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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】二酸化炭素吸収装置、及び空気清浄機
(51)【国際特許分類】
   F24F 8/15 20210101AFI20240514BHJP
   F24F 8/80 20210101ALI20240514BHJP
   B01D 53/04 20060101ALI20240514BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
F24F8/15
F24F8/80 254
B01D53/04
B01D53/14 100
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023212505
(22)【出願日】2023-12-15
【審査請求日】2024-02-02
(31)【優先権主張番号】P 2023183301
(32)【優先日】2023-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518070618
【氏名又は名称】株式会社レブセル
(73)【特許権者】
【識別番号】523299842
【氏名又は名称】株式会社イーサン
(74)【代理人】
【識別番号】110003926
【氏名又は名称】弁理士法人イノベンティア
(72)【発明者】
【氏名】山本 健二
(72)【発明者】
【氏名】石山 栄孝
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-052618(JP,A)
【文献】特開2010-025467(JP,A)
【文献】中国実用新案第213841237(CN,U)
【文献】特許第7226751(JP,B1)
【文献】特開2001-269533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 8/15
F24F 8/80
B01D 53/04
B01D 53/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンと、
前記ファンが駆動することにより空気が通気する空気清浄部と、
二酸化炭素を吸収する水酸化物を含有する吸収フィルタが収容された吸収ユニットであって、前記ファンが駆動することにより空気が通気する吸収ユニットと、
前記ファンと前記空気清浄部と前記吸収ユニットとが配置された筐体とを、備え、
前記筐体は、
前記吸収ユニットから前記空気清浄部へ空気が流れる通気経路内に、前記筐体の外部からの空気を導入するか、又は、前記空気清浄部から前記吸収ユニットへ空気が流れる通気経路から前記筐体の外部へ空気を排出する開口と、
前記開口の開度を変更するダンパーと、を含
前記ファンが駆動することにより前記吸収ユニットを通過する空気の風速である第1風速が、0.02m/s以上0.50m/s未満の値であり、かつ、前記ファンが駆動することにより前記空気清浄部を通過する空気の風速である第2風速が、前記第1風速よりも高い、空気清浄機。
【請求項2】
前記吸収ユニットは、1つ又は複数の吸収フィルタを収容可能に構成されており、
前記吸収ユニットは、前記1つ又は複数の吸収フィルタが個別に着脱可能に構成されている、請求項に記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記ダンパーの動作を制御する制御部と、
前記吸収ユニットに配置された吸収フィルタの数と、前記ダンパーの位置とが対応付けられた情報が記憶された記憶部と、をさらに備え、
前記制御部は、
前記吸収ユニットに配置された前記吸収フィルタの数を取得し、
前記吸収フィルタの数に基づいて前記情報を参照し、前記ダンパーの位置を変更する、請求項に記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記ダンパーは、前記ダンパーの位置が手動で変更可能に構成されており、
前記筐体には、前記吸収ユニットに配置された前記吸収フィルタの数と、前記ダンパーの位置とが対応付けられた目印が設けられている、請求項に記載の空気清浄機。
【請求項5】
前記筐体には、前記ファンが駆動することにより生じる気流の上流側から、前記吸収ユニット、前記ダンパー、前記空気清浄部、及び前記ファンが、順に配置されており、
前記開口は、前記吸収ユニットから前記空気清浄部へ空気が流れる前記通気経路内に、前記ダンパーを介して前記筐体の外部からの空気を導入する、請求項に記載の空気清浄機。
【請求項6】
前記筐体には、前記吸収ユニット、前記ダンパー、前記空気清浄部、及び前記ファンが、上方に向かって順に配置されており、
前記筐体の側面に、前記吸収ユニット内の前記吸収フィルタを交換するためのメンテナンス扉が設けられている、請求項に記載の空気清浄機。
【請求項7】
前記筐体には、前記ファンが駆動することにより生じる気流の上流側から、前記ファン、前記空気清浄部、前記ダンパー、及び前記吸収ユニットが、順に配置されており、
前記開口は、前記空気清浄部から前記吸収ユニットへ空気が流れる前記通気経路から、前記ダンパーを介して前記筐体の外部へ空気を排出する、請求項に記載の空気清浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素吸収装置、及び空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護活動への取り組みが社会的に行われている。特に、地球温暖化の原因と考えられている二酸化炭素を回収する取り組みが、企業及び公的機関において行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、二酸化炭素固定フィルタとメインフィルタとファンとを備えた空気清浄機が開示されている。ファンが駆動することにより、吸気口から進入した空気は、二酸化炭素固定フィルタを通過し、メインフィルタを通過し、排気口から排出される。二酸化炭素固定フィルタは、通過する空気中から二酸化炭素を吸着固定する。メインフィルタは、通過する空気中から浮遊塵埃を吸着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-68164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているような二酸化炭素を吸着可能な空気清浄機、及び二酸化炭素吸収装置において、二酸化炭素の反応効率(吸収効率)を向上させることが望まれている。
【0006】
この開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、二酸化炭素の反応効率を向上させることが可能な二酸化炭素吸収装置、及び空気清浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、以下に開示する、本開示の第1の態様に係る二酸化炭素吸収装置は、二酸化炭素を吸収する水酸化物を含有する吸収フィルタと、前記吸収フィルタが配置された筐体と、を備え、前記筐体は、前記吸収フィルタを通過する空気の風速である第1風速が、0.02m/s以上0.50m/s未満の値である。
【0008】
本開示の第2の態様に係る空気清浄機は、ファンと、前記ファンが駆動することにより空気が通気する空気清浄部と、二酸化炭素を吸収する吸収フィルタが収容された吸収ユニットであって、前記ファンが駆動することにより空気が通気する吸収ユニットと、前記ファンと前記空気清浄部と前記吸収ユニットとが配置された筐体とを、備え、前記ファンが駆動することにより前記吸収ユニットを通過する空気の風速である第1風速が、0.02m/s以上0.50m/s未満の値であり、かつ、前記ファンが駆動することにより前記空気清浄部を通過する空気の風速である第2風速が、前記第1風速よりも高い。
【0009】
本開示の第3の態様に係る空気清浄機は、第1ファンと、第2ファンと、前記第1ファンが駆動することにより空気が通気する空気清浄部と、二酸化炭素を吸収する吸収フィルタが収容された吸収ユニットであって、前記第2ファンが駆動することにより空気が通気する吸収ユニットと、前記第1ファンと前記第2ファンと前記空気清浄部と前記吸収ユニットとが配置された筐体とを、備え、前記第2ファンが駆動することにより前記吸収ユニットを通過する空気の風速である第1風速が、0.02m/s以上0.50m/s未満の値であり、かつ、前記第1ファンが駆動することにより前記空気清浄部を通過する空気の風速である第2風速が、前記第1風速よりも高い。
【0010】
本開示の第4の態様に係る二酸化炭素吸収装置は、二酸化炭素を吸収する水酸化物を含有する吸収フィルタが収容された吸収ユニットであって、空気が通気する吸収ユニットと、前記吸収ユニットが配置された筐体と、を備え、前記筐体は、前記吸収ユニットを通過する空気の風速である第1風速が、0.02m/s以上0.50m/s未満の値となるように構成されており、前記筐体は、前記第1風速よりも高い風速である第2風速で空気が通過する通気路を含む。
【発明の効果】
【0011】
上記の構成によれば、二酸化炭素の反応効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1実施形態における空気清浄機100の構成を示す断面図である。
図2図2は、吸収フィルタ21の構成を模式的に示した断面図である。
図3図3は、第1実施形態による吸気口11から排気口12までの通気経路を説明するための図である。
図4図4は、ダンパー60の回動の一例を示す図である。
図5図5は、第1実施形態による空気清浄機100のブロック図である。
図6図6は、第2実施形態による空気清浄機200の構成を示すブロック図である。
図7図7は、第2実施形態によるダンパー260の構成を説明するための図である。
図8図8は、第3実施形態による空気清浄機300の構成を説明するための図である。
図9図9は、第3実施形態による空気清浄機300の構成を説明するための断面図である。
図10図13は、第4実施形態による空気清浄機500の構成を説明するための図である。
図11図11は、吸収部材に通過させた風速と反応効率との関係を示す図である。
図12A図12Aは、測定結果をまとめた図である。
図12B図12Bは、飽和反応率を説明するための図である。
図13図13は、第1~第4実施形態の第1変形例による空気清浄機400の構成を説明するための図である。
図14図14は、第1~第4実施形態の第2変形例による二酸化炭素吸収装置600の構成を説明するための図である。
図15図15は、第1~第4実施形態の第3変形例による二酸化炭素吸収装置700の構成を説明するための図である。
図16図16は、第5実施形態による空調システム800の構成を示す配管系統図である。
図17図17は、第5実施形態による空調システム800の一部の断面図である。
図18図18は、第5実施形態による空調システム800の一部の断面図である。
図19図19は、第5実施形態の第1変形例による空調システム900の一部の断面図である。
図20図20は、第5実施形態の第1変形例による空調システム900の一部の断面図である。
図21図21は、第5実施形態の第2変形例による空調システム1000の一部の断面図である。
図22図22は、第5実施形態の第2変形例による空調システム1000の一部の断面図である。
図23図23は、第6実施形態による車両1100の構成を示す図である。
図24図24は、第7実施形態による航空機1200の構成を示す図である。
図25図25は、第5実施形態の第3変形例による空調システム1300の構成を示す断面図である。
図26図26は、第5実施形態の第3変形例による空調システム1300の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本開示は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本開示の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。また、以下の説明において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、実施形態および変形例に記載された各構成は、適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。また、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。
【0014】
[第1実施形態]
(空気清浄機100の全体構成)
図1は、第1実施形態における空気清浄機100の構成を示す断面図である。
【0015】
第1実施形態による空気清浄機100は、空気中の粉塵を除去する(空気を清浄化する)とともに、空気中の二酸化炭素を除去(吸収・回収)する装置である。空気清浄機100は、単体として、屋内又は屋外に配置されてもよいし、他の装置(車両、航空機、船舶、空調設備、自動販売機など)に組み込まれてもよい。空気清浄機100が屋外へ配置される場合、空気清浄機100の筐体10が防水性を有することが好ましいが、雨や雪が降りかかる場所でない場合、筐体10は防水性を有さなくてもよい。
【0016】
(空気清浄機100の各部の構成)
図1に示すように、空気清浄機100は、筐体10を含む。筐体10には、吸気口11と、排気口12と、開口13と、メンテナンス扉14と、車輪15とが設けられている。第1実施形態では、吸気口11は、筐体10の底面に形成されている。吸気口11は、筐体10内に、筐体10の外部からの空気を導入する。排気口12は、筐体10の天面に形成されている。排気口12は、筐体10内の空気を筐体10の外部に排出する。開口13は、筐体10の側面に形成されている。第1実施形態では、開口13は、筐体10内の通気経路80内に、筐体10の外部からの空気を導入する。メンテナンス扉14は、図示しないヒンジにより回動することにより、開閉されるように構成されている。なお、以下の説明では、水平面をXY平面とし、XY平面内における各方向を、図1に示すように、X1方向、X2方向、Y1方向、及びY2方向とする。また、上方向をZ1方向、及び下方向をZ2方向とする。
【0017】
また、図1に示すように、空気清浄機100は、吸収ユニット20と、空気清浄フィルタ30と、不織布フィルタ41及び42と、ファン50と、ダンパー60とを含む。
【0018】
吸収ユニット20には、1つ又は複数の吸収フィルタ21が設けられている。図1では、3つの吸収フィルタ21を図示しているが、2つ以下又は4つ以上の吸収フィルタ21が吸収ユニット20に設けられていてもよい。例えば、複数の吸収フィルタ21は、上下方向に並んで配置されている。複数の吸収フィルタ21は、互いに同一の形状を有している。これにより、吸収フィルタ21の製造コストを低減することができる。複数の吸収フィルタ21は、メンテナンス扉14がX2方向に開放された状態で、個別に筐体10の外部に取り出すことが可能に構成されている。例えば、吸収フィルタ21は、メンテナンス扉14側(X2方向)にスライド移動することができるように、筐体10内に配置されている。これにより、複数の吸収フィルタ21のうちの交換すべき吸収フィルタ21のみを交換又は取り外すことができ、吸収ユニット20に配置される吸収フィルタ21の数を状況に応じて変更することができる。この結果、吸収フィルタ21の交換が容易になることにより、吸収部材21aのリサイクルが容易になる。
【0019】
第1実施形態では、吸収ユニット20は、筐体10の下方部分に配置されている。また、吸収ユニット20は、空気清浄フィルタ30に対してファン50により生じる気流の上流側に配置されている。
【0020】
図2は、吸収フィルタ21の構成を模式的に示した断面図である。図2に示すように、吸収フィルタ21は、二酸化炭素を吸収するフィルタである。吸収フィルタ21は、二酸化炭素を吸収する吸収部材21aと、吸収部材21aを収容するケース部21bとを含む。吸収部材21aは、例えば、水酸化物系の二酸化炭素吸収剤である。吸収部材21aは、化学反応により二酸化炭素を吸収する水酸化物を含む。すなわち、吸収部材21aは、空気に触れることにより空気中の二酸化炭素と化学反応を行って、空気中の二酸化炭素を取り除く部材である。また、化学反応により二酸化炭素を吸収する部材は、カルシウム系材料を含む。カルシウム系材料は、例えば、水酸化カルシウムである。なお、二酸化炭素の吸収方法は、化学反応を用いる方法以外に、化学反応を生じさせず物理的に二酸化炭素分子を吸収部材の細孔に吸着させる方法がある。例えば、ゼオライト等の多孔質材に二酸化炭素分子を吸着させる方法がある。この物理的に二酸化炭素分子を吸収部材に吸着させる方法では、吸収部材から二酸化炭素を脱離させ、脱離させた二酸化炭素を固体に変化させる工程が必要となり、二酸化炭素を固体にするまでの工程数が増大する。これに対して、第1実施形態の構成によれば、化学反応により二酸化炭素を吸収する部材を用いることにより、二酸化炭素が化学変化した固体(粉体)の状態で、二酸化炭素を回収することができる。これにより、物理的に二酸化炭素分子を吸収部材に吸着させる方法に比べて、二酸化炭素を容易に再利用することができる。なお、水酸化カルシウム以外の水酸化物を吸収部材21aに含有させてもよい。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アンモニウム、又は水酸化カリウムを、吸収部材21aに含有させてもよい。吸収部材21aは、円柱状を有し、直径の平均径Φが2mm以上3mm以下であり、長さ(高さ)は、5.0mmである。
【0021】
また、吸収部材21aに水酸化カルシウムを用いる場合、水酸化カルシウムに二酸化炭素を吸収させることにより、炭酸カルシウムを生成することができる。生成された炭酸カルシウムは、様々なリサイクル製品の原料を生成する際に用いることができる。
【0022】
また、吸収部材21aに、メチルバイオレット等の染料を含有してもよい。この場合、吸収部材21aは、吸収した二酸化炭素の量によるPH変化により色彩が変化するように構成される。この場合、例えば、吸収部材21aは、二酸化炭素を吸収すると「白色」から「赤色、紫色、又はピンク色」に変わる。また、吸収部材21aとして、二酸化炭素を吸収すると「赤又は紫色」から「白色又はピンク色」に変わるものが用いられてもよいし、上記以外の色彩に変化するものが用いられてもよい。
【0023】
また、吸収部材21aは、顆粒状に形成されている。図3に示すように、吸収部材21aは、ケース部21b内に、複数配置されている。吸収部材21aを、固体により形成することにより、液体に比べて取り扱いが容易であり、ユーザが吸収フィルタ21を交換する際に、吸収部材21aが回収者に付着しにくい。ケース部21bは、図示しない通気孔を有するか、又は、通気可能なメッシュ状に形成されている。これにより、ケース部21bは、ケース部21b内の吸収部材21aに外部の空気を接触させる。
【0024】
また、図2に示すように、吸収フィルタ21には、二次元コード21cが貼付されている。二次元コード21cは、例えば、QRコード(登録商標)である。なお、吸収ユニット20には、二次元コード21cに代えて一次元コード(バーコード)が設けられてもよいし、ICチップ等、情報を格納可能な電気回路が設けられてもよい。二次元コード21cは、例えば、特許7189644号公報に記載の「二次元コード」として利用することができる。
【0025】
空気清浄フィルタ30は、例えば、粉塵を捕捉するフィルタである。空気清浄フィルタ30として、HEPAフィルタを用いることができる。また、図1に示すように、空気清浄フィルタ30は、吸収ユニット20とファン50との間に配置されている。また、空気清浄フィルタ30は、吸収ユニット20に対してファン50により生じる気流の下流側(筐体10の上方部分)に配置されている。これにより、吸収ユニット20から仮に吸収部材21aの一部が放出された場合でも、空気清浄フィルタ30により吸収部材21aが捕捉され、空気清浄機100外に吸収部材21aが放出されるのを防止することができる。
【0026】
不織布フィルタ41及び42は、空気清浄フィルタ30に比べて通気性が高く、筐体10内に異物や粉塵が侵入するのを防止する。不織布フィルタ41は、吸収ユニット20よりも気流の上流側に配置されている。また、不織布フィルタ42は、空気清浄フィルタ3の吸気側に配置されている。
【0027】
ファン50は、電力が供給されることにより駆動し、図3に示すように、吸気口11、及び開口13から筐体10内に空気を吸い込み、排気口12から筐体10外へ当該空気を排出する。ファン50は、例えば、シロッコファンを用いることができるが、プロペラファン、ターボファン等であってもよい。また、第1実施形態では、ファン50の消費電力を二酸化炭素換算した場合に、換算された二酸化炭素量が吸収ユニット20により吸収可能な二酸化炭素量未満となるファン50が採用されている。なお、ダンパー60の内側(通気経路80)は、ファン50が下流側にあるため、負圧となる。このため、空気が、空気清浄フィルタ30を通過せずに筐体10外に放出されることがない。
【0028】
図3は、第1実施形態による吸気口11から排気口12までの通気経路を説明するための図である。図3に示すように、筐体10には、吸気口11、不織布フィルタ41、吸収ユニット20、ダンパー60及び開口13、不織布フィルタ42、空気清浄フィルタ30、ファン50、及び排気口12が、気流の上流側から順に配置されている。「気流」とは、ファン50が駆動することにより生じる空気の流れである。なお、1つのファン50が駆動することにより、吸気口11、不織布フィルタ41、吸収ユニット20、ダンパー60及び開口13、不織布フィルタ42、空気清浄フィルタ30、ファン50、及び排気口12の順に流れる気流A1と、開口13(ダンパー60)、不織布フィルタ42、空気清浄フィルタ30、ファン50、及び排気口12の順に流れる気流A2とが生じる。このように、第1実施形態では、空気清浄フィルタ30には、気流A1及び気流A2の両方が通過し、吸収ユニット20には、気流A1のみが通過する。これにより、空気清浄フィルタ30を通過する風量を、吸収ユニット20を通過する風量よりも大きくすることができる。この結果、空気清浄機100の空気清浄機能を向上させることができる。また、第1実施形態の空気清浄機100では、空気清浄フィルタ30に通気させるためのファン50と、吸収ユニット20に通気させるためのファン50とを、共通化することができる。
【0029】
また、図1に示すように、筐体10には、吸気口11、不織布フィルタ41、吸収ユニット20、ダンパー60及び開口13、不織布フィルタ42、空気清浄フィルタ30、ファン50、及び排気口12が、上方に向かって順に配置されている。
【0030】
開口13は、吸収ユニット20と空気清浄フィルタ30との間の通気経路80内に、筐体10の外部からの空気を導入する。ファン50が駆動することにより、通気経路80が筐体310の外部に対して陰圧(負圧)になることにより、開口13を介して、筐体10の外部から空気が通気経路80内に進入する。図4は、ダンパー60の回動の一例を示す図である。ダンパー60は、フラップの位置(角度)が変更されることにより開口13の開度を変更するように構成されている。「開度」とは、開口13を通過する空気に対する圧力損失が小さい程、大きく、開口13を通過する空気に対する圧力損失が大きい程、小さい。「開度」を小さくすることは、例えば、ダンパー60により開口13の一部を塞ぐか、ダンパー60を空気の流れを妨げる位置(角度)に移動することである。例えば、図4の例では、位置P2から位置P1にダンパー60が移動する。「開度」を大きくすることは、例えば、ダンパー60により開口13を開放させるか、ダンパー60を空気の流れを妨げない位置(角度)に移動することである。例えば、図4の例では、位置P2から位置P3にダンパー60が移動する。なお、図1では、ダンパー60を6つ図示しているが、ダンパー60の数は、5つ以下又は7つ以上であってもよい。
【0031】
図5は、第1実施形態による空気清浄機100のブロック図である。空気清浄機100は、制御回路70と、記憶部71と、枚数センサ72と、を含む。記憶部71は、不揮発性の記憶回路(メモリ)を含む。記憶部71には、吸収ユニット20に配置された吸収フィルタ21の数と、ダンパー60の位置とが対応付けられた情報が記憶されている。例えば、ダンパー60の位置は、吸収ユニット20を通過する空気の風速である第1風速が、0.02m/s以上0.15m/s以下となり、空気清浄フィルタ30を通過する空気の風速である第2風速が、0.3m/s以上0.5m/s以下となるように、設定されている。なお、第1風速は、0.02m/s以上0.50m/s未満の値であってもよいが、この場合、第2風速は、第1風速よりも高く設定されている。また、第1風速は、0.02m/s以上0.25m/s未満の値であってもよいが、この場合、第2風速は、第1風速よりも高く設定されている。
【0032】
枚数センサ72は、吸収ユニット20に配置されている。枚数センサ72は、吸収ユニット20内の吸収フィルタ21の枚数を検出する。例えば、枚数センサ72は、接触式センサである。なお、枚数センサ72は、非接触センサ(光学式又は磁気式のセンサ)であってもよい。枚数センサ72は、検出した枚数の情報を制御回路70に伝達する。図4の例の場合、制御回路70は、枚数センサ72から吸収フィルタ21の数を取得する。そして、制御回路70は、吸収フィルタ21の数が「3枚」の場合、ダンパー60が位置P1に配置されるように、ダンパー60の駆動を制御する。なお、第1実施形態では、ダンパー60に、モータ等の駆動装置が設けられている。また、制御回路70は、吸収フィルタ21の数が「2枚」の場合、ダンパー60が位置P2に配置されるように、ダンパー60の駆動を制御する。制御回路70は、吸収フィルタ21の数が「1枚」の場合、ダンパー60が位置P3に配置されるように、ダンパー60の駆動を制御する。
【0033】
上記の位置P1~P3と吸収フィルタ21の枚数とが対応付けられた情報は、空気清浄機100の設計段階において、予め準備されている。例えば、最大の数の吸収フィルタ21を吸収ユニット20に配置した状態で、かつ、空気清浄フィルタ30を筐体10に取り付けた状態で、ファン50を運転させる。吸収フィルタ21を通過する風速が、吸収フィルタ21の吸収効率が最大となる風量になるようなダンパー60の位置を記録する。この位置が、最大の数に対応付けられる。そして、吸収フィルタ21が吸収ユニット20から1枚外され、吸収フィルタ21を通過する風速が、吸収フィルタ21の吸収効率が最大となる風量になるようなダンパー60の位置を記録する。これを繰り返すことにより、位置P1~P3と吸収フィルタ21の枚数とが対応付けられた情報が作成される。
【0034】
ダンパー60により、開口13を通過する空気の量(空気清浄フィルタ30を通過する風量と吸収ユニット20を通過する風量との差異となる量)を調整することができる。この結果、吸収ユニット20内の吸収フィルタ21の枚数が変更された場合でも、適切な風速で空気が供給されるので、二酸化炭素の反応効率を向上させることができる。
【0035】
[第2実施形態]
次に、図6及び図7を参照して、第2実施形態による空気清浄機200の構成について説明する。第2実施形態では、空気清浄機200のダンパー260は、手動で位置が変更可能に構成されている。なお、第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を用い説明を省略する。
【0036】
図6は、第2実施形態による空気清浄機200の構成を示すブロック図である。図7は、第2実施形態によるダンパー260の構成を説明するための図である。図6に示すように、空気清浄機200は、制御回路270を含む。制御回路270は、図示しない操作パネルに対する入力操作に応じて、ファン50の運転のオンオフすること及びファン50の風量の増減を行い、ダンパー260の制御は実行しない。
【0037】
図7に示すように、空気清浄機200の筐体210には、ダンパー260が配置されている。ダンパー260は、開口13(図1参照)を通過する風によっては位置が変更されないものの、手動で位置が変更可能に構成されている。「手動」とは、例えば、人(ユーザ)の手で把持された状態で位置が変更されることである。ダンパー260は、例えば、図7に示す位置P1、P2、及びP3の間で移動する。
【0038】
また、第2実施形態では、筐体210には、吸収ユニット20に配置された吸収フィルタ21の数と、ダンパー260の位置とが対応付けられた目印261が設けられている。目印261は、例えば、筐体210において、ダンパー60のフラップ(羽根)の延長線上の位置に線、及び吸収フィルタ21の数を示す文字又はマーク(例えば「1個」、「2個」、及び「3個」など)が記載されている。これにより、目印261に合わせてダンパー260を移動させることができるので、ダンパー260の位置を手動で切り替える場合でも、吸収フィルタ21を通過する風速が適切な値になるように、ダンパー260の位置を調整することができる。その他の構成及び効果は、第1実施形態の構成及び効果と同様である。
【0039】
[第3実施形態]
次に、図8及び図9を参照して、第3実施形態による空気清浄機300の構成について説明する。第3実施形態では、空気清浄フィルタ330が、吸収ユニット320よりも気流の上流側に配置されている。なお、第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を用い説明を省略する。
【0040】
図8は、第3実施形態による空気清浄機300の構成を説明するための図である。図8に示すように、空気清浄機300は、ファン350と、空気清浄フィルタ330と、ダンパー360と、開口313と、吸収ユニット320とを含む。また、筐体310において、ファン350が駆動することにより生じる気流A11の上流側から吸気口11、不織布フィルタ41、ファン350、空気清浄フィルタ330、ダンパー360(開口313)、不織布フィルタ42、吸収ユニット320、及び排気口12の順に配置されている。また、図9に示すように、筐体310の下方から不織布フィルタ41、ファン350、空気清浄フィルタ330、ダンパー360(開口313)、不織布フィルタ42、吸収ユニット320、及び排気口12の順に配置されている。また、開口313は、第3実施形態では、上方に向かって開口している。吸収ユニット320の吸収フィルタ21は、通気する網315上に配置されている。
【0041】
また、第3実施形態では、開口313は、ファン350よりも下流側に配置されている。これにより、開口313は、空気清浄フィルタ330と吸収ユニット320との間の通気経路380からダンパー360を介して筐体310の外部へ空気を排出する。通気経路380の下流側に吸収ユニット320が存在することにより、通気経路380が筐体310の外部に対して陽圧になり、開口313から空気が筐体310の外部に流れ出る。これにより、ファン350が駆動することにより、吸気口11、不織布フィルタ41、空気清浄フィルタ330、ファン350、ダンパー360(開口313)及び筐体310の外部の順に流れる気流A12が発生する。この結果、空気清浄フィルタ330には、気流A11及び気流A12の両方が通過し、吸収ユニット320には、気流A11のみが通過する。なお、図9に示すように、ダンパー360の寸法は、第1実施形態のダンパー60の寸法よりも大きく、開口313は、第1実施形態の開口13の寸法よりも大きい。
【0042】
第3実施形態の空気清浄機300によれば、溶接ファーム等の粉塵の多い工業設備内に空気清浄機300が配置された場合でも、空気清浄フィルタ330により粉塵等が除去された空気が吸収ユニット320を通過する。これにより、吸収ユニット320が粉塵等により目詰まりするのを防止することができる。なお、その他の構成及び効果は、第1実施形態の構成及び効果と同様である。
【0043】
[第4実施形態]
次に、図10を参照して、第4実施形態による空気清浄機500の構成について説明する。第4実施形態では、空気清浄フィルタ530に空気を通過させる第1ファン551と、吸収ユニット520に空気を通過させる第2ファン552とを含む。なお、第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を用い説明を省略する。
【0044】
図10に示すように、空気清浄機500は、筐体510と、第1ファン551と、第2ファン552と、空気清浄フィルタ530と、吸収ユニット520と、不織布フィルタ541及び542、を含む。筐体510には、空気清浄用吸気口511a、吸収ユニット用吸気口511b、空気清浄用排気口514a、及び吸収ユニット用排気口514b、が設けられている。そして、筐体510の上方部分において、第1ファン551が駆動することにより生じる気流A32の上流側から、空気清浄用吸気口511a、不織布フィルタ542、空気清浄フィルタ530、第1ファン551、及び空気清浄用排気口514aが、順に配置されている。また、筐体510の下方部分において、第2ファン552が駆動することにより生じる気流A31の上流側から、吸収ユニット用吸気口511b、不織布フィルタ541、吸収ユニット520、第2ファン552、及び吸収ユニット用排気口514bが、順に配置されている。
【0045】
そして、第2ファン552が駆動することにより、吸収ユニット520を通過する空気の風速である第1風速が、0.02m/s以上0.15m/s以下となるように、第2ファン552の風量及び筐体510が構成されている。また、第1ファン551が駆動することにより、空気清浄フィルタ530を通過する空気の風速である第2風速が、0.3m/s以上0.5m/s以下となるように、第1ファン551の風量及び筐体510が構成されている。なお、第1風速は、0.02m/s以上0.50m/s未満の値であってもよいが、この場合、第2風速は、第1風速よりも高く設定されている。また、第1風速は、0.02m/s以上0.25m/s未満の値であってもよいが、この場合、第2風速は、第1風速よりも高く設定されている。なお、その他の構成及び効果は、第1実施形態の構成及び効果と同様である。
【0046】
[第5実施形態]
次に、図16図18を参照して、第5実施形態による空調システム800の構成について説明する。第5実施形態では、空調システム800の吸収ユニット820は、ダクト810内に配置されている。なお、第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を用い説明を省略する。
【0047】
図16は、第5実施形態による空調システム800の構成を示す配管系統図である。図17及び図18は、第5実施形態による空調システム800の一部の断面図である。図16に示すように、空調システム800は、例えば、ビル等の建築物の空調システムである。空調システム800は、各階(図16では、1F及び2F)の給気口E11~13、及びE21~E23から各部屋内に空気を供給し、各部屋の排気口G11~G13、及びG21~23から空気を排出させる。空調システム800は、ダクト810と、送風機831と、空気清浄部832(フィルタ)と、弁833と、弁834a~834cとを含む。
【0048】
ダクト810は、給気口E11~13及びE21~E23と、排気口G11~G13及びG21~23と、送風機831と、空気清浄部832とを接続し、空気を通過させる。送風機831は、ダクト810内で気流を発生させる。空気清浄部832は、通過する空気の粉塵等を回収する。弁833は、空調システム800外から導入される新鮮な空気の量を調整するための弁である。弁834a~834cは、空気清浄部832を通過する空気の量及びダクト810内の通気量を調整するための弁である。
【0049】
図17は、ダクト810が延びる方向に切った断面図(縦断面図)であり、図18は、ダクト810を横切る方向に切った断面図(横断面図)である。空調システム800は、複数の吸収ユニット820を含む。複数の吸収ユニット820は、ダクト810内に配置されている。図16では、吸収ユニット820が、排気口G11~G13、及びG21~23の近傍に配置される例を示しているが、給気口E11~13、及びE21~E23の近傍、又は、これら以外のダクト810内に配置されてもよい。
【0050】
図17に示すように、複数の吸収ユニット820は、平面視でハの字状に配置された一対の吸収ユニット820を含む。一対の吸収ユニット820は、気流A61の上流側から下流側に向かって徐々に間隔が大きくなるように配置されている。一対の吸収ユニット820は、軸812(例えば、ヒンジ等)により、回動可能にダクト810に固定されている。軸812は、鉛直方向に延びるように配置されている。これにより、一対の吸収ユニット820の間隔D1は、変更可能となる。間隔D1は、通気路813の幅である。すなわち、間隔D1を大きくすると、通気路813の気流A61の風速が大きくなり、間隔D1を小さくすると、通気路813の気流A61の風速が小さくなる。ここで、気流A61の風速は、吸収ユニット820を通過する気流A62の風速(0.02m/s以上0.50m/s未満の値)よりも高い風速である。
【0051】
図18に示すように、ダクト810の上面に、通気口811が設けられている。ダクト810の上面は、例えば、部屋の床面に対応する。これにより、通気口811から導入された空気が、吸収ユニット820を通過して、ダクト810内で移動する。
【0052】
第5実施形態の構成によれば、ダクト810内に、吸収ユニット820を配置する場合にも、通気路813により風速を確保しながら、二酸化炭素の反応効率を向上させることができる。また、通気路813の幅(D1)を変更することができるので、通気路813内の風速を調整することができる。なお、その他の構成及び効果は、第1実施形態の構成及び効果と同様である。
【0053】
[第5実施形態の第1変形例]
次に、図19及び図20を参照して、第5実施形態の第1変形例による空調システム900の構成について説明する。第5実施形態の第1変形例では、鉛直方向に延びるように配置されていた第5実施形態の軸812とは異なり、水平方向でかつ平面視でダクト910が延びる方向(X1方向)に交差する方向(Y1方向)に延びるように軸912が配置されている。なお、第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を用い説明を省略する。
【0054】
図19及び図20は、第5実施形態の第1変形例による空調システム900の一部の断面図である。空調システム900は、複数の吸収ユニット920を含む。複数の吸収ユニット920は、ダクト910内に配置されている。図19に示すように、軸912は、水平方向でかつ平面視でダクト910が延びる方向(X1方向)に交差する方向(Y1方向)に延びるように配置されている。これにより、複数の吸収ユニット920は、それぞれ、軸912を中心として回動可能である。この結果、通気路913の幅D2は、変更可能である。通気路913の気流A81の風速は、吸収ユニット920を通過する気流A82の風速(0.02m/s以上0.50m/s未満の値)よりも高い風速である。吸収ユニット920には、通気口911から進入した空気とダクト910内を流れる空気が通過する。
【0055】
図20に示すように、複数の吸収ユニット920は、ダクト810の中央部を隔てて配置された一対の吸収ユニット920を含む。これにより、ダクト810の中央部を通気路913として機能させることができる。第5実施形態の第1変形例の構成によっても、通気路913の幅(D2)を変更することができるので、通気路913内の風速を調整することができる。なお、その他の構成及び効果は、第5実施形態の構成及び効果と同様である。
【0056】
[第5実施形態の第2変形例]
次に、図21及び図22を参照して、第5実施形態の第2変形例による空調システム1000の構成について説明する。第5実施形態の第2変形例では、ダクト1010の内側面1012に複数の吸収ユニット1020が分散して配置されている。なお、第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を用い説明を省略する。
【0057】
図21及び図22は、第5実施形態の第2変形例による空調システム1000の一部の断面図である。空調システム1000は、複数の吸収ユニット1020を含む。複数の吸収ユニット1020は、ダクト1010の内側面1012に、互いに所定の間隔を空けて配置されている。ダクト1010の通気路1013の気流A91の風速は、吸収ユニット1020を通過する気流A92の風速(0.02m/s以上0.50m/s未満の値)よりも高い風速である。なお、その他の構成及び効果は、第5実施形態の構成及び効果と同様である。
【0058】
[第5実施形態の第3変形例]
次に、図25及び図26を参照して、第5実施形態の第3変形例による空調システム1300の構成について説明する。図25及び図26は、第5実施形態の第3変形例による空調システム1300の構成を示す断面図である。図25及び図26に示すように、第5実施形態の第3変形例では、ダクト1310の内側面1312に筒状の吸収ユニット1320が配置されている。筒状の吸収ユニット1320の内側が、通気路1313として構成されている。ダクト1310の通気路1313の気流A121の風速は、吸収ユニット1320を通過する気流A122の風速(0.02m/s以上0.50m/s未満の値)よりも高い風速である。なお、その他の構成及び効果は、第5実施形態の構成及び効果と同様である。また、図26では、ダクト1310及び吸収ユニット1320を円筒状に図示しているが、矩形の枠状に構成してもよい。なお、その他の構成及び効果は、第5実施形態の構成及び効果と同様である。
【0059】
[第6実施形態]
次に、図23を参照して、第6実施形態による車両1100の構成について説明する。図23は、第6実施形態による車両1100の構成を示す図である。図23に示すように、第6実施形態では、吸収ユニット1120が車両1100内に配置されている。吸収ユニット1120は、車両1100のボンネット1111の内側(機械室側)に配置されている。車両1100が走行することにより導入された空気は、ラジエーター1130および吸収ユニット1120を通過する。車両1100内に進入する空気の大部分は、ラジエーター1130を通過する通気路1113を通過し、一部が吸収ユニット1120を通過する。通気路1113の気流A101の風速は、吸収ユニット1120を通過する気流A102の風速(0.02m/s以上0.50m/s未満の値)よりも高い風速である。第6実施形態によれば、車両1100に吸収ユニット1120を設ける場合でも、二酸化炭素の反応効率を向上させながら、通気路1113における風速を大きくすることができる。
【0060】
[第7実施形態]
次に、図24を参照して、第7実施形態による航空機1200の構成について説明する。図24は、第7実施形態による航空機1200の構成を示す図である。図24に示すように、第7実施形態では、吸収ユニット1220が航空機1200内に配置されている。吸収ユニット1220は、航空機1200の機体1210内に配置されている。航空機1200が飛行することによりエンジン1211から導入された空気は、機体1210内の空調システムに導入される。吸収ユニット1220は、機体1210内の客室に空気を供給する給気口の近傍、客室又は機体1210から空気を排出する排気口、及び座席に配置されている。吸収ユニット1220は、座席のうちの枕部分に配置されている。機体1210内の空気の通気路1213の気流A121の風速は、吸収ユニット1220を通過する気流A122の風速よりも高い風速である。第7実施形態によれば、航空機1200に吸収ユニット1220を設ける場合でも、二酸化炭素の反応効率を向上させながら、通気路1213における風速を大きくすることができる。
【0061】
[測定結果]
次に、図11及び図12Aを参照して、吸収部材に空気を通過させた場合の反応効率ηの測定結果について説明する。図11は、吸収部材に通過させた風速と反応効率との関係を示す図である。図12Aは、測定結果をまとめた図である。
【0062】
ここで、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を主成分とする吸収部材を準備した。円柱状を有し、直径の平均径Φが、2.0mmで、長さ(高さ)が5.0mmの吸収部材と、円柱状を有し、直径の平均径Φが、3.0mmで、長さ(高さ)が5.0mmの吸収部材とが準備された。なお、吸収部材には、水酸化カルシウム以外の物質として、三酸化硫黄(SО3)が0.8%~0.9%、酸化マグネシウム(MgO)が0.5%、酸化アルミニウム(Al2O3)が0.2%、二酸化ケイ素(SiO2)が微量、含有されている。
【0063】
準備された平均径Φ2.0mmの吸収部材に、0.12m/s、0.15m/s、0.16m/s、0.18m/s、及び0.2m/sの風速(以下「通過風速v」という)で空気を100時間、通過させた状態で、炭酸カルシウムの割合(反応率)を測定した。また、準備された平均径Φ3.0mmの吸収部材に、0.3m/s、0.4m/s、及び0.5m/sの通過風速vで空気を100時間、通過させた状態で、炭酸カルシウムの割合(反応率)を測定した。「反応効率η」とは、通過風速vで所定の時間(本実施形態では、100時間)、空気を通過させた場合の炭酸カルシウムの割合(反応率)を意味する。炭酸カルシウム(CaCO3)の重量の割合は、ガス容量法により検出された二酸化炭素の割合(%)に対して、100.09を乗算し、44.01を除算することにより、求められる(図11では、これを「実測値」としている)。
【0064】
平均径Φ2.0mmの吸収部材の反応効率ηの実測値は、通過風速vが0.12m/sの場合、90%、通過風速vが0.15m/sの場合、88%、通過風速vが0.16m/sの場合、80%、通過風速vが0.18m/sの場合、78%、通過風速vが0.2m/sの場合、75%となった。また、平均径Φ3.0mmの吸収部材の反応効率ηの実測値は、通過風速vが0.3m/sの場合、64%、通過風速vが0.4m/sの場合、60%、通過風速vが0.5m/sの場合、51%となった。
【0065】
ここで、平均径Φ3.0mmの吸収部材の反応効率ηの実測値から、通過風速vが0.2m/sの場合の反応効率ηを推定すると、67%となる。従って、同一の通過風速vの場合、平均径Φ2.0mmの吸収部材の反応効率η(75%)の方が、平均径Φ3.0mmの吸収部材の反応効率η(67%)よりも大きくなることが判明した。なお、通過風速vが0.2m/sの場合の反応効率ηを推定は、通過風速vが0.4m/sに対する通過風速vが0.3m/sへの反応効率ηの増加分を、0.3m/sの反応効率ηに加算したものである。
【0066】
また、平均径Φ2.0mmの吸収部材については、「反応効率η」の「推定値」を算出した。「推定値」とは、水酸化カルシウムが100%反応した場合(水酸化カルシウムが全て炭酸カルシウムに変化した場合)の重量を分母として、炭酸カルシウム(CaCO3)の重量を分子としたものである。例えば、まず、反応前の吸収部材の重量及び水分量を測定し、反応前の吸収部材から水分量が除かれた重量(「反応前ドライ重量」と呼ぶ)を算出する。そして、反応後の吸収部材の重量及び水分量を測定し、反応後の吸収部材から水分量が除かれた重量(「反応後ドライ重量」と呼ぶ)を算出する。また、反応前の吸収部材が完全に反応した場合(水酸化カルシウムが全て炭酸カルシウムになった場合)の重量「反応後最大重量」を算出する。すなわち、反応前の水酸化カルシウムのモル数が、74、反応後の炭酸カルシウムのモル数が、100であるので、「反応前ドライ重量」÷74×100=「反応後最大重量」となる。そして、「反応効率η」=「反応後ドライ重量」/「反応後最大重量」として求められた反応効率ηを、図11に推定値として示している。各推定値は、いずれも、実測値よりも高くなった。
【0067】
図12Aでは、反応効率ηが80%以上となった通過風速vを「◎」、70%以上80%未満となった通過風速vを「〇」、50%以上70%未満を「△」、50%未満を「×」としている。図12A示すように、通過風速vが、0.02m/s以上0.15m/s未満の場合、「◎」であり、反応効率ηが最も高くなることが判明した。また、通過風速vが、0.02m/s以上0.18m/s未満の場合、「◎」又は「〇」であり、反応効率ηが高くなることが判明した。また、通過風速vが、0.50m/s未満の場合、「◎」、「〇」又は「△」であり、通過風速vが、0.50m/s以上の場合に比べて反応効率ηが高くなることが判明した。
【0068】
図11及び図12Aでは、反応効率ηの結果を示したが、反応の速度は空気の通過を100時間行うと、反応の速度が低下し、反応率は飽和する(飽和した状態の反応率を「飽和反応率」という)。図12Bに示すように、例えば、反応効率η(100時間当たりの反応率)が80%となる通過風速vで、さらに反応を行うと、飽和反応率は、95%となる。また、反応効率η(100時間当たりの反応率)が60%となる通過風速vで、さらに反応を行うと、飽和反応率は、73%となる。このように、反応効率ηが高い通過風速v程、飽和反応率も高くなる。
【0069】
ここで、反応後の吸収部材をリサイクル製品の原料(ガラス材料、肥料、及びセメントなど)とする場合、炭酸カルシウムの割合が高い程、リサイクル製品及びリサイクル製品の原料の品質が向上する。そこで、通過風速vを、0.02m/s以上0.18m/s未満とすれば、反応効率が70%以上となる。これにより、例えば、所定の期間、反応させた吸収フィルタにおいて、炭酸カルシウムの割合が70%以上となる。この結果、炭酸カルシウムをリサイクル製品の原料とする場合に、リサイクル製品及びリサイクル製品の原料の品質が向上する。また、通過風速vが、0.02m/s以上0.15m/s未満とすれば、反応効率が80%以上となる。これにより、例えば、所定の期間、反応させた吸収フィルタにおいて、炭酸カルシウムの割合が80%以上となる。この結果、炭酸カルシウムをリサイクル製品の原料とする場合に、リサイクル製品及びリサイクル製品の原料の品質が向上する。
【0070】
[変形例]
以上、上述した実施形態は本開示を実施するための例示に過ぎない。よって、本開示は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0071】
(1)上記第1~第4実施形態では、空気清浄部として、空気清浄フィルタ(HEPAフィルタ)を用いる例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、空気清浄部として、HEPAフィルタ以外のフィルタ(例えば、ミストフィルタ)を用いてもよいし、電気集塵装置を用いてもよい。
【0072】
(2)上記第1~第4実施形態では、ファンを空気清浄フィルタよりも下流側に配置する例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、図13示す変形例による空気清浄機500のように、ファン450、吸収ユニット420、ダンパー460(開口413)、及び空気清浄フィルタ430が、気流A21の上流側から順に配置されてもよい。この場合、開口413から、吸収ユニット420と空気清浄フィルタ430との間の通気経路480に、空気が導入される気流A22が生じる。
【0073】
(3)上記第1~第4実施形態では、ダンパーを回動するように構成する例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、ダンパーをスライド移動するように構成してもよい。
【0074】
(4)上記第1~第4実施形態では、不織布フィルタを設ける例を示したが、本開示はこれに限られない。筐体内に、不織布フィルタが配置されなくてもよいし、不織布フィルタ以外の種類のフィルタ(例えば、メッシュフィルタ)が配置されてもよい。
【0075】
(5)上記第1~第4実施形態では、図1に示すように、気流が下方から上方に流れるように、筐体を構成する例(たて置き型)を示したが、本開示はこれに限られない。気流が上方から下方に流れるように、筐体を構成してもよいし、気流が一方の側面から他方の側面に流れるように(よこ置き型に)、筐体を構成してもよい。
【0076】
(6)上記第1~第4実施形態では、ダンパーを、位置P1~P3の3つの位置の間で移動させる例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、ダンパーを、開口が開いた状態にする位置と、開口が閉じた状態にする位置との2つの位置の間で移動するように構成してもよい。
【0077】
(7)上記第3実施形態において、筐体内において、気流の上流側からファン、空気清浄フィルタ、吸収ユニットの順に配置する例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、筐体内において、気流の上流側から空気清浄フィルタ、ファン、吸収ユニットの順に配置してもよい。
【0078】
(8)上記第1~第4実施形態は、空気清浄機を例として挙げたが、本開示はこれに限られない。例えば、図14に示す例のように、二酸化炭素吸収装置600として構成してもよい。二酸化炭素吸収装置600は、筐体610と、不織布フィルタ641と、吸収ユニット620と、ファン650とを含む。筐体610には、吸気口613側から、不織布フィルタ641、吸収ユニット620、及びファン650の順に配置されている。ファン650が駆動することにより、生じる気流A41の吸収ユニット620を通過する風速は、0.02m/s以上0.15m/s未満の値である。なお、この風速は、0.02m/s以上0.50m/s未満の値であってもよい。この構成によれば、反応効率が高い二酸化炭素吸収装置600を提供することができる。
【0079】
(9)上記第1~第4実施形態では、ファンを設ける例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、図15に示す例の二酸化炭素吸収装置700のように、排気口714が、吸気口713に対して負圧になる環境下であって、通過風速vが0.02m/s以上0.50m/s未満の値となる環境下であれば、ファンは必要ではなく、吸収ユニット720が設けられていればよい。また、下記の各装置において、吸収ユニットの通過風速vが0.02m/s以上0.50m/s未満の値とし、他の通気路がこの通過風速よりも大きくなるように構成してもよい。例えば、二酸化炭素吸収装置700を、モビリティ(移動体:車両(自動車、電車)、飛行体、船舶)が移動する際に生じる気流が流れる位置に配置してもよいし、航空機の内外の境界に配置し、航空機の外の気圧と航空機内の気圧との気圧差を利用してもよい。また、二酸化炭素吸収装置700を、別の空調装置などにより生じる気流の下に配置してもよい。例えば、本開示の二酸化炭素吸収装置を、ファンやコンプレッサーなどを利用する、エアコン、換気扇、空調ダクト、自家発電機、又は、非常用発電機に適用してもよい。また、本開示の二酸化炭素吸収装置を、圧力差で風の流れを作る航空機内、クリーンルーム、陰圧室の排気口又は給気口、又は、当該陰圧室の室内に適用してもよい。また、本開示の二酸化炭素吸収装置を、ヘルメット、車体、うちわなど、自ら動くものに取り付けることで風を取り込むものに適用してもよい。また、本開示の二酸化炭素吸収装置を、自然の気流を利用するように構成してもよい。
【0080】
(10)上記第1~第4実施形態では、吸収部材を円柱状を有するように形成し、直径の平均径Φが2mm以上3mm以下であり、長さ(高さ)が5.0mmである例を示したが、本開示はこれに限られない。すなわち、吸収部材を円柱状以外の形状(例えば、球状、四角柱状など)を有するように形成してもよいし、直径の平均径Φが2mm未満、3mmよりも大きくてもよく、長さ(高さ)が5.0mm未満、5.1以上であってもよい。
【0081】
また、上述した二酸化炭素吸収装置、及び空気清浄機は、以下のように説明することができる。
【0082】
第1の構成に係る空気清浄機は、二酸化炭素を吸収する水酸化物を含有する吸収フィルタと、前記吸収フィルタが配置された筐体と、を備える。前記筐体は、前記吸収フィルタを通過する空気の風速である第1風速が、0.02m/s以上0.50m/s未満の値である(第1の構成)。また、第1の構成において、前記第1風速は、0.02m/s以上0.18m/s未満の値であってもよい(第2の構成)。また、第2の構成において、前記第1風速は、0.02m/s以上0.15m/s未満の値であってもよい(第3の構成)。
【0083】
上記第1~第3の構成によれば、二酸化炭素の反応効率を向上させることができる。ここで、水酸化物が反応したものをリサイクル製品の原料とする場合、水酸化物が反応したものの割合が高い程、リサイクル製品及びリサイクル製品の原料の品質が向上する。そこで、上記第2の構成によれば、反応効率が70%以上となる。また、上記第3の構成によれば、反応効率が80%以上となる。これにより、例えば、所定の期間、反応させた吸収フィルタにおいて、水酸化物が反応したものの割合が70%以上となる(第3の構成の場合80%以上となる)。この結果、上記の第2及び第3の構成によれば、水酸化物が反応したものをリサイクル製品の原料とする場合に、リサイクル製品及びリサイクル製品の原料の品質が向上する。
【0084】
第4の構成に係る空気清浄機は、ファンと、前記ファンが駆動することにより空気が通気する空気清浄部と、二酸化炭素を吸収する水酸化物を含有する吸収フィルタが収容された吸収ユニットであって、前記ファンが駆動することにより空気が通気する吸収ユニットと、前記ファンと前記空気清浄部と前記吸収ユニットとが配置された筐体とを、備え、前記ファンが駆動することにより前記吸収ユニットを通過する空気の風速である第1風速が、0.02m/s以上0.50m/s未満の値であり、かつ、前記ファンが駆動することにより前記空気清浄部を通過する空気の風速である第2風速が、前記第1風速よりも高い(第4の構成)。
【0085】
上記第4の構成によれば、二酸化炭素の反応効率を向上させながら、空気清浄機能を向上させることができる。
【0086】
第4の構成において、前記筐体は、前記吸収ユニットから前記空気清浄部へ空気が流れる通気経路内に、前記筐体の外部からの空気を導入するか、又は、前記空気清浄部から前記吸収ユニットへ空気が流れる通気経路から前記筐体の外部へ空気を排出する開口と、前記開口の開度を変更するダンパーと、を含んでもよい(第5の構成)。
【0087】
吸収フィルタによる二酸化炭素の吸収は、吸収フィルタを通過する風速が小さい程、効率が良くなる。これに対して、空気清浄フィルタを通過する風量が大きくなる程、清浄される空気の量が多くなり、空気清浄機能が向上する。上記の構成によれば、開口が、吸収ユニットから空気清浄部へ空気が流れる通気経路内に、筐体の外部からの空気を導入するか、又は、空気清浄部から吸収ユニットへ空気が流れる通気経路から筐体の外部へ空気を排出する。これにより、空気清浄部を通過する風量を、吸収ユニットを通過する風量よりも大きくすることができる。この結果、清浄される空気の量が多くなり、空気清浄機能を向上させることができる。そして、ダンパーにより、開口を通過する空気の量(空気清浄部を通過する風量と吸収ユニットを通過する風量との差異となる量)を調整することができる。この結果、吸収ユニットには、適切な風速で空気が供給されるので、二酸化炭素の反応効率を向上させることができる。
【0088】
第5の構成において、前記吸収ユニットは、1つ又は複数の吸収フィルタを収容可能に構成されてもよい。前記吸収ユニットは、前記1つ又は複数の吸収フィルタが個別に着脱可能に構成されてもよい(第6の構成)。
【0089】
上記第6の構成によれば、複数の吸収フィルタのうちの交換すべき吸収フィルタのみを交換することができる。また、吸収フィルタを規格化することが可能となる。
【0090】
第6の構成において、空気清浄機は、前記ダンパーの動作を制御する制御部と、前記吸収ユニットに配置された前記吸収フィルタの数と、前記ダンパーの位置とが対応付けられた情報が記憶された記憶部と、をさらに備えてもよい。前記制御部は、前記吸収ユニットに配置された前記吸収フィルタの数を取得し、前記吸収フィルタの数に基づいて前記情報を参照し、前記ダンパーの位置を変更する(第7の構成)。
【0091】
吸収フィルタの数が多い程、吸収ユニットの圧力損失は大きくなる。しかしながら、吸収ユニットを通過する風速が変化すると、吸収ユニットにおける二酸化炭素の吸収効率が低下する。これに対して、上記第7の構成によれば、吸収フィルタの数に応じてダンパーの位置が変更されるので、吸収フィルタの数が変更された場合でも、吸収フィルタを通過する風速が適切な値にすることができる。
【0092】
第6の構成において、前記ダンパーは、前記ダンパーの位置が手動で変更可能に構成されてもよい。前記筐体には、前記吸収ユニットに配置された前記吸収フィルタの数と、前記ダンパーの位置とが対応付けられた目印が設けられてもよい(第8の構成)。
【0093】
上記第8の構成によれば、目印に合わせてダンパーを移動させることができるので、ダンパーの位置を手動で切り替える場合でも、吸収フィルタを通過する風速が適切な値になるように、ダンパーの位置を調整することができる。
【0094】
第5~第8の構成のいずれか1つにおいて、前記筐体には、前記ファンが駆動することにより生じる気流の上流側から、前記吸収ユニット、前記ダンパー、前記空気清浄部、及び前記ファンが、順に配置されてもよい。前記開口は、前記吸収ユニットから前記空気清浄部へ空気が流れる前記通気経路内に、前記ダンパーを介して前記筐体の外部からの空気を導入するように構成されてもよい(第9の構成)。
【0095】
上記第9の構成によれば、吸収ユニットを通過した空気に加えて、ダンパーにより制御された空気が、空気清浄部に供給される。これにより、空気清浄部により多くの空気を通過させることができる。
【0096】
第10の構成において、前記筐体には、前記吸収ユニット、前記ダンパー、前記空気清浄部、及び前記ファンが、上方に向かって順に配置されてもよい。前記筐体の側面に、前記吸収ユニット内の前記吸収フィルタを交換するためのメンテナンス扉が設けられてもよい(第10の構成)。
【0097】
上記第10の構成によれば、筐体の側面に設けられたメンテナンス扉を介して、吸収フィルタを容易に交換することができる。
【0098】
第5~第8の構成のいずれか1つにおいて、前記筐体には、前記ファンが駆動することにより生じる気流の上流側から、前記ファン、前記空気清浄部、前記ダンパー、及び前記吸収ユニットが、順に配置されてもよい。前記開口は、前記空気清浄部から前記吸収ユニットへ空気が流れる前記通気経路から、前記ダンパーを介して前記筐体の外部へ空気を排出するように構成されてもよい(第11の構成)。
【0099】
上記第11の構成によれば、汚染された空気が多い環境下で空気清浄機を使用する場合でも、吸収ユニットに清浄された空気が供給される。これにより、吸収ユニットが粉塵等により目詰まりするのを防止することができる。
【0100】
第12の構成に係る空気清浄機は、第1ファンと、第2ファンと、前記第1ファンが駆動することにより空気が通気する空気清浄部と、二酸化炭素を吸収する水酸化物を含有する吸収フィルタが収容された吸収ユニットであって、前記第2ファンが駆動することにより空気が通気する吸収ユニットと、前記第1ファンと前記第2ファンと前記空気清浄部と前記吸収ユニットとが配置された筐体とを、備え、前記第2ファンが駆動することにより前記吸収ユニットを通過する空気の風速である第1風速が、0.02m/s以上0.50m/s未満の値であり、かつ、前記第1ファンが駆動することにより前記空気清浄部を通過する空気の風速である第2風速が、前記第1風速よりも高い(第12の構成)。
【0101】
上記第12の構成よれば、二酸化炭素の反応効率を向上させながら、空気清浄機能を向上させることができる。
【0102】
第13の構成に係る二酸化炭素吸収装置は、二酸化炭素を吸収する水酸化物を含有する吸収フィルタが収容された吸収ユニットであって、空気が通気する吸収ユニットと、前記吸収ユニットが配置された筐体と、を備え、前記筐体は、前記吸収ユニットを通過する空気の風速である第1風速が、0.02m/s以上0.50m/s未満の値となるように構成されており、前記筐体は、前記第1風速よりも高い風速である第2風速で空気が通過する通気路を含む。
【0103】
上記第13の構成によれば、二酸化炭素の反応効率を向上させながら、通気路における風速を大きくすることができる。
【0104】
第13の構成において、前記筐体は、通気ダクトの一部を構成してもよい。前記吸収ユニットは、前記通気ダクト内に配置されてもよい(第14の構成)。
【0105】
上記第14の構成によれば、通気ダクト内に、吸収ユニットを配置する場合にも、通気路により風速を確保しながら、二酸化炭素の反応効率を向上させることができる。
【0106】
第14の構成において、前記吸収ユニットは、筒状を有するように構成されてもよい(第15の構成)。
【0107】
上記第15の構成によれば、筒状の吸収ユニットの内側を通気路として構成することができるので、吸収ユニットを通気ダクト内に配置する場合に、通気路を筐体に別途構成する必要がない。
【0108】
第13~第15の構成において、二酸化炭素吸収装置は、前記吸収ユニットを移動させることにより前記通気路の幅を変更する通気路幅変更機構部を、さらに備えてもよい(第16の構成)。
【0109】
上記第16の構成によれば、通気路の幅を変更することができるので、第2風速を調整することができる。
【0110】
第13~第15の構成において、前記筐体は、車両の筐体であってもよい。前記通気路は、車両のラジエーターに空気を通過させる通気路を含んでもよい(第17の構成)。
【0111】
上記第17の構成によれば、車両に二酸化炭素吸収装置を設ける場合でも、二酸化炭素の反応効率を向上させながら、通気路における風速を大きくすることができる。
【0112】
第13~第15の構成において、前記筐体は、航空機の筐体であってもよい。前記吸収ユニットは、前記航空機内の座席、給気口、又は排気口のいずれかに固定されていてもよい(第18の構成)。
【0113】
上記第18の構成によれば、航空機に二酸化炭素吸収装置を設ける場合でも、二酸化炭素の反応効率を向上させながら、通気路における風速を大きくすることができる。
【符号の説明】
【0114】
3:空気清浄フィルタ、10:筐体、11:吸気口、12:排気口、13:開口、14:メンテナンス扉、15:車輪、20:吸収ユニット、21:吸収フィルタ、21a:吸収部材、21b:ケース部、21c:二次元コード、30:空気清浄フィルタ、41:不織布フィルタ、42:不織布フィルタ、50:ファン、60:ダンパー、70:制御回路、71:記憶部、72:枚数センサ、80:通気経路、100:空気清浄機、200:空気清浄機、210:筐体、260:ダンパー、261:目印、270:制御回路、300:空気清浄機、310:筐体、313:開口、315:網、320:吸収ユニット、330:空気清浄フィルタ、350:ファン、360:ダンパー、380:通気経路、400:空気清浄機、413:開口、420:吸収ユニット、430:空気清浄フィルタ、450:ファン、460:ダンパー、480:通気経路、500:空気清浄機、510:筐体、511a:空気清浄用吸気口、511b:吸収ユニット用吸気口、514a:空気清浄用排気口、514b:吸収ユニット用排気口、520:吸収ユニット、530:空気清浄フィルタ、541:不織布フィルタ、542:不織布フィルタ、551:第1ファン、552:第2ファン、600:二酸化炭素吸収装置、610:筐体、613:吸気口、620:吸収ユニット、641:不織布フィルタ、650:ファン、700:二酸化炭素吸収装置、713:吸気口、714:排気口、720:吸収ユニット、800:空調システム、810:ダクト、811:通気口、812:軸、813:通気路、820:吸収ユニット、831:送風機、832:空気清浄部、833:弁、834a:弁、834b:弁、834c:弁、900:空調システム、910:ダクト、911:通気口、912:軸、913:通気路、920:吸収ユニット、1000:空調システム、1010:ダクト、1012:内側面、1013:通気路、1020:吸収ユニット、1100:車両、1111:ボンネット、1113:通気路、1120:吸収ユニット、1130:ラジエーター、1200:航空機、1210:機体、1211:エンジン、1213:通気路、1220:吸収ユニット、1300:空調システム、1310:ダクト、1312:内側面、1313:通気路、1320:吸収ユニット、A1:気流、A101:気流、A102:気流、A11:気流、A12:気流、A121:気流、A122:気流、A2:気流、A21:気流、A22:気流、A31:気流、A32:気流、A41:気流、A61:気流、A62:気流、A81:気流、A82:気流、A91:気流、A92:気流、E11:給気口、G11:排気口、G12:排気口、G13:排気口、v:通過風速、Φ:平均径、η:反応効率
【要約】
【課題】二酸化炭素の反応効率を向上させることが可能な二酸化炭素吸収装置、及び空気清浄機を提供する。
【解決手段】二酸化炭素吸収装置100は、ファン50と、ファン50が駆動することにより空気が通気する空気清浄フィルタ30と、二酸化炭素を吸収する吸収フィルタ21が収容された吸収ユニット20であって、ファン50が駆動することにより空気が通気する吸収ユニット20と、筐体10とを、備える。二酸化炭素吸収装置100は、吸収ユニット20を通過する空気の風速である第1風速が、0.02m/s以上0.50m/s未満の値である。
【選択図】図1
図1
図2
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