(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】車載機器の取り付け構造
(51)【国際特許分類】
B60T 17/00 20060101AFI20240514BHJP
F16B 5/02 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B60T17/00 C
F16B5/02 B
F16B5/02 Y
(21)【出願番号】P 2020218177
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼市 皓太
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第205113324(CN,U)
【文献】特開2019-147505(JP,A)
【文献】特開2017-065548(JP,A)
【文献】特開2012-166697(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110525413(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 17/00
F16B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載機器を保持部材を介してフレーム部材に取り付け、
前記保持部材は、前記車載機器を保持する保持部と、前記フレーム部材を上下に跨ぐように配置される上側支持部及び下側支持部とを有し、
前記上側支持部を前記フレーム部材の上側で固定するための締結方向と、前記下側支持部を前記フレーム部材の下側で固定するための締結方向とが異なる
とともに、
前記下側支持部は、前記保持部に対して側方に延出し、
前記フレーム部材には、下方に延出するブラケットが設置されており、
前記下側支持部は、前記ブラケットに、水平方向を締結方向として締結されることを特徴とする車載機器の取り付け構造。
【請求項2】
前記下側支持部は、下方に延出する部分を有し、
前記下方に延出する部分が前記ブラケットに締結され、
前記下側支持部と前記ブラケットとの締結部は、前記保持部よりも下方に位置することを特徴とする請求項
1に記載の車載機器の取り付け構造。
【請求項3】
前記下側支持部と前記ブラケットとの締結部は、前記保持部で保持された前記車載機器の下端よりも上方に位置することを特徴とする請求項
1又は2に記載の車載機器の取り付け構造。
【請求項4】
前記保持部材の正面視において、前記上側支持部の少なくとも一部が前記ブラケットの上方に位置することを特徴とする請求項
1乃至3のいずれか1項に記載の車載機器の取り付け構造。
【請求項5】
前記ブラケットは、前記フレーム部材の下面に、横並びに配置した複数の接合点を介して接合され、
前記保持部材の底面視において、前記下側支持部と前記ブラケットとの締結部は、前記接合点と前記接合点との間に位置することを特徴とする請求項
1乃至4のいずれか1項に記載の車載機器の取り付け構造。
【請求項6】
前記上側支持部は、前記フレーム部材の上面に、上下方向を締結方向として締結されることを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の車載機器の取り付け構造。
【請求項7】
前記保持部材の正面視において、前記上側支持部は、前記車載機器を挟んで両側の二箇所で締結されることを特徴とする請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の車載機器の取り付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載機器の取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車等の車両において、ブレーキブースタの負圧源として用いられるバキュームポンプ(負圧ポンプ)が搭載されることがある。バキュームポンプの取り付け構造として、特許文献1には、車体両側のサイドフレームにブラケットプレートが跨設されていて、ブラケットプレートに、取付孔を形成してあると共に、その上周縁部に複数個のボス部を立設してあり、バキュームポンプのポンプモータ部を取付孔に挿入して、バキュームポンプのフランジ部をボス部上にボルト締結する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように、横長の板であるブラケットプレートにバキュームポンプを立置き配置し、バキュームポンプの周囲で、締結方向を上下方向としてボルト締結する場合、車両の走行時の振動等により、締結部を起点にバキュームポンプが振動しようとすることがある。そのため、締結部に負荷がかかり、締結部の耐久性の悪化を招いて、バキュームポンプの振動を抑制できなくなるおそれがある。
【0005】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、車載機器の振動を抑制できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車載機器の取り付け構造は、車載機器を保持部材を介してフレーム部材に取り付け、前記保持部材は、前記車載機器を保持する保持部と、前記フレーム部材を上下に跨ぐように配置される上側支持部及び下側支持部とを有し、前記上側支持部を前記フレーム部材の上側で固定するための締結方向と、前記下側支持部を前記フレーム部材の下側で固定するための締結方向とが異なるとともに、前記下側支持部は、前記保持部に対して側方に延出し、前記フレーム部材には、下方に延出するブラケットが設置されており、前記下側支持部は、前記ブラケットに、水平方向を締結方向として締結されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車載機器の振動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】サブフレームまわりの構成を説明するための右側面図である。
【
図3】サブフレームまわりの構成を説明するための後方斜視図である。
【
図4】バキュームポンプの取り付け構造を説明するための前方斜視図である。
【
図5】バキュームポンプの取り付け構造を説明するための正面図である。
【
図6】バキュームポンプの取り付け構造を説明するための底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係る車載機器の取り付け構造は、車載機器を保持部材を介してフレーム部材に取り付け、前記保持部材は、前記車載機器を保持する保持部と、前記フレーム部材を上下に跨ぐように配置される上側支持部及び下側支持部とを有し、前記上側支持部を前記フレーム部材の上側で固定するための締結方向と、前記下側支持部を前記フレーム部材の下側で固定するための締結方向とが異なる。したがって、車両の走行時の振動等により、上側支持部及び下側支持部のうちの一方の締結部を起点に保持部材が振動しようとしても、他方によって、保持部材及び保持部材で保持する車載機器が振動するのを抑制することができる。
【実施例】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施例について説明する。
図1は、車両の一例である電気自動車の一部の構成を示す平面図である。また、
図2及び
図3は、サブフレーム1まわりの構成を説明するための図である。また、
図4乃至
図7は、バキュームポンプ16の取り付け構造を説明するための図である。なお、各図において、構成要素を適宜、省略、簡略化して図示する。
本願においては、車両を基準として、車両の前進方向を前とし、各方向を定めるものとする。なお、各図において方向を示す。
【0011】
図1に示すように、車両の前部(乗員室よりも前方)において、モータルーム2が形成され、モータルーム2を挟んで左右にサイドメンバ3が配置される。左右のサイドメンバ3間には、左右の支持部材4を介してサブフレーム1が架設される。モータルーム2と乗員室とはダッシュパネル5で隔てられる。
【0012】
図1乃至
図3に示すように、サブフレーム1は、前メンバ6と、後メンバ7と、右メンバ8Rと、左メンバ8Lと、右マウントメンバ9Rと、左マウントメンバ9Lと、中央マウントメンバ10と、補助メンバ11とを備える。
【0013】
前メンバ6は、前方で左右方向(車幅方向ともいう)に延びる。また、後メンバ7は、前メンバ6よりも後方で車幅方向に延びる。前メンバ6及び後メンバ7は、軽量化及び剛性の確保を図るべく、それぞれ上側部材及び下側部材を組み合わせて中空の略矩形断面を有する角柱状に構成される。
【0014】
右メンバ8Rは、右側で前後方向に延び、前メンバ6の右端部及び後メンバ7の右端部に接合する。また、左メンバ8Lは、左側で前後方向に延び、前メンバ6の左端部及び後メンバ7の左端部に接合する。前メンバ6の左右端部、後メンバ7の左右端部、右メンバ8R及び左メンバ8Lが支持部材4により支持されて、サブフレーム1が左右のサイドメンバ3間に架設される。右メンバ8R及び左メンバ8Lは、軽量化及び剛性の確保を図るべく、それぞれ上側部材及び下側部材を組み合わせて中空の略矩形断面を有する角柱状に構成される。
【0015】
右マウントメンバ9Rは、右メンバ8Rの左側に隣り合うように配置される。右マウントメンバ9Rは、前後方向に延び、前メンバ6、後メンバ7、及び右メンバ8Rに接合する。また、左マウントメンバ9Lは、左メンバ8Lの右側に隣り合うように配置される。左マウントメンバ9Lは、前後方向に延び、前メンバ6、後メンバ7、及び左メンバ8Lに接合する。右マウントメンバ9R及び左マウントメンバ9Lで、後述するモータユニット12を支持する。右マウントメンバ9R及び左マウントメンバ9Lは、それぞれ上方が開口した断面U字状の部材により構成される。
【0016】
中央マウントメンバ10は、右メンバ8Rと左メンバ8Lとの間に配置され、前後方向に延びる。中央マウントメンバ10の前端が、前メンバ6に接合する。また、後メンバ7が中央マウントメンバ10を車幅方向に貫通するように構成されて、中央マウントメンバ10の後端が、後述する補助メンバ11に接合する。中央マウントメンバ10で、後述するモータユニット12を支持する。中央マウントメンバ10は、軽量化及び剛性の確保を図るべく、上側部材及び下側部材を組み合わせて中空の略矩形断面を有する角柱状に構成される。
【0017】
補助メンバ11は、車幅方向に延びる直線部11bと、直線部11bの両端から前方に延びるように湾曲する左右の湾曲部11cと、各湾曲部11cから前方に延びる左右の端部11dとを有し、左右の端部11dが後メンバ7に接合する。また、補助メンバ11の直線部11bに、中央マウントメンバ10の後端部が接合する。補助メンバ11は、中央マウントメンバ10を補強する。補助メンバ11は、軽量化及び剛性の確保を図るべく、上側部材及び下側部材を組み合わせて中空の略矩形断面を有する角柱状に構成される。
【0018】
このようにしたサブフレーム1では、前メンバ6の上面6a、後メンバ7の上面7a、中央マウントメンバ10の上面10a、及び補助メンバ11の上面11aが略同じ高さになるように構成され、これらメンバ6、7、10、11の上面6a、7a、10a、11aがサブフレーム1の上面1aを構成する。
【0019】
図2に示すように、モータルーム2内において、サブフレーム1の右マウントメンバ9R、左マウントメンバ9L、及び中央マウントメンバ10にモータユニット12が取り付けられて、モータユニット12は吊り下げた状態で支持される。
モータユニット12は、モータ13と減速機14とが結合して構成される。モータ13は、車両の駆動源であり、不図示の主バッテリから供給される電力によって駆動される。また、モータ13は、電力回生用の発電機を兼ねる。モータ13は、モータルーム2内において右側に偏って配置される。減速機14は、モータ13から伝達される回転を不図示の駆動輪に伝達する。減速機14は、モータルーム2内において左側に偏って配置され、モータ13に結合する。
【0020】
また、サブフレーム1の上面1aに複数の電気機器が載置され、電気機器がワイヤハーネスを介して相互に、また、モータ13等の機器に接続する。具体的には、サブフレーム1の上面1aの右側に、コンバータ19が載置される。コンバータ19は、主バッテリから供給される直流の電圧を調整する。また、コンバータ19は、車両外部からの交流電源を直流に変換して、主バッテリに供給するチャージャを併設する。また、コンバータ19の上方に、インバータ20が載置される。インバータ20は、主バッテリから供給される直流を交流に変換して、モータ13に供給する。また、サブフレーム1の上面1aの左側に、バッテリ21が載置される。バッテリ21は、モータの電力供給源となる主バッテリとは別の、補機類を駆動する電力を供給するバッテリである。また、サブフレーム1の上面1aのコンバータ19とバッテリ21との間に、ジャンクションボックス22が載置される。ジャンクションボックス22は、コンバータ19やインバータ20等の電線を結合、分岐、中継するのに用いられる。
【0021】
図1に示すように、モータルーム2内において右後方には、ブレーキブースタ15が設置される。ブレーキブースタ15は、ダッシュパネル5の(乗員から見て)裏側に配置され、ブレーキペダルにつながる。また、サブフレーム1の前メンバ6の前部には、右側に偏って配置されたバキュームポンプ16が取り付けられる。バキュームポンプ16は、ブレーキブースタ15の負圧源として用いられるものであり、バキュームライン17を介してブレーキブースタ15に接続する。なお、
図2及び
図3では、バキュームポンプ16を接続するためのコネクタ31を示し、バキュームポンプ16の図示は省略する。また、モータルーム2内において左後方には、バキュームライン17に接続する負圧タンク18が設置される。
【0022】
以下、
図4乃至
図7も参照して、バキュームポンプ16の取り付け構造を詳述する。
バキュームポンプ16は、保持部材23を介してサブフレーム1の前メンバ6に取り付けられる。本実施例では、バキュームポンプ16が本発明でいう車載機器に相当し、サブフレーム1が本発明でいうフレーム部材に相当する。
【0023】
バキュームポンプ16の構成を説明する。バキュームポンプ16は、ポンプ本体部24と、ポンプ本体部24の駆動源であるモータ25と備える。ポンプ本体部24は略円柱状のボディを有し、また、モータ25はポンプ本体部24よりも小径の略円柱状を有し、ポンプ本体部24とモータ25とが同軸上に配置されて結合する外観形状を有する。
【0024】
次に、保持部材23の構成を説明する。保持部材23は、バキュームポンプ16を保持する保持部26と、前メンバ6を上下に跨ぐように配置される上側支持部27及び下側支持部28とを有する。
【0025】
保持部26は、バキュームポンプ16が載置される載置面部29と、載置面部29の一辺から立ち上がる縦壁部30とを有する。載置面部29と縦壁部30との曲げ部には、強度を向上させるためにリブ加工が施される。
図4に示すように、載置面部29には、切り欠き29aが形成されており、この切り欠き29aにバキュームポンプ16がスライド挿入される。バキュームポンプ16は、載置面部29を挟んで上側にポンプ本体部24が、下側にモータ25が位置するように立置き配置される。すなわち、保持部26は、バキュームポンプ16のポンプ本体部24を下から支えるように構成される。ポンプ本体部24のモータ25側の端面には左右一対のブラケット部32が設けられており、これらブラケット部32及びボルト33を用いて、バキュームポンプ16が載置面部29に締結される。なお、ボルト33による締結部には、例えばゴム製のクッション部材を介在させるのが好ましい。
【0026】
このようにしてバキュームポンプ16は、保持部材23の載置面部29に締結される。例えば特許文献1のように横長の板であるブラケットプレートにバキュームポンプが固定されるのと比べて、面積が狭く、高い剛性を有する保持部材23の載置面部29にバキュームポンプ16が固定されるので、バキュームポンプ16と保持部材23とは一体的といえ、保持部材23上でバキュームポンプ16が振動するのを抑制することができる。
【0027】
上側支持部27は、保持部26の縦壁部30の上部に一体形成されて、縦壁部30の上部から略直角に曲がって、載置面部29と反対方向に延出する。
図5に示すように、上側支持部27の左側部分27aは、載置面部29の左端と同じ位置にあるが、右側部分27bは、載置面部29の右端を超えてさらに右方向に延出する。そして、
図4に示すように、上側支持部27は、その左右の端部27cが載置面部29と反対方向にさらに延出して突出する形状を有する。縦壁部30と上側支持部27との曲げ部には、強度を向上させるためにリブ加工が施される。
【0028】
上側支持部27は、前メンバ6の上面6aに、上下方向を締結方向として締結される。具体的には、保持部26の縦壁部30を前メンバ6の前端面6cに沿わせるようにした状態で、上側支持部27の左右の端部27cが、ボルト34を用いて前メンバ6の上面6aに締結される。
図5に示すように、保持部材23の正面視において、上側支持部27は、バキュームポンプ16を挟んで両側の二箇所で締結されることになる。
【0029】
なお、
図4に示すように、上側支持部27の左右の端部27cには、ボルト34を通すためのボルト孔27dが形成されている。右の端部27cのボルト孔27dは、右方向に開口する切り欠き状を有し、また、左の端部27cのボルト孔27dは、左方向に開口する切り欠き状を有し、これにより、ボルト34の締結位置に自由度を持たせて、保持部材23の左右位置を調整することができる。また、ボルト34による締結部には、例えばゴム製のクッション部材35を介在させる。
【0030】
下側支持部28は、保持部26の縦壁部30の背面から側方に延出するアーム状を有し、その先端部28aが下方に延出する。
図4に示すように、下側支持部28は縦壁部30の下部から側方に延出するようにし、縦壁部30を前メンバ6の前端面6cに沿わせるようにしたときに、下側支持部28が前メンバ6に干渉しないようになっている。また、下側支持部28の先端部28aは、保持部26よりも下方に延出する。このようにした下側支持部28は、保持部26とは別部材として構成され、保持部26に結合して、保持部材23を構成する。
【0031】
前メンバ6の下面6bにブラケット36が設置されており、下側支持部28は、ブラケット36に、水平方向を締結方向として締結される。具体的には、保持部26の縦壁部30を前メンバ6の前端面6cに沿わせるようにした状態で、下側支持部28のうちの下方に延出する先端部28aが、ボルト37を用いてブラケット36に締結される。先端部28aが下方に延出することにより、
図5に示すように、ボルト37による下側支持部28とブラケット36との締結部は、保持部26よりも下方に位置することになる。
【0032】
なお、
図4に示すように、下側支持部28の先端部28aには、ボルト37を通すためのボルト孔28bが形成されている。ボルト孔28bは、下方向に開口する切り欠き状を有し、これにより、ボルト37の締結位置に自由度を持たせて、保持部材23の上下位置を調整することができる。また、ボルト37による締結部には、例えばゴム製のクッション部材38を介在させる。
【0033】
次に、ブラケット36の構成を説明する。
図7に示すように、ブラケット36は、前メンバ6の下面6bに接合させるための接合面部39と、保持部材23の下側支持部28を締結するための支持面部40とを有する。接合面部39は、支持面部40の上部に一体形成されて、支持面部40の上部から略直角に曲がる。すなわち、ブラケット36は略L字形状を有し、接合面部39が前メンバ6の下面6bに接合され、支持面部40が下方に延出して、前方を向くように配置される。支持面部40には、ボルト37を通すためのボルト孔41が形成される。接合面部39と支持面部40との曲げ部には、強度を向上させるためにリブ加工が施される。
【0034】
ブラケット36は、接合面部39側で幅広で、支持面部40の先端に向かうに従って幅狭になる。接合面部39側で幅広とすることにより、前メンバ6の下面6bに対するブラケット36の接合面積を確保して、ブラケット36を安定して設置することができる。また、ボルト37による締結位置で幅狭とすることにより、下側支持部28とブラケット36との締結部の剛性を高めることができる。
【0035】
また、接合面部39及び支持面部40の幅方向の両端部には、奥まるように形成された湾曲面部42と、湾曲面部42から幅方向に延出する延出部43とが一体形成されている。これにより、ブラケット36の剛性を高めることができ、ブラケット36の振動を抑制することができる。
【0036】
以上のようにしてバキュームポンプ16を保持部材23を介して前メンバ6に取り付けた状態で、各部は以下に述べるような位置関係にある。
図4に示すように、バキュームポンプ16のポンプ本体部24の前側面に、バキュームライン17につながる配管接続部45が配置される。
【0037】
また、
図6に示すように、ブラケット36は、その接合面部39が、前メンバ6の下面6bに、左右方向に横並びに配置した複数の接合点44を介して接合される。本実施例では、接合点44は溶接点であるが、例えばボルト締結部としてもよい。そして、
図6に示すように、保持部材23の底面視において、ボルト37による下側支持部28とブラケット36との締結部は、接合点44と接合点44との間に位置する。このように下側支持部28とブラケット36との締結部が、ブラケット36の接合強度の高い部位の間に位置するので、保持部材23及びバキュームポンプ16が特に車幅方向に振動するのを抑制することができる。
【0038】
また、
図5に示すように、保持部材23の正面視において、上側支持部27の少なくとも一部がブラケット36の上方に位置するようにする。本実施例では、上側支持部27の左側部分27a(
図5の保持部材23の正面視において右の端部)がブラケット36の上方に位置する。このように上側支持部27と、ブラケット36に締結される下側支持部28とを、車幅方向の短い距離間に配置することにより、特に保持部材23が水平軸を中心に回転するような動きを抑えて、保持部材23及びバキュームポンプ16の振動を抑制することができる。
【0039】
また、
図5に示すように、バキュームポンプ16の全長Lは、前メンバ6の厚みHよりも大きい。バキュームポンプ16を保持部材23を介して前メンバ6に取り付けた状態で、バキュームポンプ16の上端(ポンプ本体部24の上端)は前メンバ6よりも上方に突出し、バキュームポンプ16の下端(モータ25の下端)は前メンバ6よりも下方に突出するように配置される。これにより、バキュームポンプ16を立置き配置しつつ、バキュームポンプ16が前メンバ6よりも上方及び下方のうちのいずれかに大きく突出するのを避けて、バキュームポンプ16の上方及び下方のスペースを有効利用することができる。
【0040】
また、
図5に示すように、ボルト37による下側支持部28とブラケット36との締結部は、バキュームポンプ16の下端よりも上方に位置する。ブラケット36が下方に延出する長さを短くすることができ、特にブラケット36が前後に振動するのを抑制し、保持部材23及びバキュームポンプ16の振動を抑制することができる。
【0041】
以上述べたように、保持部材23の上側支持部27は、前メンバ6の上面6aに、上下方向を締結方向として締結され、下側支持部28は、ブラケット36に、水平方向を締結方向として締結される。このように上側支持部27を前メンバ6の上側で固定するための締結方向と、下側支持部28を前メンバ6の下側で固定するための締結方向とが異なる。したがって、車両の走行時の振動等により、例えば上下方向を締結方向とする上側支持部27の締結部(ボルト34による締結部)を起点に保持部材23が振動しようとしても、水平方向を締結方向とする下側支持部28によって、保持部材23及び保持部材23で保持するバキュームポンプ16が振動するのを抑制することができる。また、車両の走行時の振動等により、例えば水平方向を締結方向とする下側支持部28の締結部(ボルト37による締結部)を起点に保持部材23が振動しようとしても、上下方向を締結方向とする上側支持部27によって、保持部材23及び保持部材23で保持するバキュームポンプ16が振動するのを抑制することができる。
【0042】
以上、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明したが、各実施例は、本発明の実施にあたっての具体例を示したに過ぎない。本発明の技術的範囲は、各実施例に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれる。
上記実施例では、車載機器の例としてバキュームポンプ16を説明したが、これに限定されるものではない。油圧を発生又は調整するポンプとしてもよく、例えば、アンチロックブレーキシステムの構成部品であり、ブレーキシステムに供給される油圧を調整するハイドロリックユニットとしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1:サブフレーム、6:前メンバ、7:後メンバ、8R:右メンバ、8L:左メンバ、10:中央マウントメンバ、11:補助メンバ、16:バキュームポンプ、23:保持部材、26:保持部、27:上側支持部、28:下側支持部、28a:先端部、34:ボルト、36:ブラケット、37:ボルト、44:接合点