(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】育毛剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/426 20060101AFI20240514BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20240514BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240514BHJP
A61K 31/708 20060101ALI20240514BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20240514BHJP
【FI】
A61K31/426
A61P17/14
A61P43/00 121
A61K31/708
A23L33/10
(21)【出願番号】P 2020043005
(22)【出願日】2020-03-12
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】504150461
【氏名又は名称】国立大学法人鳥取大学
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【氏名又は名称】稲井 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 信介
【審査官】柴原 直司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第03/084485(WO,A1)
【文献】特開2011-236133(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0083224(KR,A)
【文献】江浜 律子 他,女性の薄毛とアデノシンによる改善効果,日本化粧品技術者会誌(Journal of Society Cosmetic Chemists Japan),2011年,Vol. 45, No. 1,pages 35-40
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 45/00
A61P 43/00
A61P 17/14
A61K 31/426
A61K 31/708
A23L 33/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
TEI-6720(2-(3-シアノ-4-イソブトキシフェニル)-4-メチル-5-チアゾールカルボン酸)またはその誘導体
を含む育毛剤。
【請求項2】
TEI-6720またはその誘導体およびイノシンを含む、請求項
1記載の育毛剤。
【請求項3】
医薬組成物である、請求項1
または2記載の育毛剤。
【請求項4】
食品組成物である、請求項1
または2記載の育毛剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は育毛剤に関する。
【背景技術】
【0002】
発毛剤および脱毛症の治療薬として承認されている医薬品は、ミノキシジルとフィナステリドである。ミノキシジル(非特許文献1参照)は血管拡張剤として毛根の血流を増加させることによる毛根への栄養の補給効果が謳われている。しかし、ミノキシジルは血管拡張の副作用があるため、現時点では主に外用薬として使用されている。一方、フィナステリド(非特許文献2参照)は5α-レダクターゼを阻害し抗アンドロゲン約として内服薬が承認されているが、男性のみの適応であり、女性には適応がない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Minoxidil use in dermatology, side effects and recent patents. Rossi A, Cantisani C, Melis L, Iorio A, Scali E, Calvieri S.Recent Pat Inflamm Allergy Drug Discov 2012, 6(2): 130-136
【文献】Finasteride in the treatment of men with androgenic alopecia. Finasteride Male Pattern Hair Loss Study Group.Kaufman KD, Olsen EA, Whiting D, Savin R, DeVillez R, Bergfeld W, Price VH, Van Neste D, Roberts JL,Hordinsky M, Shapiro J, Binkowitz B, Gormley GJ.J Am Acad Dermatol 1998 39(4 Pt 1): 578-589
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
男女を問わず、副作用のない安全な育毛剤の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、非プリン型キサンチン酸化還元酵素阻害剤が育毛効果を有することを見いだし、本発明を完成させるに至った。すなわち本発明は以下を提供する。
(1)プリンサルベージ経路の活性化剤を含む育毛剤。
(2)プリンサルベージ経路の活性化剤が非プリン型キサンチン酸化還元酵素阻害剤である、(1)記載の育毛剤。
(3)非プリン型キサンチン酸化還元酵素阻害剤がTEI-6720(2-(3-シアノ-4-イソブトキシフェニル)-4-メチル-5-チアゾールカルボン酸)またはその誘導体である、(2)記載の育毛剤。
(4)イノシンを含む、(1)~(3)のいずれか記載の育毛剤。
(5)TEI-6720またはその誘導体およびイノシンを含む、(3)記載の育毛剤。
(6)医薬組成物である、(1)~(5)のいずれか記載の育毛剤。
(7)食品組成物である、(1)~(5)のいずれか記載の育毛剤。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、男女を問わず使用でき、しかも副作用の少ない安全な育毛剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1の上段は、0.5%メチルセルロース投与群のアルツハイマー病モデルマウスの被毛および頭皮切片のHE染色像を示す。
図1の下段は、TEI-6720投与群のアルツハイマー病モデルマウスの被毛および皮膚切片のHE染色像を示す。投与期間は1年である。
【
図2】
図2は、0.5%メチルセルロース投与群(プラセボ)およびTEI-6720投与群のアルツハイマー病モデルマウスの被毛の毛周期解析結果を示すグラフである。投与期間は1年である。各期において、左のバーがプラセボ群、右のバーがTEI-6720投与群の結果である。縦軸は毛球数を表す。★、★★は有意差があることを示す。成長期のP=0.006、退行期のP=0.017である。(Mann-Whitney U-test)
【
図3】
図3は、0.5%メチルセルロース投与群(プラセボ)およびTEI-6720投与群のアルツハイマー病モデルマウスの被毛に対する育毛効果を示すグラフである。投与期間は1年である。
【
図4】
図4は、0.5%メチルセルロース投与群(プラセボ)およびTEI-6720投与群のC3Hマウスの被毛に対する育毛効果を示すグラフである。投与期間は1年である。
【
図5】
図5は、0.5%メチルセルロース投与群(プラセボ)およびTEI-6720投与群のC3Hマウスの被毛に対する育毛効果を示すグラフである。投与期間は1年である。
【
図6】
図6は、0.5%メチルセルロース投与群(プラセボ)およびTEI-6720とイノシンの合剤投与群のC3Hマウスの被毛に対する育毛効果を示すグラフである。投与期間は1ヶ月である。
【
図7】
図5は、0.5%メチルセルロース投与群(プラセボ)およびTEI-6720とイノシンの合剤投与群のC3Hマウスの被毛に対する育毛効果を示すグラフである。投与期間は1ヶ月である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、プリンサルベージ経路の活性化剤を含む育毛剤を提供する。
【0009】
本発明者らは、これまでの研究から、2-(3-シアノ-4-イソブトキシフェニル)-4-メチル-5-チアゾールカルボン酸(TEI-6720)が育毛効果を有することを見いだし、その育毛効果はATP供給によるものと考察した。本発明者らは、ATPを増加させるには、プリンサルベージ経路の活性化剤を投与すればよいと考えた。
【0010】
プリンサルベージ経路の活性化剤は、この経路をATP合成に指向させる物質であればいずれの物質であってもよい。
【0011】
プリンサルベージ経路の活性化剤の例としては、イノシン、ヒポキサンチン、アデノシン、アデニン、PRPP、ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ活性化剤、アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ活性化剤、キサンチン酸化還元酵素などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0012】
好ましいプリンサルベージ経路の活性化剤の例としては、キサンチン酸化還元酵素阻害剤、より好ましくは非プリン型キサンチン酸化還元酵素阻害剤が挙げられるが、これに限定されない。また、イノシンもプリンサルベージ経路の好ましい活性化剤である。
【0013】
非プリン型キサンチン酸化還元酵素阻害剤の好ましい例としてはTEI-6720またはその誘導体が挙げられるが、これに限定されない。
【0014】
本発明の剤の好ましい具体例はTEI-6720またはその誘導体を含む育毛剤である。本発明の剤のより好ましい具体例は、TEI-6720またはその誘導体およびイノシンを含む育毛剤である。
【0015】
上述のように、本発明の剤において、TEI-6720またはその誘導体を用いることができる。TEI-6720またはその誘導体は式(I):
【化1】
[式中、R
1は水素、C
1-6アルキル、OR
a、OCOR
a、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシまたはアミノであり、R
aはC
1-6アルキルであり、R
2はそれぞれ独立して水素、C
1-6アルキル、OR
b、OCOR
b、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシまたはアミノであり、R
bはC
1-6アルキルであり、R
3およびR
4はそれぞれ独立して水素、C
1-6アルキル、OR
c、OCOR
c、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシまたはアミノであり、R
cはC
1-6アルキルであり、nは1~4の整数である]にて表される化合物である。
【0016】
好ましい式(I)の化合物は、R1、R2、R3およびR4がそれぞれ独立して水素またはC1-3アルキルである化合物である。
【0017】
より好ましい式(I)の化合物は、R1、R3およびR4がメチルであり、4つのR2が水素である化合物、すなわちTEI-6720である。
【0018】
式(I)において、ハロゲンはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。式(I)において、C1-6アルキルは、炭素数1~6個のアルキル基を意味し、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルおよびヘキシル基、ならびにそれらの構造異性体を包含する。C1-3アルキルは、炭素数1~3個のアルキル基を意味し、メチル、エチル、プロピル基、イソプロピル基を包含する。C1-6アルキルおよびC1-3アルキルは、1個またはそれ以上の水素がハロゲンで置換されていてもよい。
【0019】
本発明の剤は、上記成分以外の育毛成分を含んでいてもよい。育毛成分の例としてはミノキシジル、フィナステリドなどが挙げられるが、これらに限定されない。また、本発明の剤を、他の育毛療法と併用してもよい。育毛療法の例としては、ミノキシジルの頭皮への適用、フィナステリドの経口投与などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
本明細書において、育毛および養毛は同義とする。本明細書において、育毛は、体毛の発毛を促進すること、および体毛の脱落を防止することを含む。
【0021】
本発明の育毛剤は医薬組成物であってもよい。本発明の医薬組成物の投与経路の例としては、経口、皮下、皮内、経粘膜などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の医薬組成物の剤形は特に限定されず、錠剤、顆粒、粉末、トローチ、舌下剤、座剤、注射剤、輸液剤、ドリンク、シロップなどが例示されるが、これらに限定されない。
【0022】
様々な剤形の医薬組成物の製造方法が知られており、本発明の医薬組成物の製造に適用できる。
【0023】
通常は、本発明の医薬組成物は、適切な担体または賦形剤を含む。
【0024】
本発明の医薬組成物の投与量は、有効成分の種類、対象の体重、年齢、性別、健康状態、既往症、投与経路などを考慮して決定および変更されうる。通常、成人にはフェブキソスタットとして1日10mgより開始し、1日1回経口投与する。維持量は通常1日1回40mgで、最大投与量は1日1回60mgとする。かかる投与量の決定および変更は、医師などの当業者の技量の範囲内である。
【0025】
本発明の医薬組成物が2つ以上の有効成分を含む場合、それらの混合割合の決定および変更は、医師などの当業者の技量の範囲内である。本発明の医薬組成物がTEI-6720とイノシンとの合剤である場合、これらの混合割合は、例えば1:10~10:1(重量比)であってもよい。
【0026】
本発明の医薬組成物の投与対象は哺乳動物である。投与対象の典型例はヒトである。本発明の医薬組成物は男女を問わず投与することができる。本発明の医薬組成物をイヌ、ネコなどのペット動物に投与してもよい。したがって、本発明の育毛剤は獣医用組成物であってもよい。
【0027】
本発明の医薬組成物の投与回数、投与間隔、投与期間も医師などの当業者によって決定および変更されうる。本発明の医薬組成物を1日1回~数回投与してもよい。本発明の医薬組成物を数週間~数年間にわたって投与してもよい。
【0028】
本発明の育毛剤は食品組成物であってもよい。本発明の食品組成物の形態はいずれの形態であってもよい。本発明の食品組成物の形態の例としては、ジュース、ドリンク、スープ、流動食、ゼリー、タブレット、顆粒、粉末、ドロップなどであってもよい。これらの形態の食品組成物の製造方法は公知である。
【0029】
TEI-6720またはその誘導体、イノシンなどの上記有効成分を既存の食品に添加することにより、本発明の食品組成物を製造してもよい。食品原料に有効成分を添加してもよく、食品の製造過程において有効成分を添加してもよく、あるいはできあがった食品に有効成分を添加してもよい。
【0030】
本発明の食品組成物は調味料または食品添加物の形態であってもよい。
【0031】
本発明の食品組成物はサプリメントとして提供されてもよい。サプリメントの形態は医薬組成物の形態に準ずるものとしてもよい。様々な形態のサプリメントの製造方法が知られている。
【0032】
本発明の食品組成物の摂取量は、本発明の医薬組成物を用いて投与される有効成分量を摂取できる量としてもよい。また、本発明の食品組成物の摂取量は、本発明の医薬組成物を用いて投与されるよりも少ない有効成分量を摂取できる量としてもよい。
【0033】
本発明は、さらなる態様において、育毛を必要とする対象にプリンサルベージ経路の活性化剤を投与することを含む、該対象における育毛方法を提供する。
【0034】
本発明は、さらなる態様において、育毛剤の製造のためのプリンサルベージ経路の活性化剤の使用を提供する。
【0035】
本発明は、さらなる態様において、育毛に使用されるプリンサルベージ経路の活性化剤を提供する。
【0036】
特に断らない限り、本明細書中の用語は、医学、生物学、化学などの分野において通常に理解されている意味に解される。
【0037】
以下に実施例を示して本発明をより詳細かつ具体的に説明するが、実施例は本発明の範囲を限定するものと解してはならない。
【実施例1】
【0038】
実施例1 アルツハイマーモデルマウスにおける非プリン型キサンチン酸化還元酵素阻害剤の育毛効果
アルツハイマーモデルマウス(系統:Tg(APPSWE)2576KhaTg(Prnp-MAPT*P301L)JNPL3Hlmc)に、生後1年まで通常飼料を与えた。その後TEI-6720投与群(5mg/kg/day)(n=5)とプラセボ(0.5%マイクロセルロース)投与群(n=5)に分けて1年間飼育し、被毛の状態を観察し、皮膚サンプルを採取した。皮膚サンプルについてHE染色、毛周期解析および毛球数の計測を行った。TEI-6720、プラセボともに胃ゾンデを使用して、経食道的に胃内に直接投与した。毛周期解析は、皮膚の切片のヘマトキシリン・エオシン染色標本I切片当たり毛包50個を計測し、それぞれの毛包について、毛周期を成長期、退行期、休止期に3分類した。毛球数の計測は短冊型の皮膚切片の3mm当たりのスケール内の毛包数を計測し、切片状上の異なる10か所でそれぞれ計測し、3mm当たりの平均値を求めた。
【0039】
TEI-6720投与群の動物の被毛は、プラセボ投与群と比べて密であり、しなやかで光沢を有していた(
図1)。皮膚サンプルのHE染色によれば、TEI-6720投与群では正常な毛包が多く見られたのに対し、プラセボ投与群では正常な毛包は見られず、その下図も少なかった(
図1)。被毛の毛周期に関しては、TEI-6720投与群ではプラセボ投与群と比べて成長期にある被毛が多く、退行期にある被毛が少なかった(
図2)。毛球数に関しては、TEI-6720投与群のほうがプラセボ投与群よりも多かった(
図3)。TEI-6720投与群の動物において副作用は認められなかった。
【0040】
以上の結果から、非プロリン型キサンチン酸化還元酵素阻害剤のアルツハイマーモデルマウスにおける育毛効果が明らかとなった。
【実施例2】
【0041】
実施例2 正常マウスにおける非プリン型キサンチン酸化還元酵素阻害剤の育毛効果
正常C3Hマウスに、生後1年まで通常飼料を与えた。その後TEI-6720投与群(5mg/kg/day)(n=3)とプラセボ(0.5%メチルセルロース)投与群(n=3)に分けて1年間飼育し、毛球数ならびに毛周期を解析した。TEI-6720、プラセボともに胃ゾンデを使用して、経食道的に胃内に直接投与した。正常マウスにおいてもアルツハイマーモデルマウスと同じ方法を用いて計測した。周期解析は、皮膚の切片のヘマトキシリン・エオシン染色標本I切片当たり毛包50個を計測し、それぞれの毛包について、毛周期を成長期、退行期、休止期に3分類した。毛球数の計測は短冊型の皮膚切片の3mm当たりのスケール内の毛包数を計測し、切片上の異なる10か所でそれぞれ計測し、3mm当たりの平均値を求めた。
【0042】
毛球数に関しては、TEI-6720投与群のほうがプラセボ投与群よりも多かった(
図4)。毛周期ごとの毛包数に関しては、TEI-6720投与群ではプラセボ投与群と比べて成長期にある毛包数が多く、休止期にある毛包数が少なかった(
図5)。正常マウスにおいてもTEI-6720投与群の動物において副作用は認められなかった。
【0043】
以上の結果から、非プロリン型キサンチン酸化還元酵素阻害剤の正常マウスにおける育毛効果が明らかとなった。
【実施例3】
【0044】
実施例3 正常マウスにおける非プリン型キサンチン酸化還元酵素阻害剤とイノシンの合剤の育毛効果
正常C3Hマウスに、生後8週まで通常飼料を与えた。その後TEI-6720とイノシンの合剤投与群(合剤投与群)(n=1)とプラセボ(0.5%マイクロセルロース含有)投与群(n=1)に分けて1ヶ月飼育し、毛球数ならびに毛周期ごとの毛包数を計測した。TEI-6720とイノシンの合剤、およびプラセボを胃ゾンデにより経口投与した。合剤として、TEI-6720は、5mg/kg/dayになるように調整した。イノシン投与量は、200mg/kg/dayとした。
【0045】
毛球数に関しては、合剤投与群のほうがプラセボ投与群よりも多かった(
図6)。毛周期ごとの毛包数に関しては、合剤投与群ではプラセボ投与群と比べて成長期にある毛包数が多く、休止期にある毛包数が少なかった(
図7)。合剤投与群の動物において副作用は認められなかった。
【0046】
合剤投与群の結果はTEI-6720群単独投与群の結果(実施例2)と同様であるが、合剤投与期間が1ヶ月(TEI-6720群単独投与の場合は1年)であることを考慮すると、合剤の育毛効果が非常に優れたものであることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、医薬品および医薬部外品などの分野において利用可能である。