(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】オゾン滅菌装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/20 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
A61L2/20 100
(21)【出願番号】P 2021202957
(22)【出願日】2021-12-15
【審査請求日】2022-11-29
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503242877
【氏名又は名称】株式会社タムラテコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤森 春充
(72)【発明者】
【氏名】坂田 智志
(72)【発明者】
【氏名】高橋 厚
(72)【発明者】
【氏名】福田 由之
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】特許第4762331(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2018/0207307(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111420094(CN,A)
【文献】特表2005-523775(JP,A)
【文献】特開2011-019825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00
A61L 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾンガスを発生させるオゾン発生部と、
空気中のオゾン濃度を測定するオゾン濃度測定部と、
外部記録装置との間でデータ通信を行う通信部と、
所定の取得タイミングにおいて、前記オゾン濃度測定部により測定されたオゾン濃度である取得データを取得する取得部と、
前記取得データを、前記通信部を介して前記外部記録装置に保存させる保存部と、
を備え
るオゾン滅菌装置であって、
人の出入りを検出する人感センサーと、前記オゾン滅菌装置における異常を検出する検出部との少なくとも1つを備え、
前記取得部は、前記所定の取得タイミングにおいて、前記人感センサーの検出結果及び/または前記検出部の検出結果を取得し、
前記保存部は、
前記取得データとしての、前記オゾン濃度と、前記人感センサーの検出結果及び/または前記検出部の検出結果と、を対応付けたデータを、所定の時間間隔で連続的
に前記外部記録装置に保存させるオゾン滅菌装置。
【請求項2】
オゾンガスを発生させるオゾン発生部と、
空気中のオゾン濃度を測定するオゾン濃度測定部と、
前記オゾン発生部によるオゾンガスの発生を開始してからの経過時間を計測する時間計測部と、
前記オゾン濃度測定部により測定されたオゾン濃度、及び前記時間計測部により計測された経過時間に基づいて、CT値を算出する算出部と、
外部記録装置との間でデータ通信を行う通信部と、
所定の取得タイミングにおいて、前記オゾン濃度測定部により測定されたオゾン濃度及び/または前記算出部により算出されたCT値である取得データを取得する取得部と、
前記取得データを、前記通信部を介して前記外部記録装置に保存させる保存部と、
を備え
るオゾン滅菌装置であって、
人の出入りを検出する人感センサーと、前記オゾン滅菌装置における異常を検出する検出部との少なくとも1つを備え、
前記取得部は、前記所定の取得タイミングにおいて、前記人感センサーの検出結果及び/または前記検出部の検出結果を取得し、
前記保存部は、
前記取得データとしての、前記オゾン濃度及び/または前記CT値と、前記人感センサーの検出結果及び/または前記検出部の検出結果と、を対応付けたデータを、所定の時間間隔で連続的
に前記外部記録装置に保存させるオゾン滅菌装置。
【請求項3】
前記保存部は、前記取得部により前記人感センサーが人の出入りを検出していないという検出結果、及び前記検出部が異常を検出していないという検出結果が連続で所定回数取得された場合、前記取得データを前記外部記録装置に保存する請求項
1または2に記載のオゾン滅菌装置。
【請求項4】
表示部と、
前記算出部に算出されたCT値を前記表示部に表示させる制御部と、
を備える請求項
2に記載のオゾン滅菌装置。
【請求項5】
前記所定の時間は、分単位の値である請求項1から
4のいずれか一項に記載のオゾン滅菌装置。
【請求項6】
前記所定の時間は、任意に設定可能である請求項1から
5のいずれか一項に記載のオゾン滅菌装置。
【請求項7】
前記通信部は、無線通信方式でデータ通信を行う請求項1から
6のいずれか一項に記載のオゾン滅菌装置。
【請求項8】
前記保存部は、前記取得データを、前記外部記録装置としてのクラウドサーバーに保存させる請求項
7に記載のオゾン滅菌装置。
【請求項9】
前記通信部は、有線通信方式でデータ通信を行う請求項1から
6のいずれか一項に記載のオゾン滅菌装置。
【請求項10】
前記保存部は、前記取得データを、前記外部記録装置としての可搬記憶媒体に保存させる請求項
9に記載のオゾン滅菌装置。
【請求項11】
前記可搬記憶媒体を覆う蓋体と、
前記蓋体が取り付けられる筐体本体と、
を備え、
前記蓋体は、専用工具を使用することで前記筐体本体から取り外すことが可能である請求項
10に記載のオゾン滅菌装置。
【請求項12】
前記オゾン発生部により発生されるオゾンガスは、有人環境下で使用可能な濃度である請求項1から
11のいずれか一項に記載のオゾン滅菌装置。
【請求項13】
前記保存部は、前記通信部が前記外部記録装置とデータ通信を行うときにおいてのみ、通信クロックを出力する請求項1から
12のいずれか一項に記載のオゾン滅菌装置。
【請求項14】
前記保存部は、所定の期間において取得した複数の前記取得データをまとめて前記外部記録装置に保存させる請求項1から
13のいずれか一項に記載のオゾン滅菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン滅菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウイルス等に感染した要救護者の救急搬送、治療等における二次感染を防止するために、救急隊員が着用する防護服、搬送された病院の医師等が着用する白衣及び繰り返し使用可能な治療用器具等を、オゾンを使用して滅菌する技術が提案されている。
【0003】
これに関して、特許文献1には、帰還救急隊員が入室する密閉可能な消毒室にオゾンガスを供給し、救急隊員の滞在時間と消毒室内のオゾン濃度の積であるCT値を演算して、CT値が所定値となったことを救急隊員に伝達する帰還救急隊員消毒装置が記載されている。
また、特許文献2には、滅菌処理の開始を検出したときに実測CT値をリセットし、オゾン濃度とサンプリング間隔時間(または実際の間隔時間)との積を実測CT値に加算して、実測CT値が滅菌処理の終了を判断するための判定CT値以上となったときには滅菌処理を終了させるオゾン滅菌管理装置が記載されている。
また、特許文献3には、算出したCT値をCT設定値に対し0%から100%まで複数段階に分けて表示灯で点灯し、リセットボタンとCT設定値を減少させるダウンボタンを同時に押下された際にCT設定値を0にセットするオゾン滅菌管理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4762331号公報
【文献】特許第5124536号公報
【文献】特許第5538037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、低濃度(例えば、0.1ppm以下)のオゾンガスを発生させる場合、目標とするCT値に到達するには、オゾン滅菌装置を長時間連続稼働する必要がある。そのような場合に、当該オゾン滅菌装置が設置された室内において、例えば、人の出入りがあると、オゾン濃度が一時的に低下する。特許文献1~3に記載のようなCT値のみが通知されるオゾン滅菌装置を使用していた場合、ユーザーはオゾン濃度が一時的に低下した状況等を正しく把握する事ができなかった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、オゾンによる滅菌をより効果的に管理することができるオゾン滅菌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明のオゾン滅菌装置は、
オゾンガスを発生させるオゾン発生部と、
空気中のオゾン濃度を測定するオゾン濃度測定部と、
外部記録装置との間でデータ通信を行う通信部と、
所定の取得タイミングにおいて、前記オゾン濃度測定部により測定されたオゾン濃度である取得データを取得する取得部と、
前記取得データを、前記通信部を介して前記外部記録装置に保存させる保存部と、
を備えるオゾン滅菌装置であって、
人の出入りを検出する人感センサーと、前記オゾン滅菌装置における異常を検出する検出部との少なくとも1つを備え、
前記取得部は、前記所定の取得タイミングにおいて、前記人感センサーの検出結果及び/または前記検出部の検出結果を取得し、
前記保存部は、前記取得データとしての、前記オゾン濃度と、前記人感センサーの検出結果及び/または前記検出部の検出結果と、を対応付けたデータを、所定の時間間隔で連続的に前記外部記録装置に保存させる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明のオゾン滅菌装置は、
オゾンガスを発生させるオゾン発生部と、
空気中のオゾン濃度を測定するオゾン濃度測定部と、
前記オゾン発生部によるオゾンガスの発生を開始してからの経過時間を計測する時間計測部と、
前記オゾン濃度測定部により測定されたオゾン濃度、及び前記時間計測部により計測された経過時間に基づいて、CT値を算出する算出部と、
外部記録装置との間でデータ通信を行う通信部と、
所定の取得タイミングにおいて、前記オゾン濃度測定部により測定されたオゾン濃度及び/または前記算出部により算出されたCT値である取得データを取得する取得部と、
前記取得データを、前記通信部を介して前記外部記録装置に保存させる保存部と、
を備えるオゾン滅菌装置であって、
人の出入りを検出する人感センサーと、前記オゾン滅菌装置における異常を検出する検出部との少なくとも1つを備え、
前記取得部は、前記所定の取得タイミングにおいて、前記人感センサーの検出結果及び/または前記検出部の検出結果を取得し、
前記保存部は、前記取得データとしての、前記オゾン濃度及び/または前記CT値と、前記人感センサーの検出結果及び/または前記検出部の検出結果と、を対応付けたデータを、所定の時間間隔で連続的に前記外部記録装置に保存させる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のオゾン滅菌装置において、
前記保存部は、前記取得部により前記人感センサーが人の出入りを検出していないという検出結果、及び前記検出部が異常を検出していないという検出結果が連続で所定回数取得された場合、前記取得データを前記外部記録装置に保存する。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のオゾン滅菌装置において、
表示部と、
前記算出部に算出されたCT値を前記表示部に表示させる制御部と、
を備える。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載のオゾン滅菌装置において、
前記所定の時間は、分単位の値である。
【0014】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載のオゾン滅菌装置において、
前記所定の時間は、任意に設定可能である。
【0015】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載のオゾン滅菌装置において、
前記通信部は、無線通信方式でデータ通信を行う。
【0016】
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のオゾン滅菌装置において、
前記保存部は、前記取得データを、前記外部記録装置としてのクラウドサーバーに保存させる。
【0017】
また、請求項9に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載のオゾン滅菌装置において、
前記通信部は、有線通信方式でデータ通信を行う。
【0018】
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のオゾン滅菌装置において、
前記保存部は、前記取得データを、前記外部記録装置としての可搬記憶媒体に保存させる。
【0019】
また、請求項11に記載の発明は、請求項10に記載のオゾン滅菌装置において、
前記可搬記憶媒体を覆う蓋体と、
前記蓋体が取り付けられる筐体本体と、
を備え、
前記蓋体は、専用工具を使用することで前記筐体本体から取り外すことが可能である。
【0020】
また、請求項12に記載の発明は、請求項1から11のいずれか一項に記載のオゾン滅菌装置において、
前記オゾン発生部により発生されるオゾンガスは、有人環境下で使用可能な濃度である。
【0021】
また、請求項13に記載の発明は、請求項1から12のいずれか一項に記載のオゾン滅菌装置において、
前記保存部は、前記通信部が前記外部記録装置とデータ通信を行うときにおいてのみ、通信クロックを出力する。
【0022】
また、請求項14に記載の発明は、請求項1から13のいずれか一項に記載のオゾン滅菌装置において、
前記保存部は、所定の期間において取得した複数の前記取得データをまとめて前記外部記録装置に保存させる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、オゾンによる滅菌をより効果的に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】オゾン滅菌装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図5A】蓋体と蓋体付近の筐体本体の構造図である。
【
図6】ログ保存処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7A】保存された保存タイミングの時刻及び取得データの例を示す図である。
【
図7B】保存された保存タイミングの時刻及び取得データの例を示す図である。
【
図8】変形例1の無線通信方式により外部記録装置に取得データを保存する例を示す図である。
【
図9】変形例2の第2データ保存処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】変形例2の保存された保存タイミングの時刻及び取得データの例を示す図である。
【
図11】変形例3の第3データ保存処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12】変形例4の第4データ保存処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0026】
(オゾン滅菌装置100の構成)
図1及び
図2に示すとおり、本発明の好ましい実施形態にかかるオゾン滅菌装置100は、制御部11と、記憶部12と、操作部13と、表示部14と、通信部15と、オゾン濃度測定部16と、オゾン発生部17と、拡散部18と、センサー部19と、電源部20と、筐体本体30と、筐体本体30に取り付けられる蓋体31等を備える。
【0027】
制御部11は、オゾン滅菌装置100の動作を制御する部分である。具体的には、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成され、RAMの作業領域に展開されたROMや記憶部12に記憶されたコンピュータプログラムとCPUとの協働により、オゾン滅菌装置100の各部を統括制御する。
【0028】
また、制御部11は、オゾン発生部17によるオゾンガスの発生を開始してからの経過時間を計測する。ここで、制御部11は時間計測部として機能する。
また、制御部11は、オゾン濃度測定部16により測定されたオゾン濃度、及び時間計測部により計測された経過時間に基づいて、CT値を算出する。ここで、制御部11は算出部として機能する。
また、制御部11は、所定の取得タイミングにおいて、オゾン濃度測定部16により測定されたオゾン濃度及び/または算出部により算出されたCT値である取得データを取得する。ここで、制御部11は取得部として機能する。ここで、所定の取得タイミングとは、後述する保存タイミングの時間間隔よりも短い時間間隔であればよい。
また、制御部11は、取得データを、通信部15を介して外部記録装置(後述)に保存させる。ここで、制御部11は保存部として機能する。
【0029】
記憶部12は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリ等により構成され、データ及びプログラムを書き込み及び読み出し可能な記憶部である。
【0030】
操作部13は、ユーザーからの操作入力を受け付けて、操作入力に応じた操作信号を制御部11へと出力する。
図3に、操作部13及び表示部14の例を示す。
図3に示すとおり、操作部13は、ON/OFFボタン131と、Concentrationボタン132と、Levelボタン133と、Clearボタン134を備える。
【0031】
ON/OFFボタン131は、オゾン滅菌装置100のオゾン発生動作の開始あるいは停止を受け付ける。
Concentrationボタン132は、オゾン滅菌装置100を設置した環境におけるオゾン濃度の目標値の設定を受け付ける。
図3に示す例においては、オゾン濃度の目標値を0.09[ppm]及び0.05[ppm]のうちどちらかを選択できる。当該オゾン濃度の目標値は、有人環境下で使用可能な低濃度(具体的には、人体に許容される濃度である0.10[ppm]以下、または0.05ppm以下)であれば、任意の値に設定できるとしてもよい。
Levelボタン133は、オゾン発生部17におけるオゾン発生量の設定を受け付ける。
図3に示す例においては、Levelボタン133は、オゾン発生量を1から5までの5段階での設定を受け付ける。
Clearボタン134は、オゾン滅菌装置100のメンテナンス実施時期通知(後述)のクリアを受け付ける。
【0032】
表示部14は、制御部11から入力される表示制御信号の指示に従って、各種情報を表示する。
図3に示すとおり、表示部14は、算出CT値表示部141と、ON/OFF表示部142と、Concentration表示部143と、Level表示部144と、Clear表示部145と、到達CT値表示部146を備える。
【0033】
また、
図3に示すように、ON/OFFボタン131とON/OFF表示部142、Concentrationボタン132とConcentration表示部143、Levelボタン133とLevel表示部144、Clearボタン134とClear表示部145は、それぞれ紙面上下方向に一対一に対応して配置される。
【0034】
算出CT値表示部141は、制御部11(算出部)により算出されたCT値を表示する。
ON/OFF表示部142は、ON/OFFボタン131が押下され、オゾン滅菌装置100のオゾン発生動作がONである場合(オゾン発生動作が開始されると)、例えば、緑色のLEDを点灯する。
Concentration表示部143は、Concentrationボタン132の押下により選択されたオゾン濃度の目標値に対応したLEDを点灯する。
図3に示す例においては、0.05[ppm]に対応するLEDが点灯している。
Level表示部144は、Levelボタン133の押下により選択されたオゾン発生量の段階を表示する。
図3に示す例においては、オゾン発生量の段階のうち、「3」が表示されている。
Clear表示部145は、オゾン滅菌装置100がメンテナンス実施時期に到達したこと示すメンテナンス実施時期通知として、LEDを赤色に点灯する。また、ユーザーによりメンテナンスが実施され、Clearボタン134が押下されると、Clear表示部145は、LEDを青色に点灯する。
到達CT値表示部146は、制御部11(算出部)により算出されたCT値が所定のCT値に到達した場合に、当該所定のCT値に対応するLEDを点灯する。
図3に示す例においては、CT値60及びCT値330に対応するLEDが点灯している。
【0035】
通信部15は、制御部11の制御の下、所定の通信プロトコルを用いて、外部装置とデータ通信を行う。具体的には、通信部15は、通信用IC(Integrated Circuit)と通信コネクタなどを有する通信インターフェイスであって、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等の通信ネットワークを介して有線又は無線で接続された外部装置とデータ通信を行う。
【0036】
また、通信部15は、
図4に示すように、外部記録装置である可搬記憶媒体200を差し込むことが可能なポート151を備える。
図4に示す例においては、通信部15は、可搬記憶媒体200であるmicroSDカード(登録商標)を差し込むことが可能なポート1511、及び可搬記憶媒体200であるUSB(Universal Serial Bus)(登録商標)メモリを差し込むことが可能なポート1512を備える。
なお、通信部15は、ポート1511及びポート1512のうち、どちらか一方を備える構成であってもよい。
また、microSDカードやUSBメモリの代わりに、他の可搬記憶媒体を差し込むことが可能な構成であってもよい。
当該可搬記憶媒体200には、保存タイミング(後述)の時刻、及び当該保存タイミングにおいて測定したオゾン濃度及び算出したCT値である取得データ(後述)が保存される。
また、当該可搬記憶媒体200は、オゾン滅菌装置100の電源をOFFした後に、ポート151から取り外すことができる。
【0037】
また、ポート151、及びポート151に差し込まれた可搬記憶媒体200は、蓋体31によって覆われる。
図5Aに、蓋体31と蓋体31付近の筐体本体30の構造図を示す。また、
図5Bに、
図5AのVB-VB断面図を示す。
図5Bに示すように、蓋体31は、突起部311と、開口部312を備える。筐体本体30は、突起部311と結合する結合部32を備える。
突起部311及び結合部32は、スナップフィットで結合する。
開口部312は、突起部311及び結合部32の結合を外すために使用され、開口の大きさは人の指が入らないサイズである。
蓋体31及び筐体本体30は、開口部312に、開口部312に差し込むことが可能な小さな専用工具(例えば、マイナスドライバーなど)を差し込み、突起部311を上へ押し上げる事で、突起部311及び結合部32の結合を外し、筐体本体30から蓋体31を取り外すことができる構造である。
蓋体31及び筐体本体30を上記の構造とすることで、オゾン滅菌装置100を不特定多数の人が居る環境下に設置する場合であっても、データが保存された可搬記憶媒体200を簡単には取り外せない構造とすることができる。
【0038】
オゾン濃度測定部16は、オゾン滅菌装置100を設置した環境における空気中のオゾン濃度を、紫外線吸収法、または半導体薄膜式等により測定し、当該測定結果を制御部11に出力する。なお、オゾン濃度の測定方法は上記方法に限らない。
【0039】
オゾン発生部17は、制御部11の制御の下、無声放電式、紫外光ランプ式あるいは沿面放電式等によって、有人環境下で使用可能な低濃度(具体的には、人体に許容される濃度である0.10[ppm]以下、または0.05ppm以下)のオゾンガスを発生させる。なお、オゾンガスの発生方法は上記方法に限らない。
【0040】
拡散部18は、オゾン発生部17が発生させたオゾンガスを、オゾン滅菌装置100を設置した環境に拡散する。
拡散部18は、例えば、ファンモーターであり、ファンを回転させることで空気の流れを発生させ、オゾンガスを拡散する。
なお、拡散部18は、オゾン滅菌装置100内の空気を暖めて得られる上昇気流を利用してオゾンガスを拡散させる構成であってもよい。
また、オゾン滅菌装置100を設置した環境において空気の流れがある場合には、オゾン滅菌装置100は、拡散部18を備えなくともよい。
【0041】
センサー部19は、人感センサー191と、扉開閉センサー192を備える。
人感センサー191は、人を感知することで、オゾン滅菌装置100を設置した環境における人の出入りを検出し、検出結果を制御部11に出力する。当該検出結果は、制御部11のRAMに一時記憶される。
扉開閉センサー192は、拡散部18の吸気口扉や排気口扉の外装部に設けられ、当該扉の開閉状態を検出し、検出結果を制御部11に出力する。当該検出結果は、制御部11のRAMに一時記憶される。
【0042】
電源部20は、外部から給電された電力をオゾン滅菌装置100内の各部で必要な電力へ変換し供給する。
【0043】
(オゾン滅菌装置100の動作)
続いて、オゾン滅菌装置100の動作について説明する。
制御部11は、ユーザーによりON/OFFボタン131が押下され、オゾン滅菌装置100のオゾン発生動作の開始を受け付けると、
図6に示すログ保存処理を開始する。
【0044】
はじめに、制御部11は、オゾン発生動作を開始し、オゾン発生動作を開始してからの経過時間の測定を開始する(ステップS1)。
当該オゾン発生動作は、オゾン発生部17を制御してオゾンガスを発生させ、拡散部18を制御して発生させたオゾンガスを拡散させること、及び表示部14に現在のオゾン発生動作における設定状態を表示する設定表示動作を含む。
制御部11は、設定表示動作として、ON/OFFボタン131の押下により設定されたオゾン発生動作のON/OFFに応じて、ON/OFF表示部142のLEDを点灯する。また、Concentrationボタン132の押下により選択された、オゾン滅菌装置100を設置した環境におけるオゾン濃度の目標値に対応するConcentration表示部143のLEDを点灯する。また、制御部11は、Levelボタン133の押下により設定された、オゾン発生部17におけるオゾン発生量の段階を、Level表示部144に表示する。また、制御部11は、オゾン滅菌装置100がメンテナンス実施時期に到達している場合は、Clear表示部145のLEDを赤色に点灯し、それ以外の場合は、Clear表示部145のLEDを青色に点灯する。
【0045】
次に、制御部11は、操作部13を介したユーザーの入力操作により、オゾン発生動作における設定は変更されたか否かを判断する(ステップS2)。オゾン発生動作における設定とは、オゾン滅菌装置100を設置した環境におけるオゾン濃度の目標値の設定、オゾン発生部17におけるオゾン発生量の段階の設定、メンテナンス実施時期通知のクリアである。
オゾン発生動作における設定が変更された場合(ステップS2;YES)、制御部11は、ステップS2において変更された設定に基づいて、オゾン発生動作を実施する(ステップS3)。
【0046】
ステップS3実施後、またはオゾン発生動作における設定が変更されない場合(ステップS2;NO)、制御部11は、オゾン濃度測定部16を制御して、オゾン滅菌装置100を設置した環境における空気中のオゾン濃度を取得する(ステップS4)。
次に、制御部11は、ステップS4において取得したオゾン濃度は、設定されたオゾン濃度の目標値以上か否かを判断する(ステップS5)。
なお、ステップS4において、制御部11は、所定時間(例えば、数秒)ごとにオゾン濃度を取得し、当該複数の測定結果の平均値を算出して、ステップS5において、算出した平均値は、設定されたオゾン濃度の目標値以上か否かを判断してもよい。
取得されたオゾン濃度が設定されたオゾン濃度の目標値以上である場合(ステップS5;YES)、制御部11は、オゾン発生部17によるオゾンガスの発生、及び拡散部18によるオゾンガスの拡散を停止する(ステップS6)。
【0047】
ステップS6実施後、または取得されたオゾン濃度が設定されたオゾン濃度の目標値未満である場合(ステップS5;NO)、制御部11は、ステップS4において取得したオゾン濃度と、オゾン発生動作を開始してからの経過時間の積であるCT値を算出する(ステップS7)。なお、ステップS5の実行が1回目である場合、ステップS6aは実行しない。
次に、制御部11は、ステップS4において取得したオゾン濃度、及びステップS7において算出したCT値を保存する保存タイミングか否かを判断する(ステップS8)。当該保存タイミングとは、前回オゾン濃度及びCT値を保存してから所定時間(例えば、分単位、具体的には1分)経過した時点である。
CT値[ppm×min]は、オゾン濃度[ppm]とオゾン暴露時間(燻蒸時間)[min]の積によって算出されるため、分単位の値の時間間隔でオゾン濃度及びCT値を保存することで、ユーザーが保存されたオゾン濃度及びCT値を使用して、CT値の検証を行う際の作業性をより向上させる事ができる。
なお、上記所定時間は1分に限らず、例えば10秒や5分であってもよい。
また、上記所定時間は、通信部15を介してユーザーにより任意に設定される構成であってもよい。
【0048】
保存タイミングである場合(ステップS8;YES)、制御部11は、第1データ保存処理を実行する(ステップS9)。具体的には、制御部11は、ポート151に差し込まれた可搬記憶媒体200に、保存タイミングの時刻、ステップS4において取得したオゾン濃度、及びステップS7において算出したCT値を保存する。
ここで、ステップS4において取得したオゾン濃度、及びステップS7において算出したCT値が取得データである。
【0049】
なお、ステップS9において、制御部11は、保存タイミング(例えば、前回オゾン濃度及びCT値を保存してから1分経過した時点)において取得したオゾン濃度を保存してもよいし、保存タイミング間において所定時間(例えば、数秒)ごとにオゾン濃度を取得し、当該複数の測定結果の平均値を保存してもよい。
また、ステップS9において、制御部11は、取得データとして、ステップS4において取得したオゾン濃度、及びステップS7において算出したCT値のうちどちらか一方を保存するとしてもよい。
【0050】
図7A及び
図7Bに、可搬記憶媒体200に保存された保存タイミングの時刻及び取得データの例を示す。
図7Aに示す例においては、保存タイミング(A)において取得したオゾン濃度(B)と、算出されたCT値(C)が保存されている。
図7Bに示す例においては、保存タイミング(A)において取得したオゾン濃度(B)、オゾン発生動作を開始してから終了するまでの日時(D)、及びその期間に取得したオゾン濃度を集計した値(E)が保存されている。
図7A及び
図7Bに示す例においては、保存タイミングは、前回オゾン濃度及びCT値を保存してから1分経過した時点であるため、保存された取得データは、1分間隔で連続的に並んだ時系列データである。
つまり、制御部11は、所定の時間間隔で連続的に取得データを外部記録装置に保存させる。制御部11は、外部記録装置を制御して、取得データを保存させてもよいし、取得データを外部記録装置に送信することで、取得データを保存させるとしてもよい。
【0051】
上記のように、所定の取得タイミングにおいて、取得した取得データを外部記録装置に保存させることで、外部記録装置を介してユーザーに取得データを提供することができる。
また、外部記録装置に保存された取得データは、所定の時間間隔で連続的に並んだ時系列データであるため、取得データをCT値の算出とCT値の検証作業が可能な形式で、ユーザーに提供することができる。
【0052】
また、上記のように、制御部11は、取得データを、制御部11と有線通信方式で接続されたポート151に差し込まれた可搬記憶媒体200に保存する。したがって、オゾン滅菌装置100が設置された同じ室内に、RF(Radio Frequency)無線通信機器による近接電磁界への耐性が弱い機器(例えば、医療機器(薬機法第2条で定義される医療機器))が設置されている場合でも、当該機器に影響を与えることなく、取得データを保存することができる。
また、取得データを可搬記憶媒体200に保存するため、ユーザーは、取得データが保存された可搬記憶媒体200のみをオゾン滅菌装置100から取り外し、オゾン滅菌装置100を設置した室内とは別の場所で、CT値の検証作業を行うことができる。
【0053】
ステップS9実行後、または保存タイミングでない場合(ステップS8;NO)、制御部11は、ステップS7において算出したCT値は所定のCT値に到達したか否かを判断する(ステップS10)。当該所定のCT値とは、
図3に示す例においては、CT値60またはCT値330である。
算出したCT値が所定のCT値に到達した場合(ステップS10;YES)、制御部11は、到達CT値表示部146において、所定のCT値に対応するLEDを点灯することで、算出したCT値が所定のCT値に到達したことをユーザーに通知する。
【0054】
ステップS11実施後、または算出したCT値が所定のCT値に到達していない場合(ステップS10;NO)、制御部11は、ユーザーによりON/OFFボタン131が押下され、オゾン滅菌装置100のオゾン発生動作の停止を受け付けたか否かを判断する(ステップS11)。
オゾン滅菌装置100のオゾン発生動作の停止を受け付けた場合(ステップS11;YES)、制御部11は、本処理を終了する。
【0055】
オゾン滅菌装置100のオゾン発生動作の停止を受け付けていない場合(ステップS11;NO)、制御部11は、本処理をステップS2に移行する。
ステップS2~S5の実施が2回目以降であり、且つステップS4において取得されたオゾン濃度が設定されたオゾン濃度の目標値未満である場合(ステップS5;NO)、制御部11は、オゾン発生部17によるオゾンガスの発生、及び拡散部18によるオゾンガスの拡散が停止されている状態であれば、オゾンガスの発生及び拡散を再開する(ステップS6a)。
【0056】
(変形例1)
次に、上記実施形態の変形例1について説明する。
以下では、上記実施形態との差異を中心に説明する。本変形例のオゾン滅菌装置100の構成は、上記実施形態のオゾン滅菌装置100と同一である。
【0057】
本変形例のログ保存処理の第1データ保存処理(ステップS9)において、制御部11は、通信部15を介した無線通信方式により外部記録装置に、保存タイミングの時刻及び取得データを保存する。
例えば、
図8に示すように、オゾン滅菌装置100と、オゾン滅菌装置100を設置した室内にある専用の無線端末300(外部記録装置)とが、通信部15を介してBluetooth(登録商標)で接続されている場合、制御部11は、上記ステップS9において、当該無線端末300に、保存タイミングの時刻及び取得データを保存する。
また、
図8に示すように、オゾン滅菌装置100と、オゾン滅菌装置100を設置した室内に備えられたIoT(Internet of Thing)ゲートウェイ装置400とが、通信部15を介してWi-Fi(登録商標)で接続されている場合、制御部11は、上記ステップS9において、IoTゲートウェイ装置400を介して、クラウド上の外部記録装置(データサーバー500)に、保存タイミングの時刻及び取得データを保存する。ユーザーは、パーソナルコンピューター600からパスワードを入力して、データサーバー500にログインし、どこからでもデータサーバー500に保存されたデータを閲覧可能に構成されている。
【0058】
上記のように、取得データを、通信部15を介した無線通信方式により外部記録装置に保存することで、オゾン滅菌装置100を人の手が届きにくい高所に設置する場合であっても、ユーザーは保存された取得データを、外部記録装置から容易に取得する事ができる。
また、取得データを、IoTゲートウェイ装置400を介して、データサーバー500に保存することで、ユーザーはオゾン滅菌装置100を設置した室内に居ない場合であっても、室外から、保存された取得データを確認することができる。
【0059】
(変形例2)
次に、上記実施形態の変形例2について説明する。
以下では、上記実施形態との差異を中心に説明する。本変形例のオゾン滅菌装置100の構成は、上記実施形態のオゾン滅菌装置100と同一である。
本変形例のログ保存処理において、制御部11は、第1データ保存処理の代わりに
図9に示す第2データ保存処理を実行する。
【0060】
第2データ保存処理において、まず、制御部11は、前回の保存タイミングから今回の保存タイミングの間の期間における、センサー部19の人感センサー191の検出結果及び扉開閉センサー192の検出結果を取得する(ステップS91a)。
ここで、扉開閉センサー192は、オゾン滅菌装置100における異常を検出する検出部として機能する。
次に、制御部11は、前回の保存タイミングから今回の保存タイミングの間の期間において、拡散部18の動作にエラーが起きたか否かの検出結果を取得する(ステップS92a)。当該拡散部18の動作におけるエラーとは、ファンモーターの回転不足等である。
【0061】
次に、制御部11は、オゾン滅菌装置100の現在の動作モードを検出する(ステップS93a)。
オゾン滅菌装置100における動作モードとは、電源投入直後等であり、オゾン滅菌装置100を正常に稼働させるための準備状態であるウォーミングアップモード、オゾン発生部17を制御してオゾンガスを発生させ、拡散部18を制御して発生させたオゾンガスを拡散させている状態である運転モード、オゾンガスを発生させずに、拡散部18を稼働させている状態である待機モード、オゾン濃度測定部16により測定されたオゾン濃度が異常である等で、オゾン発生部17及び拡散部18の稼働を停止している状態であるエラーモードのいずれかである。
また、動作モードは、Concentrationボタン132の押下により設定された、オゾン滅菌装置100を設置した環境におけるオゾン濃度の目標値、及びLevelボタン133の押下により設定された、オゾン発生部17におけるオゾン発生量の段階を含んでもよい。
ここで、拡散部18の動作にエラーが起きたか否かの検出結果を取得し、オゾン滅菌装置100の動作モードを検出する制御部11は、オゾン滅菌装置100における異常を検出する検出部として機能する。
【0062】
次に、制御部11は、ステップS91aにおいて取得した人感センサー191の検出結果及び扉開閉センサー192の検出結果と、ステップS92aにおいて取得した拡散部18の動作におけるエラーの検出結果と、ステップS93aにおいて検出したオゾン滅菌装置100の動作モードの検出結果と、保存タイミングの時刻、ログ保存処理のステップS4において取得したオゾン濃度、及びステップS7において算出したCT値とを対応付けて、外部記録装置に保存し(ステップS94a)、本処理を終了して、ログ保存処理に戻る。
この場合、人感センサー191の検出結果及び扉開閉センサー192の検出結果と、拡散部18の動作におけるエラーの検出結果と、オゾン滅菌装置100の動作モードの検出結果と、測定したオゾン濃度及び算出したCT値とを対応付けたデータが取得データである。
また、外部記録装置は、ポート151に差し込まれた可搬記憶媒体200であってもよいし、通信部15を介して無線通信方式により接続された外部記録装置であってもよい。
【0063】
なお、上記第2データ保存処理のステップS94aにおいて、制御部11は、測定したオゾン濃度及び算出したCT値のうちどちらか一方を、人感センサー191の検出結果及び扉開閉センサー192の検出結果と、拡散部18の動作におけるエラーの検出結果と、オゾン滅菌装置100の動作モードの検出結果とに対応付けて保存するとしてもよい。
【0064】
図10に、上記第2データ保存処理のステップS94aにおいて保存された保存タイミングの時刻及び取得データの例を示す。
図10に示す例においては、
図7Bに示す例と同様に、保存タイミング(A)において取得したオゾン濃度(B)、オゾン発生動作を開始してから終了するまでの日時(D)、及びその期間に測定したオゾン濃度を集計した値(E)が保存されている。
【0065】
また、さらに、
図10に示すように、保存タイミング(A)において取得した、前回の保存タイミングから今回の保存タイミングの間の期間における、人感センサー191による検出結果(F)が保存されている。具体的には、人感センサー191による検出結果(F)として、人感センサー191が人を検出した場合は「detected」、人を検出していない場合は「Not detected」が保存される。
また、オゾン発生動作を開始してから終了するまでの日時(D)において、人感センサー191が人を検出した回数(G)が保存されている。
【0066】
また、さらに、
図10に示すように、保存タイミング(A)において取得した、前回の保存タイミングから今回の保存タイミングの間の期間における、扉開閉センサー192による検出結果(H)が保存されている。具体的には、扉開閉センサー192による検出結果(H)として、扉開閉センサー192が拡散部18の吸気口扉や排気口扉の開状態を検出した場合は「Open」、拡散部18の吸気口扉や排気口扉の閉状態を検出した場合は「Closed」が保存される。
また、オゾン発生動作を開始してから終了するまでの日時(D)において、扉開閉センサー192が拡散部18の吸気口扉や排気口扉の開状態を検出した回数(I)が保存されている。
【0067】
また、さらに、
図10に示すように、保存タイミング(A)において取得した、前回の保存タイミングから今回の保存タイミングの間の期間における、拡散部18の動作におけるエラー(例えば、ファンモーターの回転不足)の検出結果(J)が保存されている。具体的には、拡散部18の動作におけるエラーの検出結果(J)として、拡散部18の動作におけるエラーを検出した場合は「detected」、拡散部18の動作におけるエラーを検出していない場合は「Not detected」が保存される。
また、オゾン発生動作を開始してから終了するまでの日時(D)において、拡散部18の動作におけるエラーを検出した回数(K)が保存されている。
【0068】
また、さらに、
図10に示すように、保存タイミング(A)において検出したオゾン滅菌装置100の動作モードの検出結果である、オゾン滅菌装置100を設置した環境におけるオゾン濃度の目標値(L)、オゾン発生部17におけるオゾン発生量の段階(M)、及び動作モード(N)が保存されている。例えば、オゾン滅菌装置100の動作モードが運転モードである場合、動作モード(N)として、「Running」が保存される。
【0069】
上記のように、センサー部19の検出結果と、拡散部18の動作におけるエラーの検出結果と、オゾン滅菌装置100の動作モードの検出結果と、取得したオゾン濃度及び算出したCT値とを対応付けたデータ(取得データ)を保存することで、例えば、オゾン濃度の時系列データにおける一時的なオゾン濃度の低下等の異変があった場合に、これらの検出結果に基づいて、当該オゾン濃度低下の要因を特定することができる。
具体的には、一時的なオゾン濃度の低下が保存されたタイミングにおいて、人感センサー191による人の検出が保存されていた場合、オゾン滅菌装置100が設置された室内において人の出入りがあったことで、一時的なオゾン濃度の低下が起こったことを推測することができる。
【0070】
(変形例3)
次に、上記実施形態の変形例3について説明する。
以下では、上記実施形態との差異を中心に説明する。本変形例のオゾン滅菌装置100の構成は、上記実施形態のオゾン滅菌装置100と同一である。
本変形例のログ保存処理において、制御部11は、第1データ保存処理の代わりに
図11に示す第3データ保存処理を実行する。
【0071】
第3データ保存処理において、まず、制御部11は、制御部11のRAMに、保存タイミングの時刻及び取得データ(ログ保存処理のステップS4において取得したオゾン濃度、及びステップS7において算出したCT値)を一時的に保存する(ステップS91b)。
次に、制御部11は、前回外部記録装置に保存タイミングの時刻及び取得データを保存した後に、ステップS91bにおいて保存タイミングの時刻及び取得データを一時的に保存した回数は、所定回数(例えば、15回)に達したか否かを判断する(ステップS92b)。当該所定回数は任意に設定できる。
【0072】
保存タイミングの時刻及び取得データを一時的に保存した回数が所定回数に達した場合(ステップS92b;YES)、制御部11は、通信部15を介した無線通信方式により外部記録装置と接続するための通信クロックを出力する(ステップS93b)。
次に、制御部11は、外部記録装置との通信は確立したか否かを判断する(ステップS94b)。
外部記録装置との通信が確立していない場合(ステップS94b;NO)、制御部11は、本処理をステップS94bに戻す。つまり、外部記録装置との通信が確立するまで待機する。
【0073】
外部記録装置との通信が確立した場合(ステップS94b;YES)、制御部11は、前回外部記録装置に保存タイミングの時刻及び取得データを保存した後に、ステップS91bにおいて一時的に保存された所定回数分の保存タイミングの時刻及び取得データをまとめて、外部記録装置に保存する(ステップS95b)。
次に、制御部11は、通信クロックを停止し(ステップS96b)、本処理を終了して、ログ保存処理に戻る。
【0074】
上記のように、一時的に保存された所定回数分の保存タイミングの時刻及び取得データをまとめて外部記録装置に保存することで、オゾン滅菌装置100と外部記録装置間の通信頻度を減らすことができ、また、外部記録装置にデータを保存する時のみ、通信クロックを出力することで、制御部11(CPU)の消費電力を抑えることができる。オゾン滅菌装置100において、低濃度のオゾンガスを発生させて、高いCT値を達成するためには、長時間の連続稼働が必要となるため、制御部11(CPU)の消費電力を抑えることが好ましい。
また、保存タイミングの時刻及び取得データを一時的に保存した回数が所定回数に達していない場合(ステップS92b;NO)、制御部11は、本処理を終了して、ログ保存処理に戻る。
【0075】
(変形例4)
次に、上記実施形態の変形例4について説明する。
以下では、上記実施形態との差異を中心に説明する。本変形例のオゾン滅菌装置100の構成は、上記実施形態のオゾン滅菌装置100と同一である。
本変形例のログ保存処理において、制御部11は、第1データ保存処理の代わりに
図12に示す第4データ保存処理を実行する。
【0076】
第4データ保存処理において、まず、制御部11は、第2データ保存処理のステップS91a~S93aと同様のステップS91c~S93cを実施する。
次に、制御部11は、ステップS91c~S93cの検出結果に基づいて、異常は検出されたか否かを判断する(ステップS94c)。当該検出結果における異常とは、ステップS91cにおいて、人感センサー191により人が検出されたこと、または扉開閉センサー192により拡散部18の吸気口扉や排気口扉の開状態が検出されたこと、またはステップS92cにおいて拡散部18の動作のエラーが検出されたこと、またはステップS93cにおいて、オゾン滅菌装置100の動作モードがエラーモードであることが検出されたことである。
ステップS91c~S94cは、異常検出動作である。
【0077】
検出結果において異常が検出された場合(ステップS94c;YES)、制御部11は、ステップS91cにおいて取得した人感センサー191の検出結果及び扉開閉センサー192の検出結果と、ステップS92cにおいて取得した拡散部18の動作におけるエラーの検出結果と、ステップS93cにおいて検出したオゾン滅菌装置100の動作モードの検出結果と、保存タイミングの時刻、ログ保存処理のステップS4において取得したオゾン濃度、及びステップS7において算出したCT値とを対応付けて、外部記録装置に保存し(ステップS95c)、本処理を終了して、ログ保存処理に戻る。
この場合、人感センサー191の検出結果及び扉開閉センサー192の検出結果と、拡散部18の動作におけるエラーの検出結果と、オゾン滅菌装置100の動作モードの検出結果と、測定したオゾン濃度及び算出したCT値とを対応付けたデータが取得データである。
また、外部記録装置は、ポート151に差し込まれた可搬記憶媒体200であってもよいし、通信部15を介して無線通信方式により接続された外部記録装置であってもよい。
【0078】
検出結果における異常が検出されない場合(ステップS94c;NO)、制御部11は、前回外部記録装置に保存タイミングの時刻及び取得データを保存した後に、異常検出動作を実施した回数に+1をする(ステップS96c)。
次に、前回外部記録装置に保存タイミングの時刻及び取得データを保存した後に、異常検出動作を実施した回数は所定回数(例えば、15回)に達したか否かを判断する(ステップS97c)。当該所定回数は任意に設定できる。
異常検出動作を実施した回数が所定回数に達した場合(ステップS97c;YES)、制御部11は、本処理をステップS95cに移行する。
つまり、制御部11(取得部)は、保存タイミングにおいて(所定の時間間隔で)、人感センサー191の検出結果及び検出部の検出結果を取得する。そして、制御部11(保存部)は、取得部により人感センサー191が人の出入りを検出していないという検出結果、及び検出部が異常を検出していないという検出結果が連続で所定回数取得された場合、取得データを外部記録装置に保存する。
また、異常検出動作を実施した回数が所定回数に達していない場合(ステップS97c;NO)、制御部11は、本処理を終了して、ログ保存処理に戻る。
【0079】
上記のように、検出結果における異常が検出された場合、または異常が検出されず、異常検出動作を実施した回数が所定回数に達した場合にのみ対応付けたデータ(取得データ)を外部記録装置に保存するため、オゾン滅菌装置100と外部記録装置間の通信頻度を減らすことができ、制御部11(CPU)の消費電力を抑えることができる。
また、オゾン濃度の時系列データにおける異変があった場合に、検出結果における異常に基づいて、当該オゾン濃度の異変の要因を特定することができるとともに、外部記録装置に保存する対応付けたデータ(取得データ)の量を減らすことができ、外部記録装置の容量を節約することができる。
【0080】
以上、説明してきた本実施形態に係るオゾン滅菌装置100は、オゾンガスを発生させるオゾン発生部17と、空気中のオゾン濃度を測定するオゾン濃度測定部16と、外部記録装置(可搬記憶媒体200、無線端末300、データサーバー500)との間でデータ通信を行う通信部15と、所定の取得タイミングにおいて、オゾン濃度測定部16により測定されたオゾン濃度である取得データを取得する取得部(制御部11)と、取得データを、通信部15を介して外部記録装置に保存させる保存部(制御部11)と、を備える。
従って、所定の取得タイミングにおいて、取得した取得データを外部記録装置に保存することで、外部記録装置を介してユーザーに取得データを提供することができ、ユーザーは当該取得データに基づいて、オゾンによる滅菌をより効果的に管理することができる。
【0081】
また、本実施形態に係るオゾン滅菌装置100は、オゾンガスを発生させるオゾン発生部17と、空気中のオゾン濃度を測定するオゾン濃度測定部16と、オゾン発生部17によるオゾンガスの発生を開始してからの経過時間を計測する時間計測部(制御部11)と、オゾン濃度測定部16により測定されたオゾン濃度、及び時間計測部により計測された経過時間に基づいて、CT値を算出する算出部(制御部11)と、外部記録装置との間でデータ通信を行う通信部15と、所定の取得タイミングにおいて、オゾン濃度測定部16により測定されたオゾン濃度及び/または算出部により算出されたCT値である取得データを取得する取得部(制御部11)と、取得データを、通信部15を介して外部記録装置に保存させる保存部(制御部11)と、を備える。
従って、所定の取得タイミングにおいて、取得した取得データを外部記録装置に保存することで、外部記録装置を介してユーザーに取得データを提供することができ、ユーザーは当該取得データに基づいて、オゾンによる滅菌をより効果的に管理することができる。
【0082】
また、本実施形態に係るオゾン滅菌装置100は、人の出入りを検出する人感センサー191と、オゾン滅菌装置100における異常を検出する検出部(制御部11、扉開閉センサー192)と、を備え、保存部は、取得データとしての、人感センサー191の検出結果及び/または検出部の検出結果と、オゾン濃度測定部16により測定されたオゾン濃度及び/または算出部により算出されたCT値とを対応付けたデータを外部記録装置に保存させる。
従って、オゾン濃度の時系列データにおける一時的なオゾン濃度の低下等の異変があった場合に、センサー部19の検出結果、拡散部18の動作におけるエラーの検出結果、及びオゾン滅菌装置100の動作モードの検出結果に基づいて、当該オゾン濃度低下の要因を特定することができる。
【0083】
また、本実施形態に係るオゾン滅菌装置100において、取得部は、所定の時間間隔で、人感センサー191の検出結果及び検出部の検出結果を取得し、保存部は、取得部により人感センサー191が人の出入りを検出していないという検出結果、及び検出部が異常を検出していないという検出結果が連続で所定回数取得された場合、取得データを外部記録装置に保存する。
従って、オゾン滅菌装置100と外部記録装置間の通信頻度を減らすことができ、制御部11(CPU)の消費電力を抑えることができる。
また、オゾン濃度の時系列データにおける異変があった場合に、検出結果における異常に基づいて、当該オゾン濃度の異変の要因を特定することができるとともに、外部記録装置に保存する対応付けたデータ(取得データ)の量を減らすことができ、外部記録装置の容量を節約することができる。
【0084】
また、本実施形態に係るオゾン滅菌装置100は、表示部14(算出CT値表示部141)と、算出部に算出されたCT値を表示部14に表示させる制御部11と、を備える。
従って、ユーザーは、所定の取得タイミングにおいて算出されたCT値を把握することができる。
【0085】
また、本実施形態に係るオゾン滅菌装置100において、保存部は、所定の時間間隔で連続的に取得データを外部記録装置に保存させる。
従って、取得データをCT値の算出とCT値の検証作業が可能な形式で、ユーザーに提供することができる。
【0086】
また、本実施形態に係るオゾン滅菌装置100において、所定の時間は、分単位の値である。
従って、CT値[ppm×min]は、オゾン濃度[ppm]とオゾン暴露時間(燻蒸時間)[min]の積によって算出されるため、分単位の値の時間間隔でオゾン濃度及びCT値を保存することで、ユーザーが、保存されたオゾン濃度及びCT値を使用して、CT値の検証を行う際の作業性をより向上させる事ができることができる。
【0087】
また、本実施形態に係るオゾン滅菌装置100において、所定の時間は、任意に設定可能である。
従って、任意に設定された時間間隔において取得された取得データをユーザーに提供することができる。
【0088】
また、本実施形態に係るオゾン滅菌装置100において、通信部15は、無線通信方式でデータ通信を行う。
従って、無線通信方式により取得データを外部記録装置に保存することで、オゾン滅菌装置100を人の手が届きにくい高所に設置する場合であっても、ユーザーは保存された取得データを、外部記録装置から容易に取得する事ができることができる。
【0089】
また、本実施形態に係るオゾン滅菌装置100において、保存部は、取得データを、外部記録装置としてのクラウドサーバー(データサーバー500)に保存させる。
従って、パーソナルコンピューター600からパスワードを入力して、データサーバー500にログインし、どこからでもデータサーバー500に保存されたデータを閲覧可能とすることで、ユーザーはオゾン滅菌装置100を設置した室内に居ない場合であっても、室外から、保存された取得データを確認することができる。
【0090】
また、本実施形態に係るオゾン滅菌装置100において、通信部15は、有線通信方式でデータ通信を行う。
従って、オゾン滅菌装置100が設置された同じ室内に、RF無線通信機器による近接電磁界への耐性が弱い機器(例えば、医療機器(薬機法第2条で定義される医療機器))が設置されている場合でも、当該機器に影響を与えることなく、取得データを保存することができる。
【0091】
また、本実施形態に係るオゾン滅菌装置100において、保存部は、取得データを、外部記録装置としての可搬記憶媒体200に保存させる。
従って、ユーザーは、取得データが保存された可搬記憶媒体200のみをオゾン滅菌装置100から取り外し、オゾン滅菌装置100を設置した室内とは別の場所で、CT値の検証作業を行うことができる。
【0092】
また、本実施形態に係るオゾン滅菌装置100は、可搬記憶媒体200を覆う蓋体31と、蓋体31が取り付けられる筐体本体30と、を備え、蓋体31は、専用工具を使用することで筐体本体30から取り外すことが可能である。
従って、オゾン滅菌装置100を不特定多数の人が居る環境下に設置する場合であっても、データが保存された可搬記憶媒体200を簡単には取り外せない構造とすることができる。
【0093】
また、本実施形態に係るオゾン滅菌装置100において、オゾン発生部17により発生されるオゾンガスは、有人環境下で使用可能な濃度である。
従って、有人環境下で使用可能な濃度である低濃度のオゾンガスを発生させ、オゾン滅菌装置100を長時間連続稼働する場合に、ユーザーは、例えばオゾン濃度が一時的に低下した状況等を正しく把握する事ができる。
【0094】
また、本実施形態に係るオゾン滅菌装置100において、保存部は、通信部15が外部記録装置とデータ通信を行うときにおいてのみ、通信クロックを出力する。
従って、制御部11(CPU)の消費電力を抑えることができる。
【0095】
また、本実施形態に係るオゾン滅菌装置100において、保存部は、所定の期間において取得した複数の取得データをまとめて外部記録装置に保存させる。
従って、オゾン滅菌装置100と外部記録装置間の通信頻度を減らすことができ、制御部11(CPU)の消費電力を抑えることができる。
【0096】
なお、本実施形態における記述は、本発明に係る好適なオゾン滅菌装置の一例であり、これに限定されるものではない。
【0097】
例えば、上記実施形態は、センサー部19は、人感センサー191と、扉開閉センサー192を備えるとしたが、他のセンサーを備えていてもよい。
【0098】
また、上記実施形態の変形例2の第2データ保存処理ステップS92a、及び変形例4の第4データ保存処理ステップS92cにおいて、制御部11は、拡散部18の動作にエラーが起きたか否かの検出結果を取得するとしたが、これに限らない。制御部11は、拡散部18以外のオゾン滅菌装置100内の部においてエラーが起きたか否かの検出結果を取得してもよい。
【符号の説明】
【0099】
100 オゾン滅菌装置
11 制御部(時間計測部、算出部、取得部、保存部、検出部)
12 記憶部
13 操作部
131 ON/OFFボタン
132 Concentrationボタン
133 Levelボタン
134 Clearボタン
14 表示部
141 算出CT値表示部
142 ON/OFF表示部
143 Concentration表示部
144 Level表示部
145 Clear表示部
146 到達CT値表示部
15 通信部
151 ポート
1511 ポート
1512 ポート
16 オゾン濃度測定部
17 オゾン発生部
18 拡散部
19 センサー部
191 人感センサー
192 扉開閉センサー(検出部)
20 電源部
30 筐体本体
31 蓋体
32 結合部
200 可搬記憶媒体
300 無線端末(外部記録装置)
400 IoTゲートウェイ装置
500 データサーバー(外部記録装置)
600 パーソナルコンピューター