IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ いすゞ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-キャブ構造 図1
  • 特許-キャブ構造 図2
  • 特許-キャブ構造 図3
  • 特許-キャブ構造 図4
  • 特許-キャブ構造 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】キャブ構造
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/62 20060101AFI20240514BHJP
   B60N 2/64 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
A47C7/62 A
B60N2/64
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022150185
(22)【出願日】2022-09-21
(65)【公開番号】P2024044576
(43)【公開日】2024-04-02
【審査請求日】2022-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】安藤 雅人
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-172284(JP,A)
【文献】米国特許第03479085(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-3/18
B60R 7/00-14
A47C 7/62
B61D 33/00
B64D 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート取付部及び前記シート取付部の後方に設けられた後壁部を有するキャブと、
前記シート取付部に取付けられたシートと、
前記キャブのドアを開けた状態で作業者が前記キャブの外から取ることができる前記ドア側の位置において、前記後壁部に取外し可能に配置された装置と、
を備えるキャブ構造であって、
前記シートは、車両の乗員が座る座面部と、背もたれ部と、前記背もたれ部の背面に設けられた収容部と、を有し、
前記収容部は、
所定の深さを有する第1ポケットと、
前記第1ポケットよりも浅い深さを有し、前記背もたれ部の幅方向において前記第1ポケットと並んで配置された第2ポケットと、
を有し、
前記第1ポケットの底部と前記第2ポケットの底部とが異なる高さに位置しており、
前記シートは、前記収容部が前記後壁部に対向し、かつ、前記キャブを前記車両の正面側から見た場合に、前記第1ポケットが前記車両の車幅方向において前記装置と重ならない位置で前記装置の上端より低い位置まで延在するように設けられており、
前記第2ポケットは、前記第1ポケットよりも前記ドア側に位置し、前記装置の上方に設けられているキャブ構造。
【請求項2】
前記第2ポケットは前記第1ポケットよりも厚い、
請求項1に記載のキャブ構造。
【請求項3】
前記キャブ内に運転席と助手席とが設けられ、
前記シートは前記助手席である、
請求項1又は2に記載のキャブ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のシートを備えるキャブ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両にはシートが設けられている。特許文献1には、背面に、シートバックの幅方向に配列された2つのポケットから成る、物を収容するポケットが取り付けられているシートバックが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-77314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の構成では、シート背面の各ポケットに高さの異なる物品を収容すると、高さの低い物品がポケットの内部で引っ掛かり取り出しにくいという問題がある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、高さの異なる複数の物品を良好に収容することができる構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、車両の乗員が座る座面部と、背もたれ部と、前記背もたれ部の背面に設けられた収容部と、を有し、前記収容部は、所定の深さを有する第1ポケットと、前記第1ポケットよりも浅い深さを有し、前記背もたれ部の幅方向において前記第1ポケットと並んで配置された第2ポケットと、を有し、前記第1ポケットの底部と前記第2ポケットの底部とが異なる高さに位置しているシートを提供する。
【0007】
本発明の第2の態様においては、シート取付部及び前記シート取付部の後方に設けられた後壁部を有するキャブと、前記シート取付部に取付けられたシートと、を備えるキャブ構造であって、前記後壁部には、前記車両の外で使用される装置が取外し可能に配置されており、前記シートは、前記収容部が前記後壁部に対向し、かつ、前記第2ポケットが前記装置よりも上方に位置するように設けられているキャブ構造を提供する。
【0008】
また、前記第1ポケットは、前記装置の上端より低い位置まで延在していてもよい。
【0009】
また、前記装置は、前記キャブの側面のドア側に設けられており、前記第2ポケットが前記ドア側に設けられ、前記第1ポケットは前記ドア側とは反対側に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高さの異なる複数の物品を良好に収容することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係るキャブ構造の構造を示す。
図2】キャブ構造からシートが取外された状態を示す。
図3】本実施形態に係るシートの構造を示す。
図4】収容部を上方から見た構造を示す。
図5】収容部の製造方法の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[キャブ構造Sの構造]
図1は、本実施形態に係るキャブ構造Sの構造を示す図である。なお、図1は、キャブ構造Sにおけるシート2の収容部22付近を車両のドア側から見た構造を示す図である。図2は、キャブ構造Sからシート2が取外された状態を示す図である。なお、図2は、キャブ1の内側を車両の前方側から見た状態を示す図である。図3は、本実施形態に係るシート2の構造を示す図である。なお、図3は、シート2を背もたれ部21の背面側から見た構造を示す図である。図4は、収容部22を上方から見た構造を示す図である。なお、図4は、図3のX-X線断面図である。
【0013】
キャブ構造Sは、キャブ1及びシート2を備える。キャブ1は、車両の前方に設けられている運転席を有する箱形状の部位である。キャブ1は、シート取付部11及び後壁部12を有する。シート取付部11は、シート2が配置される領域である。シート取付部11は、キャブ1の床の上方に位置する。シート取付部11には、シート2が取り付けられている。
【0014】
後壁部12は、キャブ1の後面を形成する部位である。後壁部12は、シート取付部11の後方に設けられている。本実施形態では、車両は例えばトラックであり、したがってシート2のすぐ後ろに後壁部12が位置している。
【0015】
後壁部12には、装置3が取外し可能に配置されている。装置3は、例えば車両の外で使用される任意の装置である。装置3は、例えばジャッキツールである。装置3は、例えばキャブ1内の左側に設けられている。
【0016】
[シート2の構造]
シート2は、車両の乗員が座るシートである。シート2は、運転席であっても助手席であってもよいが、本実施形態では例えばキャブ1内の左側に設けられた助手席である。シート2は、シート取付部11に取付けられている。シート2は、座面部(不図示)、背もたれ部21、及び収容部22を有する。座面部は、車両の乗員が座る部位である。背もたれ部21は、車両の乗員が座面部に座った状態で、車両の乗員の背中が接する部位である。背もたれ部21は、座面部に対して回動可能に設けられている。
【0017】
収容部22は、種々の物品を収容する。物品は、例えば書類等である。収容部22は、背もたれ部21の背面に設けられている。
【0018】
収容部22は、図3に示すように第1ポケット221及び第2ポケット222を有する。第1ポケット221は、所定の深さを有する。深さは、背もたれ部21の高さ方向における長さである。
【0019】
第2ポケット222は、背もたれ部21の幅方向において第1ポケット221と並んで配置されている。第2ポケット222は、第1ポケット221よりも浅い深さを有する。また、図4に示すように、第2ポケット222の厚みは、第1ポケット221の厚みよりも厚い。
【0020】
第1ポケット221の底部と第2ポケット222の底部とは異なる高さに位置している。具体的には、第2ポケット222の底部は、第1ポケット221の底部よりも上方に位置する。
【0021】
シート2では、深さの異なる2つのポケットである第1ポケット221と第2ポケット222とが設けられており、かつ、第1ポケット221の底部と第2ポケット222の底部とが異なる高さに位置している。その結果、シート2においては、物品の高さに応じて物品を第1ポケット221又は第2ポケット222に収容することができる。また、後述するように、第2ポケット222が装置3に干渉することを回避しつつ、シート2をシート取付部11に良好に配置することができる。
【0022】
シート2は、具体的には、収容部22が後壁部12に対向し、かつ、第2ポケット222が装置3よりも上方に位置するように設けられている。キャブ構造Sにおいては、このようにシート2が設けられていることで、キャブ1内の装置3の上方の空間を有効に利用することができる。
【0023】
第1ポケット221は、車両の車幅方向において装置3と重ならない位置(図2のような正面視において、第1ポケット221と装置3とが互いに重ならない)に位置する。第1ポケット221は、装置3の上端より低い位置まで延在している。キャブ構造Sにおいては、このような構成により、キャブ1内の空間を有効に利用することができるとともに、第1ポケット221の深さを深くし、収納容量を増加させることができる。
【0024】
装置3は、図2に示すように、キャブ1の側面のドア側に設けられている。具体的には、例えば、装置3は、ドアを開けた状態で作業者が車両の外から取ることができるような位置に配置されている。ドアは、キャブ1の左側に設けられているドアである。また、第2ポケット222がドア側に設けられ、第1ポケット221はドア側とは反対側に設けられている。キャブ構造Sにおいては、このように装置3、第1ポケット221、及び第2ポケット222が設けられていることで、キャブ1内の空間を有効に利用することができるとともに、装置3を車両の外に取出し易くすることができる。
【0025】
[収容部22の製造方法]
図5は、収容部22の製造方法の一例を示す図である。図5(a)は、背面材4、第1ポケット材51、第2ポケット材52が準備された状態を示す図である。図5(b)は、第1ポケット221及び第2ポケット222が製造された状態を示す図である。図5(c)は、第1ポケット221及び第2ポケット222が結合された状態を示す図である。図5(d)は、収容部22が製造された状態を示す図である。
【0026】
まず、作業者は、背面材4、第1ポケット材51、及び第2ポケット材52を準備する。背面材4は、背もたれ部21の背面に設けられている布状の部材である。シート2の表面は布状の部材で覆われており、背面材4は、背もたれ部21の背面側を覆う部材である。背面材4は、第1背面材41、第2背面材42、上背面材43、及び下背面材44で構成される。第1背面材41は、第1ポケット221を構成する部材である。第2背面材42は、第2ポケット222を構成する部材である。上背面材43は、上方の領域を構成する部材である。下背面材44は下方の領域を構成する部材である。背面材4は、このように分離された各部材から構成される。
【0027】
第1ポケット材51は、第1ポケット221を形成する外側の布状の部材である。第2ポケット材52は、第2ポケット222を形成する外側の布状の部材である。第2ポケット材52の高さ方向における長さは、第1ポケット材51の高さ方向における長さよりも短い。
【0028】
次に、作業者は、第1ポケット221及び第2ポケット222を別々に製造する(図5(b))。具体的には、作業者は、第1背面材41に第1ポケット材51を縫い合わせることで、第1ポケット221を製造する。また、作業者は、第2背面材42に第2ポケット材52を縫い合わせることで、第2ポケット222を製造する。
【0029】
次に、作業者は、第1ポケット221及び第2ポケット222を結合する(図5(c))。具体的には、作業者は、第1背面材41及び第1ポケット材51と第2背面材42及び第2ポケット材52を縫い合わせる。
【0030】
次に、作業者は、結合した第1ポケット221及び第2ポケット222を上背面材43及び下背面材44と結合する(図5(d))。具体的には、作業者は、結合した第1ポケット221及び第2ポケット222を上背面材43と縫い合わせる。また、作業者は、結合した第1ポケット221及び第2ポケット222を下背面材44と縫い合わせる。このようにして、収容部22は製造される。
【0031】
収容部22は、このように別々に製造した第1ポケット221及び第2ポケット222を結合することで製造されるため、第1ポケット221及び第2ポケット222の大きさを独立して設定することができる。
【0032】
[本実施形態に係るシート2による効果]
本実施形態に係るシート2は、上述したように、所定の深さを有する第1ポケット221と、第1ポケット221よりも浅い深さを有する第2ポケット222と、を有する収容部22を有する。そして、第1ポケット221の底部と第2ポケット222の底部とは異なる高さに位置している。その結果、シート2においては、物品の高さに応じて物品を第1ポケット221又は第2ポケット222に収容することができる。したがって、シート2においては、高さの異なる複数の物品を良好に収容することができる。さらに、第2ポケット222の厚みが第1ポケット221の厚みよりも厚い構成の場合、物品の厚みに応じて物品を第1ポケット221又は第2ポケット222に収容することができるため、厚みの異なる複数の物品を良好に収容することができる。
【0033】
特に、本実施形態では、ジャッキツール等である比較的嵩張る装置3がシート2の背面に収容されている。このような場合であっても、装置3に近接する側の第2ポケット222は、装置3と干渉しないように底部が比較的高い位置に設けられ、一方、第1ポケット221については第1ポケット221の底部は比較的低い位置に設けられている。したがって、シート2の背面側の空間を効率的に利用し、種々の物品を収容部22に収容できる。
【0034】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0035】
S・・・キャブ構造
1・・・キャブ
11・・・シート取付部
12・・・後壁部
2・・・シート
21・・・背もたれ部
22・・・収容部
221・・・第1ポケット
222・・・第2ポケット
3・・・装置
4・・・背面材
41・・・第1背面材
42・・・第2背面材
43・・・上背面材
44・・・下背面材
51・・・第1ポケット材
52・・・第2ポケット材
図1
図2
図3
図4
図5