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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】小水漏れ防止用下半身衣類
(51)【国際特許分類】
   A41B 9/02 20060101AFI20240514BHJP
   A41B 9/04 20060101ALI20240514BHJP
   A41D 1/06 20060101ALI20240514BHJP
   A61F 13/78 20060101ALI20240514BHJP
   A41D 11/00 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
A41B9/02 Q
A41B9/02 J
A41B9/02 K
A41B9/04 B
A41B9/04 F
A41D1/06 501Z
A41D1/06 501B
A41D1/06 503Z
A61F13/78
A41D11/00 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023145796
(22)【出願日】2023-09-08
【審査請求日】2023-09-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523344980
【氏名又は名称】左官 萌美
(74)【代理人】
【識別番号】100126675
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 将彦
(72)【発明者】
【氏名】左官 萌美
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05185011(US,A)
【文献】国際公開第2006/129550(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D11/00
A41B9/00-9/16
A41D1/06-1/14
A61F 13/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小水漏れ防止用下半身衣類(100)であって、
本体部(1)が、表布(3)・中布(5)・裏布(7)の三層を有しており、前記表布(3)と前記裏布(7)は非防水性の布地であり、前記中布(5)は透湿性かつ防水性の布地であり、
腰周りに相当する上端部(9)には、弾性紐(19)が装着されており、
前記上端部(9)において、前記中布(5)又はそれと別体の透湿性かつ防水性の第1帯状布(13)が、前記表布(3)と、前記裏布(7)又はそれと別体の非防水性の第2帯状布(17)とに挟まれており
前記衣類(100)の前記上端部(9)において、
前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)の頂部(35)は、前記表布(3)の頂部(37)と、前記裏布(7)又は前記第2帯状布(17)の頂部(39)とのいずれよりも、上方に位置
前記衣類(100)の前記上端部(9)において、
前記表布(3)が裏側に折り返されており、
前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)が、裏側に折り返されかつ前記表布(3)の前記折り返された部分(15)の裏側に配置されており、
前記裏布(7)又は前記第2帯状布(17)が、断面環状ないし断面「C字」状に前記弾性紐(19)を包むように裏側に折り返され、かつ前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)の前記折り返された部分(21)の裏側に配置されており、
前記表布(3)の前記折り返された部分(15)と、前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)とが、前記弾性紐(19)と重なる上下位置ないし前記弾性紐(19)の上方において互いに縫い合わされており、
前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)の前記折り返された部分(21)と、前記裏布(7)又は前記第2帯状布(17)とが、前記弾性紐(19)と重なる上下位置ないし前記弾性紐(19)の上方において互いに縫い合わされており、
前記表布(3)と、前記中布(5)と、前記裏布(7)と、前記裏布(7)又は前記第2帯状布(17)の前記折り返された部分(27)の表側部分(29)と、前記裏布(7)又は前記第2帯状布(17)の前記折り返された部分(27)の裏側部分(31)とは、前記弾性紐(19)の下方において、互いに縫い合わされている、小水漏れ防止用下半身衣類。
【請求項2】
前記衣類(100)の前記上端部(9)において、
前記表布(3)の前記折り返された部分(15)と、前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)とを、前記弾性紐(19)と重なる上下位置ないし前記弾性紐(19)の上方において互いに縫い合わす糸(23)と、前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)の前記折り返された部分(21)と、前記裏布(7)又は前記第2帯状布(17)とを、前記弾性紐(19)と重なる上下位置ないし前記弾性紐(19)の上方において互いに縫い合わす糸(25)とは、互いに繋がっておらず、
前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)と、前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)の前記折り返された部分(21)とは、互いに縫い合わされない、請求項に記載の小水漏れ防止用下半身衣類。
【請求項3】
前記衣類(100)の前記上端部(9)において、
前記表布(3)の前記折り返された部分(15)と、前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)とを、前記弾性紐(19)と重なる上下位置ないし前記弾性紐(19)の上方において互いに縫い合わす糸(23)と、前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)の前記折り返された部分(21)と、前記裏布(7)又は前記第2帯状布(17)とを、前記弾性紐(19)と重なる上下位置ないし前記弾性紐(19)の上方において互いに縫い合わす糸(25)とは、互いに上下の位置が異なっている、請求項に記載の小水漏れ防止用下半身衣類。
【請求項4】
前記衣類(100)の前記上端部(9)において、
前記表布(3)と、前記表布(3)の前記折り返された部分(15)と、前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)と、前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)の前記折り返された部分(21)と、前記裏布(7)又は前記第2帯状布(17)と、前記裏布(7)又は前記第2帯状布(17)の前記折り返された部分(27)とが、前記弾性紐(19)の上方において互いに縫い合わされている、請求項に記載の小水漏れ防止用下半身衣類。
【請求項5】
前記衣類(100)の前記上端部(9)において、
前記第1帯状布(13)が、裏側に折り返されかつ前記表布(3)の前記折り返された部分(15)の裏側に配置されている。
前記表布(3)は、前記中布(5)の上端部を挟み込んで裏側に折り返されており、
前記表布(3)に挟み込まれた前記中布(5)は、少なくとも前記表布(3)の前記折り返された部分(15)と前記第1帯状布(13)とともに、前記弾性紐(19)と重なる上下位置ないし前記弾性紐(19)の上方において互いに縫い合わされている、請求項に記載の小水漏れ防止用下半身衣類。
【請求項6】
小水漏れ防止用下半身衣類(100)であって、
本体部(1)が、表布(3)・中布(5)・裏布(7)の三層を有しており、前記表布(3)と前記裏布(7)は非防水性の布地であり、前記中布(5)は透湿性かつ防水性の布地であり、
腰周りに相当する上端部(9)には、弾性紐(19)が装着されており、
前記上端部(9)において、前記中布(5)又はそれと別体の透湿性かつ防水性の第1帯状布(13)が、前記表布(3)と、前記裏布(7)又はそれと別体の非防水性の第2帯状布(17)とに挟まれており
前記衣類(100)の前記上端部(9)において、
前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)の頂部(35)は、前記表布(3)の頂部(37)と、前記裏布(7)又は前記第2帯状布(17)の頂部(39)とのいずれよりも、上方に位置
前記衣類(100)の裏側の股部に着脱可能に配置されるパッド(63)を、有しており、
前記パッド(63)は、三つ折りにして使用可能であり、三つ折り状態を保持するためのスナップボタン(65)が設けられ、三つ折りの中央に相当する領域(67)には、三つ折りしたときの表側に、透湿性かつ防水性の布地(75)が縫い合わされている、小水漏れ防止用下半身衣類。
【請求項7】
小水漏れ防止用下半身衣類(100)であって、
本体部(1)が、表布(3)・中布(5)・裏布(7)の三層を有しており、前記表布(3)と前記裏布(7)は非防水性の布地であり、前記中布(5)は透湿性かつ防水性の布地であり、
腰周りに相当する上端部(9)には、弾性紐(19)が装着されており、
前記上端部(9)において、前記中布(5)又はそれと別体の透湿性かつ防水性の第1帯状布(13)が、前記表布(3)と、前記裏布(7)又はそれと別体の非防水性の第2帯状布(17)とに挟まれており
前記衣類(100)の前記上端部(9)において、
前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)の頂部(35)は、前記表布(3)の頂部(37)と、前記裏布(7)又は前記第2帯状布(17)の頂部(39)とのいずれよりも、上方に位置
前記衣類(100)の裏側の股部に着脱可能に配置されるパッド(81)を、有しており、
前記パッド(81)は、前記衣類の裏側の股部に着脱可能なパッド本体部(83)と、当該パッド本体部(83)に着脱可能なパッド付属部(85)とを有しており、
前記パッド本体部(83)は、本体部表層(201)・本体部中層(203)・本体部裏層(205)の三層を有しており、本体部表層(201)は透湿性かつ防水性の布地であり、本体部中層(203)は吸水体の層であり、本体部裏層(205)は非防水性の布地であり、
前記パッド付属部(85)は、付属部表層(207)・付属部中層(209)・付属部裏層(211)の三層を有しており、付属部表層(207)と付属部裏層(211)は、非防水性の布地であり、付属部中層(209)は吸収体の層である、小水漏れ防止用下半身衣類。
【請求項8】
小水漏れ防止用下半身衣類(100)であって、
本体部(1)が、表布(3)・中布(5)・裏布(7)の三層を有しており、前記表布(3)と前記裏布(7)は非防水性の布地であり、前記中布(5)は透湿性かつ防水性の布地であり、
腰周りに相当する上端部(9)には、弾性紐(19)が装着されており、
前記上端部(9)において、前記中布(5)又はそれと別体の透湿性かつ防水性の第1帯状布(13)が、前記表布(3)と、前記裏布(7)又はそれと別体の非防水性の第2帯状布(17)とに挟まれており
前記衣類(100)の前記上端部(9)において、
前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)の頂部(35)は、前記表布(3)の頂部(37)と、前記裏布(7)又は前記第2帯状布(17)の頂部(39)とのいずれよりも、上方に位置
前記衣類(100)は、乳幼児用ズボンであり、腰周りに加えて足首周りにも、弾性紐(49)が装着されている、小水漏れ防止用下半身衣類。
【請求項9】
前記足首周りに相当する下端部(11)において、
前記中布(5)が、前記裏布(7)の下端部を挟み込んで裏側に折り返され、更に表側に折り返されており、
前記表布(3)が、前記中布(5)の下端部と前記折り返された部分(47)とを挟み込んで裏側に折り返され、更に前記弾性紐(49)を包むように、かつ前記中布(5)の前記裏側に折り返された部分(53)の裏側に配置されるように、表側に折り返されており、
前記表布(3)と、前記中布(5)と、前記裏布(7)と、前記中布(5)の前記表側に折り返された部分(51)と、前記中布(5)の前記裏側に折り返された部分(53)と、前記表布(3)の前記表側に折り返された部分(55)と、前記表布(3)の前記裏側に折り返された部分(57)とが、前記表布(3)が包む前記弾性紐(49)の上方において互いに縫い合わされており、
前記表布(3)と、前記中布(5)と、前記裏布(7)と、前記中布(5)の前記裏側に折り返された部分(53)と、前記表布(3)の前記表側に折り返された部分(55)と、前記表布(3)の前記裏側に折り返された部分(57)とが、前記表布(3)が包む前記弾性紐(49)の下方において互いに縫い合わされている、請求項に記載の小水漏れ防止用下半身衣類。
【請求項10】
布同士の縫い合わせに撥水性の糸が用いられている、請求項1からのいずれかに記載の小水漏れ防止用下半身衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小水(しょうすい)漏れを防止する下半身衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の下半身衣類として、その布地を不滲透性シートすなわち防水性シートを含む多層構造としたものが、知られている(例えば特許文献1参照)。防水性シートは、小水が内側から外側へ透過することを防止する。しかし、かかる多層構造の布地を有する下半身衣類において、ゴム紐が装着される上端部では、小水が内側から外側へ浸透することにより、外に漏れ出るという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4267617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、上端部において小水が漏れ出ることを防止する小水漏れ防止用下半身衣類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様によるものは、小水漏れ防止用下半身衣類(100)であって、本体部(1)が、表布(3)・中布(5)・裏布(7)の三層を有しており、前記表布(3)と前記裏布(7)は非防水性の布地であり、前記中布(5)は透湿性かつ防水性の布地である。腰周りに相当する上端部(9)には、弾性紐(19)が装着されている。前記上端部(9)において、前記中布(5)又はそれと別体の透湿性かつ防水性の第1帯状布(13)が、前記表布(3)と、前記裏布(7)又はそれと別体の非防水性の第2帯状布(17)とに挟まれている。
【0006】
この構成によれば、衣類(100)の上端部(9)において、防水性である中布(5)又は第1帯状布(13)が、障壁として機能するので、小水が裏布(7)又は第2帯状布(17)から表布(3)へ浸透することにより、外に漏れ出ることが抑えられる。
【0007】
本発明のうち第2の態様によるものは、第1の態様による小水漏れ防止用下半身衣類(100)であって、前記衣類(100)の前記上端部(9)において、前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)の頂部(35)は、前記表布(3)の頂部(37)と、前記裏布(7)又は前記第2帯状布(17)の頂部(39)とのいずれよりも、上方に位置する。
【0008】
この構成によれば、障壁としての中布(5)又は第1帯状布(13)の機能が高められるので、小水が裏布(7)又は第2帯状布(17)から表布(3)へ浸透することにより、外に漏れ出ることが、更に効果的に抑えられる。
【0009】
本発明のうち第3の態様によるものは、第1又は第2の態様による小水漏れ防止用下半身衣類(100)であって、前記衣類(100)の前記上端部(9)において、以下の通りに構成されている。前記表布(3)が裏側に折り返されている。前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)が、裏側に折り返されかつ前記表布(3)の前記折り返された部分(15)の裏側に配置されている。前記裏布(7)又は前記第2帯状布(17)が、断面環状ないし断面「C字」状に前記弾性紐(19)を包むように裏側に折り返され、かつ前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)の前記折り返された部分(21)の裏側に配置されている。前記表布(3)の前記折り返された部分(15)と、前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)とが、前記弾性紐(19)と重なる上下位置ないし前記弾性紐(19)の上方において互いに縫い合わされている。前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)の前記折り返された部分(21)と、前記裏布(7)又は前記第2帯状布(17)とが、前記弾性紐(19)と重なる上下位置ないし前記弾性紐(19)の上方において互いに縫い合わされている。前記表布(3)と、前記中布(5)と、前記裏布(7)と、前記裏布(7)又は前記第2帯状布(17)の前記折り返された部分(27)の表側部分(29)と、前記裏布(7)又は前記第2帯状布(17)の前記折り返された部分(27)の裏側部分(31)とは、前記弾性紐(19)の下方において、互いに縫い合わされている。
【0010】
この構成によれば、上端部(9)において、表布(3)と、中布(5)又は第1帯状布(13)と、裏布(7)又は第2帯状布(17)とのいずれも、折り返されているので、上端部(9)が美観に優れる。更に、折り返された表布(3)と、折り返された裏布(7)又は第2帯状布(17)との間に、折り返された中布(5)又は第1帯状布(13)が介在するので、障壁が二重となることから、小水が裏布(7)又は第2帯状布(17)から表布(3)へ浸透することにより、外に漏れ出ることが、更に効果的に抑えられる。
【0011】
本発明のうち第4の態様によるものは、第3の態様による小水漏れ防止用下半身衣類(100)であって、前記衣類(100)の前記上端部(9)において、以下の通りに構成されている。前記表布(3)の前記折り返された部分(15)と、前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)とを、前記弾性紐(19)と重なる上下位置ないし前記弾性紐(19)の上方において互いに縫い合わす糸(23)と、前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)の前記折り返された部分(21)と、前記裏布(7)又は前記第2帯状布(17)とを、前記弾性紐(19)と重なる上下位置ないし前記弾性紐(19)の上方において互いに縫い合わす糸(25)とは、互いに繋がっていない。前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)と、前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)の前記折り返された部分(21)とは、互いに縫い合わされない。
【0012】
この構成によれば、縫い合わせる糸を伝って、小水が裏布(7)又は第2帯状布(17)から表布(3)へ浸透することが、効果的にが抑えられる。
【0013】
本発明のうち第5の態様によるものは、第4の態様による小水漏れ防止用下半身衣類(100)であって、前記衣類(100)の前記上端部(9)において、以下の通りに構成されている。前記表布(3)の前記折り返された部分(15)と、前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)とを、前記弾性紐(19)と重なる上下位置ないし前記弾性紐(19)の上方において互いに縫い合わす糸(23)と、前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)の前記折り返された部分(21)と、前記裏布(7)又は前記第2帯状布(17)とを、前記弾性紐(19)と重なる上下位置ないし前記弾性紐(19)の上方において互いに縫い合わす糸(25)とは、互いに上下の位置が異なっている。
【0014】
この構成によれば、縫い合わせる糸を伝って、小水が裏布(7)又は第2帯状布(17)から表布(3)へ浸透することが、より効果的にが抑えられる。
【0015】
本発明のうち第6の態様によるものは、第3の態様による小水漏れ防止用下半身衣類(100)であって、前記衣類(100)の前記上端部(9)において、以下の通りに構成されている。前記表布(3)と、前記表布(3)の前記折り返された部分(15)と、前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)と、前記中布(5)又は前記第1帯状布(13)の前記折り返された部分(21)と、前記裏布(7)又は前記第2帯状布(17)と、前記裏布(7)又は前記第2帯状布(17)の前記折り返された部分(27)とが、前記弾性紐(19)の上方において互いに縫い合わされている。
【0016】
この構成によれば、衣類の上端部(9)の縫い合わせが容易である。この構成は、図5に例示される。
【0017】
本発明のうち第7の態様によるものは、第3から第6のいずれかの態様による小水漏れ防止用下半身衣類(100)であって、前記衣類(100)の前記上端部(9)において、以下の通りに構成されている。前記第1帯状布(13)が、裏側に折り返されかつ前記表布(3)の前記折り返された部分(15)の裏側に配置されている。前記表布(3)は、前記中布(5)の上端部を挟み込んで裏側に折り返されている。前記表布(3)に挟み込まれた前記中布(5)は、少なくとも前記表布(3)の前記折り返された部分(15)と前記第1帯状布(13)とともに、前記弾性紐(19)と重なる上下位置ないし前記弾性紐(19)の上方において互いに縫い合わされている。
【0018】
この構成によれば、小水が裏布(7)又は第2帯状布(17)から表布(3)へ浸透することにより外に漏れ出ることが、表布に挟み込まれた中布によって、更に効果的に抑えられる。
【0019】
本発明のうち第8の態様によるものは、第1から第7のいずれかの態様による小水漏れ防止用下半身衣類(100)であって、前記衣類(100)の裏側の股部に着脱可能に配置されるパッド(63)を、有している。前記パッド(63)は、三つ折りにして使用可能であり、三つ折り状態を保持するためのスナップボタン(65)が設けられている。三つ折りの中央に相当する領域(67)には、三つ折りしたときの表側に、透湿性かつ防水性の布地(75)が縫い合わされている。
この構成によれば、小水がパッド(63)に吸収され、かつ透湿性かつ防水性の布地(75)によりパッドの表側に漏れ出ることが抑えられる。
【0020】
本発明のうち第9の態様によるものは、第1から第7のいずれかの態様による小水漏れ防止用下半身衣類(100)であって、前記衣類(100)の裏側の股部に着脱可能に配置されるパッド(81)を、有している。前記パッド(81)は、前記衣類の裏側の股部に着脱可能なパッド本体部(83)と、当該パッド本体部(83)に着脱可能なパッド付属部(85)とを有している。前記パッド本体部(83)は、本体部表層(201)・本体部中層(203)・本体部裏層(205)の三層を有しており、本体部表層(201)は透湿性かつ防水性の布地であり、本体部中層(203)は吸水体の層であり、本体部裏層(205)は非防水性の布地である。前記パッド付属部(85)は、付属部表層(207)・付属部中層(209)・付属部裏層(211)の三層を有している。付属部表層(207)と付属部裏層(211)は、非防水性の布地であり、付属部中層(209)は吸収体の層である。
【0021】
この構成によれば、小水がパッド(81)に吸収され、かつ透湿性かつ防水性の布地(201)によりパッド(81)の表側に漏れ出ることが抑えられる。特に、パッド(81)が吸水体の層(203)を有するので、小水の吸収性に優れる。吸収体の層(209)を有するパッド付属部(85)が、パッド本体部(83)に対して着脱可能であるので、パッド付属部(85)のみを交換して、使用後のものを干すこともできる。
【0022】
本発明のうち第10の態様によるものは、第1から第9のいずれかの態様による小水漏れ防止用下半身衣類(100)であって、前記衣類(100)は、乳幼児用ズボンであり、腰周りに加えて足首周りにも、弾性紐(49)が装着されている。
この構成によれば、衣類がズボンの形態であるため、乳幼児の「おでかけ」にも着用可能である。
【0023】
本発明のうち第11の態様によるものは、第10の態様による小水漏れ防止用下半身衣類(100)であって、前記足首周りに相当する下端部(11)において、以下の通りに構成されている。前記中布(5)が、前記裏布(7)の下端部を挟み込んで裏側に折り返され、更に表側に折り返されている。前記表布(3)が、前記中布(5)の下端部と前記折り返された部分(47)とを挟み込んで裏側に折り返され、更に前記弾性紐(49)を包むように、かつ前記中布(5)の前記裏側に折り返された部分(53)の裏側に配置されるように、表側に折り返されている。前記表布(3)と、前記中布(5)と、前記裏布(7)と、前記中布(5)の前記表側に折り返された部分(51)と、前記中布(5)の前記裏側に折り返された部分(53)と、前記表布(3)の前記表側に折り返された部分(55)と、前記表布(3)の前記裏側に折り返された部分(57)とが、前記表布(3)が包む前記弾性紐(49)の上方において互いに縫い合わされている。前記表布(3)と、前記中布(5)と、前記裏布(7)と、前記中布(5)の前記裏側に折り返された部分(53)と、前記表布(3)の前記表側に折り返された部分(55)と、前記表布(3)の前記裏側に折り返された部分(57)とが、前記表布(3)が包む前記弾性紐(49)の下方において互いに縫い合わされている。
この構成によれば、足首周りに相当する下端部(11)において、防水性である中布(5)が、折り返しにより二重に配置されるので、小水が裏布(7)から表布(3)へ浸透することにより、外に漏れ出ることが抑えられる。
【0024】
本発明のうち第12の態様によるものは、第1から第11のいずれかの態様による小水漏れ防止用下半身衣類(100)であって、布同士の縫い合わせに撥水性の糸が用いられている。
この構成によれば、縫い合わせに用いられる糸を伝って小水が外に漏れ出ることが抑えられる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように本発明によれば、上端部において小水が漏れ出ることを防止する小水漏れ防止用下半身衣類が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施の形態による小水漏れ防止用下半身衣類を例示する外観図である。
図2図1の小水漏れ防止用下半身衣類の上端部の構造の第1の例を示す切断部端面図である。
図3図1の小水漏れ防止用下半身衣類の上端部の構造の第2の例を示す切断部端面図である。
図4図1の小水漏れ防止用下半身衣類の上端部の構造の第3の例を示す切断部端面図である。
図5図1の小水漏れ防止用下半身衣類の上端部の構造の第4の例を示す切断部端面図である。
図6図1の小水漏れ防止用下半身衣類の下端部の構造の例を示す切断部端面図である。
図7図1の小水漏れ防止用下半身衣類に取り付け可能なパッドの例を示す平面図である。
図8図7のパッドの使用状態における構造を例示する切断部端面図である。
図9図7のパッドを取り付け可能にするために図1の小水漏れ防止用下半身衣類に設けられる付属部品を例示する外観図である。
図10図1の小水漏れ防止用下半身衣類に取り付け可能なパッドの別の例を示す図であり、(a)はパッド本体部の平面図、(b)はパッド付属部の平面図、(c)はパッド本体部のA-A切断線に沿った切断部端面図、(d)はパッド付属部のB-B切断線に沿った切断部端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明の一実施の形態による小水漏れ防止用下半身衣類を例示する外観図である。この小水漏れ防止用下半身衣類100(以下、「下半身衣類100」と適宜略記する)は、乳幼児トイレトレーニング用ズボンとして構成されている。下半身衣類100は、ズボンの形態であるため、乳幼児の「おでかけ」にも着用可能である。
【0028】
下半身衣類100の本体部1は、表布3、中布5、裏布7が重ね合わされた三層により構成されている。表布3と裏布7は非防水性の布地であり、例えば綿100%の布地である。中布5は透湿性かつ防水性の布地であり、例えば、防水用ポリウレタンフィルム加工がなされたポリエステル100%の布地である。この三層構造により、着用した乳幼児の肌に優しく、外からの見た目も肌触りもよく、同時に小水の外部への漏れが防止される。
【0029】
下半身衣類100には、腰周りすなわち上端部9に加えて、足首周りすなわち下端部11にも、弾性紐(図示略)が装着されている。弾性紐は、一例としてゴム紐である。また、下半身衣類100には、布同士の縫い合わせに撥水性の糸(図示略)が用いられている。それにより、縫い合わせに用いられる糸を伝って小水が外に漏れ出ることが抑えられる。撥水性の糸は、例えば、撥水加工がなされたポリエステル100%の糸である。
【0030】
図2は、図1に例示した下半身衣類100の上端部9の構造の第1の例を示す切断部端面図である。図示例では、上端部9において表布3が、中布5の上端部を挟み込むように裏側に折り返されている。また、中布5とは別体であり、中布5と同様に透湿性かつ防水性の帯状布(第1帯状布)13が、例えば裏側に折り返され、しかも表布3の折り返された部分15の裏側に配置されている。帯状布13は、例えば、中布5と素材が同一である。更に、裏布7とは別体であり、裏布7と同様に非防水性の帯状布(第2帯状布)17が、断面「C字」状に弾性紐19を包むように、裏側に折り返されている。帯状布17は、帯状布13の折り返された部分21の裏側に配置されている。帯状布17は、例えば、裏布7と素材が同一である。なお、帯状布17が、断面「C字」状に代えて環状に、弾性紐19を包むように裏側に折り返されてもよい。
【0031】
表布3の折り返された部分15と帯状布13とが、弾性紐19と重なる上下位置ないし弾性紐19の上方(図示例では、弾性紐19の上方)において、糸23により互いに縫い合わされている。また、帯状布13の折り返された部分21と帯状布17とが、弾性紐19と重なる上下位置ないし弾性紐19の上方(図示例では、弾性紐19の上方)において、糸25により互いに縫い合わされている。更に、表布3と、中布5と、裏布7と、帯状布17の折り返された部分27の表側部分29と、帯状布17の折り返された部分27の裏側部分31とは、弾性紐19の下方において、糸33により互いに縫い合わされている。
【0032】
上端部9の第1の例によれば、下半身衣類100の上端部9において、防水性である帯状布13が、障壁として機能するので、小水が裏布7から表布3へ浸透することにより、外に漏れ出ることが抑えられる。中布5とは別体の帯状布13と、裏布7とは別体の帯状布17とが使用されているので、上端部9の縫製が容易である。また、上端部9において、表布3と、帯状布13と、帯状布17とのいずれも、折り返されているので、上端部9が美観に優れる。更に、折り返された表布3と、折り返された帯状布17との間に、折り返された帯状布(13)が介在するので、障壁が二重となることから、小水が帯状布17から表布3へ浸透することにより、外に漏れ出ることが、更に効果的に抑えられる。また、中布5が表布3とその折り返された部分15とによって挟まれているので、中布5のこの部分が、更に障壁として機能する。このため、小水が帯状布17から表布3へ浸透することにより、外に漏れ出ることが、更に効果的に抑えられる。
【0033】
第1の例では、帯状布13又はその折り返された部分21の頂部35は、表布3又はその折り返された部分15の頂部37と、帯状布17又はその折り返された部分27の頂部39とのいずれよりも、上方に位置している。これにより、小水が帯状布17から表布3へ浸透することにより、外に漏れ出ることが、更に効果的に抑えられる。
【0034】
第1の例では、更に、糸23と糸25とは繋がっておらず、互いに別体のものとなっている。また、帯状布13とその折り返された部分21とは、互いに縫い合わされない。このため、折り返された部分21から帯状布13へ、小水が縫い合わせの糸を伝って浸透することが抑えられる。また、第1の例では、糸23と糸25とは、互いに上下の位置が異なっている。このため、折り返された部分21から帯状布13へ、小水が縫い合わせの糸を伝って浸透することが、更に効果的に抑えられる。
【0035】
図3は、下半身衣類100の上端部9の構造の第2の例を示す切断部端面図である。図示例では図2とは異なり、中布5とは別個に帯状布13を配置することなく、中布5の上端部41が裏側に折り返されることにより、折り返された部分21が形成されている。中布5とは別個の帯状布13が用いられないので、帯状布13を準備する手間が省かれる。中布5の上端部41は、帯状布13に替わって、表布3の折り返された部分15の裏側に配置される。このように構成される第2の例では、中布5の上端部41は、表布3とその折り返された部分15によって挟まれないが、小水が帯状布17から表布3へ浸透することにより、外に漏れ出ることが、相応に抑えられる。
【0036】
図4は、下半身衣類100の上端部9の構造の第3の例を示す切断部端面図である。図示例では図3とは異なり、裏布7とは別個に帯状布17を配置することなく、裏布7の上端部43が裏側に折り返されることにより、折り返された部分27が形成されている。裏布7とは別個の帯状布17が用いられないので、帯状布17を準備する手間が省かれる。裏布7の上端部43は、帯状布17に替わって、中布5の折り返された部分21の裏側に配置される。このように構成される第3の例においても、小水が裏布7から表布3へ浸透することにより、外に漏れ出ることが、第2の例と同等に抑えられる。
【0037】
図5は、下半身衣類100の上端部9の構造の第4の例を示す切断部端面図である。図示例では図4とは異なり、表布3、表布3の折り返された部分15、中布5、中布5の折り返された部分21、裏布7、及び裏布7の裏側に折り返された部分31が、共通の糸45により、弾性紐19の上方において互いに縫い合わされている。
【0038】
このように構成される第4の例においても、小水が裏布7から表布3へ浸透することにより、外に漏れ出ることが、相応に抑えられる。また、上端部9の布の縫い合わせが容易である。図2に示した第1の例、図3に示した第2の例においても、図5の第4の例と同様に、糸23,25に替えて、共通の糸45により、最も表側の布から最も裏側の布までを縫い合わせてもよい。
【0039】
図6は、下半身衣類100の足首周りに相当する下端部11の構造の例を示す切断部端面図である。図示例では、下端部11において中布5が、裏布7の下端部を挟み込んで裏側に折り返され、更に表側に折り返されている。また、表布3が、中布5と中布5の折り返された部分47とを挟み込んで、裏側に折り返され、更に弾性紐49を包むように、かつ中布5の折り返された部分47の裏側に位置するように、表側に折り返されている。
【0040】
表布3と、中布5と、裏布7と、中布5の表側に折り返された部分51と、中布5の裏側に折り返された部分53と、表布3の表側に折り返された部分55と、表布3の裏側に折り返された部分57とが、弾性紐49の上方において糸59によって互いに縫い合わされている。また、表布3と、中布5と、裏布7と、中布5の裏側に折り返された部分53と、表布3の表側に折り返された部分55と、表布3の裏側に折り返された部分57とが、弾性紐49の下方において糸61によって互いに縫い合わされている。このように構成される下端部11の例では、防水性である中布3が二重に配置されるので、小水が裏布7から表布3へ浸透することにより外に漏れ出ることが、抑えられる。
【0041】
図7は、下半身衣類100に取り付け可能なパッドの例を示す平面図である。図示例のパッド63は、下半身衣類100の裏側の股部に着脱可能に配置される。パッド63は、三つ折りにして使用可能であり、三つ折りの中央に相当する領域67を挟み、三つ折りにしたときに領域67と重なる2つの領域69,71には、それぞれの四隅に、三つ折り状態を保持するためのスナップボタン65が設けられている。領域67のうち、領域69,71に連結せず、互いに対向する辺縁には、外方に延びる帯紐73の基端が縫い合わせられ、帯紐73の先端には留め具75が取り付けられている。
【0042】
図8は、図7に例示したパッド63の使用状態における構造を例示する切断部端面図である。図示例のようにパッド63は、3つの領域67,69,71が互いに重なり合うように、三つ折りにして使用に供される。三つ折り状態を保持するために、領域69,71の間でスナップボタン65が互いに留められる。領域67,69,71は、いずれも、布72,74が重ね合わされた二層構造を有している。布72,74のいずれも、図1に例示した表布3及び裏布7と同様に、非防水性の布地であり、例えば綿100%の布地である。
【0043】
中央の領域67では、二層構造の表側(すなわち肌側とは反対の側)に、図1に例示した中布5と同様の透湿性かつ防水性の布75が、糸77により縫い合わされている。それにより、領域67は三層構造を成している。布75は、例えば、防水用ポリウレタンフィルム加工がなされたポリエステル100%の布地である。糸77は、好ましくは撥水性の糸である。
【0044】
図9は、図7及び図8に例示したパッド63を取り付け可能にするために、下半身衣類100に設けられる付属部品を例示する外観図である。付属部品79は、留め具75(図7参照)を係止するように、例えば環状(ループ状)を成す弾性紐であり、一例として平ゴムを有する平帯状である。付属部品79は、例えば、下半身衣類100の本体部1の裏側(肌側)の上端部9に近い前後4カ所に縫い付けられる。4個の留め具75を付属部品79に係止させることにより、図8に例示するように三つ折りにされたパッド63を、着用する乳幼児の股下に配置することができる。
【0045】
このように構成されるパッド63を用いることにより、小水が布72,74に吸収され、かつ透湿性かつ防水性の布75によりパッド63の下方に漏れ出ることが抑えられる。また、着用した乳幼児の肌と防水性の布75との間には、非防水性の布72,74が介在するので、肌への違和感が抑えられる。
【0046】
図10は、小水漏れ防止用下半身衣類100に取り付け可能なパッドの別の例を示す図である。図示例のパッド81は、パッド63(図7参照)と同様に、下半身衣類100の裏側の股部に着脱可能に配置される。パッド81は、下半身衣類100の股部に着脱可能なパッド本体部83と、パッド本体部83に着脱可能なパッド付属部85とを有している。図10(a)はパッド本体部83の平面図であり、図10(b)はパッド付属部85の平面図であり、図10(c)はパッド本体部83のA-A切断線に沿った切断部端面図であり、図10(d)はパッド付属部85のB-B切断線に沿った切断部端面図である。
【0047】
図10(a)に例示するように、パッド本体部83には、装着したときの前方に位置する前方辺縁90と、後方に位置する後方辺縁91とに、外方に延びる帯紐73の基端が縫い合わされている。帯紐73の先端には留め具75が取り付けられている。留め具75は、下半身衣類100に設けられる付属部品79(図9参照)に、取り外し可能に係止される。帯紐73には、長さ調節のためのアジャスタ87が設けられる。
【0048】
パッド本体部83の前方辺縁90の付近と後方辺縁91の付近とには、弾性紐89の基端が縫い合わされている。弾性紐89は平帯状であり、例えば平ゴムを有しており、環状(ループ状)を成している。弾性紐89には、スナップボタン93が取り付けられている。
【0049】
図10(b)に例示するように、パッド付属部85の前方辺縁94の付近、及び後方辺縁95の付近には、スナップボタン93が取り付けられている。これらのスナップボタン93が、パッド本体部83のスナップボタン93に留められることにより、図10(a)に例示するように、パッド付属部85がパッド本体部83の上に重なるように、着脱可能に装着される。
【0050】
図10(c)に例示するように、パッド本体部83は、本体部表層201・本体部中層203・本体部裏層205の三層を有している。本体部表層201は、透湿性かつ防水性の布地であり、例えば、防水用ポリウレタンフィルム加工がなされたポリエステル100%の布地である。本体部中層203は吸水体の層であり、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム塩を主成分とするポリマーの繊維を素材とする吸収体であり、例えばベルオアシス(登録商標)である。本体部裏層205は非防水性の布地であり、例えば綿100%の布地である。
【0051】
図10(d)に例示するように、パッド付属部85は、付属部表層207・付属部中層209・付属部裏層211の三層を有しており、付属部表層207と付属部裏層211は、非防水性の布地であり、例えば綿100%の布地である。付属部中層209は吸収体の層であり、本体部中層203と同様に、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム塩を主成分とするポリマーの繊維を素材とする吸収体であり、例えばベルオアシス(登録商標)である。
【0052】
以上のように構成されるパッド81を用いることにより、小水が、特に吸水性に優れる本体部中層203及び付属部中層209に吸収され、かつ透湿性かつ防水性である本体部表層201によりパッド81の下方に漏れ出ることが抑えられる。また、着用した乳幼児の肌と本体部中層203及び付属部中層209との間には、非防水性の本体部裏層205及び付属部裏層211が介在するので、肌への違和感が抑えられる。更に、吸収体の層である付属部中層209を有するパッド付属部85が、パッド本体部83に対して着脱可能であるので、パッド付属部85のみを交換して、使用後のものを干すこともできる。
【0053】
(その他の実施の形態)
以上の実施の形態では、本発明が小水漏れ防止用下半身衣類100として乳幼児用ズボンである例を示した。これに対し、本発明の小水漏れ防止用下半身衣類は、乳幼児用に限られず、例えば老人用にも適用可能であり、またズボンの形態に限られず、例えばパンツの形態を採ることも可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 本体部、 3 表布、 5 中布、 7 裏布、 9 上端部(腰周り)、 11 下端部(足首周り)、 13 帯状布(第1帯状布)、 15 折り返された部分、 17 帯状布(第2帯状布)、 19 弾性紐、 21 折り返された部分、 23 糸、 25 糸、 27 折り返された部分、 29 表側部分、 31 裏側部分、 33 糸、 35 頂部、 37 頂部、 39 頂部、 41 中布の上端部、 43 裏布の上端部、 45 糸、 47 折り返された部分、 49 弾性紐、 51 折り返された部分、 53 折り返された部分、 55 折り返された部分、 57 折り返された部分、 59 糸、 61 糸、 63 パッド、 65 スナップボタン、 67 領域、 69 領域、 71 領域、 72 布、 73 紐、 74 布、 75 留め具、 77 糸、 79 付属部品、 81 パッド、 83 パッド本体部、 85 パッド付属部、 87 アジャスタ、 89 弾性紐、 90 前方辺縁、 91 後方辺縁、 93 スナップボタン、 94 前方辺縁、 95 後方辺縁、 100 小水漏れ防止用下半身衣類、 201 本体部表層、 203 本体部中層、 205 本体部裏層、 207 付属部表層、 209 付属部中層、 211 付属部裏層。
【要約】
【課題】 腰周りから小水が漏れ出ることを防止する下半身衣類を提供する。
【解決手段】 本開示による下半身衣類(100)は、本体部(1)が、表布(3)・中布(5)・裏布(7)の三層により構成され、表布と裏布は非防水性の布地であり、中布は透湿性かつ防水性の布地であり、腰周りに相当する上端部(9)には、弾性紐(19)が装着されている。上端部(9)において、表布が、中布の上端部を挟み込んで裏側に折り返されている。透湿性かつ防水性の第1帯状布(13)が、裏側に折り返されかつ表布の折り返された部分(15)の裏側に配置されている。非防水性の第2帯状布(17)が、断面環状ないし断面「C字」状に弾性紐を包むように裏側に折り返され、かつ第1帯状布の折り返された部分(21)の裏側に配置されている。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10