(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理プログラム、情報処理装置および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20240514BHJP
G08G 1/123 20060101ALI20240514BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/123 A
G08G1/13
(21)【出願番号】P 2020099436
(22)【出願日】2020-06-08
【審査請求日】2023-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】500168811
【氏名又は名称】株式会社ナビタイムジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【氏名又は名称】吉田 昌司
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】高原 雅路
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-058345(JP,A)
【文献】特開2002-183892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G08G 1/123
G08G 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ側
の端末から送信された経路探索条件に基づいて探索されて前記ユーザ側の端末に向けて提供されるユーザ側経路と、当該ユーザ側経路に基づい
て探索され
て乗車サービス提供者側の端末に向けて提供される乗車サービス側経路とを比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果に基づいて前記ユーザ側経路と前記乗車サービス側経路との相違部分を取得する取得手段と、
前記取得した相違部分を判別可能に出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記出力手段は、少なくとも前記提供者側の端末または前記ユーザ側の端末を介して前記相違部分を判別可能に出力することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記出力手段は、前記提供者側の端末または前記ユーザ側の端末を介して前記相違部分に関連する相違関連情報を出力することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理システム。
相違関連情報
【請求項4】
前記出力手段は、前記提供者側の端末または前記ユーザ側の端末を介して前記相違部分に対するユーザの同意に関連する同意関連情報を出力することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
同意関連情報
【請求項5】
前記乗車サービス側経路は、前記ユーザ側経路上の通行規制を回避した移動経路および前記ユーザ側経路よりも目的地までの所要時間が短い移動経路の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
経路探索手段は、乗車サービスに利用する車両の配車および事前確定運賃の利用が決定された後に前記乗車サービス側経路を探索することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
コンピュータを、
ユーザ側
の端末から送信された経路探索条件に基づいて探索されて前記ユーザ側の端末に向けて提供されるユーザ側経路と、当該ユーザ側経路に基づい
て探索され
て乗車サービス提供者側の端末に向けて提供される乗車サービス側経路とを比較する比較手段、
前記比較手段の比較結果に基づいて前記ユーザ側経路と前記乗車サービス側経路との相違部分を取得する取得手段、および
前記取得した相違部分を判別可能に出力する出力手段、
として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項8】
通信可能に接続された複数のコンピュータによって構成される情報処理システムであって、
ユーザ側
の端末から送信された経路探索条件に基づいて探索されて前記ユーザ側の端末に向けて提供されるユーザ側経路と、当該ユーザ側経路に基づい
て探索され
て乗車サービス提供者側の端末に向けて提供される乗車サービス側経路とを比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果に基づいて前記ユーザ側経路と前記乗車サービス側経路との相違部分を取得する取得手段と、
前記取得した相違部分を判別可能に出力する出力手段と、
を備えた情報処理システムを機能させるために、
上記コンピュータの少なくとも1つを上記手段の少なくとも1つとして機能させるための情報処理プログラム。
【請求項9】
通信可能に接続された複数のコンピュータによって、請求項1乃至
6のいずれかに記載の情報処理システムを機能させるために、
上記コンピュータのうちの1つを請求項1乃至
6のいずれかに記載の情報処理システムにおける各手段の少なくとも1つとして機能させるための情報処理プログラム。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1乃至
6のいずれかに記載の情報処理システムにおける各手段の少なくとも1つとして機能させるための情報処理プログラム。
【請求項11】
通信可能に接続された複数の情報処理装置によって、
ユーザ側
の端末から送信された経路探索条件に基づいて探索されて前記ユーザ側の端末に向けて提供されるユーザ側経路と、当該ユーザ側経路に基づい
て探索され
て乗車サービス提供者側の端末に向けて提供される乗車サービス側経路とを比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果に基づいて前記ユーザ側経路と前記乗車サービス側経路との相違部分を取得する取得手段と、
前記取得した相違部分を判別可能に出力する出力手段と、
を備えた情報処理システムを構成するために、
上記手段の少なくとも1つを備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
比較手段が、ユーザ側
の端末から送信された経路探索条件に基づいて探索されて前記ユーザ側の端末に向けて提供されるユーザ側経路と、当該ユーザ側経路に基づい
て探索され
て乗車サービス提供者側の端末に向けて提供される乗車サービス側経路とを比較するステップと、
取得手段が、前記比較手段の比較結果に基づいて前記ユーザ側経路と前記乗車サービス側経路との相違部分を取得するステップと、
出力手段が、前記取得した相違部分を判別可能に出力するステップと、
を備えたことを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理プログラム、情報処理装置および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、目的地までのタクシーの移動経路を提供する技術が提案されている。例えば、特許文献1では、スマートフォン側の配車アプリを用いて設定されたルートを、乗車の際にスマートフォンからタクシーメータに送信し、タクシーメータ側のルートを表示する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、引用文献1では、単にユーザ側で探索された移動経路をそのままタクシー側で表示しているため、実際の乗車時に通行規制等によって通れない移動経路をユーザに提供してしまうことがあった。このように実際に即した移動経路が提供されないことで、従来は、経路の信頼性を向上させることが困難であった。
【0005】
本発明は、経路の信頼性を向上させることができる情報処理システム、情報処理プログラム、情報処理装置および情報処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る情報処理システムは、
ユーザ側で設定されたユーザ側経路と、当該ユーザ側経路に基づいて乗車サービス提供者側で探索された乗車サービス側経路とを比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果に基づいて前記ユーザ側経路と前記乗車サービス側経路との相違部分を取得する取得手段と、
前記取得した相違部分を判別可能に出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る情報処理システムは、
乗車サービスにおける移動経路として、探索領域を制限した制限経路と、探索領域を制限しない非制限経路とを探索する経路探索手段と、
前記制限経路と前記非制限経路とを比較可能に出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、経路の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る情報処理システム1の概略的な構成を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図3】
図2に続く第1実施形態に係る情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図4】第1実施形態に係る情報処理システム1の動作の一例として、ユーザ側端末装置2でのユーザ側経路の表示例を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る情報処理システム1の動作の一例として、経路情報の一例を示す図である。
【
図6】第1実施形態に係る情報処理システム1の動作の一例として、ユーザ側端末装置2での相違部分、相違関連情報、同意関連情報の表示例および乗車サービス側端末装置4での相違部分、相違関連情報、同意関連情報の表示例を示す図である。
【
図7】第1実施形態の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例として、乗車サービス側端末装置4での相違部分および相違関連情報の表示例を示す図である。
【
図8】第2実施形態に係る情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図9】第2実施形態に係る情報処理システム1の動作の一例として、ユーザ側端末装置2での制限経路、非制限経路、制限関連情報および非制限関連情報の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、同一符号の構成要素の詳しい説明は繰り返さない。
【0011】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る情報処理システム1について説明する。第1実施形態に係る情報処理システム1は、モバイル端末(スマートフォン、携帯電話、タブレット端末等)やパソコン等の電子機器の使用者に対して、乗車サービスにおける移動経路を提供するシステムである。乗車サービスとは、乗車サービス提供者から乗車サービス利用者(以下、ユーザとも呼ぶ)に提供されるサービスであって、ユーザを目的地まで乗車させるサービスである。乗車サービスは、典型的にはタクシーである。乗車サービスは、ライドシェア等のタクシー以外のサービスであってもよい。乗車サービスの提供は、乗車行為の提供(すなわち、乗車中のサービス提供)に限らず、乗車行為の提供に付随するサービスの提供(例えば、配車や事前運賃の確定等の乗車前または乗車時のサービス提供)を含んでもよい。
【0012】
図1に示すように、情報処理システム1は、電子機器の一例であるユーザ側端末装置2と、サーバ3とを備えている。ユーザ側端末装置2とサーバ3とは、インターネット等のネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。また、情報処理システム1は、電子機器の一例である乗車サービス側端末装置4を備えている。乗車サービス側端末装置4とサーバ3とは、インターネット等のネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。
【0013】
ユーザ側端末装置2とサーバ3とを接続するネットワークおよび乗車サービス側端末装置4とサーバ3とを接続するネットワークは、有線回線および無線回線のいずれでもよく、回線の種類や形態は問わない。なお、ユーザ側端末装置2、サーバ3および乗車サービス側端末装置4の少なくとも一部は、コンピュータにより実現される。
【0014】
(ユーザ側端末装置2)
ユーザ側端末装置2は、乗車サービスを利用するためにユーザが使用するものであり、例えば、スマートフォンやタブレット端末等のモバイル端末である。なお、ユーザ側端末装置2は、デスクトップ型のパソコンであってもよい。
【0015】
ユーザ側端末装置2は、
図1に示すように、入力部21と、出力部22と、制御部23と、通信部24とを有する。
【0016】
入力部21は、ユーザがユーザ側端末装置2に情報を入力するためのインターフェースであり、例えばモバイル端末におけるタッチパネルやマイクロフォン、タッチパッドもしくはダイヤルボタンであってもよい。また、入力部21は、デスクトップ型のパソコンのマウスやキーボードであってもよい。
【0017】
出力部22は、ユーザ側端末装置2からユーザに対して各種情報を出力するインターフェースであり、例えば液晶ディスプレイ等の映像表示手段である。一例として、出力部22は、入力部21を通じたユーザからの操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示する。出力部22は、各種情報を音声出力するスピーカを有していてもよい。
【0018】
なお、出力部22は、ユーザに情報を直接提示するものでなくてもよい。例えば、出力部22は、ユーザ側端末装置2の外部に接続される映像表示手段や音声出力手段に、映像信号や音声信号を出力するものであってもよいし、外部に接続される印刷装置にデータを出力するものであってもよいし、ユーザ側端末装置2内もしくは外部の記憶装置にデータを出力して記憶させるものであってもよい。
【0019】
制御部23は、
図1に示すように、情報提示部231を有する。制御部23は、乗車サービスに利用する車両を配車するための各種の制御を実行する。例えば、情報提示部231は、ユーザ側で乗車サービスにおける目的地までの移動経路を設定するための設定画面を、出力部22を介して表示する。ここで、ユーザ側で設定される乗車サービスにおける目的地までの移動経路のことを、ユーザ側経路と定義する。ここで、ユーザ側経路は、例えば、ユーザがユーザ側経路を探索するための経路探索条件(出発地、目的地、経由地等)を入力することで設定されてもよい。この場合、例えば、ユーザが入力部21を介して設定画面(経路探索画面)に経路探索条件を入力し、ユーザ側端末装置2からサーバ3に送信された当該経路探索条件に応じてサーバ3がユーザ側端末装置2にユーザ側経路を応答してもよい。そして、ユーザが入力部21を介して設定画面に当該応答されたユーザ側経路の承認(例えば、配車リクエスト)を入力することで、ユーザ側経路が設定されてもよい。ただし、ユーザ側経路の設定はこのような態様に限定されず、例えば、ユーザが出発地、目的地、交差点などのノードとは異なる形状点を入力することで行われてもよい。
【0020】
また、情報提示部231は、ユーザ側経路と、乗車サービス側端末装置4に向けてサーバ3から提供される乗車サービスにおける目的地までの移動経路(すなわち、乗車サービス提供者側の移動経路)である乗車サービス側経路との相違部分を、出力部22を介して判別可能に出力する。例えば、情報提示部231は、ユーザ側経路と乗車サービス側経路との相違部分を、出力部22を介して地図上に判別可能に表示する。情報提示部231は、ユーザ側経路と乗車サービス側経路との相違部分を、出力部22を介して判別可能に音声出力してもよい。このようなユーザ側経路と乗車サービス側経路との相違部分の判別可能な出力は、典型的には乗車前に行われるが、乗車時または乗車中に乗車サービス側経路が変更された場合には、これに応じて変更された相違部部分を乗車時または乗車中において判別可能に表示してもよい。また、情報提示部231は、ユーザ側経路と乗車サービス側経路との相違部分に関連する相違関連情報を、出力部22を介して出力する。また、情報提示部231は、乗車サービス側経路に対するユーザの同意に関連する同意関連情報を、出力部22を介して出力する。
【0021】
また、制御部23は、出力部22が表示した各種の画面に対する入力部21の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作の情報をネットワーク経由でサーバ3に送信する制御を実行する。制御部23は、ユーザ側端末装置2内のプロセッサが所定のプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0022】
通信部24は、ネットワークを介して制御部23とサーバ3との間で情報を送受信するためのインターフェースである。
【0023】
(サーバ3)
次に、サーバ3について説明する。
図1に示すように、サーバ3は、通信部31と、制御部32と、記憶部33とを有する。
【0024】
通信部31は、ネットワークを介してユーザ側端末装置2とサーバ3の制御部32との間で情報を送受信するインターフェースである。通信部31は、ネットワークを介して乗車サービス側端末装置4との間でも情報を送受信する。
【0025】
記憶部33は、例えばハードディスク等の固定型データストレージであり、各種データベースを格納する。なお、記憶部33は、必ずしもサーバ3内に設けられなくてもよく、ネットワークを介してサーバ3と通信可能に接続された別の装置内に設けられてもよい。
【0026】
記憶部33は、経路ネットワーク情報データベース331を有する。
【0027】
経路ネットワーク情報データベース331は、経路探索用のデータベースであり、経路ネットワーク情報として、例えば、交通ネットワーク情報を含む。交通ネットワーク情報は、鉄道やバス等の交通網や道路網を規定する情報である。交通網の情報としては、交通機関の路線情報、時刻表情報、料金情報等を含む。また、交通網の情報は、例えば駅等の路線網表現上の結節点(ノード)のデータと、結節点間の線路区間であるリンクのデータとの組み合わせによって表現される。また、道路網の情報は、例えば交差点等の道路網表現上の結節点(ノード)のデータと、結節点間の道路区間であるリンクのデータとの組み合わせによって表現される。ノードおよびリンクには、それぞれの通行し易さを示すコストが対応付けられている。また、道路網の情報は、リンクの形状を示す形状点を含んでいてもよい。
【0028】
また、図示しないが、記憶部33には、地図の表示や地点の検索等に用いる地図情報データベースを含んでいてもよい。地図情報は、全国または各地方の道路地図などの地図データを含み、地図データに対応付けられた地図オブジェクト情報(施設情報、注記情報、記号情報等)を含んでいてもよい。
【0029】
これらの記憶部33内のデータは、ユーザ側経路および乗車サービス側経路の探索に利用できる。記憶部33内のデータは、ユーザ側経路を探索するためのデータと、乗車サービス側経路を探索するためのデータとで別個に記憶されていてもよい。この場合、ユーザ側経路を探索するためのデータと、乗車サービス側経路を探索するためのデータとの間でデータの新しさが異なることで、ユーザ側経路と乗車サービス側経路とが異なることがある。
【0030】
次に、サーバ3の制御部32について説明する。制御部32は、
図1に示すように、経路探索手段の一例である経路探索部321と、比較手段の一例である比較部324と、相違部分取得部322と、出力手段の一例である相違部分取得部322および出力制御部323とを有する。
【0031】
経路探索部321は、経路ネットワーク情報に基づいて、ユーザ側端末装置2から送信されたユーザ側経路の経路探索条件にしたがったユーザ側経路を探索する。経路探索部321は、探索されたユーザ側経路を通信部31からユーザ側端末装置2に送信する。ユーザ側端末装置2に送信されたユーザ側経路は、情報提示部321を介して出力部22で表示される。また、経路探索部321は、ユーザ側経路に基づいて、経路ネットワーク情報を用いて乗車サービス側経路を探索する。例えば、経路探索部321は、ユーザ側経路に含まれるノードおよび形状点からユーザ側経路を構成するリンク列を引き当て、そのリンク列のコストを下げたコスト計算を行うことで、ユーザ側経路に対応する乗車サービス側経路を探索する。経路探索部321は、ユーザ側経路を構成する形状点のみから乗車サービス側経路を再現してもよい。
【0032】
しかしながら、乗車サービス側経路は、ユーザ側経路と必ずしも一致しない。例えば、既述したように、記憶部33内にユーザ側経路を探索するためのデータと乗車サービス側経路を探索するためのデータとが別個に記憶されていて両データの新しさが異なる場合や、ユーザ側経路と乗車サービス側経路との間で経路探索部321の経路計算アルゴリズムが異なる場合には、ユーザが指定した経路探索条件が同一であっても異なる移動経路が探索され得る。また、通行規制などのリアルタイムの道路状況を考慮した経路探索を行う場合、ユーザ側経路を探索してから乗車サービス側経路を探索するまでのタイムラグによって道路状況が変化することで、ユーザ側経路と異なる乗車サービス側経路が探索され得る。
【0033】
比較部324は、ユーザ側経路と乗車サービス側経路とを比較する。
【0034】
相違部分取得部322は、比較部324の比較結果に基づいて、ユーザ側経路と乗車サービス側経路との相違部分を取得する。
【0035】
出力制御部323は、相違部分取得部322で取得されたユーザ側経路と乗車サービス側経路との相違部分を、乗車サービス側端末装置4を介して判別可能に出力する。例えば、出力制御部323は、ユーザ側経路と乗車サービス側経路との相違部分を、乗車サービス側端末装置4を介して地図上において判別可能に表示する。出力制御部323は、ユーザ側経路と乗車サービス側経路との相違部分を、乗車サービス側端末装置4を介して判別可能に音声出力してもよい。
【0036】
また、出力制御部323は、ユーザ側経路と乗車サービス側経路との相違部分を、ユーザ側端末装置2を介して判別可能に出力する。例えば、出力制御部323は、ユーザ側経路と乗車サービス側経路との相違部分を、ユーザ側端末装置2を介して地図上において判別可能に表示する。出力制御部323は、ユーザ側経路と乗車サービス側経路との相違部分を、ユーザ側端末装置2を介して判別可能に音声出力してもよい。
【0037】
さらに、出力制御部323は、ユーザ側経路と乗車サービス側経路との相違部分に関連する相違関連情報を、乗車サービス側端末装置4を介して出力する。相違関連情報は、例えば、ユーザ側経路と乗車サービス側経路とが相違する理由を示す情報であってもよい。相違関連情報は、画像情報または音声情報もしくはこれらの双方であってもよい。
【0038】
さらにまた、出力制御部323は、相違関連情報を、ユーザ側端末装置2を介して出力する。ユーザ側端末装置2を介して出力される相違関連情報は、乗車サービス側端末装置4を介して出力される相違関連情報と同一であってもよく、または、部分的に異なっていてもよい。
【0039】
また、出力制御部323は、ユーザ側経路と乗車サービス側経路との相違部分に対するユーザの同意に関連する同意関連情報を、乗車サービス側端末装置4を介して出力する。乗車サービス側端末装置4を介して出力される同意関連情報は、例えば、ユーザ側経路と乗車サービス側経路との相違部分に対するユーザの同意を待っていることを示す情報であってもよい。同意関連情報は、画像情報または音声情報もしくはこれらの双方であってもよい。
【0040】
さらに、出力制御部323は、同意関連情報を、ユーザ側端末装置2を介して出力する。ユーザ側端末装置2を介して出力される同意関連情報は、例えば、ユーザ側経路と乗車サービス側経路との相違部分に対するユーザの同意を確認するための情報であってもよい。同意関連情報は、操作ボタンであってもよい。
【0041】
(乗車サービス側端末装置4)
次に、乗車サービス側端末装置4について説明する。乗車サービス側端末装置4は、ユーザに乗車サービスを提供するために乗車サービス提供者(例えば、タクシーの乗務員)が使用するものであり、例えば、スマートフォンやタブレット端末等のモバイル端末である。なお、乗車サービス側端末装置4は、デスクトップ型のパソコンであってもよい。
【0042】
乗車サービス側端末装置4は、
図1に示すように、入力部41と、出力部42と、制御部43と、通信部44とを有する。
【0043】
入力部41は、乗車サービス提供者が乗車サービス側端末装置4に情報を入力するためのインターフェースであり、例えばモバイル端末におけるタッチパネルやマイクロフォン、タッチパッドもしくはダイヤルボタンであってもよい。また、入力部41は、デスクトップ型のパソコンのマウスやキーボードであってもよい。
【0044】
出力部42は、乗車サービス側端末装置4から乗車サービス提供者に対して各種情報を出力するインターフェースであり、例えば液晶ディスプレイ等の映像表示手段である。一例として、出力部42は、入力部41を通じた乗車サービス提供者からの操作を受け付けるためのGUIを表示する。出力部42は、各種情報を音声出力するスピーカを有していてもよい。
【0045】
なお、出力部42は、ユーザに情報を直接提示するものでなくてもよい。例えば、出力部42は、乗車サービス側端末装置4の外部に接続される映像表示手段や音声出力手段に、映像信号や音声信号を出力するものであってもよいし、外部に接続される印刷装置にデータを出力するものであってもよいし、乗車サービス側端末装置4内もしくは外部の記憶装置にデータを出力して記憶させるものであってもよい。
【0046】
制御部43は、
図1に示すように、情報提示部431を有する。制御部43は、乗車サービス提供者に乗車サービスの内容を確認させるための各種の制御を実行する。例えば、情報提示部431は、ユーザ側経路と乗車サービス側経路との相違部分を、出力部42を介して判別可能に出力(例えば、地図上に表示または音声出力)する。また、情報提示部431は、相違関連情報および同意関連情報を、出力部42を介して出力する。
【0047】
また、制御部43は、出力部22が表示した各種の画面に対する入力部41の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作の情報をネットワーク経由でサーバ3に送信する制御を実行する。制御部43は、乗車サービス側端末装置4内のプロセッサが所定のプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0048】
通信部44は、ネットワークを介して制御部43とサーバ3との間で情報を送受信するためのインターフェースである。
【0049】
(動作例)
次に、
図1の情報処理システム1の動作例について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
図3は、
図2に続く第1の実施形態に係る情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0050】
図2に示すように、先ず、ユーザ側端末装置2の制御部23は、入力部21を用いたユーザによる経路探索画面の操作に応じて、経路探索条件を設定し、設定された経路探索条件を、通信部24からサーバ3に送信する(ステップS21)。
【0051】
ユーザ側端末装置2から経路探索条件が送信された後、サーバ3の経路探索部321は、送信された経路探索条件にしたがってユーザ側経路を探索する(ステップS31)。
【0052】
ユーザ側経路が探索された後、サーバ3の制御部32は、探索されたユーザ側経路と、ユーザ側経路に対応する乗車サービスの運賃を示す運賃情報とを、通信部31からユーザ側端末装置2に送信する(ステップS32)。ユーザ側経路に対応する運賃は、例えば、制御部32が、ユーザ側経路の距離に予め定められた係数を乗じることによって算出する。
【0053】
図4は、第1実施形態に係る情報処理システム1の動作の一例として、ユーザ側端末装置2でのユーザ側経路の表示例を示す図である。ユーザ側経路および運賃情報が送信された後、
図2および
図4に示すように、情報提示部231は、出力部22を介して地
図M上にユーザ側経路R1を表示するとともに運賃情報Fを表示する(ステップS22)。また、
図4に示すように、情報提示部231は、ユーザ側経路R1および運賃情報Fとともに配車リクエストボタンBを表示する。
【0054】
ユーザ側経路R1および運賃情報Fが表示された後、ユーザ側端末装置2の制御部23は、配車リクエストボタンBの操作に応じてユーザ側経路R1を示す経路情報と配車リクエストとを通信部24からサーバ3に送信する(ステップS23)。配車リクエストボタンBの操作によって、運賃情報Fに示される事前確定運賃の利用が決定される。ユーザ側経路に基づいてどのような経路情報をサーバ3に送信するかについては、例えば、サーバ3から提供されてユーザ側端末装置2(制御部23)で実行される乗車サービス用のプログラム(例えば、配車アプリ)によって予め決められていてもよく、または、入力部21を介してユーザが選択可能であってもよい。
【0055】
図5は、第1実施形態に係る情報処理システム1の動作の一例として、ユーザ側経路を示す経路情報の一例を示す図である。
図5に示すように、ユーザ側端末装置2からサーバ3に送信される経路情報は、例えば、ユーザ側経路R1を構成するノード群および形状点群である。
【0056】
ユーザ側端末装置2から経路情報および配車リクエストが送信されると、サーバ3の制御部32は、配車リクエストを通信部31から乗車サービス側端末装置4に送信する(ステップS33)。
【0057】
また、ユーザ側端末装置2から経路情報および配車リクエストが送信された後、
図3に示すように、経路探索部321は、経路情報に基づいて、乗車サービス側経路を探索する(ステップS34)。例えば、経路探索部321は、ユーザ側経路R1を探索したときの経路探索条件と同一の経路探索条件で乗車サービス側経路を探索する。乗車サービス側経路を探索するときは、ユーザ側経路を探索したときと比べて、探索に用いるデータの新しさ、探索に用いるアルゴリズム、または、道路状況が異なることがある。
【0058】
乗車サービス側経路が探索された後、比較部324は、ユーザ側経路と乗車サービス側経路とを比較する(ステップS35)。そして、相違部分取得部322は、比較部324の比較結果に基づいて、ユーザ側経路と乗車サービス側経路との相違部分を取得する(ステップS36)。
【0059】
ユーザ側経路と乗車サービス側経路との相違部分が取得された後、サーバ3の出力制御部323は、取得された相違部分を通信部51からユーザ側端末装置2および乗車サービス側端末装置4にそれぞれ送信する(ステップS37)。
【0060】
図6は、第1実施形態に係る情報処理システム1の動作の一例として、ユーザ側端末装置2での相違部分R2、相違関連情報D2、同意関連情報A2の表示例および乗車サービス側端末装置4での相違部分R2、相違関連情報D1、同意関連情報A1の表示例を示す図である。サーバ3からユーザ側経路と乗車サービス側経路との相違部分が送信された後、
図3および
図6に示すように、ユーザ側端末装置2の情報提示部231は、出力部22を介してユーザ側経路R1と乗車サービス側経路との相違部分R2を地
図M上において判別可能に表示する(ステップS24)。例えば、情報提示部231は、相違部分R2をユーザ側経路R1と異なる表示色で表示してもよい。
【0061】
また、
図3および
図6に示すように、情報提示部231は、相違部分R2とともに相違関連情報D2および同意関連情報A2を表示する(ステップS25)。
図6に示される例において、相違関連情報D2は、ユーザ側経路に対して乗車サービス側経路の差分が発生していること、および当該差分の発生が通行規制によるものであることを示す情報である。また、
図6に示される例において、同意関連情報A2は、相違部分R2に対する承諾を選択する承諾ボタンである。
【0062】
また、サーバ3から乗車サービス側端末装置4にユーザ側経路と乗車サービス側経路との相違部分が送信された後、
図3および
図6に示すように、乗車サービス側端末装置4の情報提示部431は、出力部42を介してユーザ側経路R1と乗車サービス側経路との相違部分R2を地
図M上において判別可能に表示する(ステップS41)。例えば、情報提示部431は、相違部分R2をユーザ側経路R1と異なる表示色で表示してもよい。
【0063】
また、
図3および
図6に示すように、情報提示部431は、相違部分R2とともに相違関連情報D1および同意関連情報A1を表示する(ステップS42)。
図6に示される例において、相違関連情報D1は、ユーザ側経路に対して乗車サービス側経路の差分が発生していること、および当該差分の発生が通行規制によるものであることを示す情報である。また、
図6に示される例において、同意関連情報A1は、相違部分R2に対するユーザの承諾を待っていることを示す情報である。ユーザの承諾が得られたうえで、運賃情報F(
図4参照)に示される事前確定運賃での走行が開始される。
【0064】
図7は、第1実施形態の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例として、乗車サービス側端末装置4での相違部分および相違関連情報の表示例を示す図である。
図6では、乗車サービス側経路の一部がユーザ側経路と相違する例について説明した。これに対して、
図7に示すように、乗車サービス側経路の全部がユーザ側経路R1と相違していてもよい。すなわち、相違部分R2は、乗車サービス側経路そのものであってもよい。また、相違関連情報D1として、ユーザ側経路と乗車サービス側経路との所要時間を示す情報を表示してもよい。
【0065】
ここで、ユーザ側経路と乗車サービス側経路との間で経路探索に用いる地図情報の新しさが異なる場合や、経路探索に用いる経路計算アルゴリズムが異なる場合には、ユーザが指定した経路探索条件が同一であっても異なる移動経路が探索され得る。また、通行規制などのリアルタイムの道路状況を考慮した経路探索を行う場合、ユーザ側経路を探索してから乗車サービス側経路を探索するまでのタイムラグによって道路状況が変化することで、ユーザ側経路と異なる乗車サービス側経路が探索され得る。このように、ユーザ側経路と異なる乗車サービス側経路が探索される場合、実際に通行できない移動経路などのユーザが意図しない移動経路が選択されることで、経路の信頼性が損なわれる虞がある。
【0066】
これに対して、第1実施形態によれば、ユーザ側経路と乗車サービス側経路との相違部分を乗車サービス側端末装置4を介して判別可能に出力することで、乗車サービス提供者からの伝聞または乗車サービス側端末装置4を視認することによって、ユーザが移動経路の変更を事前に知得する機会を確保することができる。これにより、実際に通行できない移動経路などのユーザが意図しない移動経路が提供されることを抑制することができるので、経路の信頼性を向上させることができる。
【0067】
また、第1実施形態によれば、ユーザ側経路と乗車サービス側経路との相違部分をユーザ側端末装置2を介して判別可能に出力することで、ユーザが移動経路の変更をさらに容易に把握することができるので、経路の信頼性を更に効果的に向上させることができる。
【0068】
また、第1実施形態によれば、乗車サービス側端末装置4に相違関連情報を出力させることで、ユーザ側経路と乗車サービス側経路との相違部分の発生原因を乗車サービスの提供者が容易に理解することができるので、乗車サービスの提供者の利便性を向上させることができる。
【0069】
また、第1実施形態によれば、ユーザ側端末装置2に相違関連情報を出力させることで、ユーザ側経路と乗車サービス側経路との相違部分の発生原因をユーザが容易に理解することができるので、経路の信頼性を更に効果的に向上させることができる。
【0070】
また、第1実施形態によれば、乗車サービス側端末装置4に同意関連情報を出力させ、ユーザ側端末装置2に同意関連情報を出力させることで、移動経路の変更に対するユーザの同意を得ることができるので、経路の信頼性を更に効果的に向上させることができる。
【0071】
(第2の実施形態)
次に、ユーザ側端末装置2に制限経路と非制限経路とを比較可能に表示させる第2実施形態について説明する。
【0072】
第2実施形態において、サーバ3の経路探索部321は、乗車サービス(例えば、タクシー)における移動経路として、探索領域を制限した制限経路と、探索領域を制限しない非制限経路とを探索する。制限経路は、探索領域をイベント発生による渋滞等が予想されずに乗車サービスにおける事前確定運賃の利用が可能な領域に制限して探索された移動経路であり、非制限経路は、探索領域を事前確定運賃の利用が可能な領域に制限せずに探索された移動経路である。言い換えれば、制限経路は、事前確定運賃を利用可能な移動経路であり、非制限経路は、事前確定運賃を利用不可能すなわち通常運賃(すなわち事後確定運賃)が適用される移動経路である。
【0073】
第2実施形態において出力手段として機能するサーバ3の制御部32は、ユーザ側端末装置2を介して制限経路と非制限経路とを比較可能に出力する。制限経路および非制限経路の出力は、地図上への表示および音声出力のいずれであってもよい。より詳しくは、制御部32は、乗車サービスに利用する車両の配車および事前確定運賃の利用が決定される前に、制限経路および非制限経路をユーザ側端末装置2を介して出力する。
【0074】
また、サーバ3の制御部32は、ユーザ側端末装置2に、制限経路に関連する制限関連情報と、非制限経路に関連する非制限関連情報とを出力させる。制限関連情報は、例えば、事前確定運賃の利用が可能であることを通知する情報を含んでいてもよい。非制限関連情報は、例えば、事前確定運賃の利用が不可能であることを通知する情報を含んでいてもよい。
【0075】
以下、第2実施形態に係る情報処理システム1の動作例について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図8は、第2実施形態に係る情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
図9は、第2実施形態に係る情報処理システム1の動作の一例として、ユーザ側端末装置2での制限経路、非制限経路、制限関連情報および非制限関連情報の表示例を示す図である。
【0076】
図8に示すように、第2実施形態においては、ユーザ側端末装置2からサーバ3に経路探索条件が送信されると、サーバ3の経路探索部321が、制限経路および非制限経路を探索する経路探索を行う(ステップS31)。
【0077】
制限経路および非制限経路が探索された後、サーバ3の制御部32は、制限経路および非制限経路を通信部31からユーザ側端末装置2に送信する(ステップS32A)。
【0078】
サーバ3から制限経路および非制限経路が送信されると、
図8および
図9に示すように、ユーザ側端末装置2の情報提示部231は、出力部22を介して制限経路Raと非制限経路Rbとを地
図M上において比較可能に表示する(ステップS22A)。
図9に示される例において、制限経路Raは、探索領域をイベント発生による渋滞のない領域(すなわち、事前確定運賃を利用可能な領域)に制限して探索された移動経路である。非制限経路Rbは、探索領域をイベント発生による渋滞のない領域に制限せずに探索された移動経路であり、非制限経路Rb上にはイベント発生区間が存在する。イベントは、1つの会場で行う大型イベントであってもよく、または、マラソンやパレード等の広範囲で行うイベントであってもよい。
【0079】
また、
図8および
図9に示すように、ユーザ側端末装置2の情報提示部231は、出力部22を介して制限関連情報Iaと非制限関連情報Ibとを出力する。(ステップS22B)。
図9に示される例において、制限関連情報Iaは、事前確定運賃が利用可能であることを示す情報である。非制限移動経路Ibは、事前確定運賃の利用が不可能であることを示す情報である。制限関連情報Iaおよび非制限関連情報Ibは、画像情報または音声情報もしくはこれらの双方であってもよい。
【0080】
制限関連情報Iaおよび非制限関連情報Ibを表示した後は、制限経路Raおよび非制限経路Rbのうちのユーザが選択した一方の経路を示す経路情報と配車リクエストとをサーバ3に送信し(ステップS23)、その後は、第1の実施形態のステップS34以降と同様の処理を行う。すなわち、制限経路Raおよび非制限移動経路Rbのうちのユーザが選択した一方の経路をユーザ側経路として設定し、このユーザ側経路を示す経路情報に基づいて乗車サービス側経路を探索し、ユーザ側経路と乗車サービス側経路を比較することで取得された両経路の相違部部分を判別可能に出力する。
【0081】
第2実施形態によれば、制限経路と非制限経路とをユーザに提示することで、ユーザが移動経路を事前に知得する機会を確保することができるので、ユーザが意図しない移動経路が選択されることによる信頼性の毀損を防止することができる。
【0082】
なお、第1実施形態においては、ユーザ側経路と乗車サービス側経路との相違部分に対してユーザの同意を求める例について説明したが、システムの利用開始時や配車アプリの導入時等において予めユーザから移動経路の変更等に対する包括的な同意が得られている場合には、サーバ3は、ユーザの同意を求めなくてもよい。なお、サーバ3から十分に正確な経路情報が得られずに移動経路の再現性が極めて悪い場合には、包括的な同意が得られている場合であってもユーザの同意を求めるようにしてもよい。また、ユーザの同意は、ユーザ側端末装置2の操作に限らず、乗車したユーザから口頭で得てもよい。その場合は、タクシーの乗務員が、同意がとられた旨を乗車サービス側端末装置4に入力すればよい。また、本発明は、タクシーだけでなくライドシェアや運転代行等に適用することもできる。
【0083】
上述した実施形態で説明した情報処理システムの少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、情報処理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD-ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0084】
また、情報処理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0085】
さらに、一つまたは複数の情報処理装置によって情報処理システムを機能させてもよい。複数の情報処理装置を用いる場合、情報処理装置のうちの1つをコンピュータとし、当該コンピュータが所定のプログラムを実行することにより情報処理システムの少なくとも1つの手段として機能が実現されてもよい。
【0086】
また、方法の発明においては、全ての工程(ステップ)をコンピュータによって自動制御で実施するようにしてもよい。また、各工程をコンピュータに実施させながら、工程間の進行制御を人の手によって実施するようにしてもよい。また、さらには、全工程のうちの少なくとも一部を人の手によって実施するようにしてもよい。
【0087】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 情報処理システム
4 乗車サービス側端末装置
321 経路探索部
322 相違部分取得部
323 出力制御部
324 比較部