(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】車両用サイドドア
(51)【国際特許分類】
B60J 5/00 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
B60J5/00 Q
B60J5/00 P
(21)【出願番号】P 2022155748
(22)【出願日】2022-09-29
(62)【分割の表示】P 2018205783の分割
【原出願日】2018-10-31
【審査請求日】2022-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】大川 慶
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-115918(JP,U)
【文献】特開2008-049808(JP,A)
【文献】特開2008-254471(JP,A)
【文献】特開2005-306236(JP,A)
【文献】国際公開第2010/092737(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面を構成するアウタパネルと、該アウタパネルの内側に配置されて内面を構成するインナパネルとを含む車両用サイドドアにおいて、
当該車両用サイドドアのヒンジを補強するヒンジ補強部材と、
当該車両用サイドドアのドア開閉ストッパを補強するストッパ補強部材と、
当該車両用サイドドアのラッチが取り付けられる領域を補強するラッチ補強部材と、
車両前後方向に延びて当該車両用サイドドアを補強するリンフォースとを更に含み、
前記リンフォースの前端は、前記アウタパネルにドアハンドルが固定される箇所より下方の位置であって、前記ヒンジ補強部材または前記ストッパ補強部材のうち前記インナパネルに接合される領域と上下方向で重なる位置において前記アウタパネルに接合され、
前記リンフォースの後端は、前記アウタパネルにドアハンドルが固定される箇所より上方の位置であって、前記ラッチ補強部材のうち前記インナパネルに接合される領域と上下方向で重なる位置において前記アウタパネルに接合され、
前記アウタパネルは、車両前後方向に延びる補強形状部を有し、
前記リンフォースは、側面視で前記補強形状部と重なっていて該補強形状部に連結される第1の部分を有
し、
前記インナパネルは、窓用開口と、該窓用開口の下方に位置するパネル面と、該パネル面の前縁から車両外側に向かって立ち上がる前壁と、該パネル面の後縁から車両外側に向かって立ち上がる後壁とを有し、
前記ヒンジ補強部材または前記ストッパ補強部材は、前記前壁から前記パネル面に掛け渡されるようにそれらに接合され、
前記ラッチ補強部材は、前記後壁から前記パネル面に掛け渡されるようにそれらに接合されていることを特徴とする車両用サイドドア。
【請求項2】
前記リンフォースは、前記アウタパネルにドアハンドルが固定される箇所と車両前後方向で重なる第2の部分と、該第2の部分の下縁から上方に向かって湾曲する上方湾曲部とを有し、
前記上方湾曲部は、車両前方に向かうにしたがって下方に傾斜し、前記ドアハンドルが固定される箇所より下側まで到達していて、
前記上方湾曲部は、前記ドアハンドルが固定される箇所と側面視において重なる位置において、該箇所に連結されることを特徴とする請求項1に記載の車両用サイドドア。
【請求項3】
前記リンフォースは、前記アウタパネルにドアハンドルが固定される箇所と車両前後方向で重なる第2の部分と、該第2の部分の下縁から下方に向かって湾曲する下方湾曲部とを有し、
前記下方湾曲部は、前記ドアハンドルが固定される箇所と側面視において重なる位置において、該箇所に連結されることを特徴とする請求項1に記載の車両用サイドドア。
【請求項4】
外面を構成するアウタパネルと、該アウタパネルの内側に配置されて内面を構成するインナパネルとを含む車両用サイドドアにおいて、
当該車両用サイドドアのヒンジを補強するヒンジ補強部材と、
当該車両用サイドドアのドア開閉ストッパを補強するストッパ補強部材と、
当該車両用サイドドアのラッチが取り付けられる領域を補強するラッチ補強部材と、
車両前後方向に延びて当該車両用サイドドアを補強するリンフォース
とを更に含み、
前記リンフォースの前端は、前記アウタパネルにドアハンドルが固定される箇所より下方の位置において前記アウタパネルに接合され、
前記リンフォースの後端は、前記アウタパネルにドアハンドルが固定される箇所より上方の位置において前記アウタパネルに接合され、
前記アウタパネルは、車両前後方向に延びる補強形状部を有し、
前記リンフォースは、側面視で前記補強形状部と重なっていて該補強形状部に連結される第1の部分を有
し、
前記インナパネルは、窓用開口と、該窓用開口の下方に位置するパネル面と、該パネル面の前縁から車両外側に向かって立ち上がる前壁と、該パネル面の後縁から車両外側に向かって立ち上がる後壁とを有し、
前記ヒンジ補強部材または前記ストッパ補強部材は、前記前壁から前記パネル面に掛け渡されるようにそれらに接合され、
前記ラッチ補強部材は、前記後壁から前記パネル面に掛け渡されるようにそれらに接合されていることを特徴とする車両用サイドドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用サイドドアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用ドアの剛性を高める方法として、ドアの内部にリンフォースを配置する方法が従来から用いられている。例えば特許文献1の車両用ドア構造では、ラチェットリンフォースメントをドア本体の上下方向に延在させて窓肩リンフォースメントに連結し、アウタパネルを補強するパネルリンフォースメントアッパを窓肩リンフォースメントに連結し、パネルリンフォースメントアッパをラチェットリンフォースメントに連結している。特許文献1によれば、上記構成によってドア上部についての剛性確保を効率よく行うことができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成によれば、ラチェットリンフォースメント、窓肩リンフォースメントおよびパネルリンフォースメントアッパの3つのリンフォースによってドアの剛性を高めることができると考えられる。しかしながら、特許文献1のように複数のリンフォースを用いると、部品点数の増加により、コストや車両重量が増大してしまうことが課題となる。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み、より少ない部品点数でドアの剛性を十分に確保することができ、コストや車両重量の増大を抑制することが可能な車両用サイドドアを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明にかかる車両用サイドドアの代表的な構成は、外面を構成するアウタパネルと、アウタパネルの内側に配置されて内面を構成するインナパネルとを含む車両用サイドドアにおいて、当該車両用サイドドアのヒンジを補強するヒンジ補強部材と、当該車両用サイドドアのドア開閉ストッパを補強するストッパ補強部材と、当該車両用サイドドアのラッチが取り付けられる領域を補強するラッチ補強部材と、車両前後方向に延びて当該車両用サイドドアを補強するリンフォースとを更に含み、インナパネルは、窓用開口と、窓用開口の下方に位置するパネル面と、該パネル面の前縁から車両外側に向かって立ち上がる前壁と、該パネル面の後縁から車両外側に向かって立ち上がる後壁とを有し、ヒンジ補強部材またはストッパ補強部材は、前壁からパネル面に掛け渡されるようにそれらに接合され、ラッチ補強部材は、後壁からパネル面に掛け渡されるようにそれらに接合され、リンフォースの前端は、アウタパネルにドアハンドルが固定される箇所より下方の位置であって、ヒンジ補強部材またはストッパ補強部材のうち前壁からパネル面に接合される領域と上下方向で重なる位置において前記前壁およびアウタパネルに接合され、リンフォースの後端は、アウタパネルにドアハンドルが固定される箇所より上方の位置であって、ラッチ補強部材のうち後壁からパネル面に接合される領域と上下方向で重なる位置において後壁およびアウタパネルに接合されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、より少ない部品点数でドアの剛性を十分に確保することができ、コストや車両重量の増大を抑制することが可能な車両用サイドドアを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の車両用サイドドアの実施例を示す図である。
【
図5】
図1のドアハンドル固定部近傍の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態にかかる車両用サイドドアは、外面を構成するアウタパネルと、アウタパネルの内側に配置されて内面を構成するインナパネルとを含む車両用サイドドアにおいて、当該車両用サイドドアのヒンジを補強するヒンジ補強部材と、当該車両用サイドドアのドア開閉ストッパを補強するストッパ補強部材と、当該車両用サイドドアのラッチが取り付けられる領域を補強するラッチ補強部材と、車両前後方向に延びて当該車両用サイドドアを補強するリンフォースとを更に含み、インナパネルは、窓用開口と、窓用開口の下方に位置するパネル面と、パネル面の前縁から車両外側に向かって立ち上がる前壁と、パネル面の後縁から車両外側に向かって立ち上がる後壁とを有し、ヒンジ補強部材またはストッパ補強部材は、前壁からパネル面に掛け渡されるようにそれらに接合され、ラッチ補強部材は、後壁からパネル面に掛け渡されるようにそれらに接合され、リンフォースの前端は、アウタパネルにドアハンドルが固定される箇所より下方の位置であって、ヒンジ補強部材またはストッパ補強部材のうち前壁からパネル面に接合される領域と上下方向で重なる位置において前壁およびアウタパネルに接合され、リンフォースの後端は、前記アウタパネルにドアハンドルが固定される箇所より上方の位置であって、ラッチ補強部材のうち後壁からパネル面に接合される領域と上下方向で重なる位置において後壁およびアウタパネルに接合されることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、インナパネルでは、ヒンジ補強部材またはストッパ補強部材が前壁に接合され、ラッチ補強部材が後壁に接合される。これにより、インナパネルの前壁および後壁において、車幅方向および前後方向の荷重に対する剛性が向上する。そして、それらの接合が行われる領域にリンフォースを接合することにより、リンフォースが荷重を受けた際に、剛性が高い前壁および後壁によってその荷重を支持することができ、アウタパネルにおけるべかつきを好適に抑制することが可能となる。
【0011】
またドアハンドルが固定される箇所より下方にリンフォースの前端が位置し、ドアハンドルが固定される箇所より上方にリンフォースの後端が位置することにより、車両用サイドドアの内部においてリンフォースが斜めに掛け渡された状態となる。これにより、ドア全体を効率的に補強することができ、特に上下方向の荷重がかかった際に発生する捩れ変形モードの発生を抑制することが可能となる。故に、上記構成によれば、より少ない部品点数でドアの剛性を十分に確保することができ、コストや車両重量の増大を抑制することが可能となる。
【0012】
上記アウタパネルは、車両前後方向に延びる補強形状部を有し、リンフォースは、側面視で補強形状部と重なっていて補強形状部に連結される第1の部分を有する。かかる構成によれば、アウタパネルに補強形状部を形成することにより、アウタパネルのべかつきをより効果的に抑制することができる。そして、側面視で重なっている第1の部分においてリンフォースが補強形状部と連結されることにより、車幅方向の荷重に対する剛性を更に高めることが可能となる。
【0013】
上記リンフォースは、アウタパネルにドアハンドルが固定される箇所と車両前後方向で重なる第2の部分と、第2の部分の下縁から上方に向かって湾曲する上方湾曲部とを有し、上方湾曲部は、車両前方に向かうにしたがって下方に傾斜し、ドアハンドルが固定される箇所より下側まで到達していて、上方湾曲部は、ドアハンドルが固定される箇所と側面視において重なる位置において、箇所に連結される。
【0014】
上記構成のように上方湾曲部を形成することにより、車幅方向からの荷重を上方湾曲部によって支持することができる。そして、上方湾曲部とドアハンドルが固定される箇所とが側面視で重なる位置で連結されることにより、ドアの開閉時のドアハンドルからかかる車幅方向および前方向の荷重を上方湾曲部において受けることができる。したがって、ドアハンドルが固定される箇所におけるアウタパネルの変形を好適に抑制することができる。またアウタパネルにおいてドアハンドルを固定される箇所は凹形状となるため、剛性が高い。したがって、ドアハンドルが固定される箇所とリンフォースとを連結することにより、リンフォースの車幅方向の荷重に対する剛性を向上させることができる。
【0015】
上記リンフォースは、アウタパネルにドアハンドルが固定される箇所と車両前後方向で重なる第2の部分と、第2の部分の下縁から下方に向かって湾曲する下方湾曲部とを有し、下方湾曲部は、ドアハンドルが固定される箇所と側面視において重なる位置において、箇所に連結されること。かかる構成によっても、湾曲部とドアハンドルが固定される箇所とが側面視で重なる位置で連結されることにより、上記と同様の効果が得られる。なお、湾曲部とドアハンドルが固定される箇所との連結が締結または接合であれば、前壁と後壁の間に固定点が存在することとなるため、上下方向の荷重が入力された際の捩れモードをより効果的に抑制することが可能となる。
【実施例】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。かかる実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0017】
図1は、本発明の車両用サイドドア(以下、サイドドア100と称する)の実施例を示す図である。
図1(a)は、サイドドア100を車外側から観察した図であり、
図1(b)は、
図1(a)のサイドドア100からアウタパネル110を取り外した状態を示す図である。
図1(a)および(b)に示すように、本実施例のサイドドア100は、アウタパネル110によって外面が構成され、アウタパネル110の内側に配置されたインナパネル120によって内面が構成される。
【0018】
図1(a)に示すように、サイドドア100には開閉用のドアハンドル112が取り付けられる。ドアハンドル112は、アウタパネル110から露出していて、アウタパネル110にはドアハンドル112が固定される箇所であるドアハンドル固定部114(破線にて図示)が設けられている。ドアハンドル固定部114は、アウタパネル110を車内側に向かって凹ませた凹形状となるため、高い剛性を有する。
【0019】
図2は、
図1(b)の拡大図である。
図2(a)は、
図1(b)のリンフォース140近傍の拡大図であり、
図2(b)は、
図2(a)のインナパネル120を不図示とし、アウタパネル110を二点鎖線で仮想的に図示した拡大図である。
図2(a)および(b)に示すように、サイドドア100の内部には、ヒンジ補強部材132、ストッパ補強部材134、ラッチ補強部材136、およびリンフォース140が設けられている。
【0020】
ヒンジ補強部材132は、サイドドア100のヒンジ(不図示)を補強する部材である。ストッパ補強部材134は、サイドドア100のドア開閉ストッパ(不図示)を補強する部材である。ラッチ補強部材136は、サイドドア100のラッチ(不図示)が取り付けられる領域を補強する部材である。リンフォース140は、車両前後方向に延びてサイドドア100を補強する部材である。
【0021】
図2(a)に示すように、インナパネル120は、窓用開口100aの下方に位置するパネル面122を有する。そして、パネル面122の前縁からは、車両外側に向かって前壁124が立ち上がっていて、パネル面122の後縁からは、車両外側に向かって後壁126が立ち上がっている。
【0022】
図3は、
図2(a)の拡大図である。
図3(a)は、
図2(a)のリンフォース140の前端140a近傍の拡大図であり、
図3(b)は、
図2(a)のリンフォース140の後端140b近傍の拡大図である。なお、理解を容易にするために、
図3(a)および(b)では、リンフォース140を二点鎖線によって仮想的に示している。
【0023】
図2(a)および
図3(a)に示すように、ヒンジ補強部材132およびストッパ補強部材134は、前壁124からパネル面122に掛け渡されるようにそれらに接合される。
図2(a)および
図3(b)に示すように、ラッチ補強部材136は、後壁126からパネル面122に掛け渡されるようにそれらに接合される。これにより、インナパネル120の前壁124および後壁126において車幅方向および前後方向の荷重に対する剛性を高めることができる。
【0024】
そして、本実施例のサイドドア100の特徴として、リンフォース140の前端140aは、
図2(b)に示すようにドアハンドル固定部114より下方に位置する。そして、リンフォース140の前端140aは、
図3(a)に示すように上下方向でヒンジ補強部材132およびストッパ補強部材134が接合される領域141aと重なる位置で前壁124およびアウタパネル110に接合される。一方、リンフォース140の後端140bは、
図2(b)に示すようにドアハンドル固定部114より上方であり、且つ
図3(b)に示すように上下方向でラッチ補強部材136が接合される領域141bと重なる位置で後壁126およびアウタパネル110に接合される。
【0025】
上記構成によれば、ヒンジ補強部材132、ストッパ補強部材134およびラッチ補強部材136によって高い剛性を有する領域にリンフォース140が接合される。これにより、リンフォース140が荷重を受けた際に、剛性が高い前壁124および後壁126によってその荷重を支持することができ、アウタパネル110におけるべかつきを好適に抑制することが可能となる。
【0026】
また上述したように、サイドドア100では、リンフォース140の前端140aがドアハンドル固定部114より下方に位置し、リンフォース140の後端140bがドアハンドル固定部114より上方に位置する。これにより、リンフォース140は、サイドドア100の内部において斜めに掛け渡された状態となるため、ドア全体を効率的に補強することができる。したがって、特に上下方向の荷重がかかった際に発生する捩れ変形モードの発生を抑制することができる。故に、上記構成によれば、より少ない部品点数でドアの剛性を十分に確保することができ、コストや車両重量の増大を抑制することが可能となる。
【0027】
なお、図示しないが、リンフォース140とインナパネル120を連結する際には、リンフォース140をインナパネル120の車両前後方向に対して沿うように連結するとよい。これによりリンフォース140の中央部が荷重を受けて撓んだ場合に、リンフォース140の前端140aおよび後端140bの連結箇所にかかる力をせん断方法(前後方向)の荷重とすることできる。したがって、それらの連結強度を高めることが可能となる。
【0028】
更に本実施例では、
図2(a)および(b)に示すように、ビード形状142が形成されている。このビード形状142の幅が中央から前端および後端に向かうにしたがって細くなる。これにより、前端140aおよび後端140bに向かうにしたがって、リンフォース140の剛性が高くなる構造とすることができる。またリンフォース140の中央部は広い面積を有するために、アウタパネル110を支持する面を広く確保することが可能となる。
【0029】
なお、本実施形態では、ヒンジ補強部材132およびストッパ補強部材134の両方が前壁124からパネル面122に掛け渡される構成を例示したが、これに限定するものではない。すなわちヒンジ補強部材132およびストッパ補強部材134のうち、いずれか一方が前壁124からパネル面122に掛け渡される構成であっても、上述した効果を得ることが可能である。
【0030】
図4は、
図2(b)のA-A断面図である。
図2(b)および
図4に示すように、アウタパネル110は、車両前後方向に延びる補強形状部116を有する。これにより、アウタパネル110のべかつきをより効果的に抑制することができる。また
図2(b)に示すように、本実施例では、リンフォース140は、車両側面視で補強形状部116とが重なっている第1の部分147(ハッチングにて図示)を有する。そして、
図4に示すように、補強形状部116とリンフォース140は、第1の部分において連結される。これにより、連結された領域の近傍において、車幅方向の荷重に対する剛性を更に高めることが可能となる。
【0031】
図5は、
図1のドアハンドル固定部114近傍の拡大図である。
図5(a)は、サイドドア100のドアハンドル固定部114近傍の第1の例を示す図であり、
図5(b)は、サイドドア100のドアハンドル固定部114の近傍の第2の例を示す図である。なお、図示の都合上、アウタパネル110はドアハンドル固定部114のみを一点鎖線で仮想的に図示している。
【0032】
図5(a)に示す例では、リンフォース140は、側面視でドアハンドル固定部114と車両前後方向で重なる第2の部分148(ハッチングにて図示)の下縁が上方に向かって湾曲する上方湾曲部144を有する。これにより、車幅方向からの荷重を上方湾曲部144によって支持することができる。また上方湾曲部144は、車両前方に向かうにしたがってドアハンドル固定部114より下側に傾斜している。これにより、車両前方に向かうにしたがってリンフォース140の幅を拡大することができ、アウタパネル110を良好に支持することが可能となる。
【0033】
更に本実施例では、上方湾曲部144とドアハンドル固定部114を第2の部位(ハッチングにて図示)において連結する。これにより、サイドドア100の開閉時のドアハンドル112からかかる車幅方向および前方向の荷重を上方湾曲部144において受けることができ、ドアハンドル固定部114におけるアウタパネル110の変形を好適に抑制することが可能となる。またアウタパネル110においてドアハンドル固定部114は剛性が高いため、そこにおいてリンフォース140を連結することにより、リンフォース140の車幅方向の荷重に対する剛性を向上させることができる。
【0034】
図5(b)に示す例では、リンフォース140は、側面視でドアハンドル固定部114と車両前後方向で重なる第2の部分148の下縁が下方に向かって湾曲する下方湾曲部146を有する。そして、下方湾曲部146とドアハンドル固定部114とが第2の部分148で連結される。このような構成によっても、
図5(a)に示す例と同様の効果が得られる。
【0035】
図5(b)に示すように、リンフォース140の下縁が下方に向かって湾曲する、すなわちドアハンドル固定部114に向かって膨出することにより、リンフォース140とドアハンドル固定部114とが重複する面積が広くなる。したがって、連結時の強度を高めることができる。なお、上方湾曲部144・下方湾曲部146とドアハンドル固定部114の連結が締結または接合であれば、前壁124と後壁126の間に固定点が存在することとなるため、上下方向の荷重が入力された際の捩れモードをより効果的に抑制することが可能となる。
【0036】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、車両用サイドドアに利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
100…サイドドア、100a…窓用開口、110…アウタパネル、112…ドアハンドル、114…ドアハンドル固定部、116…補強形状部、120…インナパネル、122…パネル面、124…前壁、126…後壁、132…ヒンジ補強部材、134…ストッパ補強部材、136…ラッチ補強部材、140…リンフォース、140a…前端、140b…後端、141a・141b…領域、142…ビード形状、144…上方湾曲部、146…下方湾曲部、147…第1の部分、148…第2の部分