IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】コイル部品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/00 20060101AFI20240514BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
H01F17/00 D
H01F41/04 C
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018146931
(22)【出願日】2018-08-03
(65)【公開番号】P2019068047
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-06-09
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-14
(31)【優先権主張番号】10-2017-0127952
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ヘ ウォン
【合議体】
【審判長】山田 正文
【審判官】山本 章裕
【審判官】渡辺 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-225611(JP,A)
【文献】特開2017-17244(JP,A)
【文献】特開2005-85921(JP,A)
【文献】特開2004-158703(JP,A)
【文献】特開2017-112130(JP,A)
【文献】特開2015-156432(JP,A)
【文献】特開2007-173276(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/200551(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00-21/12
H01F 27/00, 27/02, 27/06, 27/08, 27/23, 27/26, 27/28-27/29, 27/30, 27/32, 27/36, 27/42
H01F 38/42-41/04, 41/08, 41/10
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパターン層が積層された積層構造を有する本体と、
前記本体の外部面上に配置された外部電極と、を含むコイル部品であって、
前記複数のパターン層はそれぞれ、伝導性パターンと、前記伝導性パターンと連結されたビア電極と、前記伝導性パターン及び前記ビア電極を囲む絶縁材と、を含み、
前記ビア電極は、同一パターン層内の前記伝導性パターンよりも高い位置にある上部領域と、前記伝導性パターンと同一の位置にある下部領域と、を含み、
前記下部領域の下面の境界面は、前記上部領域の側面と直接接続された曲線部を含
前記複数のパターン層のうち第1パターン層に含まれる第1ビア電極と、前記複数のパターン層のうち前記第1パターン層に接して設けられる第2パターン層に含まれる第2ビア電極とは、上面視において、重複した領域に設けられる、コイル部品。
【請求項2】
前記絶縁材が感光性絶縁材である、請求項に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記絶縁材が熱硬化性絶縁材である、請求項に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記曲線部の実質的な曲率半径が、前記曲線部を含むビア電極の上面の長さの1/2倍以上5倍以下である、請求項1からのいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記上部領域の側面がテーパ状の傾斜面で構成される、請求項1からのいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記傾斜面の角度が5°以上90°以下である、請求項に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記上部領域の側面の実質的な曲率半径が、前記ビア電極の上面の長さの1/3倍以上1/2倍以下である、請求項またはに記載のコイル部品。
【請求項8】
前記ビア電極と直接接する伝導性パターンの境界面が、同一パターン層内の伝導性パターンの最上面よりも低い位置に配置される、請求項1からのいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記ビア電極の前記上部領域と下部領域との間には境界面がなく、一体に構成される、請求項1からのいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記上部領域は少なくとも1つの界面を含み、前記界面を基準として互いに異なる組成の伝導性物質が含まれる、請求項1からのいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項11】
前記上部領域は、Cu層と、前記Cu層上のSn層と、を含む、請求項10に記載のコイル部品。
【請求項12】
基板を準備する工程と、
前記基板上に伝導性パターンを形成する工程と、
前記伝導性パターンを封止するように絶縁材をラミネートする工程と、
前記絶縁材上に絶縁フィルムをラミネートする工程と、
前記絶縁フィルムの一部を露光及び現像することで前記絶縁フィルムに貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔に対応する位置の絶縁材がサンドブラスト工法により貫通され、前記伝導性パターンの一部がサンドブラスト工法によりエッチングされるように、サンドブラスト工法によりビアホールを加工する工程と、
前記絶縁フィルムを剥離する工程と、
前記ビアホールの内部に伝導性物質を充填してビア電極を形成する工程と、
前記絶縁材上にマスクをラミネートする工程と、
前記基板を引き離す工程と、
前記マスクを除去する工程と、を含む、パターン層を形成する段階を繰り返すことで、複数のパターン層を形成する工程と、
前記複数のパターン層を積層及び圧着する工程と、を含む、コイル部品の製造方法。
【請求項13】
前記複数のパターン層のうち第1パターン層に含まれる第1ビア電極と、前記複数のパターン層のうち前記第1パターン層に接して設けられる第2パターン層に含まれる第2ビア電極とは、上面視において、重複した領域に設けられる、
請求項12に記載のコイル部品の製造方法。
【請求項14】
前記複数のパターン層を積層及び圧着する工程の後に、外部電極を形成する工程をさらに含む、請求項12または13に記載のコイル部品の製造方法。
【請求項15】
前記ビアホールの下面と前記伝導性パターンのエッチングされた表面との境界面が曲線部を含む、請求項12から14のいずれか一項に記載のコイル部品の製造方法。
【請求項16】
前記ビアホールの側面がテーパ状の傾斜面である、請求項12から15のいずれか一項に記載のコイル部品の製造方法。
【請求項17】
前記ビア電極を形成する工程は、Cu層を形成する工程と、前記Cu層上にSn層を形成する工程とを含む、請求項12から16のいずれか一項に記載のコイル部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品及びその製造方法に関し、具体的に、高周波インダクターとして活用されるコイル部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子製品の小型化、薄膜化により、インダクターの小型化、高整合/高密度、高信頼性、コスト低減などの要求が増加している。従来の積層型高周波インダクターは、金属パターンとフェライトシートを繰り返し積層した後、焼成することで製造する無機材料チップ部品であるが、この際、パターン形状及び整合力に優れた工程を採択しなければならない。一例として、従来の印刷回路基板(Printed Circuit Board)工程を基にして、DCFを用いて、回路を形成するためのパターン層を積層し、次いで、ビアを形成するための感光性絶縁材料を配置した後、露光及び現像工程によりビアホールを加工する工程を含む。ところで、この際、ビアを形成するための感光性絶縁材料には、優れた剛性を有し、且つ微細ビアの形成が可能な材料であることが求められる。特に、剛性を確保するためには、フィラーが含まれた絶縁資材が用いられるが、かかる絶縁資材を用いて微細ビアを形成すると、Cz粗さの影響によってビアの下部にフィラー及びレジン(resin)の残渣が残るというリスクがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】韓国特許出願公開10-2002-0005749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする様々な課題の一つは、上述のように、ビアの形成時にビアの下部にフィラー及びレジンなどの残渣が残存する問題や、ビア形状の不均衡により、ビアの上部に形成されるバンプ電極の高さばらつきなどを発生させる不良の可能性を除去することで、コイル部品の信頼性を確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一例によるコイル部品は、複数のパターン層が積層された積層構造を有する本体と、上記本体の外部面上に配置された外部電極と、を含むコイル部品であって、上記複数のパターン層はそれぞれ、伝導性パターンと、上記伝導性パターンと連結されたビア電極と、上記伝導性パターン及び上記ビア電極を囲む絶縁材と、を含み、上記ビア電極は、同一パターン層内の上記伝導性パターンよりも高い位置にある上部領域と、上記伝導性パターンと同一の位置にある下部領域と、を含み、上記下部領域の下面の境界面は曲線部を含む。
【0006】
本発明の他の例によるコイル部品の製造方法は、複数のパターン層を形成する段階と、上記複数のパターン層を積層及び圧着する段階と、を含む。上記複数のパターン層を形成する段階は、基板を準備する工程と、上記基板上に伝導性パターンを形成する工程と、上記伝導性パターンを封止するように絶縁材をラミネートする工程と、上記絶縁材上に絶縁フィルムをラミネートする工程と、上記絶縁フィルムの一部を露光及び現像することで、上記絶縁フィルムに貫通孔を形成する工程と、上記貫通孔に対応する位置の絶縁材が貫通され、上記伝導性パターンの一部がエッチングされるように、ビアホールを加工する工程と、上記絶縁フィルムを剥離する工程と、上記ビアホールの内部に伝導性物質を充填することでビア電極を形成する工程と、上記絶縁材上にマスクをラミネートする工程と、上記基板を引き離す工程と、上記マスクを除去する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の様々な効果の一効果として、ビアの下面に不要なレジン残渣及びフィラー残渣が発生する可能性を遮断し、ビア及び上記ビアの上部のバンプ電極などの形状信頼性が確保されたコイル部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一例によるコイル部品の概略的な斜視図である。
図2図1のI-I'線に沿って切断した概略的な断面図である。
図3a】本発明の他の例によるコイル部品の製造方法を示す工程図である。
図3b】本発明の他の例によるコイル部品の製造方法を示す工程図である。
図3c】本発明の他の例によるコイル部品の製造方法を示す工程図である。
図3d】本発明の他の例によるコイル部品の製造方法を示す工程図である。
図3e】本発明の他の例によるコイル部品の製造方法を示す工程図である。
図3f】本発明の他の例によるコイル部品の製造方法を示す工程図である。
図3g】本発明の他の例によるコイル部品の製造方法を示す工程図である。
図3h】本発明の他の例によるコイル部品の製造方法を示す工程図である。
図3i】本発明の他の例によるコイル部品の製造方法を示す工程図である。
図3j】本発明の他の例によるコイル部品の製造方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0010】
なお、本発明を明確に説明すべく、図面において説明と関係ない部分は省略し、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。
【0011】
さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に異なる趣旨の説明がされていない限り、他の構成要素を除外する趣旨ではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0012】
以下では、本発明の一例によるコイル部品及びその製造方法について説明するが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0013】
コイル部品
図1は本発明の一例によるコイル部品の概略的な斜視図であり、図2図1のI-I'線に沿って切断した断面図である。
【0014】
図1及び図2を参照すると、コイル部品100は、本体1と、外部電極20と、を含む。
【0015】
上記外部電極20は、互いに向かい合う第1外部電極21及び第2外部電極22を含む。上記第1及び第2外部電極は、互いに向い合ってアルファベットのC字状を有するように構成されるが、これに限定される必要はなく、下面電極として本体の同一外部面上に同時に配置されてもよく、アルファベットのL字状を有してもよい。
【0016】
上記本体1の外形は全体的に六面体形状を有し、厚さ方向に互いに向かい合う上面及び下面、長さ方向に互いに向かい合う第1端面及び第2端面、幅方向に互いに向かい合う第1側面及び第2側面を含むが、これに限定されるものではない。
【0017】
上記本体1は、複数のパターン層1A、1A、1A…が積層された積層構造を有する。それぞれのパターン層は、伝導性パターン11と、上記伝導性パターン上のビア電極120と、を含み、上記伝導性パターン及びビア電極の周辺は絶縁材13で囲まれている構造を有する。
【0018】
実質的に、上記絶縁材13が本体の外形を決定する。上記絶縁材は、感光性絶縁材に限定されず、熱硬化性絶縁材であってもよい。これは、後述のように、上記絶縁材の一部を開口させてビアホールを加工する時に、通常の露光/現像工程を用いないことによって可能な実施形態である。例えば、感光性絶縁材としては、ポリアミド樹脂、感光性ポリエステル樹脂などを含むことができ、熱硬化性絶縁材としては、エポキシ樹脂、アミノ樹脂などが挙げられるが、当業者が適宜選択することができ、具体的な絶縁材にのみ限定されるわけではない。但し、上記絶縁材が感光性絶縁材である場合、感光性絶縁材の全領域にUV全面露光処理が施されるのに対し、上記絶縁材が熱硬化性絶縁材である場合、熱硬化性絶縁材の全領域に硬化処理が施されるという点で異なる。
【0019】
上記絶縁材により封止された伝導性パターン及びビア電極について説明すると、上記伝導性パターンのうち一部はビア電極と物理的に接触しており、このようにビア電極と物理的に接触している部分を、ビアパッドという。上記ビア電極120は、それぞれのパターン層を電気的に連結させる機能を果たす。上記ビア電極120は上部領域121と下部領域122に区別されるが、上部領域の側面は傾斜して構成され、下部領域の下面は曲線部を有するように構成される。上部領域及び下部領域の区別は、説明の便宜のためのものであり、実質的に上部領域及び下部領域はその間に境界を有さず一体に構成される。ビア電極の下部領域は、伝導性パターンのうち一部がエッチングされた後、ビア電極の伝導性物質で充填された領域を意味し、ビア電極の上部領域は、ビア電極の上記下部領域を除いた残りのビア電極を意味する。
【0020】
また、ビア電極120の下部領域122の下面は曲線部を有する。上記曲線部は、上記ビアパッドの上面の一部が除去された界面と実質的に一致する。この際、上記曲線部の曲率半径R2は特に制限されるものではないが、該ビア電極の上面の長さAの1/2倍以上5倍以下であることが好ましい。上記下部領域の下面の曲線部の曲率半径が、該ビア電極の上面の長さAの5倍を超える場合には、実質的に平面に近い形状を有することになるため、残渣除去の効果が十分に発揮されない恐れがあり、1/2倍より小さい場合には、実際に製品として実現する時に工程を制御しにくいという欠点がある。上記曲率半径は実質的な曲率半径を意味する。ビアホールの加工時には、所定水準の表面粗さが不可避的に発生するため、曲線部全体にわたって同一の曲率半径が維持されにくい。したがって、曲線部の各地点における多数の曲率半径を平均した値を、曲線部の実質的な曲率半径と定義する。ビア電極120の下部領域の下面が曲線部を有するため、通常のビア電極の下面が平らな場合に比べて、ビア電極の内部に伝導性物質が充填される時にめっきされる表面積が増加されることができる。そのため、ビア電極の高さを容易に制御することができる。また、通常のビア電極の下面の周辺にはアンダーカット(undercut)構造が頻繁に発生するのとは異なって、上記ビア電極の下部領域122にはアンダーカット構造がない。これにより、めっき液の循環が容易となり、ビア電極の形状が容易に制御されることができる。また、ビア電極120の下部領域にはレジンやフィラーの残渣が実質的に存在しない。これにより、抵抗が減少されるため、Q特性も改善されることができる。
【0021】
一方、ビア電極120の上部領域121の側面は傾斜面を有し、全体的に上部領域はテーパ状(tapered)、すなわち、下側に行くにつれて細くなる形状を有する。図2に示された傾斜面の傾斜程度(°)は、5°以上90°以下であることが好ましい。その理由は、傾斜程度が5°より小さい場合には、サンドブラスト工程の特性上、その工程を極めて制御しにくく、傾斜程度が90°より大きい場合には、その形状が実現不可能な角度になるためである。
【0022】
また、ビア電極120の上部領域121の側面は、傾斜面の形状を有し、且つ所定の曲率半径R1を有する。例えば、上記曲率半径は、該ビア電極の上面の長さAの1/3倍以上1/2倍以下であることが好ましい。これは、上部領域の側面の曲率半径が上記数値範囲を外れる場合には、サンドブラスト工程によって形状を制御することが困難となり得るためである。上記曲率半径の範囲以外にも、当業者が要求される特性要件や工程環境を考慮して、工程上可能な範囲内で曲率半径を適宜選択できるということはいうまでもない。
【0023】
上記ビア電極の材質は、伝導性物質であれば特に限定されずに適用可能であり、例えば、Cuであることができる。また、上記Cu層上にSn層をさらに含むCu/Sn複合層で構成されてもよい。この場合、ビア電極の下部領域はCuを主成分として構成されるのに対し、上部領域はCuを主成分とする部分上に、Snを主成分とする部分で構成される。
【0024】
上記ビア電極は、上述の伝導性パターンとともに全体的にコイルの形状を成すが、コイルの形状は、全体的にスパイラル状を有することができる。
【0025】
上記伝導性パターンの一端部は、本体の外部面に露出して第1外部電極と物理的に接触し、他端部は、本体の外部面に露出して第2外部電極と物理的に接触する。
【0026】
コイル部品の製造方法
図3aから図3jは本発明の他の例によるコイル部品の製造方法を概略的に示した模式図である。
【0027】
図3aは基板30を準備する工程を示し、支持部材31の上面及び下面に複数の金属層を順に積層することができる。例えば、上記複数の金属層は、キャリア銅32とシード銅33を積層したものであることができる。この際、上記支持部材は、その上面と下面に形成されるコイル層を支持する程度の剛性を有する材質であれば特に限定されず、例えば、PPG基板であることができる。また、具体的な一例として、市販されているDCFが基板として活用されることができる。これは、ガラス繊維及び無機フィラーが充填されたエポキシを基材層とし、その両面に金属層として銅膜が形成された構造を有するため、上記基板として好適である。
【0028】
図3bは、図3aで準備した基板の上面に、所定のパターンを有する伝導性パターン4を形成する工程を示す。この際、所定のパターンは、当業者が必要に応じて適宜説明可能であることはいうまでもなく、全体的にスパイラル状を有するようにすることができる。一方、伝導性パターンの形成工程が基板の下面にも同様に適用される際に、機械的な強度を対称的且つ安定して維持させることができるが、説明の便宜のために、図3bからは基板の上面における構成のみを示す。基板の下面にも、基板の上面における構成についての記述内容がそのまま適用可能であることはいうまでもない。
【0029】
図3cは、上層と下層の連結のための絶縁材5をラミネートする工程を示す。上記絶縁材としては、露光及び現像工程が可能な感光性絶縁材に制限されず、高剛性の熱硬化性絶縁材を用いてもよい。これにより、従来のように露光及び現像やレーザーを活用する方法とは異なり、後述の工程のようにサンドブラスト工法を活用する際の、絶縁材の材質選択の自由度が確保される。
【0030】
次に、図3dは、上記絶縁材上に絶縁フィルム6をラミネートした後、絶縁フィルムを露光及び現像することで、ビアの形成位置に対応する位置のみに、絶縁フィルムに貫通孔6aが形成されるように絶縁フィルムを開口させる工程を示す。上記絶縁フィルムとしては、薄膜の絶縁物質であれば適用可能であるが、DFRであることが好ましい。一方、具体的に示していないが、上記絶縁材が感光性絶縁材である場合、上記絶縁材上にDFRをラミネートする前にUV全面露光を行うことで、塗布した絶縁材を全て硬化させることが好ましく、上記絶縁材が熱硬化性絶縁材である場合、上記絶縁材を熱乾燥させて硬化させることが好ましい。
【0031】
図3eは、ビアホール7aを加工するためにサンドブラストを適用する工程を示す。サンドブラストは、研磨剤をノズルから対象表面に噴射して対象表面を研磨または切削する加工方法である。研磨剤としては、アルミナ(酸化アルミニウム)や炭化ケイ素などのセラミック粉末、プラスチック粉末などが使用できる。サンドブラストを用いて形成されたビアホールは、絶縁材の一部のみを開口させるのではなく、絶縁材により封止された銅パッドの一部まで除去するが、研磨される速度は、絶縁材に比べて銅パッドの伝導性物質でより遅い。そのため、結果として、絶縁材を除去することで残留し得るフィラーやレジンの残渣が除去されることができる。また、サンドブラストを適用して形成されたビアホールは、略楕円の土器状を有するが、研磨後に、図3bで形成した銅パッドの表面の一部が露出するようになる。このように、研磨後に銅パッドの露出した面積は、従来のビアホールの実質的に平らな底に比べて広い表面積を有する。そのため、ビアホールの内部を充填してビア電極を形成する時に、ビア電極のめっき厚さを容易に制御することができる。ビア電極のめっき面積は非常に小さいため、ビア電極の高さを微細に制御しにくいが、サンドブラストを用いてビアホールを加工する場合、ビアホールの底の表面積が広くなるため、ビア電極の高さの制御において有利である。また、サンドブラストを活用してビアホールを加工する場合、アンダーカット(undercut)構造が形成されないため、ビア電極の高さばらつきが小さくなり、ビア電極のめっき液の循環においても有利である。
【0032】
図3fは、絶縁フィルム(DFR)を剥離した後、ビアホールの内部を金属物質、例えば、Cuで充填してビア電極7を形成する工程を示す。この際、ビア電極をバンプ電極として構成するために、ビアホールをCu層7aで充填し、その上側にSn層7bを配置することも可能であることはいうまでもない。
【0033】
図3gは、マスク8をラミネートした後、基板を引き離す(detach)工程を示す。基板を引き離す工程では、キャリア銅とシード銅との界面を引き離す。ここで、上記マスクはFマスク(F-mask)であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0034】
図3hは、エッチングにより残存するシード銅33を除去し、Fマスクも除去した後、それぞれの伝導性パターン層を含むパターン層9を形成する工程を示す。
【0035】
次に、図3iは、上記パターン層9を繰り返し形成した後、複数のパターン層を整合積層する工程を示す。
【0036】
図3jは、整合積層された複数の伝導性パターン層を圧着し、ダイシング、研磨、外部電極めっきなどの、チップを形成するための後工程を行うことを示す。
【0037】
上述のコイル部品及びその製造方法によると、従来のビアの形成工程に比べてビアの底に残渣が発生するリスクが除去され、信頼性が向上することができる。また、研磨後にCuパッドの表面の一部が露出する際に、その表面積が従来のビアホールの底の面積より広いため、ビア電極のめっき厚さを容易に制御することができる。また、ビアホールの加工時にアンダーカット(undercut)構造が発生する恐れがないため、ビア電極の高さばらつきが小さくなり、ビアホールの内部でのめっき液の循環も円滑になることができる。
【0038】
上記の説明を除き、上述の本発明の一例によるコイル部品の特徴と重複される説明はここで省略する。
【0039】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【0040】
一方、本発明で用いられた一実施例という表現は、互いに同一の実施例を意味せず、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されるものである。しかし、上記提示された一実施例は、他の実施例の特徴と結合して実施される場合を排除しない。例えば、特定の一実施例で説明された事項が他の実施例で説明されていなくても、他の実施例でその事項と反対の説明がされているかその事項と矛盾する説明がされていない限り、他の実施例に関連する説明であると解釈することもできる。
【0041】
また、本発明で用いられた用語は、一例を説明するために説明されたものであるだけで、本発明を限定しようとする意図ではない。このとき、単数の表現は文脈上明確に異なる意味でない限り、複数を含む。
【符号の説明】
【0042】
100 コイル部品
1 本体
21、22 第1及び第2外部電極
11 伝導性パターン
120 ビア電極
13 絶縁材
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f
図3g
図3h
図3i
図3j