された閾値割れ発生信号の状態をI2Cインタフェースを介して読み出し、メモリ12の所定の記憶領域に記憶させる。
(C)効果
【0070】
このように、第1実施形態の一例としての監視装置4によれば、電圧値比較部13において、複数のコンパレータ131を備え、これらのコンパレータ131を用いて、監視対象電源電圧を複数の閾値電圧とそれぞれ比較する。これにより、監視対象電源電圧をより高精度に監視することができる。
【0071】
また、比較結果保持部14において、上記各コンパレータ131に対応させて複数のDフリップフロップ141を備え、電圧値比較部13に備えられた各コンパレータ131による比較結果を、これらのDフリップフロップ141に保持させる。また、各Dフリップフロップ141から出力する閾値割れ発生信号を閾値割れ結果記録部16に記録させる。
【0072】
これにより、電圧センサデバイスのポーリング監視以外のタイミングで発生した監視対象電源電圧の異常を認識(把握)することができ、信頼性を向上させることができる。すなわち、電圧値比較部13の各コンパレータ131の出力値を閾値割れ結果記録部16に直接記録することで、ポーリングによる電圧監視では確認できない電圧低下を記録することができる。
【0073】
また、各Dフリップフロップ141から出力される閾値割れ発生信号を、閾値割れ結果記録部16に入力し、閾値割れ結果記録部16において、GPIOデバイスが、Dフリップフロップ141から出力される閾値割れ発生信号をレジスタに記憶させる。これにより、電圧値比較部13によって検出された監視対象電源電圧の異常を、容易且つ確実に記録することができる。また、監視対象電源電圧の異常を、MPU10が容易且つ確実に読み出し、利用することができる。
【0074】
各Dフリップフロップ141から出力される閾値割れ発生信号を、閾値割れ結果記録部16に入力するとともに、OR回路17を介してMPU10に割り込み信号として入力する。これにより、電圧値比較部13によって検出された監視対象電源電圧の異常をMPU10に迅速且つ確実に通知することができる。電圧センサデバイスのポーリング監視以外のタイミングで発生した監視対象電源電圧の異常をMPU10が認識(把握)することができ、信頼性を向上させることができる。
(II)第2実施形態の説明
【0075】
上述した第1実施形態の監視装置4によれば、電圧値比較部13に備えられた複数のコンパレータ131の出力値を閾値割れ結果記録部16に直接記録することでポーリングによる電圧監視では確認できなかった電圧低下を記録することができる。しかしながら、情報処理装置1には多数の電源がある。これらの全ての電源を監視するために、各電源に上述した電圧値比較部13や比較結果保持部14,閾値割れ結果記録部16およびOR回路17を実装することは、部品コストや部品実装面積の上昇を招く。
【0076】
そこで、本第2実施形態においては、ポーリングによる全電源電圧の監視を併用し、ポーリングにより電源故障の予兆(ワーニングレベルの電圧低下)を検出した場合に、監視対象電源を切り替えて電圧監視を行なうことで、電圧監視回路の削減を実現する。
(A)構成
図5は第2実施形態の一例としての監視装置4の機能構成を例示する図、図6はその回路構成を例示する図である。
本第2実施形態の監視装置4も、第1実施形態と同様に、図1に例示する情報処理装置1に搭載され、監視対象電源電圧の監視を行なう。
【0077】
図5に示すように、本第2実施形態の監視装置4は、図2に示した第1実施形態の監視装置4のリセット制御部15に代えて電圧監視制御部18を備えるとともに、監視電源電圧切替部19および閾値電圧生成部20を備える。
なお、図中、既述の符号と同一の符号は同様の部分を示しているので、その詳細な説明は省略する。
【0078】
監視電源電圧切替部19には、情報処理装置1において使用される監視が必要な全ての電源電圧が入力される。図5に示す例においては、監視電源電圧切替部19に4つの電源電圧#A~#Dが入力されている。監視電源電圧切替部19はこれらの複数の電源電圧の中から、一つの電源電圧を選択して電圧値比較部13に入力させる。このように、監視電源電圧切替部19によって選択された電源電圧が監視対象電源電圧として電圧値比較部13に入力される。すなわち、監視電源電圧切替部19によって選択された電源電圧が本監視装置4による電圧監視の対象となる。
【0079】
図6に示す例においては、監視電源電圧切替部19は複数(図6に示す例では4つ)のスイッチ(SW)を備え、これらの各スイッチに電源電圧(電源電圧#A~#D)がそれぞれ入力されている。監視電源電圧切替部19においては、これらのスイッチのオン/オフを切り替え、選択される電源電圧に対応するスイッチをオンにすることで、該当選択された電源電圧が電圧値比較部13に入力される。
監視電源電圧切替部19におけるこれらのスイッチのオン/オフは、後述する電圧監視制御部18から入力される電圧選択信号に基づいて行なわれる。
【0080】
電源選択信号は、例えば、監視電源電圧切替部19に入力される複数(図5に示す例では電源電圧#A~#Dの4つ)の中から、電圧値比較部13に監視対象電源電圧として入力される電源電圧を特定する情報である。
【0081】
図6に示す例においては、電圧監視制御部18から電源電圧#A選択信号に“1”が設定され、監視電源電圧切替部19に入力されると、電源電圧#Aが選択され、電圧値比較部13に監視対象電源電圧として入力される。また、電圧監視制御部18から電源電圧#B選択信号に“1”が設定され、監視電源電圧切替部19に入力されると電源電圧#Bが選択され、電圧値比較部13に監視対象電源電圧として入力される。また、電源電圧#C選択信号に“1”が設定され、監視電源電圧切替部19に入力されると電源電圧#Cが選択され、電圧値比較部13に監視対象電源電圧として入力される。さらに、電源電圧#D選択信号に“1”が設定され、監視電源電圧切替部19に入力されると電源電圧#Dが選択され、電圧値比較部13に監視対象電源電圧として入力される。
【0082】
電圧監視制御部18は、MPU10からの指示に従って、監視電源電圧切替部19に対して、監視対象電源電圧の切り替えを行なわせるための電源選択信号を出力する。
【0083】
電圧監視制御部18は、例えば、I2C GPIOデバイスを備える。図6に示す例においては、電圧監視制御部18において、OUTポート(OUT-PORT)#4に“1”を設定することで、電源電圧#A選択信号“1”が出力される。また、OUTポート#3に“1”を設定することで、電源電圧#B選択信号“1”が出力され、OUTポート#2に“1”を設定することで、電源電圧#C選択信号“1”が出力される。さらに、OUTポート#1に“1”を設定することで、電源電圧#D選択信号“1”が出力される。
【0084】
また、電圧監視制御部18は、比較結果保持部14の各Dフリップフロップ141のリセットを行なう。電圧監視制御部18は、MPU10からの指示に従って、比較結果保持部14の各Dフリップフロップ141に対してリセット信号を入力する。
図6に示す例においては、OUTポート#0からリセット信号をアサートすることで、比較結果保持部14の初期化が行なわれる。
【0085】
閾値電圧生成部20は、電圧値比較部13の各コンパレータ131のそれぞれに対する閾値電圧(図5に示す例では閾値電圧#0~#4)を生成し、生成した閾値電圧をコンパレータ131毎に入力する。
【0086】
閾値電圧生成部20は、例えば、デジタルポテンショメータを備え、電圧値を出力するための設定値を設定することで任意の電圧(閾値電圧)生成することができる。本第2実施形態においては、MPU10が閾値電圧生成部20に設定値を入力(通知)し、閾値電圧生成部20はこの通知された設定値に対応する閾値電圧を生成し、電圧値比較部13の各コンパレータ131に入力する。
図6に示す例においては、閾値電圧生成部20は、5つのデジタルポテンショメータ201-0~201-4を備える。
以下、デジタルポテンショメータ201-0~201-4を特に区別しない場合には、デジタルポテンショメータ201と表記する。
【0087】
各デジタルポテンショメータ201には、+12Vが供給されるとともに、MPU10から閾値電圧の電圧値(閾値電圧値)を示す制御信号が入力され、制御信号に応じた閾値電圧を生成し、出力する。
【0088】
デジタルポテンショメータ201-0には、閾値電圧値“0V”を出力するための制御信号が入力され、デジタルポテンショメータ201は、この制御信号に従って閾値電圧“0V”を生成し、電圧値比較部13のコンパレータ131-0に出力する。デジタルポテンショメータ201-0が生成する閾値電圧を閾値電圧#0と表す場合がある。
【0089】
デジタルポテンショメータ201-1には、MPU10から閾値電圧値“0.5V”を出力するための制御信号が入力され、デジタルポテンショメータ201-1は、この制御信号に従って閾値電圧“0.5V”を生成し、電圧値比較部13のコンパレータ131-1に出力する。デジタルポテンショメータ201-1が生成する閾値電圧を閾値電圧#1と表す場合がある。
【0090】
デジタルポテンショメータ201-2には、MPU10から閾値電圧値“1.0V”を出力するための制御信号が入力され、デジタルポテンショメータ201-2は、この制御信号に従って閾値電圧“1.0V”を生成し、電圧値比較部13のコンパレータ131-2に出力する。デジタルポテンショメータ201-2が生成する閾値電圧を閾値電圧#2と表す場合がある。
【0091】
デジタルポテンショメータ201-3には、MPU10から閾値電圧値“1.5V”を出力するための制御信号が入力され、デジタルポテンショメータ201-3は、この制御信号に従って閾値電圧“1.5V”を生成し、電圧値比較部13のコンパレータ131-3に出力する。デジタルポテンショメータ201-3が生成する閾値電圧を閾値電圧#3と表す場合がある。
【0092】
デジタルポテンショメータ201-4には、MPU10から閾値電圧値“2.0V”を出力するための制御信号が入力され、デジタルポテンショメータ201-4は、この制御信号に従って閾値電圧“2.0V”を生成し、電圧値比較部13のコンパレータ131-4に出力する。デジタルポテンショメータ201-4が生成する閾値電圧を閾値電圧#4と表す場合がある。
【0093】
MPU10は、監視対象電源電圧に対する電圧監視を開示するに際して、比較結果保持部14に備えられた各Dフリップフロップ141を初期化するために、電圧監視制御部18のOUTポート#0からリセット信号をアサートする。これにより、比較結果保持部14の各Dフリップフロップ141がリセットされる。
【0094】
本第2実施形態において、監視装置4は、初期状態では、複数の電源電圧#A~#Dのうち任意の電源電圧(例えば、電源電圧#B)を監視対象電源電圧として選択して電圧監視を行なう。
【0095】
このように初期状態で監視する監視対象電源電圧には、例えば、電圧が常時変動する電源の電源電圧を選択してもよい。また、重要度が高い電源電圧を初期状態で監視する監視対象電源電圧としてもよく、適宜変更して実施することができる。
【0096】
また、監視装置4は、複数の電源電圧#A~#Dに対して、ポーリングを行なうことで、各電源電圧値を定期的に取得し、これらの電源電圧について、情報処理装置1の動作に必要な電圧レベルが得られているかチェックを行なう。
【0097】
このポーリングによる電源監視の結果、いずれかの電源電圧においてワーニングレベル(警告レベル)の電圧低下が検出された場合に、MPU10は、その電源電圧を監視対象電源電圧とすべく、電圧監視制御部18に当該電源電圧に対応する電源選択信号を送信する。以下、ワーニングレベルの電圧低下が検出された電源電圧を、ワーニング電源電圧という場合がある。
【0098】
なお、ワーニングレベルの電圧低下とは、電源故障の予兆を示す現象であり、例えば、所定の電圧閾値以下であるが、すぐにシステム停止に至らないような程度の電圧低下であってよい。
【0099】
MPU10および電圧監視制御部18は、電圧センサ5による全電源電圧のポーリングを繰り返し実施して、全電源電圧のうちの第2の電源電圧において警告レベルの電圧低下を検知した場合、監視対象電源電圧を第2の電源電圧に切り替える切替制御部に相当する。
【0100】
また、本第2実施形態の監視装置4において、例えば、フラッシュメモリ11には、各電源電圧に対応する閾値電圧を示す設定値が記憶されている。フラッシュメモリ11には、例えば、各電源電圧#A~#Dのそれぞれに対応させて、閾値電圧生成部20の各デジタルポテンショメータ201-0~201-4に設定される各閾値電圧を示す各設定値が記憶されている。
【0101】
MPU10は、ポーリングによる電源監視の結果、いずれかの電源電圧(ワーニング電源電圧)においてワーニングレベルの電圧低下が検出された場合に、監視対象電源電圧を切り替える。すなわち、ワーニングレベルの電圧低下が検出された電源電圧を監視対象電源電圧とする。MPU10は、フラッシュメモリ11から当該ワーニング電源電圧に対応する設定値を読み出し、閾値電圧生成部20に対して、当該設定値を示す制御信号を送信する。
【0102】
例えば、ワーニング電源電圧が電源電圧#Aである場合には、MPU10はフラッシュメモリ11から、閾値電圧生成部20のデジタルポテンショメータ201-0~201-4用の電源電圧#Aに対応する各閾値電圧値の設定値を読み出す。そして、MPU10は、各デジタルポテンショメータ201に対して、読み出したそれぞれの設定値を示す制御信号を送信する。
【0103】
閾値電圧生成部20において、各デジタルポテンショメータ201は、MPU10から送信された制御信号に基づいて閾値電圧を生成し、対応する下流側の電圧値比較部13のコンパレータ131に出力する。
【0104】
MPU10は、ワーニング電源電圧の切り替えが生じた場合には、切り替え後のワーニング電源電圧(監視対象電源電圧)に応じて、各閾値電圧の設定変更も行なう。
【0105】
また、MPU10は、監視対象電源電圧に対する電圧監視を開始するに際して、比較結果保持部14に備えられた各Dフリップフロップ141を初期化するために、電圧監視制御部18のOUTポート#0(OUT-PORT #0)からリセット信号をアサートする。これにより、比較結果保持部14の各Dフリップフロップ141がリセットされる。
【0106】
また、MPU10は、OR回路17からINT信号が入力されると、閾値割れ結果記録部16のレジスタに格納された閾値割れ発生信号の状態(“0”または“1”)をI2Cインタフェースを介して読み出す。
【0107】
MPU10は、閾値割れ結果記録部16から読み出したレジスタ値、すなわち、閾値割れ発生信号の状態を表す値を、メモリ12の所定の記憶領域に記憶させる。
MPU10は、例えば、ポーリング結果により監視対象電源電圧の切り替えを行なう際と、初期設定時とにおいて閾値電圧の設定を行なう。
(B)動作
上述の如く構成された第2実施形態の一例としての監視装置4における処理を、図7に示すフローチャート(ステップB1~B6)に従って説明する。
【0108】
監視装置4は、複数の電源電圧#A~#Dに対して、ポーリングを行なうことで、各電源電圧値を定期的に取得し、これらの電源電圧について、情報処理装置1の動作に必要な電圧レベルが得られているかチェックを行なう。
ステップB1において、MPU10は、例えば、電圧が常時変動する電源の電源電圧等、所定の電源電圧(第1の電源電圧)を監視対象電源電圧として選択する
【0109】
ステップB2において、MPU10は、フラッシュメモリ11からワーニング電源電圧に対応する閾値電圧値の設定値を読み出し、閾値電圧生成部20の各デジタルポテンショメータ201に対して、設定値を示す制御信号を送信することで、各閾値電圧を設定する。
【0110】
閾値電圧生成部20においては、各デジタルポテンショメータ201が、MPU10から通知された制御信号に応じて閾値電圧を生成し、電圧値比較部13における対応するコンパレータ131に出力する。
【0111】
ステップB3において、MPU10は、電圧監視制御部18のOUTポート#0(OUT-PORT #0)からリセット信号をアサートすることで、比較結果保持部14に備えられた各Dフリップフロップ141をリセットする。
【0112】
電圧値比較部13において、監視対象電源電圧(例えば、2.5V)は、電圧値比較部13に備えられたコンパレータ131-0~131-4において閾値電圧#0~#4とそれぞれ比較される。各コンパレータ131による比較結果#0~#4(比較結果信号)が、それぞれ比較結果保持部14に入力される。
【0113】
電圧値比較部13のいずれかのコンパレータ131が閾値割れの発生を検知し、比較結果信号として“1”を出力すると、比較結果保持部14において、当該コンパレータ131の下流側に備えられたDフリップフロップ141に“1”が取り込まれて保持される。
また、比較結果信号として“1”がCLK入力端子から入力されたDフリップフロップ141は、出力Qから閾値割れ発生信号として“1”を出力する。
【0114】
比較結果保持部14から出力された閾値割れ発生信号は、閾値割れ結果記録部16に入力され、GPIOデバイスのレジスタにおける対応する記憶領域に“1”が記憶される。
【0115】
また、比較結果保持部14において、出力Qから出力される閾値割れ発生信号“1”は、OR回路17にも入力される。このOR回路17の出力はINT信号(割込み信号)として、MPU10に入力される。
ステップB4において、MPU10は、OR回路17からいずれかの閾値電圧で閾値割れ発生を通知する割込み通知が入力されたかを確認する。
OR回路17から割込み通知が入力されると(ステップB4のYESルート参照)、ステップB6に移行する。
【0116】
ステップB6において、MPU10は、閾値割れ結果記録部16のGPIOデバイスのレジスタ値を読み出し、メモリ12の所定の記憶領域にシステムログとして記憶させる。その後、処理はステップB3に戻り、比較結果保持部14の初期化を行なう。
【0117】
また、ステップB4における確認の結果、OR回路17から割込み通知が入力されていない場合には(ステップB4のNOルート参照)、ステップB5に移行する。
【0118】
ステップB5において、MPU10は、ポーリングによる電源監視の結果、いずれかの電源電圧においてワーニングレベルの電圧低下が検出されたかを確認する。確認の結果、いずれかの電源電圧においてワーニングレベルの電圧低下が検出された場合に(ステップB5のYESルート参照)、ステップB1に戻る。ステップB1において、MPU10は、ワーニング電源電圧(第2の電源電圧)を監視対象電源電圧と決定(選択)する。
一方、ステップB5における確認の結果、ワーニングレベルの電圧低下が検出されていない場合には(ステップB5のNOルート参照)、ステップB4に戻る。
(C)効果
第2実施形態の一例としての監視装置4によれば、上述した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0119】
さらに、第2実施形態の監視装置4によれば、監視電源電圧切替部19において監視対象電源電圧を任意に切り替え可能とし、監視電源電圧切替部19が、MPU10が電圧監視制御部18を介して行なう切替指示(電圧選択信号)に従って、複数の電源電圧の中から電源電圧を監視対象電源電圧として電圧値比較部13に入力する。
【0120】
これにより、情報処理装置1に搭載された複数の電源のそれぞれに対して電圧値比較部13や比較結果保持部14,閾値割れ結果記録部16,OR回路17等を備えることなく、各電源の電源電圧の監視を実現することができる。これにより、部品コストや部品実装面積を削減することができ、システムのコストダウンの要求や小型化の要求に応じることができる。すなわち、小さい回路規模で電圧低下の検出性能を向上させることができる。
【0121】
MPU10が、ポーリングによる電源監視の結果、いずれかの電源電圧においてワーニングレベルの電圧低下が検出された場合に、電圧監視制御部18に当該電源電圧に対応する電源選択信号を送信することで、その電源電圧を監視対象電源電圧とする。これにより、従来のポーリングによる電圧監視と、選択した監視対象電源電圧に対する閾値電圧との比較による電圧監視とを併用することにより、少ない追加回路で電圧低下の検出が可能となる。
(III)その他
【0122】
開示の技術は上述した実施形態に限定されるものではなく、本実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成および各処理は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
【0123】
例えば、上述した各実施形態においては、電圧値比較部13に備えられるコンパレータ131,比較結果保持部14に備えられるDフリップフロップ141および閾値電圧生成部20に備えられるデジタルポテンショメータ201の数は5つであるが、これに限定されるものではない。これらのコンパレータ131,Dフリップフロップ141およびデジタルポテンショメータ201は4つ以下もしくは6つ以上であってもよく、適宜変更して実施することができる。
【0124】
また、上述した各実施形態においては、監視電源電圧切替部19に4つの電源電圧が入力されているが、これに限定されるものではない。電源電圧の数は、3つ以下もしくは5つ以上であってもよく、適宜変更して実施することができる。
また、上述した開示により本実施形態を当業者によって実施・製造することが可能である。
【0125】
(IV)付記
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
複数のデバイスを備える情報処理装置であって、
前記複数のデバイスに供給される複数の電源電圧のうちの第1の電源電圧を監視対象電源電圧として複数の閾値電圧と比較する比較部と、
前記監視対象電源電圧が一度でも前記複数の閾値電圧のいずれかを下回った場合、閾値割れを表す信号の状態を記録部に保持するとともに、閾値割れの発生通知を出力する保持制御部と、
電圧センサによる全電源電圧のポーリングを繰り返し実施して、前記全電源電圧のうちの第2の電源電圧において警告レベルの電圧低下を検知した場合、前記監視対象電源電圧を前記第2の電源電圧に切り替える切替制御部と
を備えることを特徴とする、情報処理装置。
【0126】
(付記2)
前記閾値割れの発生通知が出力されると、前記記録部から前記閾値割れを表す信号の状態を読み出し、システムログとして記録するログ制御部を備える
ことを特徴とする、付記1に記載の情報処理装置。
【0127】
(付記3)
前記監視対象電源電圧に対応する複数の閾値電圧を生成する閾値電圧生成部を備える
ことを特徴とする、付記1または2に記載の情報処理装置。
【0128】
(付記4)
前記保持制御部が、前記複数の閾値電圧毎に備えられた複数のDフリップフロップを備え、
前記監視対象電源電圧が前記複数の閾値電圧のうち所定の閾値電圧を下回った場合に、前記所定の閾値電圧に対応するDフリップフロップが、前記閾値割れを表す信号の状態を保持するとともに、前記閾値割れの発生通知を出力する
ことを特徴とする、付記1~3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【0129】
(付記5)
複数のデバイスを備える情報処理装置において、
前記複数のデバイスに供給される複数の電源電圧のうちの第1の電源電圧を監視対象電源電圧として複数の閾値電圧と比較することで監視し、
前記監視対象電源電圧が一度でも前記複数の閾値電圧のいずれかを下回った場合、閾値割れを表す信号の状態を記録部に保持するとともに、閾値割れの発生通知を出力し、
電圧センサによる全電源電圧のポーリングを繰り返し実施して、前記全電源電圧のうちの第2の電源電圧において警告レベルの電圧低下を検知した場合、前記監視対象電源電圧を前記第2の電源電圧に切り替える
ことを特徴とする、制御方法。
【0130】
(付記6)
前記閾値割れの発生通知が出力されると、前記記録部から前記閾値割れを表す信号の状態を読み出し、システムログとして記録する
ことを特徴とする、付記5に記載の制御方法。
【0131】
(付記7)
前記監視対象電源電圧に対応する複数の閾値電圧を生成する
ことを特徴とする、付記5または6に記載の制御方法。
【0132】
(付記8)
前記複数の閾値電圧毎に備えられた複数のDフリップフロップを備え、
前記監視対象電源電圧が前記複数の閾値電圧のうち所定の閾値電圧を下回った場合に、前記所定の閾値電圧に対応するDフリップフロップが、前記閾値割れを表す信号の状態を保持するとともに、前記閾値割れの発生通知を出力する
ことを特徴とする、付記5~7のいずれか1項に記載の制御方法。
【符号の説明】
【0133】
1 情報処理装置
2 CPU
3 メモリ
4 監視装置
10 MPU
11 フラッシュメモリ
12 メモリ
13 電圧値比較部
14 比較結果保持部
15 リセット制御部
16 閾値割れ結果記録部
17 OR回路
18 電圧監視制御部
19 監視電源電圧切替部
20 閾値電圧生成部
41 I2Cコントローラ
131-0~131-4,131 コンパレータ
141-0~141-4,141 Dフリップフロップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7