(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】CPAP装置
(51)【国際特許分類】
F04D 29/66 20060101AFI20240514BHJP
A61M 16/00 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
F04D29/66 N
A61M16/00 305A
(21)【出願番号】P 2022514388
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2021012221
(87)【国際公開番号】W WO2021205877
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】P 2020069630
(32)【優先日】2020-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】前田 啓貴
(72)【発明者】
【氏名】服部 篤志
(72)【発明者】
【氏名】山中 淑雄
(72)【発明者】
【氏名】小西 佳郎
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0247009(US,A1)
【文献】特開平06-294550(JP,A)
【文献】国際公開第2019/189126(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/189127(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/66
A61M 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースと、前記本体ケースの内部に収容されているブロアと、前記本体ケース及び前記ブロアの間に介在され、前記ブロアを前記本体ケースの内部において支持する3つ以上の支持部材と、を備え、
前記ブロアは、回転することにより空気を送風するファンが収容されているファン部と、前記ファンから送風された空気が流通する導出管と、を有しており、
前記ファンの回転軸方向から視た場合に、前記ファン部における前記ファンの収容空間の外縁は円形状であり、
前記回転軸方向から視た場合に前記導出管の幅方向の中心を通るとともに前記導出管の延び方向に延びる中心軸線と前記収容空間の外径円との交点を接続箇所とし
、
前記回転軸と前記接続箇所とを通る直線に直交するとともに前記回転軸を通る直線である境界によって、前記ブロアを前記接続箇所側の第1領域と、前記接続箇所とは反対側の第2領域と、に分けたとき、
前記回転軸方向から視た場合に、
前記支持部材のうちの第1支持部材及び第2支持部材は、
前記第1領域において前記ブロアを挟み込むように
前記ブロアを支持し、
前記支持部材のうち、前記第1支持部材及び前記第2支持部材とは別の第3支持部材は、
前記第2領域において前記ブロアを支持し、
前記第1支持部材及び前記第2支持部材及び前記第3支持部材は、前記本体ケースの内面のうち、前記回転軸方向を向く面に取り付けられて
おり、
前記第3支持部材と前記第1支持部材との距離、及び前記第3支持部材と前記第2支持部材との距離は、いずれも前記第1支持部材と前記第2支持部材との距離よりも長い、
CPAP装置。
【請求項2】
前記ファンの前記回転軸方向から視た場合に、
前記第1支持部材と前記第2支持部材との間で引ける仮想線分のうち、前記回転軸から最も遠い仮想線分は、前記ファンと交差しない、
請求項1に記載のCPAP装置。
【請求項3】
前記ファンの前記回転軸方向から視た場合に、
前記第1支持部材と前記第2支持部材との間で引ける仮想線分のうち、少なくとも一部は前記ファン、及び前記導出管のいずれとも交差しない、
請求項1又は請求項2に記載のCPAP装置。
【請求項4】
前記ファンの前記回転軸方向から視た場合に、
前記第1支持部材と前記第2支持部材との間で引ける仮想線分のうち、前記回転軸と前記接続箇所とを通る直線の延びる方向に直交する仮想線分において、前記回転軸から最も近い仮想線分と前記回転軸から最も遠い仮想線分とから等距離となる中間の仮想線分は、前記ファン、及び前記導出管のいずれとも交差しない、
請求項3に記載のCPAP装置。
【請求項5】
前記第3支持部材は、前記接続箇所と前記回転軸を通る直線上に配置される、
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のCPAP装置。
【請求項6】
前記第3支持部材と前記第1支持部材との距離は、前記第3支持部材と前記第2支持部材との距離に等しい
請求項5に記載のCPAP装置。
【請求項7】
すべての前記支持部材は、前記ファンの前記回転軸方向から視た場合に、前記ファン部の外側に配置されている、
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のCPAP装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、装置内に吸入した空気を使用者の気道に送り込むCPAP(Continuous Positive Airway Pressure)装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のCPAP装置において、本体ケースの内部には、空気を送り出すためのブロアが収容されている。また、本体ケースの内部には、吸音サイレンサが収容されている。吸音サイレンサの内部には、ブロアへと空気を供給するための通路が区画されている。また、吸音サイレンサは、ブロアの略全体を包み込むような形状になっている。さらに、吸音サイレンサは、ブロアの外面及び本体ケースの内面に接していて、ブロアを本体ケースの内部において支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたCPAP装置のように、ブロアと本体ケースとの間にブロアを支持するための支持部材を介在させる場合、その支持部材とブロアとの接触位置によって振動や騒音の抑制効果が大きく左右される。特許文献1のCPAP装置では、振動や騒音をユーザに知覚させないためにはどのような位置に支持部材を配置するのが効果的かといった点について何ら検討されてない。よって、この点において、なお改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本開示は、本体ケースと、前記本体ケースの内部に収容されているブロアと、前記本体ケース及び前記ブロアの間に介在され、前記ブロアを前記本体ケースの内部において支持する3つ以上の支持部材と、を備え、前記ブロアは、回転することにより空気を送風するファンが収容されているファン部と、前記ファンから送風された空気が流通する導出管と、を有しており、前記ファンの回転軸方向から視た場合に、前記ファン部における前記ファンの収容空間の外縁は円形状であり、前記回転軸方向から視た場合に前記導出管の幅方向の中心を通るとともに前記導出管の延び方向に延びる中心軸線と前記収容空間の外径円との交点を接続箇所としたとき、前記回転軸方向から視た場合に、前記支持部材のうちの第1支持部材及び第2支持部材は、前記回転軸よりも前記ファン部と前記導出管との接続箇所側において前記ブロアを挟み込むように配置されており、前記支持部材のうち、前記第1支持部材及び前記第2支持部材とは別の第3支持部材は、前記回転軸よりも前記接続箇所とは反対側に配置されているCPAP装置である。
【0006】
上記構成によれば、少なくとも第1~第3支持部材の3つでブロアを支持するので、ブロア全体の振動を抑制できる。さらに、ブロアにおける導出管の近傍が第1支持部材及び第2支持部材によって挟み込まれるので、ブロアの中でも導出管の振動を、より効果的に抑制できる。そして、導出管の振動を抑制できれば、導出管からホースやマスクを介して振動が使用者に伝わることも抑制できるので、使用者が振動を知覚しにくくなる。
【発明の効果】
【0007】
CPAP装置が駆動することによるブロアの振動を、使用者が知覚しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図5】CPAP装置のブロアを分解した分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、装置内に導入した空気を使用者の気道に送り込むCPAP装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1に示すように、CPAP装置10は、扁平な直方体状の本体ケース20を備えている。なお、以下の説明では、本体ケース20の厚み方向を高さ方向Tdとする。また、高さ方向Tdから視た場合に、本体ケース20の長手方向を
長手方向Ldとし、本体ケース20の短手方向を幅方向Wdとする。
【0011】
本体ケース20の高さ方向Tdの上側の面である上側面20Uには、CPAP装置10を操作するための操作部21が設けられている。この実施形態では、操作部21は、円形状のスイッチ21Aと、円環状のスイッチ21Bと、で構成されている。スイッチ21Bは、スイッチ21Aを取り囲むように配置されている。スイッチ21A及びスイッチ21Bは、いずれも押しボタンスイッチであり、これらを操作することで、CPAP装置10の電源のオンオフ、設定の変更等が可能になっている。
【0012】
本体ケース20における長手方向Ldの第1端側の端面である第1端面20Aにおいては、本体ケース20の外部から内部に空気を導入するための吸入口22が開口している。吸入口22には、本体ケース20内へと導入される空気に含まれる塵等をろ過するフィルタ23が取り付けられている。
【0013】
図2に示すように、本体ケース20の内部には、制御ユニット30が収容されている。制御ユニット30は、
長手方向Ldにおいて中央よりも第2端側に配置されている。制御ユニット30は、制御基板等を有しており、操作部21の操作を電気信号に変換して、CPAP装置10を制御している。なお、制御ユニット30は、
図2及び
図3においては、概略として直方体状に図示している。
【0014】
図2に示すように、本体ケース20の内部には、ブロア40が収容されている。ブロア40は、
長手方向Ldにおいて、制御ユニット30よりも第1端側に配置されている。
図4に示すように、ブロア40は、ファン50を内部に収容しているファン部60と、ファン50から送風された空気が流通する導出管70と、に大別される。
【0015】
図4に示すように、ファン部60のファンケース61は、高さ方向Tdから視た場合に、円形状となっている。ファンケース61は、上側ファンケース62と、下側ファンケース63と、を備えている。
【0016】
図5に示すように、上側ファンケース62は、円形の椀形状になっている。上側ファンケース62の中央には、ファン部60の外部から内部に空気を吸入するための導入口64が開口している。導入口64は、平面視で円形状になっている。上側ファンケース62の上側の外面からは、板状の突出壁65が、上側に向かって突出している。突出壁65は、複数個設けられており、本実施形態では、10個の突出壁65が設けられている。突出壁65は、上側ファンケース62の径方向に延びている。また、各突出壁65は、導入口64の径方向外側を周方向に等間隔毎に配置されている。したがって、複数の突出壁65は、高さ方向Tdから視た場合に、放射状に配置されている。
【0017】
下側ファンケース63は、高さ方向Tdから視た場合に、円環状となっている。下側ファンケース63の外径は、上側ファンケース62の下縁の外径と同じになっている。下側ファンケース63の中央の穴には、モータ80が嵌め込まれている。なお、モータ80の下端は、下側ファンケース63の下端よりも高さ方向Tdにおける上側に位置している。すなわち、モータ80は、本体ケース20と接触してなく、下側ファンケース63によって支持されている。モータ80の回転シャフト81は、モータ80の中央から、上側に向かって延びている。
【0018】
下側ファンケース63は、径方向に直交する断面においては、略U字状となっている。そして、上側ファンケース62の下側には、下側ファンケース63が向かい合うように嵌め合わされている。そして、上側ファンケース62と下側ファンケース63とで収容空間が区画されている。
【0019】
上記収容空間内には、回転することにより空気を送風するファン50が配置されている。ファン50は、保持板51と、複数の羽根52と、で構成されている。保持板51は、略円板状になっている。保持板51の中央においては、挿通孔53が貫通している。挿通孔53には、モータ80の回転シャフト81の先端部が固定されている。保持板51の上側の面には、複数の羽根52が上側に向かって突出している。羽根52は、板状となっている。羽根52は、保持板51の径方向内側から外側に向かって延びている。なお、この実施形態では、延設長さの異なる羽根52が設けられている。また、羽根52は、保持板51の周方向に等間隔毎に配置されている。したがって、複数の羽根52は、高さ方向Tdから視た場合に、放射状に配置されている。各羽根52の径方向外側端は、保持板51の中心を中心とする同一の仮想円上に位置している。
【0020】
図4に示すように、ファン部60には、円管状の導出管70が接続されている。
図5に示すように、導出管70は、上側管部71と、下側管部72と、で構成されている。上側管部71は、円状の上側ファンケース62の接線方向に延びている。上側管部71は、上側管部71の延び方向から視た場合に、上側に凸の円弧状となっている。すなわち、上側管部71は、円管状である導出管70の上側半分を構成している。なお、本実施形態においては、上側管部71は、上側ファンケース62と一体成形されている。
【0021】
下側管部72は、円環状の下側ファンケース63の接線方向に延びている。下側管部72の延設長さは、上側管部71と同じになっている。下側管部72は、延び方向から視た場合に、下側に凸の円弧状となっている。すなわち、下側管部72は、円管状である導出管70の下側半分を構成している。なお、本実施形態においては、下側管部72は、下側ファンケース63と一体成形されている。
【0022】
図4に示すように、上側管部71の下側には、下側管部72が向かい合うように嵌め合わされている。上側管部71と下側管部72とが区画する管内空間は、ファンケース61の収容空間と連通している。この管内空間には、ファン部60から送り出される空気が流れる。そして、導出管70のファン部60と接続されている側とは反対側の開口は、ブロア40から外部に空気を導出する導出口73となっている。なお、
図3に示すように、本実施形態において、ファン部60と導出管70との接続箇所CPは、高さ方向Tdから視た場合に、導出管70の幅方向Wdの中心を通るとともに導出管70の延び方向に延びる中心軸線70Aと、ファンケース61の収容空間の外径円61Aとの交点である。
【0023】
図3に示すように、導出管70には、本体ケース20の内部から外部へと空気を排出するための排出管90が接続されている。排出管90は、円管状となっている。排出管90は、導出管70の
長手方向Ldにおける第1端部側の部分を径方向の外側から覆っている。
【0024】
図2に示すように、排出管90は、本体ケース20の第1端面20Aを貫通して、
長手方向Ldに延びている。そのため、排出管90の
長手方向Ldにおける第1端側の端は、本体ケース20の外側に位置している。排出管90の
長手方向Ldにおける第1端側の開口は、本体ケース20の
内部から
外部へと空気を排出するための排出口91となっている。
【0025】
ここで、本体ケース20内におけるブロア40の支持構造について説明する。
【0026】
図5に示すように、下側ファンケース63の外面からは、第1突起66が、径方向外側に向かって突出している。
図3に示すように、第1突起66は、高さ方向Tdから視た場合に、ファン部60において、ファン50の回転軸RAよりも、ファン部60と導出管70との接続箇所CP側に位置している。本実施形態においては、第1突起66は、本体ケース20の幅方向Wdにおける第2端側の側面に近い位置に配置されている。なお、本実施形態において、回転軸RAの延び方向は、高さ方向Tdと一致している。
【0027】
図5に示すように、第1突起66には、ゴム製の第1ダンパ111の内側部111Aが取り付けられている。内側部111Aは、第1突起66の突出方向から視た場合に、高さ方向Tdにやや長い略楕円状となっている。内側部111Aには、図示しない凹部が設けられていて、当該凹部に第1突起66が差し込まれることによって、第1突起66と第1ダンパ111とが固定されている。内側部111Aの径方向外側には、第1ダンパ111の外側部111Bが配置されている。外側部111Bは、内側部111Aを外側から取り囲む楕円環状になっている。第1ダンパ111において、内側部111Aと外側部111Bとは、周方向に複数箇所で連結されている。換言すれば、内側部111Aと外側部111Bとは、連結されてない箇所では互いに離れていて、相対移動可能になっている。
【0028】
図3に示すように、ファン部60において、下側ファンケース63の外面からは、第2突起67が、径方向外側に向かって突出している。第2突起67は、高さ方向Tdから視た場合に、ファン部60において、ファン50の回転軸RAよりも、ファン部60と導出管70との接続箇所CP側に位置している。また、第2突起67は、導出管70の中心軸線70Aを挟んで、第1突起66とは反対側に配置されている。
【0029】
図5に示すように、第2突起67には、ゴム製の第2ダンパ112が取り付けられている。第2ダンパ112の構成は、第1ダンパ111と同じである。具体的には、第2ダンパ112は、内側部112Aと外側部112Bとで構成されている。
【0030】
下側ファンケース63の外面からは、高さ方向Tdから視た場合に、第3突起68が、径方向外側に向かって突出している。
図3に示すように、第3突起68は、高さ方向Tdから視た場合に、ファン部60において、ファン50の回転軸RAよりも、ファン部60と導出管70との接続箇所CPとは反対側に位置している。
【0031】
第3突起68には、ゴム製の第3ダンパ113が取り付けられている。第3ダンパ113の構成は、第1ダンパ111と同じである。具体的には、第3ダンパ113は、内側部113Aと外側部113Bとで構成されている。
【0032】
図3に示すように、本体ケース20の底面には、第1支持部材121が取り付けられている。第1支持部材121は、略板状になっている。第1支持部材121は、本体ケース20における幅方向Wdの第2端側の側壁の近傍に配置されている。第1支持部材121の延設方向の両端には、ねじ穴Hが設けられている。このねじ穴Hに図示しないねじがねじ込まれることにより、第1支持部材121が本体ケース20に固定されている。第1支持部材121においては、当該第1支持部材121の厚み方向に穴が貫通している。この第1支持部材121の穴には、上述したファン部60の第1ダンパ111が嵌め込まれている。すなわち、第1支持部材121は、本体ケース20とファン部60との間に介在されていて、ファン部60を本体ケース20内において支持している。
【0033】
本体ケース20の底面には、第2支持部材122が取り付けられている。第2支持部材122の構成は、第1支持部材121と同じである。第2支持部材122は、本体ケース20における長手方向Ldの第1端側の側壁の近傍に配置されている。第2支持部材122の厚み方向に貫通する穴には、上述したファン部60の第2ダンパ112が嵌め込まれている。すなわち、第2支持部材122は、本体ケース20とファン部60との間に介在されていて、ファン部60を本体ケース20内において支持している。
【0034】
本体ケース20の底面には、第3支持部材123が取り付けられている。第3支持部材123の構成は、第1支持部材121と同じである。第3支持部材123は、本体ケース20における幅方向Wdの第1端側の側壁の近傍に配置されている。第3支持部材123の厚み方向に貫通する穴には、上述したファン部60の第3ダンパ113が嵌め込まれている。すなわち、第3支持部材123は、本体ケース20とファン部60との間に介在されていて、ファン部60を本体ケース20内において支持している。
【0035】
次に、3つの支持部材の配置について詳述する。第1支持部材121は、ファン部60の第1ダンパ111に対応して配置されている。第1ダンパ111は、上述したように、第1突起66に取り付けられている。そのため、第1支持部材121は、高さ方向Tdから視た場合に、ファン部60の外側に配置されている。また、第1支持部材121は、高さ方向Tdから視た場合に、ファン部60において、ファン50の回転軸RAよりも、ファン部60と導出管70との接続箇所CP側に位置している。
【0036】
第2支持部材122は、ファン部60の第2ダンパ112に対応して配置されている。第2ダンパ112は、上述したように、第2突起67に取り付けられている。そのため、第2支持部材122は、高さ方向Tdから視た場合に、ファン部60の外側に位置している。また、第2支持部材122は、高さ方向Tdから視た場合に、ファン50の回転軸RAよりも、ファン部60と導出管70との接続箇所CP側に位置している。さらに、第2支持部材122は、高さ方向Tdから視た場合に、接続箇所CPを挟んで第1支持部材121とは反対側に配置されている。よって、第1支持部材121及び第2支持部材122は、ブロア40を挟み込むように配置されている。具体的には、高さ方向Tdから視た場合に、ブロア40の境界VBを、ファン50の回転軸RAと接続箇所CPを通る直線VAに直交するとともに、ファン50の回転軸RAを通る直線とする。この場合、境界VBを境に、接続箇所CP側の領域を第1領域E1とし、接続箇所CPとは反対側の領域を第2領域E2とする。本実施形態においては、第1支持部材121及び第2支持部材122は、ブロア40のうち、ファン部60の第1領域E1を支持している。
【0037】
ここで、第1支持部材121と、第2支持部材122と、の間においては、多数の仮想線分が引ける。このように引ける仮想線分のうち、回転軸RAから最も遠い仮想線分を仮想線分VLfとする。この仮想線分VLfは、高さ方向Tdから視た場合に、直線VAの延びる方向において、回転軸RAとは反対側から、第1支持部材121と第2支持部材122とに接している。そして、仮想線分VLfは、高さ方向Tdから視た場合に、ファン50の外縁50Aよりも径方向外側に位置している。すなわち、仮想線分VLfは、ファン50と交差しない。
【0038】
また、第1支持部材121と、第2支持部材122と、の間において引ける仮想線分のうちの多くは、ファン部60と導出管70との接続箇所CPよりも回転軸RA側を通る。したがって、第1支持部材121及び第2支持部材122は、接続箇所CPよりも回転軸RA側、すなわちブロア40のうちのファン部60を挟み込むように配置されている。さらに、高さ方向Tdから視た場合に、第1支持部材121と第2支持部材122と、の間において引ける仮想線分のうちの一部は、ファン50及び導出管70のいずれとも交差しない。
【0039】
第3支持部材123は、ファン部60の第3ダンパ113に対応して配置されている。第3ダンパ113は、上述したように、第3突起68に取り付けられている。そのため、第3支持部材123は、高さ方向Tdから視た場合に、ファン部60の外側に配置されている。また、第3支持部材123は、高さ方向Tdから視た場合に、ファン50の回転軸RAよりも、ファン部60の導出管70との接続箇所CPとは反対側に位置している。すなわち、第3支持部材123は、第2領域E2において、ブロア40のファン部60を支持している。特に、本実施形態においては、高さ方向Tdから視た場合に、第3支持部材123は、第3支持部材123と第1支持部材121との距離と、第3支持部材123と第2支持部材122との距離とが、等しくなる位置に位置している。換言すれば、第3支持部材123は、ファン50の回転軸RAと接続箇所CPを通る直線VA上に配置されている。
【0040】
なお、この実施形態では、
図3に示すように、支持部材同士の距離は、各支持部材の固定中心間の距離、すなわち各支持部材の2つのねじ穴Hの中心の中点間の距離として定めている。第1支持部材121と第2支持部材122との距離である第1距離D1は、第1支持部材121と第3支持部材123との距離である第2距離D2よりも短くなっている。また、第1距離D1は、第2支持部材122と第3支持部材123との距離である第3距離D3よりも短くなっている。さらに、第2距離D2は、第3距離D3と等しくなっている。そのため、支持部材同士の距離を定めるための3つの線分によって、二等辺三角形が形成される。この二等辺三角形では、等辺が底辺よりも長くなっている。そして、本実施形態においては、ファン部60は、3つの支持部材によってのみ、本体ケース20に支持されていて、ファン部60が直接的に本体ケース20に接触していない。
【0041】
次に、上記実施形態におけるCPAP装置10の作用について説明する。
【0042】
図6に示すように、CPAP装置10を使用する際には、本体ケース20の外部に突出している排出管90の先端部に、ホース130の第1端部が接続される。そして、ホース130の第2端部がマスク140に接続される。マスク140は、例えば、使用者150の鼻又は口を覆うように装着される。
【0043】
CPAP装置10の操作部21が操作されることによって、モータ80が駆動すると、モータ80の回転シャフト81が回転する。回転シャフト81が回転することで、ファン50が回転軸RAを回転中心として回転する。ファン50が回転すると、本体ケース20の外部から、吸入口22を介して、空気が本体ケース20の内部に吸い込まれる。吸入口22から本体ケース20の内部に吸い込まれた空気は、導入口64から、ブロア40のファン部60の収容空間に吸入される。ファン部60の収容空間の空気は、ファン50によって、導出管70へと送り出される。導出管70の導出口73から導出される空気は、排出管90を通って、本体ケース20の外部へと排出される。そして、ホース130を通って、マスク140から使用者150へと空気が届けられる。
【0044】
次に、上記実施形態におけるCPAP装置10の効果について説明する。
【0045】
(1)上記実施形態によれば、第1支持部材121及び第2支持部材122は、高さ方向Tdから視た場合に、ファン50の回転軸RAよりも、ファン部60と導出管70との接続箇所CP側に配置されている。また、第1支持部材121及び第2支持部材122は、ブロア40を挟み込むように配置されている。そのため、ファン部60のうち、導出管70に近い箇所の振動を抑制できる。よって、導出管70の振動を抑制できるため、導出管70からホース130やマスク140を介して、振動が使用者150に伝わることも抑制できる。その結果、使用者150は、振動を知覚しにくくなる。
【0046】
(2)上記実施形態によれば、導出管70は、各支持部材によって、本体ケース20に支持されていない。導出管70は、排出管90と接続しているのみである。そのため、ファン部60が振動しても、その振動が、各支持部材や本体ケース20を介して導出管70に伝わることを抑制できる。
【0047】
(3)上記実施形態によれば、高さ方向Tdから視た場合に、第1支持部材121と第2支持部材122との間で引ける仮想線分のうち、回転軸RAから最も遠い仮想線分VLfは、ファン50と交差しない。そのため、ブロア40のファン部60のうち、第1支持部材121及び第2支持部材122と接触する箇所は、導出管70に相応に近い。そのため、導出管70とファン部との接続箇所CPに近い位置で支持することで、導出管70への振動の伝達を確実に抑制できる。
【0048】
(4)上記構成においては、第1支持部材121と第2支持部材122とで強固にファン部60を支持しているため、仮にファン部60に振動が生じるならば、第1支持部材121と第2支持部材122との間で引ける仮想線分を軸として、ファン部60に振動が生じることが考えられる。この仮想線分のうち、ファン50の回転軸RAから最も遠い仮想線分VLfがファン50とは交差していないため、仮想線分VLfを軸としてファン部60に振動が生じたときに、ファン50全体が一体的に振動する可能性が高い。したがって、ファン50が局所的に振動しようとして当該ファン50に歪み等が発生することは抑制できる。
【0049】
(5)上記実施形態においては、高さ方向Tdから視た場合に、第1支持部材121と第2支持部材122との間で引ける仮想線分のうち、一部は、ファン50及び導出管70のいずれとも交差しない。そのため、仮想線分を境界としてファン部60の振動と導出管70の振動とが、互いに干渉することを抑制できる。
【0050】
(6)上記実施形態によれば、高さ方向Tdから視た場合に、回転軸RAよりもファン部60と導出管70との接続箇所CP側の第1領域E1には、第1支持部材121及び第2支持部材122が配置されている。一方で、高さ方向Tdから視た場合に、回転軸RAよりもファン部60と導出管70との接続箇所CPとは反対側の第2領域E2には、第3支持部材123が配置されている。すなわち、第1支持部材121と第2支持部材122とを結ぶ仮想線分を軸としてブロア40が振動したときに、振動が大きくなる側を、第3支持部材123によって支持している。すなわち、ブロア40の振動をより効果的に抑制できる箇所に第3支持部材123が配置されている。
【0051】
(7)上記実施形態では、高さ方向Tdから視た場合に、回転軸RAよりもファン部60と導出管70との接続箇所CPとは反対側には、支持部材としては第3支持部材123のみが配置されている。すなわち、接続箇所CPを基準として導出管70側よりもその反対側の方が、支持力が弱くなっている。したがって、仮にブロア40に振動が生じたとしても、ブロア40は、導出管70とは反対側において振動しやすく、導出管70側における振動は最小限に抑えられる。
【0052】
(8)上記実施形態によれば、第1支持部材121と第3支持部材123との第2距離D2は、第2支持部材122と第3支持部材123との第3距離D3に等しい。そのため、第3支持部材123の固定中心から、回転軸RAを通る仮想直線を引いたときに、当該仮想直線の両側において、ブロア40が不均一に振動してファン部60に歪みが生じることを抑制できる。
【0053】
(9)上記実施形態によれば、第3支持部材123は、ファン50の回転軸RAと接続箇所CPを通る直線VA上に配置されている。そのため、第3支持部材123は、導出管70から最も遠い部分でブロア40を固定することで、第3支持部材123で吸収した振動が導出管70に伝わりにくくなる。
【0054】
(10)上記実施形態によれば、3つの支持部材のすべてが、高さ方向Tdから視た場合に、ファン部60の外側に配置されている。そして、3つの支持部材は、ブロア40を外側から支持している。そのため、ファン50が回転した場合に、回転軸RAに直交する方向にブロア40が振動しても、このような方向の振動を抑制しやすい。
【0055】
(11)上記実施形態によれば、第1ダンパ111が、第1支持部材121によって支持されている。第1ダンパ111は、内側部111Aと外側部111Bとで構成されている。内側部111Aが振動した際に、外側部111Bへ伝わる振動が小さくなる。そのため、ファン部60の振動が、第1ダンパ111を介して、第1支持部材121に伝わるまでに減衰される。この点、第2ダンパ112及び第3ダンパ113についても同様である。
【0056】
上記実施形態は以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で組み合わせて実施することができる。
【0057】
・上記実施形態において、CPAP装置10は、加湿器を備えていてもよい。例えば、本体ケース20の排出管90に加湿器が取り付けられ、加湿器の排出側にホース130が取り付けられてもよい。また例えば、本体ケース20の内部に、加湿器が収容されており、導出管70と排出管90との間に、加湿器が配置されていてもよい。この場合、導出管70から導出された空気が、加湿器で加湿されて、排出管90からホース130を介して、使用者150まで届く。
【0058】
・上記実施形態において、本体ケース20の形状は、上記実施形態の例に限られない。多角形状であってもよいし、球状であってもよい。また、本体ケース20の吸入口22や排出管90の形状や、位置は、上記実施形態の例に限られない。例えば、吸入口22の形状は、円状であってもよいし、排出管90は、吸入口22が位置する第1端面20Aとは反対側を向く端面を貫通していてもよい。
【0059】
・上記実施形態において、ブロア40の形状は、上記実施形態の例に限られない。例えば、ファン部60のうち、ファンケース61は、ファン50を収容する収容空間が、高さ方向Tdから視た場合に、円形状であれば、ファンケース61の外形は直方体状であってもよいし、多角形状であってもよい。また例えば、導出管70は、内径が広がるように延びていてもよいし、湾曲していてもよい。
【0060】
・上記実施形態において、第1支持部材121及び第2支持部材122の配置箇所は、上記実施形態の例に限られない。例えば、高さ方向Tdから視た場合に、ファンケース61の周方向において、回転軸RAよりもファン部60と導出管70との接続箇所CP側であればよい。第1支持部材121及び第2支持部材122が導出管70から離れて配置されるほど、これらの支持部材を介して導出管70に振動が伝わることを抑制できる。
【0061】
また、例えば、第1支持部材121及び第2支持部材122は、高さ方向Tdから視た場合に、導出管70を挟み込むように配置されていてもよい。この場合に、高さ方向Tdから視た場合に、第1支持部材121と第2支持部材122との間で引ける仮想線分の全てが、ファン50と交差しない。この変更例のように、第1支持部材121及び第2支持部材122を配置した場合、ファン50の歪み等を好適に抑制できる。
【0062】
さらに、例えば、
図7に示す変更例では、第1支持部材121及び第2支持部材122は、高さ方向Tdから視た場合に、ファン50の径方向の位置が、回転軸RAから遠くなっている。具体的には、
図3に示す実施形態と比べて、ファン50の径方向外側に向かって、第1突起66及び第2突起67の延びる量が大きくなっている。この場合、第1支持部材121と第2支持部材122との間で引ける仮想線分のうち、直線VAと直交する仮想線分において、回転軸RAから最も遠いものを第1仮想線分VL1とし、回転軸RAに最も近いものを第2仮想線分VL2とする。そして、直線VAの延びる方向において、第1仮想線分VL1と第2仮想線分VL2との中央を通る仮想線分を、中間仮想線分VLmとする。すなわち、中間仮想線分VLmは、第1仮想線分VL1と第2仮想線分VL2とから等距離となる中間の仮想線分となっている。
図7に示す例では、中間仮想線分VLmは、高さ方向Tdから視た場合に、ファン50と導出管70とのいずれとも交差していない。そのため、中間仮想線分VLmを境界としてファン部60の振動と導出管70の振動とが、互いに干渉することを抑制できる。
【0063】
・上記実施形態において、第1支持部材121と第2支持部材122との間で引ける仮想線分のうち、すべての仮想線分がファン50と交差してもよい。また、全ての仮想線分がファン50及び導出管70のいずれとも交差しなくてもよい。
【0064】
・上記実施形態において、第3支持部材123の配置箇所は、上記実施形態の例に限られない。例えば、高さ方向Tdから視た場合に、回転軸RAよりもファン部60と導出管70との接続箇所CPとは反対側であればよい。なお、第1支持部材121と第3支持部材との第2距離D2が、第1支持部材121と第2支持部材122との第1距離D1よりも長く、第2支持部材122と第3支持部材123との第3距離D3が、第1支持部材121と第2支持部材122との第1距離D1よりも長いと、ファン部60の全体の振動を抑制するうえで好ましい。ただし、第3支持部材123の配置箇所は、第2距離D2が第1距離D1より短くなるような位置でもよいし、第3距離D3が第1距離D1より短くなるような位置でもよい。またさらに、第3支持部材123の配置箇所は、第2距離D2と第3距離D3とが異なるように配置されていてもよい。
【0065】
また例えば、第3支持部材123の配置箇所は、回転軸RAと接続箇所CPを通る直線VA上に配置されていなくてもよい。この場合も、少なくとも、高さ方向Tdから視た場合に、回転軸RAよりも接続箇所CPとは反対側、すなわち第2領域E2内であればよい。
【0066】
・上記実施形態において、各支持部材は、本体ケース20の底面に固定されているが、本体ケース20への固定箇所は、上記実施形態の例に限られない。例えば、各支持部材は、本体ケース20の側面や蓋面に固定されてもよい。
【0067】
・上記実施形態において、各支持部材の構成は、上記実施形態の例に限られない。例えば、ファン部60は、各突起や各ダンパを備えておらず、ファンケース61を直接ボルトで固定するようにして、本体ケース20に支持してもよい。この場合、ボルトが支持部材として機能する。
【0068】
・上記実施形態において、ブロア40を支持する箇所の数は、4箇所以上であってもよい。例えば、4つ目の支持部材によって、ファン部60を支持してもよい。この場合、4つ目の支持部材は、ファン50の回転軸RA方向から視た場合に、ファン60部と導出管70との接続箇所CP側に配置されると、ファン部60の導出管70側の振動を抑制する点で好ましい。
【0069】
・上記実施形態において、各突起の延び方向は、高さ方向Tdから視た場合に外側に向かって延びる方向に限られず、例えば高さ方向Tdに延びていてもよい。例えば、第1ダンパ111がファン部60の上側に配置されており、第2ダンパ112がファン部60の下側に配置されており、第1支持部材121及び第2支持部材122が各ダンパを支持していてもよい。この場合、第1支持部材121及び第2支持部材122は、ファン部60を高さ方向Tdに挟み込むように配置されている。
【符号の説明】
【0070】
10…CPAP装置
20…本体ケース
40…ブロア
50…ファン
60…ファン部
70…導出管
80…モータ
90…排出管
111…第1ダンパ
112…第2ダンパ
113…第3ダンパ
121…第1支持部材
122…第2支持部材
123…第3支持部材
CP…接続箇所
RA…回転軸
VL…仮想線分