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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】印刷装置および印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/14 20060101AFI20240514BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B41J11/14
B41J15/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021155102
(22)【出願日】2021-09-24
(65)【公開番号】P2023046484
(43)【公開日】2023-04-05
【審査請求日】2022-08-03
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】徳田 裕亮
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-291385(JP,A)
【文献】特開2018-108679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/14
B41J 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープへの印刷を行う印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドとの間に前記テープが保持された状態で、回転によって前記テープを搬送するプラテンローラと、
前記プラテンローラを回転可能に支持する支持部と、
前記印刷ヘッドに対する前記プラテンローラへの押圧を解除させる第1のガイド部と、前記プラテンローラを前記印刷ヘッドに押圧する第2のガイド部と、を有するカムと、
を、備え、
前記支持部は、前記プラテンローラを移動させるガイド受を有し、
前記ガイド受は、前記第1のガイド部に係合可能な第1のガイド受と、前記第2のガイド部に押圧される第2のガイド受と、を備え、
前記カムは、前記第1のガイド部に前記第1のガイド受が係合されることにより前記印刷ヘッドに対する前記プラテンローラへの押圧を解除させ、前記第2のガイド部が前記第2のガイド受を前記印刷ヘッドに押圧することにより前記プラテンローラを前記印刷ヘッドに押圧する、
印刷装置。
【請求項2】
前記カムは、前記プラテンローラが回転する回転軸の方向および前記テープが搬送される方向と交差する方向に延びる回転軸周りに回転することにより、前記第1のガイド部が前記第1のガイド受に摺動され、前記第2のガイド部が前記第2のガイド受を前記印刷ヘッドに押圧する、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第1のガイド部は、前記カムの回転軸の軸方向に傾斜を有し、前記カムから前記カムの周方向に突出する斜面を有する第1の傾斜部を備え、
前記カムが前記カムの回転軸を中心に回転し、前記第1の傾斜部に前記第1のガイド受が係合され、摺動されることにより、前記プラテンローラと前記印刷ヘッドとの距離が増大する、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第1のガイド部は、前記第1の傾斜部に連続する、前記カムの回転軸に垂直な面を有する水平部をさらに備え、
前記第1のガイド受が前記水平部に係合されたとき、前記プラテンローラは、前記印刷ヘッドから最も遠くに離隔されている、
請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記カムは、前記支持部を前記印刷ヘッドに向けて前記第2のガイド部より小さな圧力で押圧する第3のガイド部をさらに有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記プラテンローラを前記印刷ヘッドに押圧する弾性部材をさらに備え、
前記支持部は、
前記プラテンローラの回転軸を、前記印刷ヘッドから離隔させる方向に、および、前記印刷ヘッドに向けて接近させる方向に移動可能に支持するローラ挿通孔と、
前記弾性部材の押圧力によって、前記プラテンローラの回転軸を押圧するプラテンローラ押圧部材と、
を、有する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記弾性部材は、2つ以上のバネで構成されており、
前記弾性部材および前記プラテンローラは、前記支持部に収容されている、
請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記カムが前記プラテンローラを前記印刷ヘッドに押圧するときに、前記カムに形成されたカム姿勢保持部材を支持することにより、前記カムの回転軸のずれを抑制するカム支持部材をさらに備える、
請求項1から7のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項9】
テープへの印刷を行う印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドとの間に前記テープが保持された状態で、回転によって前記テープを搬送するプラテンローラと、
前記プラテンローラを回転可能に支持する支持部と、
前記印刷ヘッドに対する前記プラテンローラへの押圧を解除させる第1のガイド部と、前記プラテンローラを前記印刷ヘッドに押圧する第2のガイド部と、を有するカムと、
前記カムが前記プラテンローラを前記印刷ヘッドに押圧するときに、前記カムに形成されたカム姿勢保持部材を支持することにより、前記カムの回転軸のずれを抑制するカム支持部材と、
を、備える、
印刷装置。
【請求項10】
テープへの印刷を行う印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドとの間に前記テープが保持された状態で回転によって前記テープを搬送するプラテンローラと、前記プラテンローラを前記印刷ヘッドに向けて押圧しつつ回転可能に支持する支持部と、を有する印刷装置の印刷方法であって
駆動機構がカムを所定方向に回転させることにより前記カムに形成された第1のガイド部を、前記支持部に形成された第1のガイド受に係させることによって、前記プラテンローラを前記印刷ヘッドから離隔させ、
前記印刷ヘッドにより前記テープへの印刷を行う際に、前記駆動機構が前記カムを所定方向に回転させることにより前記カムに形成された第2のガイド部が、前記支持部に形成された第2のガイド受を前記印刷ヘッドに向けて押圧することによって、前記プラテンローラを前記印刷ヘッドに押圧する、
印刷方法。
【請求項11】
テープへの印刷を行う印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドとの間に前記テープが保持された状態で回転によって前記テープを搬送するプラテンローラと、前記プラテンローラを前記印刷ヘッドに向けて押圧しつつ回転可能に支持する支持部と、を有する印刷装置の印刷方法であって
駆動機構がカムを所定方向に回転させることにより前記カムに形成された第1のガイド部を、前記支持部に形成された第1のガイド受に係させることによって、前記プラテンローラを前記印刷ヘッドから離隔させ、
前記印刷ヘッドにより前記テープへの印刷を行う際に、前記駆動機構が前記カムを所定方向に回転させることにより前記カムに形成された第2のガイド部が、前記支持部を前記印刷ヘッドに向けて押圧することによって、前記プラテンローラを前記印刷ヘッドに押圧し、
前記プラテンローラを前記印刷ヘッドに押圧するときに、カム支持部材が、前記カムに形成されたカム姿勢保持部材を支持することにより、前記カムの回転軸のずれを抑制する、
印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置および印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
帯状の被印刷媒体に、文字や図形等を印刷してラベルを作成する印刷装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の印刷装置は、感熱記録紙を、プラテンローラによってサーマルヘッドに押圧することにより、サーマルヘッドを感熱記録紙に圧着させ、サーマルヘッドを駆動して印刷を行う。この印刷装置は、プラテンローラをサーマルヘッドに押圧する場合、プラテンローラをサーマルヘッドから離間させる場合、それぞれの場合で異なるバネを使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-291385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このため、バネの公差により、プラテンローラをサーマルヘッド(印刷ヘッド)へ向けて押圧することおよびプラテンローラをサーマルヘッドから離隔することが適切に行いにくいという課題がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、プラテンローラを印刷ヘッドに押圧することおよびプラテンローラを印刷ヘッドから離隔することを好適に行うことができる印刷装置および印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の印刷装置は、
テープへの印刷を行う印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドとの間に前記テープが保持された状態で、回転によって前記テープを搬送するプラテンローラと、
前記プラテンローラを回転可能に支持する支持部と、
前記印刷ヘッドに対する前記プラテンローラへの押圧を解除させる第1のガイド部と、前記プラテンローラを前記印刷ヘッドに押圧する第2のガイド部と、を有するカムと、
を、備え
前記支持部は、前記プラテンローラを移動させるガイド受を有し、
前記ガイド受は、前記第1のガイド部に係合可能な第1のガイド受と、前記第2のガイド部に押圧される第2のガイド受と、を備え、
前記カムは、前記第1のガイド部に前記第1のガイド受が係合されることにより前記印刷ヘッドに対する前記プラテンローラへの押圧を解除させ、前記第2のガイド部が前記第2のガイド受を前記印刷ヘッドに押圧することにより前記プラテンローラを前記印刷ヘッドに押圧する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、プラテンローラを印刷ヘッドに押圧することおよびプラテンローラを印刷ヘッドから離隔することを好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る印刷装置の斜視図である。
図2】(a)は、ラベル作成部の斜視図であり、(b)は、(a)と異なる視点からのラベル作成部の斜視図である。
図3】(a)は、テープカートリッジを収容したラベル作成部の斜視図であり、(b)は、(a)のX部の部分拡大図である。
図4】(a)は、プラテンローラを取り付けられたアームの斜視図であり、(b)は、(a)の分解斜視図である。
図5】(a)は、カムの底面図であり、(b)は、カムの側面図であり、(c)は、(b)から180度回転した視点からの側面図である。
図6】(a)は、プラテンローラがサーマルヘッドから離間した状態の平面図であり、(b)は、プラテンローラがサーマルヘッドに向けて標準圧で押圧された状態の平面図であり、(c)は、プラテンローラがサーマルヘッドに向けて軽圧で押圧された状態の平面図である。
図7】カム支持部材の斜視図である。
図8】変形例に係るサーマルヘッド等取付部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態に係る印刷装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、X軸は印刷用テープが排出される方向、Y軸は後述するカムの回転軸方向、Z軸はプラテンローラの回転軸方向であり、各図の矢印に示す通りである。また、図5においては、補助軸として、カムの正面方向をu軸、カムの軸方向をv軸、カムの側面方向をw軸を設定する。
【0011】
本発明の実施形態に係る印刷装置100は、印刷用テープに文字、数字、記号、絵文字や図形等(以下、「印刷パターン」という。)を印刷する、例えば、図1に示す外観のテーププリンタ(ラベルプリンタ)である。
【0012】
印刷装置100は、図3(b)に示す印刷対象の印刷用テープPTおよびインクリボンIR(テープ状の記録媒体TM)を収容したテープカートリッジ200を使用して印刷用テープPTに印刷を行う。
【0013】
(印刷装置の構成)
印刷装置100は、図1に示すように、印刷パターンを入力するキーボード101、入力された印刷パターン等を表示するディスプレイ102、テープカートリッジ200を印刷装置100内に収容するための開閉蓋103、を備える。また、印刷装置100は、図示しないが、パーソナルコンピュータ等の外部機器と接続するための入出力端子、電源コードが接続される電源端子或いは電池を収容する電池収容部、メモリーカード等の記憶媒体が挿入される挿入口等も備える。
【0014】
キーボード101は、ユーザからのキー入力を受け付ける。キーボード101は、パターンデータを入力するパターン入力キー、印刷開始を指示する印刷キー、ディスプレイ102の表示画面上のカーソルを移動操作するカーソルキー、印刷モードの設定や各種設定処理を行う各種の機能キーにより構成される。
【0015】
ディスプレイ102は、印刷装置100におけるメイン表示画面として機能し、入力されたデータに関する画像、各種設定のための選択メニュー、各種処理に関するメッセージ等を表示する。ディスプレイ102は、例えば、液晶表示パネルにより構成される。なお、キーボード101とディスプレイ102とは、タッチスイッチ機能を備えるタッチパネルのような入力機能と表示機能とが組み合わせられたもので構成されてもよい。
【0016】
開閉蓋103は、印刷装置100の内部に形成された、テープカートリッジ200を装填し、印刷パターンが印刷されたラベルを作成するためのラベル作成部110を覆うカバーである。
【0017】
図1図2および図3(a)に示すように、印刷装置100には、テープカートリッジ200を装填するためのラベル作成部110が形成されている。ラベル作成部110内には、テープカートリッジ200に収容された印刷用テープPTに印刷を行うテープ印刷機構120と、テープカートリッジ200を所定の位置に配置させるためのカートリッジ受部130と、が形成されている。
【0018】
図1および図2(a)、(b)に示すように、テープ印刷機構120およびカートリッジ受部130は、後述するカム軸取付部112およびアーム取付部113等の各部材が+Z側の主面に配置された略コの字状の板材の取付部111、取付部111の+Y方向の側端付近に沿って立設されたカム軸取付部112、および取付部111の中央付近に立設され後述するアーム123を揺動(回転)可能に支持するアーム取付部113を備える。
【0019】
取付部111には、カム軸取付部112、アーム取付部113、カートリッジ受部130、後述するカム124を回転させるモータ117や後述するプラテンローラ122を回転させる歯車(図示せず)等が取り付けられている。図2図3(a)に示すように、カム軸取付部112には、後述するカム軸1244およびカム124に回転軸にウォーム115を取り付けられたモータ117の動力を伝達する歯車114、ウォームギアを構成するウォームホイール116等の+Y方向端部がY軸周りに回転可能に取り付けられている。モータ117は、カム124の回転だけでなく図3(b)に示す印刷用テープPTを切断する後述するハーフカット機構やフルカット機構にも動力を供給する。アーム取付部113には、アーム回転軸1234によってアーム123がZ軸周りに揺動(回転)可能に取り付けられている。
【0020】
テープ印刷機構120は、インクリボンIRを加熱するための複数の発熱素子がライン状に配設されたサーマルヘッド(印刷ヘッド)121と、サーマルヘッド121と対向する位置に配置され、テープ状の記録媒体TM(印刷用テープPT(図3(b)に太線で図示)およびインクリボンIR(図3(b)に一点鎖線で図示))をサーマルヘッド121と挟持しながらテープ排出口140の方向へ搬送するプラテンローラ(搬送部)122と、プラテンローラ122を回転可能に支持するアーム123と、を備える。また、テープ印刷機構120は、アーム123をサーマルヘッド121から隔離し、アーム123をサーマルヘッド121に向けて押圧するカム124と、プラテンローラ122をサーマルヘッド121に向けて押圧するバネ(弾性部材)125と、印刷に使用したインクリボンIRをテープカートリッジ200内の後述するリボン巻取コア204に巻き取らせるリボン巻取軸126と、を備える。
【0021】
サーマルヘッド121は、テープ状の記録媒体TMの長手方向(排出方向)と直交する方向(Z軸方向)に、複数の発熱素子が整列配置するように構成されている。テープカートリッジ200がラベル作成部110に装填されると、制御部104によってプラテンローラ122がサーマルヘッド121に向けて所定の押圧力で押圧されることにより、サーマルヘッド121は、図3(b)に示すように、インクリボンIRを介して印刷用テープPTの表面(印刷面)に接する。サーマルヘッド121は、入力されたデータ等から生成された印刷データに基づいて、複数の発熱素子を選択的に発熱させ、インクリボンIRのインクを印刷用テープPTに熱転写する。サーマルヘッド121は、アルミダイキャスト製のサーマルヘッド固定部1211によって、取付部111の主面に+Z方向に立設され、サーマルヘッド121の主面がカム軸取付部112の主面に水平になるように配置されている。
【0022】
プラテンローラ122は、テープ状の記録媒体TMをテープ排出口140の方向(+X方向、排出方向)に向けて送出し、印刷時および位置合わせ時にはテープ状の記録媒体TMを適切な圧力でサーマルヘッド121に向けて押圧する。図4(a)、(b)に示すプラテンローラ122の本体部1221は、例えば、外周面がゴム等の弾性部材で覆われた円柱体等で構成される。プラテンローラ122の長軸方向(Z軸方向)の両端部から突出する挿通軸1222は、アーム123のローラ挿通孔1232,1238に回転可能に挿通される。
【0023】
サーマルヘッド121を支持する支持部としてのアーム123は、図4(a)、(b)に示すように、X軸方向から見て略コ字状の部材に+Y方向に逆T字状の部材を突出させた本体部1231と、本体部1231の-Y方向側(サーマルヘッド121側)の端部付近に形成されたローラ挿通孔1232と、本体部1231の-X方向(テープ排出口140から遠い側)の端部付近に形成されたアーム回転軸挿通孔1233と、を有する。さらに、アーム123は、アーム回転軸挿通孔1233および図3(a)に示すアーム取付部113のアーム回転軸挿通孔1131に挿通されるアーム回転軸1234と、カム124の後述する押圧解除部1242に係合可能な係合部(第1のガイド受)1235と、カム124の後述する押圧部1243および軽圧部1245に押圧される被押圧部(第2のガイド受)1236と、プラテンローラ122を回転可能に収容し、バネ125の押圧力によってプラテンローラ122の挿通軸1222を-Y方向(サーマルヘッド121の配置されている方向)に押圧するプラテンローラ押圧部材1237と、を有する。ローラ挿通孔1232は略Y軸方向を長径とするオーバル形状に形成されている。長径の+Y方向端部は、アーム123がサーマルヘッド121に最も接近した際に、プラテンローラ122がサーマルヘッド121に後述する標準圧で押圧されるようにするために、バネ125によるプラテンローラ122への押圧力を調整できる位置まで挿通軸1222を移動できる位置に設定されている。長径の-Y方向端部は、アーム123がサーマルヘッド121から最も離隔した際に、プラテンローラ122がサーマルヘッド121から十分な距離(例えば、ユーザが容易にテープカートリッジ200をセットできる空間を確保できる距離)を確保できる位置に設定されている。ローラ挿通孔1238は、アーム回転軸1234の直径より僅かに大きい直径を有する円形に形成されている。被押圧部1236は、+Y方向に山型に突出しており、その突出形状は被押圧部1236が押圧部1243に押圧された時にプラテンローラ122が標準圧で押圧され、軽圧部1245に押圧されたときに後述する軽圧で押圧されるように構成されている。
【0024】
バネ125は、プラテンローラ押圧部材1237を略Y軸方向に向けて(サーマルヘッド121の方向に向けて)常時押圧しており、プラテンローラ押圧部材1237は、ローラ挿通孔1232が挿通軸1222を略Y軸方向に向けて押圧することにより、プラテンローラ122を略Y軸方向に向けて押圧する。このとき、挿通軸1222は、略Y軸方向を長径とするオーバル形状のローラ挿通孔1232内を略Y軸方向に向けて(サーマルヘッド121の方向に向けて)常時押圧されている。2つのバネ125がそれぞれのバネ125に近い方の挿通軸1222を押圧するので、バネ125は、プラテンローラ122を均一な圧力で押圧することができる。
【0025】
上記のように構成されたアーム123は、アーム回転軸1234を回転軸にして、P1方向およびP1方向の逆方向P2に所定の角度だけ回転(揺動)可能である。アーム123のP1方向への最大回転角度は、係合部1235が押圧解除部1242の後述する水平部1247に係合されたときである。このとき、プラテンローラ押圧部材1237に収容されたプラテンローラ122は、サーマルヘッド121から最大距離だけ離隔する。アーム123の逆方向P2への最大回転角度は、被押圧部1236が押圧部1243に押圧されたときである。このとき、プラテンローラ122は、サーマルヘッド121に標準圧で押圧される。
【0026】
図5(a)~(c)に示すように、カム124は、略円柱型の本体部1241と、カム124のカム軸1244方向に傾斜を有し、本体部1241から本体部1241の周方向の一方に突出した押圧解除部(第1のカム面、ガイド部)1242と、本体部1241の(サーマルヘッド121側)の端面の一部分からカム124の軸方向(-v方向)に突出してアーム123を押圧する押圧部(第2のカム面、ガイド部)1243と、カム124をカム軸取付部112にY軸(v軸)周りに回転可能に取り付けるカム軸1244と、アーム123を押圧部1243より軽い圧力で押圧する軽圧部(第3のカム面、ガイド部)1245と、を備える。サーマルヘッド121に対するプラテンローラ122への押圧を解除する押圧解除部1242は、特に図5(b)、(c)、図6(a)~(c)に示すように、本体部1241の押圧部1243側の-v方向端面(軽圧部1245)から本体部1241のv軸方向中央付近を結ぶように本体部1241の周方向に突出してカム軸1244方向に傾斜する斜面を有する傾斜部(第1の傾斜部)1246と、傾斜部1246に連続し本体部1241のv軸方向中央付近から周方向に突出したカム軸1244に鉛直(XZ平面(サーマルヘッド121の主面)に略水平)な面を有する水平部1247と、を備えている。
【0027】
また、カム124は、水平部1247の一端と本体部1241の軽圧部1245側の-v方向端面(軽圧部1245)とを結ぶように本体部1241の周方向に突出してカム軸1244方向に傾斜する斜面を有する傾斜部(第2の傾斜部)1248と、水平部1247に類似する構造を有するカム姿勢保持部材1249と、を備えている。傾斜部1248は、斜面の-v側の面で被押圧部1236を押圧する。傾斜部1248は、押圧部1243とともに第2のカム面を構成してもよい。カム姿勢保持部材1249は、本体部1241のv軸方向中央付近から周方向に突出したカム軸1244に鉛直な面を有している。
【0028】
なお、傾斜部1246の傾斜面と傾斜部1248の傾斜面とは、カム軸1244の中心および水平部1247の中心を通るvw平面を基準にほぼ面対称に形成されている。カム軸1244は、押圧部1243側と反対側の軸端部をカム軸取付部112に回転可能に取り付けられる。
【0029】
カム124がカム軸1244を中心にR1方向(図5(a))に回転すると、押圧解除部1242の傾斜部1246の+v(+Y)側の面上には、アーム123の係合部1235が係合される。係合部1235が傾斜部1246に係合されると、アーム123は、係合部1235が傾斜部1246を摺動して+Y方向に変位することにより、アーム回転軸1234を中心にP1方向(図4(a))に回転し、+Y方向に回動する(サーマルヘッド121から離隔する方向に回動する)。さらにカム124がカム軸1244を中心にR1方向に回転すると、係合部1235が傾斜部1246に続く水平部1247まで係合された状態で摺動(スライド)する(図5(b))。このとき、アーム123は、P1方向に最大角度回転し、最も+Y方向に回転移動する(サーマルヘッド121から最も離隔する)。さらにカム124がカム軸1244を中心にR1方向に回転すると、水平部1247に続く傾斜部1248の-v方向の面によって被押圧部1236が押圧され、回転量が増えるにしたがって押圧量が増加する。これにより、アーム123は、アーム回転軸1234を中心にP1方向の逆方向P2に回転移動し(サーマルヘッド121に押圧する方向に回動する)、やがて傾斜部1248の-v方向端部で、係合部1235と傾斜部1248との係合が解除される。さらにカム124がカム軸1244を中心にR1方向に回転すると、押圧部1243によって被押圧部1236が押圧される(標準圧で押圧される)ようになり、アーム123は、最大角度-Y方向に回転移動する(最もサーマルヘッドに近接する)。さらにカム124がカム軸1244を中心にR1方向に回転すると、図5(b)に示すように、軽圧部1245によって被押圧部1236が押圧される(軽圧で押圧される)。さらにカム124がカム軸1244を中心にR1方向に回転すると、再び押圧解除部1242の傾斜部1246の+v(+Y)側の面上には、アーム123の係合部1235が係合される。
【0030】
図3(a)、図5(c)に示すように、カム支持部材127は、カム姿勢保持部材1249を回転可能に支持することにより、カム124の回転軸のずれを抑制する。図3(a)、図7に示すように、カム支持部材127は、カム軸取付部112に取り付けられる基部1271と、基部1271から垂設され、カム姿勢保持部材1249を支持する2つのカム支持凸部1272と、を有する。カム支持凸部1272が2つあることにより、カム支持部材127は、カム124が傾斜するのをより効果的に抑制することができる。
【0031】
図5(c)に示すように、押圧部1243または軽圧部1245(または、押圧部1243と軽圧部1245との間の斜面)が被押圧部1236を押圧しているとき、カム姿勢保持部材1249は、カム軸取付部112に垂設されたカム支持部材127(のカム支持凸部1272)に摺動しつつ支持される。これにより、被押圧部1236を押圧しているときに、カム124が傾斜する(カム124の回転軸がすれる、傾斜する)ことを抑制しつつ、適切な押圧力で被押圧部1236を押圧することができる。
【0032】
図1図3(a)、(b)に示すように、ラベル作成部110の+X方向側面付近には、印刷装置100の外部に連通するテープ排出口140が形成されている。テープ排出口140には、図示しないが、テープ状の記録媒体TMの印刷用テープPTおよび剥離テープを幅方向に切断するフルカット機構と、テープ状の記録媒体TMの印刷用テープPTのみを切断するハーフカット機構と、が内蔵されている。
【0033】
図3(a)に示すように、テープカートリッジ200は、カートリッジケース201を備える。カートリッジケース201には、図3(b)に示す印刷用テープPTが巻装されたテープコア202、未使用のインクリボンIRが巻装されたリボン供給コア203、使用済みのインクリボンIRを巻き取るリボン巻取コア204が内蔵されている。また、カートリッジケース201には、ラベル作成部110内にテープカートリッジ200を装填した場合にサーマルヘッド121が位置するヘッド配置部210が形成されている。
【0034】
また、図3(a)に示すように、カートリッジケース201の4つのコーナー部分には、ラベル作成部110のカートリッジ受部130と係合し、カートリッジ受部130によって支持される被係合部205が形成されている。カートリッジケース201の被係合部205には、図示しないが、テープカートリッジ200の種類に応じた所定の凹凸が形成されている。また、ラベル作成部110のカートリッジ受部130には、テープカートリッジ200が装填された場合にカートリッジケース201の被係合部205に形成された凹凸を判別する所定の記録幅検出スイッチ(図示しない)が配置されている。
【0035】
テープカートリッジ200がラベル作成部110に装填されると、カートリッジケース201の被係合部205とラベル作成部110のカートリッジ受部130に配置された記録幅検出スイッチのいくつか或いは全部とが係合する。被係合部205と係合した記録幅検出スイッチが押下される。印刷装置100の制御部104は、オン状態となった記録幅検出スイッチの組み合わせによって、テープカートリッジ200の種類を判別する。
【0036】
制御部104は、プロセッサ等の処理装置から構成される。制御部104は、図示しないROM(Read Only Memory)に格納されているプログラムに従って動作することで、印刷データの作成、印刷パターンの印刷の実行、カムの回転角度、フルカット機構やハーフカット機構の制御等を行う。
【0037】
(印刷装置の動作)
まず、ユーザが印刷装置100の電源をONにすると、制御部104が起動する。起動時には、制御部104は、モータ117を駆動させることにより、カム124をカム軸1244中心に反時計回り(R1方向)に回転させ(印刷装置100を平面視した場合、カム124を反時計回りに回転させ)、カム124の押圧解除部1242の傾斜部1246にアーム123の係合部1235が係合される。その後、傾斜部1246のスロープに沿って係合部1235が移動しながら係合状態を保ち、アーム123は、アーム回転軸1234を回転軸に反時計回り(図4(a)のP1方向)に回転する。その後、図6(a)に示すように、水平部1247にアーム123の係合部1235が係合された状態に至り、制御部104は、モータ117の駆動を停止させて、カム124の回転を停止させる。このとき、アーム123は、アーム回転軸1234を回転軸に反時計回りに最大角度回転した状態であり、プラテンローラ122は、サーマルヘッド121から最大距離だけ離間されている。この状態に至ると、制御部104は、開閉蓋103のロックを解除し、ユーザは、カートリッジ受部130に、開閉蓋103を開閉してテープカートリッジ200をセットする。プラテンローラ122がサーマルヘッド121から最大距離だけ離間されているので、ユーザは、テープカートリッジ200を容易にセットする(或いはテープカートリッジ200を他のテープカートリッジ200に交換する)ことができる。
【0038】
テープカートリッジ200のセット後、制御部104は、カム124を再び反時計回り(R1方向)に回転させ、傾斜部1248の-v方向の面によって被押圧部1236が押圧され、回転量が増えるにしたがって押圧量が増加しつつ、傾斜部1248のスロープに沿って係合部1235が移動しながら係合状態を保ちつつ、アーム123は、アーム回転軸1234を回転軸に今度は時計回りに回転する。その後、図6(b)に示すように、テープカートリッジ200をセットしたときからカム124を矢印Pの方向に所定の角度だけ回転させることにより、係合部1235と傾斜部1248との係合が解除され、カム124の押圧部1243にアーム123の被押圧部1236が押圧された状態となり、その後、制御部104は、カム124の回転を停止させる。このとき、アーム123は、アーム回転軸1234を回転軸に時計回り(P2方向)に最大角度回転し、プラテンローラ122は、テープ状の記録媒体TMを介してサーマルヘッド121に最短距離まで接近する。このとき、アーム123によってプラテンローラ122およびテープ状の記録媒体TMは、印刷用テープPTに印刷を行うのに好適な500g/cmの圧力(標準圧)でサーマルヘッド121に向けて押圧されている。
【0039】
その後、印刷装置100は、テープカートリッジ200の種類を判別することにより、テープカートリッジ200が収容する印刷用テープPTの記録幅、色等を識別し、設定によりフルカット機構またはハーフカット機構により、印刷用テープPTの+X方向端部の余白をカットする。ユーザが印刷データの情報を入力し、制御部は、印刷用テープPTの記録幅に適合する印刷データを作成し、印刷パターンを印刷可能になる。
【0040】
キーボード101の操作により印刷の実行が指示されると、制御部104によって印刷用テープPTおよびインクリボンIRがそれぞれテープカートリッジ200のテープコア202およびリボン供給コア203から繰り出される。プラテンローラ122とサーマルヘッド121との間にこれらの印刷用テープPTおよびインクリボンIRが重ね合わされた状態で挟み込まれて搬送される。
【0041】
その後、印刷装置100は、カム124の回転を停止させたまま標準圧を保った状態で、印刷用テープPTへの印刷を行う。サーマルヘッド121が有する発熱素子が印刷データに基づいて発熱駆動され、インクリボンIRのインクが印刷用テープPTに印刷パターンとして印刷される。
【0042】
印刷が終了すると、フルカット機構またはハーフカット機構が作動して印刷用テープPTは幅方向に切断され、1枚のテープ状のラベルが作成される。
【0043】
その後、印刷装置100は、次の印刷に備えて印刷用テープPTの印刷位置調整を行う。具体的には、印刷装置100の制御部は、カム124をP方向に所定の角度だけ回転させて、図6(c)に示す状態になる。このとき、軽圧部1245が被押圧部1236を押圧部1243よりも軽い360g/cmの圧力(軽圧)で押圧する。これにより、印刷位置調整時に印刷用テープPTに余分なインクの付着を抑制しつつ、印刷用テープPTとインクリボンIRとがずれることを防ぎつつ、プラテンローラ122の回転をテープ状の記録媒体TMに伝達することができる。
【0044】
以上、印刷装置100は、カム124を回転させて押圧解除部1242を係合部1235に係合させることにより、アーム123をサーマルヘッド121から離隔させることができ、また、傾斜部1248、押圧部1243、軽圧部1245、バネ125によってプラテンローラ122をサーマルヘッド121に向けて押圧することができる。つまり、プラテンローラのサーマルヘッドへの押圧およびプラテンローラのサーマルヘッドからの離隔にそれぞれ異なるバネを使用する従来の印刷装置とは異なり、本実施形態の印刷装置100では、プラテンローラ122をサーマルヘッド121に向けての方向に押圧するバネのみを使用している。従って、印刷装置100は、従来の印刷装置に比較してバネの公差を小さく抑えることができるので、プラテンローラ122の印刷用テープPT(およびサーマルヘッド121)への押圧および、プラテンローラ122のサーマルヘッド121からの離隔を好適に行うことができる。また、印刷装置100は、カム124を回転させることにより、押圧部1243を被押圧部1236に押圧させること、および、軽圧部1245を被押圧部1236に押圧させることもでき、必要に応じて押圧力を変化させることができる。このため、印刷装置100は、適切な押圧力を高い精度で得ることができるので、印字品質を向上させることができる。また、印刷装置100は、アーム123がバネ125およびプラテンローラ122を収容する構造であるので、省スペース化に寄与する。
【0045】
(変形例)
上記実施形態では、印刷装置100はキーボード101やディスプレイ102を備えていたが、パーソナルコンピュータ、タブレットやスマートフォン等と有線或いは無線で接続されたキーボードの無い印刷装置、或いは、キーボードおよびディスプレイの無い印刷装置であってもよい。
【0046】
上記実施形態では、インクリボンIRと印刷用テープPTとを有するテープ状の記録媒体TMを使用していたが、インクリボンを使用しない感熱式の記録媒体等を使用してもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、印刷装置100は、アーム取付部113とサーマルヘッド固定部1211とは別々の部材であったが、図8に示すように、アーム回転軸1234を回転可能に挿通する挿通孔3111,3112を有するアーム取付部311と、サーマルヘッド121を嵌合可能な凹部3121を有するサーマルヘッド固定部312、とを備える、例えば、アルミダイキャスト製のサーマルヘッド等取付部材310を使用してもよい。これにより、サーマルヘッド121をよりしっかりと固定でき、また、アーム123が揺動を繰り返してもアーム123を安定して支持でき、印字品位の向上ができる。
【0048】
上記実施形態では、印刷装置100は、カム124の押圧部1243と軽圧部1245と傾斜部1248とがアーム123を押圧する構成であったが、カムに押圧部、軽圧部または傾斜部のうちのいずれか一つまたは2つが形成される構成であってもよいし、カムにアーム123を異なる圧力で押圧する部位が4つ以上あってもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、印刷装置100は、バネ125がプラテンローラ122をサーマルヘッド121へ向けて押圧していたが、プラテンローラ122をサーマルヘッド121から離間させることもサーマルヘッド121へ向けて押圧することも、バネを使わずにカムのみで行う構成としてもよい。
【0050】
上記実施形態では、印刷装置100は、2つのバネ125をプラテンローラ122をサーマルヘッド121に向けて押圧するために使用していたが、3つ以上または1つのバネを使用してもよいし、バネの代わりにゴムやその他の弾性部材等を使用してもよい。
【0051】
上記実施形態では、印刷装置100は、押圧解除部1242の+Y方向に係合部1235を載置するように係合させることにより、プラテンローラ122をサーマルヘッド121から離隔させていたが、例えば、磁力を有する突出部に金属製の係合部を吸着させるようにして係合させることにより、プラテンローラ122をサーマルヘッド121から離隔させてもよい。
【0052】
上記実施形態では、印刷装置100は、フルカット機構またはハーフカット機構に連動してカム124の回転が行われていたが、フルカット機構またはハーフカット機構と独立してカム124の回転が行われてもよく、或いは、インクリボンIRの巻き取りやその他の動作に連動してもよく、また、モータの動力によってではなく例えば開閉蓋103の開閉動作、テープカートリッジ200の着脱や手動によってカム124の回転が行われてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、印刷装置100は、カム124をY軸周りに回転させていたが、カムを例えばプラテンローラ122と同じ方向(Z軸周り)に回転させる構成にしてもよい。
【0054】
上記実施形態では、印刷装置100は、プラテンローラ押圧部材1237およびバネ125を収容するアーム123を備えていたが、バネ等の弾性部材やプラテンローラ押圧部材を使用しない支持部であってもよい。
【0055】
上記実施形態では、印刷装置100は、サーマルヘッド121を備えていたが、熱を使用しないタイプの印刷ヘッド、例えばインクジェット式の印刷ヘッドを使用し、インクリボンが不要な感熱式でない紙テープ等に印刷を行ってもよい。
【0056】
上記実施形態では、印刷装置100は、テープ排出口140へ向けてテープが搬送されている場合に、カム124により、プラテンローラ122をサーマルヘッド121から隔離させたり、サーマルヘッド121に向けて押圧する動作が行われたが、これらの動作はテープ排出口140と逆方向へ向けてテープが搬送されている場合に行われてもよい。
【0057】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲が含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0058】
(付記)
(付記1)
テープへの印刷を行う印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドとの間に前記テープが保持された状態で、回転によって前記テープを搬送するプラテンローラと、
前記プラテンローラを回転可能に支持する支持部と、
前記印刷ヘッドに対する前記プラテンローラへの押圧を解除させる第1のガイド部と、前記プラテンローラを前記印刷ヘッドに押圧する第2のガイド部と、を有するカムと、
を、備える、
印刷装置。
【0059】
(付記2)
前記支持部は、前記プラテンローラを移動させるガイド受を有し、
前記ガイド受は、前記第1のガイド部に係合可能な第1のガイド受と、前記第2のガイド部に押圧される第2のガイド受と、を備え、
前記カムは、前記第1のガイド部に前記第1のガイド受が係合されることにより前記印刷ヘッドに対する前記プラテンローラへの押圧を解除させ、前記第2のガイド部が前記第2のガイド受を前記印刷ヘッドに押圧することにより前記プラテンローラを前記印刷ヘッドに押圧する、
付記1に記載の印刷装置。
【0060】
(付記3)
前記カムは、前記プラテンローラが回転する回転軸の方向および前記テープが搬送される方向と交差する方向に延びる回転軸周りに回転することにより、前記第1のガイド部が前記第1のガイド受に摺動され、前記第2のガイド部が前記第2のガイド受を前記印刷ヘッドに押圧する、
付記2に記載の印刷装置。
【0061】
(付記4)
前記第1のガイド部は、前記カムの回転軸の軸方向に傾斜を有し、前記カムから前記カムの周方向に突出する斜面を有する第1の傾斜部を備え、
前記カムが前記カムの回転軸を中心に回転し、前記第1の傾斜部に前記第1のガイド受が係合され、摺動されることにより、前記プラテンローラと前記印刷ヘッドとの距離が増大する、
付記2に記載の印刷装置。
【0062】
(付記5)
前記第1のガイド部は、前記第1の傾斜部に連続する、前記カムの回転軸に垂直な面を有する水平部をさらに備え、
前記第1のガイド受が前記水平部に係合されたとき、前記プラテンローラは、前記印刷ヘッドから最も遠くに離隔されている、
付記4に記載の印刷装置。
【0063】
(付記6)
前記カムは、前記支持部を前記印刷ヘッドに向けて前記第2のガイド部より小さな圧力で押圧する第3のガイド部をさらに有する、
付記1から5のいずれか1つに記載の印刷装置。
【0064】
(付記7)
前記プラテンローラを前記印刷ヘッドに押圧する弾性部材をさらに備え、
前記支持部は、
前記プラテンローラの回転軸を、前記印刷ヘッドから離隔させる方向に、および、前記印刷ヘッドに向けて接近させる方向に移動可能に支持するローラ挿通孔と、
前記弾性部材の押圧力によって、前記プラテンローラの回転軸を押圧するプラテンローラ押圧部材と、
を、有する、
付記1から6のいずれか1つに記載の印刷装置。
【0065】
(付記8)
前記弾性部材は、2つ以上のバネで構成されており、
前記弾性部材および前記プラテンローラは、前記支持部に収容されている、
付記7に記載の印刷装置。
【0066】
(付記9)
前記カムが前記プラテンローラを前記印刷ヘッドに押圧するときに、前記カムに形成されたカム姿勢保持部材を支持することにより、前記カムの回転軸のずれを抑制するカム支持部材をさらに備える、
付記1から8のいずれか1つに記載の印刷装置。
【0067】
(付記10)
テープへの印刷を行う印刷ヘッドとの間に前記テープが保持された状態で、回転によって前記テープを搬送するプラテンローラを、前記印刷ヘッドに向けて押圧しつつ回転可能に支持する支持部に形成された第1のガイド受を、カムの第1のガイド部に係合させることによって、前記プラテンローラを前記印刷ヘッドから離隔させ、
前記カムに形成された第2のガイド部に前記支持部を前記印刷ヘッドに押圧させることによって、前記プラテンローラを前記印刷ヘッドに押圧する、
印刷方法。
【符号の説明】
【0068】
100…印刷装置、101…キーボード、102…ディスプレイ、103…開閉蓋、104…制御部、110…ラベル作成部、111…取付部、112…カム軸取付部、113…アーム取付部、1131…アーム回転軸挿通孔、114…歯車、115…ウォーム、116…ウォームホイール、117…モータ、120…テープ印刷機構、121…サーマルヘッド(印刷ヘッド)、1211…サーマルヘッド固定部、122…プラテンローラ、1221…本体部、1222…挿通軸、123…アーム(支持部)、1231…本体部、1232…ローラ挿通孔、1233…アーム回転軸挿通孔、1234…アーム回転軸、1235…係合部、1236…被押圧部、1237…プラテンローラ押圧部材、1238…ローラ挿通孔、124…カム、1241…本体部、1242…押圧解除部(第1のガイド部)、1243…押圧部(第2のガイド部)、1244…カム軸、1245…軽圧部(第3のガイド部)、1246…傾斜部(第1の傾斜部)、1247…水平部、1248…傾斜部(第2の傾斜部)、1249…カム姿勢保持部材、125…バネ(弾性部材)、126…リボン巻取軸、127…カム支持部材、1271…基部、1272…カム支持凸部、130…カートリッジ受部、140…テープ排出口、200…テープカートリッジ、201…カートリッジケース、202…テープコア、203…リボン供給コア、204…リボン巻取コア、205…被係合部、210…ヘッド配置部、310…サーマルヘッド等取付部材、311…アーム取付部、3111,3112…挿通孔、312…サーマルヘッド固定部、3121…凹部、IR…インクリボン、PT…印刷用テープ、TM…テープ状の記録媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8