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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】運搬用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/50 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
B65D85/50 310
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020050154
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021147092
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川島 昭洋
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】実公昭47-041342(JP,Y1)
【文献】中国実用新案第207773960(CN,U)
【文献】特開平09-182539(JP,A)
【文献】実開昭49-075867(JP,U)
【文献】中国実用新案第2887785(CN,Y)
【文献】実開昭54-102426(JP,U)
【文献】実開昭61-173262(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/50
B65D 19/00-19/44
B65D 21/032
A01K 31/00-31/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家禽を運搬するための運搬用容器であって、
底部と周壁部とを有する容器本体と、
前記周壁部に対して上方から被せられる蓋部と、を備え、
前記底部は、長孔状の底部通気孔を、互いに平行に位置するように多数有し、
前記蓋部は、長孔状の蓋部通気孔を、互いに平行に位置するように多数有し、
前記底部通気孔の長手方向と、前記蓋部通気孔の長手方向は、互いに相違する
運搬用容器。
【請求項2】
家禽を運搬するための運搬用容器であって、
合成樹脂製の底部と周壁部とを一体に有する容器本体と、
前記周壁部に対して上方から被せられる合成樹脂製の蓋部と、を備え、
前記底部は、長孔状の底部通気孔を、互いに平行に位置するように多数有し、
前記蓋部は、長孔状の蓋部通気孔を、互いに平行に位置するように多数有し、
前記底部通気孔の長手方向と、前記蓋部通気孔の長手方向は、互いに同一であり、
前記蓋部の上に前記容器本体の前記底部を乗せたときに
蓋部通気孔の全部が、前記底部のうち前記底部通気孔を除いた部分と上下に重なるように構成されている
運搬用容器。
【請求項3】
家禽を運搬するための運搬用容器であって、
合成樹脂製の底部と周壁部とを一体に有する容器本体と、
前記周壁部に対して上方から被せられる合成樹脂製の蓋部と、を備え、
前記底部は、真円又は正方形状の底部通気孔を多数有し、
前記蓋部は、真円又は正方形状の蓋部通気孔を多数有し、
前記蓋部の上に前記容器本体の前記底部を乗せたときに
蓋部通気孔の全部が、前記底部のうち前記底部通気孔を除いた部分と上下に重なるように構成されている
運搬用容器。
【請求項4】
家禽を運搬するための運搬用容器であって、
合成樹脂製の底部と周壁部とを一体に有する容器本体と、
前記周壁部に対して上方から被せられる合成樹脂製の蓋部と、を備え、
前記底部は、長孔状の底部通気孔を、互いに平行に位置するように多数有し、
前記蓋部は、長孔状の蓋部通気孔を、互いに平行に位置するように多数有し、
前記底部通気孔の長手方向と、前記蓋部通気孔の長手方向は、互いに同一であり、
前記蓋部の上に前記容器本体の前記底部を乗せたときに、
前記底部通気孔の少なくとも一部領域が、前記蓋部のうち前記蓋部通気孔を除いた部分と上下に重なり、
前記蓋部通気孔の少なくとも一部領域が、前記底部のうち前記底部通気孔を除いた部分と上下に重なるように構成されており、
前記底部は、
前記家禽が足を乗せる足乗せ部分と、
前記家禽の卵が集まるように前記足乗せ部分の外周側に設けられた集卵部分と、を含み、
前記足乗せ部分の上面は、前記集卵部分に向けて下り傾斜し
前記集卵部分は、前記底部の上面に設けられた凹条であり、
前記凹条の底壁が、前記底壁の4つのコーナー部分に卵を集めるように傾斜している
運搬用容器。
【請求項5】
家禽を運搬するための運搬用容器であって、
合成樹脂製の底部と周壁部とを一体に有する容器本体と、
前記周壁部に対して上方から被せられる合成樹脂製の蓋部と、を備え、
前記底部は、真円又は正方形状の底部通気孔を多数有し、
前記蓋部は、真円又は正方形状の蓋部通気孔を多数有し、
前記蓋部の上に前記容器本体の前記底部を乗せたときに、
前記底部通気孔の少なくとも一部領域が、前記蓋部のうち前記蓋部通気孔を除いた部分と上下に重なり、
前記蓋部通気孔の少なくとも一部領域が、前記底部のうち前記底部通気孔を除いた部分と上下に重なるように構成されており、
前記底部は、
前記家禽が足を乗せる足乗せ部分と、
前記家禽の卵が集まるように前記足乗せ部分の外周側に設けられた集卵部分と、を含み、
前記足乗せ部分の上面は、前記集卵部分に向けて下り傾斜し、
前記集卵部分は、前記底部の上面に設けられた凹条であり、
前記凹条の底壁が、前記底壁の4つのコーナー部分に卵を集めるように傾斜している
運搬用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運搬用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
畜産物を運搬するために用いられる運搬用容器が、従来公知である(例えば特許文献1等参照)。この種の運搬用容器は、容器本体とこれの開口を覆うように装着される蓋部とを備える。容器本体や蓋部には、通気性確保や軽量化を目的として、多数の貫通孔が設けられることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第2576199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の運搬用容器においては、段積みした運搬用容器で鶏等の家禽を運搬する最中に、該家禽が卵を産むことがあり、運搬中に卵が潰れたときには卵殻の破片や、卵白、卵黄等の液体が下側の運搬用容器に落ちるおそれがある。
【0005】
本開示が解決しようとする課題は、段積みした運搬用容器で鶏等の家禽を運搬する最中に、卵の破片や液体が下側の運搬用容器に落ちることを抑えることができる運搬用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一様態に係る運搬用容器は、家禽を運搬するための運搬用容器であって、底部と周壁部とを有する容器本体と、前記周壁部に対して上方から被せられる蓋部と、を備える。前記底部は、長孔状の底部通気孔を、互いに平行に位置するように多数有する。前記蓋部は、長孔状の蓋部通気孔を、互いに平行に位置するように多数有する。前記底部通気孔の長手方向と、前記蓋部通気孔の長手方向は、互いに相違する。
【0007】
本開示の別様態に係る運搬用容器は、家禽を運搬するための運搬用容器であって、底部と周壁部とを有する容器本体と、前記周壁部に対して上方から被せられる蓋部と、を備える。前記底部は、長孔状の底部通気孔を、互いに平行に位置するように多数有する。前記蓋部は、長孔状の蓋部通気孔を、互いに平行に位置するように多数有する。前記底部通気孔の長手方向と、前記蓋部通気孔の長手方向は、互いに同一である。前記蓋部の上に前記容器本体の前記底部を乗せたときに、前記底部通気孔の少なくとも一部領域が、前記蓋部のうち前記蓋部通気孔を除いた部分と上下に重なり、前記蓋部通気孔の少なくとも一部領域が、前記底部のうち前記底部通気孔を除いた部分と上下に重なるように構成されている。
【0008】
本開示の更に別様態に係る運搬用容器は、家禽を運搬するための運搬用容器であって、底部と周壁部とを有する容器本体と、前記周壁部に対して上方から被せられる蓋部と、を備える。前記底部は、真円又は正方形状の底部通気孔を多数有する。前記蓋部は、真円又は正方形状の蓋部通気孔を多数有する。前記蓋部の上に前記容器本体の前記底部を乗せたときに、前記底部通気孔の少なくとも一部領域が、前記蓋部のうち前記蓋部通気孔を除いた部分と上下に重なり、前記蓋部通気孔の少なくとも一部領域が、前記底部のうち前記底部通気孔を除いた部分と上下に重なるように構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本開示は、段積みした運搬用容器で鶏等の家禽を運搬する最中に、卵の破片や液体が下側の運搬用容器に落ちることを抑えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1の運搬用容器の斜視図である。
図2】同上の運搬用容器が備える容器本体の平面図である。
図3図2のA-A線断面図である。
図4図2のB-B線断面図である。
図5】同上の運搬用容器が備える蓋部の平面図である。
図6図5のC-C線断面図である。
図7】同上の運搬用容器を段積みしたときの、下の運搬用容器の蓋部と、上の運搬用容器の容器本体との位置関係を示す斜視図である。
図8】同上の位置関係を示す平面図である。
図9図8のD-D線断面図である。
図10図8のE-E線断面図である。
図11図8の要部拡大図である。
図12】実施形態2の運搬用容器を段積みしたときの、下の運搬用容器の蓋部と、上の運搬用容器の容器本体との位置関係を示す要部平面図である。
図13】実施形態3の運搬用容器を段積みしたときの、下の運搬用容器の蓋部と、上の運搬用容器の容器本体との位置関係を示す要部平面図である。
図14】実施形態4の運搬用容器を段積みしたときの、下の運搬用容器の蓋部と、上の運搬用容器の容器本体との位置関係を示す要部平面図である。
図15】実施形態5の運搬用容器を段積みしたときの、下の運搬用容器の蓋部と、上の運搬用容器の容器本体との位置関係を示す要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態1]
図1には、実施形態1の運搬用容器を示している。実施形態1の運搬用容器は、家禽を運搬するための容器であって、図2図4にも示す容器本体3と、図5及び図6にも示す蓋部5とを備える。ここでの家禽は、例えば鶏であるが、アヒル、ガチョウ、ウズラ等の他の種類の鳥を運搬することも可能である。
【0012】
(容器本体)
図1図4に示すように、容器本体3は、合成樹脂製の底部1と、合成樹脂製の周壁部2とを一体に備える。本文中で用いる多数は、複数のうち比較的数が大きなものを意味するに過ぎず、例えば5つ以上、6つ以上のような場合も含まれる。
【0013】
(底部)
まず、底部1について説明する。
【0014】
底部1は、平面視において矩形状の外形を有する(図2等参照)。底部1は、家禽が足を乗せるように設けられた足乗せ部分15と、足乗せ部分15を囲むように位置する集卵部分17とを含む。
【0015】
足乗せ部分15は、平面視において矩形状の外形を有する部分であり、全体として上に凸となるように緩やかに湾曲している(図3図4参照)。足乗せ部分15の中央部分151が、足乗せ部分15のうち最も高い部分であり、足乗せ部分15の周縁が、足乗せ部分15のうち最も低い部分である。足乗せ部分15の上面は、中央部分151から周縁にかけて下り傾斜している。
【0016】
足乗せ部分15の上面の傾斜は、中央部分151に近い部分の傾斜よりも、周縁に近い部分の傾斜の方が大きくなるように設定されているが、中央部分151から周縁にかけて一様に傾斜することも好ましい。
【0017】
集卵部分17は、平面視において矩形環状の外形を有する部分であり、全体として下に凸となるように湾曲している。つまり、家禽の卵が集まるように足乗せ部分15の外周側に設けられた集卵部分17は、底部1の上面の外周縁部に設けられた平面視矩形環状の凹条18で、構成されている。足乗せ部分15と集卵部分17との境界を基準として、集卵部分17が下方に凹む寸法は、足乗せ部分15が上方に盛り上がる寸法よりも大きく設定されている。
【0018】
足乗せ部分15と集卵部分17との境界部分には、角部16が形成されている。角部16は、運搬時の振動等で集卵部分17から卵が飛び出すことを抑制する機能を有する。角部16は、足乗せ部分15と集卵部分17とを滑らかに繋ぐように、断面円弧状に湾曲している。ここでの断面は、鉛直断面を意味する。
【0019】
集卵部分17は、平面視において矩形環状の底壁171と、底壁171の内周側に位置する内側壁173と、底壁171の外周側に位置する外側壁175とを有する。内側壁173は、平面視において底壁171よりも一回り小さい外形を有し、外側壁175は、平面視において底壁171よりも一回り大きな外形を有する。底壁171、内側壁173、及び外側壁175は、滑らかに繋がっている。
【0020】
底壁171は、矩形環状の平坦な上面を有する。ここでの平坦は、完全な意味での平坦に限定されず、略平坦な場合も含まれる。底壁171の上面の寸法形状は、運搬対象の家禽の卵が安定的に乗るように設定されている。
【0021】
内側壁173は、矩形環状でありかつ凹状に湾曲した上面を有する。内側壁173の上面は、容器本体3の収納空間に臨む面であり、底壁171に近づくほど徐々に傾斜が緩やかになるように湾曲している。
【0022】
外側壁175は、矩形環状でありかつ凹状に湾曲した上面を有する。外側壁175の上面は、容器本体3の収納空間に臨む面であり、底壁171に近づくほど徐々に傾斜が緩やかになるように湾曲している。
【0023】
内側壁173と外側壁175は、ともに断面円弧状に湾曲しているが、内側壁173の曲率半径は、外側壁175の曲率半径よりも大きく設定されている。つまり、内側壁173は、外側壁175よりも緩やかに湾曲している。
【0024】
内側壁173と外側壁175のそれぞれの鉛直断面における曲率半径は、角部16の曲率半径よりも大きく設定されている。つまり、内側壁173と外側壁175は、角部16よりも緩やかに湾曲している。
【0025】
上記した集卵部分17は、底部1の短辺側に位置する2つの領域17a,17bと、底部1の長辺側に位置する2つの領域17c,17dとに区分することが可能である。集卵部分17の短辺側の領域17a,17bは、平面視において互いに平行な長方形状の領域である。集卵部分17の長辺側の領域17c,17dは、平面視において互いに平行な長方形状の領域である。短辺側の領域17a,17bの長手方向と、長辺側の領域17c,17dの長手方向とは、互いに直交する関係にある。本文中で用いる直交は、完全な意味での直交に限定されず、略直交な場合も含まれる。
【0026】
上記した足乗せ部分15は、短辺側の2つの領域15a,15bと、長辺側の2つの領域15c,15dとに区分することが可能である。これら4つの領域15a,15b,15c,15dは、集卵部分17の4つの領域17a,17b,17c,17dに一対一で対応する。
【0027】
足乗せ部分15のうち短辺側の2つの領域15a,15bの上面は、中央部分151から、集卵部分17の短辺側の領域17a,17bに向けてそれぞれ下り傾斜している。足乗せ部分15のうち長辺側の2つの領域15c,15dの上面は、中央部分151から、集卵部分17の長辺側の領域17c,17dに向けてそれぞれ下り傾斜している。短辺側の2つの領域15a,15bの傾斜は、長辺側の2つの領域15c,15dの傾斜よりも緩やかである。
【0028】
更に、底部1には、多数の底部通気孔12と、支持脚部13とが設けられている。
【0029】
多数の底部通気孔12は、足乗せ部分15に形成された長孔状の多数の底部通気孔12aと、集卵部分17に形成された長孔状の多数の底部通気孔12bとを含む。これら多数の底部通気孔12a,12bは、互いに平行に配列されている。言い換えれば、これら多数の底部通気孔12a,12bの長手方向は互いに同一である。
【0030】
足乗せ部分15の多数の底部通気孔12aは、マトリクス状に互いに距離をあけて形成されている。集卵部分17の多数の底部通気孔12bは、4つの領域17a,17b,17c,17dのそれぞれに分散して設けられている。集卵部分17において底部通気孔12bが配置される密度は、足乗せ部分15において底部通気孔12aが配置される密度よりも大きく設定されている。
【0031】
支持脚部13は、集卵部分17から下方に突出する内周側の支持脚131と、外周側の支持脚133とを含む(図3図4参照)。内周側の支持脚131は、矩形環状である底壁171の内周側の部分の下面から、下方に突出したリブ状の支持脚である。外周側の支持脚133は、平面視矩形状である底壁171の外周側の部分の下面から、下方に突出したリブ状の支持脚である。内周側の支持脚131は矩形環状のリブであり、外周側の支持脚133は、内周側の支持脚131よりも一回り大きな矩形環状のリブである。
【0032】
(周壁部)
周壁部2は、以下の構成を備える。
【0033】
周壁部2は、底部1の外周縁部から上方に延長された周壁である。周壁部2は、集卵部分17の外側壁175から、上側の部分ほど互いに離れるように僅かに傾いた姿勢で延長されている。周壁部2の上端には、蓋部5を乗せることができるフランジ部21が、全周にわたって設けられている。
【0034】
周壁部2は、短辺側の2つの側壁と、長辺側の2つの側壁とに区分することが可能である。周壁部2においては、短辺側の2つの側壁と、長辺側の2つの側壁とが、周方向において環状に連続している。
【0035】
周壁部2においては、多数の周壁部通気孔22が、短辺側の2つの側壁と、長辺側の2つの側壁と分散して設けられている。これら多数の周壁部通気孔22は、上下方向を長手方向とする長孔状の通気孔である。
【0036】
(蓋部)
次に、蓋部5について説明する。
【0037】
図1図5及び図6に示すように、蓋部5は、平面視において矩形状の外形を有する。蓋部5は、容器本体3の底部1よりも一回り大きく、かつ、周壁部2の上端部分よりも大きな外形を有する。
【0038】
蓋部5は、中央部分に矩形状の開口510を有する合成樹脂製の蓋本体部51と、蓋本体部51に装着された合成樹脂製の内蓋55と、蓋本体部51の外周縁に一体に設けられた合成樹脂製の蓋フランジ部56とを有する。
【0039】
蓋部5には、多数の蓋部通気孔52が貫通形成されている。多数の蓋部通気孔52は、蓋本体部51と内蓋55とに分散して配されている。言い換えれば、多数の蓋部通気孔52は、蓋本体部51に配された多数の蓋部通気孔52aと、内蓋55に配された多数の蓋部通気孔52bとを含む。
【0040】
蓋本体部51は、長孔状の蓋部通気孔52aが多数形成された平板部53と、平板部53の一部から上方に盛り上がったリブ構造54とを含む。リブ構造54は、格子状に交差する複数のリブ541で構成されている。複数のリブ541は、蓋部5の長辺に沿って伸びる複数のリブ541aと、蓋部5の短辺に沿って伸びる複数のリブ541bである。各リブ541は、下方に開放された断面コ字状の形状を有する。
【0041】
平板部53は、格子状のリブ構造54によって、複数の矩形状の領域531に区分されている。多数の蓋部通気孔52aは、複数の領域531に分散して配置されている。各領域531において、蓋部通気孔52aは複数設けられている。
【0042】
多数の蓋部通気孔52aは、互いに平行に配列されている。言い換えれば、これら多数の蓋部通気孔52aの長手方向は互いに同一である。
【0043】
各蓋部通気孔52aの長手方向は、蓋部5の短辺と平行な方向である。各蓋部通気孔52aは、蓋部5の短辺と平行に位置している。
【0044】
蓋本体部51の開口510には、開口510を閉じるための内蓋55が配置されている。内蓋55は、矩形状の内蓋本体551と、内蓋本体551を蓋本体部51に対して回転自在に連結させる支軸部553と、内蓋55を開閉する際に用いられる取手部555とを、一体に有する。取手部555は、蓋部5の短辺に沿って伸びる長片状の部材である。取手部555を挟んで、蓋部5の長手方向の両側には、蓋部5の短手方向に長尺の開口部558が設けられている。各開口部558は、手指を挿し込むことが可能な開口であり、各蓋部通気孔52a,52bの開口面積よりも大きな開口面積を有する。
【0045】
取手部555の上面には、取手部555のグリップ感を高めるための複数のリブ556が設けられている。複数のリブ556は、蓋部5の長辺に沿って伸びるように形成された互いに平行な複数のリブで構成されている。各リブ556において、蓋部5の長手方向の両端部分は、取手部555の他の部分よりも開口部558に向けて突出している。これにより、取手部555の開口部558に臨む側面には、グリップ感を高める波型の凹凸形状が設けられている。
【0046】
内蓋55に形成されている多数の長孔状の蓋部通気孔52bは、内蓋55において互いに平行に配列されており、かつ、蓋本体部51に形成されている多数の長孔状の蓋部通気孔52aに対して、互いに平行に配列されている。つまり、蓋部5に形成された多数の蓋部通気孔52(52a,52b)の長手方向は、いずれも蓋部5の短辺と平行な方向である。
【0047】
蓋フランジ部56は、蓋本体部51よりも高い位置(つまり平板部53及びリブ構造54よりも高い位置)に設けられた矩形環状の平坦なフランジ片561と、フランジ片561の外周縁の全周から下方に延設された垂下片563とを、一体に有する。フランジ片561に含まれる4つのコーナー部分は、いずれも円弧状である。
【0048】
蓋フランジ部56は、フランジ片561の各コーナー部分に一体に設けられた係止片565と、複数の突起部567とを、更に有する。係止片565は、フランジ片561の各コーナー部分の内周縁から上方に立設された円弧状のリブである。
【0049】
複数の突起部567は、係止片565の中央部分の外周側に位置する突起部567aと、係止片565の両端部の外周側に位置する突起部567bとを含む。フランジ片561の各コーナー部分の周方向の中央部に位置する突起部567aは、係止片565の中央部分に対して一体に結合されている。フランジ片561の各コーナー部分の周方向の両端部に位置する突起部567bは、係止片565の両端部に対して一体に結合されている。
【0050】
中央の突起部567aは、係止片565に近い部分ほど高く位置するように傾斜した上面を有する三角リブで、構成されている。両端の突起部567bは、係止片565に近い部分ほど高く位置するように傾斜した上面を有する断面コ字状の凸リブで、構成されている。
【0051】
フランジ片561の各コーナー部分の周方向における、両端の突起部567bの幅寸法は、中央の突起部567aの幅寸法よりも大きく形成されている。両端の突起部567bの上面は、矩形状の平面で構成されているのに対して、中央の突起部567aの上面は細長い直線状である。なお、中央の突起部567aの幅寸法を大きく設定し、その上面を矩形状の平面で構成することも可能である。
【0052】
また、両端の突起部567bは、フランジ片561の各コーナー部分の径方向の全域にわたって形成されているのに対して、中央の突起部567aは、径方向の内側の部分にだけ形成されている。
【0053】
図1に示すように、蓋部5を容器本体3に被せて用いたとき、蓋部5の外周縁部を構成する蓋フランジ部56が、周壁部2の上端部を構成するフランジ部21の上に、着脱自在に乗せられる。鶏等の家禽は、容器本体3の底部1の中央部分を構成する足乗せ部分15に足を置いた状態で運搬されるので、家禽が運搬中に産卵した場合には、その卵は足乗せ部分15の傾斜によって、底部1の外周縁部分を構成する集卵部分17にまで転がり、集卵部分17において安定的に保持される。
【0054】
そのため、実施形態1の運搬用容器によれば、運搬中の家禽が卵を踏んで潰すことが抑えられ、卵殻の破片や液体が下に落ちることが効果的に抑制される。
【0055】
(段積み状態)
次に、実施形態1の運搬用容器を上下に段積みした状態について説明する。
【0056】
実施形態1の運搬用容器を上下に段積みした状態においては、図7図11に示すように、下側の運搬用容器が備える蓋部5の上に、上側の運搬用容器の容器本体3が乗せられる。
【0057】
このとき、蓋部5に設けられたリブ構造54の上面に、容器本体3の底部1の下面から突出したリブ状の支持脚131,133が乗せられる(図9参照)。
【0058】
蓋部5の外周縁部を構成する蓋フランジ部56は、リブ構造54よりも高く位置する。更に、蓋フランジ部56の4つのコーナー部分の内周縁には、他よりも一段高い係止片565が設けられている。そのため、上側の運搬用容器の容器本体3が、下側の運搬用容器の蓋部5に対して水平方向にずれを生じることは、蓋フランジ部56(特に4つのコーナー部分の係止片565)によって効果的に抑えられる。
【0059】
また、下側の運搬用容器の蓋部5が有する4つのコーナー部分には、それぞれ複数の突起部567が周方向に距離をあけて位置しており、各突起部567は、内周側の部分ほど高く位置するように傾斜した上面を有するので、各突起部567の上面をスライド面として利用して、段積み作業を効率的に行うことが可能である。
【0060】
加えて、実施形態1の運搬用容器においては、容器本体3の底部1が有する多数の底部通気孔12の長手方向と、蓋部5が有する多数の蓋部通気孔52の長手方向とが、互いに相違するように設けている。
【0061】
具体的には、多数の底部通気孔12の長手方向が、底部1の長辺と平行な方向であるのに対して、多数の蓋部通気孔52の長手方向は、蓋部5の短辺と平行な方向である。底部1の長辺と短辺は互いに直交する関係にあり、蓋部5の長辺と短辺は互いに直交する関係にある。
【0062】
蓋部5の上に容器本体3を乗せた状態において、底部1と蓋部5の互いの長辺は平行に位置し、底部1の蓋部5の互いの短辺は平行に位置する。実施形態1の運搬用容器において、多数の底部通気孔12の長手方向と、多数の蓋部通気孔52の長手方向は、互いに直交する関係にある。
【0063】
そのため、図8図11に示すように、蓋部5の上に容器本体3の底部1を乗せたとき(つまり実施形態1の運搬用容器を多段積みしたとき)に、各底部通気孔12の少なくとも一部領域は、その下方の蓋部5のうち蓋部通気孔52を除いた非貫通の部分と、上下に重なる。多数の底部通気孔12には、蓋部5の非貫通の部分に対して一部だけが重なるように設けられた底部通気孔12と、蓋部5の非貫通の部分に対して全部が重なるように設けられた底部通気孔12とが、それぞれ複数含まれている。
【0064】
同様に、各蓋部通気孔52の少なくとも一部領域は、その上方の底部1のうち底部通気孔12を除いた非貫通の部分と、上下に重なる。多数の蓋部通気孔52には、底部1の非貫通の部分に対して一部だけが重なるように設けられた蓋部通気孔52と、底部1の非貫通の部分に対して全部が重なるように設けられた蓋部通気孔52とが、それぞれ複数含まれている。
【0065】
その結果、実施形態1の運搬用容器を多段積みしたときに、運搬用容器の上下の開孔率が、側方の開孔率よりも低くなる。運搬用容器の上下の開孔率は、好ましくは0~20%の範囲内で設定され、より好ましくは0~9%の範囲内で設定される。
【0066】
ここでの運搬用容器の上下の開孔率は、蓋部5と底部1が上下に重なった状態での開孔率であり、つまり、蓋部5が有する多数の蓋部通気孔52と底部1が有する多数の底部通気孔12のうち、平面視においてクロスして上下に連通する部分の開孔率である。運搬用容器の側方の開孔率は、つまり、周壁部2における多数の周壁部通気孔22の開孔率である。
【0067】
したがって、実施形態1の運搬用容器によれば、仮に、段積み状態で運搬中の家禽が卵を踏んで潰した場合でも、卵殻の破片や液体が下側の運搬用容器に落ちることが、効果的に抑制される。また、段積み状態で運搬中の家禽の糞が下側の運搬用容器に落ちることも、効果的に抑制される。
【0068】
なお、多数の底部通気孔12の長手方向と、多数の蓋部通気孔52の長手方向との関係は、互いに直交する関係に限定されず、互いに相違する関係(言い換えれば、互いに同一とはならない関係)にあれば、同様の作用効果が得られる。
【0069】
多数の底部通気孔12の長手方向と、多数の蓋部通気孔52の長手方向とが相違することにより、段積み状態での通気性の低下が懸念されるが、これを避けるために実施形態1の運搬用容器では、上下に段積みした状態において、下側の運搬用容器の蓋部5と、上側の運搬用容器の容器本体3の底部1との間に、複数の空間部4が形成されるように設けている(図10参照)。
【0070】
複数の空間部4は、蓋部5の平板部53に含まれる複数の領域531の上方に、一対一で形成される。上記したように、実施形態1の運搬用容器の段積み状態において、平板部53より高く位置するリブ構造54の上面に、容器本体3の底部1が乗せられる。そのため、下側の蓋部5の平板部53と、上側の容器本体3の底部1との間には、複数の空間部4が確保される。これら空間部4の存在により、平板部53にある各蓋部通気孔52の通気性が阻害されることが抑えられ、また、底部1にある各底部通気孔12の通気性が阻害されることが抑えられる。
【0071】
[実施形態2]
実施形態2の運搬用容器について、図12に基づいて説明する。実施形態2の運搬用容器のうち、実施形態1の運搬用容器と同様の構成については説明を省略し、実施形態1の運搬用容器とは相違する構成について、以下に説明する。
【0072】
実施形態2の運搬用容器において、容器本体3の底部1が有する多数の底部通気孔12の長手方向は、底部1の長辺と平行な方向であり、多数の蓋部通気孔52の長手方向は、蓋部5の長辺と平行な方向である。
【0073】
図12に要部を示すように、蓋部5の上に容器本体3の底部1を乗せた状態において、多数の底部通気孔12の長手方向と、多数の蓋部通気孔52の長手方向は、互いに同一となる。
【0074】
実施形態2の運搬用容器では、蓋部5の上に容器本体3の底部1を乗せて多段積みしたときに、各底部通気孔12の少なくとも一部領域が、その下方の蓋部5のうち蓋部通気孔52を除いた非貫通の部分と上下に重なり、各蓋部通気孔52の少なくとも一部領域が、その上方の底部1のうち底部通気孔12を除いた非貫通の部分と上下に重なるように、底部通気孔12と蓋部通気孔52の相対的な位置関係を設定している。
【0075】
多数の底部通気孔12の全部が、蓋部5の非貫通の部分に対して一部だけ重なるように設けられてもよいし、多数の底部通気孔12のうち一部のグループでは、蓋部5の非貫通の部分に対して一部だけ重なり、多数の底部通気孔12のうち別のグループでは、蓋部5の非貫通の部分に対して全部が重なるように設けられてもよい。
【0076】
同様に、多数の蓋部通気孔52の全部が、底部1の非貫通の部分に対して一部だけ重なるように設けられてもよいし、多数の蓋部通気孔52のうち一部のグループでは、底部1の非貫通の部分に対して一部だけ重なり、多数の蓋部通気孔52のうち別のグループでは、底部1の非貫通の部分に対して全部が重なるように設けられてもよい。
【0077】
実施形態2の運搬用容器においても、運搬中に家禽が卵を踏むことが抑えられ、仮に卵が踏み潰された場合でも、卵殻の破片や液体が下側の運搬用容器に落ちることは効果的に抑制される。また、家禽の糞が下側の運搬用容器に落ちることも効果的に抑制される。
【0078】
[実施形態3]
実施形態3の運搬用容器について、図13に基づいて説明する。実施形態3の運搬用容器のうち、実施形態2の運搬用容器と同様の構成については説明を省略し、実施形態2の運搬用容器とは相違する構成について、以下に説明する。
【0079】
実施形態3の運搬用容器においては、実施形態2の運搬容器と同様に、容器本体3の底部1が有する多数の底部通気孔12の長手方向は、底部1の長辺と平行な方向であり、多数の蓋部通気孔52の長手方向は、蓋部5の長辺と平行な方向である。蓋部5の上に容器本体3の底部1を乗せた状態において、多数の底部通気孔12の長手方向と、多数の蓋部通気孔52の長手方向は、互いに同一となる。
【0080】
実施形態3の運搬用容器では、蓋部5の上に容器本体3の底部1を乗せて多段積みしたときに、各底部通気孔12の全部が、その下方の蓋部5のうち蓋部通気孔52を除いた非貫通の部分と上下に重なり、各蓋部通気孔52の全部が、その上方の底部1のうち底部通気孔12を除いた非貫通の部分と上下に重なるように、底部通気孔12と蓋部通気孔52の相対的な位置関係を設定している。平面視において、底部通気孔12と蓋部通気孔52は、互いに重なる部分がないように、交互に位置している。
【0081】
なお、実施形態3の運搬用容器においても、多数の底部通気孔12の全部が、蓋部5の非貫通の部分に対して一部だけ重なるように設けられてもよいし、多数の底部通気孔12のうち一部のグループでは、蓋部5の非貫通の部分に対して一部だけ重なり、多数の底部通気孔12のうち別のグループでは、蓋部5の非貫通の部分に対して全部が重なるように設けられてもよい。
【0082】
同様に、多数の蓋部通気孔52の全部が、底部1の非貫通の部分に対して一部だけ重なるように設けられてもよいし、多数の蓋部通気孔52のうち一部のグループでは、底部1の非貫通の部分に対して一部だけ重なり、多数の蓋部通気孔52のうち別のグループでは、底部1の非貫通の部分に対して全部が重なるように設けられてもよい。
【0083】
実施形態3の運搬用容器においても、運搬中に家禽が卵を踏むことが抑えられ、仮に卵が踏み潰された場合でも、卵殻の破片や液体が下側の運搬用容器に落ちることは効果的に抑制される。また、家禽の糞が下側の運搬用容器に落ちることも効果的に抑制される。
【0084】
[実施形態4]
実施形態4の運搬用容器について、図14に基づいて説明する。実施形態4の運搬用容器のうち、実施形態1の運搬用容器と同様の構成については説明を省略し、実施形態1の運搬用容器とは相違する構成について、以下に説明する。
【0085】
実施形態4の運搬用容器において、容器本体3の底部1が有する多数の底部通気孔12と、蓋部5が有する多数の蓋部通気孔52は、いずれも真円の貫通孔である。
【0086】
実施形態4の運搬用容器では、蓋部5の上に容器本体3の底部1を乗せて多段積みしたときに、各底部通気孔12の少なくとも一部領域が、その下方の蓋部5のうち蓋部通気孔52を除いた非貫通の部分と上下に重なり、各蓋部通気孔52の少なくとも一部領域が、その上方の底部1のうち底部通気孔12を除いた非貫通の部分と上下に重なるように、底部通気孔12と蓋部通気孔52の相対的な位置を設定している。
【0087】
多数の底部通気孔12の全部が、蓋部5の非貫通の部分に対して一部だけ重なるように設けられてもよいし、多数の底部通気孔12のうち一部のグループでは、蓋部5の非貫通の部分に対して一部だけ重なり、多数の底部通気孔12のうち別のグループでは、蓋部5の非貫通の部分に対して全部が重なるように設けられてもよい。
【0088】
同様に、多数の蓋部通気孔52の全部が、底部1の非貫通の部分に対して一部だけ重なるように設けられてもよいし、多数の蓋部通気孔52のうち一部のグループでは、底部1の非貫通の部分に対して一部だけ重なり、多数の蓋部通気孔52のうち別のグループでは、底部1の非貫通の部分に対して全部が重なるように設けられてもよい。
【0089】
実施形態4の運搬用容器においても、運搬中に家禽が卵を踏むことが抑えられ、仮に卵が踏み潰された場合でも、卵殻の破片や液体が下側の運搬用容器に落ちることは効果的に抑制される。また、家禽の糞が下側の運搬用容器に落ちることも効果的に抑制される。
【0090】
[実施形態5]
実施形態5の運搬用容器について、図15に基づいて説明する。実施形態5の運搬用容器のうち、実施形態4の運搬用容器と同様の構成については説明を省略し、実施形態4の運搬用容器とは相違する構成について、以下に説明する。
【0091】
実施形態5の運搬用容器において、容器本体3の底部1が有する多数の底部通気孔12と、蓋部5が有する多数の蓋部通気孔52は、いずれも正方形状の貫通孔である。ここでの正方形状は、完全な意味での正方形状に限定されず、略正方形状な場合も含まれる。
【0092】
実施形態5の運搬用容器では、実施形態4の運搬用容器と同様に、蓋部5の上に容器本体3の底部1を乗せて多段積みしたときに、各底部通気孔12の少なくとも一部領域が、その下方の蓋部5のうち蓋部通気孔52を除いた非貫通の部分と上下に重なり、各蓋部通気孔52の少なくとも一部領域が、その上方の底部1のうち底部通気孔12を除いた非貫通の部分と上下に重なるように、底部通気孔12と蓋部通気孔52の相対的な位置を設定している。
【0093】
実施形態5の運搬用容器においても、運搬中に家禽が卵を踏むことが抑えられ、仮に卵が踏み潰された場合でも、卵殻の破片や液体が下側の運搬用容器に落ちることは効果的に抑制される。また、家禽の糞が下側の運搬用容器に落ちることも効果的に抑制される。
【0094】
[変形例]
上記した各実施形態の運搬用容器では、足乗せ部分15が、集卵部分17の短辺側の領域17a,17bのそれぞれに向けて下り傾斜する領域15a,15bと、集卵部分17の長辺側の領域17c,17dのそれぞれに向けて下り傾斜する領域15c,15dとを含んでいるが(図2等参照)、集卵部分17のこれら4つの領域17a,17b,17c,17dのうち1つにだけ向けて全体が傾斜してもよいし、集卵部分17のこれら4つの領域17a,17b,17c,17dのうち2つ又は3つにだけ向けて傾斜するように設けてもよい。
【0095】
足乗せ部分15の傾斜は、集卵部分17に向けて全体として傾いていればよく、例えば、段階的に下がる階段状に形成されてもよい。足乗せ部分15の上面が階段状である場合、各段の突角を含んだ仮想的な面が傾斜していれば、足乗せ部分15は集卵部分17に向けて全体として傾いていると言える。
【0096】
また、足乗せ部分15の傾斜が、集卵部分17に近づくにつれて不連続的に変化してもよい。例えば、比較的緩やかな傾斜と、比較的急な傾斜とが、集卵部分17に近づくにつれて交互に切り替わってもよい。
【0097】
また、集卵部分17の底壁171が、周方向において傾斜を有してもよい。例えば、平面視矩形環状の底壁171が有する4つのコーナー部分の各々に向けてその周囲の部分が下り傾斜していれば、底壁171の4つのコーナー部分に卵を集めることができる。また、底壁171の4つのコーナー部分の1つに向けて全体が下り傾斜していれば、1つのコーナー部分に卵を集めることができる。底壁171の4つのコーナー部分の1つに向けて一部が下り傾斜し、別の1つに向けて他の部分が下り傾斜していれば、2つのコーナー部分に卵を集めることができる。底壁171の4つのコーナー部分の1つに向けて一部が下り傾斜し、別の1つに向けて他の部分が下り傾斜し、更に別の1つに向けて更に他の部分が下り傾斜していれば、3つのコーナー部分に卵を集めることができる。
【0098】
また、上記した各実施形態の運搬用容器において、集卵部分17を構成する凹条18に、凹条18の上での卵の移動を規制するリブを設けることや、波型の形状を設けることも可能である。凹条18にリブや波型の形状を設けて卵の移動を規制することで、凹条18の上での卵の移動スピードが遅くなり、運搬時に凹条18の上で複数の卵が衝突することが抑えられ、また、仮に衝突しても卵が割れ難くなる。
【0099】
また、上記した各実施形態の運搬用容器においては、各底部通気孔12の長手方向が、底部1の長辺と平行な方向であることから、卵が底部1の長辺側に向けて転がるときに比べて、卵が底部1の短辺側に向けて転がるときに該卵が底部通気孔12に引っ掛かり難くなっているが、各底部通気孔12の長手方向を、底部1の短辺と平行な方向に設定することも可能である。この場合には、卵が底部1の短辺側に向けて転がるときに比べて、卵が底部1の長辺側に向けて転がるときに該卵が底部通気孔12に引っ掛かり難くなる。
【0100】
また、上記した各実施形態の運搬用容器において、集卵部分17の内側壁173の上端部は、鉛直ではなく僅かに内側に傾斜しているが、該上端部が鉛直に形成されてもよい。
【0101】
また、上記した各実施形態の運搬用容器において、内蓋55は、蓋本体部51に対して回転自在に連結された回転式のものであるが、蓋本体部51に対してスライド自在に連結されるスライド式のものを採用してもよい。
【0102】
[作用効果]
以上の各実施形態及び変形例に基づいて説明したように、本開示の第1態様に係る運搬用容器は、家禽を運搬するための運搬用容器であって、底部1と周壁部2とを有する容器本体3と、周壁部2に対して上方から被せられる蓋部5とを備える。底部1は、長孔状の底部通気孔12を、互いに平行に位置するように多数有する。蓋部5は、長孔状の蓋部通気孔52を、互いに平行に位置するように多数有する。底部通気孔12の長手方向と、蓋部通気孔52の長手方向は、互いに相違する。
【0103】
第1態様に係る運搬用容器によれば、運搬用容器を段積みするにあたり、下側の運搬用容器の蓋部5の上に、上側の運搬用容器の容器本体3の底部1を乗せたときに、底部通気孔12と蓋部通気孔52が上下に連通する面積を抑えることができる。そのため、運搬中に家禽が卵を踏み潰す等した場合でも、底部通気孔12と蓋部通気孔52を通じて、卵殻の破片や液体が下側の運搬用容器に落ちることが抑えられ、また、下側の運搬用容器に糞が落ちることも抑えられる。
【0104】
また、本開示の第2態様に係る運搬用容器は、家禽を運搬するための運搬用容器であって、底部1と周壁部2とを有する容器本体3と、周壁部2に対して上方から被せられる蓋部5とを備える。底部1は、長孔状の底部通気孔12を、互いに平行に位置するように多数有する。蓋部5は、長孔状の蓋部通気孔52を、互いに平行に位置するように多数有する。底部通気孔12の長手方向と、蓋部通気孔52の長手方向は、互いに同一である。蓋部5の上に容器本体3の底部1を乗せたときに、底部通気孔12の少なくとも一部領域が、蓋部5のうち蓋部通気孔52を除いた部分と上下に重なり、蓋部通気孔52の少なくとも一部領域が、底部1のうち底部通気孔12を除いた部分と上下に重なるように構成されている。
【0105】
第2態様に係る運搬用容器によれば、運搬用容器を段積みするにあたり、下側の運搬用容器の蓋部5の上に、上側の運搬用容器の容器本体3の底部1を乗せたときに、底部通気孔12と蓋部通気孔52が上下に連通する面積を抑えることができるので、運搬中に家禽が卵を踏み潰す等した場合でも、卵殻の破片や液体が下側の運搬用容器に落ちることが抑えられ、また、下側の運搬用容器に糞が落ちることも抑えられる。
【0106】
また、本開示の第3態様に係る運搬用容器は、家禽を運搬するための運搬用容器であって、底部1と周壁部2とを有する容器本体3と、周壁部2に対して上方から被せられる蓋部5とを備える。底部1は、真円又は正方形状の底部通気孔12を多数有する。蓋部5は、真円又は正方形状の蓋部通気孔52を多数有する。蓋部5の上に容器本体3の底部1を乗せたときに、底部通気孔12の少なくとも一部領域が、蓋部5のうち蓋部通気孔52を除いた部分と上下に重なり、蓋部通気孔52の少なくとも一部領域が、底部1のうち底部通気孔12を除いた部分と上下に重なるように構成されている。
【0107】
第3態様に係る運搬用容器によれば、運搬用容器を段積みするにあたり、下側の運搬用容器の蓋部5の上に、上側の運搬用容器の容器本体3の底部1を乗せたときに、底部通気孔12と蓋部通気孔52が上下に連通する面積を抑えることができるので、運搬中に家禽が卵を踏み潰す等した場合でも、卵殻の破片や液体が下側の運搬用容器に落ちることが抑えられ、また、下側の運搬用容器に糞が落ちることも抑えられる。
【0108】
また、本開示の第4態様に係る運搬用容器は、第1から第3のいずれか1つの態様の運搬用容器において、底部1が、家禽が足を乗せる足乗せ部分15と、家禽の卵が集まるように足乗せ部分15の外周側に設けられた集卵部分17とを含む。足乗せ部分15の上面は、集卵部分17に向けて下り傾斜している。
【0109】
第4態様に係る運搬用容器によれば、家禽が運搬中に産卵した場合には、その卵は足乗せ部分15の傾斜によって集卵部分17にまで転がり、集卵部分17において保持される。そのため、実施形態4の運搬用容器によれば、運搬中の家禽が卵を潰すことが抑えられ、卵殻の破片や液体が下側の運搬用容器に落ちることが、一層効果的に抑制される。
【0110】
また、本開示の第5態様に係る運搬用容器は、第4態様の運搬用容器において、集卵部分17が、底部1の上面に設けられた凹条18である。
【0111】
第5態様に係る運搬用容器によれば、足乗せ部分15の傾斜によって集卵部分17にまで転がった卵は、集卵部分17において安定的に保持される。そのため、実施形態5の運搬用容器によれば、運搬中に卵殻の破片や液体が下側の運搬用容器に落ちることが、一層効果的に抑制される。
【0112】
以上、本開示の運搬用容器について、各実施形態及び変形例に基づいて説明したが、本開示の運搬用容器は上記の実施形態及び変形例に限定されず、適宜の設計変更を行うことが可能であるとともに、各実施形態や各種の変形例の構成を適宜に組み合わせて適用することが可能である。
【符号の説明】
【0113】
1 底部
12 底部通気孔
15 足乗せ部分
17 集卵部分
18 凹条
2 周壁部
3 容器本体
5 蓋部
52 蓋部通気孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15