(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】情報処理装置、誘導システム、誘導方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0207 20230101AFI20240514BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20240514BHJP
【FI】
G06Q30/0207 350
G06Q50/40
(21)【出願番号】P 2022553239
(86)(22)【出願日】2020-09-29
(86)【国際出願番号】 JP2020036769
(87)【国際公開番号】W WO2022070229
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】谷 真宏
(72)【発明者】
【氏名】児島 一郁
(72)【発明者】
【氏名】池田 圭佑
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/166169(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/184669(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/014970(WO,A1)
【文献】特開2013-114347(JP,A)
【文献】国際公開第2020/115986(WO,A1)
【文献】特開2006-099483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行機に搭乗する搭乗予定者であるユーザが、保安検査後に飛行機に搭乗するまで滞在する領域である制限エリアに入場してから予め定められた付与タイミングまでの経過時間である滞在時間に基づいて、前記制限エリアで提供される商品に交換可能なクーポンを発行するか否かを判断す
る付与手段と、
前記クーポンを発行すると判断された場合に当該クーポンを発行することを知らせる情
報を前記ユーザの携帯端末に出力する出力手段とを備え
、
前記付与手段は、前記滞在時間に応じた当選確率でもって前記クーポンを発行することをランダムに決定する情報処理装置。
【請求項2】
予め定められた変更ルールに従って、前記付与手段が利用する前記当選確率を、予め設定された基本の当選確率から変更する確率変更手段をさらに備える請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ユーザが前記制限エリアに入場したことを表す情報の受信により取得された入場時刻から前記付与タイミングまでの前記滞在時間を算出する算出手段をさらに備える請求項1
又は請求項
2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項
3の何れか一つに記載の情報処理装置と、
前記情報処理装置の前記出力手段により出力された情報を表示する表示装置を備える携帯端末と
を備える誘導システム。
【請求項5】
請求項1
又は請求項
2に記載の情報処理装置と、
前記情報処理装置の前記出力手段により出力された情報を表示する表示装置と、前記ユーザが前記制限エリアに入場したことを表す情報の受信により取得された入場時刻から前記付与タイミングまでの前記滞在時間を算出する時間算出手段とを備える携帯端末と
を備える誘導システム。
【請求項6】
コンピュータによって、
飛行機に搭乗する搭乗予定者であるユーザが、保安検査後に飛行機に搭乗するまで滞在する領域である制限エリアに入場してから予め定められた付与タイミングまでの経過時間である滞在時間
に応じた当選確率でもって、前記制限エリアで提供される商品に交換可能なクーポンを発行する
ことをランダムに決定し、
前記クーポンを発行する
ことを決定した場合に当該クーポンを発行することを知らせる情
報を前記ユーザの携帯端末に出力する誘導方法。
【請求項7】
飛行機に搭乗する搭乗予定者であるユーザが、保安検査後に飛行機に搭乗するまで滞在する領域である制限エリアに入場してから予め定められた付与タイミングまでの経過時間である滞在時間
に応じた当選確率でもって、前記制限エリアで提供される商品に交換可能なクーポンを発行する
ことをランダムに決定する処理と、
前記クーポンを発行する
ことを決定した場合に当該クーポンを発行することを知らせる情
報を前記ユーザの携帯端末に出力する処理と
をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空港において、飛行機に搭乗する搭乗予定者を一般区域(公共エリア)から制限区域(制限エリア)に誘導する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
空港には、一般区域や公共エリアなどと呼ばれる領域(以下、公共エリアと称する)と、制限区域や制限エリアなどと呼ばれる領域(以下、制限エリアと称する)とがある。制限エリアは、飛行機に搭乗する搭乗予定者が、保安検査後に、飛行機に搭乗するまで滞在する領域である。保安検査とは、搭乗予定者のボディチェックと、機内への持ち込み荷物のチェックとを実施する検査である。制限エリアは、保安検査を行った搭乗予定者が滞在するエリアであることから、テロ発生の懸念が小さいエリアとされている。
【0003】
これに対し、公共エリアは、飛行機の搭乗予定者だけでなく、見送りの人や、空港の商業施設の利用者なども入ることができる領域であり、保安検査を行っていない様々な人たちが集まるエリアである。このため、公共エリアにおけるテロ発生が懸念されている。
【0004】
公共エリアでのテロ発生の危険性を低下させるために、公共エリアの混雑状況を緩和することが考えられる。
【0005】
特許文献1(特開2011-141773号公報)には、電車の混雑率を緩和すべく考え出された自動改札システムが開示されている。すなわち、特許文献1における自動改札システムでは、定期券付きICカードを所持している乗客が改札装置を通過した時間が、自身が指定した利用時間帯であって、かつ、電車の混雑率が低い時間帯である場合には、一定のポイントがICカードに付与される。このような自動改札システムは、混雑率の高い時間帯よりも混雑率の低い時間帯に改札装置を通過する方が多くのポイントを付与されることにより、混雑率の低い時間帯に乗客を導くことが図れる。つまり、特許文献1に示されている自動改札システムは、混雑率の低い時間帯に乗客を導くことにより、混雑率の高い時間帯での乗客の低減が図れ、電車の混雑を緩和できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
飛行機の搭乗予定者を、搭乗予定の飛行機に乗り遅れないように搭乗口に導くシステムが様々に提案されている。しかしながら、そのようなシステムは、飛行機の搭乗時間に基づいて乗客を搭乗口に導くシステムに過ぎないから、公共エリアの混雑状況の緩和に大きく貢献しているとは考えられない。
【0008】
本発明は上記課題を解決するために考え出されたものである。すなわち、本発明の主な目的は、空港における公共エリアの混雑状況の緩和を図ることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、その一様相として、
飛行機に搭乗する搭乗予定者であるユーザが、保安検査後に飛行機に搭乗するまで滞在する領域である制限エリアに入場してから予め定められた付与タイミングまでの経過時間である滞在時間に基づいて、前記制限エリアで提供される商品に交換可能なクーポンを発行するか否かを判断するか、あるいは、前記制限エリアで提供される商品に交換可能なポイント数を算出する付与手段と、
前記クーポンを発行すると判断された場合に当該クーポンを発行することを知らせる情報、あるいは、算出された前記ポイント数の情報を前記ユーザの携帯端末に出力する出力手段と
を備える。
【0010】
本発明の誘導システムは、その一様相として、
前記情報処理装置と、
前記情報処理装置の前記出力手段により出力された情報を表示する表示装置を備える携帯端末、あるいは、前記情報処理装置の前記出力手段により出力された情報を表示する表示装置と、前記ユーザが前記制限エリアに入場したことを表す情報の受信により取得された入場時刻から前記付与タイミングまでの滞在時間を算出する時間算出手段とを備える携帯端末と
を備える。
【0011】
本発明の誘導方法は、その一様相として、
飛行機に搭乗する搭乗予定者であるユーザが、保安検査後に飛行機に搭乗するまで滞在する領域である制限エリアに入場してから予め定められた付与タイミングまでの経過時間である滞在時間に基づいて、前記制限エリアで提供される商品に交換可能なクーポンを発行するか否かを判断するか、あるいは、前記制限エリアで提供される商品に交換可能なポイント数を算出し、
前記クーポンを発行すると判断された場合に当該クーポンを発行することを知らせる情報、あるいは、算出された前記ポイント数の情報を前記ユーザの携帯端末に出力する。
【0012】
本発明のプログラム記憶媒体は、その一様相として、
飛行機に搭乗する搭乗予定者であるユーザが、保安検査後に飛行機に搭乗するまで滞在する領域である制限エリアに入場してから予め定められた付与タイミングまでの経過時間である滞在時間に基づいて、前記制限エリアで提供される商品に交換可能なクーポンを発行するか否かの判断する処理、あるいは、前記制限エリアで提供される商品に交換可能なポイント数を算出する処理と、
前記クーポンを発行すると判断された場合に当該クーポンを発行することを知らせる情報、あるいは、算出された前記ポイント数の情報を前記ユーザの携帯端末に出力する処理と
をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムを記憶する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、空港における公共エリアの混雑状況の緩和を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る誘導システムの適用例を模式的に表すイメージ図である。
【
図2】空港において搭乗予定者が入場可能なエリアを説明する図である。
【
図3】本発明に係る第1実施形態の誘導システムの構成を説明するブロック図である。
【
図4】当選確率と滞在時間との関係の一例を表すグラフである。
【
図5】第1実施形態における携帯端末の動作の一例を表すフローチャートである。
【
図6】第1実施形態におけるサーバの動作の一例を表すフローチャートである。
【
図7】本発明に係る第2実施形態の誘導システムの構成を説明するブロック図である。
【
図8】第2実施形態におけるサーバの動作の一例を表すフローチャートである。
【
図9】本発明に係る第3実施形態の誘導システムの機能の一例を説明するブロック図である。
【
図10】上乗せ確率と参照時間との関係の一例を表すグラフである。
【
図11】上乗せ確率と別の空港での制限エリアの滞在時間との関係の一例を表すグラフである。
【
図12】付与ポイント数と滞在時間との関係の一例を表すグラフである。
【
図13】本発明に係るその他の実施形態の情報処理装置の構成を模式的に表すブロック図である。
【
図14】本発明に係るその他の実施形態の誘導システムの構成を模式的に表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0016】
<第1実施形態>
図1は、本発明に係る第1実施形態の誘導システムのイメージを表す図である。この誘導システム1は、空港における公共エリアから制限エリアに搭乗予定者60を誘導し、搭乗予定者60の公共エリアでの滞在時間を減らすことにより、公共エリアの混雑状況の緩和を図るシステムである。すなわち、
図2に表されるように、空港50には、搭乗予定者60が入場可能なエリアとして、制限エリア51と公共エリア52がある。制限エリア51と公共エリア52は、人が自由に出入りできないように壁などにより分けられているが、制限エリア51と公共エリア52を連通する連絡通路となる部分があり、この部分に保安検査場54が設けられている。保安検査場54は、飛行機58に搭乗する搭乗予定者60のボディチェックと、機内への持ち込み荷物のチェックとを実施する保安検査が行われる場所である。搭乗予定者60は、空港50に到着すると、まず、公共エリア52に入る。その後、搭乗予定者60は、保安検査場54にて保安検査を行い、これにより制限エリア51への入場が許可された場合のみ、公共エリア52から制限エリア51に入場できる。
【0017】
すなわち、制限エリア51は、搭乗予定者60が、保安検査後に、搭乗口55を通って飛行機58に搭乗するまで滞在する領域である。制限エリア51には店舗57が設けられている。店舗57には、衣料や雑貨などの品物を販売する小売店や、食事を提供する飲食店などがある。一方、公共エリア52は、搭乗予定者60だけでなく、見送りの人や、空港50の商業施設(図示せず)の利用者なども入ることができる領域であり、保安検査を行っていない様々な人たちが集まるエリアである。
【0018】
第1実施形態の誘導システム1は、制限エリア51に滞在している搭乗予定者60であるユーザに、制限エリア51における店舗57で利用可能なクーポンを発行するか否かを判断する抽選を実行し、抽選結果に応じてクーポンを発行するシステムである。この誘導システム1では、クーポンの発行に関わる抽選において、クーポンが発行される確率(換言すれば、クーポンの当選確率)は、ユーザが制限エリア51に滞在している時間が長くなるにつれて高くなる。これにより、誘導システム1では、クーポンの当選確率を高めるために、制限エリア51に滞在している時間を長くすべく公共エリア52から制限エリア51に早めに入場するという行動を搭乗予定者60であるユーザに取らせることを図る。
【0019】
第1実施形態の誘導システム1は、上記のようなシステムを実現すべく、
図1に表されるように、情報処理装置であるサーバ2と、搭乗予定者60であるユーザが所持している携帯端末3とを有して構成される。サーバ2と携帯端末3は、情報通信網を介して接続する。なお、サーバ2には、複数の携帯端末3が接続可能である。
【0020】
図3は、サーバ2と携帯端末3の構成を説明するブロック図である。サーバ2は、携帯端末3と無線通信を利用して接続されており、サーバ2は、プロセッサ20と、通信インターフェース21と、記憶装置22とを有して構成されている。通信インターフェース21は、情報通信網を利用して、他の通信装置と通信する装置である。
【0021】
記憶装置22は、データや、コンピュータプログラム(以下、プログラムとも記す)24を記憶する記憶媒体を備えている。記憶装置には、磁気ディスク装置や、半導体メモリ素子などの複数の種類があり、さらに、半導体メモリ素子には、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの複数の種類があるというように、多数の種類がある。サーバ2が備える記憶装置22の種類は1つに限定されるものではなく、複数種の記憶装置22がサーバ2に備えられることが多い。ここでは、サーバ2に備えられる記憶装置22の種類や数は限定されず、その説明は省略される。また、サーバ2に複数種の記憶装置22が備えられる場合には、それらをまとめて記憶装置22と記すこととする。
【0022】
記憶装置22に記憶されているプログラム24の一つとして、誘導システム1を構成するサーバとしての機能をサーバ2に持たせるアプリケーションプログラムAPsが格納されている。また、記憶装置22には、プログラム24の別の一つとして、誘導システム1を利用するための機能を携帯端末3に持たせるアプリケーションプログラムAPmが格納されている。
【0023】
プロセッサ20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、記憶装置22に記憶されているプログラム24を読み出して実行することにより、当該プログラム24に基づいた様々な機能を持つことができる。誘導システム1を構成するサーバ2のプロセッサ20は、アプリケーションプログラムAPsに基づいて、機能部として、受信部11と、付与部12と、出力部13とを有している。
【0024】
受信部11は、携帯端末3から、情報通信網を介して、滞在時間情報を抽選要求と共に受信する機能を備えている。滞在時間情報とは、携帯端末3(換言すれば、携帯端末3を所持しているユーザ(搭乗予定者60))が空港50の制限エリア51に入場してからの経過時間を表す情報である。ここでは、制限エリア51に入場してからの経過時間を制限エリア51の滞在時間とも記す。また、滞在時間情報には、ユーザを識別する情報であるユーザ識別情報が関連付けられている。さらに、抽選要求とは、クーポンを発行するか否かの抽選を実行する指令である。
【0025】
付与部12は、受信部11を介して抽選要求を受け取ると、クーポンを発行するか否かを、制限エリア51の滞在時間に応じた当選確率でもって、ランダムに決定する抽選機能を備えている。当選確率とは、クーポンが発行される確率であり、ここでは、抽選要求と共に受信部11が携帯端末3から受信した滞在時間情報に基づいた制限エリア51の滞在時間に応じて定まる。
図4における実線Lは、クーポンの当選確率と、制限エリア51の滞在時間との関係の一例を表すグラフである。
図4の実線Lに表されているように、クーポンの当選確率は、制限エリア51の滞在時間が長くなるに従って高くなる。このような当選確率と制限エリア51の滞在時間との関係を表すデータが予め定められ当選確率データとして記憶装置22に格納されている。
【0026】
なお、当選確率データとしてのクーポンの当選確率と制限エリア51の滞在時間との関係は、
図4のようなシグモイド関数で表される関係に限定されず、例えば、滞在時間が長くなるにつれて当選確率が高くなる一次関数で表されるような関係であってもよい。また、当選確率データの生成に関し、当選確率の下限値(例えば0%)と上限値(例えば100%)が予め設定され、当選確率データは、当選確率が、その設定された下限値以上、かつ、上限値以下の範囲内となるように生成される。
【0027】
すなわち、付与部12は、携帯端末3側から、受信部11を介して抽選要求および滞在時間情報を受け取ると、制限エリア51の滞在時間に対応する当選確率の情報を記憶装置22の当選確率データから取得する。そして、付与部12は、クーポンを発行するか否か(換言すれば、クーポンに当選したか外れたか)を、取得した当選確率でもってランダムに決定する。
【0028】
ところで、制限エリア51で利用可能なクーポンの内容や、当該クーポンが利用可能な店舗57の情報などの情報は、クーポンデータとして記憶装置22に格納されている。制限エリア51で利用可能なクーポンは1種類とは限らず、複数種でもよい。例えば、制限エリア51に複数の店舗57が設けられ、かつ、それら店舗57の複数が誘導システム1に協賛している場合には、協賛している店舗57のそれぞれに応じたクーポンが用意されていてもよい。なお、協賛している1つの店舗57につき、1種類のクーポンが用意されていてもよいし、複数種のクーポンが用意されていてもよく、用意するクーポンの内容や種類数は店舗57に任される。このような店舗57により用意されたクーポンの内容や、利用可能な店舗57の情報(店舗識別情報)を含むクーポンデータが前記の如く記憶装置22に格納されている。
【0029】
付与部12は、複数種のクーポンが用意されている場合であって、クーポンの発行を決定した場合には、用意されている複数種のクーポンの中から、発行するクーポンの種類を決定する機能をも備える。発行するクーポンの種類の決定に際し、付与部12は、制限エリア51で利用可能な全てのクーポンの種類(換言すれば、クーポンデータとして記憶装置22に格納されているクーポンの全ての種類)の中から、ランダムに、発行するクーポンの種類を1つ決定する。
【0030】
あるいは、付与部12は、クーポンを発行する発行先の携帯端末3の所在位置に近い店舗57のクーポンを、発行するクーポンとして決定してもよい。この場合には、誘導システム1に協賛している店舗57に関し、制限エリア51における位置情報が、店舗57を識別する店舗識別情報に関連付けられて記憶装置22に予め格納される。例えば、店舗57の位置は、例えば、制限エリア51における無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントを利用して、店舗AはアクセスポイントPAの通信エリア、店舗BはアクセスポイントPZの通信エリアというように表されるとする。この場合には、店舗57の位置情報は、無線LANのアクセスポイントを識別するアクセスポイント識別情報と、店舗識別情報とが関連付けられている情報とする。また、クーポンを発行する発行先の携帯端末3(換言すれば、抽選要求を出力した携帯端末3)の所在位置の情報は、クーポン発行先の携帯端末3が利用している無線LANの接続中のアクセスポイントの識別情報により取得される。
【0031】
つまり、クーポン発行先の携帯端末3の所在位置に応じたクーポンを発行する場合には、付与部12は、クーポン発行先の携帯端末3の所在位置の情報として、当該携帯端末3における接続中のアクセスポイントの識別情報を取得する。そして、付与部12は、取得したアクセスポイント識別情報に関連付けられている店舗識別情報を利用して、記憶装置22のクーポンデータから、クーポン発行先の携帯端末3の所在位置に近い店舗57で利用可能なクーポンを抽出する。抽出したクーポンが1つである場合には、付与部12は、当該抽出したクーポンを、発行するクーポンとして決定する。抽出したクーポンが複数である場合には、付与部12は、当該抽出した複数のクーポンの中から、ランダムに、発行するクーポンを決定する。
【0032】
あるいは、付与部12は、複数種のクーポンの中から、携帯端末3のユーザに向けて発行したクーポンの発行履歴を参照し、発行するクーポンを決定してもよい。この場合には、ユーザに向けて発行したクーポンの種類を表す情報がユーザ識別情報に関連付けられ発行履歴の情報として、記憶装置22に格納される。付与部12は、クーポンの発行履歴を参照し、例えば、発行済みのクーポン以外のクーポンの種類のなかから、発行するクーポンを決定する。
【0033】
付与部12は、更なる機能として、抽選結果(当選したか外れたかの結果)と、クーポンを発行する場合には発行したクーポンの種類を表す情報と、ユーザ識別情報とが関連付けられている発行履歴の情報を生成(更新)し、記憶装置22に格納する機能を備えている。
【0034】
出力部13は、付与部12によるクーポンの抽選結果を知らせる通知を、クーポン発行先の携帯端末3(つまり、抽選要求を出力した携帯端末3)に向けて出力する機能を備える。
【0035】
さらに、出力部13は、携帯端末3から、システム適用のためのアプリケーションプログラムAPmを要求する指令を受信すると、記憶装置22から読み出されたアプリケーションプログラムAPmを、要求元の携帯端末3に向けて送信する機能を備える。
【0036】
携帯端末3は、
図3に表されているように、プロセッサ30と、記憶装置31と、通信インターフェース32と、表示装置33とを有して構成されている。表示装置33は、映像や文字などの情報を表示する構成を備えた装置であり、その表示動作はプロセッサ30により制御される。通信インターフェース32は、情報通信網を利用して、他の通信装置と通信する装置である。
【0037】
記憶装置31は、データや、コンピュータプログラム(プログラム)35を記憶する記憶媒体を備えている。記憶装置31には複数の種類があり、携帯端末3に搭載される記憶装置31は1つの種類に限定されるものではない。複数種の記憶装置31が携帯端末3に備えられる場合には、ここでは、それらをまとめて記憶装置31と記す。サーバ2から取得したアプリケーションプログラムAPmは、プログラム35の一つとして、記憶装置31に格納される。また、携帯端末3のユーザを識別するユーザ識別情報が記憶装置31に格納されている。
【0038】
プロセッサ30は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサであり、記憶装置31に記憶されているプログラム35を読み出して実行することにより、当該プログラム35に基づいた様々な機能を持つことができる。ここでは、プロセッサ30は、アプリケーションプログラムAPmに基づいて、機能部として、検知部15と、時間算出部16と、表示制御部17と、要求部18とを有している。
【0039】
表示制御部17は、表示装置33の表示動作を制御する機能を備える。
【0040】
検知部15は、携帯端末3(換言すれば、携帯端末3を所持しているユーザ(搭乗予定者60))が空港50の制限エリア51に入場したことを表す情報を取得することによって、制限エリア51への入場を検知する機能を備えている。ここでは、制限エリア51に入場したことを表す情報を入場情報と記すこととする。入場情報を携帯端末3が取得する手法の一つは、制限エリア51に設置されている無線LANのアクセスポイントから送出されるビーコンと呼ばれる信号を利用する手法である。この場合には、制限エリア51に設置されている無線LANのアクセスポイントの識別情報が予めサーバ2から取得されて記憶装置31に格納される。検知部15は、受信したビーコンから接続中のアクセスポイントの識別情報を検知する。そして、検知部15は、制限エリア51に入場していることを検知していない状態において、接続中のアクセスポイントの識別情報が制限エリア51のアクセスポイントであることを検知した場合に、制限エリア51に入場したことを検知する。
【0041】
あるいは、制限エリア51において、保安検査場54から入場する入口付近に、入場検知用装置を設置しておき、検知部15は、その入場検知用装置から出力される信号によって、制限エリア51に入場したことを検知してもよい。つまり、入場検知用装置とは、例えばRFID(Radio Frequency IDentifier)などの近距離無線通信の技術を利用して、制限エリア51に入場したことを表す信号(以下、入場信号とも記す)を携帯端末3に向けて出力する装置である。検知部15は、そのような入場検知用装置から出力される入場信号を入場情報として受信することにより、制限エリア51に入場したことを検知してもよい。
【0042】
検知部15は、制限エリア51に入場したことを検知すると、入場時刻の情報を携帯端末3に内蔵されている時計(図示せず)から取得し、当該取得した時刻を入場時刻として記憶装置31に格納する機能をも備える。
【0043】
時間算出部16は、ユーザが制限エリア51に入場した後に予め定められた付与タイミングになったことを検知する機能と、制限エリア51に入場してから付与タイミングまでの経過時間を滞在時間として算出する機能とを備えている。付与タイミングとは、制限エリア51で利用可能なクーポンを発行するか否かの抽選を要求する抽選要求を、サーバ2に向けて出力するタイミングである。付与タイミングは、搭乗予定者60であるユーザが飛行機58に搭乗する搭乗時刻までの残り時間や、ユーザによるクーポン抽選の要求や、クーポンを利用した商品の購入に要する買い物時間などを考慮して、予め適宜に設定される。例えば、付与タイミングの具体例として、搭乗時刻までの残り時間が、買い物時間を考慮して予め設定された残り時間(例えば20分)になったときというタイミングが挙げられる。このようなタイミングが付与タイミングとして設定される場合には、時間算出部16が付与タイミングを検知するために、時間算出部16は搭乗時刻の情報を取得する必要がある。このため、例えば、プロセッサ30は、搭乗時刻の情報を取得できるように、ユーザが搭乗時刻の情報を手入力により入力する入力画面を表示制御部17により表示装置33に表示させる機能を備える。また、携帯端末3に飛行機58の電子チケットが格納される場合には、プロセッサ30は、電子チケットから、搭乗時刻の情報を抽出する機能を備えていてもよい。
【0044】
また、付与タイミングの別の例としては、ユーザが手入力によりクーポンの抽選を要求する指令を入力したときというタイミングが挙げられる。このタイミングが付与タイミングとして設定される場合には、プロセッサ30は、ユーザが手入力によりクーポンの抽選を要求するためのアイコンなどを表示制御部17により表示装置33に表示させる機能を備える。
【0045】
時間算出部16は、検知部15によりユーザが制限エリア51に入場したことを検知した後に付与タイミングであることを検知すると、例えば、携帯端末3に内蔵されている時計(図示せず)から時刻の情報を取得する。そして、時間算出部16は、ユーザが制限エリア51に入場した入場時刻から、その取得した付与タイミングの時刻までの時間を制限エリア51の滞在時間として算出する。
【0046】
要求部18は、時間算出部16により制限エリア51の滞在時間が算出されると、算出した滞在時間を表す滞在時間情報にユーザ識別情報を関連付け当該滞在時間情報を抽選要求と共にサーバ2に向けて出力する機能を備えている。
【0047】
表示制御部17は、サーバ2から受け取ったクーポンの抽選結果(当選したか外れたかの結果)を知らせる通知の内容や、発行されるクーポンの内容を表示装置33に表示する機能を備えている。
【0048】
サーバ2と携帯端末3は上記のように構成されている。次に、サーバ2と携帯端末3における誘導システム1に係る動作の一例を説明する。
図5は、携帯端末3における誘導システム1に係る動作の一例を説明するフローチャートである。
図6は、サーバ2における誘導システム1に係る動作の一例を説明するフローチャートである。
【0049】
例えば、まず、搭乗予定者60であるユーザが保安検査場54から制限エリア51に入場し、ユーザの携帯端末3における検知部15が入場情報を取得すると(
図5におけるステップS101)、検知部15は、携帯端末3の内蔵の時計から入場時刻を取得する。
【0050】
その後、時間算出部16が、予め定められた付与タイミングであるか否かを判断する(ステップS102)。そして、時間算出部16は、付与タイミングではないと判断した場合には、付与タイミングであるか否かを判断する判断動作を繰り返す。
【0051】
然る後に、付与タイミングであると判断すると、時間算出部16は、現在時刻を取得し、当該取得した時刻と入場時刻を利用して制限エリア51での滞在時間を算出する(ステップS103)。滞在時間が算出されると、要求部18は、算出された滞在時間を含む滞在時間情報にユーザ識別情報を関連付け、当該滞在時間情報と共に抽選要求をサーバ2に向けて出力する(ステップS104)。
【0052】
その後、サーバ2から抽選結果の情報を受け取ると(ステップS105)、受け取った抽選結果の情報を表示制御部17が表示装置33に表示する(ステップS106)。
【0053】
一方、サーバ2においては、携帯端末3から抽選要求と滞在時間情報を受信部11が受信すると(
図6のステップ201)、付与部12が、滞在時間情報から滞在時間を取得し、滞在時間に対応するクーポンの当選確率を当選確率データから取得する(ステップ202)。そして、付与部12は、クーポンを発行するか否かを、取得した当選確率でもってランダムに決定する抽選を行う(ステップS203)。さらに、複数種のクーポンが用意されている場合には、付与部12は、発行するクーポンの種類を決定する。さらにまた、付与部12は、抽選結果と、クーポンを発行する場合には発行したクーポンの種類を表す情報と、ユーザ識別情報とが関連付けられている発行履歴の情報を生成(更新)し記憶装置22に格納する。
【0054】
抽選後、出力部13は、抽選要求を出力した携帯端末3に向けて、抽選結果を出力する(ステップS204)。
【0055】
第1実施形態の誘導システム1は、上記したように、制限エリア51における滞在時間に応じた当選確率でもってユーザにクーポンを発行する。このため、ユーザ(搭乗予定者60)は、クーポンの当選確率を高めるべく、公共エリア52から制限エリア51に移動するという行動を誘引されると想定される。すなわち、誘導システム1は、公共エリア52から制限エリア51に移動するという行動を取るインセンティブをユーザに与えることができる。これにより、誘導システム1は、搭乗予定者60であるユーザが公共エリア52に長く留まることなく制限エリア51に移動するように誘導することができることにより、公共エリア52の混雑率の低減を図ることができる。公共エリア52の混雑率の低減により、公共エリア52において不審者を発見しやすくなるので、誘導システム1は、テロや犯罪を抑制できるという効果を奏することができる。
【0056】
また、誘導システム1が適用されない場合に比べて、ユーザ(搭乗予定者60)が制限エリア51に滞在する滞在時間が長くなると想定されることから、誘導システム1は、ユーザが店舗57で商品を購買する機会を増加させることができる。これにより、誘導システム1は、店舗57の販売促進を図ることができるという効果を奏することができる。
【0057】
さらに、誘導システム1は、搭乗時刻までの時間に余裕をもって、ユーザ(搭乗予定者60)を制限エリア51に誘導することができるので、搭乗予定者60の搭乗遅れの削減が期待できるという効果を奏することができる。
【0058】
なお、上記した例では、携帯端末3は、クーポンに外れた場合にも、外れたことを表示装置33に表示している。これに代えて、例えば、ユーザが携帯端末3を操作することなく、制限エリア51への入場に関わる処理から、クーポンを発行するか否かを判断する抽選処理までが実行される場合には、クーポンに外れた場合にその旨を表示装置33に表示しなくともよい。ただ、ユーザが携帯端末3を操作することによって、クーポンの抽選結果の表示を要求する指令が携帯端末3に入力された場合には、その指令(要求)に応じて、携帯端末3は、表示制御部17の動作により、クーポンに当選したことだけでなく、外れたことも表示してもよい。
【0059】
また、上記した例では、複数種のクーポンが用意されている場合には、付与部12は、クーポンの発行を決定すると、発行するクーポンの種類を決定(選択)している。これに代えて、例えば、付与部12は、クーポンの発行を決定すると、発行候補としての複数種のクーポンの情報を出力部13を介し、抽選要求を出力した携帯端末3に向けて出力してもよい。これにより、携帯端末3の表示制御部17が、発行候補の複数種のクーポンの情報を表示装置33に表示することとする。そして、表示装置33に表示されている発行候補の複数種のクーポンの中から、ユーザが選択したクーポンの種類が、発行するクーポンの種類として確定する構成としてもよい。この場合には、ユーザにより選択されたクーポンの種類の情報が携帯端末3からサーバ2に送信され、付与部12が、送信されてきた情報に基づいて、抽選結果と、発行したクーポンの種類を表す情報と、ユーザ識別情報とが関連付けられている発行履歴の情報を生成(更新)する。
【0060】
上記のような場合、クーポンの発行が決定した場合に、ユーザにより選択されたクーポンがユーザに発行されることとなるので、誘導システム1は、ユーザの満足度(CS(Customer Satisfaction))を高めることができる。また、例えば、ユーザが購入したばかりの商品の割引クーポンが発行されてしまうというようなユーザの不興を買うと想定される事態を、誘導システム1は避けることができる。
【0061】
<第2実施形態>
以下に、本発明に係る第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態の誘導システム1を構成する構成要素と同一名称部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0062】
第2実施形態では、ユーザが制限エリア51に入場したことを検知する機能と、入場してから付与タイミングまでの制限エリア51でのユーザの滞在時間を算出する機能とは、携帯端末3ではなく、サーバ2が備えている。
【0063】
図7は、第2実施形態の誘導システム1の機能構成を説明するブロック図である。なお、第2実施形態の誘導システム1を構成する携帯端末3は、第1実施形態と同様に、記憶装置31と通信インターフェース32を備えているが、
図7では、それらの図示が省略されている。
【0064】
第2実施形態では、サーバ2のプロセッサ20は、機能部として、受信部11と、付与部12と、出力部13と、算出部14とを備えている。
【0065】
受信部11は、入場情報を受信する機能を備えている。入場情報は、誘導システム1を利用するユーザが空港50の制限エリア51に入場したことを表す情報である。例えば、サーバ2は、航空会社のチケットを管理するチケット管理システムに接続されており、チケット管理システムから、ユーザがチェックインしたチェックイン時刻の情報と、搭乗予定時刻の情報とを取得可能となっているとする。このような場合には、受信部11は、チェックイン時刻および搭乗予定時刻の情報を入場情報として受信する。入場情報には、制限エリア51に入場したユーザを識別するユーザ識別情報が関連付けられている。
【0066】
あるいは、受信部11は、次のよう入場情報を受信してもよい。例えば、制限エリア51において、保安検査場54から入場する入口付近に、システム用の認証情報を取得する取得装置が設置されると共に、誘導システム1を利用するユーザの認証登録情報が予め記憶装置22に登録されているとする。ここでの認証情報とは、認証対象者が予め登録されているユーザであるか否かを判断する認証処理で利用される予め定められた情報であり、例えば、パスワードや、ユーザの顔などの画像というようなユーザの生体情報などである。なお、ユーザの認証登録情報は、ユーザが携帯端末3に入力し当該入力された情報が携帯端末3からサーバ2に送信されることにより、サーバ2の記憶装置22に登録される。また、ユーザの認証登録情報は、サーバ2とは別個の記憶装置であるデータベースに登録されていてもよい。
【0067】
上記のような取得装置が設置されている場合には、受信部11は、取得装置が取得した認証情報を入場情報として受信する。
【0068】
算出部14は、ユーザが制限エリア51に入場したこと、又は、入場することを検知する機能と、入場してから付与タイミングまでの制限エリア51でのユーザの滞在時間を算出する機能とを備える。例えば、受信部11が入場情報としてチェックイン時刻および搭乗予定時刻の情報を受信する場合には、算出部14は、入場情報が受信されたことにより、ユーザが制限エリア51に入場することを検知する。そして、算出部14は、チェックイン時刻と、搭乗予定時刻と、予め与えられている入場時刻算出用データとを利用して、ユーザが制限エリア51に入場する入場時刻を推定する。入場時刻算出用データとは、チェックイン時刻および搭乗予定時刻を利用して入場時刻を算出するデータであり、例えば、実際のチェックイン時刻と搭乗予定時刻と入場時刻との関係を含む多数のサンプルを解析することにより、得られる。推定された入場時刻の情報にはユーザ識別情報が関連付けられる。
【0069】
また、受信部11が入場情報として認証情報を受信する場合には、算出部14は、受信した認証情報と、認証登録情報とを照合し、認証情報に合致する認証登録情報があった場合、認証登録情報から認証情報に対応するユーザを特定する。そして、算出部14は、その特定したユーザが制限エリア51に入場したことを検知する。さらに、算出部14は、認証情報を受信した時刻を入場時刻として取得する。入場時刻の情報には、認証登録情報から得られたユーザ識別情報が関連付けられる。
【0070】
さらに、算出部14は、第1実施形態で述べた時間算出部16と同様に、ユーザが制限エリア51に入場した後に付与タイミングになったことを検知する機能を備える。ここでの付与タイミングとは、制限エリア51で利用可能なクーポンを発行するか否かの抽選を実行するタイミングである。付与タイミングは、ユーザが飛行機58に搭乗する搭乗時刻までの残り時間や、ユーザの要望や、クーポンを利用した商品の購入に要する時間などを考慮して、予め適宜に設定される。算出部14は、第1実施形態で述べた時間算出部16と同様に付与タイミングになったことを検知するため、付与タイミングの検知についての詳細な説明は省略する。なお、付与タイミングとして、ユーザが手入力によりクーポンの抽選を要求する指令を入力したときというタイミングが設定される場合には、携帯端末3におけるプロセッサ30の要求部18がユーザの手入力の指令に応じて抽選要求をサーバ2に向けて出力する。
【0071】
さらにまた、算出部14は、付与タイミングになったことを検知すると、第1実施形態で述べた時間算出部16と同様に、例えば、サーバ2に内蔵されている時計(図示せず)から時刻の情報を取得する。そして、算出部14は、ユーザが制限エリア51に入場したとされる入場時刻から、付与タイミングになった時刻までの時間を滞在時間として算出する。
【0072】
付与部12は、算出部14により滞在時間が算出されると、第1実施形態で述べたと同様に、クーポンを発行するか否かを、滞在時間に応じた当選確率でもってランダムに決定する。また、制限エリア51で利用可能な複数種のクーポンが用意されている場合において、付与部12は、第1実施形態と同様に、発行するクーポンの種類を決定する。
【0073】
出力部13も、第1実施形態における出力部13の機能と同様に、付与部12によるクーポンの抽選結果や、発行するクーポンの内容などを知らせる通知を、クーポン発行先の携帯端末3に向けて出力する。
【0074】
携帯端末3における表示制御部17は、サーバ2から受け取ったクーポンの抽選結果などを知らせる通知の内容を表示装置33に表示する。
【0075】
第2実施形態の誘導システム1における上記以外の機能は第1実施形態と同様である。
【0076】
図8は、第2実施形態の誘導システム1におけるサーバ2の動作例を表すフローチャートである。
図8を参照しつつ、第2実施形態におけるサーバ2の動作例を説明する。例えば、サーバ2の受信部11が入場情報を受信すると(
図8のステップS301)、算出部14が、ユーザが制限エリア51に入場すること、あるいは、入場したことを検知し、入場時刻を取得する。そして、算出部14は、予め定められた付与タイミングであるか否かを判断する(ステップS302)。そして、算出部14は、付与タイミングではないと判断した場合には、付与タイミングであるか否かを判断する判断動作を繰り返す。
【0077】
然る後に、付与タイミングであると判断すると、算出部14は、現在時刻を取得し、当該取得した時刻と入場時刻を利用して制限エリア51での滞在時間を算出する(ステップS303)。滞在時間が算出されると、付与部12が、クーポンを発行するか否かを、滞在時間に応じたクーポンの当選確率でもってランダムに決定する抽選を行う(ステップS304)。さらに、複数種のクーポンが用意されている場合には、付与部12は、発行するクーポンの種類を決定する。さらにまた、付与部12は、抽選結果と、クーポンを発行する場合には発行したクーポンの種類を表す情報と、ユーザ識別情報とが関連付けられているクーポン発行履歴の情報を生成(更新)し、記憶装置22に格納する。
【0078】
抽選後、出力部13は、ユーザの携帯端末3に向けて、抽選結果を出力する(ステップS305)。これにより、ユーザの携帯端末3における表示制御部17の表示制御動作により抽選結果が表示装置33に表示される。
【0079】
第2実施形態の誘導システム1は、第1実施形態と同様に、制限エリア51における滞在時間に応じた当選確率でもってユーザにクーポンを発行する機能を備えている。これにより、第2実施形態の誘導システム1も、第1実施形態と同様な効果である公共エリア52の混雑低減による公共エリア52におけるテロや犯罪の抑制効果と、制限エリア51における店舗57の販売促進の効果と、搭乗予定者60の搭乗遅れの削減の効果とを奏することができる。さらに、第2実施形態の誘導システム1では、ユーザが制限エリア51に入場したこと、あるいは、入場することの検知処理、および、制限エリア51でのユーザの滞在時間の算出処理を携帯端末3ではなく、サーバ2が実行する。このため、第2実施形態の誘導システム1は、第1実施形態に比べて、当該誘導システム1に係る携帯端末3の負荷を軽減できる。
【0080】
<第3実施形態>
以下に、本発明に係る第3実施形態を説明する。この第3実施形態の説明において、第1や第2の実施形態の誘導システム1を構成する構成要素と同一名称部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0081】
第3実施形態における誘導システム1は、第1や第2の実施形態における誘導システム1の機能に加えて、
図9に表されているような確率変更部19がサーバ2に備えられている。確率変更部19は、記憶装置22に格納されている当選確率データにより求まる基本の当選確率を予め与えられている変更ルールに従って変更する機能を備えている。付与部12は、変更後の当選確率を利用してクーポンの抽選を行う。
【0082】
確率変更部19が当選確率を変更するルールとしては、例えば、次のような変更ルールが考えられる。ここで、誘導システム1が提携している提携システム40があり、当該提携システム40がホテルのチェックアウトなどの宿泊状況などを管理するシステムであるとする。この場合における変更ルールとしては、そのシステムから取得したホテルにおけるユーザのチェックアウト時刻から搭乗予定時刻までの時間に応じて当選確率を高めるという変更ルールが考えられる。その当選確率の上乗せ分と、チェックアウト時刻から搭乗予定時刻までの時間(参照時間とも記す)との関係の一例が
図10のグラフに表されている。なお、当選確率の上乗せ分と、チェックアウト時刻から搭乗予定時刻までの時間との関係は、数式により表されてもよい。
【0083】
また、別の変更ルールとしては、例えば、提携システム40がタクシー会社のシステムである場合に、ユーザがそのタクシー会社のタクシーを利用した場合には、予め定められた固定の確率を上乗せ分として当選確率を高めるという変更ルールが考えられる。
【0084】
さらに、別の変更ルールとしては、提携システム40が別の空港における誘導システム1であり、提携システム40におけるクーポンの抽選結果が外れであった場合には、提携システム40が検知した滞在時間に応じて当選確率を高めるという変更ルールが考えられる。その当選確率の上乗せ分と、滞在時間との関係の一例が
図11のグラフに表されている。
【0085】
さらにまた、別の変更ルールとしては、例えば、ユーザが前回、空港50を利用した場合にクーポンの抽選結果が外れであった場合には、予め定められた固定の確率を上乗せ分として当選確率を高めるという変更ルールが考えられる。
【0086】
確率変更部19は、携帯端末3から滞在時間情報をサーバ2が受信したタイミングや、算出部14が滞在時間を算出したタイミングでもって、上記したような変更ルールに基づいて当選確率を変更する必要があるか否かを判断する。そして、変更する必要があると判断した場合には、確率変更部19は、変更ルールに従って当選確率の上乗せ分を決定する。また、確率変更部19は、決定した滞在時間に応じた当選確率を当選確率データから取得する。さらに、確率変更部19は、取得した当選確率に、決定した上乗せ分を加算することにより、変更後の当選確率を算出する。
【0087】
付与部12は、当選確率データに基づいた基本の当選確率を利用するのに代えて、確率変更部19により算出された変更後の当選確率を利用して、クーポンの抽選処理を実行する。
【0088】
なお、滞在時間に基づいて記憶装置22の当選確率データから取得した当選確率に、変更ルールに基づいた当選確率の上乗せ分を加算することによって当選確率を変更するのに代えて、確率変更部19は、次のように当選確率を変更してもよい。例えば、記憶装置22に格納されている当選確率データを基本の当選確率データとし、この基本の当選確率データを変更する変更ルールが予め定められて記憶装置22に格納されているとする。変更ルールの一例としては、当選確率データが
図4のようなシグモイド関数で表されるデータである場合には、提携システム40から取得した情報に基づいてシグモイド関数のバイアス項を変化させてシグモイド関数を
図4の点線Lのようにシフトさせるルールが挙げられる。また、当選確率データが一次関数で表されるデータである場合には、変更ルールの別の一例として、提携システム40から取得した情報に基づいて一次関数の傾きやバイアス項(切片)を大きくする方向に変化させるルールが挙げられる。つまり、変更ルールの例として、提携システム40に関連するホテルやタクシーや別の空港を利用した場合には、滞在時間に応じた当選確率が高くなる方向に当選確率データが変更されるルールが挙げられる。
【0089】
このような変更ルールが定められている場合には、確率変更部19は、携帯端末3から滞在時間情報をサーバ2が受信したタイミングや、算出部14が滞在時間を算出したタイミングでもって、変更ルールに基づいた当選確率データの変更の要否を判断する。そして、当選確率データの変更が必要と判断した場合には、確率変更部19は、変更ルールに従って当選確率データを変更し、変更後の当選確率データを付与部12に出力する。
【0090】
この場合には、付与部12は、記憶装置22における基本の当選確率データを利用するのに代えて、確率変更部19により変更された変更後の当選確率データを利用して当選確率を取得し、クーポンの抽選処理を実行する。
【0091】
なお、上記のように当選確率が変更されることがある場合には、変更後の当選確率が、予め設定されている当選確率の上限値(例えば100%)よりも大きくならないように、当選確率データと変更ルールは互いに考慮されて設定される。
【0092】
第3実施形態における誘導システム1の上記以外の機能は第1や第2の実施形態における機能と同様である。
【0093】
第3実施形態の誘導システム1は、第1あるいは第2の実施形態の誘導システム1と同様のクーポン発行機能を備えているので、第1や第2の実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第3実施形態では、空港50と提携している施設等を利用することや、空港50の利用の回数が考慮されてクーポンの当選確率が高くなる方向に変更される。このため、第3実施形態の誘導システム1は、空港50の利用や、空港50を利用する際に空港50と提携している施設等の利用の促進を図ることができる。
【0094】
<第4実施形態>
以下に、本発明に係る第4実施形態を説明する。第4実施形態の説明において、第1や第2の実施形態の誘導システムを構成する構成部分と同一名称部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0095】
第4実施形態の誘導システム1は、第1あるいは第2の実施形態のようにクーポンを発行するのに代えて、滞在時間に応じたポイントを付与する機能を備えている。ポイントとは、商品(サービスを含む)を購入する際にポイント数に応じた割引を受けられたり、商品券などの金券に交換したりすることが可能なものであり、誘導システム1に協賛している店舗57で利用可能となっている。
【0096】
すなわち、第4実施形態では、サーバ2の記憶装置22には、滞在時間と、付与するポイント数(以下、付与ポイント数とも記す)との関係データが付与ポイントデータとして予め与えられている。付与ポイントデータの一例が
図12に表されている。付与ポイントデータは、滞在時間をパラメータとして、付与ポイント数を算出する数式により表されてもよい。
【0097】
また、記憶装置22、あるいは、サーバ2に接続されているデータベース(図示せず)には、ユーザ識別情報に関連付けられて、空港50の制限エリア51にユーザが入場した日時の情報(入場時刻の情報)および当該入場による付与ポイント数の情報と、ポイントが使用された日時および使用したポイント数の情報と、付与や使用により変更された変更後の利用可能なポイント数の情報とが例えば時系列に格納されている。さらに、携帯端末3の識別情報と、当該携帯端末3のユーザを識別するユーザ識別情報との関係データが記憶装置22に格納されている。
【0098】
付与部12は、携帯端末3における時間算出部16やサーバ2における算出部14により算出された滞在時間の情報を受け取ると、付与ポイントデータを利用して、滞在時間に応じた付与ポイント数を取得する。そして、付与部12は、取得した付与ポイント数を、滞在時間の情報に関連付けられているユーザ識別情報と同じユーザ識別情報に関連付けられて記憶装置22あるいはデータベースに格納されている利用可能なポイント数に加算する。
【0099】
出力部13は、制限エリア51への入場により取得した付与ポイント数、および、当該付与ポイント数が加算された利用可能なポイント数の情報を、ユーザ識別情報を利用して、ポイントが加算された携帯端末3に向けて出力する。そのような情報を受信した携帯端末3の表示制御部17は、受信した情報を表示装置33に表示する。
【0100】
第4実施形態の誘導システム1における上記以外の機能は、第1あるいは第2の実施形態の機能と同様である。ただ、第1実施形態のように携帯端末3からサーバ2に向けて滞在時間情報と共に出力される指令は、抽選要求ではなく、ポイントの付与を要求する付与要求の指令となる。
【0101】
第4実施形態の誘導システム1は、制限エリア51での滞在時間に応じてユーザにポイント数を付与する機能を備えている。この第4実施形態の誘導システム1においても、第1や第2の実施形態のようにクーポンを発行する場合と同様の効果である公共エリア52におけるテロや犯罪の抑制効果と、制限エリア51における店舗57の販売促進の効果と、搭乗予定者60の搭乗遅れの削減の効果とを奏することができる。
【0102】
なお、第4実施形態の誘導システム1が提携しているホテルやタクシー会社などの提携システム40があり、提携システム40からユーザのホテルやタクシーを利用した情報を取得できるとする。この場合には、誘導システム1は、制限エリア51での滞在時間に応じたポイント数に、ホテルやタクシーの利用に応じた予め定められているポイント数を加算したポイントを付与ポイント数としてもよい。
【0103】
また、第4実施形態の誘導システム1が、ポイントを付与する別のシステムと提携することにより、誘導システム1が付与するポイントを、制限エリア51における店舗57以外でも利用可能としてもよい。このような場合には、付与されるポイントの利用が制限エリア51に限定されないことから、ポイントを制限エリア51で使用することを考慮して搭乗時刻よりも例えば30分前にポイントを付与する等の配慮をせずに、誘導システム1は、ポイントを付与してもよい。これにより、ポイントを付与する付与タイミングは、例えば、制限エリア51におけるアクセスポイントがユーザの携帯端末3と接続しなくなったことにより、ユーザが制限エリア51から飛行機58に搭乗したことを検知したタイミングでもよい。また、ポイントの付与タイミングは、例えば、制限エリア51におけるアクセスポイントとユーザの携帯端末3との接続状態により、ユーザが搭乗の待合席に所定の時間(例えば20分間)動かず、搭乗間近であることを検知したタイミングであってもよい。
【0104】
図13には、本発明に係る誘導システムを構成する情報処理装置の基本構成を表すブロック図が表されている。この情報処理装置70は、例えばプロセッサにより実現される付与部71と出力部72を基本構成として備えている。
【0105】
付与部71は、飛行機に搭乗する搭乗予定者であるユーザが、制限エリアでの滞在時間に基づいて制限エリアで提供される商品に交換可能なクーポンを発行するか否かを判断するか、あるいは、制限エリアで提供される商品に交換可能なポイント数を算出する。制限エリアとは、保安検査後に飛行機に搭乗するまで搭乗予定者が滞在する領域である。また、制限エリアでの滞在時間とは、制限エリアに入場してから予め定められた付与タイミングまでの経過時間である。
【0106】
出力部72は、付与部71によりクーポンを発行すると判断された場合に当該クーポンを発行することを知らせる情報、あるいは、付与部71により算出されたポイント数の情報をユーザの携帯端末に出力する。
【0107】
このような基本構成を持つ情報処理装置70は、
図14に表されるような誘導システム74を構築する。誘導システム74は、情報処理装置70と共に、携帯端末75とを備える。携帯端末75は、誘導システム74のユーザが所持している端末であり、表示装置76を備える。表示装置76は、情報処理装置70の出力部72により出力された情報を表示する。携帯端末75は、さらに、例えばプロセッサにより実現される時間算出部77を備えていてもよい。時間算出部77は、ユーザが制限エリアに入場したことを表す情報の受信により取得された入場時刻から付与タイミングまでの滞在時間を算出する機能を備える。
【0108】
情報処理装置70を備える誘導システム74は、第1~第4の実施形態と同様に、公共エリア52から制限エリア51に誘導するインセンティブを搭乗予定者であるユーザに付与することができる。これにより、誘導システム74は、第1~第4の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0109】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0110】
1,74 誘導システム
2 サーバ
3,75 携帯端末
12,71 付与部
13,72 出力部
14 算出部
15 検知部
16,77 時間算出部
19 確率変更部
33,76 表示装置
51 制限エリア
52 公共エリア
57 店舗