(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】ガスセンサの評価および制御ユニット
(51)【国際特許分類】
G01N 27/419 20060101AFI20240514BHJP
G01N 27/416 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
G01N27/419 327
G01N27/416 311Z
G01N27/416 381
(21)【出願番号】P 2022579149
(86)(22)【出願日】2021-03-05
(86)【国際出願番号】 EP2021055573
(87)【国際公開番号】W WO2021176046
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2023-03-27
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(73)【特許権者】
【識別番号】510214089
【氏名又は名称】メレキシス・テクノロジーズ・ナムローゼフェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】MELEXIS TECHNOLOGIES NV
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベボット、クラウディアス
(72)【発明者】
【氏名】レーデルマン、ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】クレマー、シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ソトニコフ、ヴォロディミル
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-275911(JP,A)
【文献】特開2008-261267(JP,A)
【文献】特開2009-198196(JP,A)
【文献】特開2017-003567(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0246157(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26-27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスセンサ(200)の評価および制御ユニット(100)であって、
ガスセンサ(200)の電気化学セル(210、211)の電線(201、202、203、204)に接続可能なピン(RE、IPE、APE、MES)と、
コントローラ(103)と、
前記コントローラ(103)によって操作可能なASIC基準供給源(102)と、
前記ピン(RE、IPE、APE、MES)の各々に接続されるスイッチアッセンブリ(104)であって、少なくとも第1のトランジスタ(T
Wire)を備えるスイッチアッセンブリ(104)と、
を備え、
スイッチ基準供給源(105)が前記第1のトランジスタ(T
Wire)のゲート側に接続され、前記ASIC基準供給源(102)は、前記第1のトランジスタ(T
Wire)のソース側に接続され、
前記コントローラ(103)は、前記第1のトランジスタ(T
Wire)の前記ゲート側に印加されるスイッチ基準電位(V
SW)を変えるように構成され、
前記スイッチアッセンブリ(104)は、前記第1のトランジスタ(T
Wire)の前記ゲート側における電位が、前記第1のトランジスタ(T
Wire)の前記ソース側における電位を超える、開閉スイッチの値の間の所定の電圧にあると、前記ASIC基準供給源(102)から前記第1のトランジスタ(T
Wire)のドレイン側へと制限された電流を流すように構成される、
評価および制御ユニット。
【請求項2】
前記コントローラ(103)は、前記スイッチアッセンブリ(104)が開放状態にあるときに、前記ASIC基準供給源(102)によってもたらされるASIC基準電位を、前記コントローラ(103)のグランドよりも大きな値へと切り替えるように構成される、
請求項1記載の評価および制御ユニット(100)。
【請求項3】
前記コントローラ(103)は、前記第1のトランジスタ(T
Wire)のソース電位に関して前記スイッチ基準電位(V
SW)を変えることによって前記第1のトランジスタ(T
Wire)をリニアモードにするように構成される、
請求項2記載の評価および制御ユニット(100)。
【請求項4】
少なくとも1つのコンパレータをさらに備え、
前記コントローラ(103)は、グランドへの短絡が前記コンパレータによって検出されると、前記スイッチアッセンブリ(104)を開放状態にするように構成される、
請求項1~3のいずれか1項に記載の評価および制御ユニット(100)。
【請求項5】
前記コンパレータは、前記ASIC基準電位が上昇させられ且つ前記ピン(RE、IPE、APE、MES)のうちの1つのピンにおける電位がコンパレータ閾値を超えると、前記1つのピン(RE、IPE、APE、MES)におけるグランドへの短絡の有無を検出するように構成される、
請求項2または請求項3に従属する、請求項4記載の評価および制御ユニット(100)。
【請求項6】
前記スイッチアッセンブリ(104)は、第2のトランジスタ(T
ECU)をさらに備え、
前記スイッチ基準供給源(105)は、前記第2のトランジスタ(T
ECU)のゲート側に接続され、前記ASIC基準供給源は、前記第2のトランジスタ(T
ECU)のソース側に接続される、
請求項1~5のいずれか1項に記載の評価および制御ユニット(100)。
【請求項7】
前記ガスセンサ(200)は、ブロードバンド・ラムダプローブである、請求項1~6のいずれか1項に記載の評価および制御ユニット(100)。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の評価および制御ユニット(100)を操作する方法であって、
前記第1のトランジスタ(T
Wire)の前記ゲート側における電位が、前記第1のトランジスタ(T
Wire)の前記ソース側における電位を超える、開閉スイッチの値の間の所定の電圧にあると、前記第1のトランジスタ(T
Wire)の前記ゲート側に印加される前記スイッチ基準電位(Vsw)を変えて、前記ASIC基準供給源から前記第1のトランジスタ(T
Wire)の前記ドレイン側へと制限された電流を流れさせるステップ、
を含む方法。
【請求項9】
前記スイッチアッセンブリが開放状態にあるときに
、前記
ASIC基準供給源(102)によってもたらされるASIC基準電位を前記コントローラ(103)のグランドよりも大きい値に切り替えることをさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記第1のトランジスタ(T
Wire)のソース電位に関して前記スイッチ基準電位(V
SW)を変えることによって前記第1のトランジスタ(T
Wire)をリニアモードにすることをさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つのコンパレータによってグランドへの短絡を検出することと、
前記ピンのうちの1つにおいてグランドへの短絡が検出されると、前記スイッチアッセンブリ(104)を開放状態にすることと、
をさらに含む、請求項8~10のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記
ASIC基準供給源(102)によってもたらされるASIC基準電位を上昇させることと、前記ピン(RE、IPE、APE、MES)のうちの1つのピンにおける電位を検出することと、をさらに含み、
グランドへの短絡の有無が検出される、請求項8~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
請求項8~12のいずれか1項に記載の方法のステップの各々を実行するように構成されるコンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項13記載のコンピュータプログラムが保存される電子記憶装置。
【請求項15】
請求項14記載の記憶装置を備える電子コントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[背景技術]
ガスの特性を検出するために、いくつかのタイプのセンサが知られている。1つの例は、内燃機関の排ガスの特性を検出するために使用されるラムダプローブである。そのようなラムダセンサまたはプローブは、例えば、Konrad Reif(編):「Sensoren im Kraftfahrzeug」、第1版、2010年、160~165ページ、から知られている。
【0002】
ブロードバンド・ラムダプローブ(broadband lambda probe)の操作のための制御ユニットは、独国特許出願公開第102008001697号明細書に記載される。「操作」は、ラムダプローブによって供給される信号またはデータの評価はもちろん、ラムダプローブの制御を、特に包含する。制御ユニットは、信号調整ユニットと、アナログ/デジタル(A/D)コンバータと、ポンプ電流コントローラと、デジタルインターフェースと、コントローラと、ポンプ電流源と、内部ポンプ電極端子と、外部ポンプ電極端子と、基準電極端子と、を含む。信号調整ユニットは、ポンプ電流コントローラの実際の値を確定するためと、ブロードバンド・ラムダプローブの動作状態に関するさらなる情報を確定するために、設けられる。ブロードバンド・ラムダプローブの動作状態に関するさらなる情報は、デジタルインターフェースを介して出力可能である。対応する制御ユニットは、ディーゼルエンジンおよびガソリンエンジンに適したブロードバンド・ラムダプローブを制御するための集積回路(IC)の形態で、出願人によって「CJ135」という名称で売り出されている。
【0003】
内燃機関において、またはそのような内燃機関を備えたモータービークルにおいて、特定の適用に特化した複数のさらなる制御ユニットに、今日遭遇する。内燃機関は、さらに、従来の方法でエンジン制御装置によって操作される。これら制御ユニットまたは制御装置は、プルアップ/プルダウン構造などの付加的な機能も部分的にもたらすアナログおよびデジタル入力、または、例えば温度センサの評価のために必要な分圧器を有する。これらが基づいている評価回路は、個別部品で構成されるか、または、複数の入力と出力とを組み合わせることによって、個々の特定用途向け集積回路(ASIC)で構成される。
【0004】
上記のASICを構築する半導体は、ある電圧範囲においてのみ動作する。この電圧範囲外では、絶縁されるべき構造が、導通するかまたは永久的に損傷することがある。最低電圧未満、すなわち、その接地電圧未満では、その本来の機能性を遅らせて、上記の構造を保護しないといけない。特に、評価および制御ユニットに電気的に接続された電線を含む、独国特許出願公開第102011007068号明細書に記載されているようなワイドバンド・ラムダセンサを操作するためのそのような構造は、独国特許出願公開第102010000663号明細書または欧州特許第2277035号明細書から知られている。現在、ワイドバンド・ラムダセンサの電線の診断は、短絡の検出に関して、完全なものではない。特に米国特許出願公開第2013/0234744号明細書に記載されているような診断の正確な指示を向上させる試みがなされている。
【0005】
短絡を検出するための上記の装置および方法によってもたらされる利点にもかかわらず、まだ改善の余地がある。特に、上記の装置および方法は、頑強でないことがこれまでのところ証明されている。特に、ECU接地電圧より低い電圧との短絡の検出は、上記した技術の限界のために不完全なものである。そのような電圧は、電線が車両のグランドに接続されているので、通常、グランドへの短絡の実現において現れる。他の構成要素からの漏れ電流と、ECUと車両のグランド接続との間の空間的な隔たりとのために、それは、ASICのECU接地電圧と相違する。グランドへの短絡すなわち、低い側の範囲外の故障が起こる場合、従来の装置を用いた解析は、内部のハードウエアを保護する意図によって妨げられる。特に、冷感センサについては、ECUは、短絡ピンが当てられる電線における電圧から保護される必要があるだけである。しかし、例えば、コンデンサ、またはかつての温感センサによる、電線同士間の連結のために、類似した電圧が各電線において存在する。したがって、一般的に、全ての電線が、評価回路から切り離される。直接的な短絡接続とは対照的に、これらの連結の影響は、適切な回路構成で一時的であり得る。それにもかかわらず、作動する一般的なハードウエア保護のために、それらは、対応する電線への短絡を正確に示すことを妨げる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、上記した装置および方法によってもたらされる不利益を減らすことを目的とし、UEGO(universal exhaust gas oxygen)信号線の特定の入力を正確に指し示すことを特に可能にする、ガスセンサ、特に、ブロードバンド・ラムダプローブのための評価および制御ユニット、およびそれらを操作する方法が、開示される。
【0007】
以下に使用されているように、用語「有する」、「備える」、「含む」、またはそれらの任意の文法的な変種は、非排他的に使用される。したがって、これらの用語は、これら用語によって導入された特徴以外に、この文脈において記載される実体においてさらなる特徴はないという状況、および、1つまたは複数のさらなる特徴が存在するという状況、の両方を指すことができる。例として、表現「AはBを有する」、「AはBを備える」、および「AはBを含む」は、B以外にAには他の要素が存在しない状況(すなわち、AはもっぱらBだけから成るという状況)、および、要素C、要素Cおよび要素D、またはさらにもっと別の要素などの、B以外の1つまたは複数のさらなる要素が、実体Aにおいて存在するという状況、の両方を指すことができる。
【0008】
さらに、用語「少なくとも1つ」、「1つまたは複数の」、または、特徴または要素が1回または複数回存在し得ることを示す類似の表現は、典型的には、それぞれの特徴および要素を導入する際に1回だけ使用される。以下では、ほとんどの場合において、それぞれの特徴または要素に言及するときに、それぞれの特徴または要素が、1回または複数回存在し得るという事実にもかかわらず、表現「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」を繰り返さない。
【0009】
さらに、以下に使用されるように、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「より特に」、「詳細には」「より詳細には」、または類似の用語は、別の可能性を制限することなく、選択的特徴と共に使用される。したがって、これら用語によって導入された特徴は、選択的な特徴であり、あらゆる点で請求項の範囲を制限することを意図してはいない。発明は、当業者が認知するように、別の特徴を使用して実施され得る。同様に、「発明の実施形態において」または類似の表現によって導入される特徴は、本発明の別の実施形態に関するどんな制限もなく、本発明の範囲に関するどんな制限もなく、そして、そのようにして導入された特徴を本発明の他の選択的または非選択的特徴と組み合わせる可能性に関するどんな制限もなく、選択的な特徴であることを意図したものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る制御および評価ユニットは、好ましくは、ASICとして具現化され、ブロードバンド・ラムダプローブなどのガスセンサの操作および評価にあまねく使用できる。それにもかかわらず、本明細書に開示されるような制御および評価ユニットは、NOx
センサなどの任意の種類のガスセンサに適用可能である。制御および評価ユニットは、ガスセンサの電気化学セルの電線に接続可能なピンと、コントローラと、前記コントローラによって操作可能なASIC基準供給源(ASIC reference source)と、前記ピンの各々に接続されるスイッチアッセンブリであって、少なくとも第1のトランジスタを備えるスイッチアッセンブリと、を備え、スイッチ基準供給源(switch reference source)が前記第1のトランジスタのゲート側に接続され、前記ASIC基準供給源は、前記第1のトランジスタのソース側に接続され、前記コントローラは、前記第1のトランジスタの前記ゲート側に印加されるスイッチ基準電位(switch reference potential)を変えるように構成され、前記スイッチアッセンブリは、前記第1のトランジスタの前記ゲート側における電位が前記第1のトランジスタの前記ソース側における電位を超える(over)開閉スイッチの値(values of an open and closed switch)の間の所定の電圧にあると、前記ASIC基準供給源から前記第1のトランジスタのドレイン側へと制限された電流(limited current)を流すように構成される。
【0011】
前記ASIC基準供給源および/または前記スイッチ基準供給源は、電位源(potential source)または電流源であってよい。
前記コントローラは、前記スイッチアッセンブリが開放状態にあるときに、前記ASIC基準供給源によってもたらされる前記ASIC基準電位(ASIC reference potential)を、前記コントローラのグランドよりも大きな値へと切り替えるように構成されてもよい。
【0012】
前記コントローラは、前記第1のトランジスタのソース電位に関して前記スイッチ基準電位を変えることによって前記第1のトランジスタをリニアモードにするように構成されてもよい。
【0013】
本明細書において使用される用語「リニアモード(linear mode)」は、完全に導通も完全に開放もしていないが電流源または非常に高い抵抗として動作するトランジスタのモードを指すことができる。これは、導電状態にあるときよりはるかに小さい電流を流すことを意味する。特に、リニアモードにおいて、電流はドレイン-ソース電圧とは独立である。これが、コンデンサのような構造を外部から時間と共に充放電することを可能にする。
【0014】
前記評価および制御ユニットは、少なくとも1つのコンパレータをさらに備えてもよく、前記コントローラは、グランドへの短絡が前記コンパレータによって検出されると、前記スイッチアッセンブリを開放状態にするように構成されてもよい。
【0015】
前記コンパレータは、前記ASIC基準電位が上昇させられて且つ前記ピンのうちの1つのピンにおける電位がコンパレータ閾値を超えると、当該1つのピンにおけるグランドへの短絡の有無を検出するように構成されてもよい。前記ピンのうちの1つのピンにおいて前記ASIC基準電位が上昇するときに当該1つのピンにおける電位がコンパレータ閾値を超えるなら、グランドへの短絡が存在する。特に、前記ASIC基準電位が上昇すると、いくつかのコンパレータがグランドへの短絡があることを示すが、他のコンパレータは短絡がないことを示す。
【0016】
前記スイッチアッセンブリは、第2のトランジスタをさらに備えてもよく、前記スイッチ基準供給源は、前記第2のトランジスタのゲート側に接続され、前記ASIC基準供給源は、前記第2のトランジスタのソース側に接続される。
【0017】
本発明にもとづく評価および制御ユニットを操作する方法は、以下のステップ、
前記第1のトランジスタの前記ゲート側における電位が前記第1のトランジスタの前記ソース側における電位を超える(over)開閉スイッチの値(values of an open and closed switch)の間の所定の値をとると、前記ASIC基準供給源から前記第1のトランジスタのドレイン側へと制限された電流を流れさせるために、前記第1のトランジスタの前記ゲート側に印加される前記スイッチ基準電位を変えること、
を含む。
【0018】
前記方法は、前記スイッチアッセンブリが開放状態にあるときに前記ASIC基準電位を前記コントローラのグランドよりも大きい値に切り替えることを、さらに含んでもよい。
【0019】
前記方法は、前記第1のトランジスタのソース電位に関して前記スイッチ基準電位を変えることによって前記第1のトランジスタをリニアモードにすることを、さらに含んでもよい。
【0020】
前記方法は、少なくとも1つのコンパレータによってグランドへの短絡の有無を検出することと、前記ピンのうちの1つにおいてグランドへの短絡が検出されると、前記スイッチアッセンブリを開放状態にすることと、をさらに含んでもよい。
【0021】
前記方法は、前記ASIC基準電位を上昇させることと、前記ピンのうちの1つにおける電位を検出することと、をさらに含んでもよく、ここでグランドへの短絡の有無が検出される。前記ピンのうちの1つのピンにおいて前記ASIC基準電位が上昇するときに当該1つのピンにおける電位がコンパレータ閾値を超えるなら、グランドへの短絡が存在する。特に、前記ASIC基準電位が上昇すると、いくつかのコンパレータがグランドへの短絡があることを示すが、他のコンパレータは短絡がないことを示す。
【0022】
さらに、前記方法のステップの各々を実行するように構成されるコンピュータプログラムが、開示される。
【0023】
さらに、そのようなコンピュータプログラムが保存される電子記憶装置が、開示される。
【0024】
さらに、そのような電子記憶装置を備える電子制御ユニットが、開示される。
【0025】
本開示は、コンピュータプログラムであって、当該プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されるときに本明細書に含まれる1つまたは複数の実施形態において開示された方法/装置/システムに係る方法を行うための、コンピュータで実行可能な指示を含むコンピュータプログラムを、さらに開示および提案する。詳細には、上記のコンピュータプログラムは、コンピュータで読み取り可能なデータ記憶媒体(data carrier)上に保存されてもよい。したがって、詳細には、上記に示されたような方法ステップのうちの1つのステップ、1つを超えるステップ、または全てのステップでさえも、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用して、好ましくはコンピュータプログラムを使用して、行うことが可能である。
【0026】
本開示は、上記のプログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されるときに本明細書に含まれる1つまたは複数の実施形態において開示された方法/システムに係る方法を行うために、プログラムコード手段(program code means)を有するコンピュータプログラム製品を、さらに開示および提案する。詳細には、上記のプログラムコード手段は、コンピュータで読み取り可能なデータ記憶媒体上に保存されてもよい。
【0027】
さらに、本開示は、データ記憶媒体であって、その上に保存されるデータ構造を有するデータ記憶媒体を開示および提案し、そのデータ構造は、コンピュータまたはコンピュータネットワークに、例えばコンピュータまたはコンピュータネットワークの作業メモリまたはメインメモリに、読み込まれた後に本明細書に開示された実施形態のうちの1つまたは複数に係る方法を実行し得る。
【0028】
本開示は、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されるときに本明細書に開示される1つまたは複数の実施形態に係る方法を行うために機械で読み取り可能な記憶媒体に保存されるプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品を、さらに提案および開示する。本明細書において使用されるように、コンピュータプログラム製品は、取引可能な製品としてのプログラムを指す。当該製品は、一般的に、文書フォーマット(paper format)などの任意のフォーマットで、または、コンピュータで読み取り可能なデータ記憶媒体に、存在する。詳細には、コンピュータプログラム製品は、データネットワークを通じて配布されてもよい。
【0029】
最後に、本開示は、本明細書に開示される実施形態のうちの1つまたは複数に係る方法を行うための、コンピュータシステムまたはコンピュータネットワークによって読取可能な指示を含む変調データ信号(modulated data signal)を提案および開示する。
【0030】
好ましくは、コンピュータに実装された本発明の態様(computer-implemented aspects)に関して、本明細書に開示された実施形態のうちの1つまたは複数に係る方法の方法ステップのうちの1つまたは複数、または全ての方法ステップさえも、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用して行われ得る。したがって、一般的に、データの提供および/または操作を含む方法ステップのうちのいずれも、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用して行われ得る。一般に、これら方法ステップは、一般的に、サンプル、および/または、実際の測定を行うという特定の局面の提供のようなマニュアル作業を必要とする方法ステップを除き、方法ステップのうちの任意のステップを含んでもよい。
【0031】
詳細には、本開示は、コンピュータまたはコンピュータネットワークであって、
・本明細書において記載される実施形態のうちの1つに係る方法を行うように適合される少なくとも1つのプロセッサと、
・コンピュータで読み込み可能なデータ構造であって、データ構造がコンピュータ上で実行される間に、本明細書において記載される実施形態のうちの1つに係る方法を行うように適合される、コンピュータで読み込み可能なデータ構造と、
・コンピュータプログラムであって、プログラムがコンピュータ上で実行される間に、本明細書において記載される実施形態のうちの1つに係る方法を行うように適合されるコンピュータプログラムと、
・コンピュータプログラムであって、コンピュータプログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行される間に、本明細書において記載される実施形態のうちの1つに係る方法を行うためのプログラム手段を備えるコンピュータプログラムと、
・コンピュータに読取可能な記憶媒体に保存される、上記の実施形態に係るプログラム手段を備えるコンピュータプログラムと、
・データ構造が保存される記憶媒体であって、データ構造が、コンピュータまたはコンピュータネットワークのメインおよび/または作業用記憶装置へと読み込まれた後に本明細書において記載される実施形態のうちの1つに係る方法を行うように適合される、記憶媒体と、
・プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品であって、プログラムコード手段が、コンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されると、本明細書において記載される実施形態のうちの1つに係る方法を行うために、記憶媒体に保存され得るか保存される、コンピュータプログラム製品と、
を備えるコンピュータまたはコンピュータネットワークを、さらに開示する。
【0032】
本開示の成果を要約すると、以下の実施形態が開示される。
【0033】
実施形態1
ガスセンサ、特に、ブロードバンド・ラムダプローブの評価および制御ユニットであって、
ガスセンサの電気化学セルの電線に接続可能なピンと、
コントローラと、
前記コントローラによって操作可能なASIC基準供給源と、
前記ピンの各々に接続されるスイッチアッセンブリであって、少なくとも第1のトランジスタを備えるスイッチアッセンブリと、
を備え、
スイッチ基準供給源が前記第1のトランジスタのゲート側に接続され、前記ASIC基準供給源は、前記第1のトランジスタのソース側に接続され、
前記コントローラは、前記第1のトランジスタの前記ゲート側に印加されるスイッチ基準電位を変えるように構成され、
前記スイッチアッセンブリは、前記第1のトランジスタの前記ゲート側における電位が、前記第1のトランジスタの前記ソース側における電位を超える(over)開閉スイッチの値(values of an open and closed switch)の間の所定の電圧にあると、前記ASIC基準供給源から前記第1のトランジスタのドレイン側へと制限された電流を流すように構成される、
評価および制御ユニット。
【0034】
実施形態2
前記コントローラは、前記スイッチアッセンブリが開放状態にあるときに、前記ASIC基準供給源によってもたらされるASIC基準電位を、前記コントローラのグランドよりも大きな値へと切り替えるように構成される、
上記の実施形態に係る評価および制御ユニット。
【0035】
実施形態3
前記コントローラは、前記第1のトランジスタのソース電位に関して前記スイッチ基準電位を変えることによって前記第1のトランジスタをリニアモードにするように構成される、
上記の実施形態に係る評価および制御ユニット。
【0036】
実施形態4
少なくとも1つのコンパレータをさらに備え、前記コントローラは、グランドへの短絡が前記コンパレータによって検出されると、前記スイッチアッセンブリを開放状態にするように構成される、
上記の実施形態のいずれかに係る評価および制御ユニット。
【0037】
実施形態5
前記コンパレータは、前記ASIC基準電位が上昇させられ且つ前記ピンのうちの1つのピンにおける電位がコンパレータ閾値を超えると、前記1つのピンにおけるグランドへの短絡の有無を検出するように構成される、
上記の実施形態に係る評価および制御ユニット。
【0038】
実施形態6
前記スイッチアッセンブリは、第2のトランジスタをさらに備え、
前記スイッチ基準供給源は、前記第2のトランジスタのゲート側に接続され、前記ASIC基準供給源は、前記第2のトランジスタのソース側に接続される、
上記の実施形態のいずれかに係る評価および制御ユニット。
【0039】
実施形態7
上記の実施形態のいずれかに係る評価および制御ユニットを操作する方法であって、
前記第1のトランジスタの前記ゲート側における電位が前記第1のトランジスタの前記ソース側における電位を超える(over)開閉スイッチの値(values of an open and closed switch)の間の所定の値をとると、前記ASIC基準供給源から前記第1のトランジスタの前記ドレイン側へと制限された電流を流れさせるために前記第1のトランジスタの前記ゲート側に印加される前記スイッチ基準電位を変えるステップを含む方法。
【0040】
実施形態8
前記スイッチアッセンブリが開放状態にあるときに前記ASIC基準電位を前記コントローラのグランドよりも大きい値に切り替えることを、さらに含む、
上記の実施形態に係る方法。
【0041】
実施形態9
前記第1のトランジスタのソース電位に関して前記スイッチ基準電位を変えることによって前記第1のトランジスタをリニアモードにすることを、さらに含む、
上記の実施形態に係る方法。
【0042】
実施形態10
少なくとも1つのコンパレータによってグランドへの短絡を検出することと、前記ピンのうちの1つにおいてグランドへの短絡が検出されると、前記スイッチアッセンブリを開放状態にすることと、をさらに含む、
実施形態7、8、および9のうちのいずれかに係る方法。
【0043】
実施形態11
前記ASIC基準電位を上昇させることと、前記ピンのうちの1つのピンにおける電位を検出することと、をさらに含み、前記1つのピンにおけるグランドへの短絡の有無が検出される、実施形態7~10のいずれかに係る方法。
【0044】
実施形態12
実施形態7~11のいずれか1つに係る方法のステップの各々を実行するように構成されるコンピュータプログラム。
【0045】
実施形態13
上記の実施形態に係るコンピュータプログラムが保存される電子記憶装置。
【0046】
実施形態14
上記の実施形態に係る記憶装置を備える電子コントローラ。
【0047】
本発明の好適な実施形態は、従属請求項または上記の実施形態と、それぞれの独立請求項との任意の組合せであり得ることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
さらなる選択的特徴および実施形態が、実施形態に関する以下に続く記載において、好ましくは、従属請求項と併せて、詳細に開示される。その中において、それぞれの選択的な特徴は、当業者が明確に理解するように、任意の実現可能な組み合わせだけでなく、独立した方式でも実現できる。本発明の範囲は、好適な実施形態によって制限されない。実施形態は、図において模式的に描写される。その中において、これら図における同一の引用符号は、同一のまたは機能的に類似する要素を指す。
【0049】
【
図2A】異なる状態で第1実施形態に係る評価および操作ユニットのスイッチアッセンブリを示す。
【
図2B】異なる状態で第1実施形態に係る評価および操作ユニットのスイッチアッセンブリを示す。
【
図2C】異なる状態で第1実施形態に係る評価および操作ユニットのスイッチアッセンブリを示す。
【
図4】第2実施形態に係るスイッチアッセンブリを示す。
【
図5】第3実施形態に係るスイッチアッセンブリを示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、評価および動作ユニット100の例示的な実施形態を示す。評価および操作ユニット100は、ワイドバンド・ラムダセンサまたはプローブなどのガスセンサ200を操作するよう構成される。基本的には、評価および操作ユニット100は、NO
xセンサなどの任意の種類のガスセンサに適用できる。評価および操作ユニット100は、4つのピンRE、IPE、APE、MESによって、ガスセンサ200の電気化学セル210、211の電線201、202、203、204に接続される。電気化学セルは、ネルンストセル210およびポンプセル211であり得る。電線201、202、203、204は、ガスセンサ200の、電気化学セル210、211と、補償抵抗212と、を接続する。センサ構成に応じて、使用される電線が異なっていてもよく、例えば、210および211を有し且つ抵抗212を有していない2つのセルセンサ(cell sensor)では、電線204は存在しないか、または、210および212の両方を有していない1つのセルセンサでは、電線201および204が存在しない。他の組み合わせも同様に可能である。評価および操作ユニット100は、オプションの抵抗101を介してコントローラ103によってスイッチSwt
RE、Swt
IPE、Swt
APE、Swt
MESそれぞれを通じてピンRE、IPE、APE、MESの各々が個々に接続され得るASIC基準供給源102によって例示される。ASIC基準供給源102は、コントローラ103によって操作可能である。ASIC基準供給源102は、電位源であり得る。代替的には、ASIC基準供給源102は、電流源であってもよい。スイッチSwt
RE、Swt
IPE、Swt
APE、Swt
MESの各々は、以下でさらに詳細に記載されるように、スイッチアッセンブリ104として実現され得る。
【0051】
図2A~2Cは、第1実施形態に係る評価および操作ユニット100のスイッチアッセンブリ104を、様々な状態で示す。スイッチアッセンブリ104は、ピンRE、IPE、APE、MESの各々に接続される。換言すれば、個々のスイッチアッセンブリ104は、ピンRE、IPE、APE、MESの各々に関係付けられる。スイッチアッセンブリ104は、第1のトランジスタT
Wireと、第2のトランジスタT
ECUと、を備える。特に、第1のトランジスタT
Wireのドレイン側は、ピンRE、IPE、APE、MESに接続される。詳細には、スイッチアッセンプリ104は、使用される半導体技術に応じてダイオードまたはトランジスタによって実現される。両方向への電流の流れを防ぐために、一般的に、2つのトランジスタT
Wire、T
ECUが存在する。これは、第1のトランジスタT
Wireおよび第2のトランジスタT
ECUを反対向きに配置することによって達成され、トランジスタの寄生ダイオードが互いに反対方向を向いていることを意味する。それによって、
図2A~2Cの例に関して、ケーブルおよびピンなどの右側と、測定システムなどの左側との間を流れる電流を、ピンと、ECUグランド即ちコントローラ103のグランド電位との間の非常に高い絶対的な電圧まで、効果的に防ぐことができる。スイッチ基準供給源105は、第1のおよび第2のトランジスタT
Wire、T
ECUのゲート側に接続される。スイッチ基準供給源105は、電位源であり得る。代替的に、スイッチ基準供給源105は、電流源であってもよい。コントローラ103は、第1のおよび第2のトランジスタT
Wire、T
ECUの上記のゲート側に印加されるスイッチ基準電位V
SWを変えるように構成される。特に、スイッチアッセンブリ104は、第1および第2のトランジスタT
Wire、T
ECUのゲート側における電位が第1のトランジスタT
Wireのソース側における電位を超える(over)、スイッチSwt
RE、Swt
IPE、Swt
APE、およびSwt
MESのための開閉の値(values of an open and closed for switches Swt
RE, Swt
IPE, Swt
APE, and Swt
MES)の間の所定の電圧にあると、ASIC基準供給源102から第1のトランジスタT
Wireを通じて制限された電流を流すように構成される。特に、コントローラ103は、スイッチアッセンブリ104が
図2Bに示される開放状態にあるときに、ASIC基準供給源102によってもたらされるASIC基準電位を、コントローラ103のグランドよりも大きな値に設定するように構成される。コントローラ103は、さらに、第1のトランジスタT
Wireのソース電位に関して、第1のトランジスタT
Wireを、ASIC基準供給源102によってもたらされるリニアモードにするように構成される。評価および制御ユニット100は、少なくとも1つのコンパレータ(詳細には示さない)をさらに備える。コントローラ103は、グランドへの短絡の有無が上記のコンパレータによって検出されると、スイッチアッセンブリ104を開放状態にするように構成される。コンパレータは、ASIC基準電位が上昇させられ且つピンRE、IPE、APE、MESのうちの1つのピンにおける電位がコンパレータ閾値を超えると、当該1つのピンRE、IPE、APE、MESにおけるグランドへの短絡を検出するように構成される。スイッチアッセンブリ104の操作は、
図2A~2Cを参照して以下にさらに詳細に記載される。
【0052】
上記したように、評価および操作ユニット100のASICの内部のスイッチアッセンブリは、共通のソースを有する2つのトランジスタT
WireおよびT
ECUからなる。スイッチアッセンブリ104の機能は、
図2Aに示される通常は閉状態にあるスイッチSwt
Vによって決定される。トランジスタT
WireおよびT
ECUのゲート-ソース電圧をゼロに設定してスイッチアッセンブリ104を開放状態にするために、
図2Bに示されるようにスイッチSwt
Vが開放されるときにスイッチSwt
Cは閉じられる。ダイオードD
GND、D
Wire、またはD
ECUは、トランジスタT
WireおよびT
ECUの内在的な寄生ダイオードである。いくつかの半導体技術においては、これらダイオードのうちのいくつかは、存在しない場合がある。ダイオードD
GND、D
Wire、またはD
ECUを通る順電流を防がねばならない。これは、Swt
Vを開放しスイッチSwt
Cを閉じることによって実現される。スイッチアッセンブリ104の提案された構造においては、スイッチSwt
GNDでもって、トランジスタT
Wireは、高オーミック(high ohmic)であるが導電性であるリニアモードにされ、電流がトランジスタT
Wireのソース側からドレイン側へ流れることを可能にするが、
図2Cに示されているようにそれを制限する。特に、ECUグランドより小さい共通のゲート電位V
SWをトランジスタT
WireおよびT
ECUに印加する際に、
図2Bに示されているようにトランジスタのゲートがどの電位にも接続されていないときとは対照的に、ASIC基準電位とピンとの間の2つのトランジスタによって形成されるトータルスイッチが、
図2Aに示されるように、導通を開始する。この発明は、
図2Cに示されるように、異なる電位、例えば、ECUグランドGNDにトランジスタT
WireおよびT
ECUのゲートを接続する可能性をさらに加える。第1のトランジスタT
WireのECU側、即ち当該トランジスタのソースにおける電位が、T
Wireのゲート電位、例えばEUCグランドよりも大きく、且つ、両方とも第1のトランジスタT
Wireのドレインにおける外部電圧よりも大きいならば、第1のトランジスタT
Wireは、リニアモードにされる。このモードにおいては、それは完全に導電性のものでもなければ完全に開放されてもいないが、例えば6kΩの抵抗として動作する。このことは、それが導通状態にあるときよりもはるかに小さい、トランジスタを通る電流を許容するということを意味する。このことが、コンデンサのような外部構造を時間と共に充放電することを可能にする。実際に、トランジスタのドレインにおける外部電圧は、トランジスタのソースに新たに導入される電位、例えば、EUCグランドまで増加し得る。さらに、このモードにおいては、内部ECU電圧がトランジスタT
Wire、T
ECUのソースに与えられるので、害を及ぼす電圧は生じない。したがって、内部のECU回路要素は、なおさら保護される。
【0053】
上記したような特定のスイッチアッセンブリ104を含む評価および操作ユニット100は、グランドへの短絡の一般的に一時的な影響を処理することを可能にする。特定のスイッチアッセンブリ104を含む評価および操作ユニット100は、固定電圧源に対する接続抵抗が低すぎなければ、ECUピン(RE、IPE、APE、MES)における電圧を増加させることを可能にする。スイッチアッセンブリ104は、現行のハードウエア保護構造に基づいており、対応する電線への短絡を正確に示すことを妨げない。短絡の影響を合わせることによってのみ影響を受ける電圧を上昇させることの達成度は測定可能である。一旦必要な時間が経過すると、記載された構造で、例えばチップの内部に組み込まれたADCで、さらに定量的測定が可能である。上記の構造は、ECUグランドより小さい電圧への電線の短絡の場合における測定を可能にするために、ワイドバンド・ラムダ評価回路構成に適用されることになる。結論として、グランドへの短絡の正確な指示が可能である。
【0054】
評価および制御ユニット100を操作する方法が、
図3を参照してさらに詳細に記載される。当該方法は、グランドへの短絡の診断に適用でき、以下のステップによって例示される。第1の診断ステップD1S1において、短絡は、
図1に示されていない追加のコンパレータによって検出される。方法は、ステップD1S1における最初の診断部分から始まる。ピンRE、IPE、APE、または、MESにおける電位が、コンパレータによって検出可能な閾値、例えば、ECUグランドを下回れば、グランドへの短絡が存在すると断定される。その他の場合においては、短絡は存在しないとステップD1S2において推定され、第1の診断ステップD1S1が周期的に繰り返される。
【0055】
グランドへの短絡の存在が検出される場合には、スイッチSwt
RE、Swt
IPE、Swt
APE、Swt
MESは、開放される、即ち、保護のために、
図2Bに示される状態にさせられる。この状態において、評価および操作ユニット100は、システムがステップD1S3において十分に冷却されるまで待機する。
【0056】
第2の診断の部分において、スイッチSwt
RE、Swt
IPE、Swt
APE、Swt
MESがステップD2S1においてまだ開放された状態で、内部の基準電位V
SWが、ECUグランドを十分上回る電位へと切り替えられる。続くステップD2S2において、スイッチSwt
RE、Swt
IPE、Swt
APE、Swt
MESは、リニアモード、即ち、
図2Cに示される状態に置かれる。最終的に、短絡電位(short circuit potential)に直接的に接続されていないすべてのピンRE、IPE、APE、MESは、ワイドバンド・ラムダセンサ200の内部の抵抗のために、上昇する。例えば、電線201がグランドに短絡していれば、ピンREにおける電圧は、短絡電位にとどまる一方で、ピンIPE、APE、およびMESは、センサの抵抗が充分大きければ、即ち、センサが充分冷めていれば(ステップD1S3参照)、ECUグランドへと上昇する。代替的には、このステップD2S2は、各ピンRE、IPE、APE、MESに、別々に適用できる。
【0057】
ピンの電位が上昇させられた後、追加のコンパレータが、ステップD2S3において再評価され得る。ピンRE、IPA、APE、またはMESにおける電位が、例えば、REピン以外の全てのピンについて、十分上昇させられたならば、コンパレータは、低過ぎる電圧をもはや示さない。結論づければ、これら特定のピンRE、IPE、APE、MESに対する保護は、もはや必要ではない。この場合において、ステップD2S4において短絡を明らかにする追加のデータを得るために、これらピンRE、IPE、APE、MESのスイッチSwt
RE、Swt
IPE、Swt
APE、Swt
MESは、閉じられても、即ち、
図2Aに示される状態であってもよい。
【0058】
次のステップD2S5は、ピンRE、IPE、APE、またはMESが一意に特定されたかどうかを結論付ける。そうであれば、このピンRE、IPE、APE、またはMESがステップD2S6において正確に示される。ピンRE、IPE、APE、またはMESが一意であるかどうかは、例えば、閉じられたスイッチSwtRE、SwtIPE、SwtAPE、SwtMESの測定データによって、例えば、ピンの電位がどちらの方向に増大しているか、または、データが回復(retrieve)され得ないのはどこか、で決定され得る。ピンが一意に特定されなかったならば、システムは、ステップD1S3にあるようにさらに冷却すること、および/またはステップD2S2にあるように充放電にもっと多くの時間をかけることが可能である。
【0059】
提案される方法は、センサラインにおけるピンの電圧を調べながら不具合パターンを製品に適用することによって実証することができる。使用される方法の場合では、不具合パターンが該当しないECUピンにおける電圧は増加される。そのデータシートへの洞察(insight)も、その回路構成を確実なものにできる。
【0060】
図4は、第2実施形態にかかるスイッチアッセンブリ104を示す。以下では、第1実施形態との違いのみが記述され、類似の構成部材は、同じ参照符号によって示される。第2実施形態のスイッチアッセンブリ104の基本的アイデアは、ピンの電圧が供給電圧Vsplyよりも高く上昇可能である必要がなければ、第2のトランジスタT
EUCを有することは必須ではない、ということである。
図4に示されるように、スイッチ基準供給源105は、第1のトランジスタT
Wireのゲート側に接続され、ASIC基準供給源102は、第1のトランジスタT
Wireのソース側に接続される。特に、スイッチSwt
Vは、スイッチ基準供給源105と第1のトランジスタT
Wireのゲート側との間に位置し、スイッチSwt
GNDは、スイッチSwt
Vと平行に配置される。スイッチSwt
Cは、省くことができる。
【0061】
図5は、第3実施形態にかかるスイッチアッセンブリを示す。以下では、第1実施形態との違いのみが記述され、類似の構成部材は、同じ参照符号によって示される。特定の技術においては、2つのトランジスタを使用することは必須ではない。それらは、どちらの電圧が高いかに応じて左右のいずれかに接続できるフローティングバルク(floating bulk)を有する、第1のトランジスタT
Wireとして示されている1つのトランジスタに、統合させることができる。
図5に示されているように、スイッチ基準供給源105は、第1のトランジスタT
Wireのゲート側に接続され、ASIC基準供給源102は、第1のトランジスタT
Wireのソース側に接続される。特に、スイッチSwt
Vは、スイッチ基準供給源105と第1のトランジスタT
Wireのゲート側との間に位置し、スイッチSwt
GNDは、スイッチSwt
Vと平行に配置される。スイッチSwt
Cは、省くことができる。さらに、互いに直列に接続され且つ第1のトランジスタT
Wireと平行に配置された左側のスイッチSwt
lおよび右側のスイッチSwt
rが、示されている。
図5は、左側のスイッチSwt
lおよび右側のスイッチSwt
rがダイオードD
GND、D
Wire、またはD
ECUに対して平行に配置されることも示す。