(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】回転機構及び天井搬送車
(51)【国際特許分類】
F16H 37/02 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
F16H37/02 B
(21)【出願番号】P 2023510677
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 JP2022007930
(87)【国際公開番号】W WO2022209486
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-07-10
(31)【優先権主張番号】P 2021060553
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】虎澤 政佳
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 靖久
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05105672(US,A)
【文献】国際公開第2007/026724(WO,A1)
【文献】特表平06-511429(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0246983(US,A1)
【文献】特開2005-225598(JP,A)
【文献】国際公開第2020/090288(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部分と、
前記第1部分に対して相対的に回転する第2部分と、
前記第1部分及び前記第2部分のいずれか一方に設けられるストッパと、
前記第1部分及び前記第2部分のいずれか他方に設けられ、前記ストッパに係止される被係止部と、を備
え、
前記第1部分は、
回転中心となる円筒部材と、
前記円筒部材の外周面に巻き付けられ、両端のそれぞれが前記外周面に固定されている巻き掛け伝動部材と、を備え、
前記第2部分は、前記円筒部材の前記外周面と前記巻き掛け伝動部材との間で、前記巻き掛け伝動部材の内周面に噛み合う回転駆動部を備え、
前記巻き掛け伝動部材は、前記円筒部材の外周の一周を越えて、かつ回転の軸線
の方向にずらして巻き付けら
れ、
前記ストッパ及び前記被係止部は、前記第1部分と前記第2部分との相対的な回転角度範囲が少なくとも0°から360°となるように配置され、
前記ストッパは、
前記軸線と平行に延びる揺動軸を中心として揺動可能な腕部と、
前記腕部の先端に設けられ、前記被係止部と当接して前記被係止部を係止する当接部と、を備え、
前記第1部分と前記第2部分とが所定方向に相対的に回転した際及び前記所定方向と反対方向に回転した際の双方において、前記被係止部は、前記当接部に当接して前記腕部を揺動させた後に係止される、回転機構。
【請求項2】
前記腕部は、前記軸線に対する放射方向に沿って延びる位置に弾性的に保持されている、請求項
1に記載の回転機構。
【請求項3】
前記被係止部は、前記当接部に接触する部分にテーパ面が設けられている、請求項
1又は請求項
2に記載の回転機構。
【請求項4】
前記回転駆動部は、前記巻き掛け伝動部材の前記軸線
の方向におけるずれに対応して、前記軸線と平行な方向において前記巻き掛け伝動部材の幅よりも長い駆動面を備える、請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の回転機構。
【請求項5】
天井軌道を走行する走行部本体と、
物品を移載する移載装置と
、
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の回転機構
と、を備え、
前記回転機構は、前記走行部本体と前記移載装置との間に設けられ、
前記第1部分は、前記走行部本体の一部であり、
前記第2部分は、前記移載装置の一部である、天井搬送車。
【請求項6】
前記回転機構は、前記移載装置を前記走行部本体に対して鉛直方向の軸まわりに回転させる、請求項
5に記載の天井搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転機構及び天井搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
第1部分と第2部分とを相対的に回転させるために、ベルト等の巻き掛け伝動部材を利用した回転機構が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の回転機構において、環状(無端状)のベルト(いわゆるクローズドベルト)は、第1部分及び第2部分のいずれか一方に備える円筒部材の外周面に巻き付けられている。また、第1部分及び第2部分のいずれか他方に備える回転駆動部は、円筒部材の外周面とベルトとの間に配置されている。回転駆動部は、ベルトの内周面に噛み合っており、回転することで、ベルトの内周面を手繰り寄せて円筒部材の外側を周回する。その結果、第1部分と第2部分とが相対的に回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した回転機構では、ベルトが環状であるため、ベルト交換作業の際に第1部分と第2部分とを分離する必要があり、作業が面倒で時間がかかるだけでなく、作業者の負担も大きくなる。また、ベルトを環状とせずに、端部を有するベルト(いわゆるオープンエンドベルト)を円筒部材の外周面に巻き付け、両端を突き合わせた状態で円筒部材に固定する構成も考えられる。しかし、端部を有するベルトを用いる構成では、ベルトの両端が円筒部材に固定されるため、この固定部分を回転駆動部が手繰り寄せることができず、第1部分と第2部分との相対的な回転角度範囲に制限が生じてしまう。すなわち、端部を有するベルトを用いる構成では、第1部分と第2部分との相対的な回転を0°から360°未満でしか実現できない。
【0005】
本発明は、巻きかけ伝動部材の交換作業を容易に行うことを可能として作業者の負担を軽減しつつ、第1部分と第2部分とを0°から360°以上相対的に回転させることが可能な回転機構及びこの回転機構を備える天井搬送車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、回転機構である。回転機構は、第1部分を備える。回転機構は、第1部分に対して相対的に回転する第2部分を備える。第1部分は、回転中心となる円筒部材を備える。第1部分は、円筒部材の外周面に巻き付けられ、両端のそれぞれが外周面に固定されている巻き掛け伝動部材を備える。第2部分は、円筒部材の外周面と巻き掛け伝動部材との間で、巻き掛け伝動部材の内周面に噛み合う回転駆動部を備える。巻き掛け伝動部材は、円筒部材の外周の一周を越えて、かつ回転の軸線方向にずらして巻き付けられる。ストッパ及び被係止部は、第1部分と第2部分との相対的な回転角度範囲が少なくとも0°から360°となるように配置される。ストッパは、軸線と平行に延びる揺動軸を中心として揺動可能な腕部を備える。ストッパは、腕部の先端に設けられ、被係止部と当接して被係止部を係止する当接部を備える。第1部分と第2部分とが所定方向に相対的に回転した際及び所定方向と反対方向に回転した際の双方において、被係止部は、当接部に当接して腕部を揺動させた後に係止される。
【0007】
本発明の一態様は、天井搬送車である。天井搬送車は、天井軌道を走行する走行部本体を備える。天井搬送車は、物品を移載する移載装置を備える。天井搬送車は、上記態様の回転機構を備える。回転機構は、走行部本体と移載装置との間に設けられる。第1部分は、走行部本体の一部である。第2部分は、移載装置の一部である。
【発明の効果】
【0008】
上記態様の回転機構によれば、巻き掛け伝動部材が端部を有する構成であるため、巻きかけ伝動部材の両端の固定を解除することで、ベルトを容易に交換することができる。その結果、ベルト交換作業を行う作業者の負担を軽減できる。また、巻き掛け伝動部材が円筒部材の外周の一周を越えて、かつ回転の軸線方向にずらして巻き付けられるため、第1部分と第2部分とを360°以上相対的に回転させることができる。すなわち、端部を有するベルト(環状でないベルト)を用いる場合であっても、第1部分と第2部分とをより大きな回転角度範囲で相対的に回転させることができる。
【0009】
また、上記態様の回転機構において、第1部分及び第2部分のいずれか一方に設けられるストッパと、第1部分及び第2部分のいずれか他方に設けられ、ストッパに係止される被係止部と、を備え、ストッパ及び被係止部が、第1部分と第2部分との相対的な回転角度範囲が少なくとも0°から360°となるように配置される構成であってもよい。この構成によれば、第1部分と第2部分とが所望の回転角度範囲を超えて回転するのを確実に規制できる。さらに、ストッパ及び被係止部材を見ることで、第1部分と第2部分との回転状態を容易に区別することができる。また、上記態様の回転機構において、ストッパが、軸線と平行に延びる揺動軸を中心として揺動可能な腕部と、腕部の先端に設けられ、被係止部と当接して被係止部を係止する当接部とを備え、第1部分と第2部分とが所定方向に相対的に回転した際、及び所定方向と反対方向に回転した際の双方において、被係止部が、当接部に当接して腕部を揺動させた後に係止される構成であってもよい。この構成によれば、腕部が揺動可能であるため、第1部分と第2部分とを相対的に360°以上回転させることができる。さらに、腕部の揺動状態を見ることで、第1部分と第2部分との回転状態をより一層容易に区別することができる。
【0010】
また、上記態様の回転機構において、腕部が、軸線に対する放射方向に沿って延びる位置に弾性的に保持される構成であってもよい。この構成によれば、腕部が放射方向に延びた状態で弾性的に保持されているので、被係止部を確実に当接部に当接させることができる。また、上記態様の回転機構において、被係止部が、当接部に接触する部分にテーパ面が設けられる構成であってもよい。この構成によれば、テーパ面に当接部が当たることで、腕部を容易に揺動させることができる。また、上記態様の回転機構において、回転駆動部が、巻き掛け伝動部材の軸線方向におけるずれに対応して、軸線と平行な方向において巻き掛け伝動部材の幅よりも長い駆動面を備える構成であってもよい。この構成によれば、巻き掛け伝動部材が回転駆動部から外れることを抑制できる。
【0011】
上記態様の天井搬送車によれば、上記態様の回転機構を備えるため、ベルト交換作業を容易にしつつ、走行部本体に対して移載装置を360°以上回転させることができる。また、上記態様の天井搬送車において、回転機構が、移載装置を天井搬送車の走行部本体に対して鉛直方向の軸まわりに回転させる構成であってもよい。この構成によれば、移載装置を鉛直方向の軸まわりに大きな回転角度範囲で回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係る回転機構の一例を示す斜視図である。
【
図2】回転機構を回転の軸線の方向から見た図である。
【
図3】回転駆動部が巻き掛け伝
動部材の第2端部側に配置される場合の一例を示す図である。
【
図4】回転駆動部が巻き掛け伝
動部材の第1端部側に配置される場合の一例を示す図である。
【
図5】ストッパ及び被係止部を備える回転機構の一例を示す斜視図である。
【
図6】ストッパを軸線の方向から見た場合の一例を示す図である。
【
図7】ストッパに被係止部が係止された状態の一例を示す図である。
【
図8】ストッパに被係止部が係止された状態の他の一例を示す図である。
【
図9】ストッパ及び被係止部を備える回転機構の他の例を示す斜視図である。
【
図10】ストッパに被係止部が係止された状態の一例を示す図である。
【
図11】ストッパに被係止部が係止された状態の他の例を示す図である。
【
図12】本実施形態に係る天井搬送車の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は以下に説明する構成に限定されない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きく又は強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現しており、実際の製品とは形状、寸法等が異なっている場合がある。
図1から
図12では、図中の一方向をZ方向とし、Z方向と平行な軸まわりの方向をθZ方向としている。紙面において時計回り方向を+θZ方向とし、反時計回り方向を-θZ方向としている。また、
図12においては、XYZ直交座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ直交座標系において、水平面に平行な平面をXY平面とする。XY平面に垂直な方向はZ方向と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の指す方向が+方向であり、矢印の指す方向とは反対の方向が-方向であるとして説明する。
【0014】
<回転機構>
図1は、本実施形態に係る回転機構100の一例を示す斜視図である。
図2は、回転機構100を回転の軸線AX1の方向から見た図である。
図1及び
図2に示すように、回転機構100は、第1部分10と、第2部分20とを備える。第1部分10と第2部分20とは、軸線AX1まわりに相対的に回転可能な形態で接続されている。例えば、第1部分10が固定され、第2部分20が第1部分10に吊り下げられた状態で回転可能に設けられる。この場合、第2部分20は、第1部分10に対して吊り下げられた状態で軸線AX1まわりに回転する。また、第2部分20が固定され、第1部分10が第2部分20に対して軸線AX1まわりに回転する形態であってもよい。
【0015】
第1部分10は、円筒部材11と、巻き掛け伝動部材12とを備える。円筒部材11は、軸線AX1を中心としてZ方向に延びる円筒状である。円筒部材11は、外周面11cに凹部11a、11bを有する。凹部11aと凹部11bとは、外周面11cの周方向にずれて設けられている。また、凹部11aは、円筒部材11の外周面11cにおいて+Z側に配置される。凹部11bは、円筒部材11の外周面11cにおいて-Z側に配置される。外周面11cのZ方向の寸法は、巻き掛け伝動部材12の幅の2倍以上に設定されている。
【0016】
巻き掛け伝動部材12は、帯状(ベルト状)であり、円筒部材11の外周面11cに巻き掛けられる。巻き掛け伝動部材12は、長手方向の両端、つまり一方の端部である第1端部12a、及び他方の端部である第2端部12bのそれぞれが円筒部材11の外周面11cに固定される。第1端部12aは、固定具13aにより外周面11cに形成された凹部11aに着脱可能に固定される。第2端部12bは、固定具13bにより外周面11cに形成された凹部11bに着脱可能に固定される。第1端部12a及び第2端部12bは、それぞれ固定具13a、13bを外すことにより、凹部11a、11bに対して(円筒部材11に対して)取り外し可能である。
【0017】
巻き掛け伝動部材12は、上記のように、長手方向の一方の端部である第1端部12aと、長手方向の他方の端部である第2端部12bとが、軸線AX1の軸線方向(Z方向)にずれた位置に固定される。従って、巻き掛け伝動部材12は、円筒部材11の外周の一周を超えて、かつ軸線AX1方向にずらして巻き付けられている。換言すると、巻き掛け伝動部材12は、円筒部材11の径方向に重ならないように外周面11cに巻き付けられている。さらに換言すると、巻き掛け伝動部材12は、円筒部材11の外周面11cに、軸線AX1の軸線方向を中心として螺旋状に巻き付けられている。
【0018】
巻き掛け伝動部材12の第1端部12a及び第2端部12bは、それぞれ凹部11a、11bに固定されているので、固定具13a、13bが円筒部材11の外周面11cから外側に突出しない。この構成により、後述する回転駆動部23及びプーリ24が固定具13a、13bと干渉するのを防止できる。また、巻き掛け伝動部材12の内面は、凹凸がない面であってもよいし、後述する回転駆動部23と噛み合うことが可能な波形が形成されてもよい。また、巻き掛け伝動部材12は、弾性を有してもよいし、弾性を有しなくてもよい。
【0019】
第2部分20は、ベース部材21と、モータ22と、回転駆動部23と、2つのプーリ24、25とを備える。ベース部材21は、円筒部材11に対して-Z側に配置される。ベース部材21は、例えば板状であり、+Z側の第1面21a及び-Z側の第2面21bを有する。ただし、ベース部材21の形態は任意であり、モータ22、回転駆動部23、及びプーリ24を保持可能であれば、ブロック状、フレーム状など、任意の形態を適用することができる。
【0020】
モータ22は、ベース部材21の第2面21b側に配置される。モータ22は、例えば電動モータ等が適用され、出力軸22aを回転させる。モータ22は、出力軸22aを+θZ方向及び-θZ方向の双方向に回転させることが可能である。モータ22による出力軸22aの回転量及び回転方向は、図示しない制御部等によって制御される。出力軸22aは、第2面21b側からベース部材21を貫通して第1面21a側に突出した状態で配置される。
【0021】
回転駆動部23は、ベース部材21の第1面21a側に配置される。回転駆動部23は、出力軸22aに装着され、出力軸22aと一体で回転する。回転駆動部23は、例えば円柱状又は円筒状である。回転駆動部23の外周面23aは、巻き掛け伝動部材12の内周面12cを手繰り寄せる駆動面である。回転駆動部23の外周面23aには、一周にわたってローレット23bが形成される。ローレット23bは、巻き掛け伝動部材12の内周面12cが波形に形成されている場合、この波形に噛み合った状態となる。回転駆動部23は、軸線AX1の方向から見て、円筒部材11の外周面11cから離間して配置される。したがって、
図1及び
図2に示すように、巻き掛け伝動部材12は、一部が円筒部材11の外周面11cから径方向に引き出されて、回転駆動部23の外周面23aに巻き付けられた状態で配置される。外周面23aのZ方向の寸法は、巻き掛け伝動部材12の幅の2倍以上に設定されている。なお、外周面23aのZ方向の寸法の詳細については後述する。
【0022】
2つのプーリ24、25は、それぞれベース部材21において回転可能に設けられている。プーリ24は、巻き掛け伝動部材12のうち第1端部12aから-θZ方向に延びる部分を押さえる。プーリ25は、巻き掛け伝動部材12のうち第2端部12bから+θZ方向に延びる部分を押さえる。回転駆動部23とプーリ24、25との相対位置は固定されている。2つのプーリ24、25によって、回転駆動部23の外周面23aに広い範囲で巻き掛け伝動部材12を巻き付けることができる。プーリ24、25のZ方向の寸法は、回転駆動部23の外周面23aと同一又はほぼ同一に設定されている。なお、プーリ24、25を設けるか否かは任意である。すなわち、プーリ24、25は、第2部分20に備えていなくてもよい。
【0023】
回転駆動部23が回転軸AX2まわりに回転することにより、巻き掛け伝動部材12が回転駆動部23によって手繰り寄せられ、回転駆動部23と巻き掛け伝動部材12とが相対的に移動する。本実施形態では、第1部分10が固定されているため、回転駆動部23が巻き掛け伝動部材12に対して軸線AX1まわりに移動する。この回転駆動部23の移動により、ベース部材21は、円筒部材11に対して軸線AX1まわりに回転する。例えば、回転駆動部23が、回転軸AX2を中心として-θZ方向に回転する場合、回転駆動部23は、円筒部材11の周りを+θZ方向に向けて回転する。また、回転駆動部23が、回転軸AX2を中心として+θZ方向に回転する場合、回転駆動部23は、円筒部材11の周りを-θZ方向に向けて回転する。回転駆動部23は、
図2に示す位置から、+θZ方向に360°以上回転することができる。
【0024】
図3及び
図4は、回転機構100を回転の軸線AX1と直交する方向から見た図である。
図3は、回転駆動部23が巻き掛け伝動部材12の第2端部12b側に配置される場合の一例を示している。
図4は、回転駆動部23が巻き掛け伝動部材12の第1端部12a側に配置される場合の一例を示している。なお、
図3及び
図4では、回転駆動部23の外周面23aのローレット23bを省略している。
【0025】
図3及び
図4に示すように、回転駆動部23の外周面23aは、巻き掛け伝動部材12の軸線AX1方向におけるずれに対応して、軸線AX1と平行な方向(Z方向)において巻き掛け伝動部材12の幅よりも長くなるように設けられている。具体的には、回転駆動部23のZ方向の寸法H2は、巻き掛け伝動部材12のZ方向の幅H1の2倍よりも長い。この構成により、回転駆動部23が巻き掛け伝動部材12の第1端部12aの近傍から第2端部12bの近傍に亘って移動する間、巻き掛け伝動部材12が回転駆動部23から外れることを抑制できる。
【0026】
巻き掛け伝動部材12は、径方向に重なることなく円筒部材11の外周に一周を超えて巻かれており、第1端部12a及び第2端部12bから所定の長さの部分同士がZ方向に並んだ状態で配置される。すなわち、巻き掛け伝動部材12は、円筒部材11に螺旋状に巻き付いた状態となっている。従って、回転駆動部23の外周面23aにおける巻き掛け伝動部材12のZ方向の位置は、回転駆動部23の回転位置(第1部分10と第2部分20との相対位置)に応じて移動する。
図3に示すように、回転駆動部23のZ方向の寸法H2を、巻き掛け伝動部材12の幅H1の2倍よりも長くすることにより、円筒部材11の周りを回転駆動部23が一周する間に、巻き掛け伝動部材12が回転駆動部23の外周面23aから外れることを防止できる。
【0027】
例えば、
図3に示すように、回転駆動部23が巻き掛け伝動部材12の第1端部12a側(第1端部12aの近傍)に配置される場合には、回転駆動部23の外周面23aにおいて、-Z側の部分に巻き掛け伝動部材12が巻き付けられた状態となっている。また、
図4に示すように、回転駆動部23が巻き掛け伝動部材12の第2端部12b側(第2端部12bの近傍)に配置される場合には、回転駆動部23の外周面23aにおいて、+Z側の部分に巻き掛け伝動部材12が巻き付けられた状態となっている。
【0028】
このように、本実施形態に係る回転機構100によれば、巻き掛け伝動部材12が第1端部12a及び第2端部12bを有する構成であるため、第1端部12a及び第2端部12bの固定を解除することで、巻き掛け伝動部材12を容易に交換することができる。その結果、巻き掛け伝動部材12の交換作業を行う作業者の負担を軽減できる。また、巻き掛け伝動部材12が円筒部材11の外周の一周を越えて、かつ回転の軸線AX1の方向にずらして巻き付けられるため、第1部分10と第2部分20とを360°以上相対的に回転させることができる。すなわち、第1端部12a及び第2端部12bを有するベルト(環状でないベルト)を用いる場合であっても、第1部分10と第2部分20とをより大きな回転角度範囲で相対的に回転させることができる。
【0029】
図5は、ストッパ30及び被係止部40を適用した回転機構100Aの一例を示す斜視図である。
図5に示すように、回転機構100Aは、上記した回転機構100の構成に加えて、ストッパ30及び被係止部40を備える。なお、
図5では、モータ22、回転駆動部23、及びプーリ24、25の記載を省略している。また、上記した実施形態と同一の部材については同一の符号を付して、説明を省略又は簡略化している。
図5に示すように、回転機構100Aは、第1部分10にストッパ30が設けられ、第2部分20に被係止部40が設けられるが、この形態に限定されない。例えば、ストッパ30が第2部分20に設けられ、被係止部40が第1部分10に設けられる形態であってもよい。
【0030】
回転機構100Aは、ストッパ30及び被係止部40を備えることにより、第1部分10と第2部分20との間の相対的な回転を所定の回転角度範囲(回転範囲)内に規制することができる。本実施形態の回転機構100Aでは、第1部分10と第2部分20との相対的な回転角度範囲を0°から360°以上となるように設定されている。すなわち、第1部分10と第2部分20とは、少なくとも0°から360°の回転角度範囲(少なくとも1回転する回転角度範囲)で相対的に回転することが許容されている。
【0031】
図6は、ストッパ30を軸線AX1の方向から見た場合の一例を示す図である。
図6に示すように、ストッパ30は、腕部31と、当接部32、保持ブロック33とを有する。腕部31は、軸線AX1と平行に延びる揺動軸AX3を中心として揺動可能に保持ブロック33に設けられる。保持ブロック33は、円筒部材11の上面側(+Z面側)に固定されている。腕部31は、基部31a及び先端部31bを有する。基部31aは、保持ブロック33に揺動可能に取り付けられる。腕部31は、保持ブロック33の上面側から円筒部材11の外側に向けて延びるように設けられる。
【0032】
保持ブロック33は、腕部31を、軸線AX1に対する放射方向D1に沿って延びる方向に弾性的に保持する弾性部材35を備える。弾性部材35は、例えば、コイルスプリング、板バネなどが用いられる。腕部31は、
図6に示すように、弾性部材35の弾性力に抗して、放射方向D1に沿った状態から、揺動軸AX3を中心とする軸まわりに揺動可能となっている。また、腕部31は、揺動軸AX3を中心として揺動した場合、弾性部材35による復元力が作用して、放射方向D1に沿って延びた状態に戻る。
【0033】
当接部32は、腕部31の先端部31bに設けられる。当接部32は、被係止部40と当接して被係止部40を係止する。当接部32は、例えば腕部31に対して回転可能に支持されるローラである。当接部32は、揺動軸AX3に平行な回転軸AX4を中心として回転可能である。当接部32がローラであることにより、被係止部40との接触を円滑にすることができる。ただし、当接部32は、ローラに代えて、例えば円柱状の棒状体が用いられてもよい。腕部31、当接部32、及び保持ブロック33は、回転駆動部23及びプーリ24、25よりも+Z側に離れて配置されている。その結果、第1部分10と第2部分20とが相対的に回転した場合に、回転駆動部23及びプーリ24、25が、腕部31、当接部32、及び保持ブロック33に干渉することを回避できる。
【0034】
被係止部40は、
図5に示すように、ベース部材21の第1面21aに固定される。被係止部40は、ベース部材21と一体となって円筒部材11の周りを回転する。被係止部40は、基部41及び先端部42を有する。基部41は、第1面21aから+Z方向に延びる支柱41aの上端に固定される。支柱41aによって、基部41及び先端部42をストッパ30の当接部32の高さに保持している。先端部42は、基部41から軸線AX1に向けて延びるように設けられている。すなわち、基部41及び先端部42は、軸線AX1からの放射方向D1に沿って配置されている。
【0035】
先端部42は、ストッパ30の当接部32に接触する部分である。先端部42は、当接部32に接触する部分にテーパ面42aが設けられる。テーパ面42aは、先端部42のうち、軸線AX1の軸周り方向の両側に設けられる。このテーパ面42aにより、軸線AX1の方向から見て先端部42が先細りとなるように形成される。テーパ面42aは、当接部32との接触を円滑にするために設けられている。なお、テーパ面42aを設けるか否かは任意であり、テーパ面42aが設けられない形態であってもよい。
【0036】
図7及び
図8は、回転機構100Aを軸線AX1の方向から見た場合の一例を示し、ストッパ30及び被係止部40の動作の一例を示す図である。
図7は、ストッパ30に被係止部40が係止された状態の一例を示す図である。
図8は、ストッパ30に被係止部40が係止された状態の他の一例を示す図である。
図7及び
図8に示すように、第1部分10に対して第2部分20が+θZ方向に相対的に回転した際及び-θZ方向に相対的に回転した際の双方において、被係止部40は、当接部32に当接して腕部31を揺動させた後に係止される。
【0037】
図7に示すように、第1部分10に対して第2部分20が+θZ方向(図中、時計回りの方向)に相対的に回転する場合、被係止部40は、第2部分20の回転に伴って+θZ方向に移動する。被係止部40が+θZ側からストッパ30に達すると、まず先端部42のテーパ面42aがストッパ30の当接部32に接触する。テーパ面42aが当接部32に当接した状態でさらに第2部分20が+θZ方向に回転すると、テーパ面42aによって当接部32が+θZ方向に押され、腕部31を+θZ方向に揺動させる。このとき、当接部32は、テーパ面42aに押されながら回転軸AX4まわりに回転する。腕部31は、+θZ方向に揺動した後、揺動が止まる位置で被係止部40を係止する。その結果、第2部分20は、+θZ方向への回転が規制された状態となる。
【0038】
なお、
図7に示す状態から、第1部分10に対して第2部分20が-θZ方向(図中、反時計回りの方向)に相対的に回転すると、被係止部40のテーパ面42aから離れた腕部31は、弾性部材35の弾性力によって-θZ方向に揺動し、放射方向D1に沿って延びた元の状態に戻る。
【0039】
また、
図8に示すように、第1部分10に対して第2部分20が-θZ方向(図中、反時計回りの方向)に相対的に回転する場合、被係止部40は、第2部分20の回転に伴って-θZ方向に移動する。被係止部40が-θZ側からストッパ30に達すると、まず先端部42のテーパ面42aがストッパ30の当接部32に接触する。テーパ面42aが当接部32に当接した状態でさらに第2部分20が-θZ方向に回転すると、テーパ面42aによって当接部32が-θZ方向に押され、腕部31を-θZ方向に揺動させる。このとき、当接部32は、テーパ面42aに押されながら回転軸AX4まわりに回転する。腕部31は、-θZ方向に揺動した後、揺動が止まる位置で被係止部40を係止する。その結果、第2部分20は、-θZ方向への回転が規制された状態となる。
【0040】
なお、
図8に示す状態から、第1部分10に対して第2部分20が+θZ方向(図中、時計回りの方向)に相対的に回転すると、被係止部40のテーパ面42aから離れた腕部31は、弾性部材35の弾性力によって+θZ方向に揺動し、放射方向D1に沿って延びた元の状態に戻る。
【0041】
このように、本実施形態の回転機構100Aによれば、第1部分10と第2部分20との相対的な回転角度範囲を360°以上確保しつつ、必要以上に回転した場合に被係止部40がストッパ30に係止されることで、第1部分10と第2部分20との相対的な回転を確実に規制することができる。また、ストッパ30及び被係止部40を見ることで、第1部分10と第2部分20との回転状態を容易に区別することができる。つまり、腕部31が+θZ側又は-θZ側のいずれかに揺動しているかを見ることで、第1部分10と第2部分20との相対的な回転位置を容易に把握することができる。
【0042】
図9は、ストッパ50及び被係止部60を適用した回転機構100Bの他の一例を示す斜視図である。
図9に示すように、回転機構100Bは、上記した回転機構100の構成に加えて、ストッパ50及び被係止部60を備える。なお、
図9では、モータ22、回転駆動部23、及びプーリ24、25の記載を省略している。また、上記した実施形態と同一の部材については同一の符号を付して、説明を省略又は簡略化している。
図9に示すように、回転機構100Bは、第1部分10にストッパ50が設けられ、第2部分20に被係止部60が設けられるが、この形態に限定されない。例えば、ストッパ50が第2部分20に設けられ、被係止部60が第1部分10に設けられる形態であってもよい。
【0043】
回転機構100Bは、ストッパ50及び被係止部60を備えることにより、第1部分10と第2部分20との間の相対的な回転を所定の回転角度範囲内に規制することができる。本実施形態の回転機構100Bでは、第1部分10と第2部分20との相対的な回転角度範囲を0°から360°以上となるように設定されている。すなわち、第1部分10と第2部分20とは、少なくとも0°から360°の範囲(少なくとも1回転する範囲)で相対的に回転することが許容されている。
【0044】
図9に示すように、ストッパ50は、軸線AX1の方向から見てS字状の板状体51と、保持ブロック52とを有する。板状体51は、保持ブロック52に固定される。保持ブロック52は、円筒部材11の上面側(+Z面側)に固定されている。板状体51は、保持ブロック33から円筒部材11の外側に向けて突出した状態で設けられる。板状体51は、S字状の凹んだ部分にそれぞれ第1凹部53と、第2凹部54とを備える。
【0045】
第1凹部53は、+θZ方向に向けて細くなるように凹んだ状態で形成される。第1凹部53は、-θZ方向に向けて開いた状態で形成される。第1凹部53は、軸線AX1の方向から見て円弧状に形成される。第1凹部53の半径は、例えば、後述する被係止部60のローラ63の半径よりも大きく設定され、このローラ63が嵌り込むことが可能な形状が適用されている。板状体51は、第1凹部53に向けて被係止部60のローラ63を案内するガイド面53aを有する。ガイド面53aは、軸線AX1の放射方向D2における両側に設けられる。ガイド面53aは、第1凹部53に滑らかにつながるように曲面で形成されている。
【0046】
第2凹部54は、-θZ方向に向けて細くなるように凹んだ状態で形成される。第2凹部54は、+θZ方向に向けて開いた状態で形成される。第2凹部54は、軸線AX1の方向から見て円弧状に形成される。第2凹部54の半径は、例えば、被係止部60のローラ63の半径よりも大きく設定され、このローラ63が嵌り込むことが可能な形状が適用されている。なお、第1凹部53の半径と、第2凹部54の半径とは同一であってもよいし、異なってもよい。板状体51は、第2凹部54に向けて被係止部60のローラ63を案内するガイド面54aを有する。ガイド面54aは、軸線AX1の放射方向D2における両側に設けられる。ガイド面54aは、第2凹部54に滑らかにつながるように曲面で形成されている。
【0047】
第1凹部53と第2凹部54とは、軸線AX1まわりの周方向において離間して配置されている。その結果、第1凹部53により被係止部60が係止された第2部分20の回転位置と、第2凹部54により被係止部60が係止された第2部分20の回転位置とでは、第2部分20が第1部分10に対して1回転以上した状態となっている。すなわち、第1部分10と第2部分20との相対的な回転角度範囲を0°から360°以上となるように設定している。
【0048】
被係止部60は、ベース部材21に設けられる。被係止部60は、ガイド部61と、スライダ62と、ローラ63とを有する。ガイド部61は、例えばベース部材21を貫通する貫通孔である。ガイド部61は、軸線AX1を中心とする放射方向D2に沿って形成されている。ガイド部61の放射方向D2の長さは、少なくともローラ63が上記した第1凹部53と第2凹部54との間を放射方向D2に移動させることが可能な長さに設定される。
【0049】
スライダ62は、ガイド部61の内部に配置される。スライダ62は、ガイド部61に沿って軸線AX1の放射方向D2に沿ってスライド可能である。スライダ62は、軸線AX1に沿った方向(+Z方向)に延びた柱状体である。ローラ63は、スライダ62の先端部分に回転可能に支持される。ローラ63は、軸線AX1に平行な回転軸AX5を中心としてθZ方向に回転可能である。ローラ63は、第1部分10と第2部分20とが相対的に回転する場合に、ストッパ50のガイド面53a、54aに接触するような高さに配置される。ローラ63は、スライダ62と一体で放射方向D2に移動可能である。スライダ62及びローラ63は、第2部分20と一体で、第1部分10に対して軸線AX1の周りに相対的に回転する。
【0050】
図10及び
図11は、回転機構100Bを軸線AX1の方向から見た場合の一例を示し、ストッパ50及び被係止部60の動作の一例を示す図である。
図10は、ストッパ50に被係止部60が係止された状態の一例を示す図である。
図11は、ストッパ50に被係止部60が係止された状態の他の例を示す図である。
図10及び
図11に示すように、第1部分10に対して第2部分20が+θZ方向に相対的に回転した際、及び-θZ方向に相対的に回転した際、被係止部60は、ストッパ50によって係止される。
【0051】
図10に示すように、第1部分10に対して第2部分20が+θZ方向(図中、時計回りの方向)に相対的に回転する場合、被係止部60は、第2部分20の回転に伴って+θZ方向に回転する。被係止部60がストッパ50に達すると、被係止部60のローラ63がガイド面53aに当接する。この状態で第2部分20が+θZ方向に回転すると、ローラ63がガイド面53aに案内されることでローラ63(スライダ62)が放射方向D2に沿って軸線AX1に向けて移動する。ローラ63は、回転軸AX5まわりに回転しながらガイド面53aに沿って移動する。さらに第2部分20が+θZ方向に回転すると、ローラ63が第1凹部53に入り込んで係止される。その結果、第2部分20は、第1部分10に対して+θZ方向への回転が規制された状態となる。
【0052】
また、
図11に示すように、第1部分10に対して第2部分20が-θZ方向(図中、反時計回りの方向)に相対的に回転する場合、被係止部60は、第2部分20の回転に伴って-θZ方向に回転する。被係止部60がストッパ50に達すると、被係止部60のローラ63がガイド面54aに当接する。この状態で第2部分20が-θZ方向に回転すると、ローラ63がガイド面54aに案内されることでローラ63(スライダ62)が放射方向D2に沿って軸線AX1から離れる方向に移動する。ローラ63は、回転軸AX5まわりに回転しながらガイド面53aに沿って移動する。さらに第2部分20が-θZ方向に回転すると、ローラ63が第2凹部54に入り込んで係止される。その結果、第2部分20は、第1部分10に対して-θZ方向への回転が規制された状態となる。
【0053】
このように、本実施形態に係る回転機構100Bによれば、上記した回転機構100Aと同様に、第1部分10と第2部分20との相対的な回転角度範囲を360°以上確保しつつ、必要以上に回転した場合に被係止部60がストッパ50に係止されることで、第1部分10と第2部分20との相対的な回転を確実に規制することができる。また、ストッパ50及び被係止部60を見ることで、第1部分10と第2部分20との回転状態を容易に区別することができる。つまり、ローラ63が第1凹部53にあるか、又は第2凹部54にあるかを見ることで、第1部分10と第2部分20との相対的な回転位置を容易に把握することができる。
【0054】
なお、上記した回転機構100Bでは、スライダ62に対して駆動力又は弾性力を付与していないが、この形態に限定されない。例えば、コイルスプリング等の弾性部材によってスライダ62をガイド部61の中央付近(放射方向D2における中央付近)に弾性的に保持させる形態であってもよい。この場合、ローラ63がガイド面53a、54aに案内されると、スライダ62は、弾性部材の弾性力に抗してガイド部61を放射方向D2に移動することになる。
【0055】
<天井搬送車>
図12は、本実施形態に係る天井搬送車200の一例を示す図である。天井搬送車200は、例えば、処理装置と
保管棚との間などに物品Mを搬送する。
図12に示すように、天井搬送車200は、走行部本体110と、移載装置120と、回転機構130とを備える。走行部本体110は、天井軌道Rを走行する。移載装置120は、走行部本体110に連結され、物品Mを移載する。回転機構130は、走行部本体110に対して移載装置120を回転させる。
【0056】
走行部本体110は、走行車輪111と、連結部112と、ユニット部113とを有する。走行車輪111は、天井軌道R上を転動可能に配置される。連結部112は、走行車輪111とユニット部113とを連結する。ユニット部113には、例えば、走行車輪111を駆動するための図示しない駆動装置、及び天井搬送車200を制御するための図示しない制御装置等が配置される。ユニット部113は、天井軌道Rより下方に吊り下げられた状態で設けられる。
【0057】
移載装置120は、ユニット部113の下方から回転機構130を介して吊り下げられた状態で設けられる。移載装置120は、物品Mを保持する物品保持部121と、物品保持部121を鉛直方向(Z方向)に昇降させる昇降駆動部122と、昇降駆動部122を鉛直方向の回転軸AX7まわりに回転駆動する回転機構123と、昇降駆動部122及び回転機構123を水平方向にスライド移動させる横出し機構124とを有する。回転機構123は、上記した回転機構100、100A、100Bのいずれかが用いられる。この場合、第1部分10は、横出し機構124の一部であり、第2部分20は、昇降駆動部122の一部である。上記した回転機構100、100A、100Bの軸線AX1は、回転機構123の回転軸AX7に一致する。なお、移載装置120が回転機構123を備えるか否かは任意である。例えば、移載装置120は、回転機構123を備えない形態であってもよい。
【0058】
回転機構130は、移載装置120を走行部本体110に対して鉛直方向の回転軸AX6の軸まわり(θZ方向)に回転させる。回転機構130は、上記した回転機構100、100A、100Bのいずれかが用いられる。この場合、第1部分10は、走行部本体110の一部である。例えば、第1部分10は、ユニット部113を構成する筐体113aの一部である。また、第2部分20は、移載装置120の一部である。例えば、第2部分20は、横出し機構124を支持する天板部125の一部である。上記した回転機構100、100A、100Bの軸線AX1は、回転機構130の回転軸AX6に一致する。
【0059】
天井搬送車200は、物品Mを処理装置又は保管棚との間で移載する際、横出し機構124をスライドさせた状態で、又は横出し機構124をスライドさせない状態で昇降駆動部122を駆動し、物品保持部121を昇降させることで物品Mの受け渡しを行う。このとき、回転機構130を駆動して横出し機構124を回転軸AX6の軸まわりに(θZ方向に)回転させることで、横出し機構124によるスライドの方向を変えることができる。また、回転機構123を駆動して昇降駆動部122を回転軸AX7の軸まわりに(θZ方向に)回転させることで、物品保持部121で保持している物品Mを回転軸AX7の軸まわりに回転させることができる。
【0060】
このように、本実施形態に係る天井搬送車200によれば、回転機構130、123として上記した回転機構100(100A、100B)を備えるため、巻き掛け伝動部材12の交換作業を容易に行うことができる。すなわち、天井搬送車200は、天井軌道Rに吊り下げられた状態のため、メンテナンス等が高所作業となる場合がある。回転機構100における巻き掛け伝動部材12の交換を容易とするので、作業者の負担を軽減することができる。また、走行部本体110に対して移載装置120を0°から360°以上(少なくとも360°)回転させることができ、走行部本体110に対して移載装置120をθZ方向に大きな回転角度範囲で回転させることができる。
【0061】
以上、実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は、上記した実施形態等で説明した内容に限定されない。なお、上記した実施形態で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上記した実施形態で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りに於いて、日本特許出願である特願2021-060553、及び上述の実施形態等で引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。また、上記した実施形態では、巻き掛け伝動部材12がベルト状である形態を例に挙げて説明しているが、この形態に限定されない。例えば、巻き掛け伝動部材12がチェーンであってもよい。この場合、回転駆動部23は、チェーンと噛み合うスプロケット等が用いられてもよい。また、巻き掛け伝動部材12は、ワイヤ等の紐状の部材が用いられてもよい。
【0062】
また、上記した実施形態では、回転機構100等が天井搬送車200の回転機構123、130に適用された形態を例に挙げて説明したが、この形態に限定されない。例えば、上記した回転機構100等は、ステージ装置においてテーブルを回転させる回転機構として用いられる形態であってもよい。
【符号の説明】
【0063】
D1、D2・・・放射方向
M・・・物品
R・・・天井軌道
AX1・・・軸線
AX3・・・揺動軸
10・・・第1部分
11・・・円筒部材
12・・・巻き掛け伝動部材
12a・・・第1端部
12b・・・第2端部
12c・・・内周面
20・・・第2部分
22・・・モータ
23・・・回転駆動部
30、50・・・ストッパ
31・・・腕部
32・・・当接部
35・・・弾性部材
40、60・・・被係止部
42a・・・テーパ面
100、100A、100B・・・回転機構
110・・・走行部本体
120・・・移載装置
123、130・・・回転機構
200・・・天井搬送車