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特許7487934分散型計算センタネットワークによる3次元空間における最適化されたリアルタイム応答性の連続的な位置情報に基づくクラウドコンピューティング、レンダリング、追跡および通信サービスのための仮想無線アクセスネットワークシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】分散型計算センタネットワークによる3次元空間における最適化されたリアルタイム応答性の連続的な位置情報に基づくクラウドコンピューティング、レンダリング、追跡および通信サービスのための仮想無線アクセスネットワークシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/02 20180101AFI20240514BHJP
   G06F 9/50 20060101ALI20240514BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20240514BHJP
   H04L 67/52 20220101ALI20240514BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20240514BHJP
   H04W 28/16 20090101ALI20240514BHJP
   H04W 99/00 20090101ALI20240514BHJP
【FI】
H04W4/02
G06F9/50 150A
G06T19/00 A
H04L67/52
H04W16/28
H04W28/16
H04W99/00
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020137852
(22)【出願日】2020-08-18
(65)【公開番号】P2021057888
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2020-12-11
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-14
(31)【優先権主張番号】16/546,015
(32)【優先日】2019-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519186347
【氏名又は名称】ザ カラニー ホールディング エスエーアールエル
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】セヴァト,イエルリ
【合議体】
【審判長】廣川 浩
【審判官】新田 亮
【審判官】本郷 彰
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-511086(JP,A)
【文献】国際公開第2019/140221(WO,A1)
【文献】特表2015-502584(JP,A)
【文献】国際公開第2019/133049(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/199494(WO,A1)
【文献】特開2019-016972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
広域分散型計算センタネットワークシステムであって、
互いにおよび1つ以上のクラウドサーバをそれぞれ備える複数の分散型計算センタに通信接続された1つ以上のデータセンタであって、前記データセンタは、前記1つ以上のクラウドサーバの間でデジタルリアリティおよびユーザデータの一貫性および均一性を維持するべく前記複数の分散型計算センタを同期するように構成されており、3次元空間におけるリアルタイム応答性の位置情報に基づくサービスを提供するように構成された広域分散型計算センタネットワークを形成し、各データセンタは、動的ネットワークスライシングおよび前記分散型計算センタの管理によるサービス品質管理を行うように構成された1つ以上のマスタサーバを備える、データセンタ
を備える、システム。
【請求項2】
前記広域分散型計算センタネットワークによって提供される位置情報に基づくサービスは、デジタルリアリティデータのリアルタイムクラウドコンピューティング、デジタルリアリティデータのリアルタイムレンダリング、クライアント装置のリアルタイム追跡、またはリアルタイム通信のうちの1つ以上あるいはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つ以上のクラウドサーバまたは前記1つ以上のマスタサーバは、アンテナを前記クラウドサーバおよび前記クライアント装置に接続するように構成されたネットワークオペレーティングシステム(NOS)を含むオペレーティングシステムと、前記動的ネットワークスライシングおよびサービス品質管理を行うように構成されたデジタルリアリティ仮想無線アクセスネットワーク(VRAN)と、前記動的ネットワークスライシングおよびサービス品質管理を行うために前記デジタルリアリティVRANによって使用されるデータおよび命令を含む体験オペレーティングシステムとをさらに備える、請求項に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つ以上のクラウドサーバまたは前記1つ以上のマスタサーバは、前記クライアント装置上に装着されたセンサによって取り込まれたマルチソース感知データに基づいて更新される実世界要素の仮想レプリカを記憶しているパーシステント仮想世界システムをメモリに記憶し、かつ前記デジタルリアリティVRANは前記パーシステント仮想世界システムからのデータに基づいて前記動的ネットワークスライシングおよびサービス品質管理を行う、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記デジタルリアリティVRANよって行われる動的ネットワークスライシングおよびサービス品質管理は、最適ビーム形成、アンテナのステアリング、サーバホッピング、アンテナホッピング、スーパーピアの割り当て、前記クライアント装置によって必要とされるネットワーク機能、ならびにクライアント装置ごとのサブキャリアの最適数および総帯域幅を決定し、かつ前記動的ネットワークスライシングおよびサービス品質管理は前記3次元空間における位置情報に基づくサービスである、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記デジタルリアリティVRANによって行われる動的ネットワークスライシングおよびサービス品質管理は、サービス地点、コンテキスト、優先度およびセキュリティを含むパラメータに基づいている、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記サービス品質管理は、
グローバルプロファイル、契約に基づくプロファイルまたは人工知能に基づくプロファイルのうちの1つ以上を含むユーザに割り当てられたユーザプロファイル、および
順位値、優先度レベルおよびセキュリティレベルを含む、前記割り当てられたユーザプロファイルに基づくサービスコンテキストパラメータ
に基づいて前記1つ以上のマスタサーバによって行われ、前記1つ以上のマスタサーバは前記割り当てられたユーザプロファイルに従って各ユーザに帯域幅を割り当てる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムは、ネットワーク接続および追跡サービスを前記クライアント装置に提供するように構成されたネットワーク接続アンテナをさらに備え、かつ前記ネットワーク接続アンテナは、ミリ波(mmW)またはmmWとサブ6GHz通信システムとの組み合わせを含む、請求項2または3に記載のシステム。
【請求項9】
クライアント装置に3次元空間におけるリアルタイム応答性の位置情報に基づくサービスを提供する方法であって、前記方法は、
1つ以上のクラウドサーバの間でデジタルリアリティおよびユーザデータの一貫性および均一性を維持するべく、前記1つ以上のクラウドサーバをそれぞれ備える複数の分散型計算センタを1つ以上の相互に接続されたデータセンタによって同期することであって、前記分散型計算センタは3次元空間におけるリアルタイム応答性の位置情報に基づくサービスを提供するように構成された広域分散型計算センタネットワークを形成し、各データセンタは1つ以上のマスタサーバを備えることと、
前記マスタサーバによって動的ネットワークスライシングおよび前記分散型計算センタの管理によるサービス品質管理を行うことと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記広域分散型計算センタネットワークによって提供される位置情報に基づくサービスは、デジタルリアリティデータのリアルタイムクラウドコンピューティング、デジタルリアリティデータのリアルタイムレンダリング、クライアント装置のリアルタイム追跡、またはリアルタイム通信のうちの1つ以上あるいはそれらの組み合わせを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上のクラウドサーバまたは前記1つ以上のマスタサーバは、アンテナを前記クラウドサーバおよび前記クライアント装置に接続するように構成されたネットワークオペレーティングシステム(NOS)を含むオペレーティングシステムと、前記動的ネットワークスライシングおよび前記サービス品質管理を行うように構成されたデジタルリアリティ仮想無線アクセスネットワーク(VRAN)と、前記動的ネットワークスライシングおよび前記サービス品質管理を行うために前記デジタルリアリティVRANによって使用されるデータおよび命令を含む体験オペレーティングシステムとを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上のクラウドサーバまたは前記1つ以上のマスタサーバは、前記クライアント装置上に装着されたセンサによって取り込まれたマルチソース感知データに基づいて更新される実世界要素の仮想レプリカを記憶しているパーシステント仮想世界システムをメモリに記憶し、かつ前記デジタルリアリティVRANは前記パーシステント仮想世界システムからのデータに基づいて前記動的ネットワークスライシングおよびサービス品質管理を行う、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記デジタルリアリティVRANにおいて行われる動的ネットワークスライシングおよびサービス品質管理は、最適ビーム形成、アンテナのステアリング、サーバホッピング、アンテナホッピング、スーパーピアの割り当て、クライアント装置によって必要とされるネットワーク機能、またはサービス品質を最適化するために必要とされるクライアント装置ごとのサブキャリアの最適数および総帯域幅あるいはそのような機能の組み合わせを決定することを含む1つ以上の機能を含み、かつ前記動的ネットワークスライシングおよびサービス品質管理は前記3次元空間における位置情報に基づくサービスである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記マスタサーバによって行われるサーバホッピングは、
アンテナからクライアント装置位置データを受信することと、
クライアント装置がクラウドサーバによって完全にカバーされていないゾーンに位置している場合に、前記クライアント装置に最も近いクラウドサーバに前記クライアント装置のためにデジタルリアリティデータの計算およびレンダリングを行うように指示することと、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記マスタサーバによって行われるアンテナホッピングは、
アンテナからクライアント装置位置データを受信することと、
クライアント装置がアンテナによって完全にカバーされていないゾーンに位置している場合に、前記クライアント装置に最も近い1つ以上のアンテナに前記クライアント装置のために追跡およびデータ提供を行うように指示することと、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
記マスタサーバによるスーパーピアの割り当ては、
アンテナからクライアント装置位置データを受信することと、
クライアント装置がサービス品質およびシステム計算能力が最適化されていないゾーンに位置している場合に、1つ以上の他のクライアント装置をピアクライアント装置のためにデジタルリアリティデータを集めて配信するためのスーパーピアデバイスとして割り当てることと、
前記クラウドサーバ、スーパーピアデバイスおよび他のピアクライアント装置の間での計算およびレンダリング動作のレベルを動的に調整することと、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記動的ネットワークスライシングおよびサービス品質管理は、
グローバルプロファイル、契約に基づくプロファイルまたは人工知能に基づくプロファイルのうちの1つ以上を含むプロファイルをユーザに割り当てることと、
前記割り当てられたユーザプロファイルに応じてサービスコンテキストパラメータおよび順位値、優先度レベルおよびセキュリティレベルを決定することと、
前記割り当てられたユーザプロファイルに従って各ユーザに帯域幅を割り当てることと、
前記割り当てられたユーザプロファイルによって決定されたユーザ順位値内に留めながらもコンテキストおよびサービス地点に基づいてネットワークスライシングおよびQoSを動的に管理することと、
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
ネットワーク接続および追跡サービスをクライアント装置に提供するためにネットワーク接続アンテナを提供することをさらに含み、かつ前記ネットワーク接続アンテナは、ミリ波(mmW)またはmmWとサブ6GHz通信システムとの組み合わせを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
前記動的ネットワークスライシングおよびサービス品質管理はサービス地点、コンテキスト、優先度およびセキュリティを含むパラメータに基づいている、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
互いにおよび1つ以上のクラウドサーバをそれぞれ備える複数の分散型計算センタに通信接続された1つ以上のデータセンタに、
前記1つ以上のデータセンタによって、前記1つ以上のクラウドサーバの間でデジタルリアリティおよびユーザデータの一貫性および均一性を維持するべく前記複数の分散型計算センタを同期させる工程であって、前記1つ以上のデータセンタは1つ以上のマスタサーバを備え、かつ前記分散型計算センタは、3次元空間におけるリアルタイム応答性の位置情報に基づくサービスを提供するように構成された広域分散型計算センタネットワークを形成している工程と、
前記マスタサーバによって動的ネットワークスライシングおよび前記分散型計算センタの管理によるサービス品質管理を行う工程と、
を行わせるように構成された命令をその上に記憶している1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
デジタルコンテンツをユーザに提供するための技術開発は過去には可能でなかった体験を可能にしている。特に拡張現実(AR)、仮想現実(VR)または複合現実(MR)などのデジタルリアリティはユーザが何を見て聞いて感じているか、および実世界がどれだけこれらの体験の中に入り込んでいるかに関してユーザの知覚を変化させ、ユーザに実世界または想像世界の中の場所に物理的に存在しているという感覚を与える。
【背景技術】
【0002】
これらのより没入型のインタラクティブな体験を達成するための典型的な方法は、ヘッドマウント型のデジタルリアリティ装置を使用することである。これらの装置は通常、中央処理装置(CPU)、集中的グラフィックス演算を処理するためのグラフィックス処理装置(GPU)、ジオメトリ変換を行うためのベクトルユニットならびに他のハードウェア、ファームウェアおよびソフトウェアを備えることができる。但し、AR、VRおよびMR体験を含むような極めて動的かつインタラクティブなアプリケーションは主としてクライアント装置側にダウンロードされてホストされるため、当該アプリケーションを実行するためにハードウェア要求が高くなる。さらにGPUを収容し、かつそれらの所望の性能を達成するために、現在のところ高品質のヘッドマウント型のデジタルリアリティ装置は非常に高性能かつ高価なパーソナルコンピュータ(PC)に物理的に繋がれている。これらの要求は高い価格および限られた可動性が原因でより大きな採用障壁を生み出し、これにより全体的体験が難しくなる。さらに複合的かつインタラクティブなAR、VRおよびMRの3Dグラフィックスのストリーミングは高いデータ転送速度を必要とする。
【0003】
AR、VRおよびMRの採用障壁と共にハードウェアおよびネットワーク要求を減らすためには、計算的集中タスクを1つ以上の高性能リモートサーバまたはクラウドサーバにオフロードするという所望が生じる。クラウドコンピューティングを用いる今日では支配的な典型的なアプリケーション(インスタントメッセージング、ウェブページのローディングなどのような非同期すなわち一方向配信アプリケーション)は約100msのレイテンシに耐えることができると共に、既存のネットワークインフラ、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)および集中型クラウドコンピューティングによってサポートされている。リモートレンダリングのために用いられる現在のアーキテクチャは、最小のレベルの動的インタラクションによる静的な予め定められたコンテンツの配信のために最適化されている。しかし動的AR、VRおよびMRアプリケーションはリアルタイムなインタラクションを必要とし、従って極めて低いレイテンシ(約7ms)はネットワークに非常に高い要求を課し、かつユーザが楽しむことができるデジタルリアリティ体験の品質および多様性を制限する。さらにこれらの欠点が、連続的なクラウドコンピューティング、クラウドレンダリング、追跡およびクライアント装置への通信サービスの提供を妨げたり制限したりする。
【発明の概要】
【0004】
本概要は、発明を実施するための形態において以下にさらに説明されている単純化された形態での選択された概念を紹介するために提供されている。本概要は特許請求されている主題の重要な特徴を特定するためのものでもなければ、特許請求されている主題の範囲を決定するのを助けるものとして使用されるものでもない。
【0005】
背景技術に記載されている1つ以上の欠点は、分散型計算センタネットワークによる3次元空間における最適化されたリアルタイム応答性の連続的な(または時折のネットワークレイテンシ問題またはサービス中断を許容する実質的に連続的な)位置情報に基づくサービスを可能にするためのシステムおよび方法により本開示によって対処される。位置情報に基づくサービスとしては、デジタルリアリティデータのリアルタイムクラウドコンピューティング、デジタルリアリティデータのリアルタイムレンダリング、クライアント装置のリアルタイム追跡またはリアルタイム通信、あるいはそれらの組み合わせが挙げられる。本システムおよび方法は、ユーザの装置の近くに位置している特定の物理的エリアすなわちサーバゾーンをカバーするクラウドサーバに計算的集中タスクをオフロードする。本明細書に記載されている方法は、計算電力、システム帯域幅ならびにアンテナのビーム形成およびステアリングを最適化するのに有利であり得る動的ネットワークスライシングおよびサービス品質(QoS)管理を含む。いくつかの実施形態では、サービスの実際の提供、QoS、どのサーバがどの機能を行うか、およびどのレベルであるかなども例えばクライアント装置の位置によって影響を受け、かつその位置に対して応答性であるという意味で、動的ネットワークスライシングおよびQoS管理を3次元空間における位置情報に基づくサービスとしてみなしてもよい。上記方法を行うための命令は、クラウドサーバ内のデジタルリアリティ仮想無線アクセスネットワーク(VRAN)に組み込まれ、かつそこで行われてもよい。
【0006】
「クラウドコンピューティング」とは本明細書では、クラウドサーバによりデジタルリアリティデータなどのデータを記憶および処理することを指す。「クラウドレンダリング」とは本明細書では、クラウドサーバによりジオメトリ、視点、テクスチャ、照明、音および他の情報を含むことができるシーンファイルから写真のようにリアルな画像および体験を生成するプロセスを指す。例えば、クラウドサーバ内のプロセッサはシーンの3次元表示の立体的表示をレンダリングしてもよく、両耳性の音声出力を提供してもよく、かつユーザに皮膚感覚を与えるためにデジタルリアリティ装置により触覚出力を提供してもよい。本明細書に開示されている通信技術としては、ネットワークアンテナによって発せられるネットワーク信号を介したクラウドサーバからデジタルリアリティ装置へ、およびデジタルリアリティ装置からクラウドサーバへのデジタルリアリティデータなどのデータの伝送および取り出しが挙げられる。「追跡」とは本明細書では物体または装置の位置または向きを決定することを指す。追跡は、デジタルリアリティコンテンツの計算、レンダリングおよび通信を調整するためにさらに使用することができるクライアント装置(例えば、デジタルリアリティ装置または他の接続された計算装置)の追跡を指すように使用してもよい。これらのサービスは3次元空間における位置に基づいて提供される。3次元空間とは、物理的世界、仮想、複合もしくは拡張現実(VR、MRおよびAR)を含むことができる仮想世界または物理的世界および仮想世界の両方における空間を指してもよい。
【0007】
クライアント装置とは本明細書では、ヘッドマウントディスプレイ装置、シースルー装置およびスマートコンタクトレンズなどのデジタルリアリティ装置あるいはモバイルデバイス、ウェアラブルデバイス、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、ゲーミングデバイスまたはモノのインターネットデバイスなどの他の接続された計算装置を指す。
【0008】
一実施形態によれば、広域分散型計算センタネットワーク(WADCCN)は、大きな地理的エリアをカバーしてサービスを提供するように構成されており、ここでは3次元空間におけるクラウドコンピューティング、レンダリング、追跡および通信サービスがクライアント装置に提供される。WADCCNは様々な分散型計算センタ(DCC)を含んでいてもよく、そのうちの1つ以上がデータセンタ(DC)に接続されており、DCによって同期される。2つ以上の通信接続され、かつ同期されるDCCがWADCCNシステムを形成している。さらなる実施形態では、少なくとも1つのDCに通信接続された少なくとも1つのDCCが同期されるDCCを形成していてもよく、これはより小さい地理的エリアをカバーし、かつそこにサービスを提供するように構成されていてもよい。同期されるDCCは、DCに互いに通信接続され、かつDCによって同期される複数の計算センタ(CC)を含んでいてもよい。1つ以上のDCは、CCに位置している異なるクラウドサーバから受信されたアプリケーションおよびユーザデータの記憶および同期を行うのに十分な計算リソースを有する1つ以上のマスタサーバを備えていてもよい。
【0009】
データ同期は、様々なサーバゾーンの異なるクラウドサーバの間でのデジタルリアリティアプリケーションデータおよびユーザデータの一貫性および均一性を維持するプロセスを含んでもよい。
【0010】
一実施形態では、DCCは1つ以上のDCによって同期される約2~約50個のCCを含んでいてもよい。DCは、電気通信および記憶システム、電力供給、重複データ通信接続、環境制御ならびに各種セキュリティ装置などのコンピュータシステムおよび付随する構成要素を収容するための施設を備えていてもよい。DCはリモートエリアに位置していてもよく、かつ複数のDCCにサービスを提供するために比較的大きい地理的広がり(例えば、都市、国または大陸)をカバーしてもよい。さらなる実施形態では、クラウドサーバを収容するCCはより小型版のDCであってもよく、従ってコンピュータシステムおよび付随する構成要素を収容するための施設も備えていてもよい。但し、CCはユーザにより近くなるようにより人口が密集したエリアに位置していてもよく、かつ低レイテンシおよび最適化されたQoSでユーザにより良いサービスを提供するという点で、CCはDCとは異なってもよい。
【0011】
一実施形態ではネットワーク接続アンテナは、それらにネットワーク接続および追跡サービスを提供するために、CCおよびDCまたはCCによってサービスが提供されるエリアに比較的近いエリアに構成されていてもよい。これらの実施形態では、当該アンテナはCCおよびDCへの有線手段を介して接続されている。同様に当該アンテナは、CCおよびDCの中あるいはCCによってサービスが提供されるエリア内にも設置されていてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、ハードウェアおよびネットワーク要求を減らし、ネットワークレイテンシの低下に寄与し、かつ一般的な複合現実体験を向上させるために、本システムは、ミリ波(mmW)または第5世代無線システム通信(5G)などのmmWとサブ6GHz通信システムとの組み合わせを含むネットワークを介して接続してもよい。他の実施形態では、本システムは例えば16GHzでデータを提供する無線ローカルエリアネットワーキング(Wi-Fi)を介して接続してもよい。提供される通信システムは、典型的には高インタラクティブなデジタルリアリティアプリケーションまたは他の高要求型アプリケーションを実行するために必要なパラメータに準拠している低いエンドツーエンド(E2E)レイテンシおよびその現場内のエンドポイントまでの高いダウンリンク速度を可能にしてもよい。これにより、高品質、低レイテンシ、リアルタイムのデジタルアプリケーションコンテンツストリーミングを結果的にもたらされる。他の実施形態では、本システムは、第4世代無線システム通信(4G)を介して通信接続してもよく、4G通信システムによってサポートされていてもよく、あるいは他の有線もしくは無線通信システムを備えていてもよい。
【0013】
一実施形態によれば、クラウドサーバ内に組み込まれたオペレーティングシステムは、実行された場合に3次元空間におけるリアルタイム応答性の連続的な位置情報に基づくクラウドコンピューティング、レンダリング、クライアント装置の追跡および通信サービスを可能にする命令を含む。これらのオペレーティングシステムは、アンテナをクラウドサーバおよびクライアント装置に接続するように構成されたネットワークオペレーティングシステム(NOS)と、動的ネットワークスライシングおよびサービス品質管理を行うように構成されたデジタルリアリティ仮想無線アクセスネットワーク(VRAN)と、動的ネットワークスライシングおよびサービス品質管理を行うためにデジタルリアリティVRANによって使用されるデータおよび命令を含む体験オペレーティングシステムとを備えていてもよい。
【0014】
一実施形態では、クラウドサーバに組み込まれたNOSは、仮想ネットワーク機能(VNF)の設計、作成、オーケストレーション、監視およびライフサイクル管理のための能力、VNFに含まれているキャリアスケールのソフトウェア・デファインド・ネットワーク(SDN)、ならびに上記機能を組み合わせたより高レベルのサービスを提供するオープンソースソフトウェアプラットフォームであるオープンネットワーク自動化プラットフォーム(ONAP)を含んでもよい。ONAPは、より速い開発およびより偉大な動作自動化の両方を達成する動的かつリアルタイムなクラウド環境におけるこれらの機能およびサービスの自動かつポリシー主導のインタラクションを提供する。
【0015】
デジタルリアリティVRANの実装は、当初は無線サイトに位置していたプロセッサをCCおよびDCに再配置することを含み、かつクラウドサーバおよびマスタサーバ上の仮想マシーン(VM)を用いて実装され、無線サイトにおける機能を分散させ、かつ無線アクセスネットワーク(RAN)におけるネットワーク機能を仮想化する。いくつかのCCおよびアンテナは、限定されるものではないが人口が密集したエリアで使用されるので、本開示のデジタルリアリティVRANは、ユーザの近くのネットワークリソースの効率的なスケーリングおよびプーリングを行うことができ、ネットワーク信号をユーザにより近づけ、かつ本開示のいくつかの実施形態で使用されるアンテナのmmWスペクトル信号の典型的な欠点を回避する。
【0016】
体験OSは、動的ネットワークスライシングおよびQoS管理のためにクライアント装置にネットワーク信号を制御および提供するために必要とされる処理を決定するためのデジタルリアリティVRANによって使用されるデータおよび命令を含む。いくつかの実施形態では、体験OSは、アンテナによってサービスを提供することができるクライアント装置ならびに各クライアント装置および各アンテナに影響を与え、かつ動的ネットワークスライシングおよびQoS管理に対して影響を与え得るコンテキストの数、位置および向きに関するデータおよび命令を受信、記憶および処理し、かつデジタルリアリティVRANに提供する。
【0017】
一実施形態によれば、CCのサーバはメモリおよびプロセッサを備え、プロセッサはメモリに記憶されている命令およびデータを実行するように構成されている。メモリはデータベースまたはデータ構造に実世界に基づいてモデル化されたパーシステント仮想世界システムを記憶している。パーシステント仮想世界システムは、実世界で見られる実世界実体の仮想レプリカを含む。パーシステント仮想世界システムは、実世界に存在していない純粋に仮想の物体およびそれらが構成されている位置でユーザが見てインタラクトすることができるアプリケーションをさらに含んでいてもよい。メモリは、ユーザが実世界実体の仮想レプリカならびに純粋に仮想の物体およびアプリケーションのグラフィカル表示をモデル化および編集するのを可能にするように構成されたソフトウェアおよびハードウェアを含むことができるレプリカエディタをさらに備えていてもよい。レプリカエディタは例えば、仮想レプリカを入力および編集するのに必要なデータおよび命令を記憶することができるコンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアであってもよい。レプリカエディタは各仮想レプリカに関する明示的データおよび命令の入力を可能にしてもよく、明示的データおよび命令とは、各レプリカおよび全体としての本システムの形状、場所、位置および向き、物理的特性ならびに期待される機能および影響を記述しているデータおよび命令を指す。一般に明示的データは、センシング機構によって得ることができないが、代わりに優先度データ、建物の材料、壁の厚さ、電気設備および回路、水道管、消火器、非常口、窓の位置、機械性能パラメータ、機械センサおよび弁の位置などのレプリカエディタを介してデジタルで入力することを必要とし得るデータを含んでもよい。いくつかの実施形態では、VRANはパーシステント仮想世界システムからのデータに基づいて動的ネットワークスライシングおよびサービス品質管理を行う。
【0018】
本開示では「パーシステント」という用語は、プロセスまたはネットワーク接続を連続的に実行することなく存在し続けることができるシステムの状態を特徴づけるために使用される。例えば「パーシステント」という用語は、仮想世界システムおよびその中に含まれている仮想レプリカまたは純粋に仮想の物体などの他の物体ならびにアプリケーションの全てが、それらを作成するために使用されるプロセスが停止した後にユーザが仮想世界システムに接続されているかに関わらず存在し続ける仮想世界システムを特徴づけるために使用することができる。従って仮想世界システムはクラウドサーバ内の不揮発性記憶位置に保存されている。このように、仮想レプリカ、純粋に仮想の物体およびアプリケーションは、ユーザがサーバに接続されていない場合であっても特定の目標を達成するために構成されている場合には互いにインタラクトして共同することができる。
【0019】
一実施形態によれば、クライアント装置上に装着された複数のセンシング機構は、レプリカエディタを介して入力された明示的データおよび命令をエンリッチ化および更新するのに役立つデータを実世界から連続的に取り込む。従って、サーバに記憶されているパーシステント仮想世界システムおよび仮想レプリカはそれぞれ、実世界の条件を反映したリアルタイムなマルチソース検知データにより更新され続ける。
【0020】
一実施形態によれば、クライアント装置は電源、メモリ、センサおよび送受信機を備え、全てがプロセッサに動作可能に接続されている。いくつかの実施形態では、送受信機はmmW送受信機である。電源はクライアント装置に電力を供給するように構成されており、メモリはアプリケーションプログラム命令を記憶し、かつセンサからのクライアント装置の遠隔測定メタデータを記憶するように構成されていてもよく、慣性測定ユニット(IMU)、加速度計およびジャイロスコープのうちの1つ以上を備えることができるセンサは、クライアント装置の速度、加速度、角運動量、並進速度、回転速度および他の遠隔測定メタデータを測定および報告するように構成されており、mmW送受信機は、クライアント装置がデジタルリアリティコンテンツとインタラクトした場合にアンテナからmmWを受信し、かつデータを送り戻すのを可能にしてもよく、かつクライアント装置の位置追跡も可能にしてもよく、プロセッサはクライアント装置のメモリに記憶されているアプリケーションプログラムを実行するように構成されていてもよい。特定の実施形態では、センサとmmW送受信機は切り離されていてもよい(すなわち互いに分離されている)。他の実施形態では、センサとmmW送受信機は互いに結合されて、クライアント装置内の1つの動作構成要素を形成していてもよい。
【0021】
一実施形態では、センサ(例えば、IMU、加速度計、ジャイロスコープおよび加速度計)の能力をmmW送受信機によって提供されるような位置追跡と組み合わせることにより、サブセンチメートルまたはサブミリメートルでの位置および向きの追跡を可能にしてもよく、これによりクライアント装置のリアルタイムな位置および向きを追跡する際の正確性を高めてもよく、かつ一般的なユーザ体験を向上させてもよい。クライアント装置の追跡はいくつかの技術(例えば、到着時間(TOA)、到着角度(AOA)、視覚的イメージング、レーダ技術など)のいずれかを用い、かつ全地球的航法衛星システム(GNSS)、支援型GNSS(AGNSS)、ディファレンシャルGPS(DGPS)、静止衛星型衛星航法補強システム(SBAS)、リアルタイムキネマティック(RTK)システムなどのシステムあるいはそれらの組み合わせを用いて行ってもよい。いくつかの実施形態では、装置の追跡はAGNSSと当該装置内の慣性センサとの組み合わせによって実行する。
【0022】
一実施形態によれば、サーバホッピング、アンテナホッピングおよびスーパーピアデバイス実装などの方法は、同期されるCCに実装されていてもよい。サーバホッピングの一実施形態では、1人以上のユーザは第1のサーバゾーンに入って1つ以上のデジタルリアリティアプリケーションなどの1つ以上のソースから取り出されたデジタルリアリティコンテンツと関わることができる。デジタルリアリティコンテンツはその後にデジタルリアリティ装置を介してユーザによってアクセスされた計算センタ内の第1のクラウドサーバによって計算およびレンダリングされる。1つ以上のデジタルリアリティ装置は1つ以上のアンテナによって連続的に追跡される。ユーザが第2のサーバゾーンに向かって移動するにつれて、1つ以上のアンテナが1つ以上のクライアント装置の移動を追跡し、かつそのユーザ位置をマスタサーバに送信する。ユーザのクライアント装置がサーバゾーンの中間で発見された場合、マスタサーバは、クライアント装置からアンテナによって送信された位置データに基づいて、第1および第2のゾーンのクラウドサーバにデジタルリアリティデータを部分的に計算およびレンダリングするように指示する。1つ以上のユーザデジタルリアリティ装置が第2のサーバゾーンに位置した後、1つ以上のアンテナは、マスタサーバに第1のサーバゾーンのクラウドサーバによって送信されるようなデジタルリアリティアプリケーションからデジタルリアリティデータを取り出して同期し始めるように指示する。その後マスタサーバは、1人以上のユーザが第2のサーバゾーンに位置している場合にそれらのクライアント装置を介してデジタルリアリティコンテンツを途切れなく受信し続けるように、第1のサーバゾーンのクラウドサーバからデジタルリアリティデータを取り出し始め、デジタルリアリティデータを同期し、かつ当該データを第2のサーバゾーンのクラウドサーバに送信する。
【0023】
アンテナホッピングの一実施形態では、上記サーバホッピングの説明を続けると、ユーザが第1のアンテナによって完全にカバーされていないが第2のアンテナによってカバーされているサーバゾーンに近づくにつれて、当該アンテナは最初にユーザ位置データをマスタサーバに送信し、次いでマスタサーバによって指示されるように、そのユーザ位置に応じてクライアント装置のサービス提供機能(例えば、通信および追跡)を交互に行うか共有するか、あるいは完全に切り替えてもよい。
【0024】
スーパーピアデバイス実装の一実施形態では、一例としてサーバホッピングの説明を用いると、2人以上のユーザがクラウドサーバからより遠くに移動するにつれて、当該アンテナは最初にユーザ位置データをマスタサーバに送信してもよく、次いでこれによりクラウドサーバに最も近く、かつ従って最も高い利用可能なQoSを有するクライアント装置をスーパーピアデバイスとして割り当ててもよい。スーパーピアデバイスは、他のデジタルリアリティ装置のためにデジタルリアリティデータを集めて他のピアデバイスに配信する暫定的サーバとして機能してもよい。
【0025】
一実施形態によれば、動的ネットワークスライシングおよびQoS管理はクラウドサーバのデジタルリアリティVRAN部において行われ、これらの機能を行うために必要とされ得る体験OSからのデータを使用してもよい。動的ネットワークスライシングおよびQoS管理を本明細書では、クライアント装置のためにネットワークを使用するための機能のセットを調整するための能力と呼ぶ。例えば動的ネットワークスライシングおよびQoS管理は、最適ビーム形成、アンテナのステアリング、サーバホッピング、アンテナホッピング、スーパーピアの割り当て、クライアント装置によって必要とされるネットワーク機能、ならびにQoSを最適化するために必要とされるクライアント装置ごとのサブキャリアの最適数および総帯域幅を決定してもよい。
【0026】
動的ネットワークスライシングおよびQoS管理は、サービス地点、コンテキスト、優先度およびセキュリティを含むパラメータに基づいていてもよく、そのための関連データは異なるクラウドサーバおよびマスタサーバで記憶および更新され、かつこれらはサーバの体験OS部で管理される。従ってこれらのパラメータは、実要素のそれぞれの実外観および行動をシミュレートしたデータおよび命令を含むクラウドサーバに記憶されているパーシステント仮想世界システム内に含まれている実世界の仮想レプリカを通して利用可能である。
【0027】
サービス地点とは本明細書では、クライアント装置とアンテナとの間の距離に関するようなクライアント装置の位置を指す。例えばクライアント装置がアンテナから離れるほど、信号減衰によりこの減衰を補償するためにクライアント装置に割り当てられることが必要となり得るサブキャリアは多くなる。
【0028】
クライアント装置およびアンテナの直接もしくは間接的な環境を「マイクロコンテキスト」および「マクロコンテキスト」と分類してもよい。コンテキスト情報はクラウドサーバ内のレプリカエディタを介して入力してもよく、クライアント装置のセンシング機構を介して取り込んでもよく、クラウドサーバによって推論してもよく、あるいはそれらの組み合わせであってもよい。「マイクロコンテキスト」という用語は、ネットワーク信号の送信および受信に直接影響を与え得るあらゆる人々、物体または条件などのクライアント装置およびアンテナを直接取り囲んでいるコンテキストを指す。マイクロコンテキストは、ターゲット実世界実体を直接取り囲み、かつ影響を与える環境の特に3D画像データ、3Dジオメトリ、3D実体、3D感知データ、3D動的オブジェクト、ビデオデータ、音声データ、テキストデータ、時間データ、材料データ、寸法データ、メタデータ、位置データ、照明データ、温度データおよびサービスコンテキストデータなどのデータを含んでもよい。
【0029】
例えば、クライアント装置が建物の内部でネットワーク信号を受信している場合、ネットワークスライシングおよびQoS管理に対して影響を有する関連するマイクロコンテキストは、建物の材料、壁の厚さおよび窓の位置ならびにネットワーク信号を潜在的に減衰させ得るアンテナの周りまたはクライアント装置の周りの建物または他の構造体を含んでもよく、そのうちの全てまたはほとんどがデジタルリアリティVRANによる処理中に関連し得る。さらにこの例ではデジタルリアリティVRANは、最適ビーム形成を行うと共にアンテナの周りの建物および他の構造体を回避するためにアンテナのステアリングを行い、かつネットワーク信号をより厚い壁または当該信号が透過するのが困難になり得る材料で作られた壁を通して方向づける代わりに、当該信号をクライアント装置を設置することができる窓またはより薄い壁を通して方向づけるなど、QoSを最適化することができ、かつ最小限の減衰により各クライアント装置に到達することができるようなネットワーク信号を方向づける方法を決定してもよい。
【0030】
「マクロコンテキスト」という用語は、アンテナおよびクライアント装置を取り囲んでいる間接的コンテキストを指す。マクロコンテキストは、複数のマイクロコンテキストからクラウドサーバによって導出してもよく、製造工場の現在の効率、空気品質、気候変動レベル、企業効率、都市効率、国効率などなどのシステムのより全体論的な情報が得られる。マクロコンテキストは、局所レベル(例えば、職場または製造工場)、近隣レベル、都市レベル、国レベルまたはさらには惑星レベルなどの目標に基づいて異なるレベルで検討および計算してもよい。従ってこれらの目標に応じて、同じ実世界要素データおよびマイクロコンテキストデータにより異なる種類のマクロコンテキストを導出してもよい。
【0031】
「サービスコンテキスト」という用語は、近くにいる1人以上のユーザによって使用されている実際のアプリケーションを指す。各アプリケーションが帯域幅を消費するにつれて、サービスコンテキストは、各クライアント装置へのネットワーク信号の提供を評価するために必要とされる価値あるコンテキスト情報をクラウドサーバに提供してもよい。
【0032】
一実施形態によれば、動的ネットワークスライシングおよびQoS管理は機械学習アルゴリズムを用いて行う。一般に機械学習中に、プログラマはコンピュータにサンプルデータのセットおよび所望の結果を与え、コンピュータはあらゆる将来のデータに適用することができるそれらのデータに基づいてそれ独自のアルゴリズムを生成する。従って本開示では、各パラメータおよび所望の結果に対応するデータセットと共に動的ネットワークスライシングおよびQoS管理パラメータのセットを、機械学習アルゴリズムをトレーニングするために提供してもよい。動的ネットワークスライシングおよびQoS管理を行う際に使用することができるトレーニングされた機械学習モデルを生成するために、これらのアルゴリズムはトレーニング中に数多くの繰り返しを経てもよい。当該トレーニングおよび推論はクラウドサーバ内の少なくとも1つのプロセッサによって行ってもよい。
【0033】
「優先度」または「優先度データ」とは、異なる関係者によって同意される種類の契約によって決定することができる、サービスプロバイダに関して特定のユーザが有し得る相対的重要性を指す。優先度の種類は、コンテキスト順位およびひいてはユーザが各種サービスのために受信することができる帯域幅の量に影響を与え得る。
【0034】
セキュリティに関するパラメータは、データ暗号化、ファイアウォール、仮想私設網(VPN)などの様々なセキュリティ対策を意味してもよい。セキュリティのレベルは契約の種類によって決定してもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、レンダリングおよび計算タスクは、異なるクラウドサーバ、クライアント装置および/またはスーパーピアデバイス間で共有してもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、サーバゾーンは1つ以上の地理的に限られたエリアを含んでもよい。例えばサーバゾーンは、屋外位置(例えば、公園、運動場、街路、動物園など)または屋内位置(例えば、ゲームゾーン、レストラン、エンターテイメントクラブ、劇場、職場など)であってもよい。
【0037】
一実施形態によれば、クライアント装置に3次元空間におけるリアルタイム応答性の連続的な位置情報に基づくサービスを提供するための方法は、3次元空間におけるリアルタイム応答性の連続的な位置情報に基づくサービスを提供するように構成された広域分散型計算センタネットワークを形成する複数の分散型計算センタを1つ以上の相互に接続されたデータセンタによって同期することと、マスタサーバによって動的ネットワークスライシングおよび分散型計算センタの管理によるサービス品質管理を行うこととを含む。
【0038】
一実施形態によれば、動的ネットワークスライシングおよびサービス品質管理のための本方法は、グローバルプロファイル、契約に基づくプロファイルまたは機械学習に基づくプロファイルのうちの1つ以上から選択されるプロファイルを各ユーザに割り当てることと、ユーザプロファイルに応じてサービスコンテキストパラメータならびに当該ユーザの順位値、優先度レベルおよびセキュリティレベルを決定することと、ユーザプロファイルに従って各ユーザに帯域幅を割り当てることと、割り当てられたユーザプロファイルによって決定されたユーザ順位値内に留まりながらもコンテキストおよびサービス地点に基づいて動的ネットワークスライシングおよびQoS管理を行うこととを含む。
【0039】
一実施形態によれば、デジタルリアリティVRANによる動的ネットワークスライシングおよびサービス品質管理のための本方法は、最適ビーム形成、アンテナのステアリング、サーバホッピング、アンテナホッピング、スーパーピアの割り当て、クライアント装置によって必要とされるネットワーク機能、ならびにサービス品質を最適化するために必要とされるクライアント装置ごとのサブキャリアの最適数および総帯域幅を決定することをさらに含む。
【0040】
一実施形態によれば、マスタサーバによって行われるサーバホッピングは、アンテナからクライアント装置位置データを受信することと、ユーザのクライアント装置がクラウドサーバによって完全にカバーされていないゾーンに位置している場合に、ユーザに最も近いクラウドサーバにクライアント装置のためにデジタルリアリティデータを計算およびレンダリングするように指示することとを含む。
【0041】
一実施形態によれば、マスタサーバによって行われるアンテナホッピングは、アンテナからクライアント装置位置データを受信することと、ユーザのクライアント装置がアンテナによって完全にカバーされていないゾーンに位置している場合に、ユーザに最も近い1つ以上のアンテナにクライアント装置のために追跡およびデータ提供を行うように指示することとを含む。
【0042】
一実施形態によれば、マスタサーバによるスーパーピアの割り当ては、アンテナからクライアント装置位置データを受信することと、ユーザのクライアント装置がサービス品質およびシステム計算能力が最適化されていないゾーンに位置している場合に、1つ以上のクライアント装置をピアクライアント装置のためにデジタルリアリティデータを集めて配信するためのスーパーピアデバイスとして割り当てることと、クラウドサーバ、スーパーピアデバイスおよび他のピアクライアント装置の間での計算およびレンダリング動作のレベルを動的に調整することとを含む。
【0043】
一実施形態によれば、デジタルリアリティVRANによる動的ネットワークスライシングおよびサービス品質管理のための本方法は、クラウドサーバおよびマスタサーバに記憶されているパーシステント仮想世界システムからのデータに基づいて行う。
【0044】
グローバルプロファイルは、一般ユーザに割り当てられる一般的なプロファイルであってもよい。従ってコンテキスト順位値(例えば、呼び出し、ビデオのストリーミング、ショートメッセージサービス(SMS)の送信および受信、ファイルのダウンロード/アップロードおよびビデオのダウンロード/アップロードなどの各種帯域幅消費サービスに割り当てられる値)は、一般ユーザからの統計学的使用平均に基づいて割り当てられる。グローバルプロファイルは、いくつかの実施形態では、有意な地理的差異がコンテキスト順位値間に存在することが決定された場合には地理的に(都市、州、国、地域など)適用してもよい。
【0045】
契約に基づくプロファイルは、ユーザとサービスプロバイダとの間での契約に規定されている条件に従って各コンテキストパラメータのために調整されたコンテキスト順位値を含んでもよい。契約に基づくプロファイルは優先度およびセキュリティなどの他の因子も決定してもよい。
【0046】
機械学習に基づくプロファイルは、機械学習技術の使用によりサービスコンテキスト順位を決定してもよく、かつイベントによって決定されるコンテキストゾーンに基づいてネットワークトラフィックを最適化してもよい。例えば、スポーツの試合が競技場で行われており、ユーザがビデオを記録し、かつライブビデオストリーミングを行っている場合、機械学習技術はその特定のグループのユーザのために高いコンテキスト順位値を決定してもよく、かつそれに応じて必要な帯域幅をユーザに提供してもよい。また他の実施形態では、機械学習に基づくプロファイルを使用して個々のユーザプロファイルを決定し、かつそれに応じて順位値を計算してもよい。
【0047】
上記概要は本開示の全ての態様の包括的なリストを含んでいない。本開示は、上に要約されている様々な態様の全ての好適な組み合わせならびに以下の発明を実施するための形態に開示されているものおよび特に本出願と共に提出されている特許請求の範囲の箇所に示されているものから実施することができる全てのシステムおよび方法を含むことが企図される。そのような組み合わせは上記概要に具体的に記載されていない特定の利点を有する。他の特徴および利点は添付の図面および以下に続く発明を実施するための形態から明らかになるであろう。
【0048】
本開示の特定の特徴、態様および利点は以下の説明および添付の図面に関してより良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】一実施形態に係る、3次元空間におけるリアルタイム応答性の連続的な位置情報に基づくサービスを可能にするための分散型計算センタネットワークを詳述している本開示のシステムの概略図を示す。
図2】一実施形態に係る、同期される分散型計算センタを詳述している本開示のシステムの概略図を示す。
図3A】一実施形態に係る、クラウドサーバを詳述している本開示のシステムの概略図を示す。
図3B】一実施形態に係る、クラウドサーバを詳述している本開示のシステムの概略図を示す。
図4A】一実施形態に係る、アンテナによってサービスを提供することができるクライアント装置の動作構成要素を詳述している本開示のシステムの概略図を示す。
図4B】一実施形態に係る、アンテナによってサービスを提供することができるクライアント装置の動作構成要素を詳述している本開示のシステムの概略図を示す。
図5A】一実施形態に係る、3次元空間におけるリアルタイム応答性の連続的な位置情報に基づくサービスを可能にするように構成することができる同期される計算センタを詳述している本開示のシステムの概略図を示す。
図5B】一実施形態に係る、3次元空間におけるリアルタイム応答性の連続的な位置情報に基づくサービスを可能にするように構成することができる同期される計算センタを詳述している本開示のシステムの概略図を示す。
図5C】一実施形態に係る、3次元空間におけるリアルタイム応答性の連続的な位置情報に基づくサービスを可能にするように構成することができる同期される計算センタを詳述している本開示のシステムの概略図を示す。
図5D】一実施形態に係る、3次元空間におけるリアルタイム応答性の連続的な位置情報に基づくサービスを可能にするように構成することができる同期される計算センタを詳述している本開示のシステムの概略図を示す。
図5E】一実施形態に係る、3次元空間におけるリアルタイム応答性の連続的な位置情報に基づくサービスを可能にするように構成することができる同期される計算センタを詳述している本開示のシステムの概略図を示す。
図5F】一実施形態に係る、3次元空間におけるリアルタイム応答性の連続的な位置情報に基づくサービスを可能にするように構成することができる同期される計算センタを詳述している本開示のシステムの概略図を示す。
図6A】一実施形態に係る、スーパーピアデバイスにより連続的な位置情報に基づく計算およびレンダリングサービスを可能にする本開示のシステムの概略図を示す。
図6B】一実施形態に係る、スーパーピアデバイスにより連続的な位置情報に基づく計算およびレンダリングサービスを可能にする本開示のシステムの概略図を示す。
図6C】一実施形態に係る、スーパーピアデバイスにより連続的な位置情報に基づく計算およびレンダリングサービスを可能にする本開示のシステムの概略図を示す。
図7A】一実施形態に係る、サーバホッピングが必要とされ得る場合に3次元空間におけるリアルタイム応答性の連続的な位置情報に基づくサービスを可能にするための方法のブロック図を示す。
図7B】一実施形態に係る、サーバホッピングが必要とされ得る場合に3次元空間におけるリアルタイム応答性の連続的な位置情報に基づくサービスを可能にするための方法のブロック図を示す。
図7C】一実施形態に係る、サーバホッピングが必要とされ得る場合に3次元空間におけるリアルタイム応答性の連続的な位置情報に基づくサービスを可能にするための方法のブロック図を示す。
図7D】一実施形態に係る、サーバホッピングが必要とされ得る場合に3次元空間におけるリアルタイム応答性の連続的な位置情報に基づくサービスを可能にするための方法のブロック図を示す。
図8】一実施形態に係る、アンテナホッピングが必要とされ得る場合に3次元空間におけるリアルタイム応答性の連続的な位置情報に基づくサービスを可能にするための方法のブロック図を示す。
図9】先行技術に係る、均一なネットワーク帯域幅スライシングの図を示す。
図10】一実施形態に係る、いくつかの動的ネットワークスライシングおよびQoS管理パラメータを示す。
図11】一実施形態に係る、サービスコンテキストパラメータを示す。
図12】一実施形態に係る、サービスコンテキストパラメータに含まれている優先度指標を決定するために使用することができるプロファイルの種類を示す、
図13】一実施形態に係る、動的ネットワークスライシングの例示的な図を示す。
図14】一実施形態に係る、帯域幅およびQoSを最適化するための方法のブロック図を示す。
図15】動的ネットワークスライシングおよびサービス品質管理を行うための方法のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下の説明では、様々な実施形態を例示として示す図面を参照する。また様々な実施形態をいくつかの例を参照することによって以下に説明する。当然のことながら、当該実施形態は特許請求されている主題の範囲から逸脱することなく設計および構造における変化を含んでもよい。
【0051】
図1は、一実施形態に係る、3次元空間におけるリアルタイム応答性の位置情報に基づくクラウドコンピューティング、レンダリング、追跡および通信サービスを可能にするための広域分散型計算センタネットワーク(WADCCN)システム100の概略図を示す。3次元空間とは、物理的世界、仮想、複合もしくは拡張現実(VR、MRおよびAR)を含むことができる仮想世界または物理的世界および仮想世界の両方における空間を指してもよい。
【0052】
WADCCNシステム100は、そのうちの1つ以上がデータセンタ104(DC)に接続されており、かつDC104によって同期される各種分散型計算センタ102(DCC)を含んでいてもよい。一実施形態では、2つ以上の通信接続され、かつ同期されるDCC102がWADCCNシステム100を形成していてもよく、これは大きな地理的エリアをカバーし、かつそこにサービスを提供するように構成されていてもよい。さらなる実施形態では、少なくとも1つのDC104に通信接続された少なくとも1つのDCC102が同期される分散型計算センタ(DDC)106を形成していてもよく、これはより小さい地理的エリアをカバーし、かつそこにサービスを提供するように構成されていてもよい。
【0053】
図2は、一実施形態に係る、図1に記載されているWADCCNシステム100に含めることができる同期されるDDC106のアーキテクチャ図を示す。図2のシステムは図1のシステムと同様の要素を含む場合があり、従って同じもしくは同様の符号を含んでいる場合がある。
【0054】
図2では、複数の計算センタ202(CC)は互いに通信接続されており、DCC102を形成している。CC間の接続は有線もしくは無線接続であってもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のDC104に通信接続された2つ以上のCC202が同期されるCC204を形成していてもよい。一般に、同期されるCC204は、図4にさらに説明されているように地理的に特定のサーバゾーンにサービスを提供するように構成されていてもよい。
【0055】
DC104は、電気通信および記憶システム、電力供給、重複データ通信接続、環境制御および様々なセキュリティ装置などのコンピュータシステムおよび付随する構成要素を収容するための施設を備えていてもよい。DC104はリモートエリアに位置していてもよく、かつ複数のDCC102にサービスを提供するために比較的大きい地理的広がりをカバーしてもよい。例えばDC104は、WADCCNシステム100の都市、国または場合によっては大陸のセットアップにサービスを提供して同期することができる十分なエリアをカバーしてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、DC104は、アプリケーションおよびユーザデータの記憶および異なるクラウドサーバ208から受信されたデータの同期を行うのに十分な計算リソースを有する1つ以上のマスタサーバ206を備えていてもよい。データ同期は、様々なサーバゾーンからの異なるクラウドサーバ208の間でデジタルリアリティおよびユーザデータの一貫性および均一性を維持するプロセスを含んでもよい。
【0057】
さらなる実施形態では、クラウドサーバ208を収容するCC202は、より小型版のDC104であってもよく、従ってコンピュータシステムおよび付随する構成要素を収容するための施設も備えていてもよい。但し、CC202をユーザにより近づけ、従ってユーザにより良いサービス(例えば、低レイテンシおよび高サービス品質(QoS))を提供するように人口の多いエリアに位置することができるという点で、CC202はDC104とは異なってもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、約2~約50個のCC202が相互に接続してDCC102を形成していてもよい。ネットワーク接続アンテナ210は、それらに通信サービスおよび追跡サービスを提供するためにCC202、DC104に比較的近いエリアおよび/またはCC202によってサービスが提供されるエリア内に構成されていてもよい。
【0059】
一実施形態では、屋外に位置している装置にサービスを提供するために、アンテナ210はミリ波(mmW)を利用するアンテナシステムまたは5世代無線システム通信(5G)などのmmWを利用するアンテナとサブ6GHzアンテナシステムとの組み合わせを含んでもよい。他の実施形態では、アンテナ210は4Gアンテナなどの他の種類のアンテナを含んでもよく、あるいはmmW/サブGHzアンテナシステムのためのサポートアンテナとして使用してもよい。
【0060】
アンテナ210が屋内でサービスを提供している実施形態では、アンテナ210は例えばデータを16GHzで提供する無線ローカルエリアネットワーキング(WiFi)を使用してもよい。
【0061】
本開示における屋外アンテナシステムのために、EHF帯とも呼ばれるmmW帯が用いられる。ミリ波帯は30~300GHzの範囲であるが、約10~300GHzの隣接するSHFもmmWと同様に伝搬するので、これらの波も含んでもよい。mmWを利用するアンテナまたはmmWを利用するアンテナとサブGHzアンテナシステムとの組み合わせは、mmWの極めて高い周波数により高反射性であり、壁または他の固体物体によって容易に遮断され、かつ葉を通り抜ける際や厳しい気候条件下では顕著な減衰に悩まされることがある。従ってアンテナ210は格子パターンで配置された小型のmmW送受信機を備えていてもよく、これは伝送電力を増加させることなく総エネルギを拡大させ、ゲインを増加させ、かつ電力損失を減少させるのを助けることができる。多入力多出力すなわちはMIMOなどの技術を使用して同時にいくつかの装置でビームを分離させるか複数のデータストリームを単一の装置に送信し、それによりQoSを高めてもよい。さらに当該アンテナは約100メートル~約2kmの比較的小さいエリアをカバーして、ミリ波の正確な伝搬を保証してもよい。サブ6GHzおよびmmW周波数空間の両方を利用するアンテナ210は、ユビキタスな、すなわち非常に広いカバー範囲およびネットワーク容量を同期されるCC204の要素に提供してもよい。
【0062】
図3A図3Bは、本開示の実施形態に係るクラウドサーバ208の例示的な図を示す。図3A図3Bのシステムは図1図2のシステムと同様の要素を含む場合があり、従って同じもしくは同様の符号を含んでいる場合がある。
【0063】
図3Aは、一実施形態に係る、クラウドサーバ208内に組み込まれたオペレーティングシステム302を示す。クラウドサーバ208に記憶されているオペレーティングシステム302は、クラウドサーバ208のプロセッサによって実行された場合に、同期されるDCCによる3次元空間におけるリアルタイム応答性の連続的な位置情報に基づくクラウドコンピューティング、レンダリング、クライアント装置の追跡および通信サービスを可能にするデータおよび命令を含むソフトウェアのセットを含む。オペレーティングシステム302は、ネットワークオペレーティングシステム304(NOS)と、デジタルリアリティ仮想無線アクセスネットワーク(VRAN)306と、体験オペレーティングシステム(OS)308とを備えていてもよい。クラウドサーバ208内のオペレーティングシステム302は、NOS304により1つ以上のアンテナ210に通信接続されていてもよい。
【0064】
NOS304は、アンテナ210をクラウドサーバ208に接続するための機能を提供するデータおよび命令のセットを含む。NOS304は、アンテナ210をデジタルリアリティ装置310または他の接続された計算装置などのクライアント装置314に接続するための機能をさらに含む。デジタルリアリティ装置310は、例えばヘッドマウントディスプレイ装置、シースルー装置およびスマートコンタクトレンズを含んでもよい。デジタルリアリティ装置の他に、クライアント装置はモノのインターネットデバイスなどのクラウドサーバ302および互いに接続することができる任意の種類の好適な計算装置を含んでもよい。接続された計算装置の非限定的な例としては、車両(例えば、自動車、列車、飛行機、ドローン、娯楽用乗り物など)、モバイルデバイス(例えば、携帯電話、ノートブックコンピュータ、タブレットコンピュータなど)、ウェアラブルデバイス(例えば、靴、手袋、帽子、指輪、衣服など)、組み込まれた計算および通信ハードウェアを備える飛び道具(例えば、スポーツボール、フリスビー、ブーメラン、他の玩具)、ならびに線路、街路、街灯および建物などの組み込まれた計算および通信ハードウェアを備える他の物理的物体が挙げられる。
【0065】
一実施形態では、クラウドサーバ208に用いられるNOS304は、仮想ネットワーク機能(VNF)の設計、作成、オーケストレーション、監視およびライフサイクル管理のための能力、VNFに含まれているキャリアスケールのソフトウェア・デファインド・ネットワーク(SDN)、ならびに上記機能を組み合わせたより高レベルのサービスを提供するオープンソースソフトウェアプラットフォームであるオープンネットワーク自動化プラットフォーム(ONAP)であってもよい。ONAPは、より速い開発およびより優れた動作自動化の両方を達成する動的かつリアルタイムなクラウド環境におけるこれらの機能およびサービスの自動かつポリシー主導のインタラクションを提供する。
【0066】
典型的には、無線機能を管理するベースバンドプロセッサは無線サイト(例えば、無線もしくはネットワークアンテナ)に位置している。本開示のデジタルリアリティVRAN306の実装は、当初は無線サイトに位置していたベースバンドプロセッサをCCおよびDCまで移動させることを含み、かつクラウドサーバ208およびマスタサーバ上の仮想マシーン(VM)を用いて実装され、無線サイトにおける機能を分散させ、かつ無線アクセスネットワーク(RAN)におけるネットワーク機能を仮想化する。VMはコンピュータシステムのソフトウェアベースのエミュレーションであり、これはコンピュータアーキテクチャに基づいており、かつ物理的コンピュータの機能を提供する。
【0067】
アンテナ210が本システムの異なる要素とデジタルリアリティ装置310とのデータ接続を可能にするmmW無線信号を提供した場合、このネットワーク信号はより長距離で効率的に伝搬することができず、かつミリ波の極めて高い周波数が原因で、これらの距離で大気、雨および植生によって過剰に吸収されることがある。従って、人口が密集したエリアにいくつかのCCを用いることにより、デジタルリアリティVRAN306はユーザの近くのネットワークリソースの効率的なスケーリングおよびプーリングを行うことができ、ネットワーク信号をユーザにより近づけ、かつmmWスペクトル信号の言及された欠点を回避する。
【0068】
体験OS308は、QoS管理のためにネットワーク信号を制御し、かつクライアント装置に提供するために必要とされる処理を決定するためにデジタルリアリティVRAN306によって使用されるデータおよび命令を含む。いくつかの実施形態では、体験OS308は、アンテナ210によってサービスを提供することができるクライアント装置の数、位置および向きに関するデータおよび命令およびメタデータ、ならびに各クライアント装置314および各アンテナ210に影響を与え、かつQoS管理に影響を与え得るコンテキストを受信、記憶および処理し、かつデジタルリアリティVRAN306に提供する。
【0069】
図3Bは、ネットワークを介してクライアント装置314に接続された本開示のクラウドサーバ208を示す。クラウドサーバ208はメモリ316および少なくとも1つのプロセッサ318を備える。メモリ316は、パーシステント仮想世界システム320をデータベースまたはデータ構造内に記憶し、かつそれぞれの実世界要素に対応する仮想レプリカA、B、CおよびDなどの複数の仮想レプリカ322を含む。仮想レプリカ322はクライアント装置314に接続されたセンサを介して実世界実体に通信接続されている。メモリ316は実世界において利用可能でない純粋に仮想の物体、ならびに仮想物体によって表すこともできるアプリケーションをさらに記憶していてもよい。
【0070】
一実施形態によれば、メモリ316はレプリカエディタ324をさらに含んでいてもよく、これはユーザが実世界実体の仮想レプリカ322、純粋に仮想の物体および当該アプリケーションをモデル化および編集するのを可能にするように構成されたソフトウェアおよびハードウェアを含んでもよい。レプリカエディタ324は例えば、仮想レプリカ322、純粋に仮想の物体および当該アプリケーションを入力および編集するのに必要なデータおよび命令を記憶することができるコンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアアプリケーションであってもよい。レプリカエディタ324は、仮想レプリカ322、純粋に仮想の物体および当該アプリケーションに関する明示的データおよび命令326の入力を可能にすることができ、当該データおよび命令は、それらの形状、場所、位置および向き、物理的特性および期待される機能を記述しているデータおよび命令を指す。一実施形態では明示的データおよび命令326は、クライアント装置314のセンサによって得ることができないが、代わりに優先度データ、建物の材料、壁の厚さ、電気設備および回路、水道管、消火器、非常口、窓の位置、機械性能パラメータ、機械センサおよび弁の位置などのレプリカエディタ324を介してデジタルで入力することを必要としてもよい。「命令」はプロセッサ318によって実行することができるコード(例えば2進コード)を指す。パーシステント仮想世界システムの文脈では、命令は仮想レプリカ322上での実世界実体の行動を表す。
【0071】
いくつかの実施形態では、仮想レプリカ322は、SLAMまたは誘導マッピングベースのデータなどの3D世界および建物データ、3Dジオメトリデータ、3Dポイントクラウドデータ、または仮想レプリカ322のために3D構造をモデル化するのに役立つことができる実世界構造特性を表す地理的情報システムデータのうちの1つ以上を含む。
【0072】
例としてエレベータの仮想レプリカ322は、エレベータの機械的構造および機能と共にジオメトリ、材料、物理的特性を表すデータおよび命令を含んでいてもよい。ある階から別の階への移動などの機能は、エレベータが実生活において移動するにつれてパーシステント仮想世界システム320においてリアルタイムで更新されてもよい。同様にエレベータが十分な計算および通信ハードウェアならびにエレベータをパーシステント仮想世界システム320からの通信に応答して制御することができる接続された電気機械部品を備えている場合には、エレベータは仮想レプリカ322を操作することによって実世界において間接的に操作することができる。
【0073】
明示的データおよび命令326により実世界実体を仮想レプリカ322に変換し、かつそれらをパーシステント仮想世界システム320において利用可能にするためのモデル化技術は、実世界実体の容易に入手可能なCADモデルに基づいていてもよい。例えば機械所有者は、彼らの機械の既に存在しているデジタルCADモデルをパーシステント仮想世界システム320の管理者に提供してもよく、あるいはそれらを自分自身で入力してもよい。同様に建物所有者は、建物情報モデル(BIM)にパーシステント仮想世界システム320に記憶されている建物の詳細を提供してもよく、この詳細は目で見ることが可能であったりセンシング機構を介して容易に入手可能であったりし得ない情報を含んでいてもよい。これらの実施形態では、これらの実世界実体の所有者は仮想レプリカ322をパーシステント仮想世界システム320の中に追加する責任を担ってもよく、これは例えばインセンティブシステムまたは法的必要条件によって達成してもよい。いくつかの実施形態では、パーシステント仮想世界システム320の管理者およびさらには官僚までもが、実世界実体をパーシステント仮想世界システム320の中に入力するために実世界実体の所有者と共同し、従ってパーシステント仮想世界システム320のより速くかつより完全な作成を実現してもよい。
【0074】
他の実施形態では、合成開口レーダ、実開口レーダ、光検出と測距(LIDAR)、逆合成開口レーダ、モノパルスレーダなどのレーダーイメージングおよび他の種類のイメージング技術を使用して実世界実体をマッピングおよびモデル化した後に、それらをパーシステント仮想世界システム320の中に一体化させてもよい。これらの技術的な解決法を利用することは、特に構造体の元のモデルが利用可能でない場合または欠損している情報が存在するか、CADモデルによって提供されないさらなる情報を仮想世界実体に追加する必要がある場合に行ってもよい。
【0075】
レプリカエディタ324によって入力される明示的データおよび命令326は、実世界実体の形状および他の特性の他に、例えば実世界実体の期待される機能を詳述している記述的データおよび命令を含んでいてもよい。例えば建物の明示的データおよび命令326は、建物がどの程度の帯域幅を消費するように設計されているか、建物が許容することができる人々の数、毎日何人の人々が歩き回るかなどを詳述している記述的データおよび命令と共に、建物の形状および特性(例えば、3D形状、壁の厚さ、火災探知機の位置、各セグメントのために使用されている材料、窓の位置、電線路および水道管の位置など)を含んでいてもよい。
【0076】
仮想レプリカ322を作成するために使用されるモデル化技術とは無関係に、各実世界実体の非常に正確な仮想レプリカ322が利用可能になるように、各仮想レプリカ322の情報は各対応する実世界実体に関する十分な詳細を提供しなければならない。次いで仮想レプリカ322はマルチソース感知データ328によりエンリッチ化および更新される。従って各仮想レプリカ322は、各実世界実体の実外観および行動を記述するのに役立つデータ330および命令332を含む。
【0077】
マルチソース感知データ328は、実世界要素からのマイクロコンテキストA、B、CおよびD(図示せず)を含むマイクロコンテキストならびにマクロコンテキスト(図示せず)などのコンテキストデータも含んでいてもよい。次いでこのデータを、対応するデジタルマイクロコンテキストA、B、CおよびDをそれぞれ含む仮想マイクロコンテキスト334ならびに仮想マクロコンテキスト336になるようにパーシステント仮想世界システム320に転送し、これらをクライアント装置314のセンサによって得られたマルチソース感知データ328に基づいてリアルタイムで更新する。仮想マイクロコンテキスト334および仮想マクロコンテキスト336は、マイクロコンテキスト334およびマクロコンテキスト336内の要素のそれぞれの実世界外観および行動を記述するのに役立つデータ330および命令332も含む。
【0078】
QoSの管理ならびにリアルタイム追跡、通信、レンダリングおよび計算などのサービスの提供は、各仮想レプリカ322に組み込まれた感知および明示的データおよび命令に直接関連づけることができるため、各実体および全体としての本システムに対応するコンテキストと共に実世界の外観および行動を模倣するこのデータおよび命令と共にパーシステント仮想世界システム320を含めることにより、各クライアント装置314のためのQoS調整を支援してもよい。従っていくつかの実施形態では、ネットワークスライシングおよびサービス品質管理はパーシステント仮想世界システム320からのデータに基づいている。
【0079】
図4A図4Bは、一実施形態に係る、アンテナ210によってサービスを提供することができるクライアント装置314(例えば、デジタルリアリティ装置310または他の接続された計算装置)の動作構成要素402を含む図400を示す。図4A図4Bのシステムは、図1図3Bのシステムと同様の要素を含む場合があり、従って同じもしくは同様の符号を含んでいる場合がある。
【0080】
図4Aは、クライアント装置314の動作構成要素402が電源404、メモリ406、センサ408およびmmW送受信機410を含み、全てがプロセッサ412に動作可能に接続されている一実施形態を示す。
【0081】
電源404はクライアント装置に電力を供給するように構成されている。一実施形態では、電源404は電池であってもよい。電源404はクライアント装置に内蔵されていてもクライアント装置から取外し可能であってもよく、かつ充電式であっても非充電式であってもよい。一実施形態では、ある電源404を別の電源404と置き換えることによってクライアント装置に電力を再供給してもよい。別の実施形態では、電源404を、パーソナルコンピュータに取り付けられたユニバーサル・シリアル・バス(「USB」)、ファイアワイヤ、イーサネット、サンダーボルト(Thunderbolt)またはヘッドホンケーブルなどの充電源に取り付けられたケーブルによって再充電してもよい。さらに別の実施形態では、電源404は電磁誘導充電によって再充電してもよく、ここではエネルギを電磁誘導充電器から電源404に移動させるために電磁場が使用される(その2つを至極近接させた場合)が、ケーブルを介して互いにプラグを差し込む必要はない。別の実施形態では、ドッキングステーションを使用して充電を容易にしてもよい。
【0082】
メモリ406は、アプリケーションプログラム命令を記憶し、かつセンサ408によって取り込まれたマルチソース感知データを記憶するように構成されたコンピューティングハードウェアおよびソフトウェアとして実装されていてもよい。メモリ406は、ハードドライブ、メモリカード、フラッシュドライブ、ROM、RAM、DVDまたは他の光ディスクなどのコンピュータ可読媒体または電子装置の助けを借りて読み込むことができるデータを記憶する他の媒体ならびに他の書込み可能および読取り専用メモリなどの、プロセッサ4121によってアクセス可能な情報を記憶することができる任意の好適な種類のものであればよい。メモリ406はパーシステント記憶装置に加えて一時記憶装置を含んでいてもよい。
【0083】
センサ408は、特に慣性測定ユニット(IMU)、加速度計およびジャイロスコープのうちの1つ以上を備えることができる。IMUは、加速度計およびジャイロスコープの組み合わせを用いて、クライアント装置の速度、加速度、角運動量、並進速度、回転速度および他の遠隔測定メタデータを測定および報告するように構成されている。一実施形態ではIMU内の加速度計は、加速度を3つの直交方向で測定することができる三軸加速度計を含んでもよい。他の実施形態では、1つ、2つ、3つまたはそれ以上の別個の加速度計がIMU内に含まれていてもよい。他の実施形態では、さらなる加速度計およびジャイロスコープがIMUとは別個に含まれていてもよい。
【0084】
mmW送受信機410は、クライアント装置がデジタルリアリティコンテンツとインタラクトした場合にアンテナからmmWを受信し、かつ当該データをアンテナに送り戻すのを可能にしてもよい。mmW送受信機410はクライアント装置の位置追跡も可能にしてもよい。mmW送受信機410は双方向通信mmW送受信機410であってもよい。
【0085】
一実施形態では、センサ408(例えば、IMU、加速度計およびジャイロスコープ)の能力をmmW送受信機410によって提供される位置追跡と組み合わせることにより、サブセンチメートルまたはサブミリメートルでの位置および向きの追跡を可能にしてもよく、これによりクライアント装置のリアルタイムな位置および向きを追跡する際の正確性を高めてもよく、かつ一般的なユーザ体験を向上させてもよい。
【0086】
クライアント装置の追跡は異なる技術を用いて行ってもよい。例えば3つ以上のアンテナから集められた情報を使用する到着時間(TOA)追跡技術を用いて追跡を行ってもよい。次いでクライアント装置は範囲内の全てのアンテナによって受信された信号を送信する。次いで各アンテナは信号が送信された時間から信号を受信するのに要した時間量を測定し、クライアント装置の位置を三角測量する。他の実施形態では、TOAのように信号が3つの基地局に到着するのに要する時間を使用する代わりに、クライアント装置信号がアンテナに到着する角度を使用する到着角度(AOA)技術を用いてクライアント装置の追跡を行ってもよい。複数のアンテナ(少なくとも3つ)の中で到着角度データを比較することにより、クライアント装置の相対位置を三角測量することができる。さらなる実施形態では、他の追跡技術(例えば、視覚的イメージング、レーダ技術など)を用いてもよい。
【0087】
他の実施形態では、GPS、BDS、グロナス(Glonass)、QZSS、ガリレオ(Galileo)およびIRNSSのような複数の衛星利用航法システムをまとめて指す全地球的航法衛星システム(GNSS)を装置の位置決めを可能にするために使用してもよい。十分な数の衛星からの信号ならびに三角形分割および三辺測量などの技術を用いて、GNSSは装置の位置、速度、高度および時間を計算することができる。一実施形態では、外部位置決めシステムは、既存のセルラー通信ネットワークのアーキテクチャ(既存のアーキテクチャは5Gを含む)による支援型GNSS(AGNSS)によって増補される。他の実施形態では、AGNSS追跡システムは4Gセルラー通信ネットワークによってさらにサポートされる。屋内実施形態では、GNSSは好ましくは限定されるものではないがデータを16GHzで提供するWi-Fiなどの無線ローカルエリアネットワークによりさらに増補される。他の実施形態では、GNSSはディファレンシャルGPS(DGPS)、静止衛星型衛星航法補強システム(SBAS)、リアルタイムキネマティック(RTK)システムなどの他の技術により増補される。いくつかの実施形態では、装置の追跡はAGNSSと当該装置内の慣性センサとの組み合わせによって実行される。
【0088】
プロセッサ412は、命令を受信して処理するように構成されたコンピューティングハードウェアおよびソフトウェアとして実装されていてもよい。例えばプロセッサ718は、イメージング要求を行い、イメージングデータを受信し、イメージングデータを処理して環境もしくは他のデータにし、ユーザ入力データおよび/またはイメージングデータを処理してユーザインタラクションデータを生成し、エッジベース(オンデバイス)機械学習のトレーニングおよび推論を行い、サーバ要求を行い、サーバ応答を受信し、かつ/またはユーザインタラクションデータ、環境データおよびコンテンツオブジェクトデータを1つ以上の他のシステム構成要素に提供するように構成されていてもよい。例えばプロセッサ412は、I/Oモジュール(図示せず)からユーザ入力データを受信してもよく、かつメモリ406に記憶されているアプリケーションプログラムをそれぞれ実行してもよい。他の例では、プロセッサ412は実世界から取り込まれたマルチソース感知データをセンサ408から受信してもよく、あるいはクライアント装置314の正確な位置および向きを受信してもよく、かつさらなる処理のために当該データをサーバに送信する前に当該データのいくつかを準備してもよい。
【0089】
図4Bは、クライアント装置314が電源404、メモリ406および結合されたセンサ/mmW送受信機414を備え、全てがプロセッサ412に動作可能に接続されている一実施形態を示す。動作構成要素402の機能は図4Aに記載されているものと同じであってもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、追跡モジュール(図示せず)は、IMU、加速度計およびジャイロスコープの能力をmmW送受信機410によって提供される位置追跡と組み合わせることによって実装されていてもよく、mmWを利用するアンテナによって提供される正確な追跡、低レイテンシおよび高いQoS機能はサブセンチメートルまたはサブミリメートルでの位置および向きの追跡を可能にしてもよく、これによりクライアント装置314のリアルタイムな位置および向きを追跡する際の正確性を高めてもよい。
【0091】
他の実施形態では、1つ以上の動作構成要素402が省略されていてもよく、あるいは1つ以上のさらなる構成要素が追加されていてもよい。
【0092】
図5A図5Eは、一実施形態に係る、サーバホッピングおよびアンテナホッピングにより3次元空間におけるリアルタイム応答性の連続的な位置情報に基づくサービスを可能にするように構成することができる同期されるCC204のアーキテクチャ図を示す。図5A図5Eのシステムは、図1図4Bのシステムと同様の要素を含む場合があり、従って同じもしくは同様の符号を含んでいる場合がある。同期されるCC204において、ユーザ502は1つ以上のデジタルリアリティアプリケーション506などの1つ以上のソースから取り出されたデジタルリアリティコンテンツ504を受信してそれとインタラクトすることができる。デジタルリアリティコンテンツ504を生成するデジタルリアリティデータはクラウドサーバによって計算およびレンダリングされ、かつ例えばデジタルリアリティ装置310を介してユーザ502によって見られる。デジタルリアリティ装置310は1つ以上のアンテナによって連続的に追跡される。
【0093】
いくつかの実施形態では、1つ以上のデジタルリアリティアプリケーション506によって提供されるデジタルコンテンツは、画像データ、3Dジオメトリ、ビデオデータ、音声データ、テキストデータ、触覚データのうちの少なくとも1つまたはそれらの組み合わせを含んでいてもよい。これらの実施形態では、少なくとも1人のユーザ502に提供されるデジタルコンテンツの1つ以上の部分は、拡張現実(AR)、仮想現実(VR)または複合現実(MR)デジタルコンテンツを含んでいてもよい。ユーザ502がARデジタルコンテンツとしてのデジタルコンテンツを見る場合、ARデジタルコンテンツは音、ビデオ、グラフィックスまたはGPSデータなどのコンピュータによって生成される感知入力によって拡張された物理的な実世界環境要素を含む。実世界における追加情報または仮想物体をオーバーレイするなどの拡張技術は典型的に、リアルタイムで環境要素に関するセマンティックコンテキストにおいて行われる。ARデジタルコンテンツにより、ユーザ502の周囲実世界に関する情報または実世界における仮想物体オーバーレイをインタラクティブおよびデジタル操作可能になるようにすることができる。ユーザ502がVRデジタルコンテンツとしてのデジタルコンテンツを見る場合、VRデジタルコンテンツは実世界をシミュレートしたものと置き換えるために使用される仮想要素を含んでいてもよい。ユーザ502がMRデジタルコンテンツとしてのデジタルコンテンツを見る場合、MRデジタルコンテンツは、仮想要素とインタラクトする拡張された物理的な実世界環境要素の混合物を含んでいてもよい。例えば、MR体験はカメラが実在の人物を取り込む状況を含んでもよい。その後に、好適なコンピュータソフトウェアはその人物の3Dメッシュを作成し、次いでこれは仮想世界に挿入されて実世界とインタラクトすることができる。
【0094】
一実施形態によれば、クラウドサーバは、1つ以上のデジタルリアリティアプリケーション506からのデジタルコンテンツのレンダリングなどの重負荷アプリケーションを実行するのに十分な計算リソースを有するリモートサーバであってもよい。クラウドサーバは、1つにまとめられた単一のデータストリームを少なくとも1つのデジタルリアリティ装置310に提供するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、クラウドサーバは、限定されるものではないがmmWを利用する無線システム通信および/または無線ローカルエリアネットワーキング(Wi-Fi)などの無線システム通信によりデジタルリアリティ装置310およびデジタルリアリティアプリケーション506に通信接続する。mmWを利用する接続は、典型的には高インタラクティブなデジタルリアリティアプリケーションを実行するために必要なパラメータに準拠している低レイテンシ(例えば、約1~約5ミリ秒のエンドツーエンド(E2E)レイテンシ)およびその現場内のエンドポイントまでの高いダウンリンク速度(例えば、1~約10Gbpsのダウンリンク速度)を可能にしてもよい。これにより高品質、低レイテンシ、リアルタイムのデジタルコンテンツストリーミングが得られる。
【0095】
クラウドサーバを備えるクラウドコンピューティングネットワークは、アプリケーション間でCPU、メモリおよび記憶装置などのリソースを共有する抽象化された仮想のインフラ上で実行される計算環境を実装している。典型的にはクラウドコンピューティング環境は、ネットワークまたはインターネット越しに提供されるソフトウェアおよびサービスにより分散型データ記憶および他のコンテンツの分散型計算アーキテクチャを実装している。クラウドコンピューティングネットワークを用いた計算能力、コンピュータインフラ、アプリケーションおよびビジネスプロセスへのアクセスは、要求に応じてユーザにサービスとして提供することができる。図2を参照して記載されているようなクラウドサーバはCCなどの施設内に位置していてもよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、同期されるCC204は、その全てをネットワークを介して接続することができるパブリックもしくはプライベートクラウド、フォグサーバならびに企業システム、モバイルプラットフォームおよびユーザ装置などのエッジ装置およびシステムを用いて分散された計算能力を表示することができるクラウド・エッジ間インフラに実装されていてもよい。クラウド・エッジ間コンピューティングネットワークを用いた計算能力、コンピュータインフラ(例えば、サービスとしてのいわゆるインフラすなわちIaaSを介して)、アプリケーションおよびビジネスプロセスへのアクセスは、要求に応じてクライアント装置を介してユーザへのサービスとして提供することができる。このように、物理的なサーバおよびネットワーク機器を含むリソースは、ユーザのリソースまでの距離ならびにユーザからのネットワークおよび計算要求などの因子に応じて動的に割り当てることができる共有される記憶および計算を可能にする。
【0097】
図5Aでは、ユーザ502はサーバゾーンA508などのサーバゾーンに位置している。サーバゾーンA508では、ユーザ502は、デジタルリアリティ装置310を介して、CC A(512)に位置しているクラウドサーバA510によって1つ以上のデジタルリアリティアプリケーション506から取り出されたデジタルリアリティコンテンツ504を受信して見てそれと関わることができる。デジタルリアリティ装置310へ/からのあらゆるデータ転送は、アンテナA514によってカバーされており、かつデジタルリアリティ装置310の位置によって決定されるようなエリアにおいて1つ以上のアンテナA514などのアンテナを介して行われる。
【0098】
この例ではユーザデジタルリアリティ装置310を連続的に追跡(516)する1つ以上のアンテナA514は、デジタルリアリティ装置310の位置および向きデータをDC104に位置するマスタサーバ206に送信してもよい。一般にマスタサーバ206は、どのサーバゾーンにユーザ502が位置しているかに応じてそれぞれのクラウドサーバにデジタルリアリティコンテンツ504を計算およびレンダリングするように命令を送信してもよい。例えば、図5Aに見られるようにユーザ502はまだサーバゾーンA508に位置しており、従ってマスタサーバ206は、クラウドサーバA510にユーザ502のためにデジタルリアリティコンテンツ504を計算およびレンダリングするように指示する。
【0099】
いくつかの実施形態では、サーバゾーンは、1つ以上のクラウドサーバおよび1つ以上のアンテナによってサービスを提供することができる1つ以上の地理的に限られたゾーンを含んでもよい。例えばサーバゾーンは、アンテナA514およびクラウドサーバA510によってサービスが提供される屋外位置(例えば、公園、運動場、街路、動物園など)または屋内位置(例えば、ゲームゾーン、レストラン、エンターテイメントクラブ、劇場、職場など)であってもよい。
【0100】
図5Bでは、ユーザ502がサーバゾーンB518にさらに近づくにつれて、1つ以上のアンテナA514は、マスタサーバ206にデジタルリアリティアプリケーション506からデジタルリアリティデータを取り出して同期し始める準備し、その後にユーザ502がサーバゾーンB518の中に移動するとすぐに同期されたデジタルリアリティデータをCC B(522)に位置しているクラウドサーバB520に送信するように指示する。本実施形態では、ユーザ502がまだQoSが好適であるエリアのサーバゾーンA508に位置している限り、ユーザ502はまだクラウドサーバA510からデジタルリアリティコンテンツ504を受信することができることに留意することが重要である。
【0101】
図5Cでは、ユーザ502がサーバゾーンA508とサーバゾーンB518との間などのサーバゾーンの中間にいる場合に、マスタサーバ206はクラウドサーバA510からデジタルリアリティデータの一部を取り出し、取り出されたデータを同期し、かつ当該データをクラウドサーバB520に送信し始めてもよい。本実施形態では、ユーザ502が完全にサーバゾーンA508内にもサーバゾーンB518内にもいないため、計算およびレンダリングタスクをクラウドサーバA510およびクラウドサーバB520の両方によって部分的に行い、ユーザ502のためにQoSを最大化してもよい。
【0102】
図5Dでは、ユーザ502がサーバゾーンB518の中に完全に移動している場合、同期されるCC204はクラウドサーバA510からクラウドサーバB520へのサーバホッピングを完全に行う。より具体的には、ユーザ502がサーバゾーンB518の中に完全に移動している場合、マスタサーバ206はクラウドサーバA510を介してデジタルリアリティアプリケーション506から全てのデジタルリアリティデータを取り出し、デジタルリアリティデータを同期し、かつ当該データをクラウドサーバB520に送信し始める。次いで、ユーザ502がサーバゾーンB518に位置している場合にデジタルリアリティコンテンツ504を取り出し続けることができるように、クラウドサーバB520はデジタルリアリティデータを計算およびレンダリングする。
【0103】
図5Eでは、ユーザ502が1つ以上のアンテナA514および1つ以上のアンテナB526によって部分的にカバーすることができるエリアのサーバゾーンC524に近づいているかその中に移動している場合、当該サーバゾーンのサービス提供はアンテナA514およびアンテナB526の両方によって部分的に行われる。さらに、デジタルリアリティコンテンツ504はマスタサーバ206によってクラウドサーバA510から取り出されて同期され、かつCC B(522)のクラウドサーバB520およびCC C(530)のクラウドサーバC528の両方によって部分的にレンダリングされて計算される。
【0104】
その後に図5Fでは、ユーザ502がサーバゾーンC524の中、例えば1つ以上のアンテナB526およびクラウドサーバC528のみによってカバーされているエリアに完全に移動している場合、当該サーバゾーンのサービス提供は1つ以上のアンテナB526のみによって行われ、かつデジタルリアリティデータの計算およびレンダリングはクラウドサーバC528のみによって行われる。
【0105】
いくつかの実施形態では、同期されるCC204は、さらなる構成要素、より少ない構成要素または上に記載されているものとは異なって配置された構成要素を備えていてもよい。
【0106】
図6A図6Cは、スーパーピアデバイスの割り当てによる連続的な位置情報に基づく計算およびレンダリングサービスを可能にするように構成されたCC202の実施形態を示すアーキテクチャ図を示す。図6A図6Cのシステムは、図1図5Fのシステムと同様の要素を含む場合があり、従って同じもしくは同様の符号を含んでいる場合がある。
【0107】
一般にスーパーピアデバイスによる計算およびレンダリングは、アンテナおよびクラウドサーバのためのハードウェアおよびネットワーク要求を減少させ、かつ本システムのQoSおよびサービスキャパシティを増加させることができる。クラウドサーバへのアクセスをたった1つまたは少ない数の装置によって行い、より多くの装置によるアクセスにより高まり得るクラウドサーバへのサイバー脅威を最小限に抑えることができるので、スーパーピアデバイスを利用することにより本システムのセキュリティも高めることができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、スーパーピアデバイスによる計算およびレンダリングは、QoSが特定の閾値未満である場合にQoSを高めるための方法として行ってもよい。他の実施形態では、スーパーピアデバイスによる計算およびレンダリングは、必ずしも特定のQoS閾値に結び付けられていない同期されるCC204内の計算能力およびシステム帯域幅を最適化するための方法として行ってもよい。
【0109】
図6Aでは、4つのピア、すなわちピアA602、ピアB604、ピアC606およびピアD608は、1つ以上のデジタルリアリティアプリケーション506などの1つ以上のソースから取り出されたデジタルリアリティコンテンツ504を受信してそれとインタラクトする。デジタルリアリティコンテンツ504を生成するデジタルリアリティデータはクラウドサーバA510などのクラウドサーバによって計算およびレンダリングされ、かつ各ピアによって使用されるデジタルリアリティ装置310を介して当該ピアによって見られる。デジタルリアリティ装置310は1つ以上のアンテナ210によって連続的に追跡(516)されている。
【0110】
デジタルリアリティ装置310を絶えず追跡(516)している1つ以上のアンテナ514は、デジタルリアリティ装置310の位置データをDC104に位置しているマスタサーバ206に送信してもよい。マスタサーバ206はどのサーバゾーンにユーザ502が位置しているかに応じて、それぞれのクラウドサーバにデジタルリアリティコンテンツ504の計算およびレンダリングを行うように命令を送信してもよい。例えば図6Aに見られるように、当該ピアはまだサーバゾーンA508に位置しており、従ってマスタサーバ206は、クラウドサーバA510に当該ピアのためにデジタルリアリティコンテンツ504を計算およびレンダリングするように指示する。
【0111】
図6Bでは4つのピアが位置を変えている。より具体的には、ピアB604、ピアC606およびピアD608は今ではクラウドサーバA510からさらに離れているが、ピアAはクラウドサーバA510に比較的近い位置に留まっている。その瞬間に、マスタサーバ206はピアAをスーパーピア610として割り当てる。次いでスーパーピア610はデジタルリアリティコンテンツ504を集めてピアB604、ピアC606およびピアD608に配信し始める。同様に、ピアB604、ピアC606およびピアD608から受信されたあらゆる入力がスーパーピア610を介してクラウドサーバA510に送り戻される。次いでクラウドサーバA510は当該データをデジタルリアリティアプリケーションに送信し、これは入力データを受信してアプリケーション実行を制御するか当該アプリケーションの現在の動作状態を更新し、次いでクラウドサーバA510を介して出力データをスーパーピア610に送り戻す。次いでスーパーピア610は当該データを集めてそれぞれのピアに送信する。
【0112】
いくつかの実施形態では、クラウドサーバA510などのクラウドサーバ、スーパーピア610および他のピア(ピアB604、ピアC606およびピアD608)は全て、デジタルリアリティコンテンツ504として見られるデジタルリアリティデータのために特定の計算およびレンダリングタスクを部分的に行う。例えばクラウドサーバA510は、デジタルリアリティアプリケーション506からデジタルリアリティデータを受信し、特定のレンダリングおよび計算タスクを行い、かつ予めレンダリングされたデータをスーパーピア610に送信してもよい。その後にスーパーピア610は他の軽量の計算およびレンダリングタスクを行ってもよく、かつ当該データを集めて他のピアに配信してもよく、他のピアは最後にデジタルリアリティデータに対して最終的な軽量の計算およびレンダリング動作を行ってもよい。
【0113】
他の実施形態では、より重いもしくはより軽い計算およびレンダリング動作は、クラウドサーバ、スーパーピア610および当該ピアの残りのうちの1つ以上によって行ってもよい。これらの実施形態では、1つ以上の要素によるより重い計算およびレンダリング動作は他の要素によるより軽い計算およびレンダリング動作を意味してもよい。同様に、1つ以上の要素によるより軽い計算およびレンダリング動作は当該要素の残りによるより重い計算およびレンダリング動作を意味してもよい。例えば、クラウドサーバによって行われるより重い計算およびレンダリング動作は、スーパーピア610および当該ピアの残りよって行われるより軽い計算およびレンダリング動作を意味してもよい。
【0114】
図6Cでは、4つのピアすなわちピアA602、ピアB604、ピアC606およびピアD608はサーバゾーンB518の中に完全に移動しており、スーパーピアとの接続を絶っている。この場合、これらの4つのピアはクラウドサーバB520の十分に近くにおり、クラウドサーバB520によって計算およびレンダリングされるデジタルリアリティコンテンツ504を好適に受信してそれと関わることができる。
【0115】
図7A図7Dは、一実施形態に係る、サーバホッピングまたはスーパーピアデバイスが必要とされ得る場合に3次元空間におけるリアルタイム応答性の連続的な位置情報に基づくサービスを可能にするための方法700のブロック図を示す。方法700は図1図6Cに詳述されているシステムなどのシステムに実装されていてもよい。
【0116】
図7Aに見られるように、方法700は工程702に見られるように1人以上のユーザが第1のサーバゾーン(例えば、図5A図5FのサーバゾーンA508)に入った場合に開始してもよい。第1のサーバゾーンに入ることは、第1のサーバゾーンのクラウドサーバによってカバーされている地理的ゾーンの中に物理的に移動することを含んでもよい。次いで工程704では、1つ以上のアンテナが第1のサーバゾーン内の1つ以上のユーザデジタルリアリティ装置を追跡し始める。
【0117】
その後に工程706では、1つ以上のアンテナは、第1のサーバゾーンのクラウドサーバにデジタルリアリティアプリケーションからデジタルリアリティデータを取り出すように指示するために第1のサーバゾーン内のマスタサーバに信号を送ってもよい。次いで工程708に見られるように、第1のサーバゾーンのクラウドサーバは第1のサーバゾーン内のデジタルリアリティアプリケーションからデジタルリアリティデータを取り出し、かつデジタルリアリティデータに対してデータ計算およびレンダリングタスクを行う。その後に工程710に見られるように、第1のサーバゾーンのクラウドサーバは計算およびレンダリングされたデジタルリアリティデータを第1のサーバゾーン内の1つ以上のデジタルリアリティ装置に送信する。
【0118】
次いで工程712に見られるように、第1のゾーンのクラウドサーバは1つ以上のデジタルリアリティ装置を介してユーザから入力データを受信し、かつ次いで入力データをデジタルリアリティアプリケーションに送信し、当該アプリケーションを更新することにより進行する。次いで判断714において、方法700はシステム帯域幅を最適化することができるか、またはQoSを高めることができるかを確認する。その後に、本システムのQoSおよび帯域幅最適化ルールに応じていくつかの決定を行ってもよい。例えば方法700は、判断718、720および722に見られるように、第1および第2のサーバゾーンのクラウドサーバの組み合わせから計算およびレンダリング(716)するか、スーパーピアデバイスから計算およびレンダリングするか、あるいは第2のサーバゾーンのクラウドサーバから計算およびレンダリングするかを決定することができ、かつそれぞれ結合子A724、B726およびC728により継続する。
【0119】
システム帯域幅を最適化することができず、かつ/またはQoSをさらに高めることができない場合、方法700は工程708に戻ってもよく、それにより第1のサーバゾーン内のクラウドサーバは、デジタルリアリティアプリケーションからデジタルリアリティデータを取り出し、かつデジタルリアリティデータのデータ計算およびレンダリングを行う。その後に当該プロセスは再度判断714に到着するまで継続してもよい。
【0120】
図7Bでは、方法700は第1および第2のサーバゾーンのクラウドサーバの組み合わせから計算およびレンダリングすることを決定する。これはユーザが1つのみのクラウドサーバのカバー範囲では好適なQoSを提供するのに十分になり得ないエリアに位置している場合、例えば当該ユーザがサーバゾーンの中間に位置している場合に行ってもよい。
【0121】
結合子A724で開始して、工程730に見られるようにマスタサーバは第1のサーバゾーンのクラウドサーバからデジタルリアリティデータの一部を取り出し、当該データを同期し、かつ同期されたデータを第2のサーバゾーンのクラウドサーバに送信する。次いで工程732では、第2のサーバゾーンのクラウドサーバは、同期されたデジタルリアリティデータをマスタサーバから取り出す。工程734では、第1および第2のサーバゾーンのクラウドサーバはデジタルリアリティデータのデータ計算およびレンダリングを行い、かつ工程736では、計算およびレンダリングされたデジタルリアリティデータをサーバゾーンの中間にいるユーザのデジタルリアリティ装置に送信する。
【0122】
次いで工程738に見られるように、第1および第2のサーバゾーンのクラウドサーバはデジタルリアリティ装置を介してユーザから入力データを受信し、かつそれにより第1のサーバゾーン内のデジタルリアリティアプリケーションを更新する。次いで方法700は判断714において、システム帯域幅をさらに最適化することができるか、またはQoSをさらに高めることができるかを確認する。否定的事例では、方法700は工程730に戻って当該プロセスを継続してもよい。そうでなければ、方法700は判断720および722にそれぞれ見られるように、スーパーピアデバイスからレンダリングおよびを計算(716)するか、または第2のサーバゾーンのクラウドサーバからレンダリングまたは計算するかを確認する。
【0123】
図7Cでは、方法700はスーパーピアデバイスからデジタルリアリティデータを計算およびレンダリングすることを決定する。
【0124】
結合子B726で開始すると、工程740に見られるようにマスタサーバはアンテナからデジタルリアリティ装置の位置を取り出し、かつ帯域幅およびQoS管理ルールに基づいてスーパーピアデバイスを割り当てる。次いで工程742では、マスタサーバは第1のサーバゾーンのクラウドサーバからデジタルリアリティデータを取り出し、当該データを同期し、かつ同期されたデータをスーパーピアデバイスに送信する。次いでスーパーピアデバイスは、工程744に見られるようにデジタルリアリティデータのデータ計算およびレンダリングを行い、かつ次いで工程746に見られるように計算およびレンダリングされたデジタルリアリティデータを第1のサーバゾーンの他のピアデバイスに送信する。工程748に見られるように、スーパーピアデバイスはピアデバイスから入力データを受信し、かつそれによりデジタルリアリティアプリケーションを更新する。
【0125】
次いで方法700は、判断714においてシステム帯域幅をさらに最適化することができるか、またはQoSをさらに高めることができるかを確認する。否定的事例では、方法700は工程742に戻って当該プロセスを継続してもよい。そうでなければ、方法700は判断722および718にそれぞれ見られるように、第2のサーバゾーンのクラウドサーバから計算およびレンダリング(716)するか、または第1および第2のサーバゾーンのクラウドサーバから計算およびレンダリング(716)するかを確認する。
【0126】
図7Dでは、方法700は第2のサーバゾーンのクラウドサーバによってデジタルリアリティデータを計算およびレンダリングすることを決定する。第2のサーバゾーンのクラウドサーバから計算およびレンダリングを行っている場合にQoSが最も高くなり得るため、これはデジタルリアリティコンテンツを受信してそれとインタラクトしている1人以上のユーザが第2のサーバゾーンの中に完全に移動している場合に行ってもよい。
【0127】
結合子C728において開始して、工程750に見られるようにマスタサーバは第1のサーバゾーンのクラウドサーバからデジタルリアリティデータを取り出し、当該データを同期し、かつ同期されたデータを第2のサーバゾーンのクラウドサーバに送信する。次いで工程752に見られるように、第2のサーバゾーンのクラウドサーバは同期されたデジタルリアリティデータをマスタサーバから取り出し、かつデジタルリアリティデータのデータ計算およびレンダリングを行う。その後工程754に見られるように、第2のサーバゾーンのクラウドサーバはレンダリングされたデジタルリアリティデータを第2のサーバゾーン内のユーザの1つ以上のデジタルリアリティ装置に送信する。次いで工程756では、第2のサーバゾーンのクラウドサーバは1つ以上のデジタルリアリティ装置を介して1人以上のユーザから入力データを受信し、かつそれによりマスタサーバを介して第1のサーバゾーン内のデジタルリアリティアプリケーションを更新する。
【0128】
次いで方法700は判断714において、システム帯域幅をさらに最適化することができるか、またはQoSをさらに高めることができるかを確認する。否定的事例では、方法700は工程750に戻って当該プロセスを継続してもよい。そうでなければ、方法700は判断718および720にそれぞれ見られるように、第1および第2のサーバゾーンのクラウドサーバの組み合わせから、またはスーパーピアデバイスから計算およびレンダリングするかを確認する。
【0129】
図8は、一実施形態に係る、アンテナホッピングが必要とされ得る場合に3次元空間におけるリアルタイム応答性の連続的な位置情報に基づくサービスを可能にするための方法800のブロック図を示す。いくつかの実施形態では、アンテナホッピングはユーザがアンテナからのデータがより弱くなり得るサーバゾーン内のエリアに向かって移動した場合に必要とされることがある。
【0130】
方法800は、工程802に見られるように1人以上のユーザが、第1のアンテナによってサービスが提供されるサーバゾーン(例えば、図5A図5FのサーバゾーンA508および/またはサーバゾーンB518)内のデジタルリアリティ装置を介してレンダリングされたデジタルリアリティデータを受信してそれとインタラクトする場合に開始してもよい。次いで工程804では、1人以上のユーザは第1のアンテナによって完全にカバーされていないサーバゾーン(例えば、図5E図5FのサーバゾーンC524)に近づくかその中に移動する。工程806では、第1および/または第2のアンテナはユーザ位置をマスタサーバに送信する。次いで工程808に見られるように、マスタサーバはユーザデジタルリアリティ装置に第1および第2のアンテナに接続するように指示する。
【0131】
その後、工程810に見られるように当該ユーザが第3のサーバゾーンにより近づくにつれて、マスタサーバは第1のアンテナにデジタルリアリティ装置から切断するように促す。最後に、工程812に見られるように第2のアンテナは第3のサーバゾーンのみにサービスを提供する。この場合、デジタルリアリティ装置は第2のアンテナのみに接続されており、かつ第1のアンテナから完全に切断されている。
【0132】
図9は、先行技術に係る均一なネットワーク帯域幅スライシング900の図を示す。
【0133】
典型的には、高速無線通信のためのロング・ターム・エヴォリューション(LTE)規格を使用する4G帯域幅(すなわち、ユーザが送信および受信することができる周波数の幅)は、高速度および多数のユーザをサポートするのに重要である。
【0134】
典型的には無線通信においてユーザに多重送信するために構成された方法は、直交周波数分割多元接続(OFDMA)と呼ばれる。OFDMAでは、複数の移動局またはクライアント装置による同時アクセスは、OFDMAスキームによって予め定められた多くのサブキャリアのサブセットを各クライアント装置に割り当てることによって実現される。OFDMAスキームでは、データ伝送が行われる前にデータ通信のために使用されるサブキャリアの割り当てを行うことが必要である。例えばOFDMAスキームを採用しているセルラー無線システムでは、アンテナ910などの基地局(BS)は、専用の制御情報チャネルによるクライアント装置へのサブキャリアの割り当てを決定し、かつサブキャリア割り当て情報を信号で送る。
【0135】
ダウンリンクでの(すなわち、アンテナからクライアント装置への)データ伝送のために、アンテナは最初にクライアント装置に伝送されるデータの量に応じて各クライアント装置にサブキャリアを割り当てる。サブキャリア割り当て情報は、制御情報チャネルによるデータ伝送と同時またはその前にアンテナからクライアント装置に信号が送られる。各クライアント装置に割り当てられたサブキャリアを使用して、アンテナはデータを各クライアント装置に伝送する。
【0136】
アップリンクでの(すなわち、クライアント装置からアンテナへの)データ伝送のために、各クライアント装置は最初にデータ伝送要求およびアンテナに伝送されるデータの量に関する情報を信号で送る。アンテナは、クライアント装置からのデータ伝送要求に基づいて各クライアント装置にサブキャリアを割り当てる。サブキャリア割り当て情報は、制御情報チャネルによりアンテナからクライアント装置に信号が送られる。その後各クライアント装置は、アンテナ910によって信号が送られたサブキャリア割り当て情報からデータを伝送することが許可されたサブキャリアを知り、かつこの情報に基づいてデータを伝送する。
【0137】
このようにOFDMAでは、アンテナによって決定される各クライアント装置へのサブキャリア割り当てに関する情報はアンテナおよび各クライアント装置の間で共有され、それにより、適応的な帯域幅割り当てが伝送の量に応じて行われるデータ通信を実現する。
【0138】
OFDMAの利点にも関わらず、周波数スペクトル全体の使用は現在の帯域幅割り当てにより最適化することができない。例えば場合によっては、ユーザは他のユーザが関わることができない間に帯域幅を消費するアクティビティに関わっている場合があるが、まだ全てのユーザが同様の必ずしも最適ではない量のデータおよび帯域幅周波数を常に受け取っている場合がある。図9は4人のユーザ、すなわちユーザA902、ユーザB904、ユーザC906およびユーザD908を示すこの例を示している。各ユーザは、彼らが互いのサブキャリアを相互に妨害することなくデータを受信するのを可能にするアンテナ910によって特定のサブキャリアが割り当てられている。それにも関わらず、ユーザC906およびD908がクライアント装置を使用している間に、ユーザA902およびB904は自身のクライアント装置を使用していない場合があり、それにも関わらず各ユーザは同様の帯域幅スライス912を受信している場合がある。これらの割り当ては図10にさらに詳述され得るような他の因子を無視することに加えて、必要とされるデータの量ではなくアンテナに接続されたクライアント装置の数を優先していることが原因であり、これは不十分に適応的なサブキャリア割り当てによるものであり得る。
【0139】
図10は、一実施形態に係る、動的ネットワークスライシングおよびQoS管理パラメータ1000を示す。
【0140】
動的ネットワークスライシングおよびQoS管理を本明細書では、各クライアント装置のためにネットワークを使用するための機能のセットを調整するための能力と呼ぶ。例えば動的ネットワークスライシングおよびQoS管理は、最適ビーム形成、アンテナのステアリング、サーバホッピング、アンテナホッピング、スーパーピアの割り当て、クライアント装置によって必要とされるネットワーク機能、ならびにQoSを最適化するために必要とされるクライアント装置ごとのサブキャリアの最適数および総帯域幅を決定してもよい。動的ネットワークスライシングおよびQoS管理は、図3Aを参照しながら記載されているクラウドサーバ内のデジタルリアリティVRAN306によって行われ、かつこれらの機能を行うことが必要とされ得る体験OS(例えば図3Aの体験OS308)からのデータおよび命令を使用してもよい。
【0141】
一実施形態によれば、動的ネットワークスライシングおよびQoS管理は機械学習アルゴリズムを用いて行う。一般に機械学習中に、プログラマはコンピュータにサンプルデータのセットおよび所望の結果を与え、コンピュータはあらゆる将来のデータに適用することができるそれらのデータに基づいてそれ独自のアルゴリズムを生成する。従って本開示では、各パラメータおよび所望の結果に対応するデータセットと共に動的ネットワークスライシングおよびQoS管理パラメータ1000のセットを、機械学習アルゴリズムをトレーニングするために提供してもよい。動的ネットワークスライシングおよびQoS管理を行う際に使用することができるトレーニングされた機械学習モデルを生成するために、これらのアルゴリズムはトレーニング中に数多くの繰り返しを経てもよい。当該トレーニングおよび推論はクラウドサーバ208内のプロセッサによって行ってもよい。
【0142】
図10に示すように、これらの動的ネットワークスライシングおよびQoS管理パラメータ1000は、特にサービス地点1002、コンテキスト1004、優先度1006およびセキュリティパラメータ1008を含んでもよい。
【0143】
サービス地点1002は、クライアント装置とアンテナとの間の距離に関するようなクライアント装置の位置を指す。より具体的には、クライアント装置がアンテナから離れるほど、信号減衰によりこの減衰を補償するためにユーザに割り当てられることが必要となり得るサブキャリアは多くなる。
【0144】
コンテキスト1004は、クライアント装置およびアンテナの直接もしくは間接的な環境に関するデータを含み、かつこれは図3Bに関して記載されているようにマイクロコンテキストおよびマクロコンテキストを含んでもよい。例えばクライアント装置が建物の内部でネットワーク信号を受信している場合、関連するマイクロコンテキストデータは、建物の材料、壁の厚さおよび窓の位置ならびにアンテナの周りの構造体に関するデータを含んでいてもよく、それらは全てデジタルリアリティVRANによる処理中に動的ネットワークスライシングおよびQoS管理を行うことに関連し得る。さらにこの例ではデジタルリアリティVRANは、アンテナの周りまたはクライアント装置の周りの構造体(例えば建物)からのあらゆる妨害を最小限まで防止するか減少させ、かつネットワーク信号をより厚い壁またはネットワーク信号が透過するのが困難になり得る材料で作られた壁を通して送信する代わりに、最適化されたQoSでクライアント装置に到達するために当該信号を窓またはより薄い壁などの低反射性の材料を通して方向づけるなど、QoSを最適化することができるようなネットワーク信号を方向づける方法を決定してもよい。
【0145】
「サービスコンテキスト」という用語は、近くにいる1人以上のユーザによって使用されている実際のアプリケーションを指す。各アプリケーションが帯域幅を消費するにつれて、サービスコンテキストは、各クライアント装置へのネットワーク信号の提供を評価するために必要とされる価値ある情報をクラウドサーバに提供してもよい。
【0146】
優先度1006とは、異なる関係者によって同意される種類の契約によって決定することができる、サービスプロバイダに関して特定のユーザまたは実体が有し得る相対的重要性を指す。優先度の種類は、コンテキスト順位およびひいてはユーザが各種サービスのために受信することができる帯域幅の量に影響を与える場合がある。
【0147】
セキュリティパラメータ1008は、サイバーリスクから守るために特定のユーザに必要とされ得る保護のレベルに関する。セキュリティパラメータ1008は、データ暗号化、ファイアウォール、仮想私設網(VPN)などの様々なセキュリティ対策を意味してもよい。セキュリティのレベルは優先度1006のように契約の種類によって決定されてもよい。
【0148】
図11は、一実施形態に係る、動的ネットワークスライシングおよびQoS管理を適用する場合に考慮に入れることができるサンプルサービスコンテキストパラメータ1100を示す。サービスコンテキストパラメータ1100は、図12にさらに説明されているように、ユーザプロファイルによって定めることができるそれぞれの順位1104を有するいくつかのパラメータ1102を含む。例えば特定のアプリケーションがより多くの帯域幅を必要とするほど順位1104がより高くなり、これは、これらのユーザのためにより多くのサブキャリアが割り当てられることを意味している。同様に、一般により少ない帯域幅を必要とするアプリケーションを用いるユーザには、より少ないサブキャリアが提供される。
【0149】
パラメータ1102の例としては、各パラメータ1102にそれぞれ割り当てられたC(1116)、A(1118)、E(1120)、D(1122)およびB(1124)の例示的な順位1104を有する、呼び出し1106、ビデオのストリーミング1108、ショートメッセージサービス(SMS)の送信および受信1110、ファイルのダウンロード/アップロード1112およびビデオのダウンロード/アップロード1114が挙げられる。
【0150】
各パラメータ1102に割り当てられた順位1104は、ユーザプロファイルに従って各ユーザに割り当てられるネットワークスライスおよびひいては帯域幅を決定する。図11の例では、各パラメータ1102には、パラメータ1102の性質に応じて各パラメータ1102のために割り当てられる次第に低くなる帯域幅を表す昇順でアルファベットの文字が割り当てられている。例えば図11に見られるように、A(1118)の順位1104はビデオのビデオストリーミング1108のカテゴリのためにユーザに割り当てられるより多くの帯域幅を示し、B(1124)の順位1104はビデオのダウンロード/アップロード1114のカテゴリのためにユーザに割り当てられるより少ないがC~Dのカテゴリよりも多い帯域幅を示し、C(1116)の順位1104は呼び出し1106のカテゴリのためにユーザに割り当てられるカテゴリA~Bと比較した場合にはより少ないがカテゴリD~Eよりも多い帯域幅を示し、D(1122)の順位1104はファイルのダウンロード/アップロード1112のカテゴリのためにユーザに割り当てられるカテゴリA~Cと比較した場合にはより少ないがカテゴリEよりも多い帯域幅を示し、E(1120)の順位1104はSMSの送信および受信1110ためにユーザに割り当てられるより少ない帯域幅を示す。
【0151】
図12は、一実施形態に係る、図11のサービスコンテキスト順位1104を決定するために使用されるサンプルプロファイルの種類1200を示す。
【0152】
図12の例では、プロファイルの種類1200は、グローバルプロファイル1202(例えば、このプロファイルは図11のパラメータ1102および順位1104を含む)、契約に基づくプロファイル1204および機械学習に基づくプロファイル1206を含む。
【0153】
グローバルプロファイル1202は一般ユーザのために使用される一般的なプロファイルであってもよい。従ってサービスコンテキスト順位1104は、各コンテキストパラメータの使用率を反映している統計学的データにより得てもよい。またいくつかの実施形態では、グローバルプロファイル1202は地理的に(都市、州、国、地域など)適用してもよい。より具体的には、コンテキストパラメータのための順位値は地理的に計算してもよく、かつそれらの値間に有意差が存在することが決定された場合には異なる地理的グローバルプロファイル1202を決定して適用してもよい。
【0154】
契約に基づくプロファイル1204は、ユーザとサービスプロバイダとの間での契約に規定されている条件に従って各コンテキストパラメータのためにコンテキスト順位値の調整を決定してもよい。従って、例えばビデオストリーミング、ビデオのアップロード/ダウンロードまたはファイルのダウンロード/アップロードに頻繁に関わることがない少データユーザは、呼び出しおよびテキスティングのためにより多くの帯域幅(および従ってより高いコンテキスト順位値)を有することを決定してもよい。
【0155】
また契約に基づくプロファイル1204は、優先度1006およびセキュリティ1008などの図10に記載されている他の動的ネットワークスライシングおよびQoS管理パラメータ1000を決定してもよい。例えば政府高官にグローバルプロファイルユーザよりも高い優先度1006およびセキュリティ1008を提供してもよく、このようにして各コンテキストパラメータのためにより多くの帯域幅ならびにより高いセキュリティ対策を提供して、潜在的に高レベルの情報を危険にさらすのを防止してもよい。
【0156】
機械学習に基づくプロファイル1206は、例えば図3AのデジタルリアリティVRAN306に実装されている命令およびデータによる機械学習技術の使用によりコンテキスト順位を決定してもよく、かつイベントによって決定されるコンテキストゾーンに基づいてネットワークトラフィックを最適化してもよい。例えばスポーツの試合が競技場で行われており、かつユーザの大多数がそのビデオを記録し、かつライブビデオストリーミングを行っている場合、機械学習技術は、その特定のグループのユーザのために高いサービスコンテキスト順位値を決定してもよく、かつそれに応じてユーザに必要な帯域幅を提供してもよい。また他の実施形態では、機械学習に基づくプロファイル1206を使用して個々のユーザのプロファイルを決定し、かつそれに応じて順位値を計算してもよい。
【0157】
図13は、一実施形態に係る、本開示の例示的な動的スライシング1300の図を示す。
【0158】
図13では、ユーザA1302、ユーザB1304、ユーザC1306およびユーザD1308は1つ以上のアンテナ210から10%の帯域幅1310、30%の帯域幅1312、40%の帯域幅1314および20%の帯域幅1316をそれぞれ受信する。従って100%の帯域幅がまだ本システムにおいて全てのユーザに割り当てられているが、各ユーザは、図10を参照して記載されているように当該ユーザのサービスコンテキスト、サービス地点、優先度およびセキュリティに従って帯域幅の量を受け取る。
【0159】
図14は、一実施形態に係る、同期されたCCにおいて帯域幅およびQoSを最適化するための方法1400のブロック図を示す。方法1400は図1図6Cおよび図11図13に記載されているシステムなどのシステムに実装されていてもよい。より具体的には、方法1400は図3Aを参照して記載されているようなクラウドサーバのデジタルリアリティVRAN部に実装されていてもよい。
【0160】
方法1400は、3次元空間におけるリアルタイム応答性の連続的な(または時折のネットワークレイテンシ問題またはサービス中断を許容する実質的に連続的な)位置に基づくサービスを提供するように構成された広域分散型計算センタネットワークを形成している複数の分散型計算センタを1つ以上の相互に接続されたデータセンタによって同期することにより工程1402において開始してもよい。本方法は、マスタサーバによって動的ネットワークスライシングおよび分散型計算センタの管理によるサービス品質管理を行うことにより工程1404において継続する。
【0161】
図15は、一実施形態に係る、動的ネットワークスライシングおよびサービス品質管理を行うための方法1500のブロック図を示す。
【0162】
方法1500は、ユーザにプロファイル(例えば、図12のグローバルプロファイル1202、契約に基づくプロファイル1204または機械学習に基づくプロファイル1206)を割り当てることにより工程1502において開始してもよい。ユーザプロファイル情報、サービスコンテキストパラメータならびに順位値、優先度レベルおよびセキュリティレベルは、クラウドサーバの体験OSにおいてデータおよび命令のセットとして記憶されている。
【0163】
工程1504では、方法1500は、ユーザプロファイルに応じてサービスコンテキストパラメータならびにユーザの順位値、優先度レベルおよびセキュリティレベルを決定することにより継続する。次いで工程1506では、本方法はユーザプロファイルに従って(例えば、ユーザプロファイルに基づくサービスコンテキストパラメータに従って)各ユーザに帯域幅を割り当てることにより継続する。最後に方法1500は、割り当てられたユーザプロファイルによって決定されたユーザ順位値内に留まりながらも、コンテキストおよびサービス地点に基づいてネットワークスライシングおよびQoSを動的に管理することにより工程1508で終了する。
【0164】
一実施形態によれば、動的ネットワークスライシングおよびQoS管理は、クラウドサーバのデジタルリアリティVRANにおいて、最適ビーム形成、アンテナのステアリング、サーバホッピング、アンテナホッピング、スーパーピアの割り当てを達成するために必要とされる計算を行い、クライアント装置によって必要とされる正しいネットワーク機能、ならびにQoSを最適化するために必要とされるクライアント装置ごとのサブキャリアの最適数および総帯域幅を提供することを含む。
【0165】
一実施形態によれば、クラウドサーバまたはマスタサーバは、クライアント装置上に装着されたセンサによって取り込まれるマルチソース感知データに基づいて更新される実世界要素の仮想レプリカを記憶しているパーシステント仮想世界システムをメモリに記憶する。パーシステント仮想世界システムは、実世界に存在していない純粋に仮想のレプリカおよびアプリケーションをさらに含んでいてもよい。さらに本実施形態では、デジタルリアリティVRANは、パーシステント仮想世界システムからのデータに基づいて動的ネットワークスライシングおよびサービス品質管理を行う。
【0166】
特定の実施形態について説明し、かつ添付の図面に図示してきたが、当然のことながらそのような実施形態は広範な本発明の単に例示であってそれを限定するものではなく、様々な他の修正を当業者が思い付くことができるため、本発明は図示および説明されている特定の構成および配置に限定されない。従って上記説明は、本発明を限定するものではなく例示とみなされるべきである。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15