(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】光学装置の放熱
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20240514BHJP
G02B 6/12 20060101ALI20240514BHJP
G02F 1/01 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G02B6/12 361
G02F1/01 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023206233
(22)【出願日】2023-12-06
(62)【分割の表示】P 2023534279の分割
【原出願日】2021-12-07
【審査請求日】2023-12-26
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520390450
【氏名又は名称】オーロラ・オペレイションズ・インコーポレイティッド
【氏名又は名称原語表記】AURORA OPERATIONS, INC.
【住所又は居所原語表記】1654 Smallman Street, Pittsburgh, PA 15222, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】フェッラーラ・ジェームズ・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】リン・セン
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-037524(JP,A)
【文献】特開2012-112984(JP,A)
【文献】特開2007-025583(JP,A)
【文献】特許第2687362(JP,B1)
【文献】特開2002-333601(JP,A)
【文献】特開2020-056658(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112859387(CN,A)
【文献】国際公開第2015/157963(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0036153(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
17/00 - 17/95
G02B 6/12 - 6/14
G02F 1/00 - 1/125
1/21 - 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の光検出および距離測定(LIDAR)センサーシステムであって、前記LIDARセンサーシステムは、
光信号を生成するように構成された発光部と、
前記光信号を受信するように構成された位相シフターと、を有し、前記位相シフターは、
前記光信号を受信するように構成された導波管と、
基板層であって、前記導波管を前記基板層から熱的に絶縁するように構成されたキャビティを有する基板層と、
前記基板層を基準として前記導波管を保持するように構成された複数のアームと、
前記光信号の1つ以上の特性を変調するために、前記導波管を選択的に加熱するように構成された加熱要素と、
前記導波管からの熱を分散するように構成された複数の熱伝導性ストリップとを有し、
前記複数の熱伝導性ストリップの1つ以上が、前記導波管から延び、前記複数の熱伝導性ストリップの前記1つ以上の一部が、第1の方向において前記複数のアームの少なくとも1つと重なる、LIDARセンサーシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のLIDARセンサーシステムにおいて、
前記複数の熱伝導性ストリップの少なくとも1つは、前記導波管と第2の方向において整列し、前記複数の熱伝導性ストリップの前記少なくとも1つは、前記基板層を基準として前記導波管と共に保持される、LIDARセンサーシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のLIDARセンサーシステムにおいて、
前記複数の熱伝導性ストリップの前記少なくとも1つは、クラッディング層の一部によって前記導波管と分離されている、LIDARセンサーシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のLIDARセンサーシステムにおいて、
前記光信号の前記1つ以上の特性は、前記光信号の位相または前記光信号の周波数を含む、LIDARセンサーシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のLIDARセンサーシステムにおいて、
前記位相シフターは、前記基板層に少なくとも部分的に結合されたクラッディング層を含み、前記導波管及び前記複数のアームは、前記クラッディング層に形成されている、LIDARセンサーシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のLIDARセンサーシステムにおいて、
前記位相シフターは、複数の開口を有し、
前記複数の開口は、前記クラッディング層に設けられ、前記複数のアームを互いに分離する、LIDARセンサーシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のLIDARセンサーシステムにおいて、
前記複数の開口は、前記キャビティに結合されている、LIDARセンサーシステム。
【請求項8】
請求項5に記載のLIDARセンサーシステムにおいて、
前記位相シフターは、前記クラッディング層に形成された少なくとも1つの熱伝導性ビアを含み、
前記少なくとも1つの熱伝導性ビアは、前記基板層と、前記複数の熱伝導性ストリップの少なくとも1つとに結合されている、LIDARセンサーシステム。
【請求項9】
請求項5に記載のLIDARセンサーシステムにおいて、
前記位相シフターは、前記クラッディング層上に形成された少なくとも1つの熱伝導性パッドを含み、
前記少なくとも1つの熱伝導性パッドは、前記複数の熱伝導性ストリップの少なくとも1つに結合されている、LIDARセンサーシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のLIDARセンサーシステムにおいて、
前記少なくとも1つの熱伝導性パッドに結合され、前記少なくとも1つの熱伝導性パッドを介して前記導波管からの熱を分散するように構成されたヒートシンクをさらに有する、LIDERセンサーシステム。
【請求項11】
請求項1に記載のLIDARセンサーシステムにおいて、
前記導波管は、窒化ケイ素を含む光学素子を含み、
前記加熱要素は、窒化チタンを含み、
前記光学素子と前記加熱要素とは、クラッディング層に形成され、前記クラッディング層は、二酸化ケイ素を含む、LIDARセンサーシステム。
【請求項12】
自律車両(AV)制御システムであって、
光検出および距離測定(LIDAR)センサーシステムと、
前記LIDARセンサーシステムに結合され、前記LIDARセンサーシステムからの出力に基づいて、AVを少なくとも部分的に制御するように構成された1つ以上のプロセッサとを有し、
前記LIDARセンサーシステムは、
光信号を生成するように構成された発光部と、
前記光信号を受信するように構成された位相シフターと、を有し、前記位相シフターは、
前記光信号を受信するように構成された導波管と、
基板層であって、前記導波管を前記基板層から熱的に絶縁するように構成されたキャビティを有する基板層と、
前記基板層を基準として前記導波管を保持するように構成された複数のアームと、
前記光信号の1つ以上の特性を変調するために、前記導波管を選択的に加熱するように構成された加熱要素と、
前記導波管からの熱を分散するように構成された複数の熱伝導性ストリップとを有し、
前記複数の熱伝導性ストリップの1つ以上が、前記導波管から延び、前記複数の熱伝導性ストリップの前記1つ以上の一部が、第1の方向において前記複数のアームの少なくとも1つと重なる、AV制御システム。
【請求項13】
請求項12に記載のAV制御システムにおいて、
前記複数の熱伝導性ストリップの少なくとも1つは、前記導波管と第2の方向において整列し、前記複数の熱伝導性ストリップの前記少なくとも1つは、前記基板層を基準として前記導波管と共に保持される、AV制御システム。
【請求項14】
請求項13に記載のAV制御システムにおいて、
前記複数の熱伝導性ストリップの前記少なくとも1つは、クラッディング層の一部によって前記導波管と分離されている、AV制御システム。
【請求項15】
請求項12に記載のAV制御システムにおいて、
前記光信号の前記1つ以上の特性は、前記光信号の位相または前記光信号の周波数を含む、AV制御システム。
【請求項16】
請求項12に記載のAV制御システムにおいて、
前記位相シフターは、前記基板層に結合されたクラッディング層を含み、前記導波管及び前記複数のアームは、前記クラッディング層に形成されている、AV制御システム。
【請求項17】
請求項16に記載のAV制御システムにおいて、
前記位相シフターは、複数の開口を有し、
前記複数の開口は、前記クラッディング層に設けられ、前記複数のアームを互いに分離する、AV制御システム。
【請求項18】
請求項16に記載のAV制御システムにおいて、
前記位相シフターは、前記クラッディング層に形成された少なくとも1つの熱伝導性ビアを含み、
前記少なくとも1つの熱伝導性ビアは、前記基板層と、前記複数の熱伝導性ストリップの少なくとも1つとに結合されている、AV制御システム。
【請求項19】
自律車両(AV)であって、
光検出および距離測定(LIDAR)センサーシステムと、
前記LIDARセンサーシステムに結合され、前記LIDARセンサーシステムからの出力に基づいて、前記AVを少なくとも部分的に制御するように構成された1つ以上のプロセッサとを有し、
前記LIDARセンサーシステムは、
光信号を生成するように構成された発光部と、
前記光信号を受信するように構成された位相シフターと、を有し、前記位相シフターは、
前記光信号を受信するように構成された導波管と、
基板層であって、前記導波管を前記基板層から熱的に絶縁するように構成されたキャビティを有する基板層と、
前記基板層を基準として前記導波管を保持するように構成された複数のアームと、
前記光信号の1つ以上の特性を変調するために、前記導波管を選択的に加熱するように構成された加熱要素と、
前記導波管からの熱を分散するように構成された複数の熱伝導性ストリップとを有し、
前記複数の熱伝導性ストリップの1つ以上が、前記導波管から延び、前記複数の熱伝導性ストリップの前記1つ以上の一部が、特定の方向において前記複数のアームの少なくとも1つと重なる、AV。
【請求項20】
請求項19に記載のAVにおいて、
前記1つ以上のプロセッサは、前記LIDARセンサーシステムからの前記出力に基づいて、前記AVのパワートレインを制御するように構成されている、AV。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についての相互参照
本出願は、2020年12月07日付で出願された米国仮出願第63/122,146号についての優先権を主張する2021年12月05日付で出願された米国特許出願第17/542,459号についての優先権を主張する。米国出願第17/542,459号、および第63/122,146号は、本明細書に参照として含まれる。
【0002】
本開示は、一般に光学に関するものであって、具体的には、光検出および距離測定(Light Detection and Ranging、LIDAR)に関する。
【背景技術】
【0003】
周波数変調連続波(FMCW、Frequency Modulated Continuous Wave)LIDARは、周波数変調されたコリメートされた光ビームをターゲットに向けてオブジェクトの距離と速度を直接測定する。ターゲットの距離および速度情報は、FMCW LIDAR信号から得られる。LIDAR信号の精度を高める設計および技術が好ましい。
【0004】
自動車産業は、現在、特定の状況で車両を制御するための自律機能を開発している。SAE国際規格J3016によると、レベル0(自律なし)からレベル5(あらゆる条件で運転者入力なしで操作できる車両)まで、6レベルの自律性の範囲がある。自律機能を有する車両は、センサーを用いて車両が走行する環境を感知する。センサーからデータを取得して処理することによって、車両は、環境を探索することができる。自律車両には、環境を感知するための1つ以上のLIDAR装置が含まれ得る。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、ビーム、導波管、加熱要素、および熱伝導性ストリップを含む熱-光位相シフターを含む。ビームは、クラッディング層に形成され、キャビティ(Cavity)の上にぶら下がっている。導波管は、ビーム内に少なくとも部分的に配置される。加熱要素は、ビーム内に少なくとも部分的に配置される。熱伝導性ストリップは、ビーム上に配置され、熱伝導性ストリップは、ビームから熱を分散させるように配列される。
【0006】
一実施形態において、熱-光位相シフターは、キャビティの上にビームをぶら下げるように構成される複数の側面アームをさらに含む。複数の側面アームのそれぞれは、ビームとクラッディング層の残りの部分との間に結合される。
【0007】
一実施形態において、ビームの第1側面上の複数の側面アームのうちの少なくとも2つは、クラッディング層の第1開口によって隔離される。ビームの第2側面上の複数の側面アームのうちの少なくとも2つは、クラッディング層の第2開口によって隔離される。複数の側面アームのそれぞれは、クラッディング層内に形成される。
【0008】
一実施形態において、熱-光位相シフターは、クラッディング層上に配置される複数の熱伝導性パッドをさらに含む。熱-光位相シフターは、また、熱伝導性ストリップと複数の熱伝導性パッドとの間にそれぞれ結合された複数の熱伝導性フィンガーをさらに含む。複数の熱伝導性フィンガーのうちの少なくとも1つは、熱伝導性ストリップから複数の熱伝導性パッドのうち、対応する1つにわたって特定の方向に延長される。
【0009】
一実施形態において、熱-光位相シフターは、基板層および複数の熱伝導性ビアをさらに含む。クラッディング層は、基板層上に配置される。複数の熱伝導性ビアは、クラッディング層に配置され、基板層を複数の熱伝導性パッドのうち、少なくとも1つに熱的に結合するように構成される。
【0010】
一実施形態において、熱伝導性ストリップは、金属を含む。
【0011】
一実施形態において、熱-光位相シフターは、基板層をさらに含む。クラッディング層は、基板層上に配置され、キャビティは、基板層に形成され、空気によりビームを基板層から熱的に隔離するように配置される。
【0012】
一実施形態において、加熱要素は、導波管と熱伝導性ストリップとの間に配置される。導波管は、ビームを基準にして特定の方向に配置される。
【0013】
一実施形態において、加熱要素は、クラッディング層に配置され、ビームを基準にして特定の方向に位置し、導波管に熱を伝達するように配置される。
【0014】
一実施形態において、導波管は、シリコンまたは窒化ケイ素を含む。クラッディング層は、二酸化ケイ素から形成される。加熱要素は、抵抗加熱要素であり、窒化チタンから形成される。
【0015】
一実施形態において、クラッディング層の一部は、導波管と加熱要素との間に配置される。
【0016】
一実施形態において、熱-光位相シフターは、シリコン基板である基板層をさらに含む。
【0017】
本開示の実施形態は、熱-光位相シフターとヒートシンクを含むLIDAR装置を含む。熱-光位相シフターは、ビーム、導波管、加熱要素、および熱伝導性構造を含む。ビームは、クラッディング層に形成され、キャビティの上にぶら下がっている。導波管は、ビーム内に少なくとも部分的に配置される。加熱要素は、ビーム内に少なくとも部分的に配置される。熱伝導性構造は、ビーム上に配置される。熱伝導性構造は、ビームから熱を分散させるように配置される。ヒートシンクは、熱-光位相シフターと結合され、熱伝導性構造から熱を分散させるように構成される。
【0018】
一実施形態において、熱-光位相シフターは、シリコン基板層およびキャビティをさらに含む。キャビティは、シリコン基板層からビームを熱的に隔離するためにシリコン基板に形成される。
【0019】
一実施形態において、熱伝導性構造は、ビーム上の特定の方向に配置された熱伝導性ストリップを含む。熱伝導性構造は、熱伝導性ストリップに結合された複数の熱伝導性パッドを含む。ヒートシンクは、少なくとも1つの熱伝導性パッドと結合される。
【0020】
一実施形態において、ヒートシンクは、はんだボール、銀ペースト、セラミックヒートスプレッダ、または能動冷却器のうち、少なくとも1つを含む。
【0021】
一実施形態において、熱伝導性構造は、金属を含む。
【0022】
一実施形態において、熱-光位相シフターは、キャビティの上にビームをぶら下げるように構成された複数の側面アームをさらに含む。複数の側面アームのそれぞれは、ビームとクラッディング層との間に結合される。
【0023】
本開示の実施形態は、LIDARセンサーおよび制御システムを含む自律車両を含む。LIDARセンサーは、熱-光位相シフターおよびヒートシンクを含む。熱-光位相シフターは、ビーム、導波管、加熱要素、および熱伝導性構造を含む。ビームは、クラッディング層に形成され、キャビティの上にぶら下がっている。導波管は、ビーム内に少なくとも部分的に配置される。加熱要素は、ビーム内に少なくとも部分的に配置される。熱伝導性構造は、ビーム上に配置される。熱伝導性構造は、ビームから熱を分散させるように配置される。ヒートシンクは、熱-光位相シフターと結合され、熱伝導性構造から熱を分散させるように構成される。制御システムは、LIDAR送信ビームの反射であるリターンビームに応答して自律車両を制御するように構成される。
【0024】
一実施形態において、自律車両は、加熱要素を介して駆動される電流を変調することによって、導波管を介して伝播するLIDAR送信ビームの位相を変調するように構成される加熱モジュールをさらに含む。
【0025】
一実施形態において、熱-光位相シフターは、クラッディング層上に配置された熱伝導性パッドを含み、熱伝導性パッドは、熱伝導性ストリップに結合され、熱伝導性パッドは、少なくとも1つのビアを介してヒートシンクに結合される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の非限定的かつ非包括的な実施形態は、以下の図面を参照して説明され、ここで特に明示されない限り、同様の参照番号は、様々な図面全体にわったて同様の部分を指す。
【0027】
【
図1c】本開示の実施形態によるぶら下がった熱-光位相シフターを示す。
【0028】
【
図2c】本開示の実施形態によるぶら下がった熱-光位相シフターを示す。
【0029】
【
図3c】本開示の実施形態によるぶら下がった熱-光位相シフターを示す。
【0030】
【
図4a】本開示の実施形態によるぶら下がった熱-光位相シフターに適用される加熱モジュールを示す。
【0031】
【
図4b】本開示の実施形態によるぶら下がった熱-光位相シフターに適用されるヒートシンクを示す。
【0032】
【
図5a】本開示の実施形態による例示的なセンサーのアレイを含む自律車両を示す。
【0033】
【
図5b】本開示の実施形態による例示的なセンサーのアレイを含む自律車両の平面図を示す。
【0034】
【
図5c】本開示の実施形態によるセンサー、ドライブトレイン、および制御システムを含む例示的な車両制御システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
光学装置(例えば、熱-光位相シフター)における放熱設計の具現が本明細書で説明される。以下の説明においては、前記具現についての完全な理解を提供するためにいくつかの詳細が提示される。しかし、関連技術分野の技術者は、本明細書に記載の技術が1つ以上の特定の詳細を除いて、または他の方法、要素または材料などを使用して実行できることを認識するであろう。他の場合においては、周知の構造、材料または作業は、特定の態様を不明瞭にすることを避けるために詳細に表示または説明されていない。
【0036】
本明細書全体にわたって「1つの実施形態」または「実施形態」についての言及は、実施形態に関して説明されている特定の特徴、構造、または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたって、様々な位置で「1つの実施形態」または「実施形態」という語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。また、特定の特徴、構造、または特性は、1つ以上の実施形態で任意の適切な方法で結合され得る。
【0037】
本明細書全体にわたって、いくつかの技術用語が使用される。これらの用語は、本明細書で具体的に定義されていないか、または使用文脈が明確に別段の意味を持たない限り、当該用語が由来した技術分野における一般的な意味を取るべきである。本開示の目的のために、「自律車両(Autonomous Vehicle)」という用語は、SAE国際規格J3016の任意の自律性レベルで自律機能を有する車両を含む。
【0038】
光導波管における温度は、光位相制御のような所望の機能を達成するために操作される必要があり得る。例示的な文脈において、導波管を介して伝播する光の位相は、導波管の温度によって変化できる。したがって、熱チューニング効率(Thermal Tuning Efficiency)および熱帯域幅(Thermal Bandwidth)などの熱動作(Thermal Behavior)は、特定の用途に重要であり、多くの場合、慎重な設計および最適化が要求される。
【0039】
本開示の実施形態は、導波管を介して伝播する光の位相特性を制御するぶら下がった熱-光位相シフターから熱を分散および消滅させるように配列された熱伝導性構造を含む。熱伝導性構造は、熱伝導性ストリップ、熱伝導性パッド、熱伝導性側面アーム(Lateral Arm)および/または熱伝導性ビア(Via)を含み得る。熱伝導性構造は、金属性であり得る。熱-光位相シフターは、クラッディング層に形成されたビームを通過する導波管および加熱要素を含む。ビームは、ビームを熱的に隔離し、導波管の温度制御を補助するために空気で満たされたキャビティの上にぶら下がっている。導波管周辺の放熱機能を変更することは、導波管の熱動作に影響を与える。
【0040】
本開示の実施形態は、LIDAR装置によって放出される(赤外線)光の位相を変調するために選択的に加熱および冷却される導波管を含む熱-光位相シフターを含む光検出および距離測定(LIDAR)装置を含み得る。LIDAR装置は、自律車両または自律車両用システムに含まれ得る。
【0041】
図1aは、本開示の実施形態によって熱を拡散させるように配列された熱伝導性構造を有する熱-光位相シフター100の斜視図を示す。熱-光位相シフター100は、干渉計、共振器、変調器、LIDAR、通信およびコンピューティングなどの様々な技術に使用できる。熱-光位相シフター100は、光導波管の特性を熱的に操作することによって、例えば、光導波管の熱効率および熱帯域幅をチューニングするように構成される。一実施形態によると、熱-光位相シフター100は、ビーム102、加熱要素104、導波管106、および熱伝導性構造108を含む。
【0042】
一実施形態によると、ビーム102は、ぶら下がり、周囲の構造から部分的に熱的に隔離される。一実施形態によると、ビーム102の熱的隔離は、ビーム102が導波管102の動作をサポートするために比較的安定した熱環境を提供することを可能にする。一実施形態によると、ビーム102は、基板層112上に配置、蒸着または接合されるクラッディング層110から形成される。一実施形態によると、クラッディング層110は、例えば、1.4[W/(m*K)](ケルビン当たりメートル当たりワット)の熱伝導率を有し得る二酸化ケイ素から形成され得る。基板層112は、シリコンであり得、130[W/(m*K)]の熱伝導率を有し得る。
【0043】
一実施形態によると、ビーム102は、複数の側面アーム116を有するクラッディング層110の非-ビーム部分(Non-Beam Portion)114からぶら下がっている。一実施形態によると、側面アーム116は、ビーム102の縦軸を横方向に横切るように配列される。一実施形態によると、側面アーム116は、ビーム102を支持し、ビーム102をクラッディング層110の非-ビーム部分114に接続するように構成される。一実施形態によると、ビーム102は、ビーム102の各側面で側面アーム116を互いに分離する複数の開口118を有するクラッディング層110の非-ビーム部分114から熱的に隔離される。一実施形態によると、開口118は、クラッディング層110によって延長され、キャビティ120に結合される。一実施形態によると、キャビティ120は、基板層112内に形成され、空気で満たされたボイド(Void)であり、基板層112からビーム102を熱的に隔離するように構成される。
【0044】
一実施形態によると、導波管106は、ビーム102を介して縦方向に信号を送信するように構成される。一実施形態によると、導波管106は、18×10-5[1/K](カルビン当たり)の熱-光係数を有し得るシリコンで形成された光導波管である。一実施形態によると、導波管106は、2.45×10-5[1/K]の熱-光係数を有し得る窒化ケイ素から形成された光導波管である。一実施形態によると、導波管106は、クラッディング層110内のビーム102内および加熱要素104とキャビティ120との間に配置または埋め込まれる。導波管106は、クラッディング層110よりも高い屈折率を有する。
【0045】
一実施形態によると、加熱要素104は、導波管106に熱的に影響を与えるように構成される。一実施形態によると、加熱要素104は、導波管106と熱伝導性構造108との間のビーム102内に縦方向に配置され、導波管106の熱特性を調整するために導波管106の 温度を操作するように構成される。一実施形態によると、導波管106の温度を調整することは、熱-光位相シフター100の熱効率および帯域幅を調整する。一実施形態によると、加熱要素104は、2.3×106[S/m](メートル当たりジーメンズ)の電気伝導度を有し得る窒化チタンを含むか、またはそれから形成される。一実施形態によると、他の抵抗材料も加熱要素104を構成して導波管106の温度を操作するために使用できる。一実施形態において、加熱要素104は、導波管106と熱伝導性構造108との間に位置する。一実施形態において、導波管106は、加熱要素104と熱伝導性構造108との間に位置する。
【0046】
一実施形態によると、熱伝導性構造108は、ビーム102から熱を分散させるように配列される。熱伝導性構造108は、ビーム102に縦方向に配置され、キャビティ120から遠い側に位置する。一実施形態によると、熱伝導性構造108は、熱伝導性材料のストリップで形成される。一実施形態によると、熱伝導性構造108は、導電性トレースと同様に形成される。一実施形態によると、熱伝導性構造108は、ビーム102上に蒸着した金属ストリップであり、ビーム102から上方に熱を分散させるように構成される。様々な実施形態によると、熱伝導性構造108は、金、銅、タングステンまたは他の金属または熱伝導性材料で構成される。
【0047】
図1bは、本開示の実施形態による熱-光学位相シフター100の正面図を示す。図示のように、一実施形態によると、キャビティ120は、基板層112に形成され得、ビーム102よりも広い幅を有し得る。一実施形態によると、キャビティ120の幅は、基板層112からビーム102を熱的に隔離するために、開口118の幅と結合されたビーム102の(横方向)幅よりも広い。
【0048】
図1cは、一実施形態による熱-光位相シフター100の平面図を示す。図示のように、一実施形態によると、キャビティ120は、ビーム102の長さに対して空気との断熱(Thermal Isolation)を提供するために、ビーム102の縦方向の長さほど長いか、またはそれより長い長さを有し得る。
【0049】
図2a~
図2cは、本開示の実施形態による熱伝導性構造202を有する熱-光位相シフター200の様々な図を示す。一実施形態によると、熱伝導性構造202は、熱伝導性ストリップ204、複数の熱伝導性パッド206、および複数の熱伝導性フィンガー208を含み得る。
【0050】
一実施形態によると、熱伝導性構造202は、クラッディング層110上に配置される。様々な実施形態によると、熱伝導性構造202は、銅、金、タングステン、他の金属、またはその他の熱伝導性材料から形成される。一実施形態によると、熱伝導性構造202は、ビーム102から熱を分散させるように構成される。
【0051】
一実施形態によると、熱伝導性ストリップ204は、熱伝導性構造108(
図1に示す)である。
【0052】
一実施形態によると、熱伝導性パッド206は、クラッディング層110の非-ビーム部分114上に配置された長方形の構造である。一実施形態によると、熱伝導性パッド206は、側面アーム116に近接したクラッディング層110上に配置される。一実施形態によると、熱伝導性パッド206は、それぞれの側面アーム116に近接して配置される。熱伝導性パッドは、放熱のための追加の表面領域および追加の熱接続またはカプリング(例えば、はんだボール、ビアなど)のための表面領域を提供することができる。
【0053】
一実施形態によると、熱伝導性フィンガー208は、熱伝導性ストリップ204と熱伝導性パッド206との間のクラッディング層110上に配置される。一実施形態によると、熱伝導性フィンガー208は、熱伝導性ストリップ204から熱伝導性パッド206に向かって側面に延長される。一実施形態によると、熱伝導性フィンガー208は、側面アーム116上に配置され、これによって支持される。実施形態のうちの1つによると、熱伝導性フィンガー208は、ビーム102からの熱消失をサポートするために熱伝導性ストリップ204から熱伝導性パッド206に熱を伝達するように構成される。
【0054】
図3a~
図3cは、本開示の実施形態による熱-光位相シフター300を示す。一実施形態によると、熱-光位相シフター300は、熱伝導性ストリップ204、熱伝導性パッド206、熱伝導性フィンガー208、および熱伝導性ビア304を含む熱伝導性構造302を含む。一実施形態によると、熱伝導性ビア304は、クラッディング層110内に配置される。一実施形態によると、熱伝導性ビア304は、熱伝導性パッド206から基板層112に延長される。一実施形態によると、熱伝導性ビア304は、熱伝導性パッド206を基板層112に結合してビーム102から熱を分散させる。熱伝導性ビア304は、熱伝導性構造302の残りの部分を形成するために使用される第2金属とは異なる第1金属を使用して形成され得る。例えば、一実施形態によると、熱伝導性ビア304は、タングステンで形成され得、熱伝導性パッド206は、銅または金で形成され得る。本開示の実施形態によると、熱伝導性構造302は、ビーム102がキャビティ120を有する基板層112から熱的に絶縁されている間、ビーム102が開口118を有するクラッディング層110の非-ビーム部分114から熱的に隔離される間、ビーム102から熱を放散するように構成される。
【0055】
図4aおよび
図4bは、熱-光位相シフターの熱的特性を調整するために使用できる追加の例示的な構成要素を示す。
【0056】
図4aは、本開示の実施形態による熱-光位相シフター400の側断面図を示す。熱-光位相シフター400は、熱-光位相シフター100、200および/または300の実装であり得る。一実施形態によると、熱-光位相シフター400は、加熱要素104を駆動するように構成された加熱モジュール402を含む。一実施形態によると、加熱モジュール402は、熱信号404に応答して加熱要素104を介して電流を選択的に駆動する。熱信号404は、アナログまたはデジタル制御信号であり得る。加熱モジュール402は、1つ以上のトランジスタを含み得る。加熱モジュール402は、加熱要素104の反対側の端部に結合され、導波管106に熱を伝達するために加熱要素104を介して電流を駆動する。したがって、加熱モジュール402は、加熱要素104の第1部分および加熱要素104の第1部分に対向する加熱要素104の第2部分に結合され得る。電圧電位は、加熱要素104の両端に存在し得る。導波管106の加熱または冷却は、導波管106を介して伝播する光の位相を変えることができる。入力光406は、導波管106の入力端部で導波管106によって受信される。入力光406は、導波管106を介して伝播し、出力端部を出力光408として出射する。出力光408の位相は、加熱要素104によって導波管106に伝達された熱に応じて変わり得る。したがって、加熱モジュール402は、加熱要素104を介して駆動される電流を変調することによって、導波管106を介して伝播する光の位相を変調するように構成され得る。入力光406は、赤外線であり得る。入力光406は、近赤外線であり得る。
【0057】
図4bは、本開示の実施形態による熱-光位相シフター420の側断面図を示す。熱-光位相シフター420は、熱-光位相シフター100、200および/または300の実装であり得る。一実施形態によると、熱-光位相シフター420は、1つ以上の熱コネクタ426を有する熱伝導性構造424に結合されたヒートシンク422を含む。様々な実施形態によると、ヒートシンク422は、はんだボール、銀ペースト、セラミックヒートスプレッダ、および/または1つ以上の能動冷却器で具現できる。熱コネクタ426は、1つ以上の金属層、1つ以上の熱伝導性ビア、または金属層と熱伝導性ビアの組み合わせを含み、熱伝導性構造424をヒートシンク422に熱的に結合し得る。
【0058】
図5aは、本開示の態様によるLIDAR装置の
図1a~
図4bの熱-光位相シフターを含み得る例示的な自律車両500を示す。図示された自律車両500は、自律車両500の動作を制御する目的で自律車両の外部環境の1つ以上のオブジェクトをキャプチャし、キャプチャされた1つ以上のオブジェクトに関連するセンサーデータを生成するように構成されたセンサーアレイを含む。
図5aは、センサー533A、533B、533C、533Dおよび533Eを示す。
図5bは、センサー533A、533B、533C、533Dおよび533Eに加えて、センサー533F、533G、533Hおよび533Iを含む自律車両500の平面図を示す。任意のセンサー533A、533B、533C、533D、533E、533F、533G、533Hおよび/または533Iは、
図1a~
図4bの熱-光位相シフター設計を含むLIDAR装置を含み得る。
図5cは、自律車両500のための例示的なシステム599のブロック図を示す。例えば、自律車両500は、エネルギーソース506によって動力の供給を受け、ドライブトレイン508に電力を提供できる原動機504を含むパワートレイン502を含み得る。自律車両500は、方向制御512、パワートレイン制御514、およびブレーキ制御516を含む制御システム510をさらに含み得る。自律車両500は、人および/または貨物を輸送することができ、様々な異なる環境で走行することができる車両を含む多くの異なる車両として具現できる。前述のコンポーネント502~516は、これらのコンポーネントが使用される車両のタイプによって広範囲に変化する可能性があることを理解するであろう
【0059】
例えば、以下で説明する実施形態は、自動車、バン、トラック、またはバスなどの車輪付き陸上車両に焦点を合わせる。このような実施形態において、原動機504は、(その中でも)1つ以上の電気モータおよび/または内燃機関を含み得る。エネルギーソースは、例えば、燃料システム(例えば、ガソリン、ディーゼル、水素を提供)、バッテリーシステム、ソーラーパネルまたは他の再生エネルギーソースおよび/または燃料電池システムを含み得る。ドライブトレイン508は、原動機504の出力を車両運動に変換するのに適したトランスミッションおよび/または任意の他の機械駆動コンポーネントとともにホイールおよび/またはタイヤを含み得るだけでなく、自律車両500を制御可能に停止または減速するように構成される1つ以上のブレーキおよび自律車両500の軌跡を制御するのに適した方向またはステアリングコンポーネント(例えば、自律車両500の1つ以上のホイールが車両の縦軸に対するホイールの回転平面の角度を変更するために、一般に垂直軸を中心に旋回することを可能にするラックおよびピニオンステアリング接続装置)を含み得る。一部の実施形態において、パワートレインとエネルギーソースの組み合わせが使用できる(例えば、電気/ガスハイブリッド車両の場合)。一部の実施形態において、複数の電気モータ(例えば、個々の車輪または車軸専用)を原動機として使用できる。
【0060】
方向制御512は、自律車両500が望む軌跡に沿うことができるように、方向またはステアリングコンポーネントからフィードバックを制御かつ受信するための1つ以上のアクチュエーターおよび/またはセンサーを含み得る。パワートレイン制御514は、パワートレイン502の出力を制御するように構成され得るが、例えば、原動機504の出力電力を制御し、ドライブトレイン508の変速機ギアを制御することによって、自律車両500の速度および/または方向を制御できる。ブレーキ制御516は、自律車両500を減速または停止させる1つ以上のブレーキ、例えば、車両のホイールに結合されたディスクまたはドラムブレーキを制御するように構成され得る。
【0061】
オフロード車両、オールテレーン(All-Terrain)またはトラック車両、または建設装備を含むが、これらに限定されない他の車両タイプは、必然的に、本開示の利点を有する通常の技術者であれば理解する他のパワートレイン、ドライブトレイン、エネルギーソース、方向制御、パワートレイン制御、およびブレーキ制御を活用する。また、一部の実施形態において、一部のコンポーネントは、結合され得るが、例えば、車両の方向制御は、主に1つ以上の原動機の出力を変更することによって処理できる。したがって、本明細書に開示された実施形態は、車輪付き陸上自律車両で本明細書に説明された技術の特定の用途に限定されない。
【0062】
図示の実施形態において、自律車両500についての自律制御は、車両制御システム520で具現され、これは、処理ロジック522内の1つ以上のプロセッサおよび1つ以上のメモリ524を含み得、処理ロジック522は、メモリ524に格納されたプログラムコード(例えば、命令526)を実行するように構成される。処理ロジック522は、例えば、グラフィック処理装置(GPU)および/または中央処理装置(CPU)を含み得る。車両制御システム520は、複数の導波管130を介して自律車両500の外部環境に伝播し、受信LIDARピクセルに再び反射される赤外線送信ビームの反射である赤外線リターンビームに応答して、自律車両500のパワートレイン502を制御するように構成され得る。
【0063】
センサー533A~533Iは、自律車両の動作を制御するのに使用するために自律車両の周辺環境からデータを収集するのに適した様々なセンサーを含み得る。例えば、センサー533A~533Iは、RADARユニット534、LIDARユニット536、3Dポジショニングセンサー538、例えば、GPS、GLONASS、BeiDou、Galileo、またはCompassなどの衛星航法システムを含み得る。
図1a~
図4bの熱-光位相シフター設計は、干渉計、変調器および/またはLIDARユニット536の共振器に含まれ得る。LIDARユニット536は、例えば、自律車両500の周囲に分散した複数のLIDARセンサーを含み得る。一部の実施形態において、3Dポジショニングセンサー538は、衛星信号を用いて地球上の車両の位置を決定し得る。センサー533A~533Iは、選択的に1つ以上の超音波センサー、1つ以上のカメラ540、および/または慣性測定ユニット(IMU)542を含み得る。一部の実施形態において、カメラ540は、静止画および/またはビデオ画像を記録することができるモノグラフィックカメラまたはステレオグラフィックカメラであり得る。カメラ540は、自律車両500の外部環境にある1つ以上のオブジェクトのイメージをキャプチャするように構成されたCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサーを含み得る。IMU542は、3つの方向で自律車両500の線形および回転運動を検出できるマルチジャイロスコープおよび加速度計を含み得る。ホイールエンコーダなどの1つ以上のエンコーダ(図示せず)は、自律車両500の1つ以上のホイールの回転をモニタリングするために使用できる。
【0064】
センサー533A~533Iの出力は、位置推定(Localization)サブシステム552、軌跡サブシステム556、知覚サブシステム554、および制御システムインターフェース558を含む制御サブシステム550に提供できる。位置推定サブシステム552は、周辺環境内で、そして一般的に特定の地理的領域内で自律車両500の位置および(また、時々「姿勢」とも呼ばれる)方向を決定するように構成され得る。自律車両の位置は、ラベル付き自律車両データ生成の一部として、同じ環境にある追加車両の位置と比較できる。知覚サブシステム554は、自律車両500を囲む環境内のオブジェクトを検出、追跡、分類および/または決定するように構成され得る。軌跡サブシステム556は、特定のタイムフレームにわたって希望する目的地が与えられた自律車両500についての軌跡だけでなく、環境内で静止および移動するオブジェクトの軌跡を生成するように構成され得る。一部の実施形態による機械学習モデルは、車両軌跡を生成するために活用できる。制御システムインターフェース558は、自律車両500の軌跡を実施するために制御システム510と通信するように構成される。一部の実施形態において、機械学習モデルは、計画された軌跡を実施するために自律車両を制御するために活用できる。
【0065】
図5cに示される車両制御システム520についてのコンポーネントの集合は、本質的に単なる例示であることが理解されるであろう。個々のセンサーは、一部の実施形態においては省略され得る。一部の実施形態において、
図5cに示される異なるタイプのセンサーが自律車両を囲む環境で冗長的におよび/または異なる領域をカバーするために使用できる。一部の実施形態において、制御サブシステムの異なるタイプおよび/または組み合わせが使用できる。また、サブシステム552~558は、処理ロジック522およびメモリ524とは別のものとして示されているが、一部の実施形態において、サブシステム552~558の機能のうちの一部または全部は、メモリ524に常駐し、処理ロジック522によって行われる命令526などのプログラムコードで具現でき、これらのサブシステム552~558は、場合によっては、同じプロセッサおよび/またはメモリを使用して具現できることが理解されるであろう。一部の実施形態において、サブシステムは、様々な専用回路ロジック、様々なプロセッサ、様々なFPGA(Field Programmable Gate Array)、様々なASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、様々なリアルタイムコントローラなどで具現でき、前述したように、複数のサブシステムが回路、プロセッサ、センサー、および/または他のコンポーネントを活用できる。また、車両制御システム520の様々なコンポーネントは、様々な方法でネットワーク化することができる。
【0066】
一部の実施形態において、ソフトウェア、ハードウェア、回路ロジック、センサー、およびネットワークの様々な組み合わせを含む異なるアーキテクチャが
図5cに示される様々なコンポーネントを具現するために使用できる。それぞれのプロセッサは、例えば、マイクロプロセッサとして具現でき、それぞれのメモリは、メインストレージだけでなく、メモリの任意の補助レベル、例えば、キャッシュメモリ、不揮発性またはバックアップメモリ(例えば、プログラマブルまたはフラッシュメモリ)、またはリードオンリーメモリを含むランダムアクセスメモリ(RAM)を意味し得る。また、それぞれのメモリは、例えば、大容量格納装置または他のコンピュータコントローラに格納されているような仮想メモリとして使用される任意の格納容量だけでなく、自律車両500の他の場所に物理的に位置したメモリストレージ、例えば、プロセッサの任意のキャッシュメモリを含むものと見なすことができる。
図5cに示される処理ロジック522、または完全に別個の処理ロジックは、自律制御の目的以外に自律車両500で追加の機能を実施するために、例えば、エンターテインメントシステムを制御したり、ドア、照明、または便宜機能を操作するために使用できる。
【0067】
また、追加の格納のために、自律車両500は、また、1つ以上の大容量格納装置、例えば、リムーバブルディスクドライブ、ハードディスクドライブ、直接アクセス格納装置(「DASD」)、光ドライブ(例えば、CDドライブ、DVDドライブ)、SSD(Solid State Storage Drive)、ネットワーク接続ストレージ、ストレージエリアネットワーク、および/またはテープドライブなどを含み得る。また、自律車両500は、自律車両500が乗客から複数の入力を受信し、乗客のための出力を生成するためのユーザーインターフェース564、例えば、1つ以上のディスプレイ、タッチスクリーン、音声および/またはジェスチャーインターフェース、ボタン、およびその他の触覚コントロールを含み得る。一部の実施形態において、乗客からの入力は、他のコンピュータまたは電子装置を介して、例えば、モバイル装置のアプリを介して、またはウェブインターフェースを介して受信され得る。
【0068】
一部の実施形態において、自律車両500は、1つ以上のネットワーク570(例えば、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、ワイドエリアネットワーク(「WAN」)、無線ネットワーク、および/またはインターネットなど)と通信するのに適している1つ以上のネットワークインターフェース、例えば、ネットワークインターフェース562を含み得、これにより、例えば、自律車両500が自律制御に使用するために環境およびその他のデータを受信するためのクラウドサービスなどの中央サービスを含む他のコンピュータおよび電子装置との情報通信を可能にすることができる。一部の実施形態において、1つ以上のセンサー533A~533Iによって収集されたデータは、追加処理のためにネットワーク570を介してコンピューティングシステム572にアップロードされることができる。このような実施形態において、タイムスタンプは、アップロード前に車両データの各インスタンスに関連付けることができる。
【0069】
本明細書に開示される様々な追加のコントローラおよびサブシステムだけでなく、
図5cに示される処理ロジック522は、一般に、オペレーティングシステムの制御下で動作かつ実行されるか、そうでなければ以下に詳細に説明される様々なコンピュータソフトウェアアプリケーション、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、モジュール、またはデータ構造に依存する。また、様々なアプリケーション、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、またはモジュールは、ネットワーク570を介して、例えば、分散、クラウドベース、またはクライアント-サーバコンピューティング環境で自律車両500に結合された他のコンピュータの1つ以上のプロセッサで行い得、これにより、コンピュータプログラムの機能を実施するために必要な処理がネットワークを介して複数のコンピュータおよび/またはサービスに割り当てられる。
【0070】
本明細書に記載されている様々な実施形態を具現するために実行されるルーチンは、オペレーティングシステムの一部または特定のアプリケーション、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、モジュール、または命令シーケンス、またはそのサブセットの一部として具現されているかどうかにかかわらず、ここで「プログラムコード」と呼ばれる。プログラムコードは、一般に、様々なメモリおよび格納装置に常駐する1つ以上の命令を含み、1つ以上のプロセッサによって読み取りおよび実行されるとき、本開示の様々な態様を具現するステップまたは要素を実行するために必要なステップを実行する。また、実施形態は、完全に機能するコンピュータおよびシステムの文脈で説明されており、今後もそうであろうが、本明細書に記載されている様々な実施形態は、様々な形態のプログラム製品として配布されることができ、実施形態が実際に配布を実行するために使用される特定のタイプのコンピュータ読み取り可能な媒体に関係なく具現できることが理解されるであろう。コンピュータ読み取り可能な媒体の例としては、揮発性および不揮発性メモリ装置、フロッピーおよび他のリムーバブルディスク、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ、磁気テープおよび光ディスク(例えば、CD-ROM、DVD)のようなタイプの非一時的な媒体を含む。
【0071】
また、以下で説明される様々なプログラムコードは、特定の実施形態で具現されるアプリケーションに基づいて識別できる。しかし、以下の任意の特定のプログラム命名法は、単に便宜のために使用されたものであり、したがって、本発明は、このような命名法によって識別および/または暗示された任意の特定アプリケーションでのみ使用するように制限されてはならないことを理解するべきである。また、コンピュータプログラムがルーチン、手順、方法、モジュール、オブジェクトなどで構成できる一般的に無限の数の方式とプログラム機能が通常のコンピュータ(例えば、オペレーティングシステム、ライブラリ、API、アプリケーション、アプレット)内に常駐する様々なソフトウェア層の間に割り当てられる様々な方式を考慮するとき、本開示は、本明細書に記載のプログラム機能の特定の組織および割り当てに限定されないことを理解するべきである。
【0072】
本開示の利点を有する当業者は、
図5cに示される例示的な環境が本明細書に開示された実施形態を制限しようとする意図ではないことを認識するであろう。実際、当業者は、本明細書に開示された実施形態の範囲から逸脱することなく、他の代替ハードウェアおよび/またはソフトウェア環境を使用できることを認識するであろう。
【0073】
本開示の実施形態において、可視光線は、約380nm~700nmの波長範囲を有すると定義されることができる。非可視光は、紫外線、赤外線などの可視光線領域外の波長を有する光として定義されることができる。約700nm~1mmの波長範囲を有する赤外線は、近赤外線を含む。本開示の態様において、近赤外線は、約700nm~1.6μmの波長範囲を有すると定義されることができる。
【0074】
本開示の態様において、「透明」という用語は、90%より大きい光透過率を有すると定義されることができる。一部の態様において、「透明」という用語は、可視光線の90%より大きい透過率を有する物質として定義されることができる。
【0075】
本明細書において、「処理ロジック」(例えば、処理ロジック722)という用語は、本明細書に開示されている動作を実行するための1つ以上のプロセッサ、マイクロプロセッサ、マルチコアプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、および/またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAs)を含み得る。一部の実施形態において、メモリ(図示せず)は、演算を実行および/またはデータを格納するための命令を格納するために処理ロジックに統合される。また、処理ロジックは、本開示の実施形態に係る動作を実行するためのアナログまたはデジタル回路を含み得る。
【0076】
本明細書で説明する「メモリ」または「複数のメモリ」は、1つ以上の揮発性または不揮発性メモリアーキテクチャを含み得る。「メモリ」または「複数のメモリ」は、コンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータなどの情報格納のための任意の方法または技術で具現された取り外し可能および取り外し不可能媒体であり得る。メモリ技術の例においては、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、CD-ROM、DVD、高精細マルチメディア/データ格納ディスクまたはその他の光記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク格納装置、またはコンピューティング装置によってアクセスを可能にするように情報を格納するために使用できるその他の非送信媒体を含み得る。
【0077】
ネットワークは、ピアツーピアネットワーク、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネットなどのパブリックネットワーク、プライベートネットワーク、セルラーネットワーク、無線ネットワーク、有線ネットワーク、有無線組み合わせのネットワーク、および衛星ネットワークなどの任意のネットワークまたはネットワークシステムを含むが、これらに 限定されない。
【0078】
通信チャネルは、IEEE802.11プロトコル、SPI(Serial Peripheral Interface)、I2C(Inter-Integrated Circuit)、USB(Universal Serial Port)、CAN(Controller Area Network)、セルラーデータプロトコル(例えば、3G、4G、LTE、5G)、光通信ネットワーク、インターネットサービスプロバイダ(ISPs)、ピアツーピアネットワーク、LAN、WAN、パブリックネットワーク(例えば、「インターネット」)、プライベートネットワーク、衛星ネットワークまたは他のものを用いる1つ以上の有線または無線通信を含むか、またはこれらによってルーティングされることができる。
【0079】
コンピューティング装置は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレット、ファブレット、スマートフォン、フィーチャーホン、サーバコンピュータなどを含み得る。サーバコンピュータは、データセンターに遠隔に位置するか、またはローカルに格納できる。
【0080】
前述したプロセスは、コンピュータソフトウェアおよびハードウェアの側面で説明される。説明された技術は、機械によって実行されるときに、機械が説明された動作を行うようにする有形または非一時的な機械(例えば、コンピュータ)可読格納媒体内に具現された機械実行可能命令を構成し得る。さらに、プロセスは、特定用途向け集積回路(「ASIC」)などのハードウェア内に具現できる。
【0081】
有形の非一時的な機械可読格納媒体は、機械(例えば、コンピュータ、ネットワーク装置、PDA、製造ツール、1つ以上のプロセッサセットを有する任意の装置など)によってアクセス可能な形態の情報を提供(例えば、格納)するための任意のメカニズムを含み得る。例えば、機械可読格納媒体は、記録可能/記録不可能媒体(例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、磁気ディスク格納媒体、光格納媒体、フラッシュメモリ装置など)を含む。
【0082】
要約書に説明されたものを含め、本開示の例示された実施形態についての前述の説明は、完全なものとして、または開示された正確な形態として本発明を限定することを意図していない。本発明の特定の実施形態および例示が例示的な目的で本明細書に説明されているが、関連技術分野の技術者が認識するように、本発明の範囲内で様々な修正が可能である。
【0083】
このような本発明の修正は、前述の詳細な説明に照らして行われ得る。以下の特許請求の範囲で使用される用語は、本発明を明細書に開示された特定の実施形態に限定するものと解釈されてはならない。むしろ、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって完全に決定されるべきであり、これは特許請求の範囲の解釈の確立された原則に従って解釈されるべきである。