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特許7487767パレット取扱装置、及び、パレット管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】パレット取扱装置、及び、パレット管理システム
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/34 20060101AFI20240514BHJP
   B07C 5/342 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B07C5/34
B07C5/342
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022202685
(22)【出願日】2022-12-19
【審査請求日】2023-12-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 純
(72)【発明者】
【氏名】柏原 賢
(72)【発明者】
【氏名】兼森 伸兒
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-42193(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103464384(CN,A)
【文献】国際公開第2016/051509(WO,A1)
【文献】特開2007-326054(JP,A)
【文献】国際公開第2012/144296(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 5/34
B07C 5/342
B08B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレット積層体からパレットを順次取り出す段ばらし動作、または、前記パレットを順次積み重ねて前記パレット積層体とする段積み動作を行う取扱装置本体と、
前記パレット積層体に含まれている各前記パレットの状態を順次検出する状態検出器と
を備え、
前記取扱装置本体は、前記パレットを搬送する搬送路に隣り合って設置され、
前記状態検出器は、前記搬送路に対して前記パレットの厚み分以上の間隔をおいて前記搬送路の真上に配置され、且つ、前記パレット積層体の側面に対向する、
パレット取扱装置。
【請求項2】
前記取扱装置本体は、前記パレット積層体の全体を、前記パレットの厚み分以上持ち上げるリフト部を備え、
前記状態検出器は、前記リフト部によって持ち上げられた前記パレット積層体における最下段のパレットの状態を検出する、請求項1記載のパレット取扱装置。
【請求項3】
前記状態検出器は、前記取扱装置本体に対し前記搬送路の上流または下流に設置されている、請求項1記載のパレット取扱装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のパレット取扱装置と、
前記搬送路上の前記パレットに対して、事前に定められている処理を実施する処理部と、
前記状態検出器によって検出された検出データに基づいて、前記パレット積層体に含まれている各前記パレットを検査する制御部と、
を備えている、パレット管理システム。
【請求項5】
前記取扱装置本体は、前記処理部の上流側に設置され、前記段ばらし動作を行うものであり、
前記状態検出器は、前記処理部による処理前の前記パレットの側面の形状を検出し、
前記制御部は、前記状態検出器により検出された検出データに基づいて、前記パレットの側面に設けられている穴の内部に異物が入り込んでいるかどうかを検査する、請求項4に記載のパレット管理システム。
【請求項6】
前記取扱装置本体は、前記処理部の上流側に設置され、前記段ばらし動作を行うものであり、
前記状態検出器は、撮像機器であり、前記処理部による処理前の前記パレットを撮像し、
前記制御部は、前記検出データとして、前記撮像機器により撮像された画像データを取得し、当該画像データに基づいて、前記パレットの割れ、欠け、変形、及び、付着物の有無の少なくともいずれか一つの状態を検査する、請求項4に記載のパレット管理システム。
【請求項7】
前記取扱装置本体は、前記処理部の上流側に設置され、前記段ばらし動作を行うものであり、
前記状態検出器は、カラーセンサであり、前記処理部による処理前の前記パレットの状態を検出し、
前記制御部は、前記カラーセンサにより検出された検出データに基づいて、前記パレットに対して色落ち検査を行う、請求項4に記載のパレット管理システム。
【請求項8】
前記取扱装置本体は、前記処理部の上流側に設置され、前記段ばらし動作を行うものであり、
前記状態検出器は、アーム部と、当該アーム部の先端に設けられている撮像機器とを有しており、
前記制御部は、前記撮像機器が前記パレットの側面に設けられている穴の内部に進入するように、前記アーム部を制御するとともに、前記検出データとして、前記撮像機器により撮像された画像データを取得し、当該画像データに基づいて、前記穴の内部における割れ、欠け、及び、変形の少なくともいずれか一つの状態を検査する、請求項4に記載のパレット管理システム。
【請求項9】
前記取扱装置本体は、前記処理部の下流側に設置され、前記段積み動作を行うものであり、
前記状態検出器は、撮像機器であり、前記処理部による処理後の前記パレットを撮像し、
前記制御部は、前記検出データとして、前記撮像機器により撮像された画像データを取得し、当該画像データに基づいて、前記パレットの側面に付着している汚れの状態を検査する、請求項4に記載のパレット管理システム。
【請求項10】
前記取扱装置本体は、前記処理部の下流側に設置され、前記段積み動作を行うものであり、
前記状態検出器は、前記処理部による処理後の前記パレットの側面の形状を検出し、
前記制御部は、前記状態検出器により検出された検出データに基づいて、前記パレットの側面に設けられている穴の内部に異物が入り込んでいるかどうかを検査する、請求項4に記載のパレット管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレット取扱装置、及び、パレット管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を運搬するときに用いられる板状のパレットに対して、不良部位の有無を検査するシステムが開示されている。このような検査システムとして、特許文献1には、パレットの表デッキボードの上方に複数のカメラを配置し、これらを用いてパレットの表デッキボード、及び、パレットの側面を検査することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3597283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、表デッキボードの上方に位置するカメラを用いて、斜め上方からパレットの側面を撮像することにより、パレットの側面検査を行っている。これに対し、パレットの側面検査の精度をより高くするには、パレットの側面に対向するように検出器を配置し、高質の検出データを得るのが好ましい。
【0005】
ここで、パレットの側面に対向する位置に検出器を配置する構成について例示する。
【0006】
図10は、パレットの側面を検査するための第1の構成例を示す上面図である。図10において、パレットPは、搬送路600によって矢印方向に搬送されている。また、図10においては、パレットPの搬送方向と直交する左右両側に、検出器700A及び検出器700Bが配置されている。
【0007】
図10の構成例においては、パレットPの左右両側の側面について検査することができる。一方、パレットPの搬送方向の前方側面及び後方側面については、検出データを得ることができないため、検査することができない。
【0008】
図11は、パレットPの側面を検査するための第2の構成例を示す上面図及び側面図である。図11においては、パレットPの搬送方向の後方側面に対しては、検出器700Cを用いて検査し、前方側面に対しては、検出器700Dを用いて検査する。また、パレットPの搬送方向の左右両側面に対しては、図10と同様に、検出器700A及び検出器700Bを用いて検査する。このように、図11の構成例においては、パレットPの全側面を検査対象とすることができる。
【0009】
また、図11の構成例においては、後方から進行してくるパレットPと、検出器700Cとが接触しないように、検出器700Cを上方に退避させておく。そして、パレットPが通過した直後に、検出器700Cを下方に移動させて、パレットPの後方側面の検査を行う。また、検出器700Dは、下方に位置している状態において、接近してくるパレットPの前面を検査し、その後、パレットPと接触しないように上方に退避する。
【0010】
この図11の構成例の場合、パレットPの進行具合と同期をとりながら、検出器700C及び700Dを上下方向に移動させる機構が必要になる。
【0011】
図12は、パレットPの側面を検査するための第3の構成例を示す上面図である。図12においては、パレットPを90度回転させて、検出器700A及び検出器700Bを用いてパレットPの側面全てを検査する。図12の構成例においては、パレットPの全側面を検査対象とすることができるが、パレットPを回転させるための機構を搬送路600に設ける必要がある。また、パレットPを回転させる処理が加わるため、処理に遅延が生じる。
【0012】
図13は、パレットPの側面を検査するための第4の構成例を示す上面図である。図13においては、パレットPの搬送方向を90度変化させることにより、検出器700A、700B、700C及び700Dを用いてパレットPの側面全てを検査する。
【0013】
この図13の構成例の場合、搬送路600の設置スペースが広くなり、搬送距離も長くなる。
【0014】
このように、構成例をいくつか例示したが、煩雑な動作を行うことなく、処理速度の低下を招くことなく、限られた設置スペースを広げることなく、パレット搬送方向の前方側面及び後方側面を検査できるのが好ましい。
【0015】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、パレットの側面検査を効率的に実施する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るパレット取扱装置は、パレット積層体からパレットを順次取り出す段ばらし動作、または、パレットを順次積み重ねてパレット積層体とする段積み動作を行う取扱装置本体と、パレット積層体に含まれている各パレットの状態を順次検出する状態検出器とを備え、取扱装置本体は、パレットを搬送する搬送路に隣り合って設置され、状態検出器は、搬送路に対してパレットの厚み分以上の間隔をおいて搬送路の真上に配置され、且つ、パレット積層体の側面に対向する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、パレットの側面検査を効率的に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係るパレット管理システムの一例を示す概略図である。
図2】本発明の実施形態に係るパレット取扱装置の構成を示す斜視図である。
図3】段ばらし動作が行われるときの各工程を示す図である。
図4図3に示す工程Dのときのパレット取扱装置を示す斜視図である。
図5】段積み動作が行われるときの各工程を示す図である。
図6】最下段のパレットを検査するときの第1の態様を示す図である。
図7】最下段のパレットを検査するときの第2の態様を示す斜視図である。
図8図7の状態から、最下段のパレットの側面状態を検出しているときの状態を示す斜視図である。
図9】本発明の実施形態に係るパレット内部検査を行う際の状態検出器の構成例を示す図である。
図10】パレットの側面を検査するための第1の構成例を示す上面図である。
図11】パレットの側面を検査するための第2の構成例を示す上面図及び側面図である。
図12】パレットの側面を検査するための第3の構成例を示す上面図である。
図13】パレットの側面を検査するための第4の構成例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係るパレット管理システムの一例を示す概略図である。
【0021】
パレット管理システム1は、荷物を載せることが可能な使用済みのパレットPに対し、検査、メンテナンスなどを行って、パレットPを再利用品として使用可能とするシステムである。
【0022】
図1において、パレット管理システム1は、制御部100、上流載置台S1、上流パレット取扱装置200A、洗浄装置300、遠心脱水装置400、温風乾燥装置500、下流パレット取扱装置200B、下流載置台S2、及び、搬送路600を備える。
【0023】
上流載置台S1は、複数段に積み重ねられているパレットPを一時的に置くための台である。ここで、複数段に積み重ねられているパレットPの集合体を、パレット積層体20と称する。上流載置台S1には、パレット管理システム1による処理が開始される前のパレット積層体20が置かれる。
【0024】
下流載置台S2は、パレット管理システム1による処理が完了した後のパレット積層体20を一時的に置くための台である。
【0025】
搬送路600は、上流パレット取扱装置200Aから排出されるパレットPを、洗浄装置300、遠心脱水装置400、温風乾燥装置500の順に搬送し、下流パレット取扱装置200Bに到達させる。
【0026】
なお、本実施形態において、特に断りのない場合、「前方」、及び、「後方」は、搬送路600の搬送方向における前方、及び、後方を意味する。また、「上流」、及び、「下流」は、搬送路600の搬送方向による上流、及び、下流を意味する。
【0027】
洗浄装置300は、パレットPに付着している異物を洗い流す装置である。洗浄装置300は、搬送路600によって搬送されるパレットPに対し、洗浄水を付着させて異物を洗い流す。洗浄装置300は、パレットPに対しブラッシングを行うことにより、パレットPに付着している異物を取り除いてもよい。ここで、洗浄装置300は、処理部の一例である。
【0028】
遠心脱水装置400は、パレットPに付着している洗浄水を遠心力により取り除く装置である。遠心脱水装置400は、パレットPを支持して水平回転させる回転機構を備える。遠心脱水装置400は、ここで、処理部の一例である。
【0029】
温風乾燥装置500は、温風を吹き付けることにより、未だパレットPに付着している洗浄水を取り除く装置である。温風乾燥装置500は、パレットPに温風を吹き付けるブロアーを備えている。ここで、温風乾燥装置500は、処理部の一例である。
【0030】
上流パレット取扱装置200Aは、パレットPを1枚ずつ搬送路600に排出する装置である。上流パレット取扱装置200Aは、洗浄装置300、遠心脱水装置400、温風乾燥装置500よりも搬送方向上流側に設置され、且つ、搬送路600と隣り合うように設置される。
【0031】
下流パレット取扱装置200Bは、搬送路600から搬送されてくる処理後のパレットPを、1枚ずつ回収する装置である。下流パレット取扱装置200Bは、洗浄装置300、遠心脱水装置400、温風乾燥装置500よりも搬送方向下流に設置され、且つ、搬送路600と隣り合うように設置される。
【0032】
上流パレット取扱装置200A、及び、下流パレット取扱装置200Bは、いずれも同じ装置構成である。このため、これらを総称するときは、パレット取扱装置200と称する。
【0033】
パレット取扱装置200は、取扱装置本体250、上流側状態検出器210A、及び、下流側状態検出器210Bを備える。
【0034】
取扱装置本体250は、パレット支持部230及び昇降部220を備えている。
【0035】
図2は、本発明の実施形態に係るパレット取扱装置200の構成を示す斜視図である。
【0036】
パレット支持部230は、図2に示すように、爪部231を備えている。パレット支持部230は、爪部231を、搬送路600の搬送方向と直交する左右方向にスライド移動させる。このスライド移動により、爪部231は、パレットPの側面に設けられている横穴h1に挿入される。
【0037】
また、図1に示す昇降部220は、上下方向に移動可能であり、パレット積層体20の全体を上方向に持ち上げる。また、昇降部220は、持ち上げたパレット積層体20の全体を、下方向に降ろす。昇降部220はリフト部の一例である。
【0038】
取扱装置本体250は、パレット支持部230及び昇降部220を用いることにより、段ばらし動作と段積み動作との2つの動作を行う。ここで、段ばらし動作とは、パレット積層体20から、1枚ずつ順次パレットPを取り出す動作であり、上流パレット取扱装置200Aの取扱装置本体250によって行われる。段積み動作とは、パレットPを順次積み重ねてパレット積層体20とする動作であり、下流パレット取扱装置200Bの取扱装置本体250によって行われる。
【0039】
段ばらし動作と段積み動作との具体的な動作例については、後述する。
【0040】
上流側状態検出器210A及び下流側状態検出器210Bは、パレットPの側面の状態を検出するセンサである。
【0041】
上流側状態検出器210A及び下流側状態検出器210Bは、搬送路600に対してパレットPの厚み分以上の間隔をおいて、パレット積層体20の側面に対向するように配置されている。
【0042】
上流側状態検出器210Aは、取扱装置本体250よりも、搬送路600の搬送方向上流側に設けられており、パレットPの後方側面の状態を検出する。
【0043】
下流側状態検出器210Bは、取扱装置本体250よりも、搬送路600の搬送方向下流側に設けられており、パレットPの前方側面の状態を検出する。
【0044】
上流パレット取扱装置200Aにおける下流側状態検出器210Bは、搬送路600の真上に配置されている。また、下流パレット取扱装置200Bにおける上流側状態検出器210Aは、搬送路600の真上に配置されている。
【0045】
上流側状態検出器210A及び下流側状態検出器210Bは、いずれも同じ構成であることから、これらを総称するときは、状態検出器210と称する。また、ここでは図示しないが、搬送路600の搬送方向における左右両側面の状態を検出する状態検出器も、パレット取扱装置200に備えられている。
【0046】
上記の各装置、すなわち、上流載置台S1、上流パレット取扱装置200A、洗浄装置300、遠心脱水装置400、温風乾燥装置500、下流パレット取扱装置200B、下流載置台S2、及び、搬送路600には、それぞれソフトウェアを実行するための記憶装置及び演算処理装置が備えられている。このため、上記の各装置は、ハードウェアとソフトウェアとが協働することにより実現される。
【0047】
制御部100は、上記の各装置と電気的に接続されており、これら各装置の動作を制御する。また、制御部100は、状態検出器210によって得られた検出データを取得し、当該検出データに基づいて、パレットPの側面に対する検査を行う。
【0048】
制御部100は、統合PC(Personal Computer)110及び制御盤120を備えている。
【0049】
統合PC110は、PLC(Programmable Logic Controller)として機能し、各装置を制御するコンピュータである。制御盤120は、各装置を制御するための各種電気機器が格納された基板である。
【0050】
ここで、パレット管理システム1における処理の全般について説明する。
【0051】
まず、図示しないフォークリフトにより、施設内に搬入されたパレット積層体20が上流載置台S1に置かれる。そして、上流載置台S1の駆動ローラ及び従動ローラが回転することにより、パレット積層体20が上流パレット取扱装置200Aの定位置まで移動する。なお、パレット積層体20の移動の際、接触するおそれのある上流側状態検出器210Aは、一時的に退避される。
【0052】
上流パレット取扱装置200Aは、段ばらし動作を行うことにより、パレット積層体20からパレットPを1枚ずつ順次取り出し、搬送路600にパレットPを排出する。また、上流パレット取扱装置200Aは、この動作と連動して、状態検出器210を用いて、パレット積層体20に含まれているパレットPの前方側面及び後方側面の状態を、順次検出する。ここでは、各状態検出器210は、最下段より1つ上のパレットPの前方側面及び後方側面の状態を、順次検出する。
【0053】
搬送路600に置かれたパレットPは、洗浄装置300、遠心脱水装置400及び温風乾燥装置500の順に搬送される。洗浄装置300は、搬送されてくるパレットPに対して洗浄処理を行う。遠心脱水装置400及び温風乾燥装置500は、搬送されてくるパレットPに対して乾燥処理を行う。そして、洗浄処理及び乾燥処理が行われた後のパレットPは、搬送路600による搬送に従って、下流パレット取扱装置200Bに到達する。
【0054】
下流パレット取扱装置200Bは、到達したパレットPを順次積み重ねていく。また、状態検出器210は、順次積み重ねられていくパレットPの前方側面及び後方側面の状態を、1枚ずつ検出する。
【0055】
下流パレット取扱装置200Bは、パレット積層体20が規定段数になったところで、パレット積層体20を排出し、下流載置台S2に移動させる。なお、このパレット積層体20の移動の際、接触するおそれのある下流側状態検出器210Bは、一時的に退避される。
【0056】
下流載置台S2に置かれたパレット積層体20は、フォークリフトによってラインから降ろされ、制御部100による検査の結果を待つ。全てのパレットPについての検査結果が好適である場合、当該パレット積層体20は、格納用倉庫まで搬送される。一方、不適なパレットPが含まれている場合、当該パレット積層体20については、検査結果の内容に応じて適宜対処される。
【0057】
制御部100は、上記の動作に連動して、状態検出器210によって検出された検出データを順次取得し、検出データに基づいて、各パレットPが再利用品として使用可能かどうかの適否を検査する。
【0058】
次に、パレット取扱装置200によって行われる段ばらし動作、及び、段積み動作の詳細について説明する。
【0059】
図3は、段ばらし動作が行われるときの各工程を示す図である。取扱装置本体250は、上記のとおり、上流側に設置される場合に段ばらし動作を行う。
【0060】
以下の説明においては、パレット積層体20が取扱装置本体250の定位置に置かれた状態から開始するものとする。また、図3においては、最下段のパレットPをP1とし、P2、P3、・・・、P6の順でパレットPが積まれているものとする。
【0061】
状態検出器210は、工程Aにおいて、最下段のパレットP1から1つ上のパレットP2に対し、側面状態の検出を行い、検出したデータを制御部100に送信する。
【0062】
パレットP2の側面状態の検出が終了すると、昇降部220は、工程Bにおいて、パレット積層体20の全体を持ち上げる。そして、パレット支持部230は、工程Bにおいて、爪部231を、パレットP2の側面に設けられている横穴h1に挿入する。これにより、パレットP2~パレットP6は、パレット支持部230によって支持された状態になる。
【0063】
昇降部220は、工程Cにおいて、下方向に移動する。このとき、パレットP2がパレット支持部230により支持されているため、最下段のパレットP1のみが下方向に移動する。この工程Cにより、最下段のパレットP1がパレット積層体20から分離する。
【0064】
そして、取扱装置本体250は、工程Dにおいて、パレットP1を搬送路600に排出する。
【0065】
図4は、工程Dのときのパレット取扱装置200を示す斜視図である。なお、図4は、図3に示すパレット積層体20とはパレットPの段数が異なっているが、これ以外は、工程Dと同様の状況が示されている。下流側状態検出器210Bは、上記のとおり、搬送路600に対してパレットPの厚み分以上の間隔をおいて搬送路600の真上に配置されている。このため、このパレットP1は、下流側状態検出器210Bと接触すること無く、取扱装置本体250から排出される。
【0066】
パレットP1が排出された後、昇降部220は、工程Eにおいて、パレットP2の下面に接するまで、上方向に移動する。昇降部220がパレットP2の下面に接すると、パレット支持部230は爪部231を収納し、パレットP2の支持を解除する。パレット積層体20は、昇降部220によって下側から支えされているため、パレット支持部230による支持が無くなっても、落下して崩れることなく、現状の積層状態を維持する。
【0067】
その後、昇降部220は、工程Fにおいて、下方向に移動する。この移動とともに、パレット積層体20が搬送面に置かれる。この工程Fにより、パレットP2が最下段のパレットPになる。
【0068】
状態検出器210は、工程Fにおいて、最下段のパレットP2から1つ上のパレットP3に対し、側面状態の検出を行い、検出したデータを制御部100に送信する。
【0069】
工程A~工程Fが繰り返し行われることにより、順次パレットPが取り出される。また、工程A~工程Fが繰り返し行われることにより、状態検出器210により、パレットPの側面が順次検出される。
【0070】
図5は、段積み動作が行われるときの各工程を示す図である。取扱装置本体250は、上記のとおり、下流側に設置される場合に段積み動作を行う。
【0071】
図5の段積み動作の説明においては、図3に示すパレットP1~P6のうち、パレットP1~P4が既に積まれているものとする。また、パレットP4は、搬送面からパレットPの厚み分以上の離れた位置で、パレット支持部230によって支持されているものとする。
【0072】
状態検出器210は、工程Gにおいて、パレットP4の側面の状態を検出する。また、工程G及び工程Hにおいて、取扱装置本体250は、搬送路600から搬送されてくるパレットP5を受け入れる。このとき、上流側状態検出器210Aは、パレットP5よりも上方に位置しているため、パレットP5とは接触しない。
【0073】
昇降部220は、工程Iにおいて、パレットP5がパレットP4の下面と接するまで上方に移動する。この移動により、パレットP5は、パレット積層体20に組み入れられる。
【0074】
パレット支持部230は、工程Jにおいて、爪部231を収納して、パレットP4の支持を解除する。パレット積層体20は、昇降部220によって下側から支えされているため、パレット支持部230による支持が無くなっても、落下して崩れることなく、現状の積層状態を維持する。
【0075】
その後、昇降部220は、工程Kにおいて、上方に移動してパレット積層体20の全体を持ち上げる。
【0076】
その後、パレット支持部230は、工程Lにおいて、爪部231をパレットP5の横穴h1に挿入し、パレット積層体20を支持する。そして、昇降部220は、工程Lにおいて、下方に移動する。
【0077】
また、状態検出器210は、工程Lにおいて、パレットP5の側面の状態を検出する。
【0078】
工程G~工程Lが繰り返し行われることにより、順次パレットが積み重ねられていく。また、工程G~工程Lが繰り返し行われることにより、状態検出器210により、パレットPの側面も順次検出される。
【0079】
また、最終のパレットP6が搬送されてきたときは、工程Jの状態から、昇降部220が下方に移動する。この動作により、昇降部220は、パレット積層体20の全体を搬送面に置くことができる。
【0080】
上記の手順により、段ばらし動作及び段積み動作が行われるが、図3の段ばらし動作の手順では、最下段のパレットP1は、側面状態が検出されないまま排出されてしまう。
【0081】
図6は、最下段のパレットP1を検査するときの第1の態様を示す図である。
【0082】
パレット積層体20が上流載置台S1から移動してパレット取扱装置200の定位置に置かれたときに、取扱装置本体250は、昇降部220を、一旦、パレットPの厚み分上方に移動させる。これにより、最下段のパレットP1は、状態検出器210と対向する位置まで持ち上げられる。そして、状態検出器210が、パレットP1の側面の状態を検出することにより、制御部100は、最下段のパレットP1の検査を行うことができる。
【0083】
また、図5を用いて説明した段積み動作においても、最後に搬送されてくるパレットP6については、側面状態が検出されないまま段積み動作が終了してしまう。この場合においても、図6の手順を応用することにより、解消することができる。
【0084】
すなわち、上記の説明においては、最後のパレットP6が搬送されてきた場合、工程Jの後に昇降部220を下方に移動させて、パレット積層体20を搬送面に置くようにしている。これに対し、取扱装置本体250は、工程Jの後に昇降部220を一旦上方に移動させて、パレット積層体20を工程Kに示す状態にする。そして、状態検出器210によって最下段のパレットP6についての検出が行われた後、取扱装置本体250は、昇降部220を下方に移動させて、パレット積層体20を搬送面に置く。これにより、制御部100は、段積み動作においても、最後に搬送されたパレットPの検査を行うことができる。
【0085】
また、パレット支持部230を、上下方向に移動可能な構成とすることによって、昇降部220を用いずに最下段のパレットPの検査を行うことができる。
【0086】
図7は、最下段のパレットPを検査するときの第2の態様を示す斜視図である。また、図8は、図7の状態から、最下段のパレットPの側面状態を検出しているときの状態を示す斜視図である。
【0087】
図7及び図8において、パレット支持部230は、最下段のパレットPを支持した上で、上方向に移動する。これにより、パレット支持部230は、パレット積層体20の全体を持ち上げることできる。そして、制御部100は、状態検出器210から最下段のパレットPについての検出データを取得し、検査を行うことができる。図7及び図8において、パレット支持部230は、リフト部の一例である。
【0088】
次に、制御部100によって行われる検査の内容について説明する。
【0089】
本実施形態において、制御部100は、洗浄処理及び乾燥処理の各処理が行われる前の検査である処理前検査と、各処理が行われた後の検査である処理後検査との2つの検査工程を実施する。ここで、処理前検査は、上流パレット取扱装置200Aによって取得された検出データに基づいて行われる。一方、処理後検査は、下流パレット取扱装置200Bによって取得された検出データに基づいて行われる。
【0090】
処理前検査は、洗浄装置300、遠心脱水装置400、及び、温風乾燥装置500によっては解決できない重度の欠点を、事前に検査する処理である。制御部100は、処理前検査として、異物検査、画像検査、色落ち検査、及び、パレット内部検査のうち、少なくともいずれかの検査を行う。
【0091】
異物検査は、パレットPの側面に設けられている穴の内部に、空き缶、空き瓶などの異物が入り込んでいるかどうかを検査するものである。この場合、状態検出器210としては、例えば光電センサが採用される。
【0092】
状態検出器210は、パレットPの側面及び側面に形成されている穴に光を照射し、反射の有無、及び、反射がある場合はその物体までの距離を検出する。制御部100は、この反射の有無及び物体までの距離に基づいて、パレットPの側面の形状を検査するとともに、パレットPの横穴の内部に異物が入り込んでいるかを検査する。
【0093】
画像検査は、パレットPの側面に、割れ、欠け、変形、付着物などの不良部位があるかどうかを検査するものである。この場合、状態検出器210としては、例えばエリアカメラ、ラインカメラなどの撮像機器が採用される。
【0094】
状態検出器210は、まずパレットPの側面を撮像する。そして、制御部100は、状態検出器210により撮像された画像データを取得し、パレットPに、割れ、欠け、変形、付着物などの不良部位が存在するかどうかを検査する。
【0095】
なお、制御部100は、割れ、欠け、変形、付着物の全ての検査を行ってもよいし、割れ、変形の検査のみなど、一部の検査のみを行ってもよい。
【0096】
色落ち検査は、経時変化によるパレットPの色落ち度合いを検査するものである。この場合、状態検出器210としては、カラーセンサが採用される。
【0097】
制御部100は、状態検出器210により検出された検出データに基づいて、パレットPに過度な色落ちが発生しているかどうかを検査する。なお、色落ち検査を上記の画像検査に組み入れてもよい。この場合、状態検出器210としては、例えばエリアカメラが採用される。
【0098】
パレット内部検査は、パレットPの側面に設けられている横穴の内部を検査するものである。
【0099】
図9は、本発明の実施形態に係るパレット内部検査を行う際の状態検出器210の構成例を示す図である。
【0100】
パレット内部検査を行う場合、状態検出器210として、撮像機器211とアーム部212とを組み合わせた機構が用いられる。
【0101】
撮像機器211は、エリアカメラであり、パレットPの横穴の内部を撮像する。また、撮像機器211には、レンズ214及び照明器213が設けられている。レンズ214は、広角撮影を可能にするための広角レンズ、魚眼レンズなどである。照明器213は、横穴の内壁を照らす白色リング照明器である。
【0102】
アーム部212の先端部には、撮像機器211が取り付けられている。アーム部212は、撮像機器211を横穴内に挿入する。
【0103】
制御部100は、撮像機器211がパレットPの側面に設けられている穴の内部に進入するように、アーム部212を制御する。そして、制御部100は、検出データとして、撮像機器211により撮像された画像データを取得する。そして、制御部100は、画像データに基づいて、穴の内部における割れ、欠け、及び、変形の少なくともいずれか一つの状態を検査する。
なお、パレット内部検査を行う場合、内部に空き缶、空き瓶などの異物が入り込んでいると、撮像機器211が異物と接触することになる。よって、パレット内部検査を行う場合、その前に異物検査を行うのが好ましい。
【0104】
制御部100は、上記の各検査のいずれかにおいて、不適と判定する場合、当該パレットPについては、再利用不可として扱い、洗浄処理及び乾燥処理を行わないように制御する。
【0105】
処理後検査は、洗浄処理及び乾燥処理の各処理が行われた後のパレットPを検査するものである。本実施形態においては、処理後検査として、洗浄後のパレットPに汚れが残ってないかどうかの汚れ確認検査を行う。さらに汚れ確認検査とともに、異物検査を行ってもよい。
【0106】
汚れ確認検査を行う場合、状態検出器210としては、例えばエリアカメラ、ラインカメラなどの撮像機器が採用される。
【0107】
状態検出器210は、まずはパレットPの側面を撮像する。そして、制御部100は、検出データとして、状態検出器210により撮像された画像データを取得し、画像データに基づいて、パレットPに汚れが付着しているかどうかを検査する。
【0108】
汚れが付着している場合は、当該パレットPについては、処理前のパレット積層体20の上に積み重ねて、改めて洗浄装置300による洗浄処理を行ってもよい。または、作業員が手作業により当該パレットPの洗浄を行ってもよい。
【0109】
異物検査は、パレットPの側面に設けられている穴の内部に、空き缶、空き瓶などの異物が入り込んでいるかどうかを検査するものである。この場合、状態検出器210としては、例えば光電センサが採用される。
【0110】
状態検出器210は、パレットPの側面及び側面に形成されている穴に光を照射し、反射の有無、及び、反射がある場合はその物体までの距離を検出する。制御部100は、この反射の有無及び物体までの距離に基づいて、パレットPの横穴の内部に異物が入り込んでいるかを検査する。
【0111】
本実施形態においては、洗浄装置300、遠心脱水装置400、及び、温風乾燥装置500を用いて、洗浄処理及び乾燥処理を行うものとして説明した。しかしながら、事前に定められている処理であれば、これらの処理に限定されない。事前に定められている処理としては、例えば、パレット反転処理、バリ取り処理、及び、付着物除去処理などのメンテナンス処理が行われてもよい。
【0112】
ここで、パレット反転は、パレットPを支持してパレットPの上下方向を反転させる処理である。
【0113】
バリ取り処理は、例えば研磨機を用いることにより、パレットPに生じたバリを除去する処理である。
【0114】
付着物除去処理は、シール、テープなどの付着物を除去する処理である。付着物を除去する方法として、研磨機を用いて削り取る方法、吸着素材に付着物を吸着させて取り除く方法などがある。
【0115】
本実施形態においては、状態検出器210をパレット取扱装置200に設置する構成について説明した。これにより、段ばらし動作または段積み動作のときに生ずる滞留時間を、パレットPの側面状態を検出する時間に当てることができる。また、パレットPが同じ位置を通るため、状態検出器210を固定にして用いることができる。
【0116】
また、状態検出器210をパレット取扱装置200に設置することにより、パレットPよりも上方に状態検出器210を設けることができる。このため、パレットPの搬送が状態検出器210によって阻害されない構成とすることができる。
【0117】
本実施形態のパレット取扱装置200は、パレット積層体20からパレットPを順次取り出す段ばらし動作、または、パレットPを順次積み重ねてパレット積層体20とする段積み動作を行う取扱装置本体250を備えている。また、パレット取扱装置200は、パレット積層体20に含まれている各パレットPの状態を順次検出する状態検出器210を備えている。取扱装置本体250は、パレットPを搬送する搬送路600に隣り合って設置される。状態検出器210は、搬送路600に対してパレットPの厚み分以上の間隔をおいて搬送路600の真上に配置され、且つ、パレット積層体20の側面に対向する。
【0118】
このため、パレットPの搬送を阻害することなく、パレットPをスムーズに搬送するとともに、パレットPの側面検査を効率的に実施することができる。
【0119】
また、取扱装置本体250は、パレット積層体20の全体を、パレットPの厚み分以上持ち上げる昇降部220、パレット支持部230などのリフト部を備えている。状態検出器210は、昇降部220、パレット支持部230などのリフト部によって持ち上げられたパレット積層体20における最下段のパレットPの状態を検出する。
【0120】
このため、最下段のパレットPに対する検査も行うことができる。
【0121】
また、状態検出器210は、取扱装置本体250に対し搬送路600の上流または下流に設置されている。このため、搬送方向の前方側面または後方側面の検査を行うことができる。
【0122】
また、パレット管理システム1は、上記に記載のパレット取扱装置200と、搬送路600上のパレットPに対して、事前に定められている処理を実施する洗浄装置300、遠心脱水装置400、及び、温風乾燥装置500の各処理部とを備えている。また、パレット管理システム1は、状態検出器210によって検出された検出データに基づいて、パレット積層体20に含まれている各パレットPを検査する制御部100を備えている。
【0123】
このため、パレットPの搬送を阻害することなく、パレットPをスムーズに搬送するとともに、パレットPの側面検査を効率的に実施するシステムを提供することができる。
【0124】
また、取扱装置本体250は、各処理部の上流側に設置され、段ばらし動作を行うものであり、状態検出器210は、各処理部による処理前のパレットPの側面の形状を検出する。また、制御部100は、状態検出器210により検出された検出データに基づいて、パレットPの側面に設けられている穴の内部に異物が入り込んでいるかどうかを検査する。
【0125】
このため、後工程の各処理部によっては解決できない重度の欠点がパレットPに生じているかどうかを、事前に把握することができる。
【0126】
また、取扱装置本体250は、各処理部の上流側に設置され、段ばらし動作を行うものであり、状態検出器210は、撮像機器であり、各処理部による処理前のパレットPを撮像する。また、制御部100は、検出データとして、撮像機器により撮像された画像データを取得し、当該画像データに基づいて、パレットPの割れ、欠け、変形、及び、付着物の有無の少なくともいずれか一つの状態を検査する。
【0127】
このため、後工程の各処理部によっては解決できない重度の欠点がパレットPに生じているかどうかを、事前に把握することができる。
【0128】
また、取扱装置本体250は、各処理部の上流側に設置され、段ばらし動作を行うものであり、状態検出器210は、カラーセンサであり、各処理部による処理前のパレットPの状態を検出する。また、制御部100は、カラーセンサにより検出された検出データに基づいて、パレットPに対して色落ち検査を行う。
【0129】
このため、後工程の各処理部によっては解決できない重度の欠点がパレットPに生じているかどうかを、事前に把握することができる。
【0130】
また、取扱装置本体250は、各処理部の上流側に設置され、段ばらし動作を行うものである。状態検出器210は、アーム部212と、アーム部212の先端に設けられている撮像機器211とを有している。また、制御部100は、撮像機器211がパレットPの側面に設けられている穴の内部に進入するように、アーム部212を制御する。また、制御部100は、検出データとして、撮像機器211により撮像された画像データを取得し、当該画像データに基づいて、穴の内部における割れ、欠け、及び、変形の少なくともいずれか一つの状態を検査する。
【0131】
このため、後工程の各処理部によっては解決できない重度の欠点がパレットPに生じているかどうかを、事前に把握することができる。
【0132】
また、取扱装置本体250は、各処理部の下流側に設置され、段積み動作を行うものであり、状態検出器210は、撮像機器であり、各処理部による処理後のパレットPを撮像する。また、制御部100は、検出データとして、撮像機器により撮像された画像データを取得し、当該画像データに基づいて、パレットPの側面に付着している汚れの状態を検査する。
【0133】
このため、各処理部によって実施された処理の結果を確認することができる。
【0134】
また、取扱装置本体250は、各処理部の下流側に設置され、段積み動作を行うものであり、状態検出器210は、各処理部による処理後のパレットPの側面の形状を検出する。また、制御部100は、状態検出器210により検出された検出データに基づいて、パレットPの側面に設けられている穴の内部に異物が入り込んでいるかどうかを検査する。
【0135】
このため、洗浄工程において装置を壊すような重篤な不具合を発生させる可能性が少ない異物が最終的に除去されているか否かを検査することができる。また、処理前検査時に死角に隠れていて検出されていなかった異物を検出できる可能性がある。
【0136】
なお、本実施形態においては、上流パレット取扱装置200A、及び、下流パレット取扱装置200Bの2つのパレット取扱装置200を配置する構成を示したが、いずれか一方であってもよい。
【0137】
また、本実施形態においては、パレット取扱装置200に上流側状態検出器210A、及び、下流側状態検出器210Bの2つの状態検出器210を配置する構成を示したが、いずれか一方であってもよい。この場合、当該状態検出器210は、搬送路600に対してパレットPの厚み分以上の間隔をおいて搬送路600の真上に配置されており、且つ、パレット積層体20の側面に対向する位置に配置されていればよい。
【0138】
状態検出器210は、パレット積層体20の最下段のパレットPより一つ上のパレットPの状態を検出するものとして説明したが、これに限定されない。すなわち、状態検出器210は、最下段のパレットPより二つ上、三つ上のパレットPなどを検出対象としてもよい。
【0139】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0140】
(付記1)
パレット積層体からパレットを順次取り出す段ばらし動作、または、前記パレットを順次積み重ねて前記パレット積層体とする段積み動作を行う取扱装置本体と、
前記パレット積層体に含まれている各前記パレットの状態を順次検出する状態検出器と
を備え、
前記取扱装置本体は、前記パレットを搬送する搬送路に隣り合って設置され、
前記状態検出器は、前記搬送路に対して前記パレットの厚み分以上の間隔をおいて前記搬送路の真上に配置され、且つ、前記パレット積層体の側面に対向する、
パレット取扱装置。
(付記2)
前記取扱装置本体は、前記パレット積層体の全体を、前記パレットの厚み分以上持ち上げるリフト部を備え、
前記状態検出器は、前記リフト部によって持ち上げられた前記パレット積層体における最下段のパレットの状態を検出する、付記1に記載のパレット取扱装置。
(付記3)
前記状態検出器は、前記取扱装置本体に対し前記搬送路の上流または下流に設置されている、付記1または2に記載のパレット取扱装置。
(付記4)
付記1~3のいずれか1つに記載のパレット取扱装置と、
前記搬送路上の前記パレットに対して、事前に定められている処理を実施する処理部と、
前記状態検出器によって検出された検出データに基づいて、前記パレット積層体に含まれている各前記パレットを検査する制御部と、
を備えている、パレット管理システム。
(付記5)
前記取扱装置本体は、前記処理部の上流側に設置され、前記段ばらし動作を行うものであり、
前記状態検出器は、前記処理部による処理前の前記パレットの側面の形状を検出し、
前記制御部は、前記状態検出器により検出された検出データに基づいて、前記パレットの側面に設けられている穴の内部に異物が入り込んでいるかどうかを検査する、付記4に記載のパレット管理システム。
(付記6)
前記取扱装置本体は、前記処理部の上流側に設置され、前記段ばらし動作を行うものであり、
前記状態検出器は、撮像機器であり、前記処理部による処理前の前記パレットを撮像し、
前記制御部は、前記検出データとして、前記撮像機器により撮像された画像データを取得し、当該画像データに基づいて、前記パレットの割れ、欠け、変形、及び、付着物の有無の少なくともいずれか一つの状態を検査する、付記4又は5のいずれか1つに記載のパレット管理システム。
(付記7)
前記取扱装置本体は、前記処理部の上流側に設置され、前記段ばらし動作を行うものであり、
前記状態検出器は、カラーセンサであり、前記処理部による処理前の前記パレットの状態を検出し、
前記制御部は、前記カラーセンサにより検出された検出データに基づいて、前記パレットに対して色落ち検査を行う、付記4~6のいずれか1つに記載のパレット管理システム。
(付記8)
前記取扱装置本体は、前記処理部の上流側に設置され、前記段ばらし動作を行うものであり、
前記状態検出器は、アーム部と、当該アーム部の先端に設けられている撮像機器とを有しており、
前記制御部は、前記撮像機器が前記パレットの側面に設けられている穴の内部に進入するように、前記アーム部を制御するとともに、前記検出データとして、前記撮像機器により撮像された画像データを取得し、当該画像データに基づいて、前記穴の内部における割れ、欠け、及び、変形の少なくともいずれか一つの状態を検査する、付記4~7のいずれか1つに記載のパレット管理システム。
(付記9)
前記取扱装置本体は、前記処理部の下流側に設置され、前記段積み動作を行うものであり、
前記状態検出器は、撮像機器であり、前記処理部による処理後の前記パレットを撮像し、
前記制御部は、前記検出データとして、前記撮像機器により撮像された画像データを取得し、当該画像データに基づいて、前記パレットの側面に付着している汚れの状態を検査する、付記4~8のいずれか1つに記載のパレット管理システム。
(付記10)
前記取扱装置本体は、前記処理部の下流側に設置され、前記段積み動作を行うものであり、
前記状態検出器は、前記処理部による処理後の前記パレットの側面の形状を検出し、
前記制御部は、前記状態検出器により検出された検出データに基づいて、前記パレットの側面に設けられている穴の内部に異物が入り込んでいるかどうかを検査する、付記4~9のいずれか1つに記載のパレット管理システム。
【符号の説明】
【0141】
1 パレット管理システム、20 パレット積層体、100 制御部、110 統合PC、120 制御盤、200 パレット取扱装置、200A 上流パレット取扱装置(パレット取扱装置)、200B 下流パレット取扱装置(パレット取扱装置)、210 状態検出器、210A 上流側状態検出器(状態検出器)、210B 下流側状態検出器(状態検出器)、211 撮像機器、212 アーム部、213 照明器、214 レンズ、220 昇降部(リフト部)、230 パレット支持部(リフト部)、231 爪部、250 取扱装置本体、300 洗浄装置(処理部)、400 遠心脱水装置(処理部)、500 温風乾燥装置(処理部)、600 搬送路、700A、700B、700C、700D 検出器、P、P1~P6 パレット、S1 上流載置台、S2 下流載置台、h1 横穴。
【要約】
【課題】パレットの側面検査を効率的に実施する技術を提供する。
【解決手段】パレット取扱装置は、パレット積層体からパレットを順次取り出す段ばらし動作、または、パレットを順次積み重ねてパレット積層体とする段積み動作を行う取扱装置本体と、パレット積層体に含まれている各パレットの状態を順次検出する状態検出器とを備え、取扱装置本体は、パレットを搬送する搬送路に隣り合って設置され、状態検出器は、搬送路に対してパレットの厚み分以上の間隔をおいて搬送路の真上に配置され、且つ、パレット積層体の側面に対向する。
【選択図】図2

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13