(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】収容棚
(51)【国際特許分類】
H01L 21/673 20060101AFI20240514BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
H01L21/68 T
B65G1/00 521Z
(21)【出願番号】P 2021075300
(22)【出願日】2021-04-27
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】大森 和哉
(72)【発明者】
【氏名】山下 亮
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 晶広
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/038269(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/166710(WO,A1)
【文献】特開2016-127228(JP,A)
【文献】特開2018-129400(JP,A)
【文献】特開2015-12041(JP,A)
【文献】特開2018-41924(JP,A)
【文献】特開2012-33702(JP,A)
【文献】特開2009-228887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが容器を収容する複数の収容部を備えた収容棚であって、
複数の前記収容部のそれぞれに配置され、前記収容部に収容された前記容器に第1ガス又は第2ガスを供給する供給口と、
複数の前記供給口のそれぞれに接続された分岐配管と、
複数の前記分岐配管に接続された供給配管と、
前記供給配管に前記第1ガスを供給する第1供給部と、
前記供給配管に前記第2ガスを供給する第2供給部と、
前記供給配管から前記第1ガス及び前記第2ガスを排出する排気部と、を備え、
前記第1供給部は、前記第1ガスの供給源である第1供給源と、前記第1供給源と前記供給配管とを接続する第1ガス配管と、前記第1ガス配管における前記第1ガスの流動を選択的に遮断する第1バルブと、を備え、
前記第2供給部は、前記第2ガスの供給源である第2供給源と、前記第2供給源と前記供給配管とを接続する第2ガス配管と、前記第2ガス配管における前記第2ガスの流動を選択的に遮断する第2バルブと、を備え、
前記排気部は、前記第1ガス及び前記第2ガスを排出するための排気口と、前記供給配管と前記排気口との間の前記第1ガス及び前記第2ガスの流動を選択的に遮断する排気バルブと、を備え
、
前記第1バルブ、前記第2バルブ、及び前記排気バルブを制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、
前記第1バルブを開放状態とすると共に、前記第2バルブ及び前記排気バルブを閉鎖状態とする第1ガス供給モードと、
前記第2バルブを開放状態とすると共に、前記第1バルブ及び前記排気バルブを閉鎖状態とする第2ガス供給モードと、
前記第1バルブ及び前記第2バルブを閉鎖状態とすると共に、前記排気バルブを開放状態とする排気モードと、を選択的に実行可能に構成され、
前記排気モードは、前記第1ガス供給モード及び前記第2ガス供給モードの一方から他方に切り替える場合に、前記第1ガス供給モードと前記第2ガス供給モードとの間に実行される、収容棚。
【請求項2】
前記排気部は、前記供給配管と前記排気口とを接続する排気管を更に備え、
前記供給配管と前記第1ガス配管との接続部を第1接続部とし、前記供給配管と前記第2ガス配管との接続部を第2接続部とし、前記供給配管と前記排気管との接続部を排気接続部とし、前記供給配管と複数の前記分岐配管のそれぞれとの接続部を分岐接続部として、
前記排気接続部は、前記第1接続部及び前記第2接続部のうちの下流側のものと同じ位置又はそれよりも下流側であって、複数の前記分岐接続部のうちの最も上流側のものと同じ位置又はそれよりも上流側に配置されている、請求項1に記載の収容棚。
【請求項3】
前記第1供給部は、大気圧よりも高い圧力で前記第1ガスの供給を行い、
前記第2供給部は、大気圧よりも高い圧力で前記第2ガスの供給を行い、
前記制御部は、前記供給配管の内部の圧力が大気圧と同等以下になるまでの期間、前記排気モードを実行する、請求項
1に記載の収容棚。
【請求項4】
前記容器は、半導体基板を収容するように構成され、
前記第1ガスは、不活性ガスであり、
前記第2ガスは、清浄空気であり、
前記制御部は、少なくとも前記第1ガス供給モードから前記第2ガス供給モードへ切り替える場合に、前記排気モードを実行する、請求項
1から3のいずれか一項に記載の収容棚。
【請求項5】
前記供給配管における酸素の濃度を検出する酸素濃度センサを更に備え、
前記酸素濃度センサは、前記供給配管における、前記第1バルブ及び前記第2バルブよりも下流側であって、前記排気バルブよりも上流側に配置され、
前記制御部は、前記第1ガス供給モードから前記第2ガス供給モードに切り替えた後、前記酸素濃度センサにより検出された前記濃度が規定の濃度閾値以上である場合に、前記第2ガス供給モードへの切り替えが完了したことを示す信号を出力する、請求項
4に記載の収容棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれが容器を収容する複数の収容部を備えた収容棚に関する。
【背景技術】
【0002】
このような収容棚の一例が、下記の特許文献1に開示されている。以下、背景技術の説明では、特許文献1における符号を括弧内に引用する。
【0003】
特許文献1の収容棚では、複数の収容部(3)のそれぞれに供給口(30)が配置されている。そして、供給口(30)を通して、収容部(3)に収容された容器(F)に、窒素等のパージガスが供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような収容棚では、第1ガス及び第2ガスを含む複数種類のパージガスが用いられ、供給口に供給するパージガスを第1ガス及び第2ガスの一方から他方に切り替える場合がある。例えば、供給口に供給するパージガスを第1ガスから第2ガスに切り替える場合には、このような切り替えを行った後であっても、配管内に残留した第1ガスが供給口に供給される可能性があった。
【0006】
そこで、供給口に供給するパージガスを第1ガスと第2ガスとで切り替えた場合に、配管内に残留した切り替え前のパージガスが供給口に供給される量を適切に低減できる収容棚の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑みた、収容棚の特徴構成は、
それぞれが容器を収容する複数の収容部を備えた収容棚であって、
複数の前記収容部のそれぞれに配置され、前記収容部に収容された前記容器に第1ガス又は第2ガスを供給する供給口と、
複数の前記供給口のそれぞれに接続された分岐配管と、
複数の前記分岐配管に接続された供給配管と、
前記供給配管に前記第1ガスを供給する第1供給部と、
前記供給配管に前記第2ガスを供給する第2供給部と、
前記供給配管から前記第1ガス及び前記第2ガスを排出する排気部と、を備え、
前記第1供給部は、前記第1ガスの供給源である第1供給源と、前記第1供給源と前記供給配管とを接続する第1ガス配管と、前記第1ガス配管における前記第1ガスの流動を選択的に遮断する第1バルブと、を備え、
前記第2供給部は、前記第2ガスの供給源である第2供給源と、前記第2供給源と前記供給配管とを接続する第2ガス配管と、前記第2ガス配管における前記第2ガスの流動を選択的に遮断する第2バルブと、を備え、
前記排気部は、前記第1ガス及び前記第2ガスを排出するための排気口と、前記供給配管と前記排気口との間の前記第1ガス及び前記第2ガスの流動を選択的に遮断する排気バルブと、を備え、
前記第1バルブ、前記第2バルブ、及び前記排気バルブを制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、
前記第1バルブを開放状態とすると共に、前記第2バルブ及び前記排気バルブを閉鎖状態とする第1ガス供給モードと、
前記第2バルブを開放状態とすると共に、前記第1バルブ及び前記排気バルブを閉鎖状態とする第2ガス供給モードと、
前記第1バルブ及び前記第2バルブを閉鎖状態とすると共に、前記排気バルブを開放状態とする排気モードと、を選択的に実行可能に構成され、
前記排気モードは、前記第1ガス供給モード及び前記第2ガス供給モードの一方から他方に切り替える場合に、前記第1ガス供給モードと前記第2ガス供給モードとの間に実行される点にある。
【0008】
この特徴構成によれば、複数の収容部のそれぞれに配置された供給口に供給するパージガスを、例えば第1ガスから第2ガスへ切り替える場合に、例えば第1バルブを閉鎖状態とした後に排気バルブを開放状態とすることで、供給配管及び分岐配管の内部に残留した第1ガスを排気口から適切に排出することができる。その後、第1バルブの閉鎖状態を維持しつつ第2バルブを開放状態とすることで、供給配管及び分岐配管の内部に残留した第1ガスが複数の供給口に供給される量を少なく抑えつつ、第2ガスを複数の供給口に適切に供給することができる。また、第2ガスから第1ガスへ切り替える場合においても、第1バルブ及び第2バルブの操作を上記と逆に行うことで、供給配管及び分岐配管の内部に残留した第2ガスが複数の供給口に供給される量を少なく抑えつつ、第1ガスを複数の供給口に適切に供給することができる。このように、本特徴構成によれば、供給口に供給するパージガスを第1ガスと第2ガスとで切り替えた場合に、配管内に残留した切り替え前のパージガスが供給口に供給される量を適切に低減することができる。
ここで、排気モードにおいて第1バルブ及び第2バルブの一方を解放状態とすると、供給配管の内部の圧力が低下し難いため、分岐配管の内部のガスが抜け難い場合がある。これに対して本特徴構成によれば、排気モードでは第1バルブ及び第2バルブの双方が閉鎖状態となる。そのため、排気モードにおいて第1バルブ及び第2バルブの一方を解放状態とする構成と比べて、供給配管及び分岐配管の双方のパージガスを排気口から排出し易い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る収容棚の概略構成を示す模式図
【
図2】実施形態に係る制御部の制御処理の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、実施形態に係る収容棚100について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、収容棚100は、複数の収容部1と、複数の供給口2と、複数の分岐配管3と、供給配管4と、第1供給部5と、第2供給部6と、排気部7と、を備えている。本実施形態では、収容棚100は、圧力センサ8と、酸素濃度センサ9と、を更に備えている。
【0011】
複数の収容部1のそれぞれは、容器Wを収容するように構成されている。容器Wは、内部にパージガスを供給可能に構成された密閉容器である。本実施形態では、容器Wは、半導体基板を収容するように構成されている。本例では、容器Wは、FOUP(Front Opening Unified Pod)と称される正面開口式の密閉容器である。
【0012】
図示は省略するが、本実施形態では、複数の収容部1のそれぞれは、容器Wを下方から支持する支持部材を備えている。また、複数の収容部1は、鉛直方向及び水平方向に並んで配置されている。
【0013】
複数の供給口2のそれぞれは、複数の収容部1のそれぞれに配置されている。つまり、収容部1ごとに供給口2が配置されている。供給口2は、当該供給口2に対応する収容部1に収容された容器Wに、パージガスを供給するように構成されている。本実施形態では、容器Wに設けられたパージガスの導入口に接続可能に構成された供給ノズルが、供給口2として機能する。パージガスは、互いに異なる種類の第1ガス及び第2ガスを含む。本実施形態では、第1ガスは不活性ガスであり、第2ガスは清浄空気である。本例では、不活性ガスは窒素ガスであり、清浄空気は所謂、クリーンドライエアと呼ばれるものである。
【0014】
複数の分岐配管3及び供給配管4は、それらの内部をパージガスが流動するように構成されている。複数の分岐配管3と供給配管4とは、互いに連通するように接続されている。複数の分岐配管3のそれぞれは、複数の供給口2のそれぞれに接続されている。
【0015】
本実施形態では、複数の分岐配管3のそれぞれは、第1分岐管31と、複数の第2分岐管32と、複数の第3分岐管33と、を含む。
【0016】
第1分岐管31は、供給配管4から分岐するように供給配管4に接続されている。複数の第2分岐管32は、第1分岐管31から分岐するように第1分岐管31に接続されている。複数の第3分岐管33は、複数の第2分岐管32のそれぞれから分岐するように当該第2分岐管32に接続されている。また、複数の第3分岐管33のそれぞれは、複数の供給口2のそれぞれに接続されている。このように、本実施形態では、供給配管4から複数の第1分岐管31が分岐し、当該複数の第1分岐管31のそれぞれから複数の第2分岐管32が分岐し、当該複数の第2分岐管32のそれぞれから複数の第3分岐管33が分岐するように、分岐配管3が形成されている。
【0017】
本実施形態では、複数の第2分岐管32のそれぞれに、通過させるパージガスの流量を制御する流量制御装置34が配置されている。本例では、流量制御装置34は、当該流量制御装置34が配置された第2分岐管32を流動するパージガスの質量流量を計測して、当該質量流量を制御するマスフローコントローラ(Mass Flow Controller)である。
【0018】
また、本実施形態では、供給配管4に、減圧弁41が配置されている。減圧弁41は、供給配管4の内部において、減圧弁41に対して下流側のパージガスの圧力を、減圧弁41に対して上流側のパージガスの圧力よりも減少させる調圧弁である。本実施形態では、減圧弁41による調圧後のパージガスの圧力は、流量制御装置34の作動に要するパージガスの圧力を下回らないように設定されている。
【0019】
第1供給部5は、供給配管4に第1ガスを供給するように構成されている。本実施形態では、第1供給部5は、大気圧よりも高い圧力で第1ガスの供給を行う。第1供給部5は、第1供給源51と、第1ガス配管52と、第1バルブ53と、を備えている。
【0020】
第1供給源51は、第1ガスの供給源である。第1供給源51は、第1ガス配管52に第1ガスを供給する。第1ガス配管52は、第1供給源51と供給配管4とを接続するように形成されている。つまり、第1ガス配管52を介して、第1供給源51と供給配管4とが互いに連通している。第1バルブ53は、第1ガス配管52における第1ガスの流動を選択的に遮断する弁である。本例では、第1バルブ53は、圧縮空気を用いて開閉制御される空圧弁である。
【0021】
第2供給部6は、供給配管4に第2ガスを供給するように構成されている。本実施形態では、第2供給部6は、大気圧よりも高い圧力で第2ガスの供給を行う。第2供給部6は、第2供給源61と、第2ガス配管62と、第2バルブ63と、を備えている。
【0022】
第2供給源61は、第2ガスの供給源である。第2供給源61は、第2ガス配管62に第2ガスを供給する。第2ガス配管62は、第2供給源61と供給配管4とを接続するように形成されている。つまり、第2ガス配管62を介して、第2供給源61と供給配管4とが互いに連通している。第2バルブ63は、第2ガス配管62における第2ガスの流動を選択的に遮断する弁である。本例では、第2バルブ63は、圧縮空気を用いて開閉制御される空圧弁である。
【0023】
排気部7は、供給配管4からパージガスを排出するように構成されている。排気部7は、排気口71と、排気バルブ72と、を備えている。本実施形態では、排気部7は、排気管73と、逆止弁74と、を更に備えている。
【0024】
排気口71は、パージガスを排出するための開口部である。本実施形態では、排気口71は、大気圧と同等の圧力の空間に配置されている。排気バルブ72は、供給配管4と排気口71との間のパージガスの流動を選択的に遮断するバルブである。本例では、排気バルブ72は、電磁石を用いて開閉制御される電磁弁である。排気管73は、供給配管4と排気口71とを接続するように形成されている。つまり、排気管73を介して、供給配管4と排気口71とが互いに連通している。逆止弁74は、一方向へのパージガスの流動を許容するが、その逆方向のパージガスの流動を規制する弁である。逆止弁74は、排気管73に配置されている。そのため、逆止弁74は、排気管73における供給配管4の側から排気口71の側へのパージガスの流動を許容するが、その逆方向のパージガスの流動を規制する。本実施形態では、逆止弁74は、排気管73における排気バルブ72よりも上流側に配置されている。
【0025】
圧力センサ8は、供給配管4を流動するパージガスの圧力であるガス圧Pを検出するセンサである。本実施形態では、圧力センサ8は、供給配管4における、第1バルブ53及び第2バルブ63よりも下流側であって、排気バルブ72よりも上流側に配置されている。
【0026】
酸素濃度センサ9は、供給配管4における酸素の濃度である酸素濃度Cを検出するセンサである。つまり、酸素濃度センサ9は、供給配管4を流動するパージガスに含まれる酸素の濃度としての酸素濃度Cを検出する。本実施形態では、酸素濃度センサ9は、供給配管4における、第1バルブ53及び第2バルブ63よりも下流側であって、排気バルブ72よりも上流側に配置されている。
【0027】
以下の説明では、供給配管4と第1ガス配管52との接続部を「第1接続部X1」とする。そして、供給配管4と第2ガス配管62との接続部を「第2接続部X2」とする。また、供給配管4と排気管73との接続部を「排気接続部X3」とする。そして、供給配管4と複数の分岐配管3(ここでは、複数の第1分岐管31)のそれぞれとの接続部を「分岐接続部X4」とする。
【0028】
本実施形態では、第1接続部X1と第2接続部X2とは同じ位置に配置されている。また、本実施形態では、複数の分岐接続部X4は、互いに異なる位置に配置されている。
【0029】
本実施形態では、排気接続部X3は、第1接続部X1及び第2接続部X2のうちの下流側のものと同じ位置又はそれよりも下流側であって、複数の分岐接続部X4のうちの最も上流側のものと同じ位置又はそれよりも上流側に配置されている。
図1に示す例では、排気接続部X3は、第1接続部X1及び第2接続部X2の双方よりも下流側であって、複数の分岐接続部X4のうちの最も上流側のもの(
図1における最も左側のもの)よりも上流側に配置されている。
【0030】
また、本実施形態では、減圧弁41、圧力センサ8、及び酸素濃度センサ9が、供給配管4における第1接続部X1及び第2接続部X2の双方よりも下流側であって、排気接続部X3よりも上流側に配置されている。
図1に示す例では、圧力センサ8は、供給配管4における排気接続部X3よりも上流側であって、減圧弁41よりも下流側に配置されている。そのため、本実施形態では、圧力センサ8は、供給配管4における減圧弁41よりも下流側のガス圧Pを検出する。また、酸素濃度センサ9は、供給配管4における第1接続部X1及び第2接続部X2の双方よりも下流側であって、減圧弁41よりも上流側に配置されている。
【0031】
図1に示すように、本実施形態では、収容棚100は、第1バルブ53、第2バルブ63、及び排気バルブ72を制御する制御部10を更に備えている。
【0032】
制御部10は、第1バルブ53、第2バルブ63、及び排気バルブ72のそれぞれを、開放状態及び閉鎖状態のいずれかに切り替える。本実施形態では、制御部10は、圧力センサ8により検出されたガス圧Pを取得する。また、本実施形態では、制御部10は、酸素濃度センサ9により検出された酸素濃度Cを取得する。
【0033】
制御部10は、第1ガス供給モードと、第2ガス供給モードと、排気モードと、を選択的に実行可能に構成されている。第1ガス供給モードは、第1供給部5により第1ガスを供給配管4に供給するモードである。本実施形態の第1ガス供給モードでは、第1バルブ53が開放状態とされると共に、第2バルブ63及び排気バルブ72が閉鎖状態とされる。第2ガス供給モードは、第2供給部6により第2ガスを供給配管4に供給するモードである。本実施形態の第2ガス供給モードでは、第2バルブ63が開放状態とされると共に、第1バルブ53及び排気バルブ72が閉鎖状態とされる。排気モードは、排気部7により供給配管4からパージガスを排出するモードである。本実施形態の排気モードでは、第1バルブ53及び第2バルブ63が閉鎖状態とされると共に、排気バルブ72が開放状態とされる。
【0034】
本実施形態では、排気モードは、第1ガス供給モード及び第2ガス供給モードの一方から他方に切り替える場合に、第1ガス供給モードと第2ガス供給モードとの間に実行される。なお、上述したように、本実施形態では、第1ガスは不活性ガスであり、第2ガスは清浄空気である。不活性ガスは酸素を含まないため、作業者が不活性ガスに暴露されること等を考慮して、少なくとも第1ガス供給モードから第2ガス供給モードへ切り替える場合に、排気モードを実行することが好ましい。この場合、制御部10は、第1ガス供給モードから第2ガス供給モードに切り替えた後、酸素濃度センサ9により検出された酸素濃度Cが規定の濃度閾値THc以上である場合に、第2ガス供給モードへの切り替えが完了したことを示す信号を出力するとより好ましい。
【0035】
以下では、制御部10の制御処理について、
図2を参照して説明する。
図2は、制御部10の制御処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下に示す制御部10の制御処理は、第1バルブ53が開放状態、かつ、第2バルブ63及び排気バルブ72の双方が閉鎖状態、つまり、第1ガス供給モードで動作中の状態から、第2ガス供給モードに切り替える場合に実行される制御処理である。
【0036】
図2に示すように、まず、制御部10は、第1バルブ53を開放状態から閉鎖状態に切り替える(ステップ#1)。その結果、第1バルブ53、第2バルブ63、及び排気バルブ72の全てが閉鎖状態となる。この状態では、供給配管4へのパージガスの供給も、供給配管4からパージガスの排出も行われない。
【0037】
次に、制御部10は、排気バルブ72を閉鎖状態から開放状態に切り替える(ステップ#2)。つまり、制御部10は、動作モードを排気モードに切り替える。上述したように、本実施形態では、第1ガス供給モードにて大気圧よりも高い圧力で第1ガスが供給配管4に供給されている。そのため、供給配管4及び分岐配管3におけるパージガスの圧力は、大気圧よりも高くなっている。また、上述したように、本実施形態では、大気圧と同等の圧力の空間に排気口71が配置されている。そのため、第1バルブ53及び第2バルブ63が閉鎖状態で、排気バルブ72が開放状態となることで、供給配管4及び分岐配管3の内部と排気口71の外部との圧力差により、供給配管4及び分岐配管3の内部に残留した第1ガスが排気口71から排出される。
【0038】
制御部10は、この状態を維持しつつ、規定の時間T1が経過したか否かを判断する(ステップ#3)。制御部10は、時間T1が経過した場合に(ステップ#3:Yes)、圧力センサ8により検出されたガス圧Pが、規定の圧力閾値THp未満であるか否かを判断する(ステップ#4)。
【0039】
制御部10は、ガス圧Pが圧力閾値THp以上である場合(ステップ#4:No)、供給配管4及び分岐配管3の内部に残留した第1ガスが排気口71から十分に排出されていないと判断して、上記のステップ#3を再度行う。
【0040】
一方、制御部10は、ガス圧Pが圧力閾値THp未満である場合(ステップ#4:Yes)、供給配管4及び分岐配管3の内部に残留した第1ガスが排気口71から十分に排出されたと判断して、制御部10は、排気バルブ72を開放状態から閉鎖状態に切り替える(ステップ#5)。その結果、第1バルブ53、第2バルブ63、及び排気バルブ72の全てが閉鎖状態となる。
【0041】
続いて、制御部10は、第2バルブ63を閉鎖状態から開放状態に切り替える(ステップ#6)。つまり、制御部10は、動作モードを第2ガス供給モードに切り替える。その結果、第2ガスが第2供給源61から供給配管4に供給され、更に複数の分岐配管3を通って複数の供給口2に供給される。
【0042】
制御部10は、この状態を維持しつつ、規定の時間T2が経過したか否かを判断する(ステップ#7)。制御部10は、時間T2が経過した場合に(ステップ#7:Yes)、酸素濃度センサ9により検出された酸素濃度Cが、規定の濃度閾値THc以上であるか否かを判断する(ステップ#8)。
【0043】
制御部10は、酸素濃度Cが濃度閾値THc未満である場合(ステップ#8:No)、供給口2に十分に酸素が供給されていないと判断して、上記のステップ#7を再度行う。
【0044】
制御部10は、酸素濃度Cが濃度閾値THc以上である場合(ステップ#8:Yes)、供給口2に十分に酸素が供給されていると判断して、第2ガス供給モードへの切り替えが完了したことを示す信号であるモード切替完了信号を出力する(ステップ#9)。本例では、複数の収容部1は密閉空間に配置されており、作業者が点検扉を通って当該密閉空間にアクセス可能となっている。そして、本例では、モード切替完了信号が出力されない限り、点検扉が開かないように構成されている。このように、モード切替完了信号に基づいて、作業者が酸素を含まない不活性ガスに暴露されることを回避する措置が執られている。
【0045】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、第1バルブ53と第2バルブ63とが互いに独立している構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、第1バルブ53及び第2バルブ63が閉鎖状態である第1状態、第1バルブ53が開放状態かつ第2バルブ63が閉鎖状態である第2状態、及び第1バルブ53が閉鎖状態かつ第2バルブ63が開放状態である第3状態のいずれかに切り替え可能なように、第1バルブ53と第2バルブ63とが一体的に構成されていても良い。
【0046】
(2)上記の実施形態では、第1接続部X1と第2接続部X2とが同じ位置に配置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第1接続部X1と第2接続部X2とが異なる位置に配置されていても良い。
【0047】
(3)上記の実施形態では、供給配管4と排気管73とが接続された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、供給配管4と排気管73とが接続されておらず、複数の分岐配管3の少なくとも1つに排気管73が接続された構成としても良い。また、2つ以上の排気部7が設けられていても良い。
【0048】
(4)上記の実施形態では、排気部7が供給配管4と排気口71とを接続する排気管73を備えた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、排気部7が排気管73を備えておらず、排気口71及び排気バルブ72が供給配管4に直接設けられた構成としても良い。
【0049】
(5)上記の実施形態では、排気モードにて、第1バルブ53及び第2バルブ63が閉鎖状態とされる構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、第1ガス供給モードから第2ガス供給モードに切り替える場合において、第1バルブ53が閉鎖状態かつ第2バルブ63が開放状態で排気モードを実行しても良い。
【0050】
(6)上記の実施形態では、排気モードにおいて、供給配管4及び分岐配管3の内部と排気口71の外部との圧力差により、供給配管4及び分岐配管3の内部に残留したパージガスを排気口71から排出させる構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、排気口71に接続されたポンプ等の吸引装置を用いて、供給配管4及び分岐配管3の内部に残留したパージガスを吸引する構成としても良い。この構成では、第1供給部5及び第2供給部6が大気圧以下の圧力でパージガスの供給を行っても良いし、排気口71が大気圧から大きく離れた圧力の空間に配置されていても良い。
【0051】
(7)上記の実施形態では、不活性ガスである第1ガスを供給配管4に供給する第1ガス供給モードから、清浄空気である第2ガスを供給配管4に供給する第2ガス供給モードへ切り替える場合に、排気モードを実行する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第1ガス供給モードから第2ガス供給モードへ切り替える場合に加えて、第2ガス供給モードから第1ガス供給モードへ切り替える場合においても、排気モードを実行しても良い。
【0052】
(8)上記の実施形態では、第1ガスが不活性ガスであり、第2ガスが清浄空気である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、第1ガスが不活性ガスとしての窒素ガスであり、第2ガスが不活性ガスとしてのアルゴンガスであっても良い。このように、第1ガス及び第2ガスは、互いに異なる種類のパージガスであれば良く、用途に応じて適宜変更可能である。
【0053】
(9)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。したがって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0054】
〔上記実施形態の概要〕
以下では、上記において説明した収容棚の概要について説明する。
【0055】
収容棚は、
それぞれが容器を収容する複数の収容部を備えた収容棚であって、
複数の前記収容部のそれぞれに配置され、前記収容部に収容された前記容器に第1ガス又は第2ガスを供給する供給口と、
複数の前記供給口のそれぞれに接続された分岐配管と、
複数の前記分岐配管に接続された供給配管と、
前記供給配管に前記第1ガスを供給する第1供給部と、
前記供給配管に前記第2ガスを供給する第2供給部と、
前記供給配管から前記第1ガス及び前記第2ガスを排出する排気部と、を備え、
前記第1供給部は、前記第1ガスの供給源である第1供給源と、前記第1供給源と前記供給配管とを接続する第1ガス配管と、前記第1ガス配管における前記第1ガスの流動を選択的に遮断する第1バルブと、を備え、
前記第2供給部は、前記第2ガスの供給源である第2供給源と、前記第2供給源と前記供給配管とを接続する第2ガス配管と、前記第2ガス配管における前記第2ガスの流動を選択的に遮断する第2バルブと、を備え、
前記排気部は、前記第1ガス及び前記第2ガスを排出するための排気口と、前記供給配管と前記排気口との間の前記第1ガス及び前記第2ガスの流動を選択的に遮断する排気バルブと、を備えている。
【0056】
この構成によれば、複数の収容部のそれぞれに配置された供給口に供給するパージガスを、例えば第1ガスから第2ガスへ切り替える場合に、例えば第1バルブを閉鎖状態とした後に排気バルブを開放状態とすることで、供給配管及び分岐配管の内部に残留した第1ガスを排気口から適切に排出することができる。その後、第1バルブの閉鎖状態を維持しつつ第2バルブを開放状態とすることで、供給配管及び分岐配管の内部に残留した第1ガスが複数の供給口に供給される量を少なく抑えつつ、第2ガスを複数の供給口に適切に供給することができる。また、第2ガスから第1ガスへ切り替える場合においても、第1バルブ及び第2バルブの操作を上記と逆に行うことで、供給配管及び分岐配管の内部に残留した第2ガスが複数の供給口に供給される量を少なく抑えつつ、第1ガスを複数の供給口に適切に供給することができる。このように、本構成によれば、供給口に供給するパージガスを第1ガスと第2ガスとで切り替えた場合に、配管内に残留した切り替え前のパージガスが供給口に供給される量を適切に低減することができる。
【0057】
ここで、前記排気部は、前記供給配管と前記排気口とを接続する排気管を更に備え、
前記供給配管と前記第1ガス配管との接続部を第1接続部とし、前記供給配管と前記第2ガス配管との接続部を第2接続部とし、前記供給配管と前記排気管との接続部を排気接続部とし、前記供給配管と複数の前記分岐配管のそれぞれとの接続部を分岐接続部として、
前記排気接続部は、前記第1接続部及び前記第2接続部のうちの下流側のものと同じ位置又はそれよりも下流側であって、複数の前記分岐接続部のうちの最も上流側のものと同じ位置又はそれよりも上流側に配置されていると好適である。
【0058】
この構成によれば、供給配管及び分岐配管の内部に残留したパージガスを、複数の分岐配管に接続された供給配管と排気口とを接続するように配置された排気管を通して、排気口から適切に排出することができる。
【0059】
また、前記第1バルブ、前記第2バルブ、及び前記排気バルブを制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、
前記第1バルブを開放状態とすると共に、前記第2バルブ及び前記排気バルブを閉鎖状態とする第1ガス供給モードと、
前記第2バルブを開放状態とすると共に、前記第1バルブ及び前記排気バルブを閉鎖状態とする第2ガス供給モードと、
前記第1バルブ及び前記第2バルブを閉鎖状態とすると共に、前記排気バルブを開放状態とする排気モードと、を選択的に実行可能に構成され、
前記排気モードは、前記第1ガス供給モード及び前記第2ガス供給モードの一方から他方に切り替える場合に、前記第1ガス供給モードと前記第2ガス供給モードとの間に実行されると好適である。
【0060】
ここで、排気モードにおいて第1バルブ及び第2バルブの一方を解放状態とすると、供給配管の内部の圧力が低下し難いため、分岐配管の内部のガスが抜け難い場合がある。これに対して本構成によれば、排気モードでは第1バルブ及び第2バルブの双方が閉鎖状態となる。そのため、排気モードにおいて第1バルブ及び第2バルブの一方を解放状態とする構成と比べて、供給配管及び分岐配管の双方のパージガスを排気口から排出し易い。
【0061】
また、前記第1供給部は、大気圧よりも高い圧力で前記第1ガスの供給を行い、
前記第2供給部は、大気圧よりも高い圧力で前記第2ガスの供給を行い、
前記制御部は、前記供給配管の内部の圧力が大気圧と同等以下になるまでの期間、前記排気モードを実行すると好適である。
【0062】
この構成によれば、排気モードにおいて、供給配管及び分岐配管の内部に残留したパージガスを、供給配管及び分岐配管の内部と排気口の外部との圧力差を利用して排出することができる。したがって、供給配管及び分岐配管の内部に残留したパージガスを適切に排出することができる。
【0063】
また、前記容器は、半導体基板を収容するように構成され、
前記第1ガスは、不活性ガスであり、
前記第2ガスは、清浄空気であり、
前記制御部は、少なくとも前記第1ガス供給モードから前記第2ガス供給モードへ切り替える場合に、前記排気モードを実行すると好適である。
【0064】
この構成によれば、複数の供給口に供給するパージガスを不活性ガスから清浄空気へ切り替える場合に排気モードを実行する。これにより、清浄空気の供給開始後に、供給配管及び分岐配管の内部に残留した不活性ガスが複数の供給口に供給される量を少なく抑えることができる。したがって、例えば、第2ガス供給モードへ切り替えた後に、複数の供給口に供給されたパージガスで満たされた空間で作業者が作業を行う場合に、作業者が酸素を含まない不活性ガスに暴露されることを回避し易い。
【0065】
また、前記供給配管における酸素の濃度を検出する酸素濃度センサを更に備え、
前記酸素濃度センサは、前記供給配管における、前記第1バルブ及び前記第2バルブよりも下流側であって、前記排気バルブよりも上流側に配置され、
前記制御部は、前記第1ガス供給モードから前記第2ガス供給モードに切り替えた後、前記酸素濃度センサにより検出された前記濃度が規定の濃度閾値以上である場合に、前記第2ガス供給モードへの切り替えが完了したことを示す信号を出力すると好適である。
【0066】
この構成によれば、排気モードにおいて供給配管における酸素の濃度が十分に高くなったと判断した場合に、第2ガス供給モードへの切り替えが完了したことを示す信号を出力する。したがって、例えば、第2ガス供給モードへ切り替えた後に、複数の供給口に供給されたパージガスで満たされた空間で作業者が作業を行う場合に、第2ガス供給モードへの切り替えが完了したことを示す信号に基づいて、作業者が酸素を含まない不活性ガスに暴露されることを回避する措置を執ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本開示に係る技術は、それぞれが容器を収容する複数の収容部を備えた収容棚に利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
100 :収容棚
1 :収容部
2 :供給口
3 :分岐配管
4 :供給配管
5 :第1供給部
51 :第1供給源
52 :第1ガス配管
53 :第1バルブ
6 :第2供給部
61 :第2供給源
62 :第2ガス配管
63 :第2バルブ
7 :排気部
71 :排気口
72 :排気バルブ