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特許7487778情報処理装置、情報処理方法及び記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/105 20230101AFI20240514BHJP
【FI】
G06Q10/105
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022539906
(86)(22)【出願日】2020-07-30
(86)【国際出願番号】 JP2020029270
(87)【国際公開番号】W WO2022024306
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】北矢 光紀
(72)【発明者】
【氏名】才田 好則
(72)【発明者】
【氏名】大西 洋人
(72)【発明者】
【氏名】徳島 大介
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 恵
(72)【発明者】
【氏名】荒井 観
【審査官】松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0089628(US,A1)
【文献】国際公開第2020/148969(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0217652(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0114593(US,A1)
【文献】米国特許第08001057(US,B1)
【文献】米国特許第07184969(US,B1)
【文献】朱 成敏 外2名,職業情報を用いた業務における意味的要素の発見,一般社団法人人工知能学会 研究会 SWO:セマンティックウェブとオントロジー研究会 SIG-SWO-,日本,一般社団法人人工知能学会,2019年11月22日,pp.05-01~05-06
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のポストにおける職務遂行者の遂行職務に関する遂行職務データ及び前記職務遂行者の条件を示す条件データを取得する取得手段と、
従業員が過去に遂行した過去職務の内容を示す過去職務データ及び前記過去職務を遂行したときの前記従業員の状況を示す状況データを含む経歴データのうち、少なくとも一つの経歴データを、前記遂行職務データとの類似度に基づいて抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出される前記経歴データに含まれる前記状況データに基づいて、前記遂行職務を遂行する前記職務遂行者の条件の典型例として想定される典型条件を生成する生成手段と、
前記条件データが示す条件と前記典型条件とに基づいて、前記遂行職務データが示す前記遂行職務の内容と前記条件データが示す前記職務遂行者の条件との関係の妥当性に関する妥当性情報を出力する出力手段と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記抽出手段は、前記遂行職務データと前記過去職務データとの間の前記類似度を算出する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記条件データが示す条件と前記典型条件とに基づいて、前記妥当性の有無を評価する評価手段を更に備え、
前記妥当性情報は、前記妥当性の有無に関する情報を含む
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記妥当性情報は、前記遂行職務データが示す前記遂行職務の内容及び前記条件データが示す前記職務遂行者の条件の少なくとも一方の改善方針に関する情報を含む
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記出力手段は、前記妥当性情報として、前記条件データが示す条件と前記典型条件とを比較可能な表示態様で、前記条件データが示す条件と前記典型条件とを表示するように出力する
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記典型条件は、前記抽出手段により抽出される前記経歴データである抽出データに含まれる前記状況データが示す状況の平均に基づく条件である
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記典型条件は、前記抽出手段により抽出される前記経歴データであって且つ前記遂行職務データとの類似度が最も大きい前記過去職務データを含む前記経歴データである一の抽出データに含まれる前記状況データが示す状況に基づく条件である
請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータによって実行される情報処理方法であって、
所定のポストにおける職務遂行者の遂行職務に関する遂行職務データ及び前記職務遂行者の条件を示す条件データを取得し、
従業員が過去に遂行した過去職務の内容を示す過去職務データ及び前記過去職務を遂行したときの前記従業員の状況を示す状況データを含む経歴データのうち、少なくとも一つの経歴データを、前記遂行職務データとの類似度に基づいて抽出し、
前記抽出された経歴データに含まれる前記状況データに基づいて、前記遂行職務を遂行する前記職務遂行者の条件の典型例として想定される典型条件を生成し、
前記条件データが示す条件と前記典型条件とに基づいて、前記遂行職務データが示す前記遂行職務の内容と前記条件データが示す前記職務遂行者の条件との関係の妥当性に関する妥当性情報を出力する
情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
所定のポストにおける職務遂行者の遂行職務に関する遂行職務データ及び前記職務遂行者の条件を示す条件データを取得し、
従業員が過去に遂行した過去職務の内容を示す過去職務データ及び前記過去職務を遂行したときの前記従業員の状況を示す状況データを含む経歴データのうち、少なくとも一つの経歴データを、前記遂行職務データとの類似度に基づいて抽出し、
前記抽出された経歴データに含まれる前記状況データに基づいて、前記遂行職務を遂行する前記職務遂行者の条件の典型例として想定される典型条件を生成し、
前記条件データが示す条件と前記典型条件とに基づいて、前記遂行職務データが示す前記遂行職務の内容と前記条件データが示す前記職務遂行者の条件との関係の妥当性に関する妥当性情報を出力する
情報処理方法を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項10】
所定のポストにおける職務遂行者の遂行職務に関する遂行職務データ及び前記職務遂行者の条件を示す条件データを取得する取得手段と、
従業員が過去に遂行した過去職務の内容を示す過去職務データ及び前記過去職務を遂行したときの前記従業員の状況を示す状況データを含む経歴データのうち、前記遂行職務データと類似する前記経歴データに含まれる前記状況データに基づいて、前記遂行職務を遂行する前記職務遂行者の条件の典型例として想定される典型条件を生成する生成手段と、
前記条件データが示す条件と前記典型条件とに基づいて、前記遂行職務データが示す前記遂行職務の内容と前記条件データが示す前記職務遂行者の条件との関係の妥当性に関する妥当性情報を出力する出力手段と
を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、職務記述書の妥当性に関する情報を出力可能な情報処理装置、情報処理方法及び記録媒体の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
企業は、従業員が遂行するべき職務の内容と、当該職務を遂行する従業員の条件(例えば、従業員に要求されるスキル及び従業員が得る報酬の少なくとも一つ)とを定めた職務記述書を作成し、当該職務記述書に基づいて、職務を担当するポストに対して従業員をアサインする(つまり、割り当てる)ことが多い。
【0003】
尚、本開示に関連する先行技術文献として、特許文献1から6があげられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2002/073488号パンフレット
【文献】特表2004-503877号公報
【文献】特開2001-290922号公報
【文献】特開2019-061606号公報
【文献】特表2018-501597号公報
【文献】特開2005-115656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、企業が作成する職務記述書が、常に妥当であるとは限らない。例えば、職務記述書が定めている職務を遂行するために通常必要であると想定される従業員の条件のレベルと比較して、職務記述書が定めている従業員の条件のレベルが高すぎる又は低すぎる可能性がある。例えば、職務記述書が定めている条件を満たした従業員が通常遂行可能であると想定される職務のレベルと比較して、職務記述書が定めている職務のレベルが高すぎる又は低すぎる可能性がある。
【0006】
このように企業が作成する職務記述書が常に妥当であるとは限らないことを考慮すれば、職務記述書の妥当性に関する情報を、職務記述書の作成者(例えば、上述した企業)に対して提供することで、職務定義書の妥当性を高める対策を導入することが望まれる。
【0007】
本開示は、上述した技術的問題を解決可能な情報処理装置、情報処理方法及び記録媒体を提供することを課題とする。一例として、本開示は、職務記述書の妥当性に関する情報を提供することが可能な情報処理装置、情報処理方法及び記録媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の情報処理装置の第1の態様は、所定のポストにおける職務遂行者の遂行職務に関する遂行職務データ及び前記職務遂行者の条件を示す条件データを取得する取得手段と、従業員が過去に遂行した過去職務の内容を示す過去職務データ及び前記過去職務を遂行したときの前記従業員の状況を示す状況データを含む経歴データのうち、少なくとも一つの経歴データを、前記遂行職務データとの類似度に基づいて抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出される前記経歴データに含まれる前記状況データに基づいて、前記遂行職務を遂行する前記職務遂行者の条件の典型例として想定される典型条件を生成する生成手段と、前記条件データが示す条件と前記典型条件とに基づいて、前記遂行職務データが示す前記遂行職務の内容と前記条件データが示す前記職務遂行者の条件との関係の妥当性に関する妥当性情報を出力する出力手段とを備える。
【0009】
本開示の情報処理装置の第2の態様は、所定のポストにおける職務遂行者の遂行職務に関する遂行職務データ及び前記職務遂行者の条件を示す条件データを取得する取得手段と、従業員が過去に遂行した過去職務の内容を示す過去職務データ及び前記過去職務を遂行したときの前記従業員の状況を示す状況データを含む経歴データのうち、前記遂行職務データと類似する前記経歴データに含まれる前記状況データに基づいて、前記遂行職務を遂行する前記職務遂行者候補者の条件の典型例として想定される典型条件を生成する生成手段と、前記条件データが示す条件と前記典型条件とに基づいて、前記遂行職務データが示す前記遂行職務の内容と前記条件データが示す前記職務遂行者候補者の条件との関係の妥当性に関する妥当性情報を出力する出力手段とを備える。
【0010】
本開示の情報処理方法の一態様は、所定のポストにおける職務遂行者の遂行職務に関する遂行職務データ及び前記職務遂行者の条件を示す条件データを取得し、従業員が過去に遂行した過去職務の内容を示す過去職務データ及び前記過去職務を遂行したときの前記従業員の状況を示す状況データを含む経歴データのうち、少なくとも一つの経歴データを、前記遂行職務データとの類似度に基づいて抽出し、前記抽出された経歴データに含まれる前記状況データに基づいて、前記遂行職務を遂行する前記職務遂行者の条件の典型例として想定される典型条件を生成し、前記条件データが示す条件と前記典型条件とに基づいて、前記遂行職務データが示す前記遂行職務の内容と前記条件データが示す前記職務遂行者の条件との関係の妥当性に関する妥当性情報を出力する。
【0011】
本開示の記録媒体の一態様は、コンピュータに、所定のポストにおける職務遂行者の遂行職務に関する遂行職務データ及び前記職務遂行者の条件を示す条件データを取得し、従業員が過去に遂行した過去職務の内容を示す過去職務データ及び前記過去職務を遂行したときの前記従業員の状況を示す状況データを含む経歴データのうち、少なくとも一つの経歴データを、前記遂行職務データとの類似度に基づいて抽出し、前記抽出された経歴データに含まれる前記状況データに基づいて、前記遂行職務を遂行する前記職務遂行者の条件の典型例として想定される典型条件を生成し、前記条件データが示す条件と前記典型条件とに基づいて、前記遂行職務データが示す前記遂行職務の内容と前記条件データが示す前記職務遂行者の条件との関係の妥当性に関する妥当性情報を出力する情報処理方法を実行させるコンピュータプログラムが記録された記録媒体である。
【発明の効果】
【0012】
本開示により、職務記述書が妥当であるかを容易に把握することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態の情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、経歴データのデータ構造の一例を示すデータ構造図である。
図3図3は、情報処理装置が行う評価動作の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、職務記述書データのデータ構造の一例を示すデータ構造図である。
図5図5(a)から図5(b)の夫々は、典型条件と職務遂行者選定条件との関係を、条件を表す項目の種類ごとに区別して示すグラフである。
図6図6は、職務記述書の改善方針を表示するためのGUIを示す平面図である。
図7図7は、遂行職務と比較的似ている過去職務を遂行した従業員の状況(図7に示す例では、報酬)の一覧を表示するためのGUIを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、情報処理装置、情報処理方法及び記録媒体の実施形態について説明する。以下では、情報処理装置、情報処理方法及び記録媒体の実施形態が適用された情報処理装置1について説明する。
【0015】
情報処理装置1は、職務記述書の妥当性を評価するための評価動作を行う。職務記述書は、例えば、所定のポスト(また特定の業務)にアサインされる職務遂行者に要求される職務内容と、当該所定のポスト(又は業務)にアサインされるための条件(例えば、職務遂行能力に関する条件)とを定めた文書である。職務記述書は、上述の内容を含んでいれば、呼び方はとくに限定されず、例えば「職務定義書」と呼ばれてもよい。このような職務記述書は、例えば、企業や各種の事業体によって生成されてもよい。具体的には、職務記述書は、例えば、企業を構成する内部組織(例えば、人事部、研究開発部、知的財産部、経理部、調達部等)によって生成される。情報処理装置1は、職務記述書の作成者である企業(或いは、企業内の内部組織)が保有していてもよい。情報処理装置1は、職務記述書の作成者である企業によって使用されてもよい。或いは、情報処理装置1は、いわゆるクラウドサービスとして、職務記述書の作成者である企業によって使用されてもよい。この場合、企業は、必ずしも情報処理装置1を保有していなくてもよい。但し、後に詳述するように、情報処理装置1は、職務記述書の作成者とは異なる主体によって保有及び/又は使用されてもよい。
【0016】
(1)情報処理装置1の構成
はじめに、図1を参照しながら、本実施形態の情報処理装置1の構成について説明する。図1は、情報処理装置1の構成を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すように、情報処理装置1は、記憶装置11と、演算装置12とを備えている。更に、情報処理装置1は、入力装置13と、出力装置14とを備えていてもよい。但し、情報処理装置1は、入力装置13及び出力装置14の少なくとも一方を備えていなくてもよい。記憶装置11と、演算装置12と、入力装置13と、出力装置14とは、データバス15を介して接続されていてもよい。
【0018】
記憶装置11は、所望のデータを記憶可能である。例えば、記憶装置11は、演算装置12が実行するコンピュータプログラムを一時的に記憶していてもよい。記憶装置11は、演算装置12がコンピュータプログラムを実行している際に演算装置12が一時的に使用するデータを一時的に記憶してもよい。記憶装置11は、情報処理装置1が長期的に保存するデータを記憶してもよい。尚、記憶装置11は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスク装置、光磁気ディスク装置、SSD(Solid State Drive)及びディスクアレイ装置のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。つまり、記憶装置11は、一時的でない記録媒体を含んでいてもよい。
【0019】
本実施形態では、記憶装置11は、評価動作を行うために情報処理装置1が利用するデータを記録する。図1には、評価動作を行うために情報処理装置1が利用するデータの一例として、経歴DB(Database:データベース)111が記載されている。つまり、図1は、記憶装置11が経歴DB111を記憶する例を示している。
【0020】
経歴DB111は、複数の経歴データ1110を格納する。複数の経歴データ1110は、夫々、複数の異なる従業員の経歴に関するデータを含む。つまり、各経歴データ1110は、各経歴データ1110に対応する従業員の経歴に関するデータを含む。言い換えれば、経歴DB111は、従業員の経歴に関する経歴データ1110を格納している。
【0021】
経歴DB111は、情報処理装置1を使用する企業(以降、“ユーザ企業”と称する)によって現在雇用されている従業員の経歴に関する経歴データ1110を含んでいてもよい。経歴DB111は、ユーザ企業によって過去に雇用されていた従業員の経歴に関する経歴データ1110を含んでいてもよい。但し、経歴DB111は、ユーザ企業によって現在雇用されている又は過去に雇用されていた従業員とは異なる人物の経歴に関する経歴データ1110を含んでいてもよい。例えば、経歴DB111は、ユーザ企業とは異なる他の企業によって現在雇用されている又は過去に雇用されていた従業員の経歴に関する経歴データ1110を含んでいてもよい。例えば、経歴DB111は、ユーザ企業(或いは、他の企業)によって雇用されてない個人事業主の経歴に関する経歴データ1110を含んでいてもよい。以下の説明では、従業員は、企業と雇用契約を結んでいる労働者のみならず、企業と雇用契約を結んでいない労働者(例えば、個人事業主など、ユーザ企業と業務委託契約を結ぶ者)をも含むものとする。
【0022】
経歴データ1110のデータ構造の一例が、図2に示されている。図2に示すように、経歴データ1110は、過去職務データ1111と、状況データ1112とを含んでいてもよい。
【0023】
過去職務データ1111は、従業員が過去に遂行した職務(以降、“過去職務”と称する)に関するデータである。例えば、過去職務データ1111は、過去職務の内容をテキストで示すテキストデータであってもよい。図2に示す例では、過去職務データ1111は、「過去職務が、コンビニエンスストア向けの在庫管理システムの企画開発を担当する職務であり、新規店舗形態向けのサービス型受発注システムの製品化をリーダーとして担当する職務である」ことを示している。
【0024】
過去職務の内容は、従業員が過去職務で出した成果(つまり、従業員の実績又は業績)を含んでいてもよい。つまり、過去職務データ1111は、過去職務の内容を示すデータの少なくとも一部として、従業員が過去職務で出した成果を示すデータを含んでいてもよい。例えば、図2に示す例では、過去職務データ1111は、「従業員が過去職務で出した成果が、10件の顧客に対してサービス型受発注システムを導入し、その結果として、10億円の年間売り上げをもたらしたという成果である」ことを示している。
【0025】
状況データ1112は、過去職務を従業員が遂行したときの従業員の状況を示すデータである。ここでいう従業員の状況とは、従業員の人事上の状況(ステータス)を示す。図2に示すように、状況データ1112は、従業員の状況の一例として、過去職務を遂行したときの従業員の立場(例えば、地位、職位又は階級)を示していてもよい。状況データ1112は、従業員の状況の一例として、過去職務を遂行したときに従業員が保有していた資格を示していてもよい。状況データ1112が示す資格は、例えば、国家資格、公的資格、民間資格及び国際資格のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。状況データ1112は、従業員の状況の一例として、過去職務を遂行したときに従業員が有していたスキルを示していてもよい。状況データ1112が示すスキルは、例えば、マネジメントスキル、技術スキル、ITスキル、営業スキル及びコミュニケーションスキルのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。状況データ1112は、従業員の状況の一例として、過去職務を遂行したときに従業員に支払われた報酬(例えば、年収等)を示していてもよい。また、状況データ1112は、当該従業員の上司や同僚からの評価コメント(図2に不図示)を含んでもよい。尚、状況データ1112は、妥当性情報の出力に関連しうるその他の状況を示していてもよい。
【0026】
状況データ1112は、従業員の状況を数値で示すデータであってもよい。例えば、状況データ1112は、従業員の立場を、立場の違いに応じて定まる数値(例えば、地位又は職位のレベルが高くなるほど大きくなる数値)で示すデータであってもよい。例えば、状況データ1112は、従業員の資格を、資格の違いに応じて定まる数値(例えば、資格のレベルが高くなるほど及び/又は資格の数が多くなるほど大きくなる数値)で示すデータであってもよい。例えば、状況データ1112は、従業員のスキルを、スキルの違いに応じて定まる数値(例えば、スキルのレベルが高くなるほど大きくなる数値)で示すデータであってもよい。例えば、状況データ1112は、従業員の報酬を、報酬の違いに応じて定まる数値(例えば、報酬が高くなるほど大きくなる数値)で示すデータであってもよい。
【0027】
従業員が過去に複数の異なる過去職務を遂行した場合には、経歴データ1110は、複数の異なる過去職務の内容を夫々示す複数の過去職務データ1111を含んでいてもよい。更に、経歴データ1110は、複数の過去職務データ1111に夫々対応する複数の状況データ1112を含んでいてもよい。各状況データ1112は、各状況データ1112に対応する一の過去職務データ1111が示す過去職務を遂行したときの従業員の状況を示す。例えば、経歴データ1110は、第1の時期に従業員が遂行した第1の過去職務の内容を示す第1の過去職務データ1111と、第2の時期に従業員が遂行した第2の過去職務の内容を示す第2の過去職務データ1111と、第1の過去職務を遂行した第1の時期における従業員の状況を示す第1の状況データ1112と、第2の過去職務を遂行した第2の時期における従業員の状況を示す第2の状況データ1112とを含んでいてもよい。
【0028】
再び図1において、演算装置12は、例えば、CPU(Central Proecssing Unit)を含む。演算装置12は、コンピュータプログラムを読み込む。例えば、演算装置12は、記憶装置11が記憶しているコンピュータプログラムを読み込んでもよい。例えば、演算装置12は、コンピュータで読み取り可能であって且つ一時的でない記録媒体が記憶しているコンピュータプログラムを、図示しない記録媒体読み取り装置を用いて読み込んでもよい。演算装置12は、不図示の通信装置を介して、情報処理装置1の外部に配置される不図示の装置からコンピュータプログラムを取得してもよい(つまり、ダウンロードしてもよい又は読み込んでもよい)。演算装置12は、読み込んだコンピュータプログラムを実行する。その結果、演算装置12内には、情報処理装置1が行うべき動作(例えば、上述した評価動作)を実行するための論理的な機能ブロックが実現される。つまり、演算装置12は、情報処理装置1が行うべき動作を実行するための論理的な機能ブロックを実現するためのコントローラとして機能可能である。
【0029】
図1には、評価動作を実行するために演算装置12内に実現される論理的な機能ブロックの一例が示されている。図1に示すように、演算装置12内には、「取得手段」の一具体例であるデータ取得部121と、「抽出手段」の一具体例である判定部122と、「生成手段」の一具体例である条件生成部123と、「出力手段」及び「評価手段」の夫々の一具体例である妥当性評価部124とが実現される。尚、データ取得部121、判定部122、条件生成部123及び妥当性評価部124の動作の詳細については、後に図3等を参照しながら詳述する。
【0030】
入力装置13は、情報処理装置1の外部からの情報処理装置1に対する情報の入力を受け付ける装置である。例えば、入力装置13は、情報処理装置1のユーザが操作可能な操作装置(例えば、キーボード、マウス及びタッチパネルのうちの少なくとも一つ)を含んでいてもよい。例えば、入力装置13は、情報処理装置1の外部から通信ネットワークを介して情報処理装置1にデータとして送信される情報を受信可能な受信装置を含んでいてもよい。
【0031】
出力装置14は、情報を出力する装置である。例えば、出力装置14は、情報処理装置1が行う評価動作に関する情報を出力してもよい。例えば、出力装置14は、情報処理装置1が行う評価動作によって評価される職務記述書の妥当性に関する情報を出力してもよい。このような出力装置14の一例として、情報を画像として出力可能な(つまり、表示可能な)ディスプレイ(表示装置)があげられる。出力装置14の一例として、情報を音声として出力可能なスピーカ(音声出力装置)があげられる。出力装置14の一例として、情報が印刷された文書を出力可能なプリンタがあげられる。出力装置14の一例として、通信ネットワーク又はデータバスを介して情報をデータとして送信可能な送信装置があげられる。
【0032】
(2)情報処理装置1が行う処理動作
続いて、図3を参照しながら、情報処理装置1が行う処理動作(つまり、上述した評価動作)について説明する。図3は、情報処理装置1が行う処理動作の流れを示すフローチャートである。
【0033】
図3に示すように、データ取得部121は、職務記述書データ1120を取得する(ステップS10)。例えば、データ取得部121は、入力装置13を介して、情報処理装置1の外部から職務記述書データ1120を取得してもよい。例えば、職務記述書データ1120が記憶装置11によって記憶されている場合には、データ取得部121は、記憶装置11から職務記述書データ1120を取得してもよい(つまり、読み出してもよい)。
【0034】
職務記述書データ1120は、職務記述書を情報処理装置1が処理可能な形式で表すデータである。上述したように、職務記述書は、例えば、所定のポストにアサインされる職務遂行者が遂行するべき職務(以降、“遂行職務”と称する)の内容に関する情報と、遂行職務を遂行する職務遂行者の条件に関する情報とを含む文書である。このため、職務記述書データ1120の一例を示す図4に示すように、職務記述書データ1120は、遂行職務データ1121と、条件データ1122とを含んでいてもよい。
【0035】
遂行職務データ1121は、所定のポストにおける職務遂行者の遂行職務に関するデータである。典型的には、遂行職務データ1121は、職務遂行者が遂行するべき遂行職務の内容を示すデータであってもよい。例えば、遂行職務データ1121は、遂行職務の内容をテキストで示すテキストデータであってもよい。図4に示す例では、遂行職務データ1121は、「遂行職務が、小売業向けの新規ICT(Information Communiation Techology)サービスの企画開発を担当する職務であり、新規ICTサービスの企画推進及び企画実現を、組織運営及び事業運営に関わるリーダーとして担当する職務であり、小売業の業務知識及び顧客とのコネクションを生かしてビジネスプランを作成し且つ事業の立ち上げを行う職務である」ことを示している。
【0036】
遂行職務の内容は、職務遂行者が遂行職務で出すことが期待される成果(つまり、実績又は業績)を含んでいてもよい。つまり、遂行職務データ1121は、遂行職務の内容を示すデータの少なくとも一部として、職務遂行者が遂行職務で出すことが期待される成果を示すデータを含んでいてもよい。
【0037】
条件データ1122は、遂行職務を遂行する職務遂行者に要求される条件を示すデータである。図3に示すように、条件データ1122は、職務遂行者の条件の一例として、職務遂行者に要求される立場(例えば、地位、職位又は階級)を示していてもよい。条件データ1122は、職務遂行者の条件の一例として、職務遂行者に要求される資格を示していてもよい。条件データ1122が示す資格は、例えば、国家資格、公的資格、民間資格及び国際資格のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。条件データ1122は、職務遂行者の条件の一例として、職務遂行者に要求されるスキルを示していてもよい。条件データ1122が示すスキルは、例えば、マネジメントスキル、技術スキル、ITスキル、営業スキル及びコミュニケーションスキルのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。条件データ1122は、職務遂行者の条件の一例として、職務遂行者に支払われる報酬(例えば、年収等)を示していてもよい。尚、条件データ1122は、妥当性情報の出力に関連しうるその他の条件を示していてもよい。
【0038】
図2及び図4に示すように、条件データ1122が示す職務遂行者の条件を表す項目の種類は、上述した状況データ1112が示す従業員の状況を表す項目の種類と同一であってもよい。図2及び図4に示す例では、状況データ1112は、立場、資格スキル及び報酬を含む四種類の項目を、従業員の状況として示しており、条件データ1122は、立場、資格スキル及び報酬を含む同じ四種類の項目を、職務遂行者の条件として示している。但し、条件データ1122が示す職務遂行者の条件を表す項目の種類は、上述した状況データ1112が示す従業員の状況を表す項目の種類と、少なくとも部分的に異なっていてもよい。つまり、条件データ1122は、状況データ1112が示す従業員の状況を表す項目とは異なる種類の項目で表される職務遂行者の条件を示していてもよい。状況データ1112は、条件データ1122が示す職務遂行者の条件を表す項目とは異なる種類の項目で表される従業員の状況を示していてもよい。
【0039】
条件データ1122は、職務遂行者の条件を数値で示すデータであってもよい。例えば、条件データ1122は、職務遂行者の立場を、立場の違いに応じて定まる数値(例えば、地位又は職位のレベルが高くなるほど大きくなる数値)で示すデータであってもよい。例えば、条件データ1122は、職務遂行者の資格を、資格の違いに応じて定まる数値(例えば、資格のレベルが高くなるほど及び/又は資格の数が多くなるほど大きくなる数値)で示すデータであってもよい。例えば、条件データ1122は、職務遂行者のスキルを、スキルの違いに応じて定まる数値(例えば、スキルのレベルが高くなるほど大きくなる数値)で示すデータであってもよい。例えば、条件データ1122は、職務遂行者の報酬を、報酬の違いに応じて定まる数値(例えば、報酬が高くなるほど大きくなる数値)で示すデータであってもよい。
【0040】
再び図3において、その後、判定部122は、経歴DB111に格納されている複数の経歴データ1110の中から、一の経歴データ1110を選択する(ステップS11)。その後、判定部122は、ステップS11において選択された一の経歴データ1110に含まれる過去職務データ1111と、ステップS10において取得された職務記述書データ1120に含まれる遂行職務データ1121との類似度Sを算出する(ステップS12)。
【0041】
上述したように、過去職務データ1111は、過去職務の内容をテキストで示すテキストデータであってもよく、且つ、遂行職務データ1121は、遂行職務の内容をテキストで示すテキストデータであってもよい。この場合、判定部122は、自然言語処理を用いて、類似度Sを算出してもよい。
【0042】
一例として、例えば、判定部122は、過去職務データ1111に対して形態素解析及び構文解析の少なくとも一方を含む自然言語処理を行うことで、過去職務の内容を示すテキストを、単語(或いは、形態素)の単位で細分化してもよい。同様に、例えば、判定部122は、遂行職務データ1121に対して形態素解析及び構文解析の少なくとも一方を含む自然言語処理を行うことで、遂行職務の内容を示すテキストを、単語(或いは、形態素)の単位で細分化してもよい。その後、判定部122は、ベクトル化された多数の単語のリストから構成される単語ベクトル空間を用いて、過去職務の内容を示すテキストを構成する単語の列と、遂行職務の内容を示すテキストを構成する単語の列との間の距離(つまり、単語ベクトル空間内での距離)を算出してもよい。その後、判定部122は、算出した距離に基づいて、類似度Sを算出してもよい。具体的には、算出した距離が短くなればなるほど、過去職務の内容を示すテキストを構成する単語の列と、遂行職務の内容を示すテキストを構成する単語の列とが似ていると想定される。つまり、過去職務の内容と、遂行職務の内容とが似ていると想定される。言い換えれば、過去職務データ1111と、遂行職務データ1121とが似ていると想定される。このため、判定部122は、算出した距離が短くなればなるほど類似度Sが大きくなるように、類似度Sを算出してもよい。
【0043】
尚、単語ベクトル空間は、情報処理装置1が評価動作を開始する前に、情報処理装置1又は情報処理装置1とは異なる他の情報処理装置によって予め生成されていてもよい。例えば、情報処理装置1(或いは、他の情報処理装置、以下この段落において同じ)は、任意の人物の経歴に関するデータに対して、単語をベクトル化するための自然言語処理を施すことで、単語ベクトル空間(言い換えれば、ベクトル空間モデル)を生成してもよい。単語をベクトル化するための自然言語処理の一例として、例えば、Word2vecに基づく自然言語処理があげられる。また、単語ベクトル空間を生成するための自然言語処理が施されるデータは、経歴DB111に格納されている複数の経歴データ1110の少なくとも一部を含んでいてもよい。単語ベクトル空間を生成するための自然言語処理が施されるデータは、経歴DB111に格納されていない(例えば、情報処理装置1の外部の装置に格納されている)経歴データ1110を含んでいてもよい。経歴DB111に格納されていない経歴データ1110は、ユーザ企業とは異なる他の企業によって現在雇用されている又は過去に雇用されていた従業員の経歴に関するデータを含んでいてもよい。経歴DB111に格納されていない経歴データ1110は、ユーザ企業(或いは、他の企業)よって雇用されてない個人事業主の経歴に関するデータを含んでいてもよい。
【0044】
他の一例として、判定部122は、過去職務の内容を示すテキストを構成する単語と、遂行職務の内容を示すテキストを構成する単語との一致度を算出してもよい。例えば、判定部122は、過去職務の内容を示すテキストを構成する複数の単語のうち、遂行職務の内容を示すテキストを構成する単語と一致する単語の数を、一致度として算出してもよい。その後、判定部122は、算出した一致度に基づいて、類似度Sを算出してもよい。具体的には、算出した一致度が大きくなればなるほど、過去職務の内容を示すテキストを構成する単語と、遂行職務の内容を示すテキストを構成する単語とが似ていると想定される。つまり、過去職務の内容と、遂行職務の内容とが似ていると想定される。言い換えれば、過去職務データ1111と、遂行職務データ1121とが似ていると想定される。このため、判定部122は、算出した一致度が大きくなればなるほど類似度Sが大きくなるように、類似度Sを算出してもよい。或いは、算出した一致度が、そのまま類似度Sとして用いられてもよい。
【0045】
その後、判定部122は、ステップS12で算出した類似度Sに基づいて、遂行職務データ1121と類似する過去職務データ1111を含む経歴データ1110を抽出する。その一動作例として、判定部122は、ステップS12で算出した類似度Sが、所定閾値THよりも大きいか否かを判定する(ステップS13)。
【0046】
ステップS13における判定の結果、類似度Sが所定閾値THよりも大きいと判定された場合には(ステップS13:Yes)、判定部122は、ステップS11において選択された経歴データ1110を、職務記述書データ1120の妥当性(つまり、職務記述書データ1120が示す職務記述書の妥当性)を評価するために用いるデータとして抽出する(ステップS14)。尚、以下の説明では、ステップS14において抽出された経歴データ1110を、“抽出データ1113”と称することで、ステップS14において抽出されなかった経歴データ1110と区別する。
【0047】
他方で、ステップS13における判定の結果、類似度Sが所定閾値THよりも小さいと判定された場合には(ステップS13:No)、判定部122は、ステップS11において選択された経歴データ1110を、職務記述書データ1120の妥当性を評価するために用いるデータとして抽出しなくてもよい。尚、ステップS13において、類似度Sが所定閾値THと同じであると判定された場合には、判定部122は、ステップS11において選択された経歴データ1110を、職務記述書データ1120の妥当性を評価するために用いるデータとして抽出してもよいし、抽出しなくてもよい。
【0048】
判定部122は、経歴データに含まれる項目のうち、特定の項目に重み付けをして、類似度Sを算出してもよい。例えば、判定部122は、保有資格に重み付けをして類似度Sを算出してもよい。これにより、判定部122は、特定の項目において遂行職務データ1121とより類似する過去職務データ1111を含む経歴データ1110を抽出データ1113として抽出することができるので、妥当性判定の精度を向上させることができる。尚、重み付けする項目は、ユーザが適宜設定可能であってもよいし、予め設定されていてもよい。
【0049】
所定閾値THは、職務記述書データ1120の妥当性を評価するために抽出するべき経歴データ1110と、職務記述書データ1120の妥当性を評価するために抽出しなくてもよい経歴データ1110とを、経歴データ1110と職務記述書データ1120との間の類似度Sから区別可能となる適切な値に設定される。例えば、所定閾値THは、職務記述書データ1120の遂行職務データ1121に比較的に似ている過去職務データ1111を含むがゆえに職務記述書データ1120の妥当性を評価するために抽出することが望ましい経歴データ1110と、職務記述書データ1120の遂行職務データ1121にあまり似ていない過去職務データ1111を含むがゆえに職務記述書データ1120の妥当性を評価するために抽出しなくてもよい経歴データ1110とを、類似度Sから区別可能となる適切な値に設定される。
【0050】
判定部122は、以上説明したステップS11からステップS14までの動作を、経歴DB111に格納されている複数の経歴データ1110を対象に繰り返す(ステップS15)。つまり、判定部122は、経歴DB111に格納されている複数の経歴データ1110の全ての類似度Sが算出されるまで、経歴DB111に格納されている複数の経歴データ1110のうち類似度Sが未だ算出されていない一の経歴データ1110を新たに選択し(ステップS11)、新たに選択された一の経歴データ1110を、職務記述書データ1120の妥当性を評価するために抽出するか否かを判定する(ステップS12からステップS14)動作を繰り返す。但し、判定部122は、経歴DB111に格納されている複数の経歴データ1110のうちの一部の類似度Sが算出された時点で、ステップS11からステップS15までの動作を終了してもよい。
【0051】
その後、条件生成部123は、ステップS14において抽出された少なくとも一つの抽出データ1113を用いて、遂行職務を遂行する職務遂行者の条件の典型例として想定される典型条件を生成する(ステップS16)。つまり、条件生成部123は、ステップS14において抽出された少なくとも一つの抽出データ1113を用いて、遂行職務を遂行する職務遂行者の候補者たる人物の条件の典型例として想定される典型条件を生成する(ステップS16)。具体的には、抽出データ1113は、遂行職務データ1121と比較的似ている過去職務データ1111を含んでいる。つまり、抽出データ1113は、遂行職務データ1121が示す遂行職務と比較的似ている過去職務を示す過去職務データ1111を含んでいる。このため、抽出データ1113が含む状況データ1112は、遂行職務と比較的似ている過去職務を実際に遂行した従業員の状況を示している。この場合、抽出データ1113が含む状況データ1112は、過去職務と比較的似ている遂行職務を遂行する職務遂行者の条件の典型例に関する情報を含んでいると言える。このため、条件生成部123は、ステップS14において抽出された少なくとも一つの抽出データ1113に含まれる状況データ1112を用いて、典型条件を生成する。
【0052】
一例として、条件生成部123は、抽出データ1113に含まれる状況データ1112を平均化することで、典型条件を生成してもよい。具体的には、条件生成部123は、抽出データ1113に含まれる状況データ1112を平均化することで、過去職務を遂行した従業員の平均的な状況を算出し、算出した従業員の平均的な状況に基づいて典型条件を生成してもよい。この場合、典型条件は、算出した従業員の平均的な状況に基づく条件となる。算出された従業員の平均的な状況は、過去職務と比較的似ている遂行職務を遂行する職務遂行者の条件の典型例に相当する。このため、条件生成部123は、算出された従業員の平均的な状況を、典型条件に設定してもよい。この場合、条件生成部123は、典型条件を適切に生成することができる。
【0053】
この場合、条件生成部123は、抽出データ1113に含まれる状況データ1112を、従業員の状況を表す項目の種類ごとに平均化することで、従業員が過去職務を遂行したときの従業員の平均的な状況を算出してもよい。例えば、条件生成部123は、従業員が過去職務を遂行したときの従業員の平均的な立場を算出し、算出された従業員の平均的な立場を、職務遂行者に要求される立場の典型例(つまり、立場に関する典型条件)に設定してもよい。例えば、条件生成部123は、従業員が過去職務を遂行したときの従業員の平均的な資格を算出し、算出された従業員の平均的な資格を、職務遂行者に要求される資格の典型例(つまり、資格に関する典型条件)に設定してもよい。また、例えば、条件生成部123は、従業員が過去職務を遂行したときに特定の資格を従業員が保有していた割合(例えば、過去職務を遂行した従業員の総数に対する、過去職務を遂行し且つ特定の資格を保有していた従業員の数の割合であり、保有率と称する)を算出し、当該保有率が閾値(例えば50%)以上の場合に、当該特定の資格の保有を必須条件とする典型条件を生成してもよい。例えば、条件生成部123は、従業員が過去職務を遂行したときの従業員の平均的なスキルを算出し、算出された従業員の平均的なスキルを、職務遂行者に要求されるスキルの典型例(つまり、スキルに関する典型条件)に設定してもよい。例えば、条件生成部123は、従業員が過去職務を遂行したときの従業員の平均的な報酬を算出し、算出された従業員の平均的な報酬を、職務遂行者に支払われる報酬の典型例(つまり、報酬に関する典型条件)に設定してもよい。
【0054】
尚、抽出データ1113(つまり、経歴データ1110)は、従業員の状況を数値で示すデータであってもよいことは、上述したとおりである。このため、条件生成部123は、抽出データ1113に含まれる状況データ1112を平均化することが可能である。条件生成部123は、抽出データ1113に含まれる状況データ1112を平均化することで、過去職務を遂行した従業員の平均的な状況を算出することが可能である。但し、抽出データ1113が従業員の状況を数値で示すデータでない場合であっても、条件生成部123は、状況データ1112に対して、従業員の平均的な状況を算出するための所定の演算を施すことで、従業員の平均的な状況を生成してもよい
或いは、条件生成部123は、遂行職務データ1121との類似度Sが最も大きい過去職務データ1111を含む一の抽出データ1113を特定し、特定した一の抽出データ1113に含まれる状況データ1112が示す従業員の状況に基づいて、典型条件を生成してもよい。例えば、条件生成部123は、特定した一の抽出データ1113に含まれる状況データ1112が示す従業員の状況を、典型条件に設定してもよい。この場合、典型条件は、特定した一の抽出データ1113に含まれる状況データ1112が示す従業員の状況に基づく条件となる。特定された一の抽出データ1113は、遂行職務に最も似ている過去職務を従業員が遂行したときの従業員の状況を示している。このため、特定した一の抽出データ1113に含まれる状況データ1112が示す従業員の状況は、過去職務と比較的似ている遂行職務を遂行する職務遂行者の条件の典型例である。この場合も、条件生成部123は、典型条件を適切に生成することができる。
【0055】
その後、妥当性評価部124は、ステップS16において生成された典型条件と、ステップS10において取得された職務記述書データ1120に含まれる条件データ1122とに基づいて、職務記述書データ1120の妥当性(つまり、職務記述書データ1120が示す職務記述書の妥当性)を評価する(ステップS17)。
【0056】
例えば、妥当性評価部124は、典型条件と条件データ1122が示す職務遂行者の条件とを比較することで、職務記述書データ1120の妥当性の有無を評価してもよい。職務記述書データ1120の妥当性は、職務記述書データ1120に含まれる遂行職務データ1121が示す遂行職務の内容と、職務記述書データ1120に含まれる条件データ1122が示す条件との関係に関する妥当性を含んでいてもよい。尚、条件データ1122が示す職務遂行者の条件は、主として、遂行職務を遂行する職務遂行者を選定するために用いられる。このため、以下の説明では、説明の便宜上、条件データ1122が示す職務遂行者の条件を、適宜“職務遂行者選定条件”と称する。
【0057】
具体的には、図5(a)は、差がない又は比較的小さい典型条件と職務遂行者選定条件との関係を、条件を表す項目の種類ごとに区別して示すグラフ(この場合、レーダーチャート)である。図5(a)に示すように、典型条件と職務遂行者選定条件との間の差がない又は比較的小さい場合には、条件データ1122は、職務遂行者の条件の典型例として通常想定される典型条件と概ね同じ職務遂行者選定条件を示している。つまり、条件データ1122は、遂行職務と比較的似ている過去職務を実際に遂行した従業員の条件と概ね同じ職務遂行者選定条件を示している。従って、条件データ1122が示す職務遂行者選定条件は、遂行職務を遂行する職務遂行者の条件として妥当である可能性が高い。逆に言えば、遂行職務データ1121が示す遂行職務は、職務遂行者選定条件を満たした職務遂行者が遂行するべき職務として妥当である可能性が高い。つまり、遂行職務データ1121が示す遂行職務の内容と条件データ1122が示す条件との関係が妥当である可能性が高い。
【0058】
一方で、図5(b)及び図5(c)の夫々は、差が比較的大きい典型条件と職務遂行者選定条件との関係を、条件を表す項目の種類ごとに区別して示すグラフ(この場合、レーダーチャート)である。図5(b)及び図5(c)に示すように、典型条件と職務遂行者選定条件との間の差が比較的大きい場合には、条件データ1122は、職務遂行者の条件の典型例として通常想定される典型条件から比較的大きく乖離した職務遂行者選定条件を示している。つまり、条件データ1122は、遂行職務と比較的似ている過去職務を実際に遂行した従業員の条件から比較的大きく乖離した職務遂行者選定条件を示している。従って、条件データ1122が示す職務遂行者選定条件は、遂行職務を遂行する職務遂行者の条件として妥当でない可能性が高い。具体的には、図5(b)は、職務遂行者選定条件を満たす職務遂行者のレベルが、典型条件を満たす職務遂行者のレベルと比較して必要以上に高い例を示している。この場合、条件データ1122が示す職務遂行者選定条件のレベルは、遂行職務を遂行する職務遂行者の条件のレベルとしては必要以上に高い可能性がある。逆に言えば、遂行職務データ1121が示す遂行職務は、職務遂行者選定条件を満たした職務遂行者にとって遂行する難易度が必要以上に低すぎる可能性がある。同様に、図5(c)は、職務遂行者選定条件を満たす職務遂行者のレベルが、典型条件を満たす職務遂行者のレベルと比較して必要以上に低い例を示している。この場合、条件データ1122が示す職務遂行者選定条件のレベルは、遂行職務を遂行する職務遂行者の条件のレベルとしては必要以上に低い可能性がある。逆に言えば、遂行職務データ1121が示す遂行職務は、職務遂行者選定条件を満たした職務遂行者にとって遂行する難易度が必要以上に高すぎる可能性がある。
【0059】
このように、典型条件と職務遂行者選定条件との間の差が比較的大きい場合には、遂行職務及び職務遂行者選定条件の少なくとも一方が妥当ではない可能性がある。つまり、典型条件と職務遂行者選定条件との間の差が比較的大きい場合には、職務記述書データ1120が示す職務記述書が妥当ではない可能性がある。具体的には、遂行職務データ1121が示す遂行職務の内容と条件データ1122が示す条件との関係が妥当でない可能性がある。そこで、本実施形態では、妥当性評価部124は、典型条件と職務遂行者選定条件との間の差が所定の許容閾値よりも小さい場合には、職務記述書が妥当であると判定してもよい。一方で、妥当性評価部124は、典型条件と職務遂行者選定条件との間の差が所定の許容閾値よりも大きい場合には、職務記述書が妥当でないと判定してもよい。或いは、妥当性評価部124は、典型条件と職務遂行者選定条件とに基づいて、その他の評価方法で、職務記述書の妥当性を評価してもよい。
【0060】
職務記述書の妥当性を評価した場合には、妥当性評価部124は、出力装置14を用いて、職務記述書の妥当性を評価結果に関する情報を出力してもよい。例えば、上述したように職務記述書の妥当性の有無を評価した場合には、妥当性評価部124は、出力装置14を用いて、妥当性の有無の評価結果に関する情報を出力してもよい。その結果、ユーザ企業は、職務記述書が妥当であるか否かを容易に把握することができる。一例として、出力装置14がディスプレイを含んでいる場合には、妥当性評価部124は、妥当性の評価結果に関する情報を表示するように出力装置14を制御してもよい。この場合、ユーザ企業は、職務記述書が妥当であるか否かを直感的に把握することができる。
【0061】
妥当性評価部124は、職務記述書の妥当性を評価することに加えて又は代えて、出力装置14を用いて、職務記述書の妥当性に関する任意の情報を出力してもよい。例えば、妥当性評価部124は、職務記述書の妥当性を評価するために用いられる典型条件及び職務遂行者選定条件に関する情報を出力してもよい。例えば、出力装置14がディスプレイを含んでいる場合には、妥当性評価部124は、上述した図5(a)から図5(c)に示すように、典型条件と職務遂行者選定条件との関係を、条件を表す項目の種類ごとに区別して示すレーダーチャートとして、出力装置14に表示してもよい。尚、表示形態はレーダーチャートに限定されない。例えば、妥当性評価部124は、典型条件と職務遂行者選定条件との関係を、条件を表す項目の種類ごとに棒グラフを表示装置4に表示してもよい。この場合、ユーザ企業は、出力装置14が表示したグラフを用いて、典型条件と職務遂行者選定条件との関係を把握することができる。その結果、ユーザ企業は、典型条件と職務遂行者選定条件とを比較することで、職務記述書の妥当性をユーザ自身で評価することができる。尚、このように情報処理装置1のユーザが典型条件と職務遂行者選定条件とを比較することで、職務記述書データ1120の妥当性をユーザ自身で評価することができることを考慮すれば、妥当性評価部124は、典型条件と職務遂行者選定条件とを比較可能な表示態様で表示するように、出力装置14を制御してもよい。
【0062】
妥当性評価部124は、職務記述書の改善方針を生成してもよい。例えば、上述した図5(b)に示すように、職務遂行者選定条件のレベルが必要以上に高い場合には、妥当性評価部124は、職務遂行者選定条件のレベルを下げるように職務遂行者選定条件を改善する(つまり、条件データ1122を修正する)という改善方針を生成してもよい。尚、職務遂行者選定条件のレベルを下げる処理は、例えば、職務遂行者に要求する立場のレベルを下げる処理、職務遂行者に要求する資格のレベルを下げる処理、職務遂行者に要求するスキルのレベルを下げる処理、及び、職務遂行者に支払う報酬を下げる処理のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。例えば、上述した図5(b)に示すように、職務遂行者選定条件のレベルが必要以上に高い(逆に言えば、遂行職務の難易度が低すぎる)場合には、妥当性評価部124は、遂行職務の難易度を上げるように遂行職務を改善する(つまり、遂行職務データ1121を修正する)という改善方針を生成してもよい。例えば、上述した図5(c)に示すように、職務遂行者選定条件のレベルが必要以上に低い場合には、妥当性評価部124は、職務遂行者選定条件のレベルを上げるように職務遂行者選定条件を改善する(つまり、条件データ1122を修正する)という改善方針を生成してもよい。尚、職務遂行者選定条件のレベルを上げる処理は、例えば、職務遂行者に要求する立場のレベルを上げる処理、職務遂行者に要求する資格のレベルを上げる処理、職務遂行者に要求するスキルのレベルを上げる処理、及び、職務遂行者に支払う報酬を上げる処理のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。例えば、上述した図5(c)に示すように、職務遂行者選定条件のレベルが必要以上に低い(逆に言えば、遂行職務の難易度が高すぎる)場合には、妥当性評価部124は、遂行職務の難易度を下げるように遂行職務を改善する(つまり、遂行職務データ1121を修正する)という改善方針を生成してもよい。このとき、妥当性評価部124は、要改善項目を強調表示(例えば、要改善項目の色を変更する、フォントサイズを変更するなど)してもよい。
【0063】
妥当性評価部124は、生成した改善方針を出力するように、出力装置14を制御してもよい。例えば、出力装置14がディスプレイを含んでいる場合には、妥当性評価部124は、図6に示すように、改善方針を示すGUI141を表示するように、出力装置14を制御してもよい。図6に示す例では、GUI141は、職務遂行者に支払う報酬を、現在の800万円から600万円に下げるように職務遂行者選定条件を改善する改善方針を示している。尚、図6に示すように、妥当性評価部124は、GUI141を、典型条件と職務遂行者選定条件との関係を示す情報(この場合、グラフ)と共に表示するように、出力装置14を制御してもよい。或いは、妥当性評価部124は、GUI141(或いは、改善方針を示す任意の表示物)を、典型条件と職務遂行者選定条件との関係を示す情報とは別に表示するように、出力装置14を制御してもよい。GUI141を表示する場合には、妥当性評価部124は、例えば、入力装置13を用いたユーザの指示に基づいて、出力装置14の状態を、GUI141を表示する状態と、GUI141を表示しない状態との間で切り替えてもよい。
【0064】
(3)情報処理装置1の技術的効果
以上説明したように、情報処理装置1は、職務記述書データ1120の妥当性に関する情報を出力することができる。具体的には、情報処理装置1は、職務記述書データ1120に基づいて、職務記述書が定めている遂行職務の内容と職務遂行者の条件との関係の妥当性に関する情報を出力することができる。このため、ユーザ企業は、情報処理装置1が出力した妥当性に関する情報に基づいて、職務記述書が妥当であるか否かを手軽に把握することができる。その結果、ユーザ企業は、情報処理装置1が出力した妥当性に関する情報に基づいて、職務記述書の妥当性を高めるように職務記述書を改善することができる。この際、上述したように情報処理装置1が職務記述書の改善方針を出力すれば、ユーザ企業は、職務記述書を容易に改善することができる。
【0065】
(4)変形例
妥当性評価部124は、職務記述書の妥当性を評価するために用いた抽出データ1113に含まれる状況データ1112が示す従業員の状況の一覧に関する情報を出力するように、出力装置14を制御してもよい。つまり、妥当性評価部124は、遂行職務と比較的似ている過去職務を遂行した従業員の状況の一覧に関する情報を出力するように、出力装置14を制御してもよい。例えば、出力装置14がディスプレイを含んでいる場合には、妥当性評価部124は、図7に示すように、遂行職務と比較的似ている過去職務を遂行した従業員の状況(図7に示す例では、報酬)の一覧を示すGUI142を表示するように、出力装置14を制御してもよい。この場合、ユーザ企業は、遂行職務と比較的似ている過去職務を遂行した従業員の状況をより細かく把握することができる。その結果、ユーザ企業は、遂行職務と比較的似ている過去職務を遂行した従業員のより細かい状況を踏まえて、職務記述書をより適切に改善することができる。尚、GUI142を表示する場合には、妥当性評価部124は、例えば、入力装置13を用いたユーザの指示に基づいて、出力装置14の状態を、GUI142を表示する状態と、GUI142を表示しない状態との間で切り替えてもよい。
【0066】
上述した説明では、情報処理装置1は、職務記述書の作成者である企業(或いは、場合によっては個人)によって使用されている。しかしながら、情報処理装置1は、職務記述書の作成者ではない企業(或いは、個人、以下同じ)によって使用されてもよい。例えば、情報処理装置1は、職務記述書の作成者である企業に対して職務記述書に関するアドバイスを提供するアドバイザによって使用されてもよい。この場合、アドバイザは、情報処理装置1が出力する職務記述書の妥当性に関する情報に基づいて、企業に対して、職務記述書に関するアドバイスを提供してもよい。このようなアドバイザの一例として、求人をかけている企業に対して人材を紹介する転職エージェント(或いは、就職エージェント、以下同じ)があげられる。この場合、事業体が発行する求人票は、実質的には職務記述書と等価であるとみなしてもよい。その結果、転職エージェントは、職務記述書と等価な求人票の妥当性を把握し、求人票の作成者である企業に対して、求人票に関するアドバイスを提供してもよい。
【0067】
或いは、転職エージェントは、所望の職務を担当するポストへの転職(或いは、就職、以下同じ)を希望している転職希望者(或いは、就職希望者、以下同じ)に対して、当該所望のポストに対する求人をかけている企業を紹介することもある。この場合、転職エージェントは、情報処理装置1を用いて、所望の職務と同一種類の職務を遂行した従業員の典型的な状況(例えば、立場、資格、スキル及び報酬の少なくとも一つ)を特定してもよい。具体的には、情報処理装置1は、職務記述書データ1120に代えて、転職希望者が転職を希望している所望の職務の内容を示すデータを用いて、図3に示す評価動作を行うことで、所望の職務と同一種類の職務を遂行した従業員の典型的な状況(つまり、典型条件)を特定してもよい。より具体的には、情報処理装置1は、所望の職務の内容を示すデータを取得し(図3のステップS10)、所望の職務の内容を示すデータとの類似度が所定閾値THよりも大きい経歴データ1110を抽出データ1113として抽出し(図3のステップS11からステップS15)、抽出した抽出データ1113に含まれる状況データ1112に基づいて、所望の職務と同一種類の職務を遂行した従業員の状況の典型例(つまり、典型条件)を生成してもよい(ステップS16)。その後、転職エージェントは、生成した典型条件に基づいて、転職希望者に対してアドバイスを提供してもよい。例えば、転職エージェントは、所望の職務と同一種類の職務を遂行した従業員の状況の典型例である典型条件と、転職希望者の現在の状況とを比較することで、転職希望者に不足しているスキル等に関するアドバイスを提供してもよい。
【0068】
或いは、転職希望者自身が、情報処理装置1を用いて、所望の職務と同一種類の職務を遂行した従業員の典型的な状況(例えば、立場、資格、スキル及び報酬の少なくとも一つ)を特定してもよい。例えば、転職希望者は、転職エージェントが提供しているサイト上で、クラウドサービスの一部を構成する情報処理装置1を用いて、所望の職務と同一種類の職務を遂行した従業員の典型的な状況を特定してもよい。例えば、転職希望者は、転職希望者が保有するパソコン等上で、パソコン等を情報処理装置1として機能させるコンピュータプログラムを実行することで、情報処理装置1として機能するパソコン等を用いて、所望の職務と同一種類の職務を遂行した従業員の典型的な状況を特定してもよい。又は、転職希望者は、端末装置を操作して、情報処理装置1として機能するクラウド上のサーバにアクセスすることで、自身の経歴に沿った職種を探すことができる。この場合、転職希望者自身が、所望の職務と同一種類の職務を遂行した従業員の典型的な状況や条件を踏まえて、転職希望者自身の状況を客観的に評価することができる。また、例えば、転職希望者は、所望の職務に対する転職希望者自身の適正を把握してもよい。また、転職希望者自身が、情報処理装置1を用いて、所望の職務と同一種類の職務を遂行した従業員の典型的な状況を踏まえたアドバイスの提供を受けてもよい。また、転職希望者は、端末装置を操作して、情報処理装置1として機能するクラウド上のサーバにアクセスすることで、自身の希望に沿った職種を探すことができる。
【0069】
(5)付記
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
[付記1]
所定のポストにおける職務遂行者の遂行職務に関する遂行職務データ及び前記職務遂行者の条件を示す条件データを取得する取得手段と、
従業員が過去に遂行した過去職務の内容を示す過去職務データ及び前記過去職務を遂行したときの前記従業員の状況を示す状況データを含む経歴データのうち、少なくとも一つの経歴データを、前記遂行職務データとの類似度に基づいて抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出される前記経歴データに含まれる前記状況データに基づいて、前記遂行職務を遂行する前記職務遂行者の条件の典型例として想定される典型条件を生成する生成手段と、
前記条件データが示す条件と前記典型条件とに基づいて、前記遂行職務データが示す前記遂行職務の内容と前記条件データが示す前記職務遂行者の条件との関係の妥当性に関する妥当性情報を出力する出力手段と
を備える情報処理装置。
[付記2]
前記抽出手段は、前記遂行職務データと前記過去職務データとの間の前記類似度を算出する
付記1に記載の情報処理装置。
[付記3]
前記条件データが示す条件と前記典型条件とに基づいて、前記妥当性の有無を判定する判定手段を更に備え、
前記妥当性情報は、前記妥当性の有無に関する情報を含む
付記1又は2に記載の情報処理装置。
[付記4]
前記妥当性情報は、前記遂行職務データが示す前記遂行職務の内容及び前記条件データが示す前記職務遂行者の条件の少なくとも一方の改善方針に関する情報を含む
付記1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[付記5]
前記出力手段は、前記妥当性情報として、前記条件データが示す条件と前記典型条件とを比較可能な表示態様で、前記条件データが示す条件と前記典型条件とを表示するように出力する
付記1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[付記6]
前記典型条件は、前記抽出データに含まれる前記状況データが示す状況の平均に基づく条件である
付記1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[付記7]
前記典型条件は、前記遂行職務データとの類似度が最も大きい前記過去職務データを含む一の抽出データに含まれる前記状況データが示す状況に基づく条件である
付記1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[付記8]
前記条件データは、前記職務遂行者に要求される立場、前記職務遂行者に要求される資格、前記職務遂行者に要求されるスキル、及び、前記職務遂行者に支払われる報酬のうちの少なくとも一つに関する条件を示す
付記1から7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[付記9]
前記状況データは、前記従業員の立場、前記従業員が保有していた資格、前記従業員が有していたスキル、及び、前記従業員に支払われた報酬のうちの少なくとも一つに関する状況を示す
付記1から8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[付記10]
前記抽出手段は、前記遂行職務データと前記過去職務データとの言語ベクトル空間上の距離に基づいて、前記遂行職務データと前記過去職務データとの間の前記類似度を算出する
付記1から9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[付記11]
所定のポストにおける職務遂行者の遂行職務に関する遂行職務データ及び前記職務遂行者の条件を示す条件データを取得し、
従業員が過去に遂行した過去職務の内容を示す過去職務データ及び前記過去職務を遂行したときの前記従業員の状況を示す状況データを含む経歴データのうち、少なくとも一つの経歴データを、前記遂行職務データとの類似度に基づいて抽出し、
前記抽出された経歴データに含まれる前記状況データに基づいて、前記遂行職務を遂行する前記職務遂行者の条件の典型例として想定される典型条件を生成し、
前記条件データが示す条件と前記典型条件とに基づいて、前記遂行職務データが示す前記遂行職務の内容と前記条件データが示す前記職務遂行者の条件との関係の妥当性に関する妥当性情報を出力する
情報処理方法。
[付記12]
コンピュータに、
所定のポストにおける職務遂行者の遂行職務に関する遂行職務データ及び前記職務遂行者の条件を示す条件データを取得し、
従業員が過去に遂行した過去職務の内容を示す過去職務データ及び前記過去職務を遂行したときの前記従業員の状況を示す状況データを含む経歴データのうち、少なくとも一つの経歴データを、前記遂行職務データとの類似度に基づいて抽出し、
前記抽出された経歴データに含まれる前記状況データに基づいて、前記遂行職務を遂行する前記職務遂行者の条件の典型例として想定される典型条件を生成し、
前記条件データが示す条件と前記典型条件とに基づいて、前記遂行職務データが示す前記遂行職務の内容と前記条件データが示す前記職務遂行者の条件との関係の妥当性に関する妥当性情報を出力する
情報処理方法を実行させるコンピュータプログラムが記録された記録媒体。
[付記13]
コンピュータに、
所定のポストにおける職務遂行者の遂行職務に関する遂行職務データ及び前記職務遂行者の条件を示す条件データを取得し、
従業員が過去に遂行した過去職務の内容を示す過去職務データ及び前記過去職務を遂行したときの前記従業員の状況を示す状況データを含む経歴データのうち、少なくとも一つの経歴データを、前記遂行職務データとの類似度に基づいて抽出し、
前記抽出された経歴データに含まれる前記状況データに基づいて、前記遂行職務を遂行する前記職務遂行者の条件の典型例として想定される典型条件を生成し、
前記条件データが示す条件と前記典型条件とに基づいて、前記遂行職務データが示す前記遂行職務の内容と前記条件データが示す前記職務遂行者の条件との関係の妥当性に関する妥当性情報を出力する
情報処理方法を実行させるコンピュータプログラム。
[付記14]
所定のポストにおける職務遂行者の遂行職務に関する遂行職務データ及び前記職務遂行者の条件を示す条件データを取得する取得手段と、
従業員が過去に遂行した過去職務の内容を示す過去職務データ及び前記過去職務を遂行したときの前記従業員の状況を示す状況データを含む経歴データのうち、前記遂行職務データと類似する前記経歴データに含まれる前記状況データに基づいて、前記遂行職務を遂行する前記職務遂行者候補者の条件の典型例として想定される典型条件を生成する生成手段と、
前記条件データが示す条件と前記典型条件とに基づいて、前記遂行職務データが示す前記遂行職務の内容と前記条件データが示す前記職務遂行者候補者の条件との関係の妥当性に関する妥当性情報を出力する出力手段と
を備える情報処理装置。
【0070】
本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う情報処理装置、情報処理方法及び記録媒体もまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1 情報処理装置
11 記憶装置
111 経歴DB
1110 経歴データ
1111 過去職務データ
1112 状況データ
1120 職務記述書データ
1121 遂行職務データ
1122 条件データ
12 演算装置
121 データ取得部
122 判定部
123 条件生成部
124 妥当性評価部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7